IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】自動車用途の為の電動駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/44 20140101AFI20240307BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20240307BHJP
【FI】
E05B81/44
E05B81/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559093
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 DE2022100021
(87)【国際公開番号】W WO2022167027
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102559.1
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スゼジェニー, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】イナン, オマー
(72)【発明者】
【氏名】シファー, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロイシュ, マヌエル
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250KK02
2E250LL01
2E250LL13
2E250RR13
2E250RR34
2E250RR46
(57)【要約】
本発明は、電気モータ(1)と、この電気モータ(1)と相互作用する駆動ホィール(3)、特にカム外形部(5)を有するウォームホィール(3)と、このカム外形部(5)に衝突可能なレバー(8)とを備えた自動車用途の電動駆動装置に関する。このカム外形部(5)は、レバー(8)に衝突するために全回転(360°)を完了する。本発明によれば、このカム外形部(5)は、全回転を超える回転(>360°)を行うように設計されている。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(1)と、
前記電気モータ(1)と相互作用し、カム外形部(5)を有する駆動ホィール(3)、特にウォームホィール(3)と、
前記カム外形部(5)が作用することができるレバー(8)と、
を備える、自動車用途の電気モータ駆動装置であって、
前記レバー(8)に作用する為に前記カム外形部(5)が全回転(360°)を完了し、前記カム外形部(5)が全回転以上(>360°)を実現するように構成されていることを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
前記カム外形部(5)には、可撓性のストッパ(11)を備えられることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ストッパ(11)は、前記駆動ホィール(3)、特に、ウォームホィール(3)と相互作用するクランプ手段(11)として構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記クランプ手段(11)は、一方が前記駆動ホィール(3)、特に、ウォームホィール(3)に固定され、他方が静止ストッパ(12)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動ホィール、特に、ウォームホィール(3)は、前記クランプ手段(11)のためのガイド外形部(13)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ガイド外形部(13)は、前記ウォームホィール(3)上の前記カム外形部(5)に対向して設けられることを特徴とする、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記張力手段(11)が、帯状に設計され、20%以上、好ましくは50%以上の柔軟な長さ変化を許容することを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記張力手段(11)は、全体的または部分的に弾性材料、たとえば、エラストマー、織物またはその組合せから作られることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記カム外形部(5)は、前記レバー(8)に対して、好ましくは前記軸に近い凹部(6)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記カム外形部(5)は、前記軸(4)を中心とした2回転以上の全回転を表す螺旋状縁部(7)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電気モータ駆動装置を特徴とする、自動車用ラッチ、特に自動車ドア用ラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、自動車用途の電気モータ駆動装置に関するが、この駆動装置は、電気モータを有し、更に駆動ホィール、特にウォームホィールを有し、電気モータと相互作用し且つカム外形部を有し、且つカム外形部によって作用可能なレバーを有し、カム外形部がレバーに作用するために全回転(360°)を完了する。
【0002】
[0002]自動車用途の電気モータ駆動装置は、堅牢な設計と、典型的には12Vまたは24VのDCの低電圧で動作する可能性によって特徴付けられる。その結果、電力消費作動を実現するために、電気モータの回転運動の伝達に特別な手段がしばしば必要とされる。このような比は通常、電気モータがその出力シャフト上に置かれるるウォームとウォームホィールの外歯と噛み合うことによって提供される。さらに、カム外形部は典型的には螺旋状縁部を有しており、これにより、カム外形部の螺旋状縁部の助けを借りて作用することができ、増加するトルクをカム外形部に当接しているレバーに加えることができる。
【0003】
[0003]これは基本的に成功していることが証明されており、そのため、一般的なDE 197 02 420 C5に記載されているように、たとえばシャッタを制御するために、そのような電動駆動装置が使用される。実際、このようにして実現された調整要素またはアクチュエータは、0°または360°、90°、180°および最終的に270°のウォームホィールの回転運動に対応する機能位置「開」、「ロック」、「盗難防止」および最終的に「幼児安全」を実現することができる。これは原理的に証明されている。
【0004】
[0004]さらに、最近では、電気またはハイブリッド自動車に接続された充電装置におけるロックアクチュエータの作動に関連して、同等の電動駆動装置が使用されている。このような電動駆動装置の他の使用例は、窓ガラスの昇降運動、ミラー調整、さらにはシート調整を提供することである。蓋の解錠・施錠にも使用できる。さらに、そのような電気モータ駆動装置は、自動車のロック内側で、またはプル/オープン駆動装置として使用される。これらの駆動装置は、常に高速の電気モータによって特徴付けられ、その高い回転数は、対照的に、増加した力または増加したトルクを伴う比較的遅い運動、その結果、大きな伝達比で変換される。
【0005】
[0005]この文脈で中間ギアボックスを提供することができるのは事実である。しかしながら、これらは技術的な努力と摩擦を増加させ、その結果、通常は回避され、目標指向とは考えられない。それにもかかわらず、既に提供された並進運動を増加させるための努力は、依然として不変である。現在、これに対して利用可能な建設的に単純で費用対効果の高い解決策はない。本発明は全体としてこれを改善しようとするものである。
【0006】
【概要】
【0007】
[0006]本発明は、伝達比を増加させることが可能であると同時に、設計が単純かつ費用効果的であるように、自動車用途の為の、そのような電気モータ駆動装置を更に開発するという技術的課題に基づいている。
【0008】
[0007]この技術的問題を解決するために、本発明は、自動車の技術的用途のための一般的な電気モータ駆動装置において、カム外形部が全回転超(>360°)を実現するように構成されることを提案する。
【0009】
[0008]これに関連して、静止ストッパとの衝突を防止するために、カム外形部は、典型的には、可撓性ストッパを備えている。ストッパは、通常、駆動ホィール、特にウォームホィールと相互作用するクランプ手段である。有利には、駆動ホィールはウォームホィールとして設計されている。また、駆動ギアを歯付きホィール等として構成することも考えられる。
【0010】
[0009]本発明は、第1に、カム外形部の一部の全回転を超える回転の実現が、カム外形部の助けを借りて、従来技術の伝達比よりも更に高い伝達比をレバーに伝達することができるように使用または携わることができるという知識に基づいている。その結果、レバーは、従来技術に比べて大きなトルクで所望の位置決め運動を行うことができる。これは、幾つかの適用実施例を挙げると、自動車ラッチ内の機能状態の代表例、自動車ドアラッチ上の開閉運動、自動車ウィンドウの上昇または下降などを含むことができる。
【0011】
[0010]それにもかかわらず、電動駆動装置が減速され、関連する位置決め運動の完了後に停止することができるように、可撓性ストッパが実装されている。これは、駆動装置の「オーバーラン」の運動が観察されないことを意味する。これは、そのような可撓性ストッパの助けにより、静止ストッパとの衝突を恐れずに、カム外形部の360°を超える所望の回転を容易に実用化することができるためである。むしろ、ストッパは、駆動ホィール、特にウォームホィールと相互作用するクランプ手段として有利に設計されており、カム外形部を減速することができ、したがって駆動ホィール、特にウォームホィールをその位置決め運動の終わりに、または逆転運動の後の最初に減速することができることが証明された手段である。クランプ手段の柔軟性により、この制動過程は「ハードストップ」に比較して「ソフト」とみなすこともできるので、そのような設計は、ハードストップによって引き起こされる電動駆動装置へのいかなる損傷も回避されるという追加的な利点を伴う。
【0012】
[0011]有利な設計によれば、クランプ手段は、一方では駆動ホィール、特にウォームホィールに固定され、他方では静止ストッパに固定される。さらに、駆動ホィール、特にウォームホィールは、クランプ手段のためのガイド外形部を有することが有利である。したがって、ガイド外形部は、クランプ装置を駆動ホィール、特にウォームホィールに「巻き付ける」ために使用することができる。この場所でカム外形部との衝突を防止するために、ガイド外形部が設けられ、駆動ホィール、特にウォームホィール上のカム外形部に対向して配置されるように設計されている。
【0013】
[0012]即ち、カム外形部およびそれに当接してそれと相互作用して所望の調整要素を適用するレバーは、駆動ホィールの一方の側、特にウォームホィールの上側または前側に置かれる。これに対して、駆動ホィールの後側、特にウォームホィールの後側には、典型的にガイド外形部が設けられている。クランプ手段は、駆動ホィール、特にウォームホィールに接続され、一端は通常、ガイド外形部に隣接しているか、またはガイド外形部上にさえも接続されているので、駆動ホィール、特にウォームホィールの回転運動は、クランプ手段をガイド外形部の周りでウォームホィールに接触させ、それによって、いわば駆動ホィール、特にウォームホィールに巻き取られる。
【0014】
[0013]これに関連して、クランプ装置が帯状の形態で設計される場合、特に有利であることが証明されている。原理的には、クランプ手段はまた、バネ、たとえば、螺旋バネであってもよい。しかしながら、本発明は通常、20%以上、好ましくは50%以上の柔軟な長さ変化を可能にする帯状の張力手段を用いる。これは、帯状張力手段の長さを20%超、50%超またはそれ以上に、この場所で損傷を観察することなく、延ばす又は拡大することができることを意味する。
【0015】
[0014]この目的のために、クランプ手段は、全体的または部分的に弾性材料で作られることが有利である。ここで、たとえば、エラストマ等の弾性プラスチックが特に好ましいことが判明している。原理的には、クランプ装置は織物で作ることもできる。また、たとえば、エラストマと繊維との組み合わせも当然考えられる。
【0016】
[0015]カム外形部は、通常、レバーのための凹部を有し、好ましくは軸の近くにある。すなわち、凹部は、駆動ホィール、特にウォームホィールの軸に近接して又は隣接して見出される。カム外形部の螺旋状縁部または螺旋状外形部は、一般に、この凹部から生じる。螺旋状縁部または螺旋状外形部は、駆動ホィール、特にウォームホィールの前述の軸を中心とする2つ以上の全回転を描く。
【0017】
[0016]カム外形部が平面内に配置される場合、カム外形部は前記平面内に前記螺旋状縁部を有し、これはレバー上の半径方向の距離を増加させて調整要素に作用するように働く。しかしながら、原理的には、駆動ホィール/ウォームホィールの軸に対して螺旋状の延長部を有する螺旋状外形部もこの場所で実現することができ、このようにして、軸を中心とした全回転を超える回転を描く。螺旋状外形部の螺旋形状は、螺旋状外形部及びそれと共にカム外形部が全体として空間的又は三次元的設計を有することを意味する。このような場合、つる巻の螺旋状の外形部は、それと相互作用するレバーが螺旋状外形部によって作用されて調整要素の所望の運動を開始することを再び確実にする。
【0018】
[0017]その結果、全回転を超える回転を実現するカムの外形部の可能性により、駆動ホィール、特にウォームホィール及びカム外形部を介して電気モータから出発して所望の調整要素に作用するためのレバーに、特に高い伝達比を伝達することができる自動車用途の電気モータ駆動装置が提供される。たとえば、レバーは、閉鎖運動の意味でラッチを作動させて関連する自動車ドアを閉じるために、回転式ラッチに直接または間接的に接続されてもよい。もちろん、導入部で既に説明した他の用途も考えられる。
【0019】
[0018]したがって、本発明の追加の主題は、このような電動駆動装置を備えた自動車用ラッチ、特に自動車ドア用ロックである。アクチュエータを使用して、当該自動車用ロックを電気的に開くことができる。これは、解除レバーを作動させることによって間接的に、または直接的に爪部に圧力を加えることによって直接的に達成される。さらに、幼児安全ロック、盗難防止装置、中央ロックシステムなどのロック機能は、個別に、または関連する駆動装置の助けを借りて組み合わせて挿入および実装することができる。
【0020】
[0019]駆動ホィール、特にウォームホィールは、通常、射出成形部品として設計されるので、カム外形部を含む駆動ホィール、特にウォームホィールを、特に容易にかつ費用効果的に生産することができる。金属またはプラスチックで作られた設計は、ここで実証され、テストされている。帯状のクランプ装置として設計された可撓性ストッパに関連して、特に単純な設計が提供されて変換され、これもまた低い製造コストを伴うだけである。ここに本質的な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
[0020]以下、1つの例示的な実施形態のみを示す図面を参照して、より詳細に本発明を説明する。
図1A図1Aは、2つの異なる機能位置のうち一つの機能位置における本発明による電気駆動装置の正面図を示す。
図1B図1Bは、2つの異なる機能位置のうち他の機能位置における本発明による電気駆動装置の正面図を示す。
図2A図2Aは、図1Aおよび図1Bによる電気モータ駆動部の背面図を示す。
図2B図2Bは、図1Aおよび図1Bによる電気モータ駆動部の背面図を示す。
図2C図2Cは、図1Aおよび図1Bによる電気モータ駆動部の背面図を示す。
【0022】
【詳細な説明】
【0023】
[0021]図には、自動車用途の電気モータ駆動装置が表示されている。この目的のために、当該駆動装置は、例えば12V、24Vまたは48Vの低いDC電圧で動作する電気モータ1を有する。電気モータ1の出力シャフトには、ウォームホィール3の外歯に噛み合う出力ウォーム2が配置されている。これにより、ウォームホィール3は、特に図1Aおよび図1Bに示すように、その軸4を中心に反時計回りの運動を行うことができる。図1Aおよび図1Bに示す正面図における反時計回りの運動は、図2Aから図2Cに示す背面図における時計回りの運動に対応する。原理的には、正面図では時計回りの運動、背面図ではそれに対応する反時計回りの運動ももちろん考えられる。
【0024】
[0022]ウォームホィール3には、螺旋状のカム外形部5を備えられている。カム外形部5は、一方の軸の近くに凹部6を有し、他方の軸の近くに螺旋状の縁部7を有する。螺旋状の縁部7は、凹部6から始まり、作動方向(図1Aおよび図1Bによる正面図では反時計回り)の半径が増加することによって特徴付けられ、その結果、カム外形部5によって作用されるレバー8は、増加するトルクの印加を受ける。なお、レバー8は、たとえば、プラスチックや金属などから作られる2アーム付きレバーであり、本実施例では、軸9を中心としてハウジングに回転可能に装着されている。ハウジングは、自動車ロックまたはプル駆動装置、ウインドウレギュレータ駆動装置、フラップ駆動装置などのハウジングであってよい。
【0025】
[0023]本実施形態によれば、レバー8は、調整要素10を作動させるために使用される。プル駆動装置の場合、調整要素10は、上述した自動車ドア用ラッチの回転ラッチ(図示せず)であってもよい。しかしながら、原則的には、調整要素10は、昇降可能な窓ガラス、自動車ドア、自動車フラップ等であってもよい。この目的のために、レバー8は、図1Bに示される作動運動を行うことができるが、これは、図1Aおよび図1Bを比較することによって理解されるように、実施例によると、レバー8が図1Aにおけるその初期位置から、その軸9を中心に時計回りに旋回されることに対応する。
【0026】
[0024]本発明による特徴は、図1A図1Bを比較することにより理解できるように、レバー8に作用するカム外形部5が、360°を通る全回転という意味での運動を行うことができるだけではないことである。実際、図1Aでは、0°に対応するカム外形部5の初期位置が表され、図1Bでは、360°より大きい角度に対応するカム外形部5の最終位置が再現されている。実際、図示した実施例の場合、合計でほぼ400°の角度、すなわち、360°に約35°を加えた角度が完了されている。もちろん、これは実施例としてのみ適用され、制限的なものではない。
【0027】
[0025]すなわち、本発明によれば、カム外形部5は、ウォームホィール3の関連する軸4を中心に360°を超える全回転以上を実現するように構成される。これを実現し、詳細に変換するために、2アーム付きレバー8は、その1つのアーム8aと共に、前述のカム外形部5の凹部6に落ち込む。他方、2アーム付きレバー8の他方のアーム8bは、必要に応じて直接的または間接的に、単に示された調整要素10に作用する。調整要素10は、前述した回転ラッチ、窓ガラス、自動車ドア等であってもよい。
【0028】
[0026]カム外形部5に対して、図1Aおよび0°の設定角度に従った基本位置から開始して、ウォームホィール3、したがって、カム外形部5が、軸4を中心に反時計回り方向に回転運動すると、カム外形部5の螺旋状縁部7がレバー8のアーム8aに対して移動する。図示の実施例では、カム外形部5、したがって螺旋状縁部7はウォームホィール3に平行な平面内に延びている。ウォームホィール3の軸4から螺旋状縁部7の距離が増加することにより、レバー8のアーム8aは軸9を中心にして、すなわち時計回り方向にますます回転し、従って調整要素10は所望の負荷を受ける。
【0029】
[0027]カム外形部5がこの処理中に360°を超える全回転を超える回転を完了するという事実の結果として、電気モータ1によって提供される全体の伝達比を増加させることができ、これによってレバー8が最終的に作用される。それにも拘わらず、この運動の最後に電気モータ1を正確に減速して停止させることができるようにする為に、図2Aから図2Cに従って背面図から理解することができる可撓性ストッパ11が追加的に実装される。
【0030】
[0028]実際、ストッパ11は、ウォームホィール3と相互作用するクランプ手段11として設計されている。このため、クランプ手段11は、一方でウォームホィール3に固定され、他方で静止ストッパ12に固定されている。ウォームホィール3はまた、クランプ手段11のためのガイド外形部13を有する。例示的な実施形態において、ガイド外形部13は、ウォームホィール3の軸4を一定の距離で囲むリング状または環状外形部である。クランプ手段11の一端はガイド外形部13に固定されるか、またはガイド外形部13に係合し、クランプ手段11の他端は静止ストッパ12に接続されていることが分かる。
【0031】
[0029]この点に関して、カム外形部5が、図1Aおよび図1Bを見るときに見えるウォームホィール3の前側または上側に配置されて置かれるように、全体的かつ更になお設計されている。これに対して、ウォームホィール3の後側には、図2A図2Cの後面視から分かるように、ガイド外形部13が工面されている。カム外形部5及びガイド外形部13は、たとえば、ウォームホィール3を射出成形品として、一体に製造される。これは、プラスチックおよび/または金属で作ることができる。
【0032】
[0030]図2Aから図2Cは、クランプ手段11が帯状の形態で設計されていることを更に明確にする。さらに、帯状の張力手段11は、20%以上、好ましくは50%以上の柔軟な長さ変化を許容する。これは、帯状の張力手段11が軸荷重を受けた場合には、その長さを20%以上、好ましくは、50%以上増加させることが可能であるが、軸荷重が終了した後に柔軟かつ損傷なく元の状態に復帰することができることを意味する。この目的のために、クランプ手段11は、全体的または部分的に弾性材料で作られる。これは弾性プラスチック、例えばNR(天然ゴム)とすることができる。原則的には、織物または組み合わせもこの場所で考えられる。
【0033】
[0031]いずれにしても、図1Aおよび図1Bの正面図に示されるように反時計回り方向に移動するカム外形部5によるレバー8の負荷によるウォームホィール3の対応する時計回りの運動が、図2Aから図2Cに従った背面図に再現されている。図2Aから図2Cのシーケンスに見られるように、時計回りの運動は、クランプ手段11が環状のガイド外形部13の円周に対して設定され、ガイド外形部13上に巻き上げられるという事実に対応する。これは、ウォームホィール3が反時計方向への反転運動を完了した場合にも原理的に同様である。
【0034】
[0032]カム外形部5が面内方向の螺旋状縁部7を有さず、その代わりに弦巻状に延びる螺旋状外形部を備えている可能性は示されていない。この場合、カム外形部5が備えられたレバー8のアーム8aには、たとえば、カム外形部5のヘリカル螺旋状外形部に追従するローラを備えることができる。この場合、2アーム付きレバー8は、その軸9を中心とした旋回運動を完了するのではなく、むしろ図面平面内にある軸を中心として上方に移動され、その結果、他方のアーム8bは下方運動を完了し、これは次に調整要素10に伝達できる。
【符号の説明】
【0035】
1…電気モータ、
2…出力ウォーム、
3…駆動ホィール/ウォームホィール、
4…軸、
5…カム外形部、
6…(軸に近い)凹部、
7…螺旋状縁部、
8…2アーム付きレバー、
8a…第1のアーム、
8b…第2のアーム、
9…(中間)軸、
10…調整要素、
11…柔軟なストッパ/クランプ手段、
12…(静止)ストッパ、
13…ガイド外形部。
図1A
図1B
図2A)】
図2B)】
図2C)】
【国際調査報告】