(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電圧コンバータを有する誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240307BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240307BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240307BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/51
A24F40/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555744
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022057189
(87)【国際公開番号】W WO2022195090
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD08
4B162AD23
(57)【要約】
サセプタを使用してエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置(1)であって、誘導加熱装置が、DC供給電圧を供給するためのDC電源(4)と、ヒーターモジュール(204)であって、サセプタに誘導結合するように配置されたインダクタ(8)と、インダクタを含むか、またはインダクタに接続され、インダクタを駆動するためにヒーターモジュール入力電圧をAC電圧に変換するように構成される、DC/AC電圧コンバータとを備える、ヒーターモジュールとを備え、誘導加熱装置が、DC供給電圧をヒーターモジュール入力電圧に変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータ(206)をさらに備える、誘導加熱装置(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタを使用するエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置であって、前記誘導加熱装置が、
DC供給電圧を供給するためのDC電源と、
ヒーターモジュールであって、
前記サセプタに誘導結合するように配置されたインダクタと、
前記インダクタを含むか、または前記インダクタに接続され、ヒーターモジュール入力電圧を、前記インダクタを駆動するためのAC電圧に変換するように構成された、DC/AC電圧コンバータと、を備える、ヒーターモジュールと、を備え、
前記誘導加熱装置が、前記DC供給電圧を前記ヒーターモジュール入力電圧に変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータをさらに備える、誘導加熱装置。
【請求項2】
前記DC/DC電圧コンバータが、前記ヒーターモジュールの一部である、請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
前記ヒーターモジュール入力電圧が、前記DC供給電圧よりも小さく、前記DC/DC電圧コンバータが、ステップダウン電圧コンバータである、請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
前記DC/DC電圧コンバータが、DC供給電圧の範囲を受け入れ、一定のヒーターモジュール入力電圧を出力するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記DC/DC電圧コンバータの出力電圧が、前記DC/DC電圧コンバータによって発生または受信されるスイッチング信号の負荷サイクルに関連する、請求項1~4のいずれかに記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
前記DC/DC電圧コンバータが、前記スイッチング信号の第一の部分の間に起動されるように構成された第一のスイッチング素子を備える、請求項1~5のいずれかに記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
前記DC/DC電圧コンバータが、前記スイッチング信号の第二の部分の間に起動されるように構成された第二のスイッチング素子を備える、請求項6に記載の誘導加熱装置。
【請求項8】
前記第一のスイッチング素子が起動された時に、前記第二のスイッチング素子が停止され、前記第二のスイッチング素子が起動された時に、前記第一のスイッチング素子が停止される、請求項7に記載の誘導加熱装置。
【請求項9】
前記第一および第二のスイッチング素子が、ハーフブリッジ配置で配置される、請求項7または8に記載の誘導加熱装置。
【請求項10】
前記DC/DC電圧コンバータが、前記DC/DC電圧コンバータの出力電圧を基準電圧と比較し、前記比較に基づいて前記スイッチング信号の前記負荷サイクルを調整するための出力信号を発生するように構成されたコンパレータを含む、請求項1~9のいずれかに記載の誘導加熱装置。
【請求項11】
前記誘導加熱装置が、前記DC電源または前記ヒーターモジュールにDC/DC電圧コンバータによって供給される測定された電流に基づいて、前記サセプタの抵抗またはコンダクタンスを決定することによって、前記サセプタの温度を決定するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載の誘導加熱装置。
【請求項12】
前記DC電源によって供給される電流を測定するためのDC電流センサーをさらに備える、請求項11に記載の誘導加熱装置。
【請求項13】
前記誘導加熱装置が、前記サセプタの前記決定された温度が所定の閾値を超えるか、または等しい時に、前記AC電圧の発生を中断するように構成される、請求項11または12に記載の誘導加熱装置。
【請求項14】
誘導加熱システムであって、
第一の誘導加熱装置であって、
DC供給電圧を提供するための第一のDC電源と、
誘導加熱を提供するためのインダクタを備える第一のヒーターモジュールであって、前記第一のヒーターモジュールが、前記第一のDC供給電圧と実質的に等しい第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第一のヒーターモジュールと、を備える、第一の誘導加熱装置と、
第二の誘導加熱装置であって、
前記第一のDC供給電圧とは異なる第二のDC供給電圧を提供するための第二のDC電源と、
誘導加熱を提供するためのインダクタを備える第二のヒーターモジュールであって、前記ヒーターモジュールが、前記第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第二のヒーターモジュールと、
前記第二のDC供給電圧を前記第一のヒーターモジュール入力電圧に変換するためのDC/DC電圧コンバータと、を備える、第二の誘導加熱装置とを備える、誘導加熱システム。
【請求項15】
前記第一のヒーターモジュール入力電圧が前記第二のDC供給電圧よりも小さく、前記DC/DC電圧コンバータがステップダウン電圧コンバータである、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サセプタを使用するエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置に関する。特に、限定されないが、本開示の一つまたは複数の実施例は、ヒーターモジュールおよびDC/DC電圧コンバータを含む、手持ち式の、電気的に作動する誘導加熱装置に関連しうる。本開示はまた、複数の誘導加熱装置およびDC/DC電圧コンバータを含む誘導加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこプラグなどのエアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターを有する、数多くの電気的に作動するエアロゾル発生装置が、当該技術分野において提唱されてきた。こうしたエアロゾル発生装置の一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を減少させることである。典型的に、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置内のチャンバーまたはくぼみの中へと挿入されるエアロゾル発生物品の一部として提供される。
【0003】
一部の公知の装置では、エアロゾルを形成することができる揮発性構成成分を放出する能力を有する温度にエアロゾル形成基体を加熱するために、加熱ブレードなどの抵抗発熱体が、物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時に、エアロゾル形成基体の中へと、またはその周りに挿入される。
【0004】
他のエアロゾル発生装置は、抵抗加熱ではなく誘導加熱を使用してエアロゾル形成基体を加熱し、本明細書では、こうした装置は「誘導加熱装置」と呼ばれる。誘導加熱装置は、典型的には、導電性サセプタに誘導結合されるように配置される誘導コイルなどのインダクタを備え、このサセプタは、エアロゾル形成基体に熱的に近接するように配置される。インダクタは変動する磁界を発生して、サセプタ内に渦電流およびヒステリシス損失を発生させ、サセプタを加熱し、それによってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0005】
製造の複雑さを軽減するために、エアロゾル発生装置用のヒーターをヒーターモジュールの一部として提供し、モジュールアセンブリを支援することができる。誘導加熱装置については、ヒーターモジュールは、変動する磁界を発生するために、インダクタ、またはインダクタへの接続、およびインダクタに給電するための駆動回路を含むことができる。サセプタの正確な加熱を実現するには、ヒーターモジュールの動作パラメータを慎重に制御する必要がある。
【0006】
エアロゾル発生装置はまた動作するために電源を必要とするが、エアロゾル発生装置の持ち運びできるという性質のために、これは典型的には、何らかの形態の電池を含む。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いため、エアロゾル発生装置用の電池としてよく選ばれている。しかしながら、電池の特性、特に電池の出力または供給電圧に影響を与える、異なる電池化学を有する多数の異なるタイプのリチウムイオン電池がある。例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4またはLFP)電池は、典型的には、3.7ボルト(最大充電電圧)~2.5ボルト(最小放電電圧)の出力電圧を有し、LFP電池の動作範囲の典型的な出力電圧は3.2V~3.0Vである。一方、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCoO2またはNMC)電池は、通常、約4.2ボルトの典型的な出力電圧を有する。
【0007】
一般的に、製造業者は、選択した電池の化学的性質の種類に依存する特定の供給電圧で動作するように、エアロゾル発生装置、およびこうした装置の制御電子機器を設計する。装置内の特定の構成要素または回路は、指定された供給電圧に非常に敏感であり、異なる供給電圧を有する他の電池の化学的性質では動作しない場合がある。これは、ある電池の化学的性質に設計されたモジュールが、異なる電池の化学的性質を有するエアロゾル発生装置で使用されることを妨げる可能性があるため、エアロゾル発生装置の特定の構成要素または回路がモジュールに組み込まれるモジュールシステムでは問題となり得る。実際に、そのようなモジュールを使用するように設計されていない電池の化学的性質で使用すると、望ましくない動作をもたらし得る。
【0008】
異なる電池の化学的性質に対応することができる誘導加熱装置を提供することが望ましい。異なる電池の化学的性質に対応することができる誘導加熱システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本開示の実施例によると、サセプタを使用してエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置が提供されている。誘導加熱装置は、DC供給電圧を提供するためのDC電源を備えてもよい。誘導加熱装置はヒーターモジュールを備えてもよい。ヒーターモジュールは、サセプタに誘導結合するように配置されたインダクタを備えてもよい。ヒーターモジュールは、インダクタを含むか、またはインダクタに接続されるDC/AC電圧コンバータを含みうる。DC/ACコンバータは、ヒーターモジュール入力電圧を、インダクタを駆動するためのAC電圧に変換するように構成されうる。誘導加熱装置は、DC供給電圧をヒーターモジュール入力電圧に変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータをさらに含みうる。
【0010】
本開示の実施例によると、サセプタを使用してエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置が提供されている。誘導加熱装置は、DC供給電圧を提供するためのDC電源と、ヒーターモジュールであって、サセプタに誘導結合するように配置されたインダクタと、インダクタを備える、またはインダクタに接続され、インダクタを駆動するためにヒーターモジュール入力電圧をAC電圧に変換するように構成されたDC/AC電圧コンバータとを備える、ヒーターモジュールとを備え、誘導加熱装置は、DC供給電圧をヒーターモジュール入力電圧に変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータをさらに備える。
【0011】
有利なことに、DC/DC電圧コンバータの使用により、異なる電池の化学的性質を有する電源を、ヒーターモジュールと共に使用することができる。DC/DC電圧コンバータは、電源によって提供される出力または供給電圧を、ヒーターモジュールによって要求される入力電圧に変換して、ヒーターモジュールが正しく動作できるようにすることができる。これにより、異なる供給電圧を有する可能性のある装置の範囲において、同じヒーターモジュールを使用することが可能になる。これにより、製造の複雑さが軽減され、各装置のヒーターモジュールへの給電に使用される特定の各電池用に特注のヒーターモジュールを設計する必要がなくなる。
【0012】
DC/DC電圧コンバータを使用する別の利点は、一定の入力電圧をヒーターモジュールに提供することによって、ヒーターモジュールの動作安定性を改善するのに役立つことである。ヒーターモジュールのいくつかの構成要素および動作パラメータは電圧に依存し、異なる電池の化学的性質を使用すると、ヒーターモジュールの特定の構成要素が、その動作範囲外の異なる電圧を経験する結果となる可能性がある。さらに、電池が使用され、その電荷が徐々に消耗すると、電池の出力または供給電圧が減少し得る。電池の放電電圧は動作範囲全体にわたって比較的一定に保たれているが、電圧に敏感な構成要素およびシステムに影響を及ぼす可能性のある変動がある可能性がある。したがって、DC/DC電圧コンバータは、一貫した動作のために、ヒーターモジュールに供給される電圧を一定に保つのに役立つ。
【0013】
DC/DC電圧コンバータを使用するさらなる利点は、例えば、センサー、アナログデジタル変換器、および電力などの特性の測定に使用するための電圧基準として使用することができる、一定の出力電圧を提供することである。例えば、加熱モジュール入力電圧が一定かつ既知である場合、ヒーターモジュールが引き出している電力を計算するために電流のみを決定する必要がある。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「誘導加熱装置」は、誘導加熱を使用してエアロゾル形成基体を加熱するエアロゾル発生装置を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、より大きな装置または電気回路の部分またはサブセットを指す。モジュールは、グループ化され、または一緒に接続され、装置の他の部分または他のモジュールとの相互接続のために配置される、関連する構成要素の集合を含んでもよい。モジュールは、別個のプリント回路基板などの独立した部品であってもよく、またはより大きな構成要素もしくは回路、例えば、より大きなプリント回路基板の一部であってもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、磁気エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を含む要素を指す。サセプタが、インダクタによって発生された変動する磁界などの変動する磁界に配置されると、サセプタは加熱される。サセプタの加熱は、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも一つの結果であり得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「遠位」および「近位」は、ユーザーに対する構成要素の相対的位置を記述するために使用される。用語「遠位」は、ユーザーからより遠い、または離れた位置を指し、用語「近位」は、ユーザーに近い位置またはユーザーに向かった位置を指す。
【0018】
DC/DC電圧コンバータは、ヒーターモジュールの一部であってもよい。これにより、誘導加熱装置内の別個の構成要素の数が減少し、またヒーターモジュールに接続された供給電圧が、正しい一定のヒーターモジュール入力電圧に変換されるため、ヒーターモジュールが常に正しい入力電圧を受け取ることを保証する。他の実施例では、DC/DC電圧コンバータは、別個のモジュールまたはユニットであってもよい。
【0019】
ヒーターモジュール入力電圧は、1ボルト~9ボルト、好ましくは2ボルト~6ボルト、より好ましくは2.5ボルト~5.5ボルトの範囲内でありうる。ヒーターモジュール入力電圧は、2.95ボルトでありうる。
【0020】
ヒーターモジュール入力電圧は、DC供給電圧よりも低くてもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップダウン電圧コンバータであってもよい。例えば、DC/DC電圧コンバータは、バックコンバータであってもよい。ヒーターモジュール入力電圧は、DC供給電圧より大きくてもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップアップ電圧コンバータであってもよい。例えば、DC/DC電圧コンバータは、ブーストコンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップアップまたはステップダウン電圧コンバータであってもよい。例えば、DC/DC電圧コンバータは、バックブーストコンバータであってもよい。
【0021】
DC/DC電圧コンバータは、DC供給電圧の範囲を受け入れるように構成されてもよい。DC/DC電圧コンバータは、1ボルト~9ボルト、好ましくは2ボルト~6ボルト、より好ましくは2.4ボルト~5.5ボルトの範囲内のDC供給電圧を受け入れるように構成されうる。DC/DC電圧コンバータは、一定のヒーターモジュール入力電圧を出力するように構成されてもよい。
【0022】
DC/DC電圧コンバータは、スイッチモード電圧コンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータの出力電圧は、DC/DC電圧コンバータによって発生または受信されるスイッチング信号の負荷サイクルに関連しうる。負荷サイクルを有するスイッチング信号を使用することで、DC/DC電圧コンバータおよびヒーターモジュール入力電圧からの出力電圧を制御する簡単な方法を提供する。
【0023】
DC/DC電圧コンバータは、第一のスイッチング素子を含んでもよい。第一のスイッチング素子は、スイッチング信号の第一の部分の間に起動されるように構成されてもよい。第一のスイッチング素子は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)であってもよい。第一のスイッチング素子は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)などの、電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。好ましくは、第一のスイッチング素子は、MOSFETである。MOSFETは、起動時または電源投入時の抵抗が低く、電力の損失を低減するのに役立つ。
【0024】
DC/DC電圧コンバータは、第二のスイッチング素子を含んでもよい。第二のスイッチング素子は、スイッチング信号の第二の部分の間に起動されるように構成されてもよい。第二のスイッチング素子は、ダイオードであってもよい。第二のスイッチング素子は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)であってもよい。第二のスイッチング素子は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)などの、電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。好ましくは、第二のスイッチング素子は、MOSMである。
【0025】
第一のスイッチング素子が起動された時に、第二のスイッチング素子が停止されてもよく、第二のスイッチング素子が起動された時に、第一のスイッチング素子が停止されてもよい。これにより、DC供給電圧と電気接地との間の望ましくない短絡を防止するのに役立つ。
【0026】
DC/DC電圧コンバータは、スイッチング信号を発生するためのコントローラを備えてもよい。コントローラは、第一のスイッチング素子の第一のスイッチング信号を発生するように構成されてもよい。コントローラは、第二のスイッチング素子の第二のスイッチング信号を発生するように構成されてもよい。第二のスイッチング信号は、第一のスイッチング信号の反転であってもよい。第二のスイッチング信号の反転は、第二のスイッチング素子が第一のスイッチング素子と同時に起動またはオンになることを防止する。上述のように、これは、DC供給電圧と電気接地との間の短絡を防止するのに役立つ。コントローラは、第二のスイッチング信号を反転するためのロジックを備えてもよい。
【0027】
第一および第二のスイッチング素子は、ハーフブリッジ配置で配置されてもよい。ハーフブリッジ配置により、第一および第二のスイッチング素子の各々を同じ負荷に交互に接続することが可能になる。
【0028】
DC/DC電圧コンバータは、DC/DC電圧コンバータの出力電圧を基準電圧と比較するように構成されたコンパレータを含み得る。コンパレータは、比較に基づいてスイッチング信号の負荷サイクルを調整するための出力信号を発生するように構成されうる。これにより、負荷サイクルを増加または減少させて、出力電圧を所定の電圧、例えば、ヒーターモジュール入力電圧に補正することができる。コンパレータからの出力信号は、DC/DC電圧コンバータのコントローラに送信されて、負荷サイクルを調整してもよい。
【0029】
DC/DC電圧コンバータのコントローラ、コンパレータ、および第一および第二のスイッチング素子は、集積回路として組み合わせられてもよい。この配置は、DC/DC電圧コンバータの実装に必要な追加の構成要素が、インダクタとコンデンサのみであることを意味する。これは、部品数および必要なプリント回路基板領域、したがって誘導加熱装置の全体的なサイズを低減するのに役立つ。
【0030】
誘導加熱装置は、DC電源またはDC/DC電圧コンバータによってヒーターモジュールに供給される測定された電流に基づいて、サセプタの抵抗またはコンダクタンスを決定することによって、サセプタの温度を決定するように構成されうる。これは、サセプタがヒーターモジュール回路の一部ではないため、他の方法では測定が困難であるサセプタの温度を決定するための便利で正確な方法であることが見出されている。さらに、サセプタがエアロゾル形成基体に埋め込まれており、誘導加熱装置ではなくエアロゾル発生物品の一部でありうるため、温度センサーをサセプタに十分近接して配置することは困難である。DC電源またはDC/DC電圧コンバータによってヒーターモジュールに供給される測定された電流に基づいて、サセプタの抵抗またはコンダクタンスを決定することにより、専用の温度センサーが不要になる。
【0031】
誘導加熱装置は、DC電源またはDC/DC電圧コンバータによって供給される電流を測定するためのDC電流センサーを備えてもよい。電流センサーは、抵抗器を含んでもよい。抵抗器は、インダクタを駆動および給電するための回路と直列に配置されてもよい。
【0032】
誘導加熱装置は、DC電源またはDC/DC電圧コンバータによって供給されるDC電圧を測定するためのDC電圧センサーを含み得る。DC電圧センサーは、分圧器または分圧器を含み得る。分圧器は二つの抵抗器を備え得る。二つの抵抗器のそれぞれは、等しい値を有してもよい。
【0033】
前述のインダクタは、第一のインダクタを備えてもよく、誘導加熱装置は、第二のインダクタを備えてもよい。第二のインダクタは、第一のインダクタの駆動回路への入力に配置されてもよい。第二のインダクタは、トランジスタと直列に接続されてもよい。第二のインダクタは、無線周波数チョークを含んでもよい。
【0034】
誘導加熱装置は、サセプタの決定された温度が所定の閾値を超えるか、またはそれと等しい時に、AC電圧の発生を中断するか、またはオフにするように構成されうる。誘導加熱装置は、サセプタの決定された温度が所定の閾値よりも低い時に、AC電圧の発生を起動するか、またはオンにするように構成されうる。これにより、サセプタの温度を制御するための単純なオン/オフコントローラが提供される。
【0035】
DC電源は、DC供給電圧およびDC電流を供給するように構成される。DC電源は、適切な任意のDC電源としうる。例えば、DC電源は、単回使用電池または再充電可能電池としうる。実施例によっては、DC電源はリチウムイオン電池を含み得る。例えば、DC電源は、リチウムポリマー電池、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池、酸化リチウムマンガン(LiMn2O4またはLi2MnO3)電池、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト(LiNiMnCoO2またはNMC)電池、または酸化チタン酸リチウム(LTO)電池を含んでもよい。他の実施例では、DC電源は、ニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池を含んでもよい。実施例によっては、DC電源は、一つまたは複数のコンデンサ、スーパーコンデンサまたはハイブリッドコンデンサを備えうる。DC電源は、一つまたは複数のリチウムイオンハイブリッドコンデンサを含んでもよい。
【0036】
DC電源は一回以上のユーザー動作のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は、従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分間の倍数の時間にわたるエアロゾル形成基体の連続的な加熱を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は、所定の回数の吸煙、または誘導加熱装置の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の装置の使用回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0037】
DC供給電圧は、約1ボルト~約9ボルト、好ましくは約2ボルト~約6ボルト、より好ましくは約2.4ボルト~約5.5ボルトの範囲内であってもよい。DC供給電圧は、約3.2ボルトまたは約3.6ボルトまたは約4.2ボルトとしうる。一実施例では、DC電源は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲内のDC供給電圧、および約1アンペア~約10アンペアの範囲内のDC供給電流(約2.5ワット~約45ワットの範囲内のDC電源に対応)を有する。
【0038】
誘導加熱装置は、インダクタまたはDC/AC電圧コンバータを駆動するための駆動回路を含んでもよい。駆動回路は、トランジスタを備えてもよい。駆動回路は、スイッチング信号を受信し、スイッチング信号に基づいてDC/AC電圧コンバータを駆動するように構成されうる。
【0039】
DC/AC電圧コンバータは、インダクタを含んでもよい。これにより、ヒーターモジュールに必要な構成要素の数を減らすことに役立つ。
【0040】
DC/ACコンバータは、高周波で動作するように構成されうる。本明細書で使用されると、「高周波」という用語は、約1メガヘルツ(MHz)~約30メガヘルツ(MHz)、約1メガヘルツ(MHz)~約10MHz(約1MHz~約10MHzの範囲を含む)、および約5メガヘルツ(MHz)~約7メガヘルツ(MHz)(約5MHz~約7MHzの範囲を含む)の範囲の周波数を記述するために使用される。
【0041】
DC/AC電圧コンバータは、LC(インダクタコンデンサ)負荷ネットワークを備えうる。LC負荷ネットワークは、低オーム負荷で動作するように構成されうる。LC負荷ネットワークは、インダクタと、インダクタに直列に接続されたコンデンサを含み得る。LC負荷ネットワークは、シャントコンデンサを備えうる。コンデンサは、インダクタのオーム抵抗を低減させるように調整または構成され得る。直列に接続されたコンデンサは、複数のコンデンサを含んでもよい。シャントコンデンサは、複数のコンデンサを含んでもよい。
【0042】
DC/AC電圧コンバータは、インダクタおよび直列コンデンサを含む共振器を備えてもよい。共振器は、所定の範囲の周波数のみがDC/AC電圧コンバータを通過することを可能にするバンドパスフィルタとして作用し得る。所定の範囲の周波数は、誘導加熱装置の駆動回路に提供されるスイッチング信号の周波数を含みうる。
【0043】
ヒーターモジュールは、インダクタに給電するための電力増幅器を備えてもよい。電力増幅器は、クラスE電力増幅器を備えてもよい。クラスE電力増幅器は、他のクラスの電力増幅器と比較して非常に高い効率を有し、単一のスイッチング素子またはトランジスタのみを必要とする。
【0044】
インダクタはコイルを含んでもよい。コイルは、らせん状に巻かれた円筒形のインダクタコイルとしうる。実施例によっては、インダクタコイルは、楕円形形状を有してもよく、約0.15cm3~約1.10cm3の範囲の内部容積を画定してもよい。例えば、らせん状に巻かれた円筒形のインダクタコイルの内径は約5mm~約10mm、または約7mmとすることができ、らせん状に巻かれた円筒形のインダクタコイルの長さは約8mm~約14mmとしうる。インダクタコイルのワイヤーの直径または厚さは、円形断面のコイルワイヤーまたは平坦な長方形の断面のコイルワイヤーのどちらが使用されるかに応じて約0.5mm~約1mmとしうる。インダクタコイルは、エアロゾル発生物品を受容するための誘導加熱装置のくぼみの内部表面上にまたは隣接して位置付けられてもよい。コイルはくぼみを囲みうる。インダクタは、一つのコイルまたは二つ以上のコイルを含みうる。
【0045】
誘導加熱装置は、サセプタを含み得る。サセプタは、任意の適切な材料を含んでもよい。サセプタは、エアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出するのに十分な温度に誘導加熱することができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは、摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。好ましいサセプタは、導電性材料で形成されてもよい。サセプタに好適な材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられる。好ましいサセプタは、金属または炭素を含む。一部の好ましいサセプタは、例えば、フェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む。いくつかの好ましいサセプタは、強磁性材料からなる。好適なサセプタはアルミニウムを含んでよい。好適なサセプタはアルミニウムからなり得る。サセプタは、強磁性または常磁性材料の少なくとも約5パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約90パーセントを含んでいてもよい。
【0046】
誘導加熱装置のサセプタは、任意の適切な形態を有してもよい。例えば、サセプタは、細長い場合がある。サセプタは、任意の好適な横断面を有してもよい。例えば、サセプタは、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形横断面を有してもよい。サセプタは、管状であってもよい。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態では、サセプタは、支持体上に提供されるサセプタ層を含んでいてもよい。サセプタを変動する磁界に配設すると、サセプタ表面に近接した渦電流が誘導され、表皮効果と呼ばれる効果がもたらされる。したがって、サセプタが変動する磁界の存在下で効果的に加熱されることを確実にしながら、サセプタ材料の比較的薄い層からサセプタを形成することができる。サセプタを支持体および比較的薄いサセプタ層から作製することは、シンプルで安価かつ頑強であるエアロゾル発生物品の製造を容易にし得る。
【0048】
サセプタが管状サセプタである場合、管状サセプタは、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみを少なくとも部分的に画定してもよい。サセプタが支持体を備える場合、支持体は、管状の支持体であってもよく、またサセプタ層は、管状の支持体の内部表面上に提供されてもよい。サセプタ層を支持体の内部表面上に提供することにより、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみ内で、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体に隣接してサセプタ層を位置付けてもよく、サセプタ層とエアロゾル形成基体との間の熱伝達を改善する。
【0049】
支持体は、誘導加熱の影響を受けやすくない材料から形成されてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面の加熱を低減することができ、ここで支持体の表面は、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面を形成する。
【0050】
支持体は、電気絶縁材料を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「電気絶縁性」は、摂氏20度で少なくとも1×104オームメートル(Ωm)の電気抵抗率を有する材料を指す。
【0051】
断熱性材料から支持体を形成して、サセプタ層と、サセプタを囲むインダクタコイルなどの誘導ヒーター組立品の他の構成要素との間に、断熱性バリアを提供してもよい。有利なことに、これにより、サセプタと誘導加熱装置の他の構成要素との間の熱伝達を低減することができる。
【0052】
断熱性材料はまた、レーザーフラッシュ法を使用して測定した場合、約0.01平方センチメートル毎秒(cm2/s)以下のバルク熱拡散率を有してもよい。このような熱拡散率を有する支持体を提供することにより、高い熱慣性を有する支持体をもたらし得、これは、サセプタ層と支持体との間の熱伝達を低減し、支持体の温度の変動を低減し得る。
【0053】
サセプタは、任意の適切な寸法を有してもよい。サセプタは、約5ミリメートル~約15ミリメートル、例えば、約6ミリメートル~約12ミリメートル、または約8ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。サセプタは、約1ミリメートル~約8ミリメートル、例えば、約3ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有してもよい。サセプタは、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルの厚さを有してもよい。サセプタが一定の断面、例えば円形断面を有する場合、サセプタは、約1ミリメートル~約5ミリメートルの好ましい幅または直径を有してもよい。
【0054】
誘導加熱装置は、少なくとも一つの外部発熱体を含んでもよい。少なくとも一つの外部発熱体は、サセプタを備えてもよい。本明細書で使用される場合、用語「外部発熱体」は、エアロゾル形成物品または基体の外表面を加熱するように構成された発熱体を指す。少なくとも一つの外部発熱体は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみを少なくとも部分的に囲んでもよい。
【0055】
誘導加熱装置は、少なくとも一つの内部発熱体を備えてもよい。内部発熱体は、サセプタを備えてもよい。本明細書で使用される場合、用語「内部発熱体」は、エアロゾル形成基体内に挿入されるように構成される発熱体を指す。内部発熱体は、ブレード、ピン、および円錐の形態であってもよい。少なくとも一つの内部発熱体は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみの中へと延在してもよい。
【0056】
一部の実施形態では、誘導加熱装置は、少なくとも一つの内部発熱体と、少なくとも一つの外部発熱体とを備える。
【0057】
誘導加熱装置は、上述のサセプタのうちの一つまたは複数を含み得る。
【0058】
誘導加熱装置は、装置ハウジングを備えてもよい。装置ハウジングは、エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみを少なくとも部分的に画定してもよい。エアロゾル発生物品またはエアロゾル形成基体を受容するためのくぼみは、装置の近位端にあることが好ましい
【0059】
装置ハウジングは細長くてもよい。装置ハウジングは、円筒状の形状であることが好ましい。装置ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。好適な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つまたは複数を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に好適な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0060】
誘導加熱装置は、ポータブルであることが好ましい。誘導加熱装置は、従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを有しうる。誘導加熱装置は、約30ミリメートル~約150ミリメートルの全長を有してもよい。誘導加熱装置は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの外径を有してもよい。誘導加熱装置は、手持ち式の装置であってもよい。言い換えれば、誘導加熱装置は、ユーザーの手に保持されるようにサイズ設定および形状設定され得る。
【0061】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つのインダクタコイルに接続された制御回路またはコントローラと、電源とを備えてもよい。制御回路は、電源から少なくとも一つのインダクタコイルへの電力の供給を制御するように構成されてもよい。制御回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路であってもよい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路は、少なくとも一つのインダクタコイルへの電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流は、エアロゾル発生装置の起動後、少なくとも一つのインダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的(毎回の吸煙ごとなど)に供給されてもよい。
【0062】
制御回路は、第一のマイクロコントローラを備えてもよく、ヒーターモジュールは、第二のマイクロコントローラを備えてもよい。第二のマイクロコントローラは、ヒーターモジュールの一部であってもよく、ヒーターモジュール、特に、インダクタへの電力供給を制御することに特化してもよい。第二のマイクロコントローラは、第一のマイクロコントローラ202に接続されてもよい。第二のマイクロコントローラは、第一のマイクロコントローラから受信した信号に応答して、インダクタへの電力供給を制御してもよい。独自のマイクロコントローラを有するヒーターモジュールの利点は、加熱プロセスを制御するための独自のファームウェアでプログラムすることができ、第一のマイクロコントローラなどの他の構成要素における加熱に関連するファームウェアを含める必要がないため、ヒーターモジュールを異なる装置で再利用可能な状態にするのに役立つことである。これにより、ヒーターモジュールを、様々な異なる装置に組み込むことができるスタンドアロンユニットまたはモジュールにすることができる。
【0063】
誘導加熱装置は、装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えば、エアロゾル発生物品の加熱を開始するボタンを含んでもよい。誘導加熱装置は、装置またはエアロゾル形成基体の状態を示すディスプレイを含み得る。誘導加熱装置は、ユーザーがエアロゾル発生物品を吸煙した時を検出するためのセンサーを備えてもよい。
【0064】
本開示の誘導加熱装置は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成される。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。
【0065】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでいてもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。
【0066】
エアロゾル形成基体は液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、固体成分および液体成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、固体であることが好ましい。
【0067】
エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起または波形を有するシートを意味する。
【0068】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでいてもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度において熱分解に対して実質的に耐性のある任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物である。好適なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)を含み得る。エアロゾル形成体は、グリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5重量パーセント以上(例えば、乾燥質量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセント)のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでいてもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部であってもよい。本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、誘導加熱装置内で加熱された時に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を加熱するための誘導加熱装置とは分離されており、それと組み合わされるように構成されている。
【0070】
エアロゾル発生物品は、口側の端(すなわち、近位端であり、それを通してエアロゾルがエアロゾル発生物品を出て、ユーザーに送達される)と、遠位端との二つの端部を含むロッドの形態であってもよい。使用において、ユーザーはエアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾルを吸入するために口側の端で吸ってもよい。口側端は遠位端の下流にある。遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよく、口側端の上流にある。
【0071】
用語「上流」および「下流」は本明細書で使用される時、ユーザーがそれらの使用の間、エアロゾル発生物品を吸い込む方向に関してエアロゾル発生物品の要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。
【0072】
エアロゾル発生物品は、任意の好適な形態を有し得る。エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。
【0073】
一部の好ましい実施例では、エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有し得る。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、約45ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0074】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生セグメントとして提供されてもよい。エアロゾル発生セグメントは、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有してもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生セグメントは、約10ミリメートル、または12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0075】
エアロゾル発生セグメントは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。エアロゾル発生セグメントの外径は、約5ミリメートル~約12ミリメートルであり得る。一実施形態において、エアロゾル発生セグメントは、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0076】
エアロゾル発生物品はサセプタを備えてもよい。サセプタはエアロゾル形成基体と熱的に近接して配置され得る。したがって、サセプタの温度が高くなると、エアロゾル形成基体は加熱され、エアロゾルが形成される。サセプタは、例えばエアロゾル形成基体内で、エアロゾル形成基体と物理的に直接接触してまたは密着して配列されてもよい。
【0077】
サセプタは、任意の適切な材料を含んでもよい。サセプタは、エアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出するのに十分な温度に誘導加熱することができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは、摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。好ましいサセプタは、導電性材料で形成されてもよい。サセプタに好適な材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられる。好ましいサセプタは、金属または炭素を含む。一部の好ましいサセプタは、例えば、フェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む。いくつかの好ましいサセプタは、強磁性材料からなる。好適なサセプタはアルミニウムを含んでよい。好適なサセプタはアルミニウムからなり得る。サセプタは、強磁性または常磁性材料の少なくとも約5パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約90パーセントを含んでいてもよい。
【0078】
サセプタは、ピン、ロッド、またはブレードの形態でありうる。サセプタの長さは、約5mm~約15mm、約6mm~約12mm、または約8mm~約10mmでありうる。サセプタの幅は、約1mm~6mmであってもよく、厚さは、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルまたは約10~約100マイクロメートルであってもよい。サセプタが一定の断面(例えば、円形断面)を有する場合、幅または直径は約1mm~5mmとしうる。
【0079】
サセプタは、その幅寸法またはその厚さ寸法よりも大きい、例えばその幅寸法またはその厚さ寸法の二倍より大きい長さ寸法を有しうる。こうして、サセプタは細長いサセプタとして描写されうる。サセプタはロッド内に実質的に長軸方向に配列されうる。これは、細長いサセプタの長さ寸法が、ロッドの長軸方向とほぼ平行に、例えばロッドの長軸方向に平行から±10度以内に配列されることを意味する。細長いサセプタ素子はロッド内の半径方向に中心の位置に位置付けられてもよく、ロッドの長軸方向に沿って延在してもよい。
【0080】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は単一のサセプタを含みうる。他の実施形態では、エアロゾル発生物品は二つ以上のサセプタを備えうる。エアロゾル発生物品は二つ以上の細長いサセプタを備えうる。こうして、加熱はエアロゾル形成基体の異なる部分で効果的に達成されうる。
【0081】
一部の好ましい実施形態では、サセプタは第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含む。第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と熱的に近接して配置される。第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と密接に物理的に接触して配置されてもよい。
【0082】
エアロゾル発生物品は、マウスピースフィルターを備えうる。マウスピースフィルターは、エアロゾル発生物品の近位端に位置してもよい。マウスピースフィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。実施例によっては、マウスピースフィルターは、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。一部の好ましい実施例では、フィルタープラグは、約7ミリメートルの長さを有してもよい。
【0083】
エアロゾル発生物品は、一つ以上の中空の管を備えてもよい。エアロゾル発生物品は二つの中空の管を備えてもよい。中空管は、セルロースアセテートから作製されてもよい。
【0084】
エアロゾル発生物品は、端部プラグを備えてもよい。端部プラグは、エアロゾル発生物品の遠位端に配置されてもよい。端部プラグは、例えば使用後など、いつでもユーザーが加熱されたサセプタに接触するのを防ぐのに役立つ。
【0085】
エアロゾル発生物品は、外側ラッパーを含んでいてもよい。外側ラッパーは、紙から形成され得る。外側ラッパーは、エアロゾル発生セグメントにおいて気体透過性であってもよい。これは、エアロゾル形成基体から発生したエアロゾルの特徴を改善する場合がある。
【0086】
本開示の実施例によると、第一の誘導加熱装置を含む誘導加熱システムが提供されている。第一の誘導加熱装置は、第一のDC供給電圧を提供するための第一のDC電源を備えてもよい。第一の誘導加熱装置は、第一のヒーターモジュールを備えてもよい。第一のヘイターモジュールは、誘導加熱を提供するためのインダクタを備えてもよい。第一のヒーターモジュールは、第一のヒーターモジュール入力電圧を有してもよい。第一のヒーターモジュール入力電圧は、第一のDC供給電圧と実質的に等しくてもよい。誘導加熱システムは、第二の誘導加熱装置を備えてもよい。第二の誘導加熱装置は、第二のDC供給電圧を提供するための第二のDC電源を備えてもよい。第二のDC電源は、第一のDC供給電圧とは異なってもよい。第二の誘導加熱装置は、第二のヒーターモジュールを備えてもよい。第二のヒーターモジュールは、誘導加熱を提供するためのインダクタを備えてもよい。第二のヒーターモジュールは、第一のヒーターモジュール入力電圧を有してもよい。第二の誘導加熱装置は、第二のDC供給電圧を第一のヒーターモジュール入力電圧に変換するためのDC/DC電圧コンバータを備えてもよい。
【0087】
本開示の実施例によれば、第一の誘導加熱装置であって、第一のDC供給電圧を提供するための第一のDC電源と、誘導加熱を提供するためのインダクタを含む第一のヒーターモジュールであって、第一のヒーターモジュールが、第一のDC供給電圧と実質的に等しい第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第一のヒーターモジュールとを備える、第一の誘導加熱装置と、第二の誘導加熱装置であって、第一のDC供給電圧とは異なる第二のDC供給電圧を提供するための第二のDC電源と、誘導加熱を提供するための誘導インダクタを含む第二のヒーターモジュールであって、ヒーターモジュールが、第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第二のヒーターモジュールと、第二のDC供給電圧を第一のヒーターモジュール入力電圧に変換するためのDC/DC電圧コンバータと、を備える、第二の誘導加熱装置とを備える、誘導加熱システムが提供される。
【0088】
第一のヒーターモジュール入力電圧は、第二のDC供給電圧よりも小さくてもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップダウン電圧コンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータは、バックコンバータであってもよい。第一のヒーターモジュール入力電圧は、第二のDC供給電圧より大きくてもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップアップ電圧コンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータは、ブーストコンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータは、ステップアップまたはステップダウン電圧コンバータであってもよい。DC/DC電圧コンバータは、バックブーストコンバータであってもよい。
【0089】
誘導加熱システムの第一および第二の誘導加熱装置は、上述の誘導加熱装置およびヒーターモジュールのいずれかを含んでもよい。
【0090】
上記の実施例のうちの一つに関して記述される特徴は、本開示の他の実施例に等しく適用されてもよい。
【0091】
本発明は特許請求の範囲に定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0092】
実施例1:
サセプタを使用してエアロゾル発生基体を加熱するための誘導加熱装置であって、誘導加熱装置が、DC供給電圧を提供するためのDC電源と、サセプタに誘導結合するように配置されたインダクタを備えるヒーターモジュールとを備え、ヒーターモジュールが、ヒーターモジュール入力電圧を有し、誘導加熱装置が、DC供給電圧をヒーターモジュール入力電圧に変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータをさらに備える、誘導加熱装置。
実施例2:
ヒーターモジュールが、インダクタを含むか、またはインダクタに接続され、ヒーターモジュール入力電圧を、インダクタを駆動するためのAC電圧に変換するように構成されたDC/AC電圧コンバータをさらに備える、実施例Ex1に記載の誘導加熱装置。
実施例3:
DC/DC電圧コンバータがヒーターモジュールの一部である、実施例Ex1または2に記載の誘導加熱装置。
実施例4:
ヒーターモジュール入力電圧がDC供給電圧よりも小さく、DC/DC電圧コンバータがステップダウン電圧コンバータである、実施例Ex1~Ex3のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例5:
DC/DC電圧コンバータが、DC供給電圧の範囲を受け入れ、一定のヒーターモジュール入力電圧を出力するように構成される、実施例Ex1~Ex4のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例6:
DC/DC電圧コンバータの出力電圧が、DC/DC電圧コンバータによって発生または受信されるスイッチング信号の負荷サイクルに関連する、実施例Ex1~Ex5のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例7:
DC/DC電圧コンバータが、スイッチング信号の第一の部分の間に起動されるように構成された第一のスイッチング素子を備える、実施例Ex1~Ex6のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例8:
DC/DC電圧コンバータが、スイッチング信号の第二の部分の間に起動されるように構成された第二のスイッチング素子を含む、実施例Ex7に記載の誘導加熱装置。
実施例9:
第一のスイッチング素子が起動された時に、第二のスイッチング素子が停止され、第二のスイッチング素子が起動された時に、第一のスイッチング素子が停止される、実施例Ex8に記載の誘導加熱装置。
実施例10:
第一および第二のスイッチング素子が、ハーフブリッジ配置で配置される、実施例Ex8またはEx9に記載の誘導加熱装置。
実施例11:
DC/DC電圧コンバータが、DC/DC電圧コンバータの出力電圧を基準電圧と比較し、その比較に基づいてスイッチング信号の負荷サイクルを調整するための出力信号を発生するように構成されたコンパレータを含む、実施例Ex1~Ex10のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例12:
DC/DC電圧コンバータが、スイッチング信号に基づいて第一および第二のスイッチング素子を駆動するためのコンバータドライバを含む、実施例Ex8~Ex11のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例13:
誘導加熱装置が、DC電源またはDC/DC電圧コンバータによってヒーターモジュールに供給される測定された電流に基づいて、サセプタの抵抗またはコンダクタンスを決定することによって、サセプタの温度を決定するように構成される、実施例Ex1~Ex12のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例14:
DC電源によって供給される電流を測定するためのDC電流センサーをさらに備える、実施例Ex13に記載の誘導加熱装置。
実施例15:
DC電流センサーが抵抗器を含む、実施例Ex14に記載の誘導加熱装置。
実施例16:
DC電源のDC電圧を測定するためのDC電圧センサーをさらに含む、実施例Ex13またはEx14に記載の誘導加熱装置。
実施例17:
DC電圧センサーが分圧器を含む、実施例Ex13~Ex16のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例18:
DC/AC電圧コンバータが、低オーム負荷で動作するように構成されたLC負荷ネットワークを含む、実施例Ex1~Ex17のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例19:
LC負荷ネットワークが、インダクタおよびインダクタに直列接続されたコンデンサを含む、実施例Ex18に記載の誘導加熱装置。
実施例20:
LC負荷ネットワークが、シャントコンデンサを含む、実施例Ex18またはEx19に記載の誘導加熱装置。
実施例21:
直列コンデンサまたはシャントコンデンサのうちの一つ以上が、インダクタのオーム抵抗を減少させるように調整または構成される、実施例Ex19またはEx20に記載の誘導加熱装置。
実施例22:
直列コンデンサが、複数のコンデンサを含む、実施例Ex19~Ex21のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例23:
シャントコンデンサが複数のコンデンサを含む、実施例Ex20~Ex22のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例24:
インダクタおよび直列コンデンサが、所定の範囲の周波数のみがDC/AC電圧コンバータを通過できるようにバンドパスフィルタとして機能する共振器を形成する、実施例Ex19~Ex23のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例25:
所定の範囲の周波数が、DC/AC電圧コンバータに提供されるスイッチング信号の周波数を含む、実施例Ex24に記載の誘導加熱装置。
実施例26:
誘導加熱装置が、決定されたサセプタの温度が所定の閾値を超えるか、またはそれと等しい時に、AC電圧の発生を中断するように構成される、実施例Ex13~Ex25のいずれかに記載の誘導加熱装置。
実施例27:
第一のDC供給電圧を提供するための第一のDC電源と、誘導加熱を提供するためのインダクタを含む第一のヒーターモジュールとを備える、第一の誘導加熱装置であって、第一のヒーターモジュールが、第一のDC供給電圧と実質的に等しい第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第一の誘導加熱装置と、第一のDC供給電圧とは異なる第二のDC供給電圧を提供するための第二のDC電源と、誘導加熱を提供するためのインダクタを含む第二のヒーターモジュールであって、ヒーターモジュールが、第一のヒーターモジュール入力電圧を有する、第二のヒーターモジュールと、第二のDC供給電圧を第一のヒーターモジュール入力電圧に変換するためのDC/DC電圧コンバータと、備える、第二の誘導加熱装置とを備える、誘導加熱システム。
実施例28:
第一のヒーターモジュール入力電圧が、第二のDC供給電圧よりも小さく、DC/DC電圧コンバータがステップダウン電圧コンバータである、実施例Ex27に記載のシステム。
【0093】
ここで、図を参照しながら実施例を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は、本開示の実施例による誘導加熱装置の概略的な長軸方向断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の誘導加熱装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の誘導加熱装置で受容された
図2のエアロゾル発生物品を示す概略的な長軸方向断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施例による誘導加熱装置のための制御回路の概略ブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4の制御回路のヒーターモジュールの概略回路図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施例による誘導加熱装置で使用するためのDC/DC電圧コンバータの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1を参照すると、これは、ハウジング2、再充電可能リチウムイオン電池4、制御回路6、および誘導コイル8の形態のインダクタを含む誘導加熱装置1の概略的な長軸方向断面図を示す。この例では、電池は、約3.2ボルトの出力または供給電圧を有するリン酸鉄リチウム電池であるが、他のタイプの電池が使用され得ることは理解されるであろう。制御回路6は、電池4および誘導コイル8に接続され、電池4から誘導コイル8への電力供給を制御するように構成される。誘導加熱装置1のハウジング2の近位端は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するためのチャンバーまたはくぼみ10を有する(その一例が
図2に示される)。誘導コイル8は、チャンバー10を囲むハウジング2内に取り付けられる。
【0096】
図2は、
図1の誘導加熱装置1と共に使用するためのエアロゾル発生物品100を示す。エアロゾル発生物品100は、マウスピースフィルター102、第一の中空管104、第二の中空管106、エアロゾル形成基体108および端部プラグ110を備える。エアロゾル発生物品100の各構成要素は、実質的に円筒状の要素であり、それぞれが実質的に同じ直径を有する。構成要素は隣接して同軸に整列して連続的に配設され、外側ラッパー112によって囲まれて、円筒状のロッドを形成する。
【0097】
エアロゾル形成基体108は、ラッパーによって囲まれた、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含むたばこロッドまたはプラグである。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。導電性サセプタ114は、均質化されたたばこ材料と物理的に密接に接触して、エアロゾル形成基体108内に埋め込まれる。サセプタ114は、エアロゾル形成基体108の中央長軸方向軸の実質的に全長に沿って延在する。
【0098】
第一の中空管104および第二の中空管106、マウスピースフィルター102および端部プラグ110はすべて、セルロースアセテートから作製される。端部プラグ110は、エアロゾル発生物品100の遠位端116に配置され、マウスピースフィルター102は、エアロゾル発生物品100の近位端に配置される。端部プラグ110は、例えば、使用後など、いつでも加熱サセプタ114との接触を防止するために提供される。第一の中空管104は、空気が通気孔を通して引き込まれて、エアロゾルがユーザーの口の中に引き込まれる前に、エアロゾル形成基体から発生されるエアロゾルを希釈することができるように、管の厚さを通して形成される通気孔を有してもよい。
【0099】
図3は、
図1の誘導加熱装置1内に受容された、
図2のエアロゾル発生物品100を示す。エアロゾル発生物品100の遠位端116は、端部プラグ100がくぼみ10の閉端に当接するまで、誘導加熱装置1のくぼみ10に挿入される。この位置では、エアロゾル形成基体108は、サセプタ114が使用中に誘導コイルによって発生される変動する磁界に誘導結合され得るように、誘導コイル8内に配置される。エアロゾル発生物品100の遠位部分は、ユーザーが口唇の間にマウスピースフィルター102を受けることができるようにくぼみ10の外に延在する。
【0100】
使用中、ユーザーは、
図3に示すように、エアロゾル発生物品100を誘導加熱装置1のくぼみ10に挿入する。次にユーザーは、誘導加熱装置1を起動することによって、例えば、装置をオンにするスイッチを押すことによって、加熱サイクルを開始する。誘導加熱装置1は、制御回路6を介して電池4から誘導コイル8に電力を供給することによって誘導コイル8を起動する。制御回路6は、交流電流を誘導コイル8に流し、誘導コイル8に変動する磁界を発生させる。変動する磁気は、エアロゾル形成基体108内に位置するサセプタ114を貫通し、それを加熱させる。加熱サイクルの間、誘導コイル8は、物品中のサセプタ114を所定の温度、または温度プロファイルによる所定の温度の範囲に加熱する。加熱サイクルは、約6分間続きうる。サセプタ114からの熱は、エアロゾル形成基体108に伝達され、エアロゾル形成基体108から揮発性化合物を放出する。揮発性化合物は、第一の中空管104および第二の中空管106内の中空空間によって形成される、エアゾル化チャンバー内にエアロゾルを形成する。加熱サイクルの間、ユーザーは、エアロゾル発生物品100のマウスピースフィルター102を口唇の間に置いて、マウスピースフィルター102を吸煙または吸入する。発生されたエアロゾルは、マウスピースフィルター102を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0101】
図1、2、および3は概略であり、正確な縮尺ではないことに留意すべきである。明確にするために、図面は、特定の無関係な特徴を省略し、他の特徴のサイズまたは数を変更することによって簡略化されている。
【0102】
図4は、電池201に接続された誘導加熱装置のための制御回路200の例を示す概略ブロック図である。制御回路200は、第一のマイクロコントローラ202およびヒーターエンジンまたはヒーターモジュール204を含む。本実施例では、第一のマイクロコントローラ202は、他の電子構成要素およびヒーターモジュール204と一緒に、同じプリント回路基板(図示せず)上に取り付けられるが、当然のことながら、ヒーターモジュール204は、別個の専用プリント回路基板上に提供され得る。
【0103】
第一のマイクロコントローラ202は、誘導加熱装置の一般的な動作を制御するために提供され、これを可能にするために様々な他の電子構成要素に接続される。明確にするために、また図を簡略化するために、これらの様々な他の電子構成要素を
図4から省略した。例えば、こうした他の電子構成要素は、センサー、誘導加熱装置を起動するためのユーザーに情報を表示するためのLEDまたはLCD画面などのユーザーインターフェースおよびスイッチ、誘導加熱装置の電池を再充電するための外部装置および充電回路とのデータ接続を提供する手段を含みうる。
【0104】
制御回路200は、第二のマイクロコントローラ208を備え、その目的は、ヒーターモジュール204、特に、ヒーターモジュール204の誘導コイルに送達される電力を制御することであり、これは、エアロゾル発生物品が誘導加熱装置(
図3に示す)に受容される時に、エアロゾル発生物品においてサセプタに誘導結合される。明確にするために、第二のマイクロコントローラ208は、この例では別個の構成要素として示されているが、好ましくは、ヒーターモジュール204の一部であり、ヒーターモジュール204の制御専用である。この例では、誘導コイルはヒーターモジュール204に接続され、その一部である。第二のマイクロコントローラ208は、第一のマイクロコントローラ202に接続され、第一のマイクロコントローラ202から受信した信号に応答して誘導コイルへの電力供給を制御して、加熱サイクルを開始する。独自のマイクロコントローラを有するヒーターモジュールの利点は、加熱プロセスを制御するための独自のファームウェアでプログラムすることができ、第一のマイクロコントローラ202などの他の構成要素における加熱に関連するファームウェアを含める必要がないため、ヒーターモジュールを異なる装置で再利用可能な状態にするのに役立つことである。これにより、ヒーターモジュールを、様々な異なる装置に組み込むことができるスタンドアロンユニットまたはモジュールにすることができる。
【0105】
図5を参照して以下でより詳細に論じるように、ヒーターモジュール204は、エアロゾル発生物品においてサセプタを加熱するために誘導コイルを駆動するための駆動回路(
図4には示されていない)を含む。ヒーターモジュール204はまた、駆動回路に接続され、誘導コイルに交流電流を発生するために、駆動回路に供給されるDC電圧をAC電圧に変換するDC/AC電圧コンバータ(
図4に図示せず)を備え、これは次に、誘導コイルに変動または交番磁界を生成する。この例では、誘導コイルはDC/AC電圧コンバータの一部である。この配置により、必要な電気構成要素の数を減らすことに役立つ。しかしながら、当然のことながら、誘導コイルはDC/AC電圧コンバータとは分離し得るが、これはAC電圧を発生するために追加の構成要素を必要とする場合がある。DC/AC電圧コンバータはまた、低オーム負荷で動作するように構成された整合ネットワーク(
図4に図示せず)を備えてもよく、誘導コイルの抵抗損失およびサセプタの見かけのまたは等価の抵抗によって表される負荷にDC/ACコンバータの出力インピーダンスを整合させるのに役立つ。
【0106】
制御回路は、誘導加熱装置の電池からDC供給電圧Vsupplyを変換し、電圧コンバータ出力207で2.95ボルトの定電圧を出力するように構成される、DC/DC電圧コンバータ206をさらに含む。電圧コンバータ出力207は、ヒーターモジュール204に接続され、ヒーターモジュール204に電圧入力を提供する。したがって、DC/DC電圧コンバータ206からの出力電圧は、ヒーターモジュール入力電圧Vinを構成する。ヒーターモジュール入力電圧Vinは、ヒーターモジュール204に給電するために使用される。このヒーターモジュール入力電圧は、ヒーターモジュールの特定の構成要素に基づいて所定の加熱性能を提供するように選択された。異なるヒーターモジュール入力電圧を使用して、異なる加熱性能を提供し、DC/DC電圧コンバータ206が異なる電圧を出力するように構成できることが理解されよう。しかし、ヒーターモジュール入力電圧Vinが設定されると、ヒーターモジュール入力電圧Vinの大幅な変更により、誘導コイルに送達される電力が変化し、加熱性能の望ましくない変化につながる可能性がある。さらに、ヒーターモジュール204のいくつかの構成要素パラメータは、入力電圧に敏感であり、ヒーターモジュール入力電圧Vinを変更すると、不安定になることがある。したがって、DC/DC電圧コンバータ206は、一定のヒーターモジュール入力電圧Vinを提供することによって、変動性を低減し、安定性を向上するのに役立つ。明確にするために、DC/DC電圧コンバータ206は、この例では別個の構成要素として示されているが、ヒーターモジュール204の一部であってもよい。
【0107】
図4の制御回路200を、
図1の誘導加熱装置1と共に使用すると、3.2ボルトのリン酸鉄リチウム電池のDC供給電圧を、2.95ボルトの一定のヒーターモジュール入力電圧に変換することになる。この場合、DC/DC電圧コンバータ206は、一定のヒーターモジュール入力電圧を維持するのに役立つが、ヒーターモジュール204はDC/DC電圧コンバータ206がない場合でも、リン酸鉄リチウム電池からの3.2ボルトの供給が、2.95ボルトのヒーターモジュール入力電圧とあまり異ならないため、比較的正常に機能し得る。しかしながら、当然のことながら、ヒーターモジュール204は、異なる電池の化学的性質を有する電池を使用して、異なる誘導加熱装置で使用され得る。例えば、
図1の誘導加熱装置1は、4.2ボルトのDC供給電圧を有するリチウムニッケルマンガン酸化コバルト電池を使用し得る。この場合、DC/DC電圧コンバータ206は、ヒーターモジュール204がリン酸鉄リチウム電池を使用して動作するのと同様に、ヒーターモジュール204が動作することを可能にし、このより高いDC供給電圧を2.95ボルトに変換することによって、DC/DC電圧コンバータ206を使用せずに直接電圧を供給する。実際に、DC/DC電圧コンバータ206は、ある範囲のDC供給電圧を受け入れ、一定のヒーターモジュール入力電圧を出力するように構成される。したがって、ヒーターモジュール204のDC/DC電圧コンバータ206により、ある範囲のDC供給電圧を有する異なるタイプの電池を使用可能にする。
【0108】
制御回路200はまた、第二のマイクロコントローラ208などの論理回路に給電するための低電圧、例えば2.5ボルトを提供する、低ドロップアウト制御器などの電圧制御器210を備えてもよい。こうした低い論理電圧を使用する利点は、制御回路200の電力消費量を削減し、電池寿命を長期間維持するのに役立つことである。
【0109】
図5は、
図4の制御回路200の一部、特に
図4のヒーターモジュール204をより詳細に示す。
図5の回路は、
図4のDC/DC電圧コンバータ206からの出力電圧、すなわち、
図5の点Xで受け取られるヒーターモジュール入力電圧Vinによって給電される。ヒーターモジュール204は、誘導加熱コイルおよびDC/AC電圧コンバータを駆動するための駆動回路として機能する、トランジスタスイッチQ1および第一のインダクタL1を含む。トランジスタスイッチQ1は、電界効果トランジスタ(FET)、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含み、第一のインダクタL1は無線周波数チョークを含む。ヒーターモジュール入力電圧Vinは、抵抗器R3(以下でより詳細に説明)および第一のインダクタL1を介してトランジスタスイッチQ1に供給される。第一のインダクタL1は、回路に入ると入力Xに存在する可能性のある無線周波数を低減するのに役立つ。トランジスタスイッチQ1のゲートGは、
図4の第二のマイクロコントローラ208に接続され、第二のマイクロコントローラ208からスイッチング信号を受信して、トランジスタスイッチQ1をオンおよびオフにする。スイッチング信号は、実質的に50%の負荷サイクルを有する方形波である。
【0110】
ヒーターモジュール204は、第二のインダクタL2と直列に接続された第一のコンデンサC1をさらに備え、これは、エアロゾル発生物品(その例を
図2に示す)においてサセプタに誘導結合される誘導コイルに対応する。第二のコンデンサC2は、トランジスタスイッチQ1のドレインDと電気接地との間に接続され、シャントコンデンサとして機能する。第一のコンデンサC1、第二のインダクタL2および第二のコンデンサC2は、トランジスタスイッチQ1に渡されるスイッチング信号を、負荷抵抗R4にわたるAC電圧に変換するためのDC/AC電圧コンバータを画定する。抵抗R4は、DC/AC電圧コンバータに接続された全オーム負荷を表し、第二のインダクタL2のオーム抵抗R
coilとサセプタの見かけのオーム抵抗Raの和である。抵抗R4は、
図5の点線で示され、回路内の実際の抵抗器ではなく、第二のインダクタL2とサセプタとの等価抵抗であることを示す。抵抗R4は、サセプタの見かけのオーム抵抗Raと直列に接続された第二のインダクタL2のオーム抵抗R
coilと同等である。
【0111】
一緒に、第一のインダクタL1、トランジスタスイッチQ1、第一のコンデンサC1、第二のインダクタL2、および第二のコンデンサC2は、クラスE電力増幅器を形成する。クラスE電力増幅器の一般的な動作原理は公知であり、アメリカ無線中継連盟(ARRL)(米国コネティカット州ニューイントン)の隔月雑誌『QEX』2001年1月/2月号の9~20ページに掲載された、Nathan O.Sokal著の論文「Class-E RF Power Amplifiers」に詳細に説明されている。
【0112】
クラスE増幅器を使用して第二のインダクタL2に給電することは、非常に効率的であることがわかっている。これは、回路の構成により、トランジスタスイッチQ1に電圧がかかるのと同時に、トランジスタスイッチQ1を流れる電流は発生しないためである。したがって、トランジスタスイッチQ1では実質的にエネルギーが消費されず、代わりに実質的にすべての電力が負荷R4に供給される。さらに、第一のコンデンサC1および第二のインダクタL2は、スイッチング信号のスイッチング周波数に調整された直列共振回路を形成する。第一のコンデンサC1および第二のインダクタL2は、第二のインダクタL2の所望の動作周波数でのみ、AC電圧信号が負荷R4に伝達することを可能にするバンドパスフィルタとして機能する。これは、電力がスイッチング信号のスイッチング周波数でのみ負荷R4に伝達され、高調波周波数が著しく抑制されることを意味し、効率をさらに改善するのに役立つ。
【0113】
さらに、第二のインダクタL2およびコンデンサC1およびC2は、低オーム負荷で動作するよう構成されたLC負荷ネットワークまたは整合ネットワークを形成し、DC/ACコンバータの出力インピーダンスを負荷抵抗R4と整合させるのに役立つ。特に、コンデンサC1およびC2は、第二のインダクタL2のオーム負荷をサセプタに対して低減するように調整されており、したがって、インダクタL2と比較してより多くの熱がサセプタで放散されるが、これはエアロゾル形成基体を加熱するために望ましいものである。
【0114】
ヒーターモジュール204は、誘導加熱装置のための他の電力電子機器回路と比較して比較的少ない構成要素を備え、したがって、これらの構成要素を載置するために必要なプリント回路基板領域を小さく維持することができ、誘導加熱装置の全体寸法を減少させるのに役立つ。さらに、DC/AC変換に第二のインダクタL2を使用することで、構成要素の数がさらに減少する。
【0115】
誘導加熱装置の動作中、第二のインダクタL2は、エアロゾル発生物品のサセプタに渦電流を誘導する高周波の交番磁界を発生する(その例を
図2に示す)。エアロゾル発生物品のサセプタが動作中に加熱されると、サセプタの温度が上昇するにつれて、サセプタの見かけの抵抗Raが増加する。この見かけの抵抗Raの増加は、以下でより詳細に論じるように、ヒーターモジュールによって引き出されるDC電流の測定を通して、ヒーターモジュール204の制御回路によって遠隔的に検出される。ヒーターモジュール204によって定電圧で引き出されるDC電流は、サセプタの温度および見かけの抵抗Raが増加するにつれて減少する。
【0116】
図5の回路は、サセプタの見かけの抵抗RaまたはコンダクタンスGを決定するための二つのセンサー回路、電流センサー回路222および電圧センサー回路224をさらに含む。電流センサー回路222は、既知の値を有する抵抗器R3の形態の電流センサーを含む。抵抗器R3は、点X(ヒーターモジュール入力電圧Vinを受け取る)と第一のインダクタL1との間に直列に接続される。したがって、動作中、抵抗器R3を通過するDC電流I
DCは、ヒーターモジュール204によって引き出される電流と実質的に同じである。上述のように、
図5の回路は、
図4のDC/DC電圧コンバータ206からの出力電圧によって給電される。したがって、抵抗器R3を流れるDC電流I
DCは、DC/DC電圧コンバータによって供給されるDC電流と等しくなる。抵抗器R3の抵抗値は適切に低く、抵抗損失を低減するのに役立つ。
【0117】
電流センサー回路222は、二つの入力226aおよび226bを有する差動増幅器226をさらに備え、これらは抵抗器R3の両側に接続され、したがって抵抗器R3の両側から電圧信号を受信する。差動増幅器226は、その入力226aおよび226bで受けた電圧、すなわち、抵抗器R3にわたって電圧降下V
R3の差に比例する電圧を出力する出力226cを有する。差動増幅器226の出力226cは、マイクロコントローラ(MCU)のアナログデジタルコンバータ(ADC)入力、すなわち
図4の第二のマイクロコントローラ208に接続される。したがって、差動増幅器226の出力226cから受信した信号に基づいて、マイクロコントローラ208は、抵抗器R3にわたる電圧降下V
R3を決定することができる。抵抗器R3は既知の値を有するため、ヒーターモジュール204に供給される抵抗器R3を通るDC電流I
DCは、式(1)に示すように、オームの法則を単純に適用することによって第二のマイクロコントローラ208によって決定され得る。
I
DC=V
R3/R3(1)
【0118】
電圧センサー回路224は、
図5の点Xの間に直列に接続された第一の抵抗器R1および第二の抵抗器R2を備え、ここでヒーターモジュール入力電圧Vinが受け取られ、電気接地される。抵抗器R1およびR2は、分圧器または分圧器を形成し、抵抗器R1とR2との間の点Yにおける電圧がヒーターモジュール入力電圧Vinの半分と等しくなるように、等しい抵抗値を有する。点Yは、マイクロコントローラ(MCU)のアナログデジタルコンバータ(ADC)入力、すなわち
図4の第二のマイクロコントローラ208に接続され、点Yの電圧に対応する電圧信号を第二のマイクロコントローラ208に提供する。これにより、第二のマイクロコントローラ208は、単に点Yから受信した電圧信号を2倍にすることによって、ヒーターモジュール入力電圧Vinを決定することができる。当然のことながら、抵抗器R1およびR2には他の抵抗値を使用できるが、これはマイクロコントローラによって実行される電圧計算に対応する調整を伴う。抵抗器R1およびR2は、分圧器を流れる電流を減らすために比較的高い抵抗値を有する。
【0119】
上述のように、ヒーターモジュール入力電圧Vinは
図4のDC/DC電圧コンバータ206からの一定の電圧出力に対応するため、電圧センサー回路224はオプションである。したがって、ヒーターモジュール入力電圧Vinは既に既知であり、一定であり、したがって、第二のマイクロコントローラ208または第一のマイクロコントローラ202のメモリ内に値として記憶することができる。しかしながら、電圧センサー回路224を提供することにより、ヒーターモジュール入力電圧Vinが、メモリに記憶されたものと同一であることを確認することができる。さらに、電圧センサー回路224を提供することにより、実際には、ヒーターモジュール入力電圧Vinをメモリに格納する必要がなくなり、それによって第二のマイクロコントローラ208または第一のマイクロコントローラ202のプログラミングが簡素化される。
【0120】
上述のように、クラスE電力増幅器は、負荷抵抗R4に電力を伝達するための非常に効率的な手段であることが見出され、これは、上述のように、サセプタの見かけのオーム抵抗Ra(図示せず)と直列の第二のインダクタL2のオーム抵抗Rcoilに対応する。結果として、抵抗器R3を流れるDC電流IDCは、負荷抵抗R4に供給される電流を示す。さらに、抵抗器R3の抵抗値は比較的小さいため、抵抗器R3間の電圧降下は実質的に無視できる。したがって、負荷抵抗R4の値は、式(2)に示すように、オームの法則の別の単純な適用によって、第二のマイクロコントローラ208によって決定され得る。
R4=Vin/IDC(2)
【0121】
上の方程式(2)は、以下の方程式(3)に示すように、負荷抵抗R4のコンダクタンスGを与えるように書き直すことができる。
G=IDC/Vin(3)
【0122】
コンダクタンスGは、単に抵抗R4の逆数である。方程式(3)にしたがってコンダクタンスGを決定する利点は、電圧Vinが一定であるとき、コンダクタンスがDC電流I
DCを示すか、または直接関連することであるが、これは、Vinが
図4のDC/DC電圧コンバータ206によって提供されるためである。したがって、DC/DC電圧コンバータによって供給され、電流センサー回路222によって測定される電流は、サセプタのコンダクタンスを直接表示する。したがって、上記で決定されたDC電流I
DCの値は、コンダクタンスGまたは抵抗R4を実際に決定することなく、コンダクタンスGの値のプロキシとして第二のマイクロコントローラ208によって使用することができ、それによって、実行される必要がある計算が減少および簡素化される。
【0123】
第二のマイクロコントローラ208によって、式(4)に示すように、第二のインダクタL2のオーム抵抗Rcoilを負荷抵抗R4の値から減算することによって、サセプタの見かけのオーム抵抗Raを決定することができる。
Ra=R4-Rcoil(4)
【0124】
上述のように、サセプタ(図示せず)の温度は、その見かけのオーム抵抗RaまたはそのコンダクタンスGに関連する。したがって、サセプタの見かけのオーム抵抗RaまたはコンダクタンスGを決定することにより、例えば、抵抗RaまたはコンダクタンスGとサセプタ温度との間の既知の関係を使用して、第二のマイクロコントローラ208によってサセプタの温度を決定することを可能にする。あるいは、ルックアップテーブルを使用してもよい。また、サセプタの見かけのオーム抵抗RaまたはコンダクタンスGを決定することにより、第二のインダクタL2に供給される電力の量を制御することによって、サセプタの温度を制御できる。揮発性構成成分が、エアロゾル形成基体の燃焼または熱分解なしに、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から気化されることを確実にするために、サセプタの温度を慎重に制御する必要がある。これを行うために、
図4の第二のマイクロコントローラ208は、上述の方法を使用してサセプタの温度を監視する。サセプタの温度が、エアロゾル形成基体を加熱するための所望の温度と等しいか、またはそれを超えるとき、第二のマイクロコントローラは、第二のインダクタL2への電力供給を中断するか、またはオフにする。サセプタの温度が、エアロゾル形成基体を加熱するための所望の温度を下回ると、第二のマイクロコントローラは、第二のインダクタL2への電力供給をオンにする。したがって、第二のマイクロコントローラ208は、サセプタの温度を制御するためのオン/オフコントローラを実装する。しかしながら、当然のことながら、比例積分微分(PID)制御など、他の制御方式が使用され得る。
【0125】
図6は、誘導加熱装置で使用するDC/DC電圧コンバータ300の概略回路図を示す。DC/DC電圧コンバータ300は、電池または他の電圧源からDC供給電圧V
supplyを受け取るための入力301を有する。DC/DC電圧コンバータ300は、DC/DC電圧コンバータ300の出力308で、DC供給電圧V
supplyを一定の出力電圧Voに変換するように構成される。出力電圧Voは、ヒーターモジュールに給電するために使用することができ、したがって、
図5のヒーターモジュール204に給電するために使用されるヒーターモジュール入力電圧Vinと実質的に等しい。
図6では、ヒーターモジュールの構成要素は、出力308と電気接地との間に接続された負荷抵抗R
Lによって表される。DC/DC電圧コンバータ300は、異なる電池の化学的性質を有する異なる電池から、ある範囲の異なるDC供給電圧を受け取ることができる。
【0126】
DC/DC電圧コンバータ300は、両方とも金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、第一のスイッチング素子Q1および第二のスイッチング素子Q2に接続されたコントローラ302を含む。コントローラ302は、第一のスイッチング信号304を発生し、この第一のスイッチング信号304を第一のスイッチング素子Q1に出力して、第一のスイッチング素子Q1をオンおよびオフにするように構成される。第一のスイッチング信号304は、制御可能な負荷サイクル、すなわち、スイッチング信号の1サイクルのうち、信号がオンまたはハイである期間の割合を有するパルス幅変調される。コントローラ302はまた、第二のスイッチング信号306を発生し、この第二のスイッチング信号306を第二のスイッチング素子Q2に出力して、第二のスイッチング素子Q2がオンおよびオフになるように構成される。第二のスイッチング信号306は、第一のスイッチング信号304の逆バージョンであり、第一のスイッチング素子Q1がオンになると、第二のスイッチング素子Q2はオフになり、逆もまた同様である。したがって、コントローラ302は、第二のスイッチング素子Q2がオンになると同時に、第一のスイッチング素子Q1がオンになり、供給電圧Vsupplyが電気接地に短絡することを防止する。
【0127】
DC/DC電圧コンバータ300は、さらに、インダクタL1を含む。インダクタL1の第一の側は、第一のスイッチング素子Q1と第二のスイッチング素子Q2との間の点に接続され、インダクタL1の第二の側は、DC/DC電圧コンバータ300の出力308に接続される。第一のスイッチング素子Q1および第二のスイッチング素子Q2は、インダクタL1の第一の側がブリッジの中間点に接続されたハーフブリッジ配置で配置される。コンデンサC1は、出力308と電気接地との間に配置される。
【0128】
第一のスイッチング素子Q1がオンになるまたは起動されると、DC供給電圧Vsupplyによって、出力308で接続された負荷RLに電流がインダクタL1を通って流れ、コンデンサC1を充電する。変化する電流は、インダクタL1を通って流れるため、電流の流れに抵抗する電圧を生じ、定常状態に達するまで、インダクタL1の周りに磁界を発生する。この状況は、第一のスイッチング素子がオンである限り継続する。この間、第二のスイッチング素子Q2はオフになっているため、電流は流れない。
【0129】
第一のスイッチング素子Q1がオフになると、DC電圧供給Vsupplyは、インダクタL1から切り離され、その結果、インダクタL1の周りの磁界が崩れ、インダクタL1にわたって逆電圧が誘導される。この逆電圧によって、崩れた磁界によって発生した電流が、第一のスイッチング素子Q1がオンの時に電流が流れたのと同じ方向に負荷RLを通って流れ続け、オンになっているまたは起動された第二のスイッチング素子Q2を通って戻る。この間、コンデンサC1はまた、負荷RLに電流を放電し供給し、第一のスイッチング素子Q1および第二のスイッチング素子Q2のスイッチング動作によって生成される出力電圧のリップルを平滑化する。インダクタL1を流れる電流は、常に同じ方向に流れ、その結果、DC電圧が出力308で発生される。
【0130】
第一のスイッチング素子Q1が連続的にオンおよびオフになると、出力308で見られる平均出力電圧値は負荷サイクルに関連し、一つの完全なスイッチングサイクルの間に第一のスイッチング素子Q1がオンになる時間の割合に関連する。したがって、DC/DC電圧コンバータ300からの出力電圧Voは、式(5)から決定することができる。
Vo=負荷サイクル×Vsupply(5)
【0131】
例えば、50パーセントの負荷サイクルは、DC供給電圧Vsupplyの50パーセントまたは半分の出力電圧Voを生成し、25パーセントの負荷サイクルは、DC供給電圧Vsupplyの25パーセントまたは4分の1の出力電圧Voを生成する。
【0132】
負荷が電圧コンバータに接続されていない場合、一定の負荷サイクルを維持すると、一定の出力電圧Voを維持する。しかしながら、負荷RLを流れる負荷電流の変動により、出力308の出力電圧Voがある程度変化することになる。したがって、これに対処するために、DC/DC電圧コンバータ300は、出力電圧Voと基準電圧Vrefを比較し、第一のスイッチング信号304の負荷サイクルを調節するための信号を出力して、出力電圧Voの変動を補償するコンパレータ310を含む。基準電圧Vrefは、所望の出力電圧Voを示す。出力電圧Voが基準電圧Vrefより小さい場合、コンパレータ310は、信号を出力して、負荷サイクルを増大させ、逆も同様である。DC/DC電圧コンバータ300の出力308は、コンパレータの一方の入力に接続され、コンパレータ310の他方の入力は、基準電圧Vrefに接続される。コンパレータの出力はコントローラ302に接続され、コントローラ302はコンパレータ310から出力信号を受信し、それに応じて第一のスイッチング信号304の負荷サイクルを調整する。
【0133】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセント(5%)として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。
【国際調査報告】