IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】太陽電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/57 20230101AFI20240307BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240307BHJP
【FI】
H10K30/57
H10K30/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554022
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 KR2022002445
(87)【国際公開番号】W WO2022191464
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0031592
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェホ
(72)【発明者】
【氏名】ファン チョルジュ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251AA07
5F251AA16
5F251AA20
5F251CA12
5F251CA14
5F251CB12
5F251CB27
5F251DA03
5F251DA07
5F251DA16
5F251FA02
5F251FA04
5F251XA01
(57)【要約】
本発明は、半導体基板、前記半導体基板の一面上に具備された第1半導体層、前記第1半導体層の一面上に具備された第2半導体層、前記第2半導体層の一面上に具備された第3半導体層、前記第3半導体層の一面上に具備された第1透明導電層、および前記第1透明導電層の一面上に具備された第1電極を含み、前記第2半導体層はp型半導体層からなり、前記第3半導体層はWを含むp+型半導体層からなる太陽電池およびその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板、
前記半導体基板の一面上に具備された第1半導体層、
前記第1半導体層の一面上に具備された第2半導体層、
前記第2半導体層の一面上に具備された第3半導体層、
前記第3半導体層の一面上に具備された第1透明導電層、および
前記第1透明導電層の一面上に具備された第1電極を含み、
前記第2半導体層がp型半導体物質を含んでなり、前記第3半導体層はWを含むp型半導体物質を含んでなる太陽電池。
【請求項2】
前記第3半導体層のバンドギャップが、前記第2半導体層のバンドギャップよりも小さく、前記第3半導体層の価電子帯最大エネルギーレベルは、前記第2半導体層の価電子帯最大エネルギーレベルより低い、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1透明導電層が、インジウムを含む透明酸化膜からなる、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1半導体層が、真性非晶質シリコン層からなる、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記半導体基板の他面上に具備された第4半導体層、
前記第4半導体層の他面上に具備された第5半導体層、
前記第5半導体層の他面上に具備された第2透明導電層、および
前記第2透明導電層の他面上に具備された第2電極をさらに含み、
前記第5半導体層が、Snを含むn型半導体物質を含んでなる、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第4半導体層が、真性非晶質シリコン層からなり、
前記第4半導体層と前記第5半導体層の間にn型非晶質シリコン層がさらに具備されていて、
前記第5半導体層のバンドギャップは、前記n型非晶質シリコン層のバンドギャップより大きく、前記第5半導体層の伝導帯最小エネルギーレベルは、n型非晶質シリコン層の伝導帯最小エネルギーレベルよりも高い、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第5半導体層の厚さが、10Å~100Åの範囲で形成され、前記第2透明導電層の厚さは、100Å~500Åの範囲で形成された、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2透明導電層が、インジウムを含む透明酸化膜からなり、前記透明酸化膜内におけるインジウムの濃度は、1原子%~5原子%の範囲である、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1透明導電層が、インジウムを含む透明酸化膜からなり、前記第1透明導電層に含まれるインジウムの含有量は、前記第2透明導電層に含まれるインジウムの含有量より多い、請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2透明導電層と前記第2電極の間に具備されたペロブスカイト太陽電池をさらに含み、
前記ペロブスカイト太陽電池が、
前記第2透明導電層と接する正孔輸送層からなる第1導電性電荷伝達層、
前記第1導電性電荷伝達層上に具備されたペロブスカイト化合物からなる光吸収層、および
前記光吸収層上に具備された電子輸送層からなる第2導電性電荷伝達層を含んでなる、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項11】
半導体基板の一面上に第1半導体層を形成する工程、
前記第1半導体層の一面上に第2半導体層を形成する工程、
前記第2半導体層の一面上に第3半導体層を形成する工程、
前記第3半導体層の一面上に第1透明導電層を形成する工程、および
前記第1透明導電層上に第1電極を形成する工程を含み、
前記第3半導体層を形成する工程が、Wを含むp型半導体物質を形成する工程を含み、
前記第3半導体層の形成工程及び前記第1透明導電層の形成工程は、同一の工程装置内で行われる連続工程からなる太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記第1透明導電層を形成する工程が、インジウムを含む透明酸化膜を形成する工程からなる、請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記半導体基板の他面上に第4半導体層を形成する工程、
前記第4半導体層の他面上に第5半導体層を形成する工程、
前記第5半導体層の他面上に第2透明導電層を形成する工程、および
前記第2透明導電層の他面上に第2電極を形成する工程をさらに含み、
前記第5半導体層を形成する工程が、Snを含むn型半導体物質を形成する工程を含み、
前記第5半導体層の形成工程及び前記第2透明導電層の形成工程は、同一の工程装置内で行われる連続工程からなる、請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第5半導体層の形成工程が、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入してSnOを形成する工程からなり、
前記第2透明導電層の形成工程は、前記チャンバ内に前記Snを含む材料、前記Oを含む材料、およびインジウムを含む材料を投入してインジウムを含む透明酸化膜を形成する工程からなる、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記第5半導体層の形成工程及び前記第2透明導電層の形成工程が、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入してSnO層を形成した後、そこにインジウムをさらにドーピングすることにより、インジウムがドーピングされないSnO層からなる前記第5半導体層と前記インジウムをドーピングして前記インジウムを含む透明酸化膜からなる前記第2透明導電層を形成する工程からなる、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記第4半導体層の形成工程と前記第5半導体層の形成工程の間に、n型非晶質シリコン層を形成する工程をさらに含み、
前記第4半導体層の形成工程および前記n型非晶質シリコン層の形成工程が、同一の工程装置内で行われる連続工程からなる、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記第2透明導電層と前記第2電極の間にペロブスカイト太陽電池を形成する工程をさらに含み、
前記ペロブスカイト太陽電池を形成する工程が、
前記第2透明導電層と接する正孔輸送層からなる第1導電性電荷伝達層を形成する工程、
前記第1導電性電荷伝達層上にペロブスカイト化合物からなる光吸収層を形成する工程、および
前記光吸収層上に電子輸送層からなる第2導電性電荷伝達層を形成する工程を含んでなる、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に関するもので、特に半導体基板を用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池は、半導体基板上に複数の半導体層を形成して製造される。
【0003】
例えば、従来の太陽電池は、半導体基板の一面上に形成されたp型半導体層、半導体基板の他面上に形成されたn型半導体層、及び前記p型半導体層上に形成された透明導電層を含んでなる。
【0004】
従来の太陽電池の場合、前記p型半導体層としてp型非晶質シリコン層を用いたが、この場合、p型非晶質シリコンのバンドギャップが大きく、太陽電池の開放電圧(Open-Circuit Voltage;Voc)が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するために考案されたものであり、本発明は、p型半導体層と透明導電層の間にp+型半導体層をさらに形成することにより、開放電圧を高めることができる太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は半導体基板、前記半導体基板の一面上に具備された第1半導体層、前記第1半導体層の一面上に具備された第2半導体層、前記第2半導体層の一面上に具備された第3半導体層、前記第3半導体層の一面上に具備された第1透明導電層、および前記第1透明導電層の一面上に具備された第1電極を含み、前記第2半導体層はp型半導体物質を含んでなり、前記第3半導体層は、Wを含むp型半導体物質を含んでなる太陽電池を提供する。
【0007】
前記第3半導体層のバンドギャップは、前記第2半導体層のバンドギャップよりも小さく、前記第3半導体層の価電子帯(valence band)最大エネルギーレベルは、前記第2半導体層の価電子帯最大エネルギーレベルより低くてもよい。
【0008】
前記第1透明導電層は、インジウムを含む透明酸化膜からなることができる。
【0009】
前記第1半導体層は、真性非晶質シリコン層からなることができる。
【0010】
前記半導体基板の他面上に具備された第4半導体層、前記第4半導体層の他面上に具備された第5半導体層、前記第5半導体層の他面上に具備された第2透明導電層、および前記第2透明導電層の他面上に具備された第2電極をさらに含み、前記第5半導体層は、Snを含むn型半導体物質を含んでなることができる。
【0011】
前記第4半導体層は真性非晶質シリコン層からなり、前記第4半導体層と前記第5半導体層の間にn型非晶質シリコン層がさらに具備されていて、前記第5半導体層のバンドギャップは、前記n型非晶質シリコン層のバンドギャップより大きく、前記第5半導体層の伝導帯(conduction band)最小エネルギーレベルは、前記n型非晶質シリコン層の伝導帯最小エネルギーレベルより高くてもよい。
【0012】
前記第5半導体層の厚さは、10Å~100Åの範囲で形成され、前記第2透明導電層の厚さは、100Å~500Åの範囲で形成することができる。
【0013】
前記第2透明導電層は、インジウムを含む透明酸化膜からなり、前記透明酸化膜内のインジウム濃度は、1原子%~5原子%の範囲であり得る。
【0014】
前記第1透明導電層は、インジウムを含む透明酸化膜からなり、前記第1透明導電層に含まれるインジウムの含有量は、前記第2透明導電層に含まれるインジウムの含有量よりも多くてもよい。
【0015】
前記第2透明導電層と前記第2電極の間に具備されたペロブスカイト太陽電池をさらに含み、前記ペロブスカイト太陽電池は、前記第2透明導電層と接する正孔輸送層からなる第1導電性電荷伝達層、前記第1導電性電荷伝達層上に具備されたペロブスカイト化合物からなる光吸収層、および前記光吸収層上に具備された電子輸送層からなる第2導電性電荷伝達層を含むことができる。
【0016】
本発明はまた、半導体基板の一面上に第1半導体層を形成する工程、前記第1半導体層の一面上に第2半導体層を形成する工程、前記第2半導体層の一面上に第3半導体層を形成する工程、前記第3半導体層の一面上に第1透明導電層を形成する工程、および前記第1透明導電層上に第1電極を形成する工程を含み、前記第3半導体層を形成する工程は、Wを含むp型半導体物質を形成する工程を含み、前記第3半導体層の形成工程および第1透明導電層の形成工程は、同一の工程装置内で行われる連続工程からなる太陽電池の製造方法を提供する。
【0017】
前記第1透明導電層を形成する工程は、インジウムを含む透明酸化膜を形成する工程からなることができる。
【0018】
前記半導体基板の他面上に第4半導体層を形成する工程、前記第4半導体層の他面上に第5半導体層を形成する工程、前記第5半導体層の他面上に第2透明導電層を形成する工程、および前記第2透明導電層の他面上に第2電極を形成する工程をさらに含み、前記第5半導体層を形成する工程は、Snを含むn型半導体物質を形成する工程を含み、前記第5半導体層の形成工程および第2透明導電層の形成工程は、同一の工程装置内で行われる連続工程からなることができる。
【0019】
前記第5半導体層の形成工程は、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入してSnOを形成する工程からなり、前記第2透明導電層の形成工程は、前記チャンバ内で前記Snを含む材料、前記Oを含む材料、およびインジウムを含む材料を投入してインジウムを含む透明酸化膜を形成する工程からなることができる。
【0020】
前記第5半導体層の形成工程及び前記第2透明導電層の形成工程は、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入してSnO層を形成した後、ここにインジウムをさらにドーピングすることにより、インジウムがドーピングされないSnO層からなる前記第5半導体層と前記インジウムがドーピングされ、前記インジウムを含む透明酸化膜からなる前記第2透明導電層を形成する工程からなることができる。
【0021】
前記第4半導体層の形成工程と前記第5半導体層の形成工程の間に、n型非晶質シリコン層を形成する工程をさらに含み、前記第4半導体層の形成工程及び前記n型非晶質シリコン層の形成工程は、同一の工程装置内で行われる連続工程からなることができる。
【0022】
前記第2透明導電層と前記第2電極の間にペロブスカイト太陽電池を形成する工程をさらに含み、前記ペロブスカイト太陽電池を形成する工程は、前記第2透明導電層と接する正孔輸送層からなる第1導電性電荷伝達層を形成する工程、前記第1導電性電荷伝達層上にペロブスカイト化合物からなる光吸収層を形成する工程、および前記光吸収層上に電子輸送層からなる第2導電性電荷伝達層を形成する工程を含んでなることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のような本発明によれば、次のような効果がある。
【0024】
本発明の一実施例によれば、p型半導体層からなる第2半導体層と第1透明導電層の間にWを含むp+型半導体層をさらに形成することにより、太陽電池の開放電圧を高めることができる。
【0025】
また、本発明の一実施例によれば、第3半導体層がWOを含み、第1透明導電層をインジウムがドーピングされたWOを含むことにより、前記第3半導体層と前記第1透明導電層を同一の工程装置内で連続工程で形成することができる利点がある。
【0026】
また、本発明の一実施例によれば、n型半導体層からなる第5半導体層がバンドギャップの大きいSnOを含んでなるため、太陽電池の開放電圧を高めることができ、前記第5半導体層上に形成された第2透明導電層がインジウムがドーピングされたSnOを含むことにより、前記第5半導体層と前記第2透明導電層を同一の装置内で連続工程で形成できるという利点がある。
【0027】
また、本発明の一実施例によれば、n型半導体層からなる第5半導体層が電気伝導度に優れたSnOを含んでなるため、前記第5半導体層上に形成される第2透明導電層の厚さを減らしても、電気抵抗が大きくなる問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による太陽電池の断面図である。
図2】本発明の他の実施例による太陽電池の断面図である。
図3】本発明のまた他の実施例による太陽電池の断面図である。
図4】本発明のまた他の実施例による太陽電池の断面図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図5C図5Cは、本発明の一実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図6A図6Aは、本発明の他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図6B図6Bは、本発明の他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図6C図6Cは、本発明の他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図7A図7Aは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図7B図7Bは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図7C図7Cは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図7D図7Dは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図8A図8Aは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図8B図8Bは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図8C図8Cは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
図8D図8Dは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点および特徴、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述される実施例を参照することによって明らかになるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現されるものであり、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に、発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は特許請求の範囲によって定義されるだけである。
【0030】
本発明の実施例を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明が図に示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。なお、本発明の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略することにする。本発明上で言及する「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0031】
構成要素を解釈するにおいて、別途の明示的な記載がなくても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0032】
位置関係に対する説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されていない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0033】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続き」、「~の次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されていない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0034】
第1、第2などは、様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0035】
本発明のいくつかの実施例の各々の特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各実施例は互いに対して独立して実施することもでき、連関関係で一緒に実施することもできる。
【0036】
以下、図を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施例による太陽電池の断面図である。
【0038】
図1から分かるように、本発明の一実施例による太陽電池は、半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第1透明導電層310、第2透明導電層320、第1電極410及び第2電極420を含んでなる。
【0039】
前記半導体基板100は、n型半導体ウエハからなることができる。前記半導体基板100の一面と他面、詳細には下面と上面は、凸凹構造に形成することができる。それによって、前記半導体基板100の一面上に積層される多数の層、および前記半導体基板100の他面上に積層される多数の層は、前記半導体基板100の凸凹構造に対応する凸凹構造に積層することができる。ただし、前記半導体基板100の一面と他面の中のいずれか1つの面にのみ凸凹構造を形成することも可能であり、前記半導体基板100の一面と他面の両方に凸凹構造を形成しないこともあり得る。
【0040】
前記第1半導体層210は、前記半導体基板100の一面、例えば下面に形成される。 前記第1半導体層210は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程により形成され、真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層からなることができる。ただし、場合によっては、前記第1半導体層210が、微量のドーパント、例えば微量のp型ドーパントがドーピングされた半導体層、特に微量のp型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層からなることもできる。
【0041】
前記第2半導体層220は、前記第1半導体層210の一面、例えば下面に形成される。前記第2半導体層220は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて形成され、所定のドーパントがドーピングされた半導体層からなることができる。詳細には、前記第2半導体層220は、前記半導体基板100とは異なる極性のp型ドーパントがドーピングされたp型半導体層、特にp型非晶質シリコン層からなることができる。
【0042】
前記第3半導体層230は、前記第2半導体層220の一面、例えば下面に形成される。前記第3半導体層230は、薄膜蒸着工程を通じて形成されたp+型半導体層からなる。詳細には、前記第3半導体層230は、原子層堆積法を用いて形成されたWを含むp型半導体物質、詳細にはWO3含んでなることができる。WOのバンドギャップは、前記第2半導体層220を構成するp型非晶質シリコンのバンドギャップより小さい。また、WOの仕事関数(work function)が、前記第2半導体層220を構成するp型非晶質シリコンの仕事関数よりも大きい。また、WOの価電子帯(valence band)最大エネルギーレベルは、前記p型非晶質シリコン層の価電子帯最大エネルギーレベルよりも低い。したがって、WOを前記第3半導体層230の材料として用いる場合、太陽電池の開放電圧(Open-Circuit Voltage;Voc)を高めることができるという利点がある。
【0043】
前記第3半導体層230は、TiまたはHなどのp型ドーパントをさらに含むことで、前記第3半導体層230の界面抵抗およびバルク抵抗を下げ、電荷の移動度が向上し、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0044】
前記第4半導体層240は、前記半導体基板100の他面、例えば上面に形成される。前記第4半導体層240は、薄膜蒸着工程を通じて形成され、真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層からなることができる。ただし、場合によっては、前記第4半導体層240は、微量のドーパント、例えば微量のn型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層からなることもできる。ここで、前記第4半導体層240にドーピングされたドーパントの極性は、前記第1半導体層210にドーピングされたドーパントの極性と反対である。
【0045】
前記第5半導体層250は、前記第4半導体層240の他面、例えば上面に形成される。 前記第5半導体層250は、薄膜蒸着工程を通じて形成され、所定のドーパントがドーピングされた半導体層からなることができる。ここで、前記第5半導体層250にドーピングされたドーパントの極性は、前記第2半導体層220にドーピングされたドーパントの極性と反対である。
【0046】
本発明の一実施例によれば、前記第5半導体層250は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程によって形成されたn型非晶質シリコン層からなることができる。
【0047】
一方、本発明の他の実施例によれば、前記第5半導体層250は、原子層堆積法(ALD)を用いて形成されたSnを含むn型半導体物質、詳細にはSnOを含んでなることができる。SnOは、n型半導体物質として電気伝導度に優れるため、前記第5半導体層250がSnOを含んでなる場合、前記第5半導体層250上に形成された前記第2透明導電層320の厚さを減らすことができる利点がある。
【0048】
前記第5半導体層250の材料として、Al、Ag、及びLif等のような物質を用いることも可能であるが、前記SnOは、前記Al、Ag、及びLifに比べてバンドギャップが大きいため、前記第5半導体層250がSnOからなる場合、太陽電池の開放電圧(Open-Circuit Voltage;Voc)を高めることができる利点がある。一方、CsCOは、SnOに比べてエネルギーバンドギャップがさらに大きいため、前記第5半導体層250としてCsCOを用いることも可能であるが、前記第5半導体層250をSnOで形成するようになれば、同一の工程装置内でインジウム(Indium)を追加する簡単な方法で、前記第2透明導電層320をITOで形成することができる利点がある。
【0049】
前記第5半導体層250は、In、F、Znなどのn型ドーパントをさらに含むことで、前記第5半導体層250の界面抵抗およびバルク抵抗を下げ、電荷の移動度が向上し、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0050】
前記第5半導体層250の厚さは、10Å~100Åの範囲が好ましい。もし、前記第5半導体層250の厚さが10Å未満であると、前記第5半導体層250内での電荷の移動が円滑にできないことがあり、前記第5半導体層250の厚さが100Åを超過するようになると、前記第5半導体層250の透過率が低下し得る。
【0051】
前記第1透明導電層310は、前記第3半導体層230の一面、例えば下面に形成される。前記第1透明導電層310は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて形成される。特に、前記第1透明導電層310は、インジウム(Indium)を含む透明酸化膜、詳細にはインジウムがドーピングされたWOを含んでなることができ、この場合、前記第3半導体層230と前記第1透明導電層310を同一の工程装置内で連続工程で形成できるという利点がある。
【0052】
前記第1透明導電層310は、太陽光の入射面とは反対側の面に形成され、それによって光透過率よりも電気伝導度をさらに考慮してその厚さを厚く形成することができる。したがって、前記第1透明導電層310の厚さは、前記第2透明導電層320の厚さより厚く形成することができる。また、前記第1透明導電層310がインジウムがドーピングされたWOからなる場合、インジウムの含有量が増加する場合、透過率は低下するが電気伝導度は向上させることができる。上述したように、前記第1透明導電層310は、透過率よりも電気伝導度をさらに考慮して形成することができるので、前記第1透明導電層310に含まれるインジウムの含有量を増加させることが電気伝導度を向上させるのに好ましい。したがって、前記第1透明導電層310に含まれるインジウムの含有量は、後述する第2透明導電層320に含まれるインジウムの含有量よりも多くてもよい。
【0053】
前記第2透明導電層320は、前記第5半導体層250の他面、例えば上面に形成される。
【0054】
前記第2透明導電層320は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて形成される。
【0055】
上述したように、前記第5半導体層250の電気伝導度が優秀であるので、前記第2透明導電層320の厚さを薄く形成することができ、詳細には、前記第2透明導電層320の厚さは、100Åから500Åの範囲で形成することができる。もし、前記第2透明導電層320の厚さが100Å未満であると、前記第2透明導電層320の抵抗が大きくなり得る、前記第2透明導電層320の厚さが500Åを超えるようになると前記第2透明導電層320の透過率が低下し得る。
【0056】
前記第2透明導電層320は、インジウムを含む透明酸化膜、例えばITOからなることができ、それによって上述したように前記第5半導体層250と前記第2透明導電層320を同一の工程装置内で連続工程により形成することができる。
【0057】
前記第2透明導電層320がインジウムを含む透明酸化膜からなる場合、前記透明酸化膜内のインジウム濃度は、1原子%~5原子%の範囲であることが好ましい。もし、前記透明酸化膜内のインジウム濃度が1原子%未満の場合、前記第2透明導電層320の電気伝導度が低下し得、前記透明酸化膜内のインジウム濃度が5原子%を超えるようになると、前記第2透明導電層320の透過率が低下し得る。
【0058】
また、前記第2透明導電層320内の前記インジウムの濃度は一定でなくてもよい。詳細には、前記第2透明導電層320の上面における前記インジウムの濃度が、前記第2透明導電層320の下面における前記インジウムの濃度よりも大きくてもよく、特に、前記第2透明導電層320の下面から前記第2透明導電層320の上面に行く程、前記インジウムの濃度が徐々に増加することができる。
【0059】
前記第1電極410は、前記第1透明導電層310の一面、例えば下面に形成される。
【0060】
前記第1電極410は、太陽光が入射する入射面とは反対面に形成されるので、前記第1透明導電層310の下面全体に形成することができる。ただし、前記第1電極410を所定の形態にパターン形成することにより、太陽光の反射光が前記第1透明導電層310を介して太陽電池内部に入射できるように構成することもできる。前記第1電極410は、当業界で公知の様々な金属物質からなり得、スクリーン印刷など、当業界で公知の様々なパターン形成工程で形成することができる。
【0061】
前記第2電極420は、前記第2透明導電層320の他面、例えば上面に形成される。
【0062】
前記第2電極420は、太陽光が入射する入射面に形成され、したがって前記第2電極420によって太陽光の入射量が減少することを防止するために、前記第2電極420は所定の形態でパターン形成される。前記第2電極420は、当業界で公知の様々な金属物質からなり得、スクリーン印刷など、当業界で公知の様々なパターン形成工程で形成することができる。
【0063】
図2は、本発明の他の実施例による太陽電池の断面図である。
【0064】
図2から分かるように、本発明の他の実施例による太陽電池は、半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第6半導体層260、第1透明導電層310、第2透明導電層320、第1電極410及び第2電極420を含んでなる。
【0065】
図2に示す本発明の他の実施例による太陽電池は、第6半導体層260が追加された点を除いて、前述の図1による太陽電池と同じである。したがって、同じ構成に対して同じ図面符号を付与し、以下では異なる構成についてのみ説明することにする。
【0066】
図2から分かるように、本発明の他の実施例によれば、第4半導体層240と第5半導体層250の間に第6半導体層260がさらに形成されている。すなわち、前記第6半導体層260は、前記第4半導体層240の上面および前記第5半導体層250の下面の間に形成される。
【0067】
前記第6半導体層260は、薄膜蒸着工程を通じて形成され、前記第5半導体層250と同じ極性のドーパント、例えばn型ドーパントがドーピングされた半導体層からなり得る。ここで、前記第6半導体層260は、前記SnOからなる第5半導体層250よりもバンドギャップの小さい物質からなることが好ましく、詳細には、前記第6半導体層260は、n型非晶質シリコン層からなることができる。前記SnOからなる第5半導体層250の仕事関数は、前記n型非晶質シリコン層からなる第6半導体層260の仕事関数より小さくてもよい。また、前記SnOからなる第5半導体層250の伝導帯最小エネルギーレベルは、前記n型非晶質シリコン層からなる第6半導体層260の伝導帯最小エネルギーレベルより高いことが好ましい。この場合、上記SnOからなる第5半導体層250は、n+型半導体層を構成するようになる。前記第6半導体層260がn型非晶質シリコン層からなる場合、前記第4半導体層240と前記第5半導体層250の間の界面特性を向上させることができる。
【0068】
図3は、本発明のまた他の実施例による太陽電池の断面図である。
【0069】
図3から分かるように、本発明の他の実施例による太陽電池は、半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第1透明導電層310、第2透明導電層320、第1電極410、第2電極420及びペロブスカイト(Perovskite)太陽電池500を含んでなる。
【0070】
図3に示す本発明のまた他の実施例による太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池500が追加された点を除いて、前述の図1による太陽電池と同じである。したがって、同じ構成に対して同じ図面符号を付し、以下では異なる構成についてのみ説明することにする。
【0071】
図3から分かるように、本発明のまた他の実施例によれば、上述の図1の構造において、第2透明導電層320と第2電極420の間にペロブスカイト太陽電池500がさらに形成されている。
【0072】
したがって、本発明のまた他の実施例による太陽電池は、前記半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第1透明導電層310、及び第2透明導電層320を含む基板型太陽電池、及び前記基板型太陽電池上に形成された前記ペロブスカイト太陽電池500を含むタンデム構造の太陽電池となる。
【0073】
ここで、前記第2透明導電層320が前記基板型太陽電池と前記ペロブスカイト太陽電池500の間のバッファ層として機能することができ、別途のバッファ層は必要としない。
【0074】
前記ペロブスカイト太陽電池500は、導電性電荷伝達層520、530および光吸収層510を含む。
【0075】
前記ペロブスカイト太陽電池500は、1つ以上の導電性電荷伝達層520、530を含むことができる。例えば、前記ペロブスカイト太陽電池500は、前記第2透明導電層320上で前記第2透明導電層320と接する第1導電性電荷伝達層520、前記第1導電性電荷伝達層520上に具備された光吸収層510、および前記光吸収層510上に具備された第2導電性電荷伝達層530を含んでなることができる。ただし、本発明がこれに限定されるものではなく、前記導電性電荷伝達層520、530は、前記光吸収層510の両面の中のいずれか1つの面にのみ配置することもできる。
【0076】
前記第1導電性電荷伝達層520は、前記第5半導体層250とは異なる極性、例えばp型極性を有するように構成され、前記第2導電性電荷伝達層530は、前記第1導電性電荷伝達層520とは異なる極性、例えばn型極性を有するように構成することができる。 それによって、前記第1導電性電荷伝達層520は正孔輸送層(hole-transporting layer;HTL)からなり、前記第2導電性電荷伝達層530は電子輸送層(electron transporting layer;ETL)からなることもできる。
【0077】
前記正孔輸送層は、Spiro-MeO-TAD、Spiro-TTB、ポリアニリン、ポリピノール、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホネート(PEDOT-PSS)、またはポリ-[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)などのような当業界で公知の様々なp-type有機物を含んでなることもでき、Ni酸化物、Mo酸化物またはV酸化物、W酸化物、Cu酸化物などのような当業界で公知の様々なp-type金属酸化物と、それに加えて様々なp-type有機または無機物を含む化合物からなることもできる。
【0078】
前記電子輸送層は、BCP(Bathocuproine)、C60、又はPCBM(Phenyl-C61-butyric acid methyl ester)等のようなn-type有機物又はZnO、c-TiO/mp-TiO、SnO、又はIZOのような当業界で公知の様々なn-type金属酸化物と、それに加えて様々なn-type有機または無機物を含む化合物からなることができる。
【0079】
前記光吸収層510は、当業界で公知のペロブスカイト化合物からなる。
【0080】
図4は、本発明のまた他の実施例による太陽電池の断面図である。
【0081】
図4から分かるように、本発明のまた他の実施例による太陽電池は、半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第6半導体層260、第1透明導電層310、第2透明導電層320、第1電極410、第2電極420およびペロブスカイト(Perovskite)太陽電池500を含んでなる。
【0082】
図4に示す本発明のまた他の実施例による太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池500が追加された点を除いて、前述の図2による太陽電池と同じである。したがって、同じ構成に対して同じ図面符号を付与し、以下では異なる構成についてのみ説明することにする。
【0083】
図4から分かるように、本発明のまた他の実施例によれば、上述した図2の構造において、第2透明導電層320と第2電極420の間にペロブスカイト太陽電池500がさらに形成されている。
【0084】
したがって、本発明のまた他の実施例による太陽電池は、前記半導体基板100、第1半導体層210、第2半導体層220、第3半導体層230、第4半導体層240、第5半導体層250、第6半導体層260、第1透明導電層310、及び第2透明導電層320を含む基板型太陽電池、及び前記基板型太陽電池上に形成された前記ペロブスカイト太陽電池500を含むタンデム構造の太陽電池となる。
【0085】
ここで、前記第2透明導電層320が前記基板型太陽電池と前記ペロブスカイト太陽電池500の間のバッファ層として機能することができ、別途のバッファ層は必要としない。
【0086】
前記ペロブスカイト太陽電池500は、上述した図3と同様に、導電性電荷伝達層520、530および光吸収層510を含んでなることができ、それに対する反復説明は省略することにする。
【0087】
図5A図5Cは、本発明の一実施例による太陽電池の製造工程断面図であり、これは、上述した図1による太陽電池の製造工程に関するものである。以下では、材料等のような同一の構成についての反復説明は省略することにする。
【0088】
まず、図5Aから分かるように、半導体基板100の一面、例えば下面に第1半導体層210を形成し、前記第1半導体層210の一面、例えば下面に第2半導体層220を形成し、前記第2半導体層220の一面、例えば下面に第3半導体層230を形成し、前記第3半導体層230の一面、例えば下面に第1透明導電層310を形成する。
【0089】
前記第1半導体層210は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層、または微量のp型ドーパントがドーピングされた半導体層、特に微量のp型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層で形成することができる。
【0090】
前記第2半導体層220は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じてp型非晶質シリコン層に形成することができる。
【0091】
ここで、前記第1半導体層210と前記第2半導体層220は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。詳細には、チャンバ内にSiのソース物質を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で真性非晶質シリコン層からなる前記第1半導体層210を形成し、続いて前記Siのソース物質にp型ドーパント物質をさらに投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)でp型非晶質シリコン層からなる第2半導体層220を形成することができる。
【0092】
前記第3半導体層230は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程、特に原子層堆積法を介してWOを含むp+型半導体層で形成することができる。
【0093】
前記第1透明導電層310は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じてインジウム(Indium)がドーピングされたWOで形成することができる。
【0094】
ここで、前記第3半導体層230と前記第1透明導電層310は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。例えば、チャンバ内にWを含む材料とOを含む材料を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて、前記WOを含む第3半導体層230を形成し、続いて、前記Wを含む材料と前記Oを含む材料にインジウム(Indium)を含む材料をさらに投入し、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて、前記インジウムがドーピングされたWOからなる第1透明導電層310を形成することができる。
【0095】
次に、図5Bから分かるように、前記半導体基板100の他面、例えば上面に第4半導体層240を形成し、前記第4半導体層240の他面、例えば上面に第5半導体層240を形成し、前記第5半導体層250の他面、例えば上面に第2透明導電層320を形成する。
【0096】
前記第4半導体層240は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層、または微量のn型ドーパントがドーピングされた半導体層、特に微量のn型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層で形成することができる。
【0097】
本発明の一実施例によれば、前記第5半導体層250は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を介して、n型非晶質シリコン層で形成することができる。
【0098】
ここで、前記第4半導体層240と前記第5半導体層250は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。詳細には、チャンバ内にSiのソース物質を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で真性非晶質シリコン層からなる前記第4半導体層240を形成し、続いて前記Siのソース物質にn型ドーパント物質をさらに投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で、n型非晶質シリコン層からなる第5半導体層250を形成することができる。
【0099】
本発明の他の実施例によれば、前記第5半導体層250は原子層堆積法(ALD)を用いてSnOで形成することができる。
【0100】
前記第2透明導電層320は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いてインジウムを含む透明酸化膜で形成することができる。
【0101】
ここで、前記第5半導体層250と前記第2透明導電層320は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。例えば、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入して、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記SnOからなる第5半導体層250を形成し、続いて、前記Snを含む材料と前記Oを含む材料にインジウム(Indium)を含む材料をさらに投入し、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記インジウムを含む透明酸化膜からなる第2透明導電層320を形成することができる。
【0102】
場合によっては、前記チャンバ内でSnを含む材料とOを含む材料を投入して、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いてSnO層を形成した後、ここにインジウムをさらにドーピングすることによって、インジウムがドーピングされないSnO層からなる第5半導体層250と、前記インジウムがドーピングされて前記インジウムを含む透明酸化膜からなる第2透明導電層320を形成することもできる。
【0103】
一方、図5A工程と図5B工程の間に特別な順序があるわけではない。すなわち、図5B工程を先に行い、その後に図5A工程を行うことも可能である。
【0104】
次に、図5Cから分かるように、前記第1透明導電層310の一面、例えば下面に第1電極410を形成し、前記第2透明導電層320の他面、例えば上面に第2電極420を形成する。
【0105】
前記第1電極410の形成工程と前記第2電極420の形成工程の間に、特別な順序があるわけではない。
【0106】
前記第1電極410と前記第2電極420は、スクリーン印刷など当業界で公知の様々なパターン形成工程を通じて形成することができる。
【0107】
図6A図6Cは、本発明の他の実施例による太陽電池の製造工程断面図であり、これは、上述した図2による太陽電池の製造工程に関するものである。以下では、材料等のような同一の構成についての反復説明は省略することにする。
【0108】
まず、図6Aから分かるように、前記半導体基板100の一面、例えば下面に第1半導体層210を形成し、前記第1半導体層210の一面、例えば下面に第2半導体層220を形成し、前記第2半導体層220の一面、例えば下面に第3半導体層230を形成し、前記第3半導体層230の一面、例えば下面に第1透明導電層310を形成する。
【0109】
前記第1半導体層210は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層、または微量のp型ドーパントがドーピングされた半導体層、特に微量のp型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層で形成することができる。
【0110】
前記第2半導体層220は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じてp型非晶質シリコン層で形成することができる。
【0111】
ここで、前記第1半導体層210と前記第2半導体層220は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。詳細には、チャンバ内にSiのソース物質を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で真性非晶質シリコン層からなる前記第1半導体層210を形成し、続いて前記Siのソース物質にp型ドーパント物質をさらに投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)でp型非晶質シリコン層からなる第2半導体層220を形成することができる。
【0112】
前記第3半導体層230は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程、特に原子層堆積法を介してWOを含むp+型半導体層で形成することができる。
【0113】
前記第1透明導電層310は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じてインジウム(Indium)がドーピングされたWOで形成することができる。
【0114】
ここで、前記第3半導体層230と前記第1透明導電層310は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。例えば、チャンバ内にWを含む材料とOを含む材料を投入して、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記WOを含む第3半導体層230を形成し、続いて前記Wを含む材料と前記Oを含む材料にインジウム(Indium)を含む材料をさらに投入し、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記インジウムがドーピングされたWOからなる第1透明導電層310を形成することができる。
【0115】
次に、図6Bから分かるように、前記半導体基板100の他面、例えば上面に第4半導体層240を形成し、前記第4半導体層240の他面、例えば上面に第6半導体層260を形成し、前記第6半導体層260の他面、例えば上面に第5半導体層250を形成し、前記第5半導体層250の他面、例えば上面に第2透明導電層320を形成する。
【0116】
前記第4半導体層240は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じて真性半導体層、例えば真性非晶質シリコン層、または微量のn型ドーパントがドーピングされた半導体層、特に微量のn型ドーパントがドーピングされた非晶質シリコン層で形成することができる。
【0117】
第6半導体層260は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)などの薄膜蒸着工程を通じてn型非晶質シリコン層で形成することができる。
【0118】
ここで、前記第4半導体層240と前記第6半導体層260は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。詳細には、チャンバ内にSiのソース物質を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で真性非晶質シリコン層からなる前記第4半導体層240を形成し、続いて前記Siのソース物質にn型ドーパント物質をさらに投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)で、n型非晶質シリコン層からなる第6半導体層260を形成することができる。
【0119】
前記第5半導体層250は、原子層堆積法(ALD)を用いてSnOで形成し、前記第2透明導電層320は、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いてインジウムを含む透明酸化膜で形成することができる。
【0120】
ここで、前記第5半導体層250と前記第2透明導電層320は、同一の工程装置内で連続工程で形成することができる。例えば、チャンバ内にSnを含む材料とOを含む材料を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記SnOからなる第5半導体層250を形成し、続いて、前記Snを含む材料と前記Oを含む材料にインジウム(Indium)を含む材料をさらに投入し、化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いて前記インジウムを含む透明酸化膜からなる第2透明導電層320を形成することができる。
【0121】
場合によっては、前記チャンバ内でSnを含む材料とOを含む材料を投入して化学気相成長法(CVD)または原子層堆積法(ALD)を用いてSnO層を形成した後、ここにインジウムをさらにドーピングすることにより、インジウムがドーピングされないSnO層からなる第5半導体層250と、前記インジウムがドーピングされてインジウムを含む透明酸化膜からなる第2透明導電層320を形成することもできる。
【0122】
一方、図6A工程と図6B工程の間に特別な順序があるわけではない。すなわち、図6B工程を先に行い、その後に図6A工程を行うことも可能である。
【0123】
次に、図6Cから分かるように、前記第1透明導電層310の一面、例えば下面に第1電極410を形成し、前記第2透明導電層320の他面、例えば上面に第2電極420を形成する。
【0124】
前記第1電極410の形成工程と前記第2電極420の形成工程との間に特別な順序があるわけではない。
【0125】
前記第1電極410と前記第2電極420は、スクリーン印刷など当業界で公知の様々なパターン形成工程を通じて形成することができる。
【0126】
図7A図7Dは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図であり、これは、上述した図3による太陽電池の製造工程に関するものである。
【0127】
まず、図7Aから分かるように、前記半導体基板100の一面、例えば下面に第1半導体層210を形成し、前記第1半導体層210の一面、例えば下面に第2半導体層220を形成し、前記第2半導体層220の一面、例えば下面に第3半導体層230を形成し、前記第3半導体層230の一面、例えば下面に第1透明導電層310を形成する。
【0128】
図7Aの工程は、上述した図5Aの工程と同様であるので、反復する説明は省略することにする。
【0129】
次に、図7Bから分かるように、前記半導体基板100の他面、例えば上面に第4半導体層240を形成し、前記第4半導体層240の他面、例えば上面に第5半導体層250を形成し、前記第5半導体層250の他面、例えば上面に第2透明導電層320を形成する。
【0130】
図7Bの工程は、上述した図5Bの工程と同様であるので、反復する説明は省略することにする。
【0131】
一方、図7A工程と図7B工程の間に特別な順序があるわけではない。すなわち、図7B工程を先に行い、その後に図7A工程を行うことも可能である。
【0132】
次に、図7Cから分かるように、前記第2透明導電層320の他面、例えば上面にペロブスカイト太陽電池500を形成する。
【0133】
前記ペロブスカイト太陽電池500の形成工程は、前記第2透明導電層320の上面上に第1導電性電荷伝達層520を形成し、前記第1導電性電荷伝達層520の上面上に光吸収層510を形成し、前記光吸収層510の上面上に第2導電性電荷伝達層530を形成する工程を含むことができる。
【0134】
前記第1導電性電荷伝達層520の形成工程は、蒸発法(Evaporation)などの薄膜蒸着工程を通じて有機物からなる正孔輸送層(HTL)を形成する工程からなることができ、前記第2導電性電荷伝達層530の形成工程は、蒸発法などの薄膜蒸着工程を通じて有機物からなる電子輸送層(ETL)を形成する工程からなることができる。
【0135】
前記光吸収層510の形成工程は、溶液工程または化学気相成長法(CVD)などの薄膜蒸着工程を介してペロブスカイト化合物を形成する工程からなることができる。
【0136】
次に、図7Dから分かるように、前記ペロブスカイト太陽電池500の他面、例えば上面に第2電極420を形成し、前記第1透明導電層310の一面、例えば下面に第1電極410を形成する。
【0137】
前記第1電極410の形成工程と前記第2電極420の形成工程の間に特別な順序があるわけではない。前記第1電極410と前記第2電極420は、スクリーン印刷など当業界で公知の様々なパターン形成工程を通じて形成することができる。
【0138】
図8A図8Dは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造工程断面図であり、これは、上述した図4による太陽電池の製造工程に関するものである。
【0139】
まず、図8Aから分かるように、半導体基板100の一面、例えば下面に第1半導体層210を形成し、前記第1半導体層210の一面、例えば下面に第2半導体層220を形成し、前記第2半導体層220の一面、例えば下面に第3半導体層230を形成し、前記第3半導体層230の一面、例えば下面に第1透明導電層310を形成する。
【0140】
図8Aの工程は、上述した図6Aの工程と同様であるので、反復する説明は省略することにする。
【0141】
次に、図8Bから分かるように、前記半導体基板100の他面、例えば上面に第4半導体層240を形成し、前記第4半導体層240の他面、例えば上面に第6半導体層260を形成し、前記第6半導体層260の他面、例えば上面に第5半導体層250を形成し、前記第5半導体層250の他面、例えば上面に第2透明導電層320を形成する。
【0142】
図8Bの工程は、上述した図6Bの工程と同様であるので、反復する説明は省略することにする。
【0143】
一方、図8A工程と図8B工程の間に特別な順序があるわけではない。すなわち、図8B工程を先に行い、その後に図8A工程を行うことも可能である。
【0144】
次に、図8Cから分かるように、前記第2透明導電層320の他面、例えば上面にペロブスカイト太陽電池500を形成する。
【0145】
前記ペロブスカイト太陽電池500の形成工程は、前記第2透明導電層320の上面上に第1導電性電荷伝達層520を形成し、前記第1導電性電荷伝達層520の上面上に光吸収層510を形成し、前記光吸収層510の上面上に第2導電性電荷伝達層530を形成する工程を含むことができる。
【0146】
前記第1導電性電荷伝達層520の形成工程は、蒸発法(Evaporation)などの薄膜蒸着工程を通じて有機物からなる正孔輸送層(HTL)を形成する工程からなることができ、前記第2導電性電荷伝達層530の形成工程は、蒸発法などの薄膜蒸着工程を通じて有機物からなる電子輸送層(ETL)を形成する工程からなることができる。
【0147】
前記光吸収層510の形成工程は、溶液工程または化学気相成長法(CVD)などの薄膜蒸着工程を介してペロブスカイト化合物を形成する工程からなることができる。
【0148】
次に、図8Dから分かるように、前記ペロブスカイト太陽電池500の他面、例えば上面に第2電極420を形成し、前記第1透明導電層310の一面、例えば下面に第1電極410を形成する。
【0149】
前記第1電極410の形成工程と前記第2電極420の形成工程の間に特別な順序があるわけではない。前記第1電極410と前記第2電極420は、スクリーン印刷など当業界で公知の様々なパターン形成工程を通じて形成することができる。
【0150】
以上、添付の図を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲内で多様に変形して実施することができる。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。したがって、以上で記述した実施例はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならない。本発明の保護範囲は、請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
【国際調査報告】