(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】キノン化合物及びその薬学的使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240306BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240306BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240306BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240306BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240306BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240306BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D471/04 CSP
A61K31/4745
A61P25/08
A61P25/24
A61P25/04
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P1/16
A61P9/00
A61P25/00
A61P25/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560643
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2022083261
(87)【国際公開番号】W WO2022206654
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110364689.6
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518272647
【氏名又は名称】南京舒鵬生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING SHUPENG LIFESCIENCE CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.180,West Hankou Road,Nanjing City,Jiangsu,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェン チョアンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ チュンイー
(72)【発明者】
【氏名】スン フェンヨン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065JJ03
4C065JJ05
4C065KK01
4C065KK08
4C065LL04
4C065PP01
4C065QQ05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC19
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は一般式(I)に記載の化学構造を有するキノン化合物及びその薬学的使用を開示する。本発明は薬用価値を有し、独特の止痛効果を有し、炎症を抑制し、腫瘍細胞の浸潤及び成長を抑制する。鎮痛、抗腫瘍、抗炎、自己免疫疾患治療等のための医薬の製造に有用である。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化1】
(式中、
R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、
R
2が、H、C
1~C
3アルキル、NH
2、NHR又は-COOHから選択され、
R
3が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
4が、H、C
1~C
3アルキル又はC
6~C
10アリールから選択され、
R
5が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
6が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
ここで、RはC
1~C
6アルキルであり、好ましくは、RはC
1~C
3のアルキルである。)
【請求項2】
式(II)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化2】
(式中、R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、Rが、C
1~C
6アルキルであり、好ましくは、RがC
1~C
3のアルキルである。)
【請求項3】
以下に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項4】
式(II)に示す化合物の製造方法。
【化6】
【請求項5】
本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、AMPKアゴニストとしての使用。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、Cox-2酵素の阻害剤としての使用。
【請求項8】
鎮痛薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項9】
炎症性疾患を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項10】
抗腫瘍薬の製造、又は細胞毒による腫瘍化学療法、化学物質もしくは医薬及び慢性肝炎に起因する多種の肝損傷、肝機能低下を予防及び治療し及び心筋梗塞損傷、ウイルス性心筋炎を予防及び治療する医薬の製造、神経変性、変化疾患及びてんかん、片頭痛を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項11】
化学療法に起因する末梢神経障害を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項12】
うつ病を予防及び治療する医薬の製造、及び鎮静薬又は催眠薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品化学の分野に関し、具体的には、一般式(I)に記載の化学構造を有する新規構造の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロロキノリンキノン(pyrroloquinoline quinone,PQQ)は、細菌デヒドロゲナーゼにおいてフラビンヌクレオチド(FAD)及びニコチンアミドヌクレオチド(NAD)に続いて発見された3種類目の補欠分子族であり、化学名が4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキシ-1-ヒドロピロール(2,3f)キノン-2,7,9-トリカルボン酸である。その構造式は以下のとおりである。
【化1】
【0003】
自然の条件下でPQQを合成できる細菌は少数に限られるが、各種の植物、動物及び人体内に微量に含有されるPQQが観察され、特に母乳中の相対含有量が高い。PQQは動物及び植物組織において広く存在するオキシドレダクターゼ補欠分子族として、含有量が非常に低いが、重要な役割を果たしている。新規発見されたミトコンドリア呼吸鎖成分として、生体内の酸化還元反応の触媒に関与するだけでなく、非常に多様な生物活性をも有し、欠乏したら哺乳動物に様々な障害が起こるため、新しいビタミンと認められる。
【0004】
PQQの研究は1959年からであり、非リン酸化細菌のグルコース代謝(一般的には細菌はグルコース-6-リン酸経路を介してグルコースを代謝する)の研究において、アシネトバクター・カルコアセティクス(Acinetobacter calcoaceticus)に含有されている、NAD(P)及びFADに依存しないグルコースデヒドロゲナーゼ(glucose dehydrogenase,GDH)が観察された。その後、Haugeはこの酵素によって分離可能な補欠分子族を得、この補欠分子族がナフトキノンの誘導体であり得ると推測した(Hauge, J.G., Glucose dehydrogenase of bacterium anitratum: an enzyme with a novel prosthetic group. J Biol Chem. 1964 Nov;239:3630-9)。
【0005】
Duineらは1979年に、当該補欠分子族が2つのN原子を含有するキノン型構造の物質であると宣言した(Duine JA, Frank J, van Zeeland JK. Glucose dehydrogenase from Acinetobacter calcoaceticus: a ‘quinoprotein’. FEBS Lett. 1979 Dec 15;108(2): 443-6)。同時に、SalisburyらはX線結晶回折技術によって当該補欠分子族の結晶性アセトン付加物を分析した上で、この補欠分子族がトリカルボキシピロロキノリンキノン構造であり、その構造式が4,5-ジヒドロ-4,5-1ジオキソ-ヒドロピロロ(2,3-f) キノリン-2,7,9-トリカルボン酸であると判定した(Salisbury SA, Forrest HS, Cruse WB, Kennard O. Nature. 1979 Aug 30; 280 (5725): 843-4)。
【0006】
PQQの発見はキノン酵素研究の歴史における重要なイベントであり、人々に新しい補欠分子族を紹介するとともに、酵素学においても、キノン酵素、即ちPQQ及び他のキノン化合物を補欠分子族としたオキシドレダクターゼ類という新しい分岐の出現を意味する。PQQ発見前に、オキシドレダクターゼはNAD/NADPとFAD/FMNの2種類の補欠分子族しかないと考えられていた。
【0007】
PQQは幅広い機能を有し、以下に簡単に説明する。
【0008】
1、PQQは幅広い栄養補給機能を有する。
PQQは微生物及び植物の成長を促進し、動物の成長と生殖に影響することができる。動物が内因的に生成できないPQQは、不可欠の栄養因子である。PQQの欠乏により、マウスの成長と発育不良及び生殖能力の低下が起こり得、雌マウスの場合、産子数は飲食品にPQQが含有される雌マウスの半分しかなく、且つPQQ欠乏の雌マウスの後代は半数、離乳期(4週間)を生き延びることができない。
【0009】
マウス食物中のPQQが200ng/gを下回る場合、細胞増殖に必要なサイトカイニン、特にリンパ球の分裂と増殖を促進するIL-2が減少し、T細胞の成熟、加工過程が阻害され、最終的に成熟したT細胞に欠陥があり、マウス生体の免疫反応力が低下する(Steinberg, F.M. et al. Dietary pyrroloquinoline quinone: growth and immune response in BALB/c mice. Journal of Nutrition, 1994. 124(5): p 744)。
【0010】
妊娠期のマウス又は新生児のマウスにPQQが欠乏すると、皮膚中のリジルオキシダーゼの含有量が著しく減少し(正常な皮膚の値の10%~30%しかない)、コラーゲンの溶解度が倍になり、皮膚が乾燥し、脱落しやすくなる。このことから、PQQはコラーゲンの架橋及び皮膚の健康に重要な価値がある(Nishigori et al, Preventive effect of pyrroloquinoline quinone (PQQ)on biliverdin accumulation of the liver of chick embryo after glucocorticoid administration. Life Sciences, 1993. 52 (3): p 305-12)。
【0011】
2、抗酸化機能
生体内の各種ラジカルの生成と除去は動的平衡状態にあるべきである、即ち生体内のラジカルは常に一定のレベルに維持される必要がある。ラジカルの過剰又は過不足は生体に不利である。過剰の場合、生体の老化が進んで癌、心臓病等を含む様々な疾患が発症する。過不足の場合、健康が影響され、ひいては正常な代謝が阻害され、又は別の疾患が誘発される。PQQは以下の数方面のメカニズムによって生体の酸化損傷を防止する。
【0012】
動物細胞組織及び体液中の遊離状態のPQQはキノン型、ハイドロキノン型及びセミキノン型で存在し、酸素とO2-の相互変換を触媒し、生体のラジカル平衡の維持を助けることができる。
【化2】
【0013】
PQQとスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は結合して、酸化水素を発生していた広域スペクトルオキシダーゼ系を形成することで、スーパーオキシドアニオンラジカルが細胞に与えるダメージを抑制する。そのうち、SODはアポ酵素タンパク質として、PQQは非共有結合した酸化還元補欠分子族として機能する。
【0014】
PQQは「NAD+→NADH」の反応を加速することで、利用後の酸化型グルタチオン(GSSG)をより迅速に還元型グルタチオン(GSH)に変換する。
【化3】
【0015】
PQQ自体は当該ラジカルに対する強い除去能力をも有し、アスコルビン酸の50~100倍に相当する(Akaike T , Sato K , Maeda H , et al. PQQ as a Generator and a Scavenger of Oxygen Radicals : Determination with ESR Spectroscopy using a Spin Trap Agent(M)// Enzymes Dependent on Pyridoxal Phosphate and Other Carbonyl Compounds As Cofactors. 1991)。
【0016】
3、PQQと疾患
PQQが栄養と抗酸化の特長を有するため、多くの実験室疾患モデルにおいて一定の予防と治療効果を示す。
【0017】
(1)心臓を酸化損傷から守る
PQQの心臓に対する保護作用はそのラジカル除去能力に関連する。PQQは低酸素再灌流により生成された活性酸素(reactive oxygen species,ROS)を除去し、心臓中の乳酸デヒドロゲナーゼの放出を著しく低減することができ、フラビンレダクターゼの触媒作用下で、その触媒生成物はヘモグロビンの過酸化状態を軽減し、低酸素再灌流が心筋に与えるダメージを解消することもできる。研究によると、PQQを使用して虚血-再灌流マウスの心臓を保護する場合、心筋梗塞範囲が著しく縮小され、左心室圧及び左心室拡張期圧の昇降速度が高められ、心室細動が低減され、心筋組織中のマロンジアルデヒドのレベルが低下する。PQQは過酸化水素誘導のラット心筋細胞ROSの生成、及びミトコンドリア膜電位の低下を抑制することで、酸化ストレスを軽減し、ミトコンドリア機能の不活性化を抑制し、ラット心筋細胞を保護することもできる(Zhu BQ, Zhou HZ, Teerlink JR, Karliner JS. Cardiovasc Drugs Ther. 2004 Nov;18(6):421-31、Xu X, Chen C, Lu WJ, Su YL, Shi JY, Liu YC, Wang L, Xiao CX, Wu X, Lu Q. Cardiovasc Diagn Ther. 2020 Jun;10(3):453-469)。
【0018】
(2)肝損傷を予防及び治療する
四塩化炭素(CCl)、ガラクトサミン、硫化アセトアミド等の毒素によるラット実験的肝損傷は、事前に腹腔内に一定用量のPQQ及びその誘導体を注射することで予防することができる。PQQは肝毒性物質によるROS生成を低減し、血清ビリルビングルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic pyruvic transaminese,GPT)及び乳酸デヒドロゲナーゼのレベルを著しく低下させ、肝細胞壊死を阻止することができ、さらに、ラットの通常生化学指標(血糖値、血中尿中窒素等)に影響を及ぼすことがない(Tsuchida, T., et al., The protective effect of pyrroloquinoline quinone and its derivatives against carbon tetrachloride-induced liver injury of rats. J Gastroenterol Hepatol, 2010. 8(4): p. 342-347)。
【0019】
(3)神経の成長を促進し、神経系を保護する
神経成長因子(nerve growth factor,NGF)は神経栄養因子のうち最初に発見され、最も徹底的に研究されたものであり、ニューロン栄養と神経保護の二重生物学的機能を有し、中枢及び末梢ニューロンの成長、発育、分化、再生及び生体機能特異的な表現に対して重要な調節制御作用を果たす。実験によると、インビトロで、PQQはL-M細胞、シュワン細胞によるNGF生成を刺激することができる(Urakami T , Tanaka A , Yamaguchi K , et al. Synthesis of esters of coenzyme PQQ and IPQ, and stimulation of nerve growth factor production.(J). Biofactors, 1995, 5(3):139)。
【0020】
(4)アセトアルデヒド中毒を防止する
アセトアルデヒドはアルコールの動物体内での中間代謝物であり、毒性を有し、多くの人はアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子が変異し、機能不全であるため、飲酒後にアセトアルデヒドが蓄積し、赤面、眩暈等の軽度のアセトアルデヒド中毒症状が発生する。
【0021】
齧歯動物を使用して実験を行ったところ、PQQはアセトアルデヒドの代謝に役立つことが発見された。エタノールをラットに胃入投与する前に、その腹腔内にPQQを注射し(用量は11.5mg/kg体重)、試験したところ、処理群のラット血中及び肝中エタノールの濃度は対照群に比べて有意差がないが、前者のアセトアルデヒド濃度は後者より遥かに低い。他のキノン誘導体例えばコエンザイムQ10でPQQを代替する場合にも、類似の作用がある(Hobara N , Watanab A , Kobayashi M , et al. Quinone derivatives lower blood and liver acetaldehyde but not ethanol concentrations following ethanol loading to rats.(J). Pharmacology, 1988, 37(4):264-267)。
【0022】
(5)鎮痛作用
神経因性疼痛は体性感覚神経系の損傷による慢性痛であり、Gongらは、PQQはラットCCIモデルにおいて鎮痛の作用を果たし、これはPQQのNMDA受容体阻害作用に関連している可能性があることを発見した(Gong D, Geng C, Jiang L, Aoki Y, Nakano M, Zhong L. Effect of pyrroloquinoline quinone on europathic pain following chronic constriction injury of the sciatic nerve in rats. Eur J Pharmacol. 2012 Dec 15;697(1-3):53-8)。
【0023】
米国では2009年に初めのPQQサプリメントが承認され、PQQが水にやや可溶であるため、当該サプリメントの成分はPQQナトリウム塩(PQQ-2Na+)とし、溶解性がより高い。2018年に、ヨーロッパ連合もPQQ-2Na+を健康食品として承認し、その適用対象は妊婦、授乳期の女性を除いた大人である。市販のPQQナトリウム塩の用量は≦20mg/日間である。PQQは内服すると主に小腸で吸収され(~60%)、服用から24時間後、80%が腎臓(尿)を経て排出される。ラットの安全用量は下記表に示すとおりである。
【0024】
【0025】
ヒト対照二重盲検臨床試験では、ボランティアが60mg/日間でPQQを1ヶ月服用したところ、副作用が発生せず、腎臓損傷マーカも変化なしであった。FDAの安全用量について、60kg程度の健康な大人は毎日240mgのPQQを摂取しても有害事象が殆どない(FDA, Generally Recognized as Safe (GRAS) notice of pyrroloquinoline quinone disodium salt as a food ingredient)。
【0026】
PQQは発見以来、既に40年余りが過ぎたが、健康食品として米国で10年市販されている間に、医薬として開発及び使用することは一度もなかった。その原因を追究したところ、発明者らは以下の3点にあるかもしれないと判断した。1、バイオアベイラビリティが低く、PQQプロトタイプは水溶性が低く、発明者らの研究によると、PQQのビーグル犬におけるバイオアベイラビリティは約12%である。2、ターゲットが不明であり、分子メカニズムが不明である。3、PQQ構造は公開されて40年余りも過ぎ、構造が保護されておらず、医薬として開発する商業的価値が限られる。したがって、PQQ再構築によって、バイオアベイラビリティがより高く、作用するターゲットが明確で、分子メカニズムが明確で、効用が顕著で、且つ特許保護された新規な構造を得ることは、科学的にも商業的にも重要な意義がある。
【0027】
AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)は生体エネルギー代謝調節の重要な分子であり、糖尿病及び他の代謝関連疾患に対する研究の核である。それは各種の代謝関連臓器において発現され、細胞ストレス、移動及び多種のホルモン並びに細胞代謝に影響し得る物質を含む様々な生体刺激によって活性化可能である。遺伝及び薬理学的研究によると、AMPKは生体のグルコース平衡維持に必須のものである。代謝性疾患に加えて、AMPKは、神経変性疾患(Curry DW, Stutz B, Andrews ZB, Elsworth JD.TargetingAMPKSignaling as a Neuroprotective Strategy in Parkinson’sDisease. J Parkinsons Dis. 2018;8(2):161-181)、心血管疾患(Feng Y, Zhang Y, Xiao H. AMPKandcardiacremodelling. Sci China Life Sci. 2018 Jan;61(1):14-23)、腫瘍(Wang Z, Wang N, Liu P, Xie X. AMPKandCancer. Exp Suppl. 2016;107:203-226)、病的痛み(Asiedu MN, Dussor G, Price TJ. TargetingAMPKfor the Alleviation of PathologicalPain. Exp Suppl. 2016;107:257-285)、病原性微生物(ウイルスを含む)感染(Silwal P, Kim JK, Yuk JM, Jo EK. AMP-Activated Protein Kinase and Host Defense against Infection. Int J Mol Sci. 2018 Nov 6;19(11):3495)等の疾患にも関連する。AMPKは老化防止と寿命延長の研究における重要なターゲットでもある(Burkewitz K, Zhang Y, Mair WB.AMPKat the nexus of energetics andaging. Cell Metab. 2014 Jul 1;20(1):10-25)。Chengらは、ロテノン誘発パーキンソン病モデルにおいて、PQQがAMPKを活性化することでミトコンドリア合成を促進でき、疾患治療作用を有すると報告していた(Cheng Q, Chen J, Guo H, Lu JL, Zhou J, Guo XY, Shi Y, Zhang Y, Yu S, Zhang Q, Ding F. Pyrroloquinoline quinone promotes mitochondrial biogenesis in rotenone-induced Parkinson’s disease model viaAMPKactivation. Acta Pharmacol Sin. 2020 Aug 28)。発明者らは多種の細胞において、100nMのPQQ及びその再構築化合物SP3101及びSP3102がAMPKのリン酸化レベル(AMPKの活性化状態)を著しく向上可能であることを発見した。
【0028】
一般的には、PQQが体内の抗酸化信号経路を刺激することでその一連の生体学的効用を発揮させると考えられている。PQQは鎮痛薬として使用する場合、効力の効く速度が遅く、急性鎮痛薬としての使用に適しない。
【発明の概要】
【0029】
本発明の目的は、PQQを再構築することで、構造式(I)に示す化合物を得ることであり、当該化合物は鎮痛速度が速く鎮痛時間が長いという特長を有する。
【0030】
一態様において、本発明は式(I)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグを提供する。
【化4】
式中、
R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、
R
2が、H、C1~C3アルキル、NH
2、NHR又は-COOHから選択され、
R
3が、H、C1~C3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
4が、H、C1~C3アルキル又はC6~C10アリールから選択され、
R
5が、H、C1~C3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
6が、H、C1~C3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
ここで、RはC1~C6アルキルであり、いくつかの具体的な実施例において、RはC1~C3のアルキルである。
【0031】
本発明のいくつかの実施例において、本発明は式(II)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグをさらに提供する。
【化5】
式中、R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、RがC1~C6アルキルであり、いくつかの具体的な実施例において、RはC1~C3のアルキルである。
【0032】
本発明は以下の結果に示すいくつかの化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグをさらに提供する。
【化6】
【化7】
【化8】
【0033】
本発明の別の態様において、式(II)に示す化合物の製造方法をさらに提供する。
【化9】
【0034】
本発明における化合物で形成され得る塩も本発明の範囲に属する。特に断らない限り、本発明における化合物はその塩類を含むものと解される。例えば、式(I)の化合物と一定量例えば同当量の酸又は塩基と反応し、媒体から塩が析出し、又は水溶液で凍結乾燥によって得られる。
【0035】
本発明における化合物は、順に製造、分離、精製によって得られた当該化合物の重量含有量が90%以上であり、例えば、95%以上であり、99%以上であり(「純度が非常に高い」化合物)、本文に記載される。ここのような「純度が非常に高い」本発明の化合物も本発明の一部を構成する。
【0036】
本明細書は、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0037】
本発明は、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、AMPKアゴニストとしての使用をさらに提供する。
【0038】
本発明は、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、Cox-2酵素の阻害剤としての使用をさらに提供する。
【0039】
本発明は、鎮痛薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0040】
本発明に記載の鎮痛薬は、作用する痛みがいかなる身体損傷、疾患又は悪い外部刺激に起因する不快感、例えば手術、炎症、腫瘍、心筋梗塞損傷、細菌感染、ウイルス感染、神経疾患等のような様々な要因に起因する各種の痛みであり得る、神経疾患による痛みは、例えば、神経変性、神経変化による痛み、又はてんかん、片頭痛等による痛み、又は多種の肝損傷、心筋梗塞損傷等による痛みを含むが、それらに限定されない。
【0041】
本発明は、炎症性疾患を予防及び治療する医薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供し、本発明に記載の炎症性疾患は細菌又はウイルス感染に起因する炎症反応であり得、例えば、細菌又はウイルス感染に起因する肺の炎症等の呼吸器炎症、ウイルス性心筋炎、細菌又はウイルスに起因する肝炎又は肝機能低下を含むが、それらに限定されず、又は、腫瘍免疫治療に起因する過剰な炎症反応であってもよく、自己免疫疾患、同種異系臓器移植及び組織移植の拒絶反応に起因する炎症反応であってもよい。
【0042】
本発明は、抗腫瘍薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0043】
本発明は、細胞毒による腫瘍化学療法、化学物質又は医薬及び慢性肝炎に起因する多種の肝損傷、肝機能低下を予防及び治療し及び心筋梗塞損傷、ウイルス性心筋炎を予防及び治療する医薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0044】
本発明は、神経変性、変化疾患及びてんかん、片頭痛を予防及び治療する医薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0045】
本発明は、ウイルス感染、ウイルス感染に起因する炎症性嵐を予防及び治療する医薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0046】
本発明は、化学療法による末梢神経障害、例えば化学療法による痛みを予防及び治療する医薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0047】
本発明は、うつ病を予防及び治療する医薬の製造、及び鎮静薬又は催眠薬の製造のための、本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。
【0048】
本発明の用語は、特に断らない限り、以下のとおり定義される。
用語「C1-C3アルキル」、「C1-C6アルキル」、「C2-C6アルキル」及び「C3-C6アルキル」とは、それぞれ1から3、1から6、2から6又は3から6の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖1価炭化水素基である。実例は、メチル、エチル、1-プロピル、イソプロピル、1-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、ネオペンチル及びヘキシルを含む(それらに限定されない)。アルキル基は置換又は未置換のものである。置換された場合、置換基は好ましくは1つ又は複数であり、より好ましくは1つ、2つ又は3つであり、さらに好ましくは1つ又は2つであり、独立して低級アルキル、トリハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルコキシ、チオール、(低級アルキル)スルファニル、シアノ、アシル、チオアシル、O-カルバモイル、N-カルバモイル等から選択される。
【0049】
用語「アリール」とは1から12の炭素原子の全炭素単環又は縮合多環基を意味し、完全共役π電子系を有する。アリールの非限定的な実例は、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが挙げられる。アリールは置換又は未置換のものであり得る。置換された場合、置換基は好ましくは1つ又は複数であり、より好ましくは1つ、2つ又は3つであり、さらに好ましくは1つ又は2つであり、独立して低級アルキル、トリハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルコキシ、チオール、(低級アルキル)スルファニル、シアノ、アシル、チオアシル、O-カルバモイル、N-カルバモイル、O-チオカルバモイル、N-チオカルバモイル、C-アシルアミノ、N-アシルアミノ、ニトロ、N-スルホニルアミノ、S-スルホニルアミノ等から選択される。好ましくは、アリールは1つ又は2つの置換基によって置換されてもよく、置換基は独立して、ハロゲン、低級アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシル、チオール、シアノ、N-アシルアミノ、モノ又はジアルキルアミノ、カルボキシル又はN-スルホニルアミノから選択される。
【0050】
従来技術に比べ、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明に記載の化合物は造塩後に水溶性が高く、バイオアベイラビリティも高い。生物学的に、これらの新規構造は、同様にAMPK活性化作用を有することに加えて、意外にCox-2酵素の阻害作用が得られ、独特の抗炎症、鎮痛の効果を有する。完全フロイントアジュバントで構築された炎症性疼痛モデルにおいて、単回用量のSP3101、SP3102、SP3103は鎮痛効果がすぐに発揮され、経口投与で1.5時間に鎮痛効果が明らかになり、且つ72時間持続できる。興味深いことに、投与前の半時間に、ラット尾静脈を介してAMPK阻害剤を注射したら、これらの鎮痛薬の短期間鎮痛効果に影響がないが、24時間後に鎮痛効果が完全に消え、このことから、その長期間鎮痛効果はAMPKによる活性化に依存し、また、このような医薬は鎮痛作用が少なくとも2種類のターゲットによって発揮し、即ち短期間(1.5時間)鎮痛と長期間(24~72時間)鎮痛作用のターゲットは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】ラットに20mg/kgのSP3101を単回経口投与した後の鎮痛効果図である。
【
図2】ラットに25mg/kgのイブプロフェンを連続経口投与した鎮痛効果図である。
【
図3】ラットに20mg/kg/dayのSP330(PQQ)を3日間連続経口投与した鎮痛効果図である。
【
図4】AMPK阻害剤compound cによるSP3101長期間鎮痛作用への阻害である。
【
図5】SP3101の一連の分子作用の分子メカニズムである。
【
図6】SP3101によるcox-2活性阻害である。
【
図7】SP3101によるマウス肝炎ウイルス(MHV)誘発マウス肺炎への抑制である。
【
図8】マウスに40mg/kgのSP3101を単回経口投与した後の、坐骨神経慢性圧迫(CCI)モデルへの鎮痛効果図である。
【
図10】SP3101のオキサリプラチン化学療法疼痛モデル実験効果である。
【
図11】特定の疼痛閾値に対して1.0g von freyフィラメントを用い、マウス1匹について10回検出し、マウスの陽性反応の回数を記録し、マウスの陽性反応が総検出回数に占めるパーセンテージを求めた統計を示す図である。
【
図12】特定の疼痛閾値に対して0.4g von freyフィラメントを用い、マウス1匹10回検出し、マウスの陽性反応の回数を記録し、マウスの陽性反応が総検出回数に占めるパーセンテージを求めた統計を示す図である。
【
図13】0.07g von freyフィラメントを選択し、マウス1匹10回検出し、マウスの陽性反応の回数を記録し、マウスの陽性反応が総検出回数に占めるパーセンテージを求めた統計を示す図である。
【
図14】0.4g von freyフィラメントを選択し、マウス1匹10回検出し、マウスの陽性反応の回数を記録し、マウスの陽性反応が総検出回数に占めるパーセンテージを求めた統計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の実施例は本発明をより理解しやすくするためのものであるが、本発明を限定するものではない。下記実施例における実験方法は、特に断らない限り、全て通常の方法である。下記実施例で用いられる試験材料は、特に断らない限り、全て通常の生化学試薬店から購入したものである。
【0053】
1、機器と試薬:ALMEMO2490データ収集装置:ドイツAHLBORN社。
2、PQQ二ナトリウム塩は海正薬業から購入される。
3、MHV-A59ウイルス株は蘇州西山生物技術有限公司から購入され、PFU/ミリリットルは1.4X107である。
4、RAW264.7は北京協和細胞センタから購入される。
【0054】
実施例1 化合物SP3101(中国語名:
【化10】
(4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1ヒドロ-ピロール[2,3-f]キノリン-7-ヒドロキシ-9-カルボン酸))の製造と同定
【0055】
PQQサンプルを1MのNaOH水溶液で溶解させ、濃度100mg/mlとし、複数の反応フラスコに注ぎ、マイクロ波によって250℃で1時間反応させ、取り出した。LCMSで検出したところ、分解主生成物の分子量は258であり、サンプルを濾過し、Prep-LCで高圧にて数回製造し、製造条件は、高圧C18-アセトニトリル/2mM酢酸アンモニウム、勾配2%~30%である。製造されたサンプルを遠心して有機相を除去した後、凍結乾燥し、凍結乾燥後のサンプルをオーブン内で105度にて2時間乾燥させ、秤量する。
【0056】
質量分析エレクトロスプレーイオン化の陽イオンモードでm/z=259.2(M+1)+と検出し、このことから、化合物の遊離分子量は258である。
【0057】
核磁気共鳴スペクトルを表1に示す。
【0058】
【0059】
核磁気共鳴データの比較と解析を経た後、さらにサンプルにマレイン酸を加えて水素スペクトルを作ったところ、2つのNH4
+の信号が明らかに示され、このことから、化合物はジアミン塩である。
【0060】
TGA重量損失分析結果によると、サンプルは150℃で5.97%重量損失し、前にサンプルが105℃で乾燥したこと及び核磁気共鳴と組み合わせて推測すると、サンプル中に1分子の結合水が含有される。
【0061】
精製後不純物へのUPLC-MS、核磁気共鳴スペクトルの解析及びTGA重量損失分析によって、以下の構造として確認でき、その名はSP3101のジアンモニウム塩とし、通常の処理によって、SP3101形態とすることができる。
【化11】
【0062】
実施例2 化合物SP3102(中国語名:
【化12】
(7-アセトキシ-4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1ヒドロ-ピロール[2,3-f]キノリン-9-カルボン酸))の製造と同定
【0063】
原料のSP3101(3.1グラム、0.01モル)を乾燥したピリジン(6ミリリットル)で溶解させ、続いて無水酢酸(6ミリリットル)を加え、室温で20時間撹拌して反応させる。反応終了後に溶媒を遠心して乾燥させ、得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって分離し、化合物SP3102が得られた。
【化13】
【0064】
質量分析エレクトロスプレーイオン化の陽イオンモードでm/z=300.1(M+1)+と検出し、このことから、化合物SP3102の遊離分子量は300である。その核磁気共鳴スペクトルを表2に示す。
【0065】
【0066】
実施例3 化合物SP3103(中国語名:
【化14】
(7-メトキシ-4,5-ジオキソ-4,5-ジヒドロ-1ヒドロ-ピロール[2,3-f]キノリン-9-カルボン酸))の製造と同定
【0067】
反応フラスコに、まず硫酸ジメチル(1.26グラム、0.01モル)を加え、80℃に昇温させ、さらにバッチで原料のSP3101(3.1グラム、0.01モル)を加え、TLC監視によって原料が反応に完了した後、零度で反応液に一定量の水を加え、さらにアンモニア溶液をゆっくり滴下し、重炭酸ナトリウム溶液を滴下して反応液pHを4程度にし、吸引濾過して生成物のSP3103が得られた。
【化15】
【0068】
質量分析エレクトロスプレーイオン化の陽イオンモードでm/z=273.1(M+1)+と検出し、このことから、化合物の遊離分子量は272である。その核磁気共鳴スペクトルを表3に示す。
【0069】
【0070】
活性実験1 炎症性疼痛モデル及び医薬鎮痛研究
200~250グラムのSDラットを、4匹の左足底に生理食塩水を注射して正常対照群(NC)とし、18匹について炎症性疼痛モデルを構築し、即ち左足底に100マイクロリットルの完全フロイントアジュバントを注射し、24時間後にALMEMO2490データ収集装置で左足の機械的疼痛閾値を検出し、疼痛閾値が15グラムを超えた2匹のラットを捨て、残りの16匹のラットをランダムに4群に分け、1群4匹で、それぞれ水(PC)、SP3101(20mg/kg)、PQQ(20mg/kg)及びイブプロフェン(25mg/kg/d)を胃入投与した。
【0071】
結果は
図1~
図3に示すとおりである。
そのうち、
図1はラットに20mg/kgのSP3101を単回経口投与した後の鎮痛効果図である。単回経口投与で1.5時間に明らかな鎮痛効果が発揮され、且つ効果が72時間(1~4日間)、5~7日間持続した時、鎮痛効果が降下するが、モデル群(PC)に比べて、依然として有意差がある(*はp<0.05を表し、**はp<0.01を表し、***はp<0.001を表し、以下同様)。
【0072】
図2はラットに25mg/kgのイブプロフェンを連続経口投与した鎮痛効果図である。イブプロフェン用量は1キログラムの体重あたり25ミリグラムとし、1日1回で、連続3日経口投与し、毎回投与から1.5時間後に疼痛閾値を検査する。SP3101と同様に、イブプロフェンはすぐに効果が効き、経口投与から1.5時間後に明らかに鎮痛でき、1/2/3日間連続投与した後、いずれも著しく鎮痛でき、投与前に鎮痛効果はなく(データは示さず)、4日目には投与せず、いかなる鎮痛効果もない。
【0073】
図3はラットに20mg/kg/daySP330(即ちPQQ)を連続3日経口投与した鎮痛効果図である。1日目に経口投与から1.5時間後に鎮痛効果はなく、2/3/4/5/6/7日目にはいずれも明らかな鎮痛効果がある。
【0074】
結果によると、本発明に記載の化合物SP3101は迅速鎮痛及び長期間鎮痛の効果を有する。且つ発明者は化合物SP3102及び化合物SP3103も同様な効果を有することを発見した。
【0075】
活性実験2 長期間鎮痛作用のメカニズム研究
活性実験1におけるモデリング方法と同様にして、200~250グラムのSDラットを、左足底に100マイクロリットルの完全フロイントアジュバントを注射し、24時間後にALMEMO2490データ収集装置で左足の機械的疼痛閾値を検出し、疼痛閾値が15グラムを超えたラットを捨てた。モデリング2日目に1匹のラットあたり尾静脈にAMPK阻害剤compound c(Dorsomorphin、CAS No.866405-64-3、CC、0.4mg/ml)を100マイクロリットル注射し、半時間後にSP3101(20mg/kg)を経口投与し、それぞれ1.5時間及び24時間後に疼痛閾値を検出した。
【0076】
結果は
図4に示すとおりであり、AMPKの抑制はSP3101の短期間(1.5時間)鎮痛作用に影響しないが、その長期間(24時間)鎮痛作用を解消する。
【0077】
活性実験3 AMPKのアゴニスト
RAW264.7細胞を2つの6ウェルプレートに播種し、密度が約90%になるまで成長させ、それぞれ異なる濃度のSP3101及びSP3102を加えた。24時間後にRIPAで細胞を破砕させ、タンパク質ハイブリダイゼーションによってタンパク質発現を検出する。
【0078】
AMPK127位のセリンのリン酸化は活性化の印であり、結果は
図5に示すように、0.1uM濃度のSP3101及びSP3102でAMPKを著しく活性化でき(p-AMPK発現が増加)、また、抗酸化転写因子Nrf2は用量依存的に発現が増加し、オートファジー関連タンパク質LC3B発現も増加した。このことから、SP3101及びSP3102で代表される本発明に記載の化合物はAMPKのアゴニストである。
【0079】
活性実験4 Cox-2阻害剤
1、サンプル製造
(1)RAW264.7を解凍し、細胞長密度を約100%とし、PBSで2回洗浄する。
(2)1μg/mlのLPSを含む無血清DMEM培地で3時間培養した後に1μg/mlのLPSを含む2%血清含有DMEM培地で21h培養する。
(3)1110μlの細胞破砕液を調製し、細胞に合わせてピぺッティングし、氷浴シェーカーで15min振盪し、遠心分離機を起動して降温させる。
(4)チップで大培養皿をこすり、処理液を吸引して2つのEP管に分注し、12000r、15min、4℃で処理した後に、氷上で保存する。
【0080】
2、COX活性検出
シクロオキシゲナーゼCOX活性検出はabcamキット(ab204699 cox activity assay kit, fluorometric)を採用し、説明書に従って扱い、最後にEx/Em=535/587nmで蛍光検出を行う。
【0081】
結果は
図6示すとおりであり、結果によると、SP3101は陽性対照であるセレコキシブと同様なcox-2活性阻害作用を有する。
【0082】
活性試験5 SP3101による炎症抑制
C57BL/B6マウスにMHV-A59ウイルスを点鼻すればウイルス性肺炎を誘発することができ、当該モデルによってSP3101のウイルス誘発マウス肺炎に対する抑制能力を研究する。
【0083】
MHV-A59ウイルス株は蘇州西山生物技術有限公司から購入され、PFU/ミリリットルは1.4X107である。
【0084】
6週齢のマウスを1群8匹で3群に分ける。マウスを麻酔した後に正常対照群に生理食塩水を経鼻投与し、残りの2群についてウイルス性肺炎モデルを以下のように構築する。MHVを経鼻投与し、PFU=1.4×105で、1匹10μlとし、左右鼻にそれぞれ5μl投与し、約3~6h経つとマウスが覚醒した。モデル治療群に対してSP3101水溶液を胃入投与し、SP3101群の用量は20ミリグラム/キログラム体重/日間(mg/kg/d)とした。
【0085】
連続5日投与し、最終回の投与から4時間後、マウスを麻醉し、解剖し、肺臓をパラホルムアルデヒドで固定してHE染色用に保存する。病理切片は
図7に示され、SP3101はウイルス誘発肺炎に対する顕著な抑制作用を有する。
【0086】
活性試験6 神経因性疼痛及び医薬鎮痛作用の研究
神経因性疼痛は坐骨神経慢性圧迫(CCI)モデルを採用する。6~8週齢のB6マウスを麻醉し、マウスの左足付け根から尾てい骨水平線以上約1~2mmの部位を剃毛し、水平に小さく切り込みを入れ、止血鉗子で筋肉を鈍く分離し、坐骨神経を見つけ、肘ピンセットでつついて取り出し、別の肘ピンセットで事前に浸漬しておいた無菌生理食塩水中の4-0クロム腸線を取り出し、坐骨神経に3本通し、上中下の1ミリメートルの間隔で結紮し、強度は周囲の筋肉に軽くて短い痙攣が発生する程度でよい。その後、筋肉下に坐骨神経をきちんと配置し、傷を縫った。ヨードチンキで傷を消毒し、観察した。
【0087】
手術から7日後、Von Freyフィラメントでマウスの機械的疼痛を検出し、マウスをまず透明有機ガラス製足底試験装置において20min適応させ、一連のVon Freyを用いてマウスを縦方向から刺激して片側(即ち右後足)の前足部をモデリングし、まず1段低い強度から刺激を開始し、当該強度で陽性反応を誘起できない場合、1段高い強度で刺激を開始し、足が急に縮めば陽性反応と見なし、この場合、当該強度付近の1段低い強度で再度刺激し、初回の陽性と陰性反応の強度区間を記録する。0.4グラム未満で陽性反応が発生するとモデリングに成功する。
【0088】
試験マウスを、未モデリング群、モデリング溶媒群、モデリング投与群の計3群に分け、溶媒は0.5%メチルセルロースとし、医薬はSP3101とし、体重に応じて40mg/kgで単回投与し、投与から1.5、24、48、72時間後に疼痛閾値を検出する。結果は
図8に示すとおりであり、SP3101をマウスに胃入投与してから1.5、24、48時間後に顕著な鎮痛効果が発揮される(**p<0.01)。
【0089】
活性試験7 SP3101鎮静実験
12週齢のB6雄マウスを、計15匹選択し、3日間環境に適応させた。それぞれ、(1)正常対照群(n=5)、(2)SP3101低用量群20mg/kg(n=5)、(3)SP3101高容量群50mg/kg(n=5)の3群にランダムに分けた。群別に単回投与し、投与方式はいずれも腹腔注射であり、そのうち、正常対照群は腹腔に同体積の生理食塩水を注射する。投与2h後にビデオ追跡検出システムを使用してマウスオープンフィールド実験(OFT)を追跡して行動学的評価を行った。
【0090】
結果は
図9に示すとおりであり、腹腔注射されたSP3101はマウスオープンフィールド運動を著しく低減でき、明らかな鎮静作用を有する。
【0091】
活性試験8 SP3101オキサリプラチン化学療法疼痛モデルによる実験効果
10週齢のC57LB6野生型マウスを、全て雄で、計30匹選択した。
【0092】
DAY0:マウスをまず環境に7日間適合させ、先に基本的な機械的疼痛閾値を検出したところ、大体1~1.4g程度であり、本回の実験は計30匹のマウスであり、非正常なマウスがない。
【0093】
DAY1~DAY5:マウスを、正常対照群(n=10)、モデル対照群(n=10)及びSP3101群(40mg/kg n=10)の計3群にランダムに分けた。SP3101群にSP3101水溶液を胃入投与し、モデル対照群に再蒸留水を胃内投与し、0.5h後にモデル対照群及びSP3101群にオキサリプラチン(3mg/kg)を腹腔注射した。連続して同様に5日操作した。DAY5 Von Freyで疼痛閾値を検出した。
【0094】
DAY6~10:SP3101及び水のみを胃内投与した。
【0095】
DAY11~15:DAY1~DAY5の操作を繰り返し、DAY11にVon Freyで疼痛閾値を検出した。
【0096】
DAY16~20:観察のみを行い、DAY16、DAY20に機械的疼痛を検出する。
【0097】
結果は
図10に示すとおりであり、SP3101投与期間中にオキサリプラチンによる痛覚過敏を著しく予防でき、モデルマウスの疼痛閾値が明らかに向上した。
【0098】
活性試験9 SP3101シスプラチン化学療法疼痛モデルによる効果
12週齢の雄のB6マウスを20匹選択し、環境に3日間適応させた。
【0099】
DAY1:Von Freyで基本的な機械的疼痛閾値を検出し、疼痛閾値が異常なマウス(本バッチは無し)をスクリーニングして排除し、疼痛閾値は大体1.4g~2.0g程度である。基本的な疼痛閾値に基づき、本回の実験では0.4g、1.0gを後続の疼痛閾値として検出を行い、足上げ、足舐め等の行動を陽性反応と認定し、マウスの2つの対応する閾値のVon freyフィラメントに対する陽性反応の割合を統計することで、胃内投与されたSP3101がシスプラチンに起因する痛覚過敏に予防効果を有するか否かを判断した。
【0100】
DAY1~DAY5:基本的な機械的疼痛閾値を検出した後、マウスを、(1)モデル対照群(n=10)、(2)SP3101群40mg/kg/day胃内投与(n=10)にランダムに分け、そのうち、モデル対照群には再蒸留水を胃内投与し、0.5h後に両群とも生理食塩水で調製されたシスプラチン(2.3mg/kg/day)を腹腔注射した。
【0101】
DAY6~10:SP3101及び水のみを胃内投与し、DAY7に機械的疼痛閾値を検出した。
【0102】
DAY11~15:DAY1~DAY5の操作を繰り返し、DAY15に機械的疼痛閾値を検出した。
【0103】
DAY16~21:観察のみを行い、DAY21に機械的疼痛閾値を検出した。
【0104】
結果は
図11及び
図12に示すとおりであり、SP3101はシスプラチンによる痛覚過敏に対して顕著な緩和作用を有する。
【0105】
活性試験10:SP3101パクリタキセル化学療法疼痛モデルデータ
8~10週齢のB6雄マウスを、計30匹選択し、環境に3日間適応させた。
【0106】
DAY0:Von Freyで機械的疼痛閾値を検出し、疼痛閾値が異常なマウスをスクリーニングして排除し、基本的な疼痛閾値は大体0.6g~1.0g程度である。根基本的な疼痛閾値に基づき、本回の実験では0.07g、0.4gを後続の疼痛閾値として選択して検出を行い、足上げ、足舐め等の行動を陽性反応と認定し、マウスの2つの対応する閾値のVon freyフィラメントに対する陽性反応の割合を統計することで、胃内投与されたSP3101がパクリタキセルに起因する痛覚過敏に対して予防効果を有するか否かを判断した。マウスを、(1)モデル対照群(PC,n=10)、(2)SP3101群40mg/kg胃内投与(n=10)、(3)正常対照群(NC)にランダムに分けた。そのうち、モデル対照群に再蒸留水を胃内投与し、0.5h後にモデル対照群及びSP3101群にパクリタキセル(4mg/kg)を腹腔注射し、正常対照群に生理食塩水を腹腔注射した。パクリタキセル化学療法疼痛のモデリング方法は、1日おきにパクリタキセル(4mg/kg)を腹腔注射し、計7日4回とし、実際に全用量16mg/kgでパクリタキセルを投与した。モデリング1日目はDAY0とし、DAY0からSP3101を胃内投与し、1日1回で、計15日投与し、DAY14以降は観察のみとした。DAY0、3、7、9、14、18、21に機械的疼痛を検出した。
【0107】
結果は
図13及び
図14に示すとおりであり、SP3101群とモデル対照群とを比較すると、両群とも疼痛閾値反応の割合が明らかに低下し、SP3101はパクリタキセルによる痛覚過敏に対して顕著な緩和作用を有する。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化1】
(式中、
R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、
R
2が、H、C
1~C
3アルキル、NH
2、NHR又は-COOHから選択され、
R
3が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
4が、H、C
1~C
3アルキル又はC
6~C
10アリールから選択され、
R
5が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
R
6が、H、C
1~C
3アルキル、OH、NH
2、NHR、-COOH又はSHから選択され、
ここで、RはC
1~C
6
アルキルである。)
【請求項2】
式(II)に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化2】
(式中、R
1が、-OH、-OR、-OC(O)R、-NH
2、-NHR、-SH又は-SRから選択され、Rが、C
1~C
6
アルキルである。)
【請求項3】
以下に示す化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項4】
下記反応式に基づく、式(II)に示す化合物の製造方法。
【化6】
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、AMPKアゴニストとしての使用。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの、Cox-2酵素の阻害剤としての使用。
【請求項8】
鎮痛薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項9】
炎症性疾患を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項10】
抗腫瘍薬の製造、又は細胞毒による腫瘍化学療法、化学物質もしくは医薬及び慢性肝炎に起因する多種の肝損傷、肝機能低下を予防及び治療し及び心筋梗塞損傷、ウイルス性心筋炎を予防及び治療する医薬の製造、神経変性、変化疾患及びてんかん、片頭痛を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項11】
化学療法に起因する末梢神経障害を予防及び治療する医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【請求項12】
うつ病を予防及び治療する医薬の製造、及び鎮静薬又は催眠薬の製造のための、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、溶媒化合物もしくはプロドラッグの使用。
【国際調査報告】