(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】モジュール式寛骨臼外科用インプラントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/34 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61F2/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560579
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2022052978
(87)【国際公開番号】W WO2022208405
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ポール・ピー
(72)【発明者】
【氏名】フラタース・イアン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD06
4C097DD09
4C097EE03
(57)【要約】
整形外科用プロテーゼシステムは、1つ又は2つ以上のフランジ(20)を有するプレート(12)と、寛骨臼シェルコンポーネント(42)と、を含む。各フランジは、患者の骨に係合するように構成された表面を含む。プレートは、シェルコンポーネントの外面(46)から延在するリップ(54)に係合する中央リング(18)も含む。リングは、複数の締結具(84)を使用してリップに機械的に取り付けられ得る。システムは、各々が他のプレートとは異なる構成を有する複数のプレートを含み得、各々が他のシェルコンポーネントとは異なる構成を有する複数のシェルコンポーネントも含み得る。プロテーゼシステムを組み立てて使用する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用プロテーゼシステムであって、
中央リングと、1つ又は2つ以上のフランジと、を備えるプレートであって、複数の開口が、前記中央リングに画定され、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在し、前記1つ又は2つ以上のフランジの各々が、患者の骨に係合する近位面を含む、プレートと、
遠位縁と、前記遠位縁から延在する凸状外壁と、前記外壁上に位置付けられ、かつ前記外壁から離れるように延在する円周リップと、を備える寛骨臼シェルコンポーネントであって、前記リップが、偏依距離だけ前記遠位縁から分離され、傾斜角が、前記リップによって画定される第1の仮想平面と前記遠位縁によって画定される第2の仮想平面との間に画定され、複数の開口が、前記リップに画定されている、寛骨臼シェルコンポーネントと、を備え、
前記プレートが、前記中央リングの各開口が前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップの対応する開口と位置合わせされるように、前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられるように構成されている、整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項2】
前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの開口を通って前記リップの対応する開口内に延在して、前記プレートを前記寛骨臼シェルコンポーネントに固定する締結具を更に備える、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項3】
前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの近位面が、前記リップの遠位面に係合し、前記中央リングが、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記遠位縁を受容する、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項4】
前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記外壁が、前記遠位縁から半球状の外面まで延在する、環状の外面を備え、前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの遠位面が、前記リップの近位面に係合し、前記中央リングが、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記半球状の外面を受容する、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項5】
前記1つ又は2つ以上のフランジが、前記患者の腸骨に係合するように構成された腸骨フランジと、前記患者の坐骨に係合するように構成された坐骨フランジと、を備える、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項6】
前記プレートが、複数のプレートのうちの第1のプレートであり、各プレートが、前記複数のプレートのうちの他のプレートとは異なる構成を有する、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項7】
各プレートの前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の前記対応する所定の位置から半径方向に離れるように対応するフランジ端部まで延在し、フランジ長さが、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジについて、前記中央リングと前記フランジ端部との間に画定され、
各プレートの前記異なる構成が、1つ若しくは2つ以上のフランジの前記フランジ長さ、又は1つ若しくは2つ以上のフランジの前記中央リング上の前記所定の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項8】
前記寛骨臼シェルコンポーネントが、複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの第1のシェルコンポーネントであり、各寛骨臼シェルコンポーネントが、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの他の寛骨臼シェルコンポーネントとは異なる構成を有する、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項9】
各寛骨臼シェルコンポーネントの前記異なる構成が、前記偏依距離又は前記傾斜角のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項10】
前記1つ又は2つ以上のフランジの各々の前記近位面及び前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記外壁が、骨の内部成長を促進するための多孔性コーティングを含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項11】
前記1つ又は2つ以上のフランジのうちのフランジが、前記フランジを前記患者の骨に取り付けるための締結具を受容するように構成された開口を備える、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項12】
スペーサリングを更に備え、複数の開口が、前記スペーサリングを通って延在し、前記スペーサリングが、前記スペーサリングの各開口が前記リップの対応する開口及び前記寛骨臼シェルコンポーネントの対応する開口と位置合わせされるように、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップと前記プレートの前記中央リングとの間に位置付けられるように構成されている、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項13】
前記寛骨臼シェルコンポーネントが、前記遠位縁から内向きに延在して、寛骨臼ベアリングを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する、凹状内壁を更に備える、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項14】
前記寛骨臼シェルコンポーネントが、第1のサブコンポーネント及び第2のサブコンポーネントを備え、前記第1のサブコンポーネントが、前記外壁及び前記リップを備え、前記第2のサブコンポーネントが、前記遠位縁及び前記内壁を備え、
前記第1のサブコンポーネントが、前記第2のサブコンポーネントを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する第2の凹状内壁を含み、前記第2のコンポーネントが、前記第1のサブコンポーネントに機械的に結合されている、請求項13に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項15】
前記第1のサブコンポーネントの前記第2の凹状内壁が、第1の極軸を画定し、
前記第2のサブコンポーネントの前記内壁が、第2の極軸を画定し、
ゼロでない傾斜角が、前記第1の極軸と前記第2の極軸との間に画定されている、請求項14に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【請求項16】
整形外科用プロテーゼを組み立てるための方法であって、前記方法が、
複数のプレートから第1のプレートを選択することであって、前記複数のプレートの各プレートが、中央リング及び1つ又は2つ以上のフランジを備え、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在し、前記1つ又は2つ以上のフランジの各々が、患者の骨に係合する近位面を含む、選択することと、
複数の寛骨臼シェルコンポーネントから第1のシェルコンポーネントを選択することであって、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントが、遠位縁と、前記遠位縁から延在する凸状外壁と、前記外壁上に位置付けられ、かつ前記外壁から離れるように延在する円周リップと、を備える、選択することと、
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項17】
複数の開口が、前記複数のプレートの各プレートの前記中央リングに画定され、複数の開口が、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップに画定され、
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることが、前記中央リングに画定された各開口について、前記中央リングの前記開口及び前記リップの対応する開口に締結具を固定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記中央リングに機械的に取り付けることが、(i)スペーサリングを前記中央リングに取り付けることと、(ii)前記スペーサリングを前記リップに取り付けることと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第1のシェルコンポーネントを選択することが、
第1のサブコンポーネントを選択することであって、前記第1のサブコンポーネントが、前記第1のシェルコンポーネントの前記外壁及び前記リップを含む、選択することと、
第2のサブコンポーネントを選択することであって、前記第2のサブコンポーネントが、前記遠位縁と、前記遠位縁から内向きに延在する凹状内壁と、を備える、選択することと、
前記第1のシェルサブコンポーネントを前記第2のシェルサブコンポーネントに取り付けることと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることに応答して、前記第1のシェルコンポーネントを患者の外科的に準備された寛骨臼内に挿入することと、
前記第1のシェルコンポーネントを挿入することに応答して、前記第1のプレートの前記1つ又は2つ以上のフランジを前記患者の骨に接触させることと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、整形外科用インプラントに関し、より具体的には、モジュール式整形外科用インプラントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した天然の関節及び/又は損傷した生体関節が人工関節によって置換される、周知の外科手術である。例えば、股関節形成外科処置では、患者の天然の股関節の球関節を部分的又は全体的に人工股関節で置換する。一般的な人工股関節は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント及び大腿骨頭プロテーゼコンポーネントを含んでいる。寛骨臼プロテーゼコンポーネントは、一般的に、患者の寛骨臼と係合するように構成された外側シェルと、シェルと結合されかつ大腿骨頭と係合するように構成された内側ベアリング又はライナーとを含む。大腿骨頭プロテーゼコンポーネントと、寛骨臼コンポーネントの内側ライナーとは、天然の股関節に近い球関節を形成する。
【0003】
時々、寛骨臼プロテーゼコンポーネントを交換するために、修正手術が行われることがある。多くの場合、修正手術(又は一次インプラント手術)では、寛骨臼に隣接する患者の寛骨の一部が損傷又は病変する。深刻な寛骨臼骨損失、骨質、骨変形、又はそれらの組み合わせに対処するために、外科医は、典型的には、患者の骨の残りの部分に取り付けるケージ装置と組み合わされたセメント接合寛骨臼カップインプラントを使用し得る。そのようなカップ及びケージ構造は、典型的には、骨セメントの使用を必要とし、限定された構造強度を有し得る。代替的に、外科医は、患者別のカスタム三フランジ寛骨臼カップインプラントを使用し得る。そのような患者別のカスタムインプラントは、製造リードタイムが長く、費用が高い場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、整形外科用プロテーゼシステムは、プレートと、寛骨臼シェルコンポーネントと、を含む。プレートは、中央リングと、1つ又は2つ以上のフランジと、を含み、複数の開口は、中央リングに画定され、1つ又は2つ以上のフランジの各フランジは、中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在する。1つ又は2つ以上のフランジの各々は、患者の骨に係合する近位面を含む。寛骨臼シェルコンポーネントは、遠位縁と、遠位縁から延在する凸状外壁と、外壁上に位置付けられ、かつ外壁から離れるように延在する円周リップと、を含む。リップは、偏依距離だけ遠位縁から分離され、傾斜角は、リップによって画定される第1の仮想平面と遠位縁によって画定される第2の仮想平面との間に画定されている。複数の開口が、リップに画定されている。プレートは、中央リングの各開口が寛骨臼シェルコンポーネントのリップの対応する開口と位置合わせされるように、寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられるように構成されている。
【0005】
一実施形態では、整形外科用プロテーゼシステムは、プレートが寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、中央リングの開口を通ってリップの対応する開口内に延在して、プレートを寛骨臼シェルコンポーネントに固定する締結具を更に含む。
【0006】
一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントの外壁は、遠位縁から半球状の外面まで延在する環状の外面を含み、リップは、環状の外面上に位置付けられている。
【0007】
一実施形態では、プレートが寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、中央リングの近位面は、リップの遠位面に係合し、中央リングは、寛骨臼シェルコンポーネントの遠位縁を受容する。一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントの外壁は、遠位縁から半球状の外面まで延在する環状の外面を備え、プレートが寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、中央リングの遠位面は、リップの近位面に係合し、中央リングは、寛骨臼シェルコンポーネントの半球状の外面を受容する。
【0008】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のフランジは、患者の腸骨に係合するように構成された腸骨フランジと、患者の坐骨に係合するように構成された坐骨フランジと、を含む。
【0009】
一実施形態では、プレートは、複数のプレートのうちの第1のプレートであり、各プレートは、複数のプレートのうちの他のプレートとは異なる構成を有する。一実施形態では、各プレートの1つ又は2つ以上のフランジの各フランジは、中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように対応するフランジ端部まで延在し、フランジ長さは、1つ又は2つ以上のフランジの各フランジについて、中央リングとフランジ端部との間に画定され、各プレートの異なる構成は、1つ若しくは2つ以上のフランジのフランジ長さ、又は1つ若しくは2つ以上のフランジの中央リング上の所定の位置のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントは、複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの第1のシェルコンポーネントであり、各寛骨臼シェルコンポーネントは、複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの他の寛骨臼シェルコンポーネントとは異なる構成を有する。一実施形態では、各寛骨臼シェルコンポーネントの異なる構成は、偏依距離又は傾斜角のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のフランジの各々は、可鍛性である。一実施形態では、1つ又は2つ以上のフランジの各々は、非可鍛性である。一実施形態では、1つ又は2つ以上のフランジの各々の近位面及び寛骨臼シェルコンポーネントの外壁は、骨の内部成長を促進するための多孔性コーティングを含む。
【0012】
一実施形態では、プレートは、遠位面と、遠位面とは反対側の近位面と、を含み、複数の開口は、遠位面及び近位面を通って延在する。
【0013】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のフランジのうちのフランジは、フランジを患者の骨に取り付けるための締結具を受容するように構成された開口を含む。
【0014】
一実施形態では、整形外科用プロテーゼシステムは、スペーサリングを更に含む。複数の開口は、スペーサリングを通って延在する。スペーサリングは、スペーサリングの各開口がリップの対応する開口及び寛骨臼シェルコンポーネントの対応する開口と位置合わせされるように、寛骨臼シェルコンポーネントのリップとプレートの中央リングとの間に位置付けられるように構成されている。
【0015】
一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントは、遠位縁から内向きに延在して、寛骨臼ベアリングを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する凹状内壁を更に含む。一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントは、第1のサブコンポーネント及び第2のサブコンポーネントを含み、第1のサブコンポーネントは、外壁及びリップを備え、第2のサブコンポーネントは、遠位縁及び内壁を備え、第1のサブコンポーネントは、第2のサブコンポーネントを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する第2の凹状内壁を含み、第2のコンポーネントは、第1のサブコンポーネントに機械的に結合されている。一実施形態では、第2の凹状内壁は、第2のサブコンポーネントを受容するように構成されたテーパを含む。一実施形態では、第1のサブコンポーネントの第2の凹状内壁は、第1の極軸を画定する。第2のサブコンポーネントの内壁は、第2の極軸を画定し、ゼロでない傾斜角が、第1の極軸と第2の極軸との間に画定される。
【0016】
別の態様によれば、整形外科用プロテーゼを組み立てるための方法は、複数のプレートから第1のプレートを選択することであって、複数のプレートの各プレートが、中央リング及び1つ又は2つ以上のフランジを備え、1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在し、1つ又は2つ以上のフランジの各々が、患者の骨に係合する近位面を含む、選択することと、複数の寛骨臼シェルコンポーネントから第1のシェルコンポーネントを選択することであって、複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントが、遠位縁と、遠位縁から延在する凸状外壁と、外壁上に位置付けられ、かつ外壁から離れるように延在する円周リップと、を備える、選択することと、第1のシェルコンポーネントのリップを第1のプレートの中央リングに機械的に取り付けることと、を含む。
【0017】
一実施形態では、複数の開口が、複数のプレートの各プレートの中央リングに画定され、複数の開口が、複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントのリップに画定され、第1のシェルコンポーネントのリップを第1のプレートの中央リングに機械的に取り付けることは、中央リングに画定された各開口について、中央リングの開口及びリップの対応する開口に締結具を固定することを含む。
【0018】
一実施形態では、第1のシェルコンポーネントのリップを中央リングに機械的に取り付けることは、(i)スペーサリングを中央リングに取り付けることと、(ii)スペーサリングをリップに取り付けることと、を含む。
【0019】
一実施形態では、第1のシェルコンポーネントを選択することは、第1のサブコンポーネントを選択することであって、第1のサブコンポーネントが、第1のシェルコンポーネントの外壁及びリップを含む、選択することと、第2のサブコンポーネントを選択することであって、第2のサブコンポーネントが、遠位縁と、遠位縁から内向きに延在する凹状内壁と、を備える、選択することと、第1のシェルサブコンポーネントを第2のシェルサブコンポーネントに取り付けることと、を含む。
【0020】
一実施形態では、方法は、第1のシェルコンポーネントのリップを第1のプレートの中央リングに機械的に取り付けることに応答して、第1のシェルコンポーネントを患者の外科的に準備された寛骨臼内に挿入することと、第1のシェルコンポーネントを挿入することに応答して、第1のプレートの1つ又は2つ以上のフランジを患者の骨に接触させることと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
【
図1】整形外科用プロテーゼインプラントのための整形外科用プロテーゼシステムの分解斜視図である。
【
図2】
図1の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図4】異なる偏依を有する、
図1の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図5】異なる傾斜角を有する、
図1の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図6】異なる偏依及び異なる傾斜角を有する、
図1の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図7】リングスペーサを含む、
図1の整形外科用プロテーゼシステムの分解斜視図である。
【
図8】
図8の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図9】患者の股関節に設置された
図1~
図3の寛骨臼シェルコンポーネントを示す斜視図である。
【
図10】2部分シェルコンポーネントを含む寛骨臼プロテーゼインプラントのための別の整形外科用プロテーゼシステムの分解斜視図である。
【
図11】
図10の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図12】異なる傾斜角を含む、
図10の整形外科用プロテーゼシステムの分解斜視図である。
【
図13】
図12の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図14】整形外科用プロテーゼインプラントのための整形外科用プロテーゼシステムの別の実施形態の分解斜視図である。
【
図15】
図14の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【
図16】リングスペーサを含む、
図14の整形外科用プロテーゼシステムの分解斜視図である。
【
図17】
図16の組み立てられた整形外科用プロテーゼシステムの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の概念は、様々な修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであるということを理解されたい。
【0023】
解剖学的基準を表す前方、後方、内側、外側、上位、下位等の用語は、本明細書全体において、本明細書に記載する整形外科用インプラント及び手術器具、並びに患者の天然の解剖学的形態に関して使用され得る。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0024】
ここで
図1~
図3を参照すると、例示的な寛骨臼プロテーゼインプラントシステム10は、解剖学的プレート12及び寛骨臼シェルコンポーネント42を含む。解剖学的プレート12は、遠位面16とは反対側の近位面14を含み、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。示されるように、解剖学的プレート12は、1つ又は2つ以上のフランジ20によって取り囲まれた中央リング18を含む。中央リング18は、表面14、16の間に延在し、かつ開口部24を画定する、内壁22を含む。以下で更に説明するように、開口部24は、寛骨臼シェルコンポーネント42の一部を受容するようにサイズ設定されている。複数の開口26は、中央リング18に画定されている。開口は、中央リング18の表面14、16を通って延在し、かつ各々が締結具を受容するように構成されている。例えば、一部の実施形態では、各開口26は、ねじのねじ山付き本体と嵌合するように構成されたねじ山付き内壁を含むことができる。以下で更に説明するように、開口26及び対応する締結具を使用して、プレート12をシェルコンポーネント42に機械的に取り付けることができる。
【0025】
上述したように、1つ又は2つ以上のフランジ20は、解剖学的プレート12の中央リング18から外向きに延在する。具体的には、各フランジ20は、中央リング18上の所定の位置28からフランジ端部30まで延在する。フランジ長さ32は、中央リング18とフランジ端部30との間に画定される。各フランジは、略平坦な形状を有し、各フランジ20の近位面14は、患者の骨に係合するか、又は他の方法で密接に接触するように構成されている。一部の実施形態では、各フランジ20は、移植後に骨がフランジ20に生物学的に付着することを可能にする、Porocoat(登録商標)外側コーティング34を含み得る。Porocoat(登録商標)外側コーティング34は、各フランジ20の近位面14を覆い、かつその幾何学的形状に従う。他の実施形態では、Porocoat(登録商標)外側コーティング34が省かれる場合があることを理解されたい。各フランジ20は、中央リング18から離れるように真っ直ぐに延在してもよいか、又は中央リング18から近位方向及び/若しくは遠位方向にある角度で延在してもよい。各フランジ20は、剛性であってもよいか、又は一部の実施形態では、可鍛性であってもよい。例えば、一部の実施形態では、外科医は、患者の骨との密接な接触を達成するために、フランジ20を手で曲げることが可能であり得る。
【0026】
図1及び
図2に示すように、例示的な解剖学的プレート12は、2つのフランジ20、特に、腸骨フランジ36及び坐骨フランジ38を含む。以下に更に説明するように、腸骨フランジ36は、患者の腸骨に接触するように構成されており(例えば、位置28及び/又はフランジ長さ30を有する)、坐骨フランジ38は、患者の坐骨に接触するように構成されている(例えば、位置28及び/又はフランジ長さ30を有する)。腸骨フランジ38は、表面14、16を通して画定された複数の開口40を更に含む。使用時には、ねじ、ピン、又は他の締結具を開口40を通して挿入して、プレート12を患者の骨に固定することができる。2つのフランジ36、38を含むものとして
図1に示されているが、他の実施形態では、プレート12は、1つのフランジ20、3つのフランジ20、又は別の数のフランジ20を含むことができることを理解されたい。追加的に、他の実施形態では、フランジ20は、プレート12が患者の骨に固定されることを可能にするために、異なる数又は配置の開口40又は他の固定ガイドを含み得る。
【0027】
上述したように、プロテーゼシステム10は、寛骨臼プロテーゼシェルコンポーネント42を更に含み、寛骨臼プロテーゼシェルコンポーネント42は、患者の骨盤の外科的に準備された寛骨臼に埋め込まれるように成形される。シェルコンポーネント42は、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。シェルコンポーネント42は、遠位縁44と、遠位縁44から延在する外壁46と、を有する。外壁46は、遠位縁44から凸状湾曲外面50まで延在する、環状の外面48を含む。例示的な実施形態では、凸状湾曲外面50は、半球形であり、かつ患者の外科的に準備された寛骨臼の形状に一致するように成形される。シェルコンポーネント42はまた、移植後に骨がシェルコンポーネント42に生物学的に付着することを可能にする、Porocoat(登録商標)外側コーティング52を含む。Porocoat(登録商標)外側コーティング52は、外面50を覆い、かつその幾何学的形状に従う。他の実施形態では、Porocoat(登録商標)外側コーティング52が省かれる場合があることを理解されたい。
【0028】
リップ54は、遠位縁44と凸状外面50との間で環状の外面48上に位置付けられている。リップ54は、環状の外面48から離れるように外向きに延在しており、かつ近位面58の反対側に位置付けられた遠位面56を含む。複数の開口60が、リップ54に画定されている。開口60は、解剖学的プレート12の開口26に対応する位置でリップ54上に位置付けられている。また、開口26と同様に、開口60の各々は、締結具を受容するように構成されている。例えば、一部の実施形態では、各開口60は、ねじのねじ山付き本体と嵌合するように構成されたねじ山付き内壁を含むことができる。以下で更に説明するように、開口26、60及び対応する締結具を使用して、プレート12をシェルコンポーネント42に機械的に取り付けることができる。
【0029】
示されるように、リップ54の遠位面56は、遠位縁44から距離62だけ離間している。距離62は、シェルコンポーネント42の偏依の程度を決定することができる。すなわち、リップ54と遠位縁44との間の距離62は、寛骨臼シェルコンポーネント42によって画定される回転中心の内側/外側位置を決定することができる。以下で更に説明するように、使用時に、外科医は、各々が異なる偏依距離62を有する複数のシェルコンポーネント42の中からシェルコンポーネント42を選択することができる。
【0030】
追加的に示されるように、仮想平面64は、遠位縁44の表面を延長することによって画定される。同様に、仮想平面66は、リップ54によって、より具体的にはリップ54の遠位面56を延長することによって画定される。角度68は、ゼロ又は非ゼロであり得、かつ仮想平面64と仮想平面66との間に画定され得る。シェルコンポーネント42がプレート12に取り付けられたときに、角度68は、遠位縁44の表面とプレート12との間の相対角度を決定し得る。以下で更に説明するように、使用時に、この角度は、患者の股関節に対する遠位縁44の傾斜、バージョンを決定するか、又は他の方法でその配向を決定することができる。以下で更に説明するように、使用時に、外科医は、各々が異なる角度68を有する複数のシェルコンポーネント42の中からシェルコンポーネント42を選択することができる。
【0031】
シェルコンポーネント42は、遠位縁44から内向きに延在して、シェルコンポーネント42内にキャビティ72を画定する内壁70を更に含む。例示的なキャビティ72は、例えば、ポリエチレンなどのポリマー材料、セラミック材料、金属材料、又は他の材料から形成され得る、ベアリングコンポーネント(図示せず)を受容するようにサイズ設定される。シェルコンポーネント42の内壁70は、環状の外面48とは反対側に位置付けられた環状内面74と、凸状湾曲外面50とは反対側の凹状湾曲内面76と、を含む。複数のスロット78は、遠位縁44の内壁70から外向きに延在している。スロット78は、遠位縁44の円周の周りに離間され、かつベアリング及び/又は他のプロテーゼコンポーネントの対応するキーを受容するように成形されている。凹状湾曲内面76は、キャビティ72を通って延在する極軸80を画定する。極軸80は、遠位縁44によって画定される平面64に対して垂直である。一部の実施形態では、極軸80は、例えば、非ゼロ角度68を有する実施形態では、リップ54によって画定される平面66に対して非垂直であってもよい。一部の実施形態では、1つ若しくは2つ以上のスロット82又は他の固定ガイドが、曲面50、76を通して画定され得る。使用時には、ねじ、ピン、又は他の締結具を固定ガイド82を通して挿入して、シェルコンポーネントを患者の骨に固定することができる。
【0032】
上述したように、複数の開口26が、解剖学的プレート12の中央リング18に画定されている。各開口26に対して、対応する開口60が、シェルコンポーネント42のリップ54に画定されている。示されるように、複数のねじ84を使用して、中央リング18をリップ54に固定することができる。具体的には、各ねじ84は、プレート12をシェルコンポーネント42に機械的に取り付ける、一対の対応する開口26、60を貫通する。複数のねじ84を使用して取り付けられるように示されているが、一部の実施形態では、プレート12及びシェルコンポーネント42は、ピン、リベット、又は任意の他の適切な締結具を使用して取り付けられてもよいことを理解されたい。
【0033】
ここで
図3を参照すると、プロテーゼシステム10の断面図は、遠位縁44とリップ54の遠位面56との間に画定された距離62を示す。例示的な実施形態では、距離62は、2ミリメートルである。プロテーゼシステム10に含まれる他のシェルコンポーネントは、異なる偏依距離62を画定し得ることを理解されたい。
【0034】
例えば、ここで
図4を参照すると、別のプロテーゼシステム10の断面図は、別の寛骨臼シェルコンポーネント86に固定された解剖学的プレート12を示す。寛骨臼シェルコンポーネント86は、
図1~
図3に示すシェルコンポーネント42と同様である。しかしながら、例示的な実施形態では、遠位縁44とシェルコンポーネント86の遠位面56との間に画定される距離62は、4ミリメートルである。したがって、シェルコンポーネント86によって画定される回転中心は、寛骨臼シェルコンポーネント42によって画定される回転中心と比較して、2ミリメートルだけ偏依され得る(すなわち、横方向に2ミリメートル移動される)。
【0035】
同様に、プロテーゼシステム10に含まれるシェルコンポーネントは、異なる傾斜角68を画定し得ることを理解されたい。例えば、ここで
図5を参照すると、別のプロテーゼシステム10の断面図は、別の寛骨臼シェルコンポーネント88に固定された解剖学的プレート12を示す。寛骨臼シェルコンポーネント88は、
図1~
図4に示すシェルコンポーネント42、86と同様である。しかしながら、例示的な実施形態では、遠位縁44によって画定される仮想プレート64とリップ54によって画定される仮想平面66との間に画定されるシェルコンポーネント88の角度68は、非ゼロである。追加的に、結果として、遠位縁44とリップ54の遠位面56との間の距離62は異なる。例示的な実施形態では、距離62の最大点における距離62は、寛骨臼シェルコンポーネント42と同様に2ミリメートルである。プレート12に対するこの最大点の位置は、シェルコンポーネント88をプレート12にねじ84又は他の締結具で固定する前に、シェルコンポーネント88をプレート12に対して回転させることによって調整され得る。
【0036】
更なる実施例として、ここで
図6を参照すると、別のプロテーゼシステム10の断面図は、別の寛骨臼シェルコンポーネント90に固定された解剖学的プレート12を示す。寛骨臼シェルコンポーネント90は、
図1~
図5に示すシェルコンポーネント42、86、88と同様である。例示的に、遠位縁44によって画定される仮想平面64とリップ54によって画定される仮想平面66との間に画定されるシェルコンポーネント90の角度68は、シェルコンポーネント88と同様に非ゼロである。例示的な実施形態では、遠位縁44と遠位面56との間の距離62の最大点における距離62は、寛骨臼シェルコンポーネント86と同様に4ミリメートルである。したがって、例示的なシェルコンポーネント42、86、88、90は、偏依距離62及び傾斜角68の複数の可能な組み合わせを表す。追加的に又は代替的に、一部の実施形態では、サイズ等の他の構成がまた、寛骨臼シェルコンポーネント間で異なっていてもよい。
【0037】
ここで
図7及び
図8を参照すると、一部の実施形態では、寛骨臼プロテーゼインプラントシステム10はまた、寛骨臼シェルコンポーネント42のリップ54と解剖学的プレート12の中央リング18との間に取り付けられ得る、リングスペーサ92を含み得る。シェルコンポーネント42及びプレート12と同様に、リングスペーサ92は、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。示されるように、リングスペーサ92は、遠位面96から離間された近位面94を含む。内壁98は、表面94と表面96との間に延在し、かつ開口部100を画定する。開口部100は、寛骨臼シェルコンポーネント42の一部を受容するようにサイズ設定されている。複数の開口102が、表面94、96を通して画定されている。開口102は各々、締結具を受容するように構成されている。例えば、一部の実施形態では、各開口102は、ねじのねじ山付き本体と嵌合するように構成されたねじ山付き内壁を含むことができる。示されるように、各開口102は、プレート12及びシェルコンポーネント42にそれぞれ画定された対応する開口26、60と位置合わせされる。これらの開口26、102、60及び対応する締結具は、プレート12とシェルコンポーネント42との間にスペーサ92を機械的に取り付けるために使用され得る。プレート12とシェルコンポーネント42との間にスペーサ92を取り付けることによって、プレート12の近位面14は、スペーサリング92の厚さだけシェルコンポーネント42の遠位縁44に向かって移動し得る。したがって、スペーサリング92をプロテーゼシステム10に取り付けることによって、外科医は、組み立てられたプロテーゼシステム10の偏依量を調整し得る。
【0038】
ここで
図9を参照すると、使用時に、整形外科用プロテーゼシステム10は、整形外科処置中に使用され得る。
図9は、患者の寛骨104を示している。示されるように、寛骨104は、天然の寛骨臼112を画定する、腸骨106、坐骨108、及び恥骨110の3つの部分を含む。整形外科処置を行うために、最初に、外科医は、プロテーゼアセンブリ10を受容するために患者の骨を外科的に準備する。例えば、外科医は、プロテーゼアセンブリ10を受容するように患者の寛骨臼112を準備するために外科用リーマを利用することができる。一部の実施形態では、外科医はまた、任意の既存の寛骨臼コンポーネント又は他のプロテーゼコンポーネントを患者の骨から除去してもよい。
【0039】
次に、外科医は、複数の利用可能な解剖学的プレート12から解剖学的プレート12を選択する。これらの解剖学的プレート12の各々は、他の解剖学的プレート12とは異なる構成を有する。例えば、解剖学的プレート12の各々は、異なる数及び/若しくは配置のフランジ20、異なる利き手(例えば、左/右)、又は他の構成を有してもよい。この実施例を続けると、各解剖学的プレート12のフランジ20は、中央リング18に対して異なる所定の位置28又は異なるフランジ長さ32を有してもよい。
【0040】
解剖学的プレート12を選択した後、外科医は、複数の利用可能なシェルコンポーネント42から寛骨臼シェルコンポーネント42を選択する。これらのシェルコンポーネント42の各々は、他のシェルコンポーネント42とは異なる構成を有する。例えば、寛骨臼シェルコンポーネント42の各々は、偏依距離62及び/又は傾斜角68の異なる組み合わせを有してもよい。
【0041】
次に、外科医は、選択された解剖学的プレート12を選択された寛骨臼シェルコンポーネント42に機械的に取り付ける。外科医は、プレート12の中央リング18を寛骨臼シェルコンポーネント42のリップ54上に位置付け、かつ複数のねじ84又は他の締結具を使用して中央リング18をリップ54に固定することができる。特に、傾斜したシェルコンポーネント42(例えば、ゼロでない傾斜角68を有するシェルコンポーネント42)の場合、外科医は、プレート12をシェルコンポーネント42に固定する前に、シェルコンポーネント42を解剖学的プレート12に対して回転させて、所望の配向を達成することができる。
【0042】
追加的又は代替的に、一部の実施形態では、解剖学的プレート12を寛骨臼シェルコンポーネント42に取り付ける前に、外科医は、スペーサリング92を選択してもよい。これらの実施形態では、外科医は、スペーサリング92を寛骨臼シェルコンポーネント42のリップ54上に位置付け、プレート12の中央リング18をスペーサリング92上に位置付け、次いで、複数のねじ84又は他の締結具を使用して、中央リング18をスペーサリング92及びリップ54に固定することができる。
【0043】
次に、外科医は、解剖学的プレート12のフランジ20が患者の骨104に接触するまで、組み立てられたプロテーゼシステム10のシェルコンポーネント42を患者の外科的に準備された寛骨臼112内に挿入する。例えば、例示的な実施形態では、腸骨フランジ36は、腸骨106に接触し、坐骨フランジ38は、坐骨108に接触する。外科医は、フランジ20と骨104との間に密接な接触が達成されているか否かを評価してもよく、あるいは、骨104内のプロテーゼインプラント10の安定性を評価してもよい。一部の実施形態では、外科医は、骨104との密接な接触を達成するために、フランジ20のうちの1つ又は2つ以上を手で屈曲させ、又は別様に調整してもよい。追加的に又は代替的に、一部の実施形態では、外科医は、プロテーゼシステム10を除去し、異なる解剖学的プレート12及び/又は寛骨臼シェルコンポーネント42を選択し、かつ嵌合を改善するか、又は別様に固定を改善するために、上述のようにプロテーゼシステム10を再組み立てしてもよい。
【0044】
プロテーゼシステム10を外科的に準備された寛骨臼112内に位置付けた後、プロテーゼシステム10は、最終的な位置及び配向に嵌入されるか、又は別様に固定される。一部の実施形態では、1つ若しくは2つ以上の骨ねじ114又は他の締結具が、フランジ20を骨104に取り付けるために使用され得る。例えば、例示的な実施形態では、骨ねじ114を使用して、腸骨フランジ36を腸骨106に固定することができる。したがって、移植後、プロテーゼシステム10は、患者の固い骨にしっかりと取り付けられるか、又は他の方法で固定されてもよく、罹患した骨、空隙、又は患者の寛骨臼112を取り囲む骨損失の他の領域への取り付けを回避してもよい。したがって、プロテーゼシステム10は、高い強度を達成することができ、骨セメントの使用を回避することができる。
【0045】
ここで
図10及び
図11を参照すると、別の例示的な寛骨臼プロテーゼインプラントシステム200が、プロテーゼインプラントシステム10に加えて、又はプロテーゼインプラントシステム10の代替として、上述の整形外科処置中に使用され得る。プロテーゼインプラントシステム200は、
図1~
図9の解剖学的プレートと同様の解剖学的プレート12と、寛骨臼シェルコンポーネント202と、を含む。
図1~
図3のシェルコンポーネント42と同様に、シェルコンポーネント202は、患者の骨盤の外科的に準備された寛骨臼内に埋め込まれるように成形される。シェルコンポーネント42とは異なり、シェルコンポーネント202は、機械的に取り付けられて、シェルコンポーネント202を形成する、2つのサブコンポーネント204、206から形成される。サブコンポーネント204、206の各々は、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成される。
【0046】
内側サブコンポーネント204は、遠位縁208と、遠位縁208から延在する外壁210と、を有する。外壁210は、遠位縁208から凸状湾曲外面214まで延在する、環状の外面212を含む。凸状湾曲外面214は、以下で更に説明される外側サブコンポーネント206の対応する内面と嵌合するようにテーパ状にされてもよいか、又は別様に成形されてもよい。
【0047】
内側サブコンポーネント204は、遠位縁208から内向きに延在して、内側サブコンポーネント204内にキャビティ218を画定する内壁216を更に含む。例示的なキャビティ218は、例えば、ポリエチレンなどのポリマー材料、セラミック材料、金属材料、又は他の材料から形成され得る、ベアリングコンポーネント(図示せず)を受容するようにサイズ設定される。内側サブコンポーネント204の内壁216は、環状の外面212の反対側に位置付けられた環状内面220と、凸状湾曲外面214の反対側に位置付けられた凹状湾曲内面222と、を含む。複数のスロット224は、遠位縁208の内壁216から外向きに延在している。スロット224は、遠位縁208の円周の周りに離間され、かつベアリング及び/又は他のプロテーゼコンポーネントの対応するキーを受容するように成形される。凹状湾曲内面222は、キャビティ218を通って延在する極軸226を画定する。極軸226は、例示的に、遠位縁208によって画定される仮想平面に対して垂直である。一部の実施形態では、1つ若しくは2つ以上のスロット228又は他の固定ガイドが、曲面214、222を通して画定され得る。
【0048】
示されるように、外側サブコンポーネント206はまた、凸状湾曲外面230を含む。例示的な実施形態では、凸状湾曲外面230は、半球形であり、かつ患者の外科的に準備された寛骨臼の形状に一致するように成形される。外側サブコンポーネントはまた、移植後に骨がシェルコンポーネント202に生物学的に付着することを可能にする、Porocoat(登録商標)外側コーティング232を含み得る。Porocoat(登録商標)外側コーティング232は、外面230を覆い、かつその幾何学的形状に従う。他の実施形態では、Porocoat(登録商標)外側コーティング232が省かれる場合があることを理解されたい。
【0049】
リップ234は、凸状湾曲外面230を取り囲む。リップ234は、湾曲外面230から離れるように外向きに延在しており、かつ近位面238の反対側に位置付けられた遠位面236を含む。複数の開口240は、リップ234に画定される。開口240は、解剖学的プレート12の開口26に対応する位置でリップ234上に位置付けられている。また、開口26と同様に、開口240の各々は、締結具を受容するように構成されている。例えば、一部の実施形態では、各開口240は、ねじのねじ山付き本体と嵌合するように構成されたねじ山付き内壁を含むことができる。以下で更に説明するように、開口26、240及び対応する締結具を使用して、プレート12をシェルコンポーネント202に機械的に取り付けることができる。
【0050】
外側サブコンポーネント206は、リップ234から内向きに延在して、外側サブコンポーネント206内にキャビティ244を画定する内壁242を更に含む。例示のキャビティ244は、内側サブコンポーネント204を受容するようにサイズ設定される。したがって、内壁242は、内側サブコンポーネント202の凸状外面214に係合するように成形される。一部の実施形態では、内壁242は、内側サブコンポーネント202の外面214と機械的に係止するように構成されたテーパ又は他の形状を含み得る。内壁242は、キャビティ244を通って延在する極軸246を更に画定する。一部の実施形態では、1つ若しくは2つ以上のスロット248又は他の固定ガイドが、内壁242及び外面230を通して画定され得る。以下で更に説明するように、シェルコンポーネント202を組み立てた後に、ねじ、ピン、又は他の締結具を固定ガイド228、248を通して挿入して、シェルコンポーネント202を患者の骨に固定することができる。
【0051】
図11の断面図に示されるように、内側サブコンポーネント204は、外側サブコンポーネント206に画定されたキャビティ244内に挿入されてもよく、それによって、サブコンポーネント204、206を一緒に取り付けて、寛骨臼シェルコンポーネント202を形成する。サブコンポーネント204、206が一緒に取り付けられたときに、リップ234の遠位面236は、距離250だけ遠位縁218から離間される。距離250は、組み立てられたシェルコンポーネント202の偏依の程度を決定することができる。すなわち、距離62と同様に、距離250は、寛骨臼シェルコンポーネント202によって画定される回転中心の内側/外側位置を決定する。使用時に、外科医は、特定の偏依距離250を有するシェルコンポーネント202を組み立てるために、複数のサブコンポーネント204、206の中からサブコンポーネント204、206を選択することができる。
図11に示す例示的な実施形態では、距離250は、2ミリメートルである。プロテーゼシステム200に含まれる他のシェルコンポーネント202は、異なる偏依距離250を画定し得ることを理解されたい。
【0052】
追加的に示されるように、内側サブコンポーネント204及び外側サブコンポーネント206の各々は、それぞれ、極軸226、246を画定する。ゼロ又は非ゼロであり得る角度252が、極軸226と極軸246との間に画定される。角度252は、遠位縁208の表面とプレート12との間の相対角度を決定し得る。使用時に、この角度は、患者の股関節に対する遠位縁208の傾斜、バージョンを決定するか、又は他の方法でその配向を決定することができる。以下で更に説明するように、使用時に、外科医は、複数のサブコンポーネント204、206の中からサブコンポーネント204、206を選択して、各々が特定の角度252を有するシェルコンポーネント202を組み立てることができる。
【0053】
例えば、ここで
図12及び
図13を参照すると、別のプロテーゼシステム200は、外側サブコンポーネント206及び内側サブコンポーネント254から形成された寛骨臼シェルコンポーネント202を含む。内側サブコンポーネント254は、
図10及び
図11に示す内側サブコンポーネント204と同様である。しかしながら、例示的な実施形態では、外側サブコンポーネント206と組み立てられたときに、内側サブコンポーネント254の極軸226と外側サブコンポーネント206の極軸246との間に非ゼロ角度252が画定される。追加的に、結果として、遠位縁208とリップ234の遠位面236との間の距離250は異なる。例示的な実施形態では、距離250の最大点における距離250は、寛骨臼シェルコンポーネント42、88と同様に2ミリメートルである。プレート12に対するこの最大点の位置は、例えば、シェルコンポーネント202を組み立てる前でプレート12を組み立てる前に、外側サブコンポーネント206に対して内側サブコンポーネント254を回転させることによって調整され得る。
【0054】
ここで
図14及び
図15を参照すると、寛骨臼プロテーゼインプラントシステム300の更に別の実施形態は、プロテーゼインプラントシステム10、200に加えて、又はプロテーゼインプラントシステム10、200の代替として、上述の整形外科処置中に使用され得る。プロテーゼインプラントシステム300は、
図1~
図13の解剖学的プレートと同様の解剖学的プレート12と、寛骨臼シェルコンポーネント302と、を含む。
図1~
図3のシェルコンポーネント42と同様に、シェルコンポーネント302は、患者の骨盤の外科的に準備された寛骨臼内に埋め込まれるように成形される。シェルコンポーネント302は、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成される。シェルコンポーネント302は、遠位縁304と、遠位縁304から延在する外壁306と、を有する。外壁306は、遠位縁304から延在する、凸状湾曲外面308を含む。例示的な実施形態では、凸状湾曲外面308は、半球形であり、かつ患者の外科的に準備された寛骨臼の形状に一致するように成形される。シェルコンポーネント302はまた、移植後に骨がシェルコンポーネント302に生物学的に付着することを可能にする、Porocoat(登録商標)外側コーティング310を含む。Porocoat(登録商標)外側コーティング310は、外面308を覆い、かつその幾何学的形状に従う。他の実施形態では、Porocoat(登録商標)外側コーティング310が省かれる場合があることを理解されたい。
【0055】
リップ312が遠位縁304に位置付けられ、凸状外面308から離れるように外向きに延在している。リップ312は、遠位縁304に遠位面314を含み、かつ遠位面314の反対側に位置付けられた近位面316を更に含む。複数の開口318は、リップ312に画定される。開口318は、解剖学的プレート12の開口26に対応する位置でリップ312上に位置付けられている。また、開口26と同様に、開口318の各々は、締結具を受容するように構成されている。例えば、一部の実施形態では、各開口318は、ねじのねじ山付き本体と嵌合するように構成されたねじ山付き内壁を含むことができる。以下で更に説明するように、開口26、318及び対応する締結具を使用して、プレート12をシェルコンポーネント302に機械的に取り付けることができる。
【0056】
示されるように、リップ312の近位面316は、遠位縁304から距離320だけ離間している。距離320は、シェルコンポーネント302の偏依の程度を決定することができる。すなわち、リップ312の近位面316と遠位縁304との間の距離320は、寛骨臼シェルコンポーネント302によって画定される回転中心の内側/外側位置を決定することができる。使用時に、外科医は、各々が異なる偏依距離320を有する複数のシェルコンポーネント302の中からシェルコンポーネント302を選択することができる。
【0057】
追加的に示されるように、仮想平面322は、遠位縁312の表面を延長することによって画定される。同様に、リップ312によって、より具体的にはリップ312の近位面316を延長することによって、仮想平面324が画定される。角度326は、ゼロ又は非ゼロであり得、かつ仮想平面322、324の間に画定され得る。シェルコンポーネント302がプレート12に取り付けられたときに、角度326は、遠位縁304の表面とプレート12との間の相対角度を決定し得る。以下で更に説明するように、使用時に、この角度は、患者の股関節に対する遠位縁304の傾斜、バージョンを決定するか、又は他の方法でその配向を決定することができる。以下で更に説明するように、使用時に、外科医は、各々が異なる角度326を有する複数のシェルコンポーネント302の中からシェルコンポーネント302を選択することができる。
【0058】
シェルコンポーネント302は、遠位縁304から内向きに延在して、シェルコンポーネント302内にキャビティ330を画定する内壁328を更に含む。例示的なキャビティ330は、例えば、ポリエチレンなどのポリマー材料、セラミック材料、金属材料、又は他の材料から形成され得る、ベアリングコンポーネント(図示せず)を受容するようにサイズ設定される。シェルコンポーネント302の内壁328は、リップ312の反対側に位置付けられた環状内面332と、凸状湾曲外面308とは反対側の凹状湾曲内面334と、を含む。複数のスロット336は、遠位縁304の内壁328から外向きに延在している。スロット336は、遠位縁304の円周の周りに離間され、かつベアリング及び/又は他のプロテーゼコンポーネントの対応するキーを受容するように成形される。凹状湾曲内面334は、キャビティ330を通って延在する極軸338を画定する。極軸338は、遠位縁304によって画定される平面322に対して垂直である。一部の実施形態では、極軸338は、例えば、非ゼロ角度326を有する実施形態では、リップ312によって画定される平面324に対して非垂直であってもよい。一部の実施形態では、1つ若しくは2つ以上のスロット340又は他の固定ガイドが、曲面308、334を通して画定され得る。使用時には、ねじ、ピン、又は他の締結具を固定ガイドを通して挿入して、シェルコンポーネントを患者の骨に固定することができる。
【0059】
上述したように、複数の開口26は、解剖学的プレート12の中央リング18に画定される。各開口26に対して、対応する開口318が、シェルコンポーネント302のリップ312に画定される。示されるように、シェルコンポーネント302の凹状外面308は、解剖学的プレート12の中央開口部24を通過することができる。リップ312の近位面316は、中央リング18上の解剖学的プレート12の遠位面16に係合する。示されるように、複数のねじ84を使用して、中央リング18をリップ312に固定することができる。具体的には、各ねじ84は、プレート12をシェルコンポーネント302に機械的に取り付ける、一対の対応する開口26、318を貫通する。複数のねじ84を使用して取り付けられるように示されているが、一部の実施形態では、プレート12及びシェルコンポーネント302は、ピン、リベット、又は任意の他の適切な締結具を使用して取り付けられてもよいことを理解されたい。
【0060】
ここで
図16及び
図17を参照すると、一部の実施形態では、寛骨臼プロテーゼインプラントシステム300はまた、
図7及び
図8に示されるリングスペーサ92と同様のリングスペーサ92を含み得る。リングスペーサ92は、寛骨臼シェルコンポーネント302のリップ312と解剖学的プレート12の中央リング18との間に取り付けられ得る。示されるように、リングスペーサ92の遠位面96は、シェルコンポーネント302の近位面316に係合し、解剖学的プレート12の遠位面16は、リングスペーサ92の近位面94に係合する。解剖学的プレート12、リングスペーサ92、及びシェルコンポーネント302は、対応する開口26、102、318を通して係合される複数のねじ84又は他の締結具を使用して、一緒に機械的に取り付けられ得る。プレート12とシェルコンポーネント302との間にスペーサ92を取り付けることによって、プレート12の近位面14は、スペーサリング92の厚さだけシェルコンポーネント302の遠位縁304から離れて移動し得る。したがって、スペーサリング92をプロテーゼシステム300に取り付けることによって、外科医は、組み立てられたプロテーゼシステム300の偏依量を調整し得る。
【0061】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとはみなすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれる全ての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0062】
本明細書に記載の装置及びアセンブリの様々な特性から本開示の複数の利点が生ずる。本開示の装置及びアセンブリの代替実施形態は、記載された特徴の全てを含んでいない場合もあるが、それでも依然としてこのような特徴の利点のうちの少なくともいくつかから恩恵を享受していることが留意される。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特徴を取り入れた、「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される装置及びアセンブリを独自に実施することが容易に可能であろう。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用プロテーゼシステムであって、
中央リングと、1つ又は2つ以上のフランジと、を備えるプレートであって、複数の開口が、前記中央リングに画定され、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在し、前記1つ又は2つ以上のフランジの各々が、患者の骨に係合する近位面を含む、プレートと、
遠位縁と、前記遠位縁から延在する凸状外壁と、前記外壁上に位置付けられ、かつ前記外壁から離れるように延在する円周リップと、を備える寛骨臼シェルコンポーネントであって、前記リップが、偏依距離だけ前記遠位縁から分離され、傾斜角が、前記リップによって画定される第1の仮想平面と前記遠位縁によって画定される第2の仮想平面との間に画定され、複数の開口が、前記リップに画定されている、寛骨臼シェルコンポーネントと、を備え、
前記プレートが、前記中央リングの各開口が前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップの対応する開口と位置合わせされるように、前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられるように構成されている、整形外科用プロテーゼシステム。
(2) 前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの開口を通って前記リップの対応する開口内に延在して、前記プレートを前記寛骨臼シェルコンポーネントに固定する締結具を更に備える、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(3) 前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの近位面が、前記リップの遠位面に係合し、前記中央リングが、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記遠位縁を受容する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(4) 前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記外壁が、前記遠位縁から半球状の外面まで延在する、環状の外面を備え、前記プレートが前記寛骨臼シェルコンポーネント上に位置付けられたときに、前記中央リングの遠位面が、前記リップの近位面に係合し、前記中央リングが、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記半球状の外面を受容する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(5) 前記1つ又は2つ以上のフランジが、前記患者の腸骨に係合するように構成された腸骨フランジと、前記患者の坐骨に係合するように構成された坐骨フランジと、を備える、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【0064】
(6) 前記プレートが、複数のプレートのうちの第1のプレートであり、各プレートが、前記複数のプレートのうちの他のプレートとは異なる構成を有する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(7) 各プレートの前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の前記対応する所定の位置から半径方向に離れるように対応するフランジ端部まで延在し、フランジ長さが、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジについて、前記中央リングと前記フランジ端部との間に画定され、
各プレートの前記異なる構成が、1つ若しくは2つ以上のフランジの前記フランジ長さ、又は1つ若しくは2つ以上のフランジの前記中央リング上の前記所定の位置のうちの少なくとも1つを含む、実施態様6に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(8) 前記寛骨臼シェルコンポーネントが、複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの第1のシェルコンポーネントであり、各寛骨臼シェルコンポーネントが、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントのうちの他の寛骨臼シェルコンポーネントとは異なる構成を有する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(9) 各寛骨臼シェルコンポーネントの前記異なる構成が、前記偏依距離又は前記傾斜角のうちの少なくとも1つを含む、実施態様8に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(10) 前記1つ又は2つ以上のフランジの各々の前記近位面及び前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記外壁が、骨の内部成長を促進するための多孔性コーティングを含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【0065】
(11) 前記1つ又は2つ以上のフランジのうちのフランジが、前記フランジを前記患者の骨に取り付けるための締結具を受容するように構成された開口を備える、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(12) スペーサリングを更に備え、複数の開口が、前記スペーサリングを通って延在し、前記スペーサリングが、前記スペーサリングの各開口が前記リップの対応する開口及び前記寛骨臼シェルコンポーネントの対応する開口と位置合わせされるように、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップと前記プレートの前記中央リングとの間に位置付けられるように構成されている、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(13) 前記寛骨臼シェルコンポーネントが、前記遠位縁から内向きに延在して、寛骨臼ベアリングを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する、凹状内壁を更に備える、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(14) 前記寛骨臼シェルコンポーネントが、第1のサブコンポーネント及び第2のサブコンポーネントを備え、前記第1のサブコンポーネントが、前記外壁及び前記リップを備え、前記第2のサブコンポーネントが、前記遠位縁及び前記内壁を備え、
前記第1のサブコンポーネントが、前記第2のサブコンポーネントを受容するようにサイズ設定されたキャビティを画定する第2の凹状内壁を含み、前記第2のコンポーネントが、前記第1のサブコンポーネントに機械的に結合されている、実施態様13に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
(15) 前記第1のサブコンポーネントの前記第2の凹状内壁が、第1の極軸を画定し、
前記第2のサブコンポーネントの前記内壁が、第2の極軸を画定し、
ゼロでない傾斜角が、前記第1の極軸と前記第2の極軸との間に画定されている、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼシステム。
【0066】
(16) 整形外科用プロテーゼを組み立てるための方法であって、前記方法が、
複数のプレートから第1のプレートを選択することであって、前記複数のプレートの各プレートが、中央リング及び1つ又は2つ以上のフランジを備え、前記1つ又は2つ以上のフランジの各フランジが、前記中央リング上の対応する所定の位置から半径方向に離れるように延在し、前記1つ又は2つ以上のフランジの各々が、患者の骨に係合する近位面を含む、選択することと、
複数の寛骨臼シェルコンポーネントから第1のシェルコンポーネントを選択することであって、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントが、遠位縁と、前記遠位縁から延在する凸状外壁と、前記外壁上に位置付けられ、かつ前記外壁から離れるように延在する円周リップと、を備える、選択することと、
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることと、を含む、方法。
(17) 複数の開口が、前記複数のプレートの各プレートの前記中央リングに画定され、複数の開口が、前記複数の寛骨臼シェルコンポーネントの各寛骨臼シェルコンポーネントの前記リップに画定され、
前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることが、前記中央リングに画定された各開口について、前記中央リングの前記開口及び前記リップの対応する開口に締結具を固定することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記中央リングに機械的に取り付けることが、(i)スペーサリングを前記中央リングに取り付けることと、(ii)前記スペーサリングを前記リップに取り付けることと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 第1のシェルコンポーネントを選択することが、
第1のサブコンポーネントを選択することであって、前記第1のサブコンポーネントが、前記第1のシェルコンポーネントの前記外壁及び前記リップを含む、選択することと、
第2のサブコンポーネントを選択することであって、前記第2のサブコンポーネントが、前記遠位縁と、前記遠位縁から内向きに延在する凹状内壁と、を備える、選択することと、
前記第1のシェルサブコンポーネントを前記第2のシェルサブコンポーネントに取り付けることと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記第1のシェルコンポーネントの前記リップを前記第1のプレートの前記中央リングに機械的に取り付けることに応答して、前記第1のシェルコンポーネントを患者の外科的に準備された寛骨臼内に挿入することと、
前記第1のシェルコンポーネントを挿入することに応答して、前記第1のプレートの前記1つ又は2つ以上のフランジを前記患者の骨に接触させることと、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
【国際調査報告】