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特表2024-511482弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラム
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  • 特表-弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラム 図1
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  • 特表-弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20240306BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A63B71/06 R
A63B69/00 A
A63B71/06 M
A63B71/06 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559025
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 KR2022004234
(87)【国際公開番号】W WO2022203455
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0039771
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523365387
【氏名又は名称】チン,デジェ
【氏名又は名称原語表記】CHIN, Dae Je
【住所又は居所原語表記】60-2, Bamgogae-ro 12-gil, Gangnam-gu, Seoul 06364, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン,デジェ
(72)【発明者】
【氏名】チン,サングク
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョンテ アンドリュー
(57)【要約】
本発明はコンピューティングデバイスによって遂行され弾性体の移動軌跡をシミュレーションする弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラムであり、弾性体の初期位置、および弾性体に加えられる打力によって形成される弾性体の初期速度を獲得する段階;弾性体が加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する段階であって、メッシュモデルは弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである段階(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数);および弾性体の飛行が終了した後弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡(Rolling Trajectory)を、転がり軌跡計算因子として第K平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する段階(KはM以上N以下の自然数);を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスによって遂行され弾性体の移動軌跡をシミュレーションする弾性体の軌跡シミュレーション方法であって、
前記弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得する段階;
前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する段階であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである段階(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数);および
前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡(Rolling Trajectory)を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する段階(KはM以上N以下の自然数);
を含むことを特徴とする、弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項2】
前記第1~第N平面メッシュはそれぞれ予め定義された傾きを有して連続的に配列されることによって、前記メッシュモデルは前記フィールドが3軸座標系によって定義される3次元空間でエミュレーションされるように構成され、
前記弾性体の飛行軌跡および転がり軌跡は前記メッシュモデル内での3次元軌跡で決定されることを特徴とする、請求項1に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項3】
前記飛行軌跡を決定する段階で、
前記第M平面メッシュを定義する数学モデルと前記飛行軌跡モデルから、前記弾性体が飛行を開始した以後前記第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行時間を決定し、
前記決定された飛行時間から前記第M平面メッシュ内で前記弾性体の着地位置を決定し、
前記弾性体の初期位置、前記決定された飛行時間の間前記飛行軌跡モデルによって決定される飛行区間、および前記弾性体の着地位置を連結する経路を前記飛行軌跡で決定することを特徴とする、請求項1に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項4】
前記第M平面メッシュに対する前記弾性体の着地速度および前記第M平面メッシュに対して予め定義された反発係数から前記弾性体の反発速度を算出する段階;および
前記算出された弾性体の反発速度を予め設定された臨界値と比較する段階;をさらに含み、
前記転がり軌跡を決定する段階は前記弾性体の反発速度が前記臨界値未満である場合に遂行されることを特徴とする、請求項3に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項5】
前記弾性体の反発速度が前記臨界値以上である場合、前記弾性体の着地位置および反発速度が前記飛行軌跡計算因子として適用されて前記飛行軌跡を決定する段階が繰り返し遂行されることを特徴とする、請求項4に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項6】
前記転がり軌跡計算因子として前記弾性体に作用する外力は、前記第K平面メッシュ上の前記弾性体に作用する重力および摩擦力を含み、
前記転がり軌跡を決定する段階で、前記第K平面メッシュの法線ベクトルおよび傾きによって定義される流線(Flow Line)ベクトルを媒介因子にして前記転がり軌跡を決定することを特徴とする、請求項1に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項7】
前記転がり軌跡を決定する段階で、
前記弾性体が転がりを開始した以後経過する転がり時間をカウントし、前記カウントされる転がり時間の間前記転がり軌跡モデルによって決定される転がり区間を反映する方式で前記転がり軌跡を決定することを特徴とする、請求項6に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項8】
前記転がり軌跡を決定する段階で、
前記弾性体が前記第K平面メッシュから第K+1平面メッシュに移動する場合、連続転がり軌跡決定動作を遂行するものの、前記連続転がり軌跡決定動作は、
前記第K平面メッシュおよび前記第K+1平面メッシュの境界線を定義する数学モデルと前記転がり軌跡モデルから、前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置から前記境界線に到達するまでの所要時間を決定し、
前記決定された所要時間、および前記第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して前記第K+1平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度を決定し、
前記決定された第K+1平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度と前記第K+1平面メッシュ上の前記弾性体に作用する重力および摩擦力を前記転がり軌跡計算因子にして前記第K+1平面メッシュ上で前記弾性体の転がり軌跡を決定することを特徴とする、請求項7に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項9】
前記連続転がり軌跡決定動作は前記弾性体が停止するまで繰り返し遂行されることを特徴とする、請求項8に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項10】
前記転がり軌跡を決定する段階以後、
前記弾性体が停止した状態で前記フィールドの環境的要因によってエミュレーションされた環境外力が前記弾性体に加えられる場合、停止した弾性体が位置した平面メッシュの摩擦力および前記環境外力から前記弾性体の変位を計算し、前記計算された弾性体の変位を前記転がり軌跡に反映する段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項11】
前記決定された飛行軌跡および転がり軌跡をディスプレイする段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項12】
前記弾性体はゴルフボールであり、前記フィールドはゴルフコースであり、前記メッシュモデルは前記ゴルフコースがエミュレーションされたモデルであり、前記飛行軌跡および転がり軌跡は前記弾性体のスイングによるゴルフボールの移動軌跡であり、
前記コンピューティングデバイスは使用者が所持したポータブルデバイスで具現されて、前記ゴルフボールの移動軌跡を前記使用者にディスプレイすることを特徴とする、請求項11に記載の弾性体の軌跡シミュレーション方法。
【請求項13】
プロセッサ(processor);および
前記プロセッサを通じて実行され、弾性体の移動軌跡をシミュレーションするための少なくとも一つの命令が保存されたメモリ;を含み、
前記プロセッサを通じて実行される前記少なくとも一つの命令は、
前記弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得するようにする命令、
前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定するようにする命令であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである命令(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数)、および
前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定するようにする命令(KはM以上N以下の自然数)を含むことを特徴とする、弾性体の軌跡シミュレーション装置。
【請求項14】
ハードウェアと結合されて、
弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得する段階;
前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する段階であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである段階(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数);および
前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する段階(KはM以上N以下の自然数);
を実行させるためにコンピュータ読み取り可能記録媒体に保存されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラムに関し、さらに詳細には弾性体に加えられる打力によって形成される飛行軌跡および転がり軌跡をシミュレーションする、弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフはコースのティーボックスでゴルフボールを打撃して最終的にグリーンのホールカップに入れる競技である。ゴルフプレーヤーは最小の打数で与えられたホールにゴルフボールを入れるために、コースの地形を研究して、ゴルフボールを打撃するたびにゴルフボールの速度と方向によりゴルフボールが飛行し転がる軌跡を頭の中に想像しながらショットをすることになる。一旦大衆は各個人の経験に依存して軌跡を想像するので、実際のゴルフボールの移動軌跡と最終的な着地位置はゴルファーが予想した軌跡および位置とかなり差が存在する場合が頻繁である。
【0003】
従来ゴルフボールの軌跡をシミュレーションして提供する装備として、室内スクリーンゴルフに適用されるシミュレーション装備が広く適用されており、該当装備はゴルファーがスクリーンに向かってゴルフボールを打撃すると、速度および方向などを感知してスクリーン上にゴルフボールの軌跡を表示する方式で動作する。しかし、前記のようなゴルフシミュレーション装備は商業用に普及された高価な装備であって、大規模の施設が必要であるので個人が実際のフィールドで使用できない限界がある。
【0004】
したがって、個人が自身が所持した携帯電話のような携帯用機器を使ってフィールドでゴルフボールの軌跡を容易に把握できる効率的な方法とシステムが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、ゴルフボールなどの弾性体にゴルフクラブのような打撃装置によって打力が加えられる場合に形成される弾性体の軌跡をシミュレーションする時、従来に要求されていた高価な装備および大規模施設などに対する依存性を除去して、より迅速かつ正確であり、低費用で弾性体の軌跡をシミュレーションできる、弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンピューティングデバイスによって遂行されて弾性体の移動軌跡をシミュレーションする弾性体の軌跡シミュレーション方法であって、前記弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得する段階;前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する段階であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである段階(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数);および前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡(Rolling Trajectory)を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する段階(KはM以上N以下の自然数);を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記第1~第N平面メッシュはそれぞれ予め定義された傾きを有して連続的に配列されることによって、前記メッシュモデルは前記フィールドが3軸座標系によって定義される3次元空間でエミュレーションされるように構成され、前記弾性体の飛行軌跡および転がり軌跡は前記メッシュモデル内での3次元軌跡で決定されることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記飛行軌跡を決定する段階で、前記第M平面メッシュを定義する数学モデルと前記飛行軌跡モデルから、前記弾性体が飛行を開始した以後前記第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行時間を決定し、前記決定された飛行時間から前記第M平面メッシュ内で前記弾性体の着地位置を決定し、前記弾性体の初期位置、前記決定された飛行時間の間前記飛行軌跡モデルによって決定される飛行区間、および前記弾性体の着地位置を連結する経路を前記飛行軌跡で決定することを特徴とする。
【0009】
本発明は前記第M平面メッシュに対する前記弾性体の着地速度および前記第M平面メッシュに対して予め定義された反発係数から前記弾性体の反発速度を算出する段階;および前記算出された弾性体の反発速度を予め設定された臨界値と比較する段階;をさらに含み、前記転がり軌跡を決定する段階は前記弾性体の反発速度が前記臨界値未満である場合に遂行されることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記弾性体の反発速度が前記臨界値以上である場合、前記弾性体の着地位置および反発速度が前記飛行軌跡計算因子として適用されて前記飛行軌跡を決定する段階が繰り返し遂行されることを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記転がり軌跡計算因子として前記弾性体に作用する外力は、前記第K平面メッシュ上の前記弾性体に作用する重力および摩擦力を含み、前記転がり軌跡を決定する段階で、前記第K平面メッシュの法線ベクトルおよび傾きによって定義される流線(Flow Line)ベクトルを媒介因子にして前記転がり軌跡を決定することを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記転がり軌跡を決定する段階で、前記弾性体が転がりを開始した以後経過する転がり時間をカウントし、前記カウントされる転がり時間の間前記転がり軌跡モデルによって決定される転がり区間を反映する方式で前記転がり軌跡を決定することを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記転がり軌跡を決定する段階で、
前記弾性体が前記第K平面メッシュから第K+1平面メッシュに移動する場合、連続転がり軌跡決定動作を遂行するものの、前記連続転がり軌跡決定動作は、
前記第K平面メッシュおよび前記第K+1平面メッシュの境界線を定義する数学モデルと前記転がり軌跡モデルから、前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置から前記境界線に到達するまでの所要時間を決定し、前記決定された所要時間、および前記第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して前記第K+1平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度を決定し、前記決定された第K+1平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度と前記第K+1平面メッシュ上の前記弾性体に作用する重力および摩擦力を前記転がり軌跡計算因子にして前記第K+1平面メッシュ上で前記弾性体の転がり軌跡を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記連続転がり軌跡決定動作は前記弾性体が停止するまで繰り返し遂行されることを特徴とする。
【0015】
本発明は前記転がり軌跡を決定する段階以後、前記弾性体が停止した状態で前記フィールドの環境的要因によってエミュレーションされた環境外力が前記弾性体に加えられる場合、停止した弾性体が位置した平面メッシュの摩擦力および前記環境外力から前記弾性体の変位を計算し、前記計算された弾性体の変位を前記転がり軌跡に反映する段階;をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明は前記決定された飛行軌跡および転がり軌跡をディスプレイする段階;をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明において、前記弾性体はゴルフボールであり、前記フィールドはゴルフコースであり、前記メッシュモデルは前記ゴルフコースがエミュレーションされたモデルであり、前記飛行軌跡および転がり軌跡は前記弾性体のスイングによるゴルフボールの移動軌跡であり、前記コンピューティングデバイスは使用者が所持したポータブルデバイスで具現されて、前記ゴルフボールの移動軌跡を前記使用者にディスプレイすることを特徴とする。
【0018】
本発明の一側面に係る弾性体軌跡シミュレーション装置は、プロセッサ(processor);および前記プロセッサを通じて実行され、弾性体の移動軌跡をシミュレーションするための少なくとも一つの命令が保存されたメモリ;を含み、前記プロセッサを通じて実行される前記少なくとも一つの命令は、前記弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得するようにする命令、前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定するようにする命令であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである命令(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数)、および前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定するようにする命令(KはM以上N以下の自然数)を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の一側面に係るコンピュータプログラムは、ハードウェアと結合されて、弾性体の初期位置、および前記弾性体に加えられる打力によって形成される前記弾性体の初期速度を獲得する段階;前記弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として前記弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する段階であって、前記メッシュモデルは前記弾性体の移動空間となるフィールドが第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたものである段階(Nは2以上の自然数、MはN以下の自然数);および前記弾性体の飛行が終了した後、前記弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡を、転がり軌跡計算因子として前記第K平面メッシュでの前記弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および前記弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する段階(KはM以上N以下の自然数);を実行させるためにコンピュータ読み取り可能記録媒体に保存されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によると、本発明は弾性体の初期位置および初期速度を所定の数学的モデルで定義された飛行軌跡モデルに適用して弾性体に加えられた外力によって形成される飛行軌跡を決定し、弾性体の着地後転がり開始位置および転がり開始速度を所定の数学的モデルで定義された転がり軌跡モデルに適用して弾性体の転がり軌跡を決定する方式を採用して弾性体の軌跡をシミュレーションすることによって、高価な装備および大規模施設なしに、より迅速で正確、低費用で弾性体の軌跡をシミュレーションすることができ、このような弾性体の軌跡シミュレーション方式をゴルファーが所持したスマートフォンのようなポータブルデバイスに搭載することによって、ゴルファーの立場でゴルフボールを打撃する前に、より簡素な方式で打撃による予想軌跡の提供を受けることができるという点でも利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション装置を示したブロック構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法において、3次元メッシュモデル内で弾性体が移動する軌跡の例示を示した例示図である。
図4】本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法において、3次元メッシュモデル内で弾性体が移動する軌跡の例示を示した例示図である。
図5】本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法において、弾性体の軌跡がポータブルデバイスにディスプレイされた状態を示した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照して本発明に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法および装置、コンピュータプログラムの実施例を説明する。この過程で図面に図示された線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上誇張して図示されていてもよい。また、後述される用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは使用者、運用者の意図または慣例により変わり得る。したがって、このような用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。
【0023】
図1は本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション装置を示したブロック構成図であり、図2は本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法を説明するためのフローチャートであり、図3および図4は本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法において、3次元メッシュモデル内で弾性体が移動する軌跡の例示を示した例示図であり、図5は本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法において、弾性体の軌跡がポータブルデバイスにディスプレイされた状態を示した例示図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション装置10(以下、本装置)は、プロセッサ100、メモリ200、測位部300、通信部400およびディスプレイ部500を含むことができる。前記の各構成100-500を含む本装置10は使用者が所持したコンピューティングデバイスで具現され得、前記のコンピューティングデバイスはスマートフォンまたはタブレットのようなポータブルデバイスで具現され得る。
【0025】
プロセッサ100は本実施例で弾性体の軌跡をシミュレーションする主体であって、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)またはSoC(System on Chip)で具現され得、運営体制またはアプリケーションを駆動してプロセッサ100に連結された複数のハードウェアまたはソフトウェア構成要素を制御でき、各種データ処理および演算を遂行できる。プロセッサ100はメモリ200に保存された少なくとも一つの命令を実行させ、その実行結果データをメモリ200に保存するように構成され得る。
【0026】
測位部300は本装置10の現在位置を獲得してプロセッサ100に伝達するGPS(Global Positioning System)測位モジュールに該当し得、通信部400は本装置10の無線通信モジュール(例:LTEまたはWiFi通信モジュール)として機能して本装置10および外部システム間の無線通信を支援することができる。ディスプレイ部500は本装置10のディスプレイパネル、例えばタッチスクリーンパネルで具現され得、プロセッサ100によりシミュレーションされた弾性体の軌跡はディスプレイ部500を通じてディスプレイされて使用者に提供され得る。
【0027】
メモリ200にはプロセスによって実行され、弾性体の移動軌跡をシミュレーションするための少なくとも一つの命令が保存され得る。弾性体の移動軌跡をシミュレーションするための命令を保存するメモリ200は揮発性保存媒体および/または不揮発性保存媒体で具現され得、例えば読み取り専用メモリ(ROM:Read Only Memory)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)で具現され得る。
【0028】
メモリ200に保存されてプロセッサ100により実行される少なくとも一つの命令は、下記の命令を含むことができる。
【0029】
i)弾性体の初期位置、および弾性体に加えられる打力によって形成される弾性体の初期速度を獲得するようにする命令(弾性体に打力が加えられるとは、弾性体に物理的/実際に打力が加えられるのではなく、シミュレーション上で所定の力が弾性体に加えられることを意味する)。
【0030】
ii)弾性体が前記加えられた打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡(Flight Trajectory)を、飛行軌跡計算因子として弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定するようにする命令。
【0031】
iii)第M平面メッシュに対する弾性体の着地速度および第M平面メッシュに対して予め定義された反発係数から弾性体の反発速度を算出するようにする命令。
【0032】
iv)算出された弾性体の反発速度を予め設定された臨界値と比較するようにする命令。
【0033】
V)弾性体の反発速度が臨界値以上である場合、弾性体の着地位置および反発速度が飛行軌跡計算因子として適用されて飛行軌跡を決定する過程が繰り返し遂行されるようにする命令。
【0034】
vi)弾性体の反発速度が臨界値未満である場合、弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡(Rolling Trajectory)を、転がり軌跡計算因子として第K平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定するようにする命令。
【0035】
vii)弾性体が停止した状態でフィールドの環境的要因によってエミュレーションされた環境外力が弾性体に加えられる場合、停止した弾性体が位置した平面メッシュの摩擦力および環境外力から弾性体の変位を計算し、計算された弾性体の変位を転がり軌跡に反映するようにする命令。
【0036】
viii)前記過程を通じて決定された飛行軌跡および転がり軌跡をディスプレイするようにする命令。
【0037】
弾性体の軌跡をシミュレーションする過程に対する具体的な説明に先立ち、まず、本実施例の基盤となるメッシュモデルを説明する。本実施例では弾性体をゴルフボールに、フィールドをゴルフコースに、そして飛行軌跡および転がり軌跡を使用者のスイングによるゴルフボールの移動軌跡に該当するものとして説明する。
【0038】
図3に図示されたように、メッシュモデルは弾性体の移動空間となるフィールド(すなわち、ゴルフコース(ゴルフ場の地形))が第1~第N平面メッシュでエミュレーションされたモデルと定義される(Nは2以上の自然数、図3は、Nが4に想定されることによりメッシュモデルが第1~第4平面メッシュMS1-MS4で構成される例示を示している)。
【0039】
各平面メッシュは三角形の平面構造で構成され、平面メッシュそれぞれに対するメタデータ(平面メッシュの傾きおよび反発係数のような物理的属性データと、各平面メッシュの頂点座標データ(P....P)、法線ベクトル(n)および流線ベクトル(p)のような数学的属性データと、該当ゴルフコースのルールによるフェアウェイ、グリーン、ハザード、OB(Out of Bound)のような規定データを含む)がメッシュモデルに定義されていてもよい。これに伴い、複数の平面メッシュ(すなわち、第1~第N平面メッシュ)は前記のメタデータにより定義された傾きを有して連続的に配列され、それによりメッシュモデルはフィールドが3軸座標系(x軸、y軸、z軸)により定義される3次元空間でエミュレーションされるように構成される。図3は弾性体が初期位置Bで打撃されて第1平面メッシュMS1のB地点に着地し、B地点とBk+1地点で反発力によって反発して後続飛行を遂行し、第2平面メッシュMS2のBk+2地点から転がり移動を開始して境界線「Pm+1-Pm+2」上の通過地点Bk+3と境界線「Pm+2-Pm+4」上の通過地点Bk+4を経て第4平面メッシュMS4に進入した後、Bs地点で停止する例示を示している。
【0040】
前記のように構成されるメッシュモデルは、後述するように弾性体の飛行軌跡および転がり軌跡の算出に利用される飛行軌跡モデルおよび転がり軌跡モデルを数学的に定義するための基盤となる。以下で説明する過程は、プロセッサ100が前記のように定義されたメッシュモデルを、外部システムから通信部400を通じて伝送を受けてメモリ200に保存しておいた状態を前提とする。
【0041】
以上で説明した内容に基づいて、以下では弾性体の軌跡をシミュレーションする過程について図2図5を参照して具体的に説明する。
【0042】
図2を参照すると、まずプロセッサ100は弾性体の初期位置、および弾性体に加えられる打力によって形成される弾性体の初期速度をメモリ200から獲得する(S100)。
【0043】
弾性体の初期位置は弾性体に打力が加えられる以前にフィールドに置かれた弾性体の最初位置を意味し、前述したメッシュモデルの3軸座標系を基準とする3次元位置座標でメモリ200に予め保存されていてもよい。弾性体の初期速度は弾性体に打力が加えられた直後に形成される弾性体の最初速度を意味し、弾性体の初期速度は3軸座標系を基準とする3軸成分を有する。メモリ200には弾性体に形成され得る初期速度の範囲が予め保存されていてもよく、該当初期速度の範囲内の特定値が使用者によって選択されると、プロセッサ100は選択された特定値を弾性体の初期速度として獲得することができる。
【0044】
S100段階を通じて弾性体の初期位置および初期速度が獲得されると、プロセッサ100は弾性体が打力によって飛行を開始した以後メッシュモデルに含まれた第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行軌跡を、飛行軌跡計算因子として弾性体の初期位置および初期速度を予め定義された飛行軌跡モデルに適用して決定する(S200)。弾性体が最初に着地する平面メッシュを第M平面メッシュで表記したし(MはN以下の自然数)、図3および図4は第M平面メッシュが第1平面メッシュMS1である例示を示している。
【0045】
飛行中の弾性体には重力、空気摩擦力および風力のような外力と弾性体の自らのスピンによる内力が作用し、本実施例では、演算ロードを低減させるために飛行中の弾性体に作用する力として重力のみを考慮する。したがって、飛行中の弾性体に作用する加速度は下記の数学式1により表現される。
【0046】
【数1】
【0047】
数学式1でa、a、aはそれぞれx軸、y軸、z軸方向の加速度、gは重力加速度である。
【0048】
S200段階で適用される飛行軌跡モデルは、等加速度運動方程式によって下記の数学式2のように定義される。
【0049】
【数2】
【0050】
数学式2において、v(t)は飛行を開始した時点からt時間後の弾性体の速度、Vは弾性体の初期速度、aは弾性体に作用する加速度、B(t)はt時間後の弾性体の位置、Bは弾性体の初期位置である。v(t)、V、a、B(t)、Bは3軸座標系による3軸成分を有する。
【0051】
一方、弾性体が最初に着地する第M平面メッシュの法線ベクトルがn(n、n、n)=n(cosα、cosβ、cosθ)(ここで、α、β、θは法線ベクトルがそれぞれx軸、y軸、z軸となす角、nはvector notation)であり、第M平面メッシュの一頂点の座標が(X、Y、Z)で定義されている時、第M平面メッシュを定義する数学モデルとして平面の方程式は下記の数学式3で表現される。
【0052】
【数3】
【0053】
数学式3において、変数x、y、zは第M平面メッシュ上の点の座標である。
【0054】
これに伴い、プロセッサ100は第M平面メッシュを定義する数学モデル(数学式3)と飛行軌跡モデル(数学式2)から、弾性体が飛行を開始した以後第M平面メッシュ内に着地するまでの飛行時間と着地位置を決定することができる(S210)。
【0055】
具体的には、弾性体の初期位置B=(x、y、z)、飛行時間をT、弾性体の着地位置B=(x、y、z)とすると、数学式1および2により弾性体の着地位置は下記の数学式4のように表現される。
【0056】
【数4】
【0057】
数学式4において、Vix、Viy、Vizは弾性体の初期速度のx軸、y軸、z軸成分である。
【0058】
弾性体の着地位置は数学式3による第M平面メッシュ上にあるので、下記の数学式5が導き出される。
【0059】
【数5】
【0060】
数学式4と数学式5を連立すると、弾性体の飛行時間Tが下記の数学式6のように導き出される。
【0061】
【数6】
【0062】
飛行時間Tが決定されることにより、数学式4による弾性体の着地速度および着地位置も決定され得、着地速度Vおよび着地位置Bは下記の数学式7のように導き出される。
【0063】
【数7】
【0064】
前記の過程を通じて、プロセスは弾性体の初期位置、飛行時間の間飛行軌跡モデルによって決定される飛行区間、および弾性体の着地位置を連結する経路を飛行軌跡で決定することができる(S220)。
【0065】
S200段階以後、プロセッサ100は第M平面メッシュに対する弾性体の着地速度および第M平面メッシュに対して予め定義された反発係数から弾性体の反発速度を算出する(S300)。第M平面メッシュの反発係数がe(例:0.6)で定義されている時、衝突前後の速度関係式により下記の数学式8が導き出される。
【0066】
【数8】
【0067】
数学式8において、R(T)は反発速度である。
【0068】
引き続き、プロセッサ100は数学式8によって算出された弾性体の反発速度を予め設定された臨界値(R)と比較する(S400)。臨界値は弾性体が着地後にその反発によって再び飛行をすることになるのか、または転がることになるのかどうかを判定するための基準値であって、設計者の意図および実験的結果に基づいて特定値でメモリ200に予め保存されていてもよい(例:1.0mm/s)。
【0069】
S400段階で弾性体の反発速度が臨界値以上であると判断された場合、プロセッサ100は弾性体の着地位置および反発速度を飛行軌跡計算因子として適用した後、飛行軌跡を決定するS200段階を繰り返し遂行する。すなわち、最初に遂行行されるS200段階では弾性体の初期位置および初期速度が飛行軌跡計算因子として活用され、弾性体の着地後反発速度が臨界値以上であるため弾性体が再び飛行を開始することになると、プロセッサ100は飛行軌跡を決定するための飛行軌跡計算因子を数学式7により導き出された弾性体の着地位置および反発速度に更新した後、飛行軌跡を決定するS200段階を繰り返し遂行する。前記過程は弾性体の反発速度が臨界値未満になるまで繰り返しなされる。
【0070】
S400段階で弾性体の反発速度が臨界値未満であると判断された場合(S200段階が繰り返し遂行された以後弾性体の反発速度が臨界値未満であると判断された場合を含む)、プロセッサ100は弾性体が第K平面メッシュ上で回転移動する転がり軌跡を、転がり軌跡計算因子として第K平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置、転がり開始速度および弾性体に作用する外力を予め定義された転がり軌跡モデルに適用して決定する(S500)。KはM以上N以下の自然数であって、すなわち第M平面メッシュに着地した弾性体が転がりを開始する場合、第K平面メッシュは第M平面メッシュと同一であり、弾性体が複数回の飛行を繰り返して隣接の平面メッシュに移動した場合、第K平面メッシュは第K+1~第N平面メッシュのうちいずれか一つの平面メッシュに該当し得る。以下では第K平面メッシュと第M平面メッシュが同一の場合を想定してS500段階を説明する。
【0071】
S500段階でプロセッサ100は、第K平面メッシュの法線ベクトルおよび傾きによって定義される流線ベクトルを媒介因子にして転がり軌跡を決定する。周知のように、流線(Flow Line)は平面上の物体が垂直方向の重力および平面の傾斜によって移動するラインであって、第K平面の流線ベクトルは第K平面メッシュの法線ベクトルおよび傾きによってp(p、p、p)=p(n・n/sinθ、n・n/sinθ、-sinθ)で定義される。
【0072】
転がり軌跡計算因子として弾性体に作用する外力は、第K平面メッシュ上の弾性体に作用する重力および摩擦力を含むことができる。弾性体は所定の傾きを有する第K平面メッシュ上で転がり移動するので、弾性体に作用する重力加速度は前述した流線ベクトルによって補正されるべきであり、したがって補正された重力加速度と第K平面メッシュの摩擦係数によって弾性体に作用する摩擦減速度を考慮すると、転がり移動中である弾性体に作用する加速度は下記の数学式9により表現される。
【0073】
【数9】
【0074】
数学式9において、gは補正された重力加速度(g・sinθ)、μは第K平面メッシュの摩擦減速度(m/s)、uは転がり開始速度の単位ベクトルである。
【0075】
S500段階で適用される転がり軌跡モデルは等加速度運動方程式によって下記の数学式10のように定義される。
【0076】
【数10】
【0077】
数学式10において、v(t)は転がりを開始した時点からt時間後の弾性体の速度、Vは転がり開始速度、aは弾性体に作用する加速度、B(t)はt時間後の弾性体の位置、Bは転がり開始位置である。v(t)、V、a、B(t)、Bは3軸座標系による3軸成分を有する(便宜上、弾性体の飛行軌跡を計算するための数学式1~7と同一のnotationで表記したが、S200段階による数学式1~7の各因子と、S500段階およびS600段階による数学式9~17の各因子は明確に区分されることを明らかにしておく)。
【0078】
S500段階で、プロセッサ100は弾性体が転がりを開始した以後経過する転がり時間をカウントし(S510)、カウントされる転がり時間の間転がり軌跡モデルによって決定される転がり区間(すなわち、数学式10のB(t))を反映する方式で転がり軌跡を決定する(S520、S530)。
【0079】
一方、弾性体が転がり移動を通じて第K平面メッシュから第K+1平面メッシュに移動する場合が発生し得、この場合、プロセッサ100は連続転がり軌跡決定動作を遂行できる。連続転がり軌跡決定動作は下記の過程で定義される。
【0080】
i)第K平面メッシュおよび第K+1平面メッシュの境界線を定義する数学モデルと転がり軌跡モデルから、第K平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置から境界線に到達するまでの所要時間(通過時間で表記する)を決定する過程.
ii)通過時間、および第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して、第K+1平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度を決定する過程.
iii)決定された第K+1平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度と第K+1平面メッシュ上の弾性体に作用する重力および摩擦力を転がり軌跡計算因子にして第K+1平面メッシュ上で弾性体の転がり軌跡を決定する過程.
各過程に対して具体的に説明すると、第K平面メッシュおよび第K+1平面メッシュの境界線の両端の座標をそれぞれP(X2、Y2、Z2)およびP(X3、Y3、Z3)と定義する時、境界線は下記の数学式11で定義される(図4参照)。
【0081】
【数11】
【0082】
数学式11において、x、yは弾性体が境界線を通過する地点(以下、通過地点)のx座標およびy座標である。
【0083】
弾性体の転がり開始位置から通過地点に到達するまでの通過時間をTとすると、数学式10によって通過地点は下記の数学式12で表現される。
【0084】
【数12】
数学式11と数学式12を連立すると、弾性体の転がり開始位置から通過地点に到達するまでの通過時間Tが下記の数学式13のように導き出される。
【0085】
【数13】
【0086】
前記の過程を通じて通過地点に到達するまでの通過時間Tが決定されると、プロセッサ100は決定された通過時間、および第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して、第K+1平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度を決定する。転がり開始位置は通過地点に該当するので、プロセッサ100は転がり開始速度を決定することになり、ただしこの場合、第K平面メッシュから第K+1平面メッシュに移動時にその傾きが変更され、それにより各平面メッシュの法線ベクトルも変更されるので、プロセッサ100は第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して弾性体の転がり開始速度を決定する(すなわち、第K平面メッシュを基準として計算されたTでの弾性体の速度を、第K+1平面メッシュの法線ベクトルを利用して補正する方式で第K+1平面メッシュでの弾性体の転がり開始速度を決定する)。
【0087】
第K平面メッシュを基準として計算されたTでの弾性体の速度をVi(Vcx、Vcy、Vcz)とする時(Tを数学式10のv(t)に適用して導き出され得る)、第K+1平面メッシュでの転がり開始速度は下記の数学式14のように表現され得る。
【0088】
【数14】
【0089】
数学式14において、n’、n’、n’は第K+1平面メッシュの法線ベクトル成分である。
【0090】
プロセッサ100は前記のように決定された第K+1平面メッシュでの弾性体の転がり開始位置および転がり開始速度と第K+1平面メッシュ上の弾性体に作用する重力および摩擦力を転がり軌跡計算因子にして第K+1平面メッシュ上で弾性体の転がり軌跡を決定する。数学式11~14による連続転がり軌跡決定動作は弾性体が停止するまで繰り返し遂行される。
【0091】
次に、弾性体の停止位置を算出する過程を説明すると(弾性体が第K平面メッシュ上で停止する場合を想定する)、弾性体の転がり開始後停止されるのに所要する時間(停止時間と表記する)をTとする時、数学式9および10により下記の数学式15が導き出される。
【0092】
【数15】
【0093】
数学式15を各軸成分別に区分して整理すると、下記の数学式16の通りである。
【0094】
【数16】
【0095】
プロセッサ100は数学式16を通じて決定されるTsx、Tsy、Tszのうち最大値を最終的な停止時間Tに決定し、決定されたTを数学式10のB(t)に適用して最終的な停止位置Bを決定する。
【0096】
一方、弾性体が一旦停止する場合、それ以上動かないのが正常であるが、風が吹いたり地面の動きによって弾性体に加えられる力が停止摩擦力より大きくなれば弾性体が動き得る。これに伴い、プロセッサ100はS500段階以後、弾性体が停止した状態でフィールドの環境的要因によってエミュレーションされた環境外力(風力または地面の動き)が弾性体に加えられる場合、停止した弾性体が位置した平面メッシュの摩擦力および環境外力から弾性体の変位を計算し、計算された弾性体の変位を転がり軌跡に反映してもよい(S600)。
【0097】
停止摩擦係数により定義される停止摩擦力をF、数学式9による加速度により定義される外力をFとする時、環境外力によって形成される弾性体の速度および位置は下記の数学式17で表現され得る(弾性体の質量は定数であるので1の値を有するものと仮定)。
【0098】
【数17】
【0099】
環境外力による変位を転がり軌跡に反映する過程は、弾性体が最終的に停止するまで(例えば、所定時区間の間弾性体の停止状態が維持される場合)繰り返し遂行され得る。
【0100】
S100段階~S600段階を通じて弾性体の飛行軌跡および転がり軌跡が最終決定されると、プロセッサ100はディスプレイ部500を通じて弾性体の飛行軌跡および転がり軌跡をディスプレイする(S700)。この場合、図5に図示されたようにプロセッサ100は使用者が弾性体の軌跡をより直観的に確認できるように、メッシュモデルではなく該当ゴルフコースの地形がモデリングされた幾何モデル(例:等高線モデル)上で弾性体の軌跡をディスプレイすることができる。
【0101】
一方、本実施例に係る弾性体の軌跡シミュレーション方法は、ハードウェアと結合されて前述したS100段階~S700段階を実行させるためのコンピュータプログラムで作成され得、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されて前記コンピュータプログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現され得る。コンピュータで読み取り可能な記録媒体はROM、RAM、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical media)、フラッシュメモリ(flash memory)のようなプログラム命令語を保存し遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が該当し得る。
【0102】
このように、本実施例は弾性体の初期位置および初期速度を所定の数学的モデルで定義された飛行軌跡モデルに適用して弾性体に加えられた外力によって形成される飛行軌跡を決定し、弾性体の着地後転がり開始位置および転がり開始速度を所定の数学的モデルで定義された転がり軌跡モデルに適用して弾性体の転がり軌跡を決定する方式を採用して弾性体の軌跡をシミュレーションすることによって、高価な装備および大規模施設なしに、より迅速で正確、低費用で弾性体の軌跡をシミュレーションすることができ、このような弾性体の軌跡シミュレーション方式を、ゴルファーが所持したスマートフォンのようなポータブルデバイスに搭載することによって、ゴルファーの立場でゴルフボールを打撃する前に、より簡素な方式で打撃による予想軌跡の提供を受けることができるという点でも利点を有する。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本明細書で説明された具現は、例えば、方法またはプロセス、装置、ソフトウェアプログラム、データストリームまたは信号で具現され得る。単一形態の具現の脈絡でのみ議論(例えば、方法としてのみ議論)されたとしても、議論された特徴の具現はさらに他の形態(例えば、装置またはプログラム)でも具現され得る。装置は適切なハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアなどで具現され得る。方法は、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラミング可能なロジックデバイスなどを含むプロセッシングデバイスを一般的に指称するプロセッサなどのような装置で具現され得る。プロセッサはまた、最終-使用者の間で情報の通信を容易にするコンピュータ、セルフォン、携帯用/個人用情報端末機(personal digital assistant:「PDA」)および他のデバイスなどのような通信デバイスを含む。
【0104】
本発明は図面に図示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は下記の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0105】
10:弾性体の軌跡シミュレーション装置、コンピューティングデバイス、ポータブルデバイス
100:プロセッサ
200:メモリ
300:測位部
400:通信部
500:ディスプレイ部
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】