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特表2024-511475ポリヒドロキシアルカノエート組成物及びそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ポリヒドロキシアルカノエート組成物及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20240306BHJP
   C12P 7/625 20220101ALI20240306BHJP
【FI】
C08L67/04
C12P7/625
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558988
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022021982
(87)【国際公開番号】W WO2022204533
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/166,031
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523364302
【氏名又は名称】ファックステック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サルスマン,ロバート キース
(72)【発明者】
【氏名】ムカルジー,アニンディア
(72)【発明者】
【氏名】トレインタフィロプーロス,ニコラス ジョージ
【テーマコード(参考)】
4B064
4J002
【Fターム(参考)】
4B064AD83
4B064CA02
4B064CC15
4B064CE06
4B064CE16
4J002CF181
4J002CF182
4J002CG012
4J002CH022
4J002DA047
4J002DE137
4J002DE237
4J002DJ007
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DJ057
4J002EC056
4J002EC057
4J002EF057
4J002EF098
4J002EH036
4J002EH147
4J002EJ028
4J002FD058
4J002FD078
4J002FD188
4J002FD202
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GB01
4J002GC00
4J002GG02
4J002GH00
4J002GH01
4J002GJ01
4J002GK01
(57)【要約】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマーと粘度調整剤とを含むPHA組成物が提供される。本組成物は、核形成剤、酸化防止剤、分散剤、粘度調整剤、紫外線抑制剤、乳化剤及び/又は安定剤も含み得る。製造方法は、PHA組成物をポリマー溶融物又は水性分散液へと形成することを含む。PHA組成物は、インク又は接着剤上を含めて、紙、ボール紙若しくは板紙基材又は他の表面上のコーティングとして使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマーと粘度調整剤とを含む組成物。
【請求項2】
前記粘度調整剤は、エステルを含み、及び
任意選択的に、前記粘度調整剤は、グリセリン、トリメチルプロパノール(TMP)、ペンタエリスリトール及び/又はソルビトールを含むか又は更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エステルは、ポリヒドロキシアルコールの脂肪酸エステルを含み、及び
任意選択的に、前記脂肪酸エステルは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸又はベヘン酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸エステルは、約50℃を超える又は約50℃~80℃の融点を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHAポリマーは、PHAコポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記PHAポリマー又は前記PHAコポリマーは、3-ヒドロキシブチレート(3HB)ホモポリマー又は3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシバレレート(3HV)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)ポリマーのコポリマーの1つ以上を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記PHAポリマー又は前記PHAコポリマーは、8%~30%の4HB及び92%~70%の3HBと、30℃を超える、若しくは40℃を超える、若しくは50℃を超える融点を有するエステル又は約25℃~75℃の融点を有するエステルとを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記PHAポリマーは、3-ヒドロキシブチレート又は4-ヒドロキシブチレートの1つ以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
約30秒未満、又は約10秒未満、又は約1秒(sec)未満の非粘着性コーティング時間を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記粘度調整剤は、最大で約15重量%又は約0.5重量%~20重量%若しくは約1重量%~15重量%の量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記粘度調整剤は、約5重量%~約15重量%、約7重量%~約13重量%又は約8重量%~約12重量%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
核形成剤を更に含み、
任意選択的に、前記1種又は複数の核形成剤は、前記PHA組成物の体積の約0.01%~5%、又は約0.1%~4%、又は約0.5%~3%或いは前記PHA組成物の約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは約5体積%を占める、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記核形成剤は、硫黄;エリスリトール;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;ステアレート;ソルビトール;マンニトール;ポリエステルワックス;セバケート;シトレート;アジピン酸、コハク酸及び/又はグルカル酸の脂肪エステル;ラクテート;アルキルジエステル;1種又は複数のシトレート;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;1種若しくは複数の粘土又はナノ粘土;炭酸カルシウム又はタルク;カオリナイト;モンモリロナイト;ベントナイト;シリカ;キチン;二酸化チタン;マイカ;プロピレンカーボネート;カプロラクトンジオール;ポリ(エチレン)グリコール(PEG);植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド又はイソソルビド誘導体;並びにそれらの混合物の1つ、2つ又は幾つかを含み、及び
前記1種又は複数の核形成剤は、任意選択的に約1,000~4,000g/モルの数平均分子量(MW)を有するプロピレンカーボネート若しくはカプロラクトンジオール、又は約1,000~4,000g/モルの数平均MWを有するポリ(エチレン)グリコール、植物油の1種又は複数のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体或いはそれらの混合物を、任意選択的に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記核形成剤は、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(P3-HB)を含み、及び
任意選択的に、前記P3-HBは、P3-HB粉末若しくは粉末溶融物を含むか又はP3-HB粉末若しくは粉末溶融物として配合され、及び
任意選択的に、前記核形成剤は、沈澱炭酸カルシウム、沈澱若しくはヒュームドシリカ、タルク、ベントナイト若しくはモンモリロナイト粘土、硫酸カルシウム及び/又は窒化ホウ素を含み、及び
任意選択的に、前記P3-HB粉末のサイズは、約1000ミクロン未満、若しくは約100ミクロン未満、若しくは約40ミクロン未満又は約20ミクロン~1000ミクロンである、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
(a)少なくとも1種の酸化防止剤であって、任意選択的にソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)若しくはそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の酸化防止剤;
(b)抗菌剤であって、任意選択的にBHT、BHA、安息香酸、アスコルビン酸若しくはそれらの組み合わせを含む抗菌剤;
(c)分散剤であって、任意選択的に不飽和酸若しくはポリアクリル酸のエステル若しくはそれらの組み合わせを含む分散剤;
(d)増粘剤若しくは粘度調整剤であって、任意選択的にグリセリンモノステアレート(GMS)、アルギネート、ポリビニルアルコール若しくはそれらの組み合わせを含む増粘剤若しくは粘度調整剤;
(e)紫外線抑制剤であって、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム若しくは亜鉛のステアリン酸塩若しくはそれらの組み合わせを含む紫外線抑制剤;
(f)安定剤、任意選択的に熱安定剤であって、任意選択的にポリビニルアルコール(PVOH)、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくはそれらの組み合わせを含む安定剤、任意選択的に熱安定剤;
(g)乳化剤であって、任意選択的に脂肪酸及び脂肪アルコールのポリエチレンオキシド付加体若しくはポリソルベートを含む乳化剤;
(h)ブロッキング防止剤であって、任意選択的に無機鉱物顔料;珪藻土;タルク;アルミノケイ酸ナトリウム若しくはカリウム;アルミノケイ酸ナトリウム及びカリウムの鉱物混合物;若しくはシリカ、任意選択的に合成の非晶質シリカを含むブロッキング防止剤;又は
(i)(a)~(h)の任意の組み合わせ
を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項又は請求項1~15項のいずれか一項に記載の組成物を含む複合構造体又は製造品。
【請求項17】
基材と、請求項1~15のいずれか一項又は請求項1~16項のいずれか一項に記載の組成物を含むコーティングとを含む複合構造体又は製造品。
【請求項18】
前記基材は、紙若しくは板紙ストック又はセルロース繊維を含む包装材料を含む、請求項16又は17に記載の複合構造体又は製造品。
【請求項19】
前記コーティングは、約5ミリメートル(mm)又は約0.25~20mm、若しくは約0.5~20mm、若しくは約1~10mmの厚さを有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の複合構造体又は製造品。
【請求項20】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー粉末を製造する方法であって、図1に示される工程又は以下の工程:
(a)基質、PHAを産生する微生物(任意選択的にメタン質化性微生物)、微量栄養素及び酸素を培養容器若しくは発酵反応容器又は均等物に添加する工程と;
(b)前記微生物を前記培養容器若しくは前記発酵反応容器又は均等物中で培養する工程と;
(c)前記PHAを前記培養微生物から分離する工程であって、任意選択的に、前記分離は、濾過又は遠心分離を含む、工程と;
(d)任意選択的に精製水又は蒸留水を使用して、前記PHAを水中に懸濁する工程と;
(e)前記PHA懸濁液を遠心分離及び/又は濾過して、残存するいかなる非PHA残屑も前記微生物から除去して精製PHAを生成する工程と;
(f)前記精製PHAを噴霧乾燥させて、PHA粉末を生成する工程と
を含む方法。
【請求項21】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物又は分散液を製造する方法であって、図2及び図3に示される工程又は以下の工程:
(a)PHAペレット又は粉末をポリマージェットマイクロナイザーに投入又は注入し、それにより微粉化PHA粉末を製造する工程と;
(b)前記微粉化PHA粉末を、任意選択的に少なくとも1種の添加剤及び水と一緒に反応容器に添加して、PHA水溶液又はPHA懸濁液を生成する工程であって、任意選択的に、水は、前記水溶液又はPHA懸濁液の体積の約50%~60%を占め、及び
任意選択的に、前記少なくとも1種の添加剤は、核形成剤又は可塑剤を含む、工程と;
(c)前記PHA水溶液若しくは水ベース溶液又は前記PHA懸濁液を高剪断ミキサーに添加して、PHA分散液を生成する工程と、
任意選択的に、(d)前記PHA水性分散液又は水ベース分散液を任意選択的にトートバッグに包装する工程と
を含む方法。
【請求項22】
前記添加剤は、
(a)少なくとも1種の酸化防止剤であって、任意選択的にソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の酸化防止剤;
(b)抗菌剤であって、任意選択的にBHT、BHA、安息香酸、アスコルビン酸又はそれらの組み合わせを含む抗菌剤;
(c)分散剤であって、任意選択的に不飽和酸若しくはポリアクリル酸のエステル又はそれらの組み合わせを含む分散剤;
(d)増粘剤又は粘度調整剤であって、任意選択的にグリセリンモノステアレート(GMS)、アルギネート、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせを含む増粘剤又は粘度調整剤;
(e)紫外線抑制剤であって、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム若しくは亜鉛のステアリン酸塩又はそれらの組み合わせを含む紫外線抑制剤;
(f)安定剤であって、任意選択的に熱安定剤であり、任意選択的にポリビニルアルコール(PVOH)、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの組み合わせを含む安定剤;
(g)乳化剤であって、任意選択的に脂肪酸及び脂肪アルコールのポリエチレンオキシド付加体又はポリソルベートを含む乳化剤;
(h)ブロッキング防止剤であって、任意選択的に無機鉱物顔料;珪藻土;タルク;アルミノケイ酸ナトリウム若しくはカリウム;アルミノケイ酸ナトリウム及びカリウムの鉱物混合物;又はシリカ、任意選択的に合成の非晶質シリカを含むブロッキング防止剤;
(i)粘度調整剤であって、任意選択的にエステルを含むか、又は任意選択的にグリセリン、トリメチルプロパノール(TMP)、ペンタエリスリトール及び/又はソルビトールを含む粘度調整剤;又は
(j)(a)~(i)の任意の組み合わせ
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー溶融物を製造する方法であって、図4に示される工程又は以下の工程:
(a)PHA粉末を溶融して、溶融押出物を生成する工程と;
(b)任意選択的に押出機を使用することによって、前記PHA溶融押出物をペレット化する工程と;
任意選択的に、(c)前記PHA押出物を包装する工程であって、任意選択的に、前記PHA押出物は、ペレット又は粉末として二次加工され、及び任意選択的にトートバッグ又は容器に包装される、工程と
を含む方法。
【請求項24】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物であって、
(a)PHAのコポリマーであって、
(i)約8%~24%の4-HB、及び
(ii)約92%~76%の3-HB
を含む、PHAのコポリマーと、
(b)約30℃を超える若しくは50℃を超える融点を有するか、又は約30℃~75℃の融点を有するか、又は約40℃~60℃の融点を有するエステルと
を含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物。
【請求項25】
前記PHAコポリマーは、約16%の4-HB及び約84%の3-HBを含む、請求項23に記載のPHA組成物。
【請求項26】
前記エステルは、飽和脂肪酸とポリヒドロキシアルコールとの反応生成物である、請求項23又は24に記載のPHA組成物。
【請求項27】
バリアコーティングとしての紙又は板紙ストックへの塗布のために配合又は構成される、請求項23~25のいずれか一項に記載のPHA組成物。
【請求項28】
核形成剤を更に含み、
任意選択的に、前記1種又は複数の核形成剤は、前記PHA組成物の体積の約0.01%~5%、又は約0.1%~4%、又は約0.5%~3%或いは前記PHA組成物の約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは約5体積%を占める、請求項23~26のいずれか一項に記載のPHA組成物。
【請求項29】
前記核形成剤は、P3-HBを含み、及び任意選択的に、前記P3-HBは、P3-HB粉末を含み、
任意選択的に、前記P3-HB又はP3-HB粉末は、前記PHA組成物の約0.05体積%~5体積%、若しくは約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは約5体積%を占める、請求項27に記載のPHA組成物。
【請求項30】
高融点エステルを更に含み、
任意選択的に、前記高融点エステルは、脂肪酸エステルを含み、及び
任意選択的に、前記高融点エステルは、微粉化高融点エステルを含み、及び任意選択的に、前期高融点は、約25℃~75℃であるか、又は約30℃を超えるか、若しくは約40℃を超えるか、若しくは約50℃を超えるか、若しくは約60℃を超えるか、或いは任意選択的に、前記エステルは、約50℃~80℃の融点を有する、請求項23~28のいずれか一項に記載のPHA組成物。
【請求項31】
水中の分散液として配合されるか又は水中の分散液にされ、任意選択的に発酵培養液から、又はPHAホモポリマー、任意選択的に精製PHAホモポリマーの微粉化後に分散液として配合されるか又は分散液にされ、及び任意選択的に、前記PHAホモポリマーは、P-3HB若しくはPHAコポリマー、又は1つ以上の、3-ヒドロキシブチレート(3HB)ホモポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシバレレート(3HV)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシヘキサノエート(3H)ポリマーのコポリマーと、前記高融点エステルとを含む、請求項23~29のいずれか一項に記載のPHA組成物。
【請求項32】
PHAのコポリマーの水ベース分散液を形成する方法であって、前記PHAのコポリマーを、前記PHAを生合成するための細胞発酵後にスラリー又は培養液として生成するか又は得ること、続いて細胞残屑及び/又は汚染物質を除去すること、任意選択的に細胞破壊及び/又は酵素的若しくは弱アルカリ水洗浄を含むプロセスによって細胞残屑を除去することを含む方法。
【請求項33】
請求項1~15のいずれか一項の組成物、又は請求項16~19のいずれか一項に記載の複合構造体若しくは製造品、又は請求項23~30のいずれか一項に記載のPHA組成物を含む、紙若しくはボール紙;セルロース繊維を含む包装材料、プラスチック、塗料、コーティング、インク、接着剤、デバイス及び/又は繊維を含む製造品。
【請求項34】
前記プラスチックは、
使い捨てプラスチック若しくは長寿命プラスチック又はプラスチック用途、
アクリル、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン又はハロゲン化プラスチック、
導電性プラスチックであって、任意選択的にポリアセチレンを含む導電性プラスチック、
熱可塑性樹脂であって、任意選択的にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及び/又はポリ塩化ビニル(PVC)を含む熱可塑性樹脂、
非晶性プラスチックであって、任意選択的にメチルメタクリレート(PMMA)を含む非晶性プラスチック、
結晶性プラスチックであって、任意選択的に高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む結晶性プラスチック、又は
それらの任意の組み合わせ
であるか又はそれを含む、請求項32に記載の製造品。
【請求項35】
前記繊維は、織り繊維又は不織繊維として使用又は二次加工され、及び任意選択的に、前記製造品は、おむつ、ティッシュペーパー、布又はコーティングを含み、及び任意選択的に、前記コーティングは、固体、可撓性又は半固体基材上に置かれるか又はその上で二次加工され、及び任意選択的に、前記固体、可撓性又は半固体基材は、紙又は板紙製品を含む、請求項32又は33に記載の製造品。
【請求項36】
前記デバイスは、医療デバイス、任意選択的に生体内使用のための医療デバイスであり、及び任意選択的に、前記医療デバイスは、インプラント、ピン、棒、細胞のための基材、人工臓器、縫合糸又はメッシュであり、及び任意選択的に、前記組成物又は前記複合構造体は、前記医療デバイス上のコーティングの役割を果たすか又はコーティングである、請求項32~34のいずれか一項に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許協力条約(PCT)国際出願は、2021年3月25日の米国仮特許出願第63/166,031号の、米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張する。前述の出願は、その全体において及びあらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に援用される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、概して、ポリマー及びその調合物に関する。他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む組成物及びそのような組成物を製造する方法並びに紙、板紙、ボール紙、セルロース繊維を含む包装材料のためのコーティングなどの製造品又はコーティング、インク及び接着剤などの他の製品におけるそれらの使用が提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、様々な天然微生物によって産生される炭素貯蔵ポリマーである。栄養素利用性の変化により、PHAを産生する微生物はPHAの産生を開始し、脂質壁嚢において有機体が細胞内に蓄積する。従って、PHAは、PHA消費微生物が存在する土壌、淡水及び海洋環境中で天然に産生され、生分解性である。従って、PHAは、家庭、庭園又は工業堆肥化複合施設などの幾つかの環境において堆肥化可能である。
【0004】
PHAは、熱下で処理される場合に半結晶性になり、熱可塑性樹脂又は樹脂として機能し得、従って世界のプラスチック、塗料、コーティング、インク、接着剤の多くのものに取って代わり、また縫合糸、メッシュなどの生体内使用のための医療デバイス及び胃壁などの臓器のパーツとしてそれらを有用なものにする。PHAは、無毒であり、安全である。CH、CO、水及び鉱物へのPHA材料の完全な分解は、家庭若しくは庭園用コンポスト装置、従来の工業用コンポスト装置又は嫌気性消化装置で達成され得る。
【0005】
異なるモノマーを結合させてPHAを形成して、異なる特性を有する材料を得ることができる。従って、PHAは、40~180℃の範囲の融点を有し得る。PHAの機械的特性及び生体適合性は、ブレンドするか、それらの表面を改質するか、又はPHAを他のポリマー、酵素及び無機材料と組み合わせることによって変えることができ、それは、広範囲の最終使用用途に使用することを可能にする。更に、プラスチックのような特性、優れた寿命末期特性及び生分解性の組み合わせは、使い捨てプラスチックとしての、同様に耐久性用途においての両方でPHAを有益なものにする。それらは、おむつにおける不織布、ティッシュペーパー及び布として使用するための繊維に紡糸することができ、紙及び板紙製品上のコーティングとして使用することができる。
【0006】
紙及び板紙製品上のコーティングは、紙繊維ベースの製品がリサイクル可能であり、ポリエチレン(PE)に取って代わるPHAバリアコーティングが持続可能な包装の候補となることができ、世界的に主要な廃棄物汚染源である使い捨てフードサービス包装をリサイクル又は堆肥化することによって循環型経済に寄与することができるため、特に関心が集まっている。多くの異なる化学がPEに経済的に取って代わることを試みてきたが、PHAポリマーコーティングは、(a)バリア性能を提供し、(b)改良を加えることで既存の設備で応用することが可能であり、及び(c)全ての環境(すなわち工業、カーブサイド、海洋)下でリサイクル可能性及び堆肥化可能性を最終製品に与えるという利点を有する。従って、水分、グリース及び油並びに酸素バリアを包装のための紙及び板紙に付与する、費用対効果が高いPHAベースのコーティング調合物を開発することは、関心が集まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PHAは、将来的なポリマー製造のための持続可能な解決策として想定される。PHAを炭水化物から製造するという以前の試みは、高い炭素原料コスト及び競合する石油系及び非生分解性ポリマーの低コストによって妨げられてきた。上記で議論された欠陥を克服するPHA組成物が望まれている。加えて、PHA生産及びPHAフィルム製造のための費用対効果が高い解決策も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
他の実施形態では、水性分散液を生成又は配合するための、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー又はコポリマー及び粘度調整剤並びに他の添加剤を含む製造品及び組成物であって、例えばバリア紙、セルロース繊維を含む包装材料として及び/又は板紙若しくはボール紙コーティングのために使用され得る製造品及び組成物が提供される。
【0009】
他の実施形態では、粘度調整剤は、エステルを含む。
【0010】
他の実施形態では、PHAポリマーは、3-ヒドロキシブチレート(3HB)ホモポリマー又は3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシバレレート(3HV)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシヘキサノエート(3H)ポリマーのコポリマーの1つ以上を含む。
【0011】
他の態様では、本明細書で提供されるPHA組成物は、8%~30%の4HB及び92%~70%の3HBを含むPHAのコポリマーと、30℃を超える、若しくは40℃を超える、若しくは50℃を超える融点を有するエステル又は約25℃~75℃の融点を有するエステルとを含む。
【0012】
他の実施形態では、組成物又は製造品は、少なくとも1種(又は1種若しくは2種又は幾つかの)核形成剤を更に含み、それは、ポリ3-ヒドロキシブチレート(P3-HB)又はP3-HB粉末を含み得、任意選択的に、P3-HB又はP3-HB粉末は、約0.05体積%~5体積%、若しくは約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは5体積%を占める。
【0013】
他の実施形態では、1種又は複数の核形成剤は、硫黄;エリスリトール;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;ステアレート;ソルビトール;マンニトール;ポリエステルワックス;セバケート;シトレート;アジピン酸、コハク酸及び/又はグルカル酸の脂肪エステル;ラクテート;アルキルジエステル;1種又は複数のシトレート;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;ナノ粘土などの1種又は複数の粘土;炭酸カルシウム又はタルク;カオリナイト;モンモリロナイト;ベントナイト;シリカ;キチン;二酸化チタン;マイカ;プロピレンカーボネート;カプロラクトンジオール;ポリ(エチレン)グリコール(PEG);植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド又はイソソルビド誘導体;並びにそれらの混合物の1つ、2つ又は幾つかを含む。
【0014】
他の実施形態では、1種又は複数の核形成剤は、混合物の体積の約0.01%~5%、若しくは約0.1%~4%、若しくは約0.5%~3%又は約0.05%~10%、若しくは約0.1%~3%、若しくは約0.1%~2体積%或いは約0.05体積若しくは重量%、約1体積若しくは重量%、約2体積若しくは重量%、約3体積若しくは重量%、約4体積若しくは重量%又は約5体積若しくは重量%を占める。
【0015】
他の実施形態では、1種又は複数の核形成剤は、任意選択的に約1,000~4,000g/モルの数平均分子量(MW)を有するプロピレンカーボネート若しくはカプロラクトンジオール又は約1,000~4,000g/モルの数平均MWを有するポリ(エチレン)グリコール、植物油の1種又は複数のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体或いはそれらの混合物を含む。
【0016】
他の実施形態では、本明細書で提供されるPHA組成物は、約8%~24%の4-HB(又は約6%~30%の4-HB若しくは約4%~40%の4-HB)及び約92%~76%の3-HB(又は約96%~60%の3-HB)を含むPHAのコポリマーと;約30℃を超える若しくは約50℃を超える又は約30℃~50℃若しくは約25℃~75℃の融点を有するエステルとを含み;及び任意選択的に、PHA組成物は、核形成剤を更に含み、任意選択的に、核形成剤は、P3-HB粉末である(又はそれを含む)。
【0017】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマーと粘度調整剤とを含む組成物が提供され;及び任意選択的に、粘度調整剤は、エステル(任意選択的に脂肪酸エステル)を含み、及び任意選択的に、粘度調整剤は、グリセリン、トリメチルプロパノール(TMP)、ペンタエリスリトール及び/又はソルビトールを含むか又は更に含む。
【0018】
本明細書で提供される組成物の他の実施形態では、
- エステルは、ポリヒドロキシアルコールの脂肪酸エステルを含み、及び任意選択的に、脂肪酸エステルは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸又はベヘン酸を含み;
- 脂肪酸エステルは、約50℃を超える又は約50℃~80℃の融点を有し;
- PHAポリマーは、PHAコポリマーを含み、及び任意選択的に、PHAポリマー又はPHAコポリマーは、3-ヒドロキシブチレート(3HB)ホモポリマー又は3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシバレレート(3HV)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)ポリマーのコポリマーの1つ以上を含み;
- PHAポリマー又はPHAコポリマーは、8%~30%の4HB及び92%~70%の3HBと、30℃を超える、若しくは40℃を超える、若しくは50℃を超える融点を有するエステル又は約25℃~75℃の融点を有するエステルとを含み;
- PHAポリマーは、3-ヒドロキシブチレート又は4-ヒドロキシブチレートの1つ以上を含み;
- PHAポリマー又は組成物は、約30秒未満、又は約10秒未満、又は約1秒(sec)未満の非粘着性コーティング時間を有し;
- 粘度調整剤は、最大で約15重量%又は約0.5重量%~20重量%若しくは約1重量%~15重量%の量で存在するか、或いは任意選択的に、粘度調整剤は、約5重量%~約15重量%、約7重量%~約13重量%又は約8重量%~約12重量%の量で存在し;
- 組成物は、核形成剤を更に含み、任意選択的に、1種又は複数の核形成剤は、PHA組成物の体積の約0.01%~5%、又は約0.1%~4%、又は約0.5%~3%或いはPHA組成物の約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは約5体積%を占め、及び任意選択的に、核形成剤は、硫黄;エリスリトール;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;ステアレート;ソルビトール;マンニトール;ポリエステルワックス;セバケート;シトレート;アジピン酸、コハク酸及び/又はグルカル酸の脂肪エステル;ラクテート;アルキルジエステル;1種又は複数のシトレート;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;1種若しくは複数の粘土又はナノ粘土;炭酸カルシウム又はタルク;カオリナイト;モンモリロナイト;ベントナイト;シリカ;キチン;二酸化チタン;マイカ;プロピレンカーボネート;カプロラクトンジオール;ポリ(エチレン)グリコール(PEG);植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド又はイソソルビド誘導体;並びにそれらの混合物の1つ、2つ又は幾つかを含み、及び任意選択的に、1種又は複数の核形成剤は、任意選択的に約1,000~4,000g/モルの数平均分子量(MW)を有するプロピレンカーボネート若しくはカプロラクトンジオール又は約1,000~4,000g/モルの数平均MWを有するポリ(エチレン)グリコール、植物油の1種又は複数のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体又はそれらの混合物を含み;
- 核形成剤は、ポリ3-ヒドロキシブチレート(P3-HB)を含み、及び任意選択的に、P3-HBは、P3-HB粉末若しくは粉末溶融物を含むか又はP3-HB粉末若しくは粉末溶融物として配合され、及び任意選択的に、核形成剤は、沈澱炭酸カルシウム、沈澱若しくはヒュームドシリカ、タルク、ベントナイト若しくはモンモリロナイト粘土、硫酸カルシウム及び/又は窒化ホウ素を含み、及び任意選択的に、P3-HB粉末のサイズは、約1000ミクロン未満、若しくは約100ミクロン未満、若しくは約40ミクロン未満又は約20ミクロン~1000ミクロンであり;及び/又は
- 組成物は、
(a)少なくとも1種の酸化防止剤であって、任意選択的にソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の酸化防止剤;
(b)抗菌剤であって、任意選択的にBHT、BHA、安息香酸、アスコルビン酸又はそれらの組み合わせを含む抗菌剤;
(c)分散剤であって、任意選択的に不飽和酸若しくはポリアクリル酸のエステル又はそれらの組み合わせを含む分散剤;
(d)増粘剤又は粘度調整剤であって、任意選択的にグリセリンモノステアレート(GMS)、アルギネート、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせを含む増粘剤又は粘度調整剤;
(e)紫外線抑制剤であって、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム若しくは亜鉛のステアリン酸塩又はそれらの組み合わせを含む紫外線抑制剤;
(f)安定剤、任意選択的に熱安定剤であって、任意選択的にポリビニルアルコール(PVOH)、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの組み合わせを含む安定剤、任意選択的に熱安定剤;
(g)乳化剤であって、任意選択的に脂肪酸及び脂肪アルコールのポリエチレンオキシド付加体又はポリソルベートを含む乳化剤;
(h)ブロッキング防止剤であって、任意選択的に無機鉱物顔料;珪藻土;タルク;アルミノケイ酸ナトリウム若しくはカリウム;アルミノケイ酸ナトリウム及びカリウムの鉱物混合物;又はシリカ、任意選択的に合成の非晶質シリカを含むブロッキング防止剤;又は
(i)(a)~(h)の任意の組み合わせ
を更に含む。
【0019】
他の実施形態では、本明細書で提供される組成物を含む複合構造体又は製造品が提供される。
【0020】
他の実施形態では、基材と、本明細書で提供される組成物を含むコーティングとを含む複合構造体又は製造品が提供される。
【0021】
他の実施形態又は複合構造体若しくは製造品では、
- 基材は、紙若しくは板紙ストック又はセルロース繊維を含む包装材料を含み;及び/又は
- コーティングは、約5ミリメートル(mm)又は約0.25~20mm、若しくは約0.5~20mm、若しくは約1~10mmの厚さを有する。
【0022】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー粉末を製造する方法であって、図1に示される工程又は以下の工程:
(a)基質、PHAを産生する微生物(任意選択的にメタン質化性微生物)、微量栄養素及び酸素を培養容器若しくは発酵反応容器又は均等物に添加する工程と;
(b)微生物を培養容器若しくは発酵反応容器又は均等物中で培養する工程と;
(c)PHAを培養微生物から分離する工程であって、任意選択的に、分離は、濾過又は遠心分離を含む、工程と;
(d)任意選択的に精製水又は蒸留水を使用して、PHAを水中に懸濁する工程と;
(e)PHA懸濁液を遠心分離して及び/又は濾過して、いかなる残存する非PHA残屑も微生物から除去して精製PHAを生成する工程と;
(f)精製PHAを噴霧乾燥させて、PHA粉末を生成する工程と
を含む方法が提供される。
【0023】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物又は分散液を製造する方法であって、図2及び図3に示される工程又は以下の工程:
(a)PHAペレット又は粉末をポリマージェットマイクロナイザーに投入又は注入し、それにより微粉化PHA粉末を製造する工程と;
(b)微粉化PHA粉末を、任意選択的に少なくとも1種の添加剤及び水と一緒に反応容器に添加して、PHA水溶液又はPHA懸濁液を生成する工程であって、任意選択的に、水は、水溶液又はPHA懸濁液の体積の約50%~60%を占め、及び
任意選択的に、少なくとも1種の添加剤は、核形成剤又は可塑剤を含む、工程と;
(c)PHA水溶液若しくは水ベース溶液又はPHA懸濁液を高剪断ミキサーに添加して、PHA分散液を生成する工程と、
任意選択的に、(d)PHA水性分散液又は水ベース分散液を任意選択的にトートバッグに包装する工程と
を含む方法が提供される。
【0024】
本明細書で提供される方法の他の実施形態では、添加剤は、
(a)少なくとも1種の酸化防止剤であって、任意選択的にソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の酸化防止剤;
(b)抗菌剤であって、任意選択的にBHT、BHA、安息香酸、アスコルビン酸又はそれらの組み合わせを含む抗菌剤;
(c)分散剤であって、任意選択的に不飽和酸若しくはポリアクリル酸のエステル又はそれらの組み合わせを含む分散剤;
(d)増粘剤又は粘度調整剤であって、任意選択的にグリセリンモノステアレート(GMS)、アルギネート、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせを含む増粘剤又は粘度調整剤;
(e)紫外線抑制剤であって、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム若しくは亜鉛のステアリン酸塩又はそれらの組み合わせを含む紫外線抑制剤;
(f)安定剤、任意選択的に熱安定剤であって、任意選択的にポリビニルアルコール(PVOH)、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの組み合わせを含む安定剤、任意選択的に熱安定剤;
(g)乳化剤であって、任意選択的に脂肪酸及び脂肪アルコールのポリエチレンオキシド付加体又はポリソルベートを含む乳化剤;
(h)ブロッキング防止剤であって、任意選択的に無機鉱物顔料;珪藻土;タルク;アルミノケイ酸ナトリウム若しくはカリウム;アルミノケイ酸ナトリウム及びカリウムの鉱物混合物;又はシリカ、任意選択的に合成の非晶質シリカを含むブロッキング防止剤;
(i)粘度調整剤であって、任意選択的にエステルを含むか、又は任意選択的にグリセリン、トリメチルプロパノール(TMP)、ペンタエリスリトール及び/又はソルビトールを含む粘度調整剤;又は
(j)(a)~(i)の任意の組み合わせ
を含む。
【0025】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー溶融物を製造する方法であって、図4に示される工程又は以下の工程:
(a)PHA粉末を溶融して、溶融押出物を生成する工程と;
(b)任意選択的に押出機を使用することによって、PHA溶融押出物をペレット化する工程と;
任意選択的に、(c)PHA押出物を包装する工程であって、任意選択的に、PHA押出物は、ペレット又は粉末として二次加工され、及び任意選択的にトートバッグ又は容器に包装される、工程と
を含む方法が提供される。
【0026】
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物であって、
(a)PHAのコポリマーであって、
(i)約8%~24%の4-HB、及び
(ii)約92%~76%の3-HB
を含む、PHAのコポリマーと、
(b)約30℃を超える若しくは50℃を超える融点を有するか、又は約30℃~75℃の融点を有するか、又は約40℃~60℃の融点を有するエステルと
を含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)組成物が提供される。
【0027】
本明細書で提供されるPHA組成物の他の実施形態では、
- PHAコポリマーは、約16%の4-HB及び約84%の3-HBkを含み;
- エステルは、飽和脂肪酸とポリヒドロキシアルコールとの反応生成物であり;
- PHA組成物は、バリアコーティングとしての紙、ボール紙若しくは板紙ストック又は樹脂若しくはプラスチックへの塗布のために配合又は構成され;
- PHA組成物は、核形成剤を更に含み、任意選択的に、1種又は複数の核形成剤は、PHA組成物の体積の約0.01%~5%、又は約0.1%~4%、又は約0.5%~3%或いはPHA組成物の約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%又は約5体積%を占め、及び任意選択的に、核形成剤は、P3-HBを含み、及び任意選択的に、P3-HBは、P3-HB粉末を含み、
任意選択的に、P3-HB又はP3-HB粉末は、PHA組成物の約0.05体積%~5体積%、若しくは約0.05体積%~10体積%、若しくは約0.1体積%~3体積%、若しくは約0.1体積%~2体積%又は約0.05体積%、約1体積%、約2体積%、約3体積%、約4体積%若しくは約5体積%を占め;
- PHA組成物は、高融点エステルを更に含み、任意選択的に、高融点エステルは、脂肪酸エステルを含み、及び任意選択的に、高融点エステルは、微粉化高融点エステルを含み、及び任意選択的に、高融点は、約25℃~75℃であるか、又は約30℃を超えるか、若しくは約40℃を超えるか、若しくは約50℃を超えるか、若しくは約60℃を超えるか、或いは任意選択的に、エステルは、約50℃~80℃の融点を有し;及び/又は
- PHA組成物は、水中の分散液として配合されるか又は分散液にされ、任意選択的に発酵培養液から又はPHAホモポリマー、任意選択的に精製PHAホモポリマーの微粉化後に分散液として配合されるか又は分散液にされ、及び任意選択的に、PHAホモポリマーは、P-3HB若しくはPHAコポリマー、又は、1つ以上の、3-ヒドロキシブチレート(3HB)ホモポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシバレレート(3HV)のコポリマー、若しくは3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び3-ヒドロキシヘキサノエート(3H)ポリマーのコポリマーと、高融点エステルとを含む。
【0028】
他の実施形態では、PHAのコポリマーの水ベース分散液を形成する方法であって、PHAのコポリマーを、PHAを生合成するための細胞発酵後にスラリー又は培養液として生成するか又は得ること、続いて細胞残屑及び/又は汚染物質を除去すること、任意選択的に細胞破壊及び/又は酵素的若しくは弱アルカリ水洗浄を含むプロセスによって細胞残屑を除去することを含む方法が提供される。
【0029】
他の実施形態では、本明細書において提供若しくは記載される組成物、又は本明細書において提供若しくは記載される複合構造体若しくは製造品、又は本明細書において提供若しくは記載されるPHA組成物を含む紙若しくはボール紙;セルロース繊維を含む包装材料、プラスチック、塗料、コーティング、インク、接着剤、デバイス及び/又は繊維を含む製造品が提供される。
【0030】
本明細書で提供される製造品の他の実施形態では、プラスチックは、使い捨てプラスチック若しくは長寿命プラスチック用途、アクリル、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン若しくはハロゲン化プラスチック、導電性プラスチックであって、任意選択的にポリアセチレンを含む導電性プラスチック、熱可塑性樹脂であって、任意選択的にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及び/又はポリ塩化ビニル(PVC)を含む熱可塑性樹脂、非晶性プラスチックであって、任意選択的にメチルメタクリレート(PMMA)を含む非晶性プラスチック、結晶性プラスチックであって、任意選択的に高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む結晶性プラスチック又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれを含む。
【0031】
本明細書で提供される製造品の他の実施形態では、繊維は、織り繊維又は不織繊維として使用又は二次加工され、及び任意選択的に、製造品は、おむつ、ティッシュペーパー、布又はコーティングを含み、及び任意選択的に、コーティングは、固体、可撓性又は半固体基材上に置かれるか又はその上で二次加工され、及び任意選択的に、固体、可撓性又は半固体基材は、紙又は板紙製品を含む。
【0032】
本明細書で提供される製造品の他の実施形態では、デバイスは、医療デバイス、任意選択的に生体内使用のための医療デバイスであり、及び任意選択的に、医療デバイスは、インプラント、ピン、棒、細胞のための基材、人工臓器、縫合糸又はメッシュであり、及び任意選択的に、組成物又は複合構造体は、医療デバイス上のコーティングの役割を果たすか又はコーティングである。
【0033】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明において示される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、本説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0034】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面の説明
図1】PHAを生合成するための微生物の発酵(発酵培養に注入又は添加される微量栄養素及び酸素の使用を含む);続いて微生物及び培地からのPHAの分離;続いて水又は水性緩衝液へのPHAの懸濁;続いて例えば遠心分離及び/又は濾過によるPHAの単離及び/又は精製;続いてPHA粉末を生成するためのPHAの噴霧乾燥を含む、本明細書で提供される例示的なPHA生産プロセスの概略図である。
図2】PHAペレット又は粉末から出発するPHA分散プロセスを例示する、本明細書で提供される例示的なプロセスであって、PHAペレット及び/又は粉末がポリマージェットマイクロナイザーなどのマイクロナイザーに添加され、生成した微粉化PHA粉末が約50%~60%のPHAでの水中のPHA懸濁液として1種又は複数の添加剤と混合され、次いでそれが例えば高剪断ミキサーで混合されてPHA分散液をもたらし、この生成物が、以下で更に詳細に記載される「トートバッグ」などの容器に包装され得る、例示的なプロセスの概略フローチャートである。
図3】例えば、図1Cに記載される発酵培養液から出発する、PHA分散液(この分散液は、約50%~60%のPHAでの水中のPHA懸濁液を含む)を形成するための、本明細書で提供される例示的なプロセスであって、次いで高剪断混合のような混合にかけられ、これがPHA分散液を生成し、この生成物が、以下で更に詳細に記載される「トートバッグ」などの容器に包装され得る、例示的なプロセスの概略図である。
図4】(例えば、図1に記載される)PHAペレット又は粉末を調製し、それに1種又は複数の添加剤が添加されて、溶融押出、次いでペレット化にかけられる生成物を生成することを含む、本明細書で提供される例示的なプロセスであって、PHAペレットが容器又は紙袋などのバッグに包装され得、この生成物が、以下で更に詳細に記載される、紙若しくは板紙上への又は肥料のための表面コーティングを積層する溶融物として使用され得る、例示的なプロセスの概略図である。
図5】固体添加剤を水中のPHA懸濁液(図1Cを参照されたい)に添加し、次いでこの混合物を高剪断ミキサーなどのミキサー又は均等物にかけ、次いで例えば遠心分離機で水を除去し、次いで噴霧乾燥してPHA粉末を生成することを含み、PHA粉末に1種又は複数の液体添加剤が添加され、溶融押出物がPHAペレットを製造するために生成され、PHAペレットが、例えば以下で更に詳細に記載される溶融コーティング及び/又は積層のために、紙袋などのバッグ又は他の容器に包装され得る、本明細書で提供される例示的なプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で示される図面は、本明細書で提供される例示的な実施形態を反映したものであり、特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0037】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【0038】
詳細な説明
他の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマーを含む製造品及びキットなどの組成物が提供される。他の実施形態では、PHAポリマーは、1種以上のPHAモノマーを含む。例えば、他の実施形態では、PHAポリマーは、a)3-ヒドロキシブチレート、b)4-ヒドロキシブチレート、c)3-ヒドロキシバレレート、d)3-ヒドロキシヘキサノエート、e)3-ヒドロキシペンタノエート、f)3-ヒドロキシオクタノエート、g)3-ヒドロキシデカノエート、h)3-ヒドロキシノネノエート、又はi)3-ヒドロキシウンデカノエートの1つ以上を含む。
【0039】
例示的な実施形態では、本明細書で提供されるPHAコポリマーは、3-ヒドロキシブチレート(3HB)及び4-ヒドロキシブチレート(4HB)を約20:1(95%/5%)~1:1(50%/50%)の範囲の比で含む。例えば、3HB及び4HBは、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1及び1:1を含む3HB:4HBの比で存在し得る。6:1(84%/16%)~3:1(75%/25%)の3HB:4HBの比が試験され、本明細書で記載される組成物での使用に好適であることが分かった。加えて、3-ヒドロキシブチレート及び上述のコモノマーのいずれかを含むPHAコポリマーは、本明細書で記載される組成物での使用に好適である。
【0040】
当業者は、本明細書で記載されるものと類似のモルフォロジを有するPHAモノマーが、本明細書で記載される組成物又は製造品での使用に好適であることを理解するであろう。他の実施形態では、類似のモルフォロジを有する例示的なモノマーは、嵩高いモノマー側鎖のために同じコモノマー比で約1%~15%又は約0.5%~20%だけ、示差走査熱量測定法(DSC)を用いる標準方法によって測定されるように結晶化度を下げる特性を有するものを含む。
【0041】
他の実施形態では、本明細書で提供される組成物に使用されるPHAコポリマー及びそれらを製造する方法並びに本明細書で提供される方法に使用されるPHAコポリマーは、約20,000~1,000,000、又は約50,000~900,000、又は約80,000~650,000、又は約120,000~400,000の、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される数平均分子量(M)(MW)を有する。
【0042】
例示的なPHAコポリマー(例えば、本明細書で提供される組成物に使用されるPHAコポリマー又は本明細書で提供される方法に使用されるPHAコポリマー)の多分散性は、約1.6~2.8、約1.7~2.5、又は約1.8~2.4、又は約1.4~2.8の範囲であり得る。
【0043】
他の実施形態では、本明細書で提供されるPHA組成物は、それらを、環境に有害なプラスチック、塗料、コーティング、インク及び接着剤の代替品として有用なものにする特性及び特徴を有する。例示的な使用は、使い捨てプラスチック若しくはより長寿命のプラスチック用途などのプラスチック又はおむつ、ティッシュペーパー、布におけるものなどの不織材料での使用のための繊維のためのコーティングに若しくはコーティングとしての、また紙、ボール紙、板紙製品及びセルロース繊維を含む包装材料上のコーティングを含む。組成物の処方は、所望の最終用途に応じて変わるか又は調整され得る。
【0044】
他の実施形態では、異なる機械的、熱的及び他の最終用途特性を与えるために、PHAモノマーの異なる組み合わせが使用される。他の実施形態では、設計され、及び変えられるポリマー特性は、粘度、メルトフロー、結晶化度、ポリマーのフィルム形成及び分散特性を含む。例示的な実施形態では、コーティング用途での使用のためのPHAコポリマーは、ブルックフィールドコーンプレート型粘度計によって測定されて約40ポアズ(パスカル)秒(Pa秒又はPa s)よりも低いなど、より低いメルトフロー粘度を有することが望ましい場合があり、特徴のこの組み合わせのようなあまり硬くないフィルムは、例えば、食品を保持するために、転換又は使用中に可撓性であり、及び典型的には曲げられる紙ストックのためのより良好なバリアコーティングを提供し得る。
【0045】
PHAは、パラバークホルデリア・フンゴラム(Paraburkholderia fungorum)DSM 1749、又は炭水化物基質上で成長するアゾトバクター・ヴィネランディ(Azotobacter vinelandii)、又は脂肪酸若しくは炭水化物基質上のカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM 545、又はメタン上で成長するメチロシスティス・パルバス(Methylosistis parvus)OBBPなどの細菌によって産生され得る。これらの微生物の多くは、1980年代以降、PHAを工業規模で生産するために培養されてきた。
【0046】
本明細書で提供される組成物及び方法に使用されるPHAを製造するために用いられる例示的な(工業的)PHA生産プロセスは、それに微生物(例えば、細菌培養物)が添加され、次いで炭水化物、脂肪酸、栄養素などの基質(例えば、微量栄養素)及び酸素が供給される発酵槽又は均等物の使用を含む。細胞(微生物)増殖が起こった後、栄養素のタイプ及び量は、微生物(microbe)(微生物(microorganism))がPHAを産生及び蓄積するために調整される。他の実施形態では、微生物は、それらの細胞重量の約80%を超える細胞重量をPHAとして蓄積する。発酵の終点は、オンラインで監視することができるPHA蓄積速度によって決定される。発酵の終わりに、微生物は、溶解され、例えば、発酵培養液は、微生物を溶解させるために高温にかけられ;その後、例えば濾過及び/又は遠心分離を用いる総水減少が続く。次いで、PHAは、例えば、細胞分離及び/又は抽出プロセスを用いて取り出される。他の実施形態では、商業的に実行される分離プロセスの3つの主なタイプ:溶媒ベース、アルカリ水ベース及び/又は酵素的の任意の1つ又は組み合わせを用いることができる。(動物の飼料として使用することができる)細胞残屑の除去後、スラリーが生成され、スラリーは、水とPHA顆粒(50ナノメートル~数ミクロン)とを含有し、それは、次いで、過剰の水を除去するために濾過及び/又は遠心分離又は均等物に更にかけられ;その後、PHA粉末を得るための噴霧乾燥又は均等物が続く。図1は、本明細書で提供される例示的なPHA生産プロセスの概略図である。
【0047】
上記のPHAコポリマーに加えて、他の実施形態では、本明細書で提供されるPHA組成物は、粘度調整剤を更に含む。粘度調整剤は、エステルを含み得る。例えば、エステルは、脂肪酸とポリヒドロキシアルコールとの生成物であり得る。例示的な脂肪酸エステルは、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)又はベヘン酸(C22)を含む。例示的な脂肪酸エステルは、約40℃を超える、又は50℃を超える、又は60℃を超える融点を有し得る。
【0048】
ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステルは、試験され、例示的なPHA組成物の粘度を低下させることが分かった。脂肪酸エステルの幾つかは、組成物によって形成されたフィルムを他のものよりも悪く弱めた。好適なポリヒドロキシアルコール化合物は、グリセリン、トリメチルプロパノール(TMP)、ペンタエリスリトール、ソルビトール又はそれらの混合物の1つ以上を含み得る。
【0049】
更に、試験において、不飽和脂肪酸エステルは、約10%未満、任意選択的に約0.5~10.0%、又は約2%~8%、又は約5.0%~12.0%の範囲の比較的低い濃度で例示的なPHA組成物から形成されたフィルムの外観及び表面特性を有意に変化させなかった。しかしながら、10%を超える、又は10%~20%の範囲、又は40%以上のより高い濃度では、フィルム強度の弱化、光が通過することを妨げるフィルムの曇り及びエステルとPHAコポリマーとの非相溶性などの望ましくない影響がフィルムに見られる。
【0050】
有利には、ある種の飽和脂肪酸ポリヒドロキシエステルは、更に15重量%までPHAコポリマーと良好に混合する。他の実施形態では、約10%の範囲で存在するエステルを有するPHA組成物を含むフィルムは、粘度の低下、基材中へのより良好な浸透、より速い不粘着時間など、機械塗布コーティングに関して改善された特性を有し、耐水性及び耐油性を維持し、それらは、紙、ボール紙又は板紙基材及びセルロース繊維を含む包装材料への塗布にとって有用である。
【0051】
加えて、PHA組成物を使用して製造されたコーティングフィルムの実施形態は、約5~200ミクロン、約10~100ミクロン又は約20~50ミクロンの範囲の、コーティングされた基材にとって有用な乾燥フィルム厚さにおいて油及び水持ち(hold out)を有する。他の実施形態では、望ましい水、油及びグリースバリア性を得るために、紙、ボール紙、板紙及び/又はセルロース繊維を含む包装材料上に2つ以上のコーティン層を塗布して、適切なフィルム厚さを達成できることが必要とされる。従って、上記で列挙されたフィルム厚さ範囲は、全コーティングフィルム厚さを表す。そのような厚さは、約1、2、3、4又は5g/m及び最大で約350、400、440若しくは500g/mのコーティング重量又は約10~350g/m若しくは約20~320g/mに対応する。有利には、例示的なコポリマーを用いた下方コーティング厚さは、純PHAポリマーコーティングで問題であるコーティングの表面完全性を壊すことなく、コーティングされた紙、ボール紙又はセルロース繊維を含む包装材料のより高い曲げ角を可能にする。
【0052】
例示的なPHAコポリマーの粘度は、10回転/分(rpm)で#4スピンドルを用いるブルックフィールドコーンプレート型回転粘度計(Cap 2000+)を用いて測定された。これは、パルプ製紙業界技術協会(TAPPI)標準T 648(「Viscosity of coating clay slurry」)におけるように、配合コーティングの単一値低剪断粘度を測定するために製紙業で一般に用いられる測定である。この粘度測定は、紙コーティングを配合するためのみならず、塗布機及び積層機で処理されるそれらの能力を決定するためにも用いられる。コーティングフィルムのためにPHAコポリマーを用いた測定の結果は、表1に示される。いかなる添加剤もない純PHAコポリマーは、200℃で65.9ポアズ(パスカル秒、Pa s)の粘度値を示したが、粘度値がセットされた粘度計条件で測定するには高すぎたため、より低い温度で試験された場合、測定結果は、粘度計のダイアルのスケールの範囲を超えた。PHAコポリマーが10%のエステルと組み合わされた場合、同じスピンドル及び回転速度(rpm)を用いて測定された粘度は、表1の粘度値に示されるように意外にもより低かった。
【0053】
【表1】
【0054】
予期されたメルトフロー改善と共に、粘度低下に加えて、PHA組成物の例示的な実施形態で形成された完全に固化した(結晶化した)フィルムの可撓性も改善される。フィルムが100%のPHAコポリマーを使用して調製される場合、完全に固化した(結晶化した)バージョンは、フィルムの破壊が起こる前に約15°の角度で曲げることができるにすぎなかった。この結果は、5mmを超えるフィルム厚さで観察される。
【0055】
より低い厚さでは、曲げ角は、増加する。しかしながら、5ミルの同じ厚さ及び10%のエステルありの90%のPHAコポリマーのコーティングを使用すると、曲げ角は、90°を超える曲げ角まで増加する。これは、望ましい最終用途特徴である可撓性を包装に提供する驚くべき影響である。
【0056】
他の実施形態では、1mm~5mm又はそれを超える(例えば、約10、14若しくは20以上mmまで)フィルム厚さは、コーティングから十分なバリア性を得るために使用される。従って、ポリマーフィルムの可撓性は、とりわけより高い厚さがバリア性のために必要とされる場合、非常に重要である。短期の水又は液体持ちを要求するにすぎないコーティングの状況では、5mm未満(例えば、0.5、1、2、3、4mm)の厚さが許容され得る。水分又は酸素に対するより長期のバリアが必要とされる場合、5mmを超える厚さを有するコーティングが必要とされ得る。
【0057】
加えて、本明細書で提供される飽和脂肪酸エステルを有するPHA組成物は、有利には、PHA組成物を含むフィルムで基材をコーティングするための製造時間及びコストを低減することができる。製造時間及びコストは、PHA組成物を含むフィルムの固化時間を短縮することによって改善される。追加の実験室試験は、次いで、PHAポリマー溶融物を形成するために使用される、PHAコポリマーへの飽和脂肪酸エステルの添加は、PHAポリマー溶融物に、それが基材上にコーティングされ、連続フィルムが形成された場合に意外な利益を提供することを示した。溶融物を分解させることなく溶融粘度を低下させることに加えて、この添加剤は、フィルム表面の比較的迅速な固化を誘導し、それは、望ましい特徴である不粘着性になることを可能にする。これは、基材が更なる処理のために迅速に巻き取られる機械でコーティングを塗布する場合に必要である。別の表面との接触(例えば、抄紙機上で起こるもの)の時点では、コーティングは、依然として粘着性(非結晶性)状態であり、その結果、それは、ラミネートを形成するその表面に付着するであろう。コポリマーは、それらをコーティングよりも積層により好適なものにする、ゆっくり結晶化するこれらの特性を有するように思われるが、ほとんどの紙は、バリアとしての表面コーティングを必要とする。この場合、近代的な紙コーティング機は、経済的理由のために非常に速い速度で動くため、非粘着性表面は、数秒以内に必要とされる。PHAの純ホモポリマーは、非常に速く結晶化し、高い融点を有する。コポリマーは、より低い融点を有するが、熱が除かれると、完全に結晶化するために時間を要する。生じるものは、時間と共に非粘着性になる粘着性表面を有するコーティングである。
【0058】
ポリマー材料は、結晶化なしの固体として存在することができる。幾つかの場合、結晶化は、非常に長い時間にわたって起こり得る。一般に、分子量が高いほど、結晶化がよりゆっくり起こり得るが、それは、結晶化度又は結晶化の容易さにも依存する。結晶化する領域がポリマー中に多くある場合、それは、より迅速に結晶化するであろう。例えば、熱の除去後、様々なコポリマーの結晶化は、約1分~約120分(min)内に起こり得、他の実施形態では、本明細書で提供される方法についての結晶化時間は、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分及びそれを超える期間、例えば最大で数日、例えば1、2、3、4、5又は6日である。
【0059】
加熱時のポリマーのガラス状態からゴム様状態への転移及び冷却時のその逆は、ガラス転移温度、すなわちTと呼ばれる固有のポリマー特性である。Tは、硬度及び弾性などの物理的フィルム特性の変化の領域を示すポリマー挙動の重要な特徴である。Tは、硬度、破断伸び及びヤング率などのポリマーフィルム特性を決定し、従ってポリマーを特徴付ける。
【0060】
本明細書で提供されるPHA組成物に関して、特有の転移は、ポリマーのガラス相と変性ポリマーの溶融温度との間で起こる。従来の半結晶性ポリマーの挙動に類似した増加したレベルの結晶化度及びその進化が起こる。理論に制約されることなく又は作用のいかなる特定のメカニズムによっても限定されることなく、PHA組成物の粘度調整剤中の疎水性長鎖脂肪酸エステル分子は、セルロース紙表面及びPHA分子などの親水性存在物から遠ざけられ、そのため、非粘着性フィルムへの粘着性溶融物のその後の迅速な転移でフィルム形成を加速すると考えられる。比較的迅速な結晶化の特徴は、PHA組成物でコーティングされた紙、ボール紙又は板紙基材が、基材上のPHA組成物フィルムの迅速な固化なしに可能であろうよりも早く巻き取られることを可能にする。対照的に、純粋な未変性PHAコポリマーを含むフィルムは、よりゆっくりと固化し、基材表面上で非粘着性状態に達するのに12時間を超える時間を要する。比較的速い固化(結晶化)の特性は、有益には、処理時間を短縮し、PHA組成物でコーティングされた紙、ボール紙及び板紙ストックの処理をより容易に、より速く、従ってコストがより少ないものにする。
【0061】
これまで、PHAフィルムのアニーリングが可撓性を改善するために用いられてきた。しかしながら、上で記載されたように、コポリマー単独(添加剤なし)は、より近代的な紙又は板紙製造施設において時間因子が法外であるような遅い速度で結晶化する。このように、加熱及び冷却アニーリングプロセスは、エネルギー及び時間の両方でコストがかかりすぎる。
【0062】
粘度調整剤を含む、本明細書で提供されるPHA組成物に加えて、PHA組成物は、核形成剤を更に含み得る。当業者は、迅速な核形成が、完全に結晶化したときにより多い可撓性を可能にするより小さい結晶構造体を形成することを理解するであろう。更に、試験において、核形成剤を含まないPHA組成物は、固化後に完全に結晶化するために約18時間を要する。核形成剤は、PHAコポリマー内において、大きい球状の結晶とは対照的により小さい結晶構造体又は微結晶の形成を促進し、それは、核形成剤を含むPHA組成物で形成されたフィルムに追加の可撓性を与え得る。例示的な核形成剤は、限定なしに、沈澱炭酸カルシウム、沈澱若しくはヒュームドシリカ、タルク、ベントナイト又はモンモリロナイト粘土、硫酸カルシウム及び窒化ホウ素を含む。
【0063】
興味深いことに、P3-HB(ポリ-3-ヒドロキシブチレート)などの高結晶性PHAは、PHA組成物が分散液の形態である場合に核形成剤としてPHA組成物中に使用できることが確定された。(例えば、任意選択的に約1000ミクロン未満、若しくは約100ミクロン未満、若しくは約40ミクロン又は約20ミクロン~1000ミクロンの量で添加される)粉末形態のP3-HBの添加は、より多くのPHAポリマーがPHA組成物に添加されることを可能にすることが分かった。例えば、更なる処理のためにコーティングを迅速に結晶化させるために、コーティング後及びコーティングが依然として溶融ステージにある間に0.005%~1%のPHAポリマーを表面上に添加することができた。加えて、より実質的な量(1%超え及び最大で50%)をコポリマーに添加し、コーティング前に溶解させることができた。これは、堆肥化可能性及び/又は生分解性の寿命終了特性を依然として保存しながら、コポリマー対ポリマー比のより多い変動を可能にする。
【0064】
他の実施形態では、高結晶性P3HBは、ポリマー溶融物の形態でPHA組成物中の核形成剤として添加される。しかしながら、溶融物において、完全に結晶性のPHA(P3HB)は、結晶性がより少ないコポリマーに比較的迅速に溶解した。対照的に、完全に結晶化したP3HBが室温で分散液に添加され、分散液が粒子を合体させるためにごく短時間加熱された分散液では、純P3HBは、その結晶性状態を維持し、良好な核形成剤として機能した。
【0065】
PHA組成物は、分散液の形態で製造することができる。分散液の形態のPHA組成物(本明細書では以下PHA分散液)は、図2に示されるプロセスに従って製造され得る。PHA分散液を製造するこの方法では、出発原料は、PHAペレット又はPHA粉末である。ペレット又は粉末は、例えば、ジェットマイクロナイザーを用いて、約50~500ナノメートルの小さい粒子に微粉化することができる。微粉化PHA材料は、水と一緒にスラリータンクに添加することができる。上記で議論されたものなどの添加剤を微粉化PHA前にスラリータンクに添加することができ、全体混合物を高剪断条件下でかき混ぜて微粉化PHA粉末を分散液に分散させることができる。図2は、PHAペレット又は粉末から出発するPHA分散プロセスを例示する概略フローチャートである。
【0066】
図2は、固体PHAからコーティングのためのPHA分散液を製造する例示的な方法を例示する。
【0067】
PHA分散液を製造する別のアプローチは、図1に示されるPHA生産プロセスからのPHAコポリマーの発酵培養液から出発することである。培養液が全ての有機/細胞物質を取り除かれた後、コポリマー粒子は、サブミクロン状態で残る。飽和脂肪酸ポリヒドロキシエステル及びP3HB粒子を発酵培養液に添加し、適切にかき混ぜてPHA分散液をもたらすことができる。このプロセスは、図1の発酵培養液から出発するPHA分散液の形成プロセスの概略図である図3に示される。この方法は、PHAポリマーのより少ない取り扱いなどの幾つかの望ましい結果を提供し、それによりPHA分散液を製造する全体コストを低減する。加えて、本プロセスは、分散液中のより小さいポリマー粒径をもたらし、PHA粒子は、完全に非晶性である。従って、1つの熱サイクルを既に通過し、従ってその中にいくらかの結晶化度を有する固体PHAから製造されるPHA分散液と比較して、粒子及び他の添加剤、とりわけ核形成剤は、より迅速に合体し、基材(紙又はボール紙など)上に一様なフィルムを形成することができる。より小さいポリマー粒径を考えると、他の原料又は添加剤の混合物への分散は、合体中の粒子の流れに起こる微視的乱流のためにより容易である。
【0068】
他の実施形態では、本明細書で提供されるポリマーを含むPHAの分散液は、水性紙(又は任意のセルロース繊維を含む包装材料)バリアコーティング用途に使用される。水性ポリマー分散液は、ポリマー溶融物から形成された押出フィルムを上回る利点を提供する。水性ポリマー分散液は、押出を用いた溶融ポリマー積層プロセスに比べて比較的薄いポリマーのコーティングが基材上に塗布されることを可能にする。水は、ポリマーのための優れた分散媒として機能し、ポリマー溶融物自体に比べて分散液の低下した粘度を可能にする。加えて、水性分散液は、ポリマーの比較的より低い濃度を有し、より薄い、よりむらのないコーティングがより速いコーティング/機械速度で塗布されることを可能にする。従って、コーティングプロセスの経済性を改善する。
【0069】
本明細書で提供される水性PHA分散液は、既存の紙コーティング設備又は印刷機設備を用いて塗布することができる。有利には、水性PHA分散液コーティングは、水分、ガス並びに油及びグリースバリア性を紙、ボール紙又は板紙に提供する。更に、セルロース繊維から製造され、及びPHAでコーティングされた包装材料は、リサイクルすることができ、土壌、淡水又は海洋環境中で生分解性である。
【0070】
従って、他の実施形態では、本明細書で提供されるPHA分散液からのPHAでコーティングされた紙、ボール紙又は板紙包装は、有利には、バリア性を有し、環境上有益であり、それは、熱い飲料及び清涼飲料紙コップ、プレート、持ち帰りクラムシェル、ボウル、紙ラップ等などの使い捨てフードサービス包装商品にとって特に重要である。化石ベースのプラスチックコーティングでコーティングされた繊維ベースの基材は、容易にリサイクルできず、実用的に妥当な期間内で堆肥化できない。従って、化石ベースのプラスチックコーティングは、繊維ベースの材料の低下したリサイクル性及びそれらの堆肥化の欠如の主な理由である。対照的に、本明細書で提供されるPHAでコーティングされた繊維ベースの材料の組み合わせは、プラスチック汚染の低減及びリサイクルの増加の主要な要因であり得る。
【0071】
関連する用途に好適である分子量及び結晶化度のレベル又は結晶相対非晶相の比を有するPHAの選択は、コーティングとして使用するためのPHAポリマー分散液を製造するときに重要である。加えて、ポリマー分散液の粘度は、基材コーティングプロセス中に既存の設備で処理するために考慮されるべきである。他の実施形態では、PHA分散液粘度は、約数センチポアズ(cps=ポアズの1/1000又はmPas)~数百センチポアズであり得る。粘度目標は、選択される紙コーティング塗布方法に依存する。
【0072】
他の実施形態では、当技術分野で公知の任意のプロトコル又はプロセスを含み得る、ポリマー分散液を製造する方法が提供される。他の実施形態では、塩基で更に中和することができるカルボン酸末端などの活性末端基に依存する方法は、本明細書で提供されるプロセスで用いられる。単独のPHAは、表面官能性をほとんど有しない。従って、本明細書で提供されるPHA分散液を形成する例示的な方法は、連続水相を変えて分散液が使用されるまでPHA顆粒を分離及び分散された状態に保つための添加剤又は処理技法の使用を含む。これらの例示的な技法は、顔料分散技法に類似しており、PHA顆粒の沈降及び集塊を防ぐための分散剤及び増粘剤の使用を採用することができる。
【0073】
PHAの溶融積層及び水性分散液によりコーティングを紙/セルロース繊維上にもたらす試みが行われてきた。他の実施形態では、PHAポリマーと、分散剤又は乳化剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、核形成剤及び酸化防止剤などの添加剤とは、PHA分散液を使用する有効なコーティングを製造するために使用される。PHAポリマーは、酸素、水分及び油の透過に対するバリアを提供することができる一方、他の添加剤は、処理中(分散剤/乳化剤、ブロッキング防止剤、核形成剤)又は使用中(熱安定剤、核形成剤及び酸化防止剤)のいずれかにポリマー分散液に特性を提供する。加えて、他の実施形態では、コーティングされた紙、ボール紙及び板紙が、曲げたとき又は折ったときにブロッキング防止、ヒートシーリング及び耐亀裂性などの特性を必要とする包装に成形されるとき、コーティングが使用に好適であることが望ましい。図4は、紙又は板紙上に表面コーティングを溶融積層するために使用することができるPHAペレット又は粉末を調製する例示的なプロセスの概略図である。
【0074】
他の実施形態では、図1に示されたPHA生産プロセスに言及すると、PHA粉末が噴霧乾燥によって得られると、PHA粉末は、二軸スクリュー押出機又は一軸スクリュー押出機を通過させて関連添加剤を溶融混合し、及び添加剤と混合されたPHAのペレットを形成することができ、それは、紙の押出コーティングに使用するか又は紙上に積層することができるフィルムに押し出すことができる。
【0075】
他の実施形態では、水性分散方法及び溶融押出方法の態様は、例えば、図5に記載される、溶融条件下でコーティングとして積層することができる固体PHA顆粒/粉末を製造するためのハイブリッドプロセスに組み合わされ得る。この例示的な方法は、図1、ボックスCで開始し得る。固体添加剤は、水中のPHAスラリーに導入することができる。スラリーは、それがPHA分散液に変わるまで激しくかき混ぜられ得る。次いで、水を分散液から除去し、残った固形分を粉末に噴霧乾燥させることができる。次いで、固体添加剤を、噴霧乾燥させた粉末に添加し、混合物を溶融押出機によってPHAペレットに処理し、それを、その後、エンドユーザーへの発送のために例えば紙袋に包装し、エンドユーザーは、PHAペレットを溶融させ、それらを、選択された基材のための積層コーティングとして使用することができる。
【0076】
他の実施形態では、連続水相を乾燥させ、PHA粒子の合体を可能にするために用いられる高温下でポリマーの分解を防ぐために酸化防止剤が使用される(PHA混合物に添加される)。他の実施形態では、例示的な酸化防止剤は、限定なしに、ソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)又はブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を含む。
【0077】
他の実施形態では、PHA分散液が使用される前に、環境中に遍在する微生物がそれを分解することを防ぐために抗菌剤が添加される。他の実施形態では、使用される抗菌剤は、マイルドであり、製造処理中、典型的には物品への分散液処理中に通常分解する。例示的な抗菌剤は、限定なしに、ヨウ素、ポビジン、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、安息香酸又はアスコルビン酸を含む。他の実施形態では、PHA粒子の凝固を防ぐか又は防ぐのに役立つために分散剤を添加することができる。例示的な分散剤は、限定なしに、不飽和酸又はポリアクリル酸のエステルを含み得る。
【0078】
他の実施形態では、連続水相を、PHA粒子の沈降を防ぐのに十分に粘性の状態に保つために増粘剤又は粘度調整剤が添加される。例示的な粘度調整剤は、限定なしに、アルギネート又はポリビニルアルコールを含む。
【0079】
他の実施形態では、コーティングされる物品が直接日光中において屋外で使用されることが意図される場合、紫外線抑制剤が添加される。例示的な紫外線抑制剤は、限定なしに、ヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム(Mg)のステアリン酸塩若しくはMg酸化物又は亜鉛(Zn)若しくはZn酸化物を含み得る。
【0080】
他の実施形態では、安定剤も組成物に添加される。例示的な安定剤は、限定なしに、ポリビニルアルコール(PVOH)、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン及びエチレン/プロピレンオキシドを含み得る。
【0081】
添加剤が十分に混合されると、スラリーは、分散液になる。混合時間は、構成要素に応じて変わり得る。当業者は、好適な混合時間を決定することができる。得られた分散液は、分散液を発送するための容器、例えばトートバッグ(図2及び図3)及び固体PHAペレット/粉末を発送するための紙袋/プラスチックバッグ(図4)に包装することができる。
【0082】
メルトフロー改善の指標である粘度低下に加えて、例示的な実施形態のPHA組成物で形成された完全に固化した(結晶化した)フィルムの可撓性も改善された。フィルムが100%のPHAコポリマーを使用して調製された場合、完全に固化した(結晶化した)バージョンは、フィルムの破壊が起こる前に約15°の角度で曲げることができるにすぎなかった。この結果は、5ミルを超えるフィルム厚さで観察された。より低い厚さでは、曲げ角は、増加した。
【0083】
他の実施形態では、約5ミル(mls)又はそれを超える(約10、15、20若しくは25mlsまで)フィルム厚さは、紙コーティングから十分なバリア性を得るために生成される。ポリマーフィルムの可撓性は、とりわけより大きい厚さがバリア性のために必要とされる場合、重要であり得る。短期間の水又は液体持ちを必要とするにすぎないコーティングの状況では、5ミル未満(例えば、約0.5~5mls)の厚さが許容され得る。しかしながら、水分又は酸素に対するより長期のバリアが必要とされる場合、5ミルを超える厚さを有するコーティングが必要とされ得る。そのような状況では、フィルムの可撓性は、重要である。試験は、完全に固化した(結晶化した)フィルム形態において、グリセリンモノステアレート(GMS)を有する例示的なPHA組成物が5ミルを超える厚さでも約90°まで曲げることができることを示した。水分及び酸素バリア性を維持しながら、フィルム可撓性を増加させることが望ましい。
【0084】
加えて、飽和脂肪酸エステルを有するPHA組成物は、有利には、PHA組成物を含むフィルムで基材をコーティングするための製造時間及びコストを低減する。製造時間及びコストは、PHA組成物を含むフィルムの固化時間を短縮することによって改善される。試験は、次いで、PHAポリマー溶融物を形成するために使用される、PHAコポリマーへの飽和脂肪酸エステルの添加が、PHAポリマー溶融物が基材上にコーティングされ、連続フィルムが形成された場合、PHAポリマー溶融物に意外な利益を与えることを示した。脂肪酸エステルは、溶融物を劣化させることなく、溶融粘度を低下させ、フィルムの比較的迅速な固化(すなわち数分以内)を誘導し、それは、基材(紙又はボール紙など)の表面上に溶融物として塗布され、乾燥された。例えば、固化は、例えば、1分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分又は120分などの約1分~約120分内に起こり得る。本明細書で用いる場合、用語固化及び結晶化は、互換的に用いられるものとし、同じ意味を有するものとする。
【0085】
結晶化プロセスに関して、ポリマー溶融物が基材上に塗布された後、時間及び温度依存性であるフィルムのアニーリングが進行する。非晶性ポリマーが加熱される場合、ポリマー構造体が「粘性のある液体又はゴム状」になる温度は、ガラス転移温度、Tgと呼ばれる。それは、非晶性ポリマーが脆性、剛直性及び剛性(冷却時)のような特有のガラス状態特性を呈する温度としても定義され得る。一般に、非晶性ポリマーは、Tgを示すにすぎない一方、結晶性ポリマーは、Tm(溶融温度)と、同様にポリマーの非晶性部分が通常存在するため(「半」結晶性)に典型的にはTgとを示す。Tgの値は、ポリマー鎖の易動度に依存する。
【0086】
ガラスからゴム様状態への転移は、硬度及び弾性などの物理的特性の変化の領域を示すポリマー挙動の重要な特徴である。Tgにおいて、固体の硬度、体積、パーセント破断伸び及びヤング率の変化を見ることができる。
【0087】
PHA組成物に関して、特有の転移は、ポリマーのガラス転移温度と変性ポリマーの溶融温度との間で起こる。従来の半結晶性ポリマーの挙動に類似した結晶化度及び結晶進化の増加レベルが起こる。理論に制約されることなく、PHA組成物の粘度調整剤中の疎水性長鎖脂肪酸エステル分子は、セルロース紙表面及びPHA分子などの親水性存在物から遠ざけられ、そのため、非粘着性フィルムへの粘着性溶融物のその後の迅速な転移でフィルム形成を加速すると考えられる。比較的迅速な結晶化の特徴は、PHA組成物でコーティングされた基材(紙、ボール紙又は板紙製品など)が、基材上のPHA組成物フィルムの迅速な固化なしに可能であろうよりも早く巻き取られることを可能にする。対照的に、純粋な未変性PHAコポリマーを含むフィルムは、よりゆっくりと固化し、基材表面上で非粘着性状態に達するのに12時間を超える時間を要する。比較的速い固化(結晶化)の特性は、有益には、処理時間を短縮し、PHA組成物でコーティングされた紙、ボール紙及び板紙ストックの処理をより容易に、より速く、従ってコストがより少ないものにする。
【0088】
これまで、PHAフィルムのアニーリングが可撓性を改善するために用いられてきた。しかしながら、上で記載されたように、コポリマー単独(添加剤なし)は、時間因子がより近代的な紙又は板紙製造施設において法外であるような遅い速度で結晶化する。このように、加熱及び冷却アニーリングプロセスは、エネルギー及び時間の両方でコストがかかりすぎる。
【0089】
粘度調整剤を含むPHA組成物に加えて、PHA組成物は、核形成剤を更に含み得る。当業者は、迅速な核形成が、完全に結晶化したときにより多い可撓性を可能にするより小さい結晶構造体を形成することを理解するであろう。更に、試験において、核形成剤を含まないPHA組成物は、完全に固化及び結晶化するために約18時間を要した。核形成剤は、PHAコポリマー内において、大きい球状の結晶とは対照的により小さい結晶構造体又は微結晶の形成を促進することができ、それは、核形成剤を含むPHA組成物で形成されたフィルムに追加の可撓性を与えることができる。例示的な核形成剤は、限定なしに、沈澱炭酸カルシウム、沈澱若しくはヒュームドシリカ、タルク、ベントナイト又はモンモリロナイト粘土、硫酸カルシウム及び窒化ホウ素を含む。
【0090】
PHA組成物でコーティングされた製造品
紙、板紙若しくはボール紙;プラスチック、塗料、コーティング、インク、接着剤、デバイス及び/又は本明細書で提供されるPHA組成物、例えばポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリマー及び粘度調整剤を含むか又はそれでコーティングされた繊維を含む製造品が提供される。
【0091】
他の実施形態では、本明細書で提供されるポリマーの分散液は、水性紙コーティング用途に使用される。水性ポリマー分散液は、ポリマー溶融物から形成された押出フィルムを上回る利点を提供する。水性ポリマー分散液は、押出を用いた溶融ポリマー積層プロセスと比較して比較的薄いポリマーのコーティングが基材に塗布されることを可能にする。水は、本ポリマーのための優れた分散媒として機能し、ポリマー溶融物自体に比べて分散液の低下した粘度を可能にする。加えて、水性分散液は、ポリマーの比較的より低い濃度を有し、より薄い、よりむらのないコーティングがより速いコーティング/機械速度で塗布されることを可能にし、従ってコーティングプロセスの経済性を改善する。加えて、エネルギー管理視点から、塗布後のポリマー分散液から過剰の水を蒸発させるために必要とされるエネルギーは、ポリマー溶融物から基材上に形成された押出フィルムを冷却するために必要とされるエネルギーよりも少ない。
【0092】
本明細書で提供されるPHA組成物の水性分散液は、既存の紙コーティング設備又は印刷機設備を用いて塗布することができる。有利には、水性PHA分散液コーティングは、水分、ガス並びに油及びグリースバリア性を紙又は板紙に提供する。更に、セルロース繊維から製造され、及びPHAでコーティングされた包装材料は、リサイクルすることができ、土壌、淡水又は海洋環境中で生分解性である。
【0093】
従って、PHA分散液からの、本明細書で提供されるPHAを含む組成物でコーティングされた紙若しくは板紙包装又はセルロース繊維を含む包装材料は、有利には、バリア性を有し、環境上有益であり、それは、熱い飲料及び清涼飲料紙コップ、プレート、持ち帰りクラムシェル、ボウル、紙ラップ等などの使い捨てフードサービス包装商品にとって特に重要である。化石ベースのプラスチックコーティングでコーティングされた繊維ベースの基材は、リサイクルできず、堆肥化できない。従って、化石ベースのプラスチックコーティングは、繊維ベースの材料のリサイクル性の低下及びそれらの堆肥化の欠如の主な理由である。対照的に、PHAでコーティングされた繊維ベースの材料の組み合わせは、プラスチック汚染の低減及びリサイクルの増加の主要な要因であり得る。
【0094】
関連用途に好適である分子量及び結晶化度のレベル又は結晶相対非晶相の比を有するPHAの選択は、コーティングとして使用するためのPHAポリマー分散液を製造するときに重要である。加えて、ポリマー分散液の粘度は、基材コーティングプロセス中に既存の設備で処理するために考慮されるべきである。実施形態では、PHA分散液粘度は、約数センチポアズ(cps=ポアズの1/1000又はmPas)~数百センチポアズであり得る。粘度目標は、選択される紙コーティング塗布方法に依存する。
【0095】
本明細書で提供されるポリマー分散液を製造し、及び本明細書で提供される方法を実行するために、多くの製造方法が利用可能である。幾つかの方法は、塩基で更に中和することができるカルボン酸末端などの活性末端基に依存する。単独のPHAは、表面官能性をほとんど有しない。他の実施形態では、PHA分散液を形成する方法は、連続水相を変えて分散液が使用されるまでPHA顆粒を分離及び分散した状態に保つための添加剤又は処理技法を使用する。本技法は、顔料分散技法に類似しており、PHA顆粒の沈降及び集塊を防ぐための分散剤及び増粘剤の使用を採用する。
【0096】
PHAの溶融積層及び水性分散液により紙/セルロース繊維上にコーティングをもたらす試みが行われてきた。好適なPHAポリマーと、分散剤又は乳化剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、核形成剤及び酸化防止剤などの他の添加剤とは、PHA分散液を使用する有効なコーティングを製造するために典型的に使用される。PHAポリマーは、酸素、水分及び油の透過に対するバリアを提供することができる一方、他の添加剤は、処理中(分散剤/乳化剤、ブロッキング防止剤、核形成剤)又は使用中(熱安定剤、核形成剤及び酸化防止剤)のいずれかにポリマー分散液に特性を提供する。加えて、他の実施形態では、コーティングされた紙及び板紙が、曲げたとき又は折ったときにブロッキング防止、ヒートシーリング及び耐亀裂性などの特性を必要とする包装に成形されるとき、コーティングが使用に好適であることが望ましい。図4は、紙又は板紙上への表面コーティングを溶融積層するために使用することができるPHAペレット又は粉末の調製の概略図である。
【0097】
図1に示された例示的なPHA組成物製造プロセスに言及すると、PHA粉末が噴霧乾燥によって得られると、PHA粉末は、二軸スクリュー押出機又は一軸スクリュー押出機を通過させて関連添加剤を溶融混合し、及び添加剤と混合されたPHAのペレットを形成することができ、それは、紙の押出コーティングのために使用するか又は紙上に積層することができるフィルムに押し出すことができる。
【0098】
他の実施形態では、水性分散方法及び溶融押出方法の態様は、溶融条件下でコーティングとして積層することができる固体PHA顆粒/粉末を製造するためのハイブリッドプロセスに組み合わされる。この方法は、図1、ボックスCで開始し得る。固体添加剤は、水中のPHAスラリーに導入することができる。スラリーは、それがPHA分散液に変わるまで激しくかき混ぜられ得る。次いで、水を分散液から除去し、残った固形分を粉末に噴霧乾燥させることができる。次いで、固体添加剤を、噴霧乾燥させた粉末に添加し、混合物を溶融押出機によってPHAペレットに処理し、それを、その後、エンドユーザーへの発送のために例えば紙袋に包装し、エンドユーザーは、PHAペレットを溶融させ、それらを、選択された基材のための積層コーティングとして使用することができる。
【0099】
連続水相を乾燥させ、及びPHA粒子の合体を可能にするために用いられる高温下でポリマーの分解を防ぐために酸化防止剤を使用することができる。例示的な酸化防止剤は、限定なしに、ソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)又はブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を含み得る。
【0100】
PHA分散液が使用される前に、環境中に遍在する微生物がそれを分解することを防ぐために抗菌剤を添加することができる。実施形態では、使用される抗菌剤は、マイルドであり、製造処理中、典型的には物品への分散液処理中に通常分解する。例示的な抗菌剤は、限定なしに、BHT、BHA、安息香酸又はアスコルビン酸を含み得る。
【0101】
PHA粒子の凝固を防ぐか又は防ぐのに役立つために分散剤を添加することができる。例示的な分散剤は、限定なしに、不飽和酸又はポリアクリル酸のエステルを含み得る。
【0102】
連続水相を、PHA粒子の沈降を防ぐのに十分に粘性の状態に保つために増粘剤又は粘度調整剤を添加することができる。例示的な粘度調整剤は、限定なしに、アルギネート又はポリビニルアルコールを含み得る。
【0103】
コーティングされる物品が直接日光中において屋外で使用されることが意図される場合、紫外線抑制剤を添加することができる。例示的な紫外線抑制剤は、限定なしに、ヒンダードアミン光安定剤、マグネシウム又は亜鉛のステアリン酸塩を含み得る。
【0104】
組成物に安定剤も添加することができる。例示的な安定剤は、限定なしに、PVOH、ビニルアルコール、脂肪酸の石鹸、ピロリドン及びエチレン/プロピレンオキシドを含み得る。
【0105】
添加剤が十分に混合されると、スラリーは、分散液になる。混合時間は、構成要素に応じて変わり得る。当業者は、好適な混合時間を決定することができる。得られた分散液は、分散液を発送するための容器、例えばトートバッグ(図2及び図3)及び固体PHAペレット/粉末を発送するための紙袋/プラスチックバッグ(図4)に包装することができる。
【0106】
製造品及びキット
本明細書で提供される方法を実行するための製造品及びキットが提供され;任意選択的に、製造品及びキットは、本明細書で提供される方法の実行説明書を更に含み得る。
【0107】
上記の態様及び実施形態のいずれも、概要、図及び/又は詳細な説明のセクションにおいてここで開示された任意の他の態様又は実施形態と組み合わされ得る。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が異なることを明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0109】
特に述べない限り又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語「又は」は、包括的であると理解され、「又は」及び「及び」を包含する。
【0110】
特に述べない限り又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語「約」は、当技術分野における通常の許容の範囲内、例えば平均の2標準偏差内として理解される。約(用語「約」の使用)は、表示値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%内として理解することができる。特に文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、用語「約」によって修正される。
【0111】
特に述べない限り又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いる場合、用語「実質的に全て」、「実質的のほとんど」、「実質的に全て」又は「大部分」は、組成物の言及量の少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは99.5%又はそれを超えるものを包含する。
【0112】
本明細書で言及される各特許、特許出願、刊行物及び文献の全ては、参照により本明細書に援用される。上記の特許、特許出願、刊行物及び文献の引用は、前述のいずれも、関連する先行技術であることの承認ではなく、それは、これらの刊行物又は文献の内容又は日付に関していかなる承認も構成しない。独立したこれらの文献の言及による援用は、いかなる文献の内容のいかなる部分も、特許出願についてのいかなる国又は地方の法定開示要件を満たすための必須材料であると考えられることを主張又は承認するものと解釈されるべきではない。それにもかかわらず、適切な場合、そのような文献のいずれかに依拠する権利、審査当局又は法廷により、特許請求される主題にとって必要不可欠であると考えられる材料を提供する権利が留保される。
【0113】
本発明の基本的な態様から逸脱することなく、前述に対する修正形態がなされ得る。本発明は、1つ以上の特定の実施形態に関連して十分に詳細に記載されてきたが、当業者は、本出願で具体的に開示された実施形態に対する変更形態がなされ得、依然としてこれらの修正形態及び改善形態が本発明の範囲及び趣旨内であることを認めるであろう。本明細書で適切に例示的に記載された本発明は、本明細書で具体的に開示されないいかなる要素の不在下でも実行され得る。従って、例えば、本明細書では、それぞれの場合において、用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えられ得る。従って、用いられた用語及び表現は、説明及び非限定の用語として用いられ、示され、及び記載される特徴の均等物又はそれらの部分は、排除されず、本発明の範囲内で様々な修正形態が可能であることが認められる。本発明の実施形態は、以下の特許請求の範囲に示される。
【0114】
本発明の多数の実施形態が記載されてきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態がなされ得ることが理解され得る。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】