(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の新規結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20240306BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240306BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240306BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61K31/4985
A61P37/08
A61P17/00
A61P17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560657
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2022052887
(87)【国際公開番号】W WO2022208345
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519418237
【氏名又は名称】ジェイダブリュー・ファーマシューティカル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】JW PHARMACEUTICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】パク,スハ
(72)【発明者】
【氏名】チン,セイホ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA01
4C065AA04
4C065BB03
4C065CC06
4C065DD05
4C065EE03
4C065HH01
4C065JJ02
4C065KK01
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4C065PP08
4C065QQ07
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB13
(57)【要約】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の新規多形が、それを含む医薬組成物とともに提供される。また、アトピー性皮膚炎(AD)、かゆみ、そう痒症、およびさまざまな形態の蕁麻疹、たとえば、慢性特発性蕁麻疹サブタイプなどの疾患の治療のための新規多形の使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を特徴とする、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物。
【請求項2】
約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性化合物。
【請求項3】
XRPD反射がさらに、約(°2θ)11.9および/または15.1(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を含む、請求項1~2のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項4】
XRPD反射がさらに、約(°2θ)23.0および/または24.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項5】
XRPD反射が、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む、請求項3に記載の結晶性化合物。
【請求項6】
XRPD反射が、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む、請求項4に記載の結晶性化合物。
【請求項7】
(i)結晶性化合物が、
図1のXRPDパターンと本質的に同様であるXRPDパターンを有するか、または
(ii)結晶性化合物が、
図1のXRPDパターンであるXRPDパターンを有する、
請求項1~6のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項8】
結晶性化合物が、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmでの1つまたは複数にピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、請求項1~7のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項9】
151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmでの1つまたは複数にピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物。
【請求項10】
固体
13C CP/MAS NMRスペクトルが、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmでのピークを含む、請求項9に記載の結晶性化合物。
【請求項11】
(i)
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に同様である
13C CP/MAS NMRスペクトル、または
(ii)
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルである
13C CP/MAS NMRスペクトル、
を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の結晶性化合物。
【請求項12】
約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射によってさらに特徴付けられる、請求項9~11のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項13】
約90℃(±10℃)で開始するイベントを含むTGA曲線を有する、請求項1~12のいずれか1つに記載の結晶性塩。
【請求項14】
(i)1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン 対 硫化水素酸のモル比が1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1である、および/または
(ii)1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩 対 水のモル比が1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1である、
ことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1つに記載の結晶性化合物。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の結晶性塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
アトピー性皮膚炎、かゆみ、そう痒症およびさまざまな形態の蕁麻疹から選択される疾患の治療における使用のための前記請求項のいずれか1つに記載の化合物または医薬組成物であって、任意選択で蕁麻疹の形態は、慢性特発性蕁麻疹サブタイプを含み、任意選択で該慢性特発性蕁麻疹サブタイプは、コリン性蕁麻疹を含む、化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の新規多形、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の新規多形を含む医薬組成物、およびアトピー性皮膚炎(AD)、かゆみ、そう痒症、およびさまざまな形態の蕁麻疹、たとえば、コリン性蕁麻疹といったような慢性特発性蕁麻疹サブタイプなどの疾患の治療のための新規多形の使用に関する。本明細書はまた、本発明の結晶形の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9586959号は、特に化合物1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンおよびその薬学的に許容される塩ならびにそれを含む医薬組成物に関する。この特許は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの化合物の多くの塩の製造も開示する。
【0003】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンは、強力なヒスタミン4受容体阻害作用を示し、マスト細胞および好酸球などの炎症細胞のヒスタミン誘発性浸潤に対して抑制効果を示す。したがって、この化合物は強力な抗炎症作用と抗かゆみ作用を有し、したがって、米国特許第9586959号に開示されているような、ADを含むさまざまな疾患の治療に有用である。
【0004】
化学実体は、いくつかの異なる結晶固体形態で存在する場合があり、これらには、同じ合計式(sum formula)を共有するさまざまな多形形態(たとえば、無水物)、および同じ合計式を共有しない同じ化学実体の異なる溶媒和物(たとえば、一水和物および二水和物)が含まれる。このような結晶固体は独特の結晶構造を有し、物理的特性が異なる。異なる結晶固体の形態は、たとえば、融点、XRPDパターン、スペクトル特性(たとえば、FT-IR、ラマン、SS-NMRなど)、ならびにその他の物理的および化学的特性によって互いに区別することができる。化学実体は、非晶質の形で存在することもできる。
【0005】
異なる結晶固体形態は、医薬品の選択された有効成分として該形態を多かれ少なかれ適切にする、たとえば、化学的安定性、物理的安定性、吸湿性、融点、溶解度、溶解速度、形態およびバイオアベイラビリティなどの異なる物理的特性を有する場合がある。
【0006】
したがって、選択された実際の結晶形は、医薬品有効成分の開発および製造において重要な役割を果たす。単結晶形が必要な場合は、結晶化プロセスが堅牢であり、多形的に純粋な形で所望の結晶形を確実に生成すること、および関連する製造プロセス中および/または保管中に結晶形が変化(たとえば、異なる結晶形または水和物/無水物への相互変換)しないことが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の1つの多形形態が、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩の他の一水和物、二水和物、無水物と比べて意外な優れた利点を有することが見出されており、このことにより、本発明の結晶性化合物は固体医薬品の調製に特に適している。
以下、本発明の1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物のこの多形形態をフォームBと称する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の詳細な記載
本発明の結晶形およびそれを含む組成物
1つの態様では、本発明は、約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。いくつかの実施形態では、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物は、約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を特徴とする。いくつかの実施形態では、XRPD反射はさらに、約(°2θ)11.9および/または15.1(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を含む。いくつかの実施形態では、XRPD反射はさらに、約23.0および/または24.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を含む。好ましくは、XRPD反射は、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む。より好ましくは、XRPD反射は、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性化合物、
図1のXRPDパターンと本質的に同様であるXRPDパターンを有する、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性化合物、
図1のXRPDパターンであるXRPDパターンを有する、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、これらの実施形態の結晶性化合物は、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmの1つまたは複数にピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、これらの実施形態の結晶性化合物は、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0012】
もう1つの態様では、本発明は、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmの1つまたは複数にピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。いくつかの実施形態では、個体13C CP/MAS NMRスペクトルは、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmにピークを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性化合物、
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に同様である
13C CP/MAS NMRスペクトルを有する、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性化合物、
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルである
13C CP/MAS NMRスペクトルを有する、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物に関する。
【0015】
いくつかの実施形態では、これらの実施形態の結晶性化合物は、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射によってさらに特徴付けられる。いくつかの実施形態では、これらの実施形態の結晶性化合物は、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)でのXRPD反射によってさらに特徴付けられる。
【0016】
上記態様および実施形態のいずれかにおいて、結晶性化合物は、約90℃(±10℃)で開始するイベントを含むTGA曲線を有しうる。
【0017】
上記態様および実施形態のいずれかにおいて、結晶性化合物は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン 対 硫化水素酸(hydrogen sulfuric acid)のモル比が1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とすることができる。
【0018】
上記態様および実施形態のいずれかにおいて、結晶性化合物は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩 対 水のモル比が1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明のもう1つの態様は、本発明の前記態様および実施形態のいずれかの結晶性塩化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0020】
本発明のもう1つの態様は、アトピー性皮膚炎、かゆみ、そう痒症およびさまざまな形態の蕁麻疹から選択される疾患の治療における使用のための上記本発明の結晶性化合物または医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、蕁麻疹の形態は、慢性特発性蕁麻疹サブタイプを含む。いくつかの実施形態では、慢性特発性蕁麻疹サブタイプは、コリン性蕁麻疹を含む。
【0021】
フォームBの調製方法
結晶性フォームBの調製方法も提供される。
以下の実施形態では、「wt.」は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン出発物質の重量に相当する重量の測定値である。以下の実施形態では、「vol.」は、kgでの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン出発物質の重量に関連する体積の測定値であり、ここで、1vol.は、1 L/kgの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン出発物質に等しい。
【0022】
これらの実施形態は、以下を含む:
1.2-プロパノールを含む溶媒系から1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物を結晶化させるステップを含む、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の調製方法。
2.2-プロパノールの量が、20-200vol.、20-150vol.、20-100vol.、20-75vol.、20-50vol.、20-35vol.または20-30vol.から選択される、実施形態1の方法。
3.2-プロパノールの量が、25-200vol.、25-150vol.、25-100vol.、25-75vol.、25-50vol.、25-35vol.、または25-30vol.から選択される、実施形態1の方法。
4.2-プロパノールの量が、30-200vol.、30-150vol.、30-100vol.、30-75vol.、30-50vol.、または30-35vol.から選択される、実施形態1の方法。
5.2-プロパノールの量が、約30vol.である実施形態1の方法。
6.方法が、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩を含む容器にプロパン-2-オールを添加して、反応混合物を形成するステップであって、該反応混合物が35-45℃の範囲の初期温度を有するステップを含む、実施形態1-5のいずれか1つの方法。
7.該反応混合物が、35-45℃の範囲の温度で4-5時間撹拌される、実施形態6の方法。
8.次に、該反応混合物が、0-5℃の範囲の温度に冷却される、実施形態6または7の方法。
9.反応混合物の0-5℃の範囲の温度への該冷却が、1-3時間、好ましくは約1時間の期間にわたって起こる、実施形態8の方法。
10.該反応混合物が0-5℃の範囲の温度に冷却された後、反応混合物を0-5℃の範囲の温度で1-2で時間撹拌する、実施形態の8または9の方法。
11.1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩が、硫酸と、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンを含む混合物とを組み合わせることによって形成される、実施形態1-10のいずれか1つの方法。
12.硫酸を、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンおよび水を含む混合物と組み合わせる、実施形態11の方法。
13.硫酸の量が、0.3-0.6vol、好ましくは0.4-0.5vol、より好ましくは0.48volから選択される、実施形態11または12の方法。
14.該混合物が、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンおよび水を含み、水の量が、6.0-10.0vol.、好ましくは7.0-9.0vol.、より好ましくは8.0vol.から選択される、実施形態11-13のいずれか1つの方法。
15.硫酸と、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンを含む混合物とを組み合わせるプロセス中、得られる混合物の温度が、15-30℃の間に維持される、実施形態11-14のいずれか1つの方法。
16.硫酸と、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンを含む混合物とを組み合わせた後、2-プロパノールの添加前に、活性脱色炭を添加する、実施形態11-15のいずれか1つの方法。
17.活性脱色炭の量が、0.1-0.3wt.、好ましくは0.2wt.から選択される、実施形態16の方法。
18.硫酸と、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンを含む混合物とを組み合わせ、任意選択で活性脱色炭を添加した後、2-プロパノールの添加前に、反応混合物を45-55℃に加熱する、実施形態11-17のいずれか1つの方法。
19.反応混合物の45-55℃への加熱に続いて、温度を約45分間45-55℃に維持する、実施形態18の方法。
20.結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の調製方法であって、以下のステップを含む方法:
(a)水中の粗1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの混合物(8vol.)に硫酸(約0.48vol.)を添加するステップ、ここで、この添加中、温度はに維持される15-30℃;
(b)ステップ(a)から得られる反応混合物に活性脱色炭を添加し、次に、反応混合物を45-55℃に加熱するステップ、ここで、反応混合物の温度は、約45分間45-55℃の間に維持される;
(c)ステップ(b)から得られる混合物をろ過し、ろ過ケーキを45-55℃に予熱した水(約1vol.)で洗浄するステップ;
(d)ステップ(c)から得られたろ液の温度を35-45℃の間に調節するステップ;
(e)添加中の温度を35-45℃の間に維持しながらステップ(d)から得られる混合物に2-プロパノール(30.0vol.)を添加し、次に、反応混合物を35-45℃の間の温度で4-5時間撹拌するステップ;
(f)ステップ(e)から得られた反応混合物を1-2時間、好ましくは約1時間にわたって0-5℃の間の温度に冷却し、反応混合物をを1-2時間にわたって0-5℃の間の温度で維持するステップ;および
(g)ステップ(f)から得られる混合物をろ過して、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物を得るステップ
21.該方法で得られた結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物が、約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射を特徴とする、実施形態1-20のいずれか1つの方法。
22.該方法で得られた結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物が、約(°2θ)8.4;14.7および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を特徴とする、実施形態21の方法。
23.XRPD反射が、約(°2θ)11.9および/または15.1(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射をさらに含む、好ましくはXRPD反射が、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1および17.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む、実施形態21または22の方法。
24.XRPD反射が、約23.0および/または24.0(±0.2度)での1つまたは複数のXRPD反射をさらに含む、好ましくはXRPD反射が、約(°2θ)8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0(±0.2度)でのXRPD反射を含む、実施形態21-23のいずれか1つの方法。
25.該方法で得られた結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物が、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmの1つまたは複数にピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、実施形態1-24のいずれか1つの方法。
26.該方法で得られた結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物が、151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0および32.9ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、実施形態1-25のいずれか1つの方法。
【0023】
定義
本明細書で使用される「rt」または「室温」という用語は、適用される温度が重要ではなく、正確な温度値を保持する必要がないことを示す。通常、「rt」または「室温」は、約15℃~約25℃の温度を意味すると理解されている[たとえば、欧州薬局方7.5、1.2(2012)を参照]。
【0024】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、溶媒分子が化学量論的または非化学量論的様式で化合物の結晶格子に組み込まれた結晶性化合物を示す。溶媒分子が水の場合、本明細書では「水和物」という用語が使用される。
【0025】
水和物の種類は、水分子と1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩分子のモル比によって決まる。
【0026】
「一水和物」という用語は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩1モルあたり0.8~1.2モルの水を意味する。
【0027】
「二水和物」という用語は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩1モルあたり1.8~2.2モルの水を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「非吸湿性」という用語は、相対湿度約0%~80%の間での原薬の質量の増加が0.2重量%未満であることを示す。
【0029】
本発明の文脈において、「XRPD反射ピーク」という用語は、信号対雑音比(欧州薬局方の項目2.2.46に従って計算)が3/1より大きい、XRPDパターンにおける特定の2θ位置を示す。「ピークの不在」は、本明細書では、本発明の化合物のサンプルのXRPDにおける最高ピークの最大1%、たとえば、0.5%または0.2%の強度を有するピークとして定義され、より好ましくは、バックグラウンドシグナルを上回る検出可能なXRPDピークは存在しない。
【0030】
XRPDパターンでは、回折線プロファイルの主な特徴は、2θ位置、ピーク高さ、ピーク面積および形状(たとえば、ピーク幅または非対称性、解析関数、実験表現によって特徴付けられる)である。たとえば、強度はサンプル調製によって影響され、ピークの幅は粒子サイズによって影響されるため、2θ位置は最も重要な要素である。回折ピークに加えて、X線回折実験では、XRPDパターンにおいて多かれ少なかれ均一なバックグラウンドが生成され、その上にピークが重ねられる。試料の調製に加えて、たとえば、サンプルホルダー、空気および装置からの拡散散乱、検出器のノイズなどの他の機器パラメータ、X線管からの一般的な放射線などの他の要因もバックグラウンドに寄与する。ピーク対バックグラウンド比は、バックグラウンドを最小限に抑える、および/または長時間の露光時間を選択することによって増加させることができる。
【0031】
略語
DSC:示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)
DVS:動的水蒸気吸着測定装置(Dynamic Vapor Sorption)
TGA:熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)
XRPD:粉末X線回折(X-ray Powder Diffraction)
13C CP/MAS NMR:13C交差分極マジックアングルスピニング核磁気共鳴(13C cross polarization magic angle spinning nuclear magnetic resonance)
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】二水和物フォームDおよびIならびにDMSO溶媒和物フォームJのXRPDパターン
【
図6】フォームBの
13C CP/MAS NMRスペクトル。
【
図7】フォームBのTGA曲線。結晶性フォームBは一水和物であり、
図7に示すように、分解前に1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩1モルあたり約1モルの水に相当する重量損失を有する。
【
図8】フォームIの
13C CP/MAS NMRスペクトル。
【
図9】フォームFの
13C CP/MAS NMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の根底にある技術的課題は、結晶形成能力、ろ過特性、溶解度、熱力学的特性、安定性の問題(たとえば、水分の取り込みによる)、密度、およびさまざまな程度の湿度および結晶化プロセス中の変換(たとえば、他の多形形態または水和物/無水物への相互変換)などの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの他の結晶性および/または非晶質形態の欠点を回避することである。
【0034】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの硫酸水素塩は、少なくとも無水物(フォームC)、2つの二水和物(フォームD およびI)、および一水和物のいくつかの多形形態(フォームA、B、F、K、およびM)で存在することが判明している。
【0035】
以下の表は、さまざまなフォーム間の相互変換と、医薬組成物での使用に関連する可能性のあるその他の問題をまとめている:
【表1】
【表2】
【0036】
Ph. Eur.およびUSPに基づくフォームBの溶解度は次のとおりである:ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶、ジメチルホルムアミドに難溶、メタノールに極難溶、およびエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-アミルアルコール、クロロホルム、キシレン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸n-ブチル、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、1-4-ジオキサンに不溶。
【0037】
XRPDパターン
純粋な結晶性フォームBは、8.4、11.9、14.7、15.1、17.0、23.0および24.0に特徴的なピーク(2θ±0.2° 2θ(CuKa放射線)で表される)を有するXRPDパターンを有する。
フォームAのXRPDパターンは、約2θ=13.0;14.3、16.6、17.4および/または18.5(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームCのXRPDパターンは約2θ=7.9、15.7、16.4、17.8、21.2、23.3および/または24.4(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有する、フォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームDのXRPDパターンは、約2θ=13.9;15.7、19.0、20.0および/または25.2(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームFのXRPDパターンは、約2θ=12.0;13.5、15.5、17.7;23.5;24.3および/または27.2(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームIのXRPDパターンは、約2θ=8.2;10.3;14.1、18.2、18.9;21.5および/または23.5(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームKのXRPDパターンは、約2θ=9.5;13.5;13.8、18.7および/または24.3(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
フォームMのXRPDパターンは、約2θ=4.0;4.6;6.2および/または27.1(±0.2度)に特徴的なXRPD反射ピークを有するフォームBのXRPDパターンとは異なる。
【0038】
13C CP/MAS NMRスペクトル
結晶性フォームBは、固体13C CP/MAS NMRスペクトルに次の特徴的なピークを有する:151.5、150.6、145.7、138.8、136.1、126.6、125.4、115.7、59.7、54.5、50.7、36.0、32.9ppm±0.2ppm。
【0039】
フォームIは、固体13C CP/MAS NMRスペクトルに次の特徴的なピークを有することによりフォームBと区別され得る:151.5、147.5、145.9、140.6、139.4、136.9、127.8、119.8、114.9、60.3、55.8、49.6、35.5、33.5ppm±0.2ppm。
【0040】
フォームFは、固体13C CP/MAS NMRスペクトルに次の特徴的なピークを有することによりフォームBと区別され得る:152.7、150.7、145.4、139.0、137.9、135.9、125.7、114.7、59.5、55.8、50.7、36.2、33.2ppm±0.2ppm。
【0041】
いくつかの製剤、たとえば、錠剤は、本発明の結晶性塩と同じ位置または領域にXRPD反射ピークを有するか、またはブロードなピークを有する成分を含有し得る。これらは、純粋な結晶性塩単独とは対照的に、本発明の結晶性塩を含む製剤に対してXRPD実験を行う場合、本発明の結晶性塩のXRPDパターンまたはピークの一部を隠す可能性がある。これは、塩の製剤に対してXRPD実験を行った場合に、本発明の結晶性塩のすべてのXRPD反射ピークを常に見ることができるわけではないことを意味する。
【0042】
したがって、1つの実施形態によれば、本発明は、本明細書で定義される結晶性塩を、薬学的に許容されるビヒクル、賦形剤または薬学的に許容される担体とともに含む医薬組成物であって、前記薬学的に許容されるビヒクル、賦形剤、または薬学的に許容される担体が、結晶性塩の1つまたは複数のXRPD反射ピークと重なり、それを隠す1つまたは複数のXRPD反射ピークを含むXRPD反射ピークを示す1つ以上の成分を含む、医薬組成物に関する。同じ問題が固体NMRでも発生する可能性があり、たとえば、セルロース成分からの強いシグナルが60~110ppmのスペクトル領域で予想され、ステアリン酸塩からのピークが15~40ppmのスペクトル領域で見られ、172ppmの付近にカルボニルピークが見られる。
【0043】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩の他の結晶性形態が存在しないことは、任意の結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩から得られたXRPDピークと、たとえば、実施例1から得られ、
図1に示される、フォームBのXRPDピークとを比較することによってテストすることができる。このような比較のために、
図1に示されるXRPDピークを、本発明のフォームBの100%純粋な結晶性化合物のXRPDピークとみなすことができる。
【0044】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンおよびその硫酸水素塩は、アルコールなどの結晶化に使用される一般的な溶媒に対する溶解度が非常に低いため、これまでは結晶化プロセスに大量のアルコールを使用する必要があった。さらに、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物の望ましい多形性フォームBを得るためには、温度、時間、水/有機溶媒比などの他のプロセスパラメーターを制御する必要がある。
【0045】
拡張可能な量の溶媒を使用して一水和物フォームBを得ることができる大規模で堅牢なプロセスが近年開発され、本発明の実施形態であることが判明している。
【0046】
本発明のさらなる態様は、本発明の結晶性化合物(フォームB)および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は経口剤形であってもよく、好ましくは錠剤および/またはカプセルである。
【0047】
さらに、本発明は、固体医薬を調製するための本発明の結晶性化合物(フォームB)の使用に関する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、有効量の本発明の結晶性化合物(フォームB)および薬学的に許容される担体を含む固体医薬組成物、ならびにその調製方法に関する。さらに、本発明は、アトピー性皮膚炎(AD)、かゆみ、そう痒症、さまざまな種類の蕁麻疹などの疾患や障害などの米国特許第9586959号に記載されている疾患または障害のいずれかの治療に使用するための、本発明の医薬組成物および/または本発明の結晶性化合物(フォームB)を対象とする。
【0049】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。このような賦形剤は、好ましくは、希釈剤、甘味剤、緩衝剤、流動促進剤、流動剤、香味剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤および増粘剤からなる群から選択される。医薬組成物の分野で知られている他の賦形剤も使用することができる。さらに、医薬組成物は、上記の群のメンバーのうちの2つ以上の賦形剤の組み合わせを含んでもよい。
【0050】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物に使用することができる適切な結合剤は、たとえば、メチルセルロースなどのアルキルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース等などのヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩;カルボキシメチルエチルセルロースなどのカルボキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;スターチ1551などのデンプン;カルボキシメチルアミロペクチンナトリウムなどのペクチン;キトサンなどのキチン誘導体;ヘパリンおよびヘパリノイド;アルギン酸、そのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアガム、グアーガムおよびキサンタンガムなどの多糖類;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド;ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、たとえば、ポロキサマーとポロキサミン、コポビドンをさらに含む。
【0051】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物に使用することができる適切な希釈剤は、たとえば、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ化結晶セルロースなどの微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖賦形剤、果糖、カオリン、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、デンプン、変性デンプン、塩化ナトリウム、スクロース、圧縮用砂糖、粉砂糖、Microcelac(登録商標)として市販されている乳糖一水和物と微結晶セルロース(75:25)の噴霧乾燥混合物、Prosolv(登録商標)として市販されている微結晶セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の共処理噴霧乾燥混合物(98:2)をさらに含む。
【0052】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物に使用することができる適切な流動促進剤は、たとえば、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、ステアリン酸マグネシウムをさらに含む。
【0053】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物に使用することができる適切な崩壊剤は、たとえば、デンプン、アンバーライトなどのイオン交換樹脂、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウムなどの変性セルロースガム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、変性コーンスターチ、微結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、アルギン酸、アルギン酸塩および粉末セルロースをさらに含む。
【0054】
本発明の結晶性化合物(フォームB)を含む本発明の医薬組成物にも使用することができる適切な滑沢剤は、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウムをさらに含む。
【0055】
以下、本発明を例示的で非限定的な実施例によりさらに詳細に説明する。
【0056】
本明細書に開示される多型形態を特徴付けるために使用される試験方法の説明
XRPD:
XRPDパターンは、入射CuKα放射線を使用し、45kVおよび40mAで動作するPANalytical X'pert PRO MPD回折計で収集された。XRPDパターンは、0.007°のステップサイズ、148.93秒のカウント時間、および透過ジオメトリで、3から45度の2θ範囲で収集された。入射ビーム経路では、楕円形に傾斜した多層膜ミラーと4mmの固定マスク、1°の固定散乱防止スリットおよび1/2°の固定発散スリットは、CuKα X 線がサンプルを通過して検出器上に線焦点を結ぶように配置された。回折ビーム経路には、空気によって生成されるバックグラウンドを最小限に抑えるために長い散乱防止エクステンションが配置された。さらに、軸方向の発散による広がりを最小限に抑えるために、入射ビーム経路と回折ビーム経路の両方に0.02radのソーラー スリットを配置した。
【0057】
XRPDで測定された強度は、サンプル内の配向(配向効果)により、同じ結晶構造のサンプル間で大幅に異なる場合がある。XRPDで測定された強度には、実験誤差も含まれる。測定されたピーク強度は、使用した機器、使用した試験条件、サンプルのサイズ、材料の結晶化度(構造秩序の程度)、サンプル調製などのさまざまな実験要因によって異なる。
【0058】
サンプルを、96ハイスループットウェルプレートステージ上の3μm厚のフォイル上に配置し、粒子統計を向上させるためにX方向に振動させた。回折パターンは、サンプルから240mmの位置にある有効長3.347°のPIXel RTMS検出器を使用して収集した。
【0059】
SS-NMR
固体13C交差分極(CP)マジックアングルスピニング(MAS)NMRスペクトルは、13Cと1Hに対してそれぞれ100.6MHzと400.13MHzのラーモア周波数で動作するBruker Avance 400 NMR装置を使用して記録した。実験は、4mm(外径、o.d.)スピナーを備えたダブルチューニングCP/MASプローブを使用して行った。すべてのサンプルは4mm(外径)のジルコニアスピナーに詰めた。CP/MAS NMRスペクトルは、取得中に可変振幅交差分極と高出力プロトンデカップリング(TPPM)を使用して記録された。操作条件は、温度:294K、接触時間:7ms、リサイクル遅延:64s、128-840スキャン、スピンレート9kHzであった。化学シフトは、α-グリシンの外部サンプルを参照した(テトラメチルシランのシグナルに対して176.5 ppmに割り当てられたカルボニル炭素の化学シフト)。
【0060】
TGA
TGA実験は、TA Instruments製のTGA550機器を使用して実施した。約1~10mgのサンプルをセラミックパンに入れて測定した。サンプル温度を10℃/分で25℃から500℃まで上昇させた。パージガスとして窒素を流量50mL/分で使用した。
【0061】
DSC
DSC分析は、TA Instruments Q20示差走査熱量計で実行した。正確に秤量したサンプルを圧着アルミニウムパンに置いた。各サンプルを窒素下で10℃/分の速度で最高300℃まで加熱した。インジウム金属を校正標準として使用した。
【0062】
DVS
装置:DVS Advantage
方法:約5mgの物質をAlパンに添加し、開ループモードを使用する20-30-40-50-60-70-80-70-60-50-40-30-20-10-0-10-20-30-40-50-60-70-80-90-80-70-60-50-40-30-20-10-0% RHに従う2つの連続サイクル中に、段階的なRH変化に曝露した。実験は、ガス流量200ml/分、25℃で実施した。
適用したdm/dt基準は、5分間のウィンドウ中0.001重量%/分であって、すべてのステップの最大許容時間は150分であり、ただし基準がないが6時間に設定された0% RHでのステップは除いた。
【実施例】
【0063】
実施例1:1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物 フォームBの調製
反応器に粗1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン(17.04 kg、1.0当量)を充填した。精製水(136.3L、8.0wt. 8.0vol)をパイプとインラインフィルターを使用して窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を過度に飛散させずに撹拌した。温度は20.0℃(目標15~20℃)に調整した。濃硫酸(15.1kg、0.88wt、0.48vol)を、温度を15~30℃に保ちながら、インラインフィルターを備えたパイプを介して注意深く充填した。この添加の最終温度は19.6℃であった。ラインを精製水(17.2L、1.0wt、1.0vol)で洗浄した。
【0064】
次いで、脱色活性炭(3.4kg、0.2重量)を反応器に充填した。温度は49.0℃(目標45~55℃)に調整した。反応混合物を15~45分間(目標30分)撹拌した後、ろ過して受け器に集めた。精製水(17.2L、1.0wt、1.0vol)を45~55℃(目標50℃)に加熱し、フィルターケーキの洗浄に使用した。清澄化したろ液を元の容器に戻し、ろ液の温度を40.6℃(目標35~45℃)に調整した。
【0065】
温度を35~45℃(目標40℃)に維持しながら、2-プロパノール(403.8kg、23.7wt、30.0vol)を71分間(目標60~90分)かけて反応器に充填した。2-プロパノール添加のための最終温度は39.2℃であった。反応混合物を35~45℃で4時間24分(目標4~5時間)撹拌し、最終温度は40.6℃であった。その後、2時間3分かけて温度を3.5℃に調整した(目標時間1~2時間で、目標終了温度0~5℃)。反応混合物を3.5℃で1時間53分間撹拌した(0~5℃の目標温度で、目標撹拌時間1~2時間)。反応混合物を0~5℃で1~2μmのクロスにてろ過した。
【0066】
2-プロパノール(27.3kg、1.6wt、2.0vol)を0~5℃に冷却し、次に、洗浄のために反応容器に加えた。フィルターケーキの洗浄に使用する前に、容器の内容物を2.8℃(目標温度0~5℃)に冷却した。ろ過ケーキを、ろ液が通過しなくなるまで(2時間25分)、窒素流を使用してフィルター上で乾燥させた。フィルターの内容物を、2-プロパノールが0.35%w/w以下になるまで、25℃までの温度で少なくとも12時間真空乾燥させた。12時間12分後、サンプルは0.09%w/wを含んだ。
【0067】
この方法により、12.0kgの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン硫酸水素塩一水和物がフォームBとして提供される。
【0068】
XRPDパターン、SS-NMRスペクトルおよびTGA曲線は上記の方法を使用して測定し、測定結果はそれぞれ
図1、6および7に見出すことができる。
【国際調査報告】