(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】タイヤのビードを担持するフランジを回転させるための条件付き支援システムを備える空気タイヤを成形するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
B29D 30/16 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B29D30/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560482
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 FR2022050493
(87)【国際公開番号】W WO2022207993
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AP06
4F215AP11
4F215AR07
4F215AR12
4F215VA02
4F215VD10
4F215VD13
4F215VK23
4F215VK32
4F215VL11
4F215VP03
4F215VR01
(57)【要約】
本発明は、タイヤ(2)の成形をタイヤの第1のビード(3)を担持する第1のフランジ(11)とタイヤの第2のビード(4)を担持する第2のフランジ(12)との軸線方向集束及び相対回転によって可能にするドラムタイプ(10)のデバイス(1)に関連し、このデバイスは、フランジ間に見出される角度差(dA)が予め確立された許容範囲(DdA)から外れる場合にかつその場合にのみフランジ(11,12)の回転による支援がトリガされる条件付き支援モードを備える規則(L40)を適用する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(2)の第1のビード(3)を受け入れるように意図された第1のフランジ(11)と、
前記タイヤ(2)の第2のビード(12)を受けるように意図された第2のフランジ(12)と、
前記フランジ(11,12)が互いに軸線方向に近づき、この結果、前記ビード(3,4)を互いにより近づけることができるように、該第1のフランジ(11)を該第2のフランジ(12)から軸線方向に分離する所謂「中心距離」(dZ)を修正し、前記タイヤ(2)の半径方向拡張に随伴するように、共通中心軸線(Z10)に沿った並進での前記第1のフランジ(11)及び/又は前記第2のフランジ(12)の移動を可能にする並進機構(13)と、
「角度差」(dA)と呼ばれる前記第2のフランジ(12)に対する前記第1のフランジ(11)の相対方位角位置(dA)の修正を可能にするために、前記中心軸線(Z10)の周りの前記第1のフランジ(11)及び/又は前記第2のフランジ(12)の回転を可能にする回転機構(30)と、
を備えるタイヤ(2)を成形するためのデバイス(1)であって、
i)「第1の適用領域」(DI)と呼ばれる第1の予め決められた中心距離範囲にわたって、制御法則(L40)が、該第1の適用領域(DI)の各中心距離値(dZ)に低境界(DdA_min)と、該低境界(DdA_min)とは別の高境界(DdA_max)とによって区切られた予め決められた振幅(H_DdA)を有する「許容領域」(DdA)と呼ばれる許容角度差の範囲を関連付け、及び
ii)前記フランジ(11,12)の相互軸線方向収束が実行され、かつ前記中心距離(dZ)が従って前記第1の適用領域(DI)を通過する時に、前記角度差(dA)が、前記許容領域(DdA)の内側にある場合に、前記第1のフランジ(11)及び前記第2のフランジ(12)が、前記タイヤ(2)の前記半径方向拡張に対する、及び前記フランジ(11,12)の前記相互軸線方向収束に対する前記タイヤ(2)の自然応答の効果の下で互いに対して自由に回転することを可能にするように、前記回転機構(30)が、受動的なままに留まり、該回転機構(30)が、前記角度差(dA)が前記許容領域(DdA)の前記境界(DdA_min,DdA_max)のうちの一方に到達するか又は前記許容領域(DdA)から離れる場合に、前記角度差(dA)を前記許容領域(DdA)に留まる又はその内部に戻るように強制するために、前記フランジ(11,12)の相対回転を能動的に管理するように回転による支援を選択的にトリガする「条件付き支援モード」と呼ばれる機能モードを備える制御法則(L40)を適用するように構成された制御システム(40)を、備えている、
ことを特徴とするデバイス(1)。
【請求項2】
前記許容領域の前記振幅(H_DdA)は、前記中心距離(dZ)の関数として変化する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の適用領域(DI)は、前記タイヤ(2)を初期の実質的に円筒形構成から望ましいドーナツ形態に対応する最終構成まで通過させるのに必要である前記フランジ(11,12)の全軸線方向移動中に前記中心距離(dZ)によって説明される全中心距離間隔(D_tot)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、更に少なくとも90%を網羅する、
請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御法則(L40)によって定められる前記許容領域(DdA)は、前記タイヤ(2)の前記初期の実質的に円筒体形構成に対応する初期中心距離(dZ_init)に向けて位置して好ましくはそれを含む前記第1の適用領域(DI)の第1の部分(DI_1)にわたって前記中心距離(dZ)が減少する間に最初に増加し、次に、前記角度差(dA)が、前記最終構成での望ましい角度差に対応するターゲット最終角度差(dA_final)に向けて収束するように、該タイヤ(2)の該最終ドーナツ形構成に対応する最終中心距離(dZ_final)に向けて位置するか又は更にそれを含む該第1の適用領域(DI)の第2の部分(DI_2)にわたって減少する振幅(H_DdA)を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記制御法則(L40)は、少なくとも1つの回転阻止機能を備え、かつ好ましくは、
i)初期中心距離値(dZ_init)又は前記第1の適用領域(DI)に先行する中心距離値の範囲(D_lock_init)に対応し、かつ前記タイヤ(2)が前記成形作動前の円筒形態を有する初期構成での前記フランジ(11,12)の前記相対回転の阻止を可能にする第1の回転阻止機能(F_lock_1)、及び
ii)最終中心距離値(dZ_final)又は該第1の適用領域(DI)に続く中心距離値の範囲(D_lock_final)に対応し、かつ該タイヤ(2)が該成形作動の完了後の望ましいドーナツ形態を有する最終構成での該フランジ(11,12)の該相対回転の阻止を可能にする第2の回転阻止機能(F_lock_2)から選択される2つの回転阻止機能を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御法則(L40)は、電子形式、好ましくは、数式、マップ、チャート、又は表のような1セットの数値データの該形式を取り、かつ前記並進機構(13)及び前記回転機構(30)を作動する1又は2以上のモータ(M13,M30)を管理する前記制御システム(40)のコンピュータ(50)に対して利用可能にされる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御法則(L40)は、前記フランジ(11,12)のうちの一方に固定されたフィンガー(62,63,64,65)を係合によって保持するガイド溝(61)を備える機械式ガイド(60)として実現され、該ガイド溝(61)の側縁が、前記フィンガー(62,63,64,65)に対して、前記中心距離(dZ)の修正時に前記フィンガー(62,63,64,65)の軸線方向移動を可能にする一方で前記中心軸線(Z10)の周りに方位角で前記許容領域(DdA)の前記境界(DdA_min,DdA_max)を形成するガイドプロファイル(66,67,68,69)を形成し、それにより、第1に、前記フィンガー(62,63,64,65)の及び従って該フランジ(11,12)の前記軸線方向位置の各々での該フィンガー(62,63,64,65)及び従って対応する前記フランジ(11,12)に当該の前記軸線方向位置に対する前記許容領域の前記振幅(H_DdA)に対応する角度変位(RA)を提供し、かつ第2に、該フィンガー(62,63,64,65)が前記許容領域の前記境界(DdA_min,DdA_max)のうちの一方に対応する方位角位置に達した時に、該フィンガー(62,63,64,65)の及び従って対応する前記フランジ(11,12)の前記方位角回転に対する周方向ストップを形成することによって前記フィンガー(62,63,64,65)を該許容領域(DdA)内に保持する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ガイド溝(61)は、前記フランジ(11,12)の軸線方向収束の方向に対応する方向に、阻止部分を形成する第1の部分(61_1)であって、その内部で前記フィンガー(62,63,64,65)及び従って対応する前記フランジ(11,12)が、前記タイヤ(2)が実質的に円筒形態を有する初期構成に対応する「初期角度位置」と呼ばれる第1の角度位置での回転が阻止される前記第1の部分(61_1)と、次に解除部分を形成する第2の部分(61_2)であって、その内部で前記フィンガー(62,63,64,65)及び従って前記フランジ(11,12)が、前記許容領域(H_DdA)の前記振幅によって与えられるものに対応する角度変位(RA)にわたって回転が自由である前記第2の部分(61_2)と、次に別の阻止部分を形成する第3の部分(61_3)であって、その内部で前記フィンガー(62,63,64,65)及び従って前記フランジ(11,12)が、前記タイヤ(2)が前記望ましいドーナツ形態を有する最終構成に対応する「最終角度位置」と呼ばれる前記第1の角度位置とは異なる第2の角度位置での回転が阻止される前記第3の部分(61_3)とを備える一連の複数の部分(61_1,61_2,61_3)を軸線方向に有する、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記許容領域の前記振幅(H_DdA)は、少なくとも2度、更に少なくとも5度に達し、かつ好ましくは30度未満、更に15度未満でもある相対角度変位及び従って可能な角度差(dA)を前記フランジ(11,12)に提供する、
請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
タイヤ(2)の第1のビード(3)を担持する第1のフランジ(11)とタイヤ(2)の第2のビード(4)を担持する第2のフランジ(12)とが、「中心距離」(dZ)と呼ばれる該フランジを軸線方向に分離する距離を修正するために互いに軸線方向により近くもたらされ、それにより、該タイヤ(2)が、初期の実質的に円筒形構成から最終のドーナツ形構成まで通過する収束段階を備えるタイヤ(2)を成形する方法であって、
軸線方向収束の前記段階中に、「角度差」(dA)と呼ばれる前記第2のフランジ(12)に対する前記第1のフランジ(11)の相対方位角位置が測定され、該フランジに共通の中心軸線(Z10)周りの該第1のフランジ(11)及び/又は該第2のフランジ(12)の回転が、条件付き支援モードを備える制御法則L40を実施することによって制御され、該条件付き支援モードでは、「第1の適用領域」(DI)と呼ばれる第1の予め決められた中心距離範囲にわたって、該制御法則(L40)は、該第1の適用領域(DI)の各中心距離値(dZ)を低境界(DdA_min)及び高境界(DdA_max)によって区切られた予め決められた振幅(H_DdA)を有する「許容領域」(DdA)と呼ばれる許容角度差の範囲と関連付け、次に、該測定された角度差(dA)が該許容領域(DdA)の内側にある場合に、該第1のフランジ及び該第2のフランジ(11,12)は、該タイヤの半径方向拡張に対する及び該フランジ(11,12)の相互軸線方向収束に対する該タイヤ(2)の自然応答の効果の下で互いに対して自由に回転することが可能にされ、該角度差(dA)が、該許容領域の該境界(DdA_min,DdA_max)のうちの一方に到達するか又は該許容領域(DdA)を離れる場合に、該測定された角度差(dA)を該許容領域(DdA)に留まる又はその内部に戻るように強制するために該フランジ(11,12)の相対回転を能動的に管理するように、回転による支援が選択的にトリガされる、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記制御法則(L40)は、前記第1及び/又は前記第2のフランジ(11,12)を回転に作動させる1又は2以上のモータ(M30)の電子管理を可能にするために電子形式で、好ましくは数値データの形式でプログラムされる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御法則(L40)は、前記フランジ(11,12)のうちの一方に固定されたフィンガー(62,63,64,65)と協働するガイド溝(61)が設けられた機械式ガイド(60)を用いて実施される、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイールに装着されるように意図されたタイヤの生成、より具体的には、空気タイヤの生成の一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
「平坦」生成と呼ばれる製造する段階であって、その段階中にタイヤの第1の環状サブアセンブリ(カーカスブロックと呼ばれる)が、一方のタイヤビードから他方まで軸線方向に延びる補強スレッドが設けられた少なくとも1つのカーカスプライを含むいくつかの構成要素を円筒形ドラムにわたって連続的に巻き付けることによって生成される製造する段階と、次に、成形する段階であって、その段階中にカーカスブロックの半径方向拡張が、例えば膨張によって与えられ、一方でカーカスブロックにドーナツ形態を与えるようにビードを互いに軸線方向により近くもたらす成形する段階と、次に、仕上げる段階であって、その段階中にトレッドを含むタイヤクラウンを構成する要素が、得られたカーカスブロック上に置かれる仕上げる段階と、を備える方法を使用して空気タイヤを生成することは公知である。
【0003】
ある一定の場合に、成形する段階は、ドラムの中心軸線の周りのビードの互いに対する回転が伴わなければならず、その理由は、タイヤ側壁に対応するカーカスブロックの各部分に位置するプライ補強スレッドが、放射状化し、すなわち、カーカスブロックの半径方向拡張と調和してドラムの中心軸線の周りでそれらの方位角方位を徐々に修正し、それにより、ドラムの中心軸線を含有する半径方向平面によって補強スレッドが担持される半径方向方位により近く引き出され、次にそこに到達するからである。
【0004】
これは、特に、カーカスプライが、それが閉じ込める平行補強スレッドがドラムの回転軸線に対して正確には平行ではなく、従って、円筒体の母線に対して斜めに配置されるように、又は本出願人による出願の特許FR-1 413 102に説明されているようないわゆる「偏向クラウン」タイヤを生成する時に、成形する段階の前に、タイヤのクラウンの下方に位置決めされるように意図したカーカスプライのいわゆる「クラウン」部分でカーカスプライ上に補強プライを配置することにより、ドラム上に初期に配置される場合に当て嵌まる場合があり、この補強プライは、ドラムの周方向に対してカーカスプライの補強スレッドのものとは異なる角度に向けられた互いに平行な補強スレッドを含有し、そのために半径方向拡張中に補強プライの補強スレッドは、カーカスプライのクラウン部分の補強スレッドと相互作用し、そのために異なる、すなわち、交差する補強スレッドの角度が、クラウンゾーン内で修正されることになり、一方で側面に位置するカーカスプライの横部分の補強スレッドは、放射状化する。
【0005】
成形作動中に、側壁補強体の正しい放射状化を保証するためにビードの回転をドラムフランジの適切な回転と十分に適合させることは時として困難である。
【0006】
実際に、半径方向拡張中にタイヤの自然な捻れの単純効果によって補強体が自発的に放射状化することを可能にするようにフランジが自由に回転することが可能にされる場合に、側壁内の補強スレッドの最終構成は、不正確であり、かつ再現が困難であることになり、その理由は、半径方向平面に沿って補強スレッドを位置合わせさせようとするトルクが半径方向拡張中に減少し、補強スレッドが半径方向方位に近く引き出される時に特に小さいことを考慮すれば、作動の終了時に補強スレッドの方位角方位を正確に制御することが困難であるからである。
【0007】
逆に、フランジがそれらを軸線方向に分離する距離の関数として正確な角度位置を取るように強制されるように、フランジの回転をそれらの軸線方向収束の関数として制御するために電動手段が使用される場合に、最終ドーナツ形構成での側壁の補強スレッドの正確で再現性がある安定な半径方向方位を得ることは確かに可能であるが、しかし、特に半径方向拡張作動の開始時に、これは、特にビードの近くでの捻れ下の剪断によって構成要素を不可逆的に変形又は損傷させるリスクと共に、タイヤ構成要素、ここではカーカスブロックの自由な位置決めを妨げる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、結果的に、上述の欠点を是正すること、及び特に上述のようないわゆる「偏向クラウン」タイヤ生成の関連でタイヤ側壁の補強スレッドの方位角方位の修正、より具体的には補強スレッドの放射状化を伴うタイヤ重視の確実で正確な再現性のある成形作動の実行を可能にする新しいデバイス及び新しい方法を提案することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、タイヤの第1のビードを受け入れるように意図した第1のフランジと、タイヤの第2のビードを受けるように意図した第2のフランジと、フランジが互いに軸線方向により近くにもたらされ、従ってビードを互いに近づけてタイヤの半径方向拡張に随伴することができるように、第1のフランジを第2のフランジから軸線方向に分離するいわゆる「中心距離」を修正するために共通中心軸線に沿った第1のフランジ及び/又は第2のフランジの並進での移動を可能にする並進機構と、「角度差」と呼ばれる第2のフランジに対する第1のフランジの相対方位角位置を修正を可能にするために中心軸線の周りの第1のフランジ及び/又は第2のフランジの回転を可能にする回転機構とを備えるタイヤを成形するためのデバイスを用いて達成され、このデバイスは、それが「条件付き支援モード」と呼ばれる制御法則機能モードを適用するように構成された制御システムを備えることを特徴とし、このモードでは、i)「第1の適用領域」と呼ばれる第1の予め決められた中心距離範囲にわたって、制御法則は、第1の適用領域の各中心距離値に「許容領域」と呼ばれて低境界と低境界とは別の高境界とによって区切られた予め決められた振幅を有する許容角度差の範囲を関連付け、かつii)フランジの相互軸線方向収束が実行され、かつ中心距離が従って第1の適用領域を通過する時に、回転機構は、角度差が許容領域の内側にある場合に受動的なままに留まり、そのために第1のフランジ及び第2のフランジがタイヤの半径方向拡張に対するかつフランジの相互軸線方向収束に対するタイヤの自然応答の効果の下で互いに対して自由に回転することを可能にし、回転機構は、角度差が許容領域に留まるか又は許容領域内に戻るように強制するようにフランジの相対回転を能動的に管理するために、角度差が許容領域の境界のうちの一方に到達するか又は許容領域から離れる場合に回転による支援を選択的にトリガする。
【0011】
有利なことに、本発明は、可能な限り自由な自然回転をデフォルト作動モードとして促進するが自由な回転から制御された回転に渡すために必要である場合に全ての瞬間で支援を起動する可能性を有し、かつ当該の瞬間にタイヤが受けているフランジ収束と半径方向拡張の膨張との所与の条件下で、フランジの及び従ってカーカスプライの補強スレッドの満足のいく自発的な方位を単独で保証する本質的機能をタイヤが持たないことを信号通信する状況の検出を条件として、支援の起動、すなわち、アクチュエータの使用をタイヤから分離させ、フランジの一方及び/又は他方に対してフランジを能動的に回転に駆動するのに寄与する力を及ぼす混合ソリューションを提供することにより、自由な自然回転と制御された回転との利点を組み合わせる。
【0012】
実際に、本発明による条件付き支援モードは、値が許容領域から離れた又は離れかけている時かつその時のみに、すなわち、タイヤの半径方向拡張移動及びビードの軸線方向収束の動力学において、当該タイヤの自然な自発的応答によって誘発されるフランジの角度位置決め及び従って実際の角度差が、タイヤの物理的一体性及び/又は補強スレッドの適切な方位を保証するのに期待されると考えられるものに準拠しないことが見出された時かつその時にのみフランジの回転による支援がトリガされることを可能にする。
【0013】
特に、本発明は、タイヤ単独がフランジの適度な相対回転を支援なしで駆動するのに十分な周方向力をビードで発生しておらず、そのためにフランジの相対回転が「引きずる」、すなわち、フランジの収束のレベルを考慮して不十分な振幅を有することが検出された時に、フランジの回転による支援をトリガすることを可能にし、これは、結果的にそれ自体の変形及び損傷の危険を冒すことなくフランジに十分に高い回転トルクを及ぼすことができないタイヤの弱点又は過度の塑性に対応する状況、又は典型的には成形の終了時のようなフランジの相互軸線方向収束の終了時にカーカスプライの補強スレッドが半径方向平面に位置合わせされてもはや実質的にレバーの作用を及ぼさない時のように好ましくない幾何学的又は寸法的な構成に起因した不十分な半径方向位置合わせトルクに対応する状況を示す場合がある。
【0014】
有利なことに、支援の条件付き性質は、1つのタイヤから次のタイヤへと規則正しくかつ厳密に再現されるような電動支援を制御システムがやみくもに課すのではなく、それとは逆に、定められた判断基準、ここでは許容領域に属する又は属さないという判断基準に応じた特定条件の成立に従属して支援をトリガさせ、従って個別的に関連するタイヤの挙動及び個々の応答、特に実際の角度差の関数として、これらのパラメータが事実上成形時に確立されるので、可能な支援の実施を適応させるという点で制御システムに適応性を与える。
【0015】
従って、同じ生成系列中に同じモデルの複数のタイヤを連続して成形する場合に、制御システムは、タイヤのモデルに対して確立された同じ標準化制御法則を適用するが、成形の有効な進行、特に支援のトリガの有無及び該当する場合は支援をトリガする有効な点、すなわち、制御システムが支援に対する必要性を検出し(すなわち、許容領域を離れる)、従って支援をトリガする中心距離値は、成形工程に対する各タイヤの特定の応答に応じて同じ系列のタイヤ毎に変化する可能性があり、その結果として「個別化」され、従って、各タイヤに対して個々にケースバイケースで最適化されることになる。
【0016】
特に、実際に測定された同じ中心距離値、すなわち、成形工程の同じ進行点に対する第1のタイヤは、この中心距離値に関して定められた許容領域に位置する第1の適合した角度差を有するので、制御システムは、フランジを自由回転させたままにしておき、支援を起動することなくフランジの軸線方向収束を継続させることが可能であり、一方で同じモデルで同じ系列の第2のタイヤは、許容領域の境界に又はその外側に位置する第2の不適合な角度差を有するので、制御システムは、支援をトリガしてフランジを適切な方位に強制し、一方で一部の場合ではフランジの軸線方向の収束は継続する。
【0017】
本発明は、従って、タイヤの一体性及び従って品質に関して完全に保証しながら成形の品質の最適化を可能にする。
【0018】
本発明の更に別の目的、特徴、及び利点は、以下の説明を読み、純粋に非限定的な説明に対して提供する添付図面の助けを借りてより詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】横軸線上の中心距離値を縦軸線上の許容角度差の値又は値域に関連付ける本発明による制御法則を示す図である。
【
図2】本発明によるタイヤ成形デバイスの斜視図である。
【
図3】フランジに固定されたフィンガーを案内することで制御法則を実施する溝を使用する機械式ガイドを示す図である。
【
図4】第1及び第2のフランジの各々が
図3による溝を有する機械式ガイドで案内される
図2の成形デバイスの変形を示す分解斜視図である。
【
図5】デバイスをより良く理解するために他の図では隠されている第1のフランジの忠実部品を模式的に示す
図4の成形デバイスを示す垂直半径方向平面での部分断面を有する詳細図である。
【
図6】
図4及び
図5の成形デバイスをタイヤが成形作動前の円筒形態で「平坦」である中心距離値に対応する初期構成に示す分解斜視図である。
【
図7】
図5及び
図6の初期構成でフランジの回転を阻止する第1の阻止構成にあるフランジに関連付けられた2つのフィンガーと協働する機械式ガイドの概略図である。
【
図8】機械式ガイドと協働するフィンガーを露出するために第1のフランジを取り外した
図6及び
図7のデバイスの詳細斜視図である。
【
図9】フランジに関連付けられたフィンガーが阻止位置から軸線方向に引き出されて条件付き支援モードの適用領域に入る第1の成形する段階を上方から示す図である。
【
図10】
図9の構成での機械式ガイド及びフィンガーの概略図である。
【
図11】中心距離値が条件付き支援モードの適用領域内になるようにフランジを共に軸線方向に近づけてフランジが回転的にここでは制御法則が許容する領域に適合した角度差を維持しながらピボット回転している成形作動中の中間構成での
図2、
図4、
図5、及び
図6の成形デバイスを斜視図に示す図である。
【
図12】許容領域の境界を構成する溝の2つの対向側縁の間にフィンガーが浮いている
図11の中間構成での機械式ガイド及びフィンガーの概略図である。
【
図13】機械式ガイドと協働するフィンガーを露出するために第1のフランジを取り外した
図11及び
図12の装置の詳細斜視図である。
【
図14】フランジに関連付けられたフィンガーが機械式ガイドの溝に対するストップに到達して溝の軸線方向延長部に係合し、それによってフランジの回転が望ましい角度位置に封鎖されている
図4、
図5、
図6、及び
図11のデバイスを成形作動終了時の最終構成で分解斜視図に示す図である。
【
図15】
図14の最終構成での機械式ガイド及びフィンガーの概略図である。
【
図16】カーカスプライの縁部をタイヤのビードコアに折り重ねて側壁を形成するカーカスプライの部分に押圧するためにアームの自由端にローラーが設けられるフランジにより担持されたピボット回転アームを半径方向に展開させた展開構成での
図4、5、6、11及び14のデバイスに関するフランジの回転中心軸線を含有する垂直半径方向平面での断面側面図である。
【
図17】フィンガーを互いに軸線方向に遠ざけてアームのピボット回転を引き起こすようにした
図16の展開構成での機械式ガイド及びフィンガーの概略図である。
【
図18】展開構成にある
図16のデバイスを示す第1のフランジに関連付けられた機械式ガイドを露出する斜視分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、特に
図2に示すようにタイヤ2を成形するためのデバイス1に関する。
【0021】
タイヤ2は、車両ホイールへの装着を意図し、好ましくは、空気タイヤを構成する。
【0022】
それ自体公知の態様では、タイヤ2は、それがリムのような装着支持体上で把持することを可能にするように意図した第1のビード3及び第2のビード4を備える。この場合に、本発明は、特に、リムへの装着直径が13インチ~24インチ、より具体的には、16インチ~22インチであるタイヤの生成方法を示している。
【0023】
各ビード3、4には、例えば、金属スレッドの編組から又は互いに巻き付けられた複数の補強スレッド巻線から形成されたビードコアが設けられ、ビードコアは、非伸張性の環状フープを形成するようになっている。
【0024】
公知の様式では、互いに平行な補強スレッドを有するカーカスプライが、一方のビード3から他方のビード4まで延び、補強スレッドが、一方のビードコアを他方のビードコアに結合し、従ってタイヤ2の補強体の一部を形成するようになっている。
【0025】
タイヤ2は、実際にタイヤが装着されることになるホイールの回転軸線と実質的に対応する「中心軸線」Z2と呼ばれる軸線の周りに回転対称性を示す形状を有する。この中心軸線Z2は、当業者が従来から使用している3つの方向、すなわち、軸線方向、半径方向、及び周方向を定める。
【0026】
「軸線方向」は、タイヤ2の中心軸線Z2と共線(すなわち、ベクトルの意味で平行)及び従ってタイヤの回転軸線に平行な方向を意味する。
【0027】
「半径方向」は、タイヤの半径に沿って延びる方向、すなわち、中心軸線Z2と交差してそれに垂直なあらゆる方向を意味する。
【0028】
「周方向」は、軸線方向に対してもタイヤの半径に対しても垂直な方向を意味し、従って、中心軸線Z2に垂直な平面では、タイヤの回転軸線を中心とする円への接線に対応する。
【0029】
成形作動は、例えば、タイヤ2の内部、ここではより詳細にカーカスブロックの内部に大気圧よりも高い圧力でガスを注入し、ビード3、4を軸線方向に近づけて
図2、5及び6に点線に示すようにタイヤ(ここではカーカスブロック)が直円筒体の形状を有し、タイヤの側壁に位置するカーカスプライ補強スレッドが放射状化されていない初期形状から
図16に示すようにタイヤ2(ここではカーカスブロック)がドーナツ形態を有し、タイヤの側壁に位置するカーカスプライ補強スレッドが放射状化された最終構成へタイヤ2(ここではより詳細にカーカスブロック)が変化することにより、タイヤ2の半径方向拡張、ここではより詳細に少なくともカーカスプライを有する「カーカスブロック」と呼ばれるタイヤサブアセンブリの半径方向拡張をもたらす段階から構成される。
【0030】
公知の様式では、タイヤ2(より正確にはカーカスブロック)が成形された状態で、少なくともトレッドと、ある一定の場合に補強プライ及び/又は周方向補強巻回の螺旋巻線から形成されたフープのような1又は2以上の補強要素とを備えるクラウンブロックをタイヤ2に取り付けることができる。得られた完成タイヤ(生タイヤとしても公知)は、その後に、タイヤ2のゴムベースの構成要素を加硫処理するために硬化モールドに入れられる。
【0031】
簡潔性及び説明の容易性のために、下記の本文では「タイヤ」2という用語は、関連に応じて又は以下の要素を区別する必要がない場合に成形作動を受けるように意図したカーカスブロック、成形作動から得られた成形済みカーカスブロック又は成形済みカーカスブロックの上にクラウンブロックを組み立てた後に得られる完成タイヤを指す場合がある。
【0032】
好ましい実施形態により、タイヤ2は、最初に説明した偏向クラウンタイヤであり、その生成のために成形作動を使用して成形作動の前にかつ成形作動中にクラウンゾーンを形成されるように意図したカーカスブロックの部分に偏向構造を適用することにより、カーカスブロックのクラウンゾーンでのカーカスプライ補強スレッドの方位を修正するようにし、この場合に、偏向構造を成形デバイスに組み込む又はカーカスプライ上に重ねた補強プライを用いて形成して恒久的にタイヤと一体化するようにすることができる。偏向構造はまた、タイヤの周方向に対してカーカスプライ補強スレッドの角度とは異なる角度で位置決めされた互いに平行な補強スレッドを備え、カーカスブロックの半径方向拡張時にクラウンゾーン内でプライの補強スレッドの再方位を引き起こすようにする。クラウンブロックは、得られた方位で補強スレッドを固定することになる。
【0033】
公知の様式では、デバイス1は、ドラム10を担持するフレーム9を備え、ドラム10は、ここではその縦軸線に対応するその中心軸線Z10に沿ってフレーム9に対して回転可能に装着される。実際に、ドラムの中心軸線Z10は、ドラム10の上で生成及び/又は成形されるタイヤ2の中心軸線Z2と一致するので、この2つの軸線を共に同じ参照記号Z10の下で考察することができる。
【0034】
ドラム10(従って、より一般的にはデバイス1)は、タイヤ2の第1のビード3を受け入れるように意図した第1のフランジ11と、タイヤ2の第2のビード4を受け入れるように意図した第2のフランジ12とを備える。
【0035】
この目的に対して、好ましくは、特に
図5に示すように、各フランジ11、12は、第1及び第2のビード3、4をそれぞれ構成する要素、ここでは特に第1にカーカスプライ、次に第2にカーカスプライ上方の再現可能な位置にビードコア又はゴムインサートに関連付けられたビードコアを有する複合体を受け入れるための台座を形成する環状溝を有する。
【0036】
デバイス1はまた、第1のフランジ11を第2のフランジ12から軸線方向に分離する、より正確にはタイヤ2の第1のビード3を第2のビード4から軸線方向に分離する「中心距離」dZを修正するために、ここではドラム10の中心軸線Z10に対応する共通中心軸線Z10に沿って第1のフランジ11及び/又は第2のフランジ12を平行移動することを可能にするように並進機構13を備えるので、フランジ11、12を軸線方向に近づけ、従ってタイヤ2のビード3、4を近づけてタイヤ2の半径方向拡張に随伴するようにすることができる。
【0037】
好ましくは、並進機構13、より一般的にはドラム10及び従ってデバイス1は、中心軸線Z10を形成して第1及び第2のフランジ11、12を並進だけでなく回転でも案内するシャンク14を備える。シャンク14は、それ自体がフレーム9によって担持され、フレーム9に対して中心軸線Z10周りに回転可能に装着される。
【0038】
公知の様式ではかつ
図2に示すように、並進機構13は、並進駆動モータM13、好ましくは電気モータを備えることができ、これがフランジ11、12に作用し、例えば、(
図5に示すように)モータM13に並進駆動されるロッド16、17を使用して、好ましくはフレーム9に含有されたネジ及びナット移動変換システム18を使用して、シャンク14に沿って摺動させることでフランジ11、12を移動するようにする。フランジ11、12とロッド16、17との結合は、以下でより詳細に説明する1又は2以上のフィンガー62、63、64、65によって実施することができる。
【0039】
中心距離値dZは、例えば、フランジ11、12又は並進機構13(特に、並進機構13を起動する駆動モータM13)と関連して各フランジ11、12の軸線方向位置を測定するか、又はモータM13のシャフトの角度位置からフランジ11、12の軸線方向位置を推定することを可能にするセンサを使用するようなあらゆる適切な手段で測定又は評価することができる。
【0040】
同じく、ドラム10は中心フープ15を備えることができ、この中心フープ15は、各フランジ11、12の一端にわたっており、従って、2つのフランジ11、12の間にドラム10の可視面に関する連続性を保証するブリッジを形成するためにフランジ11、12の上に摺動可能に着座する。従って、フープ15は、特に、ドラム10の上にタイヤ2を組み立てる間、カーカスブロックの構成要素を「平坦」敷設するための支持体を形成し、フランジ11、12の軸線方向移動中に中心距離dZの変動に適応することができる。
【0041】
特に
図5、16、18に見ることができるように、ドラム10は、好ましくは、各フランジ11、12の上に星形に取り付けられ、ピボット21で各フランジ11、12に関節結合されたアーム20を備えるので、アーム20は、中心軸線Z10に対してピボット回転することにより、交互に半径方向に展開し(
図16及び18)かつ後退する(
図2、4、5、6、11)ことができる。
【0042】
アーム20の自由端はローラー22を担持しており、アーム20が半径方向に展開され、フランジ11、12が軸線方向に収束する時に、ローラー22は、カーカスプライの軸端を形成して好ましくはタイヤ2の側壁に一体化されるように意図した1又は2以上の構成要素を担持するカーカスプライの縁部をビードコアの上に折り曲げ、タイヤ2の側壁を形成することになるカーカスプライの対応する部分にその縁部を押圧する段階から構成される折り重ね作動を実行するようになっている。
【0043】
ローラー22を有するこれらのアーム20は、硬化のための生タイヤを送る前にクラウンブロックのカーカスブロックとの良好な密着を保証するために、成形されたカーカスブロックの上にクラウンブロックを敷設した後で、側壁の半径方向外側部分をクラウンブロックの上に折り重ねて圧延する役割を果たすことができる。
【0044】
アーム20のピボット回転を制御するために、あらゆる適切な展開機構23を使用することができる。この目的に対して、例えば、
図5及び16に示すように、リング24、25に関連付けられたフランジ11、12に設けてフランジの上で並進案内することができ、フランジ11、12に対するこのリングの相対的な軸線方向移動により、適切なリンケージを通してアーム20のピボット回転がもたらされる。
【0045】
同じく、デバイス1は、流体、好ましくは空気を周囲の大気圧よりも高い圧力でフランジ11、12の間に位置する環状空間に注入するように設計された膨張システム(図示せず)を備えることが好ましく、その環状空間の半径方向外側限界は、成形するタイヤ2によって形成される。従って、この膨張はタイヤ2の半径方向拡張に寄与し、有利なことに、特にクラウンブロックの敷設中にタイヤ2をドーナツ形態に保持する。
【0046】
デバイス1はまた、「角度差」dAとして公知の第2のフランジ12に対する第1のフランジ11の相対方位角位置を修正を可能にするために、中心軸線Z10の周りに第1のフランジ11及び/又は第2のフランジ12の回転を可能にする回転機構30を備える。
【0047】
実際に、第1のフランジ11の角度位置A11と第2のフランジ12の角度位置A12とを同じ原点に対して共通座標系、例えば、フレーム9に関連付けられた座標系で測定する場合に、角度差dAは、第1のフランジの角度位置A11と第2のフランジ12角度位置A12との差の代数値を表す(これら各値の符号を考慮に入れて):dA=A11-A12。
【0048】
角度差dAは、例えば、コーダー又はレゾルバータイプの角度センサを使用して第1のフランジ11及び第2のフランジ12の各々の環状位置A11、A12を測定することのようなあらゆる適切な手段で評価又は測定することができる。
【0049】
慣例により、フランジの角度位置A11、A12は、反時計回りの回転に対応する場合に正の符号を有し(三角法の意味)、時計回りの回転に対応する場合に負の符号を有することができる。
【0050】
慣例により、タイヤが「平坦」な初期構成では、2つのフランジ11、12が共通の角度原点に位置合わせされるので、初期角度差はゼロであり、dA_init=0deg.と考えることができる。
【0051】
実際に、タイヤ2がドーナツ形態であってカーカスプライの補強スレッドが放射状化される最終構成では、最終角度差dA_finalは、タイヤ2の構造及び寸法、特に、タイヤに関する側壁の半径方向高さとクラウンの幅との比率に依存する。好ましくは、最終角度差dA_finalは、0度~30度、より多くの場合に1度~20度、特に5度~15度にあるものとすることができる。
【0052】
本発明により、デバイス1は、
図1に示すように、「条件付き支援モード」と呼ばれる機能モードを有する制御法則L40を適用するように構成された制御システム40を備え、この場合に、i)「第1の適用領域」DIと呼ばれる第1の予め決められた中心距離範囲にわたって、制御法則L40は、第1の適用領域DIの各中心距離値dZに「許容領域」DdAと呼ばれる許容角度差範囲を関連付け、この許容角度差範囲は、低境界DdA_minと、低境界DdA_minとは別の高境界DdA_maxとによって区切られた予め決められた振幅H_DdAを有し、かつii)フランジ11、12の相互軸線方向収束が実行され(初期構成から最終構成に渡すために)、従って、中心距離dZが第1の適用領域DIを通過する(従って、一方の側から他方の側へ徐々に移動する)時に、角度差dAが許容領域DdAの内側にある場合に、回転機構30は受動的なままであり、第1のフランジ11及び第2のフランジ12が、タイヤ2の半径方向拡張とフランジ11、12の相互軸線方向収束とに対するタイヤ2の自然応答の効果の下で、互いに対して自由に回転することを可能にするようにし、角度差dAが許容領域DdAの境界DdA_min、DdA_maxの一方に到達するか又は許容領域DdAから離れた場合に、回転機構30は回転による支援を選択的にトリガしてフランジ11、12の相対回転を能動的に管理し、角度差dAが許容領域DdAに留まるか又は許容領域DdA内に戻るように強制する。
【0053】
有利なことに、制御法則L40は、このようにして、同じ中心距離値dZに対して実際の角度差dAが許容領域DdAの内側にあるか又は許容領域DdAの外側にあるかに応じて、デバイス1が選択的に2つの状態、すなわち、自由回転の状態か又は支援回転の状態を取れることを提供する。
【0054】
有利なことに、本発明による制御法則L40により、結果として以下の場合にフランジ11、12を浮動的状態、すなわち、自由な相対回転状態のままにしておくことが可能になる;
-実際の角度差dAが許容領域DdAから離れない限り(その場合に、電動支援をトリガすることによって角度差dAを能動的に修正する必要がない)、
-又は、実際の角度差dAが、一時的に許容領域DdA外に(又は境界上に)あった後で厳密に許容領域DdA内に戻ったためにもはや以前にトリガされた支援を維持する必要がなくなり、支援を無効にすることができる時。
【0055】
当該中心距離値dZでの許容領域の振幅H_DdAは、タイヤ2によって結合されたフランジ11、12によって形成されたシステムに許容される自然な自己規制に関する許容範囲を定める。
【0056】
上述のように、同じ制御法則L40は、結果として比較的汎用性があり、それは、関連する各タイヤ2に対して、フランジ11、12の回転に与える支援の持続時間及び強度を個別的に適合させることができるからであり、支援のトリガ及び/又は継続が、成形作動に対する当該タイヤ2の固有応答に条件付けられるからである。
【0057】
機械式ランプシステム(下記参照)、制御式クラッチ係合、回転支援のための1又は2以上のモータM30の選択的な適用のようなあらゆる適切な手段により、支援のトリガ又は無効化をそれぞれに実施することができる。
【0058】
これに関連して、回転機構30は、それ自身の駆動モータM30を備えることができ、適切な移動変換システムを使用して並進機構13の駆動モータM13からその動力を引き出すことができることに注意されたい。
【0059】
いずれの場合にも、フランジ11、12の回転移動、より具体的には、フランジ11、12の回転支援は、フランジ11、12の軸線方向並進移動、より具体的には、フランジ11、12の相互軸線方向収束移動と同期させることができる。
【0060】
【0061】
この図解では、点線が例示的理論展開曲線41を示し、この理論展開曲線41は、成形作動時にタイヤ2の所与のモデルに最適であると見なされる中心距離dZの関数としての角度差dAの展開に対応する。
【0062】
この理論展開曲線41は直線ではなく、角度差の初期値dA_initに対して実質的に接線で始まり、次にここでは第1の適用領域DIの実質的に中心に位置する変曲点を通過し、次に角度差の最終値dA_finalに対して接線で終端する緩やかな移行を有するので、理論展開曲線41が実質的にS字形であることに注意されたい。
【0063】
好ましくは、この理論展開曲線41は、少なくともクラスC1であり、すなわち、微分可能であり、その微分は、少なくとも第1の適用領域DIを形成する区間にわたって連続であり、好ましくは、初期構成に対応する初期中心距離dZ_initから最終構成に対応する最終中心距離dZ_finalまで延びる全中心距離間隔D_totにわたって連続である。従って、この理論展開を辿る成形は、ジャーク又は過度の応力を伴わずに徐々に進行し、従ってタイヤ2の完全性を尊重することになる。
【0064】
理論的展開曲線41は、ここでは陰影を付けた許容領域DdA内に含まれるか又は所々でその境界の1つ、ここでは許容領域DdAの高境界DdA_maxに沿って延びる。
【0065】
境界DdA_max、DdA_minはまた、好ましくは少なくともクラスC1の曲線を辿り、高境界DdA_maxが理論展開曲線41の上に横たわり、低境界DdA_minが理論展開曲線41の下方に横たわり、これらの境界は、関連する各中心距離値dZに対して、関連する中心距離値dZに対する許容領域の振幅H_DdAを表す高さだけ互いに隔てられる。
【0066】
境界DdA_max、DdA_min、理論展開曲線41、及びより一般的には制御法則40は、好ましくは単調関数であり、これにより、中心距離dZが減少する間に角度差dAが連続的に増加する。
【0067】
理論展開曲線41上に示す矢印は、理論展開曲線41の及び従ってより一般的には成形作動中の制御法則L40の移動方向を示す。
【0068】
連続線の第2の曲線42は、支援なしで進行する成形作動中の第1のタイヤ2に関する実際の挙動例であるが、成形作動中に、タイヤ2は、実際の角度差dAが自然に許容領域DdA内に恒久的に留まるように応答するために制御法則L40は第1の適用領域DIでは決して支援をトリガしない。
【0069】
しかし、一点鎖線の第3の曲線43は、例えば、フランジ11、12の回転機構30での過度の摩擦発生に関連付けられた「ハードポイント」に起因してタイヤ2が実際の角度差dAを許容領域DdA内に自然に保つことができない成形の例を示し、実際の角度差dAは、境界、ここでは図解上の点M1で低境界DdA_maxに「衝突し」、この事例では、許容可能な角度差dAを維持する一方で軸線方向収束が継続し、従って、中心距離dZが減少するように、低境界DdA_maxに沿って成形の継続を可能にする支援がトリガされる。同じ例では、「ハードポイント」を過ぎた状態で、回転機構30はその流動状態を回復するので、フランジ11、12の回転が追いつき、角度差dAが許容領域DdA内に、ここでは点M2に戻り、支援の取り消しと、フランジ11、12の自由な回転移動を伴う成形の継続とをもたらすことに注意されたい。
【0070】
図1の図解の下部にある第2の陰影付き領域は、理論的な展開曲線41に対する許容領域の振幅H_DdA及び従って角度差dAの許容値に関する展開を示し、ここでは横座標軸線に示している。
【0071】
好ましくは、許容領域の振幅H_DdAは、フランジ11、12に対して少なくとも2度、更に少なくとも5度に達する可能性があり、同じく、好ましくは30度未満、更に15度未満である相対角度変位及び従って可能な角度差dAを提供する。
【0072】
言い換えれば、第1の適用領域DIに横たわる中心距離dZに関して制御法則L40が他方のフランジ12に対するフランジ11の相対角度変位を許可し、少なくとも2度、好ましくは少なくとも5度に等しい少なくとも1つの値が存在し、一方で第1の適用領域DI全体に対しては、許可された角度変位は30度を超えず、好ましくは15度を超えない。
【0073】
結果としてフランジ11、12に対してこのように許容される角度変位は、最初に、この自由回転がタイヤ2に害を与えない限り、制御システム40がフランジ11、12の自由回転を優先することができるほどに大きく、かつタイヤ2に損傷を与える可能性がある捻れ状態が発生する前に制御システム40が確実に支援をトリガするほどに小さい。
【0074】
同じく、好ましいことに、許容領域の振幅H_DdAが中心距離dZの関数として変化することに注意されたい。
【0075】
従って、制御法則L40は、中心距離dZの関数として一定ではない振幅H_DdAを定め、従って、タイヤ2の成形程度及び/又はタイヤ2の非線形挙動に対して制御システム40の許容範囲を有利に徐々に適合させることができる。
【0076】
例えば、制御システム40の応答度を促進するために、制御システム40を比較的厳しくし、従って振幅H_DdAを成形開始時に比較的小さくすることができるので、角差dAが、回転開始時のフランジの慣性に起因する(より全体的には、フランジの自由回転に対抗する抵抗トルクに起因する)高トルクの影響下で急速に増加し過ぎた場合に、ほぼ瞬時に支援をトリガすることができ、このトルクは、タイヤ2を損傷させるか又は破壊するリスクさえあるものである。その後に、フランジ11、12の回転移動が始まった状態で、軸線方向収束が進行している間、振幅H_DdAは増加する可能性があり、従って、制御システム40はより寛容になるので、電動支援を提供する時にあまり迅速でなくなる。従って、制御システムは、特に、捻れ下でのタイヤ2の粘弾性挙動に関連付けられた角度差dAの変動及び/又はフランジ11、12の自由な回転を妨げる摩擦の変動を満足することができる。成形の終了時に、振幅H_DdAを再び低減することができ、従って、制御システム40は再び厳しくなり、角度差dAが望ましい目標値dA_finalから僅かでも逸脱した場合に支援をトリガすることによって精度を得るようにし、タイヤ側壁の補強スレッドの正しい放射状化を達成する。
【0077】
好ましくは、制御法則L40によって定められた許容領域DdAは、第1の適用領域DIの第1の部分DI_1にわたって中心距離dZが減少する間に最初は増加する振幅H_DdAを有し、この第1の部分DI_1は、タイヤ2に関する初期の実質的に円筒形構成に対応する初期中心距離dZ_initに向けて位置し、好ましくはこれを備え、次に、第1の適用領域DIの第2の部分DI_2にわたって減少する振幅H_DdAを有し、この第2の部分DI_2は、タイヤ2の最終ドーナツ形構成に対応する最終中心距離dZ_finalに向けて位置するか又はそれを備え、角度差dAは、最終構成での望ましい角度差に対応するターゲット最終角度差dA_finalに向けて収束するようになっている。
【0078】
すなわち、許容領域の振幅H_DdAを表す領域は、第1の適用領域DIの中心部分に膨らみを有し、制御システム40に上述のような適応性を与える。有利なことに、境界DdA_min、DdA_maxが最終角度差dA_finalの同じターゲット値に向けて収束すること、従って、第1の適用領域の第2の部分DI_2での振幅H_DdAの対応する減少は、中心距離dZ及びタイヤ2が最終構成に近づくほど、制御システム40は、他のフランジ12に対するフランジ11の自由な角度変位を許容しなくなり、従って、側壁補強スレッドの方位を正確に制御するために、回転による支援をトリガしやすくなる傾向があることを意味する。
【0079】
好ましくは、第1の適用領域DIは、タイヤ2を初期の実質的に円筒形構成から望ましいドーナツ形構成に対応する最終構成に移行させるのに必要なフランジ11、12の全軸線方向移動中に、中心距離dZによって説明される全中心距離間隔D_totの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、更に少なくも90%を網羅する。
【0080】
すなわち、有利なことに、制御システム40は、自由回転を優先させ、フランジ11、12の軸線方向移動及び従って成形作動の本質的に大部分又は更にほとんど全体を通して条件付き支援の原則を適用し、フランジ11、12に拘束制御を実際に適用するのは、軸線方向移動の正に最後だけであり、場合によって必要に応じて軸線方向移動の正に最初である。
【0081】
同じく、全く別の発明を構成する場合がある好ましい特徴により、制御法則L40は、少なくとも1つの回転阻止機能を備え、好ましくは、以下から選択される2つの回転阻止機能を備える:
i)初期中心距離値dZ_init又は第1の適用領域DIに先行する中心距離値の範囲D_lock_initに対応する初期構成で及びタイヤ2が成形作動前の円筒形態を有する状態でフランジ11、12の相対回転を阻止することを可能にする第1の回転阻止機能F_lock_1、及び
ii)最終中心距離値dZ_final又は第1の適用領域DIに続く中心距離値の範囲D_lock_finalに対応する最終構成で及びタイヤ2が成形作動完了後の望ましいドーナツ形態を有する状態でフランジ11、12の相対回転を阻止することを可能にする第2の回転阻止機能F_lock_2。
【0082】
第1の回転阻止機能F_lock_1は、有利なことに、作動された場合に、タイヤの平坦組立の段階中にフランジ11、12の互いに対する回転とシャンク14に対する回転とを阻止することを可能にし、少なくともカーカスプライ及びビードコアを備えるカーカスブロックの構成要素をドラム10上の敷設する間にドラム10が安定した一体形のアセンブリとして挙動することを保証する。その後に、成形作動の開始時に第1の回転阻止機能F_lock_1を無効にしてフランジ11、12の相対回転を可能にすることになる。
【0083】
第2の回転阻止機能F_lock_2は、有利なことに、成形作動の終了時にフランジ11、12の相対回転を阻止することを可能にし、トレッドを備えるクラウンブロックを成形済みのタイヤ2(ここではカーカスブロック)に取り付けて固定する間又はアーム20を使用して圧延作動を行う間のタイヤ2のビード3、4の安定した支持を保証する。
【0084】
すなわち、第1の適用領域D1の両側で、それぞれ、成形に必要な軸線方向移動の開始前に及び成形に必要な軸線方向移動の終了時に起動することができる阻止機能F_lock_1、F_lock_2は、例えば、機械式摩擦ブレーキ、機械式係止、管理されたクラッチシステム、モータブレーキとしての回転モータの制御又はガイドランプの特定配置などを備えるシャンク14に対するフランジ11、12の回転を阻止するためのあらゆる適切な手段によって実施することができる。
【0085】
グラフ的には、上述の特徴を考慮すると、
図1に示すように、境界DdA_max、DdA_minは、好ましくは、理論展開曲線41と同様にS字形の曲線を辿ることがき、このS字形の曲線は、その開始点dZ_initでは、初期中心距離値dA_initに対する接線を有し、この接線は水平であって好ましくは両境界に共通であり、次に変曲点を有する漸進的な展開になり、次に最終中心距離値dA_finalでの接線に向けて収束し、ここでも、その接線は水平であって好ましくは両境界に共通であることに注意されたい。
【0086】
第1の可能な実施形態により、制御法則L40は電子形式を取り、好ましくは、数式、マップ、チャート、又は表のような1セットの数値データの形式を取り、
図2に示すように、並進機構13及び回転機構30を起動する1又は2以上のモータM13、M30を管理する制御システム40のコンピュータ50に利用可能になる。
【0087】
有利なことに、そのようなソリューションにより、特に、ドラム10の機械式要素の修正を必要とすることなく、成形するタイヤ2の新しい各モデルにデバイス1を適合させるための制御法則L40の簡単なプログラミング又は再プログラミングが可能になる。
【0088】
同じく、それにより、成形作動に適用することができる様々なパラメータの関数として特にタイヤ2の半径方向拡張をもたらすように選択される膨張圧力の関数として制御法則L40を発展させることができる。
【0089】
この第1の可能な実施形態により、タイヤ2の成形を実行するために、コンピュータ50は、並進駆動モータM13を管理してフランジ11、12の軸線方向収束を強制し、例えば、並進機構13に組み込まれたセンサで各フランジ11、12の軸線方向位置を測定又は評価することにより、対応する中心距離dZを評価し、同時に、例えば、適切なセンサでフランジ11、12の各々の角度位置A11、A12を測定することにより、各瞬間での角度差dAを評価する。すなわち、コンピュータ50は、考慮する各瞬間では、実際の作動点(dZ,dA)、すなわち、その点の座標(
図1のグラフ上)は、横座標に対して実際の中心距離dZであり、縦座標に対して実際の角度差dAである点を制御法則L40が定める許容領域DdAと比較し、従って以下を決定することができる:
-実際の作動点(dZ,dA)が許容領域DdA内にある場合に、フランジ11、12を自由な相対回転状態のままにして軸線方向収束を継続すること、
-又は、実際の作動点(dZ、dA)が許容領域の境界DdA_min、DdA_maxに到達するか又は横切る場合に、フランジ11、12の相対回転を制御する支援をトリガしてフランジの自然な回転の不適合性を補償し、従って作動点を許容領域DdA内に保つ又は戻すこと。
【0090】
電子的な仮想制御法則L40に従うコンピュータ50による支援の起動は、回転機構30の性質に依存する可能性がある。
【0091】
好ましくは、回転機構30には、並進駆動モータM13とは別の1又は2以上の特定の駆動モータM30を設けることができる。この場合に、コンピュータ50は、支援のトリガを決定すると、回転駆動モータM30を選択的に作動させ、フランジ11、12の回転を助けるトルクを提供し、及び/又はフランジの角度位置A11、A12を制御することができる。従って、電子的制御法則L40を適用する制御システム40は、中心距離値dZの関数として該当する場合は中心距離dZの進行速度の関数として、従って、制御法則L40があらゆる中心距離値dZに対して定めて調節することができる同期比率(並進駆動モータM13と回転駆動モータM30の間)に従う回転駆動モータM13の管理の関数としてフランジ11、12の支援の強さ及び回転変位量を調節する「電気カム」として機能することができる。
【0092】
好ましくは、そのような回転機構30は、コンピュータ50によって管理されるクラッチであって、このクラッチが回転駆動モータM30と当該フランジとを結合してフランジ11、12の相対回転を助ける係合構成か又はクラッチが当該フランジ11、12を駆動モータM30から切り離し、より具体的には、駆動モータM30及びその減速ギアを有する移動連鎖からフランジ11、12を切り離してフランジ11、12の相対回転を解除する、より具体的には、フランジ11、12の自由な回転を妨げる可能な抵抗トルクをモータM30及びその減速ギアが印加しないように防ぐ解除構成かのいずれかを選択的に取ることができる上記クラッチを備えることができる。
【0093】
いずれの場合にも、コンピュータ50及び従ってより一般的に電子的制御法則L40を適用する制御システム40は、有利なことに、閾値システムを適用して作動点(dZ,dA)が許容領域DdAの境界に及び従って支援が必要になる限界にすぐ隣接しているので、支援のトリガとそれに続く支援の取り消しとの急速すぎる交替から生じる可能な振動を回避することができる。
【0094】
従って、例えば、許容領域DdAに位置する作動点が許容領域の境界DdA_min、DdA_maxに到達した時に(
図1の点M1)支援をトリガする場合に、作動点が、支援をトリガした境界DdA_min、DdA_maxから予め定められた閾値(角度)距離で及び/又は当該瞬間に作動点(dZ,dA)に最も近い境界DdA_min、DdA_maxから予め定められた閾値(角度)距離で厳密に許容領域DdA内に戻るまで支援を維持することができる、
【0095】
1つの可能性により、この実際の作動点(dZ,dA)が理論展開曲線41に達するまで支援を維持することができ、すなわち、コンピュータ50は、支援を起動するための設定値として理論展開曲線41を使用し、この設定値に従ってフランジ11、12の回転を管理する。
図1の図解によりかつ第3の曲線43に示した成形作動を参照すると、能動的な支援は、支援が許容領域の低境界DdA_minでトリガされる点M1から第3の曲線43と理論展開曲線41との交点M2’まで維持され、この点M2’からは支援が再び無効化される。
【0096】
支援により、フランジ11、12がそれらの角度位置を修正して満足することができる角度差dA、例えば、進行中の実際の中心距離dZに関して理論的発展曲線41が与える角度差dAに戻ることが可能になった状態で、コンピュータ50及びより一般的には制御システム40は、支援を無効にしてフランジ11、12の相対回転の自由度を回復することができる。
【0097】
完全に別の発明を構成する場合がある第2の可能な実施形態により、制御法則L40は、電子的及び従って仮想的ではなく、特に
図3、4、5、6、7、8、10、12、13、14、15、16、17、18に示すようにフランジ11、12の一方に固定されたフィンガー62、63、64、65を係合によって保持するガイド溝61に対応する機械式ガイド60によって実施することができる。
【0098】
図3に及び次に
図7、10、12、15、17に明確に示すように、ガイド溝61は、関連するフィンガー62、63、64、65に対してガイドプロファイル66、67、68、69を形成する側縁を有し、このガイドプロファイルは、中心距離dZの修正時に当該フィンガー62、63、64、65の軸線方向移動を可能にする一方、中心軸線Z10の周りに許容領域DdAの方位角境界を形成して第1に当該フィンガー62、63、64、65及び従って対応するフランジ11、12に当該フィンガー62、63、64、65の及び従って当該フランジ11、12の各軸線方向位置での当該軸線方向位置に対する許容領域の振幅H_DdAに対応する角度変位RAを提供し、次に、当該フィンガー62、63、64、65が許容領域の境界DdA_min、DdA_maxの一方に対応する方位角位置に達した時に、当該フィンガー62、63、64、65の及び従って対応するフランジ11、12の方位角回転に対する周方向ストップを形成することにより、当該フィンガー62、63、64、65を許容領域DdA内に保持する。
【0099】
より具体的には、ガイド溝61は、以下を備えることができる:
-未放射状化の補強スレッドを有する初期構成でのフランジ11、12の角度位置に対応する第1のガイドプロファイル66であって、好ましくは、中心軸線Z10に平行な第1の直線平坦セクションの形態を取る上記第1のガイドプロファイル66;
-放射状化済みの補強スレッドを有する最終構成でのフランジ11、12の角度位置に対応する第2のガイドプロファイル67であって、好ましくは、中心軸線Z10に平行で第1のガイドプロファイル66に対して方位角がオフセットした第2の直線平坦セクションの形態を取る上記第2のガイドプロファイル67;
-第1の未放射状化平坦セクションと第2の放射状化済み平坦セクションとの移行を保証し、タイヤ2の成形に必要なフランジ11、12の軸線方向収束中に軸線方向駆動モータM13がフィンガー62、63、64、65に及ぼす軸線方向推力を回転トルクに変換することにより、フィンガー62、63、64、65の周方向移動及び従ってフランジ11、12の回転を強制することができる放射状化ランプを形成する第3のガイドプロファイル68;
-及び、成形方向、すなわち、中心距離dZを低減する方向でフィンガー62、63、64、65の方位角回転の可能な振幅を制限して角度差dAを許容領域DdAの外へ、ここでは上側境界DdA_maxの対向側にもたらすことになるフランジ11、12の過度な自由回転作動を防止する第4のガイドプロファイル69。有利なことに、逆方向、すなわち、戻り方向では、新しいタイヤ2を生成することができるようにドラム10をその初期構成に戻すためにフランジ11、12が軸線方向に遠ざかる場合に、第4のガイドプロファイル69は、第2の平坦セクションと第1の平坦セクションとの移行部を提供する再初期化ランプを形成し、この目的に対して、フランジを互いに遠ざける軸線方向駆動モータM13が及ぼす軸線方向推力を変換することにより、フィンガー62、63、64、65の及び従ってフランジ11、12の回転が、放射状化を可能にする回転方向とは反対の方向に強制され、フィンガー及びフランジを初期の角度位置に戻すことができる。
【0100】
実際に、第1及び第3のガイドプロファイル66、68は、許容領域DdAの低境界DdA_minに対応し、第2の及び第4のガイドプロファイル67、69は、高境界DdA_maxに対応する。
【0101】
特に
図3に見ることができるように、ランプを形成する第3のガイドプロファイル68は、好ましくは中心軸線Z10に対して螺旋状の経路を辿り、螺旋角度B68は1度~45度、好ましくは、2度~30度、例えば、5度~20度にある。
【0102】
同様に、ランプを形成する第4のガイドプロファイル69は、好ましくは中心軸線Z10に対して螺旋状の経路を辿り、螺旋角度B69は1度~45度、好ましくは、2度~30度、例えば、5度~20度にある。
【0103】
第4の螺旋状プロファイル69の螺旋角B69は、第3の螺旋状プロファイル68の螺旋角B68に等しいか、又は場合によって厳密にそれよりも大きいとすることができる。
【0104】
同じく、第4のガイドプロファイル69は、第3のガイドプロファイル68に対して軸線方向にオフセットされ、上述したように許容領域の振幅H_Dda及び従って許容領域DdAでの膨らみの漸進的変動の効果を与えることが好ましい。
【0105】
第3のガイドプロファイル68及び/又は第4のガイドプロファイル69は、軸線方向位置と角度位置との比例した線形関係、又は許容領域DdAの湾曲境界DdA_min,DdA_maxを反映する非線形関係、例えば、上述のようにS字形に湾曲した境界を確立するように成形することができる。
【0106】
好ましくは、デバイス1、より具体的には、ドラム10は、各フランジ11、12に対して1つずつの2つの機械式ガイド60を有する。好ましくは、これらのガイドは、第1のガイド60の溝が第1のフランジ11の回転を一方向にずらすように構成される一方で第2のガイド60の溝が第2のフランジ12の回転を反対方向にずらすように構成されるような実質的に対称な配置を有することができる。
【0107】
当然のことながら、回転の経路及び従って得られる角度差dAは、このように2つのガイド60にわたって分割されるので、各ガイド60の寸法は、関連するフランジ11、12に関して各ガイドが許可する角度変位RAの個々の振幅、並びにそれに応じて適合され、両方のガイド60にわたる総角度変位RAが制御法則L40が定める総許容領域DdAに対応するようになっている。
【0108】
勿論、本発明の範囲を逸脱することなく、第1及び第2のフランジ11、12の一方だけに制御法則L40を適用するために単一ガイド60を設けることも当然可能である。
【0109】
好ましくは、ガイド60は、シャンク14によって担持される取り外し可能なプレートの形態を取るので、ガイド60は、成形するタイヤ2のモデルの関数として容易に修正することができる。従って、デバイス1は、多くの異なるタイヤ2に適合したそれと同数の機械式ガイド60を形成する交換可能な1セットのプレートを備えることができる。
【0110】
好ましくは、
図3、7、10、12、15、及び17に示すように、ガイド溝61は、フランジ11、12の軸線方向収束の方向に対応する方向に以下を備える一連のいくつかの部分61_1、61_2、61_3を軸線方向に有する:
-阻止部分を形成する第1の部分61_1であって、その範囲内では、
図7に示すように、フィンガー62、63、64、65及び従って対応するフランジ11、12が、タイヤ2が実質的に円筒形態を有する初期構成に対応した「初期角度位置」と呼ばれる第1の角度位置で回転阻止される上記第1の部分61_1;
-次に、解除部分を形成する第2の部分61_2であって、その範囲内では、
図12に示すように、フィンガー62、63、64、65及び従ってフランジ11、12が、許容領域の振幅H_DdAで与えられるものに対応する角度変位RAにわたって回転自由である上記第2の部分61_2;
-次に、別の阻止部分を形成する第3の部分61_3であって、その範囲内では、
図15及び17に示すように、フィンガー62、63、64、65及び従ってフランジ11、12が、「最終角度位置」と呼ばれるタイヤ2が望ましいドーナツ形態を有する最終構成に対応する第1の角度位置とは異なる第2の角度位置で回転阻止される上記第3の部分61_3。
【0111】
有利なことに、第1の部分61_1は、このようにして、上述の第1の阻止機能F_lock_1を達成し、デバイス1、より具体的には、ドラム10及びフランジ11、12を初期中心距離dZ_initに等しい中心距離及び初期角度差dA_initに等しい角度差によって特徴付けられ、タイヤ2の平坦組立を可能にする初期構成に保つことができる(
図6及び7)。
【0112】
同様に、第3の部分61_3は、第2のブロック機能F_lock_2を達成し、フランジ11、12を放射状化の補強スレッドを有する最終構成に正確に保つことができるようにする(
図14、15、16、17、18)。
【0113】
例えば、第2の部分61_2は、関連するフランジ11、12に対して好ましくは少なくとも2度、少なくとも3度、更には少なくとも5度、好ましくは30度未満、又は15度未満、又は10度未満である角度変位RAを提供する。
【0114】
実際に、フランジ11、12とそれぞれ関連する2つのガイド60を使用する場合に、各当該中心距離値dZで各ガイド60が提供する角変位RAは、当該中心距離値dZに対して定められる許容領域の振幅H_DdAの実質的に又は正確に半分に対応することができる。
【0115】
可能な変形実施形態により、2つのフィンガー62、63、64、65を各フランジ11、12に関連付けることができ、その2つのフィンガーは、特に
図4、5、7、10、12、15、及び17に見ることができるように、好ましくは同じガイド溝61に捕捉される。
【0116】
同じフランジ11の2つのフィンガー62、63は、両方とも制御法則L40の適用に寄与するようにフランジ11に回転可能に固定されることが好ましいが、
図16、17及び18に示すように、特定の条件下では互いに軸線方向に離間してアーム20の回転展開を強制して制御することができる。
【0117】
この目的に対して、ガイド溝61の第3の部分61_3は、有利なことに、中心軸線Z10に平行な直線スライドレールを形成することができ、このスライドレールは、ガイド溝61を延び、最終角度差dA_finalに従ってフランジの回転を阻止しながら、第1のフィンガー62に対する第2のフィンガー63の並進の継続を可能にする。
【0118】
第2のフィンガー63が、好ましくはリング24上に保持されるのに対して、第1のフィンガー62は、第1のフランジ11上及び従ってリング24が摺動可能な本体上に保持されるので、
図16、17及び18に示すように、ガイド溝61内での第1のフィンガー62に対する第2のフィンガー63の軸線方向平行移動は、第1のフランジ11上のリング24の同等な軸線方向平行移動及び従ってアーム2の外側に向けたピボット回転を引き起こす。
【0119】
同じく、制御法則L40が電子的であるか又は機械的であるかに応じて、異なる利点が得られることに注意されたい。
【0120】
すなわち、機械式ガイド60の使用により、デバイス1及びドラム10を簡素化することが可能になるが、それは特に、フランジ11、12の回転を管理することに特化したモータM30が不要になるからである。同じく、機械式ガイド60の使用は、成形前、カーカスブロックの平坦組立中、次に成形後に、特にクラウンブロックの敷設中及び/又はタイヤ側壁の圧延中に、特にフランジ11、12の回転阻止を保証するための特にロバストで正確なソリューションを提供する。
【0121】
しかし、生成するタイヤ2の寸法及びより一般的にはモデルを修正する時に、機械式ガイド60を修正しなければならない。
【0122】
同じく、上述のようなガイドレール61を有する機械式ガイド60を使用する場合に、フランジ11の初期軸線方向位置への復帰は、当該フランジの初期角度位置への復帰も伴う。従って、フランジ11、12の回転移動は常に同じ比較的制限された角度区域で生産サイクルにわたって繰返し実行され、これは、フランジ11、12、シャンク14、又はこれらの要素を支持する軸受に関する局所的な摩耗の発生を助ける可能性がある。
【0123】
しかし、電子的制御法則L40の使用により、制御法則L40のパラメータを再プログラミング又は修正することにより、又は予め定められた複数の制御法則L40を備えるライブラリから制御法則L40をダウンロードすることにより、タイヤ2の異なるモデルの簡単な適応化を可能にすることができる。
【0124】
同じく、電子的制御法則L40の使用により、新しいサイクルを開始するための角度原点として先行するサイクルに使用された元の角度位置に戻ることを必要とせずに、先行サイクルの最終角度構成でフランジ11、12が到達したフランジの角度位置を使用することが可能になる。すなわち、新しい各生産サイクルは、フランジ11、12及びシャンク14の先行サイクル中に含まれた角度区域に対してオフセットされた角度区域で実行することができる。このようにして、連続するサイクル中に角度設定値の原点を角度増分することにより、フランジ11、12、シャンク14、及びそれぞれの軸受の外周全体を通して応力及び摩耗を実質的に均等に分散させることができ、その結果、これらの機械要素の寿命延長に寄与する。
【0125】
当然のことながら、本発明は、タイヤ2、より具体的には、偏向クラウンを有するタイヤ2を成形する方法にも関する。
【0126】
本方法は、収束段階を備え、その段階中に、タイヤ2の第1のビード3を担持する第1のフランジ11と、タイヤ2の第2のビード4を担持する第2のフランジ12とを互いに軸線方向に近づけて「中心距離」dZと呼ばれるフランジを軸線方向に分離する距離を修正し、タイヤ2が初期の実質的に円筒形構成から最終のドーナツ形構成に渡すようにする。
【0127】
中心距離dZの漸進的かつ連続的な減少に反映される軸線方向収束は、フランジ11、12に作用する並進機構13を駆動するモータM13によって生成される。
【0128】
本発明により、軸線方向収束段階中に、「角度差」dAと呼ばれる第2のフランジ12に対する第1のフランジ11の相対方位角位置が測定され、第1のフランジ11及び/又は第2のフランジ12のフランジ11、12に共通の中心軸線Z10周りの回転は、制御法則L40の実施によって制御される。
【0129】
本方法の可能な実施形態により、制御法則L40を電子形式で、好ましくは数値データの形式でプログラムして第1の及び/又は第2のフランジ11、12を回転作動させる1又は2以上のモータM13、M30の電子管理を可能にする。
【0130】
絶対的な観点では、回転による支援に必要な機械的エネルギは、フランジ11、12の軸線方向収束を保証する並進機構13を(も)起動する役割を果たす駆動モータM13からエネルギを引き出すことによって間接的に得ることができる。しかし、回転による支援に必要な機械的エネルギは、この目的のために、フランジ11、12の回転に特化した1又は2以上のモータM30を起動することによって直接的に得られることが好ましい。
【0131】
本方法に関する別の可能な実施により、制御法則L40は、フランジ11、12の一方に固定されたフィンガー62、63、64、65と協働するガイド溝61を有する機械式ガイド60によって実施される。
【0132】
制御法則L40によって想定される電子的又は機械的の形態が何であれ、全ての場合で、制御法則L40は、条件付き支援モードを備え、このモードでは、「第1の適用領域」DIと呼ばれる第1の予め決められた中心距離範囲にわたって、制御法則L40が、第1の適用領域DIの各中心距離値dZに「許容領域」DdAと呼ばれる許容角度差範囲を関連付け、この許容角度差の範囲は、低境界DdA_min及び高境界DdA_maxによって区切られた予め決められた振幅H_DdAを有し、次に、このモードでは、測定された角度差dAが許容領域DdAの内側にある場合に、第1のフランジ11及び第2のフランジ12が、タイヤ2の半径方向拡張とフランジ11、12の相互軸線方向収束とに対するタイヤ2の自然応答の効果の下で、互いに対して自由に回転することを可能にするようにされ、角度差dAが許容領域DdAの境界DdA_min、DdA_maxの一方に到達するか又は許容領域DdAから離れた場合に、回転による支援を選択的にトリガしてフランジ11、12の相対回転を能動的に管理し、測定される角度差dAが許容領域DdAに留まるか又は許容領域DdA内に戻るように強制する。
【0133】
すなわち、支援が起動するのは、実際に見出された角度差dAが望ましい値から、特に最適な理論展開曲線41から十分に逸脱して予め設定された許容領域DdAから離れる場合だけである。
【0134】
好ましくは、初期にデバイス1及びタイヤ2は、ドラム10がタイヤ2のカーカスブロックの構成要素を受け入れることができる初期構成にあり、「平坦構成」と呼ばれる直円筒体構成にある。この初期構成は、初期作動点(dZ_init,dA_init)に対応する。この初期構成では、第1のフランジ11と第2のフランジ12は、軸線方向に初期中心距離dZ_initだけ離間しており、慣例により好ましくはゼロである初期角度差dA_initを有するように互いに対して回転が阻止される(
図4、5、6、7、8)。
【0135】
電子的制御法則L40の場合に、第1の阻止機能F_lock_1が有効である。
【0136】
機械的制御法則L40の場合に、少なくとも1つのフィンガー、ここでは各フランジ11,12のそれぞれの第1のフィンガー62又は64は、当該フランジに関連付けられたガイド60のガイド溝61の係止部分61_1に係合する(
図6、7、8)。
【0137】
制御法則L40の第1のフェーズは、一方のフランジの他方に対する相対的な自由回転を許可するためにフランジ11、12の回転のアンロックを可能にすることが好ましい。
【0138】
電子的制御法則L40を使用する場合に、このアンロックフェーズは、第1の阻止機能F_lock_1を無効にすることによって達成することができ、それにより、例えば、フランジ11、12の一方及び/又は他方の回転、ここでは好ましくはドラム14に対するフランジ11、12の回転を阻止するラッチのアンロック又はブレーキの解除のために解除信号が送信される。
【0139】
機械的制御法則L40を使用する場合に、このアンロックフェーズは、第1のフィンガー62又は64がガイド溝61の阻止部分61_1から後退するまで関連するフランジ11、12の軸線方向並進をトリガすることによって達成することができる(
図9、10)。
【0140】
フランジの軸線方向収束及び従って中心距離dZの減少は、制御法則L40の第1の適用領域DIに達するまで続き、それにより、フランジ11、12に角度変位に関する特定の自由度が与えられる。
【0141】
電子的制御法則L40の場合に、あらゆる適切なセンサを使用して、中心距離dZ及び角度差dAに関する値がモニタされ、コンピュータ50を使用して、このように測定された実際の作動点(dZ,dA)は、制御法則L40によって定められた適用許容領域DdAと比較される。フランジ11、12の自由回転は、この作動点(dZ,dA)が明らかに許容領域DdAの内側に位置する場合に許容され、そうでなければ、支援をトリガして例えば上述のように回転支援モータM30を起動することにより、作動点(dZ,dA)を許容領域DdAに戻す。
【0142】
機械的制御法則L40の場合に、フランジ11、12の回転は、ガイド溝61(
図12,13)のガイドプロファイル66、67、68、69を形成する側縁の間で、より具体的には、ガイド溝61の第2の部分61_2で、当該フランジ11、12の(ここでは2つの)フィンガー62、63のいずれもガイドプロファイルの1つと接触しない限り、すなわち、フランジ11、12が許容領域に自発的に従う限り、自由なままである。フランジのフィンガー62、63の1つがガイドプロファイル66、67、68、69の1つと接触した場合に、これは、許容領域DdAの境界に達し、その結果、フランジの回転、詳細には軸線方向の進行単位当たりの角度差が、フィンガー62、63に対して周方向のストップを形成するガイドプロファイル66、67、68、69の経路によって拘束されることを意味する。
【0143】
例えば、第2のフィンガー63が第3のガイドプロファイル68に接触した場合に、第2のフィンガー63及び従ってそれと共にフランジ11及び第1のフィンガー62をそれらの軸線方向前進と調和して角度的にずらし、その結果、放射状化されたドーナツ形構成に対応する第2のガイドプロファイル67に対して停止するまで平坦な未放射状化構成に対応する第1のガイドプロファイル66から離れる。
【0144】
電子的制御法則L40を使用するか又は機械的制御法則L40を使用するかを問わず、フランジ11、12の軸線方向収束は継続して第1の適用領域DIをその長さ全体を通して通過し、該当する箇所で必要に応じてかつその場合に限り支援をトリガする。
【0145】
このようにして、最終作動点(dZ_final,dA_final)によって特徴付けられる最終構成が到達され、ここでタイヤ2は、適切に放射状化された側壁補強スレッドを有する望ましいドーナツ形態を有する。
【0146】
好ましくは、その後に、フランジ11、12の角度差dAは、制御法則L40が電子的である場合に第2の阻止機能F_lock_2を起動することにより、又は機械式ガイド60を使用する場合はフランジ11、12の第2のフィンガー63、65が第3の部分61_3に係合するので自動的に固定され、ここで第3の部分61_3は(第1の部分61_1と同様に)、双方向(時計回りと反時計回り)に当該フィンガー63の回転を阻止し、当該フィンガーの並進だけを許容するのに必要かつ十分な(摺動遊びを除いた)幅を有する(
図14、15)。
【0147】
その後に、クラウンブロックをカーカスブロック上に敷設することができ、次に、ローラー22を担持するアーム20を展開し、従って側壁を圧延することができる(
図16、17、18)。
【0148】
制御システム40、より具体的には、コンピュータ50は、この目的のために、例えば、フランジ11、12上の環状ラムのようなあらゆる適切な展開機構23を使用することができ、この環状ラムは、リング24、25を押して当該フランジ11、12に沿って摺動させるか又はガイド溝61の第3の部分61_3の延長線上(
図17)でフランジ11、12に関連付けられた第2のフィンガー63、65の軸線方向移動を継続することでリング24、25を押す。
【0149】
生タイヤ2が完成された状態で、アーム2は後退され、フランジ11、12は、初期構成に戻ることができる。
【0150】
機械式ガイド60の場合に、成形工程に使用した経路と実質的に同じであるが逆方向の経路が戻りに使用され、各フランジ11、12は、設計上、成形前に当該フランジ11、12が占めていたものと同一の軸線方向位置及び角度位置に戻る。
【0151】
電子的制御法則L40の場合に、単にフランジ11、12の軸線方向復帰を適用して初期中心距離dZ_initに戻るようにすることが可能であるが、測定された角度差dAの値は無作為に再初期化することができるので、必ずしも各フランジの初期角度位置に戻る必要はなく、従って、先行成形サイクルの終了時にフランジ11、12が占めた角度位置を次の成形サイクルの新たな角度原点と見なすことができる。
【0152】
当然のことながら、本発明は、上述の変形実施形態だけに決して限定されず、当業者は、特に、上述の特徴を分離する、自由に組み合わせる、又は均等物と置換することができると考えられる。
【国際調査報告】