(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】フォトバイオモジュレーション照射の自由空間送達における分散投与
(51)【国際特許分類】
H05B 45/20 20200101AFI20240307BHJP
H05B 45/32 20200101ALI20240307BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240307BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240307BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/32
H05B47/16
H05B47/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558824
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022056745
(87)【国際公開番号】W WO2022200131
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521258348
【氏名又は名称】シーボロー・ライフ・サイエンス・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SEABOROUGH LIFE SCIENCE B.V.
【住所又は居所原語表記】Science Park 106,3rd Floor,1098 XG Amsterdam,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミンター、チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】クレイムス、マイケル
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA13
3K273QA24
3K273RA05
3K273TA05
3K273TA27
3K273TA36
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
実質的に600nm~1400nmの範囲内の第1の所定のスペクトルでのみ光を放出するように適合された第1の光源と、第1の所定のスペクトルにおける光を発生させるために、第1の光源に第1のパルス電流を供給するように配置されたドライバ回路と、を備える照明システム。ドライバ回路は、第1の期間の間、第1のパルス電流の複数のパルスを生成し、第2の期間の間、電流のパルスを生成しないように適合され、第1の期間および第2の期間は、互いに交互になっており、第1のパルス電流は、第1の期間の間、第1のパルス周波数および第1のデューティサイクルを有し、第1のパルス周波数は、100Hz以上であり、第1のデューティサイクルは、0.5%以上である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムであって、
実質的に600nm~1400nmの範囲内の第1の所定のスペクトルでのみ光を放出するように適合された第1の光源と、
前記第1の所定のスペクトルにおける前記光を発生させるために、前記第1の光源に第1のパルス電流を供給するように配置されたドライバ回路と、
を備え、
ここにおいて、前記ドライバ回路は、第1の期間の間、前記第1のパルス電流の複数のパルスを生成し、第2の期間の間、電流のパルスを生成しないように適合され、前記第1の期間および前記第2の期間は、互いに交互になっており、
前記第1のパルス電流は、前記第1の期間の間、第1のパルス周波数および第1のデューティサイクルを有し、前記第1のパルス周波数は、100Hz以上であり、前記第1のデューティサイクルは、0.5パーセント以上である、照明システム。
【請求項2】
前記ドライバ回路は、前記第1の期間の第1の部分の間、前記パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、前記第1の期間の最後の部分の間、前記パルスのうちの連続するパルスに対して低減する、前記パルスの振幅を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記ドライバ回路は、前記第1の期間の第2の部分の間、実質的に一定である前記パルスの振幅を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記ドライバ回路は、前記第1の期間の第1の部分の間、前記パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、前記第1の期間の後続の部分の間、前記パルスのうちの連続するパルスに対して低減する、前記パルスのパルス幅を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
前記ドライバ回路は、毎秒24パルスおよび/または毎秒30パルスの倍数であるパルス周波数を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記ドライバ回路は、幹線電源周波数の倍数であるパルス周波数を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記ドライバ回路は、画像および/またはビデオを記録することが可能な撮像デバイスのフレームレートの倍数であるパルス周波数を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記ドライバ回路は、0.05ms以上の前記パルスの幅を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記ドライバ回路は、0.05ms以上のパルス間の期間を有する前記第1のパルス電流を生成するように適合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項10】
照明システムであって、
実質的に600nm~1400nmの範囲内の第1の所定のスペクトルでのみ光を放出するように適合された第1の光源と、
前記第1の所定のスペクトルにおける前記光を発生させるために、前記第1の光源に第1の電流を供給するように適合されたドライバ回路と、
を備え、
ここにおいて、前記ドライバ回路は、第1の期間の間、前記第1の電流を供給し、第2の期間の間、前記第1の電流を供給しないように構成され、前記第1の期間および前記第2の期間は、互いに交互になっており、
前記ドライバ回路は、各第1の期間の第1の部分の間、前記第1の電流の前記振幅を徐々に増大し、各第1の期間の最後の部分の間、前記第1の電流の前記振幅を徐々に低減するように構成される、照明システム。
【請求項11】
前記ドライバ回路は、各第1の期間の第2の部分の間、実質的に一定の振幅において前記第1の電流を維持するように構成され、前記第2の部分は、各第1の期間の前記第1の部分と前記最後の部分との間に生じる、請求項10に記載の照明システム。
【請求項12】
前記第1の期間と前記第2の期間との間の比が1:10以下である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項13】
前記第1の光源から0.2~5mの平均距離における前記照射強度が、1mW/cm
2以上、好ましくは0.4~50mW/cm
2、より好ましくは1~15mW/cm
2である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項14】
前記第1の光源から0.2~5mの平均距離における前記照射強度は、人間においてフォトバイオモジュレーション効果を誘発するのに十分である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項15】
前記第1の光源から0.2~5mの平均距離における8時間にわたる前記送達線量が、0.01~50J/cm
2、好ましくは0.1~10J/cm
2である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項16】
全般イルミネーションに好適な白色光を放出するように適合された第2の光源をさらに備え、ここにおいて、前記第2の光源は、動作時に、少なくとも250ルーメン、好ましくは少なくとも1000ルーメン、より好ましくは少なくとも2000ルーメンを放出するように適合される、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項17】
前記第2の光源によって放出される前記白色光は、前記白色光が2×23度以上の半パワー全幅角を有する放射パターンを有して前記照明システムから放出されるように、1つ以上の反射器上に向けられる、請求項15に記載の照明システム。
【請求項18】
前記第1の光源によって放出される前記光は、2×45度以下の半パワー全幅角を有する放射パターンを有して前記照明システムから放出される、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項19】
照明器具を備え、ここにおいて、前記第1および第2の光源ならびに前記1つ以上の反射器は、前記照明器具において設置される、請求項16~18のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項20】
作業空間を照明するためのランプを備え、ここにおいて、前記第1および第2の光源ならびに前記1つ以上の反射器は、前記ランプに取り付けられ、前記ランプは、前記第2の光源からの前記白色光を作業空間上に向け、前記第1の光源からの前記光をユーザ上に向けるように適合されている、請求項16~19のいずれか一項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に照明に関し、より詳細には、フォトバイオモジュレーション(PBM:photobiomodulation)反応を誘発するために、赤色または近赤外線放射を提供するための照明装置、照明システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]生体に対する特定の量の赤色(R)から近赤外線(NIR)までの放射の曝露は、治癒の刺激、疼痛の緩和、および炎症の低減などの有益な効果をもたらす生物学的および/または生化学的反応を誘発することが示されている。フォトバイオモジュレーション(PBM)と呼ばれるこの技法を用いるために、従来のアプローチは、治療される人間または動物の皮膚の表面に直接またはその非常に近くに適用される専用デバイスを通じて必要な放射を送達することであった。
【0003】
[0003]汎用イルミネーションシステムのコンテキスト内で自由空間放射を介してPBM効果を送達する概念が、本願の出願人によって提案されている。必要な照射強度レベルを送達するために、例えば、PCT公開WO2020/119965A1に記載されているように、R/NIR放射源の高ピークパルシングを用いた。有益な効果を与えることが予期されるターゲットPBM線量(targeted PBM dose)を送達するための、様々な範囲のパルス幅および周波数が説明される。これらの範囲内であれば、実施形態は、イルミネーションシステムからの可視光が人間の目に知覚可能なちらつき(flicker)を発生させないであろうように説明される。この目標は、人間の目が深赤色またはNIR光に対して感度があまり高くないという事実を活用することにより、部分的に達成された。
【0004】
[0004]デジタルカメラなどの電子撮像システムは、人間の目よりも深赤色およびNIR放射に対して感度が高いセンサ(例えば、CMOSまたはCCDセンサ)を有する。これは、PBMイルミネーションシステムが、人間の目には直接ちらついているようには見えないが、それにもかかわらず、電子撮像システムを通じて知覚されたときにちらつきとして現れることになるパルス放射を提供する状況につながり得る。この「画像のちらつき」は、鬱陶しく、例えば、病院環境における患者の健康監視などの重要なタスクに混乱を引き起こし得る。
【0005】
[0005]したがって、著しいレベルの人間が視認可能なちらつき(human-visible flicker)または画像のちらつきを被らない、有効なPBM放射の自由空間送達のための方法を提供することが望ましい。本発明は、解決策を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
[0006]使用が容易であり、エネルギー効率がよく、コスト効果が高く、なおかつPBM反応を誘発するのに十分な量の放射を放出する装置を提供することが望ましい。
【0007】
[0007]本開示の第1の態様によれば、実質的に600nm~1400nmの範囲内の第1の所定のスペクトルでのみ光を放出するように適合された第1の光源と、第1の所定のスペクトルにおける光を発生させるために、第1の光源に第1のパルス電流を供給するように配置されたドライバ回路と、を備える照明システムが提供される。ドライバ回路は、第1の期間の間、第1のパルス電流の複数のパルスを生成し、第2の期間の間、電流のパルスを生成しないように適合され、第1の期間および第2の期間は、互いに交互になっており、第1のパルス電流は、第1の期間の間、第1のパルス周波数および第1のデューティサイクルを有し、第1のパルス周波数は、100Hz以上であり、第1のデューティサイクルは、0.5パーセント以上である。
【0008】
[0008]ドライバ回路は、第1の期間の第1の部分の間、パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、第1の期間の最後の部分の間、パルスのうちの連続するパルスに対して低減する、パルスの振幅を有する第1のパルス電流を生成するように適合され得る。ドライバ回路は、第1の期間の第2の部分の間、実質的に一定であるパルスの振幅を有する第1のパルス電流を生成するように適合され得る。ドライバ回路は、第1の期間の第1の部分の間、パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、第1の期間の後続の部分の間、パルスのうちの連続するパルスに対して低減する、パルスのパルス幅を有する第1のパルス電流を生成するように適合され得る。
【0009】
[0009]ドライバ回路は、毎秒24パルスおよび/もしくは毎秒30パルスの倍数であるパルス周波数を有する、ならびに/または幹線電源周波数の倍数であるパルス周波数を有する、ならびに/または画像および/もしくはビデオを記録することが可能な撮像デバイスのフレームレートの倍数であるパルス周波数を有する、第1のパルス電流を生成するように適合され得る。ドライバ回路は、0.05ms以上のパルスの幅を有する、および/または0.05ms以上のパルス間の期間を有する、第1のパルス電流を生成するように適合され得る。
【0010】
[0010]本開示の別の態様では、実質的に600nm~1400nmの範囲内の第1の所定のスペクトルでのみ光を放出するように適合された第1の光源と、第1の所定のスペクトルにおける光を発生させるために、第1の光源に第1の電流を供給するように適合されたドライバ回路と、を備える照明システムが提供される。ドライバ回路は、第1の期間の間、第1の電流を供給し、第2の期間の間、第1の電流を供給しないように構成され、第1の期間および第2の期間は、互いに交互になっており、ドライバ回路は、各第1の期間の第1の部分の間、第1の電流の振幅を徐々に増大し、各第1の期間の最後の部分の間、第1の電流の振幅を徐々に低減するように構成される。ドライバ回路は、各第1の期間の第2の部分の間、実質的に一定の振幅において第1の電流を維持するように構成され得、第2の部分は、各第1の期間の第1の部分と最後の部分との間に生じる。
【0011】
[0011]第1または第2の態様による照明システムは、第1の期間と第2の期間との間の比が1:10以下であり得るように構成され得、第1の光源から0.2~5mの平均距離において、1mW/cm2以上、好ましくは0.4~50mW/cm2、より好ましくは1~15mW/cm2の照射強度を生成するように構成され得る。この照明システムは、第1の光源から0.2~5mの平均距離における照射強度が、人間においてフォトバイオモジュレーション効果を誘発するのに十分であるように構成され得る。第1の光源から0.2~5mの平均距離における8時間にわたる送達線量(delivered dose)は、0.01~50J/cm2、好ましくは0.1~10J/cm2であり得る。
【0012】
[0012]第1または第2の態様による照明システムは、全般イルミネーションに好適な白色光を放出するように適合された第2の光源をさらに備え得、ここにおいて、第2の光源は、動作時に、少なくとも250ルーメン、好ましくは少なくとも1000ルーメン、より好ましくは少なくとも2000ルーメンを放出するように適合される。第2の光源によって放出される白色光は、白色光が2×23度以上の半パワー全幅角(full-width-at-half-power angle)を有する放射パターンを有して照明システムから放出されるように、1つ以上の反射器上に向けられ得る。第1の光源によって放出される光は、2×45度以下の半パワー全幅角を有する放射パターンを有して照明システムから放出され得る。
【0013】
[0013]この照明システムは、照明器具(luminaire)を備え得、ここにおいて、第1および第2の光源ならびに1つ以上の反射器は、照明器具において設置される。照明システムは、作業空間を照明するためのランプを備え得、ここにおいて、第1および第2の光源ならびに1つ以上の反射器は、ランプに取り付けられ、ランプは、第2の光源からの白色光を作業空間上に向け、第1の光源からの光をユーザ上に向けるように適合されている。
【0014】
[0014]次に、実施形態が、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図面を参照して、単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]
図1は、本開示の一実施形態による、照明システムの概略図である。
【
図2】[0016]
図2は、様々な波長の光に対する感度を示すグラフである。
【
図3】[0017]
図3は、様々な周波数でパルス化されたNIR LEDアレイの画像を示す。
【
図4】[0018]
図4は、例示的な照明器具からのいるイルミネーション光およびPBM放射の分布を示す図である。
【
図5】[0019]
図5は、別の例示的な照明器具からのイルミネーション光およびPBM放射の分布を示す図である。
【
図6】[0020]
図6は、デスクトップランプにおける照明システムの一実施形態の概略図である。
【
図7A】[0021]
図7Aは、PBM光源を駆動するためのパルシング電流(pulsing current)の図である。
【
図7B】
図7Bは、PBM光源を駆動するためのパルシング電流の図である。
【
図8】[0022]
図8は、本開示の一実施形態による、PBM光源を駆動するためのパルシング電流の図である。
【
図9A】[0023]
図9Aは、本開示の別の実施形態による、PBM光源を駆動するためのパルシング電流の図である。
【
図9B】[0024]
図9Bは、本開示の別の実施形態による、PBM光源を駆動するためのパルシング電流の図である。
【
図10A】[0025]
図10Aは、PBM光源を駆動するための非パルシング電流の図である。
【
図10B】[0026]
図10Bは、本開示の一実施形態による、PBM光源を駆動するための非パルシング電流の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0027]これら図は、例示のみを目的として意図されており、特許請求の範囲によって規定される保護の範囲の制限としての役割を果たすものではない。
【0017】
[0028]以下は、本発明のある特定の実施形態の説明であり、単なる例として、および図面を参照して与えられる。
【0018】
[0029]自由空間放射システムは、赤色(R)(600~700nm)および/または近赤外線(NIR)(700~1400nm)スペクトルにおける放射を送達するために提供され、例えば、両方が参照によりその全体を本明細書に組み込まれている国際出願第PCT/EP2020/083093号および国際公開第2020/119965号に記載されているように、ターゲット被検体において意味のあるPBM反応を誘発するための、ターゲット被検体に対する照射強度レベルを達成することが可能である。
【0019】
[0030]
図1は、このようなシステムの一実施形態の概略図である。システム10は、制御システム14と、パルス幅変調(PWM)信号発生器15と、PBMのための一次放射源(複数可)である1つ以上の発光ダイオード(LED)12を駆動するためのドライバ回路17と、に電力を送達する電源13を含む。PBM LED12についてのピーク発光波長は、RまたはNIRスペクトル範囲内にあるか、またはそれらの組合せである。このシステムはまた、白色光を生成するための可視スペクトルLED11などの、イルミネーションのための光源を駆動するためのドライバ回路16を含み得る。光源11およびLED12の放射出力レベルは、PWM信号発生器15およびドライバ回路16、17と組み合わせた制御システムによって決定される。制御システム14は、(調光器などの)制御デバイスを通じて、またはネットワークもしくはアプリを通じた通信を介して、ユーザからの入力18を受け取り得る。また、近接センサまたは周囲光センサなどのセンサ19が、制御システム10に入力を与え得る。
【0020】
[0031]PBM LED12は、イルミネーション光源11(これは、LEDであり得るが、白熱ランプ、蛍光ランプ、または放電ランプなどの従来の光源を含み得る)の間に一体化され得るか、または別個に含まれ得る。また、イルミネーション光源11およびPBM LED12は、それらが独立して動作し得るように、
図1に示されるような別個のドライバ電子機器16、17を有し得るか、またはドライバ電子機器を共有し得る。
【0021】
[0032]パルシング電流でPBM LED12を駆動することは、人間または他の被検体ターゲット(subject target)においてPBM効果を誘発することに関与する閾値効果のために効果的である。例えば、意味のあるPBM効果を誘発するためには、皮膚の表面において、>1mW/cm2の照射強度が必要であることが一般に認められている。比較として、白色光を使用した500ルクス(オフィス照明についての典型的なターゲット)を達成するための連続イルミネーションは、0.2mW/cm2より低い照射強度をもたらす。PBMを誘発するためのより高い強度要件により、長期間にわたってPBM効果のために意味のある放射を連続的に送達することは、コストおよびエネルギー使用の観点から法外になり得る(prohibitive)。代わりに、放出デバイスの持続的な高出力密度動作が、熱管理課題(エミッタの過熱など)、ならびに、場合によっては、PBM放射出力劣化および/またはエミッタの動作寿命の低減を引き起こすであろうケースでは、エミッタの過熱を回避する平均出力散逸を維持しながら、上述の照射強度閾値を克服し、意味のあるPBM線量を送達するために、Rおよび/またはNIRエミッタ(PBM LED12など)をパルス化することが有利であり得る。
【0022】
[0033]代替として、PBM照射強度は、放出された光を、全般イルミネーションに必要とされるものよりも狭い放射パターンに集束させることによって増大され得る。すなわち、建築環境の広い領域が見えるためにあるレベルの照射を必要とする全般イルミネーションとは異なり、PBM放射は、デスクの椅子に、または病室のベッドになどの、指定された位置に位置し得る被検体ターゲットに向けられるだけでよい。これは、電磁放射の逆二乗則に従って、より少ない光を使用しながらより小さい面積にわたってより高い照射強度を生じさせるために、PBM放射を集束または方向付けることを可能にする。例えば、全般イルミネーションに有用であり得るランバート発光(Lambertian emission)(別名「コサイン」分布)と比較して、放射パターン半パワー全幅(FWHP)角が狭くなるにつれて起こり得る強度の増大を下記表1に示す:
【0023】
【0024】
[0034]上記効果は、PBM効果に必要なターゲット照射強度レベルを達成するために必要とされる総電力量を低減するために使用され得る。このアプローチを使用すると、依然として熱状況を適正に管理しながらも、連続波モードでLEDを使用してPBMについての照射強度閾値を超えることが可能になり得る。このケースでは、PBM LED12をパルス化することは必要でない場合がある。
【0025】
[0035]当然ながら、照射強度レベルにおける増大はまた、放射源をターゲット被検体のより近くに移動させることによっても達成され得、逆もまた同様である。
【0026】
[0036]比較例として、PBM放射システムは、8時間の作業シフトなどの選択された持続時間にわたってこの放射を経験する人間にとって理想的な線量が経験され得るように、そのPBM LEDを連続的にパルシングさせることによってPBM投与を与えるように選択され得る。例えば、PBM LEDは、10Hzの周波数で、8msの期間の間、パルスオン(pulsed on)され得る。適正な照射強度レベル下、例えば、1~10mW/cm2では、2.3~23J/cm2の線量が達成され得る。残念ながら、この比較例は、PBM LEDの人間が視認可能なちらつきをもたらさない可能性がある一方で、それは、画像のちらつきを発生させ得る。
【0027】
[0037]典型的にスマートフォンに内蔵されたカメラを含む、ビデオレコーダおよびカメラなどの電子撮像機器において使用されるセンサは、人間の目よりも赤外光に対して感度が高い。
図2は、エミッタからの光の波長に対してプロットされた、典型的なCCDセンサ21、典型的なCMOSセンサ22、および典型的な人間の目23の正規化された感度を示す。見て分かるように、CCDおよびCMOSセンサは、600nmから1000nmを超えてまでの波長領域における光に対して、人間の目よりも感度が高い。PBM放射システムからこの波長領域で放出された光は、これらのデバイスの撮像機能に干渉し得る。特に、ある特定の条件下では、この波長レジームにおけるパルシング放射は、望ましくない結果を生じさせる、そのような撮像デバイスによって記録され得る画像のちらつきをもたらし得る。
【0028】
[0038]
図3は、NIR LEDアレイに向けられた典型的なスマートフォンカメラで撮影されたビデオからのスクリーンショットを使用して、パルスNIR LEDアレイからの画像のちらつきのいくつかの例を示す。第1の例では、NIR LEDアレイは、10Hzのパルス周波数で、8msの期間の間、パルスオンされた。その結果、画像のちらつきがはっきりと観察された。
図3の画像Aは、結果として得られたスクリーンショットであり、パルスLEDが、スマートフォンカメラの全フレームサイクルの間「オフ」であったため、画像は暗い。
【0029】
[0039]周波数は、同じ投与を維持するためにパルス持続時間を適切に補償しながら、画像のちらつき効果を低減する試みにおいて増大され得る。本発明者らは、
図3にさらに示すように、この効果を調査した。示されている画像は、観察されるのに十分高い周囲強度レベルで10~320Hzの可変周波数においてパルス化されたNIR LEDアレイのスマートフォンカメラから生成されたビデオスクリーンショットであり、画像Aは10Hz、画像Bは20Hz、画像Cは25Hz、画像Dは30Hz、画像Eは50Hz、画像Fは80Hz、画像Gは100Hz、画像Hは320Hzである。画像のちらつきが、10Hz、20Hz、25Hz、50Hz、および80Hzで観察された。画像のちらつきは、スクリーンショット画像において横縞として現れる。
図3の撮像に用いたスマートフォンカメラのフレームレートに相当する30Hzでは、画像のちらつきが観察可能でないことが顕著である。また、100Hz以上の周波数において、観察可能な画像のちらつきが観察されないことも顕著である。
【0030】
[0040]本発明の一態様によれば、顕著な画像のちらつきを回避するために、PBM LED12をパルシングさせるために100Hz以上のパルス周波数を選ぶことが望ましい。本発明の別の態様によれば、スマートフォンビデオカメラなどの一般的に使用される撮像機器の典型的なフレームレートの倍数であり、特に、1つまたは複数のPBM照明器具の近傍で使用されるべき撮像機器のフレームレートの倍数である、PBM LED12のためのパルス周波数を選ぶことが望ましい。例えば、関連する撮像機器のフレームレートが毎秒30フレーム(fps)である場合、NIR PBM LED12のパルス周波数についての好適な選択肢は、30Hz、60Hz、または90Hz、ならびに略100Hz以上の任意の周波数であり得る。例えば、スマートフォンおよびデジタルカメラなどの一般的に入手可能な撮像機器においてすべてが使用され得る24、30および60fpsなどの、複数の撮像機器フレームレートが問題になる場合には、PBM LED12をパルシングさせるための好適なパルス周波数は、120Hzになるが、100Hz以上も使用され得る。
【0031】
[0041]本発明では、照射強度は、人間被検体の皮膚などのターゲット表面における光放射の送達密度を指す。照射強度は、平方センチメートル当たりのミリワット(mW/cm2)など、平方面積当たりの光出力の単位で記述される。送達線量は、ターゲット領域における照射強度と、送達照射の持続時間(複数可)とを掛け合わせた累積積(cumulative product)である。送達線量は、平方センチメートル当たりのジュール(J/cm2)など、平方面積当たりのエネルギーの単位で測定される。PBM効果のために、ターゲット表面において垂直なRおよび/またはNIR照射強度レベルの範囲は、好ましくは0.4~50mW/cm2、より好ましくは1~15mW/cm2である。1日当たりの投与の範囲は、好ましくは0.01~50J/cm2、より好ましくは0.1~10J/cm2であり、これは、8時間の期間にわたって分散され(spread over)得る。
【0032】
[0042]PBMのための自由空間放射を送達するためのシステムは、多種多様な形態をとり得る。一形態において、PBM LED12は、さもなければ全般照明を目的としてある領域をイルミネートするために使用され得る照明器具内に組み込まれる。例えば、照明器具は、天井に設置された照明具(lighting fixture)であり得る。代替として、照明器具は、建築環境内の床または家具の表面上に位置するランプ器具(lamp fixture)であり得る。いくつかのケースでは、PBM LED12は、イルミネーションLED11(または他の光源)と一体化され、これにより、それらは、互いに近接して取り付けられる。他のケースでは、PBM LED12およびイルミネーション源11は、別個の領域内にあり得、ターゲット用途に従って、異なる放射パターンを送達するように配置され得る。これは、全般イルミネーションに典型的な放射パターンと、PBMに有用な放射パターンとが全く異なり得るので、重要である。
【0033】
[0043]例えば、病院の手術後の部屋または集中治療室内にあり、病院のベッドの上に取り付けられたトロファ照明器具(troffer luminaire)のケースを考える。このようなトロファ照明器具の一例が、
図4に示されている。トロファ照明器具40は、天井に取り付けられ、全般イルミネーションを目的として白色LED41を使用し得る。イルミネーションLED41(図面では見えない)は、LEDからの光を追加の反射面43に向かって上方に反射する第1の反射器42の背後に配置され、追加の反射面43は、イルミネーション光を下方に反射し返して部屋を照らす。照明器具からの白色イルミネーション光の実現される放射パターンは、多かれ少なかれランバートあるか、または所謂「コサイン」分布47である。イルミネーション光のこの広い分布は、建築環境内の広い領域をイルミネートするのに役立ち、これは、照明された環境において一般的なタスクを行うのに有用である。
【0034】
[0044]このトロファ照明器具40には、Rおよび/またはNIRスペクトルで発光するPBM LED45も含まれる。PBM LED45は、白色LED41からの全般イルミネーションの場合のようにすべての方向にそれらの放射を放つように設計されているのではなく、むしろ、照明器具の真下の病院のベッドなどのターゲット領域にそれらの放射を向けるように設計されている。ターゲットを絞ったより狭い放射パターン48は、PBM LED45がイルミネーションLED41と同じ広い分布を用いた場合に達成される照射強度と比較して、PBM LED45が病院のベッド上の被検体に対してより高い照射強度を達成することを可能にする。
【0035】
[0045]
図5は、全般イルミネーションのための白色LEDと、PBM LEDと、を含むトロファ照明器具の別の例を例示するが、放物線状トロファ照明器具50のケースでは、これは、イルミネーションLED(図示せず)に対してさらに広い放射パターン、所謂「バットウィング(batwing)」分布57を有し得る。PBM LED(図示せず)は、指定された位置におけるターゲット被検体に意味のあるPBM線量を効率的に送達するために、狭い、よりターゲットを絞った放射パターン58を有し得る。
【0036】
[0046]
図6は、デスクトップランプ61を用いたPBM用途60を例示する。この特定の例では、イルミネーションLED64は、ランプのヘッドに組み込まれ、作業面62(例えば、デスクトップ表面)の大部分、ならびに作業面の範囲を越えた領域の一部をイルミネートするのに有用な広い放射パターン65を提供する。一方、PBM LED66は、ランプのシャフトにおいて別個のモジュール内に含まれ、それらの送達放射パターン67がイルミネーションLED64のものよりもはるかに狭くなるように、光学素子と共に配置されている(arranged with optics)。PBM LED66の放射パターン67は、デスクに座っているターゲット被検体68に意味のある線量のPBM放射を送達するように設計されている。すなわち、PPM LED66は、手、顔、目、および首、ならびに、場合によっては、腕、前腕、および肩などの、人間被検体68の露出した皮膚をターゲットにすることになる。PBM LED66についての狭い放射パターン67は、それが有用でない領域においてそれを浪費することなく、ターゲット領域に放射を効率的に送達するのに役立つ。
【0037】
[0047]一例として、PBMデスクランプ61は、デスクに座っているターゲット被検体68にNIR放射を送達するように設計され得る。例えば、デスクは、被検体68から100cm離れており、対称的な放射パターンで(with)100cm直径幅の照射領域をターゲットにし、2×26.5度のターゲットFWHPを与える。半パワー角で1mW/cm2より大きいことを達成するために、送達瞬間放射は、7.8Wより大きくあるべきである。累積線量は、ターゲット被検体に過剰投与することなく、かつ画像のちらつきなどの他の負の効果を誘発することなく、正のPBM効果を達成するために、以下に説明されるように、分散方式で送達され得る。
【0038】
[0048]以下の実施形態は、前述されたすべての用途、ならびに、全般イルミネーション効果ならびにPBM効果のために1つ以上の光源を照明具に組み込むことが望ましい多くの他の用途を含み得る。このような用途では、上述したように、画像のちらつきを低減または除去することが好ましい。
【0039】
[0049]本明細書で使用される場合、「全般イルミネーション(general illumination)」という用語は、住居、オフィス、商業用および工業用建物、そしてまた、人々が活動している屋外の場所など、人々が生活し、もしくは働き、または活動する空間のイルミネーションレベルを上昇させることを目的とした照明を指す。これは、空間が所望の活動を行うには暗すぎるとき、全般イルミネーションが、そのような活動を可能にするために、空間のイルミネーションレベルを上昇させるために使用され得、その空間のイルミネーションレベルの所望の増大を達成するのに十分な量の光を提供することを意味する。全般照明についての典型的な照度レベルは、500lm/m2、または500luxのレベルであり、これは、50mlm/cm2に相当する。これは、白色光に対して300lm/Woptの放射の典型的なルーメン当量を使用した、全般イルミネーションに対する典型的な放射照度レベルが約0.2mW/cm2であることを意味する。全般イルミネーションのための光源および照明設計の選択は、地域コードおよび規格によって指定されるように、このオーダーの照度レベルを達成すべきである。例えば、全般照明のための単一の照明具は、典型的に、例えば、デスクランプなどのタスク照明の場合は、少なくとも250ルーメン、または、より大きな空間を照明する場合は、少なくとも500ルーメンもしくは少なくとも2000ルーメンの白色光を放出する。非常に大きな空間(例えば、倉庫またはスタジアム)は、それぞれ10,000lmより多くを放出する照明具を必要とし得る。
【0040】
[0050]システム10の第1の実施形態では、NIR PBM LED12のための駆動電流のためのパルスレートは増大されるが、パルス幅は低減されて、同じ連続PBM線量を維持しながら画像のちらつきを低減する。NIR PBM照射は、30fpsのフレームレートを有するスマートフォンカメラを使用して監視される。100Hz以上の十分に高いパルスレートでは、画像のちらつきはもはや観察されない。代替として、パルスレートは、撮像デバイスのフレームレートの倍数であるように選ばれ得、このケースでも、下記表2に列挙されるように、画像のちらつきは観察されなかった。
【0041】
【0042】
[0051]この実施形態によるPBM LEDの瞬間強度に関連付けられたパルス列が
図7に示されている。
図7Aは、比較的(comparably)より低い周波数のパルスレート(パルス幅t
p1およびパルス期間t
1を有する)と、許容できない画像のちらつきと、に関連付けられたパルス列を示し、一方、
図7Bは、より高いパルスレート(より小さいパルス幅t
p2およびより小さいパルス期間t
2を有する)に対応し、これは、上述したように画像のちらつきを回避するために選択され得る。PBM効果についての閾値範囲(図では最小照射強度閾値I
minによって示される)を上回る累積強度が一定であるので、各パルス列によって送達される線量は同じである。これは、デューティファクタtp/t(ここで、tpは、個々のパルス幅であり、tは、パルス期間である)が一定に保たれる限り、当てはまる。
【0043】
[0052]システム10の第2の実施形態では、R/NIR PBM LEDのためのパルスレートの選択は、PBM照明器具の近傍で使用される撮像機器のフレームレートの倍数であるように選ばれる。例えば、毎秒30フレーム(fps)のフレームレートを利用する撮像機器の場合、PBM LEDパルス周波数は、30Hz、60Hz、または90Hzなど、30fpsの倍数であるように選ばれ得る。代替として、毎秒25フレーム(fps)のフレームレートを利用する撮像機器の場合、PBM LEDパルス周波数は、25Hz、50Hz、75Hz、または100Hzなど、25fpsの倍数であるように選ばれ得る。
【0044】
[0053]PBMパルス幅が短すぎる場合、所望のPBM効果が適正にトリガされない場合がある。特に、これは、1msを下回るパルス幅において問題である。これは、固定されたパルス幅を維持し、周波数を増大させることが、線量を比例的に増大させ、ターゲット被検体を潜在的に過剰投与するリスクを冒すので、実施形態1および2などの連続投与解決策に課題を生じさせる。
【0045】
[0054]このような状況では、照射強度を低下させることは、総線量をターゲットレベルまで低減させるためのオプションと考えられ得る。しかしながら、PBM照射強度が(
図7および他の図における最小強度範囲によって示されるような)ある特定の閾値を下回る場合、治療の有効性は、リスクにさらされ得る。好ましくは、ターゲット被検体の皮膚表面における照射強度は、1mW/cm
2以上である。PBM LED強度を単に低減することは、PBM効果を確実にするのに十分長いパルス幅を有する高周波パルス列のケースでは、過剰投与を補償するための有効な方法ではない場合がある。
【0046】
[0055]システム10の第3の実施形態では、連続投与の代替として、分散PBM投与が適用され得る。このアプローチでは、PBM LED12の駆動電流のパルスレートは、画像のちらつきに対する懸念を除去するのに十分に増大されるが、対象となる持続時間(例えば、8時間の作業シフト)に対する総線量は、線量を連続的ではなくバーストで与えることによって管理される。これは、
図8に例示されている。パルスバースト81の長さおよびバースト間の期間82は、用途に適切に選ばれ得る。第3の実施形態による照明システム10では、PBM LED12を駆動するための駆動回路17によって生成される電流は、第1の時間期間81の間、複数のパルス(パルス幅t
p1およびパルス期間t
1を有する複数のパルスを有する)を含み得、第2の時間期間82の間、電流のパルスを含まないことがあり得る。パルスを有する第1の期間81およびパルスを有さない第2の期間82は、好ましくは、PBM投与の期間の間、バーストサイクル期間t
2にわたって、連続的に互いに交互する。パルス電流は、第1の期間81の間、所定のパルス周波数およびデューティサイクルを有し得る。第1のパルス周波数は、100Hz以上に設定され得、第1のデューティサイクルは、0.5パーセント以上に設定され得る。
【0047】
[0056]例えば、総(連続パルス列)PBM線量が10分の1に低減される必要がある場合には、PBM LED12の駆動電流は、パルスがバーストで生じるようにパルス化され得、例えば、パルスのバーストは、10秒毎に1秒、または100秒毎に10秒、または10分毎に1分、等の間、継続して提供され得る。このアプローチでは、パルス列は、対象となる全持続時間にわたって所望の線量を維持するために、適切な間隔で単にターンオフされる。これは、8msのパルス幅および100Hzのパルスレートを有する実施形態3に関連する例を示す、下記表3に例示される。PBM照射強度は固定され、100ms当たり8msでの連続モードで、8時間にわたって最適線量を与えるように選ばれる。
【0048】
【0049】
[0057]オン/オフ期間の選択は、用途に対して妥当であるべきである。例えば、8時間シフトを考慮すると、パルスバーストを8時間の期間にわたって比較的均一に分散させることが好ましくあり得る。例えば、10%の「オン割合(on-fraction)」の場合、1分毎のうち6秒毎、10分のうち1分、または毎時6分のパルスバーストを有することは、照射領域内で相互作用するほとんどのターゲット被検体が最適レベルに近い意味のあるPBM線量を経験する可能性が高いという望ましい結果を有する。これは、パルスバーストが8時間の持続時間内に単一の48分の期間で適用されるケースとは対照的である。ターゲット被検体が、何らかの理由で、この時間の間に照射領域を離れた場合、その人は、最適未満(sub-optimal)のPBM線量を経験することになるか、または全く線量を経験しない可能性がある。
【0050】
[0058]先の実施形態に関する潜在的な問題は、パルスバーストの突然のターンオンまたはターンオフが、傍観者または撮像機器を操作している者に顕著になり得るということであり得る。この問題に対処するために、システム10の第4の実施形態は、パルスのバーストの「段階的導入(phase in)」を提供し、その結果、各パルスバースト中の照射レベルにおける漸進的な増大は、ターゲット被検体または領域内の他者によって知覚されず、そのような変化が十分な遅さの時間スケールにわたって発生するということを前提として、その自動レベリング機能がそのような変化に対処し得るデジタル撮像機器のオペレータにとって不快ではない。この実施形態は、
図9Aに例示され、1つのパルスバーストを示しており、これは、第3の実施形態と同様に、バーストサイクル期間にわたって、交互するパルスバーストを有する第1の期間とパルスを有さない第2の期間とを形成するために、パルスのない期間に続いて繰り返されることになる。
【0051】
[0059]ランプアップ時間期間tramp-upおよびランプダウン時間期間tramp-downは、エンドユーザによって気付かれるのを回避するのに十分な遅さであり得る。パルスがそれらの最大値にあるときのレベル時間期間tlevelおよび総オン期間は、PBM適用持続時間にわたるバーストの総合計が、総ターゲットPBM線量レベルに達するように、パルスバースト中のターゲットPBM線量を生成するように選ばれる。
【0052】
[0060]第4の実施形態による照明システム10では、ドライバ回路17は、第1の期間の第1の部分(tramp-up)の間、パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、第1の期間の最後の部分(tramp-down)の間、パルスのうちの連続するパルスに対して低減する、パルスの振幅を有するパルス電流をPBM LED12に供給するように適合される。ドライバ回路は、第1の期間の第2の部分(tlevel)の間、実質的に一定であるパルスの振幅を有する第1のパルス電流を生成するように適合され得る。
【0053】
[0061]ランプアップ時間期間、レベル時間期間、およびランプダウン時間期間についての持続時間の選択は、好ましくは、PBM照射の存在がエンドユーザよってまたは撮像機器によって検出されないように選択される。具体的な選択は、詳細な製品要件および全ターゲット線量によって決定されることになるが、一般に、ランプアップおよびランプダウン時間期間は、少なくとも10秒、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上であることが望ましい。
【0054】
[0062]システム10の第5の実施形態は、PBM線量レベルまでゆっくりとランプアップするために、パルス幅変調(PWM)を利用する。この実施形態では、一旦ターンオントリガ条件が満たされると、パルス幅の「段階的導入」が、非常に低いデューティファクタから開始して提供され、その結果、線量レベルにおける漸進的な増大が、パルス持続時間が系統的に増大するにつれて各パルス中で達成される。ターゲット線量速度が達成されると、パルス幅は、一定に保たれる。累積ターゲット線量が達成されると、パルス幅は、系統的に低減され、最終的には、次のサイクルが開始する準備ができるまで、パルス列はオフにされる。パルス周波数が十分に高い(好ましくは100Hzを上回る)とき、人間の目は、効果を平均化し、(仮にあったとしても)深赤色照射におけるゆっくりとした漸進的な増大を単に知覚することになり(
図9Aのケースと同様)、これは、ターゲット被検体または領域内の他者によって不快であると知覚されず、そのような変化が十分な遅さの時間スケールにわたって発生するということを前提として、その自動レベリング機能がそのような変化に対処し得るデジタル撮像機器のオペレータにとって不快ではない。この実施形態は、
図9Bに例示され、1つのパルスバーストを示しており、これは、第3の実施形態と同様に、バーストサイクル期間にわたって、交互するパルスバーストを有する第1の期間とパルスを有さない第2の期間とを形成するために、パルスのない期間に続いて繰り返されることになる。
【0055】
[0063]第5の実施形態による照明システム10では、ドライバ回路17は、パルス電流をPBM LED12に供給するように適合され、ここで、パルスのパルス幅tpは、第1の期間の第1の部分(tramp-up)の間、パルスのうちの連続するパルスに対して増大し、第1の期間の最後の部分(tramp-down)の間、パルスのうちの連続するパルスに対して低減する。ドライバ回路は、第1の期間の第2の部分(tlevel)の間、実質的に一定である、パルスのパルス幅を有する第1のパルス電流を生成するように適合され得る。
【0056】
[0064]ランプアップ時間期間、レベル時間期間、およびランプダウン時間期間についての持続時間の選択は、好ましくは、PBM照射の存在がエンドユーザよってまたは撮像機器によって検出されないように選択される。具体的な選択は、詳細な製品要件および全ターゲット線量によって決定されることになるが、一般に、ランプアップおよびランプダウン時間期間は、少なくとも10秒、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上であることが望ましい。
【0057】
[0065]パルスについてのデューティファクタが100%に達する実施形態4および5の限界ケース(limit case)では、PBM放射源はもはや高周波パルス化されず、ランプアップ時間期間、レベル時間期間、およびランプダウン時間期間の間、単に連続波(cw)モードで動作する。システム10の第5の実施形態では、このオプションが実装され、高周波パルスの実施形態と比較して、より簡略化された信号発生器およびドライバ回路15、17という利点を提供する。しかしながら、すべての実施形態でのように、特に温度に対して敏感であることでよく知られたRおよびNIR LEDのケースでは、適正にヒートシンクし、したがって、放射源の熱環境を管理するように注意しなければならない。
【0058】
[0066]
図10は、PBM放射源の連続波(cw)動作を利用する例についての照射強度プロファイルを示す。
図10Aの上のプロファイルは、cw動作を使用する単純なオン/オフバーストモードを示す。
図10Bの下のプロファイルは、cw動作を使用するランプアップ/ランプダウンバーストを示す。他の実施形態については、強度プロファイルは、(最小照射強度閾値I
minを上回る)総線量が同じであるように選択される。
【0059】
[0067]第6の実施形態による照明システム10では、ドライバ回路17は、第1の期間の間、PBM LED12に電流を供給し、第2の期間の間、PBM LED12に電流を供給しないように適合され、第1の期間および第2の期間は、互いに交互になっており、ドライバ回路は、各第1の期間の第1の部分の間、第1の電流の振幅を徐々に増大し、各第1の期間の最後の部分の間、第1の電流の振幅を徐々に低減するように構成される。ドライバ回路17は、各第1の期間の第2の部分の間、実質的に一定の振幅において第1の電流を維持するように構成され得、第2の部分は、各第1の期間の第1の部分と最後の部分との間に生じる。
【0060】
[0068] 実施例
【0061】
[0069]以下に示すデータは、当業者によく知られている技法を使用して、開示された実施形態のいずれかに適用され得る設計パラメータおよび計算の一例を例示する。この例は、PBM光源からターゲット表面までの設計距離、PBM効果を生成するためのターゲット表面における所望の放射強度、およびターゲット表面上の照射領域のターゲット直径に基づく。半パワー角およびPBM LEDに必要なピークおよび平均電力、ならびにPBM LEDの数および波高率(crest factor)が決定され得る。
【0062】
【0063】
[0070]これらの設計パラメータに対して、PBM効果を与えるための被検体ターゲットにおける線量は、様々な曝露持続時間に対して計算され得、「オン時間」割合が計算され、すなわち、PBM LEDが通電されるときの時間のパーセンテージである。
【0064】
【0065】
[0071]一例として、PBMデスクランプは、デスクに座っているターゲット被検体にNIR放射を送達するように設計され得る。デスクランプは、被検体から略100cm離れており、対称的な放射パターンで100cm直径幅の照射領域をターゲットにし、2×26.5度のターゲットFWHPを与える。半パワー角で1mW/cm2より大きいことを達成するために、送達瞬間(またはピーク)照射は、PBM LEDからの総放出電力がその2倍または15.7Wになるように、7.8Wより大きくあるべきである。PBMパルス周波数は、画像のちらつき問題を回避するために、100Hzであるように選ばれ得る。PBMパルス幅は、2msであり得、これは、20%のデューティファクタを与える。したがって、平均PBM電力送達は、3.14ワットとなる。これは、Lumiledsから市販されているLUXEON IR Domed for Automotive Line L1I0-A850050000000製品などの3つのNIR LEDを使用して可能である。これらのデバイスは、連続dcモードで、エミッタ当たり1Aに対して1.35Wが可能である。そのうちの3つは、約4Wを送達し得、約4の「波高率」(すなわち、達成可能なピーク出力電力と連続dc電力との間の比)を必要とし、これは、5Aの最大パルス電流のデータシート提案(すなわち、5A/1A=5の波高率)を考慮すると、十分に達成可能である。
【0066】
[0072]これらの条件下で、デスクランプは、8時間の期間にわたってターゲット領域に5.8J/cm2の線量を送達することになる。より低い線量をターゲットとすることが望ましい場合がある。例えば、1J/cm2の全線量が、8時間の期間についてターゲットとされ得る。このケースでは、以下により詳細に記載されるように、分散投与が用いられ得る。例えば、PBMデスクランプは、例えば、ターゲット累積線量を送達するために、17%の全体的な「オン時間」割合、または毎時約10分をターゲットとし得る。PBMランプのターンオンは、単純なオン/オフ様式であり得るか、または、エンドユーザによる、もしくはターゲット領域に近接して使用中の撮像機器による、顕著な検出を回避するために、経時的にゆっくりと段階的に導入され得る。例えば、PBMランプ放射は、5分の時間期間にわたって0Wからピーク15.7Wまで線形にランプされ、次いで、同様の時間期間にわたって後にランプダウンされ得、これにより、総累積線量ターゲットが達成される。多くの他の組合せおよび仕様が、詳細な製品開発フレームワーク内で可能であるが、それらのすべてが本発明の教示の範囲内に入ることは明らかである。
【0067】
[0073]上記で記載および説明された様々な実施形態は、明示的に述べられていない限り、互いに相互に互換性があることは明らかである。したがって、上記の実施形態からの任意の数の特徴の組合せは、依然として本開示内にある。例えば、例示的な所定のスペクトル、放射源の例示的な(ピーク)放出電力レベル、および光源の例示的な輝度の異なる組合せが、明確に本開示の範囲内にある。追加として、上記の実施形態における特徴は、放棄され得るか、またはさもなければ除外され得る。
【国際調査報告】