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  • 特表-エアロゾル供給システム 図1
  • 特表-エアロゾル供給システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20240307BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240307BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240307BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
A24F40/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555287
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 GB2022050803
(87)【国際公開番号】W WO2022208087
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2104639.6
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リードリー, デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB21
4B162AC41
4B162AD12
4B162AD28
4B162AD40
(57)【要約】
【課題】消耗したエアロゾル生成材料の加熱を防止し、ひいては望ましくない香料及び香りの発生を回避することのできる、新規なエアロゾル生成デバイス及び方法を提供することにある。
【解決手段】本発明によるエアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成領域を含む空気経路と、空気経路内に位置するエアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、空気経路内の空気流の特性の変化を判定して多孔質要素の特性の変化を示すためのセンサとを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成領域を含む空気経路と、
前記空気経路内に位置する前記エアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、
前記空気経路内の空気流の特性の変化を判定して前記多孔質要素の特性の変化を示すためのセンサと
を備える、エアロゾル生成デバイス。
【請求項2】
前記センサが、
前記空気経路内の空気流の圧力、
前記空気経路内の空気流の温度、
前記空気経路内の空気流の湿度、
前記空気経路内の蒸気密度、
前記空気経路内の前記空気流の含有物の変化、及び
前記空気経路の空気流の方向
の特性のうちの少なくとも1つの変化を判定するように配置されている、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項3】
コントローラをさらに備え、
前記コントローラが、前記空気経路内の空気流の特性の変化に関する前記センサの前記判定に関連する信号を受け取るように配置され、
前記コントローラが、前記センサの前記判定の予め定められた値に応答して、前記エアロゾル生成デバイスの起動を防止するように配置されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項4】
前記多孔質要素が、使用時間とともに多孔度が低くなるように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項5】
前記多孔質要素が、空気が通過することができる該多孔質要素を通る複数のチャネルを備え、
前記多孔質要素が、予め定められた使用量を超えると、空気が前記チャネルを通過することを防止するために、前記複数のチャネルの大部分が閉鎖するように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項6】
前記多孔質要素の複数のチャネルの大部分が、前記多孔質要素が予め定められた期間にわたって約40~120℃の空気流にさらされるときに閉鎖するように配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項7】
前記多孔質要素が香味料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項8】
前記香味料が、メンソール、フルーツ、タバコ、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項9】
エアロゾル供給デバイスにおけるエアロゾルの供給を制御する方法であって、
エアロゾル生成領域を含む空気経路を用意するステップと、
エアロゾル生成媒体を用意するステップと、
前記エアロゾル生成領域の下流に多孔質要素を用意するステップと、
センサを用意するステップと、
前記センサによって、前記空気経路内の空気流の特性の変化を判定するステップと、
次に前記多孔質要素の特性の変化を判定するステップと、
前記多孔質要素の前記特性の前記判定された変化に応答して、エアロゾルを生成する、又は生成しないステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記多孔質要素の前記特性の前記判定された変化に応答してエアロゾルを生成する、又は生成しない前記ステップが、
前記特性が前記特性の予め定められた許容できる値の範囲外であるかどうかを判定することと、
前記特性が予め定められた許容できる値の範囲内にあるときにエアロゾルを生成し、前記特性が予め定められた許容できる値の範囲外にあるときにエアロゾルを生成しないことと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特性が予め定められた許容できる値の範囲外である結果として、エアロゾルが生成されていないことを使用者に示すステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記空気経路内の空気流の前記特性が、
前記空気経路内の空気流の温度、
前記多孔質要素の上流における前記空気経路内の空気流の圧力、
前記多孔質要素の下流における前記空気経路内の空気流の圧力、
前記空気経路内の空気流の湿度、
前記空気経路内の蒸気密度
前記空気経路内の空気流の含有物、及び
空気経路の向き
のうちの少なくとも1つである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイスと、前記エアロゾル生成領域内に位置するエアロゾル生成材料とを備える、エアロゾル供給システム。
【請求項14】
エアロゾル生成領域を含む空気経路と、
前記空気経路内に位置する前記エアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、
前記空気経路内の空気流の特性の変化を判定して前記多孔質要素の特性の変化を示すための感知手段と
を備える、エアロゾル供給手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイス、エアロゾル供給デバイスにおけるエアロゾルの供給を制御する方法、エアロゾル生成システム、及びエアロゾル供給手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル供給システムが知られている。一般的なシステムは、ヒータを使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生じさせ、次いでこのエアロゾルが使用者によって吸入される。エアロゾルが生成されるエアロゾル生成材料は、エアロゾル供給システムの使用中に消費される。デバイスが消耗したエアロゾル生成材料を引き続き加熱したとき、望ましくない香料及び香りが発生して、エアロゾル供給システムの使用者体験を低下させる可能性がある。現代のシステムは、システムの予め定められた期間の有効使用を使用して、システム内のエアロゾル生成材料が消耗したことを示すことが多い。
【0003】
エアロゾル供給システムは、消耗したエアロゾル生成材料の加熱を防止し、したがって望ましくない香料及び香りの発生を回避することが望ましい。
【0004】
本発明は、上記の問題のいくつかを解決することを対象とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に定義される。
【0006】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、エアロゾル生成デバイスが提供され、エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成領域を含む空気経路と、空気経路内に位置するエアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、空気経路内の空気流の特性の変化を判定して多孔質要素の特性の変化を示すためのセンサとを備える。
【0007】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスにおけるエアロゾルの供給を制御する方法が提供され、この方法は、エアロゾル生成領域を含む空気経路を用意するステップと、エアロゾル生成媒体を用意するステップと、エアロゾル生成領域の下流に多孔質要素を用意するステップと、センサを用意するステップと、センサによって、空気経路内の空気流の特性の変化を判定するステップと、次に多孔質要素の特性の変化を判定するステップと、多孔質要素の特性の判定された変化に応答して、エアロゾルを生成する、又は生成しないステップとを含む。
【0008】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、上述したようなエアロゾル生成デバイス、及びエアロゾル生成領域内に位置するエアロゾル生成材料が提供される。
【0009】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、エアロゾル供給手段が提供され、エアロゾル供給手段は、エアロゾル生成領域を含む空気経路と、空気経路内に位置するエアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、空気経路内の空気流の特性の変化を判定して多孔質要素の特性の変化を示すための感知手段とを備える。
【0010】
本教示について、以下の図を参照し、例示のみを目的として次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一例によるエアロゾル供給デバイスの断面図である。
図2】一例によるエアロゾル供給デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、図面には特有の実施形態を例として示し、本明細書に詳細に記載する。しかし、特有の実施形態の図面及び詳細な説明は、開示する特定の形態に本発明を限定することを意図したものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るすべての修正形態、均等物、及び代替を包含する。
【0013】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について、本明細書で議論/記載する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来どおり実装することができ、簡潔にするために、これらについて詳細には議論/記載しない。したがって、本明細書に議論する装置及び方法の態様及び特徴のうち詳細に記載されていないものは、そのような態様及び特徴を実装する任意の従来の技法に従って実装することができることが理解されよう。
【0014】
本開示は、エアロゾル供給システムに関し、これはeシガレットなどのエアロゾル供給システムと呼ぶこともできる。以下の説明全体にわたって、「eシガレット」又は「電子タバコ」の用語が使用されることがあるが、この用語は、エアロゾル供給システム/デバイス及び電子エアロゾル供給システム/デバイスと区別なく使用することができることが理解されよう。さらに、技術分野で一般に見られるように、「エアロゾル」及び「蒸気」の用語、並びに「気化」、「揮発」、及び「エアロゾル化」などの関連用語も、概して区別なく使用することができる。
【0015】
図1は、本発明によるエアロゾル生成デバイス100の一例の概略図を示す。エアロゾル生成デバイス100は、エアロゾル生成領域112を含む空気経路110を有する。エアロゾル生成デバイス100はまた、多孔質要素120を有する。多孔質要素120は、エアロゾル生成領域112の下流に位置し、空気経路110内に位置する。エアロゾル生成デバイス100は、センサ130を有する。センサ130は、空気経路110内の空気流の特性の変化を判定するためのものである。空気経路110内の空気流の特性の変化は、多孔質要素120の特性の変化を示すために使用される。
【0016】
エアロゾル生成デバイス100を流れる空気は、空気入口102からデバイス100に入る。空気は、空気経路110に沿ってエアロゾル生成領域112を流れ、多孔質要素120を通って空気出口104からデバイス100を出る。空気出口104からデバイス100を出る空気はエアロゾルであり、空気又はエアロゾル中に同伴された香料化合物などを有することができる。デバイス100を流れる空気の進行方向は、図1に矢印Aで示されている。
【0017】
デバイス100は、吸入のためのエアロゾルを発生させるためのヒータ及びウィック構成体をエアロゾル生成領域112内に有することができる。本発明の主眼はデバイス100のこの部分ではないため、これについて詳細には説明しない。本明細書に記載する本発明では、任意のエアロゾル生成機構(本明細書では、エアロゾル生成構成要素とも呼ばれる)を利用することができると言えば十分である。
【0018】
多孔質要素120は、デバイス100内へ取外し可能に挿入可能である。使用者が多孔質要素120をデバイス100内へ挿入することができるように、開閉式のドア又は取り外しできない部分などによって、デバイス100へのアクセスを可能とすることができる。多孔質要素120は、香味料などを含む。エアロゾル生成領域112内で発生したエアロゾルが多孔質要素120を通過するとき、エアロゾル中に香料化合物を同伴することができる。したがって、多孔質要素120により、使用者は、デバイス100によって発生するエアロゾルを変更し、したがって自身の好みに合わせることが可能になる。
【0019】
多孔質要素120は、要素120を通る複数のチャネルを有することができ、それにより空気流が多孔質要素120を通過することが可能になる。空気流がチャネルを通過するとき、多孔質要素120からの化合物(たとえば、香味料)を、使用者による吸入のために空気流中に同伴することができる。エアロゾル生成領域112から多孔質要素120を通過する空気流は、比較的高温及び/又は比較的高湿になりうる。典型的には、エアロゾルは、摂氏50~350度の温度範囲内で生成される。エアロゾル中の湿気は、エアロゾルを形成するためにデバイス100内で使用することができるエアロゾル化されたeリキッドを空気流が同伴することに起因して生じうる。したがって、そのような空気流は、比較的高温及び比較的高湿になるはずである。本明細書では、比較的とは、エアロゾル生成領域112にわたっていずれの構成要素によっても加熱又は同伴されていないデバイス100を流れる空気流と比較したものである。
【0020】
高温及び/又は高湿の空気流が多孔質要素120のチャネルを通過するとき、チャネルが構造的に劣化し始める可能性がある。多孔質要素120は、チャネルだけでなく全体として構造的に劣化する。多孔質要素120は、たとえばタバコから作られており、高温及び/又は高湿の空気流に繰り返しさらされるときに構造的に劣化する。したがって、多孔質要素120を通過するエアロゾルの熱及び湿度の影響を受けてチャネルがゆがむと、多孔質要素120のチャネルが劣化し始め、したがって閉鎖する可能性がある。そのようにして、多孔質要素120は、デバイス100の使用時間とともに多孔性が低くなるように配置することができる。
【0021】
したがって、多孔質要素120の多孔性は、何らかの形でデバイス100の使用時間に依存する。多孔質要素120の多孔性はまた、デバイス100の使用強度に依存する。たとえば、より高温及び/又はより高含水量のエアロゾル(たとえば、エアロゾル化されたeリキッド)を所望する使用者は、より低温及び/又はより低含水量のエアロゾルを所望する使用者に比べて、パフごとに多孔質要素120及びそのチャネルのより大きい構造的劣化を引き起こす。したがって、多孔質要素120の劣化は、使用時間だけでなく、デバイス100の使用の強度に関係する。したがって本発明は、異なる使用者の使用挙動の差を相殺することができる解決策を提供することが有利である。
【0022】
多孔質要素120のチャネルは、必ずしも同時に閉鎖するわけではなく、空気流が多孔質要素120を移動する優先度が高いチャネルと他の優先度が低いチャネルとの分布に従って閉鎖する。したがって、チャネルは使用期間とともに閉鎖する可能性が高い。
【0023】
特定のチャネルが閉鎖すると、空気流は強制的に残りの開いているチャネルを通過する。次に、デバイス100がさらに使用され、高温及び/又は高湿の空気流がそれらのチャネルを通って多孔質要素120内に送られると、残りの開いているチャネルのいくつかも閉鎖しうる。したがって、多孔質要素120内のチャネルは徐々に閉鎖し、最終的に、空気流の実質的な通過を可能にするほど十分に開いているチャネルがなくなることで、空気経路110を通る空気流が実質的に多孔質要素120を通過しなくなることが理解されよう。特に、空気流が実質上通過しなくなるために、すべてのチャネルが閉鎖する必要はない。十分な量のチャネルが閉鎖するだけでよい。一例では、通過する空気流の特性の顕著な変化をもたらすために、チャネルの40%が閉鎖するだけでよい。異なる香料のタバコは、異なる割合の阻止レベルを有することがあり、それに応じてこれらを相殺することができる。たとえば、第1の香料を有する1つの多孔質要素は、空気流の特性の顕著な変化が生じるまでにチャネルの40%が閉鎖するだけでよい可能性があり、第2の香料を有する異なる多孔質要素は、同じ効果を得るために、より高い(又はより低い)割合のチャネルが閉鎖する必要がある可能性がある。
【0024】
センサ130は、空気経路110を通過する空気流の1つの特性又はいくつかの特性の変化を検出するように配置することができる。図1に示す例のセンサ130は、多孔質要素120の下流に配置され、デバイス100のハウジング101内に位置する。多孔質要素120が構造的に劣化し、その結果、チャネルの数(チャネルの元の総数参照)が実質的に減ることで、空気が多孔質要素120を通過することを可能にすることができる例では、劣化した多孔質要素120を通る空気流の圧力が、元の劣化していない多孔質要素120を通る空気流とは異なることができる。同様に、より少ない残りの開いているチャネルを通る空気流の速度も異なることができる。
【0025】
センサ130は、デバイス100の最初の使用中に、空気経路110を通る空気流の基本特性を計算することができる。これは、たとえば空気流の圧力、温度、含有物(気体含有物など)、蒸気密度、及び湿度を含むことができる。これらの基本測定から、さらなる測定で自然の変動を相殺するような基本動作範囲を提供することで、これらの特性からの著しい逸脱(特性の変化)をセンサ130によって検出することができる。センサ130は、デジタルセンサとすることができ、内部圧力を検出して、多孔質要素120の変化を使用者に示すことができる。含有物の変化は、たとえば、空気流中の酸素割合の基本からの増大などとすることができる。これはまた、空気流の含有物、たとえば空気流中の粒子状物質、又は他の要素、たとえば水素、窒素などの任意の他の態様に関連することもできる。
【0026】
多孔質要素120が使用とともに劣化するため、空気流の特性は、多孔質要素120が新しく、したがって劣化していなかったときに確立された通常の動作範囲の一貫して範囲外になるように変化する。したがって、空気特性のセンサ130の検出を使用して、多孔質要素120の条件に関する案内を提供することができる。これを使用して、多孔質要素120の交換が推奨される又は必要とされる程度まで、多孔質要素120が構造的に劣化したかどうかを判定することができる。
【0027】
そのような判定が行われたとき、使用者に警告を提供して、多孔質要素120をデバイス100から取り外して交換するべきであることを使用者に通知することができる。警告は、ハウジング101上に位置する発光ダイオード(LED)からの光などの視覚的な刺激の形態をとることができる。警告は、スピーカからのノイズ又は発振音などの聴覚的な刺激とすることができる。デバイス100は、スマートフォンなどの他のデバイスに接続することができ、デバイス100は、多孔質要素120が交換されるべきであるという警告を他の1つ又は複数のデバイスに提供することができる。したがって、センサ120は、消耗した多孔質要素120を使用者自身の好みに合わせて適時に交換するための刺激を使用者に提供するためのフィードバック機構として動作することができる。
【0028】
センサ130を使用して、2つ以上の特性の変化を検出し、多孔質要素120の構造的変化の確率に関する追加のデータを提供することができる。たとえば、空気流の湿度、温度、及び圧力がすべて確立された動作範囲からの著しい変化を示す場合、多孔質要素120が等級化し、交換を必要とする可能性が高い。一方、温度のみが変化した場合、多孔質要素120が交換を必要としていない可能性がある。空気経路110を通る空気流の複数の特性の検出をするために、複数のセンサを設けることができる。
【0029】
1つ又は複数のセンサ130は、関連する特性を最もよく検出するように、多孔質要素120の上流又は下流に位置することができる。たとえば、多孔質要素120の上流で湿度が非常に高い場合、空気流のための利用可能な損なわれていないチャネルがない結果、高湿の空気流が多孔質要素120を通過しづらいことに起因する可能性がある。この時点で、多孔質要素120は交換を必要とする可能性がある。
【0030】
上記の議論は、特有のチャネルを有する多孔質要素120に関するが、これは空気を通すことができる要素にも当てはまることが明らかであり、要素の透過性は使用とともに劣化する。任意の他のそのような要素も、本開示の好適な変形例となるはずである。
【0031】
多孔質要素120の劣化中、要素120は凝結して、多孔質でない(又は比較的多孔質でない)固体の塊になることができる。これにより、空気流が要素120を通過することが妨げられる。これが比較的長い時間継続した場合、デバイス100を吸入するのが非常に困難になるはずであり、デバイス100の使用者体験を低下させるはずである。したがって、本発明はこれを防止する。
【0032】
図2は、本発明によるエアロゾル生成デバイス200の一例の概略図を示す。エアロゾル生成デバイス200は、エアロゾル生成領域212を含む空気経路210を有する。エアロゾル生成デバイス200はまた、多孔質要素220を有する。多孔質要素220は、エアロゾル生成領域212の下流に位置し、空気経路210内に位置する。エアロゾル生成デバイス200は、センサ230を有する。センサ230は、空気経路210内の空気流の特性の変化を判定するためのものである。空気経路210内の空気流の特性の変化は、多孔質要素220の特性の変化を示すために使用される。
【0033】
図2に示す例では、センサ230は、コントローラ240に接続される。コントローラ240は、デバイス200内のエアロゾル生成媒体からエアロゾルを供給するためのヒータ又はバイブレータなどのエアロゾル生成構成要素214に接続される。使用の際、エアロゾル生成構成要素214は、エアロゾル生成領域212内でエアロゾルを供給するように、コントローラ240によって起動される。エアロゾルは、空気経路210に沿って空気流中に同伴される。エアロゾルは、多孔質要素220を通過し、さらなる成分を同伴する。次いでエアロゾルは、空気出口204からデバイスを出ることができる。
【0034】
上述したように、使用とともに、多孔質要素220は劣化し、多孔質要素220を通る空気流が影響を受ける。センサ230が空気流の特性の変化を検出すると、センサ230は、コントローラ240へ信号を送信することができ、コントローラ240は、エアロゾル生成構成要素214の動作を止めるようにエアロゾル生成構成要素214を制御する。このようにして、多孔質要素220が予め定められた量まで劣化したときに、デバイス200が起動することを防止することができる。次いで、これを使用者へ信号送信することができ、それによって使用者は多孔質要素220を交換する必要を認識する。
【0035】
上述したように、デバイス200の起動を防止することで、複数の安全上の利益をもたらすことができる。たとえば、空気流の温度が過度に高いときにデバイス200が動作することを防止することで、意図される温度範囲外でのエアロゾル生成構成要素214の動作を防止することができる。これは、エアロゾル生成構成要素214の寿命を低下させることを回避し、したがって全体としてデバイス200の寿命を増大させるのに役立つ。さらに、エアロゾル生成構成要素214が大きすぎる熱エネルギーを空気流へ供給し始めた場合、センサ230はこれを検出して、コントローラ240へ信号を提供することができ、コントローラ240は、デバイス200のさらなる動作を防止することによって、エアロゾル生成構成要素214の消耗などを防止することができる。デバイス200の誤った動作に起因する他のそのような問題もまた、センサ230によって検出し、コントローラ240によって防止することができる。したがって、センサ230及びコントローラ240によって管理される電力オーバーライドは、デバイス200の寿命にとって概して有利である。
【0036】
デバイス200の動作の防止は、特性の変化が特性の予め定められた許容できる値の範囲外であることをコントローラ240が検出したことに応答して行うことができる。この予め定められた許容できる値は、生産中にデバイス200にプログラムすることができる。そのような事前にプログラムされた値は、検査などのその結果として計算されたものとすることができる。別法として、予め定められた値は、多孔質要素220の最初の使用中、劣化が発生していないとき、又は発生した劣化が制限されているときに、センサ230によって取得され、コントローラ240によって記憶される、特性の基本に対する動作範囲に基づくことができる。コントローラ240は、センサ230からの読取り値を予め定められた値と比較し、それに応じてデバイス200の起動を防止又は許可することができる。たとえば、読取り値が予め定められた許容できる範囲内である場合、コントローラ240は、デバイス200が起動することを許可する。一方、読取り値が予め定められた許容できる範囲外である場合、コントローラ240は、デバイス200が起動することを防止する。
【0037】
上記で論じたように、圧力を含む空気流の他の特性も、デバイス200を起動するべきかどうかの判定で使用することができる。空気流の圧力が著しく標準的な動作条件の範囲外にあるときにはデバイス200の動作を防止することで、デバイス200からの漏れを引き起こしうる高度ではデバイス200の使用を制限することを支援することもできる。さらに、要素220が交換された後、又は空気流がデバイス200の使用にとってより好適になる区域へデバイス200が動かされた後に、デバイス200が動作することから、デバイス200の動作の防止は一時的なものである。したがって、デバイス200が電気的にリセットされるべきであるという要件は存在しない。したがって、これによりデバイス200の使用者体験が改善される。
【0038】
上述したような多孔質要素220の劣化は、予め定められたパフ範囲にわたって発生することがあるが、論じたように、これは特定の使用者の使用の強度に依存する。さらに、多孔質要素220のサイズも、多孔質要素220がデバイス200の性能に影響するような劣化が生じる前に行われうるパフの数に影響を与える。このパフ数は、より小さい多孔質要素220の場合は約30パフ、より大きい多孔質要素220の場合は約50パフ、又はさらに大きい要素220の場合は約60以上のパフとすることができる。本明細書に記載するデバイス200は、個々の使用者の使用習慣を相殺することができ、それにより本発明は、多孔質要素220を交換するべきであることを使用者に示すことに関して非常に正確である。
【0039】
一例では、空気出口204への途中で、比較的高湿のエアロゾルが多孔質要素220を通過する。湿気は多孔質要素220のチャネル内で凝縮するため、多孔質要素220の湿気含量は、デバイス200の使用とともに増大する。予め定められた湿気含量で、多孔質要素220は構造的に劣化した状態になり、デバイス200の継続使用のためには、交換用の多孔質要素220がデバイス200内に用意されるべきであることが使用者に通知される。本明細書では、湿気含量は、どれだけの水分子が多孔質要素220内に存在するかを、多孔質要素220の全体の割合として指す。上記に関連して、堆積率は、PG、VG、水などのいずれかに関して、1パフ当たり0~2mgの領域内とすることができる。別法として、堆積率は、1パフ当たり最大5mgとすることができる。
【0040】
一例では、多孔質要素220は、予め定められた期間にわたって約5℃~約250℃の空気流にさらされるときに、十分に劣化しうる。異なる使用者は異なるパフ長さなどを有することがあるため、これは必ずしもパフに依存しない。上記で論じたより低い温度範囲(たとえば、氷点を割すかに上回る)は、ネブライザなどによる水エアロゾルの生成にとって好適となりうる。上記で論じたより高い温度範囲は、アトマイザのすぐ隣に配置された多孔質要素220にとって好適となりうる。上記の温度範囲に関連して、好ましい範囲は、約40℃~約120℃とすることができる。
【0041】
特定の例では、多孔質要素220は、デバイス200内で交換可能な香料ポッドとすることができる。香料は、タバコ及びグリコールのいずれかとすることができ、抽出物(たとえば、リコリス、アジサイ、ホオノキ葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(たとえば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物を含むことができる。香料は、人造、合成、若しくは天然の成分、又はその混合物とすることができる。
【0042】
センサ230は、デバイス200の向きを検出することが可能とすることができる。これは、センサ230がその向きをコントローラ240に示すことができ、コントローラ240は、デバイス200が使用するのに危険な向きにあるときはデバイス200の起動を防止することができることから有利である。たとえば、一例では、デバイス200は、エアロゾルの生成のための液体供給部及びウィック構成体を備える。デバイス200は、ウィック内にある液体を加熱することによってエアロゾルを生成する。デバイス200が、液体がウィックの消耗を防止するのに十分な量又は十分な速度でウィックに到達することが妨げられる向きにある場合、センサ230は、コントローラ240へ信号を提供することができ、コントローラ240は、デバイス200の起動を防止することができる。センサ230は、デバイス200の向きを測定するために使用することができるジャイロスコープ又は磁気要素などとすることができる。したがって、そのようなセンサ230及びコントローラ240の構成体は、高温のパフを防止することを支援することができる。高温のパフは、使用者にとって不快な体験をもたらす可能性があり、場合によりヒータにとって意図される動作温度を上回る温度で動作することによってヒータを損傷するおそれがある。
【0043】
本明細書に提供するエアロゾル生成構成要素214の一例では、エアロゾル生成構成要素214は、1つ又は複数のヒータを有することができる。一例では、エアロゾル生成構成要素214は、2つのヒータを有することができる。2つのヒータは、同じ動作温度を有しても異なる動作温度を有してもよい。2つのヒータは、より自身の好みに合ったエアロゾルを発生させることを可能にするために、エアロゾル生成媒体の異なる部分に熱エネルギーを提供することができる。ヒータは、別法として、直列で使用することができる(各ヒータの1パフ当たりの使用を低減させ、したがってヒータの寿命を延ばすため)。2つ以上のヒータに2つ以上のコントローラ240が接続されてもよい。
【0044】
一例では、センサ230は圧力センサである。そのような圧力センサ230はまた、2次起動信号提供部として使用することができる。使用者がデバイス200で吸入すると、センサ230は空気流の圧力の変化を感知する。センサ230は、空気流の圧力変化がデバイス200の動作を開始するべきであることを検出することができる。このようにして、本明細書に開示する構成体は、起動するために使用者からの労力を必要とせず、デバイス200を吸入するだけでよいデバイス200を可能にする。この構成体はまた、デバイス200の実際の使用前にデバイス200の起動の結果としてデバイス200が過熱するリスクを制限することを助けることができる。
【0045】
開示する構成体は、多孔質要素220などの交換可能な消耗品を有するシステム内で実装することができる。構成体はまた、使用後にそれ自体が廃棄されるシステム内で使用することができる。次いで、使用者への警告は、新しい要素220が用意されるべきときではなく、新しいシステムが必要とされるときに関連するはずである。
【0046】
したがって、エアロゾル生成領域を含む空気経路と、空気経路内に位置するエアロゾル生成領域の下流にある多孔質要素と、空気経路内の空気流の特性の変化を判定して多孔質要素の特性の変化を示すためのセンサとを備えるエアロゾル生成デバイスについて記載した。
【0047】
エアロゾル供給システムは、タバコ工業製品、たとえば非燃焼式エアロゾル供給システム内で使用することができる。
【0048】
一実施形態では、タバコ工業製品は、ヒータ及びエアロゾル化可能基材(substrate)など、非燃焼式エアロゾル供給システムの1つ又は複数の構成要素を備える。
【0049】
一実施形態では、エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイスとしても知られている電子タバコである。
【0050】
一実施形態では、電子タバコは、ヒータと、ヒータに電力を供給することが可能な電源と、液体又はゲルなどのエアロゾル化可能基材と、ハウジングと、任意選択でマウスピースとを備える。
【0051】
一実施形態では、エアロゾル化可能基材は、基材容器内又は基材容器上に含まれる。一実施形態では、基材容器は、ヒータと組み合わされており、又はヒータを備える。
【0052】
一実施形態では、タバコ工業製品は、基材材料を非燃焼式に加熱することによって1つ又は複数の化合物を解放する加熱製品である。基材材料は、たとえばタバコ又は他の非タバコ製品とすることができるエアロゾル化可能材料であり、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。一実施形態では、加熱デバイス製品はタバコ加熱製品である。
【0053】
一実施形態では、加熱製品は電子デバイスである。
【0054】
一実施形態では、タバコ加熱製品は、ヒータと、ヒータに電力を供給することが可能な電源と、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能基材とを備える。
【0055】
一実施形態では、加熱製品は非電子式の物品である。
【0056】
一実施形態では、加熱製品は、固体又はゲル材料などのエアロゾル化可能基材と、チャコールなどの燃焼材料を燃やすことなどによって、電子手段を用いることなくエアロゾル化可能基材に熱エネルギーを供給することが可能な熱源とを備える。
【0057】
一実施形態では、加熱製品はまた、エアロゾル化可能基材を加熱することによって生成されたエアロゾルを濾過することが可能なフィルターを備える。
【0058】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能基材材料は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコールなどのエアロゾル若しくはエアロゾル生成剤又は保湿剤を含むことができる。
【0059】
一実施形態では、タバコ工業製品は、基材材料の組合せを非燃焼式に加熱することによってエアロゾルを生成するための複合システムである。基材材料は、たとえば、固体、液体、又はゲルを構成することができ、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。一実施形態では、複合システムは、液体又はゲル基材と、固体基材とを含む。固体基材は、たとえば、タバコ又は他の非タバコ製品とすることができ、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。一実施形態では、複合システムは、液体又はゲル基材と、タバコとを含む。
【0060】
様々な問題に対処し、技術を進化させるために、本開示全体が、特許請求される発明を実施して優れた電子エアロゾル供給システムを提供することができる様々な実施形態を例示として示す。本開示の利点及び特徴は、単に実施形態の代表的なサンプルであり、網羅的及び/又は排他的なものではない。本開示の利点及び特徴は、特許請求される特徴の理解を支援し、そのような特徴を教示するためだけに提示される。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲に定義される本開示に対する限定、又は特許請求の範囲の均等物に対する限定であると見なされるべきではないこと、並びに本開示の範囲及び/又は精神から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、開示する要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組合せを好適に備えることができ、これらからなることができ、又は本質的にこれらからなることができる。加えて、本開示は、本明細書では特許請求されていないが将来特許請求されうる他の発明も包含する。
図1
図2
【国際調査報告】