IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーエヌオーエフエーアー ゲーエムベーハーの特許一覧 ▶ エヌビーイー セラピューティクス アクチェン ゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-511598生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用
<>
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図1
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図2
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図3A
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図3B
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図4
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図5A
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図5B
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図6A
  • 特表-生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】生体触媒組成物及び免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの生成のための使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/14 20060101AFI20240307BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240307BHJP
   C12P 1/00 20060101ALI20240307BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
C12N11/14 ZNA
C07K16/00
C12P1/00 Z
C12N9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556925
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022056952
(87)【国際公開番号】W WO2022195000
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163418.3
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516031440
【氏名又は名称】イーエヌオーエフエーアー アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515255205
【氏名又は名称】エヌビーイー セラピューティクス アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャーガルディアン, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリアン, マノン
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィーニ, フィリップ エフ.-エックス.
(72)【発明者】
【氏名】コレロ, マリア リタ
(72)【発明者】
【氏名】デュダル, イヴ
(72)【発明者】
【氏名】グラウンダー, ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲブルー, レミー
(72)【発明者】
【氏名】ベールリ, ロジャー アール.
【テーマコード(参考)】
4B033
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B033NA25
4B033NB24
4B033NB62
4B033NC02
4B033NC13
4B033ND02
4B033ND12
4B033NF10
4B033NG09
4B033NH10
4B064AG26
4B064CA31
4B064DA01
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA70
4H045BA72
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、固体担体と、捕捉部分と、機能性タンパク質と、捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカーと、機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカーと、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層と、捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層とを含む、組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
固体担体;
捕捉部分;
機能性タンパク質;
捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;
機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;
固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;及び
捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層
を含む、組成物。
【請求項2】
機能性タンパク質が、酵素又はその断片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
機能性タンパク質が、トランスペプチダーゼ又はその断片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
機能性タンパク質が、ソルターゼ又はその断片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
第1及び/又は第2のリンカーが、タンパク質精製タグ及び親和性タグからなる群から選択されるタグである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第1のリンカーが、Strep-タグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
第2のリンカーが、Strep-タグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
捕捉部分が、ストレプトアビジン及び操作されたストレプトアビジンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
第1の保護層が、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋し;第2の保護層が、捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)第1のリンカーによって捕捉部分を固体担体に接続する工程;
(b)固体担体の表面上に、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層を形成する工程;
(c)第2のリンカーによって機能性タンパク質を捕捉部分に接続する工程;
(d)捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を第1の保護層の表面上に形成する工程、
を含む方法。
【請求項11】
免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを製造する方法であって、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物によってペイロードを免疫リガンドにコンジュゲートすることを含む方法。
【請求項12】
請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物のトランスペプチダーゼ又はその断片がコンジュゲーション反応を触媒する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物が免疫リガンド及びペイロードと共にインキュベートされる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物が、
i)溶液中に提供され;
ii)請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物を含む溶液が、免疫リガンド及びペイロードと共にインキュベートされ;且つ
ii)コンジュゲーション反応が起こった後、溶液が遠心分離され、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを含む上清が除去される、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
ペイロード及び/又は免疫リガンドが、
a)完全に、タンパク質若しくはペプチドからなるか、又は
b)少なくとも1つのタンパク質若しくはペプチドドメインを含むか、又は
c)免疫リガンドとして少なくとも1つのタンパク質及びペイロードとして低分子量分子を含むか、又は
d)免疫リガンドとして少なくとも1つのタンパク質及びペイロードとして低分子量毒素を含むか、又は
e)少なくとも1つのタンパク質又はペプチド鎖を含み、さらに、タンパク質又はペプチド鎖が、トランスペプチダーゼによって検出され得るアミノ酸配列又はその断片を含む、
請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれる免疫リガンドが、抗体、改変抗体フォーマット、抗体誘導体若しくは断片、及び/又は抗体模倣物からなる群から選択される、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードが、マーカー、処理タグ及び薬物からなる群から選択される、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項11~17のいずれか一項に記載の方法によって得られる免疫リガンド/ペイロードコンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;及び捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む、組成物に関する。本発明はまた、該組成物を製造する方法、並びに該組成物によって免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用途で酵素などのタンパク質を使用するプロセスは、使用される酵素が、せん断力、発泡及び/又は好ましくないpH条件を含む過酷な条件にさらされる可能性があり、及び/又は、機能性タンパク質又は酵素を、バッチ製造プロセスで添加された後に、製造で再利用するためにプロセスから取り戻すことができないという課題に直面している。これらの課題は、発酵プロセス、廃棄物管理プロセス、食品製造プロセス、及び治療用分子の製造を含むがこれらに限定されない産業用途における酵素の広範囲の使用に当てはまる。これらの課題を克服するための1つの解決策は、国際公開第2015/014888号などの先行技術に開示されているように、機能性タンパク質、又は好ましくは酵素を固体担体上に固定化し、様々なタイプのストレスに対する保護を提供する保護分子層によって機能性タンパク質又は酵素を遮蔽することである(酵素/タンパク質を「遮蔽する」)。そのような固定化及び保護された(「遮蔽された」)酵素のさらなる利点は、担体上の固定化酵素が、限定されないが、遠心分離、濾過、ダイアフィルトレーション、製造プロセスの可溶型成分からの担体の膜分離を含む様々な分離技術によって酵素プロセスから分離できることである。国際公開第2015/014888号は、固体担体と、酵素のような機能性タンパク質と、酵素又は機能性タンパク質を少なくとも部分的に包埋することによって酵素又は機能性タンパク質を保護するための保護層とを含む生体触媒組成物、及びそのような生体触媒組成物を製造する方法を開示している。先行技術では、このプロセスを利用して、例えば、限定されないが、抗体などの大きなタンパク質又は分子への蛍光性色素の酵素的コンジュゲーションを触媒することができる酵素を固定化できることがさらに示されている(Briand et al.(2020)Chem Commun.56:5170-5173)。
【0003】
しかしながら、国際公開第2015/014888号に記載され、Briandらによって利用される方法及び組成物は、それらが同じ反応で利用される可溶型酵素と比較して触媒活性の低下をもたらすという欠点を有する(Briand et al.(2020)Chem Commun.56:5170-5173)。これは、様々な困難な酵素反応、例えば、限定されないが、小分子と大きなタンパク質の免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの例としての抗体-色素コンジュゲートの酵素製造について観察されている。これらの課題は、一般に、タンパク質グリコシル化、タンパク質消化、及び他の生体分子改変に適用され得る。最適な酵素活性は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)の製造を含むがこれらに限定されない治療用免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの酵素的製造にとって特に興味深いが、それは、そのような免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートの製造品のコストが高く、免疫リガンド-ペイロードコンジュゲートが患者の処置のために臨床的に使用される場合、それらの製造中間体及び現在の医薬品適正製造基準(cGMP)の下で製造する必要がある触媒酵素のためである。このため、最適な機能活性又は酵素活性を有する固定化されて「遮蔽された」機能性タンパク質又は酵素を提供する必要がある。さらに、最適な酵素活性を維持する固体担体上に固定化された酵素は、コンジュゲーションプロセスが達成されている間又は後に固定化された酵素を所望の生成物から分離することができるので、繰り返される免疫リガンド-ペイロード及びADC製造プロセスに再使用して製造品のコストを改善することができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;及び捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む、組成物を提供する。
【0005】
本発明はまた、該組成物を製造する方法であって、
(a)第1のリンカーによって捕捉部分を固体担体に接続する工程;
(b)固体担体の表面上に、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層を形成する工程;
(c)第2のリンカーによって機能性タンパク質を捕捉部分に接続する工程;
(d)捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を第1の保護層の表面上に形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0006】
さらに、本発明は、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを製造する方法であって、該組成物によってペイロードを免疫リガンドにコンジュゲートすることを含む方法を提供する。
【0007】
抗体と低分子量色素とを融合するバイオコンジュゲーションでは、酵素の二層固定化を伴う本発明の組成物の酵素活性は、一層を伴う従来の固定化酵素と比較して驚くほど良好なバイオコンジュゲーションを示し、可溶型酵素の活性と本質的に同一であった。これは、新規な二層固定化プロセスが、対応する可溶型の機能性タンパク質又は酵素と本質的に同一の活性を有する機能性又は酵素組成物をもたらす指向的に固定化されたタンパク質又は酵素をもたらすことを実証している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】機能性タンパク質の部位特異的固定化の概略図を示す。
図2】異なる組成物の層を成長させた後の粒子表面へのソルターゼの非特異的吸着を示す。層は、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)、オルトシリケート(T)、及びヒドロキシメチルトリエトキシシラン(H)(「ATH」と呼ばれる層);3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)及びオルトシリケート(T)(「AT」と呼ばれる層);及び3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)、オルトシリケート(T)及びプロピルトリエトキシシラン(P)(「ATP」と呼ばれる層)でそれぞれで作製された。ATHからなる層は、最も低いソルターゼ非特異吸着を示す。
図3A】シリカ粒子上に共有結合的に固定化されてオルガノシリカ層(AT)で部分的に遮蔽されたソルターゼA、及びシリカ粒子上に固定化されて異なる組成物の二重層(AT-AT及びATH-AT)で遮蔽されたソルターゼAのSDS-PAGEゲルの蛍光走査を示す。
図3B】ソルターゼ粒子によって触媒される蛍光性プローブに対する抗体のバイオコンジュゲーションを示す。シリカ粒子上に共有結合的に固定化されてオルガノシリカ層(AT)で部分的に遮蔽されたソルターゼA。シリカ粒子上に固定化されて異なる組成物(AT-AT及びATH-AT)を有する二重層で遮蔽されたソルターゼA。
図4】UV照射によって可視化される抗体の重鎖及び軽鎖へのFITC色素のコンジュゲーションの動態を示す。SDS-PAGEゲルの上部に示された時点以降の、抗体の約50kD重鎖及び約30kD軽鎖におけるソルターゼ酵素媒介コンジュゲーションを示す。抗体の重鎖及び軽鎖へのコンジュゲーションは、付着したFITC色素の緑色蛍光をもたらすUV照射によって可視化される(ここでは黒色バンドで示す)。パネルAは、固定化及び遮蔽されたソルターゼA酵素とのコンジュゲーションの動態を示す。パネルBは、等量の可溶型酵素とのコンジュゲーションの動態を示す。
図5A】ソルターゼ粒子又は可溶型ソルターゼによって触媒される毒性ペイロードに対する抗体のバイオコンジュゲーションにおけるADC産生の収率を示す。シリカ粒子上に共有結合的に固定化されて二重層(ATH-AT)で遮蔽されたソルターゼA。
図5B】ソルターゼ粒子又は可溶型ソルターゼによって触媒される毒性ペイロードに対する抗体のバイオコンジュゲーションにおける薬物抗体比(DAR)を示す。シリカ粒子上に共有結合的に固定化されて二重層(ATH-AT)で遮蔽されたソルターゼA。
図6A】ソルターゼ粒子によって触媒される毒性ペイロードに対する抗体のバイオコンジュゲーションにおけるADC産生の収率を示す。シリカ粒子上に共有結合的に固定化されて二重層(ATH-AT)で遮蔽されたソルターゼA。グルタルアルデヒド架橋を介してシリカ粒子上に共有結合的に固定化され、オルガノシリカ単層(AT)で遮蔽されたソルターゼA。
図6B】ソルターゼ粒子によって触媒される毒性ペイロードに対する抗体のバイオコンジュゲーションにおける薬物抗体比(DAR)を示す。シリカ粒子上に共有結合的に固定化されて二重層(ATH-AT)で遮蔽されたソルターゼA。グルタルアルデヒド架橋を介してシリカ粒子上に共有結合的に固定化され、オルガノシリカ単層(AT)で遮蔽されたソルターゼA。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;及び捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む、組成物に関する。
【0010】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、必要に応じて、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0011】
本明細書で使用される「固体担体」という用語は、通常、粒子を指す。好ましくは、固体担体は単分散粒子又は多分散粒子であり、より好ましくは単分散粒子である。固体担体は、通常、有機粒子、無機粒子、有機-無機粒子、自己集合性有機粒子、シリカ粒子、金粒子、チタン粒子を含み、好ましくはシリカ粒子、より好ましくはシリカナノ粒子(SNP)である。固体担体の粒径は、通常1nm~1000μm、好ましくは10nm~100μm、特に50nm~50μm、より詳細には100nm~1μmである。
【0012】
本明細書で使用される「機能性タンパク質」という用語は、固体担体に添加された後にその特徴的な機能的特性を保持するタンパク質を指す。本発明の意味における機能性タンパク質は、例えば、触媒活性を有する酵素、抗体又はRNAであり得る。したがって、「機能性タンパク質」が好ましい機能性タンパク質である酵素である場合、酵素を含む担体は酵素的に活性である。機能性タンパク質は、通常、固体担体に固定化され、例えば、機能性タンパク質は、通常、固体担体に共有結合的に、及び/又は非共有結合的に、結合される。本明細書で使用される「機能性タンパク質」という用語は、機能性タンパク質の断片も含み、例えば機能性タンパク質は酵素又はその断片であってもよい。本明細書で定義される機能性タンパク質の断片は、通常、それが由来する機能性タンパク質と同じ機能特性を有する。断片に関連する「それが由来する機能性タンパク質」という用語は、断片が由来する全長機能性タンパク質を指す。「それが由来する機能性タンパク質と同じ機能特性」という用語は、例えば酵素活性であり得る、断片が由来する全長タンパク質の分子機能(又は分子機能の1つ)を指す。
【0013】
本明細書で使用される「リンカー」という用語は、第1のリンカーの場合、リンカーの一端が担体材料の表面に結合し、他端が捕捉部分に結合し、第2のリンカーの場合、リンカーの一端が捕捉部分に結合し、他端が機能性タンパク質に結合するか又は融合され得るように、特定の官能基(例えば、第一級アミン、スルフヒドリルなど)に結合することができる基を含む任意の連結試薬を指す。種々のタイプのリンカーが当技術分野で公知であり、これらには、直鎖又は分岐鎖炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、ペプチドリンカー、ポリエーテルリンカー、及びタグとして当技術分野で公知のリンカーが含まれるが、これらに限定されない。例えば、第1のリンカーを固体担体上に、例えば担体材料としてのシリカ表面上に固定化し、次いで、捕捉部分をリンカーの非占有結合部位に結合させてもよい。あるいは、第1のリンカーを最初に捕捉部分に結合させ、次いで捕捉部分に結合したリンカーを、その非占有結合部位で固体担体、例えば担体材料としてのシリカ表面に結合させてもよい。第2のリンカーを捕捉部分に結合させ、次いで、機能性タンパク質をリンカーの非占有結合部位に結合させてもよい。あるいは、第2のリンカーを最初に機能性タンパク質に結合させるか、又は機能性タンパク質に融合されてもよく、次いで、機能性タンパク質に結合又は融合されたリンカーを、その非占有結合部位で捕捉部分に結合させてもよい。好ましくは、第2のリンカーがタグである場合、タグは、好ましくは機能性タンパク質、好ましくは機能性タンパク質のC末端に融合される。機能性タンパク質に融合したタグは、通常、機能性タンパク質が指向的に固定化されるように、捕捉部分のタグ結合部位に結合する。
【0014】
本明細書で使用される「タグ」という用語は、親和性タグ、可溶化タグ、クロマトグラフィータグ及びエピトープタグを包含し得る。親和性タグ(精製タグとしても使用される)は、タンパク質に付加/融合され、その結果、アフィニティ精製技術を使用して、それらのクルード生物学的供給源からタグ化分子を精製することが可能になる。これらには、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ビオチン及び改変ビオチンが含まれる。ポリ(His)タグ、好ましくは6xHisタグは、広く使用されているタグであり;金属含有マトリックスに結合する。可溶化タグは、特に大腸菌などのシャペロン欠損種で発現される組換えタンパク質に使用され、タンパク質の適切な折り畳みを助け、それらが沈殿するのを防ぐ。これらには、チオレドキシン(TRX)及びポリ(NANP)が含まれる。いくつかの親和性タグは、MBP及びGSTなどの可溶化剤として二重の役割を有する。
【0015】
好ましくは、リンカー、すなわち第1及び/又は第2のリンカー、特に第1及び第2のリンカーはタグであり、好ましくはタンパク質精製タグ及び親和性タグからなる群から選択されるタグである。タンパク質精製タグ及び親和性タグは、通常、プロテインA、LacZ、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、カルモジュリン結合ペプチド、インテイン-キチン結合ドメイン、His-Patch ThioFusion、エピトープタグ、並びにストレプトアビジン及びビオチンに基づくタグ、例えばStrepタグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択される(タンパク質精製タグ及び親和性タグの総説については、Kimple et al,Current Protocols in Protein Science 9.9.1-9.9.23 August 2013,DOI:10.1002/0471140864.ps0909s73を参照されたい)。より好ましくは、リンカー、すなわち第1及び/又は第2のリンカー、特に第1及び第2のリンカーは、Strepタグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択される。「Strepタグ」という用語は、少なくとも8個のアミノ酸(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys)からなる合成ペプチドを指す。このペプチド配列は、操作されたストレプトアビジン、例えばStrep-Tactin(登録商標)に対する固有の親和性を示す。「Twin-Strepタグ(登録商標)」という用語は、2回の少なくとも8個のアミノ酸(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys)からなる合成ペプチドを指す。Strepタグとして、このペプチド配列は、操作されたストレプトアビジン、例えばStrep-Tactin(登録商標)に対する固有の親和性を示す。本明細書で使用される「改変ビオチン」という用語は、ビオチンの操作されたバリアント、すなわちストレプトアビジン又はスルホ-NHS-ビオチンのような操作されたストレプトアビジンに結合する改変構造を有する機能的バリアントを指す。
【0016】
本明細書で使用される「捕捉部分」という用語は、目的の固体担体に結合するか又は結合されることができる任意の分子を指す。捕捉部分は、通常、第1のリンカーを介して固体担体に結合し、好ましくは非共有結合している。本発明の適切な捕捉部分は、例えばオリゴヌクレオチド;ポリペプチド;抗体又はその機能性断片;アビジン;操作されたアビジン;ストレプトアビジン;操作されたストレプトアビジン、アプタマー;Spiegelmer(商標)(L-RNAアプタマー);グルタチオン;又はSペプチドである。本明細書で使用される「操作されたアビジン」及び「操作されたストレプトアビジン」という用語は、それぞれアビジン及びストレプトアビジンの操作されたバリアント、すなわちビオチンに結合する改変構造を有する機能的バリアントを指す。好ましい操作されたストレプトアビジンはStrep-Tactin(登録商標)である。Strep-Tactin(登録商標)は、ビオチンへのストレプトアビジン結合と同等の様式で、ペプチドStrep-tag及びビオチンにそれぞれ結合する。
【0017】
本明細書で使用される「保護層」という用語は、機能性タンパク質又は酵素の機能特性を保護するための層を指す。第1の保護層は、固体担体の表面での機能性タンパク質の非特異的吸着を回避するために、固体担体を完全に覆う。第2の保護層は、機能性タンパク質の正しい配向を支持するために機能性タンパク質を完全に又は部分的に覆う。本発明の層、すなわち第1及び/又は第2の保護層は、通常、その少なくとも一部が、通常は共有結合によって両方とも互いに相互作用することができるモノマー及び通常は非共有結合によって固定化された機能性タンパク質であるビルディングブロックを用いて構築される。第1及び第2の保護層は、同じ又は異なる材料、例えば、同じ又は異なるビルディングブロックからなることができる。したがって、一実施形態では、第1及び第2の保護層は、同じ材料、例えば同じビルディングブロックからなる。好ましくは、第1及び第2の保護層は、異なる材料、例えば異なるビルディングブロックからなる。保護層は、通常、機能性タンパク質又は好ましくは保護層に包埋された酵素の特性を維持する均一な層である。保護層は、通常、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%の機能性タンパク質、又は好ましくは保護層に包埋された酵素が同じ方向に配向している(すなわち、指向的に固定化される)均一な層である。
【0018】
「固体担体を完全に包埋する第1の保護層」又は「固体担体を完全に包埋する」という用語は、両方とも本明細書で同義的に使用され、固体担体が第1の保護層によって完全に覆われていることを意味するものとする。
【0019】
「第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋する第1の保護層」又は「第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋する」という用語は、両方とも本明細書で同義的に使用され、第1のリンカーが第1の保護層によって部分的又は完全に覆われ、したがって、第1のリンカーが第1の保護層に部分的又は完全に包埋されることを意味するものとする。好ましくは、第1のリンカーは、第1の保護層に完全に包埋される。
【0020】
本明細書で使用される「捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層」という用語は、捕捉部分が第1の保護層によって全く覆われていないか又は完全には覆われておらず、したがって、捕捉部分が第1の保護層に包埋されていないか又は完全には包埋されていないことを意味するものとする。本発明の一実施形態では、捕捉部分の少なくとも10%が第1の保護層によって覆われるが、典型的には少なくとも50%が覆われる。好ましい実施形態では、捕捉部分の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも60%が第1の保護層によって覆われる。特に好ましい実施形態では、捕捉部分の約30%、好ましくは約40%、より好ましくは約50%、特に約60%が第1の保護層によって覆われる。
【0021】
本明細書で使用される「捕捉部分を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層」という用語は、捕捉部分が第2の保護層によって完全に又は部分的に覆われ、したがって捕捉部分が保護層に完全に又は部分的に包埋されることを意味するものとする。好ましくは、第2の保護層は、捕捉部分を部分的に包埋する。第2の保護層による捕捉部分の被覆率は第1の保護層による捕捉部分の被覆率に依存し、例えば、捕捉部分の10%が第1の保護層によって被覆されている場合、捕捉部分の90%が第2の保護層によって被覆されているか、又は捕捉部分の50%が第1の保護層によって被覆されている場合、捕捉部分の50%が第2の保護層によって被覆されている。通常、捕捉部分の約90%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約10%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約80%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約20%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約70%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約30%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約60%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約40%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約50%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約50%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約40%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約60%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約30%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約70%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約20%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約80%が第2の保護層によって覆われ、捕捉部分の約10%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約90%が第2の保護層によって覆われる。特定の実施形態では、捕捉部分の約50%が第1の保護層によって覆われ且つ捕捉部分の約50%が第2の保護層によって覆われる。
【0022】
「第2のリンカーを完全に包埋する第2の保護層」又は「第2のリンカーを完全に包埋する」という用語は、両方とも本明細書で同義的に使用され、第2のリンカーが第2の保護層によって完全に覆われていることを意味するものとする。
【0023】
「機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層」又は「機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する」という用語は、両方とも本明細書で同義的に使用され、機能性タンパク質が第2の保護層によって部分的又は完全に覆われ、したがって、機能性タンパク質が第2の保護層に部分的又は完全に包埋されることを意味するものとする。好ましくは、機能性タンパク質は部分的に包埋される。
【0024】
本明細書で使用される「部分的に包埋された機能性タンパク質」という用語は、機能性タンパク質が第2の保護層によって完全に覆われておらず、したがって機能性タンパク質が保護層に完全に包埋されていないことを意味するものとする。一実施形態では、目的の機能性タンパク質の50%未満が保護層によって覆われるが、典型的には少なくとも70%よりも多くが覆われ、したがって機能性タンパク質の保護が改善される。好ましい実施形態では、目的の機能性タンパク質の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が保護層によって覆われる。別の好ましい実施形態では、目的の機能性タンパク質の約70%~約95%、より好ましくは約80%~約95%、さらにより好ましくは約90%~約95%、最も好ましくは約90%~約95、96、97、98又は99%が保護層によって覆われている。特に好ましい実施形態では、目的の機能性タンパク質の約70%、具体的には約80%、より具体的には約90%、最も具体的には約95%が保護層によって覆われている。より特に好ましい実施形態では、目的の機能性タンパク質の約70%、具体的には約80%、より具体的には約90%、最も具体的には約95%が保護層によって覆われており、活性部位は覆われていない。
【0025】
本明細書で使用される「完全に包埋された機能性タンパク質」という用語は、本発明による目的の機能性タンパク質が完全に、すなわち100%が第2の保護層によって覆われていること、すなわち活性部位も覆われていることを意味するものとする。
【0026】
本明細書で使用される場合、「免疫リガンド」という用語は、所与の標的、例えば受容体、細胞表面タンパク質、サイトカインなどに対して親和性を有する実体、薬剤又は分子を定義することを意味する。そのような免疫リガンドは、場合により、アゴニスト媒介性応答をブロックするか、若しくは減衰させるか、又は受容体-アゴニスト相互作用を阻害し得る。しかしながら、最も重要なことに、免疫リガンドは、該免疫リガンドによって認識される標的によって定義される特定の部位にペイロードを送達するためのシャトルとして機能し得る。したがって、例えば、限定されないが、受容体を標的とする免疫リガンドは、そのペイロードを、該受容体の存在量によって特徴付けられる部位に送達する。免疫リガンドとしては、限定されないが、抗体、抗体断片、抗体ベースの結合タンパク質、抗体模倣物、受容体、可溶型デコイレセプター、所与の標的に対する親和性を有する足場タンパク質及び受容体のリガンドが挙げられる。
【0027】
「免疫グロブリン」(Ig)とも同義的に呼ばれる「抗体」は、一般に、4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含み、したがって多量体タンパク質又はその等価なIgホモログ(例えば、重鎖又は軽鎖のいずれかに由来し得る重鎖単一ドメイン抗体(dAb)のみを含むラクダ科のナノボディ)であり;完全長機能性変異体、そのバリアント又は誘導体を含み(限定されないが、Ig分子の必須エピトープ結合特徴を保持するマウスの抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及び完全ヒト抗体を含み、デュアル特異性、二重特異性、多重特異性、及びデュアル可変ドメイン免疫グロブリンを含む);免疫グロブリン分子は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)又はサブクラス(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl、及びIgA2)及びアロタイプであり得る。
【0028】
本明細書で使用される「抗体薬物コンジュゲート」(ADC)は、毒素(例えば、限定されないが、チューブリン阻害剤、アクチン結合剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNA挿入及び改変/損傷薬を含む)、キナーゼ阻害剤、又は細胞の生存に不可欠及び/又は特定の生理学的細胞経路に不可欠な特定の細胞経路に干渉する任意のAPIを含むがこれらに限定されない、低分子量医薬品有効成分(API)に結合した抗体、又は抗体断片、又は及び抗体ベースの結合タンパク質のいずれかに関する。
【0029】
本明細書で使用される「抗体誘導体又は断片」は、限定するものではないが、(i)可変軽鎖(VL)、可変重鎖(VH)、定常軽鎖(CL)及び定常重鎖1(CHI)ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFab(Fa)断片の重鎖部分;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなる可変断片(Fv)断片、(v)単一可変ドメインを含むドメイン抗体(dAb)断片;(vi)単離された相補性決定領域(CDR);(vii)一本鎖Fv断片(scFv);(viii)VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖上に発現されるが、同一鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能にするには短すぎるリンカーを使用し、それによってドメインを別の鎖の相補性ドメインとペアリングさせ、2つの抗原結合部位を作り出す二価二重特異性抗体であるダイアボディ;(ix)相補性軽鎖ポリペプチドと一緒になって1対の抗原結合領域を形成する1対のタンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む直鎖状抗体;及び(x)単独又は任意の組み合わせでの、免疫グロブリン重鎖及び/若しくは軽鎖の他の非完全長部分、又はその変異体、バリアント若しくは誘導体を含む、完全長ではない抗体に由来する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む分子に関する。
【0030】
「改変抗体フォーマット」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体-薬物コンジュゲート、ポリアルキレンオキシド改変scFv、モノボディ、ダイアボディ、ラクダ科の抗体、ドメイン抗体、二重特異性抗体若しくは三重特異性抗体、IgA、又はJ鎖と分泌成分によって連結された2つのIgG構造、サメ抗体、新世界霊長類フレームワーク+非新世界霊長類CDR、ヒンジ領域が除去されたIgG4抗体、CH3ドメインに操作された2つの追加の結合部位を有するIgG、Fcガンマ受容体に対する親和性を高めるためにFc領域が変更された抗体、CH3+VL+VHを含むダイマー化コンストラクトなどを包含する。
【0031】
本明細書で使用される「抗体模倣物」という用語は、免疫グロブリンファミリーに属さないタンパク質、さらにはアプタマーなどの非タンパク質、又は合成ポリマーを指す。いくつかのタイプは、抗体様ベータシート構造を有する。抗体に対する「抗体模倣物」又は「代替足場」の潜在的な利点は、より良好な溶解度、より高い組織浸透性、熱及び酵素に対するより高い安定性、並びに比較的低い製造コストである。
【0032】
本明細書で使用される「コンジュゲーション」は、共有結合の形成による分子の別の分子への共有結合に関する。
【0033】
本明細書で使用される「ペイロード」という用語は、化学的に合成することができる低分子量分子又は化学的実体、及び宿主細胞の発酵によって産生される必要があり、標的又は抗原への結合に特異的な免疫リガンドに新規な機能性を付与するより大きな分子又は生物学的実体を含む、天然に存在する又は合成的に生成された任意の分子を表す。
【0034】
本明細書で使用される「毒素」という用語は、哺乳動物細胞に対して細胞傷害性である2’500ダルトンの分子量を超えない低分子量の細胞傷害性化合物を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「配列特異的トランスペペプチダーゼ」という用語は、所与のペプチド配列を有する少なくとも1つの基質ペプチド若しくはタンパク質を認識配列(N末端及び/又はC末端)として必要とし、該基質ペプチド若しくはタンパク質を別のペプチド若しくはタンパク質、又はペプチド若しくはタンパク質成分を含有する低分子量化合物に接続するトランスペプチダーゼを定義することを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「部位特異的トランスペペプチダーゼ」という用語は、別のペプチド若しくはタンパク質、又はペプチド若しくはタンパク質成分を含有する低分子量化合物にコンジュゲートするために使用される少なくとも1つの基質ペプチド若しくはタンパク質中に特異的部位を有するトランスペプチダーゼを定義することを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「放射性剤」という用語は、不安定な核を有する少なくとも1つの原子を有し、したがって放射性崩壊を受けやすく、ガンマ線及び/又はアルファ若しくはベータ粒子などの亜原子粒子の放出をもたらし、細胞死滅効果を有する実体に関する。本文脈において、放射性剤は、病原性実体、例えばがん細胞を損なうか、又はさらには死滅させることを意味する。
【0038】
本明細書で使用される「マーカー」という用語(「検出タグ」とも呼ばれる)は、化学反応、物理反応又は酵素反応で検出可能な化合物又はシグナルを直接的又は間接的に生成する、1つ又は複数の適切な化学物質又は酵素を含む任意の分子又は部分を指し得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「抗炎症薬」という用語は、炎症を軽減する化合物に関する。これは、例えば、グルココルチコイド受容体に結合することによって炎症又は腫脹を軽減する、特異的なグルココルチコイド(しばしばコルチコステロイドと呼ばれる)と同様にステロイドであり得る。この用語はさらに、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素に対抗する非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を包含する。COX酵素は単独でプロスタグランジンを合成し、炎症を引き起こす。全体として、NSAIDは、プロスタグランジンが合成されることを防ぎ、疼痛を軽減又は排除する。この用語はさらに、炎症反応の増幅に関与する免疫細胞である炎症性細胞の活性化及び遊走を変化させるペプチドのクラスである免疫選択的抗炎症性誘導体(ImSAID)を包含する。本明細書で使用される場合、「毒素」という用語は、生細胞又は生物体に対して毒性である分子に関する。毒素は、病原性実体、例えばがん細胞を損なうか、又はさらには死滅させることが意図されたペプチド、又はタンパク質、又は好ましくは低分子量化合物であり得る。本明細書で意味する毒素は、特に細胞毒素を包含する。好ましくは、該毒素は、低分子毒素、すなわち2500Da未満の分子量を有する毒素である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、多数の細胞によって分泌され、細胞間コミュニケーションで広く使用されるシグナル伝達分子のカテゴリーである小細胞シグナル伝達タンパク質分子を指す。サイトカインは、タンパク質、ペプチド又は糖タンパク質として分類することができる。「サイトカイン」という用語は、多様な発生学的起源の細胞によって身体全体にわたって産生される制御因子の大きく多様なファミリーを包含する。本文脈において、サイトカインは、例えば、病原性実体、例えばがん細胞を損なうか、又はさらには死滅させることを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、新生物、特に癌、肉腫、リンパ腫、又は白血病などの悪性(がん性)病変の発生又は進行を阻害する機能的特性を有する分子に関する。転移又は血管新生の阻害は、しばしば、抗がん剤又は化学治療剤の特性である。化学治療剤は、細胞傷害性又は化学治療剤であり得る。好ましくは、該化学治療剤は、がん細胞の成長及び/又は増殖を阻害又は抑制する低分子量細胞増殖抑制剤である。
【0042】
第1の態様では、本発明は、
固体担体;
捕捉部分;
機能性タンパク質;
捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;
機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;
固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;及び
捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層
を含む、組成物を提供する。
【0043】
固体担体と捕捉部分とは、非共有結合又は共有結合によって第1のリンカーによって接続され得る。捕捉部分及び機能性タンパク質は、非共有結合又は共有結合によって第2のリンカーによって接続され得る。非共有結合には、p-p(芳香族)相互作用、ファンデルワールス相互作用、H結合相互作用、及びイオン相互作用が含まれる。好ましくは、固体担体及び捕捉部分は、非共有結合によって第1のリンカーによって接続され、及び/又は機能性タンパク質は、非共有結合によって第2のリンカーによって捕捉部分に接続される。より好ましくは、固体担体及び捕捉部分は、非共有結合によって第1のリンカーによって接続され、及び/又は機能性タンパク質は、非共有結合によって第2のリンカーによって捕捉部分に接続され、第2のリンカーは、機能性タンパク質に融合され、捕捉部分に非共有結合する。
【0044】
一実施形態では、固体担体は、有機粒子、無機粒子、有機-無機粒子、自己集合性有機粒子、シリカ粒子、金粒子、チタン粒子の群から選択され、好ましくはシリカ粒子、より好ましくはシリカナノ粒子(SNP)である。粒径は、通常、粒子の直径を測定することによって測定される。固体担体が単分散粒子である場合、サイズは通常1nm~1000μm、好ましくは10nm~100μm、特に50nm~50μm、より詳細には100nm~1μmである。固体担体が多分散粒子である場合、サイズは通常1nm~1000μm、好ましくは10nm~100μm、特に50nm~50μmである。
【0045】
通常、単分散粒子又は多分散粒子、好ましくは単分散粒子が本発明における固体担体として使用される。好ましい実施形態では、単分散粒子は球状単分散粒子である。さらに好ましい実施形態では、多分散粒子は非球状多分散粒子である。
【0046】
固体担体は、通常、懸濁状態で提供される。固体担体の懸濁は、例えば水又はバッファー、好ましくは緩衝液中であり得る。本発明の方法において使用することができるバッファーは、ホスフェート、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸、N,N’-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、ジグリシン、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパンスルホン酸、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸である。好ましくは、リン酸バッファーが使用される。
【0047】
一実施形態では、本明細書に開示される固体担体の表面は、アンカーポイントとして、すなわち第1のリンカーのアンカーポイントとして分子又は官能性化学基を導入するように改変される。好ましくは、該アンカーポイントはアミン官能性化学基又は部分である。非限定的な例として、固体担体のアミノ改変表面、例えばアミノ改変シリカ表面を改変固体担体として使用してもよい。固体担体のこのようなアミノ改変表面は、シリカ表面を有する固体担体をアミノシラン、例えばAPTESと反応させることによって得てもよい。好ましくは、固体担体の表面は、部分的にのみアミノ改変されている。したがって、好ましい実施形態では、固体担体は、アミノ改変された表面を有するシリカ表面を有する固体担体、より好ましくはシリカ表面を有する固体担体をアミノシラン、例えばAPTESと反応させることによって得られる固体担体、さらにより好ましくはシリカ表面を部分的に有する固体担体をアミノシラン、例えばAPTESと反応させることによって得られる固体担体である。そのような改変担体は、第1のリンカー(例えば、スルホ-NHS-ビオチン)と担体材料の表面のアミン基との間にアミド結合を形成し得る。一実施形態では、アンカーポイントとして導入された分子又は官能性化学基は、固体担体の表面上に均一に分配されている。
【0048】
一実施形態では、機能性タンパク質に対する固体担体のサイズ比は、粒子あたり10~200、好ましくは50~250、より好ましくは20~150のタンパク質分子の結合を可能にするようなものである。
【0049】
一実施形態では、第1の保護層の厚さは、1~100nm、1nm~50nm、1nm~30nm、1nm~25nm、1nm~20nm、又は1nm~15nmである。
【0050】
一実施形態では、第2の保護層の厚さは、1~100nm、1nm~50nm、1nm~30nm、1nm~25nm、1nm~20nm、又は1nm~15nmである。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の保護層は、合わせて約1~約200nm、通常1~約100nm、好ましくは約1~約50mm、より好ましくは約1~約25nm、さらにより好ましくは約1~約20nm、特に約1~約15nmの規定の厚さを有する。最も好ましい規定の厚さは、約1~約15nmである。いくつかの実施形態では、第1及び第2の保護層は、合わせて約5~約100nm、好ましくは約5~約50nm、より好ましくは約5~約25nm、さらにより好ましくは約5~約20nm、特に約5~約15nmの規定の厚さを有する。最も好ましい規定の厚さは、約5~約15nmである。
【0052】
一実施形態では、第1及び第2の保護層は同じ材料からなる。好ましい実施形態では、第1及び第2の保護層は異なる材料からなる。第1及び/又は第2の保護層は通常多孔質であり、孔径は1~100nm、好ましくは1~20nmである。
【0053】
保護層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、光散乱法、エリプソメトリーなどの顕微鏡を用いて測定することができる。
【0054】
本発明の組成物は、通常、リアクタのような反応器内で製造される。第1及び/又は第2の保護層の形成は、通常、ビルディングブロックによってそれぞれの保護層を形成することによって行われ、ビルディングブロックは重縮合反応で保護層を構築する。重縮合は、異なる溶媒中、好ましくは水溶液中で行うことができる。重縮合を容易に制御することができ、必要に応じて停止することができ、保護層の規定の厚さを達成することができる。第2の保護層を構築するために使用することができるビルディングブロックの選択は、最適及び/又は所望のパラメータに従って第2の保護層の親和性を適合させるために、機能性タンパク質の既知の構造に依存し得る。第1及び/又は第2の保護層のビルディングブロックとして、通常、構造ビルディングブロック及び保護ビルディングブロックが保護層を構築するために使用される。使用することができる構造ビルディングブロックは、例えばオルトケイ酸テトラエチル(本明細書では「TEOS」又は「T」と呼ばれる)である。使用することができる保護ビルディングブロックは、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(本明細書では「APTES」又は「A」と呼ばれる)、プロピルトリエトキシシラン(本明細書では「PTES」又は「P」と呼ばれる)、イソブチルトリエトキシシラン(「IBTES」と呼ばれる)、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン(本明細書では「HTMEOS」又はHと呼ばれる)、ベンジルトリエトキシシラン(本明細書では「BTES」と呼ばれる)、ウレイドプロピルトリエトキシシラン(「UPTES」と呼ばれる)、又はカルボキシエチルトリエトキシシラン(本明細書では「CETES」と呼ばれる)である。構造ビルディングブロックは、通常、形成された層に4つの共有結合を形成することができる無機シリカの前駆体である。保護ビルディングブロックは、通常、機能性タンパク質(例えば、酵素)と相互作用する能力を備えた有機部分を有するオルガノシランである。好ましい構造ビルディングブロックは、四価シラン、特にテトラアルコキシシランである。好ましい保護ビルディングブロックは、三価シラン、特にトリアルコキシシランである。より好ましい構造ビルディングブロックは、四価シランと三価シランの混合物、特にテトラアルコキシシランとトリアルコキシシランの混合物である。さらにより好ましい構造ビルディングブロックは、オルトケイ酸テトラエチル、テトラ-(2-ヒドロキシエチル)シラン、及びオルトケイ酸テトラメチルからなる群から選択される。さらにより好ましい保護ビルディングブロックは、カルボキシエチルシラントリオール、ベンジルシラン、プロピルシラン、イソブチルシラン、n-オクチルシラン、ヒドロキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルシラン、アミノプロピルシラン、ウレイドプロピルシラン、(N-アセチルグリシル)-3-アミノプロピルシランからなる群から選択され、特にベンジルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、(N-アセチルグリシル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択され、又はベンジルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、ヒドロキシルネチルトリメトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アルニノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン(N-アセチルグリシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランから選択され、又はベンジルトリヒドロキシエトキシシラン、プロピルトリヒドロキシエトキシシラン、イソブチルトリヒドロキシエトキシシラン、n-オクチルトリヒドロキシエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリヒドロキシエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリヒドロキシエトキシシラン、アミノプロピルトリヒドロキシエトキシシラン、ウレイドプロピルトリヒドロキシエトキシシラン(N-アセチルグリシル)-3-アミノプロピルトリヒドロキシメトキシシランから選択される。
【0055】
特に好ましいビルディングブロックは、構造ビルディングブロックとしてのTEOS並びに保護ビルディングブロックとしてのAPTES、PTES及び/又はHTMEOS、好ましくはAPTES及びHTMEOSである。特に、構造ビルディングブロックとしてのTEOS並びに保護ビルディングブロックとしてのAPTES及びHTMEOSが第1の保護層を構築するために使用され、構造ビルディングブロックとしてのTEOS及び保護ビルディングブロックとしてのAPTESが第2の保護層を構築するために使用される。
【0056】
第1の保護層を形成するために第1のリンカーを介して捕捉部分に接続された固体担体とビルディングブロックとの反応時間は、第1のリンカーの長さ及び捕捉部分のサイズに依存する。通常、反応時間は、第2のリンカーに結合する捕捉部分の一部が第1の保護層によって覆われないように選択される。反応は、通常0.5~10時間、好ましくは1~5時間、より好ましくは1~4時間、さらにより好ましくは2~4時間、好ましくは水溶液中で、好ましくは約5~約15℃又は約10℃の室温で行われる。第2の保護層を形成するためのビルディングブロックと機能性タンパク質を含む組成物との反応時間は、第2のリンカーの長さ及び機能性タンパク質のサイズに依存する。通常、反応時間は、機能性タンパク質の一部が第2の保護層によって覆われないように選択される。あるいは、反応時間は、機能性タンパク質が第2の保護層によって完全に覆われるように選択される。反応は、通常0.5~10時間、好ましくは1~5時間、より好ましくは1~4時間、さらにより好ましくは1~2時間、好ましくは水溶液中で、好ましくは約5~約15℃又は約10℃の室温で行われる。保護層の形成は、重縮合反応を能動的に停止させることによって、例えば未反応のビルディングブロックを例えば洗浄工程によって除去することによって、又は限られた量のビルディングブロックによって引き起こされる重縮合反応の自己停止によって停止させることができる。
【0057】
一実施形態では、第1のリンカーは、タグ、好ましくはタンパク質精製タグ及び親和性タグからなる群から選択されるタグ、より好ましくはStrepタグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択されるタグであり、さらにより好ましくは改変ビオチン、特にスルホ-NHS-ビオチンである。
【0058】
一実施形態では、捕捉部分は、オリゴヌクレオチド;ポリペプチド;抗体又はその機能性断片;アビジン;操作されたアビジン;ストレプトアビジン;操作されたストレプトアビジン、アプタマー;Spiegelmer(商標)(L-RNAアプタマー);グルタチオン;又はSペプチドからなる群から選択される。好ましくは、捕捉部分は、ポリペプチド、抗体又はその機能性断片、アビジン、操作されたアビジン、ストレプトアビジン及び操作されたストレプトアビジンからなる群から選択される。より好ましくは、捕捉部分は、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン及び操作されたストレプトアビジンからなる群から選択され、最も好ましくは操作されたストレプトアビジン、特にStrep-Tactin(登録商標)である。
【0059】
一実施形態では、第2のリンカーは、タグ、好ましくはタンパク質精製タグ及び親和性タグからなる群から選択されるタグ、より好ましくはStrepタグ、Twin-Strepタグ(登録商標)、ビオチン及び改変ビオチンからなる群から選択されるタグであり、さらにより好ましくは、Strepタグ、Twin-Strepタグ(登録商標)からなる群から選択されるタグである。最も好ましくは、第2のリンカーは、Twin-Strepタグ(登録商標)であり、特に、第2のリンカーは、配列番号1に示される配列を含むアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0060】
好ましい実施形態では、機能性タンパク質は、触媒活性酵素又はその混合物、より好ましくは酵素又はその断片、さらにより好ましくはオキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスペプチダーゼ、若しくはリガーゼ又はそれらの混合物からなる群から選択される酵素又はその断片を有する酵素、抗体、又はRNAである。ヒドロラーゼ若しくはその断片、より具体的にはトランスペプチダーゼ若しくはその断片、又は配列特異的トランスペプチダーゼ若しくはその断片、さらにより具体的にはソルターゼ若しくはその断片、又は配列特異的ソルターゼ若しくはその断片が特に好ましい。好ましいソルターゼは、ソルターゼA3又はその断片、特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のソルターゼA、又はその任意の機能的断片若しくは変異体、好ましくは黄色ブドウ球菌(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8)を有するソルターゼAバリアントである。
【0061】
一実施形態では、第2のリンカーは、機能性タンパク質の活性部位の反対側で、機能性タンパク質に結合し、好ましくは共有結合的に結合し、より好ましくは機能性タンパク質に融合する。好ましくは、第2のリンカーは、機能性タンパク質のC末端に結合され、好ましくは共有結合的に結合され、より好ましくは機能性タンパク質に融合される。
【0062】
一実施形態では、捕捉部分はストレプトアビジン及び操作されたストレプトアビジンからなる群より選択され、好ましくは捕捉部分はStrep-Tactin(登録商標)である。
【0063】
一実施形態では、捕捉部分は、互いに反対側である第1及び第2のリンカーのための結合部位を含む。
【0064】
一実施形態では、第1の保護層は、固体担体及び第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する。
【0065】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む。
【0066】
より好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を部分的に包埋する第2の保護層を含む。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に指向的に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む。
【0068】
より好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に指向的に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を部分的に包埋する第2の保護層を含む。
【0069】
一実施形態では、捕捉部分は、第1及び第2の保護層によって完全に包埋される。
【0070】
一実施形態では、捕捉部分は、第1の保護層が捕捉部分の一部を包埋し、第2の保護層が捕捉部分の残りの部分を包埋するように、第1及び第2の保護層によって完全に包埋される。
【0071】
したがって、さらにより好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に、好ましくは部分的に包埋する第2の保護層を含み、捕捉部分は、第1の保護層が捕捉部分の一部を包埋し、第2の保護層が捕捉部分の残りの部分を包埋するように、第1及び第2の保護層によって完全に包埋される。
【0072】
なおさらにより好ましい実施形態では、本発明の組成物は、固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に指向的に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に、好ましくは部分的に包埋する第2の保護層を含み、捕捉部分は、第1の保護層が捕捉部分の一部を包埋し、第2の保護層が捕捉部分の残りの部分を包埋するように、第1及び第2の保護層によって完全に包埋される。
【0073】
一実施形態では、第1の保護層は、捕捉部分の20%~90%、好ましくは50%~90%、より好ましくは60%~95%を包埋し、第2のリンカーが機能性タンパク質を捕捉部分に接続する捕捉部分の切片は、第1の保護層によって包埋されない。
【0074】
好ましくは、第1の保護層は、固体担体及び第1のリンカーを完全に包埋し、捕捉部分の20%~90%、好ましくは50%~90%、より好ましくは60%~95%を包埋し、第2のリンカーが機能性タンパク質を捕捉部分に接続する捕捉部分の切片は、第1の保護層によって包埋されない。
【0075】
一実施形態では、第1の保護層は、捕捉部分の20%~90%を包埋し、第2のリンカーが捕捉部分に結合して捕捉部分と機能性タンパク質とを接続する捕捉部分の切片は包埋されない。
【0076】
一実施形態では、第2の保護層は、捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質の50%と150%の間を包埋し、通常10%と150%の間、好ましくは20%と95%~99%の間、より好ましくは30%と90%~95%の間、さらにより好ましくは60%と90~99%の間を包埋する。
【0077】
さらなる実施形態では、第2の保護層は、捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質の20%と95%~99%の間、より好ましくは30%と90%~95%の間、さらにより好ましくは60%と90~99%の間を包埋し、機能性タンパク質の活性部位は包埋されない。
【0078】
一実施形態では、第2の保護層は、第1の保護層を完全に包埋し、捕捉部分を部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、少なくとも部分的に機能性タンパク質を包埋する。
【0079】
第1の保護層が形成された後、第1のリンカー及び捕捉部分を含む固体担体並びに第1の保護層を保存することができる。保存は、通常、例えば形成された組成物を例えばバッファーで洗浄し、所望の期間そのバッファーに懸濁又は溶解させて保存することによって達成される。好ましい実施形態では、第1のリンカー、捕捉部分及び第1の保護層を含む固体担体は、2~25℃の一定温度で保存される。さらに好ましい実施形態では、第1のリンカー、捕捉部分及び第1の保護層を含む固体担体は、5~48時間、好ましくは10~30時間保存される。より好ましくは、第1のリンカー、捕捉部分及び第1の保護層を含む固体担体は、2~25℃の一定温度で、好ましくは室温で、10~30時間保存される。
【0080】
さらなる態様では、本発明は、上記の組成物、例えば固体担体;捕捉部分;機能性タンパク質;捕捉部分を固体担体に接続する第1のリンカー;機能性タンパク質を捕捉部分に接続する第2のリンカー;固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層;捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を含む組成物を製造する方法を提供し;該方法は、
(a)第1のリンカーによって捕捉部分を固体担体に接続する工程;
(b)固体担体の表面上に、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する第1の保護層を形成する工程;
(c)第2のリンカーによって機能性タンパク質を捕捉部分に接続する工程;
(d)捕捉部分を完全に又は部分的に包埋し、第2のリンカーを完全に包埋し、機能性タンパク質を完全に又は部分的に包埋する第2の保護層を第1の保護層の表面上に形成する工程
を含む。
【0081】
工程(a)は、通常、第1のリンカーを水又はバッファー中の懸濁液中の固体担体に添加することによって行われる。懸濁液は、例えば400rpm、20℃で30分間撹拌することができる。オプショナルの洗浄工程及び粒子の再懸濁後、捕捉部分を添加し、得られた混合物を通常、例えば20℃、400rpmで1時間撹拌する。
【0082】
工程(b)による、固体担体を完全に包埋し、第1のリンカーを完全に又は部分的に包埋し、捕捉部分を包埋しないか又は部分的に包埋する固体担体の表面上の第1の保護層の形成は、通常、ビルディングブロック、例えばTEOSのような四価シランを工程a)で得られた混合物に添加し、例えば10℃、400rpmで例えば1時間反応させることによって行われる。次いで、さらなるビルディングブロック、例えばAPTESのような三価シラン又は2つの三価シラン、例えばAPTES及びヒドロキシメチルトリエトキシシランを前の混合物に添加し、例えば4時間反応させる。第1の保護層によって覆われた組成物の試料は、反応中の様々な時点で採取して、異なる厚さの第1の保護層を有する組成物を得ることができる。試料は、硬化のために、例えば室温で24時間保存することができる。
【0083】
工程(c)による捕捉部分への機能性タンパク質の結合は、通常、工程(b)の後に得られた試料に機能性タンパク質、例えば酵素を添加することによって行われる。次いで、得られた懸濁液を、通常、例えば20℃、400rpmで1時間撹拌する。続いて、中間洗浄の有無にかかわらず、ビルディングブロック、例えばTEOSのような四価シランを粒子に添加し、例えば10℃、400rpmで1時間反応させる。次いで、さらなるビルディングブロック、例えばAPTESのような三価シランを混合物に添加する。第2の保護層によって覆われた組成物の試料は、反応中の様々な時点で採取して、異なる厚さの第2の保護層を有する組成物を得ることができる。試料は、硬化のために、例えば室温で24時間保存することができる。
【0084】
一実施形態では、工程(b)の後に得られた組成物は、工程(c)において機能性タンパク質を捕捉部分に結合する前に保存される。さらなる実施形態では、組成物は工程(d)の後に保存される。好ましい実施形態では、貯蔵は2~25℃の一定温度で行われる。さらに好ましい実施形態では、貯蔵は5~48時間、好ましくは10~25時間行われる。
【0085】
一実施形態では、第2の保護層は、第1の保護層を完全に包埋する。
【0086】
一実施形態では、第1及び第2の保護層は、同じ材料又は異なる材料からなり、好ましくは異なる材料からなる。
【0087】
さらなる態様では、本発明は、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを製造する方法であって、上記の組成物によってペイロードを免疫リガンドにコンジュゲートすることを含む方法を提供する。
【0088】
一実施形態では、組成物の機能性タンパク質は、トランスペプチダーゼ又はその断片、好ましくは配列特異的トランスペプチダーゼ又はその断片である。一実施形態では、本発明の組成物のトランスペプチダーゼ又はその断片は、コンジュゲーション反応を触媒する。
【0089】
さらなる実施形態では、トランスペプチダーゼ又はその断片を含む組成物を免疫リガンド及びペイロードと共にインキュベートする。
【0090】
さらなる実施形態では、トランスペプチダーゼ又はその断片を含む組成物は、
i)溶液中に提供され;
ii)組成物を含む溶液が、免疫リガンド及びペイロードと共にインキュベートされ;且つ
ii)コンジュゲーション反応が起こった後、溶液が遠心分離され、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを含む上清が除去される。
【0091】
一実施形態では、ペイロード及び/又は免疫リガンドは、
a)完全に、タンパク質若しくはペプチドからなるか、又は
b)少なくとも1つのタンパク質若しくはペプチドドメインを含むか、又は
c)免疫リガンドとして少なくとも1つのタンパク質及びペイロードとして低分子量分子を含むか、又は
d)免疫リガンドとして少なくとも1つのタンパク質及びペイロードとして低分子量毒素を含むか、又は
e)少なくとも1つのタンパク質又はペプチド鎖を含み、さらに、タンパク質又はペプチド鎖が、トランスペプチダーゼによって検出され得るアミノ酸配列又はその断片を含む。
【0092】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれる免疫リガンドは、抗体、改変抗体フォーマット、抗体誘導体若しくは断片、及び/又は抗体模倣物からなる群から選択される。
【0093】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードは、マーカー、タグ及び薬物からなる群から選択され、好ましくは低分子量薬物又は低分子量毒素である。
【0094】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードは、マーカー、タグ、及び薬物からなる群から選択され、マーカーは、放射性標識、好ましくは放射性標識ペプチド又はタンパク質、蛍光性標識、好ましくは蛍光性ペプチド又はタンパク質、及び酵素標識、好ましくはペルオキシダーゼからなる群から選択される。
【0095】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードは、放射性標識、好ましくは放射性標識ペプチド又はタンパク質、蛍光性標識、好ましくは蛍光性ペプチド又はタンパク質、及び酵素標識、好ましくはペルオキシダーゼからなる群から選択されるマーカーである。
【0096】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードは、マーカー、タグ及び薬物からなる群から選択され、薬物は、サイトカイン、放射性剤、抗炎症薬、毒素及び化学療法剤からなる群から選択される。
【0097】
一実施形態では、免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートに含まれるペイロードは、サイトカイン、放射性剤、抗炎症薬、毒素及び化学療法剤からなる群から選択される薬物である。
【0098】
さらなる態様では、本発明は、上記の方法によって得られる免疫リガンド/ペイロードコンジュゲートを提供する。
【実施例
【0099】
材料:テトラエチルオルトシリケート(T、≧99%)、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(A、≧98%)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩(スルホ-NHS)、水酸化アンモニウム(NH4OH、ACSグレード、28~30%)、エタノール(EtOH、ACSグレード、無水)、グルタルアルデヒド(グレードI、水中25%)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、99%)、Trizma(登録商標)塩基(≧99.9%)、CH3CN及びグリセロールは、Sigma-Aldrich(スイス)から購入した。n-プロピルトリエトキシシラン(P、97%)及びヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-ペンタン酸(ビオチン、97%)は、ABCR(ドイツ)から購入した。ヒドロキシメチルトリエトキシシラン(H、エタノール中50%)は、Gelest(USA)から購入した。プレキャストタンパク質ゲル(4~20% Mini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precast Protein Gels、15ウェル、15μl)及びラダー(Precision Plus Protein(商標)Dual Xtra Prestained Proteins Standards)は、Bio-Radから購入した。リン酸カリウム塩及びTFAは、Fisher Scientific(スイス)から購入した。リン酸ナトリウム塩、HEPES塩、NaCl、CaCl2、グリシン及びDTTは、Carl Roth(ドイツ)から購入した。Gly5改変フルオレセインイソチオシアネート(FITC)はBachem(スイス)から購入した。ソルターゼA(SrtA)はAGC Biologicsから購入した。凍結乾燥したStrep-Tactinを、IBA Lifesciences(ドイツ)から購入した。Aeroperl 300粒子はEvonikから購入した。LPQTGタグ付きモノクローナル抗体は、Evitria/WuXi Biologicsから購入した。Gly2改変毒素は、Levena Biopharmaから購入した。PBSはBioConceptから購入した。
【0100】
実施例1:粒子上のソルターゼA酵素の非特異的カップリングの最適化
以下のように、Imhofら(J.Phys.Chem.B 1999,103,1408)の報告から適合させた従来のStober法を用いてSNPを作製した。エタノール(345.4ml)、アンモニア25%(39.3ml)及びTEOS(オルトケイ酸テトラエチル、15.3ml)を丸底フラスコ中で混合し、この混合物を600rpmで20時間、20℃の一定温度で撹拌した。続いて、得られた沈殿物をエタノールで2回及び水で2回洗浄し、凍結乾燥させて裸のSNPを得て、これを走査電子顕微鏡(Zeiss、SUPRA 40 VP)を用いて特性評価した。取得した顕微鏡写真を、analysis(登録商標)(Olympus)ソフトウエアパッケージを用いて粒径測定に使用した(100回の測定に対して統計解析を行った)。
【0101】
機能性タンパク質(又は、この場合はソルターゼA酵素)の固定化を可能にするSNPの表面にアミン官能性化学基を導入するために、SNPをアミノシランと反応させた。保護層のさらなる付着のためにシラノール基を残すために、この改変は部分的でなければならないことに留意することが重要である。このために、水中懸濁液中のSNP(20mL;10mg/ml)をAPTES(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、33mg)と共に20℃で90分間インキュベートした。水中での2回の洗浄工程の後、得られたアミノ改変SNP(SNP-NH2)を得た。
【0102】
アミノ改変ナノ粒子(SNPs-NH2)のビオチン改変は、水可溶型ビオチン化試薬スルホ-NHS-ビオチンを用いて行った。典型的な手順では、スルホ-NHS-ビオチンを、pH8.0のリン酸バッファー中のアミノ改変シリカ粒子(SNPs-NH)に添加した。懸濁液を400rpm、20℃で30分間撹拌した。洗浄し、ビオチン化粒子(SNP-bio)(3.2mg/mL、15mL)をリン酸バッファーpH8.0に再懸濁した後、Strep-Tactin(500μg/mL)を添加し、得られた混合物(SNP-bio-ST)を20℃、400rpmで1時間撹拌した。続いて、中間洗浄なしで、43.3μLのオルトケイ酸テトラエチル(T)を粒子に添加し(3.2mg/mL、14.5mL)、10℃、400rpmで1時間反応させた。次いで、粒子を、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン(H)及びプロピルトリエトキシシラン(P)を含有する3つの異なるオルガノシラン混合物と共にインキュベートした。その結果、3つの異なる層(ATH、AT及びATP)を製造し、比較した。より詳細には、ATHからなる層の合成のために、16.5μLのA及び27.1μLのHを粒子の懸濁液に添加した。AT層の合成のために、28.2μLのT及び6.7μLのAを添加し、ATP層のために、17.5μLのT、6.7μLのA及び11.3μLのPを添加し、試料を4時間にわたって1時間ごとに収集した。SNPs-bio-ST-AT又はSNPs-bio-ST-ATH又はSNPs-bio-ST-ATPの異なる試料を室温で24時間貯蔵した。3つの異なる組成物すべてについて、約1.4nmの層が得られた。Strep-Tactin(捕捉部分)の約50%がこの層に覆われていた。次いで、C末端でTwin-Strepタグ(配列番号1)に融合した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8)を有するソルターゼA(130μg/mL)を、ビオチン-Strep-Tactinを担持する粒子の3つの試料に添加し、懸濁液を20℃、400rpmで1時間撹拌した。ATH、AT及びATPで作製された層は、それぞれ最大69%、51%及び32%のソルターゼAの非特異的吸着の減少を可能にした(図2)。非特異的吸着は、担体の利用可能な表面とソルターゼAとの間の分子間力(イオン相互作用及びファンデルワールス力を含む)から生じる。使用したオルガノシラン(A、H、P)の化学官能性は、粒子の表面の化学電荷を改変し、ソルターゼAの非特異的吸着を減少させた。非特異的吸着は、担体の表面でのソルターゼAの制御されない結合を引き起こし、その結果、バイオコンジュゲーションを減少させる。
【0103】
実施例2:ソルターゼAの指向的固定化及び遮蔽
実施例1で得られた結果に基づいて、組成物ATHを有する層は、最も低いソルターゼAの非特異的吸着を示した。その結果、ATHで作製された層で遮蔽されたStrep-Tactinを担持する粒子(3.2mg/mL、2.5mL)を含む系を、指向的なソルターゼAの固定化のための担体として選択した。C末端でTwin-Strepタグ(配列番号1)に融合した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8)を有するソルターゼA(130μg/mL)を添加し、懸濁液を20℃、400rpmで1時間撹拌し、その後、中間洗浄なしで、12μLのオルトケイ酸テトラエチル(T)を粒子に添加し(3.2mg/mL、2.5mL)、10℃、400rpmで1時間反応させた。次いで、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)(2.83μL)を先の混合物に添加した。625μLを4時間にわたって1時間ごとに収集した。特に、A及びTとの3時間のインキュベーション後、層は9.8nmであり、4時間後、層は11.2nmであった。
【0104】
実施例3:バイオコンジュゲーション反応
ソルターゼ-SNP又は可溶型ソルターゼ酵素によって触媒されるバイオコンジュゲーション反応を、抗体の重鎖及び軽鎖のC末端に存在するソルターゼ認識モチーフを有する組換え抗体の、ペンタ-グリシン改変フルオレセインイソチオシアネート(Gly5-FITC)へのコンジュゲーションによって測定した。したがって、これらは両方とも、ソルターゼA媒介トランスペプチド化反応の基質である。C末端でTwin-Strepタグ(配列番号1)に融合した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8)を有するソルターゼAを、シリカ粒子の表面に存在するStrep-Tactin捕捉部分を介して指向的に固定化し、実施例2に記載の手順に従って2つの異なる層(AT-AT及びATH-AT)又は保護単層(AT)で遮蔽した。C末端でTwin-Strepタグ(配列番号1)に融合したソルターゼA(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8))をシリカ粒子の表面に指向的に固定化し、2つの異なる層(AT-AT及びATH-AT)で遮蔽した系を用いたバイオコンジュゲーションの動態は、ソルターゼAをSNPに直接結合させ、単一の保護単層(AT)で遮蔽した系と比較して予想外に高かった。典型的なバイオコンジュゲーション実験では、シリカ粒子上に固定化され、遮蔽されたソルターゼの溶液を、抗体(mAb)(10μM)及びGly-FITC(200μM)と共に、トリス-バッファーpH7.5中、25℃、800rpmで4時間、暗所でインキュベートした。コンジュゲーション反応後、試料を遠心分離し、上清を空のバイアルに移した。各試料の上清をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析し(図3a)、各系のバイオコンジュゲーション効率を決定した(図3b)。
【0105】
セルターゼAを、架橋剤としてグルタルアルデヒドを使用してアミノ改変シリカ粒子の表面に共有結合的に固定し、2nmの層で部分的に遮蔽する場合、プローブに対する抗体のバイオコンジュゲーションが最も低い:AT(2.5時間);AT(3時間);AT(3.5時間);AT(4時間);AT(4.5時間)。捕捉部分を既に有し、二重層(AT/AT又はAT/ATH)を有するSNP上で指向的にシリカ粒子上にソルターゼAを固定すると、より高い抗体バイオコンジュゲーション値が得られる。AT(1時間)/ATH(4時間)で調製した二重層で最良の値を得る。
【0106】
実施例4:可溶型ソルターゼA及び指向的に固定化及び遮蔽されたソルターゼAによって触媒されるバイオコンジュゲーション反応の比較
可溶型ソルターゼA及び指向的に固定化及び遮蔽されたソルターゼA(実施例2に示すように合成)によって触媒されるバイオコンジュゲーション反応を以下のように行った:実施例3で使用した組換え抗体10μM及びGly5-FITC 200μMを、固定化及び遮蔽されたソルターゼA(3μM)のトリスバッファー(50mM、150mM NaCl、5mM CaCl2、pH7.5)懸濁液に添加し、サーモミキサー内で暗所にて25℃、800rpmで7時間振盪した。アリコートを1時間ごとに収集した。バイオコンジュゲーション反応を停止させるために、懸濁液を遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。同様に、3μMの可溶型ソルターゼAを10μMの抗体及び200μMのGly5-FITCとインキュベートした。蛍光スキャンは、遮蔽されたソルターゼのコンジュゲーションの活性が可溶型酵素と同一であることを示した。
【0107】
実施例5:Aeroperl 300粒子へのソルターゼAの部位特異的固定化及び遮蔽
市販の多孔性シリカ粒子直径20~60μm)を、ソルターゼAを固定するために改変した。より詳細には、水中懸濁液中のAeroperl粒子(20mL;10mg/ml)を、APTES(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、33mg)と共に、20℃で90分間インキュベートした。水中での2回の洗浄工程の後、得られたアミノ改変Aeroperl(Aer-NH2)を得た。アミノ改変粒子(Aer-NH2)のビオチン改変は、水可溶型ビオチン化試薬スルホ-NHS-ビオチンを用いて行った。
【0108】
典型的な手順では、スルホ-NHS-ビオチンを、リン酸バッファーpH8中のアミノ改変シリカ粒子(Aer-NH2)に添加した。懸濁液を1000rpm、20℃で30分間混合した。洗浄し、ビオチン化粒子(Aer-bio)(1.6mg/mL、25mL)をリン酸バッファーpH8に再懸濁した後、Strep-Tactin(500μg/mL)を添加し、得られた混合物(Aer-bio-ST)を20℃、1000rpmで1時間混合した。続いて、中間洗浄なしで、37μLのオルトケイ酸テトラエチル(T)を粒子に添加し(1.6mg/mL、23.9mL)、1000rpmで混合しながら10℃で1時間反応させた。次いで、粒子を、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)及びヒドロキシメチル-トリエトキシシラン(H)を含有するオルガノシラン混合物と共にインキュベートした。より詳細には、ATHで作製された層の合成のために、14.1μLのA及び23.1μLのHを粒子の懸濁液に添加し、混合物を1000rpmで混合しながら10℃で1時間反応させた。Strep-Tactin(捕捉部分)の約50%がこの層に覆われていた。Aer-bio-ST-ATHの試料を硬化のために室温で24時間保存した。次いで、C末端でTwin-Strepタグ(配列番号1)に融合した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(NCTC 8325株)由来のUniProt番号KB-Q2FV99(SRTA_STAA8)を有するソルターゼA(130μg/mL)を、ビオチン-Strep-Tactinを担持する粒子の試料に添加し、懸濁液を1000rpmで混合しながら1時間20℃で混合した。続いて、中間洗浄なしで、57.4μLのオルトケイ酸テトラエチル(T)を粒子に添加し(1.6mg/mL、23.9mL)、1000rpmで混合しながら20℃で1時間反応させた。次いで、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)(13.5μL)を先の混合物に添加し、1000rpmで混合しながら20℃で4時間反応させた。
【0109】
バイオコンジュゲーション:固定化されたソルターゼ媒介抗体コンジュゲーション
LPQTGタグ付きモノクローナル抗体(10μM)とGly2改変毒素(400μM)を、3μMの固定化ソルターゼA存在下、50mM HEPES、150mM NaCl、5mM CaCl2、10%グリセロール、pH7.5中で、16~20時間、25℃でインキュベートすることにより、ペイロードをmAbにコンジュゲートした。固定化されたソルターゼAコンジュゲート試料を200rcfで5分間遠心分離した。ISMACの上清を別の管に収集した。残りのソルターゼビーズを50mM NaHPO、100mM NaCl、pH8で3回洗浄し、ISMAC上清と共にプールした。ISMACを、24カラム容積(CV)の25mM HEPES、150mM NaCl、10%グリセロール(v/v)、pH7.5で平衡化したグラビティフロープロテインAカラム(GE Healthcare、#28-9852-54)に通すことによって精製した。次いで、カラムを24CVの同じバッファーで洗浄した。結合したコンジュゲートを、1:25の1M HEPES、pH8.0を含有するチューブに回収した画分として溶出バッファー(100mMグリシン、50mM NaCl、10%グリセロール(v/v)、pH2.7)で溶出して、溶液を中和した。タンパク質含有画分をプールし、製造業者の指示に従って脱塩/製剤化カラム(Zebaスピンカラム、ThermoFisher、#89892、樹脂5mL)を使用してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に製剤化した。製剤化されたADCを、0.22μmのPESシリンジフィルタユニット及び対応する使い捨てシリンジで濾過した。
【0110】
ADC分析
薬物負荷を、0.1% TFA/3.0% CHCN/96.9% H2Oと0.1% TFA/99.9% CHCNとの間の9分直線勾配で60℃において0.7mL/分で実行されるPLRP-S 1000Å、2.1×50mm、3μmカラム(Agilent、#PL1912-3301)での逆相クロマトグラフィー(RP-LC)によって評価した。試料を最初にDTTと共に37℃で15分間インキュベートすることによって還元し、14000rcfで5分間遠心分離した。
【0111】
ソルターゼAを二重層(ATH/AT)を担持するAeroperl粒子に固定すると、得られたADC産生の収率及びDAR値は、可溶性ソルターゼAを用いて得られたものに匹敵する。より詳細には、Aeroperl ATH/ATは78%のADC産生の収率を示し、可溶型酵素は81%のADC産生の収率を示した(図5A)。さらに、Aeroperl ATH/ATは1.86のDARを示し、可溶型酵素は2.00のDAR値を示した(図5B)。
【0112】
実施例6:Aeroperl 300粒子へのソルターゼAの部位非特異的固定化及び遮蔽(比較実験)
市販の多孔質シリカ粒子(直径20~60μm)を、国際公開第2015/014888号に記載されているように、ソルターゼを固定するように改変した。より詳細には、水中懸濁液中のAeroperl粒子(20mL;10mg/ml)を、APTES(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、33mg)と共に、20Cで90分間インキュベートした。水中での2回の洗浄工程の後、得られたアミノ改変Aeroperl(Aer-NH2)を得た。
【0113】
アミノ改変粒子(Aer-NH2)のグルタルアルデヒド改変は、グルタルアルデヒド(H2O中25%)を使用して行った。典型的な手順では、グルタルアルデヒドを、水中のアミノ改変シリカ粒子(Aer-NH2)に添加した。懸濁液を1000rpm、20℃で30分間混合した。洗浄し、グルタルアルデヒド粒子(Aer-glut)(3.2mg/mL、15mL)をリン酸バッファーpH8に再懸濁した後、SortaseA(45μg/mL)を添加し、得られた混合物(Aer-glut-ソルターゼA)を20℃、1000rpmで1時間混合した。続いて、中間洗浄なしで、36μLのオルトケイ酸テトラエチル(T)を粒子に添加し(3.2mg/mL、7.5mL)、1000rpmで混合しながら10℃で1時間反応させた。次いで、粒子を3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(A)とインキュベートした。より詳細には、ATで作製された層の合成のために、8.48μLのAを粒子の懸濁液に添加し、混合物を1000rpmで混合しながら10℃で3時間反応させた。Aer-bio-ST-ATHの試料を硬化のために室温で24時間保存した。
【0114】
固定化されたソルターゼ媒介抗体コンジュゲーション及びADC分析は、実施例5に記載されるように行われた。国際公開第2015/014888号に記載されているように、グルタルアルデヒドを使用してAeroperl粒子にソルターゼAを固定し、層(AT)で遮蔽すると、ADC産生の収率及びDAR値は、実施例5に記載されている部位特異的固定化ソルターゼAで得られたものよりも低い。より詳細には、グルタルアルデヒドを介して固定化され、遮蔽されたもの(Aeroperl_グルタルアルデヒド_AT)は、53%のADC産生の収率を示し、部位指向的固定化ソルターゼAは、78%のADC産生の収率を示した(図6A)。さらに、Aeroperl_グルタルアルデヒド_ATは1.44のDARを示し、部位指向的固定化ソルターゼAは1.86のDAR値を示した(図6B)。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024511598000001.app
【国際調査報告】