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特表2024-5116553次元印刷のための高強度光キュアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】3次元印刷のための高強度光キュアリング
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240307BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240307BHJP
   B29C 64/282 20170101ALI20240307BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240307BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240307BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240307BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B29C64/282
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560472
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2022017385
(87)【国際公開番号】W WO2022211928
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】17/219,863
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521473077
【氏名又は名称】マイティ ビルディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ヒープノフ,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,エヴゲーニー
(72)【発明者】
【氏名】オバック,イゴル
(72)【発明者】
【氏名】ダボフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】イワノワ,アナ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP05
4F213AP06
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL43
4F213WL67
4F213WL76
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
3D印刷システムは、押出システム、キュアリングシステム及びフィードバックシステムを含み得る。押出システムは、印刷材料源に連結される供給管と印刷される材料を押し出すノズルとを含み得る。フィードバックシステムは、プロセッサ及びセンサを含み得るもので、印刷プロセス中にキュアリングシステムの温度及び位置を検出し得る。キュアリングシステムは、押出後に印刷される材料をキュアし、取付構成に連結されるキュアリング源を含む。取付構成は曲面であり得る。キュアリング源は、それぞれノズル出口に近接して位置する焦点領域に向かって方向付けられ得るもので、結合キュアリングエネルギーを焦点領域に出射するように結合し得る。キュアリング源はLEDであり得るし、キュアリングエネルギーはUV光であり得る。キュアリングシステムは、複雑な3D物体の迅速な異動と印刷を容易にするために印刷及びキュアリング中に軸周りに回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(「3D」)印刷システムであって、
印刷材料源に連結される供給管と前記供給管に連結されるノズルであって、印刷プロセス中にノズル出口で印刷される材料を押し出すノズルとを含む押出システムと、
前記印刷された材料が前記ノズル出口から押し出された後に前記印刷された材料をキュアするキュアリングシステムであって、取付構成に連結され、全キュアリングエネルギーを前記ノズル出口に近接する焦点領域に向けて出射するように結合する複数のキュアリング源を含むキュアリングシステムと、
少なくともプロセッサ及び1以上のセンサを含み、前記印刷プロセス中に3D印刷された物体の少なくとも一部に対する前記キュアリングシステムの位置を検出するように構成されるフィードバックシステムと
を備える、
3D印刷システム。
【請求項2】
前記取付構成は曲面を含み、前記複数のキュアリング源のそれぞれは、それぞれのキュアリング源からのキュアリングエネルギーが前記焦点領域に向かって方向付けられるように前記曲面に取り付けられる、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項3】
前記3D印刷システムは、前記印刷プロセス中に前記キュアリングシステムが前記3D印刷された物体又は他の物体に衝突することを防止するために、前記フィードバックシステムにより提供される位置データを用いるように構成される、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項4】
前記フィードバックシステムは、前記焦点領域内における前記3D印刷された物体の画像を提供するように構成されるカメラをさらに含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項5】
前記フィードバックシステムは、前記焦点領域内における前記3D印刷された物体の温度分布画像を提供するように構成されるサーマルイメージングカメラをさらに含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項6】
前記複数のキュアリング源のそれぞれは、前記焦点領域に対して異なる角度に配置される、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項7】
前記複数のキュアリング源は、少なくとも40個のキュアリング源を含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項8】
前記キュアリングシステムの全体寸法は、250mm×180mm×140mm以内である、請求項7に記載の3D印刷システム。
【請求項9】
前記キュアリングエネルギーは光であり、前記複数のキュアリング源は発光ダイオードである、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項10】
前記キュアリング源の少なくとも一部の強度は調整可能である、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項11】
前記曲面は球面状である、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項12】
前記キュアリングシステムは、前記曲面に連結され、前記複数のキュアリング源の外側を取り囲む外側ハウジングをさらに含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項13】
前記外側ハウジングは、前記焦点領域を通る中心軸を中心とするC形状を形成する、請求項8に記載の3D印刷システム。
【請求項14】
前記キュアリングシステムは、前記印刷プロセス中に前記中心軸周りに回転して前記3D印刷システムの移動方向に基づいて前記押し出された印刷材料のキュアリングを改善するように構成される、請求項13に記載の3D印刷システム。
【請求項15】
前記キュアリングシステムは、ヒートシンク、1以上のファン、又は両方を含む冷却システムをさらに含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項16】
前記フィードバックシステムは、前記キュアリングシステムの温度をモニタリングするように構成される温度センサをさらに含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項17】
前記焦点領域のサイズは、前記印刷された材料の押出幅のサイズと略同一である、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項18】
3次元(「3D」)印刷プロセス中に押し出された印刷された材料をキュアするように構成されるキュアリングシステムであって、
外側ハウジングと、
前記外側ハウジングの後部に連結される取付構成と、
前記外側ハウジング内に横に収容され、それぞれが3D印刷システム全体のノズルに近接して位置する焦点領域に向かって角度を付けられるように前記取付構成に連結される複数のキュアリング源であって、前記焦点領域に向かって全キュアリングエネルギーを出射するように結合する複数のキュアリング源と
を備える、キュアリングシステム。
【請求項19】
前記キュアリングエネルギーは光であり、前記複数のキュアリング源は発光ダイオードである、請求項18に記載のキュアリングシステム。
【請求項20】
前記外側ハウジングは、前記焦点領域を通る中心軸を中心とするC形状を形成する、請求項18に記載のキュアリングシステム。
【請求項21】
前記キュアリングシステムは、前記3D印刷プロセス中に前記中心軸周りに回転するように構成される、請求項20に記載のキュアリングシステム。
【請求項22】
前記キュアリングシステムは、前記キュアリングシステムと他の物体との間の衝突を避けるために、前記3D印刷システム全体により印刷される3D印刷された物体に対するその相対位置に基づいて、その回転移動を前記3D印刷システム全体により制御させるように構成される、請求項23に記載のキュアリングシステム。
【請求項23】
前記キュアリングシステムは、
ヒートシンク、1以上のファン、又は両方を含む冷却システム
をさらに含む、請求項18に記載のキュアリングシステム。
【請求項24】
3D印刷された物体を3D印刷する方法であって、
3D印刷システムに位置し、押出開口を有するノズルに供給管を通して印刷材料を供給し、
前記ノズルの前記押出開口から前記印刷材料を押し出し、
前記印刷材料を前記ノズルから押し出して前記印刷材料の層を形成しつつ、前記ノズルを横に移動し、
前記印刷材料を前記ノズルから押し出されて前記印刷材料の層を形成した後にキュアリングシステムを用いて前記印刷材料をキュアし、前記印刷材料をキュアすることは、それぞれのキュアリング源が前記押出開口に近接して位置する焦点領域から同様の距離となるように配置され、それぞれのキュアリングエネルギーが前記焦点領域に向けて直接出射されるように角度を付けられた複数のキュアリング源からキュアリングエネルギーを方向付けることを含む、
方法。
【請求項25】
前記印刷材料をキュアしつつ、前記キュアリングシステムの方位を回転し、
前記印刷材料をキュアしつつ、前記キュアリングシステムの強度を調整する
ステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
フィードバックシステムのサーマルイメージングカメラ又は温度センサから温度データを取得するステップをさらに含み、前記キュアリングシステムの強度の調整は、前記取得された温度データに基づく、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
フィードバックシステムから前記キュアリングシステムについての位置データを取得するステップをさらに含み、前記キュアリングシステムの方位の回転は、前記キュアリングシステムが前記3D印刷された物体に衝突することを防止するために前記取得された位置データに基づく、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
すべてのステップは同時に行われる、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年3月31日に提出された米国特許出願第17/219,863号の利益を主張するものであり、当該米国特許出願は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、三次元(「3D」)印刷に関し、より詳細には移動印刷ヘッド及びキュアリングシステムを用いた大規模3D印刷に関するものである。
【0003】
背景
積層3D印刷に基づくアディティブ製造法における最近の進歩は、他にも利点がある中で、特にカスタマイズされた設計の多様化、複雑なサプライチェーンのない効率的な製造、少ない廃棄物、高度の自動化をもたらしている。そのような進歩は、比較的高速な自動3D印刷を可能にする可動印刷ヘッドを3D印刷システム内で使用することを含んでいる。特に光硬化性複合ポリマの場合に、大規模な建築3D印刷において大きな潜在能力を発揮するような層間付着力の良い様々な硬化可能ポリマが見つけられている。しかしながら、望ましい程度の速い製造速度で高品質な3D印刷物を生成するためには、十分に開発され、高速で精密な印刷材料キュアリングプロセスが必要である。
【0004】
不運なことに、既存の印刷材料キュアリングプロセスは、好ましい重合特性を有する光硬化材料を用いた場合においても、高性能大規模3D印刷に対する要求を満足することができない。例えば、3D印刷材料をキュアするために紫外(「UV」)光が用いられる場合には、2つの一般的に手頃なタイプのUV光源が存在する。ガス放電ランプは、低いパワー制御範囲、活性ガスの低密度による低輝度、比較的大きなサイズ、かなりの間接的光放射のような要因により大部分は不適なものである。発光ダイオード(「LED」)の方が良いが、これも依然として単一のLEDに対するキュアリングエネルギー量が不十分であり、複数のLEDが使用される場合には、配光及び光の拡散が非効率となるという問題を有している。さらに、複数のLEDを使用すると、配置に大きなスペースを消費し、複雑な3D物体の印刷を制限することになり得る。
【0005】
3D印刷材料をキュアリングする従来の方法はこれまで有効に機能してきたが、改良は常に有益なものである。特に、求められているものは、制御されたより高いキュアリング強度での印刷材料のより高速なキュアリングに加え、キュアリング構成要素を移動及び回転させる能力を提供する3D印刷システムであり、これにより、印刷可能な複雑な幾何学的形状を有する3D物体の種類により柔軟性を与えるとともに、そのような3D物体を印刷可能な速度により柔軟性を与えることが可能となる。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示の利点は、より高度に制御されたキュアリング強度で印刷される材料のより迅速なキュアリングとともに、複雑な3D物体を印刷するための柔軟性を提供する3D印刷システムを提供することにある。開示される特徴、装置、システム、及び方法は、印刷される材料が印刷ノズル出口から押し出された後に、3D印刷される材料を迅速かつ効率的にキュアするキュアリングシステムを含み、キュアリングシステムは、連続3D印刷プロセス中に必要に応じて簡単に移動及び回転することが可能なコンパクトで移動可能なスペースに配置される、改善された3D印刷ソリューションを提供する。これらの利点は、複数の方法により、例えばノズル出口に近接して位置する焦点領域に向かってキュアリングエネルギーを出射するように結合する複数のキュアリング源とともに、それぞれのキュアリング源から焦点領域に向かうキュアリングエネルギーの方向を固定する取付構成と、必要に応じて簡単に移動及び回転することが可能なコンパクトな構成にキュアリング源を配置するキュアリングシステムキャリッジ又はハウジングとを含めることにより実現することができる。
【0007】
本開示の様々な実施形態においては、3D印刷システムは、押出システム、キュアリングシステム、及びフィードバックシステムを含み得る。上記押出システムは、印刷材料源に連結される供給管と上記供給管に連結されるノズルを含み得る。上記ノズルは、印刷プロセス中にノズル出口で印刷される材料を押し出し得る。上記キュアリングシステムは、上記印刷された材料が上記ノズル出口から押し出された後に上記印刷された材料をキュアし得る。上記キュアリングシステムは、取付構成に連結される複数のキュアリング源を含み得る。上記複数のキュアリング源は、全キュアリングエネルギーを上記ノズル出口に近接する焦点領域に向けて出射するように結合し得る。上記フィードバックシステムは、少なくともプロセッサ及び1以上のセンサを含み得る。上記フィードバックシステムは、上記印刷プロセス中に3D印刷された物体の少なくとも一部に対する上記キュアリングシステムの位置を検出するように構成され得る。
【0008】
様々な詳細な実施形態においては、上記取付構成は、球面状であり得る曲面を含み得る。上記複数のキュアリング源のそれぞれは、それぞれのキュアリング源からのキュアリングエネルギーが上記焦点領域に向かって方向付けられるように上記曲面に取り付けられ得る。上記3D印刷システムは、上記印刷プロセス中に上記キュアリングシステムが上記3D印刷された物体又は他の物体に衝突することを防止するために、上記フィードバックシステムにより提供される位置データを用いるように構成され得る。上記フィードバックシステムは、上記焦点領域内における上記3D印刷された物体の画像を提供するように構成されるカメラ、上記焦点領域内における上記3D印刷された物体の温度分布画像を提供するように構成されるサーマルイメージングカメラ、又は両方を含み得る。上記複数のキュアリング源のそれぞれは、上記焦点領域に対して異なる角度に配置され得る。上記複数のキュアリング源は、少なくとも40個のキュアリング源を含み得る。上記キュアリングシステムの全体寸法は、250mm×180mm×140mm以内であり得る。
【0009】
様々な詳細な実施形態においては、上記キュアリングエネルギーはUV光のような光であり得る。上記複数のキュアリング源は発光ダイオードであり得る。上記キュアリング源の少なくとも一部の強度は調整可能であり得る。また、上記キュアリングシステムは、上記曲面に連結され、上記複数のキュアリング源の外側を取り囲む外側ハウジングを含み得る。この外側ハウジングは、上記焦点領域を通る中心軸を中心とするC形状を形成し得る。上記キュアリングシステムは、上記印刷プロセス中に上記中心軸周りに回転して上記3D印刷システムの移動方向に基づいて上記押し出された印刷材料のキュアリングを改善するように構成され得る。上記キュアリングシステムは、ヒートシンク、1以上のファン、又は両方を含む冷却システムとともに、上記キュアリングシステムの温度をモニタリングするように構成される温度センサをさらに含み得る。様々な構成においては、上記焦点領域のサイズは、上記印刷された材料の押出幅のサイズと略同一であり得る。
【0010】
本開示の様々なさらなる実施形態においては、3D印刷プロセス中に押し出された印刷された材料をキュアするように構成されるキュアリングシステムは、外側ハウジングと、上記外側ハウジングの後部に連結される取付構成と、上記外側ハウジング内に横に収容され、それぞれが3D印刷システム全体のノズルに近接して位置する焦点領域に向かって角度を付けられるように上記取付構成に連結される複数のキュアリング源とを含み得る。上記取付構成は曲面を含み得る。上記複数のキュアリング源は、上記焦点領域に向かって全キュアリングエネルギーを出射するように結合し得る。再び、上記キュアリングエネルギーは光であり得る。上記複数のキュアリング源は発光ダイオードであり得る。上記外側ハウジングは、上記焦点領域を通る中心軸を中心とするC形状を形成し得る。上記キュアリングシステムは、上記3D印刷プロセス中に上記中心軸周りに回転するように構成され得る。上記キュアリングシステムは、上記キュアリングシステムと他の物体との間の衝突を避けるために、上記3D印刷システム全体により印刷される3D印刷された物体に対するその相対位置に基づいて、その回転移動を上記3D印刷システム全体により制御させるように構成され得る。また、上記キュアリングシステムは、ヒートシンク、1以上のファン、又は両方を含む冷却システムを含み得る。
【0011】
本開示のさらなる実施形態においては、3D印刷される物体を3D印刷する様々な方法が提供される。関係するプロセスステップは、3D印刷システムに位置し、押出開口を有するノズルに供給管を通して印刷材料を供給し、上記ノズルの上記押出開口から上記印刷材料を押し出し、上記印刷材料を上記ノズルから押し出して上記印刷材料の層を形成しつつ、上記ノズルを横に移動し、上記印刷材料を上記ノズルから押し出して上記印刷材料の層を形成した後にキュアリングシステムを用いて上記印刷材料をキュアすることを含み得る。上記印刷材料をキュアすることは、それぞれのキュアリング源が上記押出開口に近接して位置する焦点領域から同様の距離となるように配置され、それぞれのキュアリングエネルギーが上記焦点領域に向けて直接出射されるように角度を付けられた複数のキュアリング源からキュアリングエネルギーを方向付けることを含み得る。
【0012】
付加的なプロセスステップは、上記印刷材料をキュアしつつ、上記キュアリングシステムの方位を回転するとともに、上記印刷材料をキュアしつつ、上記キュアリングシステムの強度を調整することを含み得る。他のプロセスステップは、フィードバックシステムのサーマルイメージングカメラ又は温度センサから温度データを取得することを含み得る。上記キュアリングシステムの強度の調整は、上記取得された温度データに基づく。他のプロセスステップは、上記キュアリングシステムについての位置データを取得することを含み得る。上記キュアリングシステムの方位の回転は、上記キュアリングシステムが上記3D印刷された物体に衝突することを防止するために上記取得された位置データに基づいている。様々な構成においては、一部又はすべてのステップは同時に行われ得る。
【0013】
本開示の他の装置、方法、特徴、及び利点は、以下の図及び詳細な説明を検討すれば、当業者に明らかであるか、明らかになるであろう。そのような付加的な装置、方法、特徴及び利点のすべてはこの説明の中に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付した特許請求の範囲により保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な説明
含められる図面は、説明のためのものであり、開示された調整可能な高強度キュアリングシステムを用いて3D印刷を行うための装置、システム及び方法について考えられる構造及び構成の例を提供するためだけの役割を有する。これらの図面は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者により本開示に対してなし得る形態及び詳細における変更をいかなる方法によっても制限するものではない。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態に係る3D印刷システム例を正面斜視図で示すものである。
【0016】
図2は、本開示の一実施形態による3D印刷システムの例示の供給管、ノズル、及びキュアリングシステムを側方斜視図で示すものである。
【0017】
図3は、本開示の一実施形態に係る調整可能なキュアリングシステムを含む3D印刷の例示の方法のフローチャートを示すものである。
【0018】
図4は、曲率半径が変化している面に取り付けられた9個の別々の光源からの一連の光分布を示すものである。
【0019】
図5は、本開示の一実施形態によるキュアリングシステム例を下方斜視図で示すものである。
【0020】
図6は、本開示の一実施形態による図5のキュアリングシステム例を底面図で示すものである。
【0021】
図7は、本開示の一実施形態による図5のキュアリングシステム例の光伝搬例を下方斜視図で示すものである。
【0022】
図8は、本開示の一実施形態によるキュアリングシステムの曲面例を後方断面図で示すものである。
【0023】
図9は、本開示の一実施形態による図5のキュアリングシステム例を側断面図で示すものである。
【0024】
図10は、本開示の一実施形態によるキュアリングシステムの例示の光源及び関連する集束要素を側断面図で示すものである。
【0025】
図11Aは、本開示の一実施形態による図10の例示の光源及び関連する集束要素を分解斜視図で示すものである。
【0026】
図11Bは、本開示の一実施形態による図10の例示の光源及び関連する集束要素を分解斜視部分破断図で示すものである。
【0027】
図12は、本開示の一実施形態による図5のキュアリングシステムの光分布及び強度のグラフを示すものである。
【0028】
図13は、本開示の一実施形態による調整可能な高強度光キュアリングシステムを伴う、建物構成要素を3D印刷する詳細な方法例のフローチャートを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本開示による装置、システム、及び方法の例示的な使用方法がこのセクションで説明される。これらの例は、背景情報を付け加えたり本開示の理解を助けたりするためだけに提供されている。したがって、本開示がここに記されたそれらの具体的詳細のいくつか又はすべてがなくとも実行しうるものであることは、当業者には明白であろう。いくつかの例においては、本開示を不必要に曖昧なものとするのを避けるため、よく知られた加工ステップは詳細には説明していない。以下で述べる例示は限定されたものとして捉えられるべきではなく、他の応用例も実現可能である。以下の詳細な説明においては、明細書の一部をなし、明細書中で本開示の具体的な実施形態の例として示されている添付の図面に言及される。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することができるように十分詳細に説明されているが、これらの例示は限定されたものでなく、他の実施形態が用いられてもよいし、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく変更が加えられうることが理解される。
【0030】
本開示は、様々な実施形態において、複雑な3D印刷された物体の迅速な生成を促進する迅速かつ柔軟な高強度キュアリングシステムを用いる3D印刷のための特徴、装置、システム、及び方法に関するものである。開示されている実施形態は、それらの印刷システムのための特別な3D印刷システム及び特別なキュアリングシステムとともに、3D印刷及びキュアリングシステムを用いる方法を含み得る。特に、開示されている実施形態は、比較的小さな焦点領域に結合キュアリングエネルギーを集束するように調整された複数のキュアリング源を有するキュアリングシステムとともに、印刷プロセス中にその回転方位とそのキュアリング強度を調整することが可能なキュアリングシステムを用いることを含み得る。
【0031】
様々な実施形態においては、開示されているキュアリングシステムは、キュアリング源としてUV光及びキュアリングエネルギーとしてUV光を利用することを含み得る。しかしながら、開示されているキュアリングシステムは、代替的に、他の種類の光又はキュアリング源及び他の形態のキュアリングエネルギーを用いることができることは理解されよう。例えば、熱、化学反応プロセス、又はUVスペクトルの外側の光を用いて印刷材料をキュアしてもよく、そのような代替的なキュアリング源及びキュアリングエネルギーを提供するための構成要素が、本明細書に例示のUV光キュアリング源及びキュアリングエネルギーに関して開示されているものと同様の方法で配置及び制御されていてもよい。
【0032】
本明細書に開示されている例示のUV光キュアリング源及びエネルギーに関して、UV投光量は、3D印刷される部分の光硬化可能な材料の固化及び最終性能に影響を与える顕著なパラメータである。投光量は、光の強度に露光時間を乗算したものである。UV光の強度を調整することにより、与えられた印刷パラメータセットに対して所望の印刷速度及び結果を実現することができる。3D印刷される部分のそれぞれの単一部分のUV投光量は、使用されている印刷材料のキュアリングの必要量を次第に実現するために注意深く制御され得る。様々な構成においては、複雑な3D印刷される物体の印刷及びキュアリングを微細に制御するためにキュアリングシステムの複数のパスを使用することができる。さらに、様々な3D印刷される物体の異なる部分は、キュアリングシステムの異なるパスから光を吸収することができ、その結果、幅広い範囲の可変パワー及び強度を有する複数のUV光源を含むキュアリングシステムを使用することができる。
【0033】
最近のUV LEDのパワーは、広い範囲にわたって供給電流によって簡単に制御できる。さらに、UV LEDは、平方センチメートル当たり20ワットまでの高輝度を有することができ、コンパクトな空間にUV LEDを集めることで数百ワットまで光パワーを増加させることが可能になる。加えて、UV LEDのエネルギー変換効率は、比較的高く、約50%となり得る。これにより、他のキュアリング源と比較すると同じレベルの光パワーによる電力消費が低くなる。また、UV LEDは、狭い光スペクトル(すなわち幅15nm未満)を有しており、これは、良く吸収する波長ですべての光パワーを伝搬することにより高い重合効率を提供する。LEDランプの放射はすべての方向に向かうが、LEDからの光は、約50~150度の開度の直接分布を有する。したがって、UV LEDの使用は、本明細書に開示される様々なキュアリングシステムに非常に好適であることがわかった。
【0034】
UV硬化可能な複合物の3D印刷は、幅が数センチメートルになり得る押し出された光硬化可能材料の固化を通じて行うことができる。このため、印刷材料がノズル又は他の印刷構成要素から押し出されるときに、印刷材料の押出幅にほぼ等しい直径を有するスポット又は「焦点領域」にキュアリングUV光を集束することが好ましい。単一のLEDは十分に強い光を提供するものではなく、LEDのアレイは所望のキュアリングパワーを十分に満足する程度に集束された結合光を提供するものではないので、開示されている実施形態は、これらの問題を解消するためのいくつかの特徴を提供するものである。特に、開示されているキュアリングシステムにおけるそれぞれの個々のLEDは、その光の広がりを小さくするように設計される集束構成を有し得る。すべてのLEDは、それらの出射光がすべて同一の焦点領域に向かって方向付けられるように配置され得る。これは、例えば、すべてのLEDからの光ビームが同一のスポット又は焦点領域に向かって集束されるようにLEDを曲面上に取り付ける、あるいは連結することにより実現され得る。
【0035】
加えて、キュアリングシステム全体は、横方向に移動可能かつ回転可能なコンパクトな空間に複数のキュアリング源(例えばLED)を集めるための独特な形状を形成し得る。これにより、水平方向の迅速な積層3D印刷及びキュアリングが容易になるとともに、角度のある非水平の(すなわち垂直に対してある角度でスライスされる)3D印刷が可能となる。
【0036】
様々な実施形態においては、開示されている3D印刷及びキュアリングシステムは、家屋及び壁、壁パネル、屋根、床などの様々な家屋の部品を印刷するための建築産業において利用され得る。3D印刷システムの印刷ヘッドは、XY平面、YZ平面、XZ平面のそれぞれ及びこれらを任意に組み合わせた平面に加え、球面及びこれらの平面及び他の平面と角度をなす平面内で印刷層を堆積することができる。3D印刷プロセス中にキュアリングシステムの強度及び回転方位を変更できることにより、例えば天井や床などのヒンジ付き構造を迅速に印刷及びキュアすることが可能になり、例えば枠への印刷や梁の周囲での印刷のように障害物があってもなくても任意の表面に層を印刷及びキュアすることが可能になり、また、双曲面のような複雑な幾何形状及び構成を有する物体を印刷及びキュアすることが可能になる。
【0037】
開示されている実施形態によって提供される多くの利点は、床から天井までの建物構造を生成し、建物の構造枠の周囲を印刷し、建物構造又は建物構造要素の複雑な充填部を印刷し、双曲面構造のような軽量で耐久性のある複雑な構造を印刷する3D印刷の独特な製造方法を可能にする。印刷材料が押し出されるか「印刷」された直後に印刷材料を迅速にキュアすることによってより高速な積層印刷が可能になる。そのような迅速なキュアリングは、すべてが同一の焦点領域に向かって方向付けられるキュアリングエネルギーを有する複数のキュアリング源(例えばUV LED)の独特な配置とともに、複雑な3D物体を形成する印刷層を迅速に印刷及びキュアするために必要に応じてキュアリングシステム全体の横移動及び回転移動を可能にする集合的な配置の独特な形状によって促進される。これらの利点及び他の利点は、効率、労働コスト削減、自動化レベルにおける高品質及び正確性の点で、建物及びその部品の従来の3D印刷プロセスに対して著しい改良を提供するものである。開示されている技術を利用して様々なデザインが印刷され得る。
【0038】
開示される実施形態の特徴は、押出システム、キュアリングシステム、位置決めシステム、及びフィードバックシステムを含んでおり、これらのそれぞれ自体が、自らの独特で利点のある構成要素を有する。押出システムは、分配又は分割供給管に加えて、印刷プロセス中に調整可能な印刷角度で印刷材料を押し出すノズルを含み得る。キュアリングシステムは、ノズルの印刷角度との関係において光又は他のキュアリング媒体を調整可能な角度で集束することができるキュアリング構成要素を含み得る。位置決めシステムは、押出システムが取り付けられるプラットフォームとともに、押出システムの印刷角度に加え、キュアリングシステムのキュアリング角度を調整するプラットフォームを回転可能なプラットフォーム回転サブシステムを含み得る。フィードバックシステムは、組み合わせて3D印刷システムの様々な構成要素の位置とキュアリングシステムのキュアリングレベルを検出することができ、このため自動印刷プロセスを調整することができる、プロセッサ、1以上のセンサ、及び1以上のカメラを含み得る。
【0039】
本明細書に開示されている様々な実施形態は、建物と建物構成要素に関する3D印刷について述べているが、開示されている特徴、装置、システム、及び方法は、関連する種類の3D印刷及び3D印刷される物体に対しても同様に使用できることは容易に理解できよう。例えば、開示されているシステム及び方法は、建物の建設に使用されない模型、像、及び他の物を3D印刷するために使用することができる。図示された実施形態以外の他の用途、配置、及び推測も考えることができる。
【0040】
まず図1を参照すると、3D印刷システム例が正面斜視図で示されている。3D印刷システム100は、押出システム120、キュアリングシステム140、位置決めシステム160、及びフィードバックシステム180を含み得る。ある実施形態においては、これらの構成要素のそれぞれを、ガントリシステム104に連結可能な可動印刷ヘッド102に含めることができる。当業者によって容易に理解されるように、ガントリシステム104は、3D印刷プロセス中に印刷ヘッド102を様々な方向に移動させることを可能にするように構成され得る。様々な実施形態においては、これらのシステムの一部の構成要素が、可動印刷ヘッド102とは別の場所に位置していてもよい。例えば、フィードバックシステム180の1以上のプロセッサが、印刷ヘッド102の外部に位置していてもよい。
【0041】
押出システム120は、供給ホースからその後そこで材料が印刷されるノズルへの印刷材料の供給を行う様々なサブシステム及び構成要素を含み得る。キュアリングシステム140は、例えば光学キュアリングシステムであってもよく、印刷された材料のキュアリングを行う様々なサブシステム及び構成要素を含み得る。ある実施形態においては、印刷される材料は、光活性型材料であってもよく、キュアリング構成要素は、200nmから1000nmの間の1以上の波長でこの光活性型材料上に光を集束して、3D印刷動作中に印刷された材料を固化することができる。容易に理解できるように、正確な波長は、使用される正確な印刷ポリマ又は他の材料に依存し得る。位置決めシステム160は、3D印刷動作中に押出システム120及び/又はキュアリングシステム140に対してX軸、Y軸、及びZ軸に関して所望の方向及び向きを提供する様々なサブシステム及び構成要素を含み得る。フィードバックシステム180は、3D印刷動作中に他のシステムが結束して動作及び相互作用すること(これを完全に自動化することができる)を可能にする正確かつ広範囲にわたる情報を提供する様々なサブシステム及び構成要素を含み得る。
【0042】
適用可能な押出システムは、他の構成要素が考えられる中で特にソースカプラ、供給管の第1の部分、供給管の第2の部分、ノズル、ノズルカプラ、及び保護スカート(これらに限られるものではない)のような様々な構成要素を含み得る。ソースカプラは、3D印刷システムの印刷材料源と供給管との間の適切な接続を提供することができ、供給管は、その一方又は双方が全体の押出システムから取り外して交換可能な第1の部分と第2の部分とを含み得る。ノズルは、印刷材料源から供給管を通ってきた印刷材料を押し出すために供給管の端部に連結され得る。様々な構成においては、ノズルは、印刷材料及び印刷材料を構成する他の材料に対して化学的に耐性を有し得るものであり、例えばキュアリングシステムから出射される光又は他のキュアリングエネルギーに対して放射耐性を有することにより、キュアリングシステムの作用に対しても耐性を有し得る。ノズルは縦軸を有し得る。印刷プロセス中に3D印刷物体の少なくとも一部を形成するために印刷材料が印刷角度で縦軸に沿って押し出される。保護スカートは、押出の直後に印刷材料のキュアリングがノズルで直接生じることを避けるために、ノズルの押出開口の近傍に位置し得る。特に、保護スカートは、印刷材料がキュアリングシステムから押し出されているときに印刷材料を遮蔽することができる。キュアリングシステムは、3D印刷プロセス中にノズルの移動に追従するように印刷ヘッドに連結され得る。調整可能な印刷角度を用いる印刷ヘッドを使用する3D印刷のさらなる詳細は、「調整可能な印刷角度を用いる3次元印刷ヘッド」という表題の米国特許出願第__/___,___において提供されている。当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
様々な実施形態においては、印刷材料がノズルから押し出され、保護スカートにより提供される遮蔽領域を出た後に印刷材料をキュアするためにキュアリングシステムを使用することができる。そのようなキュアリングシステムは光学キュアリングシステムであり得るが、例えば熱又は化学反応キュアリングシステムのような他の種類の印刷材料キュアリングも使用することができる。光学キュアリングシステムは、例えばLEDのような任意の好適な種類の複数の光源を含み得る。レーザダイオードのような任意の種類のLEDを用いることができ、LEDの数も2から10,000以上の間で可変であり得る。印刷材料の層をより良くキュアリングするために、光源の数を増やしてもよい。また、発光サブシステムは、少なくとも1つの電子ユニット上に設置されたレーザエミッタにより提示される複数の光源を含んでいてもよい。上述したように、UV LEDが特に効果的であるとわかっているが、他の種類のLEDも使用可能であることは理解されよう。
【0044】
様々な構成においては、より良い光キュアリング性能のためのモジュールに光源を組み込んでもよい。光源モジュールの数は変化し得るものであり、所与の用途のための所望の3D印刷パラメータに依存し得るものである。例えば、急速に重合された複合物が印刷材料内に使用されている場合には、堆積された印刷材料層を上部からキュアリングする光源モジュールを1つだけ有することが十分であり得る。反対に、ゆっくりと重合可能な複合物が印刷材料内に使用されている場合には、1以上の付加的なモジュールを用いて堆積した後でさえ、印刷された層を事後的にキュアすることが有用であり得る。そのような付加的な光源モジュールは、ノズルに対してある角度で配置され得る。このように、印刷ヘッドが印刷された材料層を積層したときと全く同じ点に次回戻って通過するときに毎回、複数の層を通した事後的なキュアリングを行うことができる。
【0045】
光重合プロセスの効率を向上させるために、好適な3D印刷光学キュアリングシステムは、2つの接続及び調整されたサブシステム、すなわち、光重合可能な材料の光キュアリングを行う発光サブシステムと、発光サブシステムに発された光を集束する集光サブシステムとを含むことができる。集光サブシステムは、複雑な3D印刷構造又は物体のすべての部分に対して光キュアリング露光時間及び光パワーが等しくなるように3D印刷された層の光キュアリングを調整するために、光出力方向を調整することが望ましいと考えられる場合に、複雑な構造を印刷するために使用され得る。
【0046】
様々な構成においては、キュアリング光源の波長は約200nmから1000nmの間で変化し得るが、他の範囲も考えられ、様々なキュアリング光源は、例えば、天井、床、内壁、外壁、充填領域、湾曲領域、又はこれらの任意の部分のようなその構造又は物体の種類に特有の正確な所望の特性を有する構造又は物体を印刷するために幅広い範囲の化学システムを提供することができる。複数の異なる光源又は複数の光源を有するキュアリングモジュールを1つのキュアリングシステム内に有することにより、3D印刷構造の品質を所望の3D印刷パラメータに応じて制御することができる。集光サブシステムを使用することにより、層堆積スポットに変化するレベルで光パワーを集中させることができ、これによりプロセスの効率及び印刷速度を上げることができる。
【0047】
図2は、本開示の一実施形態による3D印刷システムの例示の供給管、ノズル、及びキュアリングシステムを側方斜視図で示すものである。供給管124は、印刷材料をノズル128に供給することができ、その後、ノズル128は、容易に理解できるように、印刷テーブル103又は他の好適な境界において層101に印刷材料を印刷する。キュアリングシステム140は、キュアリングエネルギー(例えばUV光)をノズル128の出口に近接する焦点領域に向けることができるように、供給管124の近くに配置され得る。これらの構成要素が印刷中に移動する際に、キュアリングシステム140が供給管124及びノズル128とともに移動するように、キュアリングシステム140が印刷ヘッド全体の一部であってもよい。
【0048】
上述した利点の中でも、開示されているキュアリングシステムを、調整された角度で自動的に印刷材料を印刷するために使用される3D印刷システム全体の一部として使用することができる。調整された角度で印刷することにより、ヒンジ構造だけでなく複雑な湾曲した形状の構造(例えば天井や床など)を高速かつ連続的に印刷することが可能となる。また、調整された角度で印刷することは、キュアリングシステムに付加的な要求を課すものである。例えば、キュアリングシステムが、3Dプリンタの移動する印刷ヘッド又はその近くに有利に位置している場合、キュアリングシステムが過度に印刷ヘッドの移動を制限するほど過度に大きくする、あるいは嵩張るようにすることができない。このため、キュアリングシステムは、ノズル128と印刷テーブル103との間の利用可能な領域により制限された形状及び形態を有している必要がある。
【0049】
したがって、キュアリングシステム140は、複数のキュアリング源(例えばUV LED)を比較的小さいスペースにコンパクト化することを可能にする独特な形状を有し得る。そのような独特な形状は、例えばC形状であり得る。そのさらなる詳細は、図5図7及び付随する説明を参照して以下で提供される。これらの構成要素が印刷中にすべて一緒に横に移動するように供給管124及びノズル128の近くでキュアリングシステム140をコンパクト化するC形状又は他の形状を有することに加えて、キュアリングシステム140は、供給管124及びノズル128又はこれらの近傍で軸周りに回転するようにも構成され得る。このため、キュアリングシステム140のすべての構成要素は、印刷中に印刷ヘッドの移動経路にも追随しつつ、ノズル及び供給管により規定される軸の周りでユニット全体として回転することができる。例えば、回転の範囲及び回転するキュアリングシステム140のために必要とされる間隙空間は、図2において円錐129により表され得る。円錐の頂点はノズル出口に位置している。キュアリングシステム140の形状及び回転能力は、キュアリングシステム140(及び印刷ヘッドのすべて)が印刷中に印刷された材料及び他の物体を避けることを可能にしつつ、連続印刷中における印刷角度に対する調整を可能にする。
【0050】
次に図3に移ると、調整可能な高強度キュアリングシステムを含む3D印刷の例示の方法のフローチャートが提供されている。方法300は高レベルな方法であり得るのであって、1以上のステップを省略でき、さらに/あるいは他のステップを追加できることは容易に理解できるであろう。例えば、3D印刷プロセス中に印刷角度を調整するステップを含めることができる。さらに、様々なステップを異なる順序で行うことができ、一部のステップを同時に行うことができる。例えば、連続3D印刷プロセス中にステップ304~310のすべてを同時に行うことができる。図13に記載される詳細な方法に関して、さらに詳細なステップ及び説明が以下で提供される。
【0051】
開始ステップ302の後、第1のプロセスステップ304は、ノズルから印刷材料を押し出すことを含み得る。これは、印刷材料源から印刷材料を印刷ヘッドに供給した後、印刷ヘッドに位置するノズルから印刷材料を押し出すことを含み得る。
【0052】
次のプロセスステップ306では、印刷ヘッドを横に移動させることができる。これは、ノズルの移動を伴い得るものであり、ノズルは、印刷ヘッドに取り付けられるか、あるいは連結され、その結果、印刷ヘッドを移動させるとノズルが移動する。移動は、XY平面、YZ平面、及びXZ平面内だけ又はそのうちのより多くの中であってもよく、あるいは任意の組み合わせであり得る。また、キュアリングシステムが印刷ヘッドに連結されている場合のような一部の構成においては、印刷ヘッドを移動させると、キュアリングシステムも移動し得る。
【0053】
次のプロセスステップ308では、押し出された印刷材料がキュアされ得る。これは、光学キュアリング、熱キュアリング、又は他の好適な印刷材料キュアリング手法を含み得る。様々な構成においては、ノズルから押し出された後まもなくして印刷材料をキュアすることができる。例えば、キュアリングシステムがノズルに追従し、印刷材料がノズルから押し出された直後に印刷材料をキュアするようにキュアリングシステムを印刷ヘッドに配置することができる。ノズルでの遮蔽構成は、ノズル自体で印刷材料がキュアされることを防止することができ、その結果、押し出されたばかりの印刷材料からノズルが離れていった直後にキュアリングのみが行われる。
【0054】
次のプロセスステップ310では、キュアリングシステムの向きが回転され得る。これにより、キュアリングシステムが印刷している物体又は他の障害物に接触しないようにキュアリングシステムの回転位置を変えることができる。再び、すべてのステップを同時にかつ自動で行うことができ、その結果、新しい印刷材料がノズルから押し出され続けつつ、以前に押し出された印刷材料上でキュアリングが起こる。また、システム全体が、その現在の移動経路における潜在的な物体に関してキュアリングシステムの現在の回転位置が問題であることを把握又は検出している場合などでは、印刷材料を押し出し、印刷ヘッドを移動し、押し出された印刷材料をキュアしつつ、キュアリングシステムの回転が起こり得る。プロセスを続けることにより、キュアリングシステムの向きが回転される前、回転されている間、及び回転された後における連続印刷が可能となる。したがって、建物、建物構成要素、又は他の物体の3D印刷が完了するまで、あるいは、所望の段階が完了するまで、必要とされる限りにおいてすべてのステップが繰り返され得る。その後、本方法は、終了ステップ212で終了する。
【0055】
ここで、図4に移ると、曲率半径が変化している面に取り付けられた9個の別々の光源からの一連の光分布が示されている。開示されているキュアリングシステムの独特な形状、コンパクトな性質、及び回転能力は、3D印刷システム全体に多くの利点を提供するものであるが、キュアリングエネルギー(例えばUV光)を広すぎる領域にわたって配光するので印刷された材料を迅速にキュアリングすることに対して効果的にならないという、複数のキュアリング源(例えばUV LED)を用いることによる問題が依然として存在し得る。光分布画像400,402,404,406は、9個の別々の光源(すなわちキュアリング源)からの光に基づいて光を集束することに対して曲面が与える影響を示している。画像400~406は、光源から200mm離れた印刷平面における数値シミュレーションにより得られた光分布を示している。
【0056】
画像400は、平面上に互いに100mmの距離で9個の光源を配置することに対応する光分布を示している。理解できるように、光分布が広がる領域が大きすぎるので、少量の印刷材料を迅速にキュアリングすることにおいて効果的ではない。画像402は、約575mmの曲率半径を有する曲面上に9個の光源を配置することに対応しており、より凝集した光分布となっている。画像404は、約292mmの曲率半径を有する曲面上に9個の光源を配置することに対応しており、予想印刷平面上の光点がより小さくなっている。画像406は、約200mmの面曲率半径を有する曲面上に9個の光源を配置することに対応しており、光ビームが予想印刷平面における同一点又は「焦点領域」に向けられた際に光点が非常に小さくなっている。
【0057】
そして、本開示のキュアリングシステムにおいてこのアプローチを使用することができ、その結果、キュアリング源(例えばUV LED)を印刷平面までの距離に等しい曲率を有する曲面に取り付けるか、あるいは配置して、すべてのキュアリング源からのキュアリングエネルギーを例えばおよそ数センチメートルの直径の単一の焦点領域に集束することができる。その結果として、開示されているキュアリングシステムは、そのような焦点領域において(例えば200Wまでの)幅広い範囲のキュアリングパワーと(例えば0.1から2.5W/cm2までの)キュアリング強度とを提供することができ、これは、高速で3D印刷及びキュアリングを行う高い性能を得るのに十分である。
【0058】
図5に続けると、本開示の一実施形態によるキュアリングシステム例が下方斜視図で示されている。キュアリングシステム140は、複数のキュアリング源150を取り囲む外側ハウジング141を含む高強度キュアリングシステムであり得る。上述したように、外側ハウジング141は、外周周りにC字状になっていてもよく、キュアリング源150は、例えばUV LEDであり得る。キュアリング源150のそれぞれは、(図6図8、及び図9に示されるような)曲面に取り付けられるか、あるいは連結され得るもので、その結果、これらはすべて(図7に示されるように)焦点領域に向けられている。また、キュアリングシステム140は、他の様々な構成要素がある中でも、特にヒートシンク142、1以上のファン143、カバーガラス144、ガスケット145、及びベースプレート146を含み得る。
【0059】
図6は、図5のキュアリングシステム例を底面図で示すものである。キュアリング源150は、曲面147に取り付けられるか、あるいは連結され得る。曲面147は、ベースプレート146に連結されるか、あるいは取り付けられる。また、キュアリング源150及び曲面147は、その外周の周りが外側ハウジング141に収容され得る。再び、外側ハウジング141はC字状であり得る。その結果、キュアリング源150のすべてが軸周りに回転可能でもあるコンパクトな空間内に収容され得る。例えば、キュアリングシステム140の回転は、点103を通り図6の紙面に垂直な軸を中心とするものであり得る。様々な実施形態においては、焦点領域は、これと同じ軸に沿って位置し得る。上述したように、任意の数のキュアリング源150、例えば2個~1000個のキュアリング源を使用することができる。この説明のために開示されているキュアリングシステム140の実施形態においては、42個のUV LEDがキュアリング源150として使用され得る。これよりも多くのLED又はこれよりも少ないLEDを効果的に用いることができ、これらのLED及び/又は他のキュアリング源を用いて別の集合的な形状又は構成を形成することができる。
【0060】
様々な実施形態においては、それぞれのキュアリング源150が同一の焦点領域の方向に直接向くようにUV LED又は他のキュアリング源150のそれぞれの背面が曲面147に取り付けられ得る。曲面は、球面状であるか、実際上球面に近いものであり得る。その結果、それぞれのキュアリング源150と焦点領域との間の距離が同一になるかほぼ同一になる。別の構成においては、個々のキュアリング源150の一部又はすべてを同一の焦点領域に向くように方向付けるために他の連結又は取付構成要素を使用することができる。例えば、キュアリング源150のすべてを所望の固定角度で与えられた焦点領域から所望の距離に適切に保持するために固定サスペンション格子を用いることができる。
【0061】
図7に続けると、図5のキュアリングシステム例の光伝搬例が下方斜視図で示されている。ここでは、キュアリングシステム140が動作しているように描かれており、様々なUV LEDのそれぞれからUV光(すなわちキュアリングエネルギー)が出射されている。図示されているように、UV光ビーム158はそれぞれのUV LED150から延び、UV LED150は、すべて焦点159aに収束する光ビーム158となるように方向付けられている。焦点159aは、すべての光ビーム158が交差する点であり得るもので、LEDが取り付けられる曲面が球面である場合の球の中心と一致し得る。ある構成においては、典型的なUV LEDからのそれぞれの光ビーム158の開度は、約50~150度の範囲であり得る。しかしながら、光ビーム開度は、以下で述べるように、それぞれのUV LEDにおいて放物面反射器又は他の集束構成を用いることで約8~30度に小さくすることができる。
【0062】
説明のために、それぞれの光ビームの開度は、通常、約135度であり得る。この開度は、集束構成を適用した後に約20度狭くすることができる。それぞれのUV LED(すなわちキュアリング源)は、曲面に取り付けられるか、あるいは他のUV LEDの近傍に配置及び方向付けられ、すべてのUV LEDがUV光を同一の焦点152に出射し得る。UV LEDの光ビーム開度を小さくすると、すべてのUV LEDからのUV光のほとんど又はすべてが比較的小さな焦点領域159b上に投影される。光強度(例えばキュアリングエネルギー)が結合されて2.5W/cm2を超える合計光強度と約200Wの合計光パワーとを提供する。これは、すべて小さな焦点領域159b内に含められる。様々な実施形態においては、この焦点領域159bは、印刷ヘッドの横方向の移動を考慮したノズル型出口の直後のように、3D印刷システム全体のノズル出口に近接し得る。
【0063】
再び、キュアリング源を方向付けて取り付けるために曲面を使用することは、キュアリング源のキュアリングエネルギーを与えられた焦点領域に集束するための数多くの方法のうちの1つに過ぎない。図8は、キュアリングシステム用のそのような曲面の一例を後方断面図で示すものである。様々な実施形態においては、曲面147は、約200mmの曲率半径を有する球面であり得る。その結果、すべてのUV LED(すなわちキュアリング源)からのUV光(すなわちキュアリングエネルギー)は、それぞれのLEDから200mm離れた球の中心と同一の点に向けられる。1以上の座148が曲面147上に提供され得る。これらの座は、LEDを取り付けるのに好適な平坦な領域を形成し得る。ある構成においては、曲面147の厚さは約1~50mmで変化し得る。ある実施形態においては、キュアリングシステム140全体の構成に示されている42個までのUV LEDを取り付けるために42個までの平坦な座148が使用され得る。ある構成においては、縁149が外側ハウジング141の外側領域から下方に延びていてもよい。
【0064】
図9に続けると、図5のキュアリングシステム例の様々なさらなる構成要素が破断側断面図で示されている。キュアリングシステム140は、外側ハウジング141の周囲で外側ハウジング141から延びる縁149を含み得る。縁149は、例えば2~50mmの高さを有し得るものであり、カバーガラス110を支持するために使用され得る。カバーガラス110は、キュアリングシステム140内に含められる様々なUV LEDからの高強度キュアリング光デバイス照射の透過を促進するために透明又は半透明であり得るもので、塵から保護するためにすべてのLEDを完全に覆うことができる。カバーガラス110と縁149との間の密閉された連結を促進するためにガスケット111を使用することができる。
【0065】
容易に理解できるように、例えばUV LEDのような多くのキュアリング源の寿命は、上昇した温度で動作すると急激に短くなる。このため、キュアリング源から熱を除去してこれらの寿命を延ばすために冷却システムを使用することができる。キュアリングシステム140用の様々な冷却構成要素は、他の考えられる構成要素の中でも特に1以上のヒートシンク142、ファン(図示せず)、及び熱センサ113を含み得る。ヒートシンク142及び外側ハウジング141は、例えば、熱ペースト、糊、液体金属などのような好ましい熱伝導性を有する1以上の材料により形成される熱伝導層を通じて結合され得る。ある構成においては、ヒートシンク142が外側ハウジング141の一部である場合のように、ヒートシンク142及び外側ハウジング141は一体的に形成され得る。
【0066】
1以上のファンは、図5に示されているもののように、ヒートシンク142の上に配置され得る。そのようなファンは、ベースプレートがファン及びヒートシンクの両方に連結されている場合のように、ヒートシンク142に直接又はベースプレートを通じて接続され得る。少なくとも1つの温度又は熱センサ113は、上述したように熱伝導性の良い1以上の材料により形成される熱伝導層を通じて外側ハウジング141又はヒートシンク142に隣接して又はその内側に配置され得る。熱センサ113は、連続印刷及びキュアリングプロセス中に高強度キュアリングシステム140を動作させつつ、温度モニタリングを可能にする。
【0067】
図10は、本開示の一実施形態によるキュアリングシステムの例示の光源及び関連する集束要素を側断面図で示している。上述したように、開示されているキュアリングシステムは、例えばUV LEDのような複数のキュアリング源を含み得る。それぞれのUV LED150は、少なくとも1つの発光源151及び少なくとも1つの光集束光学要素152を含み得る。それぞれの発光源151は、3D印刷動作において使用される光活性材料の固化特性に応じて、例えば約200~1000nmの波長を有する光を出射し得る。使用される波長は、使用される光開始3D印刷材料に依存し得る。例えばUV光開始印刷材料(例えばベンゾフェノン)は、約200~250nmの波長でキュアされ得る。UV-可視光開始印刷材料(例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)は、約320~410nmの波長でキュアされ得る。IR光開始印刷材料(例えばIR-140ホウ酸塩/4-dppba/Ar2I+PF6-)は、約750~850nmの波長でキュアされ得る。そして、様々な実施形態においては、様々なアクリルモノマに対して高いキュアリング速度を提供するために、約410~420nm、400~410nm、又は390~400nmの波長が使用され得る。
【0068】
それぞれの発光源151は、先に述べた3D印刷された材料の性質に基づいて予め決められた波長の光を生成する光電デバイスであり得る。様々な実施形態においては、発光源151は、25個までのチップのような1以上の半導体LEDチップを含み得る。これらのチップは、発光源ごとの全光パワーが約0.5~40Wであるパッケージ本体に設置され得る。説明のための1つの特定の非限定的な例においては、それぞれの発光源151は、全光パワーが4.3Wとなる約4個のチップを含み得る。合計42個の発光源151は、全パワーが約200Wとなるキュアリングシステム全体において使用され得る。
【0069】
それぞれの発光源151は、例えばメタルコア印刷回路基板(「MCPCB」)、フレキシブル印刷回路基板、エポキシ、シリコーンなどのような任意の好適な有機樹脂材料、又はAl2O3のような任意の好適なセラミック材料などのような基板153に取り付けられ得る。それぞれの発光源151は、その上面にドームレンズ154を有し得る。このドームレンズは、1とは異なる屈折率を有し、光の出射のために透明又は半透明な材料からなる。ドームレンズ154は、例えばシリコーン、ガラス、又は他の好適な透光材料から形成され得る。
【0070】
光集束要素152は、それぞれの発光源151に直接又はホルダ155により間接的に基板153又はキュアリングシステム全体の外側ハウジングに連結され得る。光集束要素152は、湾曲が放物線状、楕円状、又は球状である湾曲リフレクタ、又は非球面レンズ、全内反射レンズ、フレネルレンズ、勾配屈折率レンズ又は発光源151から出射された光を集束するのに好適な任意の他の構成要素であり得る。また、光集束要素152は、外部焦点領域に向けてより良く光を集束するために、その内面にミラー層156を含み得る。
【0071】
図11A及び図11Bに続けると、図10の例示の光源及び関連する集束要素が、分解斜視図及び分解斜視部分破断図でそれぞれ示されている。再び、それぞれの発光源151は基板153上に取り付けられ得る。この基板は、電源ワイヤを半田付けするための少なくとも2つの接点領域157を有し得る。様々な実施形態においては、発光源151は、1つ又はすべて一緒になっているか、いくつかの独立したグループに分かれたいくつかのドライバにより供給される電源を有し得る。発光源151はLEDであり得る。これらのLEDは、MCPCB又は他の基板153上にセットされ、その次に、MCPCB又は他の基板153の接点領域157に半田付けされたワイヤにより接続される。基板153を用いることは、LEDの設置を容易にし、LEDからの熱の除去を効率的にすることを可能にする。
【0072】
次に図12に移ると、図5のキュアリングシステムの例示の光分布及び強度のグラフが提供されている。光点1200は、上述したキュアリングシステムの観察される光分布を表しており、X軸及びY軸に沿ったグラフは、指定された焦点領域の周囲の印刷面上での光強度分布を示している。個々のキュアリング源(例えば42個の別個のUV LED)のそれぞれは、例えば印刷面から約200mmの距離に位置し得る。焦点領域の中心での最も高い光強度は約2.5W/cm2、全光パワーは約200Wとなり得る。この2次元光強度分布は、スクリーン、デジタルカメラ、及び完全な強度分布分析のためのソフトウェアを有する大型ビームプロファイリングシステムにより取得され得る。縦線及び横線は、2次元分布の右側と下側に配置されたグラフに対応する光分布の断面を示している。全光分布は、印刷材料の幅に対応し得る約70mmの直径の光点1200を形成することができる。光点1200は、開示されているキュアリングシステムからの光により形成され得るし、焦点領域の周囲の印刷材料の層上に投影され得る。様々な実施形態においては、光点1200(すなわち焦点領域)は、印刷材料の即時キュアリングのためにノズルに配置されるか、ノズルの直後に配置され得る。
【0073】
最後に、図13は、調整可能な印刷角度、光キュアリングシステム、及びフィードバックシステムを伴う、建物構成要素を3D印刷する詳細な方法例のフローチャートを示している。方法1300は、上述した方法300の詳細なバージョンであり得る。様々なステップ及び詳細は、交換可能であり、さらに/あるいは一方又は両方の方法から取り除くことが可能である。上述した方法300と同様に、例えば連続3D印刷及びキュアリングプロセス中などに、方法1300の様々なステップを異なる順序で、さらに/あるいは同時に行うことができる。さらに、一部又は全部のステップを与えられた3D印刷建物構成要素又は他の物体の印刷が完了するまで必要に応じて繰り返してもよい。
【0074】
開始ステップ1302の後、第1のプロセスステップ1304は、供給管を通じて印刷材料を供給することを含み得る。印刷材料は、印刷システム全体における印刷ヘッドの外側に位置する印刷材料源から供給され得る。供給管は、少なくとも第1の部分と交換可能な第2の部分とを有する分割供給管であり得る。
【0075】
次のプロセスステップ1306では、印刷材料がノズルから設定印刷角度で押し出され得る。ノズルは供給管に直接連結され得る。設定印刷角度は、印刷される層の面に対して0から180度のいずれにもなり得る。
【0076】
次のプロセスステップ1308では、ノズルが横に移動されて印刷材料の層を形成し得る。これは、ノズルが取り付けられるか、あるいは連結される印刷ヘッドの移動を伴い得る。その結果、印刷ヘッドを移動させるとノズルが移動する。印刷ヘッドを移動させると、同時にキュアリングシステムも移動し得る。キュアリングシステムは、ノズルを中心としてC字を形成し得る。移動は、XY平面、YZ平面、及びXZ平面内だけ又はそのうちのより多くの中であってもよく、あるいは任意の組み合わせであり得る。
【0077】
次のプロセスステップ1310では、押し出された印刷材料がキュアリングシステムによりキュアリングシステムの設定回転方位でキュアされ得る。再び、これは、光学キュアリング、熱キュアリング、又は他の好適な印刷材料キュアリング手法を含み得る。様々な構成においては、ノズルから押し出された後まもなくしてUV光により印刷材料をキュアすることができる。例えば、キュアリングシステムがノズルに追従し、印刷材料がノズルから押し出された直後に印刷材料をキュアするようにキュアリングシステムを印刷ヘッドに配置することができる。ノズルにおける保護スカートは、ノズル自体で印刷材料がキュアされることを防止することができ、その結果、押し出されたばかりの印刷材料からノズルが離れていった直後にキュアリングのみが行われる。
【0078】
次のプロセスステップ1312では、新しい印刷角度を形成するためにノズルの向きが回転され得る。これにより、ノズルから印刷材料が押し出される印刷角度が変わることになり得る。このように印刷角度を変えることは、押し出された印刷材料を設定印刷角度とは異なる角度でさらに印刷することを可能にする。
【0079】
次のプロセスステップ1314では、キュアリングシステムの新しい回転方位を形成するためにキュアリングシステムの向きが回転され得る。これは、クリアランスを形成し、印刷されている3D物体のような物体、印刷されている3D建物構成要素のための建物支持体又は基礎のような他の関連する物体、又は3D印刷システム全体の他の構成要素を避けるためになされる。キュアリングシステムの回転方位は、ノズル角度の方位と同様に変えられ得るか、例えば別個の駆動部により、独立して変えられ得る。
【0080】
次のプロセスステップ1316では、新しいキュアリング強度を提供するためにキュアリングシステムの強度が調整され得る。これは、例えば光重合可能な印刷材料をキュアするために配置された複数のUV LED又は他の光源からの光キュアリング強度を増加又は減少させることを含み得る。再び、光キュアリング強度は、0.1から10W/сm2の範囲であり得るが、他のキュアリング強度値も考えられる。他のキュアリング構成においては、これは、例えば熱のようなキュアリング媒体のキュアリング強度を調整することを伴い得る。
【0081】
次のプロセスステップ1318では、印刷材料がノズルから新しい印刷角度で押し出され得る。新しい印刷角度も、印刷される層の面に対して0から180度のいずれにもなり得て、以前の印刷角度とは異なることができる。
【0082】
次のプロセスステップ1320では、押し出された印刷材料が、キュアリングシステムの新しい回転方位及び新しいキュアリング強度でキュアされ得る。例えば、建物構成要素の複雑な湾曲した領域を考慮することは、湾曲を考慮して印刷角度を調整することを必要とし得る。湾曲した領域の複雑性と湾曲は、印刷中に印刷ヘッド全体が移動する際にキュアリングシステムのためのクリアランスを提供するために、キュアリングシステムを新しい回転方位に回転することを必要とし得る。
【0083】
続く決定ステップ1322では、3D印刷プロセスが終了したか否かについての問い合わせがなされ得る。終了していない場合には、本方法は、プロセスステップ1304に戻ることができ、新しい印刷角度が設定印刷角度となり、キュアリングシステムの新しい回転方位が設定キュアリング方位となり、新しいキュアリング強度が設定キュアリング強度となり、すべてのステップが繰り返され得る。しかしながら、決定ステップ1322で印刷プロセスが終了している場合には、本方法は終了ステップ1324で終了する。
【0084】
再び、すべてのステップを同時にかつ自動で行うことができ、その結果、新しい印刷材料がノズルから押し出され続けつつ、以前に押し出された印刷材料上でキュアリングが起こる。また、プロセスを継続することにより、ノズル方位が回転され、キュアリングシステム方位が回転される前、その間、及びその後における連続印刷が可能となる。
【0085】
上記の開示は、明確化と理解のために例示として説明のために詳細に述べられてきたが、上述した開示は、本開示の趣旨又は本質的な特徴を逸脱することなく数多くの他の具体的な変形例及び実施形態において具現化され得ることは理解できるであろう。変更及び修正を行うことができ、本開示は上述した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲により規定されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】