(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】フィルタの内部の超吸収性材料
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20240307BHJP
A24D 3/08 20060101ALI20240307BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/08
A24D3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555849
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022058645
(87)【国際公開番号】W WO2022207836
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッケフェルト, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BB03
4B045BC16
(57)【要約】
喫煙物品のためのフィルタセクションであって、円筒形状を含み、且つ遠位端から口側端まで延在し、それにより少なくとも1つの流体のための流路を作成し、少なくとも1つのフィルタ材料及びキャビティを更に含み、キャビティは、フィルタ材料によって囲まれる、フィルタセクション。本発明によれば、キャビティは、フィルタセクションに流体連通し、且つ共通の易破壊性障壁によって遮断される少なくとも2つの区画を含み、区画のそれぞれは、流体流路から水を吸収する親水性を有する混合物のための成分を含み、第1の区画は、少なくとも第1の成分を含み、及び第2の区画は、少なくとも第2の成分を含み、第1の成分は、分散たばこ製品を含み、及び第2の成分は、流体吸収材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品(2)のためのフィルタセクション(1)であって、円筒形状を含み、且つ遠位端(3)から口側端(4)まで延在し、それにより少なくとも1つの流体のための流路(f)を作成し、少なくとも1つのフィルタ材料(5)及びキャビティ(6)を更に含み、前記キャビティ(6)は、前記フィルタ材料(5)によって囲まれる、フィルタセクション(1)において、前記キャビティ(6)は、前記フィルタセクション(1)に流体連通し、且つ共通の易破壊性障壁(12)によって遮断される少なくとも2つの区画(7a、b)を含み、前記区画(7a、b)のそれぞれは、前記流体流路(f)から水を吸収する親水性を有する混合物(9)のための成分(8)を含み、第1の区画(7a)は、少なくとも第1の成分(8a)を含み、及び第2の区画(7b)は、少なくとも第2の成分(8b)を含み、前記第1の成分(8a)は、分散たばこ製品(10)を含み、及び前記第2の成分(8b)は、流体吸収材料(11)を含むことを特徴とするフィルタセクション(1)。
【請求項2】
前記区画(7a、b)の少なくとも1つの内部の前記流体吸収材料(11)は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)(11)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項3】
前記SAP(11)は、デンプンアルデヒド及びクエン酸を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項4】
前記SAP(11)は、カルボキシメチルセルロースが成分として使用される多糖類を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項5】
前記区画(7a、b)は、少なくとも1つの易破壊性障壁(12)によって分離され、前記区画(7a、b)及び/又は前記易破壊性障壁(12)は、易破壊性スリーブによって囲まれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項6】
前記区画(7a、b)の少なくとも1つは、少なくとも1つのカプセル(13)を含み、前記カプセル(13)は、前記混合物(9)の更なる成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項7】
前記区画(7a、b)は、前記流路(f)に沿って前記フィルタセクション(1)を通して流れる煙及び/又は蒸気によってそれらが囲まれるように配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項8】
前記混合物(9)は、ゲルであることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項9】
前記フィルタ材料(5)は、前記混合物(9)が前記フィルタセクション(1)の内部に分布することを可能にする多孔質構造を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタセクション(1)。
【請求項10】
喫煙物品(2)のためのフィルタセクション(1)を製造する方法であって、前記フィルタセクション(1)は、円筒形状を含み、且つ遠位端(3)から口側端(4)まで延在し、それにより少なくとも1つの流体のための流路(f)を作成し、前記フィルタセクション(1)は、酢酸セルロース又は他の適切な材料等の少なくとも1つのフィルタ材料(5)と、キャビティ(6)とを更に含み、前記キャビティ(6)は、前記フィルタ材料(5)によって囲まれ、前記方法は、
前記フィルタ材料(5)を提供するステップと、
前記フィルタ材料(5)の内部に少なくとも1つのキャビティ(6)を形成するステップと、
少なくとも2つの区画(8a、b)を分離するように易破壊性障壁(12)を配置するステップと、
1つの成分(8a)を一方の区画(7a)内に配置するステップと、
異なる成分(8b)を他方の区画(7b)内に配置するステップと、
前記フィルタセクション(1)を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
更なる区画(7c)を実現するために更なる易破壊性障壁(12c)を配置することによって特徴付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記区画(7a、b)は、前記フィルタ材料(5)の内部の前記キャビティ(6)の内部に配置されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャビティ(6)の表面をシール材料でコーティングすることによって易破壊性スリーブを作成することによって特徴付けられる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルタセクション(1)を有する喫煙物品(2)において、前記キャビティ(6)は、前記フィルタセクション(1)に流体連通し、且つ共通の易破壊性障壁(12)によって遮断される少なくとも2つの区画(7a、b)を含み、前記区画(7a、b)のそれぞれは、前記流体流路(f)から水を吸収する親水性を有する混合物(9)のための成分(8)を含み、第1の区画(7a)は、少なくとも第1の成分(8a)を含み、及び第2の区画(7b)は、少なくとも第2の成分(8b)を含み、前記第1の成分(8a)は、分散たばこ製品(10)を含み、及び前記第2の成分(8b)は、流体吸収材料(11)を含むことを特徴とする喫煙物品(2)。
【請求項15】
前記区画(7a、b)の少なくとも1つの内部の前記流体吸収材料(11)は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)(11)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の喫煙物品(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品のためのフィルタセクションであって、円筒形状を含み、且つ遠位端から口側端まで延在し、それにより少なくとも1つの流体のための流路を作成し、少なくとも1つのフィルタ材料及びキャビティを更に含み、キャビティは、フィルタ材料によって囲まれる、フィルタセクションに関する。
【背景技術】
【0002】
キャビティを有するフィルタセクションは、特にフレーバー強調のためのカプセルがそのキャビティ内部に配置される場合にたばこ産業で公知である。これらのカプセルは、多くの場合、メンソール、果実フレーバー又は他の合成フレーバーのようなフレーバー化合物を収容する。カプセルの易破壊性外皮を破砕することにより、それらは、フレーバー付けされた内容物を放出し、これは、結果としてユーザに対して追加の風味をもたらす。
【0003】
更に、流体吸収材料を含み、且つそれによりフィルタセクションを通して流れる蒸気から有害成分を抽出するフィルタセクションもたばこ産業で公知である。吸収材料は、通常、親水性を含み、且つそれにより有害成分を有する水分を煙から吸収する。
【0004】
一部のユーザは、喫煙中、たばこの濃厚で自然な風味を好むという事実のため、フィルタの内部にたばこ粒子を含めることにより、喫煙中のたばこの自然な風味を強調するフィルタもたばこ産業で公知である。フィルタセクションを通して流れる煙と接触することにより、かかるたばこ粒子は、煙に対して追加のたばこ風味を放出する。それにより、煙の自然な風味強調を達成することができる。
【0005】
自然なたばこの風味を消費者に提供し、有害成分を最小限にする喫煙体験を提供するために、たばこ粒子を親水性材料と混合することが考えられる。喫煙物品の内部、特にフィルタセクション内で用いられるたばこ粒子は、通常、完全には乾燥していないという事実のため、それらは、水分を含む。それにより、工場外でフィルタセクションの内部においてたばこ粒子を親水性材料と混合することは、不利である。一般に、空気からの酸素及び水分との起こり得る反応を回避するために、喫煙物品の消費の直前まで、たばこ粒子及び流体吸収材料を保存状態で貯蔵することが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、保管中の互いの反応を防止するフィルタセクションを提供することであり、喫煙物品の使用直前に成分を混合して、自然なフレーバー強調及び有害成分の吸収を提供することが可能になる。この目的は、請求項1のフィルタセクションによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、フィルタセクションの内部のキャビティは、フィルタセクションに流体連通し、且つ共通の易破壊性障壁によって遮断される少なくとも2つの区画を含み、区画のそれぞれは、流体流路から水を吸収する親水性を有する混合物のための成分を含み、第1の区画は、少なくとも第1の成分を含み、及び第2の区画は、少なくとも第2の成分を含み、第1の成分は、分散たばこ製品を含み、及び第2の成分は、流体吸収材料を含む。
【0008】
共通の易破壊性障壁は、たばこ粒子から流体吸収材料への水分交換を防止するために防水性であることが好ましい。好ましくは、障壁は、エッジも含み、且つ/又は易破壊性障壁の周囲で水分交換が起こり得ないような方法でフィルタ材料に接続される。
【0009】
フィルタ材料の内部に共通の易破壊性障壁を配置するのみで、周囲シェルを有するカプセル又は同様の区画のための追加材料が不要になることが考えられる。これにより、フィルタセクションの内部の成分の配置のためのより多くの空間が利用可能である。加えて、共通の易破壊性障壁のみをフィルタセクションの内側に配置する必要があり、追加のカプセルを製造する必要がないため、カプセルを有するフィルタと比較して製造速度が向上する。
【0010】
共通の易破壊性障壁は、好ましくは、二次元の材料片から作成される一方、カプセルは、球状の三次元体として形成されなければならない。
【0011】
共通の易破壊性障壁は、空気又はガスのみがそれを通過することができるような膜を含むことが考えられる。好ましくは、膜は、それにより、それを通して流れる空気から有害成分及び/又は湿気を濾過する。
【0012】
好ましい実施形態において、カプセルのシェル及び/又は共通の易破壊性障壁は、フィルタエレメントを通過する煙から有害成分を濾過することができる膜から作成される。好ましくは、これらの膜は、特定の成分を通過させる一方、他の成分を遮断する透析膜である。半透膜は、特に空気を通過させる一方、他の成分は、濾過され、それにより消費者によって吸入されない。好ましくは、膜は、フィルタ機能を有する。
【0013】
好ましくは、易破壊性障壁は、障壁が配置されるフィルタセクションの領域に消費者が力を加えることによって破砕可能である。区画内部の成分は、好ましくは、互いに接触し、また好ましくは障壁の破壊時に互いに混合する。好ましくは、成分の混合効率は、易破壊性障壁の破砕後にフィルタセクションを移動及び/又は振動させることによって向上させることもできる。
【0014】
消費者は、喫煙物品の長手方向に対して直角のフィルタセグメントに力を加えることにより、易破壊性障壁を破砕することができる。
【0015】
障壁は、そのそばを通り、且つ/又はそれを通過する煙によって溶解することが考えられ、溶解は、好ましくは、それを加熱したとき又は煙からの湿気と接触したときに起こる。
【0016】
易破壊性障壁の厚さは、0.5mm、より好ましくは1mm、最も好ましくは2mmの、喫煙物品の長手方向における最大厚さを含むことが好ましい。易破壊性障壁は、0.1μm、好ましくは10μm、最も好ましくは0.1mmの、長手方向における最小厚さを更に含む。
【0017】
易破壊性障壁は、円形、正方形及び/又は多角形形状を有するプレートの二次元形状を含むことが好ましい。それにより、障壁は、その平面がフィルタセクションの長手方向に対して好ましくは直交して、フィルタ材料の内部に配置されることが好ましい。
【0018】
成分を混合することにより、それらが互いに反応し始めることが考えられる。更に、成分の少なくとも1つは、成分同士及び/又は煙との反応を高める添加剤を含むことが考えられる。
【0019】
易破壊性障壁は、消費者によって加えられる力で破断せず、好ましくは熱によって分解可能であり、それにより加熱されることによって少なくとも部分的にそれ自体が溶解することが考えられる。好ましくは、易破壊性障壁は、フィルタセクションを通して流れ、障壁と接触する煙から加熱される。好ましくは、障壁の溶解は、喫煙中に完全に自動的に起こり、その結果、ユーザは、障壁を手で破砕する必要がない。
【0020】
フィルタセクションの内部のたばこ粒子は、粉末形態を含むことが好ましい。好ましくは、たばこ粒子は、たばこペーストの形態を含むように添加剤と混合することもできる。フィルタセクションの内部に配置されるたばこは、吸入された蒸気を自然なたばこの風味で濃厚にするため、消費者の喫煙体験を特に高めることが考えられる。たばこ粒子の大きさは、10μmより大きいことが好ましい。
【0021】
区画の少なくとも1つの内部のたばこは、カプセル内に配置されることが考えられ、たばこは、粉末形態を含むことが好ましい。たばこ粒子を有するカプセルも膜材料から作成されることが好ましく、カプセルは、煙によって貫流されることが好ましく、それによりカプセルを破壊する必要なく強調されたたばこの風味を得る。カプセルは、それを通過する煙に対してそのフレーバー粒子のみを放出し、固体粒子は、カプセル内に留まることが考えられる。
【0022】
別の実施形態において、カプセルは、SAPを含み、カプセルを通過する煙は、カプセル内部のSAPに付着する湿気及び/又は有害成分によって清浄化され、乾燥される。
【0023】
また、好ましくは、たばこ粒子は、区画内部でセルロース及び/又は異なるフィルタ材料と混合される。様々な大きさのたばこ粒子がフィルタセクションの内部に配置されることが考えられる。好ましくは、たばこ粒子は、粉末形態を含み、たばこ粒子は、従って、より良好に反応し、且つ/又はそれらのフレーバーを放出することができるようにより大きい表面を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、区画の少なくとも1つの内部の流体吸収材料は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)を含む。1つの区画内部のSAP材料は、異なるSAPの混合物でもあり得ることが考えられる。SAPは、異なる形状及び/又は特性を含み得ることが考えられる。好ましくは、異なる形状及び/又は特性を有する少なくとも2つのSAPは、一緒に混合され得るか又は混合される。これは、異なるSAPの好ましい特性を組み合わせる。
【0025】
SAPの配置は、シガレットの消費者によって吸入される蒸気から有害成分を濾過するのに有用である。SAPは、好ましくは、蒸気内から湿気を吸収し、それにより湿気に結合され、且つ/又は湿った蒸気中に溶解される蒸気中の有害成分の量を減少させる。
【0026】
SAPは、好ましくは、それ自体の重量の何倍もの液体を吸収できる材料である。好ましくは、SAPは、液体を吸収すると体積が大きくなる。好ましくは、SAPは、水を吸収すると、その形状及び/又は特性も変化させる。
【0027】
好ましくは、フィルタセクション内のSAPの少なくとも1つは、粉末形状及び/又は三次元体の形状、好ましくは球体、及び/又は立方体、及び/又は他の任意の寸法形状体を含む。
【0028】
粉末形態のSAPは、好ましくは、流体を吸収することによってハイドロゲルになる。SAPの先に成形された及び/又は固形体は、好ましくは、流体を吸収することによってその形状を維持するが、吸収された流体の量に応じてその体積が増大する。
【0029】
好ましくは、フィルタセクションにおいて用いられることに適したSAPは、アクリル酸をベースとする。好ましくは、SAPは、ポリアクリルアミドをベースとし得る。材料の好ましい特性を組み合わせるために両方の混合物も考えられる。
【0030】
好ましくは、他の有機及び/又は無機SAP材料もフィルタセクションにおいて用いることができる。好ましくは、ポリマーを水に不溶性にするコア架橋剤(CXL)がポリマーに添加される。
【0031】
好ましい実施形態において、フィルタ材料内部のSAPは、環境に優しく、及び/又は非毒性であり、及び/又は生分解性の特性を含む。それにより、用いられるSAPは、多糖ベースのSAPであることが考えられる。好ましくは、フィルタ材料全体は、環境に優しく、及び/又は非毒性であり、及び/又は生分解性であり、これによりフィルタセクションの廃棄による問題が少なくなる。
【0032】
好ましい実施形態において、SAPは、デンプンアルデヒド及びクエン酸を含む。好ましくは、デンプンアルデヒド及びクエン酸は、結果としてSAPを生じる比で混合される。
【0033】
好ましい実施形態において、SAPは、カルボキシメチルセルロースが成分として使用される多糖類を含む。好ましくは、他のセルロース材料も成分として用いることができる。
【0034】
好ましくは、多糖ベースのSAPは、80g/g~100g/g、好ましくは84g/g~90g/g、最も好ましくは87g/gの最大重量関連膨潤比を含む。それにより、1gのSAPは、87gの流体を吸収及び/又は結合することが好ましい。異なる重量関連膨潤比を有するSAPをフィルタセクションにおいて用い得ることが考えられる。
【0035】
好ましくは、SAPの重量関連膨潤比は、理論最大膨潤比未満であり、これは、より低い純度を有する成分を用いることを可能にし、それによりSAPを合成するためのコストを低下させる。
【0036】
好ましくは、フィルタセクションの内部のSAPの量は、10%未満、より好ましくは7%未満、最も好ましくは5%未満である。フィルタセクションの区画内部のSAPは、セルロース繊維と混合されることが考えられる。好ましくは、それにより、SAPは、粉末の形状を含む。SAPは、異なる粒径及び形状を含むことが好ましい。好ましくは、SAPのみを更なる任意の添加剤なしに区画内部に配置することもできる。
【0037】
好ましい実施形態において、区画は、少なくとも1つの易破壊性障壁によって分離され、区画及び/又は易破壊性障壁は、易破壊性スリーブによって囲まれる。易破壊性スリーブが中空円筒として形成され、それにより易破壊性障壁が中空円筒を少なくとも2つの区画に分割することが考えられる。好ましくは、それにより、個々の区画内部の成分間の反応及び/又は水分交換が低減する。好ましくは、1つの区画のみが易破壊性スリーブによって囲まれる。特に、高反応性成分を有する区画が易破壊性スリーブによって囲まれることが考えられる。
【0038】
好ましくは、易破壊性スリーブは、消費者が易破壊性障壁を破断するために力を加えると破断可能である。好ましくは、易破壊性スリーブは、熱によっても分解可能であり、それにより加熱時にそれ自体を少なくとも部分的に溶解させる。好ましくは、易破壊性スリーブは、フィルタの内部の煙と流体連通し、それにより喫煙プロセス中に煙によって加熱される。
【0039】
易破壊性スリーブは、フィルタセクションの内部の区画の内側に配置されることが考えられる。スリーブは、それにより、区画を囲むフィルタ材料から区画を封止することが好ましい。スリーブは、区画に面するフィルタ材料の内壁をコーティングすることによって配置されることが好ましい。コーティングは、スプレー塗装によって配置されることが好ましい。スリーブは、好ましくは、有機材料から作られ、極めて好ましくはデンプンから作られる。
【0040】
スリーブは、好ましくは、区画の内部容積を囲むため、区画の形状を含むことが好ましい。スリーブが長手方向の形状を含み、その長手方向軸が好ましくはフィルタ材料の長手方向軸と平行に配置されることが考えられる。好ましくは、スリーブは、その断面図において円筒、角管又は他の多角形形状を含む。
【0041】
スリーブは、1mm、より好ましくは3mm、最も好ましくは5mmの最小断面直径を含むことが考えられる。スリーブは、好ましくは、6mm、より好ましくは8mm、最も好ましくは10mmの最大断面直径を含む。
【0042】
好ましい実施形態において、区画の1つにおける少なくとも1つの成分は、ペースト及び/又は流体の特性を含み、易破壊性障壁を破壊することによる区画における成分の混合は、結果として流体及び/又はペースト状の粘稠性を有する混合物を生じる。
【0043】
好ましい実施形態において、区画の少なくとも1つは、少なくとも1つのカプセルを含み、カプセルは、混合物の更なる成分を含む。好ましくは、カプセルは、カプセル内に貯蔵されない場合に他の成分及び/又はフィルタ材料と反応する流体成分を含む。SAPは、フィルタセクション及び/又は喫煙物品の使用前にSAPが湿気と反応することを防ぐようにカプセル内に配置されることも好ましい。好ましくは、カプセルは、区画内の成分を濡らす流体を含む。好ましくは、カプセルは、たばこ粒子を有する区画内に配置され、たばこ物品を濡らしてたばこペーストを生成する。好ましくは、かかる流体は、エアロゾル形成体及び/又は風味強調成分である。
【0044】
カプセルの材料が膜材料も含むことが考えられる。膜は、流体及び好ましくは空気がそれを通過することを可能にするためにカプセルの内圧を低く保つことが好ましい。膜は、それを通過する煙及び/又はガスから湿気及び/又は有害成分を濾過するフィルタとして機能することが考えられる。好ましい実施形態において、カプセルは、少なくとも1つの易破壊性障壁を含み、カプセルは、それにより、少なくとも2つの区画に分割される。好ましくは、カプセル内部の区画のそれぞれは、異なる成分を含む。また、好ましくは、カプセル内部の成分は、共通の易破壊性障壁の破壊時に混合される。カプセルのシェルは、易破壊性障壁の破壊時にも破断し、それにより混合物がフィルタセクションのフィルタ材料内に放出されることが考えられる。
【0045】
フィルタセクションの区画に配置されるカプセルは、消費者がフィルタセクションに力を加えることによって破壊可能であることが考えられる。好ましくは、カプセルは、易破壊性障壁が配置されるのと同時に破砕されるようにフィルタセクションの内部に配置される。好ましくは、カプセルは、消費者が障壁及びカプセルを個別に破壊することができるようにも配置される。
【0046】
好ましくは、カプセルは、熱によっても分解可能であり、それにより加熱時にそれ自体を少なくとも部分的に溶解させる。好ましくは、カプセルは、フィルタの内部の煙と流体連通し、それにより喫煙プロセス中に煙によって加熱される。
【0047】
好ましい実施形態において、区画は、流路に沿ってフィルタセクションを通して流れる煙及び/又は蒸気によってそれらが囲まれるように配置される。好ましくは、煙は、易破壊性障壁が破砕される場合にも区画を通して流れる。好ましくは、それにより、煙は、区画内部の少なくとも1つの成分と反応する。
【0048】
好ましい実施形態において、混合物は、ゲルである。少なくとも2つの成分を組み合わせることにより、それらが互いに反応してゲルになることが考えられる。好ましくは、成分の混合物は、喫煙プロセス中に煙と反応することによってゲルになる。混合物は、流体成分を有するカプセルを破壊し、それを混合物と混合するとゲルになることも考えられる。
【0049】
好ましい実施形態において、フィルタ材料は、混合物がフィルタセクションの内部に分布することを可能にする多孔質構造を含む。好ましくは、フィルタは、混合物を吸い取る。フィルタ部分に力を加え、それによってそれを変形させることにより、混合物をフィルタ材料の内部に分散させることができると考えられる。フィルタセクションの振盪及び/又は移動時の混合物の分散も可能である。
【0050】
目的は、喫煙物品のためのフィルタセクションを製造する方法であって、フィルタセクションは、円筒形状を含み、且つ遠位端から口側端まで延在し、それにより少なくとも1つの流体のための流路を作成し、フィルタセクションは、酢酸セルロース又は他の適切な材料等の少なくとも1つのフィルタ材料と、キャビティとを更に含み、キャビティは、フィルタ材料によって囲まれ、方法は、
フィルタ材料を提供するステップ、
フィルタ材料の内部に少なくとも1つのキャビティを形成するステップ、
少なくとも2つの区画を分離するように易破壊性障壁を配置するステップ、
1つの成分を一方の区画内に配置するステップ、
異なる成分を他方の区画内に配置するステップ、
フィルタセクションを形成するステップ
を含む、方法によっても達成される。
【0051】
好ましくは、フィルタセクションが最初に形成され、その後、キャビティが形成される。好ましくは、次いで、第1の成分がキャビティ内部に配置され、その後、易破壊性障壁が配置され、最後に第2の成分がキャビティ内部に配置される。
【0052】
好ましい方法において、更なる区画を実現するために更なる易破壊性障壁が配置される。この実施形態において、2つの易破壊性障壁は、好ましくは、3つの異なる成分を有する3つの区画を分割する。
【0053】
更に多くの易破壊性障壁がフィルタセクションの内部に配置され、それにより更なる区画が作成されることが考えられる。好ましくは、少なくとも1つの区画は、カプセルを含み、好ましくは、カプセルは、熱によって溶解可能でもある。少なくとも2つの区画内にカプセルが配置されることが考えられる。これらの2つのカプセルは、好ましくは、異なる壁厚を含み、従って熱に曝露される場合に時間遅延によりそれらの内容物を放出する。
【0054】
好ましい実施形態において、区画は、フィルタ材料内部のキャビティ内部に配置される。易破壊性障壁は、区画間の仕切りを構成することが好ましい。
【0055】
好ましい実施形態において、易破壊性スリーブは、キャビティの表面をシール材料でコーティングすることによって作成される。好ましくは、易破壊性スリーブは、より薄い壁厚を含み、カプセルの内部に適合するものと比較してより多量の成分の貯蔵を可能にする。好ましくは、易破壊性スリーブは、液密であり、且つ好ましくはカプセルとしても機能する。易破壊性スリーブは、キャビティを有するフィルタセクションを組み立て、その後、それに適切なシール材料を噴霧することによって適用され得る。
【0056】
好ましい実施形態において、フィルタセクションは、喫煙物品と共に用いることができ、フィルタセクションの内部のキャビティは、フィルタセクションに流体連通し、且つ共通の易破壊性障壁によって遮断される少なくとも2つの区画を含み、区画のそれぞれは、流体流路から水を吸収する親水性を有する混合物のための成分を含み、第1の区画は、少なくとも第1の成分を含み、及び第2の区画は、少なくとも第2の成分を含み、第1の成分は、分散たばこ製品を含み、及び第2の成分は、流体吸収材料を含む。
【0057】
好ましい実施形態において、区画の少なくとも1つの内部の流体吸収材料は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)を含む。好ましくは、流体吸収材料は、少なくとも1つのSAPを含む。
【0058】
好ましくは、喫煙物品は、加熱時に煙及び/又は蒸気を生成する少なくとも1つのたばこセクションを含む。この煙は、従って、好ましくはフィルタセクションを通して流れ、フィルタセクションの内部の成分と接触する。それにより、成分は、意図された目的で煙及び/又は蒸気と反応することが考えられる。
【0059】
本発明による更なる利点及び実施形態を添付図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明によるフィルタセクションを有する喫煙物品である。
【
図3】カプセルを有するフィルタセクションである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、喫煙物品2のたばこセクション14に取り付けられる、本発明によるフィルタセクション1を示し、たばこセクション14は、フィルタセクションの遠位端3に取り付けられる。これにより、フィルタセクション1内部のフィルタ材料5は、たばこセクション14と流体連通する。フィルタセクション1自体は、キャビティ6を含み、キャビティは、易破壊性障壁12によって第1の区画7aと第2の区画7bとに分割される。第1の区画7aは、フィルタセクションの遠位端3に面する易破壊性障壁12の側に配置される。第2の区画7bは、フィルタセクションの口側端4に面する易破壊性障壁12の側に配置される。
【0062】
好ましくは、第1の区画7a内部の第1の成分8aは、分散たばこ製品10であり、及び第2の区画7b内部の第2の成分8bは、流体吸収材料11である。区画内の成分を変え得ることが考えられ、第1の区画7aは、従って、流体吸収材料11を含み、及び第2の区画7bは、分散たばこ製品10を含む。
【0063】
図1において、流体流路fは、消費者が喫煙物品2を用いる場合、喫煙物品2のたばこセクション14内で発生する煙及び/又は蒸気が取る方向を示す。煙及び/又は蒸気は、流体流路fに沿ってたばこセクション14を出て、フィルタセクションの遠位端3に入る。これにより、煙及び/又は蒸気は、フィルタ材料5と接触する。
【0064】
フィルタ材料5は、区画7が配置されるキャビティ6を含む。フィルタ材料5を通して流れる煙及び/又は蒸気は、それにより、キャビティ6とも接触し、従ってキャビティ6内部の区画7内部に配置される成分8とも接触する。成分8との接触により、煙及び/又は蒸気は、それらと反応し、最終的にフィルタセクションの口側端4を通して喫煙物品2から出る。
【0065】
図2は、
図1に示すものと同じフィルタセクションを示し、このフィルタセクション1は、
図1による喫煙物品を形成するようにたばこセクション14に取り付けられていない。
図2のフィルタセクション1は、それにより、自己巻きシガレット、加熱非燃焼式デバイスのためのシガレット若しくは煙を濾過し、且つ/又は追加のフレーバーを添加することが有益である他の製品等の他の様々な喫煙物品に取り付けることができる。
【0066】
図2のフィルタセクション1は、キャビティ6と、区画7と、成分8と、易破壊性障壁12とを含む。キャビティ6は、遠位端3及び口側端4に関してフィルタセクション1の中央に配置されることが好ましい。易破壊性障壁12は、遠位端3及び口側端4に関してフィルタセクション1の中央に配置されることも好ましい。それにより、易破壊性障壁12は、キャビティ6を2つの区画7に均等に分割することが好ましく、第1の区画7aは、第2の区画7bと同じ容積を含む。
【0067】
図2の流路fは、フィルタセクション1を通して流れる蒸気及び/又は煙の流れ方向を示す。好ましくは、煙及び/又は蒸気は、フィルタセクション1内部に均一に分布して、フィルタセクションの内部の成分8とより良好に反応する。
【0068】
図3は、フィルタ材料5の内部にキャビティ6を有するフィルタセクション1を示し、キャビティ6の内部にカプセル13が配置される。それにより、成分8は、キャビティ6内部に直接配置されるのではなく、フィルタセクション1内部に配置される前にカプセル13内に配置される。カプセル13は、従って、カプセル13内部に少なくとも1つの易破壊性障壁12を含むことが好ましく、易破壊性障壁は、それにより、カプセル13内部の成分8を分離する。
【0069】
好ましくは、カプセル13の内部空間は、第1の区画7a及び第2の区画7bに分割され、第1の区画7aは、第1の成分8aを含み、及び第2の区画7bは、第2の成分8bを含む。カプセル13は、更なる易破壊性障壁12を含み、それによってより多くの区画7も含み、より好ましくはより多くの成分8も含むことが考えられる。
【0070】
フィルタセクション1内部に少なくとも2つのカプセル13が存在することが考えられ、カプセル13のそれぞれは、それにより、異なる成分8を含むことが好ましい。
【0071】
好ましくは、2つのカプセル13は、フィルタセクション1の内部に配置され、第1のカプセル13は、たばこ製品10を含み、及び第2のカプセル13は、流体吸収材料11を含む。
【0072】
好ましくは、複数のカプセル13をフィルタセクション1内に配置することもできる。好ましくは、全てのカプセル13は、カプセルの破砕時に互いに反応する異なる成分8を含む。
【0073】
フィルタセクションの内部に少なくとも1つのカプセル13を配置することは、好ましくは、組み立てプロセスをより容易に及び/又はより迅速にする。これは、フィルタ材料5を最初に配置することができ、その後、予め組み立てられたカプセル13をフィルタ材料5の内部に配置することができるためにもたらされると考えられる。これにより、成分8及び易破壊性障壁13によるキャビティ6の段階的な充填及び/又は組み立てが不要になる。
【0074】
図3は、蒸気及び/又は煙のための流路fを更に示す。キャビティ5は、
図1及び
図2と同じ場所に配置され、先の図との唯一の違いは、キャビティ6が成分8で直接充填されず、カプセル13で充填されることである。
【0075】
図4は、再度、フィルタ材料5、流体流路f、キャビティ6及び易破壊性障壁12を有するフィルタセクション1を示し、
図4の易破壊性障壁は、破砕され、それにより区画7を互いに分離させない。それにより、区画7a及び区画7bは、互いに流体連通し、これは、成分8が互いに混合し得ることを意味する。
【0076】
図4の実施形態において、第1の成分8aを有する第1の区画7a及び第2の成分8bを有する第2の区画7bは、互いに流体連通し、第1の成分8a及び第2の成分8bは、互いに混合され、混合物9を形成する。
【0077】
混合物9は、たばこ製品10及び流体吸収材料11を含むことが好ましい。煙及び/又は蒸気がフィルタ1、特にその中に成分8を有するフィルタ材料5を通して流れる場合、煙及び/又は蒸気は、混合物9と接触し、それによってそれと反応する。従って、たばこ製品10は、煙及び/又は蒸気の風味を強調させ、流体吸収材料11は、水分を吸収し、それにより煙及び/又は蒸気から有害成分を吸収する。
【0078】
好ましくは、混合物9は、粉末形態を含み、これは、流体吸収材料11のより高い可能な吸収速度をもたらし、また混合物9内部のたばこ製品10からのより大きい風味強調をもたらす。好ましくは、混合物9は、それにより、フィルタセクション1を振動及び/又は移動させることによってフィルタ材料5の内部に分散可能である。
【0079】
好ましくは、混合物9は、流体又は半流体の粘稠性を含み得、流体の粘稠性は、フィルタ材料5に混合物9を吸収させ、それをフィルタセクション1内に分散させることが好ましい。
【0080】
好ましくは、混合物9は、ペースト状の粘稠性も有し、ペースト状の粘稠性を有する混合物9の分散は、消費者がフィルタセクション1に力を加えることによって行われることが好ましい。
【0081】
好ましくは、流体形態の混合物9は、フィルタ材料5によって少なくとも部分的に吸収される。混合物が粉末の形態を含む場合、個々の粒径は、好ましくは、フィルタ材料5内に消散するのに十分に小さいことが考えられる。好ましくは、混合物9は、煙及び/又は蒸気と反応するより大きい反応面を含むようにフィルタ材料5の内側に均一に分布する。
【符号の説明】
【0082】
1 フィルタセクション
2 喫煙物品
3 フィルタの遠位端
4 フィルタの口側端
5 フィルタ材料
6 キャビティ
7 区画
7a 第1の区画
7b 第2の区画
8 区画内部の成分
8a 第1の成分
8b 第2の成分
9 混合物
10 たばこ製品
11 流体吸収材料
12 易破壊性障壁
13 カプセル
14 喫煙物品のたばこセクション
f 流体流路
【国際調査報告】