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特表2024-5115813Dプリンタのための印刷ヘッドを作動させる方法、およびこの方法を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】3Dプリンタのための印刷ヘッドを作動させる方法、およびこの方法を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240307BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240307BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240307BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240307BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240307BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240307BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555686
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2022056235
(87)【国際公開番号】W WO2022194675
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021202640.0
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヤーンル,ヘンドリック
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP02
4F213AP05
4F213AR02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL52
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
本発明は、3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)を作動させる方法(200)に関する。本発明によると、この方法(200)は次の各ステップを含む:供給デバイス(2)によって中空室(40)が印刷可能な材料(10)で充填(210)され;スタート位置(3a)を起点として印刷ヘッド(100)のノズル(8)の方向へのピストン(3)の送りによってピストンブッシュ(4)の開口断面(21)が閉止(220)され;材料が固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと転換(230)され;材料(10,11,12)が圧縮(240)され;液相(12)のばね定数が判定(250)され;液相(12)が印刷準備(260)され;三次元の構成部品(9)を印刷するために材料の液相(12)がノズル(8)から吐出(270)され;ピストン(3)がスタート位置(3a)へと復帰移動(280)し、方法(200)の終了までステップ(210)から(280)が反復(290)される。さらに本発明は、本発明による方法(200)を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)に関する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)を作動させる方法(200)において、
前記方法(200)は次の各ステップを含み、
供給デバイス(2)によって中空室(40)が印刷可能な材料(10)で充填(210)され、
スタート位置(3a)を起点として前記印刷ヘッド(100)のノズル(8)の方向へのピストン(3)の送りによってピストンブッシュ(4)の開口断面(21)が閉止(220)され、
前記材料が固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと転換(230)され、
前記材料(10,11,12)が圧縮(240)され、
液相(12)のばね定数が判定(250)され、
液相(12)が印刷準備(260)され、
三次元の構成部品(9)を印刷するために前記材料の液相(12)が前記ノズル(8)から吐出(270)され、
前記ピストン(3)がスタート位置(3a)へと復帰移動(280)し、
前記方法(200)の終了まで前記ステップ(210)から(280)が反復(290)されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも閉止(220)、転換(230)、圧縮(240)、ばね定数の判定(250)、印刷準備(260)、および吐出(270)は、制御・調節ユニット(113)によるアクチュエータ装置(110)の能動的な制御によって実行され、センサ(36,82,83,111,112)の測定値からの評価ユニット(114)の結果が前記制御・調節ユニット(113)に転送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記供給デバイス(2)による印刷可能な材料(10)での前記中空室(40)の充填(210)は少なくとも次の各ステップを含み、
前記供給デバイス(2)の開口部(23)を通して前記印刷ヘッド(100)の中に前記材料(10)が投入(310)され、
前記材料(10)を、特に顆粒粒子(10)を、互いに剥離するための空気衝撃(26)が生成(320)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項4】
顆粒粒子(10)の投入(310)は手動式または自動式に行われ、顆粒粒子(10)は重力の影響によって前記供給デバイス(2)の下側領域(24)へと滑り込むことを特徴とする、請求項3に記載の方法(200)。
【請求項5】
空気衝撃(26)の生成(320)はインターバルをおいて行われ、顆粒粒子(10)は前記空気衝撃(26)の領域で投げ上げられて、落下するときに、その下に位置する顆粒粒子(10)に対して衝撃を及ぼして、前記印刷ヘッド(100)の加熱された前記中空室(40)の中へ滑落するようにこれに刺激を与えるようになっていることを特徴とする、請求項4に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記ピストン(3)による前記ピストンブッシュ(4)の前記開口断面(21)の閉止(220)は次の各ステップを含み、
前記ピストン(3)のピストン底面(35)のスタート位置(3a)を起点として前記ノズル(8)の方向へ、前記ピストンブッシュ(4)のゲート(44)よりも下方の位置(3b)に達するまで前記ピストン(3)が送られ(410)、
前記ゲート(44)のそばを前記ピストン底面(35)が摺動することで顆粒(10)のせん断(420)が実現されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項7】
固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと前記材料が転換(230)されることは次の各ステップを含み、
前記印刷ヘッド(100)の各状態ゾーン(A,B,C,D,E)にわたってノズルヘッド(6)の加熱部材(61,63)により前記材料(10,11,12)が加熱(510)され、前記状態ゾーン(A,B,C,D,E)は前記材料(10)の凝集状態をその温度(T)に依存して表し、前記材料(10,11,12)の凝集状態は前記加熱部材(61,63)の熱エネルギーの注入により前記状態ゾーン(A,B,C,D,E)にわたって固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと変化し、
前記圧縮(240)中に前記材料(11,12)が混合(520)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記材料(10,11,12)の圧縮(240)、特に圧縮プロセス(240)は次の各ステップを含み、
前記ピストン(3)の送りによって前記材料(10,11,12)が予備圧縮(610)され、
前記ノズル(8)が閉止(620)され、
前記ピストン(3)の送りによって前記材料(10,11,12)が圧縮(630)され、
保持位置(3d)で前記ピストン(3)が保持(640)されることを特徴とする、請求項1または2または7に記載の方法(200)。
【請求項9】
前記材料(10,11,12)の予備圧縮(610)は前記ピストン(3)の送りによって圧力制御式および/または力制御式に実行され、力曲線および/または圧力曲線の材料依存的な勾配および/または材料依存的な勾配角が達成および/または超過されたときに到達される位置(3c)まで予備圧縮がなされることを特徴とする、請求項8に記載の方法(200)。
【請求項10】
閉止された前記ノズル(8)のもとでの前記ピストン(3)の送りによる前記材料(10,11,12)の圧縮(630)は圧力制御式に実行され、その際には保持位置(3d)への移動はピーク圧力(p)に達するまで行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法(200)。
【請求項11】
前記圧縮(630)中には前記ノズル(8)が閉止されており、ピストンニードル(32)が前記ノズルヘッド(6)の溶融液室(81)に沈み込み、それにより液相(12)の一部が前記溶融液室(81)の上側領域から腎形部品(7)の開口部(71)を通って溶融液ゾーン(D)から混合ゾーン(C)へ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相(12)の前記一部が、可塑化ゾーン(B)からの可塑相(11)と前記混合ゾーン(C)で混合されることを特徴とする、請求項8または10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記ピストン(3)が前記保持位置(3d)で保持され、前記保持プロセス(640)中に液相(12)の圧力(p)と温度(T)が測定されて、前記圧縮プロセス(240)の機能コントロールのために測定値が前記評価ユニット(114)によってチェックされることを特徴とする、請求項8または10に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記保持位置(3d)での前記ピストン(3)の保持(640)中には前記ノズル(8)が閉止されており、前記ピストンニードル(32)が前記溶融液室(81)に沈み込み、それにより液相(12)の一部が前記溶融液室(81)の上側領域から前記腎形部品(7)の前記開口部(71)を通って前記溶融液ゾーン(D)から前記混合ゾーン(C)へ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相(12)の前記一部が、前記可塑化ゾーン(B)からの可塑相(11)と前記混合ゾーン(C)で混合されることを特徴とする、請求項8または12に記載の方法(200)。
【請求項14】
液相(12)のばね定数の判定(250)は次の各ステップを含み、
前記保持(640)の終了後に、前記保持位置(3d)から、溶融液圧力(p)が目標圧力(p)に達したときに到達される目標位置(3e)へと圧力制御式に復帰移動(710)がなされ、
前記ピーク圧力(p)と前記目標圧力(p)との間の圧力差が判定(720)され、
前記保持位置(3d)と前記目標位置(3e)との間の区間が判定(730)され、
液相(12)のばね定数が計算(740)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項15】
液相(12)の印刷準備(260)は次の各ステップを含み、
前記ばね定数に依存して前記ピストン(3)の引き戻しにより液相(12)が能動的に減圧(810)され、
前記ノズル(8)が開放(820)され、
印刷開始時に液相(12)が圧縮(830)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項16】
液相(12)の吐出(270)は圧力制御式に実行され、
前記溶融液室(81)の圧力(p)が恒常的に測定され(910)、
前記ピストン(3)が前記制御・調節ユニット(113)を通じて能動的に制御され(920)、前記ピストン(3)の送りが圧力依存的に補正係数の分だけ適合化され(930)、前記補正係数は前記材料の液相(12)の前記ばね定数から求められることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法(200)を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)であって、
前記印刷ヘッド(100)のハウジング(1)に配置された、前記ピストン(3)を制御するためのアクチュエータ装置(110)と、前記印刷可能な材料(10)のための前記供給デバイス(2)と、前記ハウジング(1)および前記供給デバイス(2)に配置された、冷却装置(50)を有するフランジ(5)と、固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと前記材料(10)を転換させるための加熱部材(61,63)を有する前記ノズルヘッド(6)と、前記材料(10)の液相(12)を前記ノズルヘッド(6)から吐出するための前記ノズル(8)とを含む、印刷ヘッドにおいて、
前記制御・調節ユニット(113)は、充填と印刷をするために実行されるべき動作ストラテジーに応じて前記ピストン(3)を移動させるための前記アクチュエータ装置(110)の能動的な制御のために、および、前記加熱部材(61,63)の能動的な制御のために、意図されることを特徴とする、印刷ヘッド。
【請求項18】
前記評価ユニット(114)は、前記印刷ヘッド(100)のセンサ(36,82,83,111,112)の測定値を評価し、前記アクチュエータ装置(110)の能動的な制御のために、および前記加熱部材(61,63)の能動的な制御のために、その結果を前記制御・調節ユニット(113)へ転送するために意図されることを特徴とする、請求項17に記載の印刷ヘッド(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタのための印刷ヘッドを作動させる方法に関し、および、この方法を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
粘性に関して可変である材料のための3Dプリンタは、出発材料として当該材料の固相を含んでおり、そこから液相を生成し、この液相を、作成されるべき対象物に帰属する個所へと選択的に塗布する。このような3Dプリンタは、印刷準備が完了するように出発材料が前処理される印刷ヘッドを含んでいる。さらに、印刷ヘッドと、対象物が生じるべき作業面との間の相対運動を生起するための手段が設けられる。このとき作業面だけが動くことができ、あるいは印刷ヘッドと作業面が両方とも動くことができる。
【0003】
印刷ヘッドは、液体材料がこれから外に出る第1の動作状態と、液体材料がこれから外に出ない第2の動作状態とを有している。第2の動作状態をとるのは、たとえば作業面の別の位置へと移動すべきであり、そこまでの経路で材料が塗布されるべきでない場合である。印刷ヘッドのこれら両方の動作状態の間で、たとえば固体の出発材料の送り出しがオンないしオフされることによって、切換を行うことができる。
【0004】
もっとも広く普及しているのは、出発材料からなるフィラメントが電気加熱式の押出ノズルの中で溶融されて、プラットフォームへ層ごとに塗布される「熱溶解積層法」(FDM)である。このような種類のフィラメントの形態では、出発材料が非常に高価になる。
【0005】
特許文献1では、出発材料を顆粒形態で供給し、加熱されたゾーンへとウォームコンベヤで搬送し、そこから出発材料が可塑化された形態で外に出ることが提案されている。一方では、顆粒のほうが明らかに好都合であり、他方では、異なる熱可塑性材料からなる混合物をこのような方式で容易に製作することができる。
【0006】
さらに特許文献2より印刷ヘッドが知られており、この印刷ヘッドの中で、ピストンと加熱された区間とを介して顆粒が可塑化される。ピストンが顆粒に押圧をすると、これが圧縮されて、印刷ヘッドの下側領域にある可塑化ゾーンへと運ばれる。その際に、ピストンと印刷ヘッドのシリンダ壁とに強い負荷をかけ、印刷ヘッドハウジングのシリンダ壁での摩耗の増大につながりかねない力が発生する。さらに、熱伝導構造を有する複雑な融解ジオメトリーが開示されており、これが加熱部材の熱出力を可塑化された材料に注入して、これを材料の液相にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/082627A1号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102016222306A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、3Dプリンタのための印刷ヘッドを作動させる方法、および3Dプリンタのための印刷ヘッドを提供し、この方法および印刷ヘッドが高いダイナミクスと安定した印刷プロセスとを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の枠内では、3Dプリンタのための印刷ヘッドを作動させる方法が開発されている。さらに、この方法を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッドが開発されている。
【0010】
この方法は本発明によると次の各ステップを含む:
-供給デバイスによって中空室が印刷可能な材料で充填され、
-スタート位置を起点として印刷ヘッドのノズルの方向へのピストンの送りによってピストンブッシュの開口断面が閉止され、
-材料が固相から可塑相を経て液相へと転換され、
-材料が圧縮され、
-液相のばね定数が判定され、
-液相が印刷準備され、
-三次元の構成部品を印刷するために材料の液相がノズルから吐出され、
-ピストンがスタート位置へと復帰移動し、
-方法の終了まで各ステップが反復される。
【0011】
本発明の1つの発展例では、少なくとも閉止、転換、圧縮、ばね定数の判定、印刷準備、および吐出は、制御・調節ユニットによるアクチュエータ装置の能動的な制御によって実行することができ、センサの測定値からの評価ユニットの結果が制御・調節ユニットに転送される。
【0012】
さらに本発明は、本発明による方法を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッドに関する。この印刷ヘッドは、印刷ヘッドのハウジングに配置された、ピストンを制御するためのアクチュエータ装置と、印刷可能な材料のための供給デバイスと、ハウジングおよび供給デバイスに配置された、冷却装置を有するフランジと、固相から可塑相を経て液相へと材料を転換させるための加熱部材を有するノズルヘッドと、材料の液相をノズルヘッドから吐出するためのノズルとを含み、本発明によると制御・調節ユニットは、充填と印刷をするために実行されるべき動作ストラテジーに応じてピストンを移動させるためのアクチュエータ装置の能動的な制御のために、および、加熱部材の能動的な制御のために、意図される。
【0013】
印刷ヘッドの発展例では、評価ユニットは、印刷ヘッドのセンサの測定値を評価し、アクチュエータ装置の能動的な制御のために、および加熱部材の能動的な制御のために、その結果を制御・調節ユニットへ転送するために意図される。
評価ユニットは制御・調節ユニットとは別個に製作されていてよく、これに統合されていてもよい。
【0014】
それぞれの動作状態に依存してセンサ値が検出されて評価されることで、印刷ヘッドの機能性をチェックすることができ、それにより、プロセスにおける不具合や誤差を早期に表示できるという利点がある。さらにセンサ値が検出されることで、定義された目標値を調節することができる。補正係数が計算されて、制御・調節ユニットに伝送されることも可能である。この補正係数をたとえば目標値に加算することができ、それによりノズルからの溶融液の所望の一定の吐出を実現できるという利点がある。
加熱部材の能動的な制御は温度のダイナミック制御を可能にし、これが加熱と冷却のいずれにも影響を及ぼすという利点がある。たとえば第1の加熱部材の熱エネルギーが制御・調節ユニットによって低減されたとき、フランジでの冷却は引き続き進行して、この冷却が材料の可塑相からエネルギーを奪い、それによって可塑相が急激に冷却される。
さらに、アクチュエータ装置と加熱部材の能動的な制御は、必要性に即して材料をノズルから吐出できることを可能にし、印刷ヘッドのさまざまに異なる軌道速度を、能動的に制御されて吐出される材料の容積によって補償することができる。したがって能動的な制御は、軌道速度に関わりなく常に同じ容積を吐出する、ないしは吐出されるべき量を一定の送り速度で制御し、そのプロセスを能動的に制御することがない、通常のNCシステムと比べて利点を提供する。
【0015】
ピストンを制御するためのアクチュエータ装置は、たとえば機械式の伝達機構を有する電気モータ、または液圧の圧力源を有する液圧式の駆動部であってよい。
アクチュエータ装置としての電気モータは、液圧式の駆動部に比べて低い重量を有し、それによって、プリンタ全体および印刷プロセスの高いダイナミクスのために作用するという利点がある。低い質量しか加速させなくてすむからである。
液圧式の駆動部は、ピストンが制御されたときに高い力を実現するという利点がある。
【0016】
印刷可能な材料のための供給デバイスは、特に、顆粒として存在する材料ないし出発材料のための供給部として意図されていてよい。出発材料は、特に熱可塑性材料であってよい。
出発材料として顆粒を利用することで、熱可塑性材料からなるフィラメントを使用する印刷ヘッドと比べて、特にプリンタの出発材料のコストについて固有の利点が実現されることが見出されている。
【0017】
顆粒がウォームコンベヤで運ばれる印刷ヘッドと比較したとき、本発明による印刷ヘッドはいっそうコンパクトに構成することができる。このことはひいては、印刷ヘッドをいっそう簡易かつ容易に可動であることに帰結する。このことは特に、印刷ヘッドを非常に高速に、特に100mm/sまたはこれ以上の速度で、動かしたい場合に利点となる。
【0018】
フランジは冷却装置を含み、それにより供給装置の領域で最適化された熱マネジメントが実現され、その結果、材料ないし顆粒のピストンへの粘着が回避されるという利点がある。さらにノズルヘッドは、材料を特に顆粒である固相から、液相へと転換させるための加熱部材を有する。ノズルヘッドにある加熱装置は、溶融されるべき材料への熱出力の的確な注入のために作用するという利点がある。引き続いて液相ないし溶融液を、ピストン運動によってノズルヘッドのノズルを通して吐出可能である。
【0019】
ピストンブッシュは、ピストンを案内するための別個のピストンブッシュとして製作され、ピストンがピストンブッシュの中で直接的に案内され、印刷ヘッドのハウジングやシリンダの中で案内されるのではなくなることを可能にする。それにより、生じる可能性のある摩耗がハウジングまたはシリンダの内壁で直接的に生じるのではなく、ピストンブッシュの内部で生じることが実現されるという利点がある。別個の構成部品としてのピストンブッシュは、必要なときに交換可能であるという利点を提供する。さらに、互いに適合化されたピストンとピストンブッシュを、さまざまに異なる直径のもとで、たとえばフランジやノズルヘッドなどでの他の設計上の変更なしに、適用することができるという可能性が与えられる。
【0020】
本方法の発展例では、供給デバイスによる印刷可能な材料での中空室の、特に加熱可能な中空室の、充填は、少なくとも次の各ステップを含む:
-供給デバイスの開口部を通して印刷ヘッドの中に材料ないし顆粒粒子が投入され、
-顆粒粒子を互いに剥離するための空気衝撃が生成される。
【0021】
1つの発展例では、顆粒粒子の投入は手動式または自動式に行われ、顆粒粒子は重力の影響によって供給デバイスの下側領域へと滑り込む。
【0022】
充填の好ましい発展例では、空気衝撃の生成がインターバルをおいて行われ、顆粒粒子は空気衝撃の領域で投げ上げられて、再び落下するときに、その下に位置する顆粒粒子に対して衝撃を及ぼして、印刷ヘッドの加熱された中空室の中へ滑落するようにこれに刺激を与えるようになっている。
【0023】
効率的な再充填のプロセスは顆粒への後方吹込を必要とし、それによって顆粒が浮揚する効果が生じ、その結果、顆粒が引き続いて印刷ヘッドの中に滑り込む。投げ上げないし吹き上げは自動式の用途のためには不可欠であり、発生する重力衝撃ないし衝撃によって顆粒が滑落するという利点がある。必要な場合には、詰まって動かなくなった顆粒を空気衝撃によって剥離することもでき、それにより印刷ヘッドの停止時間が回避されるという利点がある。
【0024】
本方法の1つの発展例では、ピストンによるピストンブッシュの開口断面の閉止は次の各ステップを含む:
-ピストンのピストン底面のスタート位置を起点としてノズルの方向へ、ピストンブッシュのゲートよりも下方の位置に達するまでピストンが送られ、
-ゲートのそばをピストン底面が摺動することで顆粒のせん断が実現される。
【0025】
ピストンブッシュは、フランジに突入する上側の部分領域と、ノズルヘッドに突入する下側の部分領域とを有している。それにより、上側の部分領域はフランジの冷却装置の冷却ゾーンの作用領域に配置され、下側の部分領域はノズルヘッドの加熱ゾーンの作用領域に配置され、それによって冷却ゾーンの内部での材料からの効率的なエネルギー排出が、または加熱ゾーンの内部での材料への効率的なエネルギー供給が、実現されるという利点がある。
ピストンブッシュの上側の部分領域には、供給装置からピストンブッシュへの材料の供給を可能にする開口部ないし開口断面が配置される。開口部の下側領域には、ピストンブッシュの内面に対して鈍角で形成されるゲートが配置される。このゲートの領域は硬化され、またはその代替として別個に硬化された挿入部品として製作される。ピストンによって開口部が閉止されたとき、材料ないし顆粒がピストンによってゲートのところでせん断され、それにより、強い機械的負荷がピストンブッシュの当該部分に対して作用する。別個のピストンブッシュにより、およびゲートの硬化された領域により、いっそう長い耐用期間と、不具合のある構成部品のいっそう迅速な交換とが実現されるという利点がある。
【0026】
本方法の1つの発展例では、固相から可塑相を経て液相へと材料が転換されることは、次の各ステップを含む:
-印刷ヘッドの各状態ゾーンにわたってノズルヘッドの加熱部材により材料が加熱され、これらの状態ゾーンは材料の凝集状態をその温度Tに依存して表し、材料の凝集状態は加熱部材の熱エネルギーの注入により各状態ゾーンにわたって固相から可塑相を経て液相へと行われ、
-圧縮中に材料が混合される。
【0027】
印刷ヘッドは、ピストンブッシュの上側の部分領域を起点として、腎形部品を経てノズルに至るまでそれぞれ相違する状態ゾーンを有しており、これらの状態ゾーンは材料の凝集状態をその温度Tに依存して表す。このとき材料の凝集状態は、各状態ゾーンにわたって固相から可塑相を経て液相へと可変である。
印刷ヘッドの状態ゾーンは、材料が固相である低温ゾーンと、材料が可塑相である可塑化ゾーンと、材料がそれぞれ液相である溶融液ゾーンおよびプロセスゾーンと、材料が可塑相と液相である混合ゾーンとを含むのが好ましい。
さらに、フランジにある冷却装置、およびピストンに統合されているピストン冷却部は、可塑化ゾーンでの材料の可塑相の温度Tを、その場合にもガラス転移温度Tより下方に保つために意図され、このガラス転移温度を超えると材料が可塑化されて、液相へと移行することになる。
【0028】
このことは、ピストン底面が材料の固相とのみ接触し、完全に可塑化した相とは接触しないことと同義であるという利点がある。完全に可塑化した相は、表面接着性への強い傾向を有する、粘性の高い粘着性のコンシステンシーを有する。ピストンがこのような相と接触すると、これと接着する可能性があり、そのために、たとえばピストンが引き戻されたときに新たな顆粒の追加流動が妨げられてしまう。このような効果が回避されるという利点がある。
【0029】
本方法を実施するために、ノズルヘッドは2つの加熱ゾーンを含む。
第1の加熱ゾーンには、可塑化ゾーンの部分領域と、混合ゾーンと、溶融液ゾーンの部分領域とが配置され、第1の加熱部材が上側のノズルヘッドに配置されて、第1の加熱部材から、ピストンブッシュの下側の部分領域と、腎形部品と、上側のノズルヘッドの部分区域とを経て、材料へ熱エネルギーを注入可能であるようになっている。
第2の加熱ゾーンには溶融液ゾーンの部分領域とプロセスゾーンとが配置されており、第2の加熱部材が下側のノズルヘッドに配置されて、第2の加熱部材から下側のノズルヘッドを経て材料の液相へ熱エネルギーを注入可能であるようになっている。
【0030】
ノズルヘッドへの両方の加熱ゾーンの配置は、印刷ヘッドのいっそう効率的な熱マネジメントのために作用する。第1の加熱ゾーンの熱エネルギーが、材料が液相へと移行することなく、材料の好ましい予備可塑化のために作用するからである。それにより、ピストンが圧縮時に粘着することがなく、印刷ヘッドが申し分なく機能することが実現されるという利点がある。このような効果は、フランジの冷却装置との連携作用で最適化される。さらに可塑相の材料が予備可塑化されて、ピストンが送られるときにアクチュエータ装置がいっそう低い力コストしか必要としなくなり、それにより、ピストンの送りのためにいっそう小型のアクチュエータを使用できるという利点がある。このことは設備のコストを低減し、印刷ヘッドの改善されたダイナミクスにつながる。印刷ヘッドの重量が低減されるからである。それにより、構成部品を作成するためのいわゆる軌道制御中に、印刷ヘッドをより良く加速および減速させることができる。
第2の加熱ゾーンでは溶融液が生成され、注入される熱エネルギーは、溶融液室全体にわたって比較的一定の溶融液温度のために作用する。溶融液温度は、第2の加熱ゾーンの内部では、材料が強く加熱されすぎないように制御することができる。それにより、高すぎる熱負荷によって、たとえばとりわけガスなどの分裂生成物が生じ、これがシステムで生じている圧力によって材料のさらなる分解を加速させて、その品質にネガティブな影響を直接的に及ぼすのを回避できるという利点がある。
【0031】
圧縮と転換のプロセスは大部分が同時に行われる。これら両方のプロセス中に、熱エネルギーが両方の加熱ゾーンを通じて印刷ヘッドに注入されるからである。
【0032】
本発明の好ましい発展例では、圧縮プロセス中の材料の圧縮は次の各ステップを含む:
-ピストンの送りによって材料が予備圧縮され、
-ノズルが閉止され、
-ピストンの送りによって材料が圧縮され、
-保持位置でピストンが保持される。
【0033】
圧縮プロセスの発展例では、材料の予備圧縮はピストンの送りによって圧力制御式および/または力制御式に実行され、力曲線および/または圧力曲線の材料依存的な勾配および/または材料依存的な勾配角が達成および/または超過されたときに到達される位置まで予備圧縮がなされる。
【0034】
次の方法ステップで、閉止されたノズルのもとでのピストンの送りによる材料の圧縮が圧力制御式に実行され、このとき保持位置への移動はピーク圧力に達するまで行われる。
【0035】
1つの発展例では、圧縮中にノズルが閉止され、ピストンニードルがノズルヘッドの溶融液室に沈み込み、それにより液相の一部が溶融液室の上側領域から腎形部品の開口部を通って溶融液ゾーンから混合ゾーンへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相の一部が可塑化ゾーンからの可塑相と混合ゾーンで混合される。
【0036】
1つの発展例では、ピストンが保持位置で保持され、保持プロセス中に液相の圧力と温度が測定されて、圧縮プロセスの機能コントロールのために測定値が評価ユニットによってチェックされる。
【0037】
さらに1つの発展例では、保持位置でのピストンの保持中にノズルが閉止され、ピストンニードルが溶融液室に沈み込み、それにより液相の一部が溶融液室の上側領域から腎形部品の開口部を通って溶融液ゾーンから混合ゾーンへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相の一部が可塑化ゾーンからの可塑相と混合ゾーンで混合される。
【0038】
予備圧縮は、アクチュエータ装置によるピストンの力制御式ないし圧力制御式の制御によって実行され、ピストン底面の目標位置は、低温ゾーンを起点として、可塑化ゾーンの最初の3分の1にある。顆粒は可塑化ゾーンでピストンの送りによって圧縮され、それと同時に溶融液ゾーンでは、中空室とノズルとの間に溶融液がある。可塑化した顆粒が、それによって混合ゾーンの中で溶融液に押し込まれる。ピストンの降下によって、およびこれに伴ってノズル方向へのピストンニードルの降下によって、すでに溶融液がノズルから吐出され、それにより、まだ存在している可能性のある空気ないし気泡がノズルヘッドから押し除けられることが実現されるという利点がある。それによってノズルが空く。
【0039】
予備圧縮の目標位置への到達後に、印刷ヘッドのノズルが閉止される。
【0040】
材料を圧縮するために、ピストンがアクチュエータ装置によって、定義されたピーク圧力およびこれに伴ってピーク圧力位置に達するまで、圧力制御式に送られる。このとき、印刷ヘッドを作動させる方法の1つの発展例では、圧縮中にノズルが閉止され、ピストンニードルが溶融液室に沈み込み、それにより液相の一部が溶融液室の上側領域から腎形部品の開口部を通って溶融液ゾーンから混合ゾーンへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相の一部が、可塑化ゾーンからの可塑相と混合ゾーンで混合される。
【0041】
次いで、材料依存的な事前定義される時間帯の間、いわばピーク圧力位置が保持され、したがって、ピーク圧力位置は印刷ヘッドの保持位置でもある。
本方法の1つの発展例では、保持位置でのピストンの保持中にノズルが閉止され、ピストンニードルが溶融液室に沈み込み、それにより液相の一部が溶融液室の上側領域から腎形部品の開口部を通って溶融液ゾーンから混合ゾーンへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相の一部が、可塑化ゾーンからの可塑相と混合ゾーンで混合される。
【0042】
保持プロセスによって残留空気が押し除けられ、溶融液が混合ゾーンCで均一化される。それにより、改善されたエネルギー流が実現されて、いっそう均一な材料が生成されるという利点がある。流れ戻る溶融液は可塑的になり、腎形部品に押し込まれた顆粒割合が溶融液状になる。それにより材料の混合が生じる。
ここで説明している保持プロセスは、さらに、印刷ヘッドの分析とシステムチェックをするための役目を果たすという利点がある。圧力の圧力測定の際に、次のような効果が生じ得るからである。溶融液における圧力の圧力上昇は、たとえば溶融液の温度が高すぎるために、溶融液がガス化することを意味することになる。高すぎる溶融液温度は望ましくない。空気プラズマが発生する可能性があり、このことは化学的崩壊につながるからである。
溶融液圧力の大幅な圧力低下は、たとえば、印刷ヘッドのシステムが非密閉であるか、多すぎる空気がまだシステム内にあることを意味し得る。このような効果が発生する可能性があるのは、たとえば印刷ヘッドの温度マネジメントが最善に調整されていなかったために、温度が低い材料が過量に中空室に存在していた場合である。
【0043】
1つの発展例では、液相のばね定数の判定は次の各ステップを含む:
-保持の終了後に保持位置から、溶融液圧力が目標圧力に達したときに到達される目標位置へと圧力制御式に復帰移動がなされ、
-ピーク圧力と目標圧力との間の圧力差が判定され、
-保持位置と目標位置との間の区間が判定され、
-液相のばね定数が計算される。
【0044】
ばね定数は溶融液の圧縮性から求められ、アクチュエータ装置によるピストンの正確な制御のために必要となる補正係数ないしフォームファクタにつながる。
溶融液の圧縮性に基づき、たとえばピストンが進んだ幾何学的なピストンストロークの1.2容積単位は、溶融液の運び出された容積の1.0容積単位に相当する。圧縮性がなければ比率は1:1になるはずである。
【0045】
溶融液のばね定数が判定されることで、アクチュエータ装置がピストンを制御式にコントロールできることが実現されるという利点があり、ばね定数は、特に、溶融液の現実の吐出が、印刷時に動く印刷ヘッドの軌道速度に依存して、溶融液の計算された正確な容積流量を達成することを可能にする。すなわち、印刷ヘッドの各々の軌道速度のもとでの各々の印刷位置で、そのつど必要な量の溶融液が構成部品に向けて吐出される。
【0046】
1つの発展例では、液相の印刷準備は次の各ステップを含む:
-ばね定数に依存してピストンの引き戻しにより液相が能動的に減圧され、
-ノズルが開放され、
-印刷開始時に液相が圧縮される。
【0047】
能動的な減圧の際にピストンは、判定されたばね定数に依存して約1から2ミリメートルだけ引き戻され、それにより、引き続いてノズルないしノズル開口部が開いたときに、溶融液がこれから外に出ないことが実現されるという利点がある。このことは、位置の引き続いての保持のもとで、既存の開放系に基づいて重力の影響によって発生することになる。それと同時に、溶融液がばねのような形式で負荷軽減される。
【0048】
次いで、圧縮によって新たな印刷準備が始まる。印刷ヘッドのシステム全体は、溶融液がたとえば約20%の圧縮を有し得るので、圧縮性のシステムである。したがって、ピストンの送りによって押し除けられる容積は吐出される材料の容積には相当せず、そのために不正確で不規則な吐出が生じかねない。しかし本発明による方法が実施されることで、このことが回避されるという利点がある。
【0049】
1つの発展例では、液相の吐出すなわち印刷は圧力制御式に実行され:
-溶融液室の圧力が恒常的に測定され、
-ピストンが制御・調節ユニットを通じて能動的に制御され、ピストンの送りが圧力依存的に補正係数の分だけ適合化され、補正係数は材料の液相のばね定数から求められる。
【0050】
測定される圧力は、構成部品への液相の吐出によって生じる圧力に相当し、補正係数は、液相の圧縮性を補償するために好ましい。
【0051】
印刷開始時の溶融液室での溶融液の圧縮は、部分的に、溶融液が「押し出される」ときのノズルのノズル開口部での摩擦を通じて生成され、部分的に、構成部品もしくは構成部品が上に設置された基材支持体に印刷されるときの抵抗を通じて生成される。
溶融液の均等な吐出は印刷ヘッドのインテリジェントな制御によって実現され、補正係数の分だけ適合化されたピストンの非同期の運動が、アクチュエータ装置での電子式の伝動装置の利用によって行われる。特に溶融液の判定されたばね定数から求められる補正係数が、いわばシステムに干渉する。したがって本発明による方法は、通常のNCシステムに準ずる同期運動への限定を有さない。
【0052】
このようなケースについては、電気駆動されるアクチュエータ装置がダイナミックであり非常に効率的であることが判明している。
【0053】
さらに本方法は、最初の液滴から不変で一定の軌道厚みの実現を可能にするという利点がある。
【0054】
さらに印刷ヘッドの構造から利点がもたらされ、ピストンブッシュは上側と下側の部分領域の間にストッパを有することができ、このストッパによってフランジとノズルヘッドが互いに分離される。このようにピストンブッシュおよび特にストッパは、冷却されるフランジを加熱されるノズルヘッドから分離し、それによってこれらが互いに接触しないという利点がある。
さらに、ピストンブッシュの下側の部分領域に腎形部品が配置されていてよく、腎形部品はピストンのピストンニードルを収容するために中央に延びるボアを有する。
【0055】
印刷ヘッドのピストンは、アクチュエータ装置に連結するための第1のピストン部分と、第1のピストン部分に連結するため、およびピストンニードルを収容するためのピストンヘッドとを含む。第1のピストン部分はアルミニウム中空ピストンとして構成されるのが好ましく、それにより第1のピストン部分を通して冷却剤を案内することができ、それによってピストン冷却が実現されるという利点がある。ピストンヘッドはノズルのほうを向く側に下面を有し、ピストンニードルはこの下面の中心から突出する。ピストンヘッドの下側の面から、ピストンニードルの仮想的な面を差し引いたものが、材料に対する圧力を生成するためのピストン面を形成する。ピストンヘッドの下面はピストン冷却によって共に冷却され、それにより、ピストン底面における溶融液ないし可塑材料の粘性を局所的に低減させる。それにより、液状の溶融液が駆動装置の方向に流れ込み得ることが防止され、それにより、ピストンブッシュでピストンが挟まって動かなくなることだけでなく、駆動装置への溶融液の侵入も防止されるという利点がある。さらに、引き戻されるときにピストン底面ないしピストンヘッドの下面から材料がいっそう容易に離れ、その結果、ピストンの始動点ないし初期点に達したとき、残留材料がピストン底面に付着することなしに、固相の材料ないし顆粒の容易な再充填が可能である。
ピストンヘッドの下面に、ないしはピストン底面に、温度センサが取り付けられるのが好ましい。温度センサの配置に基づき、印刷ヘッドのピストン位置依存的な熱マネジメントが可能であり、それにより、溶融液がピストンヘッドの下面と接触することなしに、材料のいっそう迅速な加熱が実現される。それにより、印刷ヘッドの充填プロセスの迅速化を実現できるという利点がある。
ピストンヘッドは円筒状の構成部品として製作され、耐熱性の材料で製造されるのが好ましい。アルミニウムでの第1のピストン部分の製作と、たとえば鋼材でのピストンヘッドの製作とが行われるという組合せは、そのようにしてピストンが、機械的な応力を受け止めるための弾性的な上側領域と、加熱される材料の領域での耐熱性の下側領域とを有するので、好ましいことが判明している。
ピストンニードルは、ピストン位置に応じて、腎形部品のボアに部分的にのみ突入するか、または完全に貫通し、それにより、ピストンニードルが腎形部品の中央のボアの中で案内されるという利点がある。
【0056】
腎形部品は同心的に配置された開口部を有し、これらの開口部は、ピストンブッシュに配置された中空室と、ノズルヘッドの下側部分に配置された溶融液室との間の流体接続部を形成する。
【0057】
中空室はピストンブッシュの内部に配置され、ピストンブッシュの内面と、ピストンニードルの外面と、腎形部品の上面と、ピストンの下面とで外側の面が形成される容積部によって形成される。
中空室の内部でピストンの移動によって、ピストンヘッドの下面ないしピストン面を通じて材料ないし顆粒が圧縮される。材料の圧縮中、印刷ヘッドの熱マネジメントは、中空室の内部で材料の液相ないし溶融液が形成されるのではなく、材料が可塑相として形成されるように調整される。それにより、可塑化した材料がピストンの下面に付着しないことが実現されるという利点がある。ただし圧縮中に、液相ないし溶融液の一部は溶融液室の中で、溶融液室に侵入するピストンニードルにより、同心的に配置された腎形部品の開口部を通して溶融液室から出てピストンブッシュの中空室へ押し込まれる。このとき溶融液の各部分が可塑相の各部分と混合される。このとき溶融液がエネルギーを可塑相へ放出し、それにより、いっそう均一な材料が生成されるという利点がある。このように、腎形部品はミキサないし静的ミキサである。可塑相を液相と混合するために、ピストン運動以外には、その他の可動部品が必要ないという利点があるからである。このように腎形部品の構成は、材料ないし溶融液と可塑化された材料との改善された混合につながるブレンド作用のために作用するという利点がある。
腎形部品は、加熱部材の加熱エネルギーをノズルヘッドから溶融液へもピストンニードルへも案内し、このことは、溶融液が加熱されるときの改善されたエネルギーマネジメントのために作用するという利点がある。
【0058】
さらに、腎形部品は別個の構成部品として製作されていてよく、または、ピストンブッシュと一体的に構成されていてよい。
【0059】
さらに溶融液室の中には、液相の圧力pについての圧力センサおよび/または温度Tについての温度センサが配置される。圧力pの測定は、出口開口部からの溶融液の吐出ないし排出あるいは質量流量に関して決定をする一次パラメータである。温度Tの追加の測定は、質量流量Qの決定にあたって材料の粘性の温度依存性も考慮に入れることを可能にする。ピストン送りによって、調量されるべき量を正確に制御することができる。製造される構成部品ないし対象物の品質にとって、特に一定で正確な制御の形態での温度Tのコントロールは、材料の熱劣化を回避するためにもいっそう重要である。
さらに、アクチュエータ装置および/またはピストンには、ピストンの位置sについてのストローク測定システム、および/またはピストンから材料に及ぼされる力Fについてのセンサ、もしくはピストンに及ぼされる液圧pについてのセンサが設けられる。
ピストンの送りは、排出されるべき材料の量を表す目安となる。この量は、特に、ストローク測定システムを通じてコントロールすることができる。さらに、力Fは材料の圧力と直接的に相関関係にある。
さらにピストンには、特にピストンのピストンヘッドの下面には、材料の可塑相の温度Tについての温度センサが配置される。
温度センサのこのような配置に基づき、ピストン位置依存的な印刷ヘッドの熱マネジメントが可能であり、それにより、溶融液がピストンヘッドの下面と接触することなく、材料のいっそう迅速な加熱が実現される。それにより、印刷ヘッドの充填プロセスの迅速化、ないしは充填プロセスの所要時間の短縮を実現できるという利点がある。
【0060】
本発明を改良するさらに別の方策については、図面を参照したうえでの本発明の好ましい実施例の記述とともに、以下において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明に基づく印刷ヘッドである。
図2】本発明による印刷ヘッドを示す別の図である。
図3】本発明による印刷ヘッドの一部分である。
図4】本発明による印刷ヘッドを示す模式図である。
図5】印刷ヘッドを作動させる本発明による方法のフローチャートである。
図6】本発明による印刷ヘッドの一部分と圧力推移である。
図7】本発明による印刷ヘッドのピストンのさまざまな位置を示す図である。
図8】ピストンストローク、印刷ヘッドの軌道速度、および圧力推移を示すグラフである。
図9】印刷ヘッドの中空室を充填する方法のフローチャートである。
図10】印刷ヘッドのピストンブッシュの開口断面を閉止する方法のフローチャートである。
図11】固相から可塑相を経て液相へと材料を転換させる方法のフローチャートである。
図12】材料を圧縮する方法のフローチャートである。
図13】材料の液相のばね定数を判定する方法のフローチャートである。
図14】材料の液相の印刷準備をする方法のフローチャートである。
図15】液相を吐出する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は3Dプリンタのための印刷ヘッド100を示しており、ピストン3を制御するために印刷ヘッド100のハウジング1に配置されたアクチュエータ装置110と、印刷可能な材料10のための供給デバイス2と、ハウジング1および供給デバイス2に配置された、冷却装置50を有するフランジ5と、固相10から可塑相11を経て液相12へと材料10を転換するための加熱部材61,63を有するノズルヘッド6と、材料10の液相12をノズルヘッド6から吐出するためのノズル8とを含んでいる。印刷ヘッド100は、ピストン3を案内するための別個のピストンブッシュ4を含んでいる。
【0063】
冷却装置50によって内部冷却されるフランジ5は、印刷ヘッド100の加熱される下側領域を、アクチュエータ装置110に対して、ないしピストン3の駆動部に対して、熱的に分離するために作用する。
【0064】
ピストン3は、ピストン3をアクチュエータ装置110に連結するための第1のピストン部分31と、第1のピストン部分31に取り付けられ、ノズル8の方向にピストンニードル32を収容するピストンヘッド34とを含んでいる。ピストン3には、ないしピストンヘッド34の下面35には、材料の可塑相11の温度Tを測定するための温度センサ36が配置されている。ピストンヘッド34の下面35は、ピストン底面35を形成する。第1のピストン部分31はアルミニウム中空ピストンとして構成されるのが好ましく、この中空ピストンは、冷却通路として構成される中空室を内部に有する。第1のピストン部分31の下側端部に、冷却剤システムを通じて冷却されるピストン冷却部33が配置されている。ピストン冷却部33はピストン底面35での材料11,12の凝固のために作用し、それによってピストン3をアクチュエータ装置110の方向で封止し、ないしは、それによってアクチュエータ装置110の方向への液体の溶融液12の流入を防止する。冷却剤としては冷却液が利用されるのが好ましく、冷却液は接続部や柔軟な配管を介してハウジング1を通り、第1のピストン部分31の冷却接続部37へと送出される。
フランジ5にある冷却装置50も、これと同じ冷却剤システムによって冷却剤の供給を受ける。
【0065】
ピストン底面35で材料11,12が冷却されることで、材料11,12の粘性が局所的に低下し、それにより、ピストン3が引き戻されるときに材料が糸を引くことなくこれから離れる。このときに新たな材料10のためのスペースが創出される。
【0066】
図1は、供給デバイス2を介して印刷ヘッド100に供給される印刷可能な材料10で印刷ヘッド100を充填するための初期位置でピストン3を示している。
【0067】
供給デバイス2は漏斗状に構成されており、好ましくは顆粒である材料10が上方から供給デバイス2の開口部に投入される。材料10は重力によって、ピストンブッシュ4の開口部21ないし開口断面まで達する。開口断面21の上方の供給デバイス2の下側領域には、空気通路20が配置されている。この空気通路は、空気圧弁22によって空気衝撃により負荷される。空気圧弁22と空気通路20は、顆粒10をインターバルごとに空気衝撃で負荷して、これがさらに上に位置する供給デバイス2の領域の方向へ投げ出され、それによって個々の顆粒粒子10が互いに剥離されるようにする吹込装置を構成する。空気流がオフになると、供給デバイス2の下側領域にある顆粒10が、開いた開口断面21のもとでピストンブッシュ4の中に落下する。
それにより、供給デバイス2の吹込装置は顆粒粒子10が詰まって動かなくなるのを防止し、それによって供給装置2の閉塞が防止され、それにより、ピストンブッシュ4が顆粒10で確実に充填されるように作用する。さらに、供給デバイス2の入口でいっそう小さい直径を適用することができる。
再充填のプロセスは顆粒10の後方吹込を必要とし、それによって顆粒が浮揚する効果が生じ、その結果、これが引き続いて印刷ヘッド100の中に滑り込む。吹き上げは自動式の用途のためには不可欠であり、発生する重力衝撃ないし衝撃によって顆粒10が滑落する。
【0068】
ピストンブッシュ4は、フランジ5に突入する上側の部分領域41と、ノズルヘッド6の上側の部分領域60に突入する下側の部分領域42とを有している。ピストンブッシュ4の上側の部分領域41と下側の部分領域42の間にストッパ43が配置されていて、これによってフランジ5とノズルヘッド6が互いに分離される。開口部21ないし開口断面は、ピストンブッシュ4の上側の部分領域41に配置されており、ピストンブッシュ4の内面にゲート44を有している。ゲート44は、開口断面21が閉じられたとき、ピストン3によって顆粒10がゲート44とピストン底面35の間で、ゲート44の下方の位置にピストン底面35が達するまで、せん断されることを惹起する。
【0069】
ピストンブッシュ4はゲート44のところで鈍角を有しており、この鈍角は鋭利なエッジ状であり硬化されている。このとき局所的な硬化が好ましい。ゲート44は、別案の実施形態ではスローアウェイチップのような形式で、別個のインサートによって形成されていてもよい。
ゲート44の設計形態は、顆粒10をせん断するために必要な力の低減のために作用するという利点があり、それによりエネルギーを節減することができ、ピストンブッシュ4とピストン3の材料で摩耗の生じやすさが減る。このときゲート44のエッジは極端に摩耗が生じやすい。
【0070】
ピストンブッシュ4の下側の部分領域42に腎形部品7が配置されており、腎形部品7は、ピストン3のピストンニードル32を収容するために中央に延びるボア70を有している。
さらに腎形部品7は、ピストンブッシュ4に配置された中空室40と、ノズルヘッド6の下側部分62に配置された溶融液室81との間の流体接続部を形成する、同心的に配置された開口部71を有している。中空室40はピストンブッシュ4の内部に配置されており、ピストンブッシュ4の内面と、ピストンニードル32の外面と、腎形部品7の上面と、ピストン3の下面35とによって形成される。
【0071】
腎形部品7の1つの好ましい役割は、ノズルヘッド6の加熱部材61,63から材料の液相12ないし溶融液12への熱伝導ないしエネルギー伝達にある。このことは特に中空室40との、およびこれに伴って材料の可塑相11との、接触面の拡大によって実現される。
もうひとつ別の役割はピストンニードル32の案内にあり、ボア70の内部でのピストンニードル32の接触は、追加的に、必要なプロセス温度へのピストンニードル32の加熱のために作用する。最終的なプロセス温度は、ノズル8へと向かうノズルヘッド6の中で初めて達成される。
【0072】
印刷ヘッド100の充填プロセス中には、ノズル8が必要に応じて閉止され、アクチュエータ装置110によるピストン3の制御のもとで、中空室40および溶融液室81に配置された材料10,11,12がピストン送りによって圧縮される。
【0073】
ノズルヘッド6は印刷ヘッド100の加熱部材61,63を含んでおり、第1の加熱部材61は上側のノズルヘッド60に配置され、第2の加熱部材63は下側のノズルヘッド62に配置されている。上側のノズルヘッド60は、上側のノズルヘッド60と下側のノズルヘッド62の間に配置された、腎形部品7が載置される部分区域64を有している。ノズル8の領域には、冷却リング84がノズルヘッド6に配置されている。この冷却リングは印刷されるべき構成部品を冷却し、構成部品を印刷ヘッド100から熱的に遮蔽する。
【0074】
ノズルヘッド6の加熱部材61,63は、中空室40、腎形部品7、および溶融液室82の中の材料10,11,12を、材料の液相12がそのプロセス温度に達してノズル8から吐出できるようになるまで加熱する。溶融液室82は、上側のノズルヘッド60の部分区域64からノズル8まで先細になるように構成されている。溶融液室81がテーパ状に終わることは容積流の増強を可能にし、ノズルヘッド6の内壁への材料の堆積を防止する。円筒状の溶融液室81と比較して少ない材料12ないし容積が、テーパ状に終わる溶融液室81の中にあることで、混合プロセスがいっそう最適化される。それによってピストンニードル32は、圧縮時に溶融液12の一部を腎形部品7の開口部71を通して溶融液室81から中空室40へ戻るように押し除けるために、少ない容積しか押し除けなくてすむ。
【0075】
さらに、印刷ヘッド100は別のセンサを含んでおり、溶融液室81には材料の液相12の圧力pについての圧力センサ83と、温度Tについての温度センサ82とが配置されている。さらに別のセンサがアクチュエータ装置110に配置されており、ピストン3の位置sについてのストローク測定システム111と、ピストン3から材料10,11に及ぼされる力Fについての、またはピストン3に及ぼされる液圧pについての、センサ112とが設けられている。別案の実施形態では、センサ111,112が印刷ヘッド100のピストン3に配置されていてもよい。
【0076】
図2は、本発明による印刷ヘッド100の別の図を示しており、本発明に基づいて材料の固相10が顆粒粒子10を含んでおり、供給デバイス2は、顆粒粒子10を互いに剥離するために吹込装置25を有している。
吹込装置25は空気圧弁22と空気通路20とを含んでおり、空気通路20は供給デバイス2のハウジング部分27に配置されていて、供給デバイス2の下側領域24にフランジ5の開口断面21よりも上方で連通する。
空気通路20は空気圧弁22によって空気衝撃26により負荷可能であり、空気衝撃26は下側領域24で顆粒粒子10に対して作用して、これらが互いに剥離されるようになっている。
供給デバイス2は漏斗状に構成されており、顆粒粒子10は上方から供給デバイス2の開口部23に投入される。材料10は重力によってフランジ5の開口断面21まで、ないしはピストンブッシュ4まで、ないしはピストンブッシュ4の開口断面21まで、到達する。フランジ5の開口断面21よりも上方の供給デバイス2の下側領域24に、吹込装置25の空気通路20が配置されている。空気通路20は空気圧弁22によって空気衝撃26で負荷される。吹込装置25は空気圧弁22と空気通路20とを含んでおり、顆粒10はインターバルごとに空気衝撃により負荷されて、さらに上方に位置する供給デバイス2の領域の方向へと投げ出され、それによって個々の顆粒粒子10が互いに剥離されるようになっている。吹込装置25がオフになると、供給デバイス2の下側領域24にある顆粒10が、開いた開口断面21のもとでピストンブッシュ4の中空室40に落下する。それにより、供給デバイス2の吹込装置25は顆粒粒子10が詰まって動かなくなるのを防止し、それによって供給装置2の閉塞が防止され、それにより、ピストンブッシュ4が顆粒10で確実に顆粒で充填されるように作用する。再充填のプロセスは顆粒10の後方吹込を必要とし、それによって顆粒が浮揚する効果が生じ、その結果、これが引き続いて印刷ヘッド100の中に滑り込む。吹き上げは自動式の用途のためには不可欠であり、発生する重力衝撃ないし衝撃によって顆粒10が滑落する。
【0077】
図3は、本発明による印刷ヘッド100の一部分を90°だけ回転させた図で示しており、ピストンブッシュ4の上側の部分領域41を起点として腎形部品7を経てノズル8に至るまで、動作中に材料10,11,12で充填される印刷ヘッド100の状態ゾーンA,B,C,D,Eが示されている。状態ゾーンA,B,C,D,Eは、材料10の凝集状態をその温度Tに依存して表しており、材料10の凝集状態は状態ゾーンA,B,C,D,Eを通じて固相10から可塑相11を経て液相12へと変化し得る。
【0078】
印刷ヘッド100の内部での材料10,11,12の温度Tないし温度推移が、印刷ヘッド100の上に示すグラフに示されており、温度はストロークsにわたって、ないし印刷ヘッド100の作業領域120の長さにわたって、示されている。
【0079】
印刷ヘッド100の状態ゾーンA,B,C,D,Eは、材料が固相10である低温ゾーンAと、材料が可塑相11である可塑化ゾーンBと、材料がそれぞれ液相12である溶融液ゾーンDおよびプロセスゾーンEとを含んでいる。さらに状態ゾーンは、材料が可塑相11と液相12である混合ゾーンCを含んでいる。
【0080】
フランジ5の冷却装置50と、ピストン3に統合されているピストン冷却部33とは、可塑化ゾーンBにおける材料の可塑相11の温度Tを、その場合にもガラス転移温度Tよりも下方に保つために意図され、このガラス転移温度を超えると材料11が可塑化されて、液相12へと移行することになる。材料が可塑相11である可塑化ゾーンBは、ここに示す実施形態では、顆粒の粘性がすでに変化しており、それによって圧縮プロセスと混合プロセスが最適化されるが、顆粒の可塑相11がまだ液相12へは移行していない、材料ないし顆粒の状態を表す。
【0081】
さらにノズルヘッド6は、2つの加熱ゾーン65,66を含んでいる。
第1の加熱ゾーン65には、可塑化ゾーンBの部分領域と、混合ゾーンCと、溶融液ゾーンDの部分領域とが配置されており、第1の加熱部材61が上側のノズルヘッド60に配置されて、第1の加熱部材61から、ピストンブッシュ42の下側の部分領域と、腎形部品7と、上側のノズルヘッドの部分区域64とを経て、材料10,11,12へ熱エネルギーを注入可能であるようになっている。
第2の加熱ゾーン66には溶融液ゾーンDの部分領域とプロセスゾーンEとが配置されており、第2の加熱部材63が下側のノズルヘッド62に配置されて、第2の加熱部材63から下側のノズルヘッド62を経て材料の液相12へ熱エネルギーを注入可能であるようになっている。
【0082】
このグラフから読み取れるように、材料10,11,12の温度Tは、印刷ヘッド100の作業領域120のストロークsにわたって連続して上昇していく。低温ゾーンAではフランジ5の冷却装置50の作用が支配的であり、それにより、顆粒10はストロークsにわたってゆっくりと加熱されるにすぎない。可塑化ゾーンBからは、第1の加熱部材61を有する第1の加熱ゾーン65の影響が増していき、温度曲線はガラス転移温度Tに達するまで著しく上昇していき、そこから混合ゾーンCが始まる。温度Tは混合ゾーンCでは低い勾配をもって、溶融液ゾーンDに達するまで引き続き上昇していく。そこで、第2の加熱部材63を有する第2の加熱ゾーン66の影響ゾーンが始まり、この加熱部材が溶融液12の温度Tを著しく上昇させてから、プロセスゾーンEで溶融液12のプロセス温度に達して、印刷能力のある溶融液12が生じている。
【0083】
温度Tは、顆粒10が充填時に詰まって動かなくなることがないが、ゲート44での材料10,11のせん断ができる限り少ない力コストで可能となるように予加熱されるように、中空室40へ流れ込むことができるように調整されなければならない。このとき印刷ヘッド100の温度マネジメントは、フランジ5にある冷却装置50が約40℃の冷却温度調節をピストンブッシュ4へ、およびそれによって材料10,11へ注入し、第1の加熱ゾーン65の第1の加熱部材61が、材料10,11,12のガラス転移温度Tないし溶融液温度を下回る約30℃の加熱温度調節を注入するように調整される。
このような効果がピストン冷却部33によってサポートされる。ピストン底面35で材料11,12が冷却されることで、材料11,12の粘性が局所的に低くなり、それにより、ピストン3が引き戻されたときに材料が糸を引くことなくこれから剥離される。その際に、ピストン3が供給デバイス2への開口断面21を解放したときに、新たな材料10のためのスペースが創出される。
【0084】
ピストン底面35にある温度センサ36は、ピストン3と材料10,11の接触個所における温度Tを測定し、それにより、材料10のガラス転移温度Tを上回らないように、印刷ヘッド100の冷却出力と加熱出力を計算することができる。ピストン底面35への温度センサ36ないし温度検出器の配置に基づき、加熱部材61,63のピストン位置依存的な制御、およびそれによって温度Tの調整が可能である。それにより、材料11,12のいっそう迅速な加熱が実現される。このようにして印刷ヘッド100の熱マネジメントは、60から80℃以下の低い溶融温度を有するプラスチックの加工も可能にする。
【0085】
プロセスゾーンEで材料の液相12を製作するための圧縮プロセス中、ノズル8は閉じている。ノズル8はたとえば図示しない閉止弁によって閉じることができ、または、プリンタの設計スペースでプレートの上に印刷ヘッド100が位置決めされることで閉じることができる。さらに、構成部品9のすでに印刷されている領域を接近させ、それによってノズル8を閉じることもできる。ピストンニードル32は圧縮プロセス中に溶融液室81に沈み込み、さらにその中に入るように動いて、それにより液相12の一部が溶融液ゾーンDから混合ゾーンCへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより混合ゾーンCでは液相12が、可塑化ゾーンBからの可塑相11と混合される。
このとき溶融液ゾーンDからの液相12は、溶融液室81の上側領域から腎形部品7の開口部71を通って、ピストンブッシュ4の中空室40へ戻るように混合ゾーンCへと押し除けられる。
【0086】
図4は、ピストン3を移動させるためのアクチュエータ装置110を能動的に制御するための制御・調節ユニット113と、センサ36,82,83,111,112の測定値を評価し、アクチュエータ装置110の能動的な制御のために、および加熱部材61,63の能動的な制御のために、その結果を制御・調節ユニット113へ転送するために構成された評価ユニット114とを有する、本発明による印刷ヘッド100の模式図を示している。
制御・調節ユニット113は、充填と印刷のために実行されるべき動作ストラテジーに即してピストン3を移動させるための、アクチュエータ装置110の能動的な制御のために意図され、および、第1の加熱部材61と第2の加熱部材63の温度の能動的な制御のために意図される。
アクチュエータ装置110の能動的な制御にとって基準となるのは、評価ユニット114によって受信されるセンサ信号と、それぞれの値から計算される結果である。
液相12の圧力pについての圧力センサ83、および温度Tについての温度センサ82は、溶融液室81に配置されている。ピストン3の位置sについてのストローク測定システム111、およびピストン3から材料10,11に及ぼされる力Fについての、またはピストン3に及ぼされる液圧pについてのセンサ112は、アクチュエータ装置110またはピストン3に配置される。
さらにピストン3には、材料の可塑相11の温度Tについての温度センサ36が配置される。
【0087】
破線の矢印で示されている、センサ111,112,36,82,83の信号s,F,p,T,T,pが評価ユニット114に伝送され、引き続いてそこで、またはクラウドで評価され、その結果が動作ストラテジーに即して制御量iとして制御・調節ユニット113に伝送されて、アクチュエータ装置110ならびに加熱部材61,63が相応に制御される。
【0088】
図5は、本発明による印刷ヘッド100を作動させる本発明による方法200のフローチャートを示しており、この方法200は次の各ステップを含む:
-供給デバイス2によって中空室40が印刷可能な材料10で充填210され、
-スタート位置3aを起点として印刷ヘッド100のノズル8の方向へのピストン3の送りによってピストンブッシュ4の開口断面21が閉止220され、
-材料が固相10から可塑相11を経て液相12へと転換230され、
-材料10,11,12が圧縮240され、
-液相12のばね定数が判定250され、
-液相12が印刷準備260され、
-三次元の構成部品9を印刷するために材料の液相12がノズル8から吐出270され、
-ピストン3がスタート位置3aへと復帰移動280し、
-方法200の終了までステップ210から280が反復290される。
方法200の少なくとも閉止220、転換230、圧縮240、ばね定数の判定250、印刷準備260、および吐出270は、制御・調節ユニット113によるアクチュエータ装置110の能動的な制御によって実行され、センサ36,82,83,111,112の測定値からの評価ユニット114の結果が制御・調節ユニット113に転送される。
これらの方法ステップについては後で詳細に説明する。
【0089】
図6は、本発明による印刷ヘッド100の一部分と、印刷ヘッド100を作動させる方法200の作動中の、ないしさまざまな方法ステップの途中の、圧力推移ないし圧力・力推移を表す2つのグラフ6a,6bとを示している。図7は、図6に示すさまざまな方法ステップないし状態でのピストン3のそれぞれ異なる位置を、ピストン底面35のスタート位置3aを起点として最終位置3zまで示している。各方法ステップの実行中、フランジ5とピストン3の冷却装置50,33ならびに加熱部材61,63はアクティブであり、溶融液室81ならびに腎形部品7は溶融液12で満たされており、中空室40の下側の部分領域では顆粒はまだ可塑相11である。
【0090】
図示している印刷ヘッド100の一部分は、図1図3および図4に示す本発明の印刷ヘッド100の部分に相当しているので、上記の各図面の符号が図6および図7の説明のために援用されており、新たな構成要件や関連性、たとえばピストン3のそのつどの位置は、図6および図7のピストン底面35を基準として表示されている。
【0091】
図6は第1のグラフ6aに、ピストン3が進んだストロークsの上にプロットされた2つの曲線推移を示している。ストロークsは、アクチュエータ装置110またはピストン3にあるストローク測定システム111ないしストロークセンサ111によって測定される。
上側の曲線は、閉止220および圧縮240のときにアクチュエータ装置110によってピストン3が送られている間にピストン3から材料10,11に及ぼされる力Fについての、または、ピストン3に及ぼされる液圧pについての、力・圧力推移を表しており、力センサないし圧力センサ112はアクチュエータ装置110またはピストン3に配置される。
グラフ6aの下側の曲線は、溶融液室81の中の溶融液圧力pの圧力推移を、圧縮240の間のピストン3のストロークsに対して表している。液相12ないし溶融液12の圧力pについての圧力センサ83は、溶融液室81に配置される。
【0092】
第2のグラフ6bには、第1のグラフ6aの下側の曲線の部分断片が示されており、ここでも溶融液室81の中の溶融液圧力pの圧力推移が、圧縮240の間のピストン3のストロークsに対して表されている(pからpにかけての曲線推移)。
【0093】
図7aは、印刷ヘッド100の充填プロセス210の間のピストン3のスタート位置3aを示しており、ピストン底面35はピストンブッシュ4の開口部21の上側で位置決めされている。充填210から印刷準備260中のノズルの開放820までのプロセス手順全体は補充プロセスとも呼ばれるが、それは、これが構成部品9の印刷中に任意に反復される、繰り返される手順だからである。図7aに示すピストン3の位置は、図1に示すピストン3の位置に呼応する。ピストンブッシュ4の開口部21ないし開口断面21は開いており、供給デバイス2を介して顆粒10をピストンブッシュ4の中空室40に入れることができる。次いで、ピストン3がアクチュエータ装置110により、図7bに示す位置3bへと制御される。その際にピストン底面35はピストンブッシュ4のゲート44のそばを通過し、開口部21から中空室40に突き出した顆粒10が、ピストン底面35とゲート44との間でせん断される。したがって、この位置はせん断位置3bと呼ばれる。せん断420の後、開口断面21が閉止220される。
力・圧力推移F,pはスタート位置3aからせん断位置3bまで上昇していき、アクチュエータ装置110の力消費はゲート44ないしせん断位置3bのところで最大になる。顆粒10をせん断するための力をアクチュエータ装置110が印加しなければならないからである。力消費は、ゲートジオメトリーの最適化などの適当な方策によって、ピストン底面35の性質や顆粒10の予加熱との関連で低減することができる。それに対して溶融液12の圧力推移pはわずかしか変化せず、ないしはほとんど上昇しない。ノズル8がまだ開いており、溶融液室81の中で圧力生成が生じていないからである。
【0094】
次いで圧縮プロセス240が開始され、ピストン3がアクチュエータ装置110によって力制御式ないし圧力制御式に位置3cまで移動する。ピストン3が移動するときに、材料ないし顆粒10,11に及ぼされる力Fまたはピストン3に及ぼされる液圧pが、ならびに溶融液12における圧力pが、測定される。ピストン3のスライドによって、材料10,11,12が予備圧縮される。
【0095】
位置3cは力上昇ないし圧力上昇によって定義され、すなわち位置3cは調節され、直接的な点ではなく、グラフ6aに示す曲線の勾配が調節される。この勾配は、それぞれ上昇の少ない、ないしは上昇のない直線(位置3aから位置3cまでの領域)から、事前定義された上昇ないし事前定義された上昇角が達成される、および/または超過される、曲線の上昇(位置3c)への転換点pLc,F,pHcで生じる。位置3cは可塑化ゾーンBの最初の3分の1にある。顆粒10,11は可塑化ゾーンBでピストン3の送りによって圧縮され、それと同時に、中空室40とノズル8との間の溶融液ゾーンDには溶融液12がある。可塑化された顆粒11が、それによって混合ゾーンCの中で溶融液12に押し込まれる。
ピストン3の降下によって、およびこれに伴ってノズル8の方向へのピストンニードル32の降下によって、すでに溶融液12がノズル8から吐出され、それにより、まだ存在している可能性のある空気ないし気泡がノズルヘッド6から押し除けられることが実現される。それによってノズル8が空く。
【0096】
位置3cには方法面および材料面から許容範囲が与えられ、それにより、順次実行される印刷ヘッド100のさまざまな充填プロセスのもとで、ピストン3の位置3cが若干相違していてもよい。したがって位置3cは固定的な点ではない。位置3cが所定の許容範囲内にあれば、充填プロセス210が成功したことが保証され、すなわち十分な顆粒10が中空室40に投入されており、溶融液室81がすでに溶融液12で充填されている。勾配がたとえば位置3cの大幅に手前で始まっている場合には、ピストン底面35からノズル8までの領域に過量の高粘度な、ないしは硬い材料10,11があり、混合ゾーンCでの混合プロセスが場合により成功していない。勾配がたとえば位置3cよりも大幅に後で初めて始まっているときは、場合により少なすぎる材料10しか再充填されていない。
【0097】
位置3cへの到達後、予備圧縮610が完了しており、印刷ヘッド100のノズル8が閉止620される。
【0098】
圧縮630のためにピストン3が位置3cを起点として圧力制御式に、事前に定義されたピーク圧力pに達してピストン底面35が図7cに示す位置3dへと移動するまで送られる。ピーク圧力pは、材料10と必要性に応じておよそ100から300バールの間であり得る。
【0099】
次いで、材料依存的な事前定義される時間帯の間、いわばピーク圧力位置3dが保持される。このときピストン底面35は第1の加熱ゾーン65に突入し、ピストンニードル32は溶融液室81に突入し、保持中に溶融液12の一部がノズルヘッド6の溶融液室81から腎形部品7の開口部71を通って混合ゾーンCに戻るように、そこにある可塑的な顆粒10の中に流れる。それによって残留空気が押し除けられ、溶融液12が混合ゾーンCで均一化される。それによって改善されたエネルギー流が実現され、いっそう均一な材料11,12が生成される。流れ戻る溶融液12は可塑的になり、腎形部品7に押し込まれた顆粒割合11が溶融液状になる。それにより材料11,12の混合が生じる。
ここで説明している保持プロセス640は、さらに、印刷ヘッド100の分析とシステムチェックをするための役目を果たす。圧力pの圧力測定の際に、次のような効果が生じ得るからである。溶融液12における圧力pの圧力上昇は、たとえば温度Tが高すぎるために、溶融液12がガス化することを意味することになる。高すぎる溶融液温度Tは望ましくない。空気プラズマが発生する可能性があり、このことは化学的崩壊につながるからである。
溶融液圧力pの大幅な圧力低下は、たとえば、印刷ヘッド100のシステムが非密閉であるか、多すぎる空気がまだシステム内にあったことを意味し得る。このような効果が発生する可能性があるのは、たとえば印刷ヘッド100の温度マネジメントが最善に調整されていなかったために、温度が低い材料10,11が過量に中空室40に存在していた場合である。
【0100】
事前定義された時間帯の経過後に、ピストン3がピーク圧力位置3dからアクチュエータ装置110によって圧力制御式に、およそ0バールの目標圧力pに達するまで復帰移動710する。システムが負荷軽減される。それにより、溶融液12が圧力軽減されてガス抜きされることが実現され、それによって特にプロセスゾーンEでは、質的に高価値であり印刷能力のある純粋な溶融液12が発生している。目標圧力pに達すると、図7dに示す目標圧力位置3eに到達し、ピストン底面35は第1の加熱ゾーン65の外部で、ピストンブッシュ4のストッパ43の領域に位置決めされる。
このとき測定される、ピーク圧力位置3dの圧力pと目標圧力位置3eの圧力pとの間の圧力差、および両方の点3d,3eの間で進んだストロークsが、材料の液相12ないし溶融液12のばね定数740を明らかにする。
【0101】
ばね定数は溶融液12の圧縮性から求められ、アクチュエータ装置110によるピストン3の正確な制御のために必要となる補正係数ないしフォームファクタにつながる。
溶融液12の圧縮性に基づき、たとえばピストン3が進んだ幾何学的なピストンストロークsの1.2容積単位は、溶融液12の運び出された容積の1.0容積単位に相当する。圧縮性がなければ比率は1:1になるはずである。
【0102】
それにより、アクチュエータ装置110がピストン3を制御式にコントロールできることが実現され、ばね定数は、特に、溶融液12の現実の吐出が、印刷時に動く印刷ヘッド100の軌道速度vに依存して、溶融液12の計算された正確な容積流量を達成することを可能にする。すなわち、印刷ヘッド100の各々の軌道速度vのもとでの各々の印刷位置で、そのつど必要な量の溶融液12が構成部品9に向けて吐出される。
【0103】
次いで、溶融液12の吐出270のプロセスが、ないしは印刷プロセス270が、ピストン3の引き戻しによる能動的な減圧810を通じて準備260される。
このときピストン3は、判定されたばね定数に依存して約1から2ミリメートルだけ引き戻され、それにより、引き続いてノズル8ないしノズル開口部が開放820されたときに、溶融液12がこれから外に出ないことが実現される。このことは、位置3eの引き続いての保持のもとで、既存の開放系に基づいて重力の影響によって発生することになる。それと同時に、溶融液12がばねのような形式で負荷軽減される。
【0104】
次いで、圧縮830によって新たな印刷準備が始まる。印刷ヘッド100のシステム全体は、すでに説明したとおり、溶融液12がたとえば約20%の圧縮を有し得るので、圧縮性のシステムである。したがって、ピストン3の送りによって押し除けられる容積は吐出された材料12の容積には相当せず、そのために不正確で不規則な吐出が生じかねない。印刷プロセス270の送りについて生じ得る溶融液12の容積は、目標位置3eと、図7eに示す最終位置3zまでのストロークとによって定義される。
上で説明した効果に基づき、溶融液12は印刷開始中に圧縮される。印刷開始時の溶融液室81での溶融液12の圧縮は、部分的に、溶融液12が「押し出される」ときのノズル8のノズル開口部での摩擦を通じて生成され、部分的に、構成部品9もしくは構成部品9が上に設置された基材支持体に印刷されるときの抵抗を通じて生成される。
溶融液12の均等な吐出は印刷ヘッド100のインテリジェントな制御によって実現され、補正係数の分だけ適合化されたピストン3の非同期の運動が、アクチュエータ装置110での電子式の伝動装置の利用によって行われる。特に溶融液12の判定されたばね定数740から求められる補正係数が、いわばシステムに干渉する。したがって本発明による印刷ヘッド100は、通常のNCシステムに準ずる同期運動への限定を有さない。
【0105】
印刷プロセス270は圧力制御式に実行され、ノズルヘッド6にある圧力センサ83を通じて溶融液12の圧力pが恒常的に測定される。測定される圧力pは、構成部品9ないし基材支持体(構成部品がまだない場合)に向けて溶融液12が吐出されることで生じる圧力である。対象物に印刷をするこのような効果がなければ、ノズル8での背圧も摩擦圧力を除いて生じないことになり、そのため、多すぎる材料/溶融液12がノズル8から吐出されることになる。
印刷プロセス270は、ピストン3のインテリジェントなコントロールと制御によって、溶融液12に能動的に干渉がなされることによって開始される。その際には、溶融液12の圧縮性を補うために行程が「いっそう多く」実行される。このとき原理的には多すぎる溶融液12がノズル8から押し出されるが、溶融液12への干渉と並行して圧力センサ83が読み取られ、それによって相応に圧力依存的に対応制御を行うことができる。
このようなケースについては、電気駆動されるアクチュエータ装置110がダイナミックであり非常に効率的であることが判明している。
【0106】
印刷プロセス270の間に溶融液温度Tが継続的に測定され、加熱ゾーン2で溶融液12がノズルヘッド6の加熱部材63を通じて、プロセスゾーンEの領域でのプロセス温度の所要の目標値に合わせて制御される。
【0107】
印刷開始時にピストン3が印刷ヘッド100の軌道速度vに応じてアクチュエータ装置110によって制御され、それにより溶融液12がノズル8から吐出される。
印刷プロセス270中、印刷ヘッド100の制御・調節ユニット113が作動化され、たとえば必要時には加算による目標値saKないし加算による材料12の量を付け加えるために、アクチュエータ装置110の制御に能動的に介入する。たとえば加算による目標値saKが付け加えられ、それにより、継続的な制御によるよりも多くの材料12がノズル8から吐出され、ないしは押し出されると、その帰結としてノズルヘッド6での圧力pも上昇する。加算による目標値saKは干渉された値であり、ないしは、ばね定数から求めた補正値に応じて所望の容積の溶融液12を吐出するために進まなければならない追加のピストンストロークである。それによって整定状態に達し、それにより、構成部品9に向けて吐出される溶融液12の量が一定に保たれる。
【0108】
このようなプロセスが図8のグラフに例示として示されている。図8aは、ピストン3の目標ストロークsKSの曲線と、ピストン3の能動的な制御に基づいて目標ストロークsKSに付け加えられる、ないしは介入される、加算による目標値saKとを含むストローク・時間・グラフを示している。
図8bは、印刷時の印刷ヘッド100の軌道速度vと、印刷プロセス中における溶融液圧力pとを時間に対して表示するグラフを示している。
【0109】
印刷ヘッド100の軌道速度vは点vまでほぼ一定であり、点vから点vまで低下していく。それは、たとえば印刷ヘッド100が曲線を通過するからである。点v以降、印刷ヘッド100は点vまで再び加速し、その後、ほぼ一定の速度vでさらに移動する。これと並行して図8aには、ピストン3の目標ストロークsKSの曲線が示されていて、ここでは一定に保たれる勾配で示されている。
この曲線は、ピストンが一定の速度で送られる、制御されない印刷ヘッドのピストンストロークを表すことになる。しかし恒常的な圧力・温度測定により、印刷ヘッド100の軌道速度vが減速および加速されるとき、溶融液圧力pの圧力pないし圧力推移が変化することが確認される(図8b参照)。このような変化から加算による目標値SaKが判定され、それに応じてピストン3が制御され、加算による目標値SaKがピストン3の目標ストロークsKSに付け加えられ、または差し引かれる。
印刷ヘッド100が減速されるとピストン3が低速になり(図8aの負の勾配sを参照)、ないしはさらに停止し、あるいは運動方向を転換する。それが起こる理由は、軌道速度vが降下し、それによって圧力pが低くなるからである。ピストン3が制御ないしフォワード制御されることで、多すぎる材料12がノズル8から構成部品9に向けて吐出されることが回避される。
【0110】
点vで軌道速度vが加速されると、上で説明した溶融液12の圧縮が始まり、それによって、圧縮されない媒体の場合よりも大きい行程をピストン3が行うことが必要になる。このとき制御・調節ユニット113がシステムに能動的に介入して制御を担い、加算による目標値SaKが引き上げられるように作用し、それによってより多くの材料12が押し出され、その結果としてノズル8の圧力pが上昇する。
【0111】
ピストン3の送りによって、および、その結果として生じる溶融液12の(点pにおける)圧力上昇によって、溶融液12という仮想的な「ばね」が縮まり、ないしは剛性が高くなる。こうして生じる工学的な効果が制御・調節ユニット113によって追従制御され、それにより、引き続いて印刷プロセス270の間に正確な量の溶融液12がノズル8から吐出されて、たとえば同じ厚みないし厚さの層が構成部品9に塗布される。
【0112】
軌道速度vが再び一定になると整定状態に達し、押し出される溶融液12の量が一定に保たれ、印刷ヘッド100の軌道速度vは同じままに保たれる。
【0113】
このときピストンニードル32の使用は、これによって溶融液室81の溶融液12の内部での直接的な容積押除けが可能になるという好ましい効果のために作用し、それにより、いっそう低いばね定数が実現される。低いばね定数は、ひいては印刷ヘッド100の高いダイナミクスを可能にする。この効果は、ピストンニードル32によって溶融液12に対するいっそう直接的な圧力伝達が行われることから生じる。すなわちピストン3が送られたとき、ノズル8から溶融液12を吐出するために、ピストン底面35だけでなく、ノズル8のさらに近傍に位置決めされたピストンニードル32も圧力インパルスを伝達する。
【0114】
印刷プロセス270は、ピストン底面35が位置3zに達するまで実行可能であり、位置3zは、ピストン底面35が機械的なストッパに達するのでなく、図7eに示すように、腎形部品7に達する直前で停止するように規定される。その後は材料12を吐出できなくなり、上に説明した補充プロセスがあらためて開始される。
【0115】
図9から図15には、本発明による方法200の各方法ステップの個々のフローチャートが、先行する図面で説明した本発明の実施形態の補足として示されている。
【0116】
図9は、供給デバイス2によって中空室40を印刷可能な材料10で充填210する方法のフローチャートを示しており、方法210は少なくとも次の各ステップを含む:
-供給デバイス2の開口部23を通して印刷ヘッド100の中に材料10が投入310され、
-材料10を、特に顆粒粒子10を、互いに剥離するための空気衝撃26が生成320される。
【0117】
顆粒粒子10の投入310は手動式または自動式に行われ、顆粒粒子10は重力の影響によって供給デバイス2の下側領域24に滑り込む。
【0118】
空気衝撃26の生成320はインターバルをおいて行われ、顆粒粒子10が空気衝撃26の領域で投げ上げられて、落下するときに、その下に位置する顆粒粒子10に対して衝撃を及ぼして、印刷ヘッド100の加熱された中空室40の中へ滑落するようにこれに刺激を与えるようになっている。
【0119】
図10は、ピストン3によってピストンブッシュ4の開口断面21を閉止220する方法のフローチャートを示しており、この方法220は次の各ステップを含む:
-ピストン3のピストン底面35のスタート位置3aを起点としてノズル8の方向へ、ピストンブッシュ4のゲート44よりも下方の位置3bに達するまでピストン3が送られ410、
-ゲート44のそばをピストン底面35が摺動することで顆粒10がせん断420される。
【0120】
図11は、固相10から可塑相11を経て液相12へと材料を転換230する方法のフローチャートを示しており、この方法230は次の各ステップを含む:
-印刷ヘッド100の各状態ゾーンA,B,C,D,Eにわたってノズルヘッド6の加熱部材61,63により材料10,11,12が加熱510され、これらの状態ゾーンA,B,C,D,Eは材料10の凝集状態をその温度Tに依存して表し、材料10,11,12の凝集状態は加熱部材61,63の熱エネルギーの注入により各状態ゾーンA,B,C,D,Eにわたって固相10から可塑相11を経て液相12へと変化し、
-圧縮240中に材料11,12が混合520される。
【0121】
図12は、材料10,11,12を圧縮240する方法のフローチャートを示している。この方法240は次の各ステップを含む:
-ピストン3の送りによって材料10,11,12が予備圧縮610され、
-ノズル8が閉止620され、
-ピストン3の送りによって材料10,11,12が圧縮630され、
-保持位置3dでピストン3が保持640される。
【0122】
材料10,11,12の予備圧縮610はピストン3の送りによって圧力制御式および/または力制御式に実行され、位置3cまで予備圧縮がなされ、この位置が到達されるのは、力曲線および/または圧力曲線の材料依存的な勾配および/または材料依存的な勾配角が達成および/または超過されたときである。
【0123】
材料10,11,12の圧縮630は、閉止されたノズル8のもとでのピストン3の送りによって圧力制御式に実行され、その際には保持位置3dへの移動は、ピーク圧力pに達するまで、ないしはピーク圧力pによって保持位置3dが定義されるまで、行われる。
【0124】
圧縮630中にはノズル8が閉止されており、ピストンニードル32がノズルヘッド6の溶融液室81に沈み込み、それにより液相12の一部が溶融液室81の上側領域から腎形部品7の開口部71を通って溶融液ゾーンDから混合ゾーンCへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相12の一部が、可塑化ゾーンBからの可塑相11と混合ゾーンCで混合される。
【0125】
ピストン3は保持位置3dで保持され、保持プロセス640中に液相12の圧力pと温度Tが測定されて、圧縮プロセス240の機能コントロールのために測定値が評価ユニット114によってチェックされる。
【0126】
保持位置3dでのピストン3の保持640中にはノズル8が閉止されており、ピストンニードル32が溶融液室81に沈み込み、それにより液相12の一部が溶融液室81の上側領域から腎形部品7の開口部71を通って溶融液ゾーンDから混合ゾーンCへ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相12の一部が、可塑化ゾーンBからの可塑相11と混合ゾーンCで混合される。
【0127】
図13は、液相12のばね定数を判定250する方法のフローチャートを示しており、この方法250は次の各ステップを含む:
-保持640の終了後に、保持位置3dから、溶融液圧力pが目標圧力pに達したときに到達される目標位置3eへと圧力制御式に復帰移動710がなされ、
-ピーク圧力pと目標圧力pとの間の圧力差が判定720され、
-保持位置3dと目標位置3eとの間の区間が判定730され、
-液相12のばね定数が計算740される。
【0128】
図14は、液相12の印刷準備260をする方法のフローチャートを示しており、この方法260は次の各ステップを含む:
-ばね定数に依存してピストン3の引き戻しにより液相12が能動的に減圧810され、
-ノズル8が開放820され、
-印刷開始時に液相12が圧縮830される。
【0129】
図15は、液相12を吐出270する方法のフローチャートを示しており、印刷方法270は圧力制御式に実行され:
-溶融液室81の圧力pが恒常的に測定され910、測定された圧力pは構成部品9に向けた液相12の吐出によって生じる圧力と関連しており、
-ピストン3が制御・調節ユニット113を通じて能動的に制御され920、ピストン3の送りが圧力依存的に補正係数の分だけ適合化され930、補正係数は材料の液相12のばね定数から求められる。
【符号の説明】
【0130】
1 ハウジング
2 供給デバイス
3 ピストン
3a スタート位置
3c 位置
3d 保持位置
4 ピストンブッシュ
5 フランジ
6 ノズルヘッド
7 腎形部品
8 ノズル
10 材料、固相
11 可塑相
12 液相
21 開口断面
23 開口部
24 下側領域
26 空気衝撃
32 ピストンニードル
35 ピストン底面
36 センサ
40 中空室
41 上側の部分領域
44 ゲート
50 冷却装置
61,63 加熱部材
65,66 加熱ゾーン
71 開口部
81 溶融液室
82,83 センサ
100 印刷ヘッド
110 アクチュエータ装置
111,112 センサ
113 制御・調節ユニット
114 評価ユニット
200 方法
210 中空室の充填
220 ピストンブッシュの開口断面の閉止
230 材料の転換
240 材料の圧縮
250 ばね定数の判定
260 印刷準備
270 液相の吐出
280 ピストンの復帰移動
290 ステップの反復
310 材料の投入
320 空気衝撃の生成
410 ピストンの送り
420 顆粒のせん断
510 材料の加熱
520 材料の混合
610 材料の予備圧縮
620 ノズルの閉止
630 材料の圧縮
640 ピストンの保持
710 ピストンの復帰移動
720 圧力差の判定
730 区間の判定
740 ばね定数の計算
810 減圧
820 ノズルの開放
830 液相の圧縮
910 圧力の測定
920 ピストンの制御
930 適合化
A,B,C,D,E 状態ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-11-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)を作動させる方法(200)において、
前記方法(200)は次の各ステップを含み、
供給デバイス(2)によって中空室(40)が印刷可能な材料(10)で充填(210)され、
スタート位置(3a)を起点として前記印刷ヘッド(100)のノズル(8)の方向へのピストン(3)の送りによってピストンブッシュ(4)の開口断面(21)が閉止(220)され、
前記材料が固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと転換(230)され、
前記材料(10,11,12)が圧縮(240)され、
液相(12)のばね定数が判定(250)され、
液相(12)が印刷準備(260)され、
三次元の構成部品(9)を印刷するために前記材料の液相(12)が前記ノズル(8)から吐出(270)され、
前記ピストン(3)がスタート位置(3a)へと復帰移動(280)し、
前記方法(200)の終了まで前記ステップ(210)から(280)が反復(290)されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも閉止(220)、転換(230)、圧縮(240)、ばね定数の判定(250)、印刷準備(260)、および吐出(270)は、制御・調節ユニット(113)によるアクチュエータ装置(110)の能動的な制御によって実行され、センサ(36,82,83,111,112)の測定値からの評価ユニット(114)の結果が前記制御・調節ユニット(113)に転送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記供給デバイス(2)による印刷可能な材料(10)での前記中空室(40)の充填(210)は少なくとも次の各ステップを含み、
前記供給デバイス(2)の開口部(23)を通して前記印刷ヘッド(100)の中に前記材料(10)が投入(310)され、
前記材料(10)を、特に顆粒粒子(10)を、互いに剥離するための空気衝撃(26)が生成(320)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項4】
顆粒粒子(10)の投入(310)は手動式または自動式に行われ、顆粒粒子(10)は重力の影響によって前記供給デバイス(2)の下側領域(24)へと滑り込むことを特徴とする、請求項3に記載の方法(200)。
【請求項5】
空気衝撃(26)の生成(320)はインターバルをおいて行われ、顆粒粒子(10)は前記空気衝撃(26)の領域で投げ上げられて、落下するときに、その下に位置する顆粒粒子(10)に対して衝撃を及ぼして、前記印刷ヘッド(100)の加熱された前記中空室(40)の中へ滑落するようにこれに刺激を与えるようになっていることを特徴とする、請求項4に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記ピストン(3)による前記ピストンブッシュ(4)の前記開口断面(21)の閉止(220)は次の各ステップを含み、
前記ピストン(3)のピストン底面(35)のスタート位置(3a)を起点として前記ノズル(8)の方向へ、前記ピストンブッシュ(4)のゲート(44)よりも下方の位置(3b)に達するまで前記ピストン(3)が送られ(410)、
前記ゲート(44)のそばを前記ピストン底面(35)が摺動することで顆粒(10)のせん断(420)が実現されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項7】
固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと前記材料が転換(230)されることは次の各ステップを含み、
前記印刷ヘッド(100)の各状態ゾーン(A,B,C,D,E)にわたってノズルヘッド(6)の加熱部材(61,63)により前記材料(10,11,12)が加熱(510)され、前記状態ゾーン(A,B,C,D,E)は前記材料(10)の凝集状態をその温度(T)に依存して表し、前記材料(10,11,12)の凝集状態は前記加熱部材(61,63)の熱エネルギーの注入により前記状態ゾーン(A,B,C,D,E)にわたって固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと変化し、
前記圧縮(240)中に前記材料(11,12)が混合(520)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記材料(10,11,12)の圧縮(240)、特に圧縮プロセス(240)は次の各ステップを含み、
前記ピストン(3)の送りによって前記材料(10,11,12)が予備圧縮(610)され、
前記ノズル(8)が閉止(620)され、
前記ピストン(3)の送りによって前記材料(10,11,12)が圧縮(630)され、
保持位置(3d)で前記ピストン(3)が保持(640)されることを特徴とする、請求項1または2または7に記載の方法(200)。
【請求項9】
前記材料(10,11,12)の予備圧縮(610)は前記ピストン(3)の送りによって圧力制御式および/または力制御式に実行され、力曲線および/または圧力曲線の材料依存的な勾配および/または材料依存的な勾配角が達成および/または超過されたときに到達される位置(3c)まで予備圧縮がなされることを特徴とする、請求項8に記載の方法(200)。
【請求項10】
閉止された前記ノズル(8)のもとでの前記ピストン(3)の送りによる前記材料(10,11,12)の圧縮(630)は圧力制御式に実行され、その際には保持位置(3d)への移動はピーク圧力(p)に達するまで行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法(200)。
【請求項11】
前記圧縮(630)中には前記ノズル(8)が閉止されており、ピストンニードル(32)がノズルヘッド(6)の溶融液室(81)に沈み込み、それにより液相(12)の一部が前記溶融液室(81)の上側領域から腎形部品(7)の開口部(71)を通って溶融液ゾーン(D)から混合ゾーン(C)へ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相(12)の前記一部が、可塑化ゾーン(B)からの可塑相(11)と前記混合ゾーン(C)で混合されることを特徴とする、請求項8または10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記ピストン(3)が前記保持位置(3d)で保持され、保持プロセス(640)中に液相(12)の圧力(p)と温度(T)が測定されて、前記圧縮プロセス(240)の機能コントロールのために測定値が評価ユニット(114)によってチェックされることを特徴とする、請求項8または10に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記保持位置(3d)での前記ピストン(3)の保持(640)中には前記ノズル(8)が閉止されており、ピストンニードル(32)が溶融液室(81)に沈み込み、それにより液相(12)の一部が前記溶融液室(81)の上側領域から腎形部品(7)の開口部(71)を通って溶融液ゾーン(D)から混合ゾーン(C)へ戻るように押し除けられるようになっており、それにより液相(12)の前記一部が、可塑化ゾーン(B)からの可塑相(11)と前記混合ゾーン(C)で混合されることを特徴とする、請求項8または12に記載の方法(200)。
【請求項14】
液相(12)のばね定数の判定(250)は次の各ステップを含み、
持(640)の終了後に、保持位置(3d)から、溶融液圧力(p)が目標圧力(p)に達したときに到達される目標位置(3e)へと圧力制御式に復帰移動(710)がなされ、
ーク圧力(p)と前記目標圧力(p)との間の圧力差が判定(720)され、
前記保持位置(3d)と前記目標位置(3e)との間の区間が判定(730)され、
液相(12)のばね定数が計算(740)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項15】
液相(12)の印刷準備(260)は次の各ステップを含み、
前記ばね定数に依存して前記ピストン(3)の引き戻しにより液相(12)が能動的に減圧(810)され、
前記ノズル(8)が開放(820)され、
印刷開始時に液相(12)が圧縮(830)されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項16】
液相(12)の吐出(270)は圧力制御式に実行され、
融液室(81)の圧力(p)が恒常的に測定され(910)、
前記ピストン(3)が制御・調節ユニット(113)を通じて能動的に制御され(920)、前記ピストン(3)の送りが圧力依存的に補正係数の分だけ適合化され(930)、前記補正係数は前記材料の液相(12)の前記ばね定数から求められることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法(200)を実施するための3Dプリンタのための印刷ヘッド(100)であって、
前記印刷ヘッド(100)のハウジング(1)に配置された、前記ピストン(3)を制御するためのアクチュエータ装置(110)と、前記印刷可能な材料(10)のための前記供給デバイス(2)と、前記ハウジング(1)および前記供給デバイス(2)に配置された、冷却装置(50)を有するフランジ(5)と、固相(10)から可塑相(11)を経て液相(12)へと前記材料(10)を転換させるための加熱部材(61,63)を有するノズルヘッド(6)と、前記材料(10)の液相(12)を前記ノズルヘッド(6)から吐出するための前記ノズル(8)とを含む、印刷ヘッドにおいて、
前記制御・調節ユニット(113)は、充填と印刷をするために実行されるべき動作ストラテジーに応じて前記ピストン(3)を移動させるための前記アクチュエータ装置(110)の能動的な制御のために、および、前記加熱部材(61,63)の能動的な制御のために、意図されることを特徴とする、印刷ヘッド。
【請求項18】
前記評価ユニット(114)は、前記印刷ヘッド(100)のセンサ(36,82,83,111,112)の測定値を評価し、前記アクチュエータ装置(110)の能動的な制御のために、および前記加熱部材(61,63)の能動的な制御のために、その結果を前記制御・調節ユニット(113)へ転送するために意図されることを特徴とする、請求項17に記載の印刷ヘッド(100)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
ノズルヘッド6の加熱部材61,63は、中空室40、腎形部品7、および溶融液室81の中の材料10,11,12を、材料の液相12がそのプロセス温度に達してノズル8から吐出できるようになるまで加熱する。溶融液室81は、上側のノズルヘッド60の部分区域64からノズル8まで先細になるように構成されている。溶融液室81がテーパ状に終わることは容積流の増強を可能にし、ノズルヘッド6の内壁への材料の堆積を防止する。円筒状の溶融液室81と比較して少ない材料12ないし容積が、テーパ状に終わる溶融液室81の中にあることで、混合プロセスがいっそう最適化される。それによってピストンニードル32は、圧縮時に溶融液12の一部を腎形部品7の開口部71を通して溶融液室81から中空室40へ戻るように押し除けるために、少ない容積しか押し除けなくてすむ。

【国際調査報告】