(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/16 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
C08J11/16 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555734
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2022052253
(87)【国際公開番号】W WO2022195433
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006077
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523346593
【氏名又は名称】ジーアールスリーエヌ エスエイ
【氏名又は名称原語表記】GR3N SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ クリッパ
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA02
4F401AA22
4F401BA06
4F401CA02
4F401CA22
4F401CA49
4F401CA67
4F401CA68
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4F401CB01
4F401EA07
4F401EA08
4F401EA23
4F401EA46
4F401EA54
4F401EA58
4F401EA59
4F401EA60
4F401EA62
(57)【要約】
本発明は、セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物(ST)のリサイクル方法であって、テレフタル酸塩(SAT)およびセルロース繊維を含有する初期固相(FSI)と水溶性有機反応溶媒(SOIR)を含有する初期液相(FLI)とを含む二相混合物(MB)を得るまで、アルカリ金属水酸化物(IMA)と少なくとも1つの水溶性有機反応溶媒(SOIR)とを含む加溶媒分解混合物(MS)による前記ポリエステル成分の塩基性加水分解による繊維廃棄物(ST)を解重合反応に供することを含む、解重合ステップ110と、二相混合物(MB)から初期液相(FLI)の少なくとも一部を除去することを含む、固液分離の第1のステップ210と、固液分離の第1のステップ210に続いて、当該初期固相(FSI)が、当該初期固相(FSI)から、その中に存在する可能性のある1つ以上の汚染物質を除去しテレフタル酸塩(SAT)およびセルロース繊維を含有する精製固相(FSP)を得るまで、有機洗浄溶媒(SOL)で処理される、有機溶媒で処理するステップ220と、精製固相(FSP)が、有機洗浄溶媒(SOL)およびその中に溶解している1つ以上の可能性のある汚染物質から分離される、固液分離の第2のステップ230と、その中に含有される前記テレフタル酸塩(SAT)が可溶化するまで前記精製固相(FSP)を洗浄水(AL)と接触させることと、後者を除去することによって、前記セルロース繊維を含む最終固相(FSF)を得ることとを含む、水で処理するステップ240と、を含む、セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物(ST)のリサイクル方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物(ST)のリサイクル方法であって、以下のステップ:
- テレフタル酸塩(SAT)およびセルロース繊維を含有する初期固相(FSI)と前記水溶性有機反応溶媒(SOIR)を含有する初期液相(FLI)とを含む二相混合物(MB)を得るまで、アルカリ金属水酸化物(IMA)と少なくとも水溶性有機反応溶媒(SOIR)とを含む加溶媒分解混合物(MS)による前記ポリエステル成分の塩基性加水分解による前記繊維廃棄物(ST)を解重合反応に供することを含む、解重合ステップ110と;
- 前記二相混合物(MB)から前記初期液相(FLI)の少なくとも一部を除去することを含む、固液分離の第1のステップ210と;
- 前記固液分離の第1のステップ210に続いて、前記初期固相(FSI)が、前記初期固相(FSI)からその中に存在する可能性のある1つ以上の汚染物質を除去し前記テレフタル酸塩(SAT)および前記セルロース繊維を含有する精製固相(FSP)を得るまで、有機洗浄溶媒(SOL)で処理される、有機溶媒で処理するステップ220と;
- 前記精製固相(FSP)が、前記有機洗浄溶媒(SOL)およびその中に溶解している前記1つ以上の可能性のある汚染物質から分離される、固液分離の第2のステップ230と;
- 前記精製固相(FSP)を、その中に含有される前記テレフタル酸塩(SAT)が可溶化するまで洗浄水(AL)と接触させることと、前記テレフタル酸塩(SAT)を除去することによって、前記セルロース繊維を含む最終固相(FSF)を得ることと、を含む、水で処理するステップ240と、
を含むことを特徴とする、セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物(ST)のリサイクル方法。
【請求項2】
前記有機洗浄溶媒(SOL)は、以下の物質:
- グリコールC
2~C
8、
- アルコールC
1~C
6またはアルコールC
1~C
6の混合物、
- ケトンC
3~C
8またはケトンC
3~C
8の混合物、
- エーテルまたはエーテルの混合物、
- アルカンC
5~C
8またはアルカンC
5~C
8の混合物、
のうちの少なくとも1つであるか、または少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性有機反応溶媒(SOIR)および前記有機洗浄溶媒(SOL)は、同じ物質もしくは同じ物質の混合物であるか、または同じ物質もしくは同じ物質の混合物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒で処理するステップ220は、前記初期固相(FSI)が前記有機洗浄溶媒(SOL)に添加され混合される固体溶媒混合の1つ以上のサブステップ221を含み、各々の後に、前記有機洗浄溶媒(SOL)が少なくとも部分的に前記初期固相(FSI)から除去される、固体溶媒分離のサブステップ222が続く、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体溶媒混合の1つ以上のサブステップ221は、固体溶媒混合の2つ以上のサブステップ221を含み、前記固体溶媒混合の2つ以上のサブステップ221で使用される有機洗浄溶媒(SOL)の純度は、前記固体溶媒混合の2つ以上のサブステップ221の最初から最後へ増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固体溶媒混合の1つ以上のサブステップ221の最後において使用される前記有機洗浄溶媒(SOL)は、新しい有機洗浄溶媒(SOLF)の一部と、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法の固液分離の第2のステップ230において、前記固体溶媒混合221の1つ以上のサブステップの最後の前に実行される、精製固相(FSP)からそれを除去して得られる回収有機洗浄溶媒(SOLR)の一部と、を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記水で処理するステップ240の後に、前記最終固相(FSF)からその中に存在する可能性がある前記洗浄水(AL)を除去することを含む水除去ステップ(250)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水で処理するステップ240は、前記精製固相(FSP)が洗浄水(AL)に添加され混合される、固水混合の1つ以上のサブステップ241を含み、各々その後に、前記洗浄水(AL)が前記精製固相(FSP)から少なくとも部分的に除去される固水分離のサブステップ242が続く、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固水混合の1つ以上のサブステップ241は、固水混合の2つ以上のサブステップ241を含み、前記固水混合の2つ以上のサブステップ241において使用される前記洗浄水の純度(AL)は、固水混合の2つ以上のサブステップ241の最初から最後へ増加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固水の混合の1つ以上のサブステップ241の最後において使用される前記洗浄水(AL)は、新しい洗浄水(ALF)の一部と、請求項7に記載のまたは請求項7に従属する請求項に記載の繊維廃棄物(ST)のリサイクル方法の水除去ステップ250において、前記固水混合の1つ以上のサブステップ241の最後の前に実行される、最終固相(FSF)から除去された回収洗浄水(ALF)の一部と、を含む、請求項7に従属するときの請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記水で処理するステップ240中に、前記洗浄水(AL)は、前記精製固相(FSP)から少なくとも部分的に除去され、除去された前記洗浄水(SA-SAT)は、無機酸と反応して、酸性水溶液(SAA)中の初期テレフタル酸(ATI)の懸濁液を形成する、テレフタル酸の沈殿ステップ310に供され、
前記方法は、前記テレフタル酸を分離するステップ320を含み、前記初期テレフタル酸(ATI)が前記酸水溶液(SAA)から除去され、次いで前記酸水溶液(SAA)は、前記酸性水溶液(SAA)をアルカリ塩基と接触させてアルカリ金属の塩を形成し、中性水溶液(SAN)を得る、前記方法の中和ステップ350に供され、
前記方法は、前記中性水溶液(SAN)を、電気分解ステップ360および必要に応じて組み合わせステップ370を含む回収ステップ380へ供することを含み、そこから前記テレフタル酸の前記沈殿ステップ310において使用したのと同じ無機酸と前記中和ステップ350で使用したのと同じアルカリ塩基とが得られ、このようにして得られた前記無機酸は、続いて実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の前記テレフタル酸を沈殿させるさらなるステップ310において使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース成分(好ましくは綿)とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、繊維分野では、天然繊維と合成繊維との両方を共につなぎ合わせて含む混合生地を使用することが知られている。
【0003】
このような生地の一例は、いわゆる「ポリコットン」であり、これは、綿繊維とポリエステル繊維とを様々な比で含み、および例えば染料などの、可能性のある他の物質を含む、生地である。
【0004】
ポリコットンは、市場で最も一般的な種類のポリエステル生地であることに加え、現在世界市場で入手可能な繊維分野全体の非常に重要な部分を占めている。
【0005】
毎年生産される大量のポリコットンは、綿成分とポリエステル成分との両方に関して、それをどのようにリサイクルするかという問題をもたらす。この問題は、特にいわゆる「循環経済」の観点から、ますます深刻になっている。
【0006】
ポリコットンをリサイクルするために、ポリエステル繊維から綿繊維を機械的に分離するプロセスが知られている。しかしながら、これらの既知の解決策は、ポリエステルモノマーを得ることができず、染料などの再利用の可能性を制限する、可能性のある汚染物質を綿から除去することもできないため、満足のいくものではない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な課題は、セルロース成分(好ましくは綿)とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクル方法を得ることであり、この方法によって、セルロース成分をポリエステル成分から、および当該繊維廃棄物に存在する可能性のある汚染物質から効果的に分離することが可能である。
【0008】
本発明のさらなる目的は、これがこのような繊維廃棄物に含まれるセルロース系および/またはポリエステル成分の工業規模の回収に適用され得ることである。
【0009】
本発明の別の目的は、セルロース成分(好ましくは綿)とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物の、比較的簡単で効果的かつ経済的なリサイクル方法を得ることである。
【0010】
もう一つの目的は、セルロース成分(好ましくは綿)とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクル方法を得ることであり、これは比較的持続可能であり、プロセスにおいて補助的な化学物質の効果的な使用を可能にする。
【0011】
本発明によるこれらの目的および他の目的は、セルロース成分とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクル方法によって達成され、本方法は、
テレフタル酸塩およびセルロース繊維を含有する初期固相と水溶性有機反応溶媒を含有する初期液相とを含む二相混合物を得るまで、アルカリ金属水酸化物と少なくとも1つの水溶性有機反応溶媒とを含む加溶媒分解混合物による塩基性加水分解によるポリエステル成分の解重合反応に繊維廃棄物を供することを含む、解重合ステップと、
二相混合物から初期液相の少なくとも一部を除去することを含む、固液分離の第1のステップと、
固液分離の第1のステップに続いて、初期固相が、初期固相から、その中に存在する可能性のある1つ以上の汚染物質を除去しテレフタル酸塩およびセルロース繊維を含有する精製固相を得るまで、有機洗浄溶媒で処理される、有機溶媒で処理するステップと、
精製固相が、有機洗浄溶媒およびその中に溶解している1つ以上の可能性のある汚染物質から分離される、固液分離の第2のステップと、
その中に含有されるテレフタル酸塩が可溶化するまで精製固相を洗浄水と接触させることと、後者を除去することによって、セルロース繊維を含む最終固相を得ることとを含む、水で処理するステップと、
を含む。
【0012】
有利には、塩基性加水分解プロセスで使用される加溶媒分解混合物は、反応水をも含み得る。
【0013】
好ましくは、有機洗浄溶媒は、
2~8個の炭素原子を有するグリコール(C2~C8)、
アルコールC1~C6またはアルコールC1~C6の混合物、
ケトンC3~C8またはケトンC3~C8の混合物、
エーテルまたはエーテルの混合物、
アルカンC5~C8またはアルカンC5~C8の混合物、
の物質のうちの少なくとも1つであるか、または少なくとも1つを含む。
【0014】
好ましくは、グリコールは300℃未満の沸点を有するグリコールである。
【0015】
好ましくは、グリコールは、モノエチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)およびそれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、グリコールはモノエチレングリコール(MEG)である。
【0016】
好ましくは、アルコールC1~C6は、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i-PrOH)、ブタノール(BuOH)およびそれらの混合物から選択される。
【0017】
好ましくは、ケトンC3~C8は、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびそれらの混合物から選択される。
【0018】
好ましくは、エーテルは、ジエチルエーテル(Et2O)、テトラヒドロフラン(THF)およびそれらの混合物から選択される。
【0019】
好ましくは、アルカンC5~C8は、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびそれらの混合物から選択される。
【0020】
有利には、水溶性有機反応溶媒および有機洗浄溶媒は、同じ物質であるか、または同じ物質を含む。
【0021】
好ましくは、アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)およびそれらの混合物から選択される。
【0022】
有利な実施形態では、塩基性加水分解による解重合反応は、マイクロ波補助によって行われる。
【0023】
有利には、本発明による方法は、解重合ステップの前に、繊維廃棄物を細断することを含む繊維廃棄物を調製するステップを含む。
【0024】
好ましくは、固液分離の第2のステップは、蒸発によって、有機洗浄溶媒からおよびその中に溶解している1つ以上の可能性のある汚染物質から精製固相を分離することを含む。
【0025】
有利には、固液分離の第2のステップは、大気圧未満の圧力での蒸発によって、精製固相を有機洗浄溶媒からおよびその中に溶解している1つ以上の可能性のある汚染物質から分離することを含む。
【0026】
有利には、有機溶媒で処理するステップで使用される有機洗浄溶媒は、新しい有機洗浄溶媒の一部と、有機溶媒で処理するステップの前に行われる、本発明による方法の固液分離の第2のステップにおいて精製固相から分離することによって得られる回収有機洗浄溶媒の一部とを含む。
【0027】
有利には、有機溶媒で処理するステップは、初期固相が有機洗浄溶媒に添加され混合される固体溶媒混合の1つ以上のサブステップを含み、各々の後に有機洗浄溶媒が少なくとも部分的に初期固相から除去される、固体溶媒分離のサブステップが続く。
【0028】
好ましくは、固体溶媒混合の1つ以上のサブステップは、固体溶媒混合の2つ以上のサブステップを含み、固体溶媒混合の2つ以上のサブステップで用いられる有機洗浄溶媒の純度は、固体溶媒混合の2つ以上のサブステップの最初から最後へ有利に増加する。
【0029】
有利には、固体溶媒混合の1つ以上のサブステップの最後において使用される有機洗浄溶媒は、新しい有機洗浄溶媒の一部と、本発明による方法の固液分離の第2のステップにおいて、固体溶媒混合の当該1つ以上のサブステップの当該最後の前に実行される、精製固相からそれを除去して得られる回収された有機洗浄溶媒の一部とを含む。
【0030】
有利には、本発明による方法は、水で処理するステップ240の後に、最終固相からその中に存在する任意の洗浄水を除去することを含む水除去ステップを含む。
【0031】
好ましくは、水を除去するステップは、最終固相から、そこに存在する任意の洗浄水を蒸発によって除去することを含む。
【0032】
有利には、水を除去するステップは、大気圧より低い圧力での蒸発によって、最終固相からそこに存在する任意の洗浄水を除去するステップを含む。
【0033】
有利には、水で処理するステップで使用される洗浄水は、新しい洗浄水の一部と、事前に実行された本発明による繊維廃棄物のリサイクル方法の水除去ステップにおいて最終固相から除去された回収された洗浄水の一部とを含み得る。
【0034】
水で処理するステップは、精製固相が水に添加され、混合される、固水混合の1つ以上のサブステップを含み、各々その後に、水が精製固相から少なくとも部分的に除去される固水分離のサブステップが続く。
【0035】
固水混合の1つ以上のサブステップは、固水混合の2つ以上のサブステップを有利に含み、固水混合の1つ以上のサブステップにおいて使用される洗浄水の純度は、固水混合の1つ以上のサブステップの最初から最後へ増加する。
【0036】
有利には、固水混合の1つ以上のサブステップの最後において使用される水は、新しい洗浄水の一部と、本発明による繊維廃棄物のリサイクル方法の水除去ステップにおいて、固水混合の1つ以上のサブステップの最後の前に実行される、最終固相から除去された水の一部と、を含む。
【0037】
一実施形態では、水で処理するステップ中に、洗浄水は、精製固相から少なくとも部分的に除去され、除去された洗浄水は、無機酸と反応して、酸性水溶液中の初期テレフタル酸の懸濁液を形成するテレフタル酸の沈殿ステップに供され、方法は、テレフタル酸を分離するステップを含み、当該初期テレフタル酸が酸水溶液から除去され、次いで当該酸水溶液は、方法の中和ステップに供され、酸性水溶液をアルカリ塩基と接触させてアルカリ金属を形成し、中性水溶液を得、方法は、中性水溶液を、電気分解ステップおよび必要に応じて組み合わせステップを含む回収ステップへ、供することを含み、そこからテレフタル酸の沈殿ステップにおいて使用したのと同じ無機酸と中和ステップで使用したのと同じアルカリ塩基とが得られ、このようにして得られた無機酸は、続いて実施される、本発明による方法のテレフタル酸を沈殿させるさらなるステップにおいて使用される。
【0038】
本発明の特徴および利点は、添付の概略図を参照しながら、例示であって限定するものではない、下記の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明による方法の有利な実施態様のステップを概略的に表すフローチャートである。
【
図2】
図1の方法におけるステップの1つのより詳細な概略図である。
【
図3】
図1の方法における1ステップのより詳細な概略図である。
【
図4】
図1の方法における1ステップのより詳細な概略図である。
【
図5】
図1の方法における1ステップのより詳細な概略図である。
【
図6】
図1の方法における1ステップのより詳細な概略図である。
【
図7】
図1の方法における1ステップのより詳細な概略図である。
【
図8】本発明による方法で使用可能な反応器の有利な実施形態の概略図である。
【
図9】本発明による方法で使用可能な反応器のさらなる有利な実施形態の概略図である。
【
図10】本発明による方法のさらに有利な実施態様のいくつかのステップを概略的に示すフローチャートの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明による方法の有利な実施態様の様々なステップを概略的に示すフローチャートを示す。
【0041】
本発明による方法は、セルロース成分、例えば綿、とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物STを塩基性加水分解によるポリエステル成分の解重合反応に供する、解重合ステップ110を含み、下記では、この反応を「解重合反応」という。
【0042】
繊維廃棄物ST中のセルロース成分とポリエステル成分との割合は変化し得るが、好ましくは、セルロース成分(例えば綿)は、繊維廃棄物STの15重量%~65重量%である。
【0043】
解重合反応は、繊維廃棄物STと、可能性のある反応水AR、アルカリ金属水酸化物IMA、および水溶性有機反応溶媒SOIRを含む、加溶媒分解混合物MSとの接触によって起こる。アルカリ金属水酸化物IMAは、例えば、水酸化ナトリウムNaOHおよび/または水酸化カリウムKOHおよび/または水酸化リチウムLiOHを含み得る。水溶性有機反応溶媒SOIRについては、例を下記に示す。
【0044】
解重合反応は、好ましくはマイクロ波補助であり、好ましくは
図2に概略的に示されるマイクロ波タイプの反応器1内で有利に行われる。
【0045】
本発明による方法で使用可能なマイクロ波反応器1の有利な例は、例えば、本出願と同じ出願人の名義の欧州特許第2736968号明細書に示されている。
【0046】
反応器1の有利な実施形態のさらなる例を
図8に概略的に示す。
【0047】
このような反応器1は、有利には、混合装置2、熱制御システム3、およびマイクロ波発生および輸送システム4を備える。
【0048】
有利には、反応器1は、内部に反応チャンバー8を画定するケーシング5を備える。当該ケーシング5は、好ましくは実質的に円筒形であり、使用時に実質的に水平である長手方向軸Aに沿ってかつその周囲に延在する。
【0049】
使用中、ケーシング5、ひいては反応器1自体は異なる方向を向いていてもよく、従って軸Aは水平ではなく垂直であってもよく、あるいは水平面に対して(例えば、地面に対して)様々に傾斜していてもよいことを理解されたい。
【0050】
有利には、ケーシング5は、側壁6、例えば円筒形であり、軸方向の両端に位置する一対の端壁7は、反応チャンバー8の内部を画定する。
【0051】
ケーシング5は、有利には、マイクロ波電磁放射に対して実質的に不透明であり、好ましくは耐食性である材料で構成される。
【0052】
さらに、ケーシング5は、大気圧に対する内部の過圧状態と低圧状態との両方に耐えることが可能であるように有利に設計されている。
【0053】
反応器1は、有利には、ケーシング5に形成されることが好ましいそれぞれの開口によって画定される1つ以上の入口および1つ以上の出口が設けられ、それぞれ、例えば、繊維廃棄物ST、加溶媒分解混合物MSおよび可能性のある補助成分などの、当該解重合反応に関与する様々な成分の反応チャンバー8への導入、ならびに解重合反応の生成物および可能性のある残留要素の反応チャンバー8からの除去を可能にするように構成される。
【0054】
図8に示すような有利な実施形態では、反応器1には、反応器1内で処理される材料(例えば、細断された可能性がある、繊維廃棄物ST)、加溶媒分解混合物MSおよび可能性のある補助成分を反応チャンバー8に導入するための少なくとも1つの入口9が設けられる。
【0055】
さらに有利な実施形態(図示せず)では、処理される材料、加溶媒分解混合物、および可能性のある補助成分は、専用の別個の入口を通して反応器1に導入され得る。
【0056】
有利には、反応器1は、解重合反応の終了時に反応チャンバー8の内容物を除去するための少なくとも1つの出口10を備える。
【0057】
有利には、反応チャンバー8は、軸Aの周りに回転可能な混合装置2を収容する。
【0058】
混合装置2は、例えば繊維廃棄物STおよび加溶媒分解混合物MSを含む反応チャンバー8の内容物を、その内部に動的に分配することによって、(軸Aを中心とするその回転運動を通じて)軸Aに沿っておよび軸Aに対して半径方向の両方で、撹拌し続けるように有利に構成される。
【0059】
好ましくは、混合装置2は、複数のパドル11を含み、これらのパドル11は様々な形状、サイズ、および配置とされ得る。
【0060】
有利な実施形態では、パドル11は、反応チャンバー8内に収容され、軸Aの周りで回転可能な支持構造12としっかりと関連付けられる。
【0061】
例えば、支持構造12は、ケーシング5内に収容され、ケーシング5の側壁6に面する半径方向外側表面とそこからパドル11が軸Aに向かって半径方向に延在する半径方向内側表面とを有する、中空の円筒形バスケットを有利に含み得る。
【0062】
有利には、パドル11は、異なる形状およびサイズを有し得、支持構造12上に様々に配置され得る。
【0063】
しかしながら、混合装置2は、単なる例として本明細書に示されるもの以外のタイプであり得、様々な形状およびサイズを有する様々に配置されたパドルを含み得ることを理解されたい。
【0064】
反応器1の有利な実施形態の一例(添付の図面には示されていない)では、リボン形状のパドルでもある様々な形状のパドル11は、軸Aに沿って反応チャンバー8の中央に位置する支持構造12から有利に離れ得る。
【0065】
他の有利な実施形態(図示せず)では、混合装置2は、ケーシング5と一体であり得、軸Aの周りをケーシング5と一体的に回転し得る。このような有利な実施形態では、ケーシング5は、外部支持体(図示せず)に回転可能に取り付けられ、パドル11を回転可能に引っ張る。
【0066】
混合装置2は、例えばケーシング5の外側に配置され、好ましくは支持構造12(または、ケーシング5が回転可能な場合にはケーシング5に直接)に接続されるモータ13によって有利に駆動される。
【0067】
有利には、熱制御システム3は、ケーシング5内の反応チャンバー8から熱エネルギー(熱)を抽出または導入し、それによってケーシング5およびその中に含まれるものを冷却または加熱するように構成される。
【0068】
有利には、熱制御システム3は、ケーシング5の側壁6の周囲に巻かれた少なくとも1つのコイル31を備え、その中で熱伝達流体が循環し、好ましくは当該流体が適切に加熱または冷却される、熱ユニット(図示せず)から熱を伝達するのに適している。
【0069】
有利には、マイクロ波発生および輸送システム4は、好ましくはケーシング5の外側に配置されるマイクロ波発生器41と、マイクロ波発生器41に関連付けられ、反応チャンバー8内に少なくとも部分的に収容される案内装置42とを備え、有利には、マイクロ波発生器41によって発生されたマイクロ波を反応チャンバー8内で軸Aに沿ってまた軸Aの周りに搬送し分配するように構成される。
【0070】
有利には、案内装置42は、一対の端壁10の間でケーシング5の軸Aに沿って延在するパイプを備え、有利にはパイプの側壁に形成された側方放出孔を有する、導波管43(いわゆる「リークパイプ」タイプ)を備える。
【0071】
有利には、300MHz~300GHzの周波数を有するマイクロ波が反応チャンバー8内に送られる。
【0072】
反応器1の実施形態のさらに有利な例(
図9に概略的に示されるものなど)では、反応器1は、混合装置2、熱制御システム3、およびマイクロ波発生および輸送システム4をも備える。
【0073】
図8に示される有利な実施形態と比較して、
図9に示される有利な実施形態における反応器1およびケーシング5は、使用時に実質的に垂直である長手方向軸Aに沿って、およびその周りに延在する。軸Aは混合装置2の回転軸でもある。
【0074】
ここでも、混合装置2は、反応チャンバー8の内容物(例えば繊維廃棄物STおよび加溶媒分解混合物MS)を、その内部に動的に分配することによって、その回転運動を通じて軸Aに沿っておよび軸Aに対して半径方向の両方で、撹拌し続けるように有利に構成される。
【0075】
有利には、モータ13によって有利に駆動される混合装置3は、少なくとも1つのインペラ14および少なくとも1つのパドル11を備える支持構造12が、軸Aの周りに回転可能であるだけでなく、軸Aに沿って軸方向に移動可能であるようにも構成される。
【0076】
有利には、混合装置2は、様々な構成をとり得、例えば、場合によってはより多くのインペラ14上に配置される、様々な形状および組織化された1つ以上のパドル11を提供し得る。
【0077】
また、
図9に示される反応器1の有利な実施形態の例では、反応器1および可能性のあるその内容物は、熱制御システム3のおかげで有利に冷却または加熱され得る。
【0078】
有利には、熱制御システム3は、例えば
図8に示される有利な実施形態または
図9に示される実施形態のいずれかにおいて、コイル31に加えてまたはコイル31の代替として、混合装置2、例えばパドル11および/またはインペラ14に直接作用する、さらなる加熱/冷却装置(添付図面には示されていない)をも含み得る。
【0079】
有利には、マイクロ波生成および輸送システム4が設けられている場合、解重合反応に必要なマイクロ波を、導波管42などを介して反応チャンバー8に直接導入し得る。
【0080】
有利には、本発明による方法は、解重合ステップ110の前に、可能性のある反応水AR、水溶性有機反応溶媒SOIRおよびアルカリ金属水酸化物IMAを混合して加溶媒分解混合物MSを形成する混合ステップ130を含む。
【0081】
好ましくは、本発明による方法は、解重合ステップ110の前に、繊維廃棄物STの細断ステップ120をさらに含み、当該廃棄物は小片に細断される。
【0082】
有利には、次いで、反応器1には、加溶媒分解混合物MSと、好ましくは細断された繊維廃棄物STとが供給される。ポリエステル成分の解重合反応は、二相混合物MBが得られるまで反応器1内で進行する。
【0083】
有利には、解重合反応は、90℃~350℃、好ましくは100℃~200℃の範囲の温度で行われる。
【0084】
有利には、解重合反応は、1気圧~20気圧の範囲の圧力で行われる。
【0085】
二相混合物MBは、テレフタル酸塩SATとセルロース繊維、例えば綿繊維とを含有する初期固相FSI、および初期液相FLIを含む。
【0086】
初期液相FLIは、水溶性有機反応溶媒SOIR、反応水ARの可能性のある残留画分、染料などの可能性のある溶解汚染物質、および/または解重合反応に関与しなかったアルカリ金属水酸化物IMAの可能性のある画分、およびテレフタル酸塩SATの可能性のある溶解画分を含む。
【0087】
テレフタル酸塩SATの未溶解画分は、初期液相FLI中に自由に懸濁し得る、および/または初期液相FLI中に浸漬されたセルロース繊維間に捕捉され得る固体粒子として生じる。
【0088】
本発明による方法は、解重合ステップ110の後に、二相混合物MBから初期液相FLIの少なくとも一部を除去する固液分離の第1のステップ210を含む。この除去は、例えば第1の固液分離ユニットUSSL1(
図3に概略的に示される)内で機械濾過によって行われることが好ましい。
【0089】
固液分離ユニットUSSL1は、例えば、スクリューフィルターとして一般に知られているタイプの産業用機械であり得る。
【0090】
有利なことに、固液分離210の第1のステップ中に除去された初期液相FLIは、活性炭211(
図3に概略的に示されている)を用いた濾過ステップに供され得、そこで任意の汚染物質が除去され、こうして、後続の蒸留ステップ212に有利に供され得る、当該精製液相FLPに含有される反応水ARおよび水溶性有機反応溶媒SOIRが蒸留によって分離され、例えば、その後に実行される解重合ステップ110において、後で再利用される可能性がある、精製液相FLPを得る。
【0091】
さらに有利な実施形態(図示せず)では、固液分離の第1のステップ210中に除去された初期液相FLIは、直接または(活性炭211による濾過の可能性のあるステップを経た後)精製液相FLPの形態のいずれかにおいて、蒸留ステップ212に供されることなく、続いて行われる解重合ステップ210において使用され得る。
【0092】
二相混合物MBの初期液相FLIの多くは固液分離の第1のステップ210中に除去されるが、固液分離の第1のステップ210から出る初期固相FSIには、(例えば、セルロース繊維の間に捕捉されたもの)その中に溶解した1つ以上の汚染物質を含む、初期液相FLIの残留画分が含まれる可能性があり得ることが強調される。
【0093】
したがって、本発明による方法は、固液分離の第1のステップ210の後に、有機溶媒で処理するステップ220を含み、セルロース繊維(例えば、綿)、テレフタル酸塩SATを含む初期固相FSI、およびその中に溶解している1つ以上の汚染物質を含む初期液相FLIの可能性のある残留画分は、その中に存在する可能性のある1つ以上の汚染物質を除去するために、有機洗浄溶媒SOLで処理される。
【0094】
有利には、有機洗浄溶媒SOLは、
グリコールC2~C8、
アルコールC1~C6またはアルコールC1~C6の混合物、
ケトンC3~C8またはケトンC3~C8の混合物、
エーテルまたはエーテルの混合物、
アルカンC5~C8またはアルカンC5~C8の混合物、
の物質のうちの少なくとも1つであるか、または少なくとも1つを含む。
【0095】
好ましくは、グリコールは300℃未満の沸点を有するグリコールである。
【0096】
好ましくは、グリコールはモノエチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)およびそれらの混合物から選択され、さらにより好ましくは、グリコールは、モノエチレングリコール(MEG)である。
【0097】
好ましくは、アルコールC1~C6は、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i-PrOH)、ブタノール(BuOH)およびそれらの混合物から選択される。
【0098】
好ましくは、ケトンC3~C8は、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびそれらの混合物から選択される。
【0099】
好ましくは、エーテルは、ジエチルエーテル(Et2O)、テトラヒドロフラン(THF)およびそれらの混合物から選択される。
【0100】
好ましくは、アルカンC5~C8は、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびそれらの混合物から選択される。
【0101】
好ましくは、水溶性有機反応溶媒SOIRおよび有機洗浄溶媒SOLは、同じ物質または同じ物質の混合物である。
【0102】
有機溶媒による処理ステップ220の最後に、おそらく、所定量の有機洗浄溶媒SOLにまだ浸漬しており、汚染物質がその中に溶解している可能性がある、テレフタル酸塩SATとセルロース繊維、例えば綿繊維とを含む、精製固相FSPが得られる。
【0103】
有利には、本発明による方法は、有機溶媒による処理ステップ220の後に、固液分離の第2のステップ230を含み、このステップでは、精製固相FSPは、依然として存在する可能性のある有機洗浄溶媒SOL、およびそこに溶解している1つ以上の可能性のある汚染物質から分離される。
【0104】
このような分離は、蒸発によって、有利には第2の固液分離ユニットUSSL2(
図5に概略的に示す)内で実行されることが好ましい。蒸発は、好ましくは大気圧より低い圧力で行われる。
【0105】
有利には、有機溶媒による処理ステップ220で使用される有機洗浄溶媒SOLは、新しい有機洗浄溶媒SOLFの一部と、有機溶媒による処理ステップ220の前に、好ましくは蒸発とその後の凝縮によって行われる固液分離の第2のステップ230において精製固相FSPから分離することによって得られる回収有機洗浄溶媒SOLRの一部とを含み得る。
【0106】
有利には、有機溶媒で処理するステップ220は、固液分離の第1のステップ210に続いて、初期固相FSIが有機洗浄溶媒SOLに添加され、混合される、固体溶媒混合221の1つ以上のサブステップを含み得る。固体溶媒混合221のそのような1つ以上のサブステップは、1つ以上の溶媒混合ユニットUMSで実行されることが好ましい。
【0107】
溶媒混合ユニットUMSは、リボンミキサーとして一般的に知られているタイプの工業用機械であることが好ましい。
【0108】
有利には、固体溶媒混合221の1つ以上のサブステップで使用される有機洗浄溶媒SOLは、事前に実行される、可能性のある蒸留ステップ212で蒸留される水溶性有機反応溶媒SOIRの少なくとも一部を含む。
【0109】
固体溶媒混合のこのような1つ以上のサブステップ221の各々の後に、固体溶媒分離のそれぞれのサブステップ222が続くことが好ましく、固体溶媒混合の当該サブステップ221に供される有機洗浄溶媒SOLは、好ましくは1つ以上の溶媒分離ユニットUSSにおける機械濾過によって、初期固相FSIから少なくとも部分的に除去される。
【0110】
溶媒分離ユニットUSSは、スクリューフィルターとして一般に知られているタイプの工業用機械であることが好ましい。
【0111】
有利には、下記でより良く説明されるように、固体溶媒混合221の1つ以上のサブステップは、固体溶媒混合221の2つ以上のサブステップを含む。好ましくは、固体溶媒混合221の当該2つ以上のサブステップで使用される有機洗浄溶媒SOLの純度は、当該2つ以上のサブステップの最初から最後へ増加する。
【0112】
固体溶媒混合の1つ以上のサブステップ221の最後で使用される有機洗浄溶媒SOLは、好ましくは、新しい有機洗浄溶媒SOLFの一部と、固体溶媒混合221の1つ以上のサブステップの最後の前に実行される、好ましくは蒸発およびその後の凝縮による、固液分離の第2のステップ230における精製固相FSPから除去することによって得られる有機洗浄溶媒SOLRを回収有機洗浄溶媒SOLRの一部とを含む。
【0113】
図4は、本発明による方法の有利な実施形態の有機溶媒による処理ステップ220の例を概略的に示す。
【0114】
このような有利な実施形態では、有機溶媒による処理ステップ220は、固体溶媒混合の3つのサブステップ221を含み、各々の後に、互いに直列の固体溶媒分離の各々のサブステップ222が続く。
【0115】
第1の溶媒混合ユニットUMS1内で有利に実行される固体溶媒混合の第1のサブステップ2211では、初期固相FSIは、初めて有機洗浄溶媒に添加され、混合される。この溶媒を、本明細書では第1の洗浄有機溶媒SOL1と呼ぶ。
【0116】
有利には、固体溶媒混合の第1のサブステップ2211の後、第1の洗浄有機溶媒SOL1は、有利には第1の溶媒分離ユニットUSS1において実行される、固体溶媒分離の第1のサブステップ2221において、初期固相FSIから少なくとも部分的に除去される。
【0117】
有利には、固体溶媒分離2221の第1のサブステップ中に除去された第1の洗浄有機溶媒SOL1は、例えば続いて、好ましくは活性炭による濾過後に行われる解重合ステップ110において、例えば、このような解重合反応に使用される加溶媒分解混合物MSにおいて水溶性有機反応溶媒SOIRを組み込むように、少なくとも部分的に再利用され得る。
【0118】
固体溶媒分離の第1のサブステップ2221の後、第2の溶媒混合ユニットUMS2において有利に実行される固体溶媒混合の第2のサブステップ2212において、初期固相FSIが有機洗浄溶媒に添加され、再度混合される。当該溶媒を、本明細書では第2の洗浄SOL2の有機溶媒と呼ぶ。
【0119】
有利には、固体溶媒混合の第2のサブステップ2212の後、第2の洗浄SOL2の有機溶媒は、有利には第1の溶媒分離ユニットUSS2において行われる固体溶媒分離の第2のサブステップ2222において、初期固相FSIから少なくとも部分的に除去される。
【0120】
有利には、第2の溶媒分離ユニットUSS2において初期固相FSIから分離された第2の洗浄SOL2の有機溶媒は、続いて行われる固体溶媒混合のさらなる第1のサブステップ2211において第1の洗浄SOL1の溶媒として少なくとも部分的に再利用され得る。
【0121】
固体溶媒分離の第2のサブステップ2222の後、有利には第3の溶媒混合ユニットUMS3で実行される、固体溶媒混合の第3のサブステップ2213において、初期固相FSIは、好ましくは新しい有機洗浄溶媒SOLFを含む、第3の洗浄SOL3の有機溶媒に添加され、混合される。
【0122】
有利には、第3の洗浄SOL3の有機溶媒は、固液分離230の第2のステップにおいて、固体溶媒混合の第3のサブステップ2213の前に行われる、好ましくは蒸発およびその後の凝縮によって精製固相FSPから分離することによって得られる、回収有機洗浄溶媒SOLRを含み得る。
【0123】
有利には、固体溶媒混合の第3のサブステップ2213の後、第3の洗浄SOL3の有機溶媒は、有利には、第3の溶媒分離ユニットUSS3において行われる固体溶媒分離の第3のサブステップ2223において初期固相FSIから少なくとも部分的に除去され、こうして精製固相FSPが得られ、必要に応じて第3の洗浄有機溶媒SOL3に浸漬される。
【0124】
有利には、第3の溶媒分離ユニットUSS3において初期固相FSIから分離された第3の洗浄有機溶媒SOL3は、続いて行われる固体溶媒混合のさらなる第2のサブステップ2212において第2の洗浄溶媒SOL2として少なくとも部分的に再利用され得る。
【0125】
換言すれば、この有利な実施形態では、有機洗浄溶媒SOLは、異なる時間に実行される固体溶媒混合のサブステップにおいて、徐々に純度が低下して数回再利用される。したがって、固体溶媒混合の特定のサブステップは、固体溶媒混合の前のサブステップで使用されるものよりも純粋な有機洗浄溶媒を使用して実行される。
【0126】
本発明による方法は、固液分離の第2のステップ230の後に、水で処理するステップ240を含み、その間、存在するテレフタル酸SATを可溶化して除去するために、精製固相FSPを洗浄水ALと接触させ、こうして、おそらくは依然として最小量の洗浄水ALに浸漬されているセルロース繊維、例えば綿繊維を含む最終固相FSFが得られる。
【0127】
テレフタル酸塩SATの水への溶解度が良好であるため、洗浄水AL中への可溶化が可能であり、テレフタル酸ナトリウムNa2TAなどのテレフタル酸塩SATがナトリウムベースの塩である場合には、例えば約13重量%に相当する。このような可溶化によって、セルロース繊維の間に捕捉されている可能性があるテレフタル酸塩SATの固体粒子を除去することが可能になる。
【0128】
有利には、水による処理ステップ240中に、洗浄水ALが精製固相FSPから少なくとも部分的に除去される。この除去された洗浄水ALは、
図1ではSA-SATとして示されており、実際には水に可溶化されたテレフタル酸塩SATを含む水溶液であり、おそらくは1つ以上のさらなる濾過ステップ(例えば、機械的濾過および/または活性炭を用いた濾過)(図示せず)に供された後に、依然として存在する可能性のある汚染物質を除去し、無機酸、例えば塩酸HClまたはH
2SO
4硫酸が添加される、テレフタル酸310の沈殿の可能なステップに、有利に供され得る。このようにして、解重合反応に使用した酸および塩基(例えば、NaCl)のそれぞれの塩の酸水溶液SAA中の初期テレフタル酸ATI(固体)の懸濁液を得る。
【0129】
有利には、本発明による方法は、水で処理するステップ240の後に、最終固相FSFがまだ存在する可能性のある洗浄水ALおよび1つ以上のその中に溶解した可能性のある汚染物質から分離される、第3の固液分離ステップ250を含み、好ましくは、分離は蒸発によって行われ、より好ましくは、第3の固液分離ユニットUSSL3(
図7に概略的に示されている)で行われる。
【0130】
蒸発は、好ましくは大気圧未満の圧力で行われる。
【0131】
第3の固液分離ステップ250の終わりに、ポリエステルおよび繊維廃棄物ST中の可能性のある汚染物質から分離されたセルロース成分、例えば綿繊維は、例えば新しい生地を製造するために使用され得る。
【0132】
有利には、水による処理ステップ240で使用される洗浄水ALは、新しい洗浄水ALFの一部と、最終固相FSFから事前に実施された、本発明による繊維廃棄物のリサイクル方法の水除去ステップ250において除去された回収洗浄水ALRの一部とを含み得る。
【0133】
有利には、水で処理するステップ240は、固水混合ステップ241の1つ以上のサブステップを含み得、精製固相FSPが洗浄水ALに添加され、混合される。固水混合241のそのような1つ以上のサブステップは、1つ以上の水混合ユニットUMAで実行されることが好ましい。
【0134】
水混合ユニットUMAは、リボンミキサーとして一般的に知られているタイプの工業用機械であることが好ましい。
【0135】
有利には、固水混合ステップ241の1つ以上のサブステップで使用される洗浄水ALは、以前に実行された蒸留ステップ212で蒸留された反応水ARの少なくとも一部を含み得る。
【0136】
固水混合の1つ以上のサブステップ241の各々の後には、洗浄水ALが、好ましくは1つ以上の水分離ユニットUSAにおける機械的濾過によって、精製固相FSPから少なくとも部分的に除去される、固水分離のサブステップ242が続くことが好ましい。
【0137】
水分離ユニットUSAは、スクリューフィルターとして一般的に知られているタイプの工業用機械であることが好ましい。
【0138】
有利には、固水混合241の1つ以上のサブステップは、固水混合241の2つ以上のサブステップを含み、下記により詳細に説明するように、1つの以上のステップで使用される洗浄水ALの純度は、固水混合の1つ以上のサブステップ241は、固水混合のそのような1つ以上のサブステップ241の最初から最後まで増加する。
【0139】
有利には、固水混合ステップ241の1つ以上のサブステップの最後で使用される水は、新しい洗浄水ALFの一部と、固水混合の1つ以上のサブステップ241の最後の前に実行される、本発明による繊維廃棄物のリサイクル方法の、好ましくは残留洗濯水ALの蒸発とその後の凝縮とによる水除去ステップ250で最終固相FSFから除去された回収洗浄水ALRの一部とを含み得る。
【0140】
図6は、本発明による方法の有利な実施形態の水による処理ステップ240の一例を概略的に示す。
【0141】
このような有利な実施形態では、水による処理ステップ240は、固水混合の3つのサブステップ241を含み、各々の後に、互いに直列に固水分離の各々のサブステップ242が続く。
【0142】
固水混合の第1のサブステップ2411は、第1の水混合ユニットUMA1内で有利に実行され、精製固相FSPが初めて洗浄水に添加され、混合される。ここでは、この水を第1の洗浄水AL1と呼ぶ。
【0143】
有利には、固水混合の第1のサブステップ2411の後、固水分離の第1のサブステップ2421において、第1の洗浄水AL1が精製固相FSPから少なくとも部分的に除去され、有利には第1の水分離ユニットUSA1中で実行される。このようにして除去された第1の洗浄水AL1(
図6ではSA~SATとして示す)は、実際には、可溶化テレフタル酸塩を含む水溶液である。
【0144】
固水分離の第1のサブステップ2421に続いて、第2の水混合ユニットUMA2内で有利に実行される、固水混合の第2のサブステップ2412では、精製固相FSPが洗浄水に添加され、再度混合される。このような水を本明細書では第2の洗浄水と呼ぶ。このような水を本明細書では第2の洗浄水AL2と呼ぶ。
【0145】
有利には、固水混合の第2のサブステップ2412の後、有利には第2の水分離ユニットUSA2で実行される、固水分離の第2のサブステップ2422において、第2の洗浄水AL2が精製固相FSPから少なくとも部分的に除去される。
【0146】
有利には、第2の水分離ユニットUSA2において精製固相FSPから分離された第2の洗浄水AL2は、その後に実行される固水混合2411の追加の第1のサブステップにおいて第1の洗浄水AL1として少なくとも部分的に再利用され得る。
【0147】
固水混合の第3のサブステップ2413では、固水分離の第2のサブステップ2422に続いて、第3の水混合ユニットUMA3内で有利に実行され、精製固相FSPが、好ましくは新しい洗浄水ALFを含む、第3の洗浄水AL3と、添加され混合される。
【0148】
有利には、第3の洗浄水AL3は、事前に実施された本発明による繊維廃棄物のリサイクル方法の水分除去ステップ250において最終固相FSFから除去された回収洗浄水ALRを含み得る。
【0149】
有利には、固水混合の第3のサブステップ2413の後、有利には第3の水分離ユニットUSA3で実行される固水分離の第3のサブステップ2423において、第3の洗浄水AL3は、精製固相FSPから少なくとも部分的に除去され、最終固相FSFを得、必要に応じて第3の残留洗浄水AL3に浸漬される。
【0150】
有利には、第3の水分離ユニットUSA3において精製固相FSPから分離された第3の洗浄水AL3は、その後に実行される固水混合のさらなる第2のサブステップ2412において第2の洗浄水AL2として少なくとも部分的に再利用され得る。
【0151】
換言すれば、この有利な実施形態では、洗浄水ALは、異なる時間に実行される固水混合のサブステップにおいて、徐々に低い純度レベルで数回再利用される。したがって、固水混合の特定のサブステップは、固水混合の前のサブステップで使用されたものよりも純粋な洗浄水を使用して実行される。
【0152】
上記のように、固水分離ステップ240で除去される、テレフタル酸塩の水溶液SA-SAT(
図6に示す有利な実施形態では、第1の固水分離ユニット2421において精製固相FSPから分離された第1の洗浄水AL1を示す)は、テレフタル酸の沈殿ステップ310に有利に供され得、そこで無機酸、例えば塩酸(HCl)または硫酸(H
2SO
4)が添加され、こうして使用する酸についての塩の酸水溶液SAA(例えば、(HCl)の場合において塩化ナトリウム(NaCl)が使用され、または例えば硫酸(H
2SO
4)の場合において硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)が使用される)における初期テレフタル酸ATI(固体)の懸濁液および解重合反応において使用される塩基(例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)などのアルカリ金属水酸化物IMA)の懸濁液が得られる。
【0153】
また、テレフタル酸310の沈殿ステップでは、懸濁していた初期テレフタル酸ATIが酸水溶液SAAから沈殿によって分離される。
【0154】
有利には、テレフタル酸310の沈殿ステップの後、テレフタル酸320の分離ステップにおいて、酸水溶液SAAは、好ましくは機械濾過、例えば遠心分離によって、沈殿した初期テレフタル酸ATIから少なくとも部分的に除去される。
【0155】
好ましくは、テレフタル酸320を分離する当該ステップの後、おそらくは酸水溶液SAAの一部によってまだ湿っている初期テレフタル酸ATIは、テレフタル酸330の洗浄ステップに供され、ここで、テレフタル酸310の沈殿およびテレフタル酸320の分離の前のステップから残留する、可能性のある残留無機酸を除去するために、それを水、好ましくは新しい水と接触させて、精製テレフタル酸ATPを得る。
【0156】
好ましくは、テレフタル酸330を洗浄するステップの後、精製テレフタル酸ATPは、テレフタル酸340を乾燥するステップに供され、テレフタル酸330を水で洗浄するステップ中に使用された水は、精製テレフタル酸ATPから、好ましくは蒸発によって、除去され、こうして最終的なテレフタル酸ATFを得る。
【0157】
このようにして得られる最終的なテレフタル酸ATFの純度は、例えばPETの製造などの新しい重合反応に使用できるほどである。
【0158】
有利には、テレフタル酸を洗浄するステップ330とテレフタル酸を乾燥するステップ340との間に、テレフタル酸の結晶化ステップ331を設け得、テレフタル酸を結晶化させる。
【0159】
有利には、テレフタル酸の分離ステップ320中に初期テレフタル酸ATIから分離された酸水溶液SAAは、中和ステップ350に供され得、ここで、これは、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)などのアルカリ金属水酸化物IMAなど、1つ以上のアルカリ塩基と接触するように置かれる。
【0160】
このような1つ以上のアルカリ塩基と無機酸との反応、例えば、塩酸(HCl)または硫酸(H2SO4)は、酸性水溶液SAA中にまだ存在している可能性があり、アルカリ金属塩(例:テレフタル酸310の沈殿ステップで塩酸(HCl)を使用した場合、塩化ナトリウム(NaCl)および/または塩化カリウム(KCl)および/または塩化リチウム(LiCl)、あるいは硫酸(H2SO4)を使用する場合は硫酸ナトリウム(Na2SO4))の形成につながり、結果として酸性水溶液SAAのpHが中和され、実質的に7に等しいpHを有する中性水溶液SANが得られる。
【0161】
有利には、アルカリ金属塩(例えば、テレフタル酸の沈殿ステップ310において塩酸(HCl)が使用される有利な場合には塩化ナトリウム(NaCl)および/または塩化カリウム(KCl)および/または塩化リチウム(LiCl)、または硫酸(H2SO4)が使用される場合には硫酸ナトリウム(Na2SO4))を含有するこのような中性水溶液SANは、中和ステップ350の後に、電気分解ステップ360および可能性のある組み合わせステップ370(特定の実施形態によれば、これを含んでも含まなくてもよい)を含む回収ステップ380に供される。ここから、同じ無機酸(例えば、HClまたはH2SO4)が得られ、本発明による方法のテレフタル酸の沈殿ステップ310で使用される。このようにして得られた無機酸は、その後に行われるテレフタル酸の沈殿のさらなるステップ310で有利に使用され得る。
【0162】
有利には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)などの1つ以上のアルカリ金属水酸化物IMAが、回収ステップ380から得られる。 有利には、そのような1つ以上のアルカリ金属水酸化物IMA(例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)など)は、実行される解重合ステップ110において少なくとも部分的に再利用され得、好ましくは、その後、可能性のある混合ステップ130中に任意の反応水ARおよび水溶性有機反応溶媒SOIRと混合した後、および/またはその後に実行される中和ステップ350で少なくとも部分的に使用され得る。
【0163】
例えば
図1に示される有利な第1の実施形態では、テレフタル酸の沈殿ステップ310が無機酸として塩酸(HCl)を使用し、回収ステップ380が電気分解の第1のステップ361を有利に含み、中和ステップ350における酸性水溶液SAAの中和により得られる中性水溶液SANは、好ましくは二室セル内で行われる電気分解プロセスに供される。気体状態の塩素(Cl
2)および水素(H
2)がこのプロセスから得られ、次いで、これらは、有利にはこの回収ステップ380で提供される組み合わせの第1のステップ371で互いに反応し、その出力で塩酸(HCl)が得られる。
【0164】
この第1の有利な実施形態では、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)などの1つ以上のアルカリ金属水酸化物IMAもまた、電気分解361の当該第1のステップから有利に得られ、これは、有利には、電気分解の第1のステップ361に続いて実行される中和ステップ350および/または解重合ステップ110および/または可能性のある混合ステップ130において、少なくとも部分的に再利用され得る。
【0165】
例えば
図10に示される第2の有利な実施形態では、テレフタル酸の沈殿ステップ310において無機酸として硫酸(H
2SO
4)が使用され、回収ステップ380は、有利には、電気分解の第2のステップ362を含み、ここで、中和ステップ350における酸性水溶液SAAの中和から得られた中性水溶液SANが、好ましくは3室セル内で行われる電気分解プロセスに供される。気体状態の酸素(O
2)および水素(H
2)、硫酸(H
2SO
4)および例えば1つ以上のアルカリ金属水酸化物IMAなどの1つ以上のアルカリ塩基は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)など、このプロセスから得られる。有利には、気体状態の酸素(O
2)および水素(H
2)は、有利には回収ステップ380で提供される組み合わせの第2のステップ372において互いに反応して、水を得る。
【0166】
有利には、1つ以上のアルカリ金属水酸化物IMA、例えば、電気分解362の第2のステップで得られる水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カリウム(KOH)および/または水酸化リチウム(LiOH)は、有利には、当該第2の電気分解ステップ362の後に実行される中和ステップ350および/または解重合ステップ110および/または可能性のある混合ステップ130において少なくとも部分的に再利用され得る。
【0167】
したがって、本発明による方法によって、化学的手段で効果的に分離することによって、セルロース成分、例えば綿繊維とポリエステル成分とを含む繊維廃棄物のリサイクルが可能になるという点で、本発明は、上記の課題および目的を解決することが判明した。
【0168】
本発明による方法は、セルロース成分とポリエステル成分とから着色顔料などの任意の汚染物質を除去することをさらに含み、実質的に純粋で容易に再利用可能なセルロース成分およびポリエステル成分のモノマーの生成物を戻すという利点を有する。
【0169】
さらに、本発明による方法は、工業規模での実施態様に適しており、比較的簡単で安価である。
【0170】
本発明による方法の別の利点は持続可能性である。実際、この方法のいくつかのステップで使用される補助的な化学物質および水は、後で実行される同じ方法の他のステップで回収および再利用するのに適しているため、これらの物質の補充と環境への放出の必要性が最小限に抑えられる。
【0171】
最後に、本明細書に記載される本発明による方法は、多数の修正または変形が可能であることは明らかであり、それらはすべて本発明の範囲内にある。さらに、詳細のすべては、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、技術的に同等の要素に置き換えることが可能である。
【国際調査報告】