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特表2024-511671流体制御特徴部を有する圧縮性補助材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】流体制御特徴部を有する圧縮性補助材
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61B17/068
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560572
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2022052822
(87)【国際公開番号】W WO2022208302
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】17/216,977
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ソウ・クリストファー・キュー
(72)【発明者】
【氏名】ストラング・ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ジョーダン・ビー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160CC26
4C160NN01
(57)【要約】
手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材が提供される。例示的な一実施形態では、圧縮性補助材は、ステープルカートリッジ上に解放可能に保持されるように構成され、カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料を含む。補助材料は、格子主構造を含み、格子主構造は、格子主構造内に形成された少なくとも1つの吸収性副構造を有し、少なくとも1つの吸収性副構造は、補助材料が組織配備状態にあるときに、補助材料に隣接する組織の治癒に補助材料を通る流体移動が影響を与えるように、流体移動を制御するように構成されている。手術用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材であって、前記圧縮性補助材は、
ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、前記カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、格子主構造を備え、前記格子主構造は、前記格子主構造内に形成された少なくとも1つの吸収性副構造を有し、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに、前記補助材料に隣接する組織の治癒に前記補助材料を通る流体移動が影響を与えるように、前記流体移動を制御するように構成されている、生体適合性補助材料を備える、圧縮性補助材。
【請求項2】
前記少なくとも1つの吸収性副構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の補助材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記補助材料を通る流体移動の方向を共に制御する複数の吸収性副構造を含む、請求項1に記載の補助材。
【請求項4】
前記格子主構造は、複数の単位セルを備え、前記複数の単位セルは、前記複数の単位セルを通る通路を有し、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記それぞれの通路を通る流体流を制御するために、前記複数の単位セルのうちの少なくとも1つの単位セル内に形成された少なくとも1つの微細構造を備える、請求項1に記載の補助材。
【請求項5】
前記複数の単位セルは、少なくとも1つのシュワルツP構造を備える、請求項4に記載の補助材。
【請求項6】
前記複数の単位セルの少なくとも一部は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに前記補助材料内に流体を引き込むか、前記補助材料が組織配備状態にあるときに前記補助材料から前記補助材料に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、前記補助材料が圧縮されると変形するように構成されている、請求項4に記載の補助材。
【請求項7】
前記複数の単位セルは各々、前記補助材料が圧縮されているときに前記それぞれの単位セルの変形量を制限するように構成された少なくとも1つの内部停止要素を備える、請求項4に記載の補助材。
【請求項8】
前記格子主構造は、複数の中空支柱を備え、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記中空支柱のうちの少なくとも1つに、前記中空支柱を通る流体流を制御するために形成されている、請求項1に記載の補助材。
【請求項9】
前記少なくとも1つの吸収性副構造は、ダックビル弁、フラッパ弁、及び前記格子主構造の側壁に形成された微細通路のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の補助材。
【請求項10】
前記少なくとも1つの吸収性副構造は、少なくとも1つの可動弁を備え、前記少なくとも1つの可動弁は、前記少なくとも1つの可動弁を通る流体移動を制御するように構成されている、請求項1に記載の補助材。
【請求項11】
手術用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルは、ステープル列に配置されており、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成され、前記複数のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材であって、前記補助材は、複数の吸収性微細構造が内部に形成された格子マクロ構造を含み、各吸収性微細構造は、流体が前記格子マクロ構造を通って流れる際に流体移動を方向付けるか、制限するか、又は防止するように構成されている、生体適合性補助材と、
を備える、ステープル留めアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の吸収性微細構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記格子マクロ構造は、複数のシュワルツP構造を備え、前記複数のシュワルツP構造は、前記複数のシュワルツP構造を通る通路を有し、前記複数の吸収性微細構造は、前記それぞれの通路を通る流体流を制御するために、前記複数のシュワルツP構造のうちの少なくとも1つのシュワルツP構造内に形成された少なくとも1つの微細特徴部を備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、前記補助材が組織配備状態にあるときに前記補助材内に流体を引き込むか、前記補助材が組織配備状態にあるときに前記補助材から前記補助材に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、前記補助材が圧縮されると変形するように構成されている、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、前記補助材が前記カートリッジ上に解放可能に保持されているとき、前記ステープル列と重複しない前記補助材の領域内に位置付けられている、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記複数の吸収性微細構造は、可動弁を備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項17】
手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材であって、前記圧縮性補助材は、
ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、前記カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、前記補助材料の中に配設された少なくとも1つの薬物と、前記補助材料の第1の端部から第2の端部まで延在する長手方向軸に沿って延在する意図された切断線と、前記意図された切断線の第1の側の保持セグメントと、前記意図された切断線の第2の側の除去セグメントとを有する、生体適合性補助材料を備え、
前記補助材料は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに、前記補助材料が少なくとも1つの所定の方向において前記少なくとも1つの薬物の非対称薬物運搬プロファイルを有するように、前記少なくとも1つの薬物を前記意図された切断線に対して、又は前記保持セグメント及び前記除去セグメントに対して局所的に運搬又は貯蔵するように構成された形状を有する、圧縮性補助材。
【請求項18】
前記補助材料の前記除去セグメント及び前記補助材料内の前記少なくとも1つの薬物の場所のうちの少なくとも1つを示すように構成されたインジケータ特徴部を更に備える、請求項17に記載の補助材。
【請求項19】
前記少なくとも1つの薬物は、前記補助材料の前記保持セグメント内にのみ配設されている、請求項17に記載の補助材。
【請求項20】
補助材料は、組織接触面と、前記組織接触面の反対側にあるカートリッジ接触面とを有し、前記組織接触面は、前記少なくとも1つの薬物の濃度及び種類のうちの少なくとも1つにおいて前記カートリッジ接触面と異なる、請求項17に記載の補助材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、圧縮性補助材及び圧縮性補助材を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手術用ステープラは、外科的処置において、組織、血管、導管、シャント又は特定の処置に関連する他の対象物若しくは身体部位の開口部を閉鎖するために使用される。開口部は、血管内又は胃のような内臓内の通路など、自然に存在するものであり得るか、あるいはバイパス若しくは吻合を形成するために、組織若しくは血管を穿刺すること、又はステープル留め処置中の組織切開などによって、外科的処置中に外科医によって形成されるものであり得る。
【0003】
ほとんどのステープラは、細長いシャフトを備えるハンドルを有し、シャフトはその端部に形成された一対の移動可能な対向する顎部を有し、一対の移動可能な対向する顎部は、それらの間にステープルを保持し、それらの間でステープルを成形するためのものである。ステープルは典型的にはステープルカートリッジに収容され、そのステープルカートリッジは、複数の列のステープルを収めることができ、2つの顎部のうちの1つ内に、手術部位へのステープルの放出のために配設されることが多い。使用中、顎部は、ステープル留めされるべき対象物が顎部の間に配設されるように位置付けられ、顎部が閉じて装置が作動されると、ステープルが放出されて成形される。ステープラによっては、ステープルカートリッジ内のステープルの列の間を移動し、ステープル留めされた列の間で、ステープル留めされた組織を長手方向に切開及び/又は開口するように構成されたナイフを含むものがある。
【0004】
手術用ステープラは何年にもわたって改良されてきたが、それ自体にはいまだにいくつかの問題が存在する。よく見られる問題の1つは、ステープルは、ステープルが配設される組織又は他の対象物を貫通するときに孔を形成するため、漏出が起こり得ることである。血液、空気、消化管液、及び他の流体が、ステープルが完全に成形された後でも、ステープルによって形成された開口部を通してしみ出ることがある。処置される組織は、ステープル留めによる外傷のために炎症を起こすこともある。
【0005】
ステープル留め組織と組み合わせて使用するために様々な植込み可能な材料が開発されてきたが、前述の問題のうちのいくつかに対処する改善された材料が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材が提供される。例示的な一実施形態では、圧縮性補助材は、ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料を含む。補助材料は、格子主構造を含み、格子主構造は、格子主構造内に形成された少なくとも1つの吸収性副構造を有し、少なくとも1つの吸収性副構造は、補助材料が組織配備状態にあるときに、補助材料に隣接する組織の治癒に補助材料を通る流体移動が影響を与えるように、流体移動を制御するように構成されている。
【0007】
少なくとも1つの吸収性副構造は、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、ダックビル弁、フラッパ弁、及び格子主構造の側壁に形成された微細通路のうちの少なくとも1つを含み得る。他の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、少なくとも1つの可動弁を含む。可動弁は、可動弁を通る流体移動を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、補助材料を通る流体移動の方向を共に制御する複数の吸収性副構造を含む。
【0008】
格子主構造は、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、格子主構造は、複数の中空支柱を含むことができる。そのような実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、それを通る流体流を制御するために、中空支柱のうちの少なくとも1つに形成されることができる。
【0009】
他の実施形態では、格子主構造は、複数の単位セルを含むことができ、複数の単位セルは、複数の単位セルを通る通路を有する。そのような実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、それぞれの通路を通る流体流を制御するために、複数の単位セルのうちの少なくとも1つの単位セル内に形成された少なくとも1つの微細構造を含むことができる。
【0010】
単位セルは、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の単位セルは、少なくとも1つのシュワルツP構造を含むことができる。特定の実施形態では、複数の単位セルの少なくとも一部は、補助材料が組織配備状態にあるときに補助材料内に流体を引き込むか、補助材料が組織配備状態にあるときに補助材料から補助材料に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、補助材料が圧縮されると変形するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の単位セルは各々、少なくとも1つの内部停止要素を含む。少なくとも1つの内部停止要素は、補助材料が圧縮されているときにそれぞれの単位セルの変形量を制限するように構成され得る。
【0012】
別の実施形態では、手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材は、ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料を含む。補助材料は、その中に配設された少なくとも1つの薬物と、補助材料の第1の端部から第2の端部まで延在する長手方向軸に沿って延在する意図された切断線と、意図された切断線の第1の側の保持セグメントと、意図された切断線の第2の側の除去セグメントとを含む。補助材料は、補助材料が組織配備状態にあるときに補助材料が少なくとも1つの所定の方向において少なくとも1つの薬物の非対称薬物運搬プロファイルを有するように、少なくとも1つの薬物を意図された切断線に対して、又は保持セグメント及び除去セグメントに対して局所的に運搬又は貯蔵するように構成された形状を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、圧縮性補助材は、インジケータ特徴部を含むことができる。インジケータ特徴部は、補助材料の除去セグメント及び補助材料内の少なくとも1つの薬物の場所のうちの少なくとも1つを示すように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬物は、補助材料の保持セグメント内にのみ配設され得る。
【0015】
補助材料は、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、補助材料は、組織接触面と、組織接触面の反対側のカートリッジ接触面とを有することができる。組織接触面は、少なくとも1つの薬物の濃度及び種類のうちの少なくとも1つにおいてカートリッジ接触面と異なり得る。
【0016】
手術用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリも提供される。例示的な一実施形態では、ステープル留めアセンブリは、カートリッジ及び生体適合性補助材を含む。カートリッジは、内部に配設された複数のステープルを有し、複数のステープルは、ステープル列に配置され、組織内に配備されるように構成されている。生体適合性補助材は、カートリッジ上に解放可能に保持され、複数のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成されている。補助材は、内部に形成された複数の吸収性微細構造を有する格子マクロ構造を含み、各吸収性微細構造は、流体が格子マクロ構造を通って流れる際に、流体移動を方向付けるか、制限するか、又は防止するように構成されている。
【0017】
複数の吸収性微細構造は、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の吸収性微細構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、複数の吸収性微細構造は、可動弁を含むことができる。
【0018】
格子マクロ構造は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、格子マクロ構造は、複数のシュワルツP構造を含むことができ、複数のシュワルツP構造は、複数のシュワルツP構造を通る通路を有する。複数の吸収性微細構造は、それぞれの通路を通る流体流れを制御するために、複数のシュワルツP構造のうちの少なくとも1つのシュワルツP構造に形成された少なくとも1つの微細特徴部を含むことができる。特定の実施形態では、複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、補助材が組織配備状態にあるときに補助材内に流体を引き込むか、補助材が組織配備状態にあるときに補助材から補助材に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、補助材が圧縮されると変形するように構成され得る。このような実施形態において、複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、補助材がカートリッジ上に解放可能に保持されているとき、ステープル列と重複しない補助材の領域内に位置付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
図1】従来の手術用ステープル留め及び切断器具の例示的な一実施形態の斜視図である。
図2図1の手術用ステープル留め及び切断器具と共に使用するためのステープルカートリッジの上面図である。
図3図1の手術用ステープラの発射バーの斜視図である。この発射バーは、その遠位端にE-ビームを有する。
図4】手術用ステープラの別の実施形態の斜視図である。
図5】手術用ステープラの更に別の実施形態の斜視図である。
図6】ステープルカートリッジの上面又はデッキ面に取り付けられた例示的な補助材を有するステープルカートリッジの例示的な実施形態の長手方向断面図である。
図7】組織配備状態の図6の補助材を示す部分概略図である。
図8】少なくとも1つの流体制御特徴部を有する例示的な補助材の部分切欠側面図である。
図9】少なくとも1つの流体制御特徴部を有する補助材の別の実施形態の一部の断面図であり、閉鎖位置にある少なくとも流体制御特徴部を示す。
図10】開放位置にある少なくとも1つの流体制御特徴部を示す、図9の補助材の一部分の断面図である。
図11】閉鎖位置にある少なくとも流体制御特徴部を示す、少なくとも1つの流体制御特徴部を有する補助材の別の実施形態の一部の断面図である。
図12】開放位置にある少なくとも1つの流体制御特徴部を示す、図11の補助材の一部分の断面図である。
図13】少なくとも1つの流体制御特徴部を有する補助材の別の例示的実施形態の一部の斜視側面図である。
図14】圧縮状態にある補助材を示す、少なくとも1つの流体制御特徴部内に流体を伴う、図13の補助材の接続構造のうちの1つの断面正面図である。
図15】内部に形成された追加の流体制御特徴部を有する、図14の少なくとも1つの流体制御特徴部のうちの1つの拡大断面側面図であり、少なくとも1つの流体制御特徴部を通る流体移動を示す。
図16】少なくとも1つの制御特徴部を有する補助材の別の例示的な実施形態の側断面図である。
図17】ステープルカートリッジ上に解放可能に保持された補助材を有するステープル留めアセンブリの例示的な実施形態の上面図であり、ステープル留めアセンブリの一部のみを示す。
図18】A-Aでとった、図17のステープル留めアセンブリの断面図である。
図19】第1の位置にある組織を示す、組織配備状態にある補助材の例示的な実施形態を示す部分概略図である。
図20】第2の位置にある組織を示す、図19の補助材を示す部分概略図である。
図21】内部に配設された少なくとも1つの薬物及び少なくとも1つの流体制御特徴部を有する補助材の別の例示的な実施形態の一部の断面図である。
図22】補助材の別の例示的な実施形態の一部の断面図であり、非圧縮状態の補助材を示す。
図23】圧縮状態の補助材を示す、図22の補助材の断面図である。
図24】少なくとも1つの制御特徴部を有する補助材の別の例示的な実施形態の断面図である。
図25】非圧縮状態のシステムを示す、補助薬物運搬システムの例示的な実施形態の側面図である。
図26】圧縮状態にあるシステムを示す、図25の補助薬物運搬システムの側面図である。
図27】ステープル脚部の上に配置された補助材の部分を示す、少なくとも1つの薬物ポケットを有する補助材の別の例示的な実施形態の一部分の側断面図である。
図28】組織に対して配置された補助材と、部分的に配備された状態のステープル脚部とを示す、図27の補助材の断面図である。
図29】完全に配備された状態のステープル脚部を示す、図28の補助材の断面図である。
図30】補助材の別の例示的な実施形態の斜視図である。
図31】解放可能に保持される補助材の例示的な実施形態を有する補助材アプリケータの例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に図示される装置及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0021】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが内部で使用される対象の解剖学的構造、システム及びデバイスが使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手術に依存し得る。
【0022】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、器具のハンドルを握っている臨床医などのユーザを基準として使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、かつ明瞭さのために、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用される点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0023】
外科的処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。いくつかの実施形態において、切開外科的処置のための装置及び方法が提供され、他の実施形態において、腹腔鏡下、内視鏡的、及び他の低侵襲的外科的処置のための装置及び方法が提供される。これらの装置は、人間のユーザによって直接発射されるか、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法及び装置が、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、自然開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセス装置を使用してなどの、何らかの方法で体内へ挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入できる、又は、手術用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを通過させることが可能な作業用チャンネルを有するアクセス装置を介して挿入され得る。
【0024】
本明細書で「補助材」と呼ぶ1つ又は2つ以上の生体材料及び/又は合成材料を、手術用器具と共に使用して、外科的処置の改善を支援することは望ましいことであり得る。「補助材」は、本明細書において、「補助材料」とも呼ばれる。種々の異なる手術用エンドエフェクタが、補助材の使用によって利益を得ることがあり、いくつかの例示的実施形態では、エンドエフェクタは、手術用ステープラであり得る。手術用ステープラと共に使用されるときには、補助材(複数可)は、ステープラの顎部の間及び/又はその上に配設されても、顎部に配設されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。ステープルが配備されると、補助材(複数可)は、ステープルと共に施療部位に残ってもよく、その結果、いくつかの利益を提供することができる。例えば、補助材(複数可)は、施療部位の組織を増強して、施療部位において、ステープルにより裂かれる又は引き裂かれるのを防止することができる。組織増強は、組織が病変している場合、治癒している及び/又は別の組織特性を変更する状況を経験している場合に、ステープルが組織を裂かないようにするために必要なことがある。いくつかの場合において、補助材(複数可)は、ステープル留め後に生じる組織変形(例えば、肺膨張、消化管膨張など)から生じ得る、ステープル穿刺部位及びその周りにおける組織の移動を最小化することができる。当業者は、ステープル穿刺部位は応力集中部となることがあり、ステープルによって形成された孔の寸法は、その付近の組織が張力下に置かれると増大することを認識するであろう。これらの穿刺部位周りでの組織の移動を制限することは、張力下で増大し得る孔の寸法を最小化できる。いくつかの場合において、補助材(複数可)は、例えば、シーラント、血液、接着剤など、更に治癒を促進する有益な流体を吸い上げる(wick)、又は吸収するように構成され得る。また、いくつかの場合において、補助材は、分解して、例えば、シーラントなど、更に治癒を促進するゲルを形成するように構成され得る。いくつかの場合には、補助材(複数可)が、組織、血管、及び種々の他の対象物又は身体部位に植え込みされるときに、ステープルによって形成される孔の封止の支援に使用されてもよい。
【0025】
他の実施形態では、補助材は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,172,611号に記載されているように、ステープルを使用せずに(例えば、RF又は超音波などのエネルギーを使用することによって)組織を封止するように構成された手術用器具と共に使用することができる。
【0026】
場合によっては、補助材(複数可)は、補助材(複数可)が組織にステープル留めされるときに、組織厚さの変動を補償するように構成され得る。このような場合、補助材はまた、「組織厚さコンペンセータ」と呼ぶことができる。組織厚さコンペンセータは、形成された構成にあるステープルの高さよりも大きい、圧縮されていない(変形していない)、又は配備前の高さを有する。例示的な組織厚さコンペンセータに関する更なる詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,864,007号に見出すことができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、米国特許第9,272,406号、及び同第10,136,890号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、様々な方法でステープルカートリッジに取り付けられ、そこから解放され得る。
【0027】
本明細書の開示に加えて、補助材(複数可)及び他の例示的な補助材に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第10,172,611号及び同第10,433,846号、並びに2020年9月1日に出願され、「Compressible Non-Fibrous Adjuncts」と題された米国特許出願第17/009,769号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
代替的又は追加的に、補助材は、組織の内部成長を促進するように構成され得る。様々な状況において、治療される組織(例えば、ステープル留め及び/又は切開される組織)の治癒を促進するため、かつ/又は患者の回復を加速するために、植込み可能な補助材の中への組織の内部成長を促進することが望ましい。より具体的には、植込み可能な補助材への組織の内部成長により、手術部位での炎症の発生率、程度、及び/又は期間が減少し得る。植込み可能な補助材への、かつ/又はその周辺での組織の内部成長は、例えば、手術部位での感染の拡大を管理し得る。例えば植込み可能な補助材への及び/又はその周辺での、血管、特に白血球の内部成長は、植込み可能な補助材及び隣接組織の中で及び/又はそれらの周辺で感染に対抗し得る。組織の内部成長はまた、患者の身体による異物(例えば、植込み可能な補助材及びステープル)の受容を助成し得、また患者の身体が異物を拒絶する可能性を低減し得る。異物の拒絶により、手術部位では感染及び/又は炎症が生じ得る。
【0029】
代替的又は追加的に、補助材は、その上及び/又はその内部に、薬物を有することができる。薬物は、周囲の組織への薬剤の所望の効果に応じて変更することができる。非限定例として、薬物は、止血、炎症、マクロファージ、及び/又は線維芽細胞に影響を及ぼすのに提供され得る。薬物は、混合され、又は、任意の組み合わせで組み合わせられることができ、あるいは、薬物は、再度、組織に対する所望の効果に応じて、単独で提供されることができる。薬物は、種々の異なる方法で、補助材から溶出され得る。非限定例として、補助材上のコーティングが、異なるタイミングで吸収されることにより、異なるタイミングで薬物を放出するのに変更され得ること、補助材は、可変速度で補助材間の薬物の拡散を可能にするように変更され得ること、補助材は、異なるタイミングで薬物を放出させるために、分子量及び/又は物理的特徴を変更し得ること、本明細書の開示に加えて、薬物溶出補助材に関する更なる詳細は、米国特許第9,232,941号及び同第10,569,071号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
手術用ステープル留め器具
様々な手術用器具が、本明細書で開示された補助材及び/又は薬物と共に使用され得る。手術用器具は、手術用ステープラを含み得る。様々な手術用ステープラ、例えば、線状手術用ステープラ及び円形ステープラが使用され得る。概して、線状ステープラは長手方向ステープルラインを形成するように構成されることができ、長手方向ステープル列を収容するカートリッジが結合される細長い顎部を含むことができる。細長い顎部は、顎部内に保持された組織に沿ってステープル列の間に切断部を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。概して、輪状ステープラは、環状ステープルラインを形成するように構成されることができ、環状ステープル列を収容するカートリッジを有する輪状顎部を含むことができる。輪状顎部は、顎部内に保持された組織を貫通する開口部を画定するために、ステープルの列の内側に切断部を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。ステープラは、様々な異なる外科的処置において、例えば、胸部手術又は胃部手術において、様々な組織に対する様々な異なる外科的処置に使用され得る。
【0031】
図1は、1種又は2種以上の補助材及び/又は薬物と共に使用するに適した線状手術用ステープラ10の一例を図示する。ステープラ10は、概して、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12の遠位端12dから遠位に延在するシャフト14と、シャフト14の遠位端14dにあるエンドエフェクタ30とを含む。エンドエフェクタ30は、対向する下部顎部32及び上部顎部34を有するが、他の種類のエンドエフェクタを、シャフト14、ハンドルアセンブリ12、及びそれらに付随する構成要素と共に使用してもよい。下部顎部32は、ステープルカートリッジ40を支持するように構成されているステープルチャネル56を有する。上部顎部34は、下部顎部32に面し、ステープルカートリッジ40のステープル(ステープルは、図1及び図2において隠れている)を配備するのを支援するように、アンビルとして動作するように構成されているアンビル面33を有する。対向する下部顎部32及び上部顎部34の少なくとも一方は、それらの間に配設された組織及び/又は他の物体をクランプするために、他方の下部顎部32及び上部顎部34に対して移動可能である。いくつかの実装形態では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の一方は、固定されるか、又は別の方法で移動不能であってよい。いくつかの実装形態では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の両方が移動可能であってよい。発射システムの構成要素は、ステープルをクランプされた組織内に放出するために、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通過するように構成され得る。様々な実装形態では、ナイフブレード36又は他の切断部材は、発射システムに関連付けられて、ステープル留め処置中に組織を切開し得る。
【0032】
エンドエフェクタ30の作動は、ハンドルアセンブリ12での、例えば、臨床医、外科医などのユーザからの入力によって開始され得る。ハンドルアセンブリ12は、それに連結されるエンドエフェクタ30を操作して作動させるように設計された多くの異なる構成を有してもよい。図示した実施例では、ハンドルアセンブリ12は、器具10の多様な特徴部を操作するための様々な機械的及び/又は電気的構成要素が内部に配設されている、ピストルグリップ型のハウジング18を有している。例えば、ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12に対する、シャフト14の長手方向軸Lの周りでのシャフト14及び/又はエンドエフェクタ30の回転を促進し得る、その遠位端12dに隣接して取り付けられた回転ノブ26を含み得る。ハンドルアセンブリ12は、クランプトリガ22によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、発射トリガ24によって作動される発射システムの一部としての発射構成要素と、を更に含み得る。クランプトリガ22及び発射トリガ24は、例えば、トーションばねによって、静止ハンドル20に対して開放位置に付勢され得る。静止ハンドル20に向けたクランプトリガ22の移動は、以下に記載のクランプシステムを作動させることができ、これにより、顎部32、34を互いに向けて倒し、それによって、それらの間に組織をクランプすることができる。発射トリガ24の移動は、以下に記載の発射システムを作動させることができ、これにより、内部に配設されたステープルカートリッジ40からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフブレード36を前進させて、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断することができる。当業者であれば、機械、油圧、空気圧、電気機械、ロボット、又はその他の発射システムの構成要素の様々な構成が、ステープルの放出及び/又は組織の切開に使用され得ることを認識するであろう。
【0033】
図2に示すように、図示した実装形態のエンドエフェクタ30は、カートリッジアセンブリ又はキャリアとして機能する下部顎部32と、アンビルとして機能する、対向する上部顎部34とを有する。内部に複数のステープルを有するステープルカートリッジ40は、ステープルトレイ37内に支持され、次に、ステープルトレイ37は、下部顎部32のカートリッジチャネル内に支持される。上部顎部34は、複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有し、ステープル形成ポケットの各々は、ステープルカートリッジ40内に収容される複数のステープルからの対応するステープルの上に位置付けられる。上部顎部34は、様々な方法で下部顎部32に接続され得るが、図示した実装形態では、上部顎部34は、シャフト14との係合部のすぐ遠位の、ステープルチャネル56の近位端56p内に枢動可能に受容される近位枢動端34pを有している。上部顎部34が下向きに枢動すると、上部顎部34は、アンビル面33を移動させ、アンビル面33上に形成されているステープル形成ポケットが、対向するステープルカートリッジ40に向かって移動する。
【0034】
様々なクランプ構成要素を使用して顎部32、34の開放及び閉鎖をもたらして、それらの間に組織を選択的にクランプすることができる。図示するように、上部顎部34の枢動端34pは、ステープルチャネル56とのその枢動的な取り付け部より遠位に閉鎖機構34cを含む。したがって、その遠位端部に、閉鎖機構34cと係合する馬蹄形開口部46aを含む閉鎖管46は、クランプトリガ22に応じて、閉鎖管46の近位長手方向運動中に上部顎部34に対して開放運動を、及び、閉鎖管46の遠位長手方向運動中に上部顎部34に対して閉鎖運動を、選択的に与える。上記のように、様々な実装形態では、エンドエフェクタ30の開閉は、上部顎部34に対する下部顎部32の相対運動、下部顎部32に対する上部顎部34の相対運動、又は互いに対する両方の顎部32、34の運動によってもたらされてよい。
【0035】
図示した実装形態の発射構成要素は、図3に示すように、遠位端にEビーム38を有する発射バー35を含む。発射バー35は、シャフト14内、例えば、シャフト14の長手方向発射バースロット14s内に包含され、ハンドル12からの発射運動によって誘導される。発射トリガ24の作動は、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通るEビーム38の遠位運動に影響を与え、それによって、ステープルカートリッジ40内に収容されたステープルを発射させ得る。図示したように、Eビーム38の遠位端から突出しているガイド39は、図2に示したウェッジスレッド47と係合し得る。次に、ウェッジスレッド47は、ステープルカートリッジ40内に形成されたステープル空洞41を通ってステープルドライバ48を押し上げ得る。ステープルドライバ48の上向きの移動は、カートリッジ40内の複数のステープルの各々に上向きの力を加え、それによって上部顎部34のアンビル面33に対してステープルを上向きに押し、成形されたステープルを作り出す。
【0036】
ステープルを発射させることに加えて、Eビーム38は、顎部32、34の閉鎖、ステープルカートリッジ40からの上部顎部34の引き離し、及び/又は、顎部32、34間に捕捉された組織の切断を促進するように構成され得る。具体的には、一対の頂部ピン及び一対の底部ピンは、上部顎部32及び下部顎部34の一方又は両方と係合して、発射バー35がエンドエフェクタ30を通って前進するときに、顎部32、34を互いに向けて圧迫し得る。同時に、頂部ピンと底部ピンとの間に延在するナイフ36は、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断するように構成され得る。
【0037】
使用中、手術用ステープラ10は、カニューレ又はポート内に配設され、手術部位に配設され得る。切開されてステープル留めされる組織は、手術用ステープラ10の顎部32、34の間に定置されてもよい。ステープラ10の機構が、ユーザによって望みどおりに操作され、顎部32、34に関する手術部位と組織において、顎部32、34の所望の場所として実現され得る。適切な位置決めを達成した後に、クランプトリガ22を静止ハンドル20に向けて引いて、クランプシステムを作動させ得る。トリガ22は、閉鎖管46が、シャフト14の少なくとも一部を通過して遠位方向に進んで、顎部32、34の少なくとも一方を他方に向かって倒し、これらの間に配設された組織をクランプするように、クランプシステムの構成要素を作動させ得る。その後、発射バー35及び/又はEビーム38が、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って遠位方向に進んで、ステープルの発射をもたらし、任意選択的に、顎部32、34の間で捕捉された組織を切断するように、トリガ24を、静止ハンドル20に向けて引いて、発射システムの構成要素を作動させ得る。
【0038】
線状手術用ステープラ50の形態における手術用器具の別の例を、図4に図示する。ステープラ50は、一般に、図1のステープラ10同様に、構成され、使用され得る。図1の手術用器具10と同様に、手術用器具50は、シャフト54を備えるハンドルアセンブリ52を含み、シャフト54はハンドルアセンブリ52から遠位に延在し、かつ、組織を処置するために遠位端にエンドエフェクタ60を有している。エンドエフェクタ60の上部顎部64及び下部顎部62は、間に組織を捕捉すること、下部顎部62内に配設されたカートリッジ66からステープルを発射することによって組織をステープル留めすること、及び/又は、組織に切開部を形成することを行うように構成され得る。この実装形態において、シャフト54の近位端にある取り付け部67は、シャフト54及びエンドエフェクタ60をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に取り付け可能にするように構成することができる。具体的には、取り付け部67の嵌合機構68は、ハンドルアセンブリ52の補助嵌合機構71と嵌合できる。嵌合機構68、71は、例えば、スナップフィット結合、バヨネット式結合などによって互いに連結するように構成され得るが、シャフト54をハンドルアセンブリ52に着脱可能に連結するために、任意の数の補助嵌合機構及び任意の種類の結合を使用することができる。図示した実装形態のシャフト54の全体は、ハンドルアセンブリ52から分離可能に構成されているが、いくつかの実装形態では、取り付け部67は、シャフト54の遠位部分のみを取り外すことができるように構成され得る。シャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の分離可能な連結は、特定の処置のための所望のエンドエフェクタ60の選択的な取り付け、及び/又は、多数の異なる処置のためのハンドルアセンブリ52の再利用を可能にできる。
【0039】
ハンドルアセンブリ52は、エンドエフェクタ60を操作して作動させるための1つ又は2つ以上の機構をその上に有していてもよい。非限定例として、ハンドルアセンブリ52の遠位端に取り付けられた回転ノブ72は、ハンドルアセンブリ52に対するシャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の回転を促進し得る。ハンドルアセンブリ52は、移動可能なトリガ74によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、これもトリガ74によって作動され得る発射システムの一部としての発射構成要素とを含み得る。したがって、いくつかの実装形態では、第1運動範囲を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の移動は、クランプ構成要素を作動させて、対向する顎部62、64を互いに向けて閉鎖位置に近づけさせ得る。いくつかの実装形態では、対向する顎部62、64の一方のみが、顎部62、64に向けて閉鎖位置に移動し得る。静止ハンドル70に向けた、第2運動範囲を通るトリガ74の更なる移動は、発射構成要素を作動させて、ステープルカートリッジ66からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフ若しくは他の切断部材(図示せず)を前進させて、顎部62、64の間に捕捉された組織を切断することができる。
【0040】
環状手術用ステープラ80の形態の手術用器具の一例を、図5に図示する。ステープラ80は、一般に、図1及び図4の線状ステープラ10、50と同様に構成され、使用され得るが、一部の特徴が、輪状ステープラとしてのその機能に適応している。手術用器具10、50と同様に、手術用器具80は、シャフト84を備えるハンドルアセンブリ82を備え、シャフト84は、手術用器具80から遠位に延在し、組織を処置するためのエンドエフェクタ90をその遠位端に有している。エンドエフェクタ90は、略円形の形状を有する、組織接触面をそれぞれが有するカートリッジアセンブリ92及びアンビル94を含み得る。カートリッジアセンブリ92とアンビル94とは、ステープラ80のアンビル94からハンドルアセンブリ82まで延在するシャフト98を介して結合させることができ、ハンドルアセンブリ82上のアクチュエータ85を操作すると、シャフト98を後退及び前進させて、カートリッジアセンブリ92に対してアンビル94を移動させることができる。アンビル94及びカートリッジアセンブリ92は、様々な機能を行うことができ、それらの間に組織を捕捉すること、カートリッジアセンブリ92のカートリッジ96からステープルを発射することにより組織をステープル留めすること、及び/又は、組織に切開を形成することを行うように構成することができる。一般的に、カートリッジアセンブリ92は、ステープルを収容しているカートリッジを収めることができ、ステープルをアンビル94に対して配備することにより、円形のステープルパターンを形成し、例えば、管状体内臓器の外周の周りをステープル留めすることができる。
【0041】
1つの実装形態において、シャフト98は、アンビル94をカートリッジアセンブリ92から分離することができるように解放可能に互いに連結されるように構成された第1及び第2の部分(図示せず)で構成することができ、これにより、アンビル94及びカートリッジアセンブリ92を患者の体内に位置付けるのに、より高い柔軟性を与えることができる。例えば、シャフトの第1の部分は、カートリッジアセンブリ92の内部に配設され、遠位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、遠位嵌合機構において終端することができる。シャフトの第2の部分は、アンビル94の内部に配設され、近位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、近位嵌合機構において終端することができる。使用に際しては、近位嵌合機構と遠位嵌合機構とを互いに連結することにより、アンビル94とカートリッジアセンブリ92とを互いに対して動かすことができる。
【0042】
ステープラ80のハンドルアセンブリ82には、ステープラの動作を制御することができる様々なアクチュエータを配設することができる。例えば、ハンドルアセンブリ82には、回転によってエンドエフェクタ90の位置決めを容易にする回転ノブ86、及び/又は、エンドエフェクタ90を作動させるためのトリガ85を配設することができる。第1の運動範囲を通るトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、クランプシステムの構成要素を顎部に近づける(例えば、カートリッジアセンブリ92に向かってアンビル94を動かす)ように作動させることができる。第2の運動範囲を通るトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、発射システムの構成要素を作動させて、ステープルをステープルカートリッジアセンブリ92から配備させ、かつ/又は、カートリッジアセンブリ92とアンビル94との間に捕捉された組織を切断するためにナイフを前進させることができる。
【0043】
手術用ステープル留め器具10、50、及び80の図示した例は、多くの異なる構成及び関連する使用方法のうちのごく一部の例を提供するものであり、これらは本明細書で提供される開示と共に使用され得る。図示した実施例は、全て低侵襲処置で使用するように構成されているが、切開外科的処置で使用するように構成されている器具、例えば、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)に記載されているようにオープン線状ステープラを、本明細書で提供される開示と共に使用できることが理解されるであろう。図示した実施例の更なる詳細、並びに、手術用ステープラ、その構成要素、及びその関連する使用方法の更なる実施例は、米国特許出願公開第2013/0256377号(発明の名称「Layer Comprising Deployable Attachment Members」、2013年2月8日付けで出願)、米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)、米国特許第7,143,925号(発明の名称「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」、2005年6月21日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134077号(発明の名称「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、第2015/0134076号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133995号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願第14/226,142号(発明の名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、2014年3月26日付けで出願)、及び米国特許出願第14/300,954号(発明の名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」、2014年6月10日付けで出願)に提供される。これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
植え込み可能な補助材
上記されたように、様々な植え込み可能な補助材が、手術用ステープル留め器具と共に使用するために提供される。手術用ステープラと共に使用されるときには、補助材(複数可)は、ステープラの顎部の間及び/又はその上に配設されても、顎部上に配設されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。例えば、図6に示すように、補助材104は、ステープルカートリッジ102に対して位置付けられる。簡略化のために、補助材104は、図6に概略的に示されており、補助材の様々な構造的構成が、以下でより詳細に説明される。図6では部分的に遮られているが、ステープルカートリッジ102は、ステープル106を含み、これは組織内に配備されるように構成される。ステープル106は任意の好適な未成形(配備前)高さを有することができる。例えば、ステープル106は、約2mm~4.8mmの未形成高さを有することができる。配備前に、ステープルのクラウンが、ステープルドライバ(図示せず)によって支持されることができる。
【0045】
図示された実施形態では、補助材104は、ステープルカートリッジ102の上面又はデッキ面108の少なくとも一部分に解放可能に嵌合されることができる。いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ102の上面108は、1つ又は2つ以上の表面特徴部を含むことができる。代替的又は追加的に、1つ又は2つ以上の接着剤を使用して、補助材をステープルカートリッジ102に解放可能に嵌合させることができる。1つ又は2つ以上の表面特徴部及び/又は1つ又は2つ以上の接着剤は、補助材104と係合して、ステープルカートリッジ102に対する補助材104の望ましくない移動を回避するために、かつ/又はステープルカートリッジ102からの補助材104の早期解放を防止するように構成されることができる。例示的な表面特徴は、米国特許出願公開第2016/0106427号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。器具への一時的な取り付けのための接着剤及び他の例示的な接着剤に関する更なる詳細は、米国特許第9,282,962号、米国特許第10,172,617号、米国特許第10,172,618号、米国特許第10,258,332号、米国特許第10,517,592号、米国特許第10,548,593号、米国特許第10,568,621号、及び米国特許第10,588,623号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。取り付け方法及び他の例示的な方法についての更なる詳細は、米国特許第10,166,023号及び米国特許第10,349,939号、並びに、2020年9月16日に出願され、「Method of Applying Buttress to End Effector of Surgical Stapler」 と題する米国特許出願第17/022,520号に見出すことができ、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
特定の例では、補助材は、補助材が様々な高さに圧縮されて、それによって配備されたステープル内に捕捉される異なる組織の厚さを補うことができるように、圧縮可能であり得る。例えば、図6に示すように、補助材104は、未圧縮(未変形)又は配備前の高さを有し、複数の圧縮(変形)又は配備の高さのうちの1つに変形するように構成されている。このように、補助材104は、ステープルカートリッジ102内に配設されたステープル106の発射後高さ(例えば、図7の発射済みステープル106aの高さ(H))よりも高い未圧縮高さを有することができる。すなわち、補助材104は、補助材104の最大限の高さが発射済みステープルの最大限の高さ(例えば、成形構成にあるステープル)よりも高い、未変形状態を有することができる。このような場合、補助材は、「組織厚さコンペンセータ」と呼ぶことができる。一実施形態では、補助材104の未圧縮高さは、ステープル106が発射後高さよりも、約10%高く、約20%高く、約30%高く、約40%高く、約50%高く、約60%高く、約70%高く、約80%高く、約90%高く、又は約100%高くすることができる。特定の実施形態では、補助材104の未圧縮高さは、例えば、ステープル106の発射後高さよりも、100%超高くすることができる。
【0047】
補助材は、様々な構成を有することができ、様々な材料から形成されることができる。概して、補助材は、フィルム、発泡体、射出成形熱可塑性材料、真空熱成形材料、繊維性構造、付加製造材料及びそれらのハイブリッドの1つ又は2つ以上から形成され得る。また、補助材は、1つ又は2つ以上の生物由来材料及び1つ又は2つ以上の薬物も含み得る。これらの材料はそれぞれ、以下により詳細に検討される。
【0048】
補助材は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体、又はスポンジから形成され得る。このような補助材を製造することができる方法の例は、動物由来コラーゲン、例えば、ブタの腱からのものであり、次いで、これが処理され、凍結乾燥されて、発泡構造を得ることができる。様々な発泡補助材の例は、先で言及された米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)に更に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
また、補助材は、以下で検討される任意の適切な材料又はその組み合わせから形成されたフィルムから形成され得る。フィルムは、1つ又は2つ以上の層を含むことができ、これら層はそれぞれ、異なる分解速度を有することができる。更に、フィルムは、内部に形成された様々な領域、例えば、多くの異なる形態の1種以上の薬物を内部に放出可能に保持することができるリザーバを有することができる。内部に配設された少なくとも1種の薬物を有するリザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含み得る、1つ又は2つ以上の異なるコーティング層を使用して封止され得る。フィルムは、様々な方法で形成され得る。例えば、フィルムは、押出しフィルム又は圧縮成形フィルムであり得る。
【0050】
また、補助材は、射出成形熱可塑性材料又は真空熱成形材料から形成され得る。様々な成形補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0221065号(発明の名称「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」、2013年2月8日付けで出願)に更に記載されている。同文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、補助材は、ファイバベース格子であることもできる。同格子は、織布、編地、又は、メルトブロー、ニードルパンチ、若しくは熱構成ルーズ織布などの不織布であることができる。補助材は、多くの異なる方法で共に補助材を形成し得る、同じ種類の格子又は異なる種類の格子から形成され得る、複数の領域を有し得る。例えば、ファイバは、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編み組まれ、編まれ、又は他の方法で相互に結び付けられ得る。得られた補助材が比較的緩くなるように、ファイバは、相互に結び付けられ得る。あるいは、補助材は、密に相互に結び付けられたファイバを含み得る。補助材は、シート、チューブ、螺旋、又は、柔らかい部分及び/若しくはより硬い補強部分を含み得る任意の他の構造の形態であり得る。補助材は、補助材の特定の領域がより密なファイバを有することができ、一方で、他の領域がより密でないファイバを有するように構成され得る。ファイバ密度は、補助材の意図した用途に基づいて、補助材の1つ又は2つ以上の次元に沿った異なる方向で変わり得る。
【0051】
他の実施形態では、補助材は、吸収性ポリマーと適合する3D印刷プロセス(複数可)を使用して形成することができる。好適な3D印刷プロセスの非限定的な例としては、当業者によって理解されるように、ステレオリソグラフィ(SLA又はSL)、材料噴射、選択的レーザ焼結(SLS)、及び溶融フィラメント製造が挙げられる。
【0052】
また、補助材は、積層複合材又はメルトロック相互結合ファイバなどのハイブリッド構造であることもできる。様々なハイブリッド構造補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0146643号(発明の名称「Adhesive Film Laminate」、2013年2月8日付けで出願)及び米国特許第7,601,118号(発明の名称「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」、2007年9月12日付けで出願)に更に記載されている。これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
材料
記載された技術に基づく補助材は、様々な材料から形成され得る。材料は、異なる目的のための様々な実施形態に使用され得る。材料は、組織内部成長を促進するために、組織に提供されるべき所望の治療に従って選択され得る。以下に記載された材料は、任意の所望の組み合わせで補助材を形成するのに使用され得る。
【0054】
材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含めた、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含み得る。ホモポリマー及びコポリマーの非限定的な例としては、p-ジオキサノン(PDO又はPDS)、ポリグリコール酸(PGA)(例えば、Dexon及びNeoveil)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGL)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリ乳酸(PLA)(例えば、Linvatec Bioscrew及びBionx Implants Smart Screw)、ポリ(トリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリエチレングリコールジグリコレート(PEDG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリエチレンエーテル(PEE)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(epoxycarbonate)、ポリ(2-オキシプロピレンカーボネート)、ポリ(ジオールシトレート)、ポリメタクリル酸無水物、ポリ(エトキシエチレンジグリコレート)、ポリ(グリコール酸-co-乳酸)(PLA/PGA)(例えばVicryl、Vicryl Rapide、PolySorb、及びBiofixにおいて使用されるPLA/PGA材料)、ポリウレタン(例えば、Elastane、Biospan、Tecoflex、Bionate、及びPellethane繊維)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えばGliadel及びBiodelポリマー)、ポリオキサエステル、ポリエステルアミド(例えばREVA ReZolveステント)、及びチロシンベースのポリエステルアミド(例えばTYRX)が挙げられる。コポリマーはまた、ポリ(乳酸-co-ポリカプロラクトン)(PLA/PCL)(例えば16~18ヶ月加水分解された)、ポリ(L-乳酸-co-ポリカプロラクトン)(PLLA/PCL)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/TMC)(例えばMaxon)、ポリ(グリコール酸-co-カプロラクトン)(PCL/PGA)(例えばMonocryl及びCapgly)、PDS/PGA/TMC(例えばBiosyn)、PDS/PLA、PGA/PCL/TMC/PLA(例えばCaprosyn)、LPLA/DLPLA(例えばOptima)、PLGA-PCL(例えば15:85(PCL:50%D,L-ラクチド:50%グリコリド)、40:60(PCL:50%D,L-ラクチド:50%グリコリド)、及び40:60(PCL:85%D,L-ラクチド:15%グリコリド)、PLGA-PCL-PLGA、及びPLGA-PEG-PLGAを含み得る。
【0055】
補助材はまた、(メタ)アクリレート及び有機的に誘導されたポリマーを含む特別なポリマー末端を含むことができる。有機的に誘導されたポリマーの非限定的な例としては、コラーゲンに由来するものが挙げられる(例えば、Avitene、Endoavitene、Instat、Integran、Veritas、及びMicrofibrillar Collagen(MFC))。
【0056】
また、補助材は、活性剤、例えば、活性な細胞培養物(例えば、ダイス状の自家組織、幹細胞療法に使用される作用剤(例えば、Biosutures及びCellerix S.L.)、止血剤、及び組織治癒剤も含み得る。止血剤の非限定例は、セルロース、例えば、酸化再生セルロース(ORC)(例えば、Surgicel及びInterceed)、フィブリン/トロンビン(例えば、Thrombin-JMI、TachoSil、Tiseel、Floseal、Evicel、TachoComb、Vivostat、及びEverest)、自家血小板血漿、ゼラチン(例えば、Gelfilm及びGelfoam)、ヒアルロン酸、例えば、マイクロファイバ(例えば、ヤーン及び織物)若しくはヒアルロン酸に基づく他の構造物、又はヒアルロン酸ベースのヒドロゲルを含み得る。また、止血剤は、ポリマーシーラント、例えば、ウシ血清アルブミン及びグルタルアルデヒド、ヒト血清アルブミン及びポリエチレン架橋剤、並びに、エチレングリコール及びトリメチレンカーボネートなども含み得る。ポリマー封止剤としては、Focal Inc.により開発されたFocalSeal手術用封止剤を挙げることができる。
【0057】
本明細書で記載された補助材は、内部に、少なくとも1種の薬物を放出可能に保持し得る。同薬物は、多数の異なる薬物から選択され得る。薬物としては、所望の機能を有する、補助材内に含まれ、又は、同補助材に関連付けられた薬物又は他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬物としては、例えば、抗菌剤、例えば、抗菌剤及び抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、麻酔剤、組織マトリックス変性阻害剤、抗がん剤、止血剤、並びに生物学的応答を引き起こす他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
抗菌剤の非限定例は、銀イオン、アミノ配糖体、ストレプトマイシン、ポリペプチド、バシトラシン、トリクロサン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ニトロフラン、フラゾリドン、ニトロフラントイン、ベータ-ラクタム、ペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン+、クラブラン酸、アズロシリン、フルクロキサシリン、チカルシリン、ピペラシリン+タゾバクタム、タゾシン、Biopiper TZ、ゾシン、カルバペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム/ベタミプロン、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、スルファセトアミド、スルファジアジン、銀スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、バクトリム、プロントシル、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、フィダキソマイシン、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババシン、オリタバンシン、リンコサミド、クリンダマイシン、リンコマイシン、リポペプチド、ダプトマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、オキサゾリジノン、リネゾリド、アミノ配糖体、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロマイシン、パロモマイシン、セファロスポリン、セフトビプロール、セフトロザン、セフクリジン、フロモキセフ、モノバクタム、アズトレオナム、コリスチン、及びポリミキシンBを含む。
【0059】
抗真菌剤の非限定例は、トリクロサン、ポリエン、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、アゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、アリルアミン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、エキノカンジン、アニデュラファンジン、カスポファンジン、ミカファンジン、シクロピロックス、及び安息香酸を含む。
【0060】
抗ウイルス剤の非限定例は、脱殻阻害剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリルなど;逆転写阻害剤、例えば、アシクロビル、ラミブジン、アンチセンス、フォミビルセン、モルホリノ、リボザイム、リファンピシンなど;及び抗ウイルス薬、例えば、シアノビリン-N、グリフィスシン、シトビリン、α-ラウリル-L-アルギニンエチルエステル(LAE)、並びに銀イオンを含む。
【0061】
抗炎症剤の非限定例は、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アスピリン、ジフルニサール、プロピオン酸誘導体、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、及びロキソプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、トルメチン、スリンダク、及びジクロフェナク)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、ドロキシカム、及びロルノキシカム)、アントラニル酸誘導体(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ(セレブレックス)、パレコキシブ、ロフェコキシブ(Vioxx)、スルホンアニリド、ニメスリド、及びクロニキシン)、免疫選択的抗炎症誘導体、副腎皮質ホルモン(例えば、デキサメタゾン)、及びiNOS阻害剤を含む。
【0062】
成長因子の非限定例は、細胞の成長、治癒、再形成、増殖、及び分化を刺激する細胞シグナル伝達分子である因子を含む。例示的な成長因子は、短い範囲(パラクリン)、長い範囲(エンドクリン)、又は自己刺激(オートクリン)であり得る。成長因子の更なる例は、成長ホルモン(例えば、組換え成長因子、ニュートロピン、ヒューマトロープ、ゲノトロピン、ノルディトロピン、サイゼン、オムニトロープ、及び生合成成長因子)、表皮成長因子(EGF)(例えば、阻害剤、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、及びセツキシマブ)、へパリン結合EGF様成長因子(例えば、エピレグリン、ベタセルリン、アンフィレグリン、及びエピジェン)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-a)、ニューロレグリン1-4、線維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF-1-2、FGF2、FGF11-14、FGF18、FGF15/19、FGF21、FGF23、FGF7、又はケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF10、又はKGF2、及びフェニトイン)、インスリン様成長因子(IGF)(例えば、IGF-1、IGF-2、及び血小板由来成長因子(PDGF))、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、阻害剤、ベバシズマブ、ラニビズマブ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びベカプレルミン)を含む。
【0063】
成長因子の更なる非限定例は、サイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(例えば、炎症応答を阻害する阻害剤並びに組換えDNA技術を使用して及び組換え酵母由来ソースにより製造されたGM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(例えば、フィルグラスティム、レノグラスティム、及びニューポジェン)、組織成長因子ベータ(TGF-B)、レプチン、及びインターロイキン(IL)(例えば、IL-1a、IL-1b、カナキヌマブ、IL-2、アルデスロイキン、インテルキング、デニロイキン、ジフチトックス、IL-3、IL-6、IL-8、IL-10、IL-11、及びオプレルベキン)を含む。成長因子の非限定例は、エリスロポエチン(例えば、ダルベポエチン、エポセプト、ダイネポ、エポマックス、ネオレコルモン、シラポ、及びレタクリット)を更に含む。
【0064】
鎮痛薬の非限定例は、麻酔剤、オピオイド、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、非麻酔剤、パラセタモール、アセトアミノフェン、NSAID、及びフルピルチンを含む。
【0065】
麻酔剤の非限定例は、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、及びロピバカイン)及び全身麻酔剤を含む。
【0066】
メタロプロテイナーゼ(MMP)及び他のプロテアーゼの作用を阻害する組織マトリックス分解阻害剤の非限定例は、MMP阻害剤(例えば、外来性MMP阻害剤、ヒドロキシメート系MMP阻害剤、バチマスタット(BB-94)、イロマスタット(GM6001)、マリマスタット(BB2516)、チオール、ペリオスタット(ドキシサイクリン)、スクアリン酸、BB-1101、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、内在性、カルバモイルリン酸塩、ベータラクタム、及びMMPの組織阻害剤(TIMP))を含む。
【0067】
抗がん剤の非限定的な例には、モノクローナル抗体、ベバシズマブ(アバスチン)、細胞/化学誘引剤、アルキル化剤(例えば、二官能性、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、単官能性、ニトロソ尿素及びテモゾロミド)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン及びバルルビシン)、細胞骨格破壊剤(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、微細管機能を阻害することによって細胞分裂を制限するエポチロン剤、細胞分裂又は特定の細胞機能に必要な様々な酵素をブロックする阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット及びロミドプシン)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン及びトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド及びタフルポシド)、キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ及びビスモデギブ)、ヌクレオチド類似体(例えば、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、5-FU、アドルシル、カラク、エフディックス、エフデックス、フルオロプレックス、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン及びチオグアニン)、DNAを切断し、DNAの巻き戻し/巻き戻しを破壊するペプチド抗生剤(例えば、ブレオマイシン及びアクチノマイシン)、DNAの修復及び/又は合成を阻害するDNAを架橋する白金系抗新生物剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン及びエロキサチン)、レチノイド(例えば、トレチノイン、アリトレチノイン、及びベキサロテン)、有糸分裂及び微細管形成を阻害するビンカアルカロイド剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、細胞増殖又は細胞増殖を阻害する血管新生阻害剤(例えば、アキシチニブ(Inlyta)、ベバシズマブ(Avastin)、カボザンチニブ(Cometriq)、エベロリムス(アフィニトール、Zortress)レナリドミド(Revlimid)、パゾパニブ(Votrient)、ラムシルマブ(Cyramza)、レゴラフェニブ(Stivarga)、ソラフェニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、サリドマイド(シノビル、タロミド)、バンデタニブ(Caprelsa)、Zib-アフリベルセプト(Zaltrap)、抗血管新生多糖類、アプリジン(デヒドロジデモニンB)、サポゲニン、すなわち、20(S)-プロトパナキサジオール及び20(S)-プロトパナキサトリオール)、抗回腸剤、運動性剤、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス)、免疫抑制剤が含まれる、血液態様調整剤(例えば、イリノテカン及びトポテカン)、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-CoA(HMG CoA)レダクターゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド及びタフルポシド)及び抗血管新生剤が含まれる。
【0068】
また、例示的な薬物は、創傷治癒に受動的に寄与する作用剤、例えば、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランなども含む。また、例示的な薬物は、抗癒着剤も含む。その非限定例は、ヒアルロン酸/カルボキシメチルセルロース(seprafilm)、酸化再生セルロース(Interceed)、及びイコデキストリン4%(Extraneal、Adept)も含む。
【0069】
例示的な薬物はまた、冠動脈疾患(CAD)(例えばVEGF165タンパク質、AdVEGF165、AdVEGF121、及びVEGF165プラスミド)又は末梢動脈疾患(PAD)(例えばVEGF165プラスミド、AdVEGF121、SB-509(SFP-VEGFプラスミド)、AdVEGF165、及びAd2-HIF1α-VP16(WALK試験))後の血液供給再生を促進する薬物を含む。
【0070】
薬物放出
記載された技術に基づく補助材は、例えば、組織内部成長に対して、所望の様式で所望の効果を提供するために、多くの異なる方法で、少なくとも1種の薬物と関連付けられ得る。少なくとも1種の薬物は、施療部位において所望の治癒プロセスをトリガするために、複数の空間的及び時間的パターンで補助材から放出されるように構成され得る。薬物は、補助材内に配設され、補助材に結合され、補助材内に組み込まれ、補助材内に分散され、又は補助材と他の方法で関連付けられ得る。例えば、補助材は、内部に、1種又は2種以上の異なる薬物を放出可能に保持している、1つ又は2つ以上の領域を有し得る。これらの領域は、様々なサイズ及び形状の、様々な方法で内部に薬物を保持する、別個のリザーバであるか、又は、補助材内の他の別個の若しくは連続した領域であることができる。いくつかの態様では、補助材の特定の構成により、1種の薬物又は2種以上の異なる薬物を、内部に放出可能に保持することができる。
【0071】
薬物が補助材内に配設される方法に関わらず、有効量の少なくとも1種の薬物が、容器、例えば、マイクロカプセル、マイクロビーズ、又は任意の他の容器の形態であることができるペレット内に封入され得る。この容器は、生体吸収性ポリマーから形成され得る。
【0072】
補助材からの少なくとも1種の薬物の標的化運搬及び放出は、様々な要因に応じた多くの方法において達成され得る。一般的に、少なくとも1種の薬物は、補助材料が組織に運搬された実質的に直後に薬物が放出されるように、ボーラス投与量として補助材料から放出され得る。あるいは、少なくとも1種の薬物は、数分、数時間、数日、又はそれ以上であり得る特定の期間にわたって、補助材料から放出され得る。タイミングを合わせた放出(timed release)の速度及び放出される薬物量は、様々な要因、例えば、薬物が放出される領域の分解速度、補助材内に薬物を保持するのに使用される1つ又は2つ以上のコーティング又は他の構造の分解速度、施療部位の環境条件、及び様々な他の要因により決まり得る。いくつかの態様では、補助材が内部に配設された2つ以上の薬物を有する場合、第1の薬物のボーラス投与量放出は、第1の薬物が放出された後に放出し始めるように、第2の薬物の放出を調節し得る。補助材は、複数の薬物を含み得る。同薬物はそれぞれ、1種又は2種以上の他の薬物の放出に、任意の適切な方法で影響を及ぼし得る。
【0073】
ボーラス投与量として又はタイミングを合わせた放出としての少なくとも1種の薬物の放出は、補助材料が組織に運搬された実質的に直後に生じても若しくは開始してもよいし、又は、所定の時間まで遅延されてもよい。遅延は、補助材又は1つ若しくは2つ以上のその領域の構造及び性質により決まり得る。
【0074】
補助材料は、補助材内に保持された有効量の1種以上の薬物の分配を促進する構造を有し、所望の効果をもたらすように構成され得る。例えば、薬物の標的化運搬は、薬物の特定の空間的分布をその運搬に基づいて可能にするパターンで形成された補助材内の領域(例えば、リザーバ、例えば、孔又は他の構造)に、薬物を組み込むことにより達成され得る。リザーバ内に配設された薬物は、別個の容器内に組み込まれ得る。リザーバは、2種類以上の異なる薬物を含み得る。1種以上の薬物は、均質な様式又は異質な空間的及び/若しくは時間的様式において、補助材から溶出され、所望の治療を提供し得る。補助材の構造及び薬物がそれから放出される様式は、組織再成長に影響を及ぼし、又は、制御するのに使用され得る。更に、組織再成長は、施療部位の特定の位置において亢進させ、施療部位の他の位置では抑制することができる。
【0075】
流体制御特徴部及び薬物放出特徴
特定の実施形態では、補助材は、補助材が組織配備状態にあるときに(例えば、組織生体内にステープル留めされているときに)、補助材への、補助財からの、及び/又は補助財を通る流体移動を制御するように設計された様々な構成を有することができる。この流体制御は、補助材が組織配備状態にある間、組織リモデリング中に補助材の内外への細胞及び副生成物の移動性を促進することができる。更に、この流体制御は、補助材にステープル留めされる組織のイオンレベルに影響を与えることができ、その結果、補助材を通る流体移動は、組織リモデリングに対する環境効果を妨害又は増強することができる。
【0076】
補助材は、概して、ステープルカートリッジ上に解放可能に保持されるように構成され、かつカートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料から形成され得る。例示的な実施形態では、補助材料は、格子主構造を含むことができ、格子主構造は、格子主構造内に形成された少なくとも1つの吸収性副構造を有する。少なくとも1つの吸収性副構造は、補助材料が組織配備状態にあるときに、補助材料の中への、外への、及び/又は補助材料を通る流体移動が補助材料に隣接する組織の治癒に影響を与えるように、流体移動を制御するように構成され得る。本明細書で使用される場合、用語「格子主構造」及び「吸収性副構造」は、それぞれ用語「格子マクロ構造」及び「吸収性微細構造」と同義的に使用される。
【0077】
マクロ及び微細構造の形成を可能にするために、補助材は非繊維性補助材であり得る。従来の補助材(例えば、発泡補助材及び織布/不織布繊維補助材などの、三次元的に印刷されていない補助材)とは異なり、非繊維補助材は、三次元的に(3D)印刷されており、したがって、一貫性があり再現可能な微細構造(ユニット又はサブ構造)を用いて形成することができる。しかしながら、特定の実施形態では、非繊維性補助材は、補助材内の組織内部成長を強化するのを支援するために別個の繊維性特徴部を含むことができる。
【0078】
上述したように、流体制御構造は、補助材内への、補助材からの、及び/又は補助材を通る流体移動に影響を与えるように構成されている。流体移動はまた、補助材からの薬物放出を制御するために(例えば、補助材がその中に配設された少なくとも1つの薬物を収容し、組織配備状態にあるとき)、及び/又は補助材を通る薬物流を制御するために使用することができる。例えば、補助材がその中に配設された少なくとも1つの薬物を収容する実施形態では、流体の流入は、少なくとも1つの薬物の飽和を制御することができ、流体の流出は、放出されている薬物投薬量を制御することができる。したがって、流体移動(例えば、速度及び/又は体積)を制御することにより、薬物投与量を補助材から放出させることができる。更に、流体は、少なくとも1つの薬物の担体として機能することができるので、補助材を通して所定の方向(複数可)に流体移動を方向付けることを使用して、補助材の薬物放出場所(複数可)を画定することができる。したがって、当業者は、したがって、本明細書に開示される流体制御特徴部のいずれか(例えば、吸収性副構造)が、補助材が組織配備状態にあるときに補助材に隣接する組織へのその輸送のために補助材内に保持される薬物と組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。
【0079】
特定の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、補助材料を通る流体移動の方向を共に制御する2つ又はそれ以上の吸収性副構造を含むことができる。吸収性副構造は、概ね均一な構成(例えば、製造公差内で均一)又は異なる構成を有することができる。一実施形態では、吸収性副構造は、第1の構成を有する第1の吸収性副構造と、第1の構成とは異なる第2の構成を有する第2の吸収性副構造とを含む。
【0080】
少なくとも1つの吸収性副構造は、能動的流れ制御構造(例えば、外部エネルギー入力に応答して動作して流体流を操作する構造)又は受動的流れ制御構造(例えば、外部エネルギー入力なしで動作して流体流を操作する構造)とすることができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、能動的流れ制御構造である第1の吸収性副構造と、受動的流れ制御構造である第2の吸収性副構造とを含むことができる。能動的流れ制御構造の非限定的な例としては、補助材に加えられた外力(例えば、補助材にステープル留めされた組織によって加えられた力)に応じて変形を受けて、補助材から流体を汲み出すか、又は補助材内に流体を引き込むように構成された構造が挙げられる。これらの構造は、例えば、シール、分解性壁、弁、及び補助材又はその部分が外部から加えられた力(複数可)に曝露される際に補助材が形状変化を受ける際に状態を変化させる他の特徴(例えば、単位セル又はその部分)を含むことができる。これらの構造は、流体ポンプ、真空チャンバ、一方向弁などとして作用して、構造が外部の力及び動きに曝されることに応じて、大きなボーラスの流体を移動させることができる。受動的流れ制御構造の非限定的な例としては、ウィッキング構造、微細通路、又は外部からの介入なしに(例えば、補助材内の圧力差に応答して)補助材を通して流体を方向付ける他の構造が挙げられる。更に、そのような構造を使用して、連続的な指向性流体輸送を作り出すことができる。
【0081】
少なくとも1つの吸収性副構造は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、可動弁として設計されることができ、可動弁は、可動弁を通る流体移動を制御するように構成される。可動弁の非限定的な例としては、ダックビル弁、フラッパ弁などが挙げられる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの吸収性副構造は、格子主構造の側壁に形成された微細通路を含むことができる。微細通路は、側壁の内面、外面、又はこれらの組み合わせに形成することができる。例えば、第1の微細通路を壁の内面に形成し、第2の微細通路を側壁の外面に形成することができる。特定の実施形態では、微細通路は、それを通して毛管作用を介して流体を引き出すように構成され得る。
【0082】
微細通路を通る流体の方向は、制御されてもよく、又は制御されなくてもよく、均質な流れ又は方向付けられた流れを可能にする。いくつかの実施形態では、微細通路は、それぞれの微細通路を通して所定の方向に流体を導くように構成された少なくとも1つの微細特徴部を含むことができる。例えば、少なくとも1つの微細特徴部は、格子主構造の側壁からそれぞれの微細通路内に延在する可撓性ウィッキング要素を含むことができる。可撓性ウィッキング要素は、可撓性ウィッキング要素が微細通路を通して、したがって格子主構造のそれぞれの部分を通して、1つ又は2つ以上の所定の方向に流体を向けることができるように、側壁に対して任意の適切な角度で延在することができる。当業者は、可撓性ウィッキング要素が延在する角度(複数可)が、少なくとも部分的に、それぞれの微細通路を通る流れの所望の方向、及び格子主構造のそれぞれの側壁の構造的構成に依存することを理解するであろう。
【0083】
格子主構造は、単位セルから構成することができる。単位セルは、様々な構成を有することができる。単位セルは、鋭い角又は角度の存在によって特徴付けられる支柱ベースの単位セルから形成され得るか、又は非支柱ベースの単位セルは、湾曲した表面によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、支柱ベースの単位セルを用いて、単位セルは、中空支柱から形成されることができる。例えば、中空支柱は、同じ質量の中実管よりも高い曲げ強度を有する中空管の形態であってもよい。したがって、中空管は、十分に高い圧縮強度も維持しながら、植え込まれた補助材の材料の総量を低減することができる。更に、特定の実施形態では、中空管は、「I」字形の形態、又は材料をその中立軸から離れるように移動させることができる任意の他の好適な形態であり得る。
【0084】
非支柱ベースの単位セルでは、単位セルは、例えば、三重周期最小曲面(TPMS)に基づくことができる。TPMSは、三次元で繰り返される最小曲面である。本明細書で使用される「最小曲面」という用語は、数学で知られている最小曲面を指す。したがって、いくつかの実施形態では、単位セルは、それを通って延在する通路を有する三重周期最小曲面構造(例えば、シュワルツP、シュワルツのDiamondなど)であり得る。例えば、非支柱ベースの単位セルは、中空構造であり得る。シュワルツP構造などの三重周期最小曲面構造に関する更なる詳細は、前述の2020年9月1日に出願され、「Compressible Non-Fibrous Adjuncts」と題された米国特許出願第17/009,740号に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、格子主構造は、ストラットベースの単位セル(例えば、中空支柱)と非支柱ベースの単位セル(例えば、1つ又は2つ以上の三重周期最小曲面構造)との組み合わせを含むことができる。
【0085】
本明細書に開示される単位セルの構造的構成は、補助材内の細胞内部成長を増強するように調整することができる。例えば、単位セルを通る空隙又は通路のサイズは、それを通る細胞の動きに対する影響が最小であるサイズ(例えば、約50ミクロン~75ミクロン)などに調整することができる。代替的又は追加的に、補助材は、組織内部成長(例えば、補助材の開放空間内での組織肉芽形成又は充填、架橋、若しくは治癒)を実質的に妨害しない、最大密閉気孔率を伴って設計されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、補助材の最大密閉気孔率は、約500ミクロンであり得る。
【0086】
更に、単位セルの内部空洞及び/若しくは内面並びに/又は単位セル間の間隙空間は、組織内部成長を促進するための繊維状特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維は、1つ又は2つ以上の単位セルの内部空洞と共に配設され得る(例えば、手術用線維は、単位セルの内部空洞内に緩く充填され得る)。代替的又は追加的に、繊維は、単位セル間の間隙空間(例えば、凹領域)内に配設され得る。更に、代替的又は追加的に、繊維状構造を1つ又は2つ以上の単位セルの内面上に印刷することができ、及び/又は1つ又は2つ以上の単位セルの内面をテクスチャ加工することができる。
【0087】
本明細書に開示される単位セルの構造的構成はまた、同じ補助材内で、例えば横方向及び/又は長手方向(例えば、それぞれy方向及び/又はz方向)に可変の機械的応答をもたらすように調整することができる。例えば、補助材は、各々が異なる圧縮挙動を示す少なくとも2つ又はそれ以上の異なる格子構造から形成され得る。いくつかの実施形態では、補助材の周囲は、より柔軟であり得る一方で、より剛性の領域は、補助材の意図された切断線のより近くに位置する。例として、意図された切断線自体に隣接する壁は、大部分が中実又は剛性であってもよく、それによって、意図された切断線に沿った補助材のより制御されたよりきれいな切断を可能にする。更に、補助材のより軟質の周囲は、顎部(例えば、手術用ステープラの顎部)の外側の隣接する組織を付随する圧縮損傷から保護することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、単位セルは、1つ又は2つ以上の壁によって画定することができ、壁のうちのいくつかは中空であり(例えば、対向する外面の間に空隙を有する)、他は中実であり、それによって、1つ又は2つ以上の壁の間で優先的な壁の曲げを生成する。特定の実施形態では、単位セルの任意の中実壁は、壁が全体として曲がる前に(例えば、補助材に力が加えられたときに)中実壁が最初に曲がる屈曲ゾーンを作り出す内部空隙を含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、単位セルの1つ又は2つ以上の壁は、可撓性である実質的に非圧縮性の外側シェルを生成する、小さい相互接続されていない空隙(例えば、球及び/又は円筒の形態の)で占められることができる。すなわち、小さな相互連結されていない空隙は、これらの空隙が1つ又は2つ以上の壁の内部態様の直接的な圧縮なしに曲げを可能にすることができるので、1つ又は2つ以上の壁の大部分が剛性のポリマーが、より可撓性になることを可能にする。そのような実施形態では、単位セルが所定の力に基づいて2つの異なる状態の間でより容易に移動することができるように、外側シェルの二峰性を増加させることができる。
【0090】
本明細書に開示される補助材はまた、補助材の選択的変形(例えば、伸張、曲げ、圧縮等)を促進又は抑制する内部及び/又は外部特徴を含むことができる。例えば、補助材は、補助材が圧縮されているときに補助材の変形量を制限するように構成された1つ又は2つ以上の内部停止要素を含むことができる。代替的又は追加的に、補助材は、ステープル留めアセンブリのカートリッジ上に解放可能に保持されている間に補助材が伸張することを防止する表面特徴部を含むことができる。代替的又は追加的に、補助材は、補助材がステープルカートリッジ上に解放可能に保持されるときにステープルカートリッジの上面に対する、及び/又は補助材がステープル留めされるときに組織に対する補助材の滑りを最小限に抑えるように構成された表面特徴部(例えば、表面摩擦特徴部)を含み得る。本明細書に開示される補助材の選択的変形を促進又は抑制するのに好適な内部特徴及び表面特徴部の更なる詳細及び他の例示的な実施形態は、2018年2月21日に出願され、「Three Dimensional Adjuncts」と題された米国特許出願第15/901,087号、及び前述の2020年9月1日に出願された、「Compressible Non-Fibrous Adjuncts」と題する米国特許出願第17/009,769号明細書に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0091】
特定の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、それぞれの通路を通る流体流を制御するために、少なくとも1つの単位セル内に形成された少なくとも1つの微細構造を含むことができる。例えば、少なくとも1つの微細構造は、単位セルの側壁に形成される微細通路であってもよい。微細通路は、それぞれの単位セルの通路と流体連通することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、単位セルのうちの少なくとも1つに形成される可動弁(例えば、ダックビル弁、フラッパ弁等)等の他の流体制御構造を含むことができる。
【0092】
特定の実施形態では、単位セルの少なくとも一部は、(例えば、補助材料が組織配備状態にあるときに)補助材料内に流体を引き込むように、及び/又は(例えば、補助材料が組織配備状態にあるときに)補助材料から補助材料に隣接する組織に流体を追い出すように、補助材料が圧縮されると変形するように構成され得る。したがって、単位セルのこの部分は、格子主構造内のポンプ要素として機能して、補助材料を通る流体流を駆動することができる。このような実施形態において、単位セルのこの部分は、補助材料のステープル穿刺ゾーン(例えば、補助材料が解放可能に保持されるカートリッジ内に配設されたステープルと重なり合うように構成された補助材料のゾーン又は領域)の外側に集中し得る。
【0093】
更に、いくつかの実施形態では、格子主構造は、隣接する単位セル間に延在し、隣接する単位セルを互いに接続する接続構造を含むことができる。接続構造は中空管の形態であってもよい。したがって、接続構造は、格子主構造内のチャネル要素として機能して、補助材料を通る流体流を方向付けることができる。代替的又は追加的に、接続構造は、格子主構造内のポンプ要素として機能することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、格子主構造は、中空支柱を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの吸収性副構造は、それを通る流体流を制御するために、中空支柱のうちの少なくとも1つ内に形成されることができる。一実施形態では、中空支柱は、隣接する単位セル間に延在し、隣接する単位セルを互いに接続する接続構造である。
【0095】
以下に説明するように、各例示的な補助材は、部分的な形態(例えば、長さ全体ではない)で示されており、したがって、当業者は、各実施形態で特定されるように、補助材が長さにおいてより長い、例えば、その長手方向軸(L)に沿っていてもよいことを理解する。長さは、ステープルカートリッジ又はアンビルの長さに基づいて変化し得る。幅も必要に応じて変えることができる。更に、各々の例示的な補助材は、各補助材の長手方向軸Lがカートリッジ又はアンビルの長手方向軸(L)と整列してこれに沿って延在するように、カートリッジ又はアンビル表面の上部に位置付けられるように構成される。これらの補助材は、圧縮力(例えば、応力又は負荷)に曝されたときに圧縮するように構造化される。
【0096】
図8は、単位セル204から形成される格子主構造202を有する補助材200の一実施形態を示す。図示されていないが、補助材200は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。この図示された実施形態では、単位セル204は中空であり、通路、例えば、矢印Pによって示される第1の通路及び矢印Pによって示される第2の通路がそれを通って延在する。使用中、補助材200に力が加えられると、単位セル204は、変形又は圧縮するように構成される。このようにして、単位セル204は、流体を補助材200の内外に駆動するポンプ要素として機能することができる。単位セル204は、通路、例えば、矢印Pによって示される通路が貫通して延在する中空管の形態である接続構造206を介して互いに接続される。結果として、単位セル204は、経路の連続ネットワークが補助材200内に存在するように、互いに流体連通している。更に、接続構造206は中空管の形態であるので、接続構造206は、補助材が圧縮されているときにポンプ特徴部として機能することもできる。明確にするために、単位セル204及び3つの接続構造206のみが示されている。
【0097】
補助材200は、格子主構造202内に形成される少なくとも1つの吸収性副構造208、210、212、214、216を含むことができる。少なくとも1つの吸収性副構造208、210、212、214、216は、様々な構成を有することができる。例えば、この図示された実施形態では、格子主構造202は、その中に形成された様々な異なる吸収性副構造208、210、212、214、216を有するものとして示されている。より具体的には、吸収性副構造208、210、212、214、216は、第1のフラッパ弁208と、第2のフラッパ弁210と、ダックビル弁212と、格子主構造202の側壁222の外面218内に画定される第1のマイクロチャネル214と、格子主構造202の側壁222の内面220内に画定される第2のマイクロチャネル216とを含む。第1のマイクロチャネル214及び第2のマイクロチャネル216は各々、それを通して流体を方向付けるように構成される。様々な異なる吸収性副構造が示されているが、当業者であれば、吸収性副構造の種類(複数可)及び吸収性副構造の数は、格子主構造のサイズ及び形状に少なくとも依存し得、したがって、補助材は、図に示されている吸収性副構造の種類及び数に限定されないことを理解するであろう。更に、様々な異なる吸収性副構造が図示されているが、他の実施形態では、格子主構造は、任意の適切なタイプ及び数の吸収性副構造を有することができる。
【0098】
図示されていないが、補助材200は、格子主構造202内に配設された少なくとも1つの薬物を含むことができる。そのような場合、当業者は、流体が少なくとも1つの薬物のための担体ビヒクルとして機能し得ることを理解するであろう。したがって、補助材を通って外への流体移動は、薬物移動を含み、結果として、補助材からの薬物放出の速度及び/又は場所に影響を及ぼす可能性がある。
【0099】
第1のフラッパ弁208は、様々な構成を有することができる。例えば、図8に示すように、第1のフラッパ弁208は各々、格子主構造202の側壁222を完全に貫通して延在するそれぞれの第1の開口部226の上に配置される第1のフラップ224、例えば、可動ポリマーフラップを含む。第1の開口部226は、側壁の様々な場所に配置することができるが、この図示された実施形態では、第1の開口部は、単位セル204の上部228及び底部230に位置付けられる。使用時、第1のフラップ224は、閉鎖位置から閉鎖位置に移動するように構成される。図8に示されるように、第1のフラップ224が開放位置にあるとき、流体(矢印によって示される)は、それぞれの第1の開口部を通過し、それぞれの単位セル204の内部容積232に入ることができる。第1のフラップ224が閉鎖位置にあるとき、第1のフラップ224はシールを形成し、その結果、それぞれの単位セル204の内部容積232内の任意の流体は、それぞれの第1の開口部226を通過して補助材200から出ることが阻止される。したがって、第1のフラッパ弁208は、流体の流入のみを可能にする一方向自己封止弁として構成される。
【0100】
第2のフラッパ弁210は、様々な構成を有することができる。例えば、図8に示すように、第2のフラッパ弁210は各々、格子主構造202の側壁222を完全に貫通して延在するそれぞれの第2の開口部236の上に配置される第2のフラップ234、例えば、可動ポリマーフラップを含む。第2の開口部236は、側壁222内の様々な場所に位置付けることができるが、この図示された実施形態では、第2の開口部236は、単位セル204の側面に沿って、接続構造206の周りにある。第2のフラップ234は、閉鎖位置から開放位置に移動するように構成されている。図8に示されるように、第2のフラップ234が開放位置にあるとき、流体(黒い矢印によって示される)は、単位セル204及び接続構造206から出て、それぞれの第2の開口部236を通り、補助材200から出ることができる。第2のフラップ234が閉鎖位置にあるとき、第2のフラップ234はシールを形成し、その結果、補助材200の外側の任意の流体が、それぞれの第2の開口部236を通過して単位セル204及び接続構造206内に入ることが阻止される。したがって、第2のフラッパ弁210は、流体の流出のみを可能にする一方向自己封止弁として構成される。
【0101】
図9及び図10は、図8に示される第2のフラッパ弁210のようなフラッパ弁310を有する別の実施形態の補助材300を示し、これは、収縮する物理的付勢を使用して、流体が一方向に移動することを可能にするが、反対方向への移動を防止するように設計される。図示されていないが、補助材300は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。簡略化のために、補助材300の一部の断面図が図9及び図10に示されている。フラッパ弁310は、内圧P(例えば、補助材の内側の圧力)が外部圧力P(例えば、補助材の外側の圧力)未満であるときに補助材300の側壁322を通る開口部336を封止するために閉鎖位置(図9)に付勢されるフラップ334を含む。しかしながら、内圧Pが外部圧力Pよりも大きいとき、フラップ334は、開放位置に移動するように構成されており(図10)、それによって、補助材1000内の内容物例えば、の少なくとも一部分の流体(黒い矢印によって示される)が、開口部336を通って補助材300の外に流れることを可能にする。いくつかの実施形態では、圧力差は、開口部336の両側に存在する流体によって生成される。したがって、外力が補助材300に加えられると、内圧Pが増加し、それによってフラッパ弁310を閉鎖位置から開放位置に移動させることができる。
【0102】
図8に戻って参照すると、ダックビル弁212は、接続構造206を通る流体移動を制御するために使用される接続構造206内に位置付けられる。各ダックビル弁212は、それぞれの接続構造206を画定する格子主構造202の側壁222に取り付けられ、そこから延在する一対の対向するリーフレット212a、212bを含む。リーフレット212a、212bは、リーフレット212a、212bの自由端238a、238bが互いに接触している閉鎖位置から、図8に示すように、リーフレット212a、212bの自由端238a、238bが互いに離間している開放位置に移動するように構成されている。ダックビル弁212が開放位置にあるとき、リーフレット212a、212bの自由端238a、238b間の空間は、流体がそれぞれの接続構造206を一方向Dに通過することを可能にする。ダックビル弁312が閉鎖位置にあるとき、リーフレット212a、212bの自由端238a、238b間の接触は、流体がそれぞれの接続構造206を反対方向Dに通過することを防止する。
【0103】
図11及び図12は、図8に示されるダックビル弁212のようなダックビル弁412を有する補助材400の別の実施形態を図示し、それは、流体が一方向に移動することを可能にするが、反対方向の移動を防止するように、収縮する物理的付勢を使用するように設計される。図示されていないが、補助材400は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。簡略化のために、単一のダックビル弁412を有する補助材400の一部分の断面図が、図11及び図12に示される。ダックビル弁412は、概して、補助材400の環状側壁422から延在する2つの対向するフラップ412a、412bを含み、各フラップ412a、412bは、平らな又は曲がった自由端438a、438bを有する。図11に示されるように、ダックビル弁の片側(例えば、ダックビル弁の右側)上の第1の圧力Pがダックビル弁の反対側(例えば、ダックビル弁の左側)上の第2の圧力よりも大きいとき、平らな又は曲がった自由端438a、438bは、閉鎖位置に付勢されて(図11)、補助材400を通る通路401を封止する。これにより、流体が弁を通って第1の方向Dに流れることが防止される。しかしながら、第1の圧力Pが第2の圧力Pよりも大きいとき、平らな又は曲がった自由端428a、438bは、開放位置(図12)に移動し、それによって、流体(黒色矢印によって示される)がダックビル弁を通して、したがって、補助材の通路401を通して第2の方向Dに流動することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、外圧が補助材400に印加されると、内圧、例えば、第2の圧力Pが増加し、それによってダックビル弁を閉鎖位置から開放位置に移動させることができる。
【0104】
図8に戻って参照すると、補助材200は、単位セル204内に形成され、内部容積232内に延在する内部停止要素240a、240b、242a、242b、244a、244bを含むことができる。これらの内部停止要素240a、240b、242a、242b、244a、244bは、互いに接触することによって、補助材200が圧縮されている間のそれぞれの単位セル204の変形量を制限するように構成される。補助材200は、任意の数の内部停止要素を含むことができるが、この図示される実施形態では、補助材は、3組の内部停止要素240a、240b、242a、242b、244a、244bを含む。
【0105】
内部停止要素240a、240b、242a、242b、244a、244bは、様々な構成を有することができる。更に、内部停止要素は、同じ又は異なる構造的構成を有することができる。図8に示されるように、要素の第1のセットは、第1及び第2の対向する停止要素240a、240bを含み、各々は、第1の停止要素240aが単位セル204の上部228に近接して位置付けられ、第2の停止要素240bが単位セル204の底部230に近接して位置付けられる、L字形構成を有する。第2の組の要素は、第3及び第4の対向する停止要素242a、242bを含み、各々がL字形構成を有し、第3の停止要素242aは、単位セル204の上部228に近接して配置され、第4の停止要素242bは、単位セル204の底部230に近接して配置される。第1及び第2の組の要素は、単位セル204の内面の両側に位置付けられる。第3の組の要素は、第5及び第6の対向する停止要素244a、244bを含み、各々がV字形構成を有し、第5の停止要素244aは、単位セル204の上部228に近接して位置付けられ、第6の停止要素244bは、単位セル204の底部230に近接して配置される。第3の組の要素は、第1の組の要素と第2の組の要素との間に位置付けられる。当業者であれば、内部停止要素の数及び構造的構成は、少なくとも単位セルの構造的構成及びサイズに依存し、したがって、他の実施形態では、単位セルは、異なる数の内部停止要素及び/又は他の好適な形状及びサイズを有する内部停止要素を有することができることを理解するであろう。
【0106】
図13は、相互接続された単位セル504から形成される格子主構造502を有する補助材500の別の実施形態を示す。図示されていないが、補助材500は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。簡略化のために、1つの単位セル504及び2つの接続構造506の一部のみが示されている。単位セル504及び2つの接続構造506は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、単位セル504は中空構造であり、2つの接続構造506は各々が中空管である。図5に示すように、単位セル504及び中空管506は各々、その中に形成されたマイクロチャネル540、すなわち、中空管によって画定されたマクロチャネル内に位置するより小さいチャネルを有する。すなわち、マイクロチャネル540は、単位セル504及び2つの中空管506を画定する格子主構造502の側壁522内に形成される。この図示された実施形態では、マイクロチャネル540は、側壁522の内面522aの一部を形成する。使用時、補助材500が圧縮されると、補助材500内の流体542は、例えば、図14に示すように、マイクロチャネル540を介して方向付けられ得る。
【0107】
特定の実施形態では、マイクロチャネル540は、マイクロチャネル540内に配向された微細特徴部(複数可)を含むことができ、微細特徴部を通して流体542を所定の方向に方向付ける。例えば、図15に示すように、マイクロチャネル540は、流体542をマイクロチャネル540を通して第1の方向Dに向けるように構成された可撓性ウィッキング要素544を含むことができる。当業者であれば、微細特徴部の配向は、少なくともマイクロチャネルの構造的構成及びマイクロチャネルを通る流体流の所望の方向に依存することを理解するであろう。
【0108】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネルは、毛管作用を介してそれを通して流体を吸い上げるように構成することができる。例えば、マイクロチャネルは、毛管作用を介してそれを通して流体を吸い上げるように、約10マイクロメートル~500マイクロメートルの幅を有することができる。他の実施形態では、マイクロチャネルは、それを通して流体を吸い上げるように構成されるフィラメントの編まれた又は織られた構造を含むことができる。
【0109】
図16は、格子主構造602内に形成された吸収性副構造608、610、612、616を有する格子主構造602を有する補助材600の別の例示的な実施形態を示す。図示されていないが、補助材600は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。格子主構造は中空支柱1646を含み、その中に吸収性副構造が、そこを通る流体流を制御するために形成される。吸収性副構造608、610、612、616は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、吸収性副構造608、610、612、616は、第1のフラッパ弁608、第2のフラッパ弁610、ダックビル弁612、及びマイクロチャネル616を含む。補助材に出入りする流体流は、矢印で示されている。第1のフラッパ弁608、第2のフラッパ弁610、ダックビル弁612、及びマイクロチャネル616は、図8に示される第1のフラッパ弁208、第2のフラッパ弁210、ダックビル弁212、及び第2のマイクロチャネル216と構造的構成及び/又は機能が類似しており、したがって、本明細書では詳細に説明しない。
【0110】
いくつかの実施形態では、補助材の単位セルの少なくとも一部は、例えば、図17及び図18に示されるように、補助材がカートリッジに保持されて解放されるときに、カートリッジのステープル列と重ならない補助材の領域内に位置付けられ得る。したがって、使用時に、重なり合わない単位セルは、単位セルが圧縮されているときに補助材から流体を追い出し、単位セルがそれらの非圧縮構成に戻るように拡張しているときに補助材に流体を引き込み、又はそれらの組み合わせを行うように構成されたポンプ要素として機能することができる。
【0111】
図17及び図18は、ステープルカートリッジ704の上面又はデッキ表面703(例えば、アンビルに面するカートリッジ表面)上に解放可能に保持された補助材702を有するステープル留めアセンブリ700の例示的な実施形態を示す。図示されるように、補助材702の半分(例えば、右半分)のみがステープルカートリッジ704上に示されており、2列のステープル706a、706bがステープルカートリッジ704内に配設されている。図18に示すように、最も内側のステープル列706aは、カートリッジ704内に画定されたナイフスロット708に隣接している。
【0112】
補助材702は様々な構成を有することができるが、補助材702は、3つの長手方向アレイの2つのセットに配置された相互接続された単位セル(例えば、シュワルツP構造)から形成され、第1のセットは、補助材702の意図された切断線Cの第1の側に位置付けられ、第2のセット(図示せず)は、補助材702の意図された切断線Cの第2の側に位置付けられる。両方の組が同じであるので、3つの長手方向アレイの1つの組の単位セル710、712、714のみが図17及び図18に示されている。更に、隣接する単位セルは、接続構造718を介して互いに接続される。
【0113】
図17及び図18に示すように、単位セル710の最も内側の長手方向アレイは、第1のステープル列706a(例えば、最も内側のステープル列)と重なり、単位セル712の中間の長手方向アレイは、第2のステープル列706b(例えば、最も外側のステープル列)と重なる。更に、単位セル714の最も外側の長手方向アレイは、ステープル列706a、706bのいずれとも重複しない。更に、単位セル714の最も外側の長手方向アレイは、補助材の意図された切断線C又はカートリッジ704のナイフスロット708と重ならない。結果として、使用時に、補助材702がステープル留めされ切断されるとき、ステープル706a、706b及び切断要素(図示せず)は、それぞれ、単位セル714の最も外側の長手方向アレイを穿刺及び切断しない。これにより、単位セル714の最も外側の長手方向アレイの構造的完全性が損なわれないままにすることを可能にする。したがって、単位セル714の少なくとも最も外側の長手方向アレイは、図17の矢印によって示されるように、圧縮されているときに補助材内に流体を引き込むことができるか、非圧縮構成に拡張しているときに補助材から流体を押し出すことができるか、又はこれらの組み合わせとなることができる。
【0114】
特定の実施形態では、組織が移動するにつれて、カートリッジのステープル列及びナイフスロットに対する補助材の重なり合わない単位セルは、流体を補助材内に引き込むか、又は流体及び/若しくは流体/薬物混合物を周囲組織に送り出すように構成され得る。例えば、図19では、補助材800は、組織Tにステープル留めされる。示されるように、そのうちの1つのみが図示される、非重複単位セル802(例えば、単位セルの最外縦方向アレイ)は、組織T及びTのセグメントが相互に向かって移動すると、流体803を補助材800の中に引き込むことができる。引き込まれた流体は、単位セル802の内面802aに沿って位置付けられた少なくとも1つの薬物805(例えば、粉末薬物)を飽和させるために使用することができる。図20に示されるように、組織のセグメントT及びTが互いから離れるように移動するとき、重なり合わない単位セル802は、流体803及び少なくとも1つの薬物805を、例えば単位セル802の上壁806a及び底壁806bを通って延在する微細孔804を通して、補助材800の外に圧送するように構成され得る。更に、例えば単位セル808、809に隣接する他の単位セルは、例えばそれぞれの上壁812a、814a、及び底壁812b、814bを通って延在する微細孔810を通して、補助材の内外に流体を引き込むように構成され得る。したがって、引き込まれた流体は、単位セル802のそれぞれの単位セル808、809と共に位置付けられた少なくとも1つの薬物805を飽和させるために使用することができ、したがって、図20に示すように、それぞれの単位セル808、809は、そこから流体803及び少なくとも1つの薬物805をポンピングするように構成することができる。
【0115】
上記のように、本補助材は、少なくとも1つの薬物を収容することができる。少なくとも1つの薬物は、補助材内の様々な場所に位置付けられ得る(例えば、補助材内に形成される1つ又は2つ以上のリザーバ内に)。例えば、補助材が中空単位セルを含む実施形態では、少なくとも1つの薬物は、単位セルの内部容積内に収容され得る。代替的又は追加的に、少なくとも1つの薬物は、単位セルの壁内に画定された空隙又はポケット内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬物のうちの第1の薬物は、補助材内への、及び補助材を通る流体の流入に応答して自由に放出されるように補助材内に位置付けられ得、少なくとも1つの薬物のうちの第2の薬物は、補助材の少なくとも一部分の構造的分解に応答して放出されるように補助材内に位置付けられ得る。結果として、特定の実施形態では、薬物運搬は、流体移動だけでなく、いくつかの例では、時間(加水分解)及び/又は酸素レベル(例えば、酵素分解)に依存し得る。
【0116】
図21は、少なくとも1つの薬物904、906が内部に収容されている中空格子マクロ構造902を有する補助材900の例示的な実施形態を示す。図示されていないが、補助材900は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。中空格子マクロ構造902は、接続構造910を介して互いに接続された単位セル908から形成される。単位セル908及び接続構造910は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、単位セル908は、内部空洞914を画定する外壁912を有し、接続構造910は中空管の形態である。簡略化のために、1つの単位セル908及び2つの接続構造910のみが示されている。示されるように、第1の薬物904は、単位セル908の内部空洞914(例えば、一次リザーバ)内に配設され、第2の薬物906は、接続構造910の壁918内に画定された空隙916(例えば、二次リザーバ)内に配設される。特定の実施形態では、内部空洞914は、単位セル908への流体の初期流入に応答して、そこから第1の薬物904の少なくとも一部を放出するように構成されるが、空隙916は、空隙916を画定する壁918の部分の構造的分解に応答して、そこから第2の薬物906の少なくとも一部を放出するように構成され得る。
【0117】
更に示されるように、吸収性副構造920a、920b、922a、922b、924は、中空格子マクロ構造902内に形成される。より具体的には、吸収性副構造920a、922aが単位セル908内に形成され、吸収性副構造920b、922b、924が接続構造910内に形成される。吸収性副構造920a、920b、922a、922b、924は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、吸収性副構造920a、920b、922a、922b、924は、第1のフラッパ弁920a、920b、第2のフラッパ弁922a、922b、及びダックビル弁924を含む。第1のフラッパ弁920a、920b、第2のフラッパ弁922a、922b、及びダックビル弁924は、図8に示される第1のフラッパ弁208、第2のフラッパ弁210、及びダックビル弁212と構造的構成及び/又は機能が類似しており、したがって、本明細書では詳細に説明しない。
【0118】
使用中、補助材900に力が加えられると、単位セル908は、変形又は圧縮するように構成される。このようにして、単位セル908は、流体を補助材900の内外に引き込むポンプ要素として機能することができる。流体の流入は、補助材900を通して方向付けられ、それによって少なくとも第1の薬物904及び/又は第2の薬物906と混合することができる。次いで、結果として生じる流体/薬物混合物は、続いて、例えば、単位セル908のポンプ作用を介して、補助材200から外へ駆動され得る。したがって、単位セル908は、補助材900を通る薬物移動を方向付け、補助材900からの薬物溶出の場所を制御することができる。更に、流体及び/又は流体/薬物混合物の流れは、吸収性副構造920a、920b、922a、922b、924によって更に制御することができる。すなわち、吸収性副構造920a、920b、922a、922b、924はまた、補助材900を通って外への薬物移動の速度及び/又は方向を制御するために使用され得る。したがって、単位セルと吸収性副構造との組み合わせは、補助材からの第1及び第2の薬物の制御された薬物運搬をもたらすことができる。
【0119】
他の構造的構成及び機構が、補助薬物運搬のために使用され得る。例えば、図22及び図23に示すように、補助材1000は、第1の端部1004aから第2の端部1004bまで延在し、長手方向軸Lがそれらの間に延在する座屈柱1002を含むことができ、そのうちの1つのみが示されている。図示されていないが、補助材1000は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。座屈柱1002は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、座屈柱1002は、本体1006の第1の端部1004aから第2の端部1004bまで延在する長手方向チャネル1008を有する細長い円筒形本体1006を有する。長手方向チャネル1008は、その中に、したがって補助材1000内に流体を引き込むように構成されている(例えば、補助材1000が組織にステープル留めされるとき)。座屈柱1002はまた、本体1006内に画定され、長手方向チャネル1008と流体連通する側方スロット1010を含む。側方スロット1010は、少なくとも1つの薬物(図示せず)を収めるように構成される。図22に示すように、補助材1000が圧縮されていないとき(例えば、それに力が加えられていないとき)、座屈柱1002は、概ね真っ直ぐな構成である。結果として、側方スロット1010は閉鎖され、したがって、その中に収容される薬物は、それぞれの側方スロット1010内に密閉される。
【0120】
図22に示されるように、力(実線矢印として描写される)が補助材1000に印加されると、補助材は圧縮し、座屈柱を曲げ(例えば、凸状構成に)、側方スロット1010を開放させる。これにより、側方スロット1010内に収容された少なくとも1つの薬物が開放され、長手方向チャネル1008内に存在する流体が補助材1000から排出される(点線矢印として示される)。すなわち、側方スロット1010が開放されると、長手方向チャネル1008内に存在する流体が側方スロット1010を通って排出されることにより、少なくとも1つの薬物が座屈柱1002から、したがって補助材1000から放出される。図22及び図23にはわずか5つの側方スロットが示されているが、当業者であれば、側方スロットの数は変更することができ、少なくとも座屈柱の構造的構成に依存することができ、したがって、側方スロットの数は図に示されているものに限定されないことを理解するであろう。また、本明細書において、他の実施形態では、少なくとも1つの薬物は、座屈柱内の少なくとも1つ若しくは2つ以上の側方スロットから省略されてもよく、及び/又は補助材は、いかなる薬物も内部に収容しない側方スロットを有する追加の座屈柱であってもよいことも企図される。
【0121】
他の実施形態では、補助材は、圧力下で開く摺動弁を含むことができる(例えば、ステープル留め中に、又は補助材にステープル留めされた組織によって加えられる圧力)。例えば、図24に示すように、補助材1100は、内部に薬物(図示せず)が配設された単位セル1102、1104、1106と、摺動弁1108、1110とから形成される。図示されていないが、補助材1100は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。簡略化のために、3つの単位セル1102、1104、1106及び2つの摺動弁1108、1110のみが示されている。より具体的には、閉鎖位置で示される摺動弁1108は、隣接する単位セル1102と1104との間に位置し、開放位置で示される摺動弁1110は、隣接する単位セル1104と1106との間に位置する。
【0122】
単位セル1102、1104、1106は様々な構成を有することができるが、各単位セルは、内部空洞1118、1120、1122が内部に画定された円形構成を有するそれぞれの壁1112、1114、1116によって画定される。各壁1112、1114、1116はまた、2つの対向するチャネル1124a、1124b、1126a、1126b、1128a、1128bを含む。更に、摺動弁1108、1110は様々な構成を有することができるが、図24に示すように、各摺動弁1108、1110は、摺動弁1108、1110を通る流体流を可能にするように構成されたT字形チャネル1108b、1110bが内部に画定された本体1108a、1110aを有する。使用中、摺動弁1108、1110は、補助材1100に力が加えられているときに(例えば、ステープル留め中に、又は補助材がそこにステープル留めされるときに組織によって)、単位セル1102、1104、1106に対して上下に移動する。したがって、摺動弁1108、1110が図示の摺動弁1108のように閉鎖位置にあるとき、T字形チャネル1108bは整列せず、したがって、隣接する単位セル1102、1104のチャネル1124b、1126aと流体連通しない。結果として、これは、単位セル1102、1104内に存在する流体又は流体/薬物混合物が補助材1100から放出されることを防止する。しかしながら、摺動弁1108、110が、図示される摺動弁1110のように開放位置にあるとき、T字形チャネル1110bは、隣接する単位セル1104、1106のチャネル1126b、1128aと整列され、したがって、流体連通する。結果として、隣接する単位セル1104、1106内に存在する流体又は流体/薬物混合物は、補助材1100から放出され得る(点線矢印として示される)。
【0123】
いくつかの実施形態では、補助薬物運搬システムは、単に組織表面上にではなく、組織内に直接薬物を投与するように構成することができる。例えば、図25及び図26に示すように、補助薬物運搬システム1200は、少なくとも1つの薬物(図示せず)を内部に収める内部空洞1203を有する圧縮可能な薬物パウチ1202を含むことができる。システム1200はまた、薬物パウチ1202に結合された針キャリア1204を含む。針キャリア1204は、少なくとも1つの薬物運搬針1208が取り付けられた穿孔部材1206を含む。示されるように、針キャリアは、穿孔部材が薬物パウチ1202の上面1202aに面するように、薬物パウチ1202の周囲で湾曲する。例えば、図26に示されるように、補助薬物運搬システム1200が圧縮されると(例えば、組織にステープル留めされると)、穿孔部材1206は、上面1202aを貫通して薬物パウチ1202の内部空洞1203内に穿孔する。結果として、薬物パウチ1202の内部空洞1203及び薬物運搬針1208は、次いで、互いに流体連通し、それによって、少なくとも1つの薬物が薬物パウチ1202から放出されることを可能にする。更に、図26に示すように、補助材システム1200が組織Tに対して配置されて圧縮されると、薬物運搬針1208は組織を貫通し、したがって少なくとも1つの薬物を組織T内に直接運搬する(実線矢印で示す)。図示されていないが、補助薬物運搬システム1200は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。
【0124】
他の実施形態では、補助材は、ステープルが補助材を通して配備される際に、ステープルに薬物を適用するように構成され得る。例えば、ステープル列706a、706bと重なり合う図17及び図18に示される単位セル710は、その中に薬物を収めるように構成され得る。このようにして、ステープルがそれぞれの単位セル710を通って配備されるとき、薬物をステープルに塗布することができる。
【0125】
別の例では、図27図28、及び図29に示すように、補助材1300は、その中に画定され、薬物1304を収めるように構成された薬物ポケット1302を含むことができる。示されるように、薬物ポケット1302は、ステープル脚部1306(例えば、ステープルカートリッジ内に配設されたステープル脚部)と重なる補助材1300の領域内に位置付けられる。簡略化のためだけに、1つの薬物ポケット1302及び1つのステープル脚部1306が示されている。結果として、ステープル脚部1306が配備されるとき、ステープル脚部1306は、薬物1304がステープル脚部1306上をコーティングするように、薬物ポケット1302(図28及び図29)を貫通する。これにより、コーティングされたステープル脚部1306(図28及び図29参照)を介して組織T内に薬物を直接浸透させることができる。更に、特定の実施形態では、ステープル脚部の少なくとも一部は、それらが薬物ポケットを通過する際にステープル脚部への薬物のコーティングを向上させるために、テクスチャ加工され得る(図27図28、及び図29においてハッチマーキングとして示される)。例えば、テクスチャ加工された表面は、ステープルを親水性にするか、又はそうでなければ薬物がステープルに付着することを可能にすることができる。
【0126】
非対称薬物運搬
上述したように、特定の実施形態では、補助材は、その中に配設された少なくとも1つの薬物を有することができる。補助材は、少なくとも1つの薬物を様々な方法で放出するように構成され得るが、特定の実施形態では、補助材は、補助材の形状に対して非対称薬物運搬プロファイルを有するように構成される。例えば、補助材は、補助材料の第1の端部から第2の端部まで延在する長手方向軸に沿って延在する意図された切断線と、意図された切断線の第1の側の保持セグメントと、意図された切断線の第2の側の除去セグメントとを有することができる。このような場合、補助材料は、意図された切断線に対して、又は保持セグメント及び除去セグメントに対して、少なくとも1つの薬物を局所的に運搬又は貯蔵するように構成された形状を有することができる。結果として、補助材は、補助材料が組織配備状態にあるとき、少なくとも1つの所定の方向に少なくとも1つの薬物の非対称薬物運搬プロファイルを有する。別の言い方をすれば、少なくとも1つの薬物は、少なくとも1つの所定の方向における補助材からの少なくとも1つの薬物の薬物放出プロファイルが補助材に沿って異なるように、補助材全体にわたって不均一に分散され得る、及び/又は補助材を通して不均一に方向付けられ得る。
【0127】
図30は、組織接触面1404と、組織接触面1404の反対側にあるカートリッジ接触面1406とを有する格子構造1402を有する補助材1400の例示的な実施形態を示す。図示されていないが、補助材1400は、図1に示されるアンビル34のようなアンビルのアンビル表面、及び/又はそれぞれ図1及び図6に示されるステープルカートリッジ40及び102のようなステープルカートリッジの上面若しくはデッキ表面の上に位置付けられ得る。格子構造1402は、本明細書に開示される単位セルのいずれかによって形成され得るので、格子構造1402は、概して、任意の特定の単位セルを伴わずに図示される。当業者は、格子構造が、支柱ベースの単位セル(例えば、平面中空支柱によって画定される)、無支柱ベースの単位セル(例えば、シュワルツP構造によって画定される)、又はそれらの組み合わせから形成され得ることを理解するであろう。
【0128】
示されるように、補助材1400は、補助材1400の第1の端部1408aから第2の端部1408bまで延在する長手方向軸Lに沿って延在する意図された切断線Cを有する。この図示された実施形態では、意図された切断線Cは、補助材1400を、(例えば、補助材1400が組織にステープル留めされ、切断されると)患者と共に残るように構成された保持セグメント1410と、(例えば、補助材1400が組織にステープル留めされ、切断されると)患者から取り外されるように構成された除去セグメント1412と、に分割する。したがって、保持セグメント1410は手術部位に残る。
【0129】
補助材1400は、その中に配設された少なくとも1つの薬物(図示せず)を含み得る。このような実施形態において、少なくとも1つの薬物は、補助材1400の一方の側でより強くなり得るか、補助材1400の一方の側にのみ存在し得るか、又は補助材1400の一方の側と隣接する側とで異なる効果を有し得る。これは、補助材1400から少なくとも1つの所定の方向に少なくとも1つの薬物の非対称薬物放出プロファイルをもたらすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、補助材1400の保持セグメント1410のみが、その中に配設された少なくとも1つの薬物を有する。このようにして、除去セグメント1412は、少なくとも1つの薬物を含まず、それによって補助材の製造コストを低減する。除去セグメント1412内の薬物の欠如はまた、除去セグメント1412にステープル留めされた組織試料が少なくとも1つの薬物によって損なわれることを防止することができ、したがって、組織試料は、生検目的のために「より清潔」である。他の実施形態では、保持セグメント1410及び除去セグメント1412は、少なくとも1つの薬物の濃度及びタイプのうちの少なくとも1つにおいて異なり得る。特定の実施形態では、保持セグメント1410の組織接触面1404は、その上に配設された第1の薬物(例えば、治療剤)を有することができ、意図された切断線Cに沿った保持セグメント1410の部分1414は、その上に配設された第2の薬物(例えば、止血剤)を有することができる。
【0130】
他の実施形態では、組織接触面1404及びカートリッジ接触面1406は、少なくとも1つの薬物の濃度及びタイプのうちの少なくとも1つにおいて互いに異なり得る。これは、補助材1400の形状に対して少なくとも1つの薬物の非対称な用量をもたらし得る。例えば、特定の実施形態では、組織接触面1404は、その上に配設された第1の薬物を有することができ、カートリッジ接触面1406は、その上に配設された、第1の薬物とは異なる第2の薬物を有することができる。例えば、第1の薬物は治癒促進剤(複数可)であり得、第2の薬物は抗接着薬(複数可)であり得る。いくつかの実施形態では、組織接触面1404は、カートリッジ接触面1406のものと比較して、より大きい細孔及びより大きいコンプライアンスを伴って設計されることができ、これは、ステープル脚部の抜け又は断裂を防止するように設計されることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、補助材1400は、補助材1400の保持セグメント1410及び補助材1400内の少なくとも1つの薬物の場所のうちの少なくとも1つを示すように構成されたインジケータ特徴部を含み得る。インジケータ特徴部は、印(図30)又は色(図31)等の視覚的表示であり得る。例えば、図30に示されるように、補助材1400の保持セグメント1410は、その上に印刷された単語「残す」を含み、それによって示され、補助材1400の除去セグメント1412は、その上に印刷された単語「除去」を含み、それによって示される。代替的又は追加的に、インジケータ特徴部は、ステープルカートリッジに適用される補助材の側(例えば、カートリッジ接触面)、組織に適用される補助材の側(例えば、組織接触面)、又はこれらの組み合わせを示すように構成され得る。このように、補助材は、ステープルカートリッジ、患者、又はこれらの組み合わせに対する補助材の適切な配向を識別するように構成されたインジケータ特徴部を含み得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、補助材は、例えば、図31に示されるような補助材アプリケータを使用して、ステープルカートリッジ及び/又はアンビルに適用され得る。図31は、チャネル1502が貫通して延在するU字型構成を有する補助材アプリケータ1500の実施形態を示す。チャネル1502は、補助材アプリケータ1500の長手方向軸Lに沿って長手方向に延在し、補助材アプリケータ1500を第1の長手方向セグメント1504と第2の長手方向セグメント1506とに分割する。細長いベース部材1508は、チャネル1502内に位置付けられ、それに沿って延在する。補助材アプリケータ1500は、カートリッジに面する側1515と、カートリッジに面する側の反対側にあるアンビルに面する側(遮られている)とを有する。簡略化のために、補助材アプリケータ1500のカートリッジに面する側1515のみが示されている。補助材アプリケータのアンビルに面する側は、カートリッジに面する側と同様であり、したがって、当業者は、以下の説明がアンビルに面する側にも適用可能であることを理解するであろう。更に、当業者であれば、補助材アプリケータの一方の側のみが補助材を含むことができ、したがって、他の実施形態では、補助材は、カートリッジに面する側及びアンビルに面する側の一方のみに配設され得ることを理解するであろう。
【0133】
図31に示すように、補助材1512は、細長いベース部材1508上に位置付けられ、可動取り付け要素1514を介して細長いベース部材1508に解放可能に保持される。補助材1512は、補助材1512の長手方向軸Lに沿って、したがって補助材アプリケータ1500の長手方向軸Lに沿って延在する意図された切断線Cを有する。意図された切断線は、補助材1512を保持セグメント1516と除去セグメント1518とに分割する。保持セグメント1516及び除去セグメント1518は、色インジケータ特徴部1520が保持セグメント1516の組織接触面1518a上に印刷されていることを除いて、図30の補助材1400の保持セグメント1410及び除去セグメント1412と同様である。その結果、色インジケータ特徴部1520は、ユーザのために除去セグメント1518を識別する。更に、使用時に、この色インジケータ特徴部1520は、ユーザが、補助材のどちらの側(例えば、意図された切断線Cに対する)が患者と共に留まるか、及び補助材のどちらの側が手術部位から除去されるかを選択することを可能にする。特定の実施形態では、色インジケータ特徴部はまた、補助材及び/又は補助材の薬物運搬側内に配設された1つ又は2つ以上の薬物の場所を識別するために使用され得る。
【0134】
代替的又は追加的に、第1の長手方向セグメント1504及び/又は第2の長手方向セグメント1506は、補助材1512の保持セグメント1516及び/又は除去セグメント1518を識別するために使用され得るインジケータ特徴部を含み得る。例えば、図31に示すように、補助材アプリケータ1500の第1の長手方向セグメント1504は、その表面上に印刷された以下の印を含む:「こちら側は患者と共に留まる」。保持セグメント1516は、第1の長手方向セグメント1504に直接隣接して位置付けられるので、この印は、補助材1512の保持セグメント1516を識別するために使用され得る。更に示されるように、補助材アプリケータ1500の第2の長手方向セグメント1506は、その表面上に印刷された以下の印を含む:「こちら側は試料と共に取り除かれる」。除去セグメント1518は、第2の長手方向セグメント1506に直接隣接して位置付けられるので、この印は、補助材1512の除去セグメント1518を識別するために使用され得る。他の実施形態では、第1の長手方向セグメント及び第2の長手方向セグメントのうちの一方のみが、インジケータ特徴部を含む。他の実施形態では、第1の長手方向セグメント、第2の長手方向セグメントのいずれか、又は両方の上のインジケータ特徴部を使用して、補助材の薬物運搬側を決定することができる。
【0135】
本発明には従来の低侵襲性及び開放手術用器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを当業者は認識するであろう。
【0136】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後に、再使用のために再調整することができる。再調整には、デバイスの分解ステップ、それに続く洗浄ステップ又は特定の部品の交換ステップ、及びその後の再組み立てステップの任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、デバイスを後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0137】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0138】
〔実施の態様〕
(1) 手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材であって、前記圧縮性補助材は、
ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、前記カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、格子主構造を備え、前記格子主構造は、前記格子主構造内に形成された少なくとも1つの吸収性副構造を有し、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに、前記補助材料に隣接する組織の治癒に前記補助材料を通る流体移動が影響を与えるように、前記流体移動を制御するように構成されている、生体適合性補助材料を備える、圧縮性補助材。
(2) 前記少なくとも1つの吸収性副構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを備える、実施態様1に記載の補助材。
(3) 前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記補助材料を通る流体移動の方向を共に制御する複数の吸収性副構造を含む、実施態様1に記載の補助材。
(4) 前記格子主構造は、複数の単位セルを備え、前記複数の単位セルは、前記複数の単位セルを通る通路を有し、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記それぞれの通路を通る流体流を制御するために、前記複数の単位セルのうちの少なくとも1つの単位セル内に形成された少なくとも1つの微細構造を備える、実施態様1に記載の補助材。
(5) 前記複数の単位セルは、少なくとも1つのシュワルツP構造を備える、実施態様4に記載の補助材。
【0139】
(6) 前記複数の単位セルの少なくとも一部は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに前記補助材料内に流体を引き込むか、前記補助材料が組織配備状態にあるときに前記補助材料から前記補助材料に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、前記補助材料が圧縮されると変形するように構成されている、実施態様4に記載の補助材。
(7) 前記複数の単位セルは各々、前記補助材料が圧縮されているときに前記それぞれの単位セルの変形量を制限するように構成された少なくとも1つの内部停止要素を備える、実施態様4に記載の補助材。
(8) 前記格子主構造は、複数の中空支柱を備え、前記少なくとも1つの吸収性副構造は、前記中空支柱のうちの少なくとも1つに、前記中空支柱を通る流体流を制御するために形成されている、実施態様1に記載の補助材。
(9) 前記少なくとも1つの吸収性副構造は、ダックビル弁、フラッパ弁、及び前記格子主構造の側壁に形成された微細通路のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の補助材。
(10) 前記少なくとも1つの吸収性副構造は、少なくとも1つの可動弁を備え、前記少なくとも1つの可動弁は、前記少なくとも1つの可動弁を通る流体移動を制御するように構成されている、実施態様1に記載の補助材。
【0140】
(11) 手術用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルは、ステープル列に配置されており、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成され、前記複数のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材であって、前記補助材は、複数の吸収性微細構造が内部に形成された格子マクロ構造を含み、各吸収性微細構造は、流体が前記格子マクロ構造を通って流れる際に流体移動を方向付けるか、制限するか、又は防止するように構成されている、生体適合性補助材と、
を備える、ステープル留めアセンブリ。
(12) 前記複数の吸収性微細構造は、能動的流れ制御構造及び受動的流れ制御構造のうちの少なくとも1つを備える、実施態様11に記載のアセンブリ。
(13) 前記格子マクロ構造は、複数のシュワルツP構造を備え、前記複数のシュワルツP構造は、前記複数のシュワルツP構造を通る通路を有し、前記複数の吸収性微細構造は、前記それぞれの通路を通る流体流を制御するために、前記複数のシュワルツP構造のうちの少なくとも1つのシュワルツP構造内に形成された少なくとも1つの微細特徴部を備える、実施態様11に記載のアセンブリ。
(14) 前記複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、前記補助材が組織配備状態にあるときに前記補助材内に流体を引き込むか、前記補助材が組織配備状態にあるときに前記補助材から前記補助材に隣接する組織に流体を圧送するか、又はそれらの組み合わせとなるように、前記補助材が圧縮されると変形するように構成されている、実施態様13に記載のアセンブリ。
(15) 前記複数のシュワルツP構造の少なくとも一部は、前記補助材が前記カートリッジ上に解放可能に保持されているとき、前記ステープル列と重複しない前記補助材の領域内に位置付けられている、実施態様14に記載のアセンブリ。
【0141】
(16) 前記複数の吸収性微細構造は、可動弁を備える、実施態様11に記載のアセンブリ。
(17) 手術用カートリッジと共に使用するための圧縮性補助材であって、前記圧縮性補助材は、
ステープルカートリッジ及びアンビルのうちの少なくとも1つの上に解放可能に保持されるように構成され、前記カートリッジ内のステープルの配備によって組織に運搬されるように構成された生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、前記補助材料の中に配設された少なくとも1つの薬物と、前記補助材料の第1の端部から第2の端部まで延在する長手方向軸に沿って延在する意図された切断線と、前記意図された切断線の第1の側の保持セグメントと、前記意図された切断線の第2の側の除去セグメントとを有する、生体適合性補助材料を備え、
前記補助材料は、前記補助材料が組織配備状態にあるときに、前記補助材料が少なくとも1つの所定の方向において前記少なくとも1つの薬物の非対称薬物運搬プロファイルを有するように、前記少なくとも1つの薬物を前記意図された切断線に対して、又は前記保持セグメント及び前記除去セグメントに対して局所的に運搬又は貯蔵するように構成された形状を有する、圧縮性補助材。
(18) 前記補助材料の前記除去セグメント及び前記補助材料内の前記少なくとも1つの薬物の場所のうちの少なくとも1つを示すように構成されたインジケータ特徴部を更に備える、実施態様17に記載の補助材。
(19) 前記少なくとも1つの薬物は、前記補助材料の前記保持セグメント内にのみ配設されている、実施態様17に記載の補助材。
(20) 補助材料は、組織接触面と、前記組織接触面の反対側にあるカートリッジ接触面とを有し、前記組織接触面は、前記少なくとも1つの薬物の濃度及び種類のうちの少なくとも1つにおいて前記カートリッジ接触面と異なる、実施態様17に記載の補助材。
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【国際調査報告】