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特表2024-511583食器洗浄機及び食器洗浄機用処理剤カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】食器洗浄機及び食器洗浄機用処理剤カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/44 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A47L15/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555728
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2022056863
(87)【国際公開番号】W WO2022194952
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021106805.3
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523346272
【氏名又は名称】ウィンターハルター プロダクト アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Winterhalter Product & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Winterhalterstrasse 2-12, 88074 Meckenbeuren Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ドューデン・ローマン
(72)【発明者】
【氏名】シャウヴェッカー・ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】ズィンガー・ラルフ
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082CC02
(57)【要約】
食器洗浄機(1)は、1つ又は複数の調剤(調合)装置(111a-d)を有する洗浄区分(110)と、1つ又は複数の処理剤用の1つ又は複数のカートリッジ(2)をドッキングするためのドッキング部(120)と、各々が、前記食器洗浄機(1)の1つ又は複数の洗浄プロセスために前記1つ又は複数の処理剤を使用するために、前記ドッキング部(120)にドッキングされた対応するカートリッジ(2)を、前記1つまたは複数の調剤装置(111a-d)、又は前記食器洗浄機(1)の洗浄タンク(180)あるいはボイラ(190)に直接的又は間接的に接続するための1つ又は複数の接続部(130)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の調剤装置(111a-d)を有する洗浄区画(110)と、
1つ又は複数の処理剤用の1つ又は複数のカートリッジ(2)にドッキングさせるためのドッキング部(120)と、
各々が、食器洗浄機(1)の1つ又は複数の洗浄プロセスのために前記1つ又は複数の処理剤を使用するために、前記ドッキング部(120)にドッキングされた対応するカートリッジ(2)を、前記1つまたは複数の調剤装置(111a-d)、又は前記食器洗浄機(1)の洗浄タンク(180)あるいはボイラ(190)に直接的又は間接的に接続するための1つ又は複数の接続部(130)と、を備える、
食器洗浄機(1)。
【請求項2】
前記ドッキング部(120)は、第1カートリッジ(2a)とドッキングするための第1ドッキング部(120a)と、第2カートリッジ(2b)とドッキングするための第2ドッキング部(120b)と、を備え、
前記第1カートリッジ(2a)は、前記第2ドッキング部(120b)とドッキング可能ではなく、及び/又は前記第2カートリッジ(2b)は、前記第1ドッキング部(120a)とドッキング可能ではない、
請求項1に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項3】
前記第1ドッキング部(120a)は、i)前記第1カートリッジ(2a)を識別するために前記第1カートリッジ(2a)の第1嵌合止め具部分(211a)に係合し、ii)前記識別された第1カートリッジ(2a)を前記第1ドッキング部(120a)にドッキングするために前記第1カートリッジ(2a)の第3嵌合止め具部分(211c)に係合する、第1識別・止め具部分(121a)を備え、
前記第2ドッキング部(120b)は、i)前記第2カートリッジ(2b)を識別するために前記第2カートリッジ(2b)の第2嵌合止め具部分(211b)に係合し、ii)前記識別された第2カートリッジ(2b)を前記第2ドッキング部(120b)にドッキングするために前記第2カートリッジ(2b)の第4嵌合止め具部分(211d)に係合する、第2識別・止め具部分(121b)を備え、
前記第1識別・止め具部分(121a)の大きさ、形状、及び/又は材質は、前記第2識別・止め具部分(121b)の大きさ、形状、及び/又は材質と異なる、
請求項1又は2に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項4】
前記ドッキング部(120)は、複数の同一のカートリッジ(2)をドッキングするように設計される、
請求項1に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項5】
前記ドッキング部(120)は、前記1つ又は複数のカートリッジ(2)をドッキングするためのドッキング位置と、前記1つ又は複数の接続部(130)によって、前記ドッキングされた1つ又は複数のカートリッジ(2)を、前記1つ又は複数の調剤装置(111a-d)、前記洗浄タンク(180)又は前記ボイラ(190)に接続するための動作位置との間で、前記洗浄区画(110)に対して前後移動可能に配置されており、前記動作位置は、前記ドッキング位置とは異なる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項6】
前記ドッキング部(120)が前記動作位置にあるとき、前記接続部(120)に対応する少なくとも1つのドッキング部(130)は、第1ポジションと第2ポジションとの間に、次のような方法で前後移動可能に配置され、前記接続部(130)が前記第1ポジションであるとき、前記対応するカートリッジ(2)は、前記1つ又は複数の調剤装置(111a-d)、前記洗浄タンク(180)又は前記ボイラ(190)と接続されず、前記接続部(130)が前記第2ポジションであるとき、前記対応するカートリッジ(2)は、前記1つ又は複数の調剤装置(111a-d)、前記洗浄タンク(180)又は前記ボイラ(190)と接続される、
請求項5に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項7】
さらに、前記1つ又は複数のカートリッジ(2)を前記食器洗浄機(1)に挿入するための開口部(141)を有する収容部(140)と、開閉部(142)と、を備え、
前記開閉部(142)は、前記開口部(141)を開くための開位置と前記開口部(141)を閉じるための閉位置との間を前後移動可能に配置され、
前記開閉部(142)が開位置にあるとき、前記ドッキング部(120)が前記ドッキング位置にあり、前記開閉部(142)が閉位置にあるとき、前記ドッキング部(120)が動作位置にあるように、前記開閉部(142)は、前記ドッキング部(120)と接続される、
請求項5又は6に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのカートリッジ(2)の前記処理剤を保持するための、及び、前記1つ又は複数の調剤装置(111a-d)、前記洗浄タンク(180)又は前記ボイラ(190)に処理液を調剤するための少なくとも1つのリザーバ(150)を備え、
前記リザーバ(150)は、前記リザーバ(150)における前記処理剤の量を判断するためのセンサ(151)を備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項9】
前記センサ(151)によって判断される前記リザーバ(150)における前記処理剤の量が第1下限値を下回るとき、警告信号を発するように設定される、
請求項8に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項10】
さらに、バルブ(160)と制御部(170)を備え、
前記バルブ(160)は、i)前記バルブ(160)が開いているとき、前記カートリッジ(2)からの前記処理剤は、前記リザーバ(150)に入ることができ、ii)前記バルブ(160)が閉じているとき、前記カートリッジ(2)からの前記処理剤は、前記リザーバ(150)に入ることができないように設計され、
前記制御部(170)は、前記センサ(151)によって判断される前記リザーバ(150)の前記処理液の量に基づいて、前記バルブ(160)を開閉するように設定される、
請求項8又は9に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項11】
前記センサ(151)によって判断される前記リザーバ(150)における前記処理剤の前記量が第2下限値を下回るとき、前記制御部(170)は、前記バルブ(160)を開くように設定され、好ましくは、前記第2下限値は、前記第1下限値よりも大きい、
請求項10に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項12】
前記センサ(151)によって判断される前記リザーバ(150)における前記処理剤の前記量が最大値を超えるとき、前記制御部(170)は、前記バルブ(160)を閉じるように設定され、好ましくは、前記最大値は、前記第1下限値よりも大きく、及び/又は前記第2下限値よりも大きい、
請求項10又は11に記載の食器洗浄機(1)。
【請求項13】
前記複数のカートリッジ(2)は、少なくとも第1カートリッジ(2a)と第2カートリッジ(2b)とを備え、
前記第1カートリッジ(2a)は、第1識別・止め具部分(121a)に係合するための第1嵌合止め具部分(211a)を備え、
前記第2カートリッジ(2b)は、第2識別・止め具部分(121a)に係合するための第2嵌合止め具部分(211b)を備え、
前記第1識別・止め具部分(121a)の大きさ、形状、及び/又は材質は、前記第2識別・止め具部分(121b)の大きさ、形状、及び/又は材質と異なる、
請求項1~12のいずれか1項に記載の食器洗浄機(1)用の1つ又は複数の処理剤の複数のカートリッジ(2)からなるシステム。
【請求項14】
前記第1カートリッジ(2a)は、さらに、前記第1識別・止め具部分(121a)に係合するための第3嵌合止め具部分(211c)を備え、前記第3嵌合止め具部分(211c)の大きさ、形及び/又は材質は、前記第1嵌合止め具部分(211a)の大きさ、形、及び/又は材質と同じであり、前記第3嵌合止め具部分(211a)と前記第1嵌合止め具部分(211c)とは、前記食器洗浄機(1)への前記第1カートリッジ(2a)の挿入方向(3)において互いに間隔をあけて配置され、
前記第2カートリッジ(2b)は、さらに、前記第2識別・止め具部分(121b)に係合するための第4嵌合止め具部分(211d)を備え、前記第4嵌合止め具部分(211d)の大きさ、形及び/又は材質は、前記第2嵌合止め具部分(211b)の大きさ、形、及び/又は材質と同じであり、前記第4嵌合止め具部分(211b)と前記第2嵌合止め具部分(211d)とは、前記食器洗浄機(1)への前記第1カートリッジ(2b)の挿入方向(3)において互いに間隔をあけて配置される、
請求項13に記載の複数のカートリッジからなるシステム。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか1項に記載の食器洗浄機(1)と、
前記1つ又は複数のカートリッジ(2)、好ましくは請求項13又は14に記載の複数のカートリッジ(2)からなる前記システムと、を備える、
食器洗浄システム。
【請求項16】
前記複数のカートリッジ(2)は、前記各処理剤に対して、同じ形状、大きさ及び/又は最大量保持容量を有する、
請求項15に記載の食器洗浄システム。
【請求項17】
前記1つ又は複数のカートリッジ(2)の少なくとも1つのカートリッジ(2)は、排出口(220)と、前記カートリッジ(2)が対応する接続部(130)によって前記1つ又は複数の1つ又は複数の調剤装置(111a-d)、前記洗浄タンク(180)又は前記ボイラ(190)に接続されるとき、前記カートリッジ(2)からの前記処理剤が前記排出口(220)の方向に1つ又は複数の排水面(230)に沿って排出することができ、前記1つ又は複数の調剤装置(111a-d)に流れるように、又は前記洗浄タンク(180)、前記ボイラ(190)又は前記リザーバ(150)に入るように、前記排出口(220)を通って前記カートリッジ(2)を使い切ることができるように設計された排水面(230)と、を備え、少なくとも1つの排出面(230)又はそれぞれの排出面(230)は、前記カートリッジ(2)からの前記処理剤の排出方向(4)に対して、0°より大きく90°よりも小さいそれぞれの角度で傾斜する、
請求項15又は16に記載の食器洗浄システム。
【請求項18】
前記カートリッジ(2)は、0.5リットル以下、1リットル以下、2リットル以下、5リットル以下、10リットル以下又は20リットル以下である前記処理剤に対する最大量保持容量を有し、好ましくは有害物質の輸送に関する「限定量」規則内である、
請求項1から12のいずれか1項に記載の食器洗浄機(1)の処理剤カートリッジ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機の処理剤カートリッジ、複数のカートリッジを構成するシステム、食器洗浄機、及び食器洗浄機と1つ又は複数のカートリッジとを構成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は、1つ又は複数の洗浄プロセスに使用される洗浄剤、リンス剤、及び/又は酵素液のように、1つ又は複数の処理剤を一般的に必要とする。処理剤の詰め替えは、ユーザがこのステップで処理剤に直接触れることができるので、ユーザに危険をもたらし、これにより、皮膚や目を傷つけ、健康リスクをもたらす可能性がある。
【0003】
さらに、洗浄剤やリンス剤のように、1つ又は複数の洗浄プロセスに同時に使用される複数の処理剤は、間違えやすく、これにより、1つ又は複数の洗浄プロセスの質を悪化させる。もし洗浄剤とリンス剤とが混ぜられると、化学沈殿物が生じて、投薬ホースを塞ぐ可能性があり、このことは食器洗浄機の耐用年数を減少させ、あるいは、動作不良を引き起こす可能性がある。
【0004】
特に、商用の食器洗浄機は、短期間で大量の処理剤を消費する。このため、大型貯蔵容器又はタンクは、特に、商業部門において処理剤の連続運転のために使用される。特に大規模に食器洗浄をする事業の場合、必要とされる処理剤の量は、寿命又は保存パックの耐用年数を短くするので、より小さい、又はより軽い容器は、経済的な理由により人気を得られていない。
【0005】
投薬用ランスの助けを借りて、処理剤は貯蔵容器又はタンクから直接取り除かれて、1つ又は複数の食器洗浄機の洗浄プロセスで使用される。この配置がスペース不足により不可能である場合、一体型貯蔵タンクを有する食器洗浄機が別の方法として使用され、ユーザは、貯蔵容器から処理剤を充填しなければならない。
【0006】
しかし、今日の商用の食器洗浄機の貯蔵容器は、その商用の食器洗浄機の貯蔵容器自体の大きさのせいで重くて扱いづらい。さらに、通常の貯蔵容器の輸送は、危険物の輸送を必要とする。容器の大きさにより危険性は特に高いため、貯蔵容器から液体が漏れたり、意図せずに処理剤が放出されたりした場合、輸送中に人、環境及び資源に多大な損害が発生する可能性があるからである。この理由のために、特別安全対策を取らなければならず、これにより、輸送費が増加する。
【0007】
小規模の食器洗浄業、又は「小規模に食器洗浄をする企業」において、大型貯蔵容器の耐用年数も長くなる。結果として、処理剤の品質は、悪くなり、処理剤の使い勝手が悪い。特に固形の処理剤の場合において、固形の処理剤は、通常、吸湿性物質であり、例えば、貯蔵容器に水が溜まる。食器洗浄機の動作中における運転と休止の間の温度変動により、処理剤中の化学物質は、溶解して再び沈殿することもあり、食器洗浄機のポンプとホースを詰まらせる厄介な沈殿物の原因となる。最終的に、いくつかの物質の溶解度限界は、処理剤の溶剤の蒸発によって超えてしまい、処理剤の使用性を制限する。
【0008】
さらに、大型貯蔵容器又はコンテナは、食器洗浄機の中を処理液で満たすことも困難にする。容器に負担がかかり、ユーザが狙うことは難しいため、食器洗浄機の薬品がこぼれやすい。特に、例えば容器がまだ満杯の場合、容器の閉鎖により処理剤の非一定な流動挙動が起こりえる。これは、処理剤のしぶきとこぼれにつながり、ユーザの健康を脅かす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
所望の用途を考慮して、使い勝手及び/又は危険性に関して食器洗浄機の処理剤の補充を改善する1つ又は複数の処理剤用の1つ又は複数のカートリッジと、食器洗浄機と、食器洗浄機及び1つ又は複数のカートリッジを構成するシステムとを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に関する食器洗浄機、請求項13に関するカートリッジのシステム、請求項15に関する食器洗浄システム及び請求項18に関するカートリッジの手段を用いることにより解決される。請求項2から12は、請求項1に関する食器洗浄機の特に好ましい実施例に関連し、請求項14は、請求項13に関するカートリッジシステムの特に好ましい実施例に関連し、請求項16及び17は、請求項15に関する食器洗浄システムの特に好ましい実施例に関連する。
【0011】
本発明によれば、食器洗浄機は、1つ又は複数の調剤装置を有する洗浄区画又は洗浄容器と、1つ又は複数の処理剤のための1つ又は複数のカートリッジをドッキングするためのドッキング部と、各々が、食器洗浄機の1つ又は複数の洗浄プロセスのために1つ又は複数の処理剤を使用するために、ドッキング部にドッキングされた対応するカートリッジを、1つまたは複数の調剤装置、又は食器洗浄機の洗浄タンクあるいはボイラに直接的又は間接的に接続するための1つ又は複数の接続部とを備える。
【0012】
上記において、カートリッジを1つ又は複数の調剤装置、又は洗浄タンクあるいはボイラに「直接又は間接接続」は、1つ又は複数のポンプ、バルブ、センサ、特にレベルセンサ、タンク又はリザーバのような別の構成要素は、カートリッジと1つ又は複数の調剤装置、又は洗浄タンクあるいはボイラとを接続させることができることを意味する。
【0013】
カートリッジは、密封包装された処理剤リザーバとも呼ばれる。1つ又は複数のカートリッジのそれぞれは、使い捨てのカートリッジ又は再充填可能なカートリッジであってもよい。カートリッジは、ぴったりとフィットする頑丈な容器として設計され、この場合、カートリッジは、処理剤の消費によりカートリッジ内の容積変化を補うための通気弁又は通気性膜を備えていると好ましい。あるいは、カートリッジは、柔軟なバック又は「バックインボックス」システムとして設計され、この場合、カートリッジ内の容積変化は、カートリッジ自体の収縮によって補うことができるので、通気弁又は通気性膜は省かれてもよい。カートリッジは、処理剤リザーバに加えて、例えば、コード化された閉鎖部品や統合された知能のような別の構成要素も含むことができ、これらについては後述する。
【0014】
1つ又は複数の処理剤のそれぞれは、液体、高濃縮液、つまり、高粘度液体、ゲル、粉末又は固体であってもよい。処理剤は、洗剤、食器洗い洗剤、食器洗い用化学薬品又は食器洗い用化学物質とも呼ばれる。処理剤の例は、洗浄剤、リンス剤及び酵素液である。各カートリッジの1つ又は複数の処理剤は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、あるカートリッジには洗浄剤が含まれていてもよいし、別のカートリッジにはリンス剤が含まれていてもよい。この場合において、1つ又は複数のカートリッジの処理剤は、1つ又は複数の洗浄プロセスに同時に使用されてもよい。あるいは、2つ又は複数のカートリッジは、それぞれ同じ処理剤を含んでいてもよい。この場合において、2つ又は複数のカートリッジは、次々に使用され、少なくとも1つのカートリッジは、別のカートリッジが既に完全に、又は可能な限り完全に空になった場合にのみ、対応する接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、又は洗浄タンクあるいはボイラに接続されるバックアップカートリッジとして使用されてもよい。2つ又は複数のカートリッジの平行使用は、カートリッジの交換間隔を延長するのにも役立つ。これは、使いやすさと危険を最小限にするのに貢献する。結局、単一のカートリッジは、カートリッジ内の壁で区切られた各エリアに複数の異なる処理剤を含むことができる。このようなカートリッジが、対応する接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続される場合、カートリッジからの複数の処理剤は、1つ又は複数の洗浄プロセスに同時に使用されてもよい。
【0015】
ドッキング部は、1つ又は複数のカートリッジを食器洗浄機に取り付けるための締結部と、及び/又は1つ又は複数のカートリッジを食器洗浄機に対して位置決めするための位置決め部とを構成してもよい。特に、ドッキング部は、機械側の閉鎖部品を構成し、カートリッジは、カートリッジ側の閉鎖部品を構成してもよい。機械側の閉鎖部品とカートリッジ側の閉鎖部品とは、カートリッジがドッキング部に対して相対的に位置決めされ、及び/又はドッキング部に取り付けられる閉鎖部品を形成することができる。特に、閉鎖は、ねじ閉鎖、止め具閉鎖、別の機械的な閉鎖又は電気機械的な閉鎖であってもよい。さらに、ドッキング部は、1つ又は複数のカートリッジを保持するための保持部として設計されてもよい。特に、ドッキング部は、1つまたは複数のカートリッジが挿入されるカートリッジ区画として設計されてもよく、ドッキング部は、挿入された1つ又は複数のカートリッジを、カートリッジ区画のそれぞれの壁部を介して1つ又は複数の側面から囲む。
【0016】
1つ又は複数の接続部は、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに対応するカートリッジの膜を貫通する又は対応するカートリッジの逆止弁を作動させて、対応するカートリッジを接続するピンとしてそれぞれ設計されてもよい。カートリッジが、対応する接続部によって1つ又は複数の調剤装置に接続される場合、処理剤は、例えば、供給ラインを経由してカートリッジから1つ又は複数の調剤装置に流れて、1つ又は複数の食器洗浄機の洗浄プロセスに使用される1つ又は複数の調剤装置を経由して洗浄区画に排出されてもよい。カートリッジが、対応する接続部によって洗浄タンク又はボイラと接続する場合、カートリッジからの処理剤は、食器洗浄機の1つ又は複数の洗浄プロセスで使用可能である又は使用されるために、例えば、供給ラインを経由して洗浄タンク又はボイラに入ってもよい。あるいは、処理液は、後述でより詳しく説明するように、初めにリザーバに入り、リザーバから1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに排出されてもよい。1つ又は複数の接続部は、ドッキング部にそれぞれ統合されてもよいし、ドッキング部とは別に設計されてもよい。カートリッジがドッキング部にドッキングされるとき、カートリッジは、対応する接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラと自動的に接続されてもよい。あるいは、カートリッジは、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに自動的に接続されることなく、ドッキング部にドッキングされてもよく、この場合、ドッキング部にドッキングされたカートリッジは、対応する接続部によって、例えば、後述でより詳しく説明するように、別のユーザ操作によってのみ、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されてもよい。
【0017】
本発明に係る食器洗浄機は、1つ又は複数の洗浄プロセスに対する必要な処理剤が、ユーザが処理剤と直接接触することなく新たなカートリッジとドッキングすること及び接続することにより、又はカートリッジを交換することにより容易に補充される利点を有する。これは、ユーザの健康を脅かす機会を減らし、ユーザの使い勝手を良くする。
【0018】
さらに、投薬用ランスのような追加の装置又は補充装置は、処理剤を補充するためには必要ない。これは、処理剤をより早く、容易に補充し、及びユーザにとっての手間を減らし、これにより、ユーザの使い勝手が良くなる。
【0019】
さらに、従来の貯蔵容器に対して、本発明に係るカートリッジは、食器洗浄機に保持されるため、特に場所を取らず、使い勝手がさらに良くなる。
【0020】
最終的に、カートリッジは、形状や大きさを柔軟に設計されることができ、特に、従来の貯蔵容器よりもより小さく、より軽くなり、カートリッジを使用者が持ち上げやすくなる。これは、特に小規模の食器洗浄業及び「小規模に食器洗浄する企業」にとって処理剤の量を調節することも容易にする。さらに、後述でより詳しく説明するように、処理剤に対するカートリッジの最大量保持容量が有害物質の輸送に関する「限定量」規則以内である場合、カートリッジの輸送にかかる労力及びコストを減らすこともできる。
【0021】
つまり、本発明に係る食器洗浄機は、処理剤の補充を(例えば、貯蔵容器からの処理剤の移し替えはカートリッジの交換によって交換され、処理剤に対するユーザの直接の接触は避けられるので)より安全に、(重く、取り扱いにくい貯蔵容器はより軽くて扱いやすいカートリッジに代えられ、追加の装置又は補充装置はもはや必要なくなるので)より早く、(顧客までの輸送ルートがより安い、例えば、「限定量」規則と「小規模に食器洗浄する企業」は、必要な食器洗浄機の化学薬品の量をより適切に見積もることができるため、使い始めの貯蔵容器が放置されることはないので)より安価にする。異なる処理剤を完全に使い切ることなく、より小さな包装単位で異なる処理剤を使用することにより、機械の柔軟な運用も増える。
【0022】
本発明に係る食器洗浄機の好ましい実施形態は、ドッキング部は、第1カートリッジとドッキングするための第1ドッキング部と、第2カートリッジとドッキングするための第2ドッキング部)と、を備え、第1カートリッジは、第2ドッキング部とドッキング可能ではなく、及び/又は第2カートリッジは、第1ドッキング部とドッキング可能ではない。第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、それぞれ、一体型のドッキング部のサブセクションであってもよいし、第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、別に成形された食器洗浄機の部品とすることができる。
【0023】
特に、第1ドッキング部は、第1機械側の閉鎖部品を備えていてもよく、第2ドッキング部は、第2機械側の閉鎖部品を備えていてもよい。さらに、第1カートリッジは、第1カートリッジ側の閉鎖部品を備えることができ、第2カートリッジは、第2カートリッジ側の閉鎖部品を備えることができる。上述のように、第1機械側の閉鎖部品と第1カートリッジ側の閉鎖部品とは、第1閉鎖部を作ることができ、一方で、第2機械側の閉鎖部品と第2カートリッジ側の閉鎖部品とは、第2閉鎖部を作ることができる。第1カートリッジ側の閉鎖部分が第2機械側の閉鎖部品に取り付けられないように、及び/又は第2カートリッジ側の閉鎖部品が第1機械側の閉鎖部品に取り付けられないように、第1閉鎖部と第2閉鎖部が異なるように設計されると好ましい。この場合において、第1閉鎖部及び第2閉鎖部は、コード化された閉鎖部と呼ばれてもよいし、第1閉鎖部及び第2閉鎖部の機械側の閉鎖部品とカートリッジ側の閉鎖部との両方をコード化された閉鎖部品として設計されてもよい。つまり、第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、それぞれ、対応するカートリッジの正確な、しかし、好ましくは、しかし、排他的ではないが、特徴的な位置決め及び/又は取り付けのために設計されてもよい。
【0024】
さらに、又はあるいは、第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、それぞれ、異なる大きさ又は形状であるので、対応する大きさ又は形状のあるカートリッジのみが各ドッキング部にドッキングされる。特に、第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、それぞれ、対応するカートリッジを保持するための別個の保持部として設計される。具体的には、各ドッキング部は、適切な大きさ又は形状のあるカートリッジのみが挿入される別個のカートリッジ区画として設計される。
【0025】
さらに、又はあるいは、第1ドッキング部と第2ドッキング部とは、それぞれ、カートリッジの対応する色分けに対応する異なる色分けを有してもよい。例えば、第1色でマークされたドッキング部は、第1色でマークされたカートリッジにドッキングするために提供され、又は適するとしてもよいし、第2カートリッジでマークされたドッキング部は、第2色でマークされたカートリッジにドッキングするために提供され、又は適するとしてもよい。ドッキング箇所及びカートリッジの色が異なるため、ユーザは、語学力がなくても、カートリッジを各ドッキング部に容易に割り当てる。
【0026】
上述した好ましい実施形態は、異なるカートリッジの混同及びユーザによる食器洗浄機用の異なる処理剤の混同を防ぐので、特に好ましい。これは、処理剤の補充に関してユーザの使い勝手と安全性を良くする。
【0027】
さらに、食器洗浄機は、第1ドッキング部にドッキングされた第1カートリッジを1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続するための第1接続部と、第2ドッキング部にドッキングされた第2カートリッジを、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続するための第2接続部とを備えてもよい。第1接続部及び第2接続部は、別々に設計されてもよいし、互いに独立して、第1カートリッジ及び第2カートリッジを、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続してもよい。このように、第1カートリッジ及び第2カートリッジからの処理剤は、ユーザの所望の設定に応じて、1つ又は複数の洗浄プロセスに互いに独立して使用されてもよい。あるいは、第1接続部及び第2接続部は、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラにのみ同時に接続できるように、互いに接続又は結合されてもよい。このように、2つの処理剤の同時の使用することで、最適な洗浄結果を得ることができ、食器洗浄機の使用を簡略化することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態において、第1ドッキング部は、第1識別・止め具部分を備える。第1識別・止め具部分は、第1カートリッジを識別するための第1カートリッジの第1嵌合止め具部分を係合するように設計される。第1識別・止め具部分は、さらに、識別された第1カートリッジを第1ドッキング部にドッキングするために、第1カートリッジの第1嵌合止め具部分を係合するように設計される。特に、第1識別・止め具部分は、機械側の第1閉鎖部品の構成部品であってもよい。同様に、第2ドッキング部は、第2識別・止め具部分を備える。第2識別・止め具部分は、第2カートリッジを識別するための第2カートリッジの第2嵌合止め具部分を係合するように設計される。第2識別・止め具部分は、さらに、識別された第2カートリッジを第2ドッキング部にドッキングするために、第2カートリッジの第4嵌合止め具部分を係合するように設計される。特に、第2識別・止め具部分は、機械側の第2閉鎖部品の構成部品であってもよい。
【0029】
特に、第1識別・止め具部分は、凸部を備えてもよく、第1カートリッジの第1嵌合止め具部分及び第3嵌合止め具部分は、それぞれ、第1識別・止め具部分の凸部が係合することができる凹部を備えてもよい。あるいは、第1識別・止め具部分は、凹部を備えてもよく、第1カートリッジの第1嵌合止め具部分及び第3嵌合止め具部分は、それぞれ、第1識別・止め具部分の凹部が係合することができる凸部を備えてもよい。第2カートリッジも同様であり、例えば、第2識別・止め具部分は、凸部を備えてもよく、第2カートリッジの第2嵌合止め具部分及び第4嵌合止め具部分は、それぞれ、第2識別・止め具部分の凸部が係合することができる凹部を備えてもよい。あるいは、第2識別・止め具部分は、凹部を備えてもよく、第2カートリッジの第2嵌合止め具部分及び第4嵌合止め具部分は、それぞれ、第2識別・止め具部分の凹部が係合することができる凸部を備えてもよい。
【0030】
第1識別・止め具部分の大きさ及び形状は、第2識別・止め具部分の大きさ及び形状と異なっていてもよく、第1識別・止め具部分が第2カートリッジの第2嵌合止め具部分又は第4嵌合止め具部分のいずれにも引っかからないように、及び/又は第2識別・止め具部分が第1カートリッジの第1嵌合止め具部分又は第3嵌合止め具部分のいずれにも引っかからないようにする。特に、これは、第1識別・止め具部分を第1カートリッジの第1嵌合止め具部分に固定することによって、第1識別・止め具部分による第1カートリッジの識別又は検出を可能にして、同様に、第2識別・止め具部分を第2カートリッジの第2嵌合止め具部分に固定することによって、第2識別・止め具部分による第2カートリッジの識別又は検出を可能にする。これにより、第1カートリッジ又は第2カートリッジは、第1ドッキング部又は第2ドッキング部のそれぞれにドッキングされ、第1接続部又は第2接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続される前に認識される。これは、第1カートリッジを第2ドッキング部にドッキングすることを防止することができ、又は、第2カートリッジを第1ドッキング部にドッキングすることを防止することができる。つまり、これは、不正確な、又は不適切なカートリッジ、特に、不正確な、又は不適切な処理剤のカートリッジをドッキング部にドッキングすることを防止し、又は、ユーザが間違った又は不適切なカートリッジをドッキング部にドッキングしようとするのを防止することが可能である。これは、カートリッジ、ドッキング部、接続部、及び/又は食器洗浄機のその他構成要素に対する損傷を防止し、洗浄品質の低下を防止する。各識別・止め具部分の異なる大きさ及び/又は形状は、各カートリッジを識別するための、特に効率的で、製造が容易で、費用効果の高い手段を表す。この実施形態のさらなる利点は、第1カートリッジ及び第2カートリッジからなるカートリッジシステムに関連して以下に説明される。
【0031】
さらに、第1識別・止め具部分の材質は、第2識別・止め具部分の材質と異なっていてもよい。特に、第1識別・止め具部分の材質の電気的、磁気的、又は光学的特性は、第2識別・止め具部分の材質の電気的、磁気的、又は光学的特性と異なっていてもよい。例えば、第1識別・止め具部分の材質は、磁性があり、第2識別・止め具部分の材質は、磁性がなくてもよく、又は、第1識別・止め具部分の磁化率は、第2識別・止め具部分の磁化率と異なっていてもよい。さらに、第1識別・止め具部分の材質は、導電性があり、第2識別・止め具部分の材質は、導電性がなくてもよく、又は、第1識別・止め具部分の導電性は、第2識別・止め具部分の導電性と異なっていてもよい。
【0032】
第1識別・止め具部分と第2識別・止め具部分とが第1カートリッジの第1嵌合止め具部分と又は第2カートリッジの第2嵌合止め具部分と係合されるとき、第1識別・止め具部分の材質又は第2識別・止め具部分の材質は、各カートリッジによって検出又は認識されてもよい。例えば、電気伝導度、磁化率、又は材質の色や透明度などの光学的特性のような、識別・止め具部分の材質の特性は、例えば、カートリッジの導電率センサ、ホールセンサ又は光学センサによって、各カートリッジによって検出又は測定されてもよい。あるいは、各識別・止め具部分の材質は、各カートリッジの嵌合止め具部分の材質と相互作用することにより、例えば、2つの材質間の磁気的な引力又は斥力により、検出されてもよい。
【0033】
検出の結果は信号に、好ましくは電気信号に変換されてもよく、この信号は、例えば、各カートリッジ又は各ドッキング部の機械的固定を制御し、第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分を、第1カートリッジの第3嵌合止め具部分又は第2カートリッジの第4嵌合止め具部分へのさらなる係合、ひいては、各ドッキング部への各カートリッジのドッキングが、検出された材質に応じて可能にする、又は防止する(第3嵌合止め具部分及び第4嵌合止め具部分については、以下でさらに詳しく説明する)。あるいは、信号はユーザに各カートリッジが各ドッキング部にドッキングするのに適しているかどうかを知らせるために出力されてもよい。例えば、カートリッジとドッキング部との間の磁気的引力又は斥力の有無によって、ユーザは、カートリッジが特定のドッキング部にドッキングするのに適しているかどうかを知らせてもよい。特に、これによって、第1カートリッジ又は第2カートリッジを、第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分によって識別されることを可能にする。第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分に異なる材料を使用することは、カートリッジを識別するための、特に効率的で、製造が容易で、費用効果の高い手段である。
別の好ましい実施形態において、第1ドッキング部(又は第1識別・止め具部分)は、第1識別信号を送信するための第1識別送信機を備え、第2ドッキング部(又は第2識別・止め具部分)は、第2識別信号を送信するための第2識別送信機を備え、第2識別信号は、第1識別信号と異なる。さらに、第1カートリッジ(又は第1嵌合止め具部分)は第1識別信号を受信して、識別するための第1識別受信機を備え、第2カートリッジ(又は第2嵌合止め具部分)は第2識別信号を受信して、識別するための第2識別受信機を備える。さらに、食器洗浄機及び/又は第1カートリッジと第2カートリッジは、i)第1識別受信機が第1識別信号を受信すると、第1カートリッジが第1ドッキング部にドッキング可能であり、及び/又は第1接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続でき、ii)第1受信機が第2信号を受信すると、第1カートリッジが第2ドッキング部にドッキング可能でなく、及び/又は第2接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続できず、iii)第2識別受信機が第2識別信号を受信すると、第2カートリッジが第2ドッキング部にドッキング可能であり、及び/又は第2接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続でき、及び/又は、ii)第2受信機が第1信号を受信すると、第2カートリッジが第1ドッキング部にドッキング可能でなく、及び/又は第1接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続できないように構成されてもよい。
【0034】
第1識別送信機及び第二識別送信機は、それぞれ、RFIDタグであってもよく、第1識別受信機又は第2識別受信機は、それぞれ、RFID読み取り機であってもよい。逆に、識別送信機はそれぞれのカートリッジに含まれていてもよいし、識別受信機はそれぞれのドッキング部に含まれていてもよい。
【0035】
上記では、それぞれ対応するカートリッジをドッキングするための2つの異なるドッキング部のみを説明されていることを留意されたい。しかし、食器洗浄機は、3つ又は複数のドッキング部を備えていてもよく、それぞれのドッキング部は、一度に1つのカートリッジをドッキングするために、異なる形又は同じ形であってもよい。例えば、食器洗浄機は、それぞれ、洗浄剤用のカートリッジ、リンス剤用のカートリッジ及び別の処理剤(例えば、消泡剤、酵素洗浄剤、殺菌成分)用のカートリッジをドッキングするため、3つのドッキング部を備えていてもよい。
【0036】
別の好ましい実施形態において、ドッキング部は、複数の同一の又は実質的に同一のカートリッジをドッキングするように設計される。したがって、特に、同じ処理剤用の複数のカートリッジは、ドッキング部にドッキングされてもよいし、対応する接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されてもよい。結果として、個々のカートリッジの大きさ及び重さを減少させることができ、カートリッジの輸送や扱いやすさをさらに簡素化することができる。さらに複数の同一の又は実質的に同一のカートリッジを連続して使用することができる。例えば、第1接続部によって1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続された第1カートリッジが、既に可能な限り完全に、又は完全に空になっている場合、バックアップカートリッジとして機能する第2カートリッジは、第2接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されることができない。これは、バックアップカートリッジが1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されるまで、バックアップカートリッジ内の処理剤の品質が劣化しないという利点を有する。その結果、特に小規模の食器洗浄業又は小規模に食器洗浄する企業の場合、処理剤の量調整は、さらに簡素化される。
【0037】
さらに好ましい実施形態において、ドッキング部は、1つ又は複数のカートリッジをドッキングするためのドッキング位置と、1つ又は複数の接続部によって、ドッキングされた1つ又は複数のカートリッジを、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続するための動作位置との間で、洗浄区画に対して前後移動可能に配置されており、動作位置は、ドッキング位置とは異なる。
【0038】
これにより、1つ又は複数のカートリッジは、1つ又は複数の接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに自動的に接続されることはなく、ドッキング位置でドッキング部とドッキングされることができる。特に、ドッキング部が動作位置に移動したときに、1つ又は複数のカートリッジは、1つ又は複数の接続部によって、後に接続されるまで、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに自動的に接続されることができない。これにより、1つ又は複数のカートリッジをドッキング部に徐々に確実にドッキングさせ、1つ又は複数のカートリッジを1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに安全に接続させ、これにより、カートリッジ、ドッキング部、1つ又は複数の接続部又は食器洗浄機の構成要素の損傷を防止する。特に、ユーザは、1つ又は複数のカートリッジをドッキング部にドッキングする時間に関係なく、1つ又は複数のカートリッジを1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続する時間を選択することができ、これにより、使いやすさが向上する。
【0039】
ドッキング部が動作位置にある場合、少なくとも1つの接続部は、特に好ましい実施形態に従い、第1ポジションと第2ポジションとの間で、ドッキング部に対して前後移動可能に配置される。少なくとも1つの接続部が第1ポジションにある場合、カートリッジは、対応する少なくとも1つの接続部が1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されないドッキング部とドッキングして、接続部が第2ポジションにある場合、カートリッジは、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続される。これは、1つ又は複数の接続部のそれぞれに対して好ましく、すなわち、1つ又は複数の接続部のそれぞれは、上述のようにドッキング部に対してそれぞれの第1ポジションとそれぞれの第2ポジションとの間で前後移動可能に配置されてもよい。
【0040】
このように、1つ又は複数のカートリッジは、ドッキング位置でドッキング部にドッキングされてもよいし、1つ又は複数のカートリッジが1つ又は複数の接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに自動的に接続されることなく、ドッキング部は、動作位置まで移動されてもよい。例えば、第1ステップにおいて、1つ又は複数のカートリッジは、ドッキング部にドッキングされてもよい。第2ステップにおいて、ドッキング部は、動作位置まで移動されてもよい。第3ステップにおいて、1つ又は複数の接続部は、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続するために、第1ポジションから第2ポジションまで移動されてもよい。これは、1つ又は複数のカートリッジのドッキング部への安全なドッキング、ドッキング部の動作位置への安全な移動、及び1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラへの安全な接続を段階的に保証し、これにより、カートリッジ、ドッキング部、1つ又は複数の接続部又は食器洗浄機の構成要素の損傷を防止する。特に、ユーザは、ドッキングする時間及びドッキング部を動作位置に移動させる時間に関係なく、1つ又は複数のカートリッジを1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続する時間を選択することができ、これにより、使いやすさが向上する。
【0041】
別の好ましい実施形態によれば、食器洗浄機は、さらに、1つ又は複数のカートリッジを食器洗浄機に挿入するための開口部と、開閉部とを有する収容部を備え、開閉部は、特に、折り畳み式、スライド式、回転式又は旋回式装置として設計されてもよい。開閉部は、開口部を開放するための開放位置と開口部を閉鎖するための閉鎖位置との間に前後移動可能に配置され、特に、折り畳み式、スライド式、回転式又は旋回式に配置される。開閉部は、開閉部が開放位置にあるとき、ドッキング部はドッキング位置にあり、開閉部が閉鎖位置にあるとき、ドッキング部は動作位置にあるように、ドッキング部に接続される。
【0042】
特に、開閉部は、食器洗浄機の収容部に設けられた投薬口を開閉する投薬用フラップであってもよく、この投薬フラップを通して1つ又は複数のカートリッジが食器洗浄機に挿入される。開閉部が開放位置にあるとき、ドッキング部はドッキング位置にあるので、1つ又は複数のカートリッジはユーザによってドッキング部に容易にドッキングされる。開閉部を閉鎖位置に動かすことによって、1つ又は複数のカートリッジは、開口部を通って食器洗浄機の内部へ搬送されてもよい。同時にドッキング部は動作位置に移動するので、開閉部を閉鎖位置に動かした後、さらにドッキング部を動作位置に動かすようなユーザの操作は必要ない。これは、処理剤の補充に関してユーザの使い勝手を向上させる。
【0043】
別の好ましい実施形態によれば、食器洗浄機は、少なくとも1つのカートリッジの処理剤を保持するための、及び、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに処理液を調剤するための少なくとも1つのリザーバを備える。リザーバは、バッファータンクとも呼ばれてもよい。リザーバは、リザーバ内の処理剤の体積や重さのような量を判断するためのセンサを備える。処理剤の量は、例えば、リザーバ内の処理剤の充填レベルを計測するための静電容量方式、光学的方式、機械的方式又はその他の物理的方式によって判断される。カートリッジ内の処理剤の最大量保持容量は、リザーバ内の処理剤の最大量保持容量以上であってもよい。特に、カートリッジ内の処理剤の最大量保持容量は、リザーバ内の最大量保持容量の複数倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍であってもよい。食器洗浄機は、複数のリザーバを備えてもよく、対応するカートリッジの処理剤を保持し、対応するカートリッジの処理剤を1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに送出するように設計されることに留意されたい。さらに、複数のリザーバのそれぞれは、各リザーバ内の処理剤の量を判断して、その判断に従って食器洗浄機の制御をするためのセンサを備えてもよい。
【0044】
上述した実施形態は、カートリッジが完全に空になった後でも、1つ又は複数の洗浄プロセスは、1つ又は複数の洗浄プロセス用のリザーバから処理剤を使用することにより可能であるという利点を有する。特に、食器洗浄機のリザーバは、処理剤の搬送機能の空転防止として機能してもよい。その結果、カートリッジは、特に、化学物質に関して完全に空にされることができる。さらに、センサは、リザーバ内の処理剤の残量を判断し、食器洗浄機の適切な制御を実行するために使用されてもよい。例えば、リザーバ内の処理剤の残量は、ユーザに表示されるので、カートリッジを適時に交換することができ、リザーバが完全に空になることを防ぐことができる。例えば、センサをカートリッジではなく、食器洗浄機のリザーバに組み込むことのもう一つの利点は、廃棄物が少なく、より耐久性のある技術を使用できることである。
【0045】
特に、センサによって判断されたリザーバ内の処理剤の量が第1下限値を下回るとき、食器洗浄機は、警告信号を発するように設定されてもよい。警告信号は、可聴信号及び/又は食器洗浄機のディスプレイの表示で実現されてもよい。第1下限値は、1つ又は複数の洗浄プロセスに必要とされる処理剤の量以上であってもよい。特に、第1下限値は、使用される量の複数倍であり、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍であってもよい。警告信号は、カートリッジが可能な限りまで完全に空になったとしても、1つ又は複数の洗浄プロセスのためにリザーバ内にまだ十分な処理剤がある限り、時間内にカートリッジを交換するようにユーザに促すことができる。これは、処理剤の恒久的な利用可能性を保証し、ユーザの使い勝手を向上する。さらに、カートリッジを完全に空にすることで、処理効率が向上し、処理剤の排気量が減るため環境保護にもつながる。
【0046】
別の好ましい実施形態によれば、食器洗浄機は、バルブと制御部とを備える。少なくとも1つのカートリッジが接続部によって、1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続され、バルブが開いている場合、カートリッジからの処理剤は、リザーバに入ることができるように設計される。また、バルブは、バルブが閉じている場合、カートリッジからの処理剤は、リザーバに入ることができないように設計される。制御部は、センサによって判断されたリザーバ内の処理剤の量に基づいてバルブを開閉するように設定される。特に、制御部は、食器洗浄機の機械的構成要素、ハードウェア構成要素及び/又はソフトウェア構成要素によって実現される。
【0047】
バルブと制御部はリザーバ内の処理剤の量の効率的な、自動的な制御を実現し、これにより、食器洗浄機の使い勝手を向上する。
【0048】
特に、制御部は、センサによって判断されたリザーバ内の処理剤の量が第2下限値を下回るとき、バルブを開くように設定させてもよく、好ましくは、第2下限値は、第1下限値よりも大きい。第2下限値は、1つ又は複数の洗浄プロセスに必要とされる処理剤の量以上であってもよい。特に、第2下限値は、使用される量の複数倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍であってもよい。制御部のこの構成は、少なくともカートリッジ内にリザーバに入ることができる処理剤が残っている限り、リザーバ内の処理剤の量が第2下限値を下回らないことを保証する。これは、リザーバ内の処理剤の恒久的な利用可能性を保証し、ユーザの使い勝手を向上し、すすぎ品質を向上する。
【0049】
さらに、センサによって判断されたリザーバ内の処理剤の量が最大値を超えたとき、制御部はバルブを閉じるように設定されてもよく、最大値は、好ましくは、第1下限値よりも大きく、及び/又は第2下限値よりも大きい。最大値は、1つ又は複数の洗浄プロセスに必要とされる処理剤の量以上であってもよい。特に、最大値は、使用される量の複数倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍であってもよい。制御部のこの構成は、リザーバ内の処理剤の量が最大値を超えないことを保証する。これは、特に、ユーザが少数の洗浄プロセスしか行わず、後の使用のために残りの処理剤をカートリッジに残しておきたい場合に、好ましい。そのため、処理剤の補充に関してユーザの使い勝手が向上することはない。
【0050】
本発明によると、食器洗浄機用の1つ又は複数の処理剤の複数のカートリッジからなるシステムは、少なくとも1つの第1カートリッジと少なくとも1つの第2カートリッジとを備える。第1カートリッジは、第1識別・止め具部分に係合するための第1嵌合止め具部分を備え、第2カートリッジは、第2識別・止め具部分に係合するための第2嵌合止め具部分を備える。第1嵌合止め具部分の大きさ及び/又は形状は、第2嵌合止め具部分の大きさ及び/又は形状と異なっていてもよい。本発明に係る食器洗浄機に関連して上述するように、これにより、第1カートリッジの第1嵌合止め具部分に第1識別・止め具部分を係合させることによる第1カートリッジの識別又は検出と、第2カートリッジの第2嵌合止め具部分に第2識別・止め具部分を係合させることによる第2カートリッジの識別又は検出とを可能にする。よって、上述したように、カートリッジシステム又は食器洗浄機の損傷及び品質の低下は、不適切又は不適当なカートリッジのドッキング又は接続によって防止される。各嵌合止め具部分の異なる大きさ及び/又は形状は、各カートリッジを識別するための、特に効率的で、製造が容易で、費用対効果の高い手段を提供する。
【0051】
さらに、第1嵌合止め具部分の材質は、第2嵌合止め具部分の材質と異なっていてもよい。特に、第1嵌合止め具部分の材質の電気的、磁気的、又は光学的特性は、第2嵌合止め具部分の材質の電気的、磁気的、又は光学的特性と異なっていてもよい。例えば、第1嵌合止め具部分の材質は、磁性があり、第2嵌合止め具部分の材質は、磁性がなくてもよく、又は、第1嵌合止め具部分の磁化率は、第2嵌合止め具部分の磁化率と異なっていてもよい。さらに、第1嵌合止め具部分の材質は、導電性があり、第2嵌合止め具部分の材質は、導電性がなくてもよく、又は、第1嵌合止め具部分の導電性は、第2嵌合止め具部分の導電性と異なっていてもよい。
【0052】
第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分が第1カートリッジの第1嵌合止め具部分又は第2カートリッジの第2嵌合止め具部分に係合されるとき、各嵌合止め具部分の材質は、各識別・止め具部分によって識別又は検出されてもよい。電気伝導度、磁化率、又は材質の色や透明度などの光学的特性のような、嵌合止め具部分の材質の特性は、例えば、ドッキング部の導電率センサ、ホールセンサ又は光学センサのように、ドッキング部によって検出又は測定されてもよい。あるいは、嵌合止め具部分の材質は、識別・止め具部分の材質と相互作用することにより、例えば、2つの材質間の磁気的な引力又は斥力により、検出されてもよい。
【0053】
検出の結果は信号に、好ましくは電気信号に変換されてもよく、この信号は、例えば、各ドッキング部又は各カートリッジの機械的固定を制御し、第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分を、第1カートリッジの第3嵌合止め具部分又は第2カートリッジの第4嵌合止め具部分へのさらなる係合、ひいては、各ドッキング部への各カートリッジのドッキングが、検出された材質に応じて可能にする、又は防止するようにする(第3嵌合止め具部分及び第4嵌合止め具部分については、以下でさらに詳しく説明する)。あるいは、電気的信号はユーザに各カートリッジが各ドッキング部にドッキングするのに適しているかどうかを知らせるために出力されてもよい。例えば、カートリッジとドッキング部との間の磁気的引力又は斥力の有無によって、ユーザは、カートリッジが特定のドッキング部にドッキングするのに適しているかどうかを知らせてもよい。これによって、第1カートリッジ又は第2カートリッジを、第1識別・止め具部分又は第2識別・止め具部分によって識別されることを可能にする。第1嵌合止め具部分及び第2嵌合止め具部分に異なる材料を使用すること(該当する場合)と、第1ドッキング部と第2ドッキング部の第1識別・止め具部分及び第2識別・止め具部分に異なる材質を使用することとを組み合わせることは、カートリッジを識別するための、特に効率的で、製造が容易で、費用効果の高い手段である。好ましい実施形態によれば、第1カートリッジは、さらに、第1識別・止め具部分に係合するための第3嵌合止め具部分を備え、第3嵌合止め具部分の大きさ、形状又は材質は、第1嵌合止め具部分の大きさ、形状又は材質と同じ又はほとんど同じであり、第3嵌合止め具部分と第1嵌合止め具部分とは、食器洗浄機への第1カートリッジの挿入方向において互いに間隔をあけて配置される。さらに、第2カートリッジは、第2識別・止め具部分に係合するための第4嵌合止め具部分を備え、第4嵌合止め具部分の大きさ、形状及び/又は材質は、第2嵌合止め具部分の大きさ、形状、及び/又は材質と同じ又はほとんど同じであり、第4嵌合止め具部分と第2嵌合止め具部分とは、食器洗浄機への第1カートリッジの挿入方向において互いに間隔をあけて配置される。
【0054】
これは、第1カートリッジが食器洗浄機に挿入されるとき、第1識別・止め具部分が第1カートリッジの第1嵌合止め具部分に最初に係合することを意味し、それによって、第1カートリッジを識別し、又は検出する。第1カートリッジが識別され、又は検出された後にのみ、第1識別・止め具部分は、第1カートリッジの第3嵌合止め具部分に係合してもよいし、これにより、例えば、第1嵌合止め具部分からの第1識別・止め具部分が再び係合を解除し、次に第3嵌合止め具部分に係合するように、ユーザが挿入方向に第1カートリッジに別の力を加えることによって、第1カートリッジを第1ドッキング部にドッキングする。このように、第1カートリッジは、第1識別・止め具部分によって識別された後にのみ、第1ドッキング部にドッキングされてもよい。同様に、第2カートリッジは、第2識別・止め具部分によって識別された後にのみ、第2ドッキング部にドッキングされてもよい。これによって、特に、第1カートリッジが第2ドッキング部にドッキングされること、又は第2カートリッジが第1ドッキング部にドッキングされることを防ぐことができる。よって、上述したように、カートリッジシステム又は食器洗浄機の損傷及び品質の低下は、不適切又は不適当なカートリッジのドッキング又は接続によって防止される。
【0055】
本発明によれば、食器洗浄システムは、食器洗浄機と、1つ又は複数のカートリッジ、好ましくは上述したような複数のカートリッジからなるシステムとを備える。食器洗浄システムは、処理剤の補充に関する使い勝手を向上する。
【0056】
食器洗浄システムの別の好ましい実施形態によれば、複数のカートリッジは、各処理剤に対して、同一の又は実質的に同一の形状、大きさ及び/又は最大量保持容量を有する。
【0057】
これにより、複数のカートリッジの製造、輸送及び保管が簡素化され、コストが削減される。さらに、各カートリッジからの同僚の処理剤が1つ又は複数の洗浄プロセスに使用される場合など、複数のカートリッジが同時に空にされることが実現される。これにより、ユーザは、常に複数のカートリッジを同時に取り換えることができ、カートリッジの交換頻度を減らすことができる。これは、処理剤の補充に関するユーザの使い勝手と安全性を向上する。
【0058】
食器洗浄システムの別の好ましい実施形態によれば、1つ又は複数のカートリッジの少なくとも1つのカートリッジは、排出口と、カートリッジが対応する接続部によって1つ又は複数の1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されるとき、処理剤は処理剤が排出口の方向に1つ又は複数の排水面に沿ってカートリッジから排出することができ、1つ又は複数の調剤装置に流れるように、又は洗浄タンク、ボイラ又はリザーバに入るように、排出口を通ってカートリッジを使い切ることができるように設計された排水面と、を備え、少なくとも1つの排出面又は各排出面は、カートリッジからの処理剤の排出方向に対して、0°より大きく90°よりも小さいそれぞれの角度で傾斜し、好ましくは、45°、50°、60°、70°又は80°の角度である。
【0059】
これにより、処理剤は、1つ又は複数の傾斜した排水面に沿って排出口の方向に流れ、排出口を通ってカートリッジを使い切ることができる。これにより、カートリッジを完全に空にすること、又はカートリッジを可能な限り空にすることが可能となり、ユーザのコスト削減につながり、カートリッジの廃棄処理も改善される。
【0060】
本発明によれば、さらに、上述した食器洗浄機の処理剤カートリッジは、好ましくは危険物輸送のための「限定量」規則内である、処理剤の最大量保持容量レベルを有する。特に、最大量保持容量は、0.5リットル以下、1リットル以下、2リットル以下、5リットル以下、10リットル以下又は20リットル以下である処理剤に対する最大量保持容積としてもよい。あるいは、最大量保持容量は、0.5キログラム以下、1キログラム以下、2キログラム以下、5キログラム以下、10キログラム以下又は20キログラム以下である処理剤に対する最大重量としてもよい。あるいは、カートリッジ自体の重量と処理剤の最大重量との合計が0.5キログラム以下、1キログラム以下、2キログラム以下、5キログラム以下、10キログラム以下又は20キログラム以下としてもよい。
【0061】
処理剤を個々のカートリッジに包装することによって、カートリッジの輸送が「限定量」規則に該当する程度まで、危険性は最小化される。例えば、内部包装に入った危険物の輸送は、完全な包装の総量が30キログラムまで認められている。この場合、処理剤の総量が個々の小さな単位に分割されるため、危険性は低く分類される。すべての個々の単位が放出されない可能性が高くなり、放出された個々の単位による被害の程度が小さくなる。これにより、カートリッジの輸送中に処理剤が漏れることによる危険性を低減することができ、よって、処理剤の輸送のための労力とコストを低減することができる。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明に係るカートリッジは、処理剤のために統合された搬送機構及び/又は統合された知能(例えば、バーコード、ピンエンコーティング、RFID、QRコード(登録商標)、チップ、近距離無線通信NFC)のような、さらなる複雑なモジュールを含んでいてもよい。カートリッジを食器洗浄機の制御システムに接続することにより、例えば、カートリッジ又はカートリッジ内の処理剤の自動検出、検出に基づく処理剤の自動投与、及びカートリッジ内に残っている処理剤が洗浄動作に十分であるか否かの推定を容易にするための残りのすすぎサイクルの適時表示又は計算が可能になる。つまり、食器洗浄機の投薬ポンプの制御は、処理剤によって異なる量を投薬することができ、食器洗浄機は、統合された知能によって、対応する処理剤についての情報を受け取る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明のこれら及びその他の特徴及び利点は、特に好ましい実施形態を示す添付の概略図面によって説明される。
図1】本発明に係る食器洗浄機の実施形態における機能的な模式図。
図2】本発明に係る2つのカートリッジを備えた本発明に係る食器洗浄機の実施形態の透視図。
図3】第1ドッキング部及び第2ドッキング部、並びに第1ドッキング部及び第2ドッキング部にそれぞれドッキング可能な第1カートリッジ及び第2カートリッジを備えた食器洗浄機のドッキング部の透視図。
図4a】フラップ部が開位置にあり、ドッキング部がドッキング位置にあるので、カートリッジがドッキング部にドッキングされるようなフラップ部を備えた本発明に係る食器洗浄機の実施形態の模式図。
図4b】カートリッジがドッキング部に既にドッキングされ、ドッキング位置から動作位置にドッキング部を移動させるために、フラップ部が開位置から閉位置に移動されるような図4aに示される模式図。
図4c】フラップ部が閉位置にあり、ドッキング部が動作位置にあって、ドッキングされたカートリッジが接続部によって1つ又は複数の1つ又は複数の調剤装置、洗浄タンク又はボイラに接続されるような図4bに示される模式図。
図5】食器洗浄機がカートリッジから処理剤を保持するためのリザーバを備えるようなカートリッジを備えた本発明に係る食器洗浄機の実施形態の模式図。
図6a】第1カートリッジと第1カートリッジがドッキングされた第1ドッキング部との側面図。
図6b】第2カートリッジと第2カートリッジがドッキングされた第2ドッキング部との側面図。
図7a図6aからの断面領域A-Aに沿った第1カートリッジと第1ドッキング部との上面図及び図6aからの側面図に対応する断面領域C-Cに沿った第1カートリッジと第1ドッキング部との上面図。
図7b図6bからの断面領域B-Bに沿った第2カートリッジと第2ドッキング部との上面図及び図6bからの側面図に対応する断面領域C-Cに沿った第2カートリッジと第2ドッキング部との上面図。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、本発明1に係る食器洗浄機の一実施形態を機能的な図を模式的に示し、収容部140と洗浄区画110とを備える。食器洗浄機1は、被洗浄物111a~dに処理剤を排出するための複数の調剤装置、特に、洗浄液などの処理剤を洗浄区画110に排出するための第1調剤装置111aと第3調剤装置111cと、リンス剤などの別の処理剤、特にリンス剤液を洗浄区画110に排出するための第2調剤装置111bと第4調剤装置111dとを備える。この実施形態において、調剤装置111a-dは洗浄アームとして設計され、食器洗浄機1の洗浄区画110内に回転可能に配置される。洗浄区画110内では、特に、食器類の整理整頓のための洗浄かご112もある。
【0065】
食器洗浄機1は、また、第1ドッキング部120aと第2ドッキング部120bとを備える。第1カートリッジ2aは第1ドッキング部120aにドッキングされ、第2カートリッジ2bは第2ドッキング部120bにドッキングされる。第1カートリッジ2aは洗浄液を含んでいてもよいし、第2カートリッジ2bはリンス剤濃縮液で満たされていてもよい。第1ドッキング部2aにドッキングされた第1カートリッジ2aは第1接続部130aによって洗浄タンク180に接続されるので、第1カートリッジ2aからの洗浄液は第1供給ライン183を経由して洗浄タンク180に送られる。第1供給ライン183内に、第1搬送装置があり、ここでは第1投薬ポンプ183aが設けられ、この第1投薬ポンプ183aは、スイッチオン状態では、送出又は第1カートリッジ2aから洗浄タンク180への洗浄液の送出を可能にし、第1投薬ポンプ183aのスイッチオフ状態では、洗浄液は洗浄タンク180に送出されない。
【0066】
洗浄タンク180は、スクリーン方式182と洗浄タンク180内にある洗浄液を加熱するための加熱装置181とを備える。さらに、洗浄タンク180は、洗浄液は、洗浄区画110内の第1調剤装置111aと第3調剤装置111cに送られる第1調剤ライン185と接続される。第1調剤ライン185内の搬送装置は、ここでは洗浄ポンプ185aが設けられ、この洗浄ポンプ185aのスイッチオン状態では、送出又は洗浄タンク180から調剤装置111a及び111cへの洗浄液の送出を可能にし、洗浄ポンプ185aのスイッチオフ状態では、洗浄液は調剤装置に送出されない。
【0067】
調剤装置111a及び111cを経由して排出された洗浄液は、洗浄区画110に排出された後、洗浄タンク180に再び溜まるので、洗浄回路が形成される。さらに、食器洗浄機1は、排水ポンプ310aを有する排水管310を備え、汚れた洗浄液は、洗浄タンク180から排出され、処分されてもよい。
【0068】
第2ドッキング部2aにドッキングされた第2カートリッジ2bは、第2接続部130b(不図示)によってボイラ190に接続される。このプロセスにおいて、第2カートリッジ2bからのリンス剤は、第2供給ライン193に突き当たり、上水管330からの上水と混ぜられ、その結果、希釈されたリンス液がボイラ190に入る。第2供給ライン193内の第2搬送装置は、ここでは、第2投薬ポンプ193aが設けられ、この第2投薬ポンプ193aは、スイッチオンの状態では、第2カートリッジ2bからボイラ190にリンス剤濃縮液の排出又は送出を可能にし、投薬ポンプ193aのスイッチオフ状態では、リンス剤濃縮液はボイラ190に送出されない。特に、投薬ポンプ193aはリンス剤液の濃度、つまり、リンス剤濃縮液と上水との比を正確に制御することができる。上水管330は、さらに、バルブ装置、この実施形態において電磁弁340を備える。バルブ装置は、開位置にあるときはボイラ190への上水の供給を可能にし、閉位置にあるときはボイラ190への上水の供給を阻止する。上水管330内に給水安全装置350もある。
【0069】
ボイラ190は、リンス剤液を加熱するための加熱装置191を備える。さらに、ボイラ190は、リンス剤液が洗浄区画110内の第2調剤装置111bと第4調剤装置111dとに送られる第2調剤ライン195に接続される。第2調剤ライン195内の搬送装置は、ここでは、リンスポンプ195aが設けられ、このリンスポンプ195aは、スイッチオン状態では、ボイラ200から調剤装置111b及び111dにリンス剤を排出又は送出を可能にし、リンスポンプ195aのスイッチオフの状態では、リンス液は調剤装置に排出されない。
【0070】
図2は、本発明1に係る食器洗浄機の一実施形態の一部を示し、本発明に係る2つのカートリッジ2、つまり、第1カートリッジ2a及び第2カートリッジ2b、各カートリッジが食器洗浄機の1つ又は複数の洗浄工程のための処理剤で満たされてもよい。食器洗浄機1は2つのカートリッジ2a及び2bをドッキングするためのドッキング部120を備える。ドッキング部120は、第1カートリッジ2aをドッキングするための第1ドッキング部120aと、第2カートリッジ2bをドッキングするためのドッキング部120bとを備え、図2には第2ドッキング部120bのみが図示される。食器洗浄機1は、さらに、ドッキング部120にドッキングされた第1カートリッジ2aを、食器洗浄機の洗浄区画110内に1つ又は複数の調剤装置111a-d、食器洗浄機1の洗浄タンク180又はボイラ190に直接的に又は間接的に接続するための第1接続部130aと、ドッキング部120にドッキングされた第2カートリッジ2bを、1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に直接的に又は間接的に接続するための第2接続部130bとを備え、図2には、第2接続部130bのみが図示される。第1接続部130aと第2接続部130bとは、各カートリッジ2a及び2bを1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に接続するために、各カートリッジ2a及び2bの膜を貫通するピン、又は各カートリッジ2a及び2bの逆止弁を動作させるピンとして設計される。
【0071】
食器洗浄機1は、さらに、フラップ部142を有する収容部140を備え、図2において、フラップ部142は開位置にあり、詳細は後述する。図2に示される第1カートリッジ2aは、ドッキング部130の第1ドッキング部130aと既にドッキングされ、第2カートリッジ2bは第2ドッキング部130bにまだドッキングされていない。しかし、図2の矢印は、ユーザが第2カートリッジ2bをドッキング部130の第2ドッキング部130bにドッキングすることによって第2カートリッジ2bを食器洗浄機1に挿入することを図示する。この実施形態において、第1カートリッジ2aと第2カートリッジ2bとは、各処理剤に対して実質的に同じ形状、大きさ及び保持容量を有する。
【0072】
図3は、食器洗浄機1、特に、2つのドッキング部120a及び120bと、2つのカートリッジ2a及び2bとを備えるドッキング部120の断面透視図を示す。食器洗浄機1の収容部140はドッキング部120と2つのカートリッジ2a及び2bとをより良く表現するためにこの図から省略されている。図3において、第1カートリッジ2aはドッキング部120の第2ドッキング部120bと既にドッキングされ、第2カートリッジ2bはドッキング部130の第2ドッキング部130bとまだドッキングされていない。垂直方向の矢印は、食器洗浄機1に対する2つのカートリッジ2a及び2bのそれぞれの方向3と、食器洗浄機1に対する2つのカートリッジ2a及び2bからの処理剤の方向4とを指し示す。この実施形態において、挿入方向3は、排液方向4と並行であるが、必ずしもそうではない。挿入方向3は、排液方向4に角度があってもよく、より好ましくは、0°以上90°以下である。
【0073】
図4aから図4cは、それぞれ、本発明に係るカートリッジ2を備えた本発明に係る食器洗浄機1の一実施形態の模式図を示す。この実施形態において、ドッキング部120は、カートリッジ2を保持するための保持部120として設計される。カートリッジ2は保持部120に挿入されるので、保持部120の各壁部を通して複数の側面から保持部120は挿入されたカートリッジ2を囲む。さらに、この実施形態においてドッキング部120は、カートリッジ2をドッキングするためのドッキング位置とドッキングされたカートリッジ2を接続部130によって1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に接続するための動作位置との間で洗浄区画110に対して前後移動可能に配置され、動作位置はドッキング位置と異なる。さらに図4aから図4cは、食器洗浄機1の収容部140を示し、収容部140はカートリッジ2を食器洗浄機1に挿入するための開口部141と、フラップ部142とを備える。フラップ部142は、開口部141を開くための開位置と開口部141を閉じるための閉位置との間で前後移動可能に配置される。フラップ部142は、フラップ部142が開位置にあるとき、ドッキング部120がドッキング位置にあり、フラップ部142が閉位置にあるとき、ドッキング部120が動作位置にあるように、ドッキング部120に接続される。さらに、図4aから図4cは、1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に、ドッキング部120にドッキングされたカートリッジ2を接続するための接続部130を示す図である。接続部130は、1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190にカートリッジ2を接続するために、カートリッジ2の膜を貫通するピン、又はカートリッジ2の逆止弁を動作させるピンとして設計される。
【0074】
特に、図4aは、フラップ部142が開位置にあり、ドッキング部120がドッキング位置にある食器洗浄機の状態を示す。ドッキング位置において、ドッキング部120は、少なくとも部分的に開口部141の外側にあり、それにより、ユーザにとって容易にアクセスしやすい。図4aの矢印は、ユーザがドッキング位置でカートリッジ2をドッキング部120にドッキング、及び/又は係合、又は固定することによって、カートリッジ2を食器洗浄機に挿入することを示す。
【0075】
図4bは、フラップ部142がまだ開位置にあり、ドッキング部が動作位置にある状態を示す。しかし、図4bにおいて、カートリッジ2はドッキング部120に既にドッキングされている。図4bの矢印は、フラップ部142が開位置から閉位置に動くので、ドッキング部120はドッキング位置から動作位置に移動させられ、ドッキングされたカートリッジ2は収容部141を通って食器洗浄機1の内部に送られる。
【0076】
最後に、図4cは、フラップ部142が閉位置にあり、ドッキング部が動作位置にある状態を示す。ドッキング部120と、接続部130とカートリッジ2とは、現在、完全に食器洗浄機の内部にあり、収容部140及び閉位置にあるフラップ部142によって外側に保護されている。この実施形態において、ドッキング部120が動作位置にあるとき、カートリッジ2は、接続部130によって、1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に自動的に接続される。それゆえ、図4cにおいて、カートリッジ2は、接続部120によって、1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に既に接続されている。この状態において、処理剤は、後述するように、食器洗浄機1の1つ又は複数の洗浄プロセスに使用されるための処理剤を受け取るために、カートリッジ2から1つ又は複数の調剤装置111a-dに流れ、又は、洗浄タンク180、ボイラ190又はリザーバ150に入ってもよい。
【0077】
図5は、本発明に係るカートリッジ2を備えた本発明に係る食器洗浄機1の一実施形態の模式図を示し、食器洗浄機1は、カートリッジ2からの処理剤を保持するための、及び1つ又は複数の調剤装置111a-d、洗浄タンク180又はボイラ190に処理剤を調剤するためのリザーバ150を備える。リザーバ150は、リザーバ150内の処理剤の量を判断するためのセンサ151を備える。食器洗浄機1は、センサ151によって判断されたリザーバ150内の処理剤の量が第1下限値を下回る場合、警告信号を発してもよい。食器洗浄機1は、また、バルブ160と制御部とを備える。バルブ160は、i)バルブ160が開いているとき、カートリッジ2からの処理剤はリザーバ150に入ることができ、ii)バルブ160が閉じているとき、カートリッジ2からの処理剤はリザーバ150に入ることができないように設計される。さらに、制御部170は、センサ151によって判断されたリザーバ150内の処理剤の量に基づいてバルブ160を開閉するように設定される。特に、制御部170は、センサ151によって判断されたリザーバ150内の処理剤の量が第2下限値を下回るとき、バルブ160を開くように設定されてもよく、第2下限値は、第1下限値よりも大きくてもよい。さらに、制御部170は、センサ151によって判断されたリザーバ150内の処理剤の量が最大値を超えるとき、バルブ160を閉じるように設定されてもよく、最大値は、第1下限値よりも大きく、及び/又は第2下限値よりも大きくてもよい。
【0078】
図6aから図7bは、第1カートリッジ2aがドッキングされるドッキング部120の第1ドッキング部120aと、第2カートリッジ2bがドッキングされるドッキング部120の第2ドッキング部120bとを備える食器洗浄機1の一実施形態を示す。より正確には、図6aは、第1カートリッジ2aがドッキングされる第1ドッキング部10aの側面図であり、図6bは、第2カートリッジ2bがドッキングされる第2ドッキング部120bの側面図を示し、図7aは、図6aからの断面領域A-Aに沿った第1カートリッジ2aと第1ドッキング部120aとの上面図を示し、図7bは、図6bからの断面領域B-Bに沿った第2カートリッジ2bと第2ドッキング部120bとの上面図を示す。逆を言えば、図6aは、図7aからの断面領域C-Cに沿った第1ドッキング部120aの側面図に対応し、図6bは、図7bからの断面領域D-Dに沿った第2ドッキング部120bの側面図に対応する。
【0079】
この実施形態において、後述するように、第1カートリッジ2aは、第2ドッキング部120bにドッキング可能ではなく、第2カートリッジ2bは、第1ドッキング部120aにドッキング可能ではない。
【0080】
第1ドッキング部120aは、第1識別・止め具部分121aを備え、第1カートリッジ2aは、第1嵌合止め具部分211aと第3嵌合止め具部分211cとを備える。これらの部分は、第1識別・止め具部分121aは、第1嵌合止め具部分211aと第3嵌合止め具部分211cとそれぞれ係合することができるように設計される。第1識別・止め具部分121aは、特に、第1ドッキング部120aの第1凸部121aとして設計され、第1嵌合止め具部分211aと第3嵌合止め具部分211cとは、それぞれ、第1カートリッジ2aの第1カートリッジ側閉鎖部210aの第1凹部211a及び第3凹部211cとして設計される。第1識別・止め具部分121aは、第1機械側閉鎖部を形成し、上述したように、第1機械側閉鎖部は、第1カートリッジ側閉鎖部210aを備える第1閉鎖部、特に、第1止め具閉鎖部を形成する。
【0081】
第1凹部211aの大きさ及び形状は、第3凹部211cの大きさ及び形状と同一又はほとんど同一であり、凸部121aの大きさ及び形状は2つの凹部211a及び211cの大きさ及び形状に対応するので、凸部121aは2つの凹部211a及び211cのいずれかに係合することができる。第1凹部211a及び第3凹部211cは、さらに、食器洗浄機1への第1カートリッジ2aの挿入方向3において、互いの距離が離れている。それゆえ、ユーザが食器洗浄機1に第1カートリッジ2aを挿入するとき、凸部121aは第1凹部211aに最初に係合し、第1カートリッジ2aを識別し、又は検出する。その後、ユーザが挿入方向にカートリッジに力を加えると、第1凸部121aは、第1凹部211aから第3凹部211cに係合するので、識別された第1カートリッジ2aは、第1ドッキング部120aにドッキングされる。
【0082】
第2ドッキング部120bと第2カートリッジ2bとについても同様であり、つまり、第2ドッキング部120bは、第2識別・止め具部分121bを備え、第2カートリッジ2bは、第2嵌合止め具部分211bと第4嵌合止め具部分211dとを備える。これらの部分は、第2識別・止め具部分121bは、第2嵌合止め具部分211bと第4嵌合止め具部分211dと係合することができるように設計される。第2識別・止め具部分121bは、特に、第2ドッキング部120bの第2凸部121bとして設計され、第2嵌合止め具部分211bと第4嵌合止め具部分211dとは、それぞれ、第2カートリッジ2bの第1カートリッジ側閉鎖部210bの第2凹部211b及び第4凹部211dとして設計される。第2識別・止め具部分121bは、第2機械側閉鎖部を形成し、上述したように、第2機械側閉鎖部は、第2カートリッジ側閉鎖部210bを備える第2閉鎖部、特に、第2止め具閉鎖部を形成する。
【0083】
第2凹部211bの大きさ及び形状は、第4凹部211dの大きさ及び形状と同一又はほとんど同一であり、凸部121bの大きさ及び形状は2つの凹部211b及び211dの大きさ及び形状に対応するので、凸部121bは2つの凹部211b及び211dのいずれかに係合することができる。第2凹部211b及び第4凹部211dは、さらに、食器洗浄機1への第2カートリッジ2bの挿入方向3において、互いの距離が離れている。それゆえ、ユーザが食器洗浄機1に第2カートリッジ2bを挿入するとき、凸部121bは第2凹部211bに最初に係合し、第2カートリッジ2bを識別し、又は検出する。その後、ユーザが挿入方向にカートリッジに力を加えると、第2凸部121bは、第2凹部211bから第4凹部211dに係合するので、識別された第2カートリッジ2bは、第2ドッキング部120bにドッキングされる。
【0084】
しかし、第1凸部121aの大きさ及び/又は形状は第2凸部121bの大きさ及び形状と異なる。同様に、第1凹部211aの大きさ及び/又は形状は、第2凹部211bの大きさ及び/又は形状と異なり、第3凹部211cの大きさ及び/又は形状は第4凹部211cと異なる。これは、第1凸部121aが第2凹部211bにも第4凹部211dにも係合することができないこと、及び第2凸部121bが第1凹部211aにも第3凹部211cにも係合することができないことを保証する。それゆえ、ユーザが第1カートリッジ2aを第2ドッキング部120bにドッキングしようとすると、第2凸部121bは、第1カートリッジ2aの第1凹部211aに係合することができず、したがって第1カートリッジ2aは第2ドッキング部120bによって識別されないので、これは成功しない。したがって、第2凸部121bは、やはり、第1カートリッジ2aの第3凹部211aに係合することはできず、第1カートリッジ2aは第2ドッキング部120bにドッキングされない。同様の理由で、第2カートリッジ2bは、第1ドッキング部120aにドッキングされない。
【0085】
様々な凸部及び凹部の形状及び大きさが、図6a及び図6bに例として示される。特に、図6aから第1凹部211aと第3凹部211cとは、同一の又は実質的に同一の高さ、つまり、第1カートリッジ2aの挿入方向3に沿った同一の又は実質的に同一の寸法を有すること、及び、第1凸部121aの高さは、第1凹部211a及び第3凹部211cの高さに対応する(又は、図6に示されるようにわずかに小さい)ので、第1凸部121aが第1凹部211a及び第3凹部211cにそれぞれ係合できるようになっていることが明らかである。図6aにおいて、第1凸部121aは第3凹部211cと既に係合しているので、第1カートリッジ2aが第1ドッキング部120aにドッキングされる。さらに、図7aから、第1カートリッジ2aの挿入方向3に垂直な第1凸部121aの寸法、より正確には、図6aからの断面領域A-Aにおける第1凸部121aの角度寸法が、第3凹部211cの角度寸法に対応している(又は図7aのように、わずかに小さい)ので、第1凸部121aが第3凹部211cに係合できることが示される。同様に、断面領域A-Aにおける第1凸部121aの角度寸法は、第1凹部211aの角度寸法に対応する(しかし、図7aには図示されていない)ので、第1凸部121aは第1凹部211aに係合することができる。
【0086】
同様に、図6bに示されるように、第2凹部211bと第4凹部211dとは、同一の又は実質的に同一の高さ、つまり、第2カートリッジ2の挿入方向3に沿った同一の又は実質的に同一の寸法を有すること、及び、第2凸部121bの高さは、第2凹部211b及び第4凹部211dの高さに対応する(又は図6bに示されるようにわずかに小さい)ので、第2凸部121bは、第2凹部211b及び第4凹部にそれぞれ係合できるようになっていることがわかる。図6bにおいて、第2凸部121bは第4凹部211dと既に係合しているので、第2カートリッジ2bが第2ドッキング部120bにドッキングされる。さらに、図7bから第2カートリッジ2bの挿入方向3に垂直な第2凸部121bの寸法、より正確には、図6bからの断面領域B-Bにおける第2凸部121bの角度寸法が第4凹部211dの角度寸法に対応している(又は、図7bのようにわずかに小さい)ので、第2凸部121bは第4凹部211dと係合することができる。同様に、断面領域B-Bにおける第2凸部121bの角度寸法は、第2凹部211bの角度寸法に対応する(しかし、図7bには図示されていない)ので、第2凸部121bは第2凹部211b係合することができる。
【0087】
しかし、図6a及び図5bから第2凸部121bの高さは第1凸部121aの高さよりも高く、特に、第1凹部211a及び第3凹部211cの高さよりも高いことが明らかである。それゆえ、第2凸部121bは第1凹部211aにも第3凹部211cにも係合することができない。これにより、第2カートリッジ2bは第1ドッキング部120aとドッキング可能ではない。
【0088】
さらに、図7a及び図6bから、第1凸部121aの角度寸法は第2凸部121bの角度寸法よりも大きく、特に、第4凹部211dの角度寸法よりも大きいことが明らかである。同様に第1凸部121aの角度寸法は、(図7bには、第2凹部211bは図示されていないが、)第2凹部211bの角度寸法よりも大きい。それゆえ、第1凸部121aは第2凹部211bにも第4凹部211dにも係合することができない。これにより、第1カートリッジ2aは、第2ドッキング部120bにドッキングされることができない。
【0089】
最終的に、図6bは、第2カートリッジ2bの排水面230も示す。第2カートリッジ2bの排水面230は、第2カートリッジ2bからの処理剤の排液方向4に対して角度αだけ傾斜しており、αは0°よりも大きく90°よりも小さい。図6bに示されるように、本実施形態におけるαは、排水面230が第2カートリッジ2bの水平な下側境界面に対して角度β=90°-αで傾斜するように、おおよそ又は正確に80°であり、βはおおよそ又は正確に10°である。同じことが図6aに示される第1カートリッジ2aの排水面230にも当てはまる。
【0090】
先の説明、図、及び特許請求の範囲に開示された特徴は、様々な実施形態における本発明の実施にとって重要であり、個々の又は任意の組み合わせで実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 食器洗浄機
2 カートリッジ
2a 第1カートリッジ
2b 第2カートリッジ
3 カートリッジの挿入方向
4 処理液の排液方向
110 洗浄区画
111a 第1調剤装置
111b 第2調剤装置
111c 第3調剤装置
111d 第4調剤装置
112 洗浄かご
120 ドッキング部
120a 第1ドッキング部
120b 第2ドッキング部
121a 第1識別・止め具部分、第1凸部
121b 第2識別・止め具部分、第2凸部
130a 第1接続部
130b 第2接続部
140 収容部
141 開口部
142 開閉部
150 リザーバ
151 センサ
160 バルブ
170 制御部
180 洗浄タンク
181 加熱装置
182 スクリーン方式
183 第1供給ライン
183a 第1投薬ポンプ
185 第1調剤ライン
185a 洗浄ポンプ
190 ボイラ
191 加熱装置
193 第2供給ライン
193a 第2投薬ポンプ
195 第2調剤ライン
195a リンスポンプ
210a 第1カートリッジ側閉鎖部
210b 第2カートリッジ側閉鎖部
211a 第1嵌合止め具部分、第1凹部
211b 第2嵌合止め具部分、第2凹部
211c 第3嵌合止め具部分、第3凹部
211d 第4嵌合止め具部分、第4凹部
220 排出口
230 排出面
310 排水管
310a 排水ポンプ
330 上水管
340 電磁弁
350 給水安全装置
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
【国際調査報告】