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  • 特表-視力回復メガネに用いられる振動部 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】視力回復メガネに用いられる振動部
(51)【国際特許分類】
   G02C 11/00 20060101AFI20240307BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20240307BHJP
   G02C 5/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G02C11/00
A61F9/00
G02C5/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560298
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 KR2022000101
(87)【国際公開番号】W WO2022211227
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0041077
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523369721
【氏名又は名称】テンテク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ボヨン
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006CA00
(57)【要約】
本発明は、視力回復メガネの左眼側及び右眼側のリムのいずれか一方または両方に設けられる、視力回復メガネに用いられる振動部に関し、前記振動部は、振動による超音波を発生させるように構成されていることを特徴とする。これにより、眼球運動を誘導するのではなく、低周波数帯域の超音波を眼球に直接送達することにより、実質的な視力回復効果を発揮する、視力回復メガネに用いられる振動部を提供することができる。また、眼球に送達された超音波により眼球の緊張緩和、血流の増加及び眼球細胞の活性化を助けることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視力回復メガネの左眼側及び右眼側のリムのいずれか一方または両方に設けられる、視力回復メガネに用いられる振動部であって、
前記振動部は、振動による超音波を発生させるように構成されていることを特徴とする、視力回復メガネに用いられる振動部。
【請求項2】
前記振動部が前記左眼側及び前記右眼側のリムのいずれか一方に設けられる場合、前記振動部は、リムに設けられたヒンジ部と結合されており、前記ヒンジ部を介して前記左眼側のリムまたは前記右眼側のリムに回動可能かつ装着可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の視力回復メガネに用いられる振動部。
【請求項3】
前記振動部は、表面に振動を発生させるための圧電素子または圧電フィルムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の視力回復メガネに用いられる振動部。
【請求項4】
前記振動部の中央に、眼球方向に突出する窪みが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の視力回復メガネに用いられる振動部。
【請求項5】
前記振動部には、眼球と振動部との接触の有無を検知するための静電容量センサーまたは圧力センサーが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の視力回復メガネに用いられる振動部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力回復メガネに用いられる振動部に関し、振動により超音波を発生させて眼球に送達するための振動部に関する。
【背景技術】
【0002】
メガネは、視力が低下した使用者の顔面に着用して視力の改善を図る装置であり、近年では、レンズによって矯正視力を得るメガネから、着用者の視力そのものを矯正したり回復させたりする様々な形態のメガネ装置が登場している。
【0003】
一方、弱視とは、目に特別な異常は見られないが、正常な矯正視力が得られない状態をいう。弱視は、その発生原因によって斜視性弱視と屈折性弱視に大別される。
【0004】
斜視性弱視とは、斜視があるときに両目が異なる方向を見るために複視となるもので、混乱を防ぐために脳で能動的な抑制が起こり、片目の視力発達を阻害する場合を指す。また、屈折性弱視とは、両目の屈折率が異なる場合に、両目が同じ方向を見るがピント(焦点)が異なるため、片目のピントが合うともう片目がぼやけて見え、これにより、もう片目に対する能動的な抑制が起こり、視力の発達を阻害する場合を指す。
【0005】
このうち、斜視性弱視は外見上発見しやすく、治療も比較的容易であるが、屈折率弱視は外見的な異常がないため、弱視を持つ者がかなり成長してから視力検査などで偶然発見されるケースが多い。しかし、弱視は一般に6歳を超えると治療効果が著しく低下し、10歳になるとそれ以上の治療効果は期待できないといわれているため、早期に発見して治療することが大切である。
【0006】
このような弱視の治療方法の一つとして遮蔽治療がある。遮蔽治療は、正常の目を眼帯で隠して(遮蔽して)、弱視の目を強制的に使わせて視力を改善させる治療法である。
【0007】
このような遮蔽治療を用いた視力矯正メガネに関連する先行文献としては、韓国公開特許第10-2019-0042902号公報(2019年4月25日公開、「遮蔽治療を用いた視力矯正用メガネ装置」)があった。
【0008】
一方、他の視力矯正方法の一つとして、薄い不透明な平板に多数の穴(以下、「ピンホール」という)をあけたメガネレンズのメガネを着用することにより、このピンホールを通して対象物を見ながら着用者の眼球の筋肉が自然に運動し、このような過程を繰り返すことにより、結果的に視力回復機能が働くという現象が現れ、このような効果を「ピンホール効果」という。
【0009】
この「ピンホール効果」は古くから国内外で知られており、この原理を利用したメガネ(ピンホールメガネ)は古くから世界各国で多数作製され、各種視力障害、近視、乱視、遠視、老眼などの矯正に利用されてきた。
【0010】
このようなピンホールを用いた視力矯正メガネに関連する先行文献としては、韓国公開特許第10-2012-0022116号公報(2012年3月12日公開、「視力矯正メガネ用レンズ及びその製造方法」)があった。
【0011】
しかしながら、前述した先行文献の遮蔽治療やピンホールを利用したメガネ技術の場合、視力矯正手段が視野調整による眼球運動に集中し、実質的な視力矯正や視力回復の効果が不十分であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0042902号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2012-0022116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、眼球運動を誘導するのではなく、低周波数帯域の超音波を眼球に直接送達することにより、実質的な視力回復効果を発揮する、視力回復メガネに用いられる振動部を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、眼球に送達された超音波により眼球の緊張緩和、血流の増加及び眼球細胞の活性化を助けることができる視力回復メガネに用いられる振動部を提供することである。
【0015】
その他、本発明の詳細な目的は、以下に記載の具体的な内容により、この技術分野の専門家または研究者にとって自明に把握され、理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、本発明により、視力回復メガネの左眼側及び右眼側のリムのいずれか一方または両方に設けられる、視力回復メガネに用いられる振動部において、前記振動部が、振動により超音波を発生させるように構成される、視力回復メガネに用いられる振動部によって達成することができる。
【0017】
ここで、前記振動部が前記左眼側及び右眼側のリムのいずれか一方に設けられる場合、前記振動部は、リムに設けられたヒンジ部と結合されており、前記ヒンジ部を介して前記左眼側のリムまたは右眼側のリムに回動可能かつ装着可能に構成されていてもよい。
【0018】
また、前記振動部は、表面に振動を発生させるための圧電素子または圧電フィルムを含んでいてもよい。
【0019】
また、前記振動部の中央に、眼球方向に突出する窪みが形成されていてもよい。
【0020】
また、前記振動部には、眼球と振動部との接触の有無を検知するための静電容量センサーまたは圧力センサーが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、眼球運動を誘導するのではなく、低周波数帯域の超音波を眼球に直接送達することにより、実質的な視力回復効果を発揮する、視力回復メガネに用いられる振動部を提供することができる。
【0022】
また、眼球に送達される超音波は、眼球の緊張緩和、血流の増加及び眼球細胞の活性化を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による視力回復メガネの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、様々な変更を加えることができ、色々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示して詳細な説明において詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0025】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「備える」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0026】
別段の定義がない限り、技術的や科学的な用語を含む、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0027】
辞書に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されるべきであり、本明細書で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態についてより詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明による視力回復メガネの斜視図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明による視力回復メガネは、テンプル5と結合されるリム部10と、前記リム部10の中央部に設けられるヒンジ部20と、前記ヒンジ部20に結合されており、振動による超音波を発生させる振動部30と、前記テンプル5の一側に内蔵されるバッテリー部(図示せず)とを含む。
【0031】
リム部10は、後述する視力回復メガネの各構成要素が組み合わされる空間を提供する構成要素であり、合成樹脂製でも金属材質製でもよく、図1に示すように、両端にテンプル5がそれぞれ結合され、左右の眼部の上部が開放された半円状に設けられてもよい。
【0032】
ここで、リム部10の上部は、後述するヒンジ部20及び振動部30との結合により、振動部30を左眼側及び右眼側に移動させることができるように、開放状に設けられており、これは、本発明が左右の眼に同時に超音波を送達するのではなく、視力回復のために選択された眼球側にのみ超音波を送達するように設計されているためである。
【0033】
ヒンジ部20は、リム部10の中央部、より詳しくは左眼部と右眼部との間に設けられ、後述する振動部30がヒンジ部20と結合されることにより、ヒンジ部20を中心とした回動及び装着が実現される。
【0034】
振動部30はヒンジ部20と結合されており、振動により超音波を発生させる構成要素であり、前記振動部30を単体で設け、前記ヒンジ部20を介して前記リム部10の左眼部または右眼部に回動可能かつ装着可能になっている。
【0035】
また、リム部10の両側に振動部30を装着した後、振動部30を固定したり、振動部30の位置を変更したりするためのフックや係止部などの様々な締結/解除構成を付加することにより、振動部30の回動及び装着を実現できることは言うまでもない。
【0036】
ここで、前記振動部30は、表面に振動を発生させるための圧電素子または圧電フィルム32を含み、前記圧電素子または圧電フィルムは、バッテリー部に電気的に接続されて駆動電源の供給を受けるように構成されていてもよい。
【0037】
また、前記振動部30の中央に、眼球方向に突出する窪み部34が形成されており、これは、メガネの着用時に眼球にできるだけ近い状態で超音波を送達するためのものである。
【0038】
ここで、振動部30が発生させる超音波は、約6~12KHzの周波数を有する超音波であり、振動により前記範囲の低周波超音波を発生させ、眼球に送達することにより、眼球への物理的な損傷を防止しつつ、眼球の緊張緩和、血流の増加、及び眼球細胞の活性化に役立ち、最終的に視力の矯正や回復を実現することができる。
【0039】
さらに、前記振動部30には、眼球と振動部30との接触の有無を検知するための静電容量センサーまたは圧力センサー(図示せず)が設けられてもよい。すなわち、前記センサーを用いて振動部30と眼球とが密着しているか否かを判定してもよい。
【0040】
一方、前記テンプルの一側には、顔とメガネとの距離を検知するための赤外線距離センサ(図示せず)が設けられてもよい。
【0041】
ここで、前記各センサーを用いて、眼球と振動部30との密着の有無またはメガネと顔面との距離の検知を実現することができ、これにより、目を閉じた状態での振動部30と眼球との密着、または目を開いた状態での顔面とメガネとの近接により眼球への超音波送達を実現することができる。
【0042】
一方、前記テンプル5の一側には、他の通信端末と無線通信を行うBluetooth(登録商標)モジュール(図示せず)が設けられてもよい。
【0043】
ここで、前記Bluetoothモジュールが設けられた形態で視力回復メガネが提供される場合には、外部の通信端末と無線連動し、通信端末にインストールされたアプリを通じて視力回復スケジュール及びメガネの駆動制御を実現することができる。
【0044】
具体的には、アプリに、使用者情報、使用回数と使用日を示すスケジュール表、今回使用時に振動部30が装着される箇所を使用者に視覚的に出力可能なUIを表示することができる。
【0045】
一方、本発明による視力回復メガネには、前記テンプル5とリム部10とが接触する領域に、前記振動部30の位置及び動作状態を表示するLEDインジケータ7がさらに設けられてもよい。
【0046】
前記LEDインジケータ7は、視力回復メガネの状態(充電中、満充電、駆動中など)及び今回の使用部位を使用者に認識させるためのものであり、片側のLEDインジケータ7のみを点滅または発光するように構成されてもよい(前回左眼に使用した場合、今回は右眼側のインジケータが発光し、かつ、振動部が左眼側に装着されている場合、右眼側のインジケータが点滅して振動部の回動が必要であることを使用者に認識させることができる)
【0047】
前述の各構成要素は、いずれも前記バッテリー部と電気的に接続されて動作電源の供給を受けるように構成されてもよく、視力回復メガネの各構成要素の状態を検知して駆動制御を行う制御部(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0048】
また、本発明による視力回復メガネは、駆動時間や完了時間などの進行状況を使用者に音や振動で知らせるための通知部(図示せず)をさらに含んでもよい。例えば、メガネの駆動時間を10分に設定した場合、5分経過時点で2回弱い振動/弱い通知音、10分経過時点で2回の強い振動/強い通知音を出力することにより、メガネ使用の経過時間及び終了時間などを使用者に知らせることができる。また、メガネのバッテリー消費を最小限に抑えるために、メガネの作動終了後にメガネへの電源供給を自動的に遮断することも可能である。
【0049】
以上のように、本発明による視力回復メガネに用いられる振動部は、眼球運動を誘導するのではなく、低周波数帯域の超音波を眼球に直接送達することにより、実質的な視力回復効果を発揮する、視力回復メガネに用いられる振動部を提供することができる。
【0050】
また、眼球に送達された超音波により、眼球の緊張緩和、血流の増加及び眼球細胞の活性化を助けることができる。
【0051】
以上、本発明の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者または当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるはずである。
図1
【国際調査報告】