(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】患者インターフェース用換気配置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560713
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 AU2022050292
(87)【国際公開番号】W WO2022204761
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・エマニュエル・クリンケンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ホンジアン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ダニエル・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】サビーネ・コンザック
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ・マンジュナート
(57)【要約】
患者インターフェースは、プレナムチャンバと、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造と、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造とを含む。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含む前部を含む。換気構造は、使用時に、プレナムチャンバの内部からガス流れを略横方向に換気するように構成される。患者インターフェースは、横方向に換気されたガス流れを方向転換するように構成されたデフレクタをさらに含む。患者インターフェースは、換気されたガス流れを拡散させるためのディフューザをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースであって、
周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH
2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバであって、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含む前部を含むプレナムチャンバと、
患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造であって、使用時に患者呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するように構成されたシール形成構造と、
患者が呼気したガスが前記プレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造であって、使用中に前記プレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成され、使用時に前記プレナムチャンバの内部から略横方向にガス流れを換気するように構成された、換気構造と、
使用時に、横方向に換気された多量のガス流れを、患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタと、
を含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記プレナムチャンバは内側部を含み、前記内側部は、使用時に患者の正中矢状面が内側部を通過するように位置し、前記入口は内側部上に位置する、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記プレナムチャンバに接続され、前記入口と流体連通するように構成された送達チューブをさらに含む、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記換気構造は複数の換気穴を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記換気構造は、使用時に前記入口の側方にある前記患者インターフェースの部分に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記換気構造は前記プレナムチャンバ上に位置する、請求項1~5のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記換気構造は換気モジュールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
換気モジュール開口部を含み、
前記換気モジュールは、前記換気モジュール開口部を含む患者インターフェースの一部に取り付けられるように構成される、請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記換気構造は、使用時に第1のガス流れを第1の略横方向に前記プレナムチャンバの内部から換気するように構成された第1の換気構造であり、前記患者インターフェースは、使用時に第2のガス流れを第2の略横方向に前記プレナムチャンバの内部から換気するように構成された第2の換気構造を含み、前記第1の略横方向は、基本的に前記第2の略横方向とは反対である、請求項1~8のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記第1の換気構造は前記患者インターフェースの一方の側で入口の側方に位置し、前記第2の換気構造は前記患者インターフェースの他方の側で入口の側方に位置する、請求項9に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記デフレクタは、1つ以上のデフレクタ壁の配置構造を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記デフレクタは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを、前記プレナムチャンバの内側部および/または前部に向けて方向転換する、請求項1~11のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記デフレクタは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを送達チューブの一部へ向けて方向転換する、請求項1~12のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記デフレクタは前記換気構造の一部として含まれる、請求項1~13のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記デフレクタは、使用時に、相当量の第1の横方向換気ガス流れを前方向に方向転換するように構成された第1のデフレクタであり、前記患者インターフェースは、使用時に相当量の第2の横方向に換気されたガス流れを前方向に方向転換するように構成された第2のデフレクタを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記プレナムチャンバを位置決めおよび安定化構造に取り付けることを容易にする1対のコネクタを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記コネクタのうちの少なくとも1つは前記換気構造の一部として含まれる、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記コネクタのうちの少なくとも1つは前記デフレクタの一部として含まれる、請求項16または17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記位置決めおよび安定化構造は少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む、請求項19に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
ボタン留めによってコネクタに取り外し可能に取り付けられる、請求項16~20のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
ヘッドギアストラップはボタン穴を含む、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記ヘッドギアストラップは、前記ボタン穴を介して少なくとも1つのヘッドギアストラップへの前記コネクタの一部の挿入を受容するスリーブ状構成を含む、請求項22に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記換気構造は前記位置決めおよび安定化構造上に位置する、請求項19~23のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記位置決めおよび安定化構造は導管部を含み、前記プレナムチャンバは開口部を含み、前記導管部は、使用時に、前記開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、前記換気構造は前記導管部上に位置する、請求項24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記導管部は、前記導管部の閉塞を制限および/または防止するための支持構造を含む、請求項25に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されたディフューザを含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記ディフューザは織物材料を含む、請求項27に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
ヘッドギアストラップは前記ディフューザを含む、請求項27または28に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記ディフューザは前記デフレクタの少なくとも一部を形成する、請求項27~29のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記シール形成構造は、使用時に患者の口ではなく、患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成される、請求項1~30のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻下側とシールを形成するように構成される、請求項1~31のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
患者インターフェースであって、
周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH
2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバであって、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含むプレナムチャンバと、
患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造であって、使用時に患者呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するように構成されたシール形成構造と、
患者が呼気したガスがプレナムチャンバ内部から周囲へ流れることを可能にするように構成された換気構造であって、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、
患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための力を提供し、少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む位置決めおよび安定化構造と、
を含み、
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップはディフューザを含み、前記ディフューザは、使用時に換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されている、患者インターフェース。
【請求項34】
前記プレナムチャンバは前部を含み、前記入口は前記前部に位置する、請求項33に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記プレナムチャンバは内側部を含み、前記内側部は、使用時に患者の正中矢状面が前記内側部を通過するように位置し、前記入口は前記内側部上に位置する、請求項33または34に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記プレナムチャンバに接続され、前記入口と流体連通するように構成された送達チューブを含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
前記換気構造は、使用時に、ガス流れを前記プレナムチャンバの内部から略横方向に換気するように構成される、請求項33~36のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
前記換気構造は、前記入口の側方にある前記患者インターフェースの部分に位置する、請求項33~37のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
前記換気構造は、患者が呼気した第1のガス流れを前記プレナムチャンバの内部から周囲に換気するように構成された第1の換気構造であり、前記患者インターフェースは、患者が呼気した第2のガス流れを前記プレナムチャンバの内部から周囲に換気するように構成された第2の換気構造を含む、請求項33~38のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
前記第1の換気構造は、使用時に前記プレナムチャンバの内部から第1のガス流れを第1の略横方向に換気するように構成され、前記第2の換気構造は、使用時に前記プレナムチャンバの内部から第2のガス流れを第2の略横方向に換気するように構成され、前記第1の略横方向は、基本的に前記第2の略横方向とは反対である、請求項39に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
前記第1の換気構造は、前記患者インターフェースの一方の側で入口の側方に位置し、前記第2の換気構造は、前記患者インターフェースの他方の側で入口の側方に位置する、請求項39または40に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含む、請求項33~41のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記デフレクタは、使用時に、第1の横方向に換気された相当量のガス流れを前方向に方向転換するように構成された第1のデフレクタであり、前記患者インターフェースは、使用時に、第2の横方向に換気された相当量のガス流れを前方向に方向転換するように構成された第2のデフレクタを含む、請求項42に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップの被覆部が、使用時に前記換気構造の少なくとも一部を覆う、請求項33~43のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記ディフューザは前記被覆部上に位置する、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記ディフューザは少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り外し可能に取り付けられる、請求項33~44のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
前記ディフューザは織物材料で形成される、請求項46に記載の患者インターフェース。
【請求項48】
前記ディフューザはヘッドギアストラップ材料で形成される、請求項33~45のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項49】
前記ディフューザは、前記ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛することによって形成される、請求項48に記載の患者インターフェース。
【請求項50】
前記ディフューザはデフレクタの少なくとも一部を形成する、請求項42~49のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項51】
前記プレナムチャンバを少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り付けることを容易にするための1対のコネクタを含む、請求項33~50のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項52】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは、ボタン留めによって前記コネクタに取り外し可能に取り付けられる、請求項51に記載の患者インターフェース。
【請求項53】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップはボタン穴を含む、請求項52に記載の患者インターフェース。
【請求項54】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは、前記ボタン穴を介して少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップへのされるコネクタの一部の挿入を受容するスリーブ状構成を含む、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項55】
前記シール形成構造は、使用時に患者の口ではなく、患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成される、請求項33~54のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項56】
シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻の下側とシールを形成するように構成される、請求項33~55のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項57】
患者インターフェースであって、
周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH
2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバであって、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含むプレナムチャンバと、
患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造であって、使用時に患者呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するように構成されたシール形成構造と、
患者が呼気したガスがプレナムチャンバ内部から周囲へ流れることを可能にするように構成された換気構造であって、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、
患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造と、
を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に換気構造からの換気ガス流れの経路内に配置される換気部向き面を含むコンポーネントを含み、
ディフューザが、前記コンポーネントの換気部向き面に位置し、前記ディフューザは、前記換気構造からの換気ガス流れを拡散させるように配置される、患者インターフェース。
【請求項58】
前記コンポーネントは、前記プレナムチャンバを前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアストラップに間接的に取り付けることを容易にするように構成されたフレームを含む、請求項57に記載の患者インターフェース。
【請求項59】
前記フレームはプレナムチャンバに取り付けられ、少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは前記フレームに取り付けられる、請求項58に記載の患者インターフェース。
【請求項60】
送達チューブが前記フレームおよび前記プレナムチャンバの少なくとも一方に取り付けられる、請求項58または59に記載の患者インターフェース。
【請求項61】
前記フレームは開口部を含み、送達チューブが使用時に前記開口部を介して前記入口と流体連通するように構成される、請求項58~60のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項62】
前記ディフューザは前記フレームに取り外し可能に取り付けられる、請求項58~61のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項63】
前記フレームは、前記フレームを少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り付けることを容易にするための1対のコネクタを含む、請求項58~62のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項64】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは、前記コネクタに取り外し可能に取り付けられる、請求項63に記載の患者インターフェース。
【請求項65】
前記コンポーネントは、少なくとも1つのチューブを含み、少なくとも1つの前記チューブは、使用時に、少なくとも1つの前記チューブに流体的に接続された空気回路から前記入口を介して前記プレナムチャンバの内部に空気流れを送るように構成される、請求項57に記載の患者インターフェース。
【請求項66】
前記ディフューザは、少なくとも1つの前記チューブに取り外し可能に取り付けられる、請求項65に記載の患者インターフェース。
【請求項67】
前記コンポーネントはリジダイザアームを含み、前記リジダイザアームは、前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアストラップを剛性化するように構成される、請求項57に記載の患者インターフェース。
【請求項68】
前記ディフューザは前記リジダイザアームに取り外し可能に取り付けられる、請求項67に記載の患者インターフェース。
【請求項69】
前記シール形成構造は、使用時に、患者の口ではなく、患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成される、請求項57~68のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項70】
前記シール形成構造は、使用時に、患者の鼻および口の周りにシールを形成するように構成される、請求項57~68のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項71】
患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造であって、
少なくとも1つのヘッドギアストラップを含み、
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップはディフューザを含み、前記ディフューザは、前記患者インターフェース上に構成された換気構造を介して、前記患者インターフェースの内部から換気されたガス流れを周囲に拡散させるように構成される、位置決めおよび安定化構造。
【請求項72】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップの被覆部が、使用時に前記換気構造の少なくとも一部を覆う、請求項71に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項73】
前記ディフューザは前記被覆部上に位置する、請求項72に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項74】
前記ディフューザは別個に形成され、少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り付けられる、請求項71~73のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項75】
前記ディフューザは織物材料で形成される、請求項74に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項76】
前記ディフューザはヘッドギアストラップ材料で形成される、請求項71~73のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項77】
前記ディフューザは、前記ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛することによって形成される、請求項76に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項78】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップはボタン穴を含む、請求項71~77のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項79】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは、前記ボタン穴を介して少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップへのコネクタの一部の挿入を受容するスリーブ状構造を含み、前記コネクタは、前記患者インターフェースを少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り付けることを容易にする、請求項78に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項80】
患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造であって、
使用時に、前記患者インターフェースにおける換気構造から換気された換気ガス流れの経路内に配置された換気部向き面を含むコンポーネントを含み、
ディフューザが、前記コンポーネントの換気部向き面に位置し、前記ディフューザは、前記換気構造からの換気ガス流れを拡散させるように配置される、位置決めおよび安定化構造。
【請求項81】
前記コンポーネントは、プレナムチャンバを前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアストラップに間接的に取り付けることを容易にするように構成されたフレームを含む、請求項80に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項82】
前記コンポーネントは、少なくとも1つのチューブを含み、少なくとも1つの前記チューブは、使用時に、少なくとも1つの前記チューブに流体的に接続された空気回路から入口を介してプレナムチャンバの内部に空気流れを送るように構成される、請求項80に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項83】
前記コンポーネントはリジダイザアームを含み、前記リジダイザアームは、前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアストラップを剛性化するように構成される、請求項80に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項84】
前記ディフューザは前記コンポーネントに取り外し可能に取り付けられる、請求項80~83のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項85】
患者インターフェースであって、
周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH
2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバであって、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含むプレナムチャンバと、
患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造であって、使用時に患者呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するように構成されたシール形成構造と、
患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は導管部を含み、前記プレナムチャンバは開口部を含み、前記導管部は、使用時に、前記開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、
前記導管部は、患者が呼気したガスが前記プレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含み、前記換気構造は、使用時に中に患者インターフェースで治療圧力を維持するように構成される、患者インターフェース。
【請求項86】
前記換気構造は、使用時に、ガス流れを前記患者インターフェースの内部から略横方向に換気するように構成される、請求項85に記載の患者インターフェース。
【請求項87】
前記プレナムチャンバは前部を含み、前記入口は前部に位置する、請求項85または86に記載の患者インターフェース。
【請求項88】
前記プレナムチャンバは内側部を含み、前記内側部は、使用時に患者の正中矢状面が前記内側部を通過するように位置し、前記入口は前記内側部上に位置する、請求項85~87のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項89】
前記プレナムチャンバに接続され、前記入口と流体連通するように構成された送達チューブを含む、請求項85~88のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項90】
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記プレナムチャンバに接続された下端部を含み、前記導管部は前記下端部を含む、請求項85~89のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項91】
前記プレナムチャンバは横方向突出接続部を含み、前記開口部は前記横方向突出接続部上に位置する、請求項85~90のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項92】
前記導管部は、第1の換気構造を含む第1の導管部であり、前記開口部は、第1の開口部であり、前記第1の導管部は、使用時に前記第1の開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、前記位置決めおよび安定化構造は、第2の換気構造を含む第2の導管部であり、前記プレナムチャンバは、第2の開口部を含み、前記第2の導管部は、使用時に前記第2の開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成される、請求項85~91のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項93】
前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む、請求項85~92のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項94】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは前記導管部に接続される、請求項93に記載の患者インターフェース。
【請求項95】
前記導管部は比較的剛性を有するように構成される、請求項85~94のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項96】
前記導管部は比較的可撓性を有するように構成される、請求項85~94のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項97】
前記導管部は、前記導管部の閉塞を制限および/または防止するための支持構造を含む、請求項85~96のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項98】
前記支持構造は、補強構造、厚肉化領域、および補強領域のうちの1つ以上によって提供される、請求項97に記載の患者インターフェース。
【請求項99】
前記換気構造は、複数の換気穴を含む、請求項85~98のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項100】
前記換気構造は、使用時に、前記プレナムチャンバの側方に位置する、請求項85~99のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項101】
前記換気構造は、使用時に、位置決めおよび安定化構造の下端の付近に位置する、請求項85~100のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項102】
換気されたおよび/または方向変換されたガス流れを拡散させるためのディフューザを含む、請求項95~101のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項103】
前記ディフューザは織物材料を含む、請求項102に記載の患者インターフェース。
【請求項104】
使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを、患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含む、請求項85~103のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項105】
前記導管部はデフレクタを含む、請求項104に記載の患者インターフェース。
【請求項106】
換気されたおよび/または方向転換されたガス流れを拡散させるためのディフューザはデフレクタの少なくとも一部を形成する、請求項85または105に記載の患者インターフェース。
【請求項107】
前記シール形成構造は、使用時に患者の口ではなく患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成される、請求項85~106のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項108】
前記シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻の下側にシールを形成するように構成される、請求項85~107のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項109】
患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造であって、
使用時に前記患者インターフェースの内部と流体連通するように構成された導管部を含み、
前記導管部は、患者が呼気したガスが前記患者インターフェースの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含み、前記換気構造は、使用時に前記患者インターフェースの内部の治療圧力を維持するように構成される、位置決めおよび安定化構造。
【請求項110】
前記換気構造は、使用時に、ガス流れを前記患者インターフェースの内部から略横方向に換気するように構成される、請求項109に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項111】
使用時に前記患者インターフェースに接続された下端を含み、前記導管部は下端を含む、請求項109または110に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項112】
前記導管部は、前記患者インターフェースのプレナムチャンバに接続されるように構成され、前記プレナムチャンバは、開口部を含み、前記導管部は、使用時に、前記開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成される、請求項109~111のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項113】
前記導管部を前記開口部に取り付けることを容易にするように構成されたコネクタを含む、請求項112に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項114】
前記導管部は、使用時に、前記患者インターフェースの内部から略横方向に第1のガス流れを換気するように構成された第1の換気構造を含む第1の導管部であり、前記第1の導管部は、使用時にプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記患者インターフェースの内部から略横方向に第2のガス流れを換気するように構成された第2の導管部を含み、前記第2の導管部は、使用時に前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成される、請求項109~113のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項115】
請求項112または113を引用する場合、開口部は、前記プレナムチャンバ内に配置された第1の開口部であり、前記第1の導管部は、使用時に前記第1の開口部を介して前記プレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、前記プレナムチャンバは、第2の開口部を含み、前記第2の導管部は、使用時に前記第2の開口部を介してプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成される、請求項114に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項116】
請求項113を引用する場合、コネクタは、前記第1の導管部を前記第1の開口部に取り付けることを容易にするように構成された第1のコネクタであり、前記患者インターフェースは、前記第2の導管部を前記第2の開口部に取り付けることを容易にするように構成された第2のコネクタを含む、請求項115に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項117】
少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む、請求項109~116のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項118】
少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップは前記導管部に接続される、請求項117に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項119】
前記導管部は比較的剛性を有するように構成される、請求項109~118のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項120】
前記導管部は比較的可撓性を有するように構成される、請求項109~118のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項121】
前記導管部は、前記導管部の閉塞を制限および/または防止するための支持構造を含む、請求項109~120のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項122】
前記支持構造は、補強構造、厚肉化領域、および補強領域のうちの1つ以上によって提供される、請求項121に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項123】
前記換気構造は、複数の換気穴を含む、請求項109~122のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項124】
前記換気構造は、使用時に前記位置決めおよび安定化構造の下端の付近に位置する、請求項109~123のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項125】
換気されたおよび/または方向転換されたガス流れを拡散させるためのディフューザを含み、前記ディフューザは、使用時に、前記換気構造からのガス流れを拡散させるために位置する、請求項109~124のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項126】
前記ディフューザは織物材料を含む、請求項125に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項127】
前記ディフューザはヘッドギアストラップ材料を含む、請求項125または126に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項128】
前記ヘッドギアストラップ材料の少なくとも一部は、導管部の少なくとも一部および換気構造の少なくとも一部を覆っている、請求項127に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項129】
使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを、患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含む、請求項109~128のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項130】
導管部は前記デフレクタを含む請求項129に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項131】
ディフューザはデフレクタの少なくとも一部を形成する、請求項109~130のいずれか1項に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項132】
患者インターフェースであって、
周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH
2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバであって、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含むプレナムチャンバと、
患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造であって、使用時に患者呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するように構成されたシール形成構造と、
患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造と、
患者が呼気したガスがプレナムチャンバ内部から周囲へ流れることを可能にするように構成された換気構造であって、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、
使用時に相当量の換気されたガス流れを方向転換するように構成されたデフレクタと、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は前記デフレクタを含む、患者インターフェース。
【請求項133】
前記プレナムチャンバは、入口を含む前部を含む、請求項132に記載の患者インターフェース。
【請求項134】
前記プレナムチャンバは内側部を含み、前記内側部は、使用時に患者の正中矢状面が内側部を通過するように位置し、前記入口は前記内側部上に位置する、請求項132または133のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項135】
前記換気構造は、複数の換気穴を含む、請求項132~134のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項136】
前記換気構造は、使用時に前記入口の側方にある前記患者インターフェースの部分に位置する、請求項132~135のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項137】
前記換気構造は前記プレナムチャンバ上に位置する、請求項132~136のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項138】
前記換気構造は、使用時に、ガス流れを前記プレナムチャンバの内部から略横方向に換気するように構成される、請求項132~137のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項139】
前記換気構造は、患者が呼気した第1のガス流れを前記プレナムチャンバの内部から周囲に換気するように構成された第1の換気構造であり、前記患者インターフェースは、患者が呼気した第2のガス流れを前記プレナムチャンバの内部から周囲に換気するように構成された第2の換気構造を含む、請求項132~138のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項140】
前記第1の換気構造は、使用時に前記プレナムチャンバの内部から第1のガス流れを第1の略横方向に換気するように構成され、前記第2の換気構造は、使用時に前記プレナムチャンバの内部から第2のガス流れを第2の略横方向に換気するように構成され、前記第1の略横方向は、基本的に前記第2の略横方向とは反対である、請求項139に記載の患者インターフェース。
【請求項141】
前記第1の換気構造は、前記患者インターフェースの一方の側で入口の側方に位置し、前記第2の換気構造は、前記患者インターフェースの他方の側で入口の側方に位置する、請求項139または140に記載の患者インターフェース。
【請求項142】
前記デフレクタは、使用時に相当量の第1のガス流れを第1の方向に方向転換するように構成された第1のデフレクタであり、前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に相当量の第2のガス流れを第2の方向に方向転換するように構成された第2のデフレクタを含む、請求項132~141のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項143】
前記換気構造の表面と前記デフレクタの表面との間にギャップを提供するスペーサを含む、請求項132~142のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項144】
前記スペーサは、少なくとも1つのリブを含み、請求項143に記載の患者インターフェース。
【請求項145】
少なくとも1つの前記リブは、前記換気構造のガス流れを導くための複数の流路を提供する、請求項144に記載の患者インターフェース。
【請求項146】
前記スペーサは、前記換気構造の一部を含む、請求項143~145のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項147】
前記スペーサは前記デフレクタの一部を含む、請求項143~145のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項148】
前記デフレクタは、1つ以上のデフレクタ壁の配置構造を含む、請求項132~147のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項149】
前記換気構造の表面と前記デフレクタの表面との間にギャップを提供するスペーサは、少なくとも1つのデフレクタ壁を含む、請求項148に記載の患者インターフェース。
【請求項150】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されたディフューザを含む、請求項132~149のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項151】
前記ディフューザは織物材料を含む、請求項150に記載の患者インターフェース。
【請求項152】
前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのチューブを含み、少なくとも1つの前記チューブは、使用時に、少なくとも1つの前記チューブに流体的に接続された空気回路から前記入口を介して前記プレナムチャンバの内部に空気流れを送るように構成される、請求項132~151のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項153】
少なくとも1つの前記チューブは、前記デフレクタを含み、少なくとも1つの前記チューブの一部は、前記換気構造からのガス流れを方向転換するように配置される、請求項152に記載の患者インターフェース。
【請求項154】
少なくとも1つの前記チューブはディフューザを含む、請求項152または153に記載の患者インターフェース。
【請求項155】
前記プレナムチャンバに接続され、前記入口と流体連通するように構成された送達チューブを含む、請求項132~151のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項156】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記プレナムチャンバを前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアストラップに取り付けることを容易にするように構成されたフレームを含む、請求項132~151および155のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項157】
前記フレームは前記プレナムチャンバに取り付けられ、前記フレームは少なくとも1つの前記ヘッドギアストラップに取り付けられる、請求項156に記載の患者インターフェース。
【請求項158】
送達チューブが前記フレームおよび前記プレナムチャンバの少なくとも一方に取り付けられる、請求項156または157に記載の患者インターフェース。
【請求項159】
前記フレームは開口部を含み、送達チューブは、使用時に前記開口部を介して前記入口と流体連通するように構成される、請求項156~158のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項160】
前記フレームは、前記患者インターフェースを少なくとも前記ヘッドギアストラップに取り付けることを容易にするための1対のコネクタを含む、請求項156~159のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項161】
前記フレームは前記デフレクタを含み、前記フレームの一部は、前記換気構造からのガス流れを方向転換するように配置される、請求項156~160のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項162】
前記フレームはディフューザを含む、請求項156~161のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項163】
前記デフレクタは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを、実質的に高い方向および実質的に低い方向のうちの少なくとも1つの方向に方向転換するように構成される、請求項132~162のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項164】
前記シール形成構造は、使用時に、患者の口ではなく患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成される、請求項132~163のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項165】
前記シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻の下側とシールを形成するように構成される、請求項132~164のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項166】
前記シール形成構造は、使用時に患者の鼻および口の周りにシールを形成するように構成される、請求項132~163のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.1技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1.2関連技術の説明
1.2.1ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進する。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0003】
気道には、肺の奥深くに進むほど狭く、短く、多数になる一連の分岐管が含まれている。肺の主要機能は、吸い込まれた空気から酸素を静脈血中へ移動させることと、反対方向に二酸化炭素を移動させることとを可能にするガス交換である。気管は、右左の主気管支に分かれ、右左の主気管支はさらに分割されて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道は、さらに分割されて呼吸細気管支、最終的には肺胞につながる。肺の胞状領域は、ガス交換が発生するところであり、呼吸領域と呼ばれる。John B.West、Lippincott Williams&Wilkinsによる「Respiratory Physiology」(2012年発行の第9版)を参照されたい。
【0004】
呼吸障害としては様々なものが存在している。特定の障害は、特定の事象(例えば、無呼吸、低呼吸および過呼吸)を特徴とし得る。
【0005】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーンストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、および胸壁障害が含まれる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、睡眠中の上部気道の閉塞または閉鎖を含む事象を特徴とする。これは、異常に小さな上気道と、睡眠中の舌、軟口蓋、および後口咽頭壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせの結果である。このような状況により、影響を受けた患者は、通常30~120秒、いくつかの場合毎晩200~300回の呼吸停止を余儀なくされる。日中の過度の眠気を引き起こすことが多く、心血管疾患や脳損傷を引き起こす可能性がある。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、罹患した人は、問題に気付いていない場合がある。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーンストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、これには、CSRサイクルとして知られている換気の漸増および漸減がリズミカルに交互する期間がある。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しを特徴とする。CSRは、低酸素症が繰り返されるため、有害である可能性がある。一部の患者では、CSRが、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、睡眠からの目覚めの反復と関連付けられる。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、肺が患者のニーズを満たすために十分な酸素吸気を行ったり、CO2を十分に吐き出たりできないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうち一部または全部を包含し得る。
【0009】
呼吸機能不全(呼吸不全の一形態)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0010】
肥満性過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確にない状態における、重症肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症との組み合わせとして規定される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛、および過剰な日中の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の特性を共通して有する下気道疾患群のいずれかを包含する。これらは、空気移動に対する抵抗の増加と、呼吸の呼気相の延長と、肺の正常な弾力性の喪失とを含む。COPDの例としては、肺気腫や慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被曝、空気汚染および遺伝因子がある。症状は、労作時呼吸困難、慢性咳および痰の生成を含む。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾患および病気を包含する広範な用語である。一部のNMD患者は、歩行不可能、車椅子での生活、嚥下困難、呼吸筋力低下、そして最終的には呼吸不全による死亡につながる進行性の筋肉障害を特徴とする。神経筋障害は、急速進行性および緩徐進行性に分けることができる:(i)急速進行性の障害:数か月にわたって悪化し、数年以内に死亡に至る筋肉障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD))を特徴とする;(ii)可変的または緩徐進行性の障害:数年にわたって悪化するものの、平均余命の短縮は軽度にとどまる筋肉障害(例えば、肢帯型の、顔面肩甲上腕型の、および筋強直性の筋ジストロフィー)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全の症状は、全身の脱力感の増加、嚥下障害、労作時および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、ならびに集中および気分の変化の困難を含む。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の一群であり、呼吸筋と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。障害は、通常、拘束性障害を特徴とし、長期間の高炭酸ガス血性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重症の呼吸不全の原因になり得る。呼吸不全の症状は、労作時呼吸困難、末梢性浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振を含む。
【0014】
このような疾病を治療または改善するために、様々な療法が用いられてきた。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸障害の発生を予防するために、このような療法を利用し得る。しかし、これらにおいては、多数の欠陥がある。
【0015】
1.2.2療法
多様な呼吸療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量療法(HFT))が、前述の呼吸障害のうち1つ以上の治療のために用いられてきた。
【0016】
1.2.2.1呼吸圧力療法
呼吸圧力療法とは、(タンクベンチレータまたは陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧療法とは対照的に)患者の呼吸サイクル全体を通じて雰囲気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、気道への入口に空気供給を適用することである。
【0017】
持続的気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に使用されてきた。作用メカニズムは、軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進させたり、それから後退させることなどにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、上気道の閉鎖を予防し得ることである。CPAP療法によるOSAの治療は、自発的なものであり得るため、患者は、このような療法の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気付いた場合、療法に従わないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、および低い審美性。
【0018】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸仕事の一部または全部を行うことにより患者の呼吸を支援し、かつ/または身体中の十分な酸素レベルを維持する。換気補助は、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられてきた。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0019】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
1.2.2.2流れ療法
すべての呼吸療法が、処方された治療的圧力を送達することを目的としているわけではない。いくつかの呼吸療法は、恐らくは正のベースライン圧力上に重ね合わせられた吸気流量プロファイルを目標継続時間にわたって送達することによって、処方された呼吸量を送達することを目的としている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸療法は、患者自身の自発呼吸のみを、調節されたガスまたは濃縮ガスの流れで補完し得る。一例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを、気道への入口に、シール解除または開放されている患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定に保持され得る「治療流量」で提供することである。治療流量は、名目上、患者のピーク吸気流量を超えるように設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療に使用されてきた。1つの作用メカニズムは、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しによって、気道の入口における高流量の空気が、換気効率を改善することである。そのため、HFTは、時には死腔療法(DST)と呼ばれる。他の便益は、(恐らくは分泌物管理の便益による)暖かさおよび加湿の上昇と、気道圧力の緩やかな上昇の可能性とを含み得る。一定流量の代替として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0021】
流量治療の他の形態は、長期酸素治療(LTOT)または補充酸素治療である。医師は、特定の流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPMなど)で患者の気道に送達される、特定の酸素濃度(周囲空気中の酸素分率、21%から100%まで)の酸素富化空気の連続流を規定し得る。
【0022】
1.2.3呼吸療法システム
これらの呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも用いられ得る。
【0023】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、およびデータ管理を含み得る。
【0024】
1.2.3.1患者インターフェース
患者インターフェースを使用して、例えば気道への入口に空気流れを提供することによって呼吸装具へのインターフェースを着用者に提供することができる。空気流れは、鼻および/若しくは口へのマスク、口への管、または患者の気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療によっては、患者インターフェースは、例えば患者の顔の一部とシールを形成することによって周囲圧力と十分に異なる圧力、例えば、周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧でガス送達を促進し、治療を効果的に実行し得る。
【0025】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護するが、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないように、構成され得る。
【0026】
例えば、マスクが鼻を介した気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合、特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましくない場合があり得る。
【0027】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介してシールを作成かつ維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実用的である場合がある。
【0028】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実用的である場合がある。
【0029】
一部のマスクは、閉所恐怖症、不安感、および/または過度に目立つと感じる可能性がある患者を引き起こす可能性がある。
【0030】
患者インターフェースの設計は多くの課題を提起した。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズ並びに形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的な力に対して異なる反応を示す。顎または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に対して動くことがある。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動くことができる。
【0031】
これらの課題の結果、マスクによっては、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましいこと、美観的に望ましくないこと、コストが高いこと、フィット感が悪いこと、使用が困難、および不快感のうちの1つ以上から悪い影響を受ける。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルタマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないことに不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者コンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に着用する必要がある場合、特に当てはまる。
【0032】
CPAP療法は、患者が治療に従えば、特定の呼吸器疾患の治療に非常に有効である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。
【0033】
患者はマスクを定期的に清掃するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0034】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠時呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠時呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0035】
これらの理由のため、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0036】
1.2.3.1.1シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。シール形成構造は、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接的に影響を及ぼし得る。
【0037】
患者インターフェースは、シール形成構造が使用時に顔と係合するようになっている場合の設計意図にしたがって部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分と、を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔を取り囲む単一の素子を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に、例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に鼻孔領域および口領域の両方を取り囲む単一の素子を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、全面マスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0038】
患者の顔の一領域において有効となり得るシール形成構造は、別の領域では、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域によって不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルのシールは、患者の鼻の上における使用には不適切である場合がある。
【0039】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。シールを形成するためには、患者の顔の形状と、大量生産された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合が存在する範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0040】
ある種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延在し、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性シール要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、シールを得るためには患者インターフェースを顔に押しつけるために更なる力が必要になる。
【0041】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に位置付けられた薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合性が不良である場合、シールを得るために必要な更なる力が必要になり得るか、またはマスクから漏れが発生し得る。更に、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成構造にしわまたは座屈が発生し、漏れの原因になり得る。
【0042】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらを不快であると感じる患者も存在する。
【0043】
別の形態のシール形成構造は、シールを得るために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0044】
一連の患者インターフェースシール形成構造技術は、ResMed Limitedに譲渡された特許出願WO 1998/004,310、WO 2006/074,513、WO 2010/135,785において開示されている。
【0045】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam Circuitにおいて見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0046】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0047】
1.2.3.1.2位置付けおよび安定化
陽圧治療に使用される患者インターフェースのシール形成構造は、空気圧 の対応する力を受け、シールに支障を来す。したがって、シール形成構造を位置決めして、このシール形成構造が顔の適切な部分とシール関係となるように維持するために、様々な技術が使用されてきた。
【0048】
異なる位置付けおよび安定化技術を比較する際には、いくつかの要因が考えられる。これらには、患者インターフェースの使用中に、シール形成構造を所望の位置に維持し、顔シールと係合させるという点で、この技術の有効性が含まれる、インターフェースの患者への快適さ、患者インターフェースが装着されたときに、患者が侵入および/または閉所恐怖症を感じるかどうか、美的情緒を持っている。
【0049】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開第2010/0000534号を参照されたい。しかしながら、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0050】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスは、フィット感が悪いこと、かさばること、不快および扱いにくいことのうちの1つ以上から悪い影響を受ける。
【0051】
1.2.3.1.3加圧空気導管
1つのタイプの治療システムでは、加圧空気流れが、使用時に患者インターフェースが患者の顔に位置するとき、患者の顔の前方の位置で患者インターフェースに流体的に接続された空気回路内の導管を介して患者インターフェースに供給される。導管は、患者インターフェースから患者の顔から前方に延びてもよい。
【0052】
1.2.3.1.4シール成形構造の位置付けおよび安定化のための加圧空気導管
別のタイプの治療システムは、患者インターフェースを含み、この患者インターフェースのシール形成部分を患者の顔の適切な部分に位置付けして安定させるために、加圧空気を患者の気道に送達するチューブがヘッドギアの一部としても使用される。このタイプの患者インターフェースは、「導管型ヘッドギア」または「ヘッドギアチューブ」を有するものとして呼ばれることもある。この患者インターフェースは、呼吸圧力療法(RPT)デバイスからの加圧空気流れを提供する空気回路内の導管を、患者の顔の前方以外の位置で患者インターフェースに接続することを可能にする。このような治療システムの一例は、米国特許公開第2007/0246043号に開示されており、その内容は引用によってここに組み込まれており、導管は、使用時に患者の頭上に配置されたポートを介して患者のインターフェースの内部のチューブに接続されている。
【0053】
ヘッドギアチューブを組み込んだ患者インターフェースは、患者が睡眠中に長時間に装着しても快適で、患者の顔と気密で安定したシールを形成し、同時に患者の様々な頭部形状およびサイズに適合することが望ましい。
【0054】
1.2.3.2呼吸圧力療法(RPT)デバイス
呼吸圧力療法(RPT)デバイスは、気道へのインターフェースに送達するための空気流れを生成するようにデバイスを動作させることなどによって、前述した多数の療法のうち1つ以上を送達するために、個々に、またはシステムの一部として使用され得る。空気流れは、(呼吸圧力療法のために)圧力制御されるか、(HFTなどの流れ療法のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ療法デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例は、CPAPデバイスおよび人工呼吸器を含む。
【0055】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士は対立することが多く、これは、特定の設計の選択肢が慣例からほど遠くなるか、避けられないことを意味する。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変化に大きく敏感になる可能性もある。
【0056】
1.2.3.3空気回路
空気回路は、使用時に空気流れが呼吸療法システムの2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間で移動できるように構築および配置された導管またはチューブである。場合によっては、空気回路に吸息および呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単枝型空気回路が吸息および呼息の両方のために使用される。
【0057】
1.2.3.4加湿器
空気流れの送達を加湿なしで行った場合には、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑えるとともに患者気道の快適性を高める加湿ガスを生み出す。また、より冷涼な気候においては、基本的に患者インターフェースの内部および患者インターフェース周囲の顔の領域に適用される空気は、冷たい空気よりも暖かい空気の方が快適である。
【0058】
1.2.3.5換気技術
いくつかの形態の治療システムは、呼息された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガスの流れが可能になり得る。
【0059】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。このような通気部の多くは音がする。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者の同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0060】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。国際特許出願公開第1998/034,665号、国際特許出願公開第2000/078,381号、米国特許第6,581,594号、米国特許出願公開第2009/0050156号、米国特許出願公開第2009/0044808号を参照のこと。
【0061】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表1】
【0062】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0063】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0064】
患者インターフェース内で異なる方向に流れる空気間のせん断効果または接触は、乱流を引き起こす可能性があり、これはノイズを引き起こす可能性がある。この効果は、患者の呼吸サイクルの影響を受ける可能性があり、その結果、発生するノイズは周期的になることがある。患者インターフェース内では、送達チューブから受け入れられた空気は、患者が吐き出す空気とは異なる方向に移動し、逆方向に移動する可能性がある。呼気中、患者が吐き出す空気流れは、チューブから患者インターフェースに入る空気流れにせん断したり、接触したりすることがある。これにより乱流が発生し、ノイズが発生することがある。吸入中または呼吸停止中(つまり、吸入と呼気の間の期間)、チューブから患者インターフェースに入る空気の流れが、患者インターフェース内の空気の流れを剪断したり、接触したりする可能性がある。これにより乱流が発生し、ノイズが発生することがある。ノイズの周期的な性質は特に望ましくない場合がある。
【0065】
また、患者インターフェースから空気が側方に排出されるときに、横向きに寝ている患者が患者インターフェースを使用しているときにもノイズが発生する可能性がある。患者が寝ている間、気流は枕などの物体に接触したり、患者の手などの身体の他の部分に接触したりすることがあり、これがノイズを発生する可能性がある。これにより不快感が増大し、したがって治療が受けられなくなる可能性がある。いくつかの態様では、患者インターフェースを使用している患者が仰向けに寝ている場合、患者インターフェースから側方に排出された空気が患者の睡眠パートナーに向かって流れ、睡眠を妨げる可能性がある。これは、患者の睡眠パートナーを混乱させたり不快感を与えたりする可能性があり、患者の不従順性を高める可能性がある。
【0066】
患者インターフェースから排出される気流を拡散させることは、ノイズの低減に寄与する。また、使用中に寝ているパートナーに向けて通気される空気の流れを拡散することで、患者の寝ているパートナーへの迷惑を軽減することもできる。ただし、ディフューザにはマスク用の追加のコンポーネント/部品が必要であり、製造コストと複雑さが増加する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0067】
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる医療用デバイスの提供に関連し、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0068】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0069】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる方法に関連する。
【0070】
本技術の特定の形態の一態様は、患者の呼吸療法に対するコンプライアンスを改善する方法および/またはデバイスを提供することである。
【0071】
本技術の一態様は、患者インターフェースのための換気構造に関する。別の態様は、換気構造を含む患者インターフェースに関する。さらに別の態様は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。
【0072】
本技術の別の態様は患者インターフェースを含み、当該患者インターフェースは、患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。
【0073】
諸例において、
●プレナムチャンバは前部を含んでもよい。
●前部は、入口を含んでもよい。
●プレナムチャンバは内側部を含んでもよい。
●内側部は、使用時に患者の正中矢状面が内側部を通過するように位置してもよい。
●入口は内側部に位置してもよい。
●患者インターフェースは、プレナムチャンバに接続され、入口と流体連通するように構成された送達チューブを含んでもよい。
【0074】
諸例において、
●換気構造は、使用時に、プレナムチャンバ内からガス流れを略横方向に換気するように構成されてもよい。
●換気構造は、複数の換気穴を含んでもよい。
●換気構造は、使用時に入口の側方にある患者インターフェースの一部上に位置してもよい。
●換気構造はプレナムチャンバ上に位置してもよい。
●換気構造は、換気モジュールを含んでもよい。
●患者インターフェースは、換気モジュール開口部を含んでもよい。
●換気モジュールは、換気モジュール開口部を含む患者インターフェースの一部に接続されるように構成されてもよい。
●この換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内から第1のガス流れを換気するように構成された第1の換気構造であってもよく、患者インターフェースは、プレナムチャンバの内部から第2のガス流れを換気するように構成された第2の換気構造を含んでもよい。
●第1の換気構造は、使用時に第1のガス流れをプレナムチャンバの内部から第1の略横方向に換気するように構成されてもよい。
●第2の換気構造は、使用時に、第2のガス流れをプレナムチャンバの内部から第2の略横方向に換気するように構成されてもよい。
●第1の略横方向は、基本的に第2の略横方向と反対であってもよい。
●第1の換気構造は、患者インターフェースの一方の側で入口の側方に位置してもよい。
●第2の換気構造は、患者インターフェースの他方の側で入口の側方に位置してもよい。
【0075】
諸例において、
●患者インターフェースは、使用時に、換気されたガス流れの少なくとも一部を方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
●患者インターフェースは、使用時に、相当量の換気されたガス流れを方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
●患者インターフェースは、使用時に、横方向に換気されたガス流れの少なくとも一部を患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
●患者インターフェースは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを患者に対して前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
●患者インターフェースは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを実質的に前方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
●デフレクタは、1つ以上のデフレクタ壁の配置構造を含んでもよい。
●デフレクタは、方向に換気されたガス流れを前記内側部に向けるように構成されてもよい。
● デフレクタは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れをプレナムチャンバの前記前部に向けて方向転換するように構成されてもよい。
●デフレクタは、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを送達チューブの一部に向けて方向転換するように構成されてもよい。
●デフレクタは、換気構造の一部として使用されてもよい。
●デフレクタは、使用時に、第1の換気ガス流れを方向転換するように構成された第1のデフレクタを含み、患者インターフェースは、第2の換気ガス流れを方向転換するように構成された第2のデフレクタを含んでもよい。
●患者インターフェースは、使用時に、少なくとも相当量の第1のガス流れを第1の方向に方向転換するように構成された第1のデフレクタを含んでもよく、患者インターフェースは、使用時に相当量の第2のガス流れを第2の方向に方向転換するように構成された第2のデフレクタを含んでもよい。
●位置決めおよび安定化構造は、使用時に、少なくとも相当量の第1のガス流れを第1の方向に方向転換するように構成された第1のデフレクタを含んでもよく、位置決めおよび安定化構造は、使用時に、相当量の第2のガス流れを第2の方向に方向転換するように構成された第2のデフレクタを含んでもよい。
●第1の換気ガス流れは、第1の横方向換気ガス流れであってもよい。
●第2の換気ガス流れは、第2の横方向換気ガス流れであってもよい。
●第1のデフレクタは、使用時に、相当量の第1の横方向換気ガス流れを前方向に方向転換するように構成されてもよい。
●第2のデフレクタは、使用時に、相当量の第2の横方向換気ガス流れを前方向に方向転換するように構成されてもよい。
【0076】
諸例において、
●患者インターフェースは、換気構造の表面とデフレクタの表面との間にギャップを提供するスペーサを含んでもよい。
●スペーサは、少なくとも1つのリブ、好ましくは複数のリブを含んでもよい。
●リブは、換気構造からのガス流れを方向転換するための複数の流路を提供してもよい。
●スペーサは、換気構造の一部を含んでもよい。
●スペーサは、デフレクタの一部を含んでもよい。
●スペーサは、少なくとも1つのデフレクタ壁を含んでもよい。
【0077】
諸例において、
●患者インターフェースは、プレナムチャンバを位置決めおよび安定化構造に取り付けることを容易にするための1対のコネクタを含んでもよい。
●コネクタのうちの少なくとも1つは、換気構造の一部として含まれていてもよい。
●コネクタのうちの少なくとも1つは、デフレクタの一部として含んでもよい。
【0078】
諸例において、
●前記患者インターフェースは、患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含んでもよい。
●位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのヘッドギアストラップ、好ましくは複数のヘッドギアストラップを含んでもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは、ボタン留めによってコネクタに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップはボタン穴を含んでもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは、ボタン穴を介して少なくとも1つのヘッドギアストラップへのコネクタの一部の挿入を受容するスリーブ状構成を含む。
【0079】
諸例において、
●位置決めおよび安定化構造は、ディフューザを含んでもよい。
●ディフューザは、換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されてもよい。
●位置決めおよび安定化構造は、コンポーネントを含んでもよい。
●このコンポーネントは、ディフューザを含んでもよい。
●このコンポーネントは、換気部向き面を含んでもよい。
●換気部向き面は、使用時に、換気構造からの換気ガス流れの経路内に位置してもよい。
●ディフューザは、コンポーネントの換気部向き面上に位置してもよい。
●コンポーネントは、フレームを含んでもよい。
●フレームは、プレナムチャンバを少なくとも1つのヘッドギアストラップに間接的に取り付けることを容易にするように構成されてもよい。
●コンポーネントは、少なくとも1つのチューブを含んでもよい。
●少なくとも1つのチューブは、使用時に、少なくとも1つのチューブに流体的に接続された空気回路から入口を介してプレナムチャンバの内部に空気流れを送るように構成されていてもよい。
●少なくとも1つのチューブはヘッドギアチューブであってもよい。
●このコンポーネントは、リジダイザアームを含んでもよい。
●リジダイザアームは、位置付けおよび安定構造化の少なくとも1つのヘッドギアストラップを剛性化するように構成されてもよい。
●ディフューザは、コンポーネントに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●ディフューザは、フレームに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●ディフューザは、少なくとも1つのチューブに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●ディフューザは、リジダイザアームに取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0080】
諸例において、
●位置決めおよび安定化構造は、フレームを含んでもよい。
●フレームは、プレナムチャンバを少なくとも1つのヘッドギアストラップに間接的に取り付けることを容易にするように構成されてもよい。
●フレームはプレナムチャンバに取り付けられてもよく、少なくとも1つのヘッドギアストラップはフレームに取り付けられてもよい。
●送達チューブは、フレームおよびプレナムチャンバの少なくとも一方に取り付けられてもよい。
●送達チューブは、フレームに取り付けられてもよい。
●フレームは開口部を含んでもよい。
●送達チューブは、使用時にフレームの開口部を介して入口と流体連通するように構成されてもよい。
●フレームは、換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されたディフューザを含んでもよい。
●フレームの被覆部は、使用中の換気構造の少なくとも一部を覆ってもよい。
●ディフューザは、フレームの被覆部上に位置してもよい。
●ディフューザは、フレームに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●フレームは、フレームを少なくとも1つのヘッドギアストラップに取り付けることを容易にするために、コネクタのうちの少なくとも1つ、好ましくは1対のコネクタを含んでもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは、フレームのコネクタ(複数可)に取り外し可能に取り付けられてもよい。
●フレームはデフレクタを含んでもよい。
●フレームの一部は、使用時に、換気構造からのガス流れを方向転換するように位置してもよい。
【0081】
諸例において、
●位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのチューブを含んでもよい。
●少なくとも1つのチューブは、使用時に、少なくとも1つのチューブに流体的に接続された空気回路から入口を介してプレナムチャンバの内部に空気流れを送るように構成されていてもよい。
●少なくとも1つのチューブはヘッドギアチューブであってもよい。
●少なくとも1つのチューブは、換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されたディフューザを含んでもよい。
●少なくとも1つのチューブの被覆部は、使用時に換気構造の少なくとも一部を覆ってもよい。
●ディフューザは、少なくとも1つのチューブの被覆部上に位置してもよい。
●ディフューザは、少なくとも1つのチューブに取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0082】
諸例において、
●換気構造は、位置決めおよび安定化構造上に位置してもお酔い。
●位置決めおよび安定化構造は、導管部を含んでもよい。
●プレナムチャンバは開口部を含んでもよく、導管部は、使用時に開口部を介してプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成されてもよい。
●患者インターフェースは、導管部を開口部に取り付けることを容易にするように構成されたコネクタを含んでもよい。
●換気構造は、導管部上に位置してもよい。
●導管部は、第1の換気構造としての換気構造と、第1の開口部としての開口とを含む第1の導管部であってもよく、第1の導管部は、使用時に第1の開口部を介してプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成され、位置決めおよび安定化構造は、第2の換気構造を含む第2の導管部を含んでもよく、プレナムチャンバは、第2の開口部を含み、第2の導管部は、使用時に第2の開口部を介してプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成される。
●コネクタは、第1の導管部を第1の開口部に取り付けることを容易にするように構成された第1のコネクタであってもよく、患者インターフェースは、第2の導管部を第2の開口部に取り付けることを容易にするように構成された第2のコネクタを含んでもよい。
●導管部は、比較的剛性を有するように構成されてもよい。
●導管部は、比較的可撓性に構成されてもよい。
●導管部は、導管部の閉塞を制限および/または防止するための支持構造を含んでもよい。
●支持構造は、補強構造、厚肉化領域、および補強領域のうちの1つ以上によって提供されてもよい。
●位置決めおよび安定化構造は、使用時にプレナムチャンバに接続された下端部を含んでもよく、導管部は下端部を含む。
●換気構造は、使用時に位置決めおよび安定化構造の下端の付近に位置してもよい。
●プレナムチャンバは、開口部が横方向突出接続部上に位置する横方向突出接続部を含んでもよい。
●横方向突出接続部は、第1の開口部を含む第1の横方向突出接続部であってもよく、プレナムチャンバは、第2の横方向突出接続部を含み、第2の開口部は、第2の横方向突出接続部上に位置する。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは導管部に接続されてもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップの少なくとも一部は、導管部の少なくとも一部と換気構造の少なくとも一部とを覆う。
●換気構造は、使用時にプレナムチャンバの側方に位置してもよい。
●換気構造は、使用時に位置決めおよび安定化構造の下端の付近に位置してもよい。
●導管部は、デフレクタを含んでもよい。
【0083】
諸例において、
●患者インターフェースは、換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されたディフューザを含んでもよい。
●ディフューザは、患者インターフェースの内部から換気されたガス流れを換気構造を介して周囲に拡散させるように構成されてもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは、ディフューザを含んでもよい。
●少なくとも1つのヘッドギアストラップは、使用時に換気構造の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい被覆部を含んでもよい。
●ディフューザは、少なくとも1つのヘッドギアストラップの被覆部上に位置してもよい。
●ディフューザは、少なくとも1つのヘッドギアストラップに取り外し可能に取り付けられてもよい。
●ディフューザは織物材料で形成されてもよい。
●ディフューザは、織物材料の表面の一部を起毛することによって形成されてもよい。
●ディフューザは、別個に形成され、少なくとも1つのヘッドギアストラップに取り付けられてもよい。
●ディフューザはヘッドギアストラップ材料で形成されてもよい。
●ディフューザは、ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛することによって形成されてもよい。
●ディフューザは、デフレクタの少なくとも一部を形成してもよい。
【0084】
諸例において、
●患者インターフェースは、鼻マスクの形態であってもよい。
●シール形成構造は、使用時に、鼻孔周囲の鼻の下側とシールを形成するように構成されてもよい。
●シール形成構造は、使用時に患者の口ではなく、患者の鼻孔の周りにシールを形成するように構成されてもよい。
【0085】
諸例において、
●シール形成構造は、使用時に患者の鼻および口の周りにシールを形成するように構成されてもよい。
【0086】
本技術の一形態は、患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含む前部を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。換気構造は、使用時に、プレナムチャンバの内部からガス流れを略横方向に換気するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、使用時に、横方向に換気された相当量のガス流れを患者の前方成分を有する方向に方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。
【0087】
例では、患者インターフェースは、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または例に記載の患者インターフェースを含んでもよい。
【0088】
本技術の別の形態は、患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースは、患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのヘッドギアストラップを含んでもよく、少なくとも1つのヘッドギアストラップはディフューザを含む。ディフューザは、換気構造からのガス流れを拡散させるように配置されてもよい。
【0089】
例では、患者インターフェースは、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または例に記載の患者インターフェースを含んでもよい。
【0090】
本技術の別の形態は、患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスをプレナムチャンバの内部から周囲に換気することを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースは、患者の頭部上の治療に有効な位置に前記シール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、コンポーネントを含んでもよい。このコンポーネントは、換気部向き面を含んでもよい。換気部向き面は、使用時に、換気構造からの換気ガス流れの経路内に位置してもよい。患者インターフェースは、ディフューザをさらに含んでもよい。ディフューザは、コンポーネントの換気部向き面上に位置してもよい。ディフューザは、換気構造からの換気ガス流れを拡散させるように配置されてもよい。
【0091】
一例では、患者インターフェースは、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または例に記載の患者インターフェースを含んでもよい。
【0092】
本技術の一形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置にシール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、ディフューザを含んでもよい。ディフューザは、患者インターフェース上に構成された換気構造を介して、患者インターフェースの内部から換気されたガス流れを周辺に拡散させるように構成されてもよい。
【0093】
一例では、位置決めおよび安定化構造は、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または一例に記載の位置決めおよび安定化構造を含んでもよい。
【0094】
本技術の一形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置にシール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、コンポーネントを含んでもよい。このコンポーネントは、換気部向き面を含んでもよい。換気部向き面は、使用時に、患者インターフェースの換気構造からの換気ガス流れの経路内に位置してもよい。位置決めおよび安定化構造は、ディフューザをさらに含んでもよい。ディフューザは、コンポーネントの換気部向き面に位置してもよい。ディフューザは、換気構造からのガスの換気ガス流れを拡散させるように構成されてもよい。
【0095】
一例では、位置決めおよび安定化構造は、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または一例に記載の位置決めおよび安定化構造を含んでもよい。
【0096】
本技術の別の形態は、患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造をさらに含んでもよい。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースは、患者の頭部上の治療に有効な位置にシール形成構造を維持するための位置決めおよび安定化構造をさらに含んでもよい。位置決めおよび安定化構造は導管部を含み、プレナムチャンバは開口部を含んでもよい。導管部は、使用時に開口部を介してプレナムチャンバの内部と流体連通するように構成されてもよい。導管部は、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時に患者のインターフェース内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。
【0097】
例では、患者インターフェースは、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または例に記載の患者インターフェースを含んでもよい。
【0098】
本技術の別の形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者インターフェースの内部と流体連通するように構成された導管部を含んでもよい。導管部は、患者が呼気したガスが患者インターフェースの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時に患者インターフェースの内部に治療圧力を維持するように構成されてもよい。
【0099】
一例では、位置決めおよび安定化構造は、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または一例に記載の位置決めおよび安定化構造を含んでもよい。
【0100】
本技術の別の形態は、患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバを含んでもよい。プレナムチャンバは、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口を含んでもよい。患者インターフェースは、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造をさらに含んでもよい。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースは、患者の頭部上の治療に有効な位置にシール形成構造を保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造をさらに含んでもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスがプレナムチャンバの内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバ内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースはまた、使用時に大量に換気されたガス流れを方向転換するように構成されたデフレクタを含んでもよい。位置決めおよび安定化構造は、デフレクタを含んでもよい。
【0101】
一例では、患者インターフェースは、本発明のいずれか1つ以上の先に説明された態様および/または一例に記載の患者インターフェースを含んでもよい。
【0102】
本技術の別の態様は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造のヘッドギアストラップの一部を含むディフューザを製造する方法に関する。この方法は、任意の順序で行われる以下のステップを含んでもよい。
(a)ヘッドギアベルト材料の表面に拡散層を形成し、この拡散層は、使用時に患者インターフェースに配置された換気構造を介して換気されるガス流れを拡散させるように構成される。および
(b)前記ヘッドギアストラップ材料でヘッドギアストラップを形成する。
【0103】
諸例において、
●ステップ(a)は、ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛することを含んでもよい。
●ステップ(a)は、ヘッドギアストラップ材料の表面の起毛部分をトリミングすることを含んでもよい。
●ステップ(a)は、織物材料で拡散層を形成し、接着剤または他の公知の付着方法を用いて、拡散層をヘッドギアストラップ材料の表面に付着させることを含んでもよい。
●拡散層は、織物材料を切断することによって形成されてもよい。
【0104】
諸例において、
●ステップ(b)は、ヘッドギアストラップ材料をヘッドギアストラップに切断することを含んでもよい。
●ヘッドギアストラップ材料は、織物材料を含んでもよい。
【0105】
本技術の別の態様は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つのヘッドギアチューブの一部を含むディフューザを製造する方法に関する。この方法は、任意の順序で行われる以下のステップを含んでもよい。
(a)少なくとも1つのヘッドギアチューブの表面に拡散層を形成し、拡散層は、使用時に患者インターフェースに配置された換気構造を介して換気されたガス流れを拡散させるように構成される。および
(b)ヘッドギアチューブを形成する。
【0106】
諸例において、
●ステップ(a)は、ヘッドギア導管が織物材料の層で形成されたヘッドギアチューブの表面の一部を起毛することを含んでもよい。
●ステップ(a)は、織物材料の表面の起毛部分をトリミングすることを含んでもよい。
●ステップ(a)は、織物材料で拡散層を形成し、接着剤または他の公知の付着方法を用いて、拡散層をヘッドギア導管の表面に付着させることを含んでもよい。
●拡散層は、織物材料を切断し、織物材料を起毛することにより、いずれの順序でも形成されてもよい。
【0107】
諸例において、
●ステップ(b)は、1つ以上の材料(例えばシリコーン樹脂)からヘッドギアチューブ3350を形成することを含んでもよい。
●織物材料は、フリース材料を含んでもよい。
【0108】
本技術の別の態様は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェースを保持するための位置決めおよび安定化構造のフレームの一部を含むディフューザを製造する方法に関する。この方法は、任意の順序で行われる以下のステップを含んでもよい。
(a)フレームの表面に拡散層を形成し、拡散層は、使用時に患者インターフェースに配置された換気構造を介して換気されたガス流れを拡散させるように構成される。および
(b)フレームを形成する。
【0109】
諸例において、
●ステップ(a)は、フレームの表面の一部を起毛することを含み、フレームは織物材料の層で形成されていてもよい。
●ステップ(a)は、織物材料の表面の起毛部分をトリミングすることを含んでもよい。
●ステップ(a)は、織物材料で拡散層を形成し、接着剤または他の公知の付着方法を用いて、拡散層をフレームの表面に付着させることを含んでもよい。
●拡散層は、織物材料を切断し、織物材料を起毛することによって、いずれの順序でも形成されてもよい。
【0110】
諸例において、
●ステップ(b)は、1つ以上の材料(例えばポリマー)でフレームを形成することを含んでもよい。好適なポリマーは、熱可塑性プラスチックまたはシリコーンなどのエラストマーを含んでもよい。
●織物材料は、フリース材料を含んでもよい。
【0111】
本技術の一形態の別の態様は、意図する装着者の周囲形状と相補的な周囲形状を有するように成形された、または構築された患者インターフェースである。
【0112】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0113】
本技術の一形態の一態様は、特殊な清浄器具を必要とせずに、患者の自宅において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースである。本技術の一形態の一態様は、特殊な清浄器具を必要とせずに、患者の自宅において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースである。
【0114】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様なものを多様な方式で組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成することができる。
【0115】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
本技術は、添付図面の図式中に非限定的に例として例示され、図面中、類似の参照番号は、以下を含む類似の要素を指す。
【0117】
【
図1A】3.1呼吸療法システム、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受ける。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170を通過して患者1000に送達される。ベッドパートナー1100も示される。患者は、仰臥位睡眠姿勢で睡眠中である。
【
図1B】RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する鼻マスクの形態をとる患者インターフェース3000を着用している患者1000を含むシステムを示す。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へ送られる。
【
図1C】RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容するフルフェイスマスクの形態をとる患者インターフェース3000を着用している患者1000を含むシステムを示す。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000内で加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へ送られる。患者は、側臥位睡眠姿勢で睡眠している。 3.2呼吸器系および顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝およびケイリオンを含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、径方向内側および径方向外側の方向も記載されている。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部の更なる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前外側を示す。 3.3患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示されている。この点における曲率は、正の符号と、
図3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示されている。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示されている。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示されている。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示されている。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面を示す。表面の縁を示す。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面を示す。表面の縁を示す。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示されている。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じた更なる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内のシーリング膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、矢状面に対して垂直である。中央接触面の方向付けは、弦3210の方位に対応する。弦3210は、矢状面上に載置され、矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に位置し、下点3230は上唇上に位置する。
【
図3Y】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。 3.4RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態によるRPTデバイスの空気圧経路の概略図である。上流および下流の方向は、ブロワおよび患者インターフェースを参照して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係なく、送風機は、患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは、送風機の下流にあるものとして規定される。ブロワと患者インターフェースとの間の空気圧経路内にあるアイテムは、ブロワの下流および患者インターフェースの上流にある。 3.5加湿器
【
図5A】本技術の一形態による加湿器の等角図を示す。
【
図5B】本技術の一形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。 3.6患者インターフェースの他の形態
【
図6】従来技術による患者インターフェースの第1の部分の断面図を示す。
【
図6A】本技術の一形態による、使用されている患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図6C】
図6Aの患者インターフェースの第1の部分の断面図を示す。
【
図6C-1】本技術の一形態によるボタン穴を含む例示的なヘッドギアストラップの平面図を示す。
【
図6D】
図6Aの患者インターフェースの第2の部分の断面図を示す。
【
図7A】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図であって、位置決めおよび安定化構造が接続されていない患者インターフェースを示す。
【
図7B】
図7Aの患者インターフェースの斜視図であり、それに接続された位置決めおよび安定化構造の一部を示している。
【
図8A】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図8B】
図8Aの患者インターフェースの第1の部分の断面図を示す。
【
図8C】
図8Aの患者インターフェースに接続された位置決めおよび安定化構造がない斜視図を示す。
【
図9A】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図9B】
図9Aの患者インターフェースの第1の部分の断面図を示す。
【
図9C】位置決めおよび安定化構造が接続されていない、
図9Aの患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図9D】
図9Aの患者インターフェースとともに使用するための位置決めおよび安定化構造の一部の斜視図を示す。
【
図10A】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図11A】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図12A】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図12D】空気回路が接続されていない
図12Aの患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図12E】換気モジュールに取り付けられたヘッドギアストラップ材料を除いた、
図12Aの患者インターフェースの一部の拡大斜視図を示す。
【
図13A】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図14A】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図である。
【
図15A】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図16A】本技術の一形態による、患者インターフェースに提供される位置決めおよび安定化構造の一部として含まれるディフューザを示す。
【
図16B】本技術の一形態によるディフューザを含むヘッドギアストラップの一部の側面図である。
【
図16C】本技術の別の形態によるディフューザを含むヘッドギアストラップの一部の平面図を示す。
【
図17】本技術の別の形態による、使用中の患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図18】
図17の患者インターフェースの拡大部分断面斜視図を示す。
【
図19】
図17の患者インターフェースの第1の部分の拡大断面図を示す。
【
図20】
図17の患者インターフェースの斜視図であり、位置決めおよび安定化構造が接続されていない状態の患者インターフェースを示している。
【
図21】
図17の患者インターフェースの位置決めおよび安定化構造の拡大斜視図を示す。
【
図22】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図23】
図22の患者インターフェースの第1の部分の拡大断面図を示す図である。
【
図24】
図22の患者インターフェースの位置決めおよび安定化構造の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される特定の例に限定されるのではなく、この例は変化し得ることが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に論じられている特定の例のみを説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0119】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の一例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせられ得ることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を配置し得る。
【0120】
4.1治療
一形態において、本技術は、患者1000の気道の入口へ陽圧を印加することを含む、呼吸障害を治療する方法を含む。
【0121】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の一方または両方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0122】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限、限定または予防される。
【0123】
4.2呼吸療法システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸療法システムを含む。呼吸治療システムは、空気回路4170および患者インターフェース3000を介して患者1000に空気流れを供給するためのRPTデバイス4000を備え得る。
【0124】
4.3患者インターフェース
図3Aを参照すると、本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、機能様態として、シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、換気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700を含む。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口において陽圧を維持するように、患者の気道への入口を包囲するように設置される。そのため、密閉された患者インターフェース3000は、陽圧治療の送達に適している。
【0125】
図6A~24を参照すると、本技術の一態様による患者インターフェース3000は、シール形成構造3100と、プレナムチャンバ3200と、空気回路4170に接続するための接続ポート3600と、プレナムチャンバ3200の内部からガス流れを換気するように構成された換気構造3400または1対の換気構造3400とを含む。図示された形態において、換気構造3400または1対の換気構造3400は、使用時に略横方向にガス流れを換気するように構成される。
【0126】
方向(例えば、「横方向」等)への引用は、文脈上別段の必要がない限り、患者インターフェース3000が通常の使用位置で患者によって装着された場合の、身体に対する解剖学的方向を指すものと理解されるべきである。このような方向に関して「実質的に」という言及は、例えば「実質的横方向」という言及は、少なくとも部分的に関連する方向に延びることを意味すると理解することができる。一例では、方向が患者の顔の正中矢状面(
図2Cに示される)に垂直な方向および/またはプレナムチャンバの正中矢状面(
図3U~3Wに示される)に相対する方向に一般的に延びる場合、その方向は「横方向」であってもよい。横方向に延びるコンポーネントは、他の方向に延びることも可能である。
【0127】
したがって、本技術の形態は、使用中の患者から患者インターフェースの一部(例えばプレナムチャンバ3200または導管)から空気を実質的に側面(すなわち横)方向に換気する「側面換気」を達成するように構成された患者インターフェース3000に関する。説明したように、空気流れが周囲に散逸する前に、別のコンポーネントがその方向から空気流れを偏向させる可能性がある
【0128】
いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、送達チューブ4172のような空気回路4170を含む。
図6A~16Aおよび
図17~24に示す例では、患者インターフェース3000は、送達チューブ4172(いくつかの図には示されていない)に接続されるように構成される。これらの例に示すように、送達チューブ4172は、接続ポート3600を介してプレナムチャンバ3200に接続される。接続ポート3600は、プレナムチャンバおよびプレナムチャンバ3200に直接接続された送達チューブ4172に設けられてもよい。あるいは、接続ポート3600は他のコンポーネントに設けられてもよく、送達チューブ4172は1つ以上の他のコンポーネントを介してプレナムチャンバ3200に間接的に接続されてもよい。
図22に示す例では、患者インターフェース3000は、送達チューブ(図示せず)に接続されるように構成される。この例では、送達チューブは、接続ポート3600を含む少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350を介してプレナムチャンバ3200に接続されてもよい。
【0129】
本技術のいくつかの形態において、例えば、
図6A~24に示すように、患者インターフェース3000はデフレクタ3500、好ましくは1対のデフレクタ3500を含み、このデフレクタ3500は、空気流れが周囲の空気ボディと合流して散逸する前に、換気されたガス流れの少なくとも一部を方向転換または回転させるように構成される。文脈上特に必要とされない限り、「方向転換」、「回転」等への言及は、換気ガス流れの方向と、デフレクタ3500によって方向転換または回転された後のガス流れの方向との間の方向変化、すなわち、デフレクタ3500によって方向転換または回転された後のガス流れの方向と理解されるべきである。
【0130】
図6A~24に示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100を患者の顔上の治療に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造3300を含む。特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、例えば
図6A、11A、12A、13A、14A、15Aおよび17に示すように、少なくとも1つのヘッドギアストラップ3310、好ましくは複数のヘッドギアストラップ3310またはヘッドギアストラップアセンブリを含む。位置決めおよび安定化構造3300はまた、例えば
図22~24に示すようにフレーム3360を含んでもよい。他の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、例えば、導管から受け取った加圧空気を送達する1つ以上のヘッドギアチューブ3350を含んでもよい。送達チューブ4172は、例えばプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を通って患者の気道に到達する。
【0131】
図6A~
図15Dに示す本技術のいくつかの形態において、患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000を位置決めおよび安定化構造3300に取り付けることを容易にするための1対のコネクタ3800を含む。
【0132】
本技術の形態において、例えば、
図6A~9D、
図11A~15D、および
図17~24に示すように、患者インターフェース3000は、空気流れを拡散させるためのディフューザ3900を含んでもよい。これは、異音を低減または防止するのに役立つ場合がある。本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、1つの物理コンポーネントによって提供される。
図6A~23に示す例では、患者インターフェース3000はクションモジュール3150を含む。この例では、クションモジュール3150は、患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を提供する。シール形成構造3100およびクションモジュール3150の他の壁部は、この例では、プレナムチャンバ3200を形成する。本技術の他の形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、複数の物理コンポーネント、例えばプレナムチャンバ3200のための1つのコンポーネントとシール形成構造3100のための別のコンポーネントによって提供される。
【0133】
患者インターフェースが気道に最低レベルの陽圧を快適に送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力療法に適さない可能性がある。
【0134】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築かつ配置される。
【0135】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築かつ配置される。
【0136】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築かつ配置される。
【0137】
4.3.1プレナムチャンバ
本技術のいくつかの例による患者インターフェース3000は、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバ3200を含む。プレナムチャンバ3200は、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受けることができる。
【0138】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、患者インターフェース3000のクションモジュール3150によって少なくとも部分的に提供される。
【0139】
いくつかの例(例えば、
図6A~
図24に示す例)によれば、クションモジュール3150は、フレーム部3210と、シール形成構造3100とを含んでもよい。
【0140】
プレナムチャンバ3200は、少なくとも部分的に、フレーム部3210とシール形成構造3100との両方によって形成することができる。フレーム部3210は、使用時にシール形成構造3100を患者の顔に対して支持することができる。フレーム部3210およびシール形成構造3100は、使用時に大気圧よりも高い圧力の空気を有する空間容積を部分的に閉鎖してプレナムチャンバ3200を形成することができる。
【0141】
特に、フレーム部3210は、周囲空気圧力よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力に加圧可能なプレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に形成することができる。
【0142】
本技術のいくつかの形態において、例えば、
図10A~
図10Cおよび
図10Cに示される。フレーム部3210は、位置決めおよび安定化構造3300に接続するように構成された1つ以上の横方向突出接続部分3212を含んでもよい。横方向突出接続部3212は、クションモジュール3150の他の部分と共に部分的にプレナムチャンバ3200を形成することもでき、すなわち、横方向突出接続部3212は、それぞれの容積を含むように構成することができ、横方向突出接続部3212内の容積はプレナムチャンバ3200内の容積の一部である。
【0143】
シール形成構造3100は、フレーム部3210に配置されてもよく、プレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に形成してもよい。シール形成構造3100は、フレーム部3210に永久的にまたは取り外し可能に接続され得る。シール形成構造3100は、フレーム部3210によって支持可能である。
【0144】
特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時に、プレナムチャンバ3200の周縁部は、顔の隣接する表面に近接して配置される。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、レナムチャンバ3200の周辺全体について延在してもよい。
【0145】
いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質な材料シートで形成される。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、他の材料で形成されたコネクタを備えた同質材料シートで形成されてもよい。他の形態において、プレナムチャンバ3200は複数の材料から構成され、例えば、1つの材料はフレーム部3210を形成するために使用され、別の材料はシール形成構造3100を形成するために使用され、プレナムチャンバ3200は、フレーム部3210とシール形成構造3100の少なくとも一部とを含む。
【0146】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時に患者の眼を覆わない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧容積外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0147】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。例えば、
図6A~
図24に示す例では、クションモジュール3150の大部分はシリコーン樹脂で形成される。具体的には、これらの実施例では、フレーム部3210およびシール形成構造3100は、ともにシリコーン樹脂で形成される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0148】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0149】
図6A~
図23に示す技術の例示的な形態において、フレーム部3210は可撓性であってもよく、例えば、比較的低い弾性率を有する材料で形成されていてもよい。これにより、フレーム部3210の撓みや曲げを許容することができる。シール形成構造3100は、例えば、同じ材料または比較的低い弾性率を有する他の材料で形成されるような可撓性を有してもよい。いくつかの例では、フレーム部3210とシール形成構造3100とは一体的に形成され、変形可能な材料で形成されてもよい。フレーム部3210は、シリコーン樹脂などの弾性材料で形成されてもよい。シール形成構造3100は、弾性材料で形成されてもよい。フレーム部3210とシール形成構造3100とは一体であってもよい。これらの実施例では、フレーム部3210とシール形成構造3100とは、弾性材料(例えば、シリコーン樹脂)によって形成された単一の部分として一緒に成形される。シール形成構造3100とフレーム部3210(またはフレーム部3210の少なくとも大部分)とは、変形可能な材料(例えば、シリコーン樹脂のような弾性材料)の単一の同質シートから一緒に形成(例えば、構成、成形等)されてもよい。フレーム部3210とシール形成構造3100とは一体構造であってもよい。
【0150】
本技術の他の例では、シール形成構造3100は、フレーム部3210に取り外し可能に接続されてもよい。シール形成構造3100は、軟質対軟質、軟質対硬質、または硬質対硬質の接続によってフレーム部分3210に接続されてもよい。
【0151】
図6A~23に示す本技術の形態において、プレナムチャンバ3200は、患者が呼吸するための治療圧力での空気流れを受容するように構成された入口3220を含む。
図6A~
図15Dに示す例では、プレナムチャンバ2300は、入口3220と、プレナムチャンバ3200の内部と流体連通するように構成された1対の開口部3240とを含む。
図6A~
図15Dに示す例では、入口3220および開口部3240は、フレーム部3210上に位置してもよい。
図17~24に示す例では、プレナムチャンバ2300は、入口3220を含み、患者の気道へのガスの送りに必要な開口部3240以外の追加の開口部3240を含まない。
【0152】
いくつかの形態において、入口3220は円形であってもよい。例えば、
図6A~
図9Dの例では、入口3220は実質的に円形である。いくつかの形態において、入口3220は非円形であってもよい。例えば、入口3220は、
図10A~
図13Cおよび
図15~
図15Dに示すように、略楕円形または楕円形であってもよい。
図20に示すように、いくつかの形態において、入口3220は、ある角度から見たとき、通常、湾曲した角を有する三角形の形状とされてもよい。入口3220の形状は、完全に平面上にあるのではなく、入口3220の輪郭は、
図20の形状のような3次元空間曲線を形成してもよい。これらの例では、入口3220は、高さ(すなわち、入口3220の入口3220の上縁と下縁の間の距離)よりも大きい幅(すなわち、入口3220の第1の側縁と第2の側縁との間の距離)を有してもよい。
【0153】
図6A~
図24の例に示すように、プレナムチャンバ3200は前面3211を含む。フレーム部3210は、前部3211を含んでもよい。入口3220は、前部3211内に位置してもよい。
【0154】
いくつかの形態において、入口3220またはその部分はプレナムチャンバ3200の側部3213上に位置してもよい。例えば、
図10A~
図13C、
図15A~
図15Dおよび
図20に示すように、入口3220の少なくとも一部はプレナムチャンバ3200の側部3213上に位置する。
【0155】
フレーム部3210は、
図10A~10C、
図13A~13C、および
図15A~15Dに示すように、1対の横方向突出接続部3212を含んでもよい。各横方向突出接続部3212は、プレナムチャンバ3200の内部と流体連通するように構成された開口部3240を含む。
【0156】
いくつかの例では、リジダイザは、フレーム部3210をより剛性にするために(同時に、まだ可撓性である)提供されてもよい。いくつかの例では、フレーム部3210およびシール形成構造3100は、比較的低い弾性率を有する材料(例えば、シリコーン樹脂、TPE等)で形成され、フレーム部3210はリジダイザを含む。特に、患者インターフェース3000またはクションモジュール3150は、リジダイザを含んでもよい。リジダイザは、フレーム部3210に提供されてもよい。リジダイザは、フレーム部3210を剛性化するように構成されてもよい。リジダイザは、フレーム部3210の変形に抵抗するように構成されてもよい。リジダイザは、フレーム部3210に支持を提供するように構成されてもよい。リジダイザは、フレーム部3210よりも剛性を有していてもよい。例えば、リジダイザは、フレーム部3210を形成する材料よりも弾性率の高い材料で形成されてもよい。
【0157】
図22~24に示す例では、フレーム3360はリジダイザとして機能してもよい。フレーム3360の他の態様は、本明細書の他の箇所で記載される。
【0158】
しかしながら、他の例では、フレーム部3210は比較的剛性であってもよい。例えば、比較的剛性のフレーム部3210は比較的弾性率の高い材料で形成されてもよい
【0159】
図17に示す例では、プレナムチャンバ3200は入口3220を含み、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、使用時に入口3220と流体連通するように構成される。例えば、
図21に最良に示すように、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、使用時にヘッドギアチューブ3350が入口3220と流体連通するような位置および形状にされた開口部3356を含む。
【0160】
図17および18の例を参照すると、入口3220は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350をプレナムチャンバ3200に接続するときに、プレナムチャンバ3200に導入を提供するように構成されてもよい。入口3220のサイズ、位置、および形状は、リードインを提供するために選択されてもよい。例えば、プレナムチャンバ3200の側部3213上に位置する入口3220の部分は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350の形状に適合するようにサイズおよび形状を有してもよい。これは、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350をプレナムチャンバ3200に配置して取り付ける場合であっても、患者インターフェース3000の組み立てを容易にすることができる。
【0161】
さらに、プレナムチャンバ3200の側部(複数可)3213に位置する入口3220は、プレナムチャンバ3200の内部への側流路を提供してもよい。言い換えれば、入口3220は、空気回路4170から少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350によって送出される空気流れを、入口3220を通ってプレナムチャンバ3200の内部に略横方向に流入させることを可能にする。
【0162】
4.3.2シール成形構造
本技術のいくつかの例による患者インターフェース3000は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバ3200内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。
【0163】
いくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時に患者の鼻の部分と一緒に、またはその部分の周りにシールを形成するように構成される。したがって、いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、鼻マスクのみであってもよく、鼻マスクとも呼ばれることが理解されるべきである。
【0164】
図示しない他の形態において、シール形成構造3100は、例えば、患者の鼻を有するまたは取り囲む部分、および患者の口を有するまたは取り囲む部分など、患者の顔の他の部分と共に使用されるときにシールを形成するように構成されてもよい。したがって、いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、フルフェイスまたは鼻マスクとも呼ばれる鼻マスクであってもよく、本技術の形態は、鼻専用マスクまたは鼻マスクのみに限定されないことを理解されたい。
【0165】
本技術の一形態において、シール形成構造3100は目標シール形成領域を提供し、緩衝作用機能を更に提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100においてシーリングが発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状などの様々な要因よって、所与の治療セッションで日ごと、および患者ごとに変化する可能性がある。
【0166】
一形態において、目標シール形成領域は、シール形成構造3100の外面に配置される。
【0167】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構築される。
【0168】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0169】
本技術の特定の形態において、それぞれが異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成された複数のシール形成構造3100を含むシステムが提供される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態、および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0170】
4.3.2.1シーリング機構
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いる密閉フランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、その下側に作用するプレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答して、顔と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0171】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的薄い部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の周囲の周辺に延在する。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的厚くてもよい。支持フランジは、シーリングフランジとプレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延在する。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジが使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0172】
一形態において、シール形成構造は、圧縮シール部またはガスケットシール部を含み得る。使用時において、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築かつ配置される。
【0173】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0174】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0175】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部分のうち1つ以上を含み得る。
【0176】
4.3.2.2鼻梁または鼻堤の領域
一形態では、非侵襲性患者インターフェース3000は、患者の顔面の鼻梁または鼻堤領域上で使用されたときにシールを形成するシール形成構造を含む。
【0177】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔面の鼻梁または鼻堤領域上で使用されたときにシールを形成するように配置されたサドル領域を含む。
【0178】
4.3.2.3上唇部
一形態では、非侵襲性患者インターフェース3000は、患者の顔面の上唇領域(すなわち唇上)で使用されたときにシールを形成するシール形成構造を含む。
【0179】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔面の上唇領域上で使用されたときにシールlを形成するように配置されたサドル領域を含む。
【0180】
4.3.2.4顎領域
一形態では、非侵襲性患者インターフェース3000は、患者の顔面の顎領域上で使用されたときにシールを形成するシール形成構造を含む。
【0181】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0182】
4.3.2.5額領域
一形態では、シール形成構造は、患者の顔面の額領域上で使用されると、シールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0183】
4.3.2.6鼻枕
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含み、各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻のそれぞれの鼻孔とのシールを形成するように構築かつ配置されている。
【0184】
本技術の一態様による鼻枕は、少なくともその一部が患者の鼻の下側にシールを形成する円錐台と、柄と、円錐台の下側の円錐台を柄に接続する可撓性領域と、を含む。更に、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄の基部に隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は共に作用して、円錐台と鼻枕が接続される構造との相対移動(変位および角度の両方)に適応する自在継手構造を促進することができる。例えば、円錐台を、柄が接続される構造に向かって軸方向に変位させることができる。
【0185】
4.3.2.7鼻専用マスク
一形態において、患者インターフェース3000は、患者の鼻気道の入口の周囲をシールするが、患者の口の周囲はシールしないように構成されたシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者のリップ上部にシールするように構成されてもよい。患者インターフェース3000は、患者の口が覆われないようにしてもよい。患者インターフェース3000は、口腔にではなく、患者1000の2つの鼻孔に空気または呼吸可能なガスを送達してもよい。このタイプの患者インターフェースは、鼻マスクのみとして識別されてもよい。
【0186】
本技術に係る鼻マスクのみの形態は、従来「鼻マスク」と考えられていた形態であり、患者の顔の鼻の周囲および鼻梁の上方にシールするように構成されたシール形成構造3100を有する。鼻マスクは、通常、三角形であってもよい。一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に、上唇領域(例えば、上唇)、患者の鼻梁または前小鼻の上方の鼻尾根の少なくとも一部、および患者の鼻の各側面上の患者の顔(例えば、患者の近くの鼻唇溝)とシールを形成するシール形成構造3100を含む。
図1Bに示す患者インターフェース3000は、このタイプのシール形成構造3100を有する。患者インターフェース3000は、単一のオリフィスを介して患者1000の2つの鼻孔に空気または呼吸可能なガスを送達してもよい。
【0187】
別の形態の鼻専用マスクは、使用者の鼻堤と係合することなく、患者の鼻の下の周囲をシールしてもよい。例えば、このタイプの患者インターフェース3000は「鼻ゆりかご」マスクとして識別され、シール形成構造3100は「鼻ゆりかごクション」として識別される。一形態において、例えば
図3Yに示すように、シール形成構造3100は、使用時に鼻孔周囲の鼻の下面とシールを形成するように構成される。シール形成構造3100は、患者の鼻の前鼻領域の下面および/または前面と、患者の小鼻の翼とを含む患者の鼻の下周縁で患者の鼻孔の周囲をシールするように構成されてもよい。シール形成構造3100は、患者の上唇をシールしてもよい。シール形成構造3100の形状は、患者の鼻の下側に適合するように、または、患者の鼻の下側に密着するように構成されてもよく、患者の鼻の鼻梁領域または患者の鼻の前鼻の上方のいかなる部分にも接触しないように構成されてもよい。鼻ゆりかごクッションの一形態において、シール形成構造3100は、開口部を2つの孔に分割するブリッジ部を含み、各開口物は、使用時に患者の鼻孔の対応する1つに空気または呼吸可能なガスを供給する。ブリッジ部は、使用時に患者の小柱に接触またはシールするように構成されてもよい。代替的に、シール形成構造3100は、患者の2つの鼻孔に気流または空気または呼吸可能なガスを供給する単一の開口部を含んでもよい。
【0188】
いくつかの形態において、上述したように、鼻マスクのみが鼻枕を含んでもよい。
【0189】
図6A~
図15Dに示す例を参照すると、シール形成構造3100は、使用時に患者の鼻孔の周囲に患者の鼻の下側とシールを形成するように構成される。
図6A~
図15Dに示す例では、患者インターフェース3000は、鼻専用マスクまたは鼻マスクの形態である。
【0190】
図6A~
図15Dの図示の形態において、シール形成構造3100は、少なくとも1つの穴3110または1対の穴3110を含み、この穴3110は、治療圧力で患者の鼻孔に空気流れを送達することができるように構成される。各穴3110は、使用時に患者の対応する部位に位置合わせされる。いくつかの例では、シール形成構造3100は、患者の2つの鼻孔に空気流れを送達することを可能にするように構成された単一の穴3110を含んでもよい。一例では、クションモジュール3150は、少なくとも1つの穴3110を含む。いくつかの例では、シール形成構造3100の中央部に少なくとも1つの穴3110が形成される。
【0191】
4.3.2.8口鼻マスク
一形態において、患者インターフェース3000は、患者の鼻気道の入口周囲および患者の口腔周囲をシールするように構成されたシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、顎領域に近い患者の顔にシールするように構成されてもよい。患者インターフェース3000は、患者1000の鼻孔および口腔に空気または呼吸可能なガスを送達してもよい。このタイプの患者インターフェースは、鼻および口マスクとして識別されてもよい。
【0192】
本技術による口鼻マスクの一形態は、患者の鼻の周り、口の下、および鼻梁の上にシールするように構成されたシール形成構造3100を有する「フルフェイスマスク」と従来考えられてきたものである。通常、フルフェイスマスクは三角形であってもよい。一形態において、患者インターフェース3000は、使用時に、患者の顎領域(患者の下唇および/または下唇より直接低い領域を含んでもよい)と、患者の鼻筋または前小鼻の上方の鼻堤の少なくとも一部と、患者の顔の頬領域とシールを形成するシール形成構造3100を含む。
図1Cに示す患者インターフェース3000は、このタイプである。患者インターフェース3000は、単一のオリフィスを介して患者1000の鼻孔および口腔に空気または呼吸可能なガスを送達してもよい。このタイプのシール形成構造3100は、「フルフェイスクション」と呼ばれてもよい。
【0193】
別の形態において、患者インターフェース3000は、患者の顎領域(患者の下唇および/または下唇より直接低い領域を含んでもよい)、患者の鼻の前鼻部の下面および/または前面、患者の鼻の小鼻、および患者の鼻の各側面上の患者の顔(例えば鼻唇溝の近く)に使用中のシールを形成するシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者の上唇に対してシールを形成することもできる。このタイプのシール形成構造を有する患者インターフェース3000は、患者の鼻孔および口腔にガス流れまたは呼吸可能なガスを送達するように構成された単一の開口部を有してもよく、口腔に空気または呼吸可能なガスを送達するように構成された口腔孔および鼻孔に空気または呼吸可能なガスを送達するように構成された鼻穴を有してもよく、または患者の口腔に空気を送達するための口腔穴および対応する鼻穴に空気を送達するための2つの鼻穴を有してもよい。このタイプの患者インターフェース3000は、鼻ゆりかごマスクと同様の位置で患者の顔にシールされた鼻部と口腔部とを有してもよい。
【0194】
鼻および口マスクの別の形態において、患者インターフェース3000は、鼻枕を含む鼻部と、患者の口の周りに患者の顔へのシールを形成するように構成された口腔部とを有するシール形成構造3100を含んでもよい。
【0195】
いくつかの形態において、シール形成構造3100は、口腔部から分離された異なる鼻部を有してもよい。他の形態において、シール形成構造3100は、患者の鼻および口の周りに連続的なシールを形成してもよい。
【0196】
異なる形態の患者インターフェース3000の上記の例は、可能な構成の詳細なリストを構成しないことを理解されたい。いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、上述の鼻専用および口鼻マスクのみの例の異なる特徴の組み合わせを含んでもよい。
【0197】
図17~
図24に示す例を参照すると、シール形成構造3100は、使用時に患者の鼻孔および口腔の周囲とシールを形成するように構成される。これらの例では、患者インターフェース3000は、口鼻マスクまたはフルフェイスマスクの形態である。
【0198】
いくつかの形態において、シール形成構造3100は、少なくとも1つの穴3110または少なくとも1対の穴(少なくとも1つの穴は鼻孔用であり、もう1つの穴は口腔用である)を含み、治療圧力下でのガス流れが患者の鼻孔および口腔に送られることを可能にするように構成される。一例では、クションモジュール3150は、少なくとも1つの穴3110を含む。いくつかの例では、シール形成構造3100の中央部に少なくとも1つの穴3110が形成される。
図17~24に示す例では、シール形成構造3100は、患者の鼻孔および口腔に空気流れを送達することを可能にするように構成された単一の穴3110を含む。
【0199】
4.3.3接続ポート
接続ポート3600は、患者インターフェース3000を空気回路4170に接続することを可能にする。
図6A~24に示すように、患者インターフェース3000は、空気回路4170に接続するための接続ポート3600を含む。図示の例では、空気回路4170は、送達チューブ4172の形態である。
【0200】
4.3.3.1プレナムチャンバへの接続
送達チューブ4172が使用中の入口3220と流体連通するように、送達チューブ4172を接続ポート3600を介してプレナムチャンバ3200に接続されてもよい。本技術のいくつかの形態において、例えば、
図7A~
図7B、
図9A~
図11C、および
図13A~
図15Dに示すように、接続ポート3600は、入口3220に取り付けられているか、または入口3220を形成している。
【0201】
いくつかの形態において、接続ポート3600は、使用時にプレナムチャンバ3200の前方領域上に位置してもよい。
図6A~
図15Dおよび
図22~
図24の例に示すように、接続ポート3600は、使用時にプレナムチャンバ3200の内側領域上に位置する。プレナムチャンバ3200の内側領域は、使用時に中央に位置し、すなわち、使用時に患者の正中矢状面が内側部を通過する。
図22~
図24の例では、フレーム3360は接続ポート3600を提供する。フレーム3360は、開口部3362を含んでもよい。空気回路(
図22~24に図示せず)は、フレーム3360の開口部3362を介して入口3220に接続され、使用時に入口3220と流体連通するように構成される。すなわち、いくつかの形態において、送達チューブ4172は、入口ポート3220を介してプレナムチャンバ3200内に呼吸可能なガスを送るためにフレーム3360に物理的に接続されていてもよく、他の形態において、送達チューブ4172は、フレーム3360内の開口部3362を通ってプレナムチャンバ3200の入口ポート3220に物理的に接続されていてもよい。
【0202】
図6A~
図15Dおよび
図22~
図24の例では、空気回路4170は前部3211に接続されている。図示のように、接続ポート3600は、前面3211の内側領域に位置してもよい。使用時に、内側領域は中央に位置してもよく、すなわち、使用時に患者の正中矢状面が内側部を通過するようにすることができる。
図6A~
図15Dに示すように、空気回路4170は、接続ポート3600を介してフレーム部3210に接続されている。
図22~24の例では、空気回路(図示せず)はフレーム3360に接続されてもよい。図示しない他の形態において、空気回路は、フレーム3360および/またはプレナムチャンバ3200、例えばフレーム部3210に接続されてもよい。
【0203】
4.3.3.2ヘッドギアチューブへの接続
本技術のいくつかの形態において、空気回路4170は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350に接続されている。以下では、これについてさらに詳しく説明する。例えば、
図17に示すように、接続ポート3600は、使用時に患者の頭部の上部に位置するように構成されたヘッドギアチューブ3350の一部に接続されるように、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350上に配置される。この例では、接続ポート3600は、送達チューブ4172から呼吸可能なガス流れを受け取り、このガス流れをヘッドギアチューブ3350に送る。
【0204】
4.3.4位置決めおよび安定化構造
本技術の一形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置にシール形成構造を保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、患者インターフェース3000を密閉位置において保持するために患者の頭部に係合することから、「ヘッドギア」とも呼ばれてもよい。
【0205】
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、位置決めおよび安定化構造3300によって使用中のシーリング位置に保持されてもよい。
【0206】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から分離するプレナムチャンバ3200の陽圧の作用に打ち勝つために少なくとも十分である保持力が提供される。
【0207】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力の作用に打ち勝つだけの保持力が提供される。
【0208】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとしての保持力が提供される。
【0209】
本技術の一形態において、睡眠時に患者に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、低プロファイルまたは断面厚さを有する。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、長方形の断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0210】
本技術の一形態において、患者が患者の頭の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0211】
本技術の一形態において、患者が患者の頭の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0212】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部分と位置決めおよび安定化構造3300の後方部分との間に配置された結合解除部を備える。この結合解除部は、圧縮に耐えず、例えば可撓性のまたは柔軟なストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが阻害される事態を回避できるように、構築かつ配置される。
【0213】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡体内側層および布地外側層の積層物から構築されたストラップを含む。一形態において、発泡体は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0214】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、延長可能である(例えば、弾力性と共に延長可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0215】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築かつ配置される。
【0216】
鼻専用マスクまたは全面マスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者の頭の下側の下耳底点の下側を通過し、患者の頭の後頭骨を被覆するかまたは患者の頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築かつ配置される。
【0217】
鼻専用マスクまたは全面マスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが互いから離隔する方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築かつ配置された第3タイを含む。
【0218】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に、患者が体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0219】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0220】
本技術の特定の形態において、複数の位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供され、各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状の範囲に対応する保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、大きなサイズのヘッドには適しているが、小さなサイズのヘッドには適していない一形態の位置決めおよび安定化構造3300と、別の形態の位置決めおよび安定化構造3300とを含んでもよい。小型の頭部には適しているが、大型の頭部には適していない。
【0221】
4.3.4.1フレーム
図22~24に示すように、いくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300はフレーム3360を含む。フレーム3360は、プレナムチャンバ3200を位置決めおよび安定化構造3300の少なくとも1つのヘッドギアストラップ(これらは図示せず)に間接的に取り付けることを容易にするように構成される。
【0222】
フレーム3360は、使用時にプレナムチャンバ3200の少なくとも一部を通って延びるように構築および配置されてもよい。フレーム3360は、前部3211を横切って横方向に延びてもよく、いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200の側部3213を横切って延びてもよい。
図22に示すように、いくつかの形態において、フレーム3360はプレナムチャンバ3200の全幅(すなわち、フレーム部3210の横方向の縁部または端部間の距離)を通って延びてもよい。図示するように、フレーム3360の端部は、プレナムチャンバ3200の側縁または端部を超えて延びてもよい。他の形態において、フレーム3360は、プレナムチャンバ3200の横幅よりも短い長さを有するように、より短くしてもよい。
【0223】
図22および24に示すように、いくつかの形態において、フレーム3360は実質的に細長くてもよい。すなわち、フレーム3360の上縁と下縁との間の距離は、フレーム3360の幅(すなわち、フレーム3360の側端部間の距離)よりも小さい、例えば、実質的に小さい。
【0224】
図22および
図24に示すように、いくつかの形態において、開口部3362はフレーム3360の内側領域上に位置してもよい。フレーム3360の内側領域は、使用時に中央に位置し、すなわち、使用時に、患者の正中矢状面がフレーム3360の内側部を通過する。
【0225】
フレーム3360は、上方向または下方向(図示せず)から見て、一般的に弓形であってもよく、フレーム3360の凹面は使用中の患者の顔に向けられている。また、フレーム部3210等のフレームが使用時に取り付けまたは係合されるプレナムチャンバ3200の表面も、同じ方向から見て略円弧状であってもよい。したがって、
図22に示すように、フレーム3360の形状およびフレーム部3210の形状は、2つのコンポーネントを嵌合させる相補的な輪郭を有してもよい。いくつかの形態において、フレーム3360は、予め形成されたまたは予め定義された弓形形状を有してもよく、他の形態において、フレーム3360は、ヘッドギアストラップからの張力がフレーム3360の端部に加えられたとき、弓形またはそれ以上の形状に撓んでもよい。
【0226】
フレーム3360は、フレーム3360を少なくとも1つのヘッドギアストラップ(
図22および
図23に図示せず)に取り付けることを容易にするために、コネクタのうちの少なくとも1つ、好ましくは1対のコネクタ3364を含んでもよい。少なくとも1つのヘッドギアストラップはコネクタ3800に取り外し可能に取り付けられてもよい。図示された技術の形態において、コネクタ3364の各々はスロット3364aを含む。スロット3364aは、ヘッドギアストラップをフレーム3360に接続するためにヘッドギアストラップの一部を受容するように構成される。
【0227】
図示の形態において、コネクタ3364は、フレーム3360の側端部に位置している。コネクタ3364は、
図22および
図24に示すように、フレーム3360の一部として、例えばフレームと一体的に形成されてもよい。図示しない他の形態において、コネクタ3364は、別個に形成されていてもよく、取り外し可能であるか、またはフレーム3360に永久的に接続されていてもよい。
【0228】
図22、および
図24の例では、フレーム3360は、本体部3368と、本体部3368から横方向外側に延びる1対のアーム3366とを含む。各アーム3366の端部には、1対のコネクタ3364の一方が設けられていてもよい。本体部3368、アーム3366およびコネクタ3364は、例えば一体的に形成されたフレーム3360を提供するように一緒に形成されてもよい。
【0229】
いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、前述したようにフルフェイスマスクの形態であり、4点ヘッドギア接続ではなく2点ヘッドギア接続を提供するように構成される。図示するように、フレーム3350は、2点ヘッドギア接続を提供するように構成されている。すなわち、フレームは、各側面に1つずつ、計2つのコネクタ3364を含む。より少ないヘッドギア接続点は、患者インターフェース3000の装着をより容易にし、患者インターフェース装着時の閉所恐怖症感を低減し、患者の皮膚および髪に接触するヘッドギアストラップの効果に起因する顔マークの量を低減することができる。
【0230】
図示しない他の形態において、コネクタ3364は、クリップまたはボタン留めのような他の任意の適切なコネクタまたは接続機構を含んでもよい。他の形態において、少なくとも1つのヘッドギアストラップはフレーム3360に永久的に取り付けられてもよく、またはフレーム3360と共に形成されてもよいことが理解されるべきである。
【0231】
図22に示すように、フレーム3360は、プレナムチャンバ3200に対して適切な位置に維持されるように構成されてもよい。
【0232】
いくつかの例では、フレーム3360はプレナムチャンバ3200に取り付けられてもよく、例えば、フレーム3360の患者(後方)面はプレナムチャンバの前側のフレーム部3210に取り付けられてもよい。図示の例では、フレーム3360はフレーム部3210に取り外し可能に取り付けられている。これは、フレーム3360の交換、清掃、および/または保管を容易にすることができる。フレーム3360は、フレーム3360をプレナムチャンバ3200に取り外し可能に接続し、フレーム3360を適切な位置に保持することを容易にするコネクタ(
図22~24に図示せず)を含んでもよい。例えば、コネクタは、開口部3362の少なくとも一部の周りに延びるリップを含んでもよく、このリップは、締まり嵌めまたは摩擦嵌めによってプレナムチャンバ3200に接続されてもよい。例えば、リップは、プレナムチャンバ3200内の入口3220の周縁に連動してもよい。しかしながら、他の形態において、コネクタは、インターロック、クリップ、面ファスナーコネクタ、高摩擦表面などを含む、2つのコンポーネント間の取り外し可能な取り付けを容易にする他の任意の適切なコネクタまたは取り付け機構を備えてもよい。
【0233】
いくつかの形態において、フレーム3360はプレナムチャンバ3200に直接接続されていなくてもよい。例えば、フレーム3360に後方向に加えられる力を用いて、フレーム3360をプレナムチャンバ3200上の適切な位置に保持してもよい。すなわち、ヘッドギアストラップの張力により、フレーム3360を適切な位置に保持することができる。プレナムチャンバ3200の外側(すなわち前方)表面は、
図20に示すように、以下に説明するように凹部3230を含んでもよい。凹部は細長くてもよく、プレナムチャンバ3200を横切って横方向に延びている。凹部は、使用時にプレナムチャンバ3200を所定の位置に保持するのを助けるために、フレーム3360を凹部内に入れ子にすることができるように構成されてもよい。
【0234】
いくつかの形態において、フレーム3360は、フレーム部3210とシール形成構造3100とを有するプレナムチャンバ3200を少なくとも部分的に形成してもよい。例えば、フレーム開口部3362の周囲の長さは、入口3220の周囲の長さよりも大きくてもよい。これにより、フレーム3360の一部はプレナムチャンバ3200の一部を形成してもよい。しかしながら、フレーム部3210およびシール形成構造3100は、プレナムチャンバ3200の主要部分を形成してもよい。
【0235】
フレームは、ポリマーなどの材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。好適なポリマーは、熱可塑性プラスチックまたはシリコーンなどのエラストマーを含んでもよい。
【0236】
4.3.4.2導管型ヘッドギア
4.3.4.2.1導管型ヘッドギアチューブ
本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、空気回路4170の一部を形成する導管から受け取った加圧空気を、例えばプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を介して、RPTデバイスから患者の気道に送達する1つ以上のチューブ3350を含む。したがって、使用時には、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350に流体的に接続された空気回路4170から入口3220を介してプレナムチャンバ3200の内部に空気流れを送るように構成される。
【0237】
図3Yおよび
図17に示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、空気回路4170からシール形成構造3100に空気を送達する2つのチューブ3350を含む。チューブ3350は、患者インターフェース3000の位置決めおよび安定化構造3300の全体的な部分であり、患者インターフェースのシール形成構造3100を患者の顔の適切な部分(例えば、鼻および/または口)に位置付けおよび安定化する。これにより、これにより、加圧空気流れを提供する空気回路4170の導管が、患者の顔の前方以外の位置における患者インターフェースの接続ポート3600への接続が可能になる。
【0238】
図3Yおよび
図17に示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、2つのチューブ3350を含み、各チューブ3350は、使用時に患者の頭部の異なる側に配置され、それぞれの頬領域を通って、それぞれの耳の上(患者の頭部の上耳底の上)で、患者1000の頭頂部のエルボ3610まで延在している。本技術のこの形態は、患者が就寝中に頭を横にし、チューブの一方が圧縮されてチューブに沿ったガス流れを遮断または部分的に遮断すると、他方のチューブが開いたままで、加圧ガスを患者に供給するので、有利である可能性がある。本技術の他の例において、患者インターフェース3000は、異なる数のチューブ、例えば1つのチューブ、または3つ以上のチューブを含んでもよい。患者インターフェースが1つのチューブ3350を有する例において、単一のチューブ3350は、使用時に患者の頭部の一方の側に(例えば、頬領域にわたって)配置され、ストラップは、位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成し、使用時に患者の頭部の他方の側に(例えば、別の領域にわたって)配置され、患者インターフェース3000を患者の頭部に固定するのを助ける。
【0239】
図3Yおよび
図17に示す本技術の形態において、2つのチューブ3350は、上端において相互にかつ接続ポート3600へ流体接続される。いくつかの実施例において、2つのチューブは、一体形成され、他の実施例において、これらのチューブは、別個のコンポーネントであり、使用時においては共に接続され、例えば清掃または保管のために接続解除され得る。別個のチューブを使用する場合、それらは間接的に一体に接続されてもよく、例えば、各チューブは、チューブ3350に流体接続可能な2つの導管アームと、接続ポート3600として機能し使用時には空気回路4170に接続可能な第3導管アームまたは開口部とを有するT字型導管に接続されてもよい。
【0240】
チューブ3350は、シリコーン樹脂またはTPEのようなエラストマーのような可撓性材料、および/または1つ以上の織物および/または発泡材料で形成することができる。チューブ3350は、予備成形された形状を有していてもよく、力が加えられると他の形状に曲げられたり移動したりすることができるが、力が加えられないと元の予備成形された形状に戻ることができる。チューブ3350は、頭頂部と鼻または口腔領域との間の患者の頭部の輪郭に近似した形状を有する、一般的に弓形または湾曲した形状としてもよい。
【0241】
いくつかの例では、1つ以上のチューブ3350は、例えば患者の頭部と枕との間に押し込まれた場合、特にチューブ3350が1つのみである場合など、使用中に押し込まれたときに詰まることを防止するために、圧縮されない。チューブ3350は、潰れに対して十分な構造的剛性を有するように形成されてもよく、米国特許第6,044,844号のように構成されてもよいが、当該特許の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0242】
各チューブ3350は、患者の頭頂部の接続ポート3600から空気流れを受け取り、患者の気道の入口のシール形成構造3100に空気流れを送達するように構成されてもよい。
図3Yおよび17に示す例では、各チューブ3350は、プレナムチャンバ3200から患者の頬領域を通って延び、患者の耳の上からエルボ3610までの経路上に配置されて使用される。例えば、プレナムチャンバ3200に近い各チューブ3350の部分は、使用中の患者の頭部の上顎骨領域に被せてもよい。各チューブ3350の他の部分は、患者の頭部の上部の耳底の上の患者の頭部領域を覆ってもよい。1つ以上のチューブ3350の各々は、患者の蝶形骨および/または側頭骨、ならびに患者の前頭骨および頭頂骨の一方または両方の上に位置することもできる。接続ポート3600およびエルボ3610は、使用時に患者の頭頂骨、前頭骨、またはそれらの間の接合部の上方に位置してもよい。
【0243】
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、接続ポート3600が患者の頭頂部を横切った一連の位置に配置されるように構成され、これにより、患者インターフェース3000が個々の患者の快適性または適合性に適合するように配置される。いくつかの例では、ヘッドギアチューブ3350は、患者インターフェース3000の上部(例えば、接続ポート3600)が、患者インターフェース3000の下部(例えば、プレナムチャンバ3200)に対して相対的に移動することを可能にするように構成される。すなわち、接続ポート3600は、プレナムチャンバ3200から少なくとも部分的に切り離されてもよい。このようにして、シール形成構造3100は、患者の頭部上の接続ポート3600の位置(少なくとも所定の位置範囲内)に関係なく、患者の顔との間で有効なシールを形成することができる。
【0244】
上述したように、本技術のいくつかの例において、患者インターフェース3000は、通常は鼻の下に位置し、鼻の下周辺にシールされたクレードルクッションの形態のシール形成構造3100を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、後かつ上の方向(例えば、後上方向)を有するシール力ベクトルを用いて、鼻の下の患者の顔にシール形成構造3100を引き込むように構築および配置されてもよい。後上方向を有するシール力ベクトルは、シール形成構造3100が、患者の鼻の下周辺と、患者の鼻および上唇のいずれかの側の患者の顔の正面を向いた表面とに良好なシールを形成することを容易にする。
【0245】
4.3.4.2.2伸長可能なチューブ部分と伸長不可能なチューブ部分
本技術のいくつかの例では、1つまたは2つのチューブ3350の長さは伸長不可能である。しかしながら、いくつかの形態において、チューブ3350は、例えば、伸長可能な蛇腹状構造で形成された1つ以上の伸長可能なチューブ部分を含んでもよい。いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、伸長可能な蛇腹状構造を有するチューブ壁を含む少なくとも1つのガス送達チューブを含む位置決めおよび安定化構造3300を含んでもよい。
図3Yに示す患者インターフェース3000は、上部が伸長可能なチューブ部分を含むチューブ3350を含み、各チューブ部分は伸長可能な蛇腹構造3362の形態である。
【0246】
チューブ3350の伸長不可能なセグメント3363の断面形状は、例えば、米国特許第6,044,844号に記載されているように、円形、楕円形、楕円形、D形、または角の丸い長方形とすることができる。患者の顔または頭部の他の部分に対向して接触する側にチューブの平坦な表面を呈する断面形状は、円形断面を有するチューブのように装着するのに比例してより快適である可能性がある。
【0247】
本技術のいくつかの例では、伸長不可能なチューブセグメント3363は、プレナムチャンバ3200に低い角度から接続される。ヘッドギアチューブ3350は、患者の頭部の両側に沿って下方に延びてもよく、その後、患者の顔の前方でプレナムチャンバ3200に接続するために前方および中間に湾曲してもよい。チューブ3350は、プレナムチャンバ3200に接続される前に、プレナムチャンバ3200の接続と同じ(または、いくつかの例では、それよりも低い)垂直位置まで延びてもよい。すなわち、チューブ3350は、プレナムチャンバ3200に接続される前に、少なくとも部分的に高い方向に突出してもよい。チューブ3350の一部は、クションモジュール3150および/またはシール形成構造3100の下に位置してもよい。チューブ3350は、患者の頬骨の下で患者の顔に接触してもよく、これは、患者の頬骨の上で接触するよりも快適であり、患者の周囲の視覚を過度にぼやかすことを回避することができる。
【0248】
4.3.4.2.3導管型ヘッドギア接続ポート
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、患者の頭部の上部、側面、または後部付近に位置する接続ポート3600を含んでもよい。例えば、
図3Yおよび
図17に示す本技術の形態において、接続ポート3600は患者の頭部の上部に位置する。この例において、患者インターフェース3000は、接続ポート3600が提供されるエルボ3610を含む。エルボ3610は、空気回路4170の導管に流体接続するように構成されてもよい。エルボ3610は、接続ポート3600に接続された導管の動きを位置決めおよび安定化構造3300から分離するために、位置決めおよび安定化構造3300に対して回転可能である。エルボ3610は、いくつかの例では、実質的に垂直な軸の周りに回転することによって回転するように構成されてもよく、いくつかの特定の例では、2つ以上の軸の周りに回転することによって回転するように構成されてもよい。いくつかの例では、エルボはチューブ3350を含むか、またはボールソケット継手を介してチューブ3350に接続されていてもよい。接続ポート3600は、使用中の患者の頭部の矢状面に位置してもよい。
【0249】
接続ポートが患者の顔の前方に位置決めされていない患者インターフェースは、導管の患者インターフェースへの接続が顔の前方において行われている場合に目障りかつ邪魔になるとみなす患者もいるため、有利であり得る。例えば、顔の前方において患者インターフェースへ接続する導管は、(特に使用時において導管が患者インターフェースから下方に延びる場合に)寝具またはベッドリネンに絡まり易い場合がある。本技術の形態は、使用時に患者の頭部の上方に位置する接続ポートを有する患者インターフェースを含み、患者が横寝姿勢、仰向け姿勢(例えば、仰向け姿勢、実質的に上を向いた姿勢)、またはうつ伏せ姿勢(例えば、うつ伏せ姿勢、実質的に下を向いた姿勢)のうちの1つ以上の姿勢で、より容易にまたはより快適に寝ていることを可能にする。さらに、導管を患者インターフェースの前方に接続した場合、患者の頭部または導管の移動中に導管が患者インターフェースに望ましくない力を及ぼし、それによって顔面から外れてしまうチューブ抗力として知られる問題が悪化する可能性がある。チューブ抵抗は、シール形成構造に近い患者の顔の前方よりも患者の頭部の上方位置で力を受けた場合には問題にならない(チューブ抵抗はシールを破壊しやすい)可能性がある。
【0250】
4.3.4.2.4ヘッドギアチューブ流体接続
図3Yの例では、2つのチューブ3350は、その下端でプレナムチャンバ3200に流体的に接続されている。本技術の特定の形態において、チューブ3350とプレナムチャンバ3200との間の接続は、2つのリジダイザコネクタの接続によって達成される。チューブ3350およびプレナムチャンバ3200は、患者が2つのコンポーネントを確実な方法で容易に接続することを可能にするように構成されてもよい。チューブ3350およびプレナムチャンバ3200は、各チューブ3350がプレナムチャンバ3200に正しく接続されていることを患者が容易に知ることができるように、「再保証クリック音」または同様の音の形で触覚および/または聴覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。一形態において、チューブ3350はシリコーンで形成され、各シリコーンチューブ3350の下端は、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン等により剛性コネクタにオーバーモールドされる。剛性コネクタは、クレードルクッションモジュール3150上の雌嵌合フィーチャに接続するように構成された雄嵌合フィーチャを含みうる。代替的に、剛性コネクタは、クレードルクッションモジュール3150上の雄嵌合フィーチャに接続するように構成された雌嵌合フィーチャを含んでもよい。他の例では、チューブ3350は、チューブ3350を形成するのと同じ材料のようなシリコーン樹脂またはTPEのような可撓性材料で形成されたオスコネクタまたはメスコネクタを含んでもよい。
【0251】
他の例では、圧縮シールは、各チューブ3350をプレナムチャンバ3200に接続するために使用される。例えば、剛性コネクタを持たない弾性可撓性の(例えば、シリコーン)チューブ3350は、プレナムチャンバ3200内のポートにはめ込むことができるように、その直径を小さくするためにわずかに押し出される必要があり、シリコーンの固有の弾性がチューブ3350を外方に押し出して、チューブ3350をポートに気密的にシールすることができる。あるいは、チューブ3350とプレナムチャンバ3200との間のハードツーハードタイプの係合では、各チューブ3350および/またはプレナムチャンバ3200は、圧力作動シール、例えば周囲シーリングフランジを含んでもよい。チューブ3350を介して加圧ガスが供給されると、シーリングフランジがチューブとプレナムチャンバ3200のポートの内周面との接合部に押圧され、これらの間のシールが強化される。
【0252】
チューブ3350は、プレナムチャンバ3200に対して適切な位置に保持されるように構成されてもよい。
【0253】
図17を参照すると、いくつかの形態において、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350がプレナムチャンバ3200に取り付けられ、例えば、ヘッドギアチューブ3350の患者(後方)に面する面がフレーム部3210に取り付けられてもよい。示された例では、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350がフレーム部3210に取り外し可能に接続されている。これにより、ヘッドギア導管3350の交換、清掃、および/または保管を容易にすることができる。
【0254】
図21に示す例では、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350をプレナムチャンバ3200に取り外し可能に取り付けることを容易にするコネクタ3358を含む。図示するように、コネクタ3358は、開口部3356の少なくとも一部の周りに延びるリップを含み、このリップは、締まり嵌めまたは摩擦嵌めによってプレナムチャンバ3200に接続されてもよい。例えば、リップはプレナムチャンバ3200内の入口3220の周囲に連動してもよい。しかしながら、他の形態において、コネクタ3358は、インターロック、クリップ、シャックルコネクタ、高摩擦表面等を含む2つのコンポーネント間の取り外し可能な取り付けを容易にするための任意の他の適切なコネクタまたは接続機構を含んでもよい。
【0255】
いくつかの形態において、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350はプレナムチャンバ3200に直接接続されていなくてもよい。例えば、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350に後方向に加えられる力を用いてプレナムチャンバ3200上の適切な位置に保持されてもよい。すなわち、ヘッドギアストラップの張力により、フレーム3360を適切な位置に保持することができる。プレナムチャンバ3200の外側(すなわち前方)面は、
図20に示すように、以下に説明するように凹部3230を含んでもよい。凹部は細長くてもよく、プレナムチャンバ3200を横切って横方向に延びている。凹部は、使用時にプレナムチャンバ3200を所定の位置に保持するのを助けるために、チューブ3350の下部を溝内に入れ子にすることができるように構成されてもよい。
【0256】
図17~
図21に示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、2つのチューブ3350を含む。
図17および18に示すように、いくつかの形態において、2つのチューブ3350は、下端で互いに流体的に接続され、入口3220に接続されている。2つのチューブ3350は、
図18に示すように一体的に形成されていてもよいし、
図17および
図21に示すように、別々に形成されるが、使用時に接続されており、切断されていてもよい。これにより、チューブ3350の清掃、交換または保管を容易にすることができる。
【0257】
例えば、
図17および
図21に示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、チューブ部3354を含んでもよい。チューブ部3354は、使用時にプレナムチャンバ3200の前方に位置してもよい。
【0258】
チューブ部3354は、使用時にプレナムチャンバ3200の少なくとも一部を通って延びるように構築および配置されてもよい。チューブ部3354は、プレナムチャンバ3200の前部3211および側部3213を通って延びてもよい。
図17および
図18に示すように、いくつかの形態において、チューブ部3354はプレナムチャンバ3200の全幅(すなわち、プレナムチャンバ3200の横方向の縁部または端部間の距離)を通って延びてもよい。
【0259】
いくつかの形態において、チューブ部3354は、2つの管3350の下端を互いに接続するように構成される。
図21に示すように、チューブ部3354は、コネクタ3358を含んでもよい。
【0260】
図17および
図21に示す実施例では、チューブ部3354は別々に形成されており、チューブ部3354には2本のチューブ3350が取り付けられている。しかしながら、いくつかの形態において、例えば
図18に示すように、単一のチューブ構造を形成するために、チューブ部3354は2つのチューブ3350と一体に形成されてもよい。
【0261】
チューブ部3354は、2本のチューブ3350とは異なる材料(複数可)で形成されていてもよい。例えば、チューブ部3354は、2本のチューブ3350よりも硬くてもよいし、硬くてもよい。チューブ部3354は、チューブ3350と同一の材料で形成してもよい。
【0262】
いくつかの形態において、チューブ部3354は、上述したようにプレナムチャンバ3200のリジダイザとして機能すると考えられてもよい。
【0263】
4.3.4.2.5導管型ヘッドギアヘッドギアストラップ
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、患者の気道の入口でシール形成構造3100を位置付けおよび安定化するために、チューブ3350以外に作用する少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む。
図3Yおよび17に示すように、患者インターフェース3000は、位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成するヘッドギアストラップ3310を含む。ヘッドギアストラップ3310は、例えば、バックストラップまたはリアヘッドストラップとしても知られている。ストラップ3310は、患者の頭の両側に配置された2つのチューブ3350の間に接続され得、着用されるとき、例えば使用中に患者の頭の後頭骨の上または下に横たわって、患者の後頭部の周りを通る。ストラップ3310は、患者の耳の上の各チューブに接続されてもよい。
図3Yおよび
図17を参照すると、位置決めおよび安定化構造3300は、チューブ3350の前側に設けられた1対のタブ3352を含む。使用時には、ストラップ3310をタブ3352の間に接続することができる。タブ3352は、チューブ3350のストラップ3310の接続を容易にする。例えば、タブ3352は、ストラップ3310が通過できる穴を含んでもよい。ストラップ3310は、使用時に張力がかかっても、患者の後頭部を迂回して患者の頭部に快適にもたれかかるのに十分な可撓性を有する。
【0264】
本技術の他の例では、1つ以上のさらなるストラップが提供されてもよい。例えば、フルフェイスマスクの形態を採用する本技術の一例による患者インターフェース3000は、プレナムチャンバおよび/またはクションモジュールへの2つの接続を患者の顔の両側に有し、(
図17の2点接続とは反対の)「4点接続」を形成してもよい。これらの形態において、位置決めおよび安定化構造は、プレナムチャンバおよび/またはクションモジュールと位置決めおよび安定化構造の部分との間に接続され、使用時に患者の頭部の上部および/または後部に位置決めされる第2ストラップを含んでもよい。例えば、第2ストラップは、装着されたときに、導管型ヘッドギアチューブ3350の下方に位置してもよく、患者の頸部に近い患者の頭部および/または患者の頸部の後面に沿うように構成されてもよい。
【0265】
4.3.4.3ヘッドギアリジダイザ
図6A~9Dおよび
図11A~15Dに示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、いくつかの形態において、リジダイザアーム3330および/または換気モジュール3420のようなヘッドギアリジダイザを含む。例えば、
図6A~
図9Dおよび
図11A~
図12Eでは、位置決めおよび安定化構造3300は、リジダイザアーム3330を含む。
図11A~
図12Eの例では、換気モジュール3420はヘッドギアリジダイザとして機能する。別の例では、
図13A~
図15Dにおいて、位置決めおよび安定化構造3300は、ヘッドギアリジダイザとして機能する換気モジュール3420を含む。これらの形態において、換気モジュール3420はリジダイザアーム3330として機能すると考えられる。
【0266】
4.3.4.4コネクタ
いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200を位置決めおよび安定化構造3300に取り付けることを容易にするための1対のコネクタ3800を含む。
【0267】
本技術の様々な態様によれば、
図6A~12Eに示すように、コネクタ3800は、換気構造3400の一部として含まれてもよい。例えば、換気モジュール3420の一部は、コネクタ3800を提供するように構成されてもよい。本技術のこれらの態様は、以下の形式の説明からより明らかになる。
【0268】
特定の形態において、患者インターフェース3000は、他のタイプのコネクタを含んでもよい。例えば、
図10A~10C、および
図13A~15Dに示すような形態である。プレナムチャンバ2300は、プレナムチャンバ2300を導管部3320に接続するように構成された1対のコネクタ3214を含む。コネクタ3214は、フレーム部3210のいずれの側にも設けられてもよい。図示のように、各コネクタ3214は、それぞれの横方向突出接続部3212に設けられている。図示の例では、横方向突出接続部3212の開口部3240にコネクタ3214が設けられている。
【0269】
患者インターフェース3000は、コネクタ3800としても機能するコネクタ3214を有していてもよい。例えば、プレナムチャンバ2300を導管部3320に接続するコネクタは、導管部3320が位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成しているので、患者インターフェース3000を位置決めおよび安定化構造3300に接続するためにも使用され得る。例えば、
図13Cおよび
図15Dに示す形態がこの場合である。ここで、導管部3320は、コネクタ3214を用いて患者インターフェース3000に接続される位置決めおよび安定化構造3300の一部として形成される。あるいは、患者インターフェースは、プレナムチャンバ2300を導管部3320に接続するためのコネクタ3214を有してもよく、導管部3320は、患者インターフェース3000を位置決めおよび安定化構造3300に接続するコネクタ3800とは別体である。他の形態において、コネクタ3214は、換気構造3400(例えば、換気モジュール3240)をプレナムチャンバ3200に接続してもよく、位置決めおよび安定化構造3300は、別個のコネクタ3800を介して患者インターフェース3000に接続される。
図10A~10Cに示した例では、コネクタ3214は換気モジュール3420に接続されるように構成されており、換気モジュール3420は、後述するように、使用時にヘッドギアストラップ3310に接続される独立したコネクタ3800を含む。
【0270】
4.3.4.5コネクタへのヘッドギアストラップの取り付け
図6Aおよび
図6Dを参照すると、ヘッドギアストラップ3310は、コネクタ3800に取り外し可能に取り付けられてもよい。例えば、
図10A~
図10Cの例では、スロット3820を含むコネクタ3800にヘッドギアストラップ3310(図示せず)を取り外し可能に取り付けることができる。
図6A~
図6Dの例では、ヘッドギアストラップ3310をボタン留めによりコネクタに取り外し可能に取り付けることができる。
【0271】
図6C-1を参照すると、ヘッドギアストラップ3310はボタン穴3312を含んでもよい。この形態において、ヘッドギアストラップ3310は、ボタン穴3312を介して少なくとも1つのヘッドギアストラップ3310に挿入されるコネクタ3800の一部を受容する管状またはスリーブ状構成を含む。これにより、接続時にヘッドギアストラップ3310の一部がコネクタ3800を包み込んでもよい。
図6Bの図示された形態を参照すると、リジダイザアーム3330またはその一部は、ヘッドギアストラップ3310に接続され、例えば、ヘッドギアストラップ3310によってパッケージされてもよいコネクタ3800として機能してもよい。これらの形態において、ヘッドギアストラップ3310は、リジダイザアーム3330に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0272】
図6C-1に示すように、ボタン穴3312は、ヘッドギアストラップ3310の内面に位置し、リジダイザアーム3330などのコネクタ3800を受容するように適合されていてもよく、上述したように、ヘッドギアストラップ3310の内部から挿入または取り外しが可能であり、ヘッドギアストラップ3310は、チューブ状またはスリーブ状構成を有していてもよい。ボタン穴3312は、位置決めおよび安定化構造3300を組み立てるために、ボタン穴3312を通してリジダイザアーム3330を挿入および/または取り外すことができるような方向および/または形状にされてもよく、また、使用時にリジダイザアーム3330がストラップ3310から不用意に取り外されまたは分離されることを防止することができる。
図6C-1に示すように、ボタン穴3312は、ヘッドギアストラップ3310の長さに対して縦方向または横方向に向けられるスリット状の構造を有してもよい。言い換えれば、ボタン穴3312の細長い延び部は、ヘッドギアストラップ3310および剛性アーム3330の長手方向軸線と実質的に同軸に延びてもよい。これにより、特にヘッドギアストラップ3310の弾性により、チューブ状またはスリーブ状のヘッドギアストラップ3310またはヘッドギアストラップ3310の一部にリジダイザアーム3330を容易に挿入することができ、不用意に取り外すことを防止することができる。ヘッドギアストラップ3310の先端部とボタン穴3312との間のヘッドギアストラップ3310の端部をリジダイザアーム3330の縁部に巻き付けてアンカーポイントとすることができる。リジダイザアーム3330のこのエッジまたはアンカーは、捕捉部材として使用されてもよい。このヘッドギアストラップ3310の端部をポケット端部3311と呼ぶこともできる。これにより、患者インターフェース3000を着脱する際にヘッドギアストラップ3310が伸張調整される際に、挿入されたリジダイザアーム3330からヘッドギアストラップ3310がずり落ちるのを防止する。
【0273】
4.3.5換気構造
本技術のいくつかの例による患者インターフェース3000は、患者が呼気したガスがプレナムチャンバ3200の内部から周囲に流れることを可能にするように構成された換気構造3400を含む。換気構造3400は、使用時にプレナムチャンバ3200内に治療圧力を維持しつつ、患者の呼気CO2の再呼吸を減少させるのに十分な大きさの換気流量を有するように構成されてもよい。
【0274】
上述したように、
図6A~
図23に示す本技術の形態において、換気構造3400は、使用時にプレナムチャンバ3200の内部から略横方向にガス流れを換気するように構成されてもよい。
【0275】
図6Aおよび23に示すように、各換気構造3400は、患者インターフェース3000の側部または側部上の入口3220の側部、例えばプレナムチャンバ3200の側部3213に位置する。
【0276】
図10A~11C、13A~13C、および15A~15Cに示すようないくつかの形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200の内部から別のガス流れを換気するように構成された別の換気構造3400Aを含んでもよい。換気構造3400Aは、使用時にガス流れを実質的に前方に換気するように構成されてもよい。換気構造3400Aは、プレナムチャンバ3200の内側領域に位置する入口3220の付近に位置してもよい。換気構造3400Aは、入口3220に接続された接続ポート3600の一部として含んでもよい。
【0277】
好ましい形態において、換気構造3400は、複数の換気穴3410を含む。
図6A~
図9D、
図11A~
図15Dおよび
図17~
図23に示す実施形態において、換気構造3400は、換気穴3410を含む換気壁3412を含んでもよい。いくつかの形態において、
図6A、8B、9B、11Cに示すように、各換気穴3410の入口開口部の直径は、各換気穴3410の出口開口部の直径よりも大きいことがある。したがって、各換気穴3410の対向する内壁は、互いに向かって収束し得る。
【0278】
図10B~
図10Cの実施形態において、換気穴3410は、流路、例えば換気壁3414の配置によって画定されるチャネルの形態で提供される。言い換えれば、この例では、換気構造3400は、換気壁3412に形成された複数の個別の換気穴3410を含まなくてもよい。
【0279】
4.3.5.1換気構造の位置
図6A~
図23に示すように、換気構造3400は、患者インターフェース3000の内側領域、例えばプレナムチャンバ3200の内側領域に横向きに配置されている。換気構造3400は、使用時に実質的に横方向を向いてもよく、すなわち、少なくとも部分的に横方向に角度を有する表面上に配置されてもよい。
【0280】
従来技術の患者インターフェースまたはマスクでは、典型的には、換気穴または換気構造がマスクの前部領域、特に内側領域に位置し、送達チューブに接続された入口がマスクの同じ領域の換気穴の近傍に位置する。言い換えれば、換気口および入口は、通常、マスクの前方および/または中央領域に位置する。
図6の従来技術のマスク3000に示すように、呼気中に空気回路3700から入口3220を通ってマスク3000内に入った空気は、患者から吐出された空気と衝突し、出口3400を通ってマスク3000から離れるように、顕著な角度(
図6の場合は約180°)で移動する。いくつかの構成では、
図6の矢印で示すように、これは、入口3220を通って入る空気流れと患者の鼻孔を通って吐き出される空気との間に、多くのせん断および接触をもたらす可能性がある。吸気中または無呼吸中に、入口ポート3220を通ってプレナムチャンバ3200に入った空気および/または患者の吸気中の空気流れがプレナムチャンバ3200内の空気と衝突する。プレナムチャンバ3200内の空気は、プレナムチャンバ3200内への空気の流れ方向に対して顕著な角度、例えば約180°の相対角度で流れる患者によって吐き出された空気を含んでもよい。この2つの空気流れは衝突し、入口3220から入った空気流れとマスク3000内の空気(患者の呼気を含んでもよい)との間にせん断を生じさせる。このようなせん断および接触は、使用中に患者インターフェース3000によって生成される乱流およびサイクルノイズを増加させる。吸気時のせん断と接触量、それによる乱流とノイズの量は、呼気時よりも大きくなる可能性がある。これは、吸気中に入口ポート3220を通ってマスク3000に入る空気流れの体積および/または速度、例えば、送達チューブ4172によって供給される空気流れの体積および/または速度が、呼気中の空気流れの体積および/または速度よりも大きい場合があるからである。この比較的大きな流入空気流れは、吸気中にマスク3000内の陽圧を維持するのに役立ち、一方、呼気中にマスク3000内の圧力を維持するためには、入口ポート3220を通って、例えば送達チューブ4172から流入する必要の少ない空気が必要である。
【0281】
従来技術と比較して、本技術の換気構造3400の配置は、
図6に示される従来技術のマスクと比較して、入口3220を介してプレナムチャンバ3200の内部に入ることと、換気構造3400を介してプレナムチャンバ3200の内部から出ることとの間で、ガス流れの方向が向きを変える角度を減少させることによって、静的音響パワーおよびサイクルノイズを減少させる。例えば、
図6に示される従来技術のマスクの換気配置は、空気を約180°の角度で移動させる(すなわち、空気はプレナムチャンバ3200にほぼ後方向に入り、空気は換気構造3400を通ってほぼ前方向に排出される)。対照的に、本技術の形態において、換気配置は、例えば、患者インターフェース3000上の換気構造3400の位置および/または向きは、ガス流れの方向が入口から出口へと回転またはそらされる角度を減少させるように構成される。例えば、換気構造3400の位置および/または向きは、入口3220を通ってプレナムチャンバ3200に入るガス流れの方向が約60°の角度に転向または移動するのを減少させてもよい。これにより、プレナムチャンバ3200に入る空気と呼気との間のせん断および乱流を低減することができ、ノイズを低減することができる。本技術の換気配置は、以下により詳細に説明されるように、吸気中に空気流れを分離することもできる。
【0282】
本技術の形態において、空気回路4170はプレナムチャンバ3200に接続されており、
図6A~15Dの例に示すように、換気構造3400は入口3220のいずれかの側の近傍に位置するのではなく、入口3220から横方向に間隔を置いて位置している。
図22の例では、換気構造3400は入口3220の側縁近傍に位置しているが、本明細書で説明するように、フレーム3360に設けられた接続ポート3600は、入口3220のサイズを効果的に縮小する。したがって、この例では、換気構造3400も接続ポート3600から横方向に間隔を置いて配置されている。換気構造3400を患者インターフェース3000の側面の入口3220および/または接続ポート3600から離れた場所に配置することにより、プレナムチャンバ3200へのガス流れの方向がプレナムチャンバ3200から離れる方向に向かう角度を低減し、これにより空気のせん断、乱流およびノイズを低減することができる。
図9B、10B、11C、12C、13C、および15Dを参照すると、各換気構造3400の位置および/または向きは、従来技術の設計と比較して、換気構造3400から離れる前に気流の方向が向く角度を減少させることができる。これにより、従来技術と比較して、せん断、乱流およびノイズを低減することができる。
図6の従来技術のマスクに示されているように、空気の流れのより鋭い回転または方向転換、またはより大きな方向転換または方向転換角度は、より多くの排気騒音を引き起こす可能性がある。換気構造3400を入口3220および/または接続ポート3600から横方向に離間させて配置することにより、呼気中に空気回路からプレナムチャンバ3200に入るガス流れと患者の鼻孔からプレナムチャンバ3200に入るガス流れとの混合に起因する乱流を低減することができる。換気構造3400の近傍で発生する乱流は、換気構造3400でノイズが発生し、患者またはその睡眠パートナーに到達する前にノイズの絶縁または吸収が制限されるため、患者インターフェース音響に悪影響を及ぼす可能性がある。
図6に示すように、換気構造の位置が入口に近接している従来技術の患者インターフェースにおいては、空気回路および患者の鼻孔からプレナムチャンバに入るガス流れが衝突し、換気構造の近くに乱流を引き起こすことが観察された。
図9B、10B、11C、12C、13C、および15Dに矢印で示すように、本技術の様々な形態の排気装置は、空気回路4170および患者の鼻孔からプレナムチャンバ3200に入るガス流れを、それぞれの換気構造3400に向けて別々の弧を描く2つの離間した換気構造3400に分割することができる。これはガスの拡散に寄与する可能性がある。
図17、
図18および
図22の例は、同様の排気装置を有することが理解されるべきである。
【0283】
換気構造3400は、プレナムチャンバ3200、例えばフレーム部3210上に位置してもよい。
図6A~
図9D、
図11A~
図12E、および
図18、
図20および
図22に示すように、換気構造3400は、プレナムチャンバ3200の側端部に近いプレナムチャンバ3200の部分上に位置してもよい。
【0284】
図10A~
図10Cおよび
図13A~
図15Dに示す技術の形態において、換気構造3400は、使用中プレナムチャンバ3200の側方に位置する患者インターフェース3000の一部に提供されてもよい。図示すように、換気構造3400は、使用時にクションモジュール3150の側方に配置されてもよい。換気構造3400は、プレナムチャンバ3200の側端部、例えばクションモジュール3150の側端部から分離されていてもよい。これらの形態において、位置決めおよび安定化構造3300の一部は、以下でさらに説明するように、換気構造3400を含んでもよい。
【0285】
4.3.5.2換気モジュール
いくつかの形態において、
図9A~
図13Cおよび
図15A~
図15Dに示すように、各換気構造3400は換気モジュール3420を含む。換気モジュール3420は、別個に形成され得るコンポーネントであり、製造または使用中に患者インターフェース3000に接続される他のコンポーネントである。例えば、製造中に、換気モジュール3420をプレナムチャンバ2300などの患者インターフェース3000の一部に接続することができる。換気モジュール3420は、患者インターフェース300に永久的にまたは取り外し可能に接続されてもよい。換気モジュール3420を患者インターフェース3000から取り外すことができる例では、これは換気モジュール3420の清掃または交換を容易にすることができる。
【0286】
図9A~
図13Cおよび
図15A~
図15Dに示すように、換気モジュール3420は、患者インターフェース3000から横方向に換気された1つ以上の換気穴3410を含む換気壁3412を含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上の他の壁は導管部3320を形成してもよい。
【0287】
換気モジュール3420は、開口部3240または換気モジュール開口部を含むプレナムチャンバ3200の一部に接続されるように構成されてもよい。いくつかの形態において、
図10B、
図10C、
図13Cおよび
図15Dに示すように、横方向突出接続部3212は、開口部3240を含む。いくつかの形態において、
図6C、6D、8B、9B、11C、12Cに示すように、開口部3240はフレーム部3210に設けられており、例えば、前部3211に開口部3240が設けられている。開口部3240は、前部3211の横方向領域に設けられてもよく、横方向領域は入口3220に対して側方に向いている。横方向領域は、実質的横方向に向いていてもよいし、横方向に角度を有していてもよい。
【0288】
図6A~
図15Dに示すいくつかの例では、プレナムチャンバ3200はリジダイザを含む。リジダイザは、換気モジュール3420および/または接続ポート3600の形態であってもよい。リジダイザは、プレナムチャンバ3200の剛性を増加させるために使用され得る。例えば、フレーム部3210は、換気モジュール3420および/または接続ポート3600によって剛性化される。例えば、比較的高い弾性率を有する材料で形成することにより、および/または比較的剛性のある形状を形成することにより、リジダイザは比較的剛性のあるコンポーネントとして構成される。
【0289】
4.3.5.3換気構造を含む位置決めおよび安定化構造
本技術のいくつかの形態において、例えば、
図13A~15Dに示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、換気構造3400を含む。
図13~
図15の図示例では、位置決めおよび安定化構造が導管部3320を含み、導管部3320が換気構造3400を含むようにしてもよい。
【0290】
図13Cおよび
図15Dに示すように、プレナムチャンバ3100は、横方向開口部3240を含んでもよく、導管部3320は、使用時に横方向開口部3240を介してプレナムチャンバ3100の内部と流体連通するように構成される。各導管部3320は、各開口部3240に設けられた各コネクタ3214に接続されてもよい。
【0291】
図13Cおよび
図15Dの例では、ヘッドギアストラップ3310は、導管部3320の一部として含まれていてもよい。例えば、ヘッドギアストラップ3310は導管部3320に永久的に取り付けられてもよい。
図13B、13C、15C、15Dに示すように、ヘッドギアストラップ材料の少なくとも一部は導管部3320の少なくとも一部を覆い、さらに換気構造3400の少なくとも一部を覆ってもよい。換気構造3400のヘッドギアストラップ材料を覆う部分は、換気空気流れを拡散させる役割を果たすことができ、すなわち、ディフューザ3900を形成することができる。これらの実施形態において、導管部3320は、位置決めおよび安定化構造3300の一部であると考えられる。
図13A~
図15Dに示すように、導管部3320は、換気モジュール3420の一部として含まれる。
【0292】
図13A、
図14Aおよび
図15Aに示すように、位置決めおよび安定化構造3300の下端部は、使用時中プレナムチャンバ3200に接続され、位置決めおよび安定化構造3300の上端部は、使用中の患者の頭部の上部および/または後部領域に位置する。導管部3320は、位置決めおよび安定化構造3300の下端部分を含んでもよい。これにより、換気構造3400は使用時に下端部に近い位置にあってもよい。
【0293】
図13A~
図13Cの例では、患者インターフェース3000は、上述したデフレクタ3500を含む。
図15A~
図15Dの例では、患者インターフェース3000は、上述したようなデフレクタ2500を有していなくてもよい。しかしながら、いくつかの形態において、
図15Cおよび
図15Dに示すように、換気モジュール3420などの換気構造3400は、いくつかの換気を方向転換するように構成された後壁3514を含んでもよい。
【0294】
いくつかの形態において、例えば、
図13Aおよび
図15Dに示すように、導管部3320は、弾性率が相対的に高い材料で形成したり、剛性を促進する形状に形成したりするなど、相対的に剛性を有するように構成されてもよい。いくつかの形態において、導管部3320は、比較的柔軟性材料で形成されてもよく、導管部3320は、剛性を高め、導管部3320の閉塞を制限および/または防止するための支持構造(図示せず)を含んでいてもよく、これにより、空気が周辺中に放出されるのを防止または制限してもよい。これは、例えば、患者が横向きに寝ている間に加えられる力の閉塞を制限および/または防止するのに役立つことができる。支持構造は、補強構造、厚肉化領域、および補強領域のうちの1つ以上によって提供されてもよい。
【0295】
4.3.5.4換気構造を備えたプレナムチャンバ
本技術のいくつかの形態において、例えば
図17~23に示すように、プレナムチャンバ3200は換気構造3400を含む。例えば、換気構造3400は、プレナムチャンバ3200の内側領域の側面、すなわちプレナムチャンバ3200の側部領域に配置されてもよい。
【0296】
図20に示すように、プレナムチャンバ3200のフレーム部3210の側部3213に換気穴3410を形成してもよい。この形態において、プレナムチャンバ3200によって換気壁3412が提供される。
【0297】
4.3.6デフレクタ
本技術のいくつかの形態において、例えば、
図6A~13Cに示すように、患者インターフェース3000は、換気されたガス流れの少なくとも一部を方向転換または回転するように構成されたデフレクタ3500を含む。特定の形態において、患者インターフェース3000は、例えば患者インターフェース3000の両側に対称的に配置された1対のデフレクタ3500を含む。
【0298】
4.3.6.1換気されたガス流れは前方向に方向転換される。
本技術のいくつかの形態において、例えば
図6A~13Cに示すように、各デフレクタ3500は、患者の前部を有する任意の方向に横方向に換気されたガス流れの一部を変化させるように構成される。すなわち、デフレクタ3500によって方向転換された空気流れは、大きさ(速度)と方向とを有するベクトルである速度を有する。いくつかの形態において、一般的に、前方向は、方向転換された空気流れの速度ベクトルが患者の前方向に対して正の成分を有するものとして理解される。方向転換された気体流れの速度ベクトルは、上方向、下方向、横方向など、正面方向に垂直な方向にも正の成分を有していてもよい。例えば、速度ベクトルは、上前方方向、下前方方向、上前方横方向、または下前方横方向のいずれであってもよい。
【0299】
後で説明する目的のために、デフレクタ3500によって方向転換された換気ガス流れの方向を参照するとき、便宜上、患者に対して前方成分を有する任意の方向(すなわち、上述したように)を「1つの前部方向」と呼ぶ(これは「前記前部方向」と区別することを意図している)。
【0300】
いくつかの形態において、方向転換された気流の速度ベクトルの方向は、実質的に前方向であってもよい。実質的に前方向とは、物体の互いに垂直な軸の参照系における速度ベクトルの最大成分がその方向において前方向であることを意味すると理解することができる。つまり、方向転換されたガス流れは、他のどの方向よりも前に進んでいる可能性がある。
【0301】
いくつかの形態において、各デフレクタ3500は、使用時に横方向に換気されたガス流れの大部分を前方向に方向転換するように構成される。いくつかの形態において、各デフレクタ3500は、使用時に横方向に換気された全てのガス流れを前方向に方向転換するように構成される。前方向は
図2Dに示されている。言い換えれば、デフレクタ3500は、使用時に前方に向かって横方向に換気された空気の一部、好ましくは少なくとも大部分を患者の顔から遠ざかる方向に変えるように構成される。
【0302】
デフレクタ3500は、横方向に換気された空気を、使用中の患者の顔の正中矢状面に位置する前部に向けて方向転換するように構成されてもよい。いくつかの形態において、デフレクタ3500は、横方向に換気されたガス流れの大部分を使用中の空気送達チューブ4172の一部に向けて方向転換するように構成されてもよい。以下では、本技術のこれらの態様についてより詳細に説明する。
【0303】
図6A~
図13Cの図示例では、各デフレクタ3500は、1つ以上のデフレクタ壁3512、3514、3516、3518の配置構造を含む。
【0304】
図6A~
図13Cに示す例を参照すると、少なくとも1つのデフレクタ壁3512、3514、3516、3518の少なくとも一部は、使用時に換気構造3400の少なくとも一部から横方向に換気された空気流れの経路内に位置するように構成される。これは、換気構造を「覆う」デフレクタ3500と呼ぶことができる。デフレクタ3500は、換気構造3400から換気される空気の流路内に位置している間、換気構造3400から分離されていてもよいことが理解されるべきである。少なくとも1つの壁は、換気された空気が患者の顔から離れた側方、すなわち空気の排出と同じ方向に流れることを制限/防止するように構成された側壁3512としてもよい。
【0305】
図6C、6D、8B、9B、11C、12C、13Cに示すように、側壁3512は、使用中の換気壁3412の対向する側の面3412aから間隔を置いて、換気部向き面3512aを有する。これにより、側壁3512と換気壁3412との間にギャップ3520が設けられ、このギャップから空気を換気することができる。
【0306】
いくつかの形態において、
図6A~
図9Dおよび
図13A~
図13Cに示すように、換気構造3400の一部を覆う側壁3512の一部は、換気構造3400から空気が換気される方向に対して実質的に垂直な方向に延びてもよい。いくつかの形態において、
図6A~
図9Dおよび
図13A~
図13Cに示すように、換気構造3400の一部を覆う側壁3512の一部は、換気壁3412の表面が延びる方向と実質的に平行な方向に延びてもよい。
【0307】
いくつかの形態において、デフレクタ3500は、例えば、後壁3514、上壁3516、下壁3518など、複数の他のデフレクタ壁を含む。後壁3514は、空気の後方向への流れ、すなわち、空気の後方向への流れを制限/防止するように構成されてもよい。後方向は、例えば患者の顔、目、および/または耳に向けられる。上壁3516は、空気が上方向、例えば患者の顔に沿って上方向に流れることを制限/防止するように構成されてもよい。下壁3518は、下方向、例えば患者の顔に沿って下方向への空気の流れを制限/防止するように構成されてもよい。例えば、いくつかの形態において、ガス流れは、デフレクタ壁3512、3514、3516、3518と換気壁3412との間のギャップ3520から均一に流出することを意味する。空気がギャップ3520から離れるときに、方向転換空気の分布を等しくすることができる。ギャップ3520は、換気構造3400の一部を囲むように構成されてもよい。ギャップ3520は、換気構造3400の大部分を囲むように構成されてもよい。ギャップ3520は、最も高いガス流れの方向と最も低いガス流れの方向との間の角度Aが約0°から約280°の間となるように空気流れを許容するように構成されてもよい。
図9Aは、本技術の一形態による角度Aを示す。ギャップ3520は、ガス流れの最も高い方向と最も低い方向との間の角度Aが約0°~約280°、好ましくは約0°~約180°であり、いくつかの例では、約0°~約120°、約0°~約100°、約20°~約180°、約30°~約120°、約10°~約90°、または約45°~約90°であるように、ガスの前方への流れを可能にするように構成されてもよい。
【0308】
いくつかの形態において、ギャップ3520は、角度αが気流の集中を制限/阻止し、気流の拡散を促進するように構成されてもよい。いくつかの形態において、ギャップ3520は、角度Aが、患者の顔、目、および/または耳などの患者への空気の流れを制限/防止することによって、使用中の患者の快適性を向上させるように構成されてもよい。空気流れの温度は冷気や冷気などの周囲温度よりも低い場合があり、気流が患者の顔、目、耳、その他の温度感受性領域に触れると、患者に不快感を与える可能性がある。これにより、ギャップ3520は、ガス流れの濃度を制限および防止していくらかの拡散を促進するには十分に大きいが、ガス流れが患者に接触することによる患者の不快感を制限および防止するには十分に小さい、最上段の気流と最下段の気流の方向との間に角度αを与えるように構成されてもよい。
【0309】
他のデフレクタ壁3514、3516、3518は、横向き面3412aから延びてもよい。例えば、
図6A~
図13Cに示すように、他のデフレクタ壁3514、3516、3518は、横向き面3412aが延びる方向に対して実質的に垂直な方向に延びてもよい。他のデフレクタ壁3514、3516、3518と側壁3512と換気壁3412との間にはギャップ3520が設けられている。
【0310】
諸例において、
図6A~13Cに示すように、デフレクタ3500は、使用中の換気壁3412の上に側壁3512を配置するスペーサ3530を含んでもよい。諸例において、スペーサ3530は、横向き面3412aおよび換気部向き面3512aのうちの一方から延びてもよい。スペーサ3530は、横向き面3412aが延びる方向と実質的に垂直な方向に延びてもよい。
【0311】
1つ以上の他のデフレクタ壁3514、3516、3518はスペーサ3530を提供してもよい。
【0312】
いくつかの形態において、例えば
図6A~13Cに示される形態において、デフレクタ3500またはその少なくとも一部、例えばデフレクタ壁3512、3514、3516、3518のうちの1つ以上は、換気構造3400の一部として含まれてもよい。
図6A~13Cに示される例に示されるいくつかの形態において、デフレクタ3500またはその少なくとも一部はコネクタ3800の一部として含まれてもよく、例えば、デフレクタ壁3512、3514、3516、3518のうちの1つ以上がコネクタ3800の一部として含まれてもよい。いくつかの形態において、コネクタ3800は、換気構造3400の一部として含まれる。例えば、
図6A~
図12Eの実施形態を参照すると、各換気モジュール3420の一部は、コネクタ3800を提供するように構成される。
【0313】
4.3.6.2空気不透過性デフレクタ
特定の形態の技術では、例えば
図6A~10Cに示されるものでは、デフレクタ3500は空気不透過性である。
図9A、
図9B、
図10B、
図10Cに示すように、側壁3512は、説明の目的で含まれる矢印で示す方向に、吐出空気をデフレクタ3500からギャップ3520を介して偏向させる。
【0314】
図10Bおよび
図10Cの例に示すように、デフレクタ壁3512、3514、3516、3518は、プレナムチャンバ3200の内部から換気穴3410を介して横方向に換気された空気を回転または方向転換する回転部3414を形成するように配置されている。
図10A~10Cの図示形態において、換気モジュール3420は、デフレクタ壁3512、3514、3516、3518が換気壁3412から離間するように構成される。この例のデフレクタ3500によって空気を約180°回転させることができる。
図10A~
図10Cを参照すると、換気モジュール3420はコネクタ3800を含む。例えば、コネクタ3800は、換気モジュール3420の側端に配置されてもよい。
図10A~
図10Cの図示例において、コネクタ3800は、ヘッドギアストラップ3310を患者インターフェース3000に接続するためにヘッドギアストラップ3310の一部を受容するように構成されたスロット3810である。
【0315】
図6A~6Dの図示形態において、デフレクタ3500は、他のデフレクタ壁3514、3516、3518を含まない。それは、側壁3512とスペーサ3530とを備える。この形態において、換気された空気は、前方向に加えて、後方、上方および/または下方の方向を向いていてもよい。この形態において、スペーサ3530の下面はスペーサ3530の下方に位置する換気穴3410の上壁とし、スペーサの上面はスペーサ3530の上方に位置する換気穴の下壁として機能してもよい。
【0316】
いくつかの形態において、
図7A~9Dに示すように、デフレクタ3500は、1つ以上の他の壁3514、3516、3518を含んでもよい。例えば、デフレクタ3500は、後壁3514を含む。後壁3514は、患者インターフェース3000を実質的に横方向(すなわち、側方)から見たときに実質的に弓形または湾曲した形状を有してもよい。
図8A~
図8Cに示すように、後壁3514は、下壁3518および上壁3516の少なくとも一部を形成するように延びてもよい。
図7A~
図8Cにおいて、上壁3516および下壁3518は、換気構造3400のそれぞれの上領域および下領域の一部を通って延びてもよい。これにより、一部の空気は、側壁3512と換気壁3412との間のギャップ3520を介して上下に方向転換されてもよい。しかしながら、
図9A~
図9Dを参照すると、上壁3516および下壁3518は、換気壁3412のそれぞれの上領域および下領域の大部分を通って延びてもよい。これにより、上下に方向転換された空気の量を制限および防止することができる。これは、実質的に前方向に方向転換された空気流れを集中させるのを助けることができる。
【0317】
図6A~9Dの例では、コネクタ3800はデフレクタ3500の一部として含まれており、すなわちデフレクタ3500は、位置決めおよび安定化構造3300を患者インターフェース3000に接続するコネクタ3800として機能するように構成される。
【0318】
図6A~9Dに示す形態において、位置決めおよび安定化構造3300はヘッドギアリジダイザを含む。リジダイザは、対応するヘッドギアストラップに接続するために、例えば患者インターフェースの各側のリジダイザアーム3330上にリジダイザアーム3330を含んでもよい。デフレクタ3500は、剛性アーム3330の一部として含んでもよく、したがって、剛性アーム3330の一部は、デフレクタ3500およびコネクタ3800として機能する。これらの形態において、側壁3512は、リジダイザアーム3332の一部として含まれる。
【0319】
図8A~
図9Dでは、リジダイザアーム3330は、例えばスナップフィットによってコネクタ3800に取り外し可能に接続されている。リジダイザアーム3332は、リジダイザアーム3332を患者インターフェース3000に接続するためにコネクタ3800の突出部3810と係合する開口部3332を含む。これにより、デフレクタ3500の一部、例えば側壁3512がコネクタ3800に取り外し可能に接続される。
【0320】
図6A~9Dの形態において、ヘッドギアストラップ3310はリジダイザアーム3330に取り付けられてもよい。
図6A~
図8Cの例では、ヘッドギアストラップ3310はデフレクタ3500に取り付けられている。ヘッドギアストラップ3310の一部は、換気部向き面3512aを覆ってもよい。図示のように、ヘッドギアストラップ3310は、使用時に、換気された空気を拡散させるように位置してもよい。
図9には示されていないが、この形態において、ヘッドギアストラップ3310はリジダイザアーム3330に取り付けられているが、換気部向き面3512aを覆っていない。図示するように、使用時に、換気された空気を拡散させるために位置するように、換気部向き面3512aにディフューザ3900が取り付けられてもよい。以下では、本技術のこれらの態様についてより詳細に説明する。
【0321】
図6A~
図6Dでは、ヘッドギアストラップ3310は、例えば、上述したボタン穴取り付け機構を用いてデフレクタ3500に取り外し可能に取り付けられてもよい。また、機械的締結具またはスナップ、または他の適切な取り付け機構を使用して、ヘッドギアストラップ3310を他の形態でデフレクタ3500に取り外し可能に取り付けることができることも理解されたい。
【0322】
図8A~9Dの形態を参照すると、ヘッドギアストラップ3310は、デフレクタ3500に永久的に取り付けられてもよい。例えば、永久的な取り付けを達成するために、溶接、積層、オーバーモールディング、接着剤を使用することができる。
【0323】
いくつかの形態において、デフレクタ壁3512、3514、3516、3518および/またはスペーサ3530のうちの1つ以上は、換気モジュール3420の一部として一体的に形成されていてもよい。換気モジュール3420は、開口部3240の周囲を形成するプレナムチャンバ3200の一部に接続されてもよい。
図6A~
図6Dに示す一形態において、側壁3512、換気壁3412およびスペーサ3530は、換気モジュール3420として一体的に形成される。
図8A~9Dに示す別の形態において、換気壁3412および後壁3414、上壁3416および下壁3418は、換気モジュール3420として一体的に形成される。
【0324】
いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、換気構造3400および/またはデフレクタ3500に、またはその近傍に設けられた1つ以上のリブ3430を含んでもよい。例えば、
図9A~
図9Cは、1つ以上のリブ3430が換気壁3412に設けられた患者インターフェース3000を示している。リブ3430は、換気壁3412の表面から外側に延びてもよく、換気壁3412の表面に沿って後方領域から前方領域に向かって延びる長さを有してもよい。リブ3430は、デフレクタ3500からの空気流れの拡散を助けることができるチャネルなどの複数の流路3432を提供してもよい。
【0325】
4.3.6.3空気透過性部分を備えたデフレクタ
いくつかの形態において、
図11A~13Cに示すように、デフレクタ3500の一部は空気透過性部分3512bを含んでもよい。例えば、側壁3512は、空気透過性部分3512bを含んでもよい。いくつかの形態において、デフレクタ3500の空気不透過性部分3512cに加えて空気透過性部分3512bを設けてもよい。
【0326】
図11A~
図13Cの例に示すように、デフレクタ3500は、上述した他の形態のデフレクタ3500と同様に動作するように構成されてもよい。これとは異なり、例えば側壁3512には、一部の空気を透過させることができる空気透過性部分3512bが設けられている。空気流れの一部が空気透過性部分3512bを透過することにより、空気透過性部分3512bは、換気された空気流れを拡散させる役割を果たしてもよい。空気透過性部分3512bは、ギャップ3520を介してデフレクタ3500から離れるように、空気流れの一部を方向転換してもよい。
図11A~
図13Cに示す例では、空気はギャップ3520を通ってデフレクタ3500から離れ、一定量の空気は空気透過性部分3512bを通って離れてもよい。ギャップ3520からは、空気透過性部分3512bから出る空気よりも多くの空気が出ることができる。例えば、空気透過性部分3512bは、
図11A~
図13Cに示すように、ディフューザ3900を兼ねるヘッドギアストラップ材料等の織物材料等の通気性材料で形成される。ディフューザ3900の様々な態様について、以下により詳細に説明する。
【0327】
図11A~
図13Cの形態において、リブ3430は、横向き面3412aからヘッドギアストラップ材料を所定の距離(例えば、リブの高さ)だけ離間させてもよい。リブ3430は、使用時に通気性材料が換気構造3400に向かって垂れ下がるのを抑制/防止するのに役立つことができる。これは、ヘッドギアストラップ材料が水に浸漬されたときおよび/または閉塞されたときに、換気構造3400の閉塞を抑制/防止するのに役立つことができる。スペーサ3530は、
図11A~12Eに示すように、1つ以上のリブ3430を提供してもよい。
【0328】
図11A~
図12Eに示す例では、側壁3512の大部分は通気性であってもよい。側壁3512は、空気不透過性部分3512cを含んでもよい。空気不透過性部分3512cは、1つ以上の開口部3512dで構成されていてもよい。空気透過性部分3512bを形成するヘッドギアストラップ材料を、開口部3512dがヘッドギアストラップ材料で覆われるように空気不透過性部分3512cに取り付けられてもよい。図示の例では、空気不透過性部分3512cの側面の表面にヘッドギアストラップ材料が取り付けられてもよい。
【0329】
図11A~12Eに示すように、いくつかの形態において、デフレクタ3500は、位置決めおよび安定化構造3300の一部を含んでもよい。例えば、デフレクタ3500はヘッドギアストラップ3310の一部を含んでもよい。ヘッドギアストラップ3310は、例えば溶接、縫い合わせ、または接着剤によって非通気性セクション3512cに永久的に取り付けられてもよい。
【0330】
図11A~
図12Eの形態において、ヘッドギアストラップはリジダイザアーム3330にも提供されてもよい。
図12A~
図12Eの例を参照すると、リジダイザアーム3330は、
図11A~
図11Cに示すリジダイザアーム3330よりも実質的に長くてもよい。
【0331】
図13に示す例では、側壁3512全体が通気性であってもよい。
【0332】
4.3.6.4デフレクタの更なる形態
本技術のいくつかの形態において、例えば、
図17~24に示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、デフレクタ3500を含む。すなわち、位置決めおよび安定化構造3300の一部は、換気構造3400から流出する空気流れを偏向するために使用される。
【0333】
これらの形態において、換気構造3400は、デフレクタ3500によって少なくとも部分的に隠され、好ましくは、換気構造3400の大部分が(使用中に患者インターフェースの前に位置する観察者の角度から)隠される。
図17、18、19、22および23に示す形態において、換気穴3410はデフレクタ3410によって完全に遮蔽される。したがって、いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、実質的に隠されたまたは隠された換気構造3400を含んでもよい。これにより、患者インターフェース3000の美的魅力が向上し、治療に対する患者のコンプライアンスが向上する可能性がある。
【0334】
これらの例におけるデフレクタ3500は、側壁3512、換気部向き面3512a、および1つ以上のデフレクタ壁など、上記のデフレクタ3500と同じ1つ以上のコンポーネントを有する。これらの例における換気構造3400はまた、上記の換気構造3400と同じ換気壁3412および横向き面3412aなどの1つ以上のコンポーネントを有する。上記の例と同様に、これらの例のデフレクタ3500の換気部向き面3512aは、使用時に換気壁3412から離間しており、これらの間には、ガス流れが通過するためのギャップ3520が形成される。
【0335】
図19および
図23に示す例では、上述した例と同様に、換気部向き面3512aは、換気構造3400からの空気の排出方向と略直交する方向に延びていてもよい。
図19および
図23に示すように、プレナムチャンバ3200の換気壁3412/横向き面3412aは、側面の断面から見た場合、いくつかの形態において実質的に凹んでいる。
図19および
図23に示すように、いくつかの形態において、デフレクタ3500の側壁3512/換気部向き面3350aは、側面の断面から見て実質的に凸である。これにより、横向き面3412aの形状と換気部向き面3512aの形状とを相補的な形状とすることができる。他の形態(これらの図には示されていない)では、横向き面3412aおよび/または換気部向き面3512aは、実質的に平面であるなど、任意の他の適切な形状を有してもよい。
【0336】
したがって、いくつかの形態において、使用中に患者とは反対側を向くプレナムチャンバ3200の外面の部分は、凹部3230を含んでもよい。この部分は、プレナムチャンバ3200の周囲の部分または隣接する部分に対して陥没または凹んでいてもよい。これは、患者インターフェース3000の邪魔でかさばらないものにするのに役立ち、患者の快適性とコンプライアンスを改善することができる。
図17、
図18および
図22に示すように、フレーム3360またはヘッドギアチューブ(複数可)3350などの患者インタフェースアセンブリの少なくとも一部は、使用時に凹部3230内に配置されてもよい。凹状換気壁3412は、
図19~21に示すように、凹部3230の少なくとも一部を提供してもよい。凹部はまた、使用中にフレーム3360またはヘッドギアチューブ(複数可)3350を適切な位置に保持するのを容易にしてもよい。
【0337】
上記の例と同様に、
図18および20に示す例では、患者インターフェース3000は、使用中のプレナムチャンバ3200の横向き面3412aから間隔を置いて、デフレクタ3500の換気部向き面3512aを位置決めするスペーサ3530を含んでもよい。一例では、スペーサ3530は、横向き面3412aおよび換気部向き面3512aのうちの少なくとも1つから延びてもよい。すなわち、スペーサ3530は複数の構造で形成されてもよい。スペーサ3530は、横向き面3412aが延びる方向と実質的に垂直な方向に延びてもよい。
【0338】
スペーサ3530は、
図18および20の例に示すように、少なくとも1つのリブ3430を含んでもよい。
図18および
図20は、換気壁3412から外側に突出した1つ以上のリブ3430、例えば複数のリブ3430を示している。別の形態において、スペーサは、換気部向き面3512aから外方に突出する少なくとも1つのリブ3430を含んでもよい。リブ3430が複数存在する形態において、リブは互いに平行に配置されてもよい。
図18および
図20に示す技術の形態において、リブは、患者が患者インターフェース3000を装着したときに、実質的に上下方向に延びるように配置されてもよい。他の形態において、リブは異なる方向に配置されていてもよい。スペーサ3530は、図示されていない他の形態の任意の他の適切なコンポーネントを含んでもよく、例えば、スペーサ3530は、1つ以上の突起を含んでもよい。
【0339】
リブ3430は、それらの間に複数の流路、例えばチャネルを形成して、換気構造3400からのガス流れをギャップ3520を通って導くことができる。これにより、ギャップ3520から離れたガス流れを拡散させることができる。
【0340】
スペーサ3530、例えばリブ(複数可)3430は、換気構造3400の一部を含んでもよい。リブ3430は、例えばプレナムチャンバ3200の一部として形成されてもよい。他の形態において、スペーサ3530、例えばリブ(複数可)3430は、デフレクタ3500の一部を含んでもよい。例えば、スペーサ3540は、デフレクタ壁のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0341】
4.3.6.4.1デフレクタを備えたヘッドギアチューブ
いくつかの形態において、
図17~
図21の例に示すように、患者インターフェース3000の位置決めおよび安定化構造3100は、接続ポート3600からプレナムチャンバ3200に気流を送るための少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350を含み、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350はデフレクタ3500を含む。すなわち、これらの図に示すように、各ヘッドギアチューブ3350の一部は、デフレクタ3500として機能してもよい。各ヘッドギアチューブ3350のこの部分は、換気構造3400からのガス流れを方向転換するように配置される。この例では、各ヘッドギアチューブ3350のこの部分は、対応するヘッドギアチューブの換気部向き面3350aによって提供されており、この換気部向き面3350aは、上記のような換気部向き面3512aを形成している。各ヘッドギアチューブ3350のこの部分は、チューブ部分3354によって提供されてもよい。別の形態において、各ヘッドギアチューブ3350の偏向部分は、ヘッドギアチューブ3350の下端部であってもよいし、下端部に近接した部分であってもよい。使用時には、各ヘッドギアチューブ3350の偏向部分は、患者の頬領域を覆うように配置されてもよい。
【0342】
これらの例では、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は換気構造3400を隠蔽する(使用中に患者インターフェースの前に位置する観察者の角度から隠蔽する)。
【0343】
図示された例では、デフレクタ3350の少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350として機能する部分は、基本的に空気不透過性である。しかしながら、以下でさらに説明されるように、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、ディフューザ3900を含んでもよい。しかしながら、これらの形態においてヘッドギアチューブ(複数可)3350の一部であると考えられるディフューザ3900は、空気透過性であってもよい。
【0344】
4.3.6.4.2デフレクタを備えたフレーム
いくつかの形態において、
図22~24の例に示すように、患者インターフェース3000の位置決めおよび安定化構造3100は、プレナムチャンバ3200との係合を容易にするフレーム3360を含む。これらの形態において、フレーム3360はデフレクタ3500を含む。すなわち、
図22に示すように、フレーム3360の一部はデフレクタ3500として機能する。フレーム3360の一部は、換気構造3400から出るガス流れを方向転換するように配置される。この例では、フレーム3360の偏向部は、上述したような換気部向き面3512aを形成する換気部向き面3360aによって提供される。使用中の患者に面するフレーム3360の面には、換気部向き面3360aが設けられている。
【0345】
これらの例では、フレーム3360は、(患者インターフェース3000の前に位置する観察者の観点から)換気構造3400を隠す。
【0346】
図示の例では、フレーム3360は基本的に空気不透過性である。しかしながら、フレーム3360は、以下でさらに説明されるように、ディフューザ3900を含んでもよい。しかしながら、これらの形態においてフレーム3360の一部と考えられるディフューザ3900は、空気透過性であってもよい。
【0347】
図示しない他の形態において、フレーム3360の一部は、上述の空気透過性部分3512bと同様の空気透過性部分を含んでもよいことを理解されたい。したがって、フレーム3360は、これらの他の形態の空気透過性部分および空気不透過性部分を含んでもよい。
【0348】
4.3.6.5換気されたガス流れの上方向および/または下方向への方向転換
いくつかの形態において、
図17~
図23の例に示すように、デフレクタ3500は、使用時に、換気ガス流れの少なくとも一部(例えば、横方向に換気されたガス流れの大部分)を、上方向および下方向(例えば、実質的に上方向および実質的に下方向)のうちの少なくとも1つの方向に方向転換するように構成される。「上方向」および「下方向」への言及は、上で使用した類似の用語「前方向」と同様に、それぞれ患者に対して上方または内部のコンポーネントを有する任意の方向を意味することを意図している。高さ方向に延びるコンポーネントは、1つ以上の他の方向にも延びてもよく、同様に、低さ方向に延びるコンポーネントは、1つ以上の他の方向にも延びてもよい。例えば、実質的に高い方向に方向転換けられたガス流れは、横方向および/または前方向に再方向転換されてもよいが、低い方向ではなく、同様に、実質的に低い方向に方向転換されたガス流れも、横方向および/または前方向に方向転換されてもよいが、高い方向ではない。これらの例については、以下でさらに説明する。同様に、「実質的に高い方向」または「実質的に低い方向」という言及は、物体が互いに直交する軸の基準系における速度ベクトルの最大成分がそれぞれ高い方向または低い方向である方向を指すと理解される。
【0349】
換気部向き面3512aの形状および/または向き、ならびにプレナムチャンバ3200の外面の形状および/または配きは、ガス流れがギャップ3520を通って離れる方向(複数可)を示すことができる。いくつかの形態において、スペーサ3430および/またはリブ3530は、ガス流れがギャップ3520を通って離れる方向(複数可)を示すこともできる。例えば、
図19および
図23に示すように、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350の凸状換気部向き面3350a、またはフレーム3360の凸状換気部向き面3360a、および凹状換気壁3412および/または横向き面3412aは、ギャップ3520から実質的に低い方向または高い方向、あるいはその両方にガス流れを導くことができる。
【0350】
図19および
図23に示すように、ガス流れが実質的に高い方向および/または低い方向に方向転換されたときに、ガス流れも部分的に前方に方向転換されてもよい。
図22に示すように、ガス流れは横方向の一部で方向転換されてもよい。したがって、ガス流れは、上前横方向および/または下前横方向に方向転換されてもよい。これは、換気されるガス流れを患者の顔から遠ざけるのに役立つ可能性がある。これにより、患者の快適性を向上させることができ、治療コンプライアンスを向上させることができる。これにより、ギャップ3520内の開口部(方向転換されたガス流れが換気される開口部)を上正面方向および/または下正面方向に向けることができる。
【0351】
ギャップ3520によって生成される流路(複数可)は、実質的に高い方向および/または低い方向に延びてもよい。しかしながら、図示すように、いくつかの形態において、流路(複数可)は部分的に前方に延びてもよい。また、図に示すように、流路(複数可)の一部は横方向に延びてもよい形態もある。従って、流路(複数可)は、上前横方向および/または下前横方向に延びる。使用時に、流路(複数可)は、例えば、
図2Eに示される患者の冠状面に対して前方上方および/または前方下方に傾斜し、
図2Cに示される患者の矢状面に対して側方上方および/または側方下方に傾斜してもよい。
【0352】
リブ(複数可)3430は、
図18~
図20に示すように、実質的に高い方向に延びてもよい。いくつかの形態において、リブ(複数可)3430は、プレナムチャンバ3200の換気穴(複数可)3410よりも高い領域または高い領域に延びる。リブ3430(複数可)は、図示のように略下方に延在している。いくつかの形態において、リブ(複数可)3430は、プレナムチャンバ3200の換気穴3410よりも下または下の領域まで延びている。リブ3430が延びる方向は、換気ガス流れがギャップ3520に遮られることを制限または回避するのに役立ち、換気流れを所望の方向に導くのに役立つ。
【0353】
リブ(複数可)3430は、
図18~
図20に示すように、換気穴3410の間に延びてもよい。例えば、リブ3530は、図示のように1対の換気穴3410の間に延びてもよい。図示の例では、換気構造3400は、リブ3530によって分離された3対などの複数対の換気穴を含んでもよい。しかしながら、使用中にプレナムチャンバ3200内の治療圧力を維持しながら、十分なガス清掃を提供するように適合された任意の数の換気穴3400を設けることができることを理解されたい。さらに、任意の数のリブ3539が、1つ以上の他の方向に延びるように設けられていてもよい。
【0354】
4.3.7ディフューザ
本技術のいくつかの例による患者インターフェース3000は、ガス流れを拡散させるディフューザ3900を含む。ディフューザ3900は、換気構造3400からのガス流れを拡散させるように配置されてもよい。
【0355】
いくつかの形態において、デフレクタ3500は、少なくとも部分的にディフューザ3900として機能してもよい。すなわち、デフレクタ3500は、偏向/方向転換の役割を果たすことができ、その過程で換気されたガス流れを拡散させることができる。代替的にまたは追加的に、換気構造3400は、ガス流れを換気して拡散するものとして機能してもよい。
【0356】
他の形態において、例えば、
図6A~9D、
図11A~16Aおよび
図17~24に示すように、ディフューザ3900は、ガスがそこを通って流れることを可能にし、そうするときにガス流れを拡散させるように構成される。例えば、ディフューザ3900は、織物材料のような空気透過性層を含んでもよい。示された実施形態において、ディフューザ3900は、例えば、使用中の換気構造3400の少なくとも一部、好ましくは換気構造3400全体を覆うように、換気構造3400からのガス流れ路内に配置される。ディフューザ3900は、換気構造3400の直前に配置されてもよく、または換気構造3400から分離されていてもよく、使用時に換気ガスの流路内に配置されてもよい。スペーサ3530、例えばリブ3430は、ディフューザ3900を換気壁3412からオフセットさせてもよい。
【0357】
ディフューザ3400は、デフレクタ3500によって、例えば患者インターフェース3000の前方に位置する観察者の視点から、少なくとも部分的に隠されてもよい。
図17および
図22に示すように、ディフューザ3900は、図に示すように実質的に隠れていてもよい。いくつかの形態において、
図18、
図19および
図23に示すように、換気穴3410はデフレクタ3410によって完全に隠される。したがって、いくつかの形態において、患者インターフェース3000は、実質的に隠されたまたは隠されたディフューザ3900を含んでもよい。これにより、患者インターフェース3000の美的魅力が向上し、治療に対する患者のコンプライアンスが向上する可能性がある。
【0358】
いくつかの形態において、スペーサ3530、例えばリブ3430は、ディフューザが換気壁3412から選択された距離に配置され、使用中にその位置に維持されることを確実にするように構成される。この距離は、リブのサイズ、特にリブの高さで設定されてもよい。ディフューザ3900と換気壁3412との間の距離は、使用時のノイズを制限または防止することができる。
【0359】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、フリース材料のような織物材料で形成される。織物材料は、ヘッドギアストラップ材料であってもよい。一例において、ディフューザ3900は、織物材料の表面の一部を起毛することにより形成される。
【0360】
いくつかの形態において、例えば
図6A~9D、11A~16A、および
図17~24に示す形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、ディフューザ3900を含む。
【0361】
いくつかの形態において、例えば、
図6A~
図8Cおよび
図11A~
図15Dに示す形態において、ヘッドギアストラップ3310は、ディフューザ3900を含む。
【0362】
いくつかの形態において、例えば、
図8A~9Dおよび
図17~24に示す形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、コンポーネントを含む。図示するように、コンポーネントは、使用時に、使用時の換気構造3400からの換気ガス流れの経路内に位置する換気部向き面3512aを有してもよい。ディフューザは、コンポーネントの換気部向き面3512a上に位置してもよい。いくつかの形態において、説明されるコンポーネントは、フレーム3360であってもよく、他の形態において、ヘッドギアチューブ3350であってもよい。
【0363】
いくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300の残りの部分からディフューザ3900を除去してもよい。これにより、コンポーネントの清掃、交換および/または保管を容易にすることができる。
【0364】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、患者インターフェース3000の残りの部分から取り外し可能な位置決めおよび安定化構造3300に形成または永久的に接続されてもよい。これにより、患者インタフェースアセンブリの数を減らすことができ、アセンブリの清掃、交換および/または保管を容易にすることができる。
【0365】
4.3.7.1ディフューザを備えたヘッドギアストラップ
図6A~
図8Cおよび
図11A~
図15Dに示す例では、ヘッドギアストラップ3310はディフューザ3900を含んでもよい。すなわち、ヘッドギアストラップ3310の一部は、換気されたガス流れを拡散させるために使用される。
【0366】
ディフューザ3900を提供するためにヘッドギアストラップ3310を使用することは、ディフューザとヘッドギアストラップとが別個のコンポーネントである患者インターフェースと比較して、製造コストの低減に寄与することができる。また、このようなインターフェースと比較して、製造、交換、および/または清掃を必要とする部品の数を減少させることができる。ディフューザ3900はヘッドギアストラップ3310によって取り外し可能である。
【0367】
例示的な形態において、ヘッドギアストラップ3310は、使用中の換気構造3400の少なくとも一部を覆うように構成された部分を含む。この被覆部は、ディフューザ3900を含む。従って、ヘッドギアストラップ3310は、換気構造3400の少なくとも一部、好ましくは換気構造3400全体を覆うように患者インターフェース3000に接続される。諸例において、ヘッドギアストラップ3310は、ボタン穴アタッチメントまたは上述のスナップフィット接続を使用して患者インターフェース3000に接続されてもよい。
【0368】
これらの形態において、ディフューザ3900はヘッドギアストラップ材料で形成される。
図16Bでは、ディフューザ3900は、ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛して起毛部3310aを形成することにより形成される。ヘッドギアストラップ材料は、織物材料を含んでもよい。
【0369】
他の形態において、例えば、
図16Cおよび
図16Dに示すように、ディフューザ3900は別個に形成され、ヘッドギアストラップ3310に取り付けられてもよい。ディフューザ3900は、例えば織物材料で形成されてもよい。いくつかの形態において、ディフューザ3900は、ヘッドギアストラップ3310の一部に取り外し可能に接続されてもよい。
【0370】
4.3.7.2ディフューザを備えたリジダイザアーム
いくつかの形態において、例えば、
図8A~9Dに示すように、上述した位置決めおよび安定化構造3300のコンポーネントは、リジダイザアーム3330を含む。
【0371】
例えば、いくつかの形態において、リジダイザアーム3330は、ディフューザ3900を含んでもよい。
図9Dに示すように、いくつかの形態において、ディフューザ3900は、例えば織物材料から別個に形成され、リジダイザアーム3330の換気部向き面3512aに取り付けられてもよく、これにより、ディフューザ3900は、換気構造3400からのガス流れを拡散させるために換気構造3400の少なくとも一部を覆う。この例では、ヘッドギアストラップ3310はリジダイザアーム3330の他の部分に取り付けられている。言い換えれば、ヘッドギアストラップ3310は、このような特定の形態のディフューザ3900を形成しない。ディフューザ3900は、換気部向き面3512aに永久的にまたは取り外し可能に接続されてもよい。これにより、ディフューザ3900を交換したり、取り外したり、清掃したり、再接続したりすることができる。既に説明されているように、いくつかの形態において、デフレクタ3500は患者インターフェース3000から取り外されてもよい。したがって、ディフューザ3900は、ディフューザ3500とともに取り外されてもよい。
【0372】
図8A~9Dに示す実施形態において、リジダイザアーム3330(および取り付けられたヘッドギアストラップ3310)をコネクタ3800から取り外すことができ、これにより、取り外しおよび/または清掃のためのディフューザ3900へのアクセスが改善される。
【0373】
4.3.7.3ディフューザを備えたヘッドギアチューブ
いくつかの形態において、例えば
図17~21に示すように、上記の位置決めおよび安定化構造3300のコンポーネントは、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350を含む。
【0374】
図17~21に示す例では、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、ディフューザ3900を含む。すなわち、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350の一部は、換気された空気流れを拡散させるために使用される。
【0375】
これらの例示的な形態において、ヘッドギアチューブ(複数可)3350は、使用中の換気構造3400からの換気ガス流れの経路内に位置するように構成された1つ以上の部分を含む。例えば、ディフューザ3900は、ヘッドギアチューブ3350の被覆部上に位置してもよい。
図17および
図18の例に示すように、ヘッドギアチューブ3350のチューブ部3354は、被覆部を提供する。
【0376】
少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、換気部向き面3350aを含んでもよい。例えば、
図18および
図19に示すように、換気部向き面3350aは、使用時に、使用中の換気構造3400の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
図19および21の例に示すように、ディフューザ3900は、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350の換気部向き面3350a上に位置してもよい。前記換気部向き面3350aは、前記被覆部の一部として含まれていてもよい。
【0377】
換気部向き面3350aは、使用時に、患者向き面であってもよい。少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350は、使用時に、非患者向き面を有してもよい。
【0378】
これらの例では、少なくとも1つのヘッドギアチューブ3350の1つ以上の部分がディフューザ3900を覆い、例えば被覆部がディフューザ3900を(患者の前方に位置する観察者の観点からも同様に)覆い隠す。これにより、換気部向き面3350aはディフューザ3900を隠してもよい。さらに、非患者向き面は、ディフューザ3900を隠してもよい。
【0379】
ディフューザ3900は、別個に形成され、被覆部(複数可)に接続されてもよい。
図19の例では、ディフューザ3900は、ヘッドギアチューブ(複数可)3350の換気部向き面3350aに取り付けられている。
【0380】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、被覆部(複数可)に取り外し可能に接続されてもよい。これにより、ディフューザ3900はヘッドギアチューブ3350の残りの部分から取り外されてもよい。これにより、コンポーネントの清掃、交換および/または保管を容易にすることができる。
【0381】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、オーバーモールディング、接着剤、積層、熱成形、溶接、または1つ以上の他の周知の取り付け方法を使用して、ヘッドギアチューブ3350(複数可)に永久的に取り付けられ得る。上述したように、ヘッドギアチューブ(複数可)3350は、患者インターフェース3000の残りの部分から取り外されてもよい。したがって、ディフューザ3900は、患者インターフェース3000の残りの部分からをヘッドギアチューブ3350によって除去してもよい。これにより、患者インタフェースアセンブリの数を減少させることができ、アセンブリの清掃、交換、および/または保管を容易にすることができる。
【0382】
他の形態において、ヘッドギアチューブ3350は、例えば、少なくともヘッドギアチューブ3350の患者接触面上に織物材料の層で形成され得る。この態様の一例は、取り外し可能または永久的に取り付けられた繊維スリーブを有するヘッドギアチューブ3350、または一体的に形成された織物材料の層を有するヘッドギアチューブ3350である。織物材料の織物層は、上述のように起毛されてもよい。維材料の起毛層はディフューザ3900を形成することができる。このような形態において、繊維材料の層は、ヘッドギアチューブ3350が患者の皮膚に接触する場所に快適さを提供することと、換気されたガス流れを拡散することという二重の目的を果たすことができる。
【0383】
4.3.7.4ディフューザを備えたフレーム
いくつかの形態において、例えば、
図22~
図24に示すように、位置決めおよび安定化構造3300のコンポーネントは、フレーム3360を含む。
【0384】
図22~24に示す例では、フレーム3360は、ディフューザ3900を含む。すなわち、フレーム3360の一部は、換気されたガス流れを拡散させるために用いられる。
【0385】
例示的な形態において、フレーム3360は、使用中の換気構造3400からの換気ガス流れの経路内に位置するように構成された1つ以上の部品を含む。例えば、ディフューザ3900は、フレーム3360の被覆部上に位置してもよい。
図22、および
図24に示す例では、フレーム3360の本体部3368およびアーム3366のうちの少なくとも1つは、被覆部を提供する。
【0386】
フレーム3360は、換気部向き面3360aを含んでもよい。例えば、
図22および
図23に示すように、換気部向き面3360aは、使用時に、使用中の換気構造3400の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
図23および
図24の例に示すように、ディフューザ3900は、フレーム3360の換気部向き面3360a上に位置してもよい。前記換気部向き面3360aは、前記被覆部の一部として含まれていてもよい。
【0387】
換気部向き面3350aは、使用時に、患者向き面であってもよい。フレーム3360は、使用時に、非患者向き面を有してもよい。
【0388】
これらの例では、フレーム3360の1つ以上の部分はディフューザ3900を覆い、例えば被覆部はディフューザ3900を覆い隠す。これにより、換気部向き面3360aはディフューザ3900を隠してもよい。さらに、非患者向き面は、ディフューザ3900を隠してもよい。
【0389】
ディフューザ3900は、別個に形成され、フレーム3360の様々な部品(複数可)に接続されてもよい。
図23に示すように、ディフューザは、フレーム3360の換気部向き面3360aに取り付けられてもよい。
【0390】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、フレーム3360の部品(複数可)に取り外し可能に取り付けられてもよい。したがって、ディフューザ3900は、フレーム3360の残りの部分から取り外されてもよい。これにより、コンポーネントの清掃、交換、保管が容易になる。
【0391】
いくつかの形態において、ディフューザ3900は、オーバーモールディング、接着剤、積層、熱成形、溶接、または1つ以上の他の周知の取り付け方法を使用して、フレーム3360に永久的に取り付けられてもよい。したがって、ディフューザ3900は、フレーム3360によって、患者インターフェース3000の残りの部分から取り外されてもよい。これにより、患者インターフェースのコンポーネントの数を減らすことができ、清掃、交換および保管を容易にすることができる。
【0392】
4.3.8結合解除構造(複数可)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0393】
4.3.9前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は前額支持部3700を含む。
【0394】
4.3.10窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は窒息防止弁を含む。
【0395】
4.3.11ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の容積へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガスの特性(例えば、圧力)を直接測定することが可能になる。
【0396】
4.4ヘッドギアストラップディフューザの製造方法
本技術の形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェース3000を保持するための位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギアストラップ3310の一部として、ディフューザ3900を製造する方法を提供する。これらの形態において、ディフューザ3900はヘッドギアストラップ3310に組み込まれてもよい。
【0397】
特定の形態において、この方法は、任意の順序で行われる次のステップを含んでもよい。
(a)ヘッドギアストラップ材料の表面に拡散層3900を形成し、この拡散層3900は、使用時に患者インターフェース3000上に配置された換気構造3400を介して換気されたガス流れを拡散させるように構成される。および
(b)ヘッドギアストラップ材料でヘッドギアストラップ3310を形成する。
【0398】
4.4.1拡散層の形成方法
4.4.1.1起毛ヘッドギアストラップ材料
特定の形態において、ステップ(a)は、ヘッドギアストラップ材料の表面の一部を起毛することを含んでもよい。これにより、ヘッドギアストラップ3310に起毛部3310aが形成されてもよい。ステップ(a)は、ヘッドギアテープ材料がローラに接触したときに、ヘッドギアテープ材料を起毛するように構成されたローラを含む起毛デバイスによって実行されてもよい。ステップ(a)は、ヘッドギアストラップ材料の表面の起毛部3310aをトリミングすることも含んでもよい。このトリミングステップは、起毛デバイスまたはトリミングデバイスによって実行されてもよい。
【0399】
一形態において、ディフューザ3900は、ヘッドギアストラップ3310を形成するヘッドギアストラップ材料上の局所的な起毛処理を用いてヘッドギアストラップに一体化されてもよい。局所的な起毛処理は、起毛部3310aを生成する。起毛は、多種多様な起毛繊維で構成された柔らかいビロードのような表面を持ち上げるのに役立つ。立毛部3310aは、立毛繊維を含んでいてもよい。その後、起毛繊維を剪断/削り取ることにより、一定の高さを得ることができる。これにより、起毛部3310aにおける起毛繊維の高さが相対的に一致する。
【0400】
いくつかの形態において、ヘッドギアストラップ材料のような布帛のロールは、起毛デバイスによって起毛されてもよく、その後、布帛を切断してヘッドギアストラップ3310またはその一部を形成してもよい。他の形態において、ヘッドギアテープ3310またはその一部を切断し、その後、より狭い幅の起毛デバイスのローラを使用して起毛することができる。
【0401】
4.4.1.2接着剤の使用
特定の態様では、ステップ(a)は、織物材料で拡散層3900を形成し、接着剤を用いてヘッドギアストラップ3310の表面に付着させることを含む。
【0402】
一形態において、ディフューザ3900は、接着剤を使用することにより、ポッティングにより、または接着フィルムを適用することにより、ヘッドギアストラップ3310に一体化されてもよい。
【0403】
拡散層3900は、一枚の織物材料を所望の形状に切断することにより形成されてもよい。その後、ヘッドギアストラップ3310に取り付けられてもよい。
【0404】
本技術の他の形態において、拡散層3900は、ファスナーまたは縫合糸などの接続手段を使用してヘッドギアストラップ3310の表面に取り付けられてもよいことを理解されたい。いくつかの形態において、拡散層3900は、別のファスナーまたは接続手段を使用してヘッドギアストラップ3310の表面に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0405】
4.4.2ヘッドギアストラップの形成
特定の態様では、ステップ(b)は、ヘッドギアストラップ材料をヘッドギアストラップに切断することを含む。ステップ(b)は、切断デバイスによって実行されてもよい。ヘッドギアストラップ材料は、織物材料を含んでもよい。
【0406】
4.5ヘッドギア導管ディフューザの製造方法
本技術の形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェース3000を保持するために、位置決めおよび安定化構造3300の少なくとも1つのヘッドギア導管3350の一部として、ディフューザ3900を製造する方法を提供する。これらの形態において、ディフューザ3900はヘッドギア導管3350内に組み込まれてもよい。
【0407】
特定の形態において、この方法は、任意の順序で行われる次のステップを含んでもよい。
ヘッドギア導管3350の表面上に拡散層3900を形成し、拡散層3900は、使用時に患者インターフェース3000上に配置された換気構造3400を介して換気されたガス流れを拡散させるように構成される。および
ヘッドギア導管3350を形成する。
【0408】
4.5.1拡散層の形成方法
ステップ(a)は、ヘッドギアチューブ3350の表面の一部を起毛することを含み、ヘッドギアチューブ3350は織物材料の層で形成される。
【0409】
ステップ(a)は、織物材料の表面の起毛部をトリミングすることを含んでもよい。
【0410】
ステップ(a)は、織物材料で拡散層3900を形成することと、接着剤または他の公知の取り付け方法を用いて、拡散層3900をヘッドギア導管3350の表面に取り付けることとを含んでもよい。
【0411】
拡散層3900は、織物材料と起毛織物材料とをいずれの順序で切断することにより形成されてもよい。
【0412】
織物材料は、フリース材料を含んでもよい。
【0413】
4.5.2ヘッドギアチューブの形成
ステップ(b)は、1つ以上の材料(例えば、シリコーン樹脂)から導管を形成することを含んでもよい。例えば、シリコーン樹脂製のヘッドギアチューブ3350を個別に形成し、このシリコーン樹脂製のヘッドギアチューブ3350にディフューザ3900を取り付けるようにしてもよい。他の形態において、ヘッドギアチューブ3350は、拡散層39000として形成された織物材料の層を含むように形成されてもよい。
【0414】
4.6フレームディフューザの製造方法
本技術の形態は、患者の頭部上の治療に有効な位置に患者インターフェース3000を保持するための位置決めおよび安定化構造3300のフレーム3360の一部として、ディフューザ3900を製造する方法を提供する。これらの形態において、ディフューザ3900はフレーム3360に組み込まれてもよい。
【0415】
特定の形態において、この方法は、任意の順序で行われる次のステップを含んでもよい。
(a)フレーム3360の表面上に拡散層3900を形成し、拡散層3900は、使用時に患者インターフェース300上に配置された換気構造3400を介して換気されたガス流れを拡散させるように構成される。および
(b)フレーム3360を形成する。
【0416】
4.6.1拡散層の形成方法
ステップ(a)は、フレーム3360の表面の一部を起毛することを含み、フレーム3360は織物材料の層で形成される。
【0417】
ステップ(a)は、織物材料の表面の起毛部をトリミングすることを含んでもよい。
【0418】
ステップ(a)は、織物材料で拡散層3900を形成することと、接着剤または他の公知の取り付け方法を用いて、拡散層3900をフレーム3360の表面に取り付けることとを含んでもよい。
【0419】
拡散層3900は、織物材料を切断することにより形成されてもよい。
【0420】
拡散層3900は、織物材料と起毛織物材料とをいずれの順序で切断することにより形成されてもよい。
【0421】
織物材料は、フリース材料を含んでもよい。
【0422】
4.6.2ヘッドギアチューブの形成
ステップ(b)は、1つ以上の材料からフレームを形成することを含んでもよい。例えば、フレーム3360は別個に形成されてもよく、ディフューザ3900はフレーム3650に取り付けられてもよい。他の形態において、フレーム3360は、拡散層3900として形成された織物材料の層を含むように形成されてもよい。
【0423】
4.7RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械コンポーネント、空気圧式のコンポーネント、および/または電子コンポーネントを含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、本明細書の他の箇所で説明される1つ以上の呼吸状態を治療するためなど、患者の気道に送達するための空気の流れを生成するように構成されてもよい。
【0424】
4.7.1RPTデバイスアルゴリズム
前述したように、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、メモリ4260などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を実装するように構成され得る。アルゴリズム4300は、基本的にモジュールと呼ばれるグループにグループ化される。
【0425】
本技術の他の形態においては、アルゴリズム4300の一部または全体が、外部デバイス(例えば、ローカル外部デバイス4288またはリモート外部デバイス4286)のコントローラによって実装され得る。このような形態において、入力信号を表すデータ、および/または外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部に必要な中間アルゴリズム出力は、ローカル外部通信ネットワーク4284またはリモート外部通信ネットワーク4282を介して外部デバイスへ伝達され得る。このような形態において、外部デバイスで実行されるアルゴリズム4300の一部は、1つ以上のプロセッサ(複数可)によって実行されるプロセッサ制御命令などを伴う、外部デバイスのコントローラにアクセスすることが可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムとして表現され得る。このようなプログラムにより、外部デバイスのコントローラは、アルゴリズム4300の一部を実行するように構成される。
【0426】
このような形態において、療法エンジンモジュール4320を介して外部デバイスにより生成された療法パラメータは(このような形態が、外部デバイスによって実行されるアルゴリズム4300の部分の一部を形成する場合に)、中央コントローラ4230へ伝達されて、療法制御モジュール4330へ送られ得る。
【0427】
4.8空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0428】
特に、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達チューブと呼ばれ得る。場合によっては、回路に吸息および呼息用の別々の枝があり得る。他の場合においては、単一の枝が用いられる。
【0429】
いくつかの形態において、空気回路4170は、空気回路内の空気を加熱するように、例えば空気の温度を維持するか上昇させるように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱式ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上のトランスデューサ、例えば温度センサを含み得る。一形態において、加熱式ワイヤ回路は、空気回路4170の軸の周りに螺旋状に巻かれてもよい。加熱要素は、コントローラ、例えば中央コントローラ4230と通信し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例は、米国特許出願第8,733,349号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0430】
4.9加湿器
4.9.1加湿器の概要
本技術の一形態において、周囲空気に対して患者に送達するための空気またはガスの絶対湿度を変更するための加湿器5000(例えば、
図5Aに示すように)が提供される。典型的には、加湿器5000は、空気を患者の気道に送達する前に、絶対湿度を増加させ、(周囲の空気に対して)空気流れの温度を増加させるのに使用される。
【0431】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110、空気流れを受けるための加湿器入口5002、および加湿された空気流れを送達するための加湿器出口5004を備え得る。いくつかの形態において、
図5Aおよび
図5Bに示されるように、加湿器リザーバ5110の入口および出口は、それぞれ加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を収容するように適合され、加熱要素5240を備え得る加湿器ベース5006をさらに備え得る。
【0432】
4.10用語
本技術の開示のために、本技術の特定の形態においては、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態においては、代替の定義が適用され得る。
【0433】
4.10.1概要
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味すると見なされ得、本技術の他の形態において、空気は、例えば酸素富化空気など、呼吸可能なガスの一部の他の組み合わせを意味すると見なされ得る。
【0434】
周囲:本技術の特定の形態において、周囲という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接囲むことを意味すると見なされる。
【0435】
例えば、加湿器に対する周囲湿度は、例えば、加湿器に隣接する空気の湿度、例えば患者が寝ている部屋の湿度であってもよい。このような周囲湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外の湿度とは異なる場合がある。
【0436】
別の例において、周囲圧力は、身体を直接取り囲む圧力、または体外の圧力であり得る。
【0437】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスによって生成されたりマスクまたは患者インターフェースから発したりするノイズではなく、患者が位置している部屋内のバックグラウンドノイズレベルとみなされ得る。周囲ノイズは、部屋の外の発生源から生成され得る。
【0438】
自動気道陽圧(APAP)療法:SDB事象の兆候の存在または不在に応じて、例えば呼吸するごとに、最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調整可能なCPAP療法。
【0439】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定である呼吸圧力療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息中に若干高く、吸息中に若干低い。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分的な上部気道閉塞の兆候の検出に応答して増加し、部分的な上部気道閉塞の兆候がない場合に減少する。
【0440】
流量:単位時間あたりに送られる空気の量(または質量)。流量は、瞬間的な量を指し得る。一部の場合において、流量への参照は、スカラー量、すなわち、大きさのみを有する量への参照となる。他の場合において、流量への参照は、ベクトル量、すなわち、大きさおよび方向の両方を有する量への参照となる。流量には、記号Qが付与され得る。「流量」は、単に「流」または「空気流れ」と記すことがある。
【0441】
患者呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルポジティブであり得るので、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対してネガティブであり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから離れる空気の流量である。総流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースに到達する空気および任意の補充ガスの流量である。通気流量Qvは、吐き出されるガスの押し出しを可能にするために通気部から離れる空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏れの流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系に受け入れる空気の流量である。
【0442】
流量治療:患者の呼吸サイクル全体にわたって典型的にポジティブである治療流量と呼ばれる制御された流量で気道の入口へ空気流れを送達することを含む呼吸治療である。
【0443】
加湿器:加湿器という単語は、患者のメディカル呼吸状態を改善するために空気流れに治療上有益な量の水(H2O)蒸気を提供することができるように配置され、設置される、または物理的構造を有する加湿装置を意味すると見なされる。
【0444】
漏れ:漏れという単語は、意図しない空気流れと見なされる。一例において、マスクと患者の顔との間の不完全なシールの結果として、漏れが発生し得る。別の例において、周囲へのスイベルエルボに漏れが発生し得る。
【0445】
伝導(音響)ノイズ:本明細書における伝導ノイズとは、空気回路や患者インターフェースなどの空気圧経路とその中の空気によって患者に運ばれるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することによって定量化され得る。
【0446】
放射(音響)ノイズ:本明細書における放射ノイズとは、周囲空気によって患者に運ばれるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、ISO3744に従って問題のオブジェクトの音量/圧力レベルを測定することによって定量化され得る。
【0447】
通気(音響)ノイズ:本明細書における通気ノイズとは、患者インターフェースの通気孔などの任意の通気部を通る空気流れによって生成されるノイズを指す。
【0448】
酸素富化空気:少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、または少なくとも約99%の酸素など、酸素濃度が大気濃度(21%)より高い空気。「酸素富化空気」は略して「酸素」と呼ばれることがある。
【0449】
医療用酸素:医療用酸素は、酸素濃度が80%以上の酸素富化空気と定義される。
【0450】
患者:呼吸状態に苦しむか否かにかかわらず、人である。
【0451】
圧力:単位面積当たりの力。圧力は、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカルを含む、多様な単位で表現され得る。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、別段の記載がない限り、圧力はcmH2Oの単位で与えられる。
【0452】
患者インターフェース内の圧力には記号Pmが付与され、現在の瞬間にインターフェース圧力Pmによって達成される目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0453】
呼吸圧力治療:大気に対して典型的に陽圧である処理圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0454】
人工呼吸器:患者に圧力サポートを提供して呼吸の一部または全部の作業を行う機械的なデバイスである。
【0455】
4.10.1.1材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンへの参照は、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への参照である。市販のLSRの一形態は、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標で販売されている製品の範囲内に含まれる)である。別のLSR製造業者は、Wackerである。別段の定めがない限り、例示的形態のLSRは、ASTM D2240によって測定する場合、約35~約45の範囲内のショアA(またはタイプA)押込み硬さを有する。
【0456】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0457】
4.10.1.2機械的特性
弾力:弾性変形したときにエネルギーを吸収し、負荷を除いたときにエネルギーを放出する、材料の能力。
【0458】
弾力性:無負荷時に、実質的に全てのエネルギーが放出される。例えば、特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0459】
硬度:材料自体が変形に抵抗する能力(例えば、ヤング率、または標準化されたサンプルサイズで測定された押込み硬さスケールによって表される)。
●「軟質」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得る。
●「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下で容易に変形し得ない。
【0460】
構造またはコンポーネントのスティフネス(または剛性):加えられた負荷に応じた変形に抵抗する構造またはコンポーネントの能力。負荷は、力またはモーメント(例えば、圧縮、張力、曲げまたはねじれ)であり得る。構造またはコンポーネントは、異なる方向に異なる抵抗を提供し得る。剛性の逆は、可撓性である。
【0461】
フロッピー構造またはコンポーネント:その自重を支持するようになったとき、比較的短期間(例えば、1秒)内に形状が変化する(例えば、曲がる)構造またはコンポーネント。
【0462】
剛性の構造またはコンポーネント:使用中に典型的に遭遇する荷重を受けたとき、形状が実質的に変化しない構造またはコンポーネント。このような用途の例としは、例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷で、患者インターフェースを患者の気道への入口とのシール関係で設定および維持することが挙げられる。
【0463】
一例として、I型鋼は、第2直交方向と比較して、第1の方向に異なる曲げスティフネス(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造またはコンポーネントは、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0464】
4.10.2呼吸サイクル
無呼吸:一部の定義によれば、流量が一定期間、例えば10秒間にわたって所定の閾値を下回ると、無呼吸が発生したと言われる。患者の労力にもかかわらず、気道の一部の閉塞が空気流れを妨げると、閉塞性無呼吸が発生したと言われる。気道の開存にもかかわらず、呼吸労力の減少または呼吸労力の欠如による無呼吸が検出されると、中枢性無呼吸が発生したと言われる。混合無呼吸は、呼吸労力の減少または欠如が閉塞された気道と一致するときに発生する。
【0465】
呼吸数:患者の自発呼吸のレートであり、通常は1分あたりの呼吸数で測定される。
【0466】
デューティサイクル:吸息時間Tiが合計呼吸時間Ttotに対する比である。
【0467】
労力(呼吸):自発的に呼吸する人が呼吸をしようとする作業である。
【0468】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気の流れが始まってから吸気の流れが始まるまでの期間である。
【0469】
流量制限:流量制限は、患者の労力の増加が対応する流量の増加をもたらさない患者の呼吸における事態と見なされる。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生する場合、吸気流量制限と表現され得る。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生する場合、呼気流量制限と表現され得る。
【0470】
流量制限吸気波形の種類:
(i)フラット化:上昇が続き、比較的平坦な部分が続き、その後に下降が続く。
(ii)M字型:前縁に一つ、後縁に一つ、合計2つのローカルピークを有し、この2つのピークの間に比較的平坦な部分を有する。
(iii)チェア形状:単一のローカルピークを有し、このピークは前縁にあり、その後に比較的平坦な部分が続く。
(iv)リバースチェア形状:比較的平坦な部分に続いて単一のローカルピークを有し、このピークは後縁にある。
【0471】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流量の減少であるが、流れの停止ではないと見なされる。一形態において、流量が減少して一定期間にわたって閾値レートを下回ると、呼吸低下が発生したと言われ得る。呼吸労力の減少による呼吸低下が検出されると、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人における一形態において、以下のいずれかが呼吸低下と見なされ得る:
(i)少なくとも10秒間の患者呼吸の30%の減少、および関連付けられた4%の不飽和化;あるいは
(ii)少なくとも10秒間の患者呼吸の減少(ただし50%未満)、および関連付けられた少なくとも3%の不飽和化または興奮。
【0472】
過呼吸:通常よりも高いレベルへの流量の増加である。
【0473】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気の流れが始まってから呼気の流れが始まるまでの期間は、呼吸サイクルの吸気部分と見なされる。
【0474】
開存(気道):気道が開いている程度、または気道が開いている範囲である。開存気道は開いている。気道開存は、例えば、開存状態であると、ワン(1)の値に定量化され、閉じている(閉塞)状態であると、ゼロ(0)の値に定量化され得る。
【0475】
呼気終末陽圧(PEEP):呼気の終末に存在する肺における大気以上の圧力である。
【0476】
ピーク流量(Qピーク):呼吸流量波形の吸気部分中の流量の最大値である。
【0477】
呼吸流量、患者気流レート、呼吸気流レート(Qr):これらの用語は、「真の呼吸流量」または「真の呼吸流量」とは異なり、RPTデバイスによる呼吸流量の推定値を指すと理解され得る。「真の呼吸流量」または「真の呼吸流量」は、患者が経験した実際の呼吸流量であり、通常は1分あたりのリットルで表される。
【0478】
一回換気量(Vt):余分な労力が加えられていない場合に、通常の呼吸中に吸い込まれ、または吐き出される空気の体積である。原則として、吸気体積Vi(吸い込まれる空気の体積)は、呼気体積Ve(吐き出される空気の体積)に等しいので、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいと定義され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0479】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0480】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0481】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0482】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0483】
上気道閉塞(UAO):部分的および完全な上気道閉塞の両方を含む。これは、流量が、上気道を横切る圧力差が増加する(スターリング抵抗の挙動)につれてわずかに増加するか、または更に減少する可能性もある流量制限の状態に関連付けられ得る。
【0484】
換気(通気):患者の呼吸器系によって交換されるガス量の尺度。換気の尺度は、単位時間あたりの吸気および呼気流量の一方または両方を含み得る。1分あたりの体積で表されると、この量は「分間換気」と呼ばれることが多い。分間換気量は、単に体積として与えられることがあり、1分あたりの体積と理解される。
【0485】
4.10.3人工呼吸器
アダプティブサーボ人工呼吸器(ASV):固定ではなく、変更可能な目標換気を有するサーボ人工呼吸器である。変更可能な目標換気は、患者の一部の特性、例えば、患者の呼吸特性から学ぶことができる。
【0486】
バックアップレート:自発呼吸労力によってトリガーされないと、人工呼吸器が患者に提供する最小呼吸数(典型的には1分あたりの呼吸数)を設定する、人工呼吸器のパラメータである。
【0487】
サイクルされる:人工呼吸器の吸気期の終了である。人工呼吸器が、自発的に呼吸する患者に呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終末に、人工呼吸器は、呼吸を送達するのを止めるためにサイクルされると言われる。
【0488】
呼気気道陽圧(EPAP):呼吸内で変化する圧力が加えられて、人工呼吸器が所定の時間に達成しようとする所望のインターフェース圧力を生成するベース圧力である。
【0489】
呼気末圧(EEP):人工呼吸器が呼気の呼気部分の終末に達成しようとする所望のインターフェース圧力である。 =1の場合に、呼気の終末に圧力波形テンプレート ( )がゼロとされると、すなわち、 ( )=0と、EEPはEPAPに等しい。
【0490】
吸気気道陽圧(IPAP):人工呼吸器が呼吸の吸気部分において達成しようとする最大の所望のインターフェース圧力である。
【0491】
圧力サポート:人工呼吸器の吸気中の圧力が人工呼吸器の呼気中の圧力よりも上昇したことを示す数値であり、基本的に吸気中の最大値とベース圧力との間の圧力の差を意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。一部の状況で、圧力サポートは、人工呼吸器が実際に達成する差ではなく、それが達成しようとする差を意味する。
【0492】
サーボ人工呼吸器:患者換気を測定し、目標換気を有し、患者換気を目標換気に向かわせるために圧力サポートのレベルを調整する人工呼吸器である。
【0493】
自発/時限式(S/T):自発的に呼吸する患者の呼吸の開始を検出しようとする人工呼吸器または他の装置のモードである。もしデバイスが所定の期間内に呼吸を検出できない場合、デバイスは自動的に呼吸の送達を開始する。
【0494】
スイング:圧力支持に相当する用語である。
【0495】
トリガー:人工呼吸器または他の呼吸治療デバイス(RPTデバイスや携帯型酸素濃縮デバイスなど)が、自発呼吸患者に呼吸可能なガスの一定量を送り込むとき、これをトリガーと呼ぶ。患者の努力により、トリガーは通常、呼吸サイクルの呼吸部分の開始時または開始の近くに発生する。
【0496】
4.10.4生体構造
4.10.4.1顔面の生体構造
鼻翼: 各鼻孔の外壁または「翼」(複素数:alar)
【0497】
鼻翼角:
【0498】
鼻翼点: 鼻翼の最も外側の点。
【0499】
鼻翼曲率(または鼻翼頂上)点:各鼻翼の屈曲基線の最後の点で、鼻翼が頬と結合して形成される折り目にある。
【0500】
耳介: 耳の外部から見える部分全体。
【0501】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起、前頭骨の鼻を含む。
【0502】
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格には、鼻中隔、外側軟骨、主軟骨および副軟骨が含まれる。
【0503】
鼻柱: 鼻の穴を隔てる皮膚帯で、前の鼻の穴から上唇まで延びている。
【0504】
鼻柱角:鼻孔の中点を通る線と鼻下点に交差し、フランクフルト平面に直交する線の間の角度。
【0505】
フランクフルト水平面:眼窩縁の最下点から左耳珠点まで延びる線。耳珠は心耳の耳珠より上の凹みの最深点である。
【0506】
眉間: 軟組織上に位置し、額の正中矢状面の最突点。
【0507】
鼻外側軟骨:概して三角形状の軟骨板。その上縁は鼻骨と上顎骨の前頭突起に付着し、その下縁は大鼻翼軟骨に接続している。
【0508】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0509】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0510】
大鼻翼軟骨:外側鼻軟骨の下側に位置する軟骨のプレート。大鼻翼軟骨は、鼻孔の前部の周囲で湾曲される。その後端は、鼻翼の3~4つの小軟骨を含む強靱な繊維膜によって上顎骨の前頭突起に接続する。
【0511】
鼻孔(Nostrils):鼻腔への入口を形成するほぼ長円体の孔。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris(nostril))である。鼻孔は鼻中隔で隔てられている。
【0512】
鼻唇溝または鼻唇ひだ:鼻の両側から口角まで伸び、頬と上唇を隔てる皮膚のひだまたは溝。
【0513】
鼻唇角:鼻柱と上唇の間の角度で、鼻下点と交わる。
【0514】
上耳底:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最上点。
【0515】
上耳底顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最上点。
【0516】
鼻尖点:鼻の最も突き出た点または先端で、頭部の残りの部分の側面ビューで識別され得る。
【0517】
人中: 鼻中隔の下縁から上唇領域の唇頂を走る中心線の溝。
【0518】
ポゴニオン: 軟組織に位置し、顎の最前中点。
【0519】
堤(鼻):鼻堤は鼻の中央線の突起で、セリオンから鼻尖点まで延びている。
【0520】
矢状面:前(前面)から後(後面)への垂直面。正中矢状面とは、体を左右半分に分ける矢状面。
【0521】
セリオン:軟部組織上に位置する、前鼻縫合の領域を覆う最も凹んだ点。
【0522】
鼻中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は鼻中隔の一部を形成し、鼻腔の前部を隔てる。
【0523】
副鼻翼:鼻翼底の下縁にあるポイントで、ここで鼻翼底が上唇の皮膚と接合する。
【0524】
鼻下点:軟組織上に位置し、正中矢状面で鼻柱が上唇と結合する点。
【0525】
頤上点下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の中線における最凹点。
【0526】
頭蓋骨の生体構造
【0527】
前頭骨:前頭骨には、額と呼ばれる領域に対応する前額鱗という大きな垂直部分が含まれている。
【0528】
下顎骨:下顎骨は下顎を形成する。オトガイ隆起は顎を形成する下顎の骨突起である。
【0529】
上顎骨:上顎骨は、上側の顎を形成すると共に、下顎骨よりも上側および眼窩よりも下側に位置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側面を通って上方に突出しており、その側方境界の一部を形成している。
【0530】
鼻骨:鼻骨は、異なる個体でサイズおよび形状が異なる2つの小さい楕円形の骨である。鼻骨は、顔面の中央部および部に並んで配置されると共に、それらの接合によって鼻の「梁」を形成する。
【0531】
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨の交点で、目の間と鼻梁のすぐ上にあるくぼみの領域。
【0532】
後頭骨:後頭骨は頭蓋の後下部に位置される。頭蓋腔が脊柱管に通じる大後頭骨孔である楕円形の孔を含む。大後頭骨孔の後ろにある湾曲した板が後頭鱗である。
【0533】
眼窩:眼球を収容する頭蓋骨における骨腔。
【0534】
頭頂骨:頭頂骨は、接合されると頭蓋骨の頂部と側面を形成する骨である。
【0535】
側頭骨:側頭骨は頭蓋骨の底部と側面にあり、顔面のこめかみと呼ばれる部分を支えている。
【0536】
頬骨:顔は、顔の上部および側部に位置されて頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
【0537】
4.10.4.2呼吸器系の構造
横隔膜:胸腔の底部にまたがる筋肉のシート。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増大して、空気が肺内へ引き込まれる。
【0538】
喉頭:喉頭または発声器は、声帯を収容すると共に、咽頭の下部(下咽頭)を気管と接続する。
【0539】
肺:人間の呼吸器。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支および終末細気管支を含む。呼吸領域は呼吸細気管支、肺胞導管および肺胞を含む。
【0540】
鼻腔:鼻腔(nasal cavity)(または鼻腔(nasal fossa))は、顔面の中央の鼻の上後にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の両側には、鼻甲介(conchae)(単数形「concha」)または鼻甲介(turbinate)と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する鼻がある。
【0541】
咽頭:鼻腔の直下、食道と喉頭の上に位置する喉の一部。咽頭は通常、上咽頭(epipharynx)(咽頭の鼻の部分)、中咽頭(mesopharynx)(咽頭の口の部分)、下咽頭(hypopharynx)の3つの部分に分けられる。
【0542】
4.10.5患者インターフェース
窒息防止弁(AAV): フェールセーフな方法で大気中に開放することにより、患者が一酸化炭素CO2を再呼吸するリスクを軽減するマスクシステムのコンポーネントまたはサブアセンブリ。
【0543】
エルボ:エルボは、空気流れ軸を角度によって方向転換するように案内する構造の一例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超またはそれ未満であり得る。エルボは、ほぼ円形の断面を有し得る。別の形態において、エルボは、楕円または長方形の断面を有し得る。特定の形態において、エルボは、噛み合いコンポーネントに対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボは、噛み合いコンポーネントから例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合いコンポーネントへ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0544】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0545】
機能的なデッドスペース:
【0546】
ヘッドギア:ヘッドギアは、ヘッド用に設計される位置決めおよび安定化構造である。例えば、ヘッドギアは、患者の顔面上の呼吸治療のための位置に患者インターフェースを配置して保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補強材のセットを含んでもよい。いくつかのタイは、発泡体と織物との積層複合体のような、柔軟で可撓性かつ弾力性のある材料で形成される。
【0547】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0548】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0549】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、「シール」またはそれらの間に「シール」を達成するが、別個の「シール」要素自体を必要としないように構築および/または配置され得る。
【0550】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0551】
補剛材:補剛材は、別のコンポーネントの曲げ耐性を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造コンポーネントを意味するものとしてとられる。
【0552】
支柱:支柱は、別のコンポーネントの圧縮耐性を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造コンポーネントを意味するものとしてとられる。
【0553】
スイベル(名詞):コンポーネントのサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好ましくは独立して、好ましくは低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成されてもよい。送達チューブに関連して用いられる場合、コンポーネントのサブアセンブリは好ましくは、1対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気の流れの漏れはほとんどまたはまったくない可能性がある。
【0554】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0555】
換気部:(名詞):空気流れがマスクの内部または導管から周囲空気に流れることを可能にする構造で、呼息ガスを臨床的に効果的に洗い流す。例えば、臨床的に有効な押し出しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0556】
4.10.6構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造、例えばマスククッションまたはインペラを含み得る。三次元構造は、二次元表面によって境界付けられ得る。これらの表面は、関連した表面の配向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためにラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前側表面、後側表面、内部表面および外部表面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外)表面と、別々の非顔接触(例えば、底面または内)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0557】
3次元構造と表面の形状を記述しやすくするために、まず、点pで構造の表面を横切る断面を考える。
図3B~
図3Fを参照すると、表面上のp点の断面の例と、その結果得られる平面曲線を示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示している。pの外向き法線ベクトルは、表面から離れた方向を向いている。いくつかの例において、本発明者らは、表面上に直立している架空の小柄な人の観点から、その表面について説明する。
【0558】
4.10.6.1一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、1/pにおいて曲線に触れる円の半径)を有していると記述され得る。
【0559】
正の曲率:pでの曲線が外側の法線に向かって曲がる場合、その点での曲率は正と見なされる(仮想の小さな人が点pを離れると、上り坂を歩かなければならない)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線は、一般に凹曲線と呼ばれる。
【0560】
ゼロ曲率:pでの曲線が直線の場合、曲率はゼロと見なされる(仮想の小さな人が点pを離れると、上にも下にも行かず、水平に歩くことができる)。
図3Dを参照されたい。
【0561】
負の曲率:pでの曲線が外側の法線から離れる場合、その点でのその方向の曲率は負と見なされる(仮想の小さな人が点pを離れると、下り坂を歩かなければならない)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、一般に凸曲線と呼ばれる。
【0562】
4.10.6.2二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の法線断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む平面内の表面を切断し得、各断面は、異なる方向にとられ得る。各断面により、対応する曲率を有する平面曲線が生じる。その点における異なる曲率は、同じ符号または異なる符号を有し得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0563】
主曲率と方向:曲線の曲率が最大値と最小値をとる法線平面の方向は、主方向と呼ばれる。
図3B~
図3Fの例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pでの主曲率は、主方向の曲率である。
【0564】
表面の領域: 表面上の接続された一連の点。領域内の点のセットは、例えば曲率や符号など、類似した特性を持ち得る。
【0565】
鞍部領域:各点において主曲率が反対の符号(すなわち、一方は正であり、もう一方は負である)を有する領域(架空の人は、自分の向いている方向に応じて、上り坂または下り坂を歩き得る)。
【0566】
ドーム領域:各点において主曲率が同じ符号(例えば、両方とも正(「凹形ドーム」)、または両方とも負(「凸状ドーム」))を有する領域。
【0567】
円筒形領域:一方の主曲率はゼロ(または、例えば製作公差内でゼロ)であり、もう一方の主曲率は非ゼロである領域。
【0568】
平面領域:両方の主曲率がゼロ(または、例えば製作公差内でゼロ)である表面の領域。
【0569】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0570】
行路:本技術の特定の形態において、「行路」は、数学-位相幾何学上の意味での行路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味すると解釈される。本技術の特定の形態において、「行路」は、例えば表面上の一組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人にとって行路は、表面上でその人が歩くところであり、庭園内の小道(garden path)に類似する)。
【0571】
行路長:本技術の特定の形態において、「行路長」は、f(0)からf(1)への表面に沿った距離(すなわち、表面上の行路に沿った距離)を意味すると解釈される。表面上の2つの点間には1つよりも多くの行路があり得、このような行路は、異なる行路長を有し得る。(架空の人にとって行路長は、その人が表面上で行路に沿って歩くべき距離である)。
【0572】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面とは無関係である。平面領域上には、表面上の2つの点間の直線距離と同じ行路長を有する表面上の距離がある。非平面表面上には、2つの点間の直線距離と同じ行路長を有する行路は存在し得ない。(仮想の人には、直線距離は「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0573】
4.10.6.3空間曲線
空間曲線:平面曲線とは異なり、空間曲線は特定の平面上にあるとは限らない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上のある点におけるねじれは、その点における接線、法線、および従法線ベクトルを参照して特徴付けることができる。
【0574】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、点におけるベクトルは当該点からの方向と振幅を指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。仮想的な人物が曲線に沿って飛行し、ある特定の地点で車から落ちた場合、接線ベクトルの方向は彼女が進行する方向になる。
【0575】
単位法線ベクトル:仮想的な人物が曲線に沿って移動すると、この接線ベクトル自体も変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。接線ベクトルに垂直である。
【0576】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは接線ベクトルと主法線ベクトルに垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3P参照)または左手の法則(
図3O参照)によって決定することができる。
【0577】
接触平面:単位正接ベクトルと単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照する。
【0578】
空間曲線のねじれ:空間曲線のある点のねじれは、その点の従法線単位ベクトルの変化率の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照すると、T2>T1であるため、
図3のSのスパイラルの上コイル近傍のねじれ量は、
図3Sのスパイラルの下コイルのねじれ量よりも大きい
【0579】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0580】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0581】
4.10.6.4穴
表面は、一次元穴(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)を有し得る。穴を含む薄い構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0582】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を有し得る。例えば、膨張可能なタイヤは、タイヤの内部表面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の例において、導管は、(例えば、その入口またはその出口にある)一次元穴と、導管の内側表面によって境界付けられた二次元穴とを含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0583】
4.11他の注意事項
本特許文書の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権所有者は、誰かが本特許文書または本特許開示を複製しても、それが特許庁の特許ファイルまたは記録に載っていれば、異議を唱えることはないが、そうでなければ、何であれ全ての著作権を留保する。
【0584】
文脈上明確に別段の指示がなく、値の範囲が提供されている場合、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間に介在する値それぞれ、および記載したその範囲における任意の他の記載の値または介在する値は、本技術内に包含されることが理解される。介在する範囲内に独立して含まれ得る、これらの介在する範囲の上限および下限も、記載した範囲内で任意の具体的に除外されている限度を条件として、本技術内に包含される。記載した範囲が限度のうち一方または両方を含む場合、それらの含まれている制限のうち一方または両方を除外する範囲も、本技術に含まれる。
【0585】
さらに、値(単数または複数)が本技術の一部として実装されるものとして本明細書に記載されている場合、別段の記載がない限り、このような値は近似値であり得、このような値は、実際的な技術的実装形態において許容または要求され得る程度まで、任意の適切な有効桁に利用し得ることが理解される。
【0586】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等な任意の方法および材料も、本技術の実施または試験において用いることができるが、本明細書には、限られた数の例示的方法および材料が記載されている。
【0587】
特定の材料がコンポーネントの構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、反対の定めがない限り、本明細書に記載されている一切のコンポーネントは、製造可能なものとして理解されるため、合わせてまたは別々に製造され得る。
【0588】
本明細書中および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上明確に別段の指示がない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0589】
本明細書に記載されている全ての刊行物は、その刊行物の主題である方法および/または材料を開示および記載するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書中に論じられている刊行物は、本出願の出願日以前のその開示のためにのみ提供される。本明細書中のいずれも、本技術が従来の発明によりそのような刊行物に先行する権利を有しないという自白として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要があり得る。
【0590】
「含む(comprisesおよびcomprising)」という用語は、要素、コンポーネントまたはステップを非排他的な方式で指すものとして解釈されるべきであり、参照される要素、コンポーネントまたはステップが、明確に参照されていない他の要素、コンポーネントまたはステップと共に存在したり、利用されたり、組み合わせられたりし得ることを示す。
【0591】
詳細な説明で用いられる主題の表題は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、本開示または特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を制限するために使用されるべきではない。主題の表題は、特許請求の範囲または請求項の制限事項を解釈する際に用いられるべきではない。
【0592】
本明細書中の技術は、特定の例を参照して説明されてきたが、これらの例は、技術の原則および適用を例示したものに過ぎないことを理解すべきである。いくつかの事例において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示唆し得る。例えば、「第1」および「第2」という用語が用いられてもよいが、別に定めがない限り、これらの用語は、任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために利用され得る。さらに、方法論におけるプロセスステップは、順序で説明または例示されてもよいが、このような順序付けは必要とされない。当業者であれば、このような順序付けが変更されてもよく、かつ/またはその態様が同時にまたは同期的にさえ行われてもよいことを認識するであろう。
【0593】
それゆえ、本技術の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変更が、実例に対して行われてもよく、他の配置構成が考案されてもよいことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0594】
1000 患者
1100 同伴者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3110 穴
3150 クションモジュール
3200 プレナムチャンバ
3210 フレームセクション
3211 前部
3212 横方向突出接続部
3213 側部
3214 コネクタ
3220 入口
3230 凹部
3240 開口部
3300 位置決めおよび安定化構造
3310 ヘッドギアストラップ
3310a 起毛部
3312 ボタン穴
3320 導管部
3330 リジダイザアーム
3332 開口部
3350 チューブ
3350a 換気部向き面
3352 タブ
3354 チューブ部
3356 開口部
3358 コネクタ
3360 フレーム
3360a 換気部向き面
3362 開口部
3364 コネクタ
3364a スロット
3366 アーム
3400 換気構造
3400A 他の換気構造
3410 換気穴
3412 換気壁
3412a 横向き面
3414 回転部
3420 換気モジュール
3430 リブ
3500 デフレクタ
3512 側壁
3512a 換気部向き面
3512b 空気透過性部分
3512c 空気不透過性部分
3512d 開口部
3514 デフレクタ後壁
3516 デフレクタ上壁
3518 デフレクタ下壁
3520 ギャップ
3530 スペーサ
3600 接続ポート
3800 コネクタ
3810 突起部
3820 スロット
3900 ディフューザ
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 下部
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4100 ブロワハウジング
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力発生器
4142 ブロワ
4144 モータ
【国際調査報告】