(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】輸送中の二酸化炭素排出量を削減するのに適した不揮発性ビチューメン材料の固体形成物
(51)【国際特許分類】
C04B 26/26 20060101AFI20240306BHJP
C10C 3/14 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C04B26/26 Z
C10C3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572249
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 IB2022051093
(87)【国際公開番号】W WO2022168058
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523301673
【氏名又は名称】フィレルゴス グループ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャンネリア、ポール
【テーマコード(参考)】
4H058
【Fターム(参考)】
4H058DA12
4H058EA35
4H058GA19
4H058GA31
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 不揮発性ビチューメン材料からなる実質的に固体のレンガは、不規則形状の外面部によって画定された形状を有し、これにより、レンガをばら積みで輸送する際に、近傍のレンガとの表面接触が低減される。その全体形状は、3つの非平面表面部と、上面部と、表面部または点とを有する変形四面体であることが好ましい。前記上面部および底面部の双方は、いくつかの部分で構成された変形ドーム形状部であることが好ましい。前記非平面表面部は、平面、凹状、または凸状のいくつかの三角形状部分で構成された変形凹状表面部であることが好ましい。湾曲縁部は、前記非平面表面部を互いに接続し、いくつかの平面縁部分を含むことができる。前記ビチューメン材料は、添加剤を含んでもよく、前記レンガは、さらに、当該レンガ全体に分布する骨格を含むことができる。前記骨格は、カスタマイズ可能な繊維群のマトリクス、枠組み、またはその他の構造であってもよく、エアポケットまたは気泡などの浮力要素を含んでいてもよい。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に固体のレンガであって、
a)不揮発性ビチューメン材料を有するレンガ本体部と、
b)前記レンガ本体部を画定する不規則形状の外面部であって、
i)近傍に配置された他のレンガとの表面接触を実質的に低減するように構成された複数の非平面表面部と、
ii)前記複数の非平面表面部に一体的に接続された非平面上面部と
を有する、前記不規則形状の外面部と
を有する、レンガ。
【請求項2】
請求項1記載のレンガにおいて、前記不規則形状の外面部は、さらに、前記複数の非平面表面部の各々と一体的に接続された非平面底面部を有するものである、レンガ。
【請求項3】
請求項2記載のレンガにおいて、前記不規則形状の外面部は、変形四面体形状を画定するものである、レンガ。
【請求項4】
請求項3記載のレンガにおいて、前記複数の非平面表面部の各々は、隣接する面に90度未満の角度で接続し、前記非平面上面部に90度未満の角度で接続し、かつ前記底面部に90度より大きい角度で接続するものである、レンガ。
【請求項5】
請求項4記載のレンガにおいて、前記非平面上面部は、一体的に接続されて変形凸状上面を形成する複数の上面部分を有するものである、レンガ。
【請求項6】
請求項4記載のレンガにおいて、前記非平面底面部は、一体的に接続されて変形凸状底面を形成する複数の底面部分を有するものである、レンガ。
【請求項7】
請求項4記載のレンガにおいて、前記複数の非平面表面部の各々は、一体的に接続されて変形凹状表面形成する、複数の実質的に三角形状の部分を有するものである、レンガ。
【請求項8】
請求項4記載のレンガにおいて、前記レンガ本体部を画定する前記不規則形状の外面部は、さらに、複数の湾曲縁部を有し、
各湾曲縁部は、2つの隣接する非平面表面部の間に配置されて当該2つの隣接する非平面表面部を接続するものである、レンガ。
【請求項9】
請求項1記載のレンガにおいて、さらに、前記レンガ本体部全体に配置された浮力要素を有するものである、レンガ。
【請求項10】
請求項1記載のレンガにおいて、さらに、前記レンガ本体部全体に配置された骨格を有するものである、レンガ。
【請求項11】
請求項10記載のレンガにおいて、前記骨格は、ポリマー繊維群からなる3次元の枠組みと、前記ポリマー繊維群によって支持される複数の浮力要素とを有し、各浮力要素は、封入空気から構成されるものである、レンガ。
【請求項12】
請求項10記載のレンガにおいて、前記骨格は、複数の浮力要素を画定するポリマーマトリクスを有し、各浮力要素は、エアポケットから構成されるものである、レンガ。
【請求項13】
不揮発性ビチューメン材料からなる実質的に固体のレンガであって、このレンガは、近傍に配置された他のレンガとの表面接触を実質的に低減するように構成された不規則形状の外面部によって画定されるレンガ本体部を有し、前記外面部は、
a)複数の非平面表面部であって、各非平面表面部は、
i)第1、第2、および第3の縁部によって画定される外周を有する実質的に平面な表面を有する第1の表面部分と、
ii)第1、第2、および第3の縁部によって画定される外周を有する実質的に凹状の表面を有する第2の表面部分であって、当該第2の表面部分の前記第2の縁部は前記第1の表面部分の前記第2の縁部に一体的に接続されるものである、前記第2の表面部分と、
iii)第1、第2、および第3の縁部によって画定される外周を有する実質的に凸状の表面を有する第3の表面部分であって、当該第3の表面部分の前記第3の縁部は前記第1の表面部分の前記第3の縁部に一体的に接続されるものである、前記第2の表面部分と、
iv)第1、第2、および第3の縁部によって画定される外周を有する実質的に平面な表面を有する第4の表面部分であって、当該第4の表面部分の前記第3の縁部は前記第2の表面部分の前記第3の縁部に一体的に接続され、当該第4の表面部分の前記第2の縁部は前記第3の表面部分の前記第2の縁部に一体的に接続されるものである、前記第4の表面部分と、
v)各非平面表面部の中心部の近傍に位置する中心点であって、前記第1、第2、第3、および第4の表面部分の各々は、当該中心点に一体的に接続されるものである、前記中心点と
を有する、前記複数の非平面表面部と、
b)前記複数の非平面表面部の各々の前記第1の表面部分の前記第1の縁部に90度未満の角度で一体的に接続された上面部であって、一体的に接続された複数の上面部分を有し、当該上面部分は全体として実質的にドーム状形状の表面を形成するものである、前記上面部と、
c)前記複数の非平面表面部の各々の前記第4の表面部分の前記第1の縁部に90度より大きい角度で一体的に接続された底面部であって、一体的に接続された複数の底面部分を有し、当該底面部分は全体として実質的にドーム状形状の表面を形成するものである、前記底面部と、
d)複数の湾曲縁部であって、各湾曲縁部は、上端部において前記上面部に一体的に接続され、下端部において前記底面部に一体的に接続されており、前記複数の非平面表面部の各々の前記第2の表面部分の前記第1の縁部と、隣接する非平面表面部の前記第3の表面部分の前記第1の縁部との間に配置され、前記第2の表面部分の前記第1の縁部を前記隣接する非平面表面部の前記第3の表面部分の前記第1の縁部に一体的に接続するものである、前記湾曲縁部と
を有する、前記外面部を有する、レンガ。
【請求項14】
請求項13記載のレンガにおいて、さらに、前記レンガ本体部全体に配置されたポリマー骨格を有するものである、レンガ。
【請求項15】
請求項14記載のレンガにおいて、さらに、前記ポリマー骨格に沿って等間隔で配置された複数の浮力要素を有するものである、レンガ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月8日付で出願した同時係属米国特許仮出願第63/146,812号および同時係属米国特許出願第17/665,520号に対して利益を主張するものであり、各出願はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ビチューメン、ポリマー改質ビチューメン、重質原油、超重質原油、アスファルト、ポリマー改質アスファルトを含むビチューメン材料に関し、より具体的には、ビチューメン材料の固体形成物、および希釈剤を添加せずにビチューメン材料を調製、貯蔵、および輸送する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
世界的な原油需要は日量1億バレル近くにまで拡大し、他の炭化水素資源や代替エネルギー資源の開発の必要性が高まっている。注目される2つの資源は重質原油およびビチューメンであり、これらは世界全体の石油埋蔵量の3分の2以上を占めている。重質原油はAPI比重(アメリカ石油協会の比重)が20度未満の原油であり、ビチューメンはAPI比重が10度未満の、現在使用されている原油の中で最も重質の原油である。重質原油およびビチューメンは、粘度および密度が高いため、従来の軽油よりも生産、輸送、および精製が難しい。
【0004】
重質原油およびビチューメンを回収・処理する現在の方法は進化し続けており、特にベネズエラおよびカナダの広大なオイルサンド中の原油の利用が注目されている。世界第3位の石油輸出国であるカナダでは、確認埋蔵量の97%がオイルサンド地域にある。ビチューメンは、採掘法、若しくは熱攻法、溶剤置換法、化学攻法、および微生物法などの原油増進回収技術を利用する方法のいずれかによりオイルサンドから抽出される。特に熱攻法技術は、広く利用されており、水蒸気圧入法、周期的水蒸気刺激法、スチーム補助重力排油法、原位置燃焼法、および完全空気圧入法(toe-to-heel air injection:THAI)を含む。カナダのオイルサンド埋蔵量の約80%は、増進回収技術によって入手可能であり、特にスチーム補助重力排油法は、最も広く利用されている回収方法である。
【0005】
ビチューメンの抽出後、パイプライン輸送、または製油所で原料として使用するためには、ビチューメンの等級を向上させるか、若しくは希釈する必要がある。ビチューメンの等級を向上させることにより、ディーゼルおよびガソリンなどの消費者製品として精製および販売可能な合成原油(SCO)に転換することができる。通常、等級を向上させることにより、ビチューメンの重分子がより軽量かつ低粘度の分子に分解される。また、ビチューメンの一部は、精製および蒸留によって窒素、硫黄、微量金属などの不要な不純物を除去し、等級をさらに向上させることで、製油所の原料として使用可能となる。代替的に、ビチューメンは、従来の軽質原油、または天然ガス液体の混合物のいずれかを利用して希釈することもできる。希釈またはカットバックされたビチューメンは、希釈ビチューメン(dilbit)と呼ばれることがあり、従来の原油の粘度を有し、また、パイプラインを通じて圧送することができる。ビチューメンの希釈に使用される希釈剤は、生産される希釈ビチューメンの特定の種類によって異なるが、最も広く使用されている希釈剤は、天然ガス生産によるコンデンセート、ナフサ、灯油、および軽質原油を含む。希釈剤の多くは、人体への発癌性物質として知られるベンゼンを含む混合物である。
【0006】
ビチューメンを希釈剤で希釈することは、ビチューメンをパイプラインで輸送するために必要であり、一般に鉄道輸送に適している。例えば、カナダおよびベネズエラで生産される重質原油およびビチューメンの95%以上は、油田から製油所までパイプラインを通じて輸送される。希釈ビチューメンの混合比率は、ビチューメンおよび希釈剤の特性、パイプラインの仕様、操業条件、製油所の要件に応じて、体積比で25%~55%の希釈剤で構成することができる。希釈ビチューメンの目的地への到着後、希釈剤は蒸留によって除去し、再利用することができる。希釈剤を除去しない場合、希釈ビチューメン全体を精製することも可能であるが、炭化水素が粘度範囲の両極端にあるため、一般的な原油よりも処理が難しい。
【0007】
ビチューメンを希釈剤で希釈することで、パイプラインを通じてより容易に輸送できるようになる一方で、希釈ビチューメンは、いくつかの危険性および欠点を伴う。例えば、希釈ビチューメンの生産は、過大なコストおよび大量の二酸化炭素排出量を伴う。希釈ビチューメンの重大な危険性は、パイプラインの破裂と油流出の2点にあり、そのため、ニーズが高いのにもかかわらず、海外への希釈ビチューメンの輸送は敬遠されてきた。希釈ビチューメンを輸送するパイプラインまたはタンカーに破裂が生じた場合、不安定な希釈ビチューメンは一時的に水に浮遊するが、形質成分が蒸発するにつれて重質成分が沈降する。その結果、浄化はより困難となり、魚やその他の動物の繁殖サイクルへの影響が懸念される。希釈ビチューメンが浮遊し続ける海洋環境では、ラッコ、ヒゲクジラ、魚胚、およびサケの稚魚など、さまざまな海洋動物に有害である。さらに、希釈ビチューメンの蒸発成分は大気環境に影響を与える。例えば、希釈ビチューメンを輸送するパイプラインが破裂してミシガン州のカラマズー川に流出した際、大気中においてベンゼン濃度の上昇が計測されたため、地元保健局により周辺住民に自主避難勧告が発令された。
【0008】
ビチューメンから希釈剤が除去された後、特定の用途では、ビチューメンの機能を向上させるために添加剤を追加する必要がある。ビチューメンは通常、低温環境では脆性であり、温暖環境では容易に軟化する。ビチューメンの強度、凝集性、および疲労と変形に対する耐性を向上させるために、新ポリマーまたは再生ポリマーなどのアスファルト結合剤と混合されてポリマー改質アスファルトが生産される。ポリマー改質アスファルトは通常、道路舗装に使用され、特に、激しい交通量および過酷な気象条件に耐性を有することを前提とした道路舗装に使用される。また、この材料は、住宅の屋根の用途において封止剤として利用される。
【0009】
希釈ビチューメンに関連する欠点および危険性を考慮すると、重質原油、超重質原油、ビチューメン、アスファルト、ポリマー改質アスファルトを含むビチューメン材料、およびポリマー改質ビチューメン材料を希釈剤を使用せずに調製および輸送することが望ましい。さらに、パイプラインの破裂に関連する危険性を回避するために、さらに、パイプラインの破裂に関連する危険性を回避するために、鉄道、トラック、輸送ラインを介して輸送するためのビチューメン材料およびポリマー改質ビチューメン材料を調製することが望ましい。また、水域環境に流出した場合に浮力が増加するような態様で、輸送用ビチューメン材料およびポリマー改質ビチューメン材料を調製することが望ましく、これにより、湖、河川、海洋に流出した場合に清掃が容易となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
不揮発性ビチューメン材料を不規則形状の固体として形成することにより、現在のビチューメン材料の輸送に伴う環境への有害な影響を低減するための解決策が提供される。ビチューメン材料を調整、輸送、貯蔵、および受け取る方法は、まず、アスファルト、ポリマー改質アスファルト、ビチューメン、油、その他の高分子量炭化水素を含むビチューメン材料、および室温では安定性があるが、世界中の受取場所への輸送の際に、ビチューメンと同様の問題に直面する、熱可塑性および粘弾性特性を有する非ビチューメン材料またはポリマーを受け取るまたは入手する工程を含む。ビチューメン材料は、固体状態、半固体状態、または液状で入手または受け取りが可能であるが、液状または適度に粘性のある状態が好ましく、ビチューメン材料を抽出するために使用された希釈剤はすべて、入手または受け取りの前に除去される。次に、ビチューメン材料は、不規則形状を有する固体形態に成形することで、輸送用に調整することができる。ビチューメン材料は、成形の直前に、まず成形用に調整される。ビチューメン材料が成形に適した粘度に達する所定の成形温度まで加熱され、任意選択的にポリマーまたはその他の添加剤が混合されることが好ましい。調整後、ビチューメン材料は次に、1若しくはそれ以上の型に導入され、各型は不規則形状の固体またはレンガを成形するように構成されている。適切な粘度を有するビチューメン材料は、カスタマイズ可能なポリマー骨格でさらに構成された型に導入されることが好ましく、このポリマー骨格は任意選択的に、封入空気またはその他の物質などの浮力要素を有するように構成されることが好ましく、それにより、浮揚性かつポリマーで増強された固体またはレンガが生成される。型の充填後、型によって画定された不規則形状を有する複数のレンガが形成される。この不規則形状は、容器に回収された際に隣接するレンガ間の表面接触を低減するように構成されており、複数の非平面表面部により画定される。成形されたレンガは、変形四面体に類似する形状を有することが好ましい。型および型によって作製された固体レンガは、業界のニーズに応じてサイズを調整可能である。型からレンガを取り出した後、任意選択的に摩擦を増加させる被膜を施すことができる。
【0011】
コンベアまたはその他の製造システム上の複数のステーションで組み立てられて移動する、一連のまたは一群の複数の部分からなる型を使用して、一度に複数のレンガを成形することができる。ステーションは、例えば、調整、充填、封止、固化、型分解、およびレンガ除去のためのステーションを含む。このようなシステムでは、ビチューメン材料が適切な粘度を有するように調整された後、この粘度を有するビチューメン材料は、充填ステーションにおいて、格納式導管による送達システムを有する容器に移送および収容され、これにより、粘度を有するビチューメン材料は、導管が引き込まれるにつれて、型の底部から上部まで漸進的に導入される。封止ステーションでは、さらに、格納式導管の接続点にキャップが供給されて適用される。固化ステーションにおいて、ビチューメン材料を固化させることができる任意の工業システムにより、型およびビチューメン材料が固化される。レンガは固化後に、型部分を分解または分離するステーションに移動される。例えば、ステーションは、型のキャップと上部を取り外してレンガを露出させる真空システムまたは機械的システムを含んでもよい。レンガが露出された後、レンガ除去ステーションにおいてレンガは、手動、機械的、またはレンガを手動、機械的、または重力補助により除去することができる。型枠の洗浄や交換、レンガへの被覆およびその他の処理を行うステーションを追加することもできる。また、複数のステーションを必要に応じて組み合わせること、またはさらにサブステーションに分割することも可能である。
【0012】
複数のレンガは、形成後に輸送のために回収され、運送業者に引き渡されるか、若しくは運送業者によって引き取られる。運送業者は、レンガの所持後、レンガを鉄道、トラック、空輸、または船舶で、販売業者、アスファルトの末端利用者、またはビチューメン材料のさらなる処理を計画している製油所と提携する受取場所などの受取場所に輸送する。レンガは、受動的な環境制御システムまたは特徴を有する専用空力式輸送室などの格納形態で輸送されることが好ましい。例えば、輸送室は、個々のレンガの全側面を含め、レンガ間およびレンガ全体に大気を流入および循環させることを可能にする複数の通気口を含むことができる。代替的に、輸送室は、周囲の水を取り込み、その水をレンガ上およびレンガ間に散布する配水システムを含むことができる。輸送中レンガは、水、空気、冷気、またはレンガを固体形態に維持するのに役立つその他の物質に連続的または断続的に露出および実質的に包囲されることが好ましい。また、レンガを保持する輸送室内の理想的な環境が、輸送室を装載する車両が移動する際に自然に生じる空気、水、またはその他の物質の流れのみによって維持されることがより好ましく、これによりエネルギーの必要性が最小限に抑えられる。希釈剤を使用せずにビチューメン材料を輸送すること、および現行のように、ビチューメン材料を加熱して液体として車両で輸送する必要性がないことから生じる利点に加えて、低排出ガス車両またはゼロ排出ガス車両を使用して受動的環境制御システムを備えた輸送コンテナを装載することで、有害な二酸化炭素排出量をさらに削減または排除することができる。
【0013】
レンガが受取場所に到着した後、受取人は、レンガを輸送室に保管するか、若しくは能動的または受動的な環境制御の継続を可能とする受取室を含む、受取構造体に移送することができる。例えば、レンガは、水、空気、または環境制御に役立つその他の物質がレンガの周囲またはレンガ間を循環することを可能にする、大型浮体式貯蔵室または重力式貯蔵室にレンガとして貯蔵することができる。代替的に、レンガを液状または元の状態に戻るまで再加熱することもできる。任意選択的にレンガは、熱伝導型の着脱自在な凹状受け蓋を有する特殊貯蔵室に移送することができる。ビチューメン材料がアスファルトまたはポリマー改質アスファルトである場合など、顧客または受取人がレンガを固体形態で貯蔵することを希望する場合は、着脱自在な受け蓋がない状態で特殊貯蔵容器を使用することができる。また、ビチューメン材料がビチューメンまたはポリマー改質ビチューメンである場合など、顧客または受取人がレンガの再液化を希望する場合は、特殊貯蔵容器は着脱自在な受け蓋とともに使用されるが、当該受け蓋は、当該受け蓋上に回収されたレンガを溶融するための放射加熱システムを備えるように構成されることが好ましい。受け蓋に配置された排水孔などの送達システムは、蓋の上部から下方の貯蔵室に溶融ビチューメン材料を流下させ、この貯蔵室において、骨格または前工程で導入された添加剤を除去または分配させるためのさらなる処理を溶融ビチューメン材料に施すことができる。例えば、溶融したポリマーの骨格は、受入場所でスキミング除去するか、若しくはビチューメン材料にさらに混合することができる。最終的に、受取人は必要に応じてビチューメン材料をさらに処理し、任意選択的に本明細書で説明するシステムおよび方法を使用してビチューメン材料をレンガに再成形することができる。ビチューメン材料を不規則形状の固体レンガとして輸送することは、ビチューメン材料を1つの場所から別の場所に費用対効果の高い態様で移動させるために、連続的な熱、添加希釈剤、またはその双方が必要であった従来の方法に比べて、いくつかの利点がある。希釈剤およびその他の有害な添加剤を実質的に除去することで、得られるビチューメン材料は不揮発性であり、引火点および発火点が高いため燃えにくい。その結果、ビチューメン材料を車両によってより容易に輸送することが可能となり、パイプラインへの依存が低減される。また、輸送中にビチューメン材料が流出した場合でも、環境への脅威が低減または排除される。ビチューメン材料からなるレンガを、カスタマイズされた骨格またはその他の浮力要素でさらに強化することで、海洋環境に流出してもレンガが沈む可能性が低くなり、ポリマーやその他の添加剤を過剰量ではなく好ましい量で顧客に送達することができる。ビチューメン材料を運送する際の加熱の必要性を排除することで、化石燃料への依存が低減され、従来の車両や輸送コンテナが、受動的な環境制御システムや機能を組み込んだ輸送室を装載する低排出ガス車両またはゼロ排出ガス車両に置き換わった場合、二酸化炭素排出量が大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態による、固体形態の輸送用ビチューメン材料の製造工程を表すフローチャートである。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態による、固体形態のビチューメン材料を受取り対象に輸送する工程を表すフローチャートである。
【
図2】
図2は、公知の方法に従ってビチューメン材料を抽出する工程、および本発明の実施形態に従って、ビチューメン材料を固体形態で輸送するために調製する工程を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガの第1の側面図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の好ましい実施形態による、輪郭線でマッピングされたレンガの第1の側面図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の代替実施形態による、レンガの第1の側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガの第2の側面図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の好ましい実施形態による、輪郭線でマッピングされたレンガの第2の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガの上面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の好ましい実施形態による、輪郭線でマッピングされたレンガの上面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガの底面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の好ましい実施形態による、輪郭線でマッピングされたレンガの底面図である。
【
図7】
図7は、本発明の好ましい実施形態による、ビチューメン材料全体に分布する骨格を示すレンガの第1の側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の好ましい実施形態による、ビチューメン材料全体に分布する骨格を示すレンガの第2の側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の好ましい実施形態による、ビチューメン材料全体に分布する骨格を示すレンガの上面図である。
【
図10】
図10は、本発明の好ましい実施形態による、ビチューメン材料全体に分布する骨格を示すレンガの第1の斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の好ましい実施形態による、ビチューメン材料全体に分布する骨格を示すレンガの第2の斜視図である。
【
図12】
図12は、好ましい寸法が付記された本発明のレンガの上面図である。
【
図13】
図13は、好ましい寸法が付記された本発明のレンガの第1の側面図である。
【
図14】
図14は、好ましい寸法が付記された本発明のレンガの第2の側面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態による、繊維群から形成された骨格の斜視図である。
【
図18A】
図18Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガの陸上および海上による輸送方法を示すフローチャートである。
【
図18B】
図18Bは、本発明の好ましい実施形態による、輸送経路を示すフローチャートである。
【
図19A】
図19Aは、本発明の好ましい実施形態による、低排出ガス鉄道輸送システムおよび専用空力式輸送室を図示する。
【
図19B】
図19Bは、本発明の第2の実施形態による、貨物領域用輸送室を有するばら積み貨物船の斜視図である。
【
図19C】
図19Cは、本発明の第3の実施形態による、通気口を有する輸送室の斜視図である。
【
図20A】
図20Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガを収容するための専用貯蔵室の上面図である。
【
図20D】
図20Dは、
図20Aの専用貯蔵室のための放射加熱システムの好ましい第2の実施形態における要素の概略図である。
【
図21A】
図21Aは、本発明の好ましい実施形態による、レンガを調製するのに有用な例示的な型の斜視図である。
【
図22】
図22は、
図21Aに示され、かつ本発明の好ましい実施形態による、例示的な型を用いてレンガを成形する工程を示す。
【
図23A-23B】
図23Aは、本発明の好ましい実施形態による、コンベア上に配置された複数のレンガの上面図である。
図23Bは、
図23Aに示すコンベア上の複数のレンガの端面図である。
【
図24A】
図24Aは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための充填ステーションにおいて、ビチューメン材料の型への充填が開始された時点を示す。
【
図24B】
図24Bは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための充填ステーションにおいて、ビチューメン材料が型の約半分まで充填された時点を示す。
【
図24C】
図24Cは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための充填ステーションにおいて、ビチューメン材料が型の略全体に充填された時点を示す。
【
図24D】
図24Dは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための充填ステーションにおいて、ビチューメン材料が型に充填され、格納式導管が型から取り除かれた時点を示す。
【
図25A】
図25Aは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための封止ステーション(capping station)において、キャップが適用される前の時点を示す。
【
図25B】
図25Bは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための封止ステーションにおいて、キャップが適用される過程を示す。
【
図25C】
図25Cは、
図22に示すレンガを成形する例示的な工程ための封止ステーションにおいて、キャップが適用された後の時点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aおよび
図1Bは、本明細書において不希釈ビット(neatbit)または不揮発性ビチューメン材料105とも言う、希釈剤を含まないビチューメン材料105を固化し、販売業者、末端利用者、および製油所が所有する受取場所などの受取場所905に輸送、貯蔵、および当該受取場所で受け取る、工程100全体の好ましい実施形態を示す。「ビチューメン材料」、「重質油」、「超重質原油」、「重質原油」、「ビチューメン」、「アスファルト」、「ビチューメン材料105」および「複数のビチューメン材料105」という用語は、本明細書で単独で、または任意の組み合わせで使用される場合、米国地質調査所(USGS)のファクトシート70-03に記載されている重質油およびビチューメンの定義に該当する任意の種類の石油、およびその用途を包含し、また、重質原油、超重質原油、ビチューメン、およびアスファルトを含むものと理解される。さらに、本発明の目的上、他の高分子量炭化水素とともに、熱可塑性特性および粘弾性特性を有し、室温において安定性があるが、ビチューメンと同様の輸送問題に直面している、その他の非ビチューメン性材料またはポリマーも含む。さらに、本明細書においてレンガ300という場合、上記で定義されたビチューメン材料の任意の材料から形成されたレンガを含み、また、本明細書においてビチューメン材料105が清浄、不希釈、または不揮発性であるという場合、希釈剤を含まないビチューメン材料または実質的に希釈剤が低減されたビチューメン材料をへの言及を含む。例えば、レンガ300は、ビチューメン、ポリマー改質ビチューメン、アスファルト、またはポリマー改質アスファルトで構成されてもよく、若しくは、顧客が要請する特別注文の混合物からできていてもよい。
【0016】
ビチューメン材料105は、本発明に従って、固化、輸送、貯蔵、および受け取られる前に、
図2に示すように、オイルサンド107から抽出、若しくは他の供給源または場所から調達することができる。例えば、ビチューメン材料は、採掘、スチーム補助重力排油法(SAGD:steam assisted gravity drainage)、溶剤・スチーム補助重力排油法(SA-SAGD:solvent assisted steam assisted gravity drainage)、および周期的拡張溶剤・スチーム補助重力排油法(ES-SAGD:cyclic expanding-solvent steam assisted gravity drainage)によってオイルサンド107から抽出することができる。ビチューメン材料105を抽出するために希釈剤が使用された場合、希釈剤およびその他の望ましくない材料はビチューメン材料105から除去されるべきであり、任意選択的に希釈剤は再利用することができる。次に、本発明に従って加工および成形するために、ビチューメン材料105を、固体、半固体、または好ましくは液体として製造業者に提供することができる。
【0017】
本明細書で使用される用語「固体」および「固化した」ビチューメン材料105は、実質的に固体塊のように挙動する形態をとること、およびそのような形態が生じることを意味し、そのような形態は、相変化していないにもかかわらず流動に抵抗し、構造的完全性を示すものを含む。
図1に示すように、ビチューメン材料105は、まず、受け取りまたは入手110され、次に成形のための調製が行われる115。成形のための調整115は、ビチューメン材料105を、溶融する、若しくは液状または適切な粘性状態205となる温度まで加熱する工程120と、次に任意選択的に、このビチューメン材料105をポリマーなどの添加剤106と混合125し、浮力を増加、若しくは結合剤として作用させる工程とを含む。次に、液状または適切な粘性状態205のビチューメン材料105を1若しくはそれ以上の型305に導入130する。当該型305の各々は、その内容物を、所与の表面部分において類似寸法がほとんどまたは全くないように構成された不規則形状の固体に成形するように構成されており、それにより、隣接するレンガ間の表面間接触が低減され、レンガが1つの場所から別の場所に輸送される際にレンガの周囲の冷却効率が最大化される。各型は骨格400を備えるように構成されていることが好ましく、この骨格400はより好ましくはポリマー製であり、追加的または一体的な浮力要素420を支持するようにさらに構成され、型305全体にわたって配置される。骨格400および浮力要素420の双方は、顧客のニーズに応じてカスタマイズすることができる。液状または適切な粘度を有するビチューメン材料205が型305に充填された後、型305内のビチューメン材料は、レンガ300が形成されるまで固化140される。各レンガ300は、変形四面体に類似した不規則形状の固体であることが好ましい。型305および型によって成形されるレンガ300のサイズは、業界のニーズに応じて調整可能である。型は必要に応じて分解され、レンガ300は、手動、機械的に、または重力により、型305から取り出される150。次に、レンガ300は、最終的な輸送のために回収160され、運送業者600が所持することができるまで、貯蔵室908、909、910に固体形態で一時的に貯蔵されることが好ましい。任意選択的に、レンガ300の回収前または回収後に、摩擦増加被膜302をレンガ300の表面に塗布155することができる。骨格400、浮力要素420、レンガ300、型305、および摩擦増加被膜302については後述する。
【0018】
所望の数のレンガ300が成形および回収された後、運送業者600は、複数のレンガ300を所持165し、好ましくは環境制御システム615を含む輸送室610またはその他の格納形態で輸送170する。例えば、輸送室610は、冷蔵システムなどによって能動的に、または通気口や色および材料の選択などによって受動的に、空気または水を個々のレンガ300の側面を通ってその周囲を流動する180ように、導入することができる。運送業者600は、輸送室610および複数のレンガ300を、鉄道、道路、航空、海上、または例えば共同一貫輸送または複合輸送などの任意の組み合わせによって、中間地点904または顧客の受取場所905に輸送する。運送業者600は、貨物または貨物を輸送可能な任意の車両を使用することができ、また、本明細書で使用する「車両」および「複数の車両」という用語は、列車、トラック、飛行機、小型トラック、トレーラー、タンカー、貨物船、ドローン、トロリー、地下鉄列車、および自律型貨物船、貨物列車、貨物飛行機、およびその他の無人運転システムを含む、広く利用されるとともに、新規の輸送および物流システムのすべてを含む。さらに、「車両」および「複数の車両」は、専用または一体型の輸送室610を備える特殊車両を含む。運送業者600は、輸送室610を運ぶために低排出ガスまたはゼロ排出ガスの車両を利用することが好ましく、それにより、二酸化炭素排出量がさらに削減または排除される。中間地点904は通常、レンガ300を鉄道と船舶の双方で移送する場合など、レンガ300を1つ車両から別の車両に移動する必要がある場所である。
【0019】
受取場所905において、レンガ300は、レンガ300として直ちに新しい運送業者600に移送する、または、新たな運送業者600によって所持可能となるでレンガ300として中間貯蔵室に保管する、または、顧客195、197、199によって所持可能となるでレンガ300として若しくは液状で貯蔵室内に保管することができる。受取場所905は、レンガ300を受け取ることができる任意の場所を含み、仲介業者185、最終的に末端利用者199にレンガを販売する販売業者195、例えばアスファルトのレンガ305を受け取ることを所望する末端利用者199、または、例えば、ビチューメンを再液化してさらに処理し、次いで末端利用者199に輸送するためにレンガ300に成形することを所望する製油所197関連する場所を含む。輸送170中、環境制御システム615によって、輸送室610内のレンガ300間を空気、水、またはその他の物質を連続的または断続的に循環させることが好ましく、それにより、以下に説明するように、レンガ300が固体形態に維持される。
【0020】
レンガ300は、中間地点904または受取場所905に到達した際、使用中の輸送室610内に貯蔵するか、好ましくは能動的または受動的環境制御システム615を備えるように構成された受取室などの受取構造体907に移送190することができ、また、環境制御システム615は、受取室全体に空気、水、または他の物質を流動させることができるシステムを含み、それによって受取室内の内容物のための適切な環境が維持される。レンガ300は、港湾にある場合は大型浮体式貯蔵室909、陸上にある場合は重力式貯蔵室908である受入室に貯蔵されることが好ましく、貯蔵室908、909の双方は、温度または気候を維持する物質がレンガ300の間を循環することを可能にする。代替的に、受取場所905が特に、レンガ300が液状または元の状態に戻るまで再加熱される可能性のある製油所と提携している場合、レンガ300は、特殊貯蔵室910に移送可能である。特殊貯蔵室910により、レンガ300を固体形態で貯蔵すること、若しくはレンガ300を熱伝導蓋部で再加熱してビチューメン材料105を液状または好適な粘性状態に戻すことを容易にする。
【0021】
レンガ300は、販売業者195または中間地点904に配送された場合、末端利用者199または別の運送業者600に配送されるまで、固体形態で貯蔵195される。レンガ300がアスファルトの末端利用者などの末端利用者199に販売された場合、ビチューメン材料105は、即時利用のために、液体化されるか、若しくはレンガ300として保管することができる。代替的に、レンガ300が、ビチューメンを必要とする製油所197、または末端利用者199に輸送する前にビチューメン材料105をさらに処理することを予定している顧客によって受け取られた場合、レンガ300は、固体形態または液体形態で貯蔵197aされ、次に任意選択的に、液状または好適な粘性状態に戻す197bことが可能である。液化ビチューメン材料205はまた、さらに処理197cすることができる。例えば、任意選択的に、ビチューメン材料105から添加剤を除去すること、若しくはビチューメン材料105に添加剤をさらに混合することが可能であり、任意選択的に、液状または適切な粘度を有するビチューメン材料205をレンガ300に再成形してさらに輸送する前に、追加の添加材または処理を導入または適用することができる。
【0022】
レンガの形成
図21A~
図25Cは、液状または他の適切な粘度を有するビチューメン材料205から不規則形状の固体ビチューメン材料からなるレンガ300を形成するための例示的な型および工程を示す。固体、半固体、または液体形態のビチューメン材料が受け取られた後、ビチューメン材料105は、レンガ300に成形される直前まで貯蔵することができる。例えば24時間以内など、成形が近日中に行われる場合、ビチューメン材料105は、まず調整ステーション117で成形のために調整され、当該ステーションにおいて液化する温度に達するまで、または成形に適した粘度になるまで加熱される。ビチューメン材料105は、少なくとも、若しくは約150℃まで加熱されることが好ましい。ビチューメンは所定の温度範囲にわたって徐々に軟化するため、成形に適した温度は、軟化または溶融されるビチューメン材料105の組成に応じて変化し得る。さらに、ビチューメン材料105が所望の粘度に達した後、調製ステーション117で任意の添加剤106をビチューメン材料105に混合することができる。次に、ビチューメン材料105は、型130内で直ちに成形されてもよいし、若しくは後日精製および成形のために液状または適切な粘性状態で貯蔵されてもよい。
【0023】
固体レンガ300を形成する準備が整った際、適切な粘度を有するビチューメン材料205は、不規則形状の固体またはレンガ300に成形するための型305に導入される。
図21A~
図21Eは、本明細書に記載および
図3A~
図6Bに示す好ましい実施形態による、不規則な固体形状のレンガ300を成形するために有用な例示的な型305を示す。各型305は、形成される所望の不規則形状の固体のサイズ、形状、および体積に対応する空洞部810を有するように構成されることが好ましい。各型305は、骨格400を備えるように構成されることがさらに好ましく、この骨格400は、各型305全体に配置または張設された浮力要素420を支持するポリマー繊維群からなる3次元格子またはグリッドであることがさらに好ましい。骨格400については以下でさらに説明し、また
図7~
図11に示す。
【0024】
各型305は、成形されるレンガ300の大部分に対応する第1の空洞部810aを画定する第1の型部分800、および成形されるレンガ300の上部に対応する第2の空洞部810bを画定する第2の型部分805の2つの部分からなることが好ましい。第1の型部分800は、上面800aと、下面800bと、上面800aから下面800bまで延長する1若しくはそれ以上の壁部800cとを有する。上面800a、下面800b、および壁部800cはともに、中実な第1の型部分800の境界を包囲、若しくは画定することが好ましい。さらに、第1の型部分800は、上面800aから下面800bに向かって延長するが、下面800bまで貫通しない第1の空洞部810aを画定する。また、追加の空洞部810aを第1の型部分800によって画定することができ、これにより、単一の型で複数のレンガ300またはレンガ部分を成形することが容易になる。
【0025】
第2の型部分805はまた、上面805aと、下面805bと、上面805aから下面805bまで延長する1若しくはそれ以上の壁部805cとを有する。上面805a、下面805b、および壁部805cはともに、中実な第2の型部分800の境界を包囲、若しくは画定することが好ましい。さらに、第2の型部分800は、下面805bから上面805aからに向かって延長するが、上面805aまで貫通しない第2の空洞部810bを画定する。また、第2の型部分805は、型305の外側から空洞部810へのアクセスを提供するために、上面805aから第2の空洞部810bまで延長するチャネル807を画定する。チャネル807は、上面805aの中心またはその近傍に配置されることが好ましいが、成形されるレンガ300の形状および製造者の必要性または要望に応じて、他の場所に配置することができる。追加の空洞810bおよび/またはチャネル807も同様に第2の型部分805によって画定することができる。追加の空洞部810bにより、単一の型で複数のレンガ300またはレンガ部分を成形することが可能となる。また、追加のチャネル807により、型305の外側から空洞部810への複数の接続点が提供される、若しくは複数のレンガ300またはレンガ部分が単一の型で成形される場合において各空洞部810への独立したアクセスが可能となることで、処理が高速化する。第1および第2の型部分800および805もまた、同じまたは補完的な全体構造および形状を有することが好ましい。例えば、上方型部分800および下方型部分805のそれぞれの上面800aおよび805aから下面800bおよび805bまで延長する壁部800cおよび805cは、本明細書で示すように、型部分800および805が、実質的に正方形の形状となる上面および下面を有するように、直角に配置された4つの連結壁部としてもよく、また、型部分800および805が、実質的に円形または楕円形の形状となる上面および下面を有するように、端部で連結された単一の連続壁部としてもよく、若しくは所望されるその他の任意の構成または形状としてもよい。さらに、壁部800cおよび805cは、型部分800および805の上面および下面に対して直角に延長するように図示されているが、壁部800cおよび805cは、成形されるレンガ300の形状、および製造者の必要性または要望に応じて、可変勾配部、傾斜部、または不規則性を有するようにすることができる。型部分800および805は、製造に使用されるトレイ、モジュール、または他の支持および運搬構造と協働するサイズおよび形状を有することが好ましい。
【0026】
第1および第2の型部分800および805は、着脱自在に取り付けられた際、若しくは互いに隣接して配置された際に、第2の型部分805の下面805bが第1の型部分800の上面800aと協働するように構成される。例えば、第2の型部分805の下面805bを、第1の型部分の上面800a上に単に着座させてもよいし、重力または摩擦によって定位置に配置してもよく、または、所望の適合性および組立および分解の容易さに応じて、締結部材、接着剤、または他の手段で着脱自在に固定してもよい。さらに、第1および第2の型部分800および805が着脱自在に取り付けられた際、若しくは互いに隣接して配置された際に、補完的な空洞部810aおよび810bが協働して、単一の空洞部810または複数の空洞部810を画定し、各空洞部810は、成形されるレンガ300または部品の所望の全体形状を有する。
【0027】
図23A~
図25Cは、適切な粘度を有するまたは液状のビチューメン材料205で複数の型305が一度に充填される例示的な成形工程815に基づいた製造ステーションを示す。型305の複数の第1の部分800は、グループ形態でコンベヤベルト820に沿って着脱自在に取り付けられ、これらの複数の第1の部分800に対応する第2の部分805は、
図23Aおよび
図22Bに示すように、第1のまたは初期ステーション825において、ベルト820から所定の距離離れて第1の型部分800に着脱自在に取り付けられるか、若しくはその上に配置されることが好ましい。コンベヤ820は、自動ベルトコンベヤを含む任意のタイプのコンベヤであってよく、第1の部分800は、ブラケット、トレイ822により、また、モジュールを使用することにより、または、当業者に公知のその他の支持構造を使用してコンベヤ820に取り付けることが好ましい。本図では、コンベヤ820を横断して一列に配置された6つの型305を示すが、1グループ内の型部分の数は、製造の必要性および能力に応じて増減することができ、複数の列またはその他の構成に構成することができることを理解されたい。
【0028】
複数の型305は、配置および組み立て後、第2の場所または充填ステーション830に搬送され、ここで型305は、第2の型部分805内のチャネル807を介して適切な粘度を有するまたは液状ビチューメン材料205を受け取る。充填ステーション830は、調製ステーション117と直接または間接的に流体連通する1若しくはそれ以上の容器834を含むことが好ましく、これにより型305は、適切な粘度を有するまたは液状ビチューメン材料205の供給を受けることが可能となる。容器834は、適切な粘度を有するまたは液状ビチューメン材料205を保持し、また、容器834または容器234と流体連通する1若しくはそれ以上の格納式パイプまたは導管832を介して、1若しくはそれ以上の型834に適切な粘度を有するまたは液状ビチューメン材料205を送達する。容器234は、粘性または液状ビチューメン材料205を保持、運搬、またはその送達を容易にすることができる任意の構造であってよい。各格納式導管832は、単一のチャネル807を通って型305内の空洞部810内に降下することができるサイズに設定されており、型305のチャネル807内に少なくとも部分的に配置された際に空洞部810と流体連通するように構成されている。各格納式導管832は、液状ビチューメン材料のための容器834から空洞部810への経路を提供する。
図24A~
図24Dに示すように、複数の型305が充填ステーション830にあるとき、第1の型部分800および第2の型部分805は、格納式導管832が引込むにつれて、第1の型部分800の底部から第2の型部分805の上部まで、適切な粘度を有するビチューメン材料205で充填される。このような工程により、各型305は、一定の形状での固化、および型305内に配置された骨格400に適応のために徐々に充填されるため、最終的に得られるレンガの品質が向上する。型305内に配置された骨格400は、格納式導管832が型305を充填する際に当該導管と干渉しないように構成および配置されることが好ましい。
【0029】
適切な粘度を有するビチューメン材料205が複数の型部分800および805、ひいては型305に充填され、格納式導管832がチャネル807からすべて引き込まれた後、型305は、ベルト820によって第3の場所または封止ステーション835に搬送されることが好ましい。封止ステーション835は、キャップ837を保持、運搬、または他の方法でキャップ837の送達を容易にするためのキャップ構造839を含む。各キャップ837は、チャネル807の1つと協働して、型305内の各空洞部810へのアクセスを遮断、若しくは各空洞部810をシールするように構成されている。キャップ837は、ストッパー、プラグ、蓋部、シール、または他の機械的障害物を含む、キャップ代替物を含む。
図25A~
図25Dは、型305が封止ステーション835にあるときに、第2の型部分805のチャネル807にキャップ837が適用される工程を示す。本図では、封止ステーション835を独立したステーションとして示しているが、実現可能な場合、および製造の必要性および能力に応じて、その直前または直後のステーションと組み合わせることができることを理解されたい。例えば、型305は、液状ビチューメン材料205を受け取り、同じステーションで型305にキャップ837を適用することができる。
【0030】
型305がキャップ837で封止された後、空洞部810内のビチューメン材料を固化させる。型305は、ベルト820によって、固化システム842を含む第4の場所または固化ステーション840に搬送されることが好ましい。固化システム842は、水、空気、圧力、またはその他の固化方法およびツール844を使用することができる。固化システム842は、ビチューメン質の材料を固化させることができるシステムであれば、粘性材料を固化させて部品を成形するために一般的に使用される任意のタイプの工業用システムであってもよい。型305および適切な粘度を有するビチューメン材料205は、室温または25℃未満の温度まで冷却することによって固化されるが、正確な温度はビチューメン材料105の組成に依存する。
【0031】
ビチューメン材料が固化してレンガ300が生成された後、各レンガ300は各型305から取り外されて輸送できる状態となる。各レンガ300を型305から取り外すために、型305のグループおよびその内容物は、ベルト820を介して、固化ステーション840から第5の場所または型分解ステーション850まで移動されることが好ましく、当該ステーションにおいて、第2の型部分805は第1の型部分800から取り外されるか、もしくは分離される。型分解ステーション850において、真空装置854または他の除去装置または機械が第2の型部分805と接続し、第1の型部分からの分離と後続する除去を容易にする。真空装置854が使用される場合、真空カップ852によって各第2の型部分805の上面805aがクランプすることが好ましい。真空カップ852は真空854と動作可能に接続され、2の二型部分805を第1の型部分800から引き離す。第2の型部分805は、分離後、洗浄、修理、キャップの取り外し、さらなる構成、または他の処理のために真空カップ852から取り外すことができる。真空装置について説明したが、磁石、クレーン、バール、油圧装置、リフト、およびその他の分離装置を使用するものを含め、その他の除去装置および機械によっても同じ機能を実行可能であり、そのような除去装置および機械は本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
第2の型部分805が第1の型部分800から取り外された後、レンガ300は第1の型部分800内に部分的に着座した状態にある。次に、第1の型部分800およびレンガ300は、ベルト820によって、第6の場所またはレンガ分配ステーション860まで搬送される。レンガ分配ステーション860は、コンベヤが運搬している物体が反転する場所に位置していることが好ましい。次に、トレイ822および第1の型部分800が反転すると、レンガ300は、重力により第1の型部分800から分離されて、任意選択的に、受取箱862またはその他の回収装置内に、若しくはレンガを成形領域から近接した場所に移動させるように構成された傾斜台、第2のコンベヤ、またはその他の搬送構造上に落下する。代替的に、レンガ300を手動または機械的に取り外すこともできる。レンガ300が取り外された後、第1の型部分800は、追加のレンガ成形のためにトレイ822またはコンベヤ820に再組み立ておよび再取り付けされる前に、除去、修理、洗浄、およびさらなる構成または処理のために、ベルト820を介して追加の場所に移動してもよい。
【0033】
必要に応じて、追加のステーションを工程815に含めることができる。例えば、工程815は、型部分の洗浄、骨格の位置決め、添加剤の送達、型部分の回収、前処理の適用、さらなる処理、ラベル付け、データの収集、検査、または製造もしくは成形工程で通常行われる他の工程のための専用ステーションを含むことができる。また、望ましい場合および可能な場合には、効率の向上、スペースの節約、またはその他の目的のために、複数の独立したステーションを組み合わせることができ、コンベヤ820は、1つの場所から別の場所へ物品を移送または搬送するためのその他の自動手段、手動手段、またはそれらの組み合わせによって置き換えることができ、そのような手段は、ローラ、インデクサ、傾斜台、車両、カート、滑車、吊り下げ式運搬装置、およびその他の組立ラインおよび製造設備機器を使用することを含む。
【0034】
レンガ300が型305から取り外された後、レンガ300の表面に摩擦増加被膜302を塗布155することができる。1若しくはそれ以上の被膜302は、液状で塗布、吹き付け、またはポリマーラッピング技術(polymer wrapping technique)を用いて塗布することができる。
【0035】
レンガの構成
ビチューメン材料からなる各レンガ300は、所与の表面部分において類似する寸法をほとんど、または全く有さないように構成されており、これにより、複数のレンガ300が容器に回収または互いに隣接して配置された際に、隣接するレンガ300間の表面接触が最小限となり、空気、水、またはその他の冷却物質が個々のレンガ300の周囲および個々のレンガ300間を容易に流動することが可能となり、レンガ300が1つの場所から別の場所に輸送される際に、レンガの周囲の冷却効率が最大化される。隣接するレンガ間の表面接触は、その表面積の5%未満に制限することが好ましいが、本発明によれば、好ましくは、隣接するレンガ間の表面接触は、その表面積の5%未満に制限されるが、本発明によれば、レンガ300が軟化または溶融によってレンガ300の完全性が損なわれる可能性がある温度未満に温度を維持することが可能な場合は、より大きな表面接触が許容される。一般に、表面接触は、レンガ300が融解または溶融し、レンガ300の個別性が損なわれることがない程度である必要がある。例えば、不規則な側面および縁部を有するレンガ300では、隣接するレンガ300間の表面接触が最小限となり、凹状の側面および湾曲した縁部を有するレンガでは、隣接するレンガ300間の表面接触はさらに最小限となる。隣接するレンガ300間の表面接触は、いずれの表面も同一寸法ではない複数の表面を含むことにより、また、表面および縁部に沿って、切り欠き部、突出部、点、チャネル、空洞部、またはそれらの組み合わせなどの追加の表面または縁部の不規則形状を含むことにより、または、全体形状を、他の認識された形状を成さない不規則形状の固体として構成することによって、さらに最小限にすることができる。
【0036】
図3A~
図14は、好ましい形状およびサイズを有する本発明のレンガ300を示す。
図3A~
図6Bは、レンガ300の好ましい全体形状を示しており、当該形状は、直角を成さない変形四面体に類似している。
図7~
図11は、以下詳細に説明する骨格400の、本発明の好ましい実施形態によるレンガ300全体における分布状態を示す。
図12~
図14は、本発明の好ましい実施形態によるレンガ300の寸法を示す。
【0037】
図3A~
図6Bに示すように、好ましい実施形態によれば、レンガ300は、3つの非平面変形三角形状面の表面(non-planar modified triangular face surfaces)330と、変形三角形ドーム形状上面部310と、3つの湾曲縁部320と、3つの面の表面330が接する、上面部の反対側の地点である変形ドーム形状底面部314とを含む外面部によって画定される実質的に中実な本体(参照番号付記なし)を有する。本明細書において「変形」という用語が、形状、表面、および固体を説明するために使用される場合、規定された形状、表面、または固体に類似するが、切角または面取り領域、湾曲縁部または湾曲面、表面または縁部に意図的若しくは非意図的に形成された不規則形状、または、その他の一般的ではない形状、固体、または表面特性などの変形形態も含む、形状、表面、または固体を指す。同様に、本明細書で使用する「実質的に」という用語は、本質的に、大体において、または大部分において、という意味であることを理解されたい。例えば、実質的に中実の本体部とは、中実であることを意図しているが、意図しない不完全な部分を含む本体部、または、大部分が中実であることを意図しているが、内部に意図的に埋め込まれたエアポケットなどの特徴または不完全な部分を含む本体部である。
【0038】
図3A~
図6Bに示すように、湾曲縁部320は、隣接する面の表面330の側面または縁部が概ね接するところに位置する。これらは、隣接する面の表面330の縁部間の一体的な接続部として機能し、特に所定の幅Hを有する場合、表面とみなすことができる。各湾曲縁部320は、ドーム形状上部310に接続する上端部320hの近傍に位置する第1、第2、および第3の縁部320a、320b、320cと、湾曲縁部320の残りの部分を構成し、湾曲縁部320の上端部の反対側の下端部320gにおいてドーム形状底部314に接続する第4の部分320dとを含む。互いに実質的に一定の距離H離間して配置された長辺または縁部320eおよび320fに沿った湾曲縁部320は、所定の半径132を有することが好ましい。第1、第2、および第3の縁部320a、320b、320cはそれぞれ、実質的に平面であることが好ましい。
図3Cに示す代替実施形態では、Flの全長を有する第1の湾曲縁部320AA、F2の全長を有する第2の湾曲縁部320BB、およびF3の全長を有する第3の湾曲縁部320CCに関連して示すように、互いに異なる寸法を有することができる。この点については、
図12~
図14に関連してさらに説明する。
【0039】
各非平面変形三角形状面の表面330は、好ましくは、第1の三角形状部分332、第2の三角形状部分334、第3の三角形状部分336、および第4の三角形状部分338からさらに構成されることが好ましい。第1の三角形状部分332は、第1の縁部332aに沿って変形ドーム形状上部310に接続し、第2の縁部332bに沿って第2の三角形状部分334に接続し、第3の縁部332cに沿って第3の三角形状部分336に接続する。第2の三角形部334は、第1の縁部334aに沿って、湾曲縁部320のうちの1つを介して隣接する面の表面330のうちの1つに接続し、第2の縁部334bに沿って第1の三角形状部分332に接続し、第3の縁部334cに沿って第4の三角形状部分338に接続する。第3の変形三角形状部分336は、第1の縁部336aに沿って、別の湾曲縁部320を介して隣接する面の表面330のうちの1つに接続し、第2の縁部336bに沿って第4の三角形状部分338に接続し、第3の縁部336cに沿って第1の三角形状部分332に接続する。第4の三角形状部分338は、第1の縁部338aに沿ってドーム形状底部314に接続し、第2の縁部338bに沿って第3の三角形状部分336に接続し、第3の縁部338cに沿って第2の三角形状部分334に接続する。また、4つの三角形状部分332、334、336、338はすべて、各面330の中心点340で合流し、中心点340は、実質的に円形であることが好ましい。さらに、三角形状部分332、334、336および338の各々は、当業者であれば理解するように、実質的に三角形の形状、または協働して全体として三角形状の面の表面330を形成するその他の形状とすることができる。第3の三角形状部分336は、当該三角形状部分がドーム形状底部314に接続する位置に配置された切り欠き部342または切り欠き面を含むことが好ましい。
【0040】
レンガ300のドーム形状底面部314は、3つの面の表面330の第4の三角形状部分338に当接する中央ドーム形状部315と、湾曲縁部320の下端部320hに当接する3つの縁部延長部316とを含み、この縁部延長部316および湾曲縁部320は、この下端部において接する。3つの縁部延長部316は、ドーム形状底面部314の中央ドーム形状部315内で接続かつ中央ドーム形状部315内に適合して、その底部において六角形の外周を有する、全体として変形ドーム形状表面を形成する。
【0041】
変形三角形ドーム形状上面部310は、3つの切頂三角形状上部(truncated triangular top sections)311と、3つの上縁延長部312と、中心点318とを含む。3つの切頂三角形状上部311の各々は、第1の縁部31laで各表面330の第1の三角形状部分332に接続し、2つの第2の縁部311bで上縁延長部312に接続し、切頂点311cで中心点318に接続する。上縁延長部312は、湾曲縁部320の上端部320hおよび中心点318に接続する。
【0042】
レンガ300の面、部分、および縁部の各表面は、その不規則性をさらに強化するために、任意選択的に起伏付けされる。
図3B、
図4B、
図5B、および
図6Bは、灰色の線で起伏付けされた(contoured)外面部を示す。各面330に関しては、第1の三角形状部分332および第4の三角形状部分338は実質的に平面であり、第2の三角形状部分334は実質的に凹状であり、第3の三角形状部分336は実質的に凸状であることが好ましい。ドーム形状上面部310およびドーム形状底面部314は、全体形状が概ね凸状であるが、必要に応じて起伏を多少変化させることができる。各湾曲縁部320に関しては、その個々の部分320a、320b、320c、320dは、上述したように実質的に平面である。さらに、切り欠き部342および中心点340は、実質的に平面であることが好ましい。
【0043】
図12~
図14は、レンガ300の好ましい寸法を示す。図示するように、各面の表面330において、その第1の三角形状部分332が上面部310に接続する部分に沿った幅Aは、湾曲縁部320の端部を含めて約305mmであり、各第1の縁部332の中心から反対側の各湾曲縁部320の中心までの距離Dは約275mmであり、上部311および上面部310の両側の縁部延長部312の幅Cは約315mmである。上面部310の中心から底面部312の中心までの全体の距離Bは約270mmであり、各湾曲縁部320の全体の長さFは約253mmである。各面の表面330においてその第4の三角形状部分338が底面部312に接続する部分に沿った幅Gは約45mmである。各湾曲縁部320の幅Hは約35mmである。レンガ300が
図3Cの代替レンガ300と一致する形状を有する場合、全体の寸法は異なる。
図3Cに示すように、各湾曲縁部は異なる全長を有し、第1の湾曲縁部320AAはFlの長さを有し、第2の湾曲縁部320BBはF2の長さを有し、第3の湾曲縁部320CCはF3の長さを有する。湾曲縁部320AA、320BB、および320CCの長さが異なるため、面の表面330の各々も互いに異なる寸法を有し、上面部310および底面部314はさらなる起伏を有することになる。したがって、レンガ300の代替実施形態は、さらに不規則な形状となり、それにより隣接するレンガとの表面接触がさらに阻止される可能性が高い。
【0044】
本図では、レンガ300の表面、縁部、上部、および底部のサイズおよび形状、ならびに外面部の起伏に関して好ましい実施形態が図示されているが、当業者であれば理解するように、成形されたレンガ300によって隣接するレンガ300間の表面接触が最小限となる限り、不規則形状の固体およびその表面のサイズ、形状、および起伏を変更することが可能である。不規則形状の固体およびその表面のサイズ、形状、および起伏は、2若しくはそれ以上のレンガが結合するのを防止または抑制するように作用し、また、上述したように、隣接するレンガ300間の流体または空気の流れを促進させることが好ましい。さらに、本明細書で図示し、また説明したレンガ300およびそれらに対応する型305は、当業者であれば理解するように、当該産業界のニーズに応じてより大型またはより小型にサイズ設定することができる。
【0045】
ポリマー骨格
レンガ300の好ましい実施形態では、各レンガ300は、顧客のニーズに応じて増減およびカスタマイズ可能なポリマーまたは他の浮力添加剤(buoyant additive)で強化されている。ビチューメン材料105に配合されるポリマーまたは他の添加剤を任意に含むことに加えて、各レンガ300は、海水および淡水中での浮力をさらに高めるために、剛性、半剛性、または可撓性の骨格400を有するように構成されることが好ましい。また、骨格400の構成要素は、各レンガ300が完全性を保っている状態、およびより小さな断片部に分散した状態の双方において、各レンガ300の浮力を増加するような態様で各レンガ300全体に配置される。本明細書で使用される場合、用語「骨格」は、例えば、マトリクス、枠組み、ネットワーク、構造体、グリッド、層、格子、アーキテクチャ、足場、ケージ、布、枠組み、タイル張り(tessellation)、配列、およびそれらの組み合わせを含む、パターンまたは所定の態様で配列された材料および構成要素の3次元構造をすべて含む。さらに、各レンガ300内において、骨格400は、固体、半固体、または中空の構成要素、剛性、半剛性、または可撓性の構成要素、および一体化されたまたは協働する構成要素で構成することができ、当該構成要素は、例えば、空気、浮揚ガス、または液体が充填された中空構造体と、気泡、ナノバブル、または他の浮力増加物質を封入した実質的に固体の構造体と、補完的な浮力材料を含浸させた多孔質材料の構造体と、チャンバ、区画部、ポケット、カプセル、気泡、ナノバブル、およびそれらの組み合わせを含む2次的な浮力増加機構を保持するように形成または配置された、繊維または固体材料からなるマトリクス、枠組み、ネットワーク、格子、またはグリッドと、を含む。
【0046】
図7~
図11は、本発明による骨格400の好ましい実施形態を示し、この骨格400は、各レンガ300の本体部全体に実質的に均一に分布するポリマー骨格400である。
図15~17は、ポリマー骨格400の1実施形態を示し、このポリマー骨格400は、重質原油、超重質原油、ビチューメン、およびアスファルトを強化するために一般的に使用されるポリマーまたはプラスチック材料からできた繊維からなる格子、フレーム、またはグリッド配列を含むことが好ましい。例えば、骨格400は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、およびエチレン-アクリル酸ブチルなどのプラストマー、または、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、およびスチレン-エチレン/ブチレン-スチレンなどの熱可塑性エラストマーから形成することができる。また、
図15~
図17に示すように、骨格400は、任意選択的に、空気を封入する複数の浮力要素420または他の浮力材料をさらに含むことが好ましい。
【0047】
骨格400の好ましい実施形態では、ポリマー繊維は線状繊維群に構成され、これらの線状繊維群はさらに、3次元グリッドまたは格子構造などの枠組みに構成される。繊維群は、いくつかの繊維群に対して平行に配置され、別の繊維群に対して直角に配置されることがさらに好ましい。
図15に示すように、複数の第1の繊維群412はy軸に沿って延長し、複数の第2の繊維群414はx軸に沿って延長し、複数の第3の繊維群416はz軸に沿って延長する。第1の繊維群412は、別の第1の繊維群412と実質的に平行に延長し、第2の繊維群414および第3の繊維群416に対して直角に延長する。第2の繊維群414は、別の第2の繊維群414と実質的に平行に延長し、第1および第3の繊維群412および416に対して直角に延長する。第3の繊維群416は、別の第3の繊維群416と実質的に平行に延長し、第1および第2の繊維群412および414に対して直角に延長する。さらに、繊維群412、414、および416の各々は、任意選択的に、実質的に平行に配置され、かつ一定の距離互いに離間した4もしくはそれ以上の個々の繊維412a、414a、および416aを有することが好ましい。例えば、各郡内の繊維は、距離DD離間して互いに実質的に平行に延長し、さらに繊維群の断面が正方形になるように配置される。代替的に、繊維群は、円形、長方形、六角形、三角形などその他の形状の断面を有するように配置することができ、また、実質的に平行、共に撚られた態様、収束した態様、放射状に広がる態様、交差した態様、またはその他所望のグループ化された態様で配置された繊維を有することができる。
【0048】
任意選択的に、複数の浮力要素420は、複数の繊維群412、414、および416の各繊維412a、414a、および416aに取り付けられた状態、接続された状態、各繊維から懸吊された状態、各繊維間に配置された状態で形成または保持されることがこのましく、これにより、例えば、各レンガ300全体の空気連行を向上させることによって、レンガ300の浮力を増加させることができる。代替的に、浮力要素420は、当該要素が気体注入などである場合は、骨格400を代替することができる。浮力要素420は、個々のエアポケット、気泡、空気のナノバブル、または窒素若しくは液体などその他の浮力を増加させる気体、またはこれらの群であってもよく、これらは、繊維412a、414a、および416a内または当該繊維上に形成されるか、若しくは個別のカプセル、チャンバ、またはその他の区画部、またはそのような要素の組み合わせの内部に収容されて繊維412a、414a、および416aにより保持される。例えば、
図15~17では、浮力要素420は、複数の空気用カプセルとして図示され、ここでは、空気を封入する材料は、繊維412a、414a、および416aに使用される材料と同じ材料である。個々の浮力要素420のサイズは、レンガ300の浮力に影響するため、運送業者、顧客、または他の当事者が要求する仕様に従って調整することができる。さらに、浮力要素420の位置は、例えば、浮力要素420がレンガ300に均等に成形されるように、レンガ300の成形前に制御することができる。
【0049】
場合によっては、浮力要素420は、骨格400が存在しないレンガ300に、または骨格400の使用に加えて、レンガ300に意図的に導入される空隙であってもよい。例えば、製造者は、成形中に空気、蒸気、酸素、不活性ガスなどの気体を注入して気泡を生成すること、若しくはその他の空気連行法または空気混和法を利用して浮力を増加させる気泡または空隙を生成および捕捉することが可能である。浮力要素420は、骨格400と協働して使用、若しくは独立して使用されるかにかかわらず、浮力を増加させるための、好ましくは意図的かつ均一的に適用される任意の要素であってよい。骨格400全体、ひいてはレンガ300全体に浮力要素420を組み込むことにより、レンガ300は、海洋、湖、または河川に放出された場合に、浮動する可能性が高くなる。さらに、レンガ300は、破損またはその他の損傷を受けた場合でも浮動する。
【0050】
繊維群412、414、および416と、浮力要素420とを含む骨格400の構成要素は、型305内に適合するように構成され、射出成形によって形成されることが好ましい。骨格400の密度も調整することが可能であり、
図15~
図17に示す実施形態では、繊維群412、414、および416を構成する個々の繊維412a、414aの全体的なサイズ、繊維群412、414、および416の数、および各繊維群412、414、および416内の繊維の数を必要に応じて調整し、特定のポリマー含有量を有するレンガ300を生成することができる。例えば、4重量%のポリマーを有するレンガ300は、2重量%のポリマーを有するレンガ300よりも大きな繊維を有する骨格400を用いて生成される。重質原油からなる各レンガ300の場合、ポリマーの重量比は、浮力を得るために、1%~4%の間であることが好ましい。また、ビチューメン材料からなる各レンガ300の場合、ポリマーの重量比は、その性能をさらに向上させるために、温暖な気候では10%、寒冷な気候では7%まで高めることができる。
【0051】
骨格400は、形成後に型305内に配置され、適切な粘度を有するビチューメン材料205が骨格400によって占有されていない空間に充填される。例えば、
図15~
図17に示す実施形態では、成形中に、繊維群412、414、および416、ならびに浮力要素420の周囲およびその間の空間を適切な粘度を有するビチューメン材料205で充填することができる。ビチューメン材料105および型305の冷却後、成形された各レンガ300は、その内部に埋め込まれた骨格400を含む。
【0052】
レンガの輸送
レンガ300は、空気、水、またはその他の物質が当該レンガ間を循環すること可能な不規則な形状を有し、また、海水および淡水の水面上または水面付近で浮動することができるため、トラック、鉄道、航空、および船舶手段を含む、貨物または積み荷を輸送する、大部分またはすべての車両によって、固体としてばら荷で輸送することができる。ビチューメン材料を固体形態で輸送することにより、輸送中にビチューメン材料105を加熱する必要がなくなり、その結果、温室効果ガスの排出量を実質的に削減または排除することができる。さらに、レンガ300は、水素を動力源とする車両で輸送することが可能であり、それにより二酸化炭素排出量をさらに削減または排除することができる。
【0053】
図18Aおよび
図18Bは、本発明の好ましい方法による、レンガ300の輸送、貯蔵、および受け取りの代替方法を示す。所望数のレンガ300の成形および回収後、運送業者600は、例えば、製造業者の重力式貯蔵室908に貯蔵されている複数のレンガ300を所持することができる。次に運送業者600は、車両620によって輸送室610内の複数のレンガ300を受取場所905に輸送する。上記で定義および説明したように、車両620は、有人車両および無人車両の双方を含み、また、輸送室610は、レンガ運搬専用車両に連結または一体化された特殊コンテナであってもよい。本明細書では、用語「室部(chamber)」および「複数の室部」は、コンテナ、区画部、箱体(bin)、モジュール、容器、カートン、パッケージ、ボックス、およびその他のタイプの受容体を含む、物品を保持することができる構造を指す。輸送室はさらに、1つの場所から別の場所に輸送することが可能である。
【0054】
複数のレンガ300を陸上輸送する場合、レンガ300は、列車またはトラック上の輸送室610で輸送することが好ましいが、複合輸送および共同一貫輸送を含む、代替陸上輸送方法を代わりに使用することもできる。以下に説明、および
図19Aに示すように、輸送室610は、列車上における、空気力学の原理を利用した専用の輸送室である。陸上輸送を意図した輸送室610は、大気がその内部を自由に循環可能であること、温度制御または気候制御されること、または、大気または冷却空気を導入するための環境制御システム615を有することが好ましく、レンガ300の不規則な形状により、空気が当該レンガ300の周囲を循環することが可能となる。空気はコンテナ610内の隣接するレンガ300間に形成された空間を通って循環するため、レンガ300を実質的に固体形態に維持するのに役立つ。代替的に、陸上輸送を意図した輸送チャンバー610は、空気の代わりに水またはその他の液体物質若しくは気体物質を使用して環境を制御するように構成することもできる。
図19Aおよび
図19Cに示すように、大気による環境制御を容易にするために、輸送室610は、好ましくは輸送室の側壁部610d、また任意選択的に屋根部610a、床部610b、および端部610cに形成および配置される複数の開口部または通気口611、612を備えるように構成、若しくは当該開口部または通気口611、612を画定するように構成することができる。通気口611、612は、入口および出口として機能し、また、輸送室610内に流入する、若しくは輸送室610内を循環する空気またはその他の物質の量および方向を調整または制御するためのレジスタ、エアダム、フラップアクチュエータ、ファン、翼、フランジ、ブレード、およびその他の静的または動的構成要素を含むか、若しくはこれらと協働することができる。通気口611、612は、空気の移動方向に応じて、空気を輸送室610に出入りさせることができ、連続的または断続的な空気循環を促進するための追加機能を含むことができる。
【0055】
図19Cは、輸送中に二酸化炭素排出量を削減または排除することができる鉄道輸送システムの好ましい実施形態を示す。この実施形態では、複数のレンガ300を輸送するための車両620は、1若しくはそれ以上の水素燃料電池624によって動力供給されるエンジン622と、好ましくは空気力学的に成形され、任意選択的にアルミニウム製である、複数の専用輸送室610とを含む専用列車である。エンジン622および燃料電池624と直列に接続し、これらの背後に連なる輸送室610は、その側面610d、屋根部610aおよび端部610cに複数の開口部または通気口611、612を含むことが好ましい。さらに、外部環境がレンガ300を損傷させる、若しくは部分的に溶解する可能性のある状態に達する場合に備えて、空調装置またはその他の冷却手段などの能動的な環境制御システム626が各輸送室610内に配置されている。有害な排出をさらに削減または排除するため、任意選択的に燃料電池624のうちの1つによって能動的環境制御システム626に電力供給することもできる。新興車両に対する燃料電池技術の採用の進行に伴い、トラック、船舶、およびその他の運搬車も同様に構成することで、排出を削減または排除することが可能であり、任意選択的に、同様の燃料電池を動力源とするバックアップ冷却源も使用することができる。
【0056】
複数のレンガ300を水上輸送する場合、
図19Bに示すように、複数のレンガ300は、当該レンガを保持することが可能な貨物空間632を有する、船舶、はしけ、またはばら積み貨物船630などの車両620で輸送されることが好ましい。代替的に、レンガ300は、船舶またははしけ上の個別、移動可能、またはモジュール式の輸送室610内に配置することができ、若しくは、複合輸送および共同一貫輸送を含む、代替水上輸送方法を代わりに使用することもできる。個別、移動可能、またはモジュール式の輸送室610が水上輸送に使用される場合、陸上で使用される輸送室610と同じ態様で、空気、水、またはその他の物質の内部循環を可能とすることが好ましい。レンガがばら積み貨物船630の貨物領域632に保持され、貨物領域632が輸送室610となる場合、レンガは、隣接するレンガ間に適切な空間が維持され、空気、水、またはその他の物質の循環が可能となるように、貨物領域632に配置されることが好ましい。好ましい実施形態において、ばら積み貨物船630は、レンガの完全性の維持のために、水を使用する環境制御システム615を含むことが好ましい。ばら積み貨物船630は、専用の水源(図示せず)から水を引き込むこと、若しくは海水などの周囲水を引き込むことができる吸水口636を使用することができる。水源または吸水口636はまた、水源または取水口636はまた、好ましくは、船舶の貨物領域を迅速に清掃するために使用される高圧スプリンクラーシステムなどの配水システム634と協働する。配水システム634は、個別、移動可能、またはモジュール式の輸送室610内に配置されている場合おいても、単一の輸送室610としての貨物領域に直接配置されている場合においても、レンガ上に水を配水するために、水源から水を受け取る、若しくは吸水口636を通して水を引き込みことができ、さらに貨物領域および任意の輸送室610の上部に水を噴霧、散水、または他の方法で配水することができる。次に水は、貨物領域の底部付近にある排水口(図示せず)から排水される前に、レンガ300の周囲およびレンガ300間を自由降下する。輸送中の二酸化炭素排出量を削減または排除するために、レンガ300は、水素燃料電池を動力源とする船舶または貨物船で輸送することが好ましい。
【0057】
陸路、海路、空路のいずれの手段で移動する場合でも、上述したように、輸送室610は、空気、水、またはその他の物質の、その内部空間における流動を促進する構造機構などの受動的環境制御システムを含むことが好ましい。代替的に、輸送室610は、強制換気システム、冷却ブロックシステム、冷蔵システム、断熱材、冷却板、ドライアイス、保冷パック、キルト、底部送気ユニット、反射塗料、およびその他の公知の能動的および受動的環境制御機構またはシステムなどの環境制御用の他のシステムを含むことができる。空気、水、またはその他の物質は、輸送室610内を循環するのに伴い、輸送室610内に回収された、隣接するレンガ300間の空間も循環する。その結果、レンガ300は不規則な固体形態を維持することが可能となる。
【0058】
レンガの受け取り
レンガ300の貨物の受取人は、仲介業者185と、販売業者195と、末端利用者199と、製油所197とを含む。末端利用者199は、必要となるまでレンガ300を貯蔵してもよく、販売業者は末端利用者199への受け渡し前にレンガを一時的に貯蔵してもよく、また、製油所197は、ビチューメン材料105を再液化してさらに処理した後、固体形態に再び戻して末端利用者199または販売業者195に輸送してもよい。したがって、レンガ300の受取人は、レンガ300を固体として貯蔵するか、若しくは、ビチューメン材料105を再液化するための設備または構造を必要とする場合がある。レンガ300は、アスファルトまたはポリマー改質アスファルトからなる場合、通常、末端利用者199によって貯蔵され、レンガの形態で使用される。レンガ300がビチューメンまたはポリマー改質ビチューメンからなる場合、それらはさらなる処理のために製油所197によって再液化される。
【0059】
本発明によれば、輸送室610および複数のレンガ300が、末端利用者199、製油所197、流通業者195、またはその他の意図された受取人の受取場所905に到達した際に、レンガ300は貯蔵されるか、若しくは使用するために調整される。複数のレンガ300が貯蔵される場合、当該レンガ300は、輸送室610にそのまま保管することが可能あり、若しくは、その他の貯蔵室、容器、または貯蔵施設に移送後、任意選択的に、空気、水、またはその他の温度および気候に影響を与える物質を循環させるシステムを含む、能動的または受動的環境制御システムを使用して、レンガ300の形態で維持することができる。例えば、レンガ300が適切な港湾施設を有する受入場所905に海上輸送される場合、大型浮体式貯蔵室909に部分的または全体的に浸水させて貯蔵することができる。このような浮体式貯蔵室909は、二重船殻構造を有してもよく、貯蔵されているレンガ300の完全性の維持を促進するために、周囲水が浮体式貯蔵室909内を流動、船殻間を流動、若しくは貯蔵室内に滴下するように装備することができる。同様に、陸上の受取場所905に鉄道またはトラックで輸送されるレンガは、類似の二重構造を有する重力式貯蔵室908に貯蔵することができ、さらに、この重力式貯蔵室908は、任意選択的に大気または水がレンガ300間を循環してレンガ300を冷却するように構成してもよい。さらに、貯蔵室908は、環境のさらなる制御のために、部分的または全体的に地中に埋設してもよい。浮体式貯蔵室909およびその他の貯蔵室908は、空気、水、またはその他の物質が当該貯蔵室に流入し、当該貯蔵室を通って流動するのを容易にするために、通気口611、612およびそれらの関連する特徴を有する輸送室610と同様の態様に変更することができる。さらに、このような貯蔵室908、909は、内部により小型の貯蔵室またはモジュールを含んでもよく、若しくは一連の協働する貯蔵室またはモジュールの一部であってもよい。
【0060】
レンガ300を直ちに使用する場合、若しくは使用するために、溶融または加熱して液体状態または元の状態にすることで貯蔵または調整する方が良い場合は、受取場所905に到着した時点でレンガ300を溶融することができる。レンガ300は、受取場所905に到着した際に、溶融して液体状態または元の状態に戻るまで、当業者に公知の方法を用いて加熱190される。レンガ300はまた、
図20Aおよび
図20Bに示す浮体式貯蔵室910または陸上に配置された同様の構成を有する貯蔵室など、加熱素子を備える着脱自在な蓋部を有する特殊貯蔵室に導入することもできる。
【0061】
図20Aおよび
図20Bは、特殊貯蔵室910を示し、当該貯蔵室は、熱伝導型受け蓋912であって、レンガ300を受け取り、その内部に埋め込まれた加熱システム914によってレンガ300を即時溶融または軟化させるように構成された、熱伝導型受け蓋912と、ハウジングまたは貯蔵室本体部918と、貯蔵室本体部918によって画定された容器または空洞部920と、液体または適切な粘度を有する材料における、蓋912の上面部912aから下方の空洞部920への移動を促進させる送達システム916とを有する。特殊貯蔵室910は、任意の運送業者600および車両からレンガ300を受け取ることができ、ばら積み貨物船からレンガ300を受け取るのに特に有用である。当業者であれば理解するように、掘削機、ブルドーザー、クレーン638、またはその他の荷降ろしシステムもしくは自動荷降ろしシステムを用いて、レンガを貨物船630の貨物領域632から受け蓋912上に容易に移送することができる。
【0062】
特殊貯蔵室910は、粘度を有するまたは液状のビチューメン材料205および固体レンガ300の双方を保持するのに適した任意の材料で作製され、断熱材、内張り、またはその他の強化材でさらに強化することが可能である。また、特殊貯蔵室910は、二重構造としてもよく、その内部に配置されたいくつかの補助的容器を有していてもよい。例えば、容器910はコンクリートで形成することができ、空洞壁は非粘着性材料で被覆または裏打ちすることができる。蓋912は、使用される加熱要素および伝導特性を高める必要性に応じて、1つ若しくはそれ以上の材料で作製することができる。例えば、蓋912は、ナノカーボンブラック、グラファイト、または伝導性を高めるその他の充填剤またはコーティングで強化されたコンクリートで作製することができる。蓋912は、貯蔵室本体部918を固体レンガ300用の貯蔵室908として別個に使用できるように、着脱自在であることが好ましい。すなわち、特殊貯蔵室910は二重の目的を有するものであり、レンガ300を保持し、その固体形態の維持を助長するための環境的に制御された貯蔵室としての機能と、レンガ300を受け取って溶融または軟化させ、レンガがその内部に貯蔵されている間、液状または適切な粘度を有する形態に保つことが可能な熱伝導型貯蔵室としての双方の機能を果たす。
【0063】
特殊貯蔵容器910では、受け蓋912は電気放射熱または温水循環式放射熱を使用して、当該蓋912上に受け取られるレンガを液化することが好ましい。図示するように、受け蓋912は、レンガ300を保持し、かつレンガ300がその中心に集中するように凹状であることが好ましく、また、加熱システム914は、蓋912全体に配線された一連のケーブルまたは他の加熱要素924であることが好ましい。ケーブルを使用する場合、それらは蓋912の大部分にわたって一定の間隔で配置されることが好ましい。代替的な加熱要素924は、コイル、メッシュ、予備成形マット、導電性コーティング、導電性充填材、またはプラスチックフィルムに埋め込まれたその他の加熱要素を含む。受け蓋の加熱システム914は、いくつかの導電性コンクリートシステムと同様に、自己加熱可能であるか、若しくは、
図20Cに示すように、通電するために、任意選択的に電源922および制御部923に動作可能に接続することができる。
【0064】
代替的に、その他の加熱システム、または温水循環式放射加熱若しくは熱風放射加熱用構成要素を加熱システム914に使用することができる。温水循環式放射加熱システム(hydronic radiant heating system)の場合、本明細書で使用される、開ループまたは閉ループを有する流路系925は、チューブ、パイプ、およびその他の導管を含み、水、塩水、油、または水とプロピレングリコールの混合物などの加熱液体または加熱流体を循環させるために、蓋912全体に配置される。熱源926およびボイラー927、または温水器により、蓋912を加熱するのに十分な温度まで液体の温度を上昇させることで、蓋912上に回収されたレンガ300が溶融する。ポンプ928により、液体は流路系925に流入、および流路系925内を流通する。プロパン、天然ガス、電気、または石油によってボイラー927に燃料を供給することが可能であり、追加の動作構成要素(図示せず)には、バルブと、膨張タンクと、追加ポンプと、空気分離器と、通気口と、制御部とを含んでもよい。温水循環式放射加熱システムと同様に、熱風放射加熱システム(air radiant heating system)は、燃料によって生成された熱風または太陽光線によって生成された熱風を、蓋912内のチャネルを通して循環させる。
【0065】
受け蓋912上の送達システム916は、複数の開口部であることが好ましく、これらの開口部は、溶融ビチューメン材料が蓋912の上面部912aから貯蔵室本体部918に流れ込むことを可能とする一方で、固体のビチューメン材料またはレンガ300が当該開口部を通過することを阻止するサイズに設定および構成されていることが好ましい。代替的に、送達システム916は、単一の中央開口部、複数のチャネルもしくは溝部、一連の傾斜面もしくは傾斜台、または粘性材料が1つの場所から別の場所に流動することを促進可能な任意のその他の構造であってもよい。さらに、任意の開口部、溝部、傾斜面などは、流体流をさらに促進させる材料で追加的に被覆されてもよい。
【0066】
任意選択的に、レンガ300を再加熱してビチューメン材料105を元の状態に戻した後、ポリマーを含む任意の添加剤は、当業者に公知の方法を利用して、受取人により受取場所905でスキミング除去ことができる。このスキミング除去を容易にするために、1若しくはそれ以上のスキマー(skimmers)930は、任意選択的に特殊貯蔵室910、または溶融ビチューメン材料のための任意の別の受取室または貯蔵室に接続するか、若しくはその内部に収容することができる。このような用途に適したスキマーは、当業者に公知である。代替的に、溶融ビチューメン材料105および任意の添加剤106を、第2の加熱システム950によって混合温度までさらに加熱し、次に、添加剤106をビチューメン材料105に混合することができる。混合を容易にするために、混合装置940は、任意選択的に特殊貯蔵室910、または溶融ビチューメン材料のための任意の別の受取室または貯蔵室に恒久的に接続するか、若しくはその内部に収容することができる。このような用途に適した混合装置は、当業者に公知である。その他の添加剤を導入することも可能であり、受取人の必要性に応じてビチューメン材料105の追加処理を実施することもできる。環境によっては、特に溶融ビチューメン材料105がその粘性状態で貯蔵される場合、貯蔵中にビチューメン材料105をさらに加熱することが望ましい。したがって、第2の加熱システム950を、任意選択的に特殊貯蔵室910、または溶融ビチューメン材料のための任意の別の受取室または貯蔵室に接続することが可能であり、適切な加熱システムについては、当業者に公知である。複数の補助的容器またはモジュールが特殊貯蔵室910内に存在する場合、各補助的容器またはモジュールは、加熱装置、混合装置、またはスキマーを有してもよい。必要であれば、当業者によって公知のように、特殊貯蔵室910または溶融ビチューメン材料のための任意の別の受取室または貯蔵室を近隣のパイプラインに連結して、溶融ビチューメン材料を貯蔵室から排出することができる。
【0067】
最後に、製油所またはレンガ300の別の受取人がレンガ300を溶融し、ビチューメン材料105をさらに処理する場合、そのような受取人は任意選択的に、溶融ビチューメン材料105を、本明細書で説明した方法およびシステムに従ってレンガ300に再成形することができる。
【0068】
現時点において本発明の好ましい実施形態と考えられる形態を図示および説明したが、開示された本発明の真の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができ、また、本発明の要素を均等物で代替することが可能であるが、本発明は、特許請求の範囲に包含されるすべての実施形態を含むものであることを当業者であれば理解すると考えられる。
【国際調査報告】