(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】高密度ポリエチレン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20240307BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20240307BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C08L23/08
C08F210/02
C08F4/6592
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556876
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2022052397
(87)【国際公開番号】W WO2022195513
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルユームール、セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カシリ、セピデ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J002BB041
4J002BB042
4J002FD010
4J002FD030
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD160
4J002GC00
4J002GG01
4J100AA02P
4J100AA16Q
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
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4J100DA09
4J100DA14
4J100DA15
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4J100DA43
4J100DA49
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4J100FA47
4J100JA57
4J100JA58
4J128AA01
4J128AB01
4J128AC01
4J128AC10
4J128AD01
4J128AD08
4J128AD11
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4J128AD18
4J128AE05
4J128AE13
4J128BA02B
4J128BB01B
4J128BC12B
4J128BC25B
4J128DA01
4J128EA02
4J128EB02
4J128EB07
4J128ED01
4J128ED04
4J128EF02
4J128EF04
4J128FA02
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA06
4J128GA08
4J128GA16
(57)【要約】
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm
3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI
2、400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A又は条件B下でASTM D1693により決定される)、及び3.0cN以上の溶融強度を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm
3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI
2、50以上のメルトフロー比I
21/I
2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【請求項2】
ポリエチレン組成物が、0.948g/cm
3~0.957g/cm
3の密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
ポリエチレン組成物が、1.0~2.5g/10分のメルトインデックスI
2を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
ポリエチレン組成物が、60~130のメルトフロー比I
21/I
2を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
ポリエチレン組成物が、3.0~6.0の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項6】
ポリエチレン組成物が、3.0~5.0のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項7】
ポリエチレン組成物が、250,000g/モル~550,000g/モルのZ平均分子量Mzを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項8】
ポリエチレン組成物が、50%未満の組成分布幅指数CDBI
50を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項9】
ポリエチレン組成物が、60%超の組成分布幅指数CDBI
50を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項10】
第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり2個より多い短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項11】
第1のエチレンが、炭素原子1000個あたり5個より多い短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項12】
第1のエチレンコポリマーが、0.910~0.932g/cm
3の密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項13】
第2のエチレンコポリマーが、0.950~0.970g/cm
3の密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項14】
第1のエチレンコポリマーが、0.5g/10分未満のメルトインデックスI
2を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項15】
第2のエチレンコポリマーが、10.0g/10分を超えるメルトインデックスI
2を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項16】
第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1/1000C)の、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2/1000C)に対する比が、10より大きい、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項17】
第1のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒を用いて作製される、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項18】
第2のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒又はチーグラー・ナッタ触媒を用いて作製される、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項19】
ポリエチレン組成物が、ポリエチレン組成物の重量に基づいて少なくとも0.050ppm存在するハフニウム残基を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項20】
ポリエチレン組成物が、0.0050を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項21】
ポリエチレン組成物が、7.5以上のせん断減粘指数SHI
(1,100)を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項22】
ポリエチレン組成物が、10.0以上のせん断減粘指数SHI
(1,100)を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項23】
ポリエチレン組成物が、0.05rad/sでの相対弾性率G’/G’’≦0.50を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項24】
ポリエチレン組成物が、1.5フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項25】
ポリエチレン組成物が、3.0cN以上の溶融強度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項26】
ポリエチレン組成物が、1000時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項27】
ポリエチレン組成物が、1000MPa以上の、1%での曲げ割線弾性率を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項28】
ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm
3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI
2、50以上のメルトフロー比I
21/I
2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、50%未満の組成分布幅指数CDBI
50、3.0フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに1000時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【請求項29】
ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm
3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI
2、50以上のメルトフロー比I
21/I
2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、60%を超える組成分布幅指数CDBI
50、1.5フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【請求項30】
請求項1、28又は29に記載のポリエチレン組成物から調製されるキャップ又はクロージャ。
【請求項31】
請求項1、28、又は29に記載のポリエチレン組成物から調製される回転成形品。
【請求項32】
請求項1、28、又は29に記載のポリエチレン組成物から調製される発泡成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高い溶融強度、良好な耐衝撃性(Izod)、及び良好な環境応力亀裂抵抗(ESCR)を有する高密度ポリエチレン組成物に関する。ポリエチレン組成物は、押出成形用途に適している。
【背景技術】
【0002】
例えば回転成形品のような成形品の調製に使用するのに適した熱可塑性樹脂を開発する場合、主な考慮事項には、部品の成形に必要な時間(例えば、金型内の溶融樹脂の流速、樹脂の焼結速度及び冷却速度など)、耐衝撃性、及び経時的な環境応力に対する抵抗(例えば、環境応力亀裂抵抗)が含まれる。
【0003】
成形部品に使用するのに適したいくつかのポリエチレン樹脂が開発されている(例えば、米国特許出願公開第2016/0229964号、第2017/0267822号、及び米国特許第9,181,422号、第9,540,505号、第9,695,309号、第10,519,304号、第10,329,412号、第10,053,564号、第9,758,653号、第9,637,628号、第9,475,927号、第9,221,966号、第9,074,082号、第8,962,755号、第8,022,143号を参照)が、良好な耐衝撃性と良好な耐環境性の特性を同時に示す新規な高密度ポリエチレン樹脂が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
我々は、高密度、高い溶融強度に加え、良好な環境応力亀裂耐性(抵抗)と良好な耐衝撃性の特性を備えたポリエチレン組成物をこのたび開発した。このポリエチレン組成物は、成形品の製造に有用である可能性がある。
【0005】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL(登録商標)CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0006】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物から調製される成形品であって、ポリエチレン組成物は、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0007】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物から調製される押出成形品であって、ポリエチレン組成物は、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0008】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物から調製される射出成形品であって、ポリエチレン組成物は、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0009】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物から調製される圧縮成形品であって、ポリエチレン組成物は、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0010】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物から調製されるキャップ又はクロージャであって、ポリエチレン組成物は、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0011】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、50%未満の組成分布幅指数CDBI50、3.0フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに1000時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0012】
本開示の一実施形態は、ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、50%を超える組成分布幅指数CDBI50、1.5フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する。
【0013】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.0050を超える長鎖分岐係数LCBFを有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂について得られた、屈折率検出を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC-RI)を示す。
【
図2】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂について得られた、フーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を用いたゲル浸透クロマトグラフを示す。コモノマー含有量は、骨格炭素1000個あたりの短鎖分岐の数(y軸)として示され、ポリマー分子量(x軸)との関係で示される。
【
図3】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂についての温度上昇溶出分別(TREF)プロファイルを示す。
【
図4】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物及び比較樹脂についてのDMA周波数掃引データ(粘度η
*(Pa・s)対周波数ω(ラジアン/s))を示す。
【
図5】本開示のポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂から作製された圧縮成形プラークについての2つの性能指標(Izod衝撃強度及び1%での曲げ割線弾性率)の関係を示す。
【
図6】本開示のポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂から作製された圧縮成形プラークについての2つの性能指標(ESCR条件B、100%IGEPAL対1%での曲げ割線弾性率)の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、使用される文脈によってある程度異なる。当業者には明らかではない用語の使用がある場合、その用語が使用されている文脈を考慮すると、「約」は特定の用語のプラスマイナス10%までを意味する。
【0016】
要素を説明する文脈(特に特許請求の範囲の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語及び類似の参照語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーするものと解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書において別段の指示がない限り、単に範囲内に入る各個別の値を個別に参照するための略記法としての役割を果たすことを意図したものであり、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書において提供されるあらゆる例、又は例示的な文言(例えば、「~のような(such as)」)の使用は、単に実施形態をより良く理解することを意図しており、別段の記載がない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。明細書に記載されているいかなる文言も、請求されていない要素が必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、化学的に反応し、それ自体又は他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含む直鎖状炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、同等の用語は「直鎖状α-オレフィン」である。
【0019】
「エチレンホモポリマー」又は「ポリエチレンホモポリマー」という用語は、エチレンのみが意図的に添加された又は意図的に重合性モノマーとして存在する、重合プロセスの生成物であることを意味する。
【0020】
「エチレンコポリマー」又は「ポリエチレンコポリマー」という用語は、エチレンと1種以上のα-オレフィンが意図的に添加された又は意図的に重合性モノマーとして存在する、重合プロセスの生成物であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、水素ラジカルが、非置換という用語に続く分子基に結合していることを意味する。「置換された」という用語は、この用語に続く基が、その基内の任意の位置において、1つ以上の水素ラジカルを置き換えた1つ以上の部分(非水素ラジカル)を有することを意味する。
【0022】
本開示は、2つの成分:(i)第1のエチレンコポリマー、及び(ii)第1のエチレンコポリマーとは異なる第2のエチレンコポリマー、を含むポリエチレン組成物を提供する。
【0023】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、押出成形品の製造に有用である。
【0024】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、圧縮成形品の製造に有用である。
【0025】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、射出成形品の製造に有用である。
【0026】
<第1のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、重合エチレン及び少なくとも1種の重合α-オレフィンコモノマーの両方を含み、重合エチレンが大部分を占める。
【0027】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第1のエチレンコポリマーを作製し得るα-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0028】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト触媒を用いて作製され、その非限定的な例としては、ホスフィンイミン触媒、メタロセン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が挙げられ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0029】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0030】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、溶液相重合プロセスにおいてシングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0031】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、活性金属中心としてハフニウム(Hf)を有するシングルサイト触媒を用いて作製される。
【0032】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0033】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、メタロセン触媒を用いて作製される。
【0034】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、架橋メタロセン触媒を用いて作製される。
【0035】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、式(I)を有する架橋メタロセン触媒を用いて作製される:
【化1】
【0036】
式(I)中、Mは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選択される4族金属であり;Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R1は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルであり;R2及びR3は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R4及びR5は、水素原子、非置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0037】
一実施形態では、Gは炭素である。
【0038】
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアリール基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立して置換フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基は置換シリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はトリアルキルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリアルキルシリル基で置換されている。一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリメチルシリル基で置換されている。一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリエチルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアルケニル基である。
【0039】
一実施形態では、R1は、水素である。
一実施形態では、R1は、アルキル基である。
一実施形態では、R1は、アリール基である。
一実施形態では、R1は、アルケニル基である。
【0040】
一実施形態では、R2及びR3は、独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してアリール基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、tert-ブチル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、水素である。
【0041】
一実施形態では、Mは、ハフニウム(Hf)である。
【0042】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、式(I)を有する架橋メタロセン触媒を用いて作製される:
【化2】
【0043】
式(I)中、Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R1は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルであり;R2及びR3は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R4及びR5は、水素原子、非置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0044】
本開示において、「活性化可能」という用語は、配位子Qが、プロトノリシス反応を介して金属中心Mから切断され得ること、又はそれぞれ適切な酸性又は求電子性触媒活性化合物(「共触媒」化合物としても知られる)によって金属中心Mから引き抜かれ得ることを意味し、それぞれ、その例を以下に記載する。活性化可能な配位子Qは、金属中心Mから切断又は引き抜かれる別の配位子に変換されることもできる(例えば、ハロゲン化物は、アルキル基に変換され得る)。単一の理論に拘束されることを望まないが、プロトノリシス又は引き抜き反応は、オレフィンを重合することができる活性な「カチオン性」金属中心を生成する。
【0045】
本開示の実施形態では、活性化可能な配位子Qは、下記からなる群から独立して選択される:水素原子;ハロゲン原子;C1~20ヒドロカルビルラジカル、C1~20アルコキシラジカル、及びC6-10アリール又はアリールオキシラジカル、ここで、ヒドロカルビル、アルコキシ、アリール、又はアリールオキシドラジカルのそれぞれは、非置換であるか、1つ以上のハロゲン又は他のグループでさらに置換され得る;C1-8アルキル;C1-8アルコキシ;C6-10アリール又はアリールオキシ;アミド又はホスフィドラジカルであるが、Qはシクロペンタジエニルではない。また、2つのQ配位子が互いに結合して、例えば、置換又は非置換のジエン配位子(例えば、1,3-ブタジエン);あるいは、アセテート又はアセトアミジネート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成してもよい。本開示の好都合な実施形態では、各Qは、ハロゲン化物原子、C1~4アルキルラジカル及びベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。特に適切な活性化可能な配位子Qは、ハロゲン化物(例えば、塩化物)又はヒドロカルビル(例えば、メチル、ベンジル)などのモノアニオン性である。
【0046】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドである:
[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfCl2]。
【0047】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルである:
[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp))HfMe2]。
【0048】
シングルサイト触媒分子それ自体に加えて、活性シングルサイト触媒系(system)は、以下の1つ以上をさらに含んでもよい:アルキルアルミノキサン共触媒及びイオン性活性剤。シングルサイト触媒系はまた、任意選択で、ヒンダードフェノールを含んでもよい。
【0049】
アルキルアルミノキサンの正確な構造は不明であるが、対象分野の専門家の間では、下記の一般式の繰り返し単位を含むオリゴマー種であることが一般的に同意されている:
(R)2AlO-(Al(R)-O)n-Al(R)2
(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよく、nは、0~約50である)。アルキルアルミノキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(又はMAO)であり、各R基はメチルラジカルである。
【0050】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサンのRは、メチルラジカルであり、mは10~40である。
【0051】
本開示の一実施形態では、共触媒は、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0052】
アルキルアルミノキサンが、アルキル化剤及び活性剤の両方として二重の役割を果たすことができることは、当技術分野でよく知られている。したがって、アルキルアルミノキサン共触媒は、ハロゲンなどの活性化可能な配位子と組み合わせて使用されることが多い。
【0053】
一般に、イオン性活性剤は、カチオンと嵩高いアニオンで構成されており、後者は実質的に非配位性である。イオン性活性剤の非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子を有する4配位であるホウ素イオン性活性剤である。ホウ素イオン性活性剤の非限定的な例としては、以下に示す複数の式が挙げられる:
[R5]+[B(R7)4]-
(式中、Bは、ホウ素原子を表し、R5は、芳香族ヒドロカルビル(例えば、トリフェニルメチルカチオン)であり、各R7は、下記から独立して選択される:非置換又はフッ素原子から選択される3~5個の置換基で置換されているフェニルラジカル、非置換又はフッ素原子で置換されているC1~4アルキル又はアルコキシラジカル、及び式-Si(R9)3のシリルラジカル、ここで、各R9は、水素原子及びC1-4アルキルラジカルから独立して選択される)、並びに
[(R8)tZH]+[B(R7)4]-
(式中、Bは、ホウ素原子であり、Hは、水素原子であり、Zは、窒素又はリン原子であり、tは、2又は3であり、R8は、C1~8のアルキルラジカル、非置換若しくは最大3つのC1-4アルキルラジカルで置換されたフェニルラジカルから選択されるか、又は1つのR8が窒素原子と共にアニリニウムラジカルを形成してもよく、R7は上記で定義したとおりである)。
【0054】
両方の式において、R7の非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルである。一般に、ホウ素イオン性活性剤は、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができ、非限定的な例としては、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素とアニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)とのアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム及びスルホニウム塩が挙げられる。イオン性活性剤の追加の非限定的な例としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。容易に入手可能な市販のイオン性活性剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが含まれる。
【0055】
ヒンダードフェノールの非限定的な例としては、ブチル化フェノール酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0056】
活性なシングルサイト触媒系を生成するためには、シングルサイト触媒分子(例えばメタロセン)、アルキルアルミノキサン、イオン性活性剤、及び任意のヒンダードフェノールの3つ又は4つの成分の量とモル比が最適化される。
【0057】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、長鎖分岐を生成し、第1のエチレンコポリマーは、長鎖分岐(以下「LCB」)を含む。
【0058】
LCBは、エチレンコポリマーにおけるよく知られた構造現象であり、当業者にはよく知られている。従来、LCB分析には下記の3つの方法がある:すなわち、核磁気共鳴分光法(NMR)(例えば、J.C.Randall著,J.Macromol.Sci.,Rev.,Macromol.Chem.Phys.,1989年,29巻,201頁参照);DRI、粘度計、低角レーザー光散乱検出器を備えた三重検出SEC(例えば、W.W.Yau及びD.R.Hill著,Int.J.Polym.Anal.Charact.,1996年,2巻,151頁参照);及び、レオロジー、(例えば、W.W.Graessley著,Acc.Chem.Res.,1977年,10巻,332-339頁参照)。本開示の実施形態では、長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験又はレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0059】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、本明細書に開示される長鎖分岐係数LCBFによって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの上限は、0.5000、又は0.4000、又は0.3000(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの下限は、0.0010、又は0.0015、又は0.0020、又は0.0050、又は0.0070、又は0.0100、又は0.0500、又は0.1000(無次元)であってもよい。
【0060】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFは、少なくとも0.0010、又は少なくとも0.0020、又は少なくとも0.0050、又は少なくとも0.0070、又は少なくとも0.0100である。
【0061】
第1のエチレンコポリマーは、それを作製するために使用される触媒配合物の化学組成を反映する触媒残留物を含む場合がある。当業者であれば、触媒残留物が、典型的には、例えば、第1のエチレンコポリマー(又はポリエチレン組成物;下記参照)中の金属の百万分率によって定量化されることを理解するであろう。ここで、存在する金属は、それを作製するために使用された触媒配合物中の金属に由来する。存在し得る金属残留物の非限定的な例としては、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが挙げられる。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの上限は、約3.0ppm、他の場合には約2.0ppm、さらに他の場合には約1.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの下限は、約0.03ppm、他の場合には約0.09ppm、さらに他の場合には約0.15ppmであってもよい。
【0062】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~50個の短鎖分岐(SCB1)を有する。さらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~25個の短鎖分岐(SCB1)、又は炭素原子1000個あたり1~15個の短鎖分岐(SCB1)、又は炭素原子1000個あたり1~10個の短鎖分岐(SCB1)を有する。
【0063】
短鎖分岐(すなわち、骨格炭素原子1000個あたりの短鎖分岐、SCB1)は、エチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0064】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い。
【0065】
本開示の一実施形態では、第1のコポリマーの密度は、第2のエチレンコポリマーの密度よりも小さい。
【0066】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.895~0.936g/cm3の密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.895~0.932g/cm3、又は0.895~0.930g/cm3、又は0.895~0.926g/cm3、又は0.900~0.936g/cm3、又は0.900~0.932g/cm3、又は0.900~0.930g/cm3、又は0.900~0.926g/cm3、又は0.910~0.936g/cm3、又は0.910~0.932g/cm3、又は0.910~0.930g/cm3、又は0.910~0.926g/cm3の密度を有する。
【0067】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2よりも小さい。
【0068】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、5.0g/10分以下、又は2.5g/10分以下、又は1.0g/10分以下、又は1.0g/10分未満、又は0.5g/10分以下、又は0.5g/10分未満、又は0.4g/10分以下、又は0.4g/10分未満のメルトインデックスI2を有する。
【0069】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.001~5.0g/10分のメルトインデックスI2を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2は、0.01~5.0g/10分、又は0.01~2.5g/10分、又は0.01~2.0g/10分、又は0.01~1.5g/10分、又は0.01~1.0g/10分、又は0.01~0.5g/10分、又は0.01~0.1g/10分であってもよい。
【0070】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、200,000g/モル超、又は225,000g/モル超、又は250,000g/モル超の重量平均分子量Mwを有する。
【0071】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、200,000~350,000の重量平均分子量Mwを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、200,000~325,000g/モル、又は200,000~300,000g/モル、又は225,000~300,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0072】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、25未満、又は23未満、又は20未満のメルトフロー比I21/I2を有する。
【0073】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの上限は、約2.7、又は約2.5、又は約2.4、又は約2.3、又は約2.2であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの下限は、約1.6、又は約1.7、又は約1.8、又は約1.9であってもよい。
【0074】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、3.0以下、又は3.0未満、又は2.7以下、又は2.7未満、又は2.5以下、又は2.5未満、又は2.3以下、又は2.3未満、又は2.1以下、又は2.1未満、又は約2の分子量分布Mw/Mnを有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.7~3.0の分子量分布Mw/Mnを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.7~2.7、又は1.8~2.7、又は1.8~2.5、又は1.8~2.3、又は1.9~2.1、又は約2.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0075】
本開示の一実施形態では、単一の反応器での溶液相重合中に、少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のCDBI50を有するエチレンコポリマーを与えるシングルサイト触媒が、第1のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0076】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第1のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約5重量%~約60重量%であってもよく、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約40重量%、又は約15重量%~約35重量%、又は約10重量%~約35重量%、又は約20重量%~約30重量%であってもよい。
【0077】
<第2のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、重合エチレン及び少なくとも1種の重合α-オレフィンコモノマーの両方を含み、重合エチレンが大部分を占める。
【0078】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第2のエチレンコポリマーを作製し得るα-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0079】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、シングルサイト触媒を用いて作製され、その非限定的な例としては、ホスフィンイミン触媒、メタロセン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が挙げられ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0080】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、シングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0081】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、溶液相重合プロセスにおいてシングルサイト重合触媒を用いて作製される。
【0082】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、活性金属中心としてチタン(チタニウム)(Ti)を有するシングルサイト触媒を用いて作製される。
【0083】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0084】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、ホスフィンイミン触媒を用いて作製される。
【0085】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、式(II)を有するホスフィンイミン触媒を用いて作製される:
(LA)aM(PI)b(Q)n (II)
(式中、(LA)は、シクロペンタジエニル型配位子を表し;Mは、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される金属原子を表し;PIは、ホスフィンイミン配位子を表し;Qは、上記で既に定義した活性化可能な配位子を表し;aは、0又は1であり;bは、1又は2であり;(a+b)=2であり;nは、1又は2であり;(a+b+n)の合計は、金属Mの価数に等しい)。
【0086】
本明細書において使用される場合、「シクロペンタジエニル型」配位子という用語は、イータ-5(eta-5)(又はいくつかの場合においてはイータ-3(eta-3))結合を介して、金属に結合する少なくとも1つの5炭素環を含有する配位子を含むことを意味する。したがって、「シクロペンタジエニル型」という用語には、例えば、非置換シクロペンタジエニル、一置換又は多置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、単又は多置換インデニル、非置換フルオレニル、及び単又は多置換フルオレニルが含まれる。インデニル及びフルオレニル配位子の水素化型もまた、イータ-5(又はいくつかの場合においてはイータ-3)結合を介して金属に結合する5炭素環がそのままである限り、本開示での使用が想定されている。シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子(又はその水素化型)及びフルオレニル配位子(又はその水素化型)の置換基は、C1-30ヒドロカルビルラジカル(ヒドロカルビルラジカルは、非置換又は例えばハライド及び/又はヒドロカルビル基でさらに置換されていてもよい;例えば、適切な置換C1-30ヒドロカルビルラジカルは、-CH2C6F5などのペンタフルオロベンジル基である);ハロゲン原子;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリール又はアリールオキシラジカル(それぞれ、例えばハライド及び/又はヒドロカルビル基でさらに置換されていてもよい);非置換又は2個までのC1-8アルキルラジカルで置換されたアミドラジカル;非置換又は2個までのC1-8アルキルラジカルで置換されたホスフィドラジカル;式-Si(R’)3のシリルラジカル(式中、各R’は、水素、C1-8アルキル又はアルコキシラジカル、C6-10アリール又はアリールオキシラジカルからなる群から独立して選択される);並びに式-Ge(R’)3のゲルマニルラジカル(式中、R’は上記で定義した通りである)からなる群から選択されてもよい。
【0087】
ホスフィンイミン配位子PIは、以下の式により定義される:
(Rp)3P=N-
式中、Rp基は、水素原子;ハロゲン原子;置換されていない、又は1つ以上のハロゲン原子(複数可)で置換されたC1-20ヒドロカルビルラジカル;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリールラジカル;C6-10アリールオキシラジカル;アミドラジカル;式-Si(Rs)3(式中、Rs基は、水素原子、C1-8アルキル若しくはアルコキシラジカル、C6-10アリールラジカル、C6-10アリールオキシラジカルから独立して選択される)のシリルラジカル、あるいは、式-Ge(RG)3(式中、RG基は、本段落においてRsが定義されているのと同様に定義される)のゲルマニルラジカルから独立して選択される。
【0088】
本開示の一実施形態では、ホスフィンイミン触媒の金属Mは、チタン(チタニウム)(Ti)である。
【0089】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミンチタニウムジクロリド、Cp((t-Bu)3PN)TiCl2である。
【0090】
既に上述したように、シングルサイト触媒分子それ自体に加えて、活性シングルサイト触媒系は、以下のうちの1つ以上をさらに含んでいてもよい:アルキルアルミノキサン共触媒、及びイオン性活性剤、これらは両方とも既に上記で定義したとおりである。シングルサイト触媒系はまた、既に上記で定義したように、任意でヒンダードフェノールも含んでもよい。
【0091】
活性なシングルサイト触媒系を生成するために、シングルサイト触媒分子(例えば、ホスフィンイミンシングルサイト触媒分子)、アルキルアルミノキサン、イオン性活性剤、及び任意のヒンダードフェノールの3つ又は4つの成分の量とモル比を最適化することができる。
【0092】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、長鎖分岐を生成せず、及び/又は第2のコポリマーは、測定可能な量の長鎖分岐を含まない。
【0093】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、マルチサイト触媒系を用いて作製され、その非限定的な例としては、チーグラー・ナッタ触媒及びクロム触媒が挙げられ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0094】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒系を用いて作製される。
【0095】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、溶液相重合プロセスにおいてチーグラー・ナッタ触媒系を用いて作製される。
【0096】
チーグラー・ナッタ触媒系は、当業者によく知られている。チーグラー・ナッタ触媒は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒系又はバッチ式チーグラー・ナッタ触媒系であってもよい。「インライン式チーグラー・ナッタ触媒系」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒系の連続合成と、この触媒を少なくとも1つの連続運転反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒は、エチレンと1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンポリマーを形成する。「バッチ式チーグラー・ナッタ触媒系」又は「バッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒」という用語は、連続運転される溶液重合プロセスの外部にあるか、又はそれらから分離されている、1つ以上の混合容器内における、はるかに大量の触媒又はプロ触媒の合成を指す。調製されたバッチ触媒チーグラー・ナッタ触媒系、又はバッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒は、触媒貯蔵タンクに移される。「プロ触媒(procatalyst)」という用語は、不活性触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指し、プロ触媒は、アルキルアルミニウム共触媒を添加することにより活性触媒に変換される。必要に応じて、プロ触媒は、貯蔵タンクから少なくとも1つの連続運転反応器にポンプで送られ、そこで、活性触媒は、エチレン及び1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンコポリマーを形成する。プロ触媒は、反応器内で、反応器の外部で、又は反応器に向かう途中で、活性触媒に変換されてもよい。
【0097】
多種多様な化合物を使用して、活性チーグラー・ナッタ触媒系を合成することができる。以下に、活性チーグラー・ナッタ触媒系を生成するために組み合わせることができる様々な化合物について説明する。当業者は、本開示における実施形態が、開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0098】
活性チーグラー・ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、クロリド化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒及びアルミニウムアルキルから形成することができる。当業者によって理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒系は、追加の成分を含んでもよく、追加の成分の非限定的な例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0099】
活性なインライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系の非限定的な例は、以下のように調製することができる。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液を、クロリド化合物の溶液と反応させて、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例としては、Mg(R1)2が挙げられ、式中、R1基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。クロリド化合物の非限定的な例としては、R2Clが挙げられ、式中、R2は、水素原子、又は1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、又は環状ヒドロカルビルラジカルを表す。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液に、アルミニウムアルキル化合物が含まれていてもよい。アルミニウムアルキル化合物の非限定的な例としては、Al(R3)3が挙げられ、式中、R3基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。第2のステップでは、金属化合物の溶液を塩化マグネシウムの溶液に添加し、金属化合物を塩化マグネシウム上に担持させる。好適な金属化合物の非限定的な例としては、M(X)n又はMO(X)nが挙げられ、式中、Mは、周期表の4族~8族から選択される金属、又は4族~8族から選択される金属の混合物を表し、Oは、酸素を表し、Xは、クロリド又はブロミドを表し、nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。適切な金属化合物の追加の非限定的な例としては、4族~8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることによって調製することができる)、並びにハロゲン化物、アルキル及びアルコキシド配位子の混合物を含む混合配位子金属化合物が挙げられる。本開示の一実施形態では、適切な金属化合物は、四塩化チタン(TiCl4)である。第3のステップでは、アルキルアルミニウム共触媒の溶液を、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加する。以下の式で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム共触媒が適している:
Al(R4)p(OR9)q(X)r
(式中、R4基は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよく、OR9基は、同一でも異なっていてもよく、アルコキシ基又はアリールオキシ基であってもよく、R9は、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xは、クロリド又はブロミドであり、(p+q+r)=3、ただしpは0より大きい)。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の非限定的な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド又はブロミド、及びエチルアルミニウムジクロリド又はジブロミドが挙げられる。
【0100】
活性インライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系を合成するための上記の段落で説明したプロセスは、様々な溶媒中で行うことができ、溶媒の非限定的な例としては、直鎖状若しくは分枝状C5~C12アルカン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0101】
第2のエチレンコポリマーは、それを作製するために使用される触媒配合物の化学組成を反映する触媒残留物を含む場合がある。当業者であれば、触媒残留物が、典型的には、例えば、第2のエチレンコポリマー(又はポリエチレン組成物;下記参照)中の金属の百万分率によって定量化されることを理解するであろう。ここで、存在する金属は、それを作製するために使用された触媒配合物中の金属に由来する。存在し得る金属残留物の非限定的な例としては、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが挙げられる。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の金属のppmの上限は、約3.0ppm、他の場合には約2.0ppm、さらに他の場合には約1.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の金属のppmの下限は、約0.03ppm、他の場合には約0.09ppm、さらに他の場合には約0.15ppmであってもよい。
【0102】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB2/1000C)が、約0.05~約5.0とすることができる。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個あたりの分岐(SCB2/1000C)が、0.10~3.0、又は0.10~2.5、又は0.10~2.0、又は0.10~1.5、又は0.10~1.0、又は0.10~0.50又は0.05~3.0、又は0.05~2.5、又は0.05~2.0、又は0.05~1.5、又は0.05~1.0、又は0.05~0.50とすることができる。
【0103】
短鎖分岐(すなわち、骨格炭素原子1000個あたりの短鎖分岐、SCB2)は、エチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0104】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)は、第1のエチレンコポリマーの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)よりも少ない。
【0105】
本開示の一実施形態では、第2のコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも大きい。
【0106】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.945~0.975g/cm3の密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.945~0.970g/cm3、又は0.945~0.967g/cm3、又は0.950~0.970g/cm3、又は0.950~0.967g/cm3、又は0.955~0.970g/cm3、又は0.955~0.967g/cm3、又は0.960~0.970g/cm3、又は0.960~0.967g/cm3の密度を有する。
【0107】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2は、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2よりも大きい。
【0108】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10.0g/10分以上、又は10.0g/10分超、又は20.0g/10分以上、又は20g/10分超のメルトインデックスI2を有する。
【0109】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10~1,000のメルトインデックスI2を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI2は、10~500g/10分、又は10~250g/10分、又は10~150g/10分、又は20~500g/10分、又は20~250g/10分、又は20~150g/10分、又は10~100g/10分、又は20~100g/10分である。
【0110】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、75,000g/モル以下、又は60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は45,000g/モル以下の重量平均分子量Mwを有する。
【0111】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、5,000~75,000g/モルの重量平均分子量Mwを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10,000~75,000g/モル、又は15,000~75,000g/モル、又は15,000~65.000g/モル、又は15,000~60,000g/モル、又は15,000~50,000g/モル、又は20,000~60,000g/モル、又は20,000~55,000g/モル、又は20,000~50,000g/モル、又は20,000~45,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0112】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、25未満、又は23未満、又は20未満のメルトフロー比I21/I2を有する。
【0113】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの上限は、約2.7、又は約2.5、又は約2.4、又は約2.3、又は約2.2であってもよい。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの下限は、約1.6、又は約1.7、又は約1.8、又は約1.9であってもよい。
【0114】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、3.0以下、又は3.0未満、又は2.7以下、又は2.7未満、又は2.5以下、又は2.5未満、又は2.3以下、又は2.3未満、又は2.1以下、又は2.1未満、又は約2の分子量分布Mw/Mnを有する。本開示の別の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、1.7~3.0の分子量分布Mw/Mnを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、1.8~2.7、又は1.8~2.5、又は1.8~2.3、又は1.7~2.3、又は1.9~2.1、又は約2.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0115】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、2.3以上、又は2.3超、又は2.5以上、又は2.5超、又は2.7以上、又は2.7超、又は2.9以上、又は2.9超、又は3.0以上、又は3.0の分子量分布Mw/Mnを有する。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、2.3~6.0、又は2.3~5.5、又は2.3~5.0、又は2.3~4.5、又は2.3~4.0、又は2.3~3.5、又は2.3~3.0、又は2.5~5.0、又は2.5~4.5、又は2.5~4.0、又は2.5~3.5、又は2.7~5.0、又は2.7~4.5、又は2.7~4.0、又は2.7~3.5の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0116】
本開示の一実施形態では、単一の反応器での溶液相重合中に、少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のCDBI50を有するエチレンコポリマーを与えるシングルサイト触媒が、第2のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0117】
本開示の一実施形態では、単一の反応器での溶液相重合中に、60重量%未満、又は50重量%未満のCDBI50を有するエチレンコポリマーを与えるマルチサイト触媒が、第2のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0118】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第2のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約95重量%~約40重量%であってもよく、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約95重量%~約50重量%、又は約90重量%~約40重量%、又は約85重量%~約50重量%、又は約90重量%~約60重量%、又は約85重量%~約60重量%、又は約85重量%~約65重量%であってもよい。
【0119】
<ポリエチレン組成物>
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(それぞれ上記で定義した通り)を含む。
【0120】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、当技術分野において任意の周知の技術を用いて作製することができ、これには、第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーとを一緒にするための溶融ブレンド、溶液ブレンド、又は反応器内ブレンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いて第1のエチレンコポリマーを生成し、第2の反応器内で、シングルサイト触媒を用いて第2のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0122】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いて第1のエチレンコポリマーを生成し、第2の反応器内で、マルチサイト触媒を用いて第2のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0123】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0124】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0125】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0126】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること、によって作製される。
【0127】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0128】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0129】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに並列に構成されている。
【0130】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、第1の溶液相重合反応器内で、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、第2の溶液相重合反応器内で、マルチサイト触媒を用いてエチレンとα-オレフィンとを重合することにより、第2のエチレンコポリマーを形成すること;によって作製され、第1及び第2の溶液相重合反応器は、互いに並列に構成されている。
【0131】
実施形態では、第1の溶液相反応器として使用される溶液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器又は管状反応器である。
【0132】
一実施形態では、第2の溶液相反応器として使用される溶液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器又は管状反応器である。
【0133】
溶液重合では、モノマーは、反応器に供給される前に溶媒中に溶解/分散される(又はガス状モノマーの場合は、モノマーを反応器に供給して、反応混合物に溶解させてもよい)。混合する前に、溶媒とモノマーは、一般に、水、酸素、金属不純物などの潜在的な触媒毒を除去するために精製される。供給原料の精製は、当技術分野の標準的な慣行に従う。例えば、モノマーの精製には、モレキュラーシーブ、アルミナ床、及び酸素除去触媒を使用する。溶媒自体(例えば、メチルペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン)も同様の方法で処理することが好ましい。
【0134】
供給原料は、反応器に供給する前に加熱又は冷却してもよい。
【0135】
一般に、触媒成分は、反応用の溶媒中で予備混合してもよく、又は別個の流れ(stream)として反応器に供給してもよい。場合によっては、重合反応ゾーンに入る前に、触媒成分の反応時間を確保するために、触媒成分を予備混合することが望ましいこともある。このような「インライン混合」技術は、当業者にはよく知られている。
【0136】
エチレンの重合又は共重合のための溶液重合プロセスは、当技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第6,372,864号及び第6,777,509号参照)。これらのプロセスは、不活性炭化水素溶媒の存在下で行われる。溶液相重合反応器では、様々な溶媒をプロセス溶媒として使用することができ、非限定的な例としては、直鎖状、分岐状又は環状のC5~C12アルカンが挙げられる。適切な触媒成分溶媒としては、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素が挙げられる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例としては、直鎖状、分岐状又は環状のC5~C12脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せが挙げられる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、デュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0137】
本開示の実施形態では、従来の溶液プロセスにおける重合温度は、約80℃~約300℃であってもよい。本開示の一実施形態では、溶液プロセスにおける重合温度は、約120℃~約250℃である。
【0138】
本開示の実施形態では、溶液プロセスにおける重合圧力は、「中圧プロセス」であってもよく、これは、反応器内の圧力が約6,000psi(約42,000キロパスカル又はkPa)未満であることを意味する。本開示の実施形態では、溶液プロセスにおける重合圧力は、約10,000~約40,000kPa、又は約14,000~約22,000kPa(すなわち、約2000psi~約3,000psi)であってもよい。
【0139】
本開示の実施形態では、溶液相重合プロセスにおけるエチレンとの共重合に適したコモノマー(すなわち、α-オレフィン)には、C3-20モノ-オレフィン及びジ-オレフィンが含まれる。本開示の実施形態では、エチレンと共重合され得るコモノマーには、非置換又は最大2個のC1-6アルキルラジカルによって置換されているC3-12α-オレフィン、非置換又はC1-4アルキルラジカルからなる群から選択される最大2個の置換基によって置換されているC8-12ビニル芳香族モノマー、非置換又はC1-4アルキルラジカルで置換されているC4-12直鎖状又は環状ジオレフィンが含まれる。本開示のさらなる実施形態では、エチレンと共重合され得るα-オレフィンは、1つ以上のプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセン、スチレン、アルファメチルスチレン、及び拘束環状オレフィンであり、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン、アルケニル置換ノルボルネンなど(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン)である。
【0140】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
【0141】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
【0142】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、エチレンと1-オクテンとを含む。
【0143】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.01~5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05~5.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~2.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~1.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.05~1.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~2.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~1.5モルパーセントの1つ以上のα-オレフィン、又は0.1~1.0モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを有する。
【0144】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05~5.0モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~2.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~1.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.05~1.0モルパーセントの1-オクテン、又は0.1~2.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.1~1.5モルパーセントの1-オクテン、又は0.10~1.0モルパーセントの1-オクテンを有する。
【0145】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(上記で定義される)を含むポリエチレン組成物は、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、少なくとも5.0(すなわち、SCB1/SCB2≧5.0)である。本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)の第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)に対する比は、少なくとも7.5、又は7.5より大きい。本開示のなおさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)の第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)に対する比は、少なくとも10.0、又は10.0より大きい。
【0146】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、65,000~250,000g/モルの重量平均分子量MWを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、75,000~200,000g/モル、又は65,000~175,000g/モル、又は75,000~150,000g/モル、又は65,000~150,000g/モル、又は75,000~125,000g/モル、又は65,000~125,000g/モル、又は85,000~125,000g/モル、又は90,000~125,000g/モルの重量平均分子量MWを有する。
【0147】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は50,000g/モル未満、又は45,000g/モル以下、又は45,000g/モル未満、又は40,000g/モル以下、又は40,000g/モル未満、又は35,000g/モル以下、又は35,000g/モル未満、又は30,000g/モル以下、又は30,000g/モル未満、又は25,000g/モル以下、又は25,000g/モル未満の数平均分子量Mnを有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、5,000~60,000g/モルの数平均分子量Mnを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、10,000~55,000g/モル、又は10,000~50,000g/モル、又は15,000~50,000g/モル、又は15,000~45,000g/モル、又は15,000~40,000g/モル、又は15,000~35,000g/モル、又は15,000~30,000g/モル、又は15,000~25,000g/モルの数平均分子量Mnを有する。
【0148】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000g/モル以上、又は275,000g/モル以上、又は300,000g/モル以上のZ平均分子量Mzを有する。
【0149】
本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000~600,000g/モルのZ平均分子量Mzを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、250,000~550,000g/モル、又は275,000~500,000g/モル、又は275,000~475,000g/モル、又は275,000~450,000g/モル、又は300,000~475,000g/モル、又は300,000g/モル~450,000g/モルのZ平均分子量Mzを有する。
【0150】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析において、二峰性プロファイル(すなわち、二峰性分子量分布)を有する。
【0151】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル浸透クロマトグラフにおいて、二峰性プロファイルを有する。
【0152】
「単峰性」という用語は、本明細書では、GPC曲線において、明らかな有意なピーク又は極大値が1つだけあることを意味すると定義される。対照的に、「二峰性」という用語の使用は、第1のピークに加えて、より高い又はより低い分子量成分を表す第2のピーク又はショルダーがあることを伝えることを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線に2つの極大値があると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つの極大値が存在することを意味する。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つ以上、典型的には2つを超える極大値が存在することを意味する。
【0153】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、7.0以下、又は7.0未満、又は6.5以下、又は6.5未満、又は6.0以下、又は6.0未満、又は5.5以下、又は5.5未満、又は5.0以下、又は5.0未満の分子量分布Mw/Mnを有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.9~7.5の分子量分布Mw/Mnを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、3.0~7.0、又は3.0~6.5、又は3.0~6.0、又は3.5~7.0、又は3.5~6.5、又は3.5~6.0、又は4.0~7.0、又は4.0~6.5、又は4.0~6.0の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0154】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.5超、又は2.6超、又は2.7超、又は2.8超、又は2.9超、又は3.0超のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する。
【0155】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.5~5.0のZ平均分子量分布Mz/Mwを有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.7~4.5、又は2.8~4.5、又は3.0~4.5、又は3.0~5.0のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する。
【0156】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、0.945g/cm3以上、又は0.948g/cm3以上、又は0.949g/cm3以上、又は0.950g/cm3以上の密度を有する。
【0157】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.945~0.970g/cm3の密度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.948~0.970g/cm3、又は0.949~0.970g/cm3、又は0.950~0.970g/cm3、又は0.945~0.965g/cm3、又は0.948~0.965g/cm3、又は0.949~0.965g/cm3、又は0.950~0.965g/cm3、又は0.945~0.960g/cm3、又は0.948~0.960g/cm3、又は0.949~0.960g/cm3、又は0.950~0.960g/cm3、又は0.948~0.957g/cm3、又は0.949~0.957g/cm3の密度を有する。
【0158】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.001~5.0g/10分のメルトインデックスI2を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のメルトインデックスI2は、0.01~5.0g/10分、又は0.1~5.0g/10分、又は0.01~4.0g/10分、又は0.1~4.0g/10分、又は0.01~2.5g/10分、又は0.1~2.5g/10分、又は0.5~5.0g/10分、又は0.8~5.0g/10分、又は0.5~4.0g/10分、又は0.8~4.0g/10分、又は0.8~2.5g/10分、又は1.0~5.0g/10分、又は1.0~4.0g/10分、又は1.0~2.5g/10分であってもよい。
【0159】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、少なくとも65g/10分、又は少なくとも70g/10分、又は少なくとも80g/10分、又は少なくとも90g/10分の高荷重メルトインデックスI21を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、60~160g/10分の高荷重メルトインデックスI21を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物の高荷重メルトインデックスI21は、65~160g/10分、又は70~160g/10分、60~150g/10分、又は65~150g/10分、又は70~150g/10分、又は80~150g/10分、又は90~150g/10分、又は60~130g/10分、又は60~120g/10分、又は70~130g/10分であってもよい。
【0160】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、50以上、又は50超、又は55以上、又は55超、又は60以上、又は60超のメルトフロー比I21/I2を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、50~140のメルトフロー比I21/I2を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、50~130、又は50~120、又は50~110、又は60~130、又は60~120のメルトフロー比I21/I2を有する。
【0161】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、逆又は部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有する。GPC-FTIRを用いて測定されるように、コモノマーの取り込みが分子量とともに減少する場合、分布は「正常」と記載される。GPC-FTIRを用いて測定されるように、コモノマーの取り込みが分子量に対してほぼ一定である場合、コモノマーの分布は「フラット」又は「均一」と記載される。「逆コモノマー分布」及び「部分的に逆コモノマー分布」という用語は、コポリマーについて得られたGPC-FTIRデータにおいて、1つ以上の低分子量成分よりも高いコモノマー取り込みを有する1つ以上の高分子量成分が存在することを意味する。「逆コモノマー分布(逆転したコモノマー分布)」という用語は、本明細書では、エチレンコポリマーの分子量範囲にわたって、様々なポリマー画分のコモノマー含有量が実質的に均一ではなく、その高分子量画分が比例的により高いコモノマー含有量を有することを意味するために使用される(すなわち、コモノマーの取り込みが分子量とともに上昇する場合、その分布は、「逆(reverse)」又は「逆転した(reversed)」として記載される)。コモノマーの取り込みが分子量の増加とともに上昇し、その後低下する場合でも、コモノマーの分布は「逆」と見なされるが、「部分的に逆」として記載されてもよい。部分的に逆のコモノマー分布は、ピーク又は極大値を示す。
【0162】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、逆転したコモノマー分布プロファイルを有する。
【0163】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、部分的に逆転したコモノマー分布プロファイルを有する。
【0164】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、60重量%超、又は70重量%超、又は80重量%超である。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、60~98重量%、又は70~90重量%、又は80~90重量%である。
【0165】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、60重量%未満、又は50重量%未満である。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のCDBI50は、30~55重量%、又は30~50重量%、又は35~55重量%、又は35~50重量%である。
【0166】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)(ポリエチレン組成物の重量に基づく、ハフニウム金属のppm)の上限は、約3.0ppm、又は約2.5ppm、又は約2.4ppm、又は約2.0ppm、又は約1.5ppm、又は約1.0ppm、又は約0.75ppm、又は約0.5ppmであってもよい。
【0167】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)(ポリエチレン組成物の重量に基づく、ハフニウム金属のppm)の下限は、約0.0015ppm、又は約0.0050ppm、又は約0.0075ppm、又は約0.010ppm、又は約0.015ppm、又は約0.030ppm、又は約0.050ppm、又は約0.075ppm、又は約0.100ppm、又は約0.150ppm、又は約0.175ppm、又は約0.200ppmであってもよい。
【0168】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.0015~2.4ppmのハフニウム、又は0.0050~2.4ppmのハフニウム、又は0.0075~2.4ppmのハフニウム、又は0.010~2.4ppmのハフニウム、又は0.015~2.4ppmのハフニウム、又は0.050~3.0ppmのハフニウム、又は0.050~2.4ppmのハフニウム、又は0.050~2.0ppmのハフニウム、又は0.050~1.5ppmのハフニウム、又は0.050~1.0ppmのハフニウム、又は0.050~0.75ppmのハフニウム、又は0.075~2.4ppmのハフニウム、又は0.075~2.0ppmのハフニウム、又は0.075~1.5ppmのハフニウム、又は0.075~1.0ppmのハフニウム、又は0.075~0.75ppmのハフニウム、又は0.100~2.0ppmのハフニウム、又は0.100~1.5ppmのハフニウム、又は0.100~1.0ppmのハフニウム、又は0.100~0.75ppmのハフニウムを有する。
【0169】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、少なくとも0.0015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.005ppmのハフニウム、又は少なくとも0.0075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.030ppmのハフニウム、又は少なくとも0.050ppmのハフニウム、又は少なくとも0.075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.100ppmのハフニウム、又は少なくとも0.125ppmのハフニウム、又は少なくとも0.150ppmのハフニウム、又は少なくとも0.175ppmのハフニウム、又は少なくとも0.200ppmのハフニウム、又は少なくとも0.300ppmのハフニウム、又は少なくとも0.350ppmのハフニウムを有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、5.0ppm未満のチタン(ポリエチレン組成物の重量に基づく、チタン金属のppm)、又は4.0ppm未満のチタン、又は3.0ppm未満のチタン、又は3.0ppm未満のチタン、又は2.0ppm未満のチタン、又は1.0ppm未満のチタン、又は0.5ppm未満のチタン、又は0.3ppm未満のチタンを有する。
【0170】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、25.0ppm未満のアルミニウム(ポリエチレン組成物の重量に基づく、アルミニウム金属のppm)、又は20.0ppm未満のアルミニウム、又は15.0ppm未満のアルミニウム、又は10.0ppm未満のアルミニウムを有する。
【0171】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、15.0ppm未満のマグネシウム(ポリエチレン組成物の重量に基づく、マグネシウム金属のppm)、又は10.0ppm未満のマグネシウム、又は5.0ppm未満のマグネシウム、又は1ppm未満のマグネシウムを有する。
【0172】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、本明細書に開示される長鎖分岐係数(LCBF)によって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFの上限は、0.5000、又は0.4000、又は0.3000(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFの下限は、0.0010、又は0.0020、又は0.0050、又は0.0100、又は0.0500、又は0.1000(無次元)であってもよい。
【0173】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFは、少なくとも0.0010、又は少なくとも0.0020、又は少なくとも0.0050、又は少なくとも0.0070、又は少なくとも0.0100、又は少なくとも0.0200、又は少なくとも0.0250である。
【0174】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBF(無次元)は、0.0010を超え、又は0.0050を超え、又は0.0100を超え、又は0.0200を超えてもよい。
【0175】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のLCBFは、0.0010~0.5000、又は0.0010~0.1000、又は0.0050~0.5000、又は0.0050~0.1000、又は0.0070~0.5000、又は0.0050~0.2500、又は0.0070~0.2500、又は0.0100~0.5000、又は0.0100~0.2500、又は0.0050~0.1000、又は0.0070~0.1000、又は0.0100~0.1000であってもよい。
【0176】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、少なくとも2.0cN、又は少なくとも2.5cN、又は少なくとも3.0cNの溶融強度を有する。
【0177】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、少なくとも900MPa、又は少なくとも1000MPa、又は少なくとも1100MPa、又は少なくとも1200MPaの、1%での曲げ割線弾性率を有する。
本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、900~1600MPaの、1%での曲げ割線弾性率を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、1000MPa~1500MPa、又は1000MPa~1400MPa、又は1100MPa~1500MPa、又は1100MPa~1400MPa、又は1200MPa~1500MPa、又は1200MPa~1400MPaの、1%での曲げ割線弾性率を有する。
【0178】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、少なくとも900MPa、又は少なくとも1000MPa、又は少なくとも1100MPa、又は少なくとも1200MPaの、1%での引張割線弾性率を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、900~1600MPaの、1%での引張割線弾性率を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、900~1500MPa、又は1000~1500MPa、又は900~1400MPa、又は1000~1400MPa、又は1100~1500MPa、又は1200~1500MPa、又は1100~1400MPa、又は1200~1400MPaの、1%での引張割線弾性率を有する。
【0179】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、1.0フィート・ポンド/インチ以上、又は1.0フィート・ポンド/インチ超、又は1.5フィート・ポンド/インチ以上、又は1.5フィート・ポンド/インチ超、又は2.0フィート・ポンド/インチ以上、又は2.5フィート・ポンド/インチ超、又は3.0フィート・ポンド/インチ以上、又は3.0フィート・ポンド/インチ超のIZOD衝撃強度を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、1.0~8フィート・ポンド/インチのIZOD衝撃強度を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、1.5~8フィート・ポンド/インチ、又は1.5~6フィート・ポンド/インチ、又は1.5~5.5フィート・ポンド/インチのIZOD衝撃強度を有する。
【0180】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、100%IGEPAL CO-630中、条件Aでの、400時間超、又は600時間超、又は800時間超、又は1000時間超、又は1100時間超の環境応力亀裂抵抗(ESCR)を有する。
【0181】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、100%IGEPAL CO-630中、条件Bでの、400時間超、又は600時間超、又は800時間超、又は1000時間超、又は1100時間超の環境応力亀裂抵抗(ESCR)を有する。
【0182】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件Bの両方で決定された環境応力亀裂抵抗(ESCR)が、400時間超、又は600時間超、又は800時間超、又は1000時間超、又は1100時間超である。
【0183】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物又はポリエチレン組成物から作製されたプラークは、100%IGEPAL CO-630中、条件A又は条件Bのいずれかで決定された環境応力亀裂抵抗(ESCR)が、400時間超、又は600時間超、又は800時間超、又は1000時間超、又は1100時間超である。
【0184】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、5.0を超え、又は7.5以上、又は10.0以上、又は15.0以上、又は20.0以上のせん断減粘指数SHI(1,100)を有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、7.5~40のせん断減粘指数SHI(1,100)を有し、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、10.0~40.0、又は7.5~35.0、又は10.0~35.0、又は15.0~40.0、又は15.0~35.0のせん断減粘指数SHI(1,100)を有する。
【0185】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05rad/sでの相対弾性率G’/G’’≦0.75、又は≦0.70、又は≦0.60、又は≦0.5を有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05rad/sでの相対弾性率G’/G’’が0.25~0.75であり、この範囲内の任意の狭い範囲及びこれらの範囲に包含される任意の値を含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、0.05rad/sでの相対弾性率G’/G’’が、0.25~0.60、又は0.25~0.55、又は0.25~0.50である。
【0186】
添加剤は、押出工程又はコンパウンド工程中に、ポリエチレン組成物に添加することができるが、他の適切な公知の方法は当業者には明らかであろう。添加剤は、そのまま添加することもできるし、押出工程やコンパウンド工程中に添加される別個のポリマー成分(すなわち、上記の第1又は第2のエチレンポリマーではない)の一部として添加することもできる。適切な添加剤は当技術分野で知られており、酸化防止剤、亜リン酸塩及び亜ホスホン酸塩、ニトロン、制酸剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、染料、充填剤及び補強剤、ナノスケールの有機材料又は無機材料、帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、エルシミドなどのスリップ添加剤、及び核形成剤(核剤、顔料、又はポリエチレン組成物に核形成効果を与える可能性のあるその他の化学物質を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。任意に添加できる添加剤は、典型的には、最大20重量%(wt%)の量で添加される。
【0187】
1つ以上の核形成剤を、ポリマー(通常は粉末又はペレットの形態)と核形成剤との混合物を混練することによって、ポリエチレン組成物に導入することができる。この核形成剤は、単独で、又は安定剤、顔料、帯電防止剤、UV安定剤及び充填剤などのさらなる添加剤を含む濃縮物の形態で利用することができる。これは、ポリマーに湿潤又は吸収され、ポリマーに不溶で、ポリマーの融点よりも高い融点を有する材料でなければならず、できるだけ微細な形態(1~10μm)でポリマー溶融物中に均一に分散できるものでなければならない。ポリオレフィンの核形成能を有することが知られている化合物としては、脂肪族一塩基酸若しくは二塩基酸又はアリールアルキル酸の塩(コハク酸ナトリウム又はフェニル酢酸アルミニウムなど);及び芳香族又は脂環式カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルミニウム塩(β-ナフトエ酸ナトリウムなど)が挙げられる。核形成能を有することが知られている別の化合物として、安息香酸ナトリウムがある。核形成の効果は、結晶子が凝集してできた球晶のサイズの縮小の程度を観察することによって、顕微鏡的にモニターすることができる。
【0188】
市販されており、ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤の例としては、ジベンジリデンソルビタールエステル(例えば、Milliken Chemicalから商標MILLAD(登録商標)3988で販売されている製品、及びCiba Specialty Chemicalsから商標IRGACLEAR(登録商標)で販売されている製品など)が挙げられる。ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤のさらなる例としては、米国特許第5,981,636号に開示されている環状有機構造(及びその塩、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸二ナトリウム);米国特許第5,981,636号に開示されている構造の飽和バージョン(米国特許第6,465,551号に開示されているもの;Zhao他からMillikenへ);米国特許第6,599,971号(Dotson他からMillikenへ)に開示されているヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有する特定の環状ジカルボン酸の塩;並びに、米国特許第5,342,868号に開示され、旭電化工業からNA-11及びNA-21の商品名で販売されているようなリン酸エステル、米国特許第6,599,971号に開示されているHHPA構造の二価金属塩又はメタロイド塩(特に、カルシウム塩)などの環状ジカルボン酸塩及びその塩、が挙げられる。明確にするため、HHPA構造は一般に、環内に6個の炭素原子を有する環構造と、環構造の隣接原子における置換基である2個のカルボン酸基とを含む。米国特許第6,599,971号に開示されているように、環内の他の4個の炭素原子は置換されていてもよい。一例は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)である。ポリエチレン組成物に添加できる核形成剤のさらなる例としては、国際公開第2015/042561号、国際公開第2015/042563号、国際公開第2015/042562号、及び国際公開第2011/050042号に開示されているものが挙げられる。
【0189】
上述した核形成剤の多くは、核形成されるポリエチレン組成物と混合するのが困難な場合があり、この問題を軽減するために、例えばステアリン酸亜鉛などの分散助剤を使用することが知られている。
【0190】
本開示の一実施形態では、核形成剤は、ポリエチレン組成物中に良好に分散されている。
【0191】
本開示の一実施形態では、使用される核形成剤の量は比較的少量(5~3000重量ppm(ポリエチレン組成物の重量に基づく))であるため、核形成剤が良好に分散されるように何らかの注意を払わなければならないことが当業者には理解されよう。本開示の一実施形態では、核形成剤は、混合を容易にするために、ポリエチレン組成物に細かく分割された形態(50ミクロン未満、特に10ミクロン未満)で添加される。このタイプの「物理的ブレンド」(すなわち、固体形態の核形成剤と樹脂との混合物)は、一般に、核剤の「マスターバッチ」(ここで、「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(この場合、核剤)を少量のポリエチレン組成物樹脂と溶融混合し、次いで「マスターバッチ」をポリエチレン組成物樹脂の残りのバルクと溶融混合する実施態様を指す)を使用するよりも好ましい。
【0192】
本開示の一実施形態では、核形成剤などの添加剤は、「マスターバッチ」の方法でポリエチレン組成物に添加されてもよく、ここで、「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(例えば、核剤)を少量のポリエチレン組成物と溶融混合し、続いて「マスターバッチ」をポリエチレン組成物の残りのバルクと溶融混合する実施態様を指す。
【0193】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、核形成剤又は核形成剤の混合物をさらに含む。
【0194】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、成形品の形成に使用される。例えば、回転成形、連続圧縮成形、射出成形によって形成された成形品が考えられる。このような成形品には、例えば、回転成形によるタンク、圧縮成形又は射出成形によるボトル用のキャップ、スクリューキャップ、及びクロージャが含まれる。しかしながら、当業者であれば、上述の組成物が、限定されるものではないが、フィルム、射出ブロー成形、ブロー成形、シート押出成形、発泡体射出成形、及び発泡体押出成形シート用途などの他の用途にも使用できることを理解するであろう。
【0195】
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、成形品に変換することができる。
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、押出成形品に変換することができる。
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、押出コーティング成形品に変換することができる。
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、回転成形品に変換することができる。
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、発泡成形品に変換することができる。
【0196】
別の実施形態では、そして回転成形(品)の代替として、本開示のポリエチレン組成物を使用して、圧縮成形又は射出成形プロセスによって成形品を製造することができる。
【0197】
一実施形態では、本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、キャップ又はクロージャに変換することができる。
【0198】
<発泡成形品(Foamed Articles)>
発泡ポリエチレンは、典型的には、その密度に基づいて特徴付けられる。軟質、あるいは低密度の発泡ポリエチレンは、典型的には、同じく低密度を有することを特徴とするポリエチレン樹脂から調製される。一方、硬質発泡体は構造用途に使用できる。高密度であることを特徴とする硬質発泡ポリエチレンは、一般に低密度の発泡ポリエチレンよりも高い引張強度と圧縮強度を提供する。発泡ポリオレフィンは、成形部品の設計において、部品全体の重量を軽減する機会を提供するだけでなく、断熱性と防音性の両方の特性を向上させるという利点をもたらす可能性がある。高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)は、軟質発泡成形品の調製によく使用される。直鎖状低密度ポリエチレンポリマー(LLDPE)も、様々な発泡用途に使用される。樹脂、発泡剤、成形設備、部品設計の選択はすべて、成形品の性能に影響する。
【0199】
発泡ポリオレフィンを調製するために使用される既知のプロセスには、シート押出成形、インフレーションーフィルム押出成形及びキャストフィルム押出成形、射出成形、回転成形、及び圧縮成形が含まれ、これらのプロセスは全て、本明細書に開示されるポリエチレン組成物を使用して発泡成形品を調製するために、本開示の実施形態で使用することが想定されている。
【0200】
当業者には知られているように、発泡ポリエチレン構造を製造するために発泡剤が使用され、発泡剤は物理的又は化学的な性質のものでよい。物理発泡剤は、典型的には、最初にポリマー溶融物に溶解し、その後、発泡プロセス中の圧力変化(減圧)により気泡構造を形成する際に分離される気体である。物理発泡剤の例としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、フルオロカーボン、ヘリウム、及びブタンやペンタンなどの炭化水素が挙げられる。化学発泡剤は、発泡操作中に分解してガスを生成し、その後、気泡構造を形成する化学物質である。このような化学発泡剤の例としては、合成アゾ系分子、カーボネート系分子、及びヒドラジド系分子が挙げられる。典型的には、発泡剤の分解により、窒素、二酸化炭素、及び/又は水(蒸気)などのガスが発生する。発泡プロセス中に、化学発泡剤は、混合物をその分解温度を超える温度に加熱することによって活性化され得る。発泡性ポリエチレン組成物中の化学発泡剤の量は、通常、必要とされる発泡密度に基づいて選択される。
【0201】
一般に、溶融強度が高いほどポリマーの発泡プロセスと発泡品質が向上することはよく知られている。高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)には、通常、長鎖分岐が含まれており、これにより溶融強度が向上し、発泡プロセスが促進される。ただし、HPLDPE樹脂は、密度が比較的低いため、最終用途での使用が制限される場合がある。対照的に、理論に束縛されることを望まないが、本開示のポリエチレン組成物は、発泡用途に望ましいレオロジー特性及び溶融強度を示す。
【0202】
<回転成形品(Rotomolded Articles)>
典型的には、回転成形プロセスで使用するために、ポリエチレン組成物を粉末又はペレットの形態で製造する。回転成形プロセスは、ポリエチレン組成物を製造するためのプロセス工程をさらに含んでもよい。回転成形には、粉末が好ましく使用され、その粒径は35USメッシュ以下であってもよい。好ましくは、ポリマー組成物の粉砕を極低温で行ってもよい。その後、ポリマー粉末を中空の金型内に入れ、金型を回転させながら金型内で加熱する。金型は、通常、二軸方向に回転される。すなわち、2つの垂直軸を中心に同時に回転する。金型は、典型的には、(一般に強制空気循環オーブンを用いて)外部から加熱される。一般に、回転成形プロセス工程には、ポリマー粉末のタンブリング、加熱、及び溶融することが含まれ、続いて合体、融着又は焼結すること、及び冷却して成形品を取り出すことが含まれる。
【0203】
本開示のポリエチレン組成物は、本開示の特定の実施形態において、市販の回転成形機で加工することができる。使用される時間と温度は、回転成形される部品の厚さを含む要因に依存し、当業者であれば、適切な処理条件を容易に決定することができる。いくつかの非限定的な例を挙げると、加熱工程中のオーブンの温度範囲は、400°F~800°F、又は約500°F~約700°F、又は約575°F~約650°Fとすることができる。
【0204】
加熱工程の後、金型を冷却する。部品を金型から簡単に取り外して形状を維持できるように、部品を十分に冷却する必要がある。金型を回転させながら、オーブンから金型を取り出してもよい。まず金型に冷風を吹き付ける。空気は周囲温度であってもよい。制御された時間、空気が金型を冷却し始めた後、水スプレーを使用してもよい。水により金型が急速に冷却される。使用する水は冷たい水道水の温度であってもよく、例えば約4℃(40°F)~約16℃(60°F)であってもよい。水冷工程の後に、別の空冷工程を行ってもよい。これは、水分の蒸発時に熱を奪って装置を乾燥させる短い工程である場合がある。
【0205】
加熱と冷却のサイクル時間は、使用する装置と成形される物品によって異なる。特定の要因には、金型材料における部品の厚さが含まれる。非限定的な例を挙げると、鋼製金型内で厚さ1/8インチの部品を用いた場合の条件は、以下の通りであってもよい:金型を、オーブン内で約316℃(600°F)の空気を用いて約15分間加熱し;次いで、部品を、周囲温度の強制空冷で約8分間冷却し、その後、約10℃(50°F)の水道水を約5分間スプレーして冷却する;任意選択で、部品を、周囲温度の強制空冷でさらに2分間冷却してもよい。
【0206】
加熱工程及び冷却工程の間、成形品を含む金型は、好ましくは連続的に回転される。典型的には、これは2つの垂直軸に沿って行われる。各軸を中心とした金型の回転速度は、機械の能力と成形される物品の形状によって制限される。本開示で使用することができる典型的な非限定的な操作範囲は、長軸と短軸の回転比を約1:8から10:1、又は約1:2から8:1とすることである。
【0207】
回転成形プロセスを使用して作製することができる成形品の非限定的な例としては、カスタムタンク、水タンク、カート、輸送用ケース及びコンテナ、クーラー、スポーツ及びレクリエーション用具(ボート、カヤックなど)、玩具、遊具が挙げられる。
【0208】
回転成形品の望ましい物理的特性は、対象となる用途によって異なる。望ましい特性の非限定的な例としては、曲げ弾性率(1%及び2%割線弾性率)、環境応力亀裂抵抗(ESCR)、ショア硬度、熱たわみ温度(HDT)、VICAT軟化点、IZOD衝撃強度、ARM耐衝撃性、及び色(白色度及び/又は黄色度指数)が挙げられる。
【0209】
本開示の一実施形態では、0.8~4.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレン組成物を使用して、約500~22,000リットルの内容積を有する回転成形品を調製する。
【0210】
本開示の一実施形態では、回転成形品を作製するためのプロセスは、以下の工程を含む:(i)ポリエチレン組成物を金型に充填する工程;(ii)金型をオーブン内で280℃を超える温度に加熱する工程;(iii)金型を少なくとも2つの軸の周りに回転させる工程;(iv)金型が回転している間に金型を冷却する工程;及び(v)金型を開いて回転成形品を取り出す工程。
【0211】
<添加剤及び補助剤-回転成形品>
記載されたポリエチレン組成物及び製造された回転成形品は、その意図された用途に応じて、添加剤及び補助剤を任意に含んでもよい。添加剤は、押出工程又はコンパウンド工程中にポリエチレン組成物に添加することができるが、他の適切な公知の方法は当業者には明らかであろう。添加剤は、そのまま添加することもできるし、押出工程又はコンパウンド工程中に添加される別個のポリマー成分の一部として添加することもできる。添加剤及び補助剤の非限定的な例としては、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填剤、光安定剤、熱安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核形成剤及びそれらの組合せが挙げられる。適切な一次酸化防止剤の非限定的な例としては、IRGANOX(登録商標)1010[CAS登録番号6683-19-8]及びIRGANOX1076[CAS登録番号2082-79-3]が挙げられる;いずれもBASF Corporation(フローラム・パーク、ニュージャージー州、米国)から入手可能である。適切な二次酸化防止剤の非限定的な例としては、BASF Corporation(フローラム・パーク、ニュージャージー州、米国)から入手可能なIRGAFOS(登録商標)168[CAS Reg.No.31570-04-4];Addivant(ダンベリー、コネチカット州、米国)から入手可能なWESTON(登録商標)705[CAS Reg.No.939402-02-5]、及び、Dover Chemical Corporation(ドーバー、オハイオ州、米国)から入手可能なDOVERPHOS(登録商標)IGP-11[CAS Reg.No.1227937-46-3]が挙げられる。任意に添加できる添加剤は、典型的には、最大20重量%(wt%)の量で添加される。
【0212】
1つ以上の核形成剤を、ポリマー(通常は粉末又はペレットの形態)と核形成剤との混合物を混練することによって、ポリエチレン組成物に導入することができる。この核形成剤は、単独で、又は安定剤、顔料、帯電防止剤、UV安定剤及び充填剤などのさらなる添加剤を含む濃縮物の形態で利用することができる。これは、ポリマーに湿潤又は吸収され、ポリマーに不溶で、ポリマーの融点よりも高い融点を有する材料でなければならず、できるだけ微細な形態(1~10μm)でポリマー溶融物中に均一に分散できるものでなければならない。ポリオレフィンの核形成能を有することが知られている化合物としては、脂肪族一塩基酸若しくは二塩基酸又はアリールアルキル酸の塩(コハク酸ナトリウム又はフェニル酢酸アルミニウムなど);及び芳香族又は脂環式カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルミニウム塩(β-ナフトエ酸ナトリウムなど)が挙げられる。核形成能を有することが知られている別の化合物として、安息香酸ナトリウムがある。核形成の効果は、結晶子が凝集してできた球晶のサイズの縮小の程度を観察することによって、顕微鏡的にモニターすることができる。
【0213】
本開示の実施形態では、記載されるポリエチレン組成物及び製造された回転成形品は、酸化防止剤、亜リン酸塩及び亜ホスホン酸塩、ニトロン、制酸剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、染料、充填剤及び補強剤、ナノスケールの有機材料又は無機材料、帯電防止剤、ステアリン酸亜鉛などの離型剤、並びに核形成剤(核剤、顔料、又はポリエチレン組成物に核形成効果を与える可能性のあるその他の化学物質を含む)を含む群から選択される添加剤を含んでもよい。
【0214】
本開示の実施形態では、添加することができる添加剤は、最大20重量%(wt%)の量で添加される。
【0215】
添加剤は、押出工程又はコンパウンド工程中に、ポリエチレン組成物に添加することができるが、他の適切な公知の方法は当業者には明らかであろう。添加剤は、そのまま添加することもできるし、押出工程やコンパウンド工程中に添加される別個のポリマー成分の一部として添加することもできる。
【0216】
本開示のポリエチレン組成物に添加することができ、回転成形品に使用される添加剤のより詳細なリストを以下に示す:
【0217】
<亜リン酸塩(ホスファイト)(例:アリールモノホスファイト)>
本明細書で使用される場合、アリールモノホスファイトという用語は、(1)分子あたりリン原子を1個だけ含み;(2)リンに結合している少なくとも1つのアリールオキシド(フェノキシドとも呼ばれ得る)ラジカルを含む、ホスファイト安定剤を指す。
【0218】
本開示の一実施形態では、アリールモノホスファイトは、3つのアリールオキシドラジカルを含み、例えば、トリスフェニルホスファイトは、アリールモノホスファイトのこの好ましい群の最も単純なメンバーである。
【0219】
本開示の別の実施形態では、アリールモノホスファイトは、アリールオキシド基の少なくとも1つにC1~C10アルキル置換基を含む。これらの置換基は、直鎖状(ノニル置換基の場合)であっても、分枝状(イソプロピル置換基又はターシャリーブチル置換基などの場合)であってもよい。
【0220】
本開示の実施形態で使用することができるアリールモノホスファイトの非限定的な例としては、トリフェニルホスファイト;ジフェニルアルキルホスファイト;フェニルジアルキルホスファイト;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト[WESTON399、GE Specialty Chemicalsから入手可能];トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト[IRGAFOS168、Ciba Specialty Chemicals Corp.から入手可能];及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト[IRGAFOS38、Ciba Specialty Chemicals Corp.から入手可能];及び2,2’,2’’-ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト[IRGAFOS12、Ciba Specialty Chemicals Corp.から入手可能]、が挙げられる。
【0221】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物に添加されるアリールモノホスファイトの量は、200~2,000ppm(ポリマーの重量に基づく)、又は300~1,500ppm、又は400~1,000ppmで添加される。
【0222】
<亜リン酸塩(ホスファイト)、亜ホスホン酸塩(ホスホナイト)(例:ジホスファイト、ジホスホナイト)>
本明細書で使用される場合、ジホスファイトという用語は、ホスファイト分子あたり少なくとも2個のリン原子を含むホスファイト安定剤を指す(同様に、ジホスホナイトという用語は、ホスホナイト分子あたり少なくとも2個のリン原子を含むホスホナイト安定剤を指す)。
【0223】
本開示の実施形態で使用することができるジホスファイト及びジホスホナイトの非限定的な例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[ULTRANOX(登録商標)626、GE Specialty Chemicalsから入手可能];ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルペニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ビスデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンジホスホナイト[IRGAFOS P-EPQ、Cibaから入手可能];及びビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[DOVERPHOS S9228-T又はDOVERPHOS S9228-CT];及び市販のジホスホナイトの一例であるPEPQ(登録商標)(CAS番号119345-01-06)、から選択されるものが挙げられる。
【0224】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物に添加されるジホスファイト及び/又はジホスホナイトは、200ppm~2,000ppm(ポリマーの重量に基づく)、又は300~1,500ppm、又は400~1,000ppmで添加される。
【0225】
本開示の一実施形態では、ジホスファイトの使用が、ジホスホナイトの使用よりも好ましい。
【0226】
本開示の一実施形態では、最も好ましいジホスファイトは、商標Doverphos S9228-CT及びULTRANOX 626で入手可能なものである。
【0227】
<ヒンダードフェノール系酸化防止剤>
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ポリオレフィンの安定化のための一次酸化防止剤として従来使用されている分子のいずれであってもよい。適切な例としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール;2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール;2-(アルファ-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール;2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール;2,4,6,-トリシクロヘキシルフェノール;及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、が挙げられる。
【0228】
本開示の実施形態で使用することができる適切なヒンダードフェノール系酸化防止剤の2つの(非限定的な)例は、BASF Corporationから、商標IRGANOX1010(CAS登録番号6683-19-8)、及び商標IRGANOX1076(CAS登録番号2082-79-3)で販売されている。
【0229】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物に添加されるヒンダードフェノール系酸化防止剤の量は、100~2,000ppm、又は400~1,000ppm(ポリマーの重量に基づく)で添加される。
【0230】
<長期安定剤>
長期間の使用を意図したプラスチック部品は、本開示の実施形態において、少なくとも1つのヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有することができる。HALSは当業者にはよく知られている。
【0231】
HALSを使用する場合、本開示の一実施形態では、HALSは市販の材料であってもよく、従来の方法及び従来の量で使用してもよい。
【0232】
本開示の実施形態において使用することができる市販のHALSとしては、Ciba Specialty Chemicals Corporationから、CHIMASSORB(登録商標)119;CHIMASSORB944;CHIMASSORB2020;TINUVIN(登録商標)622及びTINUVIN770の商標で販売されているもの、並びにCytec Industriesから、CYASORB(登録商標)UV3346,CYASORB UV3529,CYASORB UV4801及びCYASORB UV4802の商標で販売されているものが挙げられる。本開示のいくつかの実施形態では、TINUVIN622が好ましい。本開示の他の実施形態では、2つ以上のHALSの混合物を使用することも想定されている。
【0233】
本開示の実施形態では、好適なHALSとしては、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-セバケート;ビス-5(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-セバケート;n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6,-ペンタメチルピペリジル)エステル;1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジンとコハク酸との縮合生成物;N,N’-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-s-トリアジンとの縮合生成物;トリス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ニトリロトリアセテート、テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラ-炭酸;及び1,1’(1,2-エタンジイル)-ビス-(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)から選択されるHALSが挙げられる。
【0234】
<ヒドロキシルアミン>
ヒドロキシルアミン及びその誘導体(アミンオキシドを含む)を、回転成形部品を調製するのに用いられるポリエチレン組成物の添加剤として使用することが知られており(例えば、米国特許第6,444,733号に開示されているように)、本開示の実施形態では、この特許に開示されているヒドロキシルアミン及び誘導体も使用に適している可能性がある。
【0235】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物に含めるのに有用なヒドロキシルアミンは、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミンから選択することができ、その市販の例としては、IRGASTAB 042(BASF社製)として販売されているN,N-ジ(アルキル)ヒドロキシルアミンがあり、N,N-ジ(水素化)獣脂アミンの直接酸化によって調製されることが報告されている。
【0236】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、ヒンダードモノホスファイト、ジホスファイト、ヒンダードアミン光安定剤、並びにヒンダードフェノール及びヒドロキシルアミンからなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤、を含む添加剤パッケージを含有する。
【0237】
<成形品としてのキャップ又はクロージャ>
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、任意の適切なボトル、容器などの密封に使用するための、任意の適切な設計及び寸法の任意のクロージャの形成に使用される。
【0238】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、ボトル、容器、パウチなどのクロージャの形成に使用される。例えば、連続圧縮成形又は射出成形によって形成されるボトル用クロージャが想定される。このようなクロージャには、例えば、ボトル、容器、パウチなどの、ヒンジ付きキャップ、ヒンジ付きスクリューキャップ、ヒンジ付きスナップトップキャップ、ヒンジ付きクロージャが含まれる。
【0239】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのスクリューキャップである。
【0240】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのスナップクロージャである。
【0241】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、クロージャ(又はキャップ)の残りの部分と同じ材料で作られたヒンジを備える。
【0242】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ヒンジ付きクロージャである。
【0243】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのヒンジ付きクロージャである。
【0244】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、フリップトップヒンジクロージャであり、例えば、ケチャップのプラスチックボトルや、食品を入れた同様の容器などに使用されるフリップトップヒンジクロージャである。
【0245】
クロージャがヒンジ付きクロージャである場合、クロージャはヒンジ付きコンポーネントを備え、一般に少なくとも2つの本体で構成され、これらは、少なくとも2つの本体が最初に成形された位置から曲がることを可能にするヒンジとして機能する薄い部分によって接続されている。この薄い部分は、連続的でもウェブ状でもよく、幅が広くても狭くてもよい。
【0246】
(ボトル、容器などに)有用なクロージャは、ヒンジ付きクロージャであり、少なくとも1つのより薄い折り曲げ可能な部分によって互いに接合された2つの本体から構成されてもよい(例えば、2つの本体は、単一の橋渡し部分、又は2つ以上の橋渡し部分、又は網状部分などによって接合することができる)。第1の本体は、容器の開口部(例えば、ボトルの開口部)を覆うために容器にスナップ留め又はねじ留めすることができる注ぎ孔を備えていてもよく、一方、第2の本体は、第1の本体と嵌合し得るスナップ式の蓋として機能してもよい。
【0247】
キャップ及びクロージャ(ヒンジ付きキャップ及びヒンジ付きクロージャ並びにスクリューキャップはそのサブセットである)は、任意の既知の方法に従って作製することができ、これには、例えば、当業者によく知られている射出成形及び圧縮成形技術が含まれる。したがって、本開示の一実施形態では、(本明細書に記載される)ポリエチレン組成物を含むクロージャ(又はキャップ)は、少なくとも1つの圧縮成形工程及び/又は少なくとも1つの射出成形工程を含むプロセスを用いて調製される。
【0248】
一実施形態では、クロージャ(単一ピース又は複数ピースの変形例及びヒンジ付き変形例を含む)は、ボトル、容器など、例えば飲料水や他の食品を含むボトルを密封するのによく適しており、他の食品には、適切な圧力下にある液体(すなわち、炭酸飲料又は適切に加圧された飲料可能な液体)が含まれるが、これらに限定されない。
【0249】
クロージャ及びキャップは、飲料水又は非炭酸飲料(ジュースなど)が入ったボトルの密封にも使用できる。他の用途としては、例えばケチャップボトルなど、食品を入れたボトル、容器、パウチ用のキャップ及びクロージャが挙げられる。
【0250】
クロージャ及びキャップは、一体型クロージャであってもよいし、クロージャ及びライナーを含む2ピースクロージャであってもよい。
【0251】
クロージャ及びキャップは、多層設計であってもよく、キャップのクロージャは、少なくとも2つの層を含み、そのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載のポリエチレン組成物から作製される。
【0252】
本開示の一実施形態では、クロージャは連続圧縮成形によって作製される。
【0253】
本開示の一実施形態では、クロージャは射出成形によって作製される。
【0254】
本開示のさらなる非限定的な詳細は、以下の実施例において提供される。実施例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されており、提示された例は、提示された特許請求の範囲を限定するものではないことが理解される。
【実施例】
【0255】
試験の前に、各試験片を23±2℃及び相対湿度50±10%で少なくとも24時間コンディショニングし、その後の試験を23±2℃及び相対湿度50±10%で行った。本明細書では、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び相対湿度50±10%に維持されている実験室を指し、試験対象の試験片は、試験前にこの実験室で少なくとも24時間コンディショニングした。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0256】
<密度>
ポリエチレン組成物の密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した
【0257】
<メルトインデックス>
ポリエチレン組成物のメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックス、I2、I6、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重量を用いて190℃で測定した。本明細書では、「応力指数」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I6/I2)/log(6480/2160)
(式中、I6及びI2は、それぞれ6.48kg及び2.16kgの荷重を用いて190℃で測定されたメルトフローレート(溶融物の流速)である)。本開示では、メルトインデックスは、g/10分、又はg/10min、又はdg/分、又はdg/minの単位を用いて表され、これらの単位は等価である。
【0258】
<ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)>
ポリエチレン組成物の分子量Mn、Mw、Mz、及び多分散度(Mw/Mn)は、ASTM D6474-12(2012年12月15日)を用いて決定した。ポリマー試料溶液(1~2mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で、150℃で4時間、ホイール上で回転させることによって調製した。ポリマーを酸化劣化に対して安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィーユニットで、TCBを移動相として用い、流速1.0mL/分で、140℃でクロマトグラフィーし、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いた。GPCカラムを酸化劣化から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。GPC生データは、CIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理した。GPCカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で校正した。
ポリスチレン分子量は、ASTM D6474-12(2012年12月15日)に記載されているように、Mark-Houwink式を用いて、ポリエチレン分子量に変換した。
【0259】
<トリプル検出サイズ排除クロマトグラフィー(3D-SEC)>
ポリエチレン組成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で、150℃で4時間、ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、示差屈折率(DRI)検出器、二重角度光散乱検出器(15度及び90度)、並びに示差粘度計を備えたPL 220高温クロマトグラフィーユニットで、140℃でクロマトグラフィーした。使用したSECカラムは、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)、又は4つのPL Mixed ALS若しくはBLSカラムのいずれかであった。TCBを、流速1.0mL/分の移動相とし、SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。SEC生データをCIRRUS GPCソフトウェアで処理し、絶対モル質量と固有粘度([η])を算出した。「絶対」モル質量という用語を用いて、3D-SECで決定した絶対モル質量と従来のSECで決定したモル質量とを区別した。3D-SECによって決定した粘度平均モル質量(Mv)を計算に用いて、長鎖分岐係数(LCBF)を決定した。
【0260】
<GPC-FTIR>
ポリエチレン組成物(ポリマー)溶液(2~4mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で、150℃で4時間、ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、4本のShodexカラム(HT803、HT804、HT805、HT806)を備えたWaters GPC 150C クロマトグラフィーユニットで、TCBを移動相として用い、流速1.0mL/分、140℃でクロマトグラフィーした。検出システムとして、FTIR分光計と加熱FTIRフロースルーセルを、加熱された移送ラインを介してクロマトグラフィーユニットに連結した。SECカラムを酸化劣化から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は300μLであった。生のFTIRスペクトルをOPUS FTIRソフトウェアで処理し、OPUSに関連付けられたChemometricソフトウェア(PLS technique)を用いて、ポリマー濃度及びメチル含有量をリアルタイムで計算した。次いで、ポリマー濃度及びメチル含有量を取得し、CIRRUS GPCソフトウェアでベースライン補正した。SECカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で校正した。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink式を用いて、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。コモノマー含有量は、Paul J.DesLauriers,Polymer 43,159-170頁(2002年)に記載されているように、PLS技術によって予測されるポリマー濃度とメチル含有量に基づいて計算され;参照により本明細書に組み込まれる。
【0261】
GPC-FTIR法は、各高分子鎖の末端に位置するメチル基、すなわちメチル末端基を含む総メチル含有量を測定する。したがって、生のGPC-FTIRデータは、メチル末端基から寄与分を差し引くことにより補正する必要がある。より明確にするために、生のGPC-FTIRデータは、短鎖分岐(SCB)の量を過大評価しており、この過大評価は分子量(M)が減少するにつれて増加する。本開示では、生のGPC-FTIRデータは、2-メチル補正を用いて補正した。所与の分子量(M)で、以下の式;NE=28000/Mを使用してメチル末端基(NE)の数を計算し、NE(M依存)を生のGPC-FTIRデータから差し引いて、SCB/1000C(2-メチル補正)GPC-FTIRデータを作成した。
【0262】
<不飽和含有量>
ポリエチレン組成物中の不飽和基、すなわち二重結合の量を、ASTM D3124-98(ビニリデン不飽和、2011年3月発行)及びASTM D6248-98(ビニル及びトランス不飽和、2012年7月発行)に従って決定した。ポリマー試料は、a)最初に二硫化炭素抽出を行い、分析に干渉する可能性のある添加剤を除去し;b)試料(ペレット、フィルム、又は顆粒状)をプレスして均一な厚さ(0.5mm)のプラークにし;c)プラークをFTIRで分析した。
【0263】
<コモノマー含有量:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法>
ポリエチレン組成物中のコモノマーの量を、FTIRによって決定し、CH3#/1000C(炭素原子1000個あたりのメチル分岐の数)の寸法を有する短鎖分岐(SCB)含有量として報告した。この試験は、ASTM D6645-01(2001)に従って、圧縮成形したポリマープラーク及びThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を用いて完了した。ポリマープラークは、ASTM D4703-16(2016年4月)に従って、圧縮成形装置(Wabash-Genesisシリーズプレス)を用いて調製した。
【0264】
<CTREFによる組成分布分岐指数(CDBI)>
開示された例及び比較例の「組成分布分岐指数」又は「CDBI」は、Polymer Char社(スペイン、バレンシア)から市販されている結晶-TREFユニット(「CTREF」ユニット)を用いて決定した。「TREF」という頭字語は、Temperature Rising Elution Fractionation(温度上昇溶出分別)を指す。ポリエチレン組成物の試料(80~100mg)をPolymer Char結晶-TREFユニットの反応器に入れ、反応器を35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)で満たし、150℃に加熱し、この温度で2時間保持して試料を溶解させた。次に、TCB溶液のアリコート(1.5mL)を、ステンレス鋼ビーズを充填したPolymer Char TREFカラムにロードし、カラムを110℃で45分間平衡化した。次いで、毎分0.09℃の冷却速度でTREFカラムを110℃から30℃までゆっくりと冷却することにより、TREFカラム内で、ポリエチレン組成物をTCB溶液から結晶化させた。その後、TREFカラムを30℃で30分間平衡化した。次に、TREFカラムの温度を30℃から120℃まで毎分0.25℃の加熱速度でゆっくりと上昇させながら、純粋なTCB溶媒を0.75mL/分の流速でカラムに通すことにより、結晶化したポリエチレン組成物をTREFカラムから溶出した。Polymer Charソフトウェアを用いて、ポリエチレン組成物がTREFカラムから溶出する際のTREF分布曲線を作成した。すなわち、TREF分布曲線とは、カラムから溶出するポリマー材料の量(又は強度)を、TREF溶出温度の関数としてプロットしたものである。分析した各ポリエチレン組成物について、TREF分布曲線からCDBI50を計算した。「CDBI50」は、組成が中央コモノマー組成の50%以内(コモノマー組成の中央値の両側で25%ずつ)にあるポリマーのパーセンテージとして定義される。これは、TREF組成分布曲線とTREF組成分布曲線の正規化累積積分から計算され、この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡された国際公開第93/03093号に記載されている定義と一致している。当業者であれば、TREF溶出温度をコモノマー含有量、すなわち特定の温度で溶出するポリエチレン組成物画分中のコモノマー量に換算するには、検量線が必要であることを理解するであろう。このような検量線の作成は、先行技術、例えば、Wild他著、J.Polym.Sci.,PartB,Polym.Phys.,第20巻(3)、441~455頁に記載されている。
【0265】
<ヘキサン抽出物>
ヘキサン抽出物は、連邦規則21CFR§177.1520Para(c)3.1及び3.2に従って決定した。試料中のヘキサン抽出可能物質の量は、重量測定により決定した。
【0266】
<中性子放射化分析(NAA)>
中性子放射化分析(以下、NAA)を用いて、ポリエチレン組成物中の触媒残留物を決定し、以下のように行った。放射線バイアル(超高純度ポリエチレン製、内部容量7mL)にポリマー試料を充填し、試料重量を記録した。空気圧移送システムを用いて、試料をSLOWPOKE(商標)原子炉(Atomic Energy of Canada Limited,オタワ、オンタリオ州、カナダ)内に配置し、半減期の短い元素(例えば、Ti、V、Al、Mg、及びCl)の場合は30~600秒、又は半減期の長い元素(例えば、Zr、Hf、Cr、Fe、及びNi)の場合は3~5時間照射した。原子炉内の平均熱中性子束は、5×1011/cm2/sであった。照射後、試料を原子炉から取り出してエージングし、放射能を減衰させ;半減期の短い元素は300秒間エージングされ、半減期の長い要素は数日間エージングされた。エージング後、ゲルマニウム半導体ガンマ線検出器(OrtecモデルGEM55185、Advanced Measurement Technology Inc.,オークリッジ、テネシー州、米国)及びマルチチャネル分析装置(OrtecモデルDSPEC Pro)を使用して、試料のガンマ線スペクトルを記録した。試料中の各元素の量を、ガンマ線スペクトルから計算し、ポリマー試料の総重量に対する百万分率(ppm)で記録した。N.A.A.システムは、Specpure標準(所望の元素の1,000ppm溶液(純度99%超))を用いて校正した。1mLの溶液(対象元素)を15mm×800mmの長方形のペーパーフィルターにピペットで移し、風乾した。次いで、濾紙を1.4mLのポリエチレン照射バイアルに入れ、N.A.A.システムで分析した。標準を使用して、N.A.A.手順の感度(カウント/μg)を決定する。
【0267】
<動的機械分析(DMA)>
小さな歪み振幅での振動せん断測定を実施して、N2雰囲気下の190℃、10%の歪み振幅、10ポイントあたり5ポイントで0.02~126rad/sの周波数範囲で線形粘弾性関数を取得した。周波数掃引実験は、5°の円錐角、137μmの切頭、及び25mmの直径の円錐板形状を用いて、TA Instruments DHR3応力制御レオメーターで行った。この実験では、正弦波の歪み波を適用し、応力応答を線形粘弾性関数の観点から分析した。DMA周波数掃引結果に基づくゼロせん断速度粘度(η0)は、Ellisモデル(R.B.Bird他著,「Dynamics of Polymer Liquids.Volume1:Fluid Mechanics」Wiley-Interscience Publications(1987年)228頁を参照)又はCarreau-Yasudaモデル(K.Yasuda(1979年)PhD Thesis,IT Cambridgeを参照)によって予測した。動的レオロジーデータをレオメーターソフトウェア(すなわち、Rheometrics RHIOS V4.4又はOrchestrator Software)を用いて解析し、G’’=500Paの基準溶融粘性率(G’’)値における溶融弾性率G’(G’’=500)を決定した。必要な場合に応じて、Rheometricsソフトウェアを使用して、利用可能なデータポイント間の補間によって値を求めた。「貯蔵弾性率」G’(co)という用語は、「弾性率」とも呼ばれ、適用される振動数coの関数であり、正弦波変形における歪みと同位相の応力を歪みで割ったものとして定義される。一方、「粘性率」G’’(ω)という用語は、「損失弾性率」とも呼ばれ、同じく適用される振動数ωの関数であり、歪みと90度位相のずれた応力を歪みで割ったものとして定義される。これらの弾性率、及びその他の線形粘弾性、動的レオロジーパラメータは、例えば、A.A.Collyer及びD.W.Clegg編「Oscillatory Rheometry」(Rheological Measurement,Elsevier,1988年)の第10章「Oscillatory Rheometry」でG.Marinが論じているように、当業者にはよく知られている。
【0268】
せん断減粘指数SHI(1,100)は、せん断応力1kPaで推定される複素粘度の、せん断応力100kPaで推定される複素粘度に対する比として計算した。せん断減粘指数SHI(1,100)は、ポリマー溶融物のせん断減粘挙動に関する情報を提供する。高い値は、変形速度(せん断又は周波数)の変化に対する粘度の強い依存性を示す。
【0269】
相対弾性の評価は、回転成形における粉末の焼結と緻密化に関連する条件に最も適した低周波数で実施された測定に基づいている。相対弾性率は、190℃で行ったDMA周波数掃引測定から、周波数0.05rad/sにおけるG’’に対するG’の比に基づいて評価した。文献に報告されているデータによると、相対弾性の高い樹脂組成物は、粉末の緻密化が遅いという点で加工が困難になる傾向があることが示されている。WangとKontopoulouは、0.125という高い相対弾性を特徴とするブレンド組成物について、適切な回転成形性を報告した(2004年)。その研究では、ポリプロピレンの回転成形性に及ぼすプラストマー含有量の影響が調査された(W.Q.Wang and M.Kontopoulou(2004年)Polymer Engineering and Science,第44巻,第9号,1662-1669頁)。WangとKontopoulouが発表した結果をさらに分析すると、プラストマー含有量が高い組成物ほど相対弾性が増加し(G’/G’’>0.13)、それに対応して、回転成形評価中に完全な緻密化を達成するのが困難になることが示されている。
【0270】
本開示では、LCBF(長鎖分岐係数)は、DMAで求めたη0を用いて決定した(米国特許第10,442,921号参照)。
【0271】
<溶融強度>
溶融強度は、Rosand RH-7キャピラリーレオメーター(バレル直径=15mm)で、直径2mm、L/D比10:1のフラットダイを使用して、190℃で測定される。圧力変換器:10,000psi(68.95MPa)。ピストン速度:5.33mm/min。運搬角度:52°。運搬の増分速度:50~80m/min2又は65±15m/min2。ポリマー溶融物を、一定の速度でキャピラリーダイを通して押し出し、次いで、ポリマーストランドは、それが破裂するまで、増加する運搬速度で引き出される。力対時間曲線のプラトー領域における力の最大定常値は、ポリマーの溶融強度として定義される。溶融強度延伸比は、プーリーでの速度とダイ出口での速度の比として定義される。
【0272】
<長鎖分岐係数(LCBF)>
LCBF(無次元)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,442,921号に記載されている方法を用いて、ポリエチレン組成物について決定した。
【0273】
長鎖分岐係数(LCBF)の計算には、以下の段落で詳述するように、多分散度補正ゼロせん断粘度(ZSVc)及び短鎖分岐(SCB)補正固有粘度(IVc)が必要である。
【0274】
ポアズの寸法を有するゼロせん断粘度(ZSV
c)に対する補正を、式(1)に示すように行った:
【数1】
(式中、η
0(ゼロせん断粘度(ポアズ))は、上述のようにDMAによって測定した;Pdは、上述のように従来のGPCを用いて測定した無次元多分散度(M
w/M
n)であり、1.8389及び2.4110は無次元定数である)。
【0275】
dL/gの寸法を有する固有粘度(IV
c)に対する補正を、式(2)に示すように行った:
【数2】
(式中、固有粘度[η](dL/g)は、上述の3D-SECを用いて測定した;SCBは、(CH
3#/1000C)の寸法を有し、上述のようにFTIRを用いて決定した;M
vは粘度平均モル質量(g/モル)であり、上述のように3D-SECを用いて決定し、Aは、エチレン/α-オレフィンコポリマー試料中のα-オレフィンに依存する無次元定数であり、すなわち、Aは、1-オクテン、1-ヘキセン、及び1-ブテンの場合のα-オレフィンに対して、それぞれ2.1626、1.9772、1.1398であった)。エチレンホモポリマーの場合、Mark-Houwink定数の補正は必要なく、すなわち、SCBはゼロである。
【0276】
LCBを含まない、又は検出できないレベルのLCBを含む、「直鎖状」エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)は、式(3)で定義される基準線上に位置する。
【数3】
【0277】
LCBFの算出は、以下の式で定義されるように、線形基準線からの水平シフト(S
h)と垂直シフト(S
v)に基づいて行った:
【数4】
【数5】
式(4)及び式(5)において、ZSV
cとIV
cが、それぞれ、ポアズとdL/gの寸法を有することが必要である。水平シフト(S
h)は、固有粘度(IV
c)が一定のときのZSV
cのシフトであり、Log関数を取り除けば、その物理的意味は明らかである。すなわち、2つのゼロせん断粘度の比であり、同じIV
cを有する直鎖状エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)のZSV
cに対する、試験試料のZSV
cである。水平シフト(S
h)は無次元であった。垂直シフト(S
v)は、ゼロせん断粘度(ZSV
c)が一定のときのIV
cのシフトであり、Log関数を取り除けば、その物理的な意味は明らかである。すなわち、2つの固有粘度の比であり、試験試料のIV
cに対する、同じZSV
cを有する直鎖状エチレンコポリマー(又は直鎖状エチレンホモポリマー)のIV
cである。垂直シフト(S
v)は無次元であった。
【0278】
無次元の長鎖分岐係数(LCBF)を、式(6)によって定義した:
【数6】
【0279】
本開示の一実施形態では、LCBを有するエチレンポリマー(例えば、ポリエチレン組成物)は、0.0010以上のLCBF(無次元)を有するものとして特徴付けられ;対照的に、LCBを有しない(又はLCBを検出できない)エチレンポリマーは、0.0010未満のLCBF(無次元)であることによって特徴付けられる。
【0280】
<衝撃特性>
Izod衝撃性能は、ASTM D256に従って決定した。Izod衝撃試験片は、延性破断ではなく脆性破断を誘発する応力集中点を促進するためにノッチ加工された。引張衝撃性能は、ASTM D1822に従って決定した。
【0281】
<引張特性>
次の引張特性を、ASTM D638を用いて決定した:降伏点伸び(%)、降伏強度(MPa)、極限伸び(%)、極限強度(MPa)、並びに1%及び2%割線弾性率(MPa)。
【0282】
<曲げ特性>
曲げ特性、すなわち2%曲げ割線弾性率を、ASTM D790-10(2010年4月発行)を用いて決定した。
【0283】
<環境応力亀裂抵抗ESCR>
ポリエチレン組成物から成形したプラークを、以下のASTM法に従って試験した。曲げストリップ環境応力亀裂抵抗(ESCR)、ASTM D1693;ASTM D1693の「B」条件下(温度50℃)でのESCR試験を、IGEPAL CO-630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状;式:4-(分岐状C9H19)-フェニル-[OCH2CH2]n-OHを有し、式中、下付き文字のnは9~10である)の100%溶液、及びIGEPAL CO-630の10%溶液を用いて行った。当業者であれば、10%溶液を用いた試験(「B10」)は、100%溶液を用いた試験(「B100」)よりも厳しいこと、すなわち、B10の値は、典型的には、B100の値よりも低いことを認識するであろう。
【0284】
ポリエチレン組成物から成形したプラークを、以下のASTM法に従って試験した。曲げストリップ環境応力亀裂抵抗(ESCR)、ASTM D1693;ASTM D1693の「A」条件下(温度50℃)でのESCR試験を、IGEPAL CO-630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状;式:4-(分岐状C9H19)-フェニル-[OCH2CH2]n-OHを有し、式中、下付き文字のnは9~10である)の100%溶液、及びIGEPAL CO-630の10%溶液を用いて行った。当業者であれば、10%溶液を用いた試験(「A10」)は、100%溶液を用いた試験(「A100」)よりも厳しいこと、すなわち、A10の値は、典型的には、A100の値よりも低いことを認識するであろう。
【0285】
<ポリエチレン組成物の調製>
ポリエチレン組成物は、i)「直列(in-series)」二重反応器溶液重合プロセスにおける混合シングルサイト触媒系、又はii)「直列(in-series)」二重反応器溶液重合における混合シングルサイト触媒/マルチサイト触媒系のいずれかを用いて作製されたものである。その結果、ポリエチレン組成物は、第1のシングルサイト触媒で作製された第1のエチレンコポリマーと、第2の異なるシングルサイト触媒又はマルチサイト触媒で作製された第2のエチレンコポリマーとを含んでいた。混合シングルサイト触媒を使用するものを含む「直列」二重反応器、溶液相重合プロセスは、米国特許第10,442,921号に記載され、混合シングルサイト触媒/マルチサイト触媒を使用するものを含む「直列」二重反応器、溶液相重合プロセスは、米国特許出願公開第2018/0305531号に記載されている。基本的に、「直列」二重反応器システムでは、第1の重合反応器(R1)からの出口流は、第2の重合反応器(R2)に直接流れ込む。R1の圧力は約14MPa~約18MPaであり、R2は、R1からR2への連続的な流れを促進するためにより低い圧力で運転した。R1とR2は両方とも連続撹拌反応器(CSTR)であり、反応器の内容物が十分に混合される条件で撹拌した。このプロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン、及び水素を反応器に供給し、生成物を除去することによって連続的に運転した(ただし、1-オクテンは、第1の反応器にのみ供給されることに注意されたい)。下流の第2の反応器にはコモノマーは直接供給されないが、第1の反応器から第2の反応器に流入する未反応の1-オクテンが大量に存在するため、第2の反応器ではエチレンコポリマーR2が形成され、そこでエチレンと共重合する。メチルペンタンをプロセス溶媒として使用した(メチルペンタン異性体の市販ブレンド)として使用した。第1のCSTR反応器(R1)の体積は3.2ガロン(12L)、第2のCSTR反応器(R2)の体積は5.8ガロン(22L)であった。モノマー(エチレン)とコモノマー(1-オクテン)は、反応器に添加する前に、従来の供給物調製システム(水、酸素、極性汚染物質などの不純物を除去するための様々な吸収媒体との接触など)を用いて精製した。反応器供給物は、表1に示す比率で反応器にポンプで送られた。反応器内の平均滞留時間は、平均流量を反応器の容積で割ることによって計算され、主に、各反応器を流れる溶媒の量と溶液プロセスを流れる溶媒の総量によって影響を受ける。
【0286】
第1の反応器(R1)では、以下のシングルサイト触媒成分を使用して、第1のエチレンコポリマーを調製した:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチド[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfMe2];メチルアルミノキサン(MMAO-07);トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート(トリチルボレート)、及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(BHEB)。メチルアルミノキサン(MMAO-07)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールをインラインで予備混合し、重合反応器(R1)に入る直前に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチド及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートと組み合わせた。シングルサイト触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比とR1触媒入口温度を調整することによって最適化した(さらなる詳細を表1に示す)。
【0287】
第2の反応器R2では、シングルサイト触媒(例1及び例2)を使用するか、又はチーグラー・ナッタ触媒(例3及び例4)を使用するかのいずれかであった。
【0288】
例1及び例2では、以下のシングルサイト触媒成分を使用して、第2の反応器内で第2のエチレンコポリマーを調製した:シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミンチタニウムジクロリド(Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2);メチルアルミノキサン(MAO-07);トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート、及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール。メチルアルミノキサン(MMAO-07)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールをインラインで予備混合し、重合反応器(R2)に入る直前に、シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミンチタニウムジクロリド及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートと組み合わせた。シングルサイト触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比とR2触媒入口温度を調整することによって最適化した(さらなる詳細を表1に示す)。
【0289】
シングルサイト触媒成分に使用した溶媒は以下の通り:メチルアルミノキサンとBHEB成分にはメチルペンタンを使用し;活性触媒分子(すなわち、メタロセン及びホスフィンイミン触媒)とホウ酸トリチル成分にはキシレンを使用した。
【0290】
例3及び例4では、以下のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒成分を使用して、第2の反応器(R2)内で第2のエチレンコポリマーを調製した:ブチルエチルマグネシウム;ターシャリーブチルクロリド;四塩化チタン;ジエチルアルミニウムエトキシド;及びトリエチルアルミニウム。メチルペンタンを触媒成分溶媒として使用し、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を以下のステップを使用して調製し、次いで第2の反応器(R2)に注入した。ステップ1では、トリエチルアルミニウムとブチルエチルマグネシウム(Mg:Al=20、モル:モル)の溶液をターシャリーブチルクロリドの溶液と混合し、約30秒間反応させて、MgCl2担体を生成した。ステップ2では、四塩化チタンの溶液をステップ1で形成された混合物に加え、約14秒間反応させてから、第2の反応器(R2)に注入した。インライン式チーグラー・ナッタ触媒は、R2にジエチルアルミニウムエトキシドの溶液を注入することにより、反応器内で活性化された。反応器に添加した四塩化チタンの量を、表1に示す。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比を調整することによって最適化した(さらなる詳細を表1に示す)。
【0291】
連続溶液重合プロセスにおける重合は、触媒失活剤を第2の反応器出口流に添加することによって終了した。使用した触媒失活剤は、P&G Chemicals(シンシナティ、オハイオ州、米国)から市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒失活剤は、添加される脂肪酸のモルが、重合プロセスに添加されるハフニウム、チタン、及びアルミニウムの総モル量の50%になるように添加され;明確にするために、添加されたオクタン酸のモル=0.5×(ハフニウムのモル+チタンのモル+アルミニウムのモル)であった。
【0292】
2段階の脱揮プロセスを用いて、プロセス溶媒からポリエチレン組成物を回収した。すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用して、第2のボトム流(第2のV/L分離器から)をギアポンプ/ペレタイザーの組合せに通過させた。協和化学工業株式会社(東京、日本)により供給されるDHT-4V(ハイドロタルサイト)を、連続溶液プロセスにおいて不動態化剤、又は酸捕捉剤として使用した。プロセス溶媒中のDHT-4Vのスラリーを、第1のV/L分離器の前に添加した。
【0293】
ペレット化する前に、ポリエチレン組成物の重量に基づいて、約500ppmのIRGANOX1076(一次酸化防止剤)及び約500ppmのIRGAFOS168(二次酸化防止剤)を添加することにより、ポリエチレン組成物を安定化させた。酸化防止剤をプロセス溶媒に溶解し、第1のV/L分離器と第2のV/L分離器との間に添加した。
【0294】
表1は、本発明のポリエチレン組成物を作製するために使用した反応器条件を示している。表1には、反応器(R1とR2)間のエチレンスプリット及び1-オクテンスプリット、反応器温度、エチレン転化率などのプロセスパラメータが含まれている。
【0295】
【0296】
本開示に従って製造したポリエチレン組成物である例1~例4の特性を、表2に示す。表2には、比較ポリエチレン樹脂である例5、6及び7のデータも含まれている。
【0297】
比較組成物である比較例5及び6は、二重反応器溶液重合プロセスで作製し、国際出願番号PCT/IB2020/060056号及び米国仮特許出願第62/929,304号に実質的に記載されているように作製した。比較例5及び6の製造中、混合触媒系を使用し、長鎖分岐を生じないことが知られているホスフィンイミン触媒Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2を用いたシングルサイト触媒系を第1の反応器内で使用し、同じく長鎖分岐を生じないことが知られているチーグラー・ナッタ触媒を第2の反応器内で使用した。
【0298】
比較組成物である比較例7は、二重反応器溶液重合プロセスで作製し、米国仮特許出願第63/037,754号に実質的に記載されているように作製した。比較例7の製造中、長鎖分岐を生じないことが知られているホスフィンイミン触媒Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2を用いたシングルサイト触媒系を、第1の反応器と第2の反応器の両方で使用した。
【0299】
表3は、本発明に従って作製したポリエチレン組成物を説明するさらなるデータを含み、この組成物から作製したプラークのさらなる試験を含む。表3には、比較用のポリエチレン樹脂のデータも含まれている。
【0300】
【0301】
【0302】
<ポリエチレン組成物のデコンボリューション>
数学的デコンボリューションを行って、ポリエチレン組成物中に存在する第1及び第2のエチレンコポリマーそれぞれの相対量を決定し、並びに第1及び第2の反応器(R1及びR2)で作製された第1及び第2のエチレンコポリマーのそれぞれの分子量(Mw、Mn、Mz)、及びコモノマー含有量(ポリマー骨格炭素原子1000個あたりのSCB頻度)を決定した。
【0303】
デコンボリューション計算では、シングルサイト触媒されたエチレンコポリマー成分はFlory分子量分布関数に従うと仮定し、分子量範囲全体にわたって均一なコモノマー分布を有すると仮定した。
【0304】
推定値は、まず、各触媒配合物、並びに供給原料及び反応器の条件に特有の反応速度論定数を備えた基本的な反応速度論モデルを用いて得られた予測から取得した。このシミュレーションは、本明細書に開示されるポリエチレン組成物を製造するために使用した、上述の溶液パイロットプラントの構成に基づいている。反応速度論モデルの予測を使用して、第1及び第2のエチレンコポリマー成分内の短鎖分岐分布の推定値を確立した。コモノマー分布についてGPC-FTIRから得られた実験結果に対しても、短鎖分岐含有量の推定値を検証した。シミュレートした分子量分布プロファイルとGPCクロマトグラフィーから得られた実際のデータとの間の適合性は、複数サイトの理想化されたFlory分布を用いて記述された分子量分布を有する成分の合計として、分子量分布をモデル化することによって、改善された。デコンボリューションでは、シングルサイト触媒を用いたポリマー成分は、全分子量範囲にわたって均一なコモノマー分布を有するFlory分子量分布関数に従うと仮定し、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作製した成分を、4つの(4モードの)理想化されたFlory分布を用いてモデル化した。デコンボリューション中、全体のMn、Mw、Mzを、以下の関係を用いて計算する:Mn=1/Σ(wi/(Mn)i),Mw=Σ(wix(Mw)i),Mz=Σ(wix(Mz)i
2/Σ(wix(Mzi)、(式中、iはi番目の成分を表し、wiは組成物中のi番目の成分の相対重量分率を表す)。
【0305】
以下の式を使用して、各エチレンコポリマー成分の密度及びメルトインデックスI
2を計算した:
【数7】
【数8】
【数9】
式中、Mn、Mw、Mz、及びSCB/1000Cは、上述のデコンボリューションの結果から得られた、個々のエチレンポリマー成分のデコンボリューション値であり、ρは、ポリエチレン組成物全体の密度であり、実験的に決定される。式(1)及び式(2)を用いて、第1及び第2のエチレンコポリマーの密度ρ1及びρ2をそれぞれ推定した。式(3)を用いて、第1及び第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI
2をそれぞれ推定した。例えば、Alfred Rudin著、「The Elements of Polymer Science and Engineering」、第2版、Academic Press、1999年、及び米国特許第8,022,143号を参照。デコンボリューションの結果を表4に示す。
【0306】
【0307】
図1は、本開示のポリエチレン組成物(発明例1~4)が二峰性GPCプロファイルを有することを示す。
【0308】
図2は、本開示のポリエチレン組成物(発明例1~4)が二峰性GPCプロファイルを有し、分子量が増加するにつれて、コモノマー量が増加するか、又は最初にコモノマー含有量が増加し、その後、分子量が増加するにつれてコモノマー量が減少するかのいずれかであることを示す(短鎖分岐含有量、SCB/1000骨格炭素原子によって示される)。したがって、発明例3のコモノマー分布は逆転していると言え、発明例1、2及び4のコモノマー分布は部分的に逆転していると言える。
図2は、比較樹脂(比較例5及び6)が、二峰性のGPCプロファイルを有し、逆のコモノマー分布を有することを示す。
【0309】
図3は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物及び様々な比較樹脂についての温度上昇溶出分別(TREF)プロファイルを示す。例1及び例2は、他の例と比較してより狭いプロファイルを有しており、それらの組成の均一性がより高いことを示唆している。一方、例3及び例4は、溶出ピーク間の分離がより顕著であり、これは高密度成分と低密度成分の間の重要な違いを示唆しており、GPC-FTIRから得られた結果と一致している。
【0310】
図4は、本開示のポリエチレン組成物及び比較樹脂について、190℃で行ったDMA周波数掃引実験から得られた粘度プロファイルを示す。すべての例はかなり類似した分子量分布を有するが(例えば、すべての例のMw/Mnは4.4~5.9の範囲である)、発明例1~4のレオロジー挙動は比較例5のレオロジー挙動とは異なる。理論に束縛されることを望まないが、粘度プロファイルの形状、特に変形速度の増加に伴う粘度の低下は、押出及び成形用途における流動分布と溶融圧力の要件に強い影響を与える。
図4は、本発明である例1、2、3及び4が、せん断速度が増加するにつれて粘度がより低下するため、比較例である例5よりも良好なせん断減粘挙動を示すことを明確に示している。この良好なせん断減粘挙動は、比較例5に対して、発明例1、2、3及び4で観察された高いせん断減粘指数からも明らかである(表2参照):発明例1~4のそれぞれのSHI
(1,100)は10を超えていたが、比較例5では、SHI
(1,100)は約5.0であった。理論に束縛されることを望まないが、せん断減粘挙動の違いは、例1、2、3及び4における長鎖分岐の存在に起因すると考えられる。良好なせん断減粘挙動は、押出速度が制限される用途や、通常、高い流動特性を備えた樹脂を必要とする金型充填用途において有利となる。分子量と分子量分布が同等の樹脂の場合、より高い変形速度での粘度が低いほど、樹脂の加工が容易であることを意味し、ダイを通して高いスループットを達成するためには、より低い温度及び押出機のトルクが必要となる。同様に、良好なせん断減粘挙動を示す樹脂は、金型キャビティを充填するために、より低い溶融圧力及び温度を必要とする。分子量を下げることで粘度を下げることができるが、多くの場合、機械的性能が犠牲になる。表3及び
図4のデータが示すように、本開示のポリエチレン組成物(発明例1~4)は、は比較的高い分子量に典型的に関連する良好な機械的性能特性(例えば、Izod衝撃、ESCR)を有する一方で、高い流動性能特性(例えば、より高いせん断速度でのより低い粘度)も有する。
【0311】
表2及び表3に示すデータからわかるように、本開示のポリエチレン組成物(発明例1~4)は、1%での曲げ割線弾性率(約1200MPaを超える)、良好な溶融強度(3.0cNを超える)、及び良好なESCR(発明例1については、100%IGEPAL中、条件A又は条件B下で、400時間を超えるESCR;及び発明例2、3及び4については、100%IGEPAL中、条件A又は条件B下で、1000時間を超えるESCR)の良好な組合せを有する。本開示の組成物は、一般的に比較的高い密度(例えば、≧0.945g/cm3)を有するにもかかわらず、剛性、溶融強度及び環境応力亀裂抵抗のこのバランスが達成される。特に発明例3及び4は、良好なIzod衝撃値(>3.0フィート・ポンド/インチ)も有している。さらに、比較例5及び6と比較して、発明例1~4で観察された高いメルトフロー比(I21/I2)は、ポリマー押出速度を増加させることによって、及び/又は狭い金型キャビティの射出成形を容易にすることによって、ポリマー加工及び成形品形成を容易にする可能性がある。
【0312】
図5は、発明例1~4と比較例5及び7についての靭性(Izod衝撃)と剛性(曲げ割線弾性率1%)との間の関係をさらに示したものである。このプロットは、本開示のポリエチレン組成物が、良好な剛性と適切な耐衝撃特性を併せ持つことを示している。発明例3及び4では、高い剛性と耐衝撃性のバランスが特に優れている。理論に束縛されることを望まないが、成形品を設計する際には、高いIzod衝撃性能と高い剛性(例えば、曲げ弾性率)の組合せが重要になる場合がある。
【0313】
図6は、発明例1~4と比較例5及び7についてのESCRと剛性(曲げ割線弾性率1%)との間の関係をさらに示したものである。このプロットは、本開示のポリエチレン組成物では、わずかに低い密度を有するポリエチレン樹脂である比較例5及び7と比較して、ESCRと剛性のバランスが同等又は優れていることを示している。
【0314】
表2のデータ、並びに
図5及び
図6に示されるデータを考慮すると、当業者であれば、本開示のポリエチレン組成物が、良好な溶融強度、高い剛性(例えば、曲げ割線弾性率)、適度な衝撃特性(例えば、Izod衝撃及び引張衝撃)、及び良好な環境応力亀裂抵抗を含む特性の良好なバランスを提供することを理解するであろう。
【0315】
本開示の非限定的な実施形態には、以下のものが含まれる:
【0316】
実施形態A. ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【0317】
実施形態B. ポリエチレン組成物が、0.948g/cm3~0.957g/cm3の密度を有する、実施形態Aに記載のポリエチレン組成物。
【0318】
実施形態C. ポリエチレン組成物が、1.0~2.5g/10分のメルトインデックスI2を有する、実施形態A又はBに記載のポリエチレン組成物。
【0319】
実施形態D. ポリエチレン組成物が、60~130のメルトフロー比I21/I2を有する、実施形態A、B、又はCに記載のポリエチレン組成物。
【0320】
実施形態E. ポリエチレン組成物が、3.0~6.0の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A、B、C、又はDに記載のポリエチレン組成物。
【0321】
実施形態F. ポリエチレン組成物が、3.0~5.0のZ平均分子量分布Mz/Mwを有する、実施形態A、B、C、D、又はEに記載のポリエチレン組成物。
【0322】
実施形態G. ポリエチレン組成物が、250,000g/モル~550,000g/モルのZ平均分子量Mzを有する、実施形態A、B、C、D、E、又はFに記載のポリエチレン組成物。
【0323】
実施形態H. ポリエチレン組成物が、50%未満の組成分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、又はGに記載のポリエチレン組成物。
【0324】
実施形態I. ポリエチレン組成物が、60%超の組成分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、又はGに記載のポリエチレン組成物。
【0325】
実施形態J. 第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり2個より多い短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIに記載のポリエチレン組成物。
【0326】
実施形態K. 第1のエチレンが、炭素原子1000個あたり5個より多い短鎖分岐(SCB1/1000C)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIに記載のポリエチレン組成物。
【0327】
実施形態L. 第1のエチレンコポリマーが、0.910~0.932g/cm3の密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、又はKに記載のポリエチレン組成物。
【0328】
実施形態M. 第2のエチレンコポリマーが、0.950~0.970g/cm3の密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、又はLに記載のポリエチレン組成物。
【0329】
実施形態N. 第1のエチレンコポリマーが、0.5g/10分未満のメルトインデックスI2を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、又はMに記載のポリエチレン組成物。
【0330】
実施形態O. 第2のエチレンコポリマーが、10.0g/10分を超えるメルトインデックスI2を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、又はNに記載のポリエチレン組成物。
【0331】
実施形態P. 第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1/1000C)の、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2/1000C)に対する比が、10より大きい、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、又はOに記載のポリエチレン組成物。
【0332】
実施形態Q. 第1のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒を用いて作製される、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、又はPに記載のポリエチレン組成物。
【0333】
実施形態R. 第2のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒又はチーグラー・ナッタ触媒を用いて作製される、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、又はQに記載のポリエチレン組成物。
【0334】
実施形態S. ポリエチレン組成物が、ポリエチレン組成物の重量に基づいて少なくとも0.050ppm存在するハフニウム残基を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、又はRに記載のポリエチレン組成物。
【0335】
実施形態T. ポリエチレン組成物が、0.0050を超える長鎖分岐係数LCBFを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、又はSに記載のポリエチレン組成物。
【0336】
実施形態U. ポリエチレン組成物が、7.5以上のせん断減粘指数SHI(1,100)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、又はTに記載のポリエチレン組成物。
【0337】
実施形態V. ポリエチレン組成物が、10.0以上のせん断減粘指数SHI(1,100)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、又はTに記載のポリエチレン組成物。
【0338】
実施形態W. ポリエチレン組成物が、0.05rad/sでの相対弾性率G’/G’’≦0.50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、又はVに記載のポリエチレン組成物。
【0339】
実施形態X. ポリエチレン組成物が、1.5フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、又はWに記載のポリエチレン組成物。
【0340】
実施形態Y. ポリエチレン組成物が、3.0cN以上の溶融強度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、又はXに記載のポリエチレン組成物。
【0341】
実施形態Z. ポリエチレン組成物が、1000時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、又はYに記載のポリエチレン組成物。
【0342】
実施形態AA. ポリエチレン組成物が、1000Mpa以上の、1%での曲げ割線弾性率を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、又はZに記載のポリエチレン組成物。
【0343】
実施形態BB. ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、50%未満の組成分布幅指数CDBI50、3.0フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに1000時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【0344】
実施形態CC. ポリエチレン組成物であって、
(i)200,000g/モルを超える重量平均分子量Mwを有する5~50重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(ii)95~50重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも高い重量平均分子量Mwを有し、
第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーが有する炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)を有し、
ポリエチレン組成物は、0.945g/cm3以上の密度、0.8~4.0g/10分のメルトインデックスI2、50以上のメルトフロー比I21/I2、6.5未満の分子量分布Mw/Mn;250,000g/モル以上のZ平均分子量Mz、2.5を超えるZ平均分子量分布Mz/Mw、0.0010を超える長鎖分岐係数LCBF、60%を超える組成分布幅指数CDBI50、1.5フィート・ポンド/インチを超えるIzod衝撃強度、並びに400時間を超える環境応力亀裂抵抗ESCR(100%IGEPAL CO-630中、条件A及び条件B下でASTM D1693により決定される)を有する、ポリエチレン組成物。
【0345】
実施形態DD. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、又はCCのポリエチレン組成物から調製されるキャップ又はクロージャ。
【0346】
実施形態EE. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、又はCCのポリエチレン組成物から調製される回転成形品。
【0347】
実施形態FF. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、又はCCのポリエチレン組成物から調製される発泡成形品。
【0348】
特定の実施形態を図示し説明してきたが、特許請求の範囲に定義される広範な態様における技術から逸脱することなく、当該技術分野における通常の知識に従って、変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0349】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素、限定がない場合でも、適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、限定することなく拡張的に解釈されるものとする。さらに、本明細書で採用した用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用したものであり、このような用語及び表現の使用には、図示及び説明した特徴又はその一部の等価物を除外する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。さらに、「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」という表現は、具体的に記載された要素、及び特許請求された技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えない追加的な要素を含むものと理解される。「・・・からなる(consisting of)」という表現は、指定されていない要素を除外するものである。
【0350】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に限定されるものではない。当業者には明らかなように、その精神及び範囲から逸脱することなく多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に列挙したものに加えて、本開示の範囲内にある機能的に等価な方法及び組成物は、前述の説明から当業者には明らかであろう。このような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるものである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的システムに限定されるものではなく、もちろん変更することができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0351】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載されている場合、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群の任意の個々の要素又は要素の下位群の観点からも記載されていることを認識するであろう。
【0352】
当業者には理解されるように、あらゆる目的、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示されるすべての範囲は、あらゆる可能な部分範囲及びその部分範囲の組合せも包含する。リストされた範囲はどれも十分に説明されており、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することができるものであると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じる各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、上位3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者には理解されるように、「~まで」乃至「最大」(up to)、「少なくとも」、「~より大きい」乃至「~を超えて」(greater than)、「~より小さい」乃至「未満」(less than)などの文言はすべて、記載された数を含み、上述したように、その後にサブ範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲には個々の数値要素が含まれる。
【0353】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許出願、発行済み特許、及びその他の文書は、個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又はその他の文書が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文章に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する限りにおいて除外される。
【0354】
他の実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0355】
高い溶融強度、良好な耐衝撃性(Izod)、及び良好な環境応力亀裂抵抗(ESCR)を有する高密度ポリエチレン組成物が提供される。このポリエチレン組成物は、成形品の製造に使用するのに適している可能性がある。
【国際調査報告】