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特表2024-511559電子部品、電子部品の制御方法、及び電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電子部品、電子部品の制御方法、及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023551266
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022054315
(87)【国際公開番号】W WO2022180002
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021201789.4
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】フィヒトナー・ジモン
(72)【発明者】
【氏名】ロフィンク・ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】カペルス・ホルガー
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GL04
5F102GQ01
(57)【要約】
電子部品は、第1の層及び第2の層を備え、第1の層の主面は、第2の層の主面に対向して配置される。第1の層は、分極された第1の材料を含む。第1の材料の分極は、第1の方向を向く。第2の層は、少なくとも1つの分極状態を有する分極された第2の材料を含み、電荷ゾーンが第1の層及び/又は第2の層の主面に沿って形成されるように、少なくとも第2の材料の1つの分極状態における第2の材料の分極の方向は、第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーンは、少なくとも第2の材料が1つの分極状態であるときに導電性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(100、300、500)であって、前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に対向して配置されており、
前記第1の層(110)が分極された第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)が、少なくとも1つの分極状態を含む分極された第2の材料(121)を含み、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態における前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーン(180)が、前記第1の層及び/又は前記第2の層の前記主面(112、122)に沿って形成され、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるときに導電性である、電子部品(100、300、500)。
【請求項2】
前記第1の材料(111)がウルツ鉱型結晶構造を有し、前記第2の材料(121)がウルツ鉱型結晶構造を有する、請求項1に記載の電子部品(100、300、500)。
【請求項3】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(200、300、500)であって、前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に対向して配置され、
前記第1の層(110)がウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)がウルツ鉱型結晶構造を有する第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)が強誘電性であり、少なくとも1つの分極状態を有し、前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態において、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、
前記第2の材料(121)が遷移金属を含む、電子部品(200、300、500)。
【請求項4】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、
1012cm-2超、若しくは1013cm-2超、若しくは6×1013cm-2超であるか、又は
1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは6×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは10×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲であり、
前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項5】
第1の材料(111)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物であり、及び/又は前記第2の材料(121)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項6】
前記第2の材料(121)が、1つ以上のIII族元素を含み、遷移金属を更に含む窒素化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項7】
前記第2の材料(121)の窒素化合物中の前記遷移金属の化学量論比率が、前記窒素化合物中の前記1つ以上のIII族元素と前記遷移金属の総化学量論比率の10%~50%である、請求項6に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項8】
前記第1の材料(111)が、GaN、GaScN、AlScN、AlN、InGaN、InGaScN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、及び/又は
前記第2の材料(121)が、AlscN、AlGaScN、GaScN、AlN、AlGaN、AlMgNbN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項9】
前記第2の材料(121)/前記第1の材料(111)の組合せが、AlScN/GaN、AlScN/GaScN、AlGaScN/GaN、GaScN/AlScN、GaScN/AlN、AlScN/InGaN、AlScN/InGaScN、AlMgNbN/GaNのうちの1つである、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項10】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極(125)の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)iの前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項11】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、前記第2の材料(121)が前記第2の分極状態であるときよりも前記第2の材料(121)が前記第1の分極状態であるときにより高くなる、請求項10に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項12】
前記第1の層(110)と前記第2の層(120)との間に配置され、ウルツ鉱型結晶構造を有する第3の層(330)を更に備える、請求項2~11のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項13】
前記第2の層(120)が、50nm未満の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項14】
ソース接点(372)及びドレイン接点(374)を更に備え、前記電荷ゾーン(180)が、前記ソース接点(372)と前記ドレイン接点(374)との間に直列で配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項15】
ゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項16】
前記ゲート電極(370)が、領域においてのみ前記第2の層(120)に対向して配置されている、請求項15に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項17】
前記ゲート電極(370)と前記第2の層(120)との間に配置されている電気絶縁層(478)を更に備える、請求項15又は請求項16に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項18】
前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように、前記第2の材料(121)が強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態は第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、
前記ゲート電極(370)が、少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定し、少なくとも前記ゲート電極に対向する前記第2の層(120)の前記領域(324)において、第2の極性を有する第2の電圧を前記ゲート電極(370)に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するように構成されている、請求項15~17のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項19】
前記第2の材料(121)が、電圧が前記ゲート電極(370)に印加されていない前記電子部品の状態において、直近に設定された分極状態を維持するように構成されている、請求項18に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項20】
前記第1の材料の前記分極の前記方向が、前記第2の極性が負極性になるように配向されている、請求項18又は請求項19に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項21】
前記第2の層の前記第2の材料が、少なくとも領域において、前記1つの分極状態にある、請求項1~20のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項22】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記電子部品が、少なくとも領域において、前記第2の層の前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するように構成されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の電子部品の制御方法であって、
前記第2の層(120)の少なくとも1つの領域において、前記第2の材料(121)を前記1つの分極状態に設定する工程を含む、方法。
【請求項24】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記電子部品がゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置され、
前記第2の材料を前記第1の分極状態に設定する前記工程が、
少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
電子部品の製造方法(60、70)であって、
第1の層(110)及び第2の層(120)を配置する工程(61)を含み、
前記第2の層(120)の主面(122)が、前記第1の層(110)の主面(112)に対向して配置され、
前記第1の層(110)が第1の材料(111)を含み、前記第2の層(120)が第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)が少なくとも1つの分極状態を有し、
前記第1の材料(111)の分極が、第1の方向を向き、
電荷ゾーン(180)が前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿って形成されるように、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるときに導電性である、方法(60、70)。
【請求項26】
前記第1の層(110)及び前記第2の層(120)を配置する工程(61)が、前記第1の層及び前記第2の層を堆積することを含み、堆積することが、前記第1の層及び前記第2の層を堆積した後、前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるように行われる、請求項25に記載の方法(60)。
【請求項27】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、前記第1の層又は前記第2の層の前記主面(112、122)に少なくとも部分的に垂直である方向に、前記第2の材料(121)に電界を印加する工程(73)を更に含む、請求項25に記載の方法(70)。
【請求項28】
ゲート電極を配置する工程(72)であって、少なくとも領域において、前記第2の層(120)が前記第1の層と前記ゲート電極との間に配置される、工程(72)を更に含み、
前記第2の材料(121)に前記電界を印加する前記工程(73)が、電圧を前記ゲート電極に印加することによって実行される、請求項27に記載の方法(70)。
【請求項29】
前記第2の材料が、少なくとも領域において、前記第1の分極状態に設定された後、前記ゲート電極を少なくとも部分的に除去する工程(74)
を更に含む、請求項28に記載の方法(70)。
【請求項30】
前記ゲート電極を除去する工程(74)が、部分的にのみ行われ、前記電圧が第1の電圧であり、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するために、前記ゲート電極の前記部分的除去後、第2の電圧を前記ゲート電極に印加する工程(75)を更に含む、請求項29に記載の方法(70)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品、例えば、半導体構造に関する。いくつかの実施形態は、半導体ヘテロ構造に関する。更なる実施形態は、電子部品の製造方法、例えば、半導体構造の製造方法に関する。更なる実施形態は、電子部品の制御方法に関する。
【0002】
いくつかの実施例は、導電率が改善された半導体デバイスに関する。
いくつかの実施例は、例えば、コンバータ又は電力増幅器で使用するための高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)に関する。
【背景技術】
【0003】
効率と電力密度の向上は、DC/DC、DC/AC、及びAC/DC用途のコンバータの開発にとって必須の推進要因の1つである。具体的には、サーバファームの分野では、必要な冷却能力は、PCBレベルでの供給電圧の変換損失に直接依存する。自動車分野では、パワーエレクトロニクス部品のモータ統合は、放熱及び長期信頼性の需要増と共に電力密度を増加させる。したがって、近年、広バンドギャップ半導体、例えば、炭化ケイ素(SiC)又はGaN、AlN、及びInNなどのIII族窒化物(III-N)、並びにその第三級化合物に基づく部品が普及しつつある。これらの半導体部品は、電子の単極導電性を利用することにより、両極部品と比較して切換損失を大幅に低減させ、オン状態損失よりもバックグラウンドに減衰させることができる。したがって、将来の部品のロードマップは、現時点では、部品の最小の利用可能な面積固有抵抗によって実質上決定される。600V辺りの阻止電圧領域では、現時点では、GaN HEMTトランジスタに基づき、1mOhm*cm未満の面積固有順抵抗が達成される。
【0004】
広バンドギャップ半導体部品の超高電荷担体密度は、極性III族窒化物の境界面に二次元電子ガス(2DEG)を形成することによって達成される[1]。2DEGの形成の原因は、2つの材料の分極の不連続性である。次いで、分極は、使用される材料の結晶構造に起因し、自発分極及び圧電分極を含む。いくつかの材料、例えば、ウルツ鉱型構造を有する材料の大きさ及び符号に関する研究[3]~[6]が存在する。従来のアプローチによって生成される2DEGの電荷密度は、6×1013/cmの電子密度に相当する最大10μC/cm程度の大きさの値を達成する[2]。
【発明の概要】
【0005】
最初に述べた目的を考慮して、高い導電率を有する電子部品が望ましいであろう。
発明者らは、ヘテロ層構造の第1の層及び第2の層が、第1の層の極性の第1の材料の分極が第2の層の極性の第2の材料の分極と少なくとも部分的に反対になるように形成される場合、電子部品のヘテロ層構造においてヘテロ層構造の境界面に沿って特に高い導電率を有する電荷ゾーンが形成され得ることを見出した。
【0006】
本発明の一実施形態は、例えば、半導体ヘテロ構造、例えば、ヘテロ層構造を有する電子部品を提供する。電子部品は、第1の層及び第2の層を含む。第1の層の主面、例えば、主面領域は、第2の層の主面、例えば、主面領域に対向して配置される。第1の層は分極された第1の材料を含み、第2の層は分極された第2の材料を含み、第2の材料は、第1の材料と区別することができ、例えば、第1の材料のバンドギャップとは異なるバンドギャップを有する。分極された材料は、例えば、電気的に分極された材料、例えば、極性結晶構造を有する材料を意味すると理解される。分極された材料の例は、強誘電性材料を含む焦電材料を含む。第1の材料の分極は、第1の方向を向く。第2の材料は、少なくとも1つの分極状態、すなわち、分極された状態を有し、すなわち、第2の材料は、例えば、第2の材料の分極の方向によって特徴付けられる少なくとも1つの分極された状態であることができる。1つの分極状態は、単独の状態(例えば、第2の材料の永久的な状態)であってもよく、又は第2の材料の複数の分極状態のうちの1つであってもよい。例えば、複数の可能な分極状態のうちの第1の分極状態に対応する、少なくとも第2の材料の1つの第2の分極状態方向では、第2の材料の分極の方向は、第1の方向と少なくとも部分的に反対であるか、又は第1の方向に少なくとも部分的に逆平行である。第2の層は、少なくとも分極状態において、少なくとも第2の材料が分極状態であるときに導電性である電荷ゾーンが、第1の層及び/又は第2の層の主面に沿って形成されるように構成される。電荷ゾーンは、例えば、第1の層に、第2の層に、又は第1の層と第2の層との間に位置することができる、例えば、2DEGなどの二次元空乏領域である。
【0007】
第1の材料と第2の材料は両方とも分極されるため、電荷ゾーンは第1及び/又は第2の層の主面に沿って形成することができ、当該電荷ゾーンは、実施例では数ナノメートルまで主面に垂直な方向に制限される。2DEGとも称される、一次元に制限されるこのような電荷ゾーンでは、電荷担体の可動性も非常に高くすることができ、その結果、高い導電率が達成される。第1又は第2の層の主面に垂直な方向の電荷ゾーンの小寸法のため、電荷ゾーンにおける電荷担体密度は、例えば、電界から非常に効率的に影響され得る。このことは、比率較的小さい電界で超高電流を切り換えることができる、例えば、コンバータ用のトランジスタを実装する可能性を提供する。
【0008】
2DEGを生成するため、従来の層は、両方の層の分極が同一の方向を向くように堆積されている。理論的な計算上、これはこれらの構造にとって最適な構成であり、更には、分極が反対方向を向く構造よりも製造し易いと仮定することが可能であった[1]。しかしながら、発明者らは、2つの層内の2つの材料の分極が反対である場合に、より高い電荷担体密度を達成できることを見出した。本発明の実施例では、従来技術と比較して25倍増加した電荷担体密度を、電荷ゾーンにおいて生成することができる。その結果、例えば、このようなヘテロ構造に基づくHEMTの電力損失を大幅に低減することができる。
【0009】
発明者らは、複数の分極された材料の場合に達成され得、その効果の大きさは、使用される材料の分極の大きさに依存し得ることを見出した。言い換えれば、2つの層の分極が反対に配向される2つの構造の状態が生成される限り、極性材料、例えば、ウルツ鉱型構造を有する材料を含む2つの層の全てのヘテロ構造にとって、電荷担体密度の増加の効果を期待することができる。この状態は、実施例では、好適な堆積プロセスによって達成することができる。更なる実施例では、この状態は、2つの層の一方の分極が反転される、又は分極の当該層の分極が、電界の印加によってこれらの層の他の層と少なくとも部分的に反対となるように少なくとも変更されるために達成することができる。
【0010】
実施形態では、第1の材料はウルツ鉱型結晶構造を有し、第2の材料はウルツ鉱型結晶構造を有する。ウルツ鉱型結晶構造を有する材料は、極性であり、第1の層と第2の層との間の分極の不連続性を生成するのに特に適しており、その結果、高い電荷担体密度を有する二次元電子ガスの生成を達成することができる。更に、これらの材料は高バンドギャップを有する傾向があり、その結果、パワーエレクトロニクス部品に特に適する。第1の材料と第2の材料の両方がウルツ鉱型結晶構造を有するため、第1及び第2の層を含む層構造は、導電率にプラスの影響を及ぼす、欠陥の特に少ない方法で製造することができる。
【0011】
実施形態では、電荷ゾーンにおける電荷担体密度は、第1の材料が1つの分極状態にあるとき、1012cm-2超、又は1013cm-2超、又は6×1013cm-2である。
【0012】
本発明の更なる実施形態は、例えば、半導体ヘテロ構造、例えば、ヘテロ層構造を有する電子部品を提供する。電子部品は、第1の層及び第2の層を備える。第1の層の主面、例えば、主面領域は、第2の層の主面、例えば、主面領域に対向して配置される。第1の層は、ウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料を含む。第1の材料の分極は、第1の方向を向く。例えば、第1の方向は、第1及び/又は第2の層の主面に垂直である。第2の層は、ウルツ鉱型結晶構造を有する第2の材料を含む。例えば、第2の材料は第1の材料とは異なり、例えば、第2の材料は、第1の材料のバンドギャップと異なるバンドギャップを有する。第2の材料は、強誘電性である。第2の材料の分極の方向は、少なくとも1つの分極状態、例えば、所定の分極状態などの複数の可能な分極状態のうちの第1の分極状態では、第1の方向と少なくとも部分的に反対である。実施例では、第2の材料は、例えば、電界によって分極状態である、又は分極状態に設定することができる。第2の材料は、遷移金属を含む。例えば、第2の材料は、複数の材料の化合物からなり、そのうち少なくとも1つは遷移金属である。電子部品の実施例は、上記実施形態に関連して記載される機能及び利点を有する。
【0013】
ウルツ鉱型結晶構造を有する材料は極性であるが、電荷ゾーンは、第1の層及び/又は第2の層の主面に沿って形成することができる。第2の材料に対して少なくとも部分的に反対である第1の材料の分極により、第1の層と第2の層との間の分極の不連続性が特に強く発現され、その結果、特に高い電荷担体密度をこの電荷ゾーンで生成することができる。強誘電性材料は、電界を印加することによって分極の配向を変更することができるという特性を有し、電界が印加されなくなっても分極の配向が維持される。第2の材料の分極の配向の変更は、第1の層と第2の層との間の分極の不連続性の発現に影響を及ぼす。よって、このようにして、電荷ゾーンにおける電荷担体密度を設定することができる。したがって、強誘電性材料の使用は、分極状態を設定することによって、電荷ゾーンの導電率を制御することを可能にし得る。追加的に、第2の材料の分極方向を変更できることは、電子部品の簡易な製造プロセスを可能にし、第1及び第2の層の分極方向が相互に少なくとも部分的に反対になる。例えば、第1及び第2の層は、第1及び第2の層の分極を整合させる方法によって製造することができる。このように、例えば、電界によって、第2の層の分極方向を遡及的に変更することにより、電荷ゾーンにおける高い伝導率を達成することが可能になる。
【0014】
分極方向を変更するのに必要な強誘電性材料の電界強度は、保持力とも称される。発明者らは、遷移金属を含む材料が、遷移金属を含まない対応する材料よりも低い保持力を有する傾向があることを見出した。具体的には、遷移金属を含む材料の保持力は、破壊電界強度未満であり得、それにより、これらの材料は強誘電性であり得る。例えば、遷移金属を含むIII族窒化化合物は、対応する純粋なIII族窒化化合物とは対照的に、強誘電性であり得る。
【0015】
上述の実施形態の有利な実施例を以下に説明する。
実施例では、第1の材料が1つの分極状態にあるとき、第1の層及び/又は第2の層に沿った電荷ゾーン、例えば、上記実施形態の電荷ゾーンにおける電荷担体密度は、1012cm-2超又は1013cm-2超又は6×1013cm-2超である。電荷担体密度が1012cm-2超である場合、電荷ゾーンは導電性である。電荷担体密度が6×1013cm-2超である場合、特に高い導電率、例えば、従来技術から既知な解決策における導電率よりも高い導電率を有する。
【0016】
実施例では、第1の材料は、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である。代替的に又は追加的に、本実施例では、第2の材料は、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である。III族窒化化合物は、高バンドギャップを有する傾向がある。よって、半導体部品、例えば、HEMTは、III族窒化化合の使用により、特に低い損失で構成することができる。
【0017】
実施例では、第2の材料は、1つ以上のIII族元素を含み、更に遷移金属を含む窒素化合物である。発明者らは、遷移金属を更に含むIII族窒素化合物の複数の材料が強誘電性であることを見出した。よって、強誘電性材料の使用の利点は、大きなバンドギャップという利点と組み合わせることができる。
【0018】
実施例では、窒素化合物における遷移金属の化学量論比率は、第2の材料の窒素化合物中の1つ以上のIII族元素の総化学量論比率の10%~50%である。発明者らは、このような比率の遷移金属が第2の材料の特に高い分極を確実にし得ることを見出した。よって、高い電荷担体密度は、電荷ゾーンにおいて第1の層及び/又は第2の層の主面に沿って達成することができる。10%超の比率により、第2の材料が強誘電性であることを確実にすることができる。
【0019】
実施例では、第1の材料は、GaN、GaScN、AlScN、AlN、InGaN、InGaScN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである。代替的に又は追加的に、本実施例では、第2の材料は、AlscN、AlGaScN、GaScN、AlN、AlGaN、AlMgNbN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである。これらの材料は、高いバンドギャップと大きい分極との特に良好な組合せを提供する。
【0020】
実施例では、第2の材料と第1の材料(第2の材料/第1の材料)の組合せは、AlScN/GaN、AlScN/GaScN、AlGaScN/GaN、GaScN/AlScN、GaScN/AlN、AlScN/InGaN、AlScN/InGaScN、AlMgNbN/GaNのうちの1つである。これらの組合せは、第1の材料及び第2の材料のバンドギャップの比率、及び電荷ゾーンにおける高電荷担体密度を形成するための第1の材料と第2の材料の分極(組合せに依存し得る)のため、特に適する。更に、これらの材料組合せは、少なくとも第1及び第2の材料の分極方向が同一であるように、確立された製造方法によって確実に製造することができる。任意選択的に、第1の材料と第2の材料は、類似の格子定数を有するように選択することができる。よって、電子部品の製造プロセスは特に簡易にすることができ、電荷ゾーンにおける導電率のプラスの効果を有し得る、欠陥のほとんどない第1の材料及び第2の材料の主面を達成することができる。
【0021】
実施例では、第2の材料は、第2の材料の分極の方向を変更できるように強誘電性である。第2の材料の分極の方向が第1の方向と少なくとも部分的に反対である1つの分極状態、すなわち、上述の分極状態は、第1の分極状態である。第2の材料の第2の分極状態では、第2の材料の分極の方向が、第1の方向に少なくとも部分的に整合され、例えば、第1の方向と少なくとも部分的に平行である。「少なくとも部分的に整合され」とは、分極が、第1の方向を向く方向成分を含むことを意味すると理解されたい。第1の層及び/又は第2の層の主面に沿った電荷ゾーンにおける電荷担体密度は、第1及び第2の層の分極が少なくとも部分的に整合されるときよりも、第1及び第2の層の分極が少なくとも部分的に反対であるときにより高くなるため、第1の分極状態と第2の分極状態との間で変化させることにより、電荷ゾーンの導電率を高い値と低い値との間で変化させることができる。これにより、切換可能な電子部品の実装が可能になる。第2の材料の分極の方向を変更することができるため、電子部品は、第2の材料の分極が第1の領域内で第1の方向を向き、第2の領域内で第2の方向を向くように実装し、それにより、異なる導電率の領域を実装することができる。その結果、例えば、伝導チャネルを画定することができる。更に、本実施例は、強誘電性の第2の材料に関して上述の利点を有する。
【0022】
実施例では、第1の層及び/又は第2の層の主面に沿った電荷ゾーンにおける電荷担体密度は、第2の材料が第2の分極状態であるときよりも、第2の材料が第1の分極状態であるときにより高くなる。すなわち、例えば、第2の材料及び/又は第1の材料は、この効果が生じるように構成される。このことは、例えば、上記材料を用いて達成することができる。
【0023】
実施例では、電子部品は、第1の層と第2の層との間に配置され、ウルツ鉱型結晶構造を有する第3の層を更に備える。第3の層は、第3の層が、例えば、第1の層又は第1の層の主面において第2の層から離間するように電荷ゾーンの位置を変更することができる(電荷ゾーンはまた第3の層に延在することができる)。第1の層は、実施例では、エピタキシャルに生成されているため、ほとんど欠陥を生じ得ない。いくつかの実施例では、第1の層と第2の層が直接隣接する配置と比べて、第1の層と第2の層との間の第3の層は、第1の層及び/又は第2の層の主面における表面欠陥の数を低減することができる。それにより、より高い導電率が達成される。更に、第2の層は、第1の層と第2の層の格子定数の差を補償することができる。実施例では、第1の層及び/又は第2の層の分極を増加させることができる。
【0024】
実施例では、第2の層は、50nm未満、又は30nm未満、又は10nm未満の厚さを有する。50nm未満の層厚は、中程度の強度の電界を用いて、第1の分極状態と第2の分極状態との間の変化を達成することができる。更に、50nm未満の層厚は、第2の層の主面に対向する第2の層の更なる主面上に配置される接点、例えば、ソース及びドレインを用いて電荷ゾーンに接触することを可能にする。その結果、簡易な接触の実行が可能である。50nm未満の層厚は更に、第2の層の更なる主面に対向するゲート電極の比較的低いゲート電圧で、電荷ゾーンにおける電荷担体密度を制御することを可能にする。
【0025】
実施例では、電子部品は、ソース接点及びドレイン接点を更に備え、電荷ゾーンは、ソース接点とドレイン接点との間で直列に、すなわち、例えば電気的に直列に配置される。これにより、電荷ゾーンを伝導チャネルとして使用することが可能になる。
【0026】
実施例では、電子部品は、ゲート電極を更に備える。ゲート電極は、第2の層が第1の層とゲート電極との間に配置されるように配置される。ゲート電極に電圧を印加することにより、電荷ゾーンの電荷担体密度、したがって、導電率を制御することが可能になる。
【0027】
実施例では、ゲート電極は、領域、例えば、ゲート電極の横方向範囲に関する領域においてのみ、第2の層に対向して配置される。この場合、横方向は、第2の層に沿った、例えば、第2の層に平行な方向を意味すると理解することができる。これにより、領域において又は局所的に異なる、電荷ゾーンにおける電荷担体密度を達成することができる。
【0028】
実施例では、電子部品は、ゲート電極と第2の層との間に配置される電気絶縁層を更に備える。よって、ゲート電極から第2の層への電荷担体の進入を防止することができ、その結果、ゲート電極と電荷ゾーンとの間の漏れ電流を防止することができる。追加的に又は代替的に、第2の層の酸化は、当該層によって防止することができる。
【0029】
実施例では、第2の材料は強誘電性であり、それにより、第2の材料の分極の方向を変更することができ、第2の材料の1つの分極状態は第1の分極状態である。第2の材料の第2の分極状態では、第2の材料の分極の方向は、第1の方向に少なくとも部分的に整合される。ゲート電極は、少なくともゲート電極に対向する第2の層の領域において、第1の極性の第1の電圧をゲート電極に印加することによって、第2の材料を第1の分極状態に設定するように構成される。更に、ゲート電極は、少なくともゲート電極に対向する第2の層の領域において、第2の極性を有する第2の電圧をゲート電極に印加することによって、第2の材料を第2の分極状態に設定するように構成される。「設定する」とは、例えば、分極状態の設定後、設定された分極状態、例えば、電圧がゲート電極にもはや印加されない場合には第1又は第2の分極状態が維持されることを意味すると理解することができる。ゲート電極への電圧の印加は、例えば、ゲート電極と第1の層との間に電圧を印加するか、又は例えば、ソース接点又はドレイン接点を介して、ゲート電極と電荷ゾーンとの間に電圧を印加することによって行うことができる。よって、ゲート電極は、第2の材料の分極状態を変化させ、ひいては、ゲート電極に対向する電荷ゾーンの領域における電荷担体密度を設定することができる。例えば、ソース接点とドレイン接点との間の伝導チャネルの導電率は、ゲート電極によって設定することができる。
【0030】
実施例では、第2の材料は、電圧がゲート電極に印加されていない電子部品の状態では、直近に設定された分極状態、例えば、第1の分極状態又は第2の分極状態を維持する、すなわち、例えば、少なくとも実質上維持するように構成される。「分極状態を維持すること」は、例えば、第1の方向と少なくとも部分的に反対である分極方向が、第1の方向と少なくとも部分的に反対なままであり、第1の方向に少なくとも部分的に整合される分極方向が、少なくとも部分的に整合されたままであることを意味する。これはまた、強誘電性である第2の材料を用いて達成することができる。ゲート電圧を印加せずに分極状態を維持することは、エネルギー効率の良い動作を可能にし、例えば、漏れ電流が防止される。
【0031】
実施例では、第1の材料の分極の方向は、第2の電圧の第2の極性が負極性になるように配向される。よって、第2の極性の電圧の印加は、電荷ゾーンにおける電子密度の低減につながる電界効果をもたらすことができる。
【0032】
本発明の更なる実施形態は、第2の層(120)の少なくとも1つの領域において、第2の材料(121)を1つの分極状態に設定することを含む、電子部品の制御方法を提供する。その結果、電荷ゾーンにおける高導電率は、電子部品に関して上述したように実現することができる。具体的には、このことは、製造後、第1及び第2の材料の分極が整合されるという利点を提供する。
【0033】
本発明の更なる実施形態は、電子部品、例えば、先行する実施形態のいずれか1つによる構成要素の製造方法を提供する。本方法は、第2の層の主面が第1の層の主面に対向して配置されるように、第1の層及び第2の層を配置することを含む。第1の層は第1の材料を備え、第2の層は第2の材料を備える。第2の材料は、少なくとも1つの分極状態を有する。配置は、第1の材料の分極が第1の方向を向くように実行される。配置は更に、少なくとも1つの分極状態、例えば、第2の材料の所定の分極状態における第2の材料の分極の方向が、第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーンが第1の層及び/又は第2の層の主面に沿って形成されるように行われ、当該電荷ゾーンは、少なくとも第2の材料が分極状態であるときに導電性である。
【0034】
実施例では、第1の層及び第2の層の配置は、第1の層及び第2の層の配置後に第2の材料が1つの分極状態であるように実行される。
【0035】
実施例では、第2の材料は強誘電性であり、それにより、第2の材料の分極の方向を変更することができ、第2の材料の1つの分極状態は第1の分極状態である。第2の材料の第2の分極状態では、第2の材料の分極の方向は、第1の方向に少なくとも部分的に整合される。更に、本方法は、少なくとも領域において、第2の材料を第1の分極状態に設定するため、第1又は第2の層の主面に少なくとも部分的に垂直である方向に、電界を第2の材料に印加する工程を含む。本実施例は、第1の層及び第2の層を配置するために既知の方法を使用することができるという利点を提供し、この方法は実行し易く、この方法によって、第1及び第2の層の主面が少数の表面欠陥を有するように第1の層及び第2の層を配置することができる。
【0036】
実施例では、本方法は、少なくとも領域において、第2の層が第1の層とゲート電極との間に配置されるようにゲート電極を配置することを更に含む。更に、第2の材料への電界の印加は、電圧をゲート電極に印加することによって実行される。
【0037】
実施例では、本方法は、少なくとも領域において、第2の材料が第1の分極状態に設定された後、ゲート電極を少なくとも部分的に除去することを更に含む。ゲート電極を少なくとも部分的に除去することで、ゲート電極の残りの部分に対向する領域において第2の材料の分極状態を設定するために、電圧を印加するためのゲート電極を使用することができる一方、ゲート電極の除去部分に対向する第2の材料の領域は、第1の分極状態のままである。よって、電荷ゾーンにおける電荷担体密度を領域内で設定することができる。更に、ソース接点及びドレイン接点から電気的に絶縁されるようにゲート電極を配置することを確実にすることができる。同様に、ゲート電極の低容量を達成することができる。
【0038】
実施例では、ゲート電極は部分的にのみ除去され、第1の分極状態を設定する電圧は第1の電圧である。更に、本方法は、少なくとも領域において、例えば、ゲート電極の部分的除去後に残るゲート電極の部分に対向する領域において、第2の材料を第2の分極状態に設定するため、ゲート電極の部分的除去後、第2の電圧をゲート電極に印加することを含む。よって、電荷ゾーンにおいて局所的に異なる電荷担体密度を生成することができる。
【0039】
本開示の実施例は、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】一実施形態による電子部品の概略図である。
図2】更なる実施形態による電子部品の概略図である。
図3】トランジスタである電子部品の一実施形態の概略図である。
図4】トランジスタである電子部品の一実施形態の概略図である。
図5】一実施形態によるHEMTの概略図である。
図6】一実施形態による電子部品の製造方法のフロー図である。
図7】更なる実施形態による電子部品の製造方法のフロー図である。
図8】一実施形態による電子部品の制御方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示の実施例を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。以下の説明では、本開示の実施例のより完全な説明を提供するために、いくつかの詳細を記載する。しかしながら、これらの具体的な詳細無しでも実施例を実施できることは、当業者にとって明らかである。説明される様々な実施例の特徴は、対応する組合せの特徴が相互に排他的でない、又はこのような組合せが明示的に除外されない限り、相互に組み合わせることができる。
【0042】
同一若しくは類似の要素、又は同じ機能を有する要素には、同一若しくは類似の参照符号が付されてもよく、又は同一の名称を有してもよく、同一若しくは類似の参照符号が付されているか、又は同一の名称を有する要素の繰り返しの説明は、典型的には省略されることに留意されたい。同一又は類似の参照符号を有するか、又は同一の名称を有する要素の説明は、相互に交換可能である。
【0043】
図1は、一実施形態による電子部品100の概略図である。電子部品100は、主面112を有する第1の層110を備える。更に、電子部品100は、主面122を有する第2の層120を含む。第2の層120の主面120は、第1の層110の主面112に対向して配置される。実施例では、図1に例として示されるように、主面122は、主面112に隣接して配置される。他の実施例では、主面122は、主面112から離間している。第1の層110は、分極された第1の材料111を含む。図1で矢印115によって示される第1の材料111の分極115は、第1の方向を向く。図1では、第1の方向は、例えば、分極が第2の層120の方向を向くように選択される。他の実施例では、第1の材料111の分極115は、例えば、図1に示す方向の反対の別の方向に向く。第2の層は、分極された第2の材料121を含む。第2の材料121は、少なくとも1つの分極状態を有する。当該1つの分極状態の一例を図1に示す。少なくとも第2の材料121の1つの分極状態において、分極方向125とも称される第2の材料121の分極125の方向は、第1の材料121の分極115の少なくとも部分的に反対である。第1の層110及び第2の層120は、電荷ゾーン180が主面112及び/又は主面122に沿って形成されるように構成される。電荷ゾーン180は、少なくとも第2の材料121が1つの分極状態であるときに導電性である。
【0044】
実施例では、第2の材料121は1つのみの分極状態を有し、第2の材料121はこの状態にある。他の実施例では例えば、第2の材料が強誘電性である場合、第2の材料121は少なくとも1つの第1の分極状態及び1つの第2の分極状態を有し、図1に示される1つの分極状態は、第1の分極状態に相当し得る。
【0045】
図1の実施例で示されるように、分極115及び分極125は、第1の主面112及び/又は第2の主面122に垂直である。他の実施例では、分極115及び/又は分極125は、第1の主面112及び/又は第2の主面122に垂直ではない。分極115の方向は、例えば、第1の材料111の極性方向に相当し、それに応じて、分極125の方向は、第2の材料121の極性方向に相当し得る。有利なことに、第1の材料111は、以下で分極方向115とも称される分極115の方向が、主面112に垂直な少なくとも1つのゼロでない成分を有するように配置される。同様に、材料121は、有利なことに、分極方向125が主面122に垂直な少なくとも1つのゼロでない成分を有するように配置される。
【0046】
実施例では、第1の層110及び第2の層120は、層構造の一部である。層構造の層の各々は、主面と主面に対向する更なる主面とを備えることができる。層の主面は、層構造の主方向に沿って平行に配置することができる。図1は、例として選択されたデカルト座標系を示し、それに従って第1の層110及び第2の層120が、z方向に沿って配置される。第1の層110及び第2の層120は、x-y面に平行に配置されてもよい。
【0047】
電荷ゾーン180は、図1に示されるように、例えば、第1の層110内である。他の実施例では、電荷ゾーン180は、第2の層120において、主面122に沿って形成される。主面112が主面142から離間される更なる実施例では、電荷ゾーン180は第1の層110と第2の層120との間に配置することができる。z方向の電荷ゾーン180の範囲は、実施例では非常に小さく、例えば、10nm未満又は数ナノメートル未満である。
【0048】
実施例では、第1の材料111はウルツ鉱型結晶構造を有し、第2の材料121もウルツ鉱型結晶構造を有する。ウルツ鉱型結晶構造は、極性であり得る。実施例では、第1の材料111の極軸は、第2の材料121の極軸と平行に配置することができる。
【0049】
図2は、更なる実施形態による電子部品200の概略図である。電子部品200は、主面112(第1の主面112とも称される)を有する第1の層110を備え、主面122(第2の主面122とも称される)を有する第2の層120を更に備える。主面122は、主面112に対向して配置される。第1の層110は、ウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料111を含む。第1の材料111の分極115は、第1の方向-第1の材料111の分極方向115を向く。第2の層120は、ウルツ鉱型結晶構造を有する第2の材料121を含む。第2の材料121は強誘電性であり、図2に示されるように、少なくとも1つの分極状態を有する。実施例では、第2の材料121は、少なくとも2つの分極状態を有する。図2に示されるような少なくとも第2の材料121の1つの分極状態では、第2の材料121の分極125の方向-第2の材料121の分極方向125-は、第1の材料111の分極方向115と少なくとも部分的に反対である。電子部品200では、第2の材料121は、遷移金属を含有する。
【0050】
実施例では、少なくとも1つの分極状態では、電荷ゾーン、例えば、図1の電荷ゾーン180による電荷ゾーンが、第1の主面112及び/又は第2の主面122に沿って形成される。
【0051】
電子部品100、並びに電子部品100に対する第1の層110、第2の層120、分極方向115、分極方向125、x、y、z方向、第1の材料111、第2の材料121、及び主面112、122の配置の説明は、電子部品200にも同様に適用することができる。言い換えれば、図1の電子部品100の特徴を参照して以下に説明される特徴は、任意選択的に、図1の電子部品100と図2の電子部品200の両方に関連し得る。
【0052】
第1の材料111及び第2の材料121の分極のため、第1の主面112での電位は、第1の層110の内部の電位から逸脱する可能性がある、及び/又は第2の主面122での電位は、第2の層120の内部の電位から逸脱する可能性がある。その結果、例えば、2DEGを構成する電荷ゾーン180を形成することができる。他の実施例では、電荷ゾーン180は、二次元ホールガスを構成することができる。
【0053】
例えば、その結果、第1の材料111と第2の材料121の分極の合計に基づいて、第1の分極方向115が第2の分極方向125と少なくとも部分的に反対である1つの分極状態において、第1の層110と第2の層120との間の境界面、例えば、主面112又は主面122で形成される2DEG、又は一般には電荷ゾーン180の電荷担体密度σが生じる。この場合、材料のうちの一方の分極は、自発分極及び/又は圧電分極及び/又は形式分極を含むことができる。
【0054】
部分的に反対である分極方向によって何倍も増加する、電荷ゾーン、例えば、2DEGにおける電荷担体密度のため、電子部品100、200で10分の1より小さい部品表面、又は任意選択的に10分の1より少ない電力損失を実現することができる。更に、より小さい部品表面及びより大きい勾配のため、より小さい部品容量及びより高いカットオフ周波数が可能になる。その結果、電子部品100、200は、6G+用途などのトランジスタ、例えば、HEMT、並びにSMPS及びIT(通信、コンピューティング、ストレージ)、軍事(基地局、RFエネルギー)、消費財、EV/HEV用のコンパクトなコンバータに特に良好に適する。
【0055】
例えば、第1の材料が分極状態であるとき、電荷ゾーン180における電荷担体密度は、1012cm-2超、又は1013cm-2超、又は6×1013cm-2超である。追加的に、実施例では、第1の材料が分極状態であるとき、電荷ゾーン180における電荷担体密度は、800×1012cm-2未満又は400×1013cm-2未満とすることができる。実施例では、電荷担体密度は、134×1013cm-2である。
【0056】
実施形態では、第1の材料が分極状態であるとき、電荷ゾーン180における電荷担体密度は、1013cm-2~800×1013cm-2、又は6×1013cm-2~800×1013cm-2、又は10×1013cm-2~800×1013cm-2、又は50×1013cm-2~400×1013cm-2である。
【0057】
高い電荷担体密度は、電荷ゾーン180の高導電率をもたらすことができる。第1の材料121としてGaNを含む実施例では、GaNにおける2DEGの導電率の理論的限界は、0.1mOhm*cm未満、又は600Vの電圧では、0.03mOhm*cm未満であり得る。
【0058】
実施例では、第1の材料111は、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である。この種の窒素化合物は、以下III族窒化化合物と称する。代替的に又は追加的に、第2の材料121は、III族窒化化合物である。
【0059】
実施例では、第2の材料121は、1つ以上のIII族元素を含み、遷移金属を更に含む窒素化合物である。
【0060】
実施例では、第2の材料121の窒素化合物における遷移金属の化学量論比率は、窒素化合物中の1つ以上のIII族元素及び遷移金属の総化学量論比率の10%~50%である。例えば、第2の材料は、化学式A(1-x)Nを有し、ただし、AはIII族元素又は複数の異なるIII族元素を表し、Tは遷移金属を表し、Nは窒素であり、xは0.1~0.5である。
【0061】
例えば、第2の材料121は、AlscN、AlGaScN、GaScN、AlN、AlGaN、AlMgNbN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである。追加的に又は代替的に、実施例では、第1の材料111は、GaN、GaScN、AlScN、AlN、InGaN、InGaScN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである。
【0062】
実施例では、第2の材料121と第1の材料111の組合せは、AlScN/GaN、AlScN/GaScN、AlGaScN/GaN、GaScN/AlScN、GaScN/AlN、AlScN/InGaN、AlScN/InGaScN、AlMgNbN/GaNのうちの1つである。
【0063】
実施例では、第1の材料111はGaNであり、第2の材料121はAlScNである。窒化アルミニウムスカンジウム及び窒化ガリウムは、高い自発分極を示す。更に、AlScNの格子定数は、GaN又はGaScNの格子定数と同様であり得るため、圧電分極は実施例では無視することができ、AlScNがGaNに隣接して配置される(又は第3の層によって分離される)とき、少なくともAlScNの分極全体を低減しない。よって、この材料組合せでは、高電荷担体密度と低欠陥密度が得られる。
【0064】
実施例では、第1の材料111はGaNであり、第2の材料121はAl(1-x)ScNであり、ただしx=0.18である。このスカンジウム部分の場合、第2の材料121の格子定数は、第1の材料111の格子定数と少なくともほぼ同じである。AlScN及びGaNの高い自発分極のため、電荷ゾーン180内に2DEGのための高電荷担体密度が生じる。
【0065】
言い換えれば、圧電分極が分からなければ、自発分極のみから、ウルツ鉱型構造を有する2つの異なる層の境界面で形成される2DEGの電荷密度を結論付けることは通常不可能である。しかしながら、発明者らは、材料AlScNの層とGaN層上の18%ScNの組合せが例外を構成することを見出した。2つの材料の格子定数は同一であるため[7]、2つの層の境界面で圧電分極は生じない。更に、2つの材料の自発分極は、実験データ又は正確な理論的計算のいずれかからほぼ既知である[3]、[4]。よって、GaN層上の18%AlScN層間の境界面で形成される2DEGの電荷担体密度σについては、両方の層が正の分極を有する、すなわち、例えば、整合された分極方向を有する従来の配置に従って基板上に堆積されるとき、ほぼ以下が適用されると言える。
式1
【0066】
よって、このようにして達成される電荷担体密度の大きさの程度は、従来技術に相当する。対照的に、例えば、図1に示されるように、1つの分極状態における第1の分極方向115及び第2の分極方向125の本発明による配向の場合、以下の値が得られる。
式2
したがって、このようにして生成される2DEGの電荷担体密度は、従来技術と比べて25倍増加する。
【0067】
このような考察は、GaN上の18%AlScNに適用されるだけではない。他の実施例では、第1の層110と第2の層120の材料の組合せは、複数の他の可能な材料の組合せのうちの1つ、例えば、上述のもののうちの1つである。この場合、電荷担体密度は、式2で計算された値よりも大きくても小さくてもよい。例えば、GaScN及びAlScNなどの化合物中の分極は、Sc含有量が増加するほど小さくなり、そのため式2の合計も小さくなるが、分極が完全に反転されるとき、第1の層、例えば、GaNの分極よりも大きくなる。実施例では、分極反転は、例えば、18%AlScNよりも大きな分極を有する純粋なAlNを用いることによって、従来技術の約10μC/cmから最大で式2で与えられる上記の値までの任意の電荷担体密度を達成することができる。実施例では、18%AlScNから進んで、第1の材料111及び/又は第2の材料121にとって更なる材料組合せを選択するために、III族-Nの材料特性の不変性[4]、[8]を利用することができる。
【0068】
図1の部品100の実施例では、第2の材料121は、図2の部品の場合と同様に、第2の材料121の分極125の方向を変更できるように強誘電性である。1つの分極状態では、第2の材料121の分極は例えば、図1に示される分極方向125を有し、第2の材料121の第1の分極状態及び第2の分極状態のこれらの実施例では、第2の材料121の分極の方向は、第1の方向に少なくとも部分的に整合される。いくつかの実施例では、第2の分極状態における第2の材料121の分極は、第1の分極方向125に平行であり得る。
【0069】
発明者らが最近発見したように、ウルツ鉱型構造を有する材料はまた強誘電性であり得る。強誘電性材料は、材料の分極が異なる方向を向く複数の分極状態をとることができる。強誘電性材料は、設定される分極の方向に少なくとも部分的に向く電界に材料がさらされるという点で、例えば、分極状態のうちの1つに設定することができる。この場合、結晶格子の変化が生じ得る。例えば、III族窒化化合物の材料は、1つの分極状態では、1つの分極方向を有する金属-極性配向を有することができ、更なる分極状態では、別の、例えば、反対の分極方向を有する窒素-極性配向を有することができる。
【0070】
強誘電性材料に関して本明細書に記載される効果はまた、実施例では、一般的には極性材料又は分極された材料によって、ウルツ鉱型構造とは異なる構造を有する他の材料で形成されるヘテロ構造によって実現することができる。
【0071】
実施例では、第1の層及び/又は第2の層の主面に沿った電荷ゾーン180における電荷担体密度は、第2の材料121が第2の分極状態であるときよりも、第2の材料121が第1の分極状態であるときにより高くなる。
【0072】
実施例では、第2の層は、50nm未満、又は30nm未満、又は10nm未満の厚さを有する。
【0073】
図3は、更なる実施形態による電子部品300の概略図である。電子部品300は、電子部品100、200の一方に基づく。例えば、電子部品300は、電子部品100、200のうちの一方に相当することができる。
【0074】
例えば、電子部品300は、第3の層330を備える。第3の層330は、第1の層110と第2の層120との間に配置される。例えば、第3の層330は、第1の層110の主面112に隣接して、及び第2の層120の主面122に隣接して配置することができる。
【0075】
実施例では、第1の層110の主面112で表面欠陥がほとんど形成されないように、第3の層330の材料の格子定数は第1の材料110の格子定数と同様であり得る。図3は、例として、第1の層110内の主面112に沿った電荷ゾーン180の配置を示す。第3の層330の配置により、電荷ゾーン180は、第2の層120から離間される。したがって、第3の層330のため、第1の材料111と第2の材料121の格子定数が異なる場合でも、欠陥の少ない境界面上の電荷ゾーン180の配置を達成することができる。その結果、電荷ゾーン180における高導電率を達成することができる。
【0076】
実施例では、電子部品300は、ソース接点372及びドレイン接点374を更に備える。電荷ゾーン180は、ソース接点172とドレイン接点374との間に直列に配置される。
【0077】
よって、電荷ゾーン180は、電荷ゾーン180の導電状態、例えば、第2の材料121の1つの又は第1の分極状態では、ソース接点372とドレイン接点374との間の電気接続を構成することができる。電子部品100、200は、例えば、トランジスタ又はトランジスタの一部、例えば、HEMTから形成することができる。実施例では、ソース接点372は、電子部品のソース領域によって提供することができる。実施例では、ドレイン接点372は、電子部品のドレイン領域によって提供することができる。
【0078】
例えば、ソース接点372及びドレイン接点174は、図3に示すように、第2の層120の主面142に対向する第2の層120の主面に隣接して配置することができる。言い換えれば、ソース接点372及びドレイン接点374は、z方向に第2の層120の上方に配置することができる。ソース接点372及びドレイン接点374のこのような配置は、50nm又は30nm又は10nm未満の厚さを有する第2の層120と組み合わせて特に有利であり得る。第2の層120の上方のソース接点372及びドレイン接点374の配置は、簡単な実装を可能にする。にもかかわらず、薄厚は、ソース接点372又はドレイン接点374と電荷ゾーン180との電気的接触を確保することを可能にする。しかしながら、例えば、第2の層120はまた、電荷ゾーン180との良好な電気的接触を可能にするため、ソース接点372及び/又はドレイン接点374に隣接する領域において薄くなる(ソース接点とドレイン接点との間の領域におけるよりも薄くなる)ように意図的に形成することができる。実施例では、第3の層は、ソース接点372及び/又はドレイン接点374に隣接する領域において完全に除去することができる。
【0079】
実施例では、電子部品300は、第2の層120が第1の層120とゲート電極370との間に配置されるように、ゲート電極370を更に備える。例えば、ゲート電極370は、電気的に接触する導電層によって実装される。
【0080】
ゲート電極370と第1の層110との間に電圧を印加することによって、第2の層120に電界を印加することができる。例えば、ゲート電極370と第1の層120上の接点との間に電圧を印加することができる。代替的に、電界がゲート電極と電荷ゾーン180との間に形成されるように、ゲート電極370とソース接点372又はドレイン接点374との間に電圧を印加することができる。この場合、電界の方向は、印加電圧の極性に依存し得る。第2の層120の材料121の極性は、特に、強誘電性である場合、印加電界に従って自身を整合させることができる。よって、ゲート電極370により、第1の極性を有する第1の電圧を印加することによって材料121を第1の分極状態に設定し、第2の極性を有する第2の電圧を印加することによって材料121を第2の分極状態に設定することが可能になる。図3は、第2の材料121の1つの又は第1の分極状態の分極方向125の一例を示す。更に、以下で分極方向125’とも称される、第2の材料121の第2の分極状態における分極125’の方向の一例を示す。図3に例として示される座標系によれば、分極方向のz成分は、第2の分極状態125’の分極方向のz成分と反対であり得る。
【0081】
ゲート電極370は、第1の層121の領域324に対向して配置することができ、それにより、領域324とゲート電極370は同一の横方向範囲を有する、例えば、一致する。
【0082】
ゲート電極370は、ソース接点372及びドレイン接点374の両方から離間させることができる。すなわち、ゲート電極は、ソース接点372とドレイン接点374との間に配置された領域の一部にわたって延在するように配置することができる。
【0083】
ゲート電極370と、例えば、ソース接点372又はドレイン接点374が接触することができる電荷ゾーン180との間に電圧を印加することによって、電荷ゾーン180に更に電界効果を生成することができる。この場合、電界効果により電荷ゾーンを導電状態と絶縁状態との間で変化させる、ゲート電極370と電荷ゾーン180との間の電圧を、閾値電圧と称することができる。
【0084】
実施例では、第2の材料121は強誘電性であり、それにより、第2の材料121の分極の方向を変更することができる。これらの実施例では、1つの分極状態、例えば、分極方向125を有する分極状態は、第2の材料121の第1の分極状態である。第2の材料121の第2の分極状態では、第2の材料121の分極の方向は、第1の方向、すなわち、第1の材料111の分極方向115に少なくとも部分的に整合される。ゲート電極370は、少なくともゲート電極370に対向する第2の層の領域324において、第1の極性を有する第1の電圧をゲート電極370に印加することによって第2の材料121を第1の分極状態に設定するように構成することができる。更に、ゲート電極370は、少なくともゲート電極に対向する第2の層の領域324において、第2の極性を有する第2の電圧をゲート電極370に印加することによって、第2の材料121を第2の分極状態に設定するように構成される。
【0085】
実施例では、第2の材料を第1及び第2の分極状態にそれぞれ設定するのに必要な第1及び第2の電圧(符号、すなわち、極性を考慮に入れる)は、閾値電圧よりも大きい。電界効果によって電荷ゾーンを損ない、電界を第2の材料に適用することを困難にすることなく、第2の材料の分極状態を第1及び第2の分極状態に設定することができるように確保することが可能である。
【0086】
分極状態を設定することにより、第2の層の領域324に対向する電荷ゾーン180の領域384における電荷ゾーン180の導電率を変更することが可能になる。領域324がソース接点372とドレイン接点374との間の横方向領域の一部を覆う実施例では、電荷ゾーン180の導電率は、横方向に、すなわち、局所的に変更することができる。よって、ゲート電極370によって覆われる領域324のサイズを選択することにより、第1の分極状態と第2の分極状態との間で変化する場合、電荷ゾーン180にわたるソース接点372とドレイン接点374との間で導電率がどの程度変化するかを設定することができる。
【0087】
したがって、実施例では、ゲート電極370は、領域において、例えば、横方向範囲に関する領域においてのみ、第2の層120に対向して配置される。
【0088】
例えば、第2の材料121は、領域324の外部に位置する第2の層120の領域326で、第1の分極状態又は第2の分極状態をとることができる。実施例では、第2の材料121は、領域326において第1の分極状態又は第2の分極状態をとり、更なる実施例では第2の分極状態をとることができる。第2の材料121が領域326内で第1の分極状態にある場合、第2の層120の更なる領域326に対向する電荷ゾーン180の領域386の導電率は、第2の材料121が更なる領域326内で第2の分極状態にある場合よりも高くすることができる。
【0089】
言い換えれば、導電層、例えば、ゲート電極370はまた、半導体構造の表面全体ではなく、一部のみを覆うように構成することができる。したがって、電荷担体密度は、広い間隔で局所的に決定することができ、他の領域での電荷担体密度と異ならせることができる。
【0090】
他の実施例では、領域324は、横方向、すなわち、図3のx方向及び/又はy方向に、ソース接点372からドレイン接点374まで延在することができ、ゲート電極370は、ソース接点372及びドレイン接点374から電気的に絶縁される。実施例では、ソース接点372とドレイン接点374との間の横方向領域の少なくとも80%が、ゲート電極370によって覆われる。
【0091】
第2の材料121が強誘電性である場合、第2の材料121は、電圧がもはやゲート電極370に印加されなくなっても、設定された分極状態にとどまることができる。言い換えれば、分極方向125、125’の設定は、分極状態が設定されたときにオフにすることができる電圧を一時的に印加することによって行うことができる。
【0092】
したがって、第2の材料121は、電圧がゲート電極370に印加されていない電子部品の状態では、直近に設定された分極状態、例えば、第1又は第2の分極状態を維持するように構成することができる。
【0093】
電圧がゲート電極370に印加されていない場合、電荷ゾーン180は、第2の材料121が第2の分極状態にあるときよりも、第2の材料121が第1の分極状態にあるときに高い導電率を有することができる。
【0094】
図1~3の第1の材料111の分極方向115は、一例として理解されるべきである。他の実施例では、分極方向115のz成分は、図示される方向の反対の方向を向く。したがって、これらの他の実施例では、分極方向125、125’のz成分もまた、図示される方向の反対の方向を向く。
【0095】
実施例では、第1の材料111及び第2の材料121は、電荷ゾーン180の導電率が電子によって確保されるように選択される。他の実施例では、第1の材料111及び第2の材料121は、電荷ゾーン180の導電率がホールによって確保されるように選択される。ゲート電極370と第1の層110との間、又はゲート電極370と電荷ゾーン180との間に電圧を印加することにより、電荷ゾーンにおける電圧の極性と電荷担体の種類に応じて、電荷ゾーン180内の電荷担体密度を増減することができる電界効果をもたらすことが可能になる。
【0096】
実施例では、第1の材料の分極の方向は、i第2の材料121を第2の分極状態に設定することができる第2の電圧の第2の極性が負極性になるように配向される。このことは、電荷ゾーン180内の大半の電荷担体が電子である場合に好都合である。よって、第2の電圧の印加は、電子密度、ひいては電荷ゾーンの導電率の低下に寄与する効果をもたらす。これらの実施例では、閾値電圧は、少なくとも第2の材料が第1の分極状態であるときに負であり得る。これらの実施例のうちの別の実施例では、閾値電圧は、第2の材料が第1又は第2の分極状態であるときに負である。
【0097】
図3のゲート電極370、ソース接点372及びドレイン接点374、並びに第3の層330の特徴は、一実施形態に基づく組合せで説明したが、これらの特徴は互いに独立して実現することもできる。具体的には、第3の層330は、例えば、電子部品100、200で、ゲート電極370、ソース接点372、及びドレイン接点374無しで実装することもできる。図3に示す実施形態と組み合わせることもできるソース接点372及びドレイン接点374の代替的な実施形態を図4に示す。
【0098】
図4は、電子部品300の代替的な実施形態の概略図である。本実施例では、ソース接点372及びドレイン接点374は、第1の層110の主面112に隣接して配置される。これは、図4に示されるような実施例において、電荷ゾーン180が第1の層110に配置され、ソース接点372及びドレイン接点374が電荷ゾーン180に特に近く、よって良好な電気接触が確保されるという利点を有することができる。
【0099】
実施例では、電子部品300は、ゲート電極370と第2の層120との間に配置される絶縁層478を更に備える。絶縁層478は、ゲート電極370を第2の層120から電気的に絶縁する。これにより、ゲート電極370と電荷ゾーン180との間の漏れ電流を防止することができる。絶縁層478はまた、図3に示される電子部品300の実施例と同様に実装することができる。
【0100】
言い換えれば、トランジスタとしての電子部品300の設計の場合、ソース及びドレイン電極は、直接又は層の一方を介して2DEGに接触するように、第1の層(図4)又は第2の層(図3)のいずれかに適用することができる。これらの電極は、Pt、Mo、Al、Ti、TiN、NbN、W、Ni、Au、又はドープドSiなどの導体から構成することができる。典型的には欠陥を受けるヘテロ構造の2つの層110、120間の境界面から2DEGをシフトさせるため、更なる薄結晶層、例えば、第3の層330を、ヘテロ構造の2つの層110、120の間に挿入することができ、第3の層もウルツ鉱型構造を有する。
【0101】
図5は、更なる実施形態によるHEMT500の概略図である。HEMT500の実施例は、上述の電子部品100、200、300のうちの1つに相当することができる。HEMT500は、第1の層110が基板590と第2の層120との間に配置されるように、第1の層110及び第2の層120に対向して配置される基板590を備える。更に、HEMT500は、第1の層110と基板590との間に配置される1つ以上の調整層592を含む。調整層590は、第1の層110の主面112に対向する第1の層110の更なる主面における欠陥及び/又は応力を低減又は防止することができるように、基板590と第1の層110の格子定数の調整をもたらすことができる。HEMT500は、第1の層110と第2の層120との間に配置される第3の層330を備える。電気的に絶縁性であってもよい終端層578が、ゲート電極370と第2の層120との間に配置される。ソース接点372及びドレイン接点374は、第1の層110の主面112に隣接して配置される。図示される実施例では、第1の層110の主面112に沿って位置する電荷ゾーン180が導電状態にある場合、ソース接点372とドレイン接点374は、電荷ゾーン180を介して電気的に接続される。
【0102】
図8は、図1図5による電子部品100、200、300、500の制御方法80のフロー図である。方法80は、第2の層120の少なくとも1つの領域において、第2の材料121を1つの分極状態に設定する工程81を含む。
【0103】
実施例では、工程81は、工程82を含むか、又はその手段によって実行することができる。工程82は、少なくともゲート電極370に対向する第2の層120の領域324において、第2の材料121を第1の分極状態に設定するために、第1の極性を有する第1の電圧をゲート電極に印加することを含む。
【0104】
実施例では、方法80は、少なくともゲート電極に対向する第2の層120の領域324において、第2の材料121を第2の分極状態に設定するために、第2の極性を有する第2の電圧をゲート電極370に印加する工程を更に含む。
【0105】
実施例では、図1図5による電子部品100、200、300、500は、ゲート電極370に印加される電圧を制御することによって方法80を実行することができる制御ユニットを備える。
【0106】
図6は、電子部品、例えば、電子部品100、200、300、500の製造方法60のフロー図である。方法60は、第1の層及び第2の層を配置する工程61を含む。配置61は、第2の層120の主面122が第1の層110の主面112に対向して配置されるように行われる。更に、配置61は、第1の層110が第1の材料111を含み、第2の層120が第2の材料121を含むように行われる。第2の材料121は、少なくとも1つの分極状態を有する。配置61は、第1の材料111の分極が第1の方向を向き、第2の材料121の分極の方向が、少なくとも第2の材料121の1つの分極状態において、第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーン180が第1の層110及び/又は第2の層120の主面112、122に沿って形成され、当該電荷ゾーンが、少なくとも第2の材料121が1つの分極状態であるときに導電性であるように行われる。
【0107】
実施例では、第1の層110及び第2の層120の配置61は、第1の層及び第2の層を堆積する工程を含む。実施例では、第1に、第1の層110が堆積され、第2の層120が第1の層110上に堆積され、第2の層120の堆積前に、1つ以上の更なる層、例えば、第3の層330を第1の層110上に堆積することができる。他の実施例では、第1に、第2の層120が堆積され、第1の層110が第2の層120上に堆積され、第1の層110の堆積前に、1つ以上の更なる層、例えば、第3の層330を堆積することができる。
【0108】
実施例では、堆積は、第1の層及び第2の層の堆積後、第2の材料121が1つの分極状態であるように行うことができる。
【0109】
これらの実施例では、堆積プロセスによって、第2の材料121の分極方向125が第1の材料の分極方向115と少なくとも部分的に反対であることを達成することが可能である。
【0110】
言い換えれば、分極方向の反転は、堆積プロセスのコンテキストでは、ウルツ鉱型構造を有する2つの層の境界において(例えば、酸素、マグネシウムケイ素、又はゲルマニウムを短時間提供することによって)欠陥が生じるために起こり得る。
【0111】
図7は、一実施形態による方法70のフロー図である。方法70は、方法60の一例であってもよい。これらの実施例では、第2の材料121は強誘電性であり、それにより、第2の材料の分極の方向を変更することができる。これらの実施例では、第2の材料の少なくとも1つの分極状態は、第1の分極状態である。第2の材料121の第2の分極状態では、第2の材料121の分極の方向は、第1の方向に少なくとも部分的に整合される。これらの実施例では、配置61は、少なくとも領域において、第2の材料121を第1の分極状態を設定するために、第1の層110又は第2の層120の主面112に少なくとも部分的に垂直な方向に電界を第2の材料121に印加する工程73を更に含む。
【0112】
例えば、配置61は、第1の層110及び第2の層120を堆積する工程を含み、図6を参照して説明されるように、堆積は、第1の材料111の分極方向115と第2の材料の分極方向125、125’とが少なくとも部分的に整合される、すなわち、第2の材料が第2の分極状態であるように行われる。工程73は、例えば、例えば、第1及び第2の層の堆積後に配置することができるゲート電極を用いて実行され得る。
【0113】
したがって、実施例では、方法70の配置61は、少なくとも領域において、ゲート電極370を配置する工程72を更に含むことができる。工程72は、第2の層120が第1の層110とゲート電極370との間に配置されるように実行される。好都合なことに、工程72は、工程73の前に行うことができる。
【0114】
本方法が工程74を含む場合、ゲート電極を配置する工程72は、ゲート電極がソース接点からドレイン接点までの領域にわたって延在するように実行することができる。よって、工程73では、第2の材料が第1の分極状態に設定されるように確保することができ、よって、ソース接点からドレイン接点までの領域全体にわたって高導電率を達成することができる。工程73で、電荷ゾーンが電界を印加するために使用される場合、ゲート電極370は、工程72で、ソース接点及びドレイン接点から電気的に絶縁されるように配置することができる。
【0115】
任意選択的に、方法70の工程61は、工程72で配置されたゲート電極を少なくとも部分的に除去する工程74を更に含む。例えば、ゲート電極がソース接点及びドレイン接点から電気的に絶縁されるように除去を行うことができる。
【0116】
図3を参照すると、ゲート電極370に対向する領域324の外側にある領域326において、第2の材料121に第1の分極状態をとらせることができる。領域324内の第2の材料121は、第1又は第2の分極状態に設定することができ、したがって、電荷ゾーン180の導電率は、工程74の後、図3でゲート電極370で示されるゲート電極の残りの部分に電界を印加することによって増減させることができる。ゲート電極を部分的に除去することにより、確実にゲート電極をソース接点及びドレイン接点から電気的に絶縁することができる。更に、ゲート電極の静電容量を、結果として低減することができる。
【0117】
実施例では、工程74は、ゲート電極が部分的にのみ除去されるように、例えば、工程74の後、ゲート電極、例えば、ゲート電極370の残りの部分が、第2の層120に対向して配置されるように行われる。これらの実施例では、工程61は、ゲート電極の部分的除去後、少なくとも領域において、例えば、ゲート電極73の残りの部分に対向する領域324において、第2の材料121を第2の分極状態に設定するために、第2の電圧をゲート電極370に印加する工程75を更に含むことができる。
【0118】
よって、第2の材料は、第2の層120の領域324において第2の分極状態をとり、第2の層の更なる領域326において第1の分極状態をとることができる。
【0119】
図6の方法60と図7の方法70は、電子部品100、200、300、500の製造方法に適し得る。すなわち、方法60、70は、図1~5を参照して説明される特徴及び効果が、例えば、状態及び配置に関して達成されるように構成することができる。
【0120】
言い換えれば、強誘電効果は、第1及び第2の層の相対的分極方向の反転をもたらす可能性をなす。この種の強誘電効果は、AlScNで観察され、GaScN、及びAlMgNbNなどの他の混合結晶でも予測され得る[9]、[10]。この効果は、例えば、金属-極性(あるいは、窒素-極性)配向を有するウルツ鉱型構造を有する2つの層のヘテロ構造を堆積させることを可能にする。上側層(あるいは下側層)の分極は、強誘電効果によって反転させることができる。式2によると、このように生成されたヘテロ構造は、著しく増加した導電率を有する。電圧の印加は、例えば、導電層、例えば、Pt、Mo、Al、Ti、TiN、NbN、Ni、Au、又はSi(又は導電基板、例えば、ドープドSi若しくはGaN)が、2DEGとは反対側を向く強誘電性層の表面と接触させられるという点で達成することができる。引き続いて、この導電層と2DEGを介して、強誘電性層の他方の側に電圧を印加することができる。この電圧は、強誘電効果によって分極を反転させ、2DEGの電荷担体密度を増加させる。引き続いて、例えば、2DEGを制御するためのゲート電極を画定するために、導電層を再度除去する、又はより小さくすることができる。
【0121】
更なる実施形態を以下に説明する。
一実施形態は、基板と、基板に塗布され、ウルツ鉱型構造を有する結晶層と、第1の層に塗布され、ウルツ鉱型構造を有し、その分極が第1の層の分極と反対に配向される更なる結晶層とからなる構造を形成する。
【0122】
この構造の実施例では、2つの層間の境界面に沿った導電率は、両方の層の分極が同一の方向を向く構造よりも高くなる。
実施例では、電荷担体密度は、6×1013cm-2~164×1013cm-2の値を有する。
【0123】
実施例では、2つの層のうちの少なくとも一方は、強誘電性である。
実施例では、2つの層のうちの少なくとも一方は、III族窒化物である。
実施例では、2つの層のうちの少なくとも一方は、遷移金属を更に含む。
【0124】
実施例では、第2の層は、50nmよりも薄い。
実施例では、ウルツ鉱型構造を有する更なる層は、第1の層と第2の層との間に配置される。
実施例では、ゲート、ソース、及びドレイン電極は、第2の層に適用される。
【0125】
実施例では、ソース及びドレイン電極は第1の層に適用され、ゲート電極は第2の層に適用される。
実施例では、更なる絶縁層は、ゲートと第2の層との間に位置する。
実施例では、遷移金属部分は、III族元素の10~50%である。
【0126】
一実施形態は、ウルツ鉱型構造を有する第2の結晶層が、ウルツ鉱型構造を有する第1の結晶層に塗布され、2つの層の分極が同一の方向を向き、2つの層のうちの少なくとも一方が強誘電性である、方法を提供する。更に、本方法の場合、2つの層間の境界面の導電率は、強誘電性層の一方に電圧を印加し、分極を反転させることによって高められる。
【0127】
一実施形態は、ウルツ鉱型構造を有する第2の結晶層が、ウルツ鉱型構造を有する第1の結晶層に塗布され、2つの層の分極が同一の方向を向き、第2の層が強誘電性であり、導電層が、(その後貼付される)ソース電極とドレイン電極の位置間の距離の少なくとも80%を覆う強誘電性層に貼付され、層間の境界面の導電率が、電圧の導電層への印加と分極の反転とによって高められ、導電層がその後、少なくとも部分的に除去される方法を提供する。
【0128】
一実施形態は、ウルツ鉱型構造を有する第2の結晶層が、ウルツ鉱型構造を有する第1の結晶層に塗布され、2つの層の分極が同一の方向を向き、第2の層が強誘電性であり、請求項2及び3のいずれかによる強誘電性層の分極が反転されており、低い導電率を達成するために強誘電性層の分極がゲート電極によってふたたび反転され、2DEGを更に空乏化させるため電圧がゲート電極に印加される方法を提供する。
【0129】
本開示のいくつかの態様はデバイスに関連する特徴として説明されているが、このような説明は、対応する方法の特徴の説明と考えることもできることは明らかである。いくつかの態様は方法に関連する特徴として説明されているが、このような説明は、デバイス又はデバイスの機能の対応する特徴の説明と考えることもできることは明らかである。
【0130】
前述の詳細な説明では、本開示を合理的に説明するため、異なる特徴を実施例でまとめている場合がある。この種の開示は、特許請求される実施例が、各請求項で明示的に指定された特徴よりも多くの特徴を含むことを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、主題は、単一の開示された実施例の全ての特徴よりも少ない数で見出すことができる。したがって、以下の請求項はそれにより、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個々の別個の実施例とみなすこともできる。各請求項はそれ自体別個の実施例として成り立つことができるが、特許請求の範囲の従属請求項は、1つ以上の他の請求項との特定の組合せに言及しているものの、他の実施例は、従属請求項と他の全ての従属請求項の主題との組合せ、又は全ての特徴と他の従属若しくは独立請求項との組合せも含むことに留意されたい。このような組合せは、特定の組合せが意図されないと述べられていない限り含まれる。更に、1つの請求項の特徴とあらゆる他の独立請求項の組合せは、この請求項が独立請求項に直接従属しない場合でも含めるべきであることが意図される。
【0131】
上述の実施形態は、本開示の原理の単なる例示である。当然ながら、本明細書に記載される配置及び詳細の修正及び変形は、他の当業者にとって明らかであろう。したがって、本開示は、実施形態の記載及び説明に基づいて本明細書で提示されている具体的な詳細ではなく、単に以下の請求項の保護範囲によって限定されるべきであると意図される。
【0132】
参考文献
[1]O.Ambacher et al.,「Two-dimensional electron gases induced by spontaneous and piezoelectric polarization charges in N-and Ga-face AlGaN/GaN heterostructures」,J.Appl.Phys.,vol.85,no.6,pp.3222-3233,1999,doi:10.1063/1.369664
【0133】
[2]K.Frei et al.,「Investigation of growth parameters for ScAlN-barrier HEMT structure by plasmaーassisted MBE」,Jpn.J.Appl.Phys.,vol.58,p.SC1045,2019,doi:10.7567/1347-4065/ab124f
【0134】
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【0135】
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【0139】
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【0140】
[9]M.Uehara,T.Mizuno,Y.Aida,H.Yamada,K.Umeda,及びM.Akiyama,「Increase in the piezoelectric response of scandium-doped gallium nitride thin films sputtered using a metal interlayer for piezo MEMS」,Appl.Phys.Lett.,vol.114,no.012902,2019,doi:10.1063/1.5066613
【0141】
[10]M.Uehara et al.,「Giant increase in piezoelectric coefficient of AlN by Mg-Nb simultaneous addition and multiple chemical states of Nb」,Appl.Phys.Lett.,vol.111,no.11,p.112901,2017.

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(100、300、500)であって、
前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に隣接して配置される、又は
前記電子部品が、ウルツ鉱型結晶構造を有し、前記第1の層(110)と前記第2の層(120)との間に、前記第1の層の前記主面(112)に隣接して、及び前記第2の層の前記主面(112)に隣接して配置される第3の層(330)を備え、
前記第1の層(110)が、ウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)が、前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が前記第1の方向と少なくとも部分的に反対である1つの分極状態において、ウルツ鉱型結晶構造を有する第2の材料(121)を含み、電荷ゾーン(180)が、前記第1の層及び/又は前記第2の層の前記主面(112、122)に沿って形成され、前記電荷ゾーンが導電性である、電子部品(100、300、500)。
【請求項2】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極(125)の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)iの前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項3】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(100、300、500)であって、
前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に隣接して配置され、
前記電子部品が、ウルツ鉱型結晶構造を有し、前記第1の層(110)と前記第2の層(120)との間で、前記第1の層の前記主面(112)及び前記第2の層の前記主面(112)に隣接して配置されている第3の層(330)を備え、
前記第1の層(110)がウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)が、ウルツ鉱型結晶構造を有し、少なくとも1つの分極状態を有する第2の材料(121)を含み、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態における前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーン(180)が、前記第1の層及び/又は前記第2の層の前記主面(112、122)に沿って形成され、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるとき導電性であり、
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記電子部品が、少なくとも領域において、前記第2の層の前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するように構成されている、電子部品(100、300、500)。
【請求項4】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、前記第2の材料(121)が前記第2の分極状態であるときよりも前記第2の材料(121)が前記第1の分極状態であるときにより高くなる、請求項10に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項5】
ゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置され、
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、
前記ゲート電極(370)が、少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定し、少なくとも前記ゲート電極に対向する前記第2の層(120)の前記領域(324)において、第2の極性を有する第2の電圧を前記ゲート電極(370)に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するように構成されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項6】
前記第2の材料(121)が、電圧が前記ゲート電極(370)に印加されていない前記電子部品の状態において、直近に設定された分極状態を維持するように構成されている、請求項5に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項7】
前記第1の材料の前記分極の前記方向が、前記第2の極性が負極性になるように配向されている、請求項5又は請求項6に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項8】
ゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置されている、請求項1~5に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項9】
前記ゲート電極(370)が、領域においてのみ前記第2の層(120)に対向して配置されている、請求項8に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項10】
前記ゲート電極(370)と前記第2の層(120)との間に配置されている電気絶縁層(478)を更に備える、請求項5~9に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項11】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、
1012cm-2超、若しくは1013cm-2超、若しくは6×1013cm-2超であるか、又は
1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは6×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは10×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲であり、
前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項12】
第1の材料(111)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物であり、及び/又は前記第2の材料(121)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項13】
前記第2の材料(121)が、1つ以上のIII族元素を含み、遷移金属を更に含む窒素化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項14】
前記第2の材料(121)の窒素化合物中の前記遷移金属の化学量論比率が、前記窒素化合物中の前記1つ以上のIII族元素と前記遷移金属の総化学量論比率の10%~50%である、請求項6に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項15】
前記第1の材料(111)が、GaN、GaScN、AlScN、AlN、InGaN、InGaScN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、及び/又は
前記第2の材料(121)が、AlscN、AlGaScN、GaScN、AlN、AlGaN、AlMgNbN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項16】
前記第2の材料(121)/前記第1の材料(111)の組合せが、AlScN/GaN、AlScN/GaScN、AlGaScN/GaN、GaScN/AlScN、GaScN/AlN、AlScN/InGaN、AlScN/InGaScN、AlMgNbN/GaNのうちの1つである、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項17】
前記第2の層(120)が、50nm未満の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項18】
ソース接点(372)及びドレイン接点(374)を更に備え、前記電荷ゾーン(180)が、前記ソース接点(372)と前記ドレイン接点(374)との間に直列で配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項19】
請求項2に記載の電子部品の制御方法であって、
前記第2の層(120)の少なくとも1つの領域において、前記第2の材料(121)を前記1つの分極状態に設定する工程を含む、方法。
【請求項20】
前記電子部品がゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置され、
前記第2の材料を前記第1の分極状態に設定する前記工程が、少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加する工程を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電子部品の製造方法(60、70)であって、
第1の層(110)及び第2の層(120)を配置する工程(61)を含み、
前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に隣接して配置され、
前記第1の層(110)の主面(112)が、ウルツ鉱型結晶構造を有する前記電子部品の第3の層(330)に隣接して配置され、前記第2の層の主面(122)が、前記第3の層に隣接して配置され、
前記第1の層(110)が第1の材料(111)を含み、前記第2の層(120)が第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)が少なくとも1つの分極状態を有し、
前記第1の材料(111)の分極が、第1の方向を向き、
前記第2の材料が、少なくとも領域において、前記1つの分極状態にあり、電荷ゾーン(180)が前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿って形成されるように、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるときに導電性である、方法(60、70)。
【請求項22】
前記第1の層(110)及び前記第2の層(120)を配置する工程(61)が、前記第1の層及び前記第2の層を堆積することを含み、堆積することが、前記第1の層及び前記第2の層を堆積した後、前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるように行われる、請求項21に記載の方法(60)。
【請求項23】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、前記第1の層又は前記第2の層の前記主面(112、122)に少なくとも部分的に垂直である方向に、前記第2の材料(121)に電界を印加する工程(73)を更に含む、請求項21に記載の方法(70)。
【請求項24】
ゲート電極を配置する工程(72)であって、少なくとも領域において、前記第2の層(120)が前記第1の層と前記ゲート電極との間に配置される、工程を更に含み、
前記第2の材料(121)に前記電界を印加する前記工程(73)が、電圧を前記ゲート電極に印加することによって実行される、
請求項23に記載の方法(70)。
【請求項25】
前記第2の材料が、少なくとも領域において前記第1の分極状態に設定された後、前記ゲート電極を少なくとも部分的に除去する工程(74)を更に含む、
請求項24に記載の方法(70)。
【請求項26】
前記ゲート電極を除去する工程(74)が、部分的にのみ行われ、前記電圧が第1の電圧であり、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するために、前記ゲート電極の前記部分的除去後、第2の電圧を前記ゲート電極に印加する工程(75)を更に含む、請求項25に記載の方法(70)。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(100、300、500)であって、前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に対向して配置され、
前記第1の層(110)が分極された第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)が分極された第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が前記第1の方向と少なくとも部分的に反対である1つの分極状態において、電荷ゾーン(180)が前記第1の層及び/又は前記第2の層の前記主面(112、122)に沿って形成され、前記電荷ゾーンが導電性である、電子部品(100、300、500)。
【請求項2】
前記第1の材料(111)がウルツ鉱型結晶構造を有し、前記第2の材料(121)がウルツ鉱型結晶構造を有する、請求項1に記載の電子部品(100、300、500)。
【請求項3】
第1の層(110)及び第2の層(120)を備える電子部品(200、300、500)であって、前記第1の層(110)の主面(112)が、前記第2の層(120)の主面(122)に対向して配置され、
前記第1の層(110)がウルツ鉱型結晶構造を有する第1の材料(111)を含み、前記第1の材料の分極(115)が第1の方向を向き、
前記第2の層(120)がウルツ鉱型結晶構造を有する第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)が遷移金属を含み、前記第2の材料(121)が強誘電性であり、少なくとも1つの分極状態を有し、前記第2の材料(121)の分極(125)の方向が、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態において、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、電荷ゾーン(180)が前記第1の層及び/又は第2の層の前記主面(112、122)に沿って形成され、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるときに導電性であり、
前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、
前記電子部品が、少なくとも領域において、前記第2の層の前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するように構成されている、電子部品(200、300、500)。
【請求項4】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、
1012cm-2超、若しくは1013cm-2超、若しくは6×1013cm-2超であるか、又は
1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは6×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲、若しくは10×1013cm-2~800×1013cm-2の範囲であり、
前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項5】
第1の材料(111)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物であり、及び/又は前記第2の材料(121)が、少なくとも1つのIII族元素を含む窒素化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項6】
前記第2の材料(121)が、1つ以上のIII族元素を含み、遷移金属を更に含む窒素化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項7】
前記第2の材料(121)の窒素化合物中の前記遷移金属の化学量論比率が、前記窒素化合物中の前記1つ以上のIII族元素と前記遷移金属の総化学量論比率の10%~50%である、請求項6に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項8】
前記第1の材料(111)が、GaN、GaScN、AlScN、AlN、InGaN、InGaScN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、及び/又は
前記第2の材料(121)が、AlscN、AlGaScN、GaScN、AlN、AlGaN、AlMgNbN、AlGaN、AlGaScNのうちの1つである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項9】
前記第2の材料(121)/前記第1の材料(111)の組合せが、AlScN/GaN、AlScN/GaScN、AlGaScN/GaN、GaScN/AlScN、GaScN/AlN、AlScN/InGaN、AlScN/InGaScN、AlMgNbN/GaNのうちの1つである、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項10】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極(125)の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)iの前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項11】
前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿った電荷ゾーン(180)の電荷担体密度が、前記第2の材料(121)が前記第2の分極状態であるときよりも前記第2の材料(121)が前記第1の分極状態であるときにより高くなる、請求項10に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項12】
前記第1の層(110)と前記第2の層(120)との間に配置され、ウルツ鉱型結晶構造を有する第3の層(330)を更に備える、請求項2~11のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項13】
前記第2の層(120)が、50nm未満の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項14】
ソース接点(372)及びドレイン接点(374)を更に備え、前記電荷ゾーン(180)が、前記ソース接点(372)と前記ドレイン接点(374)との間に直列で配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項15】
ゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項16】
前記ゲート電極(370)が、領域においてのみ前記第2の層(120)に対向して配置されている、請求項15に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項17】
前記ゲート電極(370)と前記第2の層(120)との間に配置されている電気絶縁層(478)を更に備える、請求項15又は請求項16に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項18】
前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように、前記第2の材料(121)が強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態は第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、
前記ゲート電極(370)が、少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定し、少なくとも前記ゲート電極に対向する前記第2の層(120)の前記領域(324)において、第2の極性を有する第2の電圧を前記ゲート電極(370)に印加することによって前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するように構成されている、請求項15~17のいずれか一項に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項19】
前記第2の材料(121)が、電圧が前記ゲート電極(370)に印加されていない前記電子部品の状態において、直近に設定された分極状態を維持するように構成されている、請求項18に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項20】
前記第1の材料の前記分極の前記方向が、前記第2の極性が負極性になるように配向されている、請求項18又は請求項19に記載の電子部品(100、200、300、500)。
【請求項21】
請求項1~22のいずれか一項に記載の電子部品の制御方法であって、
前記第2の層(120)の少なくとも1つの領域において、前記第2の材料(121)を前記1つの分極状態に設定する工程を含む、方法。
【請求項22】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記電子部品がゲート電極(370)を更に備え、前記第2の層(120)が、前記第1の層(110)と前記ゲート電極(370)との間に配置され、
前記第2の材料を前記第1の分極状態に設定する前記工程が、
少なくとも前記ゲート電極(370)に対向する前記第2の層(120)の領域(324)において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、第1の極性を有する第1の電圧を前記ゲート電極に印加する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
電子部品の製造方法(60、70)であって、
第1の層(110)及び第2の層(120)を配置する工程(61)を含み、
前記第2の層(120)の主面(122)が、前記第1の層(110)の主面(112)に対向して配置され、
前記第1の層(110)が第1の材料(111)を含み、前記第2の層(120)が第2の材料(121)を含み、前記第2の材料(121)が少なくとも1つの分極状態を有し、
前記第1の材料(111)の分極が、第1の方向を向き、
電荷ゾーン(180)が前記第1の層(110)及び/又は前記第2の層(120)の前記主面(112、122)に沿って形成されるように、少なくとも前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向と少なくとも部分的に反対であり、前記電荷ゾーンが、少なくとも前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるときに導電性である、方法(60、70)。
【請求項24】
前記第1の層(110)及び前記第2の層(120)を配置する工程(61)が、前記第1の層及び前記第2の層を堆積することを含み、堆積することが、前記第1の層及び前記第2の層を堆積した後、前記第2の材料(121)が前記1つの分極状態であるように行われる、請求項23に記載の方法(60)。
【請求項25】
前記第2の材料(121)が、前記第2の材料(121)の分極の前記方向を変更できるように強誘電性であり、前記第2の材料(121)の前記1つの分極状態が第1の分極状態であり、前記第2の材料(121)の第2の分極状態における前記第2の材料(121)の前記分極の前記方向が、前記第1の方向に少なくとも部分的に整合され、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第1の分極状態に設定するために、前記第1の層又は前記第2の層の前記主面(112、122)に少なくとも部分的に垂直である方向に、前記第2の材料(121)に電界を印加する工程(73)を更に含む、請求項23に記載の方法(70)。
【請求項26】
ゲート電極を配置する工程(72)であって、少なくとも領域において、前記第2の層(120)が前記第1の層と前記ゲート電極との間に配置される、工程を更に含み、
前記第2の材料(121)に前記電界を印加する前記工程(73)が、電圧を前記ゲート電極に印加することによって実行される、請求項25に記載の方法(70)。
【請求項27】
前記第2の材料が、少なくとも領域において前記第1の分極状態に設定された後、前記ゲート電極を少なくとも部分的に除去する工程(74)を更に含む、
請求項26に記載の方法(70)。
【請求項28】
前記ゲート電極を除去する工程(74)が、部分的にのみ行われ、前記電圧が第1の電圧であり、前記方法が、
少なくとも領域において、前記第2の材料(121)を前記第2の分極状態に設定するために、前記ゲート電極の前記部分的除去後、第2の電圧を前記ゲート電極に印加する工程(75)を更に含む、請求項27に記載の方法(70)。
【国際調査報告】