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特表2024-511600水素又はヘリウム液化処理における予冷のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】水素又はヘリウム液化処理における予冷のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
F25J1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557121
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022019734
(87)【国際公開番号】W WO2022197526
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/207,684
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523352387
【氏名又は名称】エア ウォーター ガス ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モステロ,ロバート,エー.
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA02
4D047AA03
4D047AB03
4D047AB07
4D047CA09
4D047CA16
4D047CA17
4D047CA19
4D047EA00
(57)【要約】
エネルギー消費及び液体窒素の使用量が削減された、液体窒素を使用した液化のために水素又はヘリウムガス流を予冷するためのシステム及びプロセスが本明細書において記載される。システムは、加圧液体窒素の流れ、少なくとも1つのターボ膨張機、及び少なくとも1つの熱交換器を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するための方法であって、
a.約15bar(a)~約70bar(a)の圧力の、液体窒素を含有する加圧液体窒素流を提供するステップと;
b.前記加圧液体窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する第1の熱交換器に、前記加圧液体窒素流及び前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流を通して、第1の部分加温窒素流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;
c.前記部分加温窒素流の温度及び圧力を低下させる1つ又は複数のターボ膨張機に、前記第1の部分加温窒素流を通して、低温窒素流を得るステップと;
d.前記低温窒素流を前記第1の熱交換器及び第2の熱交換器に通して、前記予冷された水素又はヘリウムガス流、及び完全加温窒素ガス流を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(d)が、前記低温窒素流と前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する前記第1の熱交換器に、前記低温窒素流を通して、第2の部分加温窒素ガス流及び前記予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;前記第2の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する前記第2の熱交換器に、前記第2の部分加温窒素ガス流を通して、完全加温窒素ガス流及び前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器が別々のデバイスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器が1つの熱交換器内の部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加圧液体窒素が約15bar(a)~約70bar(a)の圧力を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記加圧液体窒素が約20bar(a)~約55bar(a)の圧力を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)が、約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと;続いて前記液体窒素流の前記圧力を増加させて前記加圧液体窒素流を得るステップとを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)が、約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと;前記液体窒素流を前記液体窒素流の第1の部分及び前記液体窒素流の第2の部分に分流させるステップと;前記液体窒素流の前記第1の部分の圧力を増加させて前記加圧液体窒素流を得るステップとを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記液体窒素流の前記第2の部分を前記第1の熱交換器に通して第3の部分加温窒素流を得るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の部分加温窒素流を前記第2の熱交換器に通すように導いて第2の完全加温窒素ガス流を得るステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の熱交換器に連結された補助冷蔵システムを利用するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記加圧液体窒素流が第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流に分流され、前記第1の熱交換器に前記第1の加圧液体窒素流及び前記第2の加圧液体窒素流が別々に通され、前記第1及び前記第2の加圧液体窒素流と前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流の間で熱交換する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(c)が、前記第1の部分加温窒素流を1台又は2台のターボ膨張機に通すステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(c)が、前記第1の部分加温窒素流を前記1つ又は複数のターボ膨張機に通す前に1つ又は複数の圧縮機に通すステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の熱交換器に連結された補助冷蔵システムを利用するステップをさらに含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
液体窒素流を使用して、水素又はヘリウムガスを予冷するための方法であって、
a.約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと;
b.前記液体窒素流の第1の部分を第1の熱交換器へ導いて第1の部分加温窒素流を得るステップと;
c.前記第1の部分加温窒素流を第2の熱交換器へ導いて第1の完全加温窒素ガス流を得るステップと;
d.前記液体窒素流の第2の部分の圧力を増加させて約15bar(a)~約70bar(a)の圧力の加圧液体窒素流を得るステップと;
e.前記加圧液体窒素流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を前記第1の熱交換器に向かい合う向きで通して、第2の部分加温窒素ガス流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;
f.前記第2の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する前記第2の熱交換器に、前記第2の部分加温窒素ガス流を通して、第2の完全加温窒素ガス流及び前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;
g.前記第2の完全加温窒素ガス流の温度及び圧力を低下させる1つ又は複数のターボ膨張機に、前記第2の完全加温窒素ガス流を通して、低温窒素流を得るステップと;
h.前記低温窒素流と前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する前記第1の熱交換器に、前記低温窒素流を通して、第3の部分加温窒素ガス流及び前記予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;
i.前記第3の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する前記第2の熱交換器に、前記第3の部分加温窒素ガス流を通して、第3の完全加温窒素ガス流及び前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップと
を含む、方法。
【請求項17】
ステップ(g)が前記第2の完全加温窒素流を1つ又は複数のターボ膨張機に通す前に、前記第2の完全加温窒素流に1つ又は複数の圧縮機及び1つ又は複数の冷却器を経由させるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(g)が、前記第2の完全加温窒素流を直列で接続された2台のターボ膨張機に通すステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧液体窒素流が第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流に分流され;前記第1の加圧液体窒素流及び前記第2の加圧液体窒素流が前記第1の熱交換器を別々に経由する、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器が別々のデバイスである、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器が1つの熱交換器内の部分である、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の熱交換器に連結された補助冷蔵システムを利用するステップをさらに含む、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2又は第3の完全加温窒素ガス流を再冷却するシステムをさらに含む方法であって、再冷却のシステムが、
i.前記第2の又は第3の完全加温窒素ガス流を第1の圧縮機及び第1の冷却器に通して圧縮及び冷却された窒素ガス流を得るステップであって、前記第1の圧縮機が前記第2の熱交換器及び前記第1の冷却器に連結されているステップと;
ii.前記圧縮及び冷却された窒素ガス流を1つ又は複数のターボ膨張機に通すステップと;
iii.前記ターボ膨張窒素ガス流を前記第2の熱交換器に通して第4の完全加温窒素ガス流を得るステップと
を含む、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(ii)が、前記圧縮及び冷却された窒素ガス流を直列で接続された2台のターボ膨張機に通すステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
水素又はヘリウム液化のために液体窒素を使用する予冷システムであって、
温水素又は温ヘリウムガス流と;
液化窒素の供給源からの加圧液化窒素流と;
前記加圧液化窒素流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、前記加圧液化窒素流の温度を上昇させて温窒素ガス流を得て、前記温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させて予冷された窒素ガス流を得るように構成された、熱交換器と;
前記熱交換器に連結され、前記熱交換器から放出された部分加温窒素ガス流の温度を低下させるように構成された、少なくとも1つのターボ膨張機と
を含む、予冷システム。
【請求項26】
前記熱交換器から放出された前記温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器をさらに含む、請求項25に記載の予冷システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの圧縮機及び前記少なくとも1つの冷却器を通った後に前記温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機をさらに含む、請求項26に記載の予冷システム。
【請求項28】
前記窒素ガス流の前記圧力を低下させるように構成された、前記ターボ膨張機に連結されたバルブをさらに含む、請求項25に記載の予冷システム。
【請求項29】
水素又はヘリウム液化のために液体窒素を使用した予冷システムであって、
温水素又は温ヘリウムガス流と;
液化窒素の供給源からの加圧液化窒素流と;
前記加圧液化窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換して、前記加圧液化窒素流の温度を上昇させて部分加温窒素ガス流を得て、前記部分冷却された水素又はヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第1の熱交換器と;
前記部分加温窒素ガス流の前記温度を低下させるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機と;
前記部分加温窒素ガス流と前記温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、前記部分加温窒素ガス流の温度を上昇させて完全加温窒素ガス流を得て、前記温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第2の熱交換器と
を含む、予冷システム。
【請求項30】
前記第2の熱交換器を通った後に前記完全加温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器をさらに含む、請求項29に記載の予冷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、水素又はヘリウムの液化における液体窒素を使用した予冷プロセスに関する。より具体的には、本開示は、液体窒素の供給に基づくプロセスを使用して、水素又はヘリウムガスを予冷する方法に関し、この方法は少なくとも1つのターボ膨張機及び1つ又は複数の熱交換器を取り入れ、これらは協働して予冷に必要な窒素の量を削減し予冷プロセスにおいて消費されるエネルギーを削減する。
【背景技術】
【0002】
水素及びヘリウムの液化はエネルギーの大量消費を必要とする。水素はあらゆる物質の中で2番目に低い沸点を有し、大気圧で沸点が-253℃である。ヘリウムだけがより低い沸点を有する。液化プロセスは、水素圧縮、予冷、及び液化などのいくつかの段階に分けられる。水素液化の予冷段階において、水素ガスは周囲温度からおよそ-191℃まで冷却され得る。大規模水素液化装置は、関連する窒素/空気液化プラントから供給される液体窒素を利用する。水素及びヘリウムの液化のプロセスは、液化プロセスにおける予冷の目的のために液体窒素を頻繁に使用する。液体窒素の使用は、液体水素又は液体ヘリウムの製造における全体のエネルギーの必要量を削減する。さらに、この利用のために得られる液体窒素は相当なエネルギーの消費により別個に製造される。液化の前に水素又はヘリウムを予冷する手段として、蒸発及び過熱のために従来は低圧及び低温で供給される、液体窒素の直接的な蒸発は、水素又はヘリウムの温流体と低温窒素流体との間の大きな温度差を必要とする。
【0003】
図5は、液体窒素(500)による水素ガスの従来の予冷処理の例である。液体窒素(LIN)は流れ(504)において供給され、水素ガス(温かい又は周囲温度)は流れ(501)において供給される。液体窒素流(504)及び水素ガス流(501)は熱交換器(502)を向かい合う向きで流れ、冷却された水素ガス流(503)及び加温された窒素ガス流(505)が得られる。供給される液体窒素の状態は、極低温の空気分離プラントにより製造されるものに典型的な状態である。
【0004】
予冷プロセスは、水素又はヘリウムの液化に必要な全体のエネルギーに直接影響を与える。必要な液体窒素を製造するためのエネルギーにより表される、予冷に必要なエネルギーは、液体水素又はヘリウムを液化するための全体のエネルギーのかなりの部分である。近年の研究は、予冷冷蔵を供給するための様々な手段により水素又はヘリウムを液化するのに必要な全体のエネルギーを削減するための手段、及び液体窒素の必要量を削減するための手段に焦点を合わせてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体窒素流を使用して液化前に水素又はヘリウムガスを予冷する方法が開示される。この方法は、a.)約15bar(a)~約70bar(a)の圧力の、液体窒素を含有する加圧液体窒素流を提供するステップと;b.)加圧液体窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する第1の熱交換器に、加圧液体窒素流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を通して、第1の部分加温窒素流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;c.)部分加温窒素流の温度及び圧力を低下させる1つ又は複数のターボ膨張機に、第1の部分加温窒素流を通して、低温窒素流を得るステップと;d.)低温窒素流を第1の熱交換器及び第2の熱交換器に通して、予冷された水素又はヘリウムガス流、及び完全加温窒素ガス流を得るステップとを含む。ステップ(d)は、低温窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する第1の熱交換器に、低温窒素流を通して、第2の部分加温窒素ガス流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;第2の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する第2の熱交換器に、第2の部分加温窒素ガス流を通して、完全加温窒素ガス流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップとを含んでもよい。第1の熱交換器及び第2の熱交換器は、別々のデバイス、又は1つの熱交換器内の2つの部分であってもよい。この方法は、第2の熱交換器に連結された補助冷蔵システムを利用するステップをさらに含んでもよい。
【0006】
ステップ(a)は、約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと、続いて液体窒素流の圧力を増加させて加圧液体窒素流を得るステップとを含んでもよい。ステップ(a)は、約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと;液体窒素流を液体窒素流の第1の部分及び液体窒素流の第2の部分に分流させるステップと;液体窒素流の第1の部分の圧力を増加させて加圧液体窒素流を得るステップとを含んでもよい。液体窒素流の第2の部分は第1の熱交換器を通って第3の部分加温窒素流を得ることができる。第3の部分加温窒素流は第2の熱交換器を通って第2の完全加温窒素ガス流を得ることができる。加圧液体窒素は約15bar(a)~約70bar(a)、又は約20bar(a)~約55bar(a)の圧力を有する。
【0007】
加圧液体窒素流を第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流に分流させてもよく、第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流は、第1及び第2の加圧液体窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換するための第1の熱交換器に別々に通される。
【0008】
a.)約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流を供給するステップと;b.)液体窒素流の第1の部分を第1の熱交換器へ導いて第1の部分加温窒素流を得るステップと;c.)第1の部分加温窒素流を第2の熱交換器へ導いて第1の完全加温窒素ガス流を得るステップと;c.)液体窒素流の第2の部分の圧力を増加させて約15bar(a)~約70bar(a)の圧力の加圧液体窒素流を得るステップと;d.)加圧液体窒素流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を第1の熱交換器に向かい合う向きで通して、第2の部分加温窒素ガス流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;e.)第2の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する第2の熱交換器に、第2の部分加温窒素ガス流を通して、第2の完全加温窒素ガス流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;f.)第2の完全加温窒素ガス流の温度及び圧力を低下させる1つ又は複数のターボ膨張機に、第2の完全加温窒素ガス流を通して、低温窒素流を得るステップと;e.)低温窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換する第1の熱交換器に、低温窒素流を通して、第3の部分加温窒素ガス流及び予冷された水素又はヘリウムガス流を得るステップと;f.)第3の部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換する第2の熱交換器に、第3の部分加温窒素ガス流を通して、第3の完全加温窒素ガス流及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流を得るステップとを含む、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するための別の方法が開示される。ステップ(g)は、第2の完全加温窒素流を1つ又は複数のターボ膨張機に通す前に、第2の完全加温窒素流に1つ又は複数の圧縮機及び1つ又は複数の冷却器を経由させるステップを含んでもよい。ステップ(g)は、第2の完全加温窒素流を直列で接続された2台のターボ膨張機に通すステップを含んでもよい。この方法は、第2の熱交換器に連結された補助冷蔵システムを利用するステップをさらに含んでもよい。
【0009】
加圧液体窒素流を第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流に分流させてもよく;第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流は別々に第1の熱交換器を経由し、場合により、第2の熱交換器を経由してもよい。
【0010】
この方法は、第2又は第3の完全加温窒素ガス流を再冷却するシステムを含んでもよく、再冷却のシステムは、i.)第2又は第3の完全加温窒素ガス流を第1の圧縮機及び第1の冷却器に通して圧縮及び冷却された窒素ガス流を得るステップであって、第1の圧縮機が第2の熱交換器及び第1の冷却器に連結されているステップと;ii.)圧縮及び冷却された窒素ガス流を1つ又は複数のターボ膨張機に通すステップと;iii).ターボ膨張窒素ガス流を第2の熱交換器に通して第4の完全加温窒素ガス流を得るステップとを含む。ステップ(ii)は、圧縮及び冷却された窒素ガス流を直列で接続された2台のターボ膨張機に通すステップを含む。
【0011】
水素又はヘリウム液化のための液体窒素を使用した予冷システムも開示される。このシステムは、温水素又は温ヘリウムガス流と;液化窒素の供給源からの加圧液化窒素流と;熱交換器と;熱交換器に連結され熱交換器から放出された部分加温窒素ガス流の温度を低下させるように構成された、少なくとも1つのターボ膨張機とを含んでもよい。熱交換器は、加圧液化窒素流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、加圧液化窒素流の温度を上昇させ温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させて、予冷された水素又はヘリウムガス流、及び温窒素ガス流を得るように構成されてもよい。別の態様において、システムは、加圧液化窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換して、加圧液化窒素流の温度を上昇させて部分加温窒素ガス流を得て、部分冷却された水素又はヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第1の熱交換器と;部分加温窒素ガス流の温度を低下させるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機と;部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、部分加温窒素ガス流の温度を上昇させて完全加温窒素ガス流を得て、温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第2の熱交換器とを含む。
【0012】
システムはまた、熱交換器から放出された温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器を通った後の温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機、並びに/又は場合により、ターボ膨張機に連結されたバルブも含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】液体窒素、第1及び第2の熱交換器、ターボ膨張機、並びに補助冷蔵を使用して水素ガスを予冷するシステムの概略図である。
図2】液体窒素、第1及び第2の熱交換器、ターボ膨張機、補助冷蔵、並びに他の部材を使用して水素ガスを予冷するシステムの概略図である。
図3】液体窒素、第1及び第2の熱交換器、複数のターボ膨張機、複数の圧縮機、複数の冷却器、補助冷蔵、並びに他の部材を使用して水素ガスを予冷するシステムの概略図である。
図4】液体窒素、第1及び第2の熱交換器、2台のターボ膨張機、2台の圧縮機、2台の冷却器、及び他の部材を使用して水素ガスを予冷するシステムの概略図である。
図5】液体窒素を使用して水素又はヘリウムガスを予冷する従来のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液化のプロセスにおいて水素又はヘリウムガスを予冷するのに必要な液体窒素の量をある程度削減するために、本明細書で開示されるプロセスが開発された。これらのプロセス及び予冷システムは、予冷システムに供給される液体窒素の量をさらに完全に利用するためのさらなるステップ及び装置を採用する。すなわち、外部に由来する液体窒素は、従来の予冷システムと比較してより少ない流量で消費される。液化プロセスで使用される他の水素又はヘリウム流を予冷するのにも液体窒素が使用されていた場合(いわゆるリサイクル流)、そこで液体窒素の消費を削減する手段がやはり適用可能であることも理解される。
【0015】
本明細書で開示される、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するための方法において、液体窒素供給物は加圧され、水素又はヘリウムガスとの熱交換におけるその冷却能力の大部分を供給し、これは窒素を加温し;加温窒素を次いで機械膨張させて低温とし、水素又はヘリウムとの熱交換のために再導入する。実際に、供給される液体窒素は同じ熱交換器を2回目に通り(ループ内で)、そのため液体窒素の必要量及びその製造のために必要な付随するエネルギーを削減する。この削減された量の液体窒素を製造するためのエネルギーコストはそれにより削減される。このコストは液体水素又は液体ヘリウムを製造するためのエネルギーコストの重要な要素であるので、液化の全体のコストが削減され、このことは商業的に重要である。予冷のコストは約20%~約50%削減され得る。
【0016】
本明細書で使用する「機械膨張させる」という用語は、膨張させる流体のエンタルピーを減少させることにより仕事量を生み出すのに利用される任意のデバイス、例えばターボ膨張機又はレシプロ式エンジンなどを含む。
【0017】
水素のための従来の液体窒素予冷プロセスでは、液体窒素消費が液化水素1kg当たり約7~約10kgの液体窒素である。本明細書で開示される予冷プロセスでは、液体窒素消費が液化水素1kg当たり約4~約6kgの液体窒素、又は約4.30~約5.35kgの液体窒素となり得る。これは従来のプロセスに対して著しい液体窒素消費の削減である。
【0018】
液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するための方法が開示され、これにより従来の予冷と比較して液体窒素の量の全体的な削減が使用される。
【0019】
この方法は、約15bar(a)~約70bar(a)、約20bar(a)~約60bar(a)、又は20bar(a)~約50bar(a)の圧力を有し得る加圧液体窒素流を準備するステップを含む。加圧液体窒素は、約-147℃~約-196℃、約-169℃~約-195℃、又は約-189℃~約-194℃の温度を有し得る。
【0020】
加圧液体窒素は本明細書で開示される方法に直接供給されてもよい。あるいは液体窒素は約1bar(a)~約10bar(a)の飽和圧力を有する外部供給源から供給されてもよく、次いでこれは当技術分野において既知の任意の手段により加圧されてもよい。液体窒素は、ポンプを利用することにより又は圧縮して圧力を増加させることにより加圧されてもよい。
【0021】
一実施形態において、加圧液体窒素流は第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流に分流させてもよく、第1の加圧液体窒素流及び第2の加圧液体窒素流の各々を第1の熱交換器に通すように導いて、第1及び第2の加圧液体窒素流の各々と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換させてもよい。第1の熱交換器を別々に通った2つの部分加温窒素流を、少なくとも1つのターボ膨張機に通すように導く前に合流させて1つの流れとしてもよい。
【0022】
一実施形態において、約10bar(a)未満の飽和圧力で製造される液体窒素流をシステムに供給し、液体窒素流の第1の部分及び液体窒素流の第2の(又は残りの)部分に分流させる。液体窒素流の第1の部分は、当技術分野において既知の任意の手段により、加圧液体窒素流を得るために、例えばポンプ又は圧縮により増加させた圧力を有してもよく、液体窒素流の第2の部分を加圧液体窒素流の経路とは別に第1の熱交換器へ、次いで場合により第2の熱交換器へ導いてもよい。
【0023】
本明細書で使用する「ポンプ」とは、液体の圧力を増加させる機械的デバイスを意味する。
【0024】
温水素又は温ヘリウムガス流が予冷のために供給され、1つ若しくは複数の水素若しくはヘリウム供給流又は循環の水素若しくはヘリウム供給流から供給されてもよい。温水素ガス流は、天然ガス、水の電気分解、又は他の化学的方法から製造されてもよい。温水素若しくは温ヘリウムガス流は、液化プロセスの外部の供給源から供給されてもよく、又はプロセス内の他の部分からのリサイクル流であってもよい。温水素ガス流は、その最終的な液化に適した任意の圧力であってもよい。温水素ガス流は、約20bar(a)~約80bar(a)、又は約20bar(a)~約40bar(a)の圧力を有していてもよく、及び/又は約25℃~約35℃の温度を有していてもよい。温水素ガス流は、約75%のオルト及び約25%のパラスピン異性体の組成を有していてもよい。
【0025】
水素ガスのオルト-パラ変換は、水素ガスが冷却される際に組み込まれてもよい。オルト-パラ変換は第1の熱交換器において及び第2の熱交換器において行われてもよく、熱交換器(複数可)の経路は場合により供給物の水素のための触媒が充填されている。触媒はこの目的における当技術分野での使用で知られている任意のものであってもよい。これは液化プロセスの全体のエネルギー効率を改善し得る。予冷された水素ガス流は、約-173℃~約-196℃、約-180℃~約-196℃、又は約-190℃~約-192℃の温度、及び/又は約15bar(a)~約100bar(a)、又は約20bar(a)~約80bar(a)の圧力を有していてもよい。予冷された水素ガス流は約53%オルト及び約47%パラであってもよい。
【0026】
本明細書で使用する「熱交換器」とは、1つの媒体から別の媒体へ、例えば少なくとも2つの別個の流体の間などで熱エネルギー又は冷熱エネルギーを移動させることが可能な任意のデバイスを意味する。熱交換器は「直接熱交換器」及び「間接熱交換器」を含む。したがって、熱交換器は、任意の適切なデザイン、例えば並流又は対向流熱交換器、間接熱交換器(例えば渦巻き型熱交換器、又はブレーズドアルミニウムプレートフィン型などのプレートフィン熱交換器)、直接接触熱交換器、シェルアンドチューブ熱交換器、スパイラル型、ヘアピン型、コア型、コア及びケトル型、プリント回路型、二重管型など、又は任意の他の種類の既知の熱交換器であってもよい。
【0027】
本明細書で使用する第1の熱交換器は、プロセスの冷却ステップにおいて対向する流れ同士の間でエネルギーを移動させ、一方第2の熱交換器はプロセスの加温部において対向する流れ同士の間でエネルギーを移動させる。予冷された水素又はヘリウムガス流は第1の熱交換器から出るが、一方完全加温窒素ガス流は第2の熱交換器から出る。第1及び第2の熱交換器は1つの熱交換器の2つの部分であってもよく、又はそれらは2つの別々の熱交換器であってもよい。第1及び第2の熱交換器が1つの熱交換器の2つの部分である場合、熱交換器は、それを通る流れのための複数の出口を含み、限定はされないが、ユニットの様々な場所のバルブの出口点が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用する、「間接熱交換」という用語は、流体どうしが互いに物理的接触することなく又は混合することなく、2つの流体を熱交換関係にすることを意味する。コアインケトル熱交換器及びブレーズドアルミニウムプレートフィン熱交換器は、間接熱交換を促進する装置の例である。
【0029】
次のステップは、部分加温窒素流の温度及び圧力を低下させて低温窒素流を得る少なくとも1つのターボ膨張機に、部分加温窒素流を通すステップを含む。ターボ膨張機は、当技術分野で既知の任意の手段により第1の熱交換器に連結されてもよい。ターボ膨張機の排出物は第1の熱交換器へ流れ得る。ターボ膨張機は、循環及び冷却させてエネルギーを消散する、ブロワー、ファン、又はオイルポンプなどのブレーキを含んでもよい。ターボ膨張機は、ターボ膨張機により生じるエネルギーを捕捉するための圧縮機に連結されてもよい。
【0030】
1つのターボ膨張機を通ることにより、温窒素流を約30度~約130度、又は約50~約100度冷却することができ、及び/又は圧力を約2bar~約100bar、4bar~約60bar、又は約30bar~約50bar低下させることができる。第1のターボ膨張機に直列で接続された第2のターボ膨張機に流れを通すことにより、流れの温度及び圧力をさらに低下させることができる。第1のターボ膨張機は第2のターボ膨張機に連結されてもよい。
【0031】
本明細書で使用する「ターボ膨張機」は、圧力の低下を生じさせることにより温度の低下を実現すると同時に、必要とされる冷却プロセスを仕事の実行により助けるために取り出すか又は捕捉することができる有用なエネルギーを生成させるのに使用される、任意のデバイス、限定はされないが、典型的には極低温処理において使用される内向き半径流装置などを意味する。ターボ膨張機は膨張したガスのエネルギーを使用して回転により機械的エネルギーを生成する。ターボ膨張機が高速で回転し、次いでシャフトを介してエネルギーを圧縮機へ伝達させることができ、圧縮機は別の供給ガス流を圧縮することによりエネルギーを回収する。このプロセスは圧力供給ガス流を圧縮機へ引き上げ、これにより有用なエネルギーをシステムに戻すように供給することが可能になる。
【0032】
場合により、この方法は、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つのターボ膨張機に、任意の順番で部分加温窒素流を通して、第1の熱交換器又は第2の熱交換器を経由して戻る低温窒素流を得るステップを含む。この方法は、2~5台の圧縮機及び2~5台のターボ膨張機に部分加温窒素流を通して、第1の熱交換器又は第2の熱交換器を経由して戻る低温窒素流を得るステップを含んでもよい。この方法は、2~5台の圧縮機、2~5台のターボ膨張機、及び2~5台の冷却器に部分加温窒素流を通して、第1の熱交換器を経由して戻る低温窒素流を得るステップを含んでもよい。圧縮機の数と同じ数の冷却器がプロセスにおいて使用されてもよい。ターボ膨張機のうちの1つ又は複数はシャフトにより1つの圧縮機に接続されてもよい。
【0033】
本明細書で使用する「冷却器」は、システムから熱を取り出す、当技術分野で既知の任意の水又は空気冷却器、例えば、外気によりプロセスの流れを冷却するためのフィン-ファンユニット、シェルアンドチューブ型ユニット、又はプロセスの流れを高温から周囲温度付近まで冷却するために水又はブラインシステムを使用するプレート冷却器などを意味する。流れを冷却器に通すステップは、流れの温度を約40℃~約100℃低下させることができる。
【0034】
低温窒素流を第1の熱交換器に通す場合、これは予冷のプロセスにおいてループを作り、これは第1の熱交換器を通る窒素流の2回目の通過である。これは同じ最初に供給された窒素が、第1の熱交換器において水素又はヘリウムガス流を2回目に冷却するためにリサイクルされ向流で使用されることを可能にする。低温窒素流は、予冷のプロセスにおいて第1の熱交換器を2回目に通前に、バルブを経由してもよい。ターボ膨張機は限られた範囲の圧力比(入口圧力/出口圧力)を有し、そのため必要に応じて、例えば第2のターボ膨張機を加える代わりに、バルブをシステムに加えてさらに圧力を低下させてもよい。したがって、バルブを使用する場合、バルブの前後で窒素流の圧力損失がある。バルブは窒素流の温度及び圧力を低下させ、窒素流中のガスの割合を増加させ得る。
【0035】
第2の熱交換器を通った後、完全加温窒素ガス流は約15℃~約30℃、又は約20℃~約28℃の温度、及び約0.5bar(a)~約2bar(a)、又は約1bar(a)~約2bar(a)の圧力を有し得る。完全加温窒素ガス流は、加圧及び冷却のために、少なくとも1つのターボ膨張機、及び場合により少なくとも1つの圧縮機を含む別の処理ループを経由し、次に第2の熱交換器へ再導入されてもよい。完全加温窒素ガス流は、加圧及び冷却のために、少なくとも1つのターボ膨張機、及び場合により少なくとも1つの圧縮機を含む別の処理ループを経由し、次に第1の熱交換器及び次いで第2の熱交換器へ再導入されてもよい。
【0036】
水素又はヘリウム液化のための、液体窒素を使用した予冷システムも開示される。システムは、温水素又は温ヘリウムガス流と;液化窒素の供給源からの加圧液化窒素流と;加圧液化窒素流と部分冷却された水素又はヘリウムガス流との間で熱交換して、加圧液化窒素流の温度を上昇させて部分加温窒素ガス流を得て、部分冷却された水素又はヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第1の熱交換器と;部分加温窒素ガス流の温度を低下させるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機と;部分加温窒素ガス流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、部分加温窒素ガス流の温度を上昇させ温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させるように構成された、第2の熱交換器とを含んでもよい。第1の熱交換器又は第2の熱交換器は、1つのターボ膨張機に連結されてもよい。予冷システムは、1つのターボ膨張機に連結されたバルブを含んでもよい。バルブは窒素ガス流の圧力を低下させるように構成されてもよい。
【0037】
予冷システムは、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器、及び場合により、第2の熱交換器を通った後の完全加温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機を含んでもよい。予冷システムは、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器を通った後の温窒素ガス流を受け入れるように構成された、少なくとも1つのターボ膨張機を含んでもよい。予冷システムは、1~4台の圧縮機と、1~4台の冷却器と、第2の熱交換器を通った後に完全加温窒素ガス流を受け入れるように構成された1~4台のターボ膨張機とを含んでもよく、各圧縮機は冷却器に連結され、1~4台のターボ膨張機はシステムにおいて圧縮機及び冷却器の後に接続される。
【0038】
水素又はヘリウム液化のための、液体窒素を使用した予冷システムも開示され、システムは、温水素又は温ヘリウムガス流と;液化窒素の供給源からの加圧液化窒素流と;加圧液化窒素流と温水素又は温ヘリウムガス流との間で熱交換して、加圧液化窒素流の温度を上昇させて温窒素ガス流を得て、温水素又は温ヘリウムガス流の温度を低下させて予冷された水素又はヘリウムガス流を得るように構成された、熱交換器と;熱交換器に連結され熱交換器から放出される部分加温窒素ガス流の温度を低下させるように構成された、少なくとも1つのターボ膨張機とを含む。予冷システムは、熱交換器を通った後に温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器、並びに場合により、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの冷却器を通った後に温窒素ガス流を受け入れるように構成された少なくとも1つのターボ膨張機も含んでもよい。予冷システムは、窒素ガス流の圧力を低下させるように構成されたターボ膨張機に連結されたバルブも含んでもよい。
【0039】
液体窒素流を使用した水素又はヘリウムガスの予冷に関するシステム及びプロセスが本明細書に記載される。本開示の特定の実施形態は、図を参照して説明される以下の段落に示されるものを含む。いくつかの構成が1つの図(図1、2、3、4など)のみを特に参照して説明されるが、それらは他の図に同様に適用可能であり、他の図又は前述の議論と組み合わせて使用されてもよい。
【0040】
図1~4は、この開示にしたがって、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するための、様々なシステム及びプロセス100、200、300、400の非限定的な例を示す。液体窒素流(LIN)104、204、304、404は、任意のLIN供給システム、例えば1つ又は複数のタンカー、タンク、パイプラインなど、又はそれらの任意の組み合わせから供給される。システムは、少なくとも1つの熱交換器、例えば、第1の熱交換器131、231、331、431、及び第2の熱交換器130、230、330、430を含む。これらのシステムは、液体窒素流を受け入れ圧力を増加させて加圧液体窒素流105、250、306、406を作るためのポンプ132、232、332、432を含む。加圧液体窒素流は、1つを超える流れ、例えば2つの流れ250、240に分流させてもよい。温水素又は温ヘリウムガスは、流れ101、201、301、401の任意の供給源から供給され、これは第2の熱交換器を経由して部分冷却された水素又はヘリウムガス流102、202、302、402を得て、これはさらなる冷却のための第1の熱交換器を経由して予冷された水素又はヘリウムガス流103、203、303、403を得る。
【0041】
図1は、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するためのシステム100を示す。ポンプ132を通るように液体窒素流104を導いて圧力を増加させる。加圧液体窒素流105は、向かい合う向きで流れる部分冷却された水素又はヘリウムガス流102と加圧液体窒素流105との間でエネルギーを移動させる第1の熱交換器131を経由し、それにより窒素流の温度を上昇させる。次いで部分加温窒素ガス流106はターボ膨張機133を経由して、流れ106よりも低い圧力及び低い温度を有する低温窒素ガス流107を得る。システムは、第1の熱交換器に再び入る前に窒素流の温度及び圧力を低下させるために、直列で接続された1つを超えるターボ膨張機を含んでもよいことが想定される。開示は、流れの圧力をさらに低下させることが必要な場合に、ターボ膨張機の各々の特定される位置において、2、3、又は4台などの複数のターボ膨張機が直列で接続されてもよい、別の実施形態を含む。
【0042】
低温窒素ガス流107は次いで第1の熱交換器を経由してループを完成させ、窒素ガス流が第1の熱交換器を通る2回目の通過において、部分冷却された水素又はヘリウムガス流102と低温窒素流107との間でエネルギーを移動させて、部分加温窒素ガス流108及び予冷された水素又はヘリウムガス流103を得る。
【0043】
部分加温窒素ガス流108は次いで第2の熱交換器130を経由し、ここでは温水素又は温ヘリウムガス流101と部分加温窒素ガス流108との間でエネルギーを移動させて、完全加温窒素ガス流109及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流102が得られ、これは次いで第1の熱交換器131を経由する。
【0044】
第2の熱交換器130は、ここではプロペン流114、115として示される補助冷蔵を含んでもよい。液体プロペン流114は、補助冷蔵と温水素又は温ヘリウムガス流101との間で熱交換する第2の熱交換器を通り、ガスプロペン流115として出る。第2の熱交換器は第2の熱交換器に連結された補助冷蔵を含んでもよい。補助冷蔵は予冷プロセスの冷却材を補い、冷蔵の任意の他の既知の供給源から供給されてもよい。補助冷蔵は、蒸気圧縮冷蔵、吸収冷蔵、混合冷媒冷蔵、又は温水素若しくは温ヘリウムガス流から熱を抽出することが知られている任意の他の手段であってもよい。補助冷蔵は、1つの冷蔵流、又は同じ若しくは異なる2つの冷蔵流を含んでもよい。補助冷蔵は、約-20℃~-50℃の温度の液体流を供給しガス流としてシステムから出るプロペン冷蔵流であってもよい。
【0045】
本開示の実施形態を説明したので、ここでさらなる態様を説明することにする。図2は、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するためのシステム200を示す。図2において、液体窒素はポンピングされて高圧となり、水素の冷却のために蒸発及び過熱後に、ターボ膨張機を通り水素のさらなる冷却を行うために戻る。バルブ235は、必要に応じてターボ膨張機の空気力学的制限を満たすために、流れ208と209の間に示される。補助冷蔵は、冷却プロセスの一部として、例えばプロペン蒸気-圧縮冷蔵から、液体窒素の温度よりも大幅に高い温度レベルで提供される。
【0046】
図2のシステムは、分流した加圧液体窒素流240、250が第1の熱交換器231を経由し、それにより分流した加圧液体窒素流240、250が加温され圧力が実質的に一定のままである、例えば圧力差が約1bar(a)未満となり得るように構成される。流れは任意の所望の出口を出て所望の熱交換を実現し得ることが想定されるが、分流した部分加温窒素流241、251の各々は異なる出口で第1の熱交換器から出る。分流した部分加温窒素流241、251を次いで合流させて1つの部分加温窒素流207とし、ブレーキ234に連結されたターボ膨張機233に通す。ターボ膨張機を通る際には、1つの温窒素流207が冷却され、圧力が低下し、それにより流れの中の液体の量も、例えば約0%から流れ207では約6%まで流れ208では約10%まで増加する。バルブ235がターボ膨張機233と第1の熱交換器231の間に示され、これは低温窒素流208が第1の熱交換器に戻り第1の熱交換器を2回目に通る前に低温窒素流208の温度及び圧力を低下させる。第1の熱交換器231を通ることにより、低温、低圧窒素流209が加温される。第1の熱交換器231を通る際には、低温、低圧窒素流209の中の液体は気化し、その結果部分加温窒素ガス流210は液体が約0%である。次いで部分加温窒素ガス流を第2の熱交換器230に通すように導き、ここでは部分加温窒素ガス流210が加温され温水素又は温ヘリウムガス流201が冷却されて完全加温窒素ガス流211及び部分冷却された水素又はヘリウムガス流202を得る。部分加温窒素ガス流210は第1の熱交換器231を出て次いで第2の熱交換器230に入ることが図から分かるが、第1の熱交換器及び第2の熱交換器が1つのユニットの2つの部分である場合、流れは1つの熱交換器ユニット内にとどまりながら第1の熱交換器から第2の熱交換器へ直接流れることを理解することができる。第2の熱交換器230はプロペン流214、215などの補助冷蔵を含んでもよい。液体プロペン流214は補助冷蔵と温水素又は温ヘリウムガス流201との間で熱交換する第2の熱交換器230を通り、その結果液体プロペン流214は第2の熱交換器を通りガスプロペン流215として出る。表2は、図2に示される流れ及び装置のリスト、並びに流れの各々の特性を含む。LIN供給流量を予冷された水素流量(すなわち、流れ204/203の流量)で割ることにより計算される液体窒素消費は5.18kg LIN/kg LHである。
【0047】
【表1】
【0048】
図3は、液体窒素流、並びに4台のターボ膨張機-圧縮機、並びに-26℃~-46℃で供給される補助冷蔵を使用して、水素又はヘリウムガスを予冷するためのプロセス及びシステム300を示す。図3のシステムは、液体窒素流304が分流され液体窒素供給の一部がポンプ332を経由して加圧液体窒素流306を得るように構成される。液体窒素供給の他の部分305はバルブ384を経由し、次いで流れ325は第1の熱交換器331に入り、ここで加温されて第1の部分加温窒素ガス流326を得て、次いでこれはさらなる加温のために第2の熱交換器に通されて第1の完全加温窒素ガス流327を得る。加圧液体窒素流306も第1の熱交換器331を通り、それにより加圧液体窒素流306の温度が上昇し、圧力は実質的に一定のままであり、例えば圧力差が約1bar(a)未満となり得る。第2の部分加温窒素ガス流322は次いでさらなる加温のために第2の熱交換器330を通り、中央の出口から出て窒素ガス流307を得て、各々が圧縮機335、336に連結されているターボ膨張機333、334を通って窒素ガス流308、309を得る。ターボ膨張機は、圧縮機、ポンプ、油圧ブレーキ、又はシステム300からエネルギーを取り出す任意の他の同様の電力消費デバイスを駆動させるように設計されてもよい。第1のターボ膨張機333を通る際に、窒素ガス流307は冷却されて低温窒素ガス流308となる。第2のターボ膨張機334を通る際に、低温窒素ガス流308は冷却されて低温、低圧窒素ガス流309となる。各ターボ膨張機はそれを通る窒素流の圧力を低下させる。低温、低圧窒素流が第1の熱交換器へ戻り第1の熱交換器を2回目に通る前に低温、低圧窒素流の温度及び圧力を低下させるために、場合により第2のターボ膨張機と第1の熱交換器の間にバルブ(図示せず)があってもよい。第1の熱交換器331を通った後、第3の部分加温窒素ガス流310は次いで第2の熱交換器330を通り、ここで第3の部分加温窒素ガス流310が加温され温水素ガス流301が冷却されて、完全加温窒素ガス流311及び部分冷却水素ガス流302を得る。第2の熱交換器330は、プロペン流350、351を含む第1の補助冷蔵システム、及びプロペン流360、361を含む第2の補助冷蔵システムを含む、図示されるような2つの補助冷蔵システムなどの補助冷蔵を含んでもよい。これらの補助冷蔵システムにおいて、液体プロペン流350、360はプロペン流と温水素ガス流301の間で熱交換する第2の熱交換器を通り、その結果液体プロペン流350、360は第2の熱交換器を通りガスプロペン流351、361として出る。
【0049】
図3では、完全加温窒素ガス流311は圧縮機335、336、337、338、それに続く冷却器382、383、381、380の4組を経由し、次いで第3及び第4のターボ膨張機339、340を経由する。任意の組数の圧縮機及び冷却器(例えば、1組~6組)、それに続く任意の数のターボ膨張機(例えば、1~4台)がシステムに組み込まれることが想定される。圧縮機とそれに続く冷却器は、外気により又は冷却水若しくはブラインにより圧縮の熱を除去する。窒素流311が圧縮機を経由し、窒素流312が冷却器を経由し、窒素流313が圧縮機を経由し、窒素流314が冷却器を経由し、窒素流315が圧縮機を経由し、窒素流316が冷却器を経由し、窒素流317が圧縮機を経由し、窒素流318が冷却器を経由し、窒素流319、320がターボ膨張機を経由した後、窒素ガス流321は第2の熱交換器330を通り、完全加温窒素ガス流323は完全加温窒素ガス流327と合わされて、合流した完全加温窒素ガス流324を得る。
【0050】
表3は、図3に示される流れ及び装置のリスト、並びに流れの各々の特性を含む。LIN供給流量を予冷された水素流量で割ることにより計算される液体窒素消費は4.30kg LIN/kg LHである。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
図4は、液体窒素流を使用して水素又はヘリウムガスを予冷するためのプロセス及びシステム400を示し、ここでシステムは補助冷蔵ユニットを使用しない予冷のための2組のターボ膨張機-圧縮機の組み合わせを含む。図4のシステムは、液体窒素供給が2つの流れに分流し、液体窒素供給の第1の部分がポンプ432を経由して加圧液体窒素流406を得るように構成される。液体窒素供給の他の部分405は第1の熱交換器431を経由し、ここで加温及び気化されて第1の部分加温窒素ガス流421を得て、次いでこれはさらなる加温のために第2の熱交換器を通って第1の完全加温窒素ガス流422を得る。加圧液体窒素流406は2つの加圧液体窒素流409、407に分流され、その各々は第1の熱交換器431を通り異なる出口から出て、それにより加圧液体窒素流の温度は上昇し圧力は実質的に一定のままであり、例えば圧力差は約1bar(a)未満であり、次いで第2の部分加温窒素ガス流411に合流する。次いで第2の部分加温窒素ガス流411はさらなる加温のために第2の熱交換器430を通って完全加温窒素ガス流412を得る。この例において、完全加温窒素ガス流412は圧縮機434、436とそれに続く冷却器481、480の2組を経由し、続いてターボ膨張機435、433を経由し、その各々は圧縮機434、436の1つに連結されている。任意の組数の圧縮機及び冷却器(例えば、1組~6組)、それに続く任意の数のターボ膨張機(例えば、1~4台)がシステムに組み込まれ得ることが想定される。流れ412が圧縮機を経由し、流れ413が冷却器を経由し、流れ414が圧縮機を経由し、流れ415が冷却器を経由し、流れ416がターボ膨張機を経由し、流れ417がターボ膨張機を経由した後、低温、低圧窒素ガス流418は第1の熱交換器431を通って別の部分加温窒素ガス流419を得て、次いで第2の熱交換器430を通って完全加温窒素ガス流420を得て、これは流れ422と合わされて、合流した完全加温窒素ガス流423を得る。
【0054】
表4は、図4に示される流れ及び装置のリスト、並びに流れの各々の特性を含む。LIN供給流量を予冷された水素流量で割ることにより計算される液体窒素消費は5.35kg LIN/kg LHである。
【0055】
【表4】
【0056】
従来の予冷プロセスは図5に示され、上記で説明される。表5は、図5に示される流れ及び装置のリスト、並びに流れの各々の特性を含む。液体窒素流504の流量を予冷された水素流503の流量で割ることにより、液体窒素必要量は水素供給1kg当たり7.28kgの液体窒素であり(7.28kg LIN/kgLH)、ここで水素はオルト-パラ変換も行われる。
【0057】
【表5】
【0058】
本開示において様々な態様であると考えられるもの、及び本開示の特定の望ましい実施形態が説明されているが、当業者は、本開示の趣旨から逸脱することなく変更及び修正をそれらに加えてもよいこと、並びに本開示の真の範囲内に含まれるようなあらゆるそのような変更及び修正を含むことを意図していることを認識することになる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】