(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 299/00 20060101AFI20240308BHJP
C08F 257/02 20060101ALI20240308BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240308BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240308BHJP
B32B 15/082 20060101ALI20240308BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240308BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240308BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240308BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F257/02
C08J5/24
B32B15/08 U
B32B15/082 Z
B32B27/30 B
B32B15/20
B32B7/025
H05K1/03 610H
H05K1/03 610T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536582
(86)(22)【出願日】2023-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2023062934
(87)【国際公開番号】W WO2023164430
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523220189
【氏名又は名称】エージーシー マルチ マテリアル アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 智亮
(72)【発明者】
【氏名】チィァン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ナイチュン
(72)【発明者】
【氏名】アルメン,グレゴリー ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ビヴォーナ,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽司
(72)【発明者】
【氏名】レイズ,ウイリアム ダグラス
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4J026
4J127
【Fターム(参考)】
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4J127FA38
(57)【要約】
本開示は、少なくとも第一、第二、及び第三のポリマーを含む硬化性組成物に関する。第一のポリマーは、第一のモノマー単位と、該第一のモノマー単位と異なる第二のモノマー単位と、を含み、第一のモノマー単位は、本明細書に定義された式(I)で示される構造を有し、第二のモノマー単位は、本明細書に定義された式(II)で示される構造を有する。第二のポリマーは、少なくとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含み、第三のポリマーは、多くとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含む。本開示はまた、該組成物を使用して、自立皮膜、積層物、プリプレグ、及び/又はプリント回路基板を形成させることに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のモノマー単位と、前記第一のモノマー単位と異なる第二のモノマー単位と、を含む少なくとも1種の第一のポリマーであって、前記第一のモノマー単位が、式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のそれぞれは、独立して、H、ハロ、C
1~C
6アルキル又はC
2~C
6アルケニルである)で示される構造を有し、前記第二のモノマー単位が、式(II):
【化2】
(式中、Zは、アリーレンであり、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11のそれぞれは、独立して、H又はC
1~C
6アルキルである)で示される構造を有する、少なくとも1種の第一のポリマーと;
少なくとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含む少なくとも1種の第二のポリマーと;
多くとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含む少なくとも1種の第三のポリマーと、
を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5のそれぞれが、独立して、H、メチル、エチル、又はビニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Zが、フェニレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11のそれぞれが、Hである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の第一のポリマーがさらに、前記第一及び第二のモノマー単位と異なる第三のモノマー単位を含み、前記第三のモノマー単位が、式(I)で示される構造、ノルボルネン基、(メタ)アクリレート基、又はインダン基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の第一のポリマーが、前記組成物の固形分の約5重量%~約60重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の第二又は第三のポリマー内の前記スチレンモノマー単位が、非置換スチレンモノマー単位、メチルスチレンモノマー単位、t-ブチルスチレンモノマー単位、又はブロモスチレンモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の第二のポリマーが、少なくとも約62重量%の前記スチレンモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の第二のポリマーがさらに、エチレンモノマー単位、プロピレンモノマー単位、ブチレンモノマー単位、イソブチレンモノマー単位、ブタジエンモノマー単位、イソプレンモノマー単位、又はシクロヘキセンモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の第二のポリマーが、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンプロピレンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレンプロピレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックコポリマー、又はスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の第二のポリマーが、前記組成物の固形分の約0.1重量%~約25重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の第三のポリマーが、約10重量%~約60重量%の前記スチレンモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の第三のポリマーがさらに、エチレンモノマー単位、プロピレンモノマー単位、ブチレンモノマー単位、イソブチレンモノマー単位、ブタジエンモノマー単位、イソプレンモノマー単位、又はシクロヘキセンモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の第三のポリマーが、無水マレイン酸により修飾されたポリマー、又はアミン末端基を含有するポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の第三のポリマーが、無水マレイン酸により修飾されたスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、アミン末端基を含有するスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレン4-メチルスチレンイソプレンブチレンブロックコポリマー、4-メチルスチレンブチレンブロックコポリマー、又はスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の第三のポリマーが、前記組成物の固形分の約0.1重量%~約25重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
さらに少なくとも1種の充填剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の充填剤が、シリカ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化チタン、ガラス、フッ素含有ポリマー、又はシリコーンを含
む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の充填剤が、前記組成物の固形分の約1重量%~約80重量%の量で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
さらに少なくとも1種のラジカル開始剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のラジカル開始剤が、過酸化物、芳香族炭化水素、又はアゾ化合物を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種のラジカル開始剤が、ジ-(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、3,4-ジメチル 3,4-ジフェニルヘキサン、又は2,3-ジメチル2,3-ジフェニルブタンを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のラジカル開始剤が、前記組成物の固形分の約0.01重量%~約10重量%の量で存在する、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
さらに少なくとも1種の架橋剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種の架橋剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビス(ビニルフェニル)エーテル、ブロモスチレン、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート、マレイミド、ジメチルイミダゾール、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、アリルベンゾオキサジン、アリルホスファゼン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、トランス-スチルベン、5-ビニル-2-ノルボルネン、アセナフチレン、トリシクロペンタジエン、ジメタノ-1H-ベンゾ[f]インデン、1,1-ジフェニルエチレン、4-ベンズヒドリルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、ジアリルイソフタレート、アルファ-メチルスチレン、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル-4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル)エタン)、シラン、シロキサン、又はシルセスキオキサンを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種の架橋剤が、前記組成物の固形分の約0.01重量%~約10重量%の量で存在する、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
さらに難燃剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記難燃剤が、1,1’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(ペンタブロモベンゼン)、N,N-エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、アリルホスファゼン、ベンジルフェノキシシクロトリホスファゼン、フェノキシフェノキシシクロトリホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、レソルシノールビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)、6H-ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスホリン-6,6’-(1,4-エタンジイル)ビス-6,6’-ジオキシド(dixoide)、BP-PZ、又はPQ-60を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記難燃剤が、前記組成物の固形分の約1重量%~約50重量%の量で存在する、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
さらに少なくとも1種のカップリング剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1種のカップリング剤が、シラン、チタネート、又はジルコネートを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1種のカップリング剤が、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、加水分解されたビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、又はテトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)ジルコネートを含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記少なくとも1種のカップリング剤が、前記組成物の固形分の約0.01重量%~約5重量%の量で存在する、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
さらに有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記有機溶媒が、2-ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンゼン、アニソール、トルエン、1,3,5-トリメチルベンゼン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はそれらの組合せを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記有機溶媒が、前記組成物の約20重量%~約50重量%の量で存在する、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の組成物から調製された皮膜。
【請求項38】
請求項1~36のいずれか1項に記載の組成物を含浸された織物基板又は不織基板を含むプリプレグ生成物。
【請求項39】
前記基板が、ガラスクロスを含む、請求項38に記載のプリプレグ生成物。
【請求項40】
請求項38に記載のプリプレグ生成物から調製された少なくとも1層を含む積層物。
【請求項41】
さらに、前記プリプレグ生成物から調製された前記少なくとも1層の表面に少なくとも1層の金属箔を含む、請求項40に記載の積層物。
【請求項42】
前記金属箔が、銅箔である、請求項41に記載の積層物。
【請求項43】
前記プリプレグ生成物から調製された前記層が、10GHzで多くとも約3.5の誘電率を有する、請求項41に記載の積層物。
【請求項44】
前記プリプレグ生成物から調製された前記層が、10GHzで多くとも約0.0025の誘電正接を有する、請求項41に記載の積層物。
【請求項45】
請求項40に記載の積層物を含む、電子製品の中での使用のための回路基板。
【請求項46】
織物基板又は不織基板に請求項1~36のいずれか1項に記載の組成物を含浸させること;及び
前記組成物を硬化させてプリプレグ生成物を形成させること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年2月22日出願の米国特許仮出願第63/312,415号の優先権を主張しており、該特許仮出願の内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、硬化性組成物、並びに関連の方法、積層物、プリプレグ、及び回路基板に関する。
【背景技術】
【0003】
高周波数伝送の要望をかなえるために、当該業界における高周波数伝送システム及び無線通信装置の要件は、絶えず増大している。一般に回路組立品は、導電性金属層及び誘電性基板層を含む。高周波数伝送の要望をかなえるためには、誘電性基板層は、低い誘電正接(Df)(例えば、多くとも0.0020)を有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、スチレン含有ポリマーを含む特定の硬化性組成物が優れた電気的特性(例えば、低いDk及びDf)、改善された安定性、改善された機械的特性(層間結合強度)、及び他の材料との改善された接着特性(例えば、剥離強度)を呈し得る、という予想外の発見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本開示は、(1)第一のモノマー単位と、該第一のモノマー単位と異なる第二のモノマー単位と、を含む少なくとも1種の第一のポリマーと、(2)少なくとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含む少なくとも1種の第二のポリマーと、(3)多くとも約60重量%のスチレンモノマー単位を含む少なくとも1種の第三のポリマーと、を含む硬化性組成物(例えば、硬化性樹脂組成物)を特色とする。第一のモノマー単位は、式(I):
【0006】
【0007】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5のそれぞれは、独立して、H、ハロ、C1~C6アルキル又はC2~C6アルケニルである)で示される構造を有し、第二のモノマー単位は、式(II):
【0008】
【0009】
(式中、Zは、アリーレンであり、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11のそれぞれは、独立して、H又はC1~C6アルキルである)で示される構造を有する。
【0010】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載された硬化性組成物から調製された皮膜(例えば、自立皮膜又は支持皮膜)を特色とする。
【0011】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載された硬化性組成物を含浸された織物基板又は不織基板を含むプリプレグ生成物を特色とする。
【0012】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されたプリプレグ生成物から調製された少なくとも1層を含む積層物を特色とする。
【0013】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載された積層物を含む電子製品の中での使用のための回路基板(例えば、プリント回路基板)を特色とする。
【0014】
さらに別の態様において、本開示は、織物基板又は不織基板に本明細書に記載された硬化性組成物を含浸させること、及び該組成物を硬化させてプリプレグ生成物を形成させること、を含む方法を特色とする。
【0015】
開示された組成物及び方法の1つ又は複数の実施形態の詳細は、以下の記載に表される。本開示の組成物及び方法の他の特色、目的及び利点は、該記載及び特許請求の範囲から明白となろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に定義された通り、他に断りがなければ、表現されたパーセント値は全て、硬化性組成物の総重量に対する重量のパーセント値、即ち重量パーセントであると理解されなければならない。他に断りがなければ、本明細書で言及された周囲温度は、25℃をいう。
【0017】
概して本開示は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の第一のポリマーと、少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の第二のポリマーと、少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の第三のポリマーと、を含む硬化性組成物を対象とする。第一、第二、及び第三のポリマーは、互いに異なる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたポリマーは、他に断りがなければ、ホモポリマー又はコポリマー(例えば、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、交互コポリマー、又はブロックコポリマー)であり得る。幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、本明細書に記載された第一、第二、及び第三のポリマー以外のポリマーを含まない。
【0018】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された第一のポリマーは、少なくとも1種
(例えば、2種又は3種以上)の第一のモノマー単位と、該第一のモノマー単位と異なる少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の第二のモノマー単位と、を含む。本明細書で言及された語句「モノマー単位」は、モノマーから形成されたポリマー内の基をいい、当該技術分野で知られる「モノマー繰返し単位」と互換的に用いられる。幾つかの実施形態において、第一のポリマーは、第一及び第二のモノマー単位のみを含み、任意の他のモノマー単位を含まない。
幾つかの実施形態において、第一のモノマー単位は、式(I):
【0019】
【0020】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5のそれぞれは、独立して、H、ハロ(例えば、F、Cl、Br、又はI)、C1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)、又はC2~C6アルケニル(例えば、ビニル、プロペニル、又はアリル)である)で示される構造を有する。
【0021】
第一のモノマー単位を形成させるために用いられ得るモノマーの例としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、o-プロピルスチレン、m-プロピルスチレン、p- プロピルスチレン、o-ブチルスチレン、m-ブチルスチレン、p-ブチルスチレン、o-イソブチルスチレン、m-イソブチルスチレン、p-イソブチルスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、o-n-ペンチルスチレン、m-n-ペンチルスチレン、p-n-ペンチルスチレン、o-2-メチルブチルスチレン、m-2-メチルブチルスチレン、p-2-メチルブチルスチレン、o-3-メチルブチルスチレン、m-3-メチルブチルスチレン、p-3-メチルブチルスチレン、o-t-ペンチルスチレン、m-t-ペンチルスチレン、p-t-ペンチルスチレン、o-n-ヘキシルスチレン、m-n-ヘキシルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、o-2-メチルペンチルスチレン、m-2-メチルペンチルスチレン、p-2-メチルペンチルスチレン、o-3-メチルペンチルスチレン、m-3-メチルペンチルスチレン、p-3-メチルペンチルスチレン、o-1-メチルペンチルスチレン、m-1-メチルペンチルスチレン、p-1-メチルペンチルスチレン、o-2,2-ジメチルブチルスチレン、m-2,2-ジメチルブチルスチレン、p-2,2-ジメチルブチルスチレン、o-2,3-ジメチルブチルスチレン、m-2,3-ジメチルブチルスチレン、p-2,3-ジメチルブチルスチレン、o-2,4-ジメチルブチルスチレン、m-2,4-ジメチルブチルスチレン、p-2,4-ジメチルブチルスチレン、o-3,3-ジメチルブチルスチレン、m-3,3-ジメチルブチルスチレン、p-3,3-ジメチルブチルスチレン、o-3,4-ジメチルブチルスチレン、m-3,4-ジメチルブチルスチレン、p-3,4-ジメチルブチルスチレン、o-4,4-ジメチルブチルスチレン、m-4,4-ジメチルブチルスチレン、p-4,4-ジメチルブチルスチレン、o-2-エチルブチルスチレン、m-2-エチルブチルスチレン、p-2-エチルブチルスチレン、o-1-エチルブチルスチレン、m-1-エチルブチルスチレン、及びp-1-エチルブチルスチレンが挙げられる。
【0022】
幾つかの実施形態において、第二のモノマー単位は、式(II):
【化4】
【0023】
(式中、Zは、アリーレン(例えば、フェニレン又はナフタレン基)であり、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11のそれぞれは、独立して、H又はC1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)である)で示される構造を有する。本明細書で用いられる用語「アリーレン」は、非置換のアリーレン、及び1つ又はより多く(例えば、2つ又は3つ又はより多く)のC1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)により置換されたアリーレンなどの置換アリーレンを包含する。
【0024】
第二のモノマー単位を形成させるために用いられ得るモノマーの例としては、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、1,2-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ジビニルナフタレン、1,8-ジビニルナフタレン、1,4-ジビニルナフタレン、1,5-ジビニルナフタレン、2,3-ジビニルナフタレン、2,7-ジビニルナフタレン、2,6-ジビニルナフタレン、1,2-ジビニル-3,4-ジメチルベンゼン、1,3-ジビニル-4,5,8-トリブチルナフタレンが挙げられる。
【0025】
幾つかの実施形態において、第一のポリマーは、任意にさらに第一及び第二のモノマー単位と異なる、少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の第三のモノマー単位を含み得る。幾つかの実施形態において、第三のモノマー単位は、式(I)で示される構造、ノルボルネン基、(メタ)アクリレート基、又はインダン基を含む。本明細書で用いられる通り、ノルボルネン、(メタ)アクリレート、及びインダン基のそれぞれは、非置換の基、及び1つ又は複数(例えば、2つ又は3つ又はより多く)のC1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)によって置換された基を包含する。加えて本明細書で用いられる用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する。幾つかの実施形態において、第三のモノマー単位は、不飽和基(例えば、不飽和炭化水素基)を包含する。
【0026】
幾つかの実施形態において、第一のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、又は少なくとも約30重量%)~多くとも60重量%(例えば、多くとも55重量%、多くとも50重量%、多くとも45重量%、多くとも40重量%、多くとも35重量%、多くとも30重量%、多くとも25重量%、多くとも20重量%、多くとも15重量%、又は多くとも10重量%)の量で存在する。好ましくは第一のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約10重量%~約50重量%の量で存在する。理論に結びつけるのを望むものではないが、第一のポリマーを含有する硬化性組成物は、少なくとも一部の理由として第一のポリマーが主として炭化水素モノマーから作製されるという事実により、優れた電気的特性(例えば、低いDk又はDf)を有し得ると考えられる。
【0027】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された第二のポリマーは、少なくとも約60重量%のスチレンモノマー単位(例えば、非置換スチレンモノマー単位、メチルスチレンモノマー単位、t-ブチルスチレンモノマー単位、又はブロモスチレンモノマー単位)を含む。本明細書で用いられる語句「スチレンモノマー単位」は、非置換及び置換の両方のスチレンモノマー単位(例えば、上記に記載された式(I)で示される構造を有する第一のモノマー単位)を包含し、非置換又は置換スチレンモノマーから形成された基をいう。スチレンモノマー単位に適した置換基としては、ハロ(例えば、F、Cl、Br、又はI)及びC1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル)を包含し得る。第二のポリマー内のスチレンモノマー単位を形成させるために用いられ得るスチレンモノマーの例は、第一のポリマー内の第一のモノマー単位に関して上記に記載されたものと同様であり得る。
【0028】
幾つかの実施形態において、スチレンモノマー単位は、第二のポリマーの少なくとも約60重量%(例えば、少なくとも約61重量%、少なくとも約62重量%、少なくとも約64重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約66重量%、少なくとも約68重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約72重量%、少なくとも約74重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約76重量%、少なくとも約78重量%、又は少なくとも約80重量%)~多くとも100重量%(例えば、多くとも99重量%、多くとも98重量%、多くとも96重量%、多くとも95重量%、多くとも94重量%、多くとも92重量%、多くとも90重量%、多くとも85重量%、多くとも80重量%, 多くとも75重量%、又は多くとも70重量%)の量で存在する。幾つかの実施形態において、スチレンモノマー単位は、第二のポリマーの約65重量%~約80重量%の量で存在する。理論に結びつけるのを望むものではないが、少なくとも約60重量%(例えば、約65重量%~約80重量%)のスチレンモノマー単位を有する第二のポリマーを含むことが、本明細書に記載された硬化性組成物中の第一及び第三のポリマーの相溶性を有意に改善し、それに応じて硬化される前の硬化性組成物の均一性、安定性及び貯蔵寿命を改善し、硬化性組成物により形成された積層物内の相分離を低減し、硬化性組成物から形成されたプリプレグ及び回路基板の均一性及び加工性を改善することが可能と考えられる。対照的に、理論に結びつけるのを望むものではないが、第二のポリマー内のスチレンモノマー単位が約60重量%未満である場合、第二のポリマーが、第一のポリマーと充分な相溶性を有し得ないと考えられる。幾つかの実施形態において、理論に結びつけるのを望むものではないが、約80重量%を超えるスチレンモノマー単位を有する第二のポリマーは、本明細書に記載された第三のポリマーが本開示の意図する目的に適し得るとしても、約65重量%~約80重量%のスチレンモノマー単位を有する第二のポリマーよりも脆性であり得、本明細書に記載された第三のポリマーとの相溶性が低くなり得ると考えられる。
【0029】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された第二のポリマーは、任意にさらにエチレンモノマー単位、プロピレンモノマー単位、ブチレンモノマー単位、イソブチレンモノマー単位、ブタジエンモノマー単位、イソプレンモノマー単位、又はシクロヘキセンモノマー単位を含み得る。
【0030】
適切な第二のポリマーの例としては、スチレンイソプレンスチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレンイソプレンプロピレンスチレン(SIPS)ブロックコポリマー、スチレンイソプレンブチレンスチレン(SIBS)ブロックコポリマー、スチレンブチレンスチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレンプロピレンスチレン(SPS)ブロ
ックコポリマー、スチレンブチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレン(SEPS)ブロックコポリマー、及びスチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)ブロックコポリマーが挙げられる。幾つかの実施形態において、第二のポリマーは、本明細書に記載されたモノマー単位を含有するランダムコポリマーであり得る。
【0031】
幾つかの実施形態において、第二のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.2 重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、又は少なくとも約10重量%)~多くとも25重量%(例えば、多くとも24重量%、多くとも22重量%、多くとも20重量%、多くとも18重量%、多くとも16重量%、多くとも15重量%、多くとも14重量%、多くとも12重量%、多くとも10重量%、多くとも8重量%、多くとも6重量%、又は多くとも5重量%)の量で存在する。好ましくは第二のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約1重量%~約10重量%の量で存在する。
【0032】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された第三のポリマーは、多くとも約60重量%のスチレンモノマー単位(例えば、非置換スチレンモノマー単位、メチルスチレンモノマー単位、t-ブチルスチレンモノマー単位、又はブロモスチレンモノマー単位)を含む。第三のポリマー内のスチレンモノマー単位を形成させるために用いられ得るモノマーの例は、第一のポリマー内の第一のモノマー単位に関して上記に記載されたものと同様であり得る。
【0033】
幾つかの実施形態において、スチレンモノマー単位は、第三のポリマーの少なくとも約10重量%(例えば、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%, 少なくとも約18重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約24重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約26重量%、少なくとも約28重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約32重量%、少なくとも約34重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約36重量%、少なくとも約38重量%、又は少なくとも約40重量%)~多くとも60重量%(例えば、多くとも58重量%、多くとも56重量%、多くとも55重量%、多くとも54重量%、多くとも52重量%、多くとも50重量%、多くとも48重量%、多くとも46重量%、多くとも45重量%、多くとも44重量%、多くとも42重量%、多くとも40重量%、多くとも38重量%、多くとも36重量%、多くとも35重量%、多くとも34重量%、多くとも32重量%、又は多くとも30重量%)の量で存在する。理論に結びつけるのを望むものではないが、多くとも60重量%のスチレンモノマー単位を有するポリマーを含むことは、本明細書に記載された硬化性組成物の機械的特性(例えば、層間結合力及び/又は靭性)、及び硬化性組成物と金属基板(例えば、銅又はアルミニウム箔)の接着特性(例えば、剥離強度)を有意に改善し得ると考えられる。対照的に、理論に結びつけるのを望むものではないが、第三のポリマー内のスチレンモノマー単位が、約10重量%未満である場合、第三のポリマーは、第一及び第二のポリマーとの充分な相溶性を有し得ないと考えられる。加えて、理論に結びつけるのを望むものではないが、第三のポリマー内のスチレンモノマー単位が、約60重量%を超える場合、本明細書に記載された硬化性組成物が、充分な機械的特性を有し得ないと考えられる。
【0034】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された第三のポリマーは、任意にさらにエチレンモノマー単位、プロピレンモノマー単位、ブチレンモノマー単位、イソブチレンモノマー単位、ブタジエンモノマー単位、イソプレンモノマー単位、又はシクロヘキセンモ
ノマー単位を含み得る。
【0035】
幾つかの実施形態において、第三のポリマーはさらに、接着を改善する官能基を含み得る。概して第三のポリマー内の官能基は、本明細書に記載された硬化性組成物中の他の成分(例えば、第一及び第二のポリマー)と反応することが可能な基であり得る。例えば第三のポリマー内の官能基は、酸素含有基(例えば、無水コハク酸基)又は窒素含有基(例えば、アミン基)であり得る。幾つかの実施形態において、第三のポリマー内の官能基は、末端の基又は末端基であり得る。例えば第三のポリマーは、無水マレイン酸により修飾されたポリマー、又はアミン末端基を含有するポリマーを包含し得る。
【0036】
適切な第三のポリマーの例としては、無水マレイン酸により修飾されたスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、アミン末端基を含有するスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレン4-メチルスチレンイソプレンブチレンブロックコポリマー、4-メチルスチレンブチレンブロックコポリマー、及びスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーが挙げられる。
【0037】
幾つかの実施形態において、第三のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、又は少なくとも約10重量%)~多くとも25重量%(例えば、多くとも24重量%、多くとも22重量%、多くとも20重量%、多くとも18重量%、多くとも16重量%、多くとも15重量%、多くとも14重量%、多くとも12重量%、多くとも10重量%、多くとも8重量%、多くとも6重量%、又は多くとも5重量%)の量で存在する。好ましくは第三のポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約1重量%~約10重量%の量で存在する。
【0038】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに上記に記載された第一、第二、及び第三のポリマーと異なる、少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の追加的ポリマーを含み得る。そのような追加的ポリマーの例としては、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエン、ポリスチレン(polystrenes)(例えば、本明細書に記載されたものなどの非置換スチレン又は置換スチレンモノマーから作製されたもの)、ポリシロキサン(例えば、ポリビニルシロキサン、ポリアリルシロキサン、及びそれらのコポリマー)、及びポリシルセスキオキサン(例えば、オープン又はクローズドケージ型のポリシルセスキオキサン)が挙げられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの追加的ポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物のコストを低下させること、並びに/又は加工性を改善すること(例えば、粘性を低下させること、又は流動性を改善すること)、接着特性(例えば、剥離強度)、機械的特性(例えば、層間結合力)、及び可燃性を改善することができると考えられる。
【0039】
幾つかの実施形態において、追加的ポリマーは、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、又は少なくとも約10重量%)~多くとも30重量%(例えば、多くとも28重量%、多くとも26重量%、多くとも25重量%、多くとも24重量%、多くとも22重量%、多くとも20重量%、多くとも18重量%、多くとも16重量%、多くとも15重量%、多くとも14重量%、多くとも12重量%、多くとも10重量%、多くとも8重量%、多くとも6重量%、又は多くとも5重量%)の量で存在する。追加的ポリマーは、好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約1重量%~約20重量%の量で存在する。
【0040】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の充填剤を含み得る。幾つかの実施形態において、充填剤は、シリカ(例えば、中空シリカ)、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化チタン、ガラス(例えば、中空ガラス)、フッ素含有ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、又はシリコーンを包含し得る。幾つかの実施形態において、充填剤は、粒子又は粉末の形態であり得る。好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物は、シリカを充填剤として含む。理論に結びつけるのを望むものではないが、充填剤は本明細書に記載された硬化性組成物の機械的特性、熱伝導率、及び電気的特性を改善すること、並びに/又は熱膨張係数(CTE)及びコストを低下させることができると考えられる。
【0041】
幾つかの実施形態において、充填剤は、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約1重量%(例えば、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、又は少なくとも約40重量%)~多くとも80重量%(例えば、多くとも75重量%、多くとも70重量%、多くとも65重量%、多くとも60重量%、多くとも55重量%、多くとも50重量%、多くとも45重量%、多くとも40重量%、多くとも35重量%、多くとも30重量%、多くとも25重量%、多くとも20重量%、多くとも15重量%、多くとも10重量%、又は多くとも5重量%)の量で存在する。充填剤は、好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約5重量%~約50重量%の量で存在する。
【0042】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)のラジカル開始剤を含み得る。幾つかの実施形態において、ラジカル開始剤は、過酸化物(例えば、ジ-(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、又はジクミルペルオキシド)、芳香族炭化水素(例えば、3,4-ジメチル 3,4-ジフェニルヘキサン又は2,3-ジメチル2,3-ジフェニルブタン)、又はアゾ化合物を包含し得る。理論に結びつけるのを望むものではないが、ラジカル開始剤は、該組成物がプリプレグ生成物又は積層物を形成させるのに用いられる場合に、硬化性組成物の硬化を容易にし得ると考えられる。本明細書に記載された硬化性組成物が、ラジカル開始剤を含まない場合の実施形態において、該組成物は、加熱することにより硬化され得る。
【0043】
幾つかの実施形態において、ラジカル開始剤は、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.04重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.06重量%、少なくとも約0.08重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、又は少なくとも約1重量%)~多くとも10重量%(例えば、多くとも9重量%、多くとも8重量%、多くとも7重量%、多くとも6重量%、多くとも5重量%、多くとも4重量%、多くとも3重量%、多くとも2重量%、又は多くとも1重量%)の量で存在する。ラジカル開始剤は、好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
【0044】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少な
くとも1種(例えば、2種又は3種以上)の架橋剤を含み得る。幾つかの実施形態において、架橋剤は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビス(ビニルフェニル)エーテル、ブロモスチレン(例えば、ジブロモスチレン)、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート、マレイミド化合物(例えば、ビスマレイミド)、ジメチルイミダゾール、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、アリルベンゾオキサジン、アリルホスファゼン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、トランス-スチルベン、5-ビニル-2-ノルボルネン、アセナフチレン、トリシクロペンタジエン、ジメタノ-1H-ベンゾ[f]インデン、1,1-ジフェニルエチレン、4-ベンズヒドリルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、ジアリルイソフタレート、アルファ-メチルスチレン、ビス(ビニルフェニル)エタン化合物(例えば、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル-4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル)エタン)、シラン(例えば、ビニルシラン又はアリルシラン)、シロキサン(例えば、ビニルシロキサン又はアリルシロキサン)、又はシルセスキオキサン(例えば、ビニルシルセスキオキサン又はアリルシルセスキオキサン)を包含し得る。理論に結びつけるのを望むものではないが、架橋剤は、該組成物がプリプレグ生成物又は積層物を形成させるために用いられる場合には、硬化性組成物の硬化を容易にし得ると考えられる。
【0045】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された架橋剤は、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.04重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.06重量%、少なくとも約0.08重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、又は少なくとも約1重量%)~多くとも10重量%(例えば、多くとも9重量%、多くとも8重量%、多くとも7重量%、多くとも6重量%、多くとも5重量%、多くとも4重量%、多くとも3重量%、多くとも2重量%、又は多くとも1重量%)の量で存在する。架橋剤は、好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
【0046】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の難燃剤を含み得る。適切な難燃剤は、リン酸エステル難燃剤、ブロモベンゼン難燃剤、ホスフィネート難燃剤、及びホスファゼン難燃剤を包含し得る。幾つかの実施形態において、難燃剤は、1,1’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(ペンタブロモベンゼン)(例えば、Albemarle Corp.から入手可能なSaytex 8010)、N,N-エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)(例えば、Albemarle Corp.から入手可能なBT-93)、ジエチルホスフィン酸アルミニウム(例えば、Clariant Specialty Chemicalsから入手可能なOP930及びOP935)、アリルホスファゼン(例えば、大塚化学株式会社から入手可能なSPV-100)、ベンジルフェノキシシクロトリホスファゼン、フェノキシフェノキシシクロトリホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン(例えば、大塚化学株式会社から入手可能なSPB-100)、レソルシノールビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)(例えば、大八化学工業株式会社から入手可能なPX-200)、6H-ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスホリン-6,6’-(1,4-エタンジイル)ビス-6,6’-ジオキシド(dixoide)(例えば、Albemarle Corp.から入手可能なAltexia製品)、BP-PZ、又はPQ-60を包含し得る。BP-PZは、大塚化学株式会社から入手可能なホスファゼン難燃剤である。PQ-60は、Chin Yee Chemical Industries Co.Ltd.から入手可能な難燃剤であり、Regina Electronic Materials(上海) Co.,Ltdから入手可能なBES5-1150としても知られる。理論に結びつけるのを望むものではないが、難燃剤は、本明細書に記載された硬化性組成物から形成された生成物(例えば、積層物)の可燃性を有意に低減し得ると考えられる。
【0047】
幾つかの実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約1重量%(例えば、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、又は少なくとも約20重量%)~多くとも50重量%(例えば、多くとも48重量%、多くとも46重量%、多くとも45重量%、多くとも44重量%、多くとも42重量%、多くとも40重量%、多くとも38重量%、多くとも36重量%、多くとも35重量%、多くとも34重量%、多くとも32重量%、多くとも30重量%、多くとも28重量%、多くとも26重量%、多くとも25重量%、多くとも24重量%、多くとも22重量%、多くとも20重量%、多くとも18重量%、多くとも16重量%、又は多くとも15重量%)の量で存在する。幾つかの実施形態において、難燃剤は、約10重量%~約30重量%(例えば、約15重量%~約25重量%)の量で存在する。理論に結びつけるのを望むものではないが、難燃剤が硬化性組成物の約1重量%未満である場合、硬化性組成物は、充分な難燃性を有し得ないと考えられる。加えて、理論に結びつけるのを望むものではないが、難燃剤が硬化性組成物の約50重量%を超える場合、硬化性組成物は、劣った機械的特性を有し得ると考えられる。
【0048】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)のカップリング剤を含み得る。幾つかの実施形態において、カップリング剤は、シラン、チタネート、又はジルコネートを包含し得る。適切なカップリング剤の例としては、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、加水分解されたビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、又はテトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)ジルコネートが挙げられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、カップリング剤は、硬化性組成物中の無機充填剤の分散性を改善すること、硬化性組成物中の充填剤とポリマーの間、及びプリプレグ中のガラスクロスと硬化性組成物中のポリマーの間の接着性を改善すること、硬化性組成物の耐水性及び耐溶媒性を改善すること、並びに硬化性組成物中の空隙数を減少させることが可能であると考えられる。
【0049】
幾つかの実施形態において、カップリング剤は、本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.04重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.06重量%、少なくとも約0.08重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、又は少なくとも約1重量%)~多くとも5重量%(例えば、多くとも4.5重量%、多くとも4重量%、多くとも3.5重量%、多くとも3重量%、多くとも2.5重量%、多くとも2重量%、多くとも1.5重量%、多くとも1重量%、又は多くとも0.5重量%)の量で存在する。架橋剤は、好ましくは本明細書に記載された硬化性組成物の固形分の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
【0050】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された硬化性組成物は、任意にさらに少なくとも1種(例えば、2種又は3種以上)の有機溶媒を含み得る。幾つかの実施形態において、有機溶媒としては、2-ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルn-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンゼン、アニソール、トルエン、1,3,5-トリメチルベンゼン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0051】
幾つかの実施形態において、有機溶媒は、本明細書に記載された硬化性組成物の総重量の少なくとも約20重量%(例えば、少なくとも約22重量%、少なくとも約24重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約26重量%、少なくとも約28重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約32重量%、少なくとも約34重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約36重量%、少なくとも約38重量%、又は少なくとも約40重量%)~多くとも50重量%(例えば、多くとも48重量%、多くとも46重量%、多くとも45重量%、多くとも44重量%、多くとも42重量%、多くとも40重量%、多くとも38重量%、多くとも36重量%、多くとも35重量%、多くとも34重量%、多くとも32重量%、多くとも30重量%、多くとも28重量%、多くとも26重量%、又は多くとも25重量%)の量で存在する。理論に結びつけるのを望むものではないが、有機溶媒が硬化性組成物の約20重量%未満である場合、硬化性組成物の粘度は、過度に高くなり得て、硬化性組成物が容易に加工され得なくなると考えられる。加えて、理論に結びつけるのを望むものではないが、有機溶媒が硬化性組成物の約50重量%を超える場合、硬化性組成物の粘度は、過度に低くなってコーティングされた組成物を基板表面に保持することができなくなり、コーティングの均一性及びコーティング効率を低下し得ると考えられる。
【0052】
本明細書に記載された硬化性組成物は、当該技術分野で周知の方法により調製され得る。例えば硬化性組成物は、成分を互いに混合することにより調製され得る。
【0053】
幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載された硬化性組成物から調製された皮膜(例えば、自立皮膜又は支持皮膜)を特色とする。例えば支持皮膜は、硬化性組成物を基板にコーティングして基板により支持皮膜を形成させることにより、調製され得る。別の例において、自立皮膜は、硬化性組成物を基板にコーティングして層(例えば、ポリマー層)を形成させること、及び基板から該層を除去(例えば、剥離)して自立皮膜を形成させること、により調製され得る。幾つかの実施形態において、皮膜(例えば、自立皮膜又は支持皮膜)は、部分的に硬化される。幾つかの実施形態において、皮膜(例えば、自立皮膜又は支持皮膜)は、硬化されない。
【0054】
幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載された硬化性組成物から調製されたプリプレグ生成物を特色とする。幾つかの実施形態において、プリプレグ生成物は、本明細書に記載された硬化性組成物を含浸された基材(例えば、織物基板又は不織基板(布など))を含む。基材は、支持又は強化材料としても知られる。本明細書に記載されたプリプレグ生成物は、エレクトロニクス業界において、例えばプリント配線又は回路基板を生成するために、用いられ得る。
【0055】
一般に、本明細書に記載されたプリプレグ生成物は、基材(通常は、織物基板若しくは不織基板として、又は一方向に配列された平行フィラメントのクロスプライ積層物の形態、のどちらかのガラス繊維に基づく)に本明細書に記載された硬化性組成物を含浸させ、続いて硬化性組成物を全体的又は部分的に硬化させること(例えば、約150℃~約250℃の範囲内の温度で)により生成され得る。部分的に硬化された組成物を含浸された基材は通常、「プリプレグ」と称される。本明細書で言及された用語「プリプレグ」及び「プリプレグ生成物」は、互換的に用いられる。プリプレグからプリント配線基板を作製するために、1層又は多層のプリプレグが、例えば1層又は多層の銅で積層される。
【0056】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたプリプレグ中で用いられる基材(例えば、織物基板又は不織基板を含有)は、ガラス及びアスベストなどの無機繊維基材を包含し得る。ガラス繊維基材は、難燃性の観点から好ましい。ガラス繊維基材の例としては、Eガラス、NEガラス(日東紡(日本))、Cガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、水晶ガラス、Lガラス、L2ガラス、又はNERガラスを用いた織物布;短繊維が有機結合剤でシート状材料に接着されたガラス不織布;並びにガラス繊維及び他の繊維タイプが混合されて布になったものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
幾つかの実施形態において、プリプレグは、本明細書に記載された硬化性組成物を基材(例えば、織物基板又は不織基板)に含浸させた後、乾燥させることにより生成され得る。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたプリプレグは、少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約52重量%、少なくとも約54重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約56重量%、少なくとも約58重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約62重量%、少なくとも約64重量%、又は少なくとも約65重量%)~多くとも80重量%(例えば、多くとも78重量%、多くとも76重量%、多くとも75重量%、多くとも74重量%、多くとも72重量%、多くとも70重量%、多くとも68重量%、多くとも66重量%、又は多くとも65重量%)の、本明細書に記載された樹脂含量を有し得る。理論に結びつけるのを望むものではないが、相対的に高い樹脂含量を有するプリプログは、改善された電気的特性を有し、相対的に低い樹脂含量を有するプリプレグは、改善された熱特性を有すると考えられる。
【0058】
幾つかの実施形態において、金属基板が、このように形成されたプリプレグの片面又は両面に塗布されて、積層物を形成することができる。幾つかの実施形態において、先に形成されたプリプレグは、任意に、必要に応じて1層又は多層のプリプレグで積層されて、複合構造を作製することができ、金属箔(例えば、銅又はアルミニウム箔)が、該複合構造の片面又は両面に塗布されて積層物(又はメタルクラッド積層物)を得ることができる。このように形成された積層物は、任意に加圧及びホットプレエスなどのさらなる処理に供され得、プリプレグ層を少なくとも部分的に(又は完全に)硬化させ得る。積層物(例えば、銅クラッド積層物)はさらに、追加的プリプレグ層で層化されて硬化され、多層プリント回路基板を作製することができる。
【0059】
幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載されたプリプレグ生成物から調製された少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ又はより多く)の層を含む積層物を特色とする。幾つかの実施形態において、積層物は、(1)銅基板(例えば、銅箔)と、(2)銅基板上に積層された少なくとも1つのプリプレグ層と、を含み得る。幾つかの実施形態において、プリプレグ層の片面又は両面が、銅基板で積層され得る。幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載された複数の銅クラッド積層物が互いの上部に積み重なっていて、任意に2つの銅クラッド積層物の間に1層又は多層のプリプレグ層が存在する、多層積層物を特色とする。このように形成された多層積層物は、加圧されて硬化され、多層プリント回路基板を形成し得る。
【0060】
幾つかの実施形態において、プリプレグ層(即ち、本明細書に記載されたプリプレグ生成物から調製された層)又は積層物が、10GHzで多くとも約3.5(例えば、多くとも約3.4、多くとも約3.3、多くとも約3.1、又は多くとも約3)~少なくとも約2.5の誘電率(Dk)を有する。幾つかの実施形態において、硬化性組成物は、高Dk充填剤(例えば、チタン酸バリウム)を含み得る。そのような実施形態において、積層物内のプリプレグ層は、少なくとも約3.5(例えば、少なくとも約4)~多くとも約15(例えば、多くとも約12、多くとも約10、又は多くとも約8)などの相対的に高いDkを有し得る。
【0061】
幾つかの実施形態において、プリプレグ層(即ち、本明細書に記載されたプリプレグ生成物から調製された層)又は積層物は、多くとも約0.0025(例えば、多くとも約0.0024、多くとも約0.0023、多くとも約0.0022、多くとも約0.0021、多くとも約0.002、多くとも約0.0019、多くとも約0.0018、多くとも約0.0017、多くとも約0.0016、又は多くとも約0.0015)~少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の誘電正接(Df)を有する。好ましくはプリプレグ層又は積層物は、多くとも約0.0017(例えば、多くとも約0.0015)のDfを有する。
【0062】
幾つかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載された積層物から得られたプリント回路又は配線板を特色とする。例えばプリント回路又は配線板は、銅箔クラッド積層板の銅箔上で回路処理を実施することにより得ることができる。回路処理は、例えば銅箔の表面にレジストパターンを形成させること、エッチングにより箔の不要部分を除去すること、レジストパターンを除去すること、ドリリングにより必要なスルーホールを形成させること、再度、レジストパターンを形成させること、メッキを施してスルーホールを接続すること、及び最後にレジストパターンを除去すること、により実行され得る。以上のようにして得られたプリント配線板の表面に、上記銅箔クラッド積層板を上記と同様の条件下で追加積層した後、上記と同様の手法で回路処理を実施することにより、多層プリント回路又は配線板を得ることができる。この場合、スルーホールを必ずしも形成させる必要はなく、ビアホールが、その場所に形成されてもよく、又はその両者が形成され得る。例えばプリント回路基板(PCB)では、回路基板の異なる層の上の対応する位置の2つのパッドが、基板を通るビアホールにより電気的に接続され得、そこでビアホールが、電気めっきにより導電性にされ得る。これらの積層板はその後、必用な回数、積層されて、プリント回路又は配線板を形成させる。
【0063】
以上のようにして生成されたプリント回路又は配線板は、内層回路基板の形態で片面又は両面に銅基板を積層され得る。この積層成形は通常、加熱及び加圧の下で実施される。その後、得られた金属箔クラッド積層板上に上記と同様の手法で回路処理を実施することにより、多層プリント回路基板を得ることができる。
【実施例】
【0064】
本開示は、以下の実施例を参照してより詳細に示されるが、実施例は例示を目的とし、本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0065】
材料
以下の実施例において、Septon 2104は、株式会社クラレから入手可能な、約65重量%スチレンモノマー単位又は65重量%ポリスチレンを含有するSEPSエラストマーである。Tuftec H1043は、旭化成株式会社から入手可能な、約67重量%スチレンモノマー単位又は67重量%ポリスチレンを含有するSEBSエラストマーである。Tuftec M1913は、旭化成株式会社から入手可能な、約30重量%スチレンモノマー単位又は30重量%ポリスチレンを含有し、無水マレイン酸により修飾されたSEBSエラストマーである。Tuftec MP10は、旭化成株式会社から入手可能な、約30重量%スチレンモノマー単位又は30重量%ポリスチレンを含有し、アミン末端基を含有するSEBSエラストマーである。Septon V9461は、株式会社クラレから入手可能な、約30重量%スチレンモノマー単位(スチレン及び4-メチルスチレンモノマー単位の両方を含む)を含有するスチレン/4-メチルスチレン/イソプレン/ブタジエンポリマーである。OPE-2st 2200は、三菱ガス化学株式会社から入手可能な、約2200の数平均分子量を有するポリフェニレンエーテルである。OPE-2st 1200は、三菱ガス化学株式会社から入手可能な約1200の数平均分子量を有するポリフェニレンエーテルである。SC2500-SVJは、株式会社アドマテックから入手可能なシリカであり、GT130MCは、デンカ株式会社から入手可能なシリカである。Saytex-8010は、Albemarle Corp.から入手可能な1,1’(エタン-1,2-ジイル)ビス[ペンタブロモ-ベンゼン]である。Curox CC-DC(CCDFB)は、United Initiators, Inc.から入手可能な2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンである。Al2O3は、AX3-32の商品名で三洋電機株式会社から入手できる。SMA EF80は、Total Cray Valleyから入手可能なスチレン・無水マレイン酸・コポリマーであり、88.9重量%スチレンモノマー単位又は88.9重量%ポリスチレン及び11.1重量%無水マレイン酸を含有する。VulCup Rは、Arkema Inc.から入手可能なα, α-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンである。BES5-7100は、Regina Electronic materials Co. Ltd.から入手可能なビス(4-ビニルフェニル)エタン(BVPE)である。OFS-6030は、Dow,Inc.から入手可能なメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。A1535Hは、Kraton Corporationから入手可能な、約57重量%スチレンモノマー単位又は57重量%ポリスチレンを含有するSEBSエラストマーである。1,2-H-SBS-Lは、Nissoから入手可能な部分水添SBSエラストマーである。EQ2410-SMC及びEQ1010-SMCは、Third Age Technology(TAT)から入手可能なシリカ粒子である。
【0066】
一般的手順1
プリプレグ及び積層物の調製
硬化性組成物を、金属パンに注入し、ガラスクロス(2116NE 日東紡)に、硬化性組成物を含浸した。含浸させたガラスクロスを、11~12ミルの間隙幅を有する金属棒の間隙を通してコーティングした。試料を、気流により室温で10分間乾燥させ、その後、130℃まで4分間加熱して乾燥プリプレグを形成した。乾燥プリプレグを、12×12インチの切片に切断して、2層のプリプレグの両面にCuを積層させ、積層物を形成した。積層物は、以下の通り硬化させた。積層物を、プレス機械に設置した後、350psiの圧力を2層のプリプレグに加え、その後、以下のサイクルA又はBのどちらかを利用して硬化させた。
【0067】
サイクルA:積層物を、6°F/分の加熱速度で室温から420°Fに加熱し、420°Fで2時間保持し、10°F/分の冷却速度で室温に冷却した。
【0068】
サイクルB:積層物を、6°F/分の加熱速度で室温から310°Fに加熱し、310°Fで30分間保持し、6°F/分の加熱速度で310°Fから420°Fに加熱し、420°Fで80分間保持し、10°F/分の冷却速度で室温に冷却した。
【0069】
一般的手順2
特性の測定
樹脂含量(RC)
ガラスクロスの重量は、硬化性組成物でコーティングされる前に測定した。コーティング及び乾燥の後、このように形成されたプリプレグの総重量を、測定した。RCは、以下の式に基づいて計算した:
RC=(プリプレグの総重量-ガラスクロス重量)/(プリプレグの総重量)
【0070】
溶液の安定性
硬化性組成物中の成分(充填剤、難燃剤、及び触媒を除く)を、ガラスバイアル内で均一に混合し、24時間保持した。24時間後に、混合物の外観を観察した。混合物に明確な相分離があれば、混合物は、不安定であると見なした。溶液が相分離を有さない場合、
溶液は、安定していると見なした。
【0071】
Cu剥離強度評価
Cu剥離強度は、IPC-TM-650 TEST METHODS MANUAL 2.4.8.Peel Strengthを用いて単位面積あたりのCu重量 約28g(1oz)を基にして測定した。United SSTM-1 Modelを、Cu剥離強度測定に用いた。
【0072】
内層結合強度(ILBS)評価
ILBSは、IPC-TM650 2.4.40に基づいて測定した。 United
SSTM-1 Modelを、ILBS測定に用いた。具体的には、2116NEガラスクロス(日東紡)を含む2層積層物を、用いた。
【0073】
Dk及びDf評価
Df及びDk値は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)法を利用することにより分析した。10GHzでのDf及びDk値は、Agilent TechnologiesのNetwork Analyzer N5230Aにより測定した。2116NEガラスクロスを含む2層積層物を、測定に用いた。「AB」は、試料を120℃で2時間保持した後の測定をいう。「RT」は、試料を湿度45~55%及び室温で16時間に保持した後の測定をいう。
【0074】
可燃性
可燃性を、UL94に基づいて評価した。
【0075】
実施例1:硬化性組成物1(CC-1)及びその積層物の調製
トルエン295.7gを容器に添加した後、Tuftec M1913 (本明細書に記載された第三のポリマーとして用いた)41.8gを容器に添加し、混合物を、均質な溶液が形成されるまでエアミキサーを用いて3時間混合した。Septon 2104(本明細書に記載された第二のポリマーとして用いた)41.8gを容器に添加し、混合物を、均質な溶液が形成されるまでエアミキサーを用いて3時間混合した。米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーA(本明細書に記載された第一のポリマーとして用いた)を含有するトルエン溶液669.5gを容器に添加し、混合物を、均質な溶液が形成されるまでエアミキサーを用いて1時間混合した。SC2500-SVJ(シリカ充填剤として用いた)260.3gを容器に添加し、混合物を2時間混合した。saytex-8010(難燃剤として用いた)173.5gを容器に添加し、高剪断ミキサー(Ross HSM-100LH-1)を用いて、氷冷しながら回転速度5000rpmで1時間混合した。CCDFB(触媒として用いた)17.4gを容器に添加し、エアミキサーを用いて混合物を1時間混合し、組成物CC-1を得た。CC-1を使用して、一般的手順1及びサイクルBに従って積層物を形成した。
【0076】
実施例2:硬化性組成物2(CC-2)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-2は、硬化性組成物CC-1と同一であった。CC-2を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0077】
実施例3:硬化性組成物3(CC-3)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-3は、Tuftec M1913 41.8gをTuftec MP10 41.8gに置き換えたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CC-3を使用して、一般的手順1及びサイクルBに従って積層物を形成した。
【0078】
実施例4:硬化性組成物4(CC-4)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-4は、CC-4の調製において、トルエン263.3g、Septon V9461 21.1g、Tuftec H1043 42.2g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液718g、SC2500-SVJ 262.7g、saytex-8010 175.1g及びCCGFB 17.5gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CC-4を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0079】
実施例5:硬化性組成物5(CC-5)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-5は、CC-5の調製において、トルエン398.2g、Tuftec M1911 62.2g、Septon 2104 62.2g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液542.2g 、充填剤としてのAl2O3 253g、saytex-8010 165.9g 及びCCDFB 14.1gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CC-5を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0080】
実施例6:硬化性組成物6(CC-6)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-6は、CC-6の調製において、トルエン401.9g、架橋剤としてのBES5-7100 41.8g、Tuftec M1911 59.7g、Septon 2104 59.7g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液521.8g、Al2O3
242.6g、saytex-8010 159.1g、及びCCDFB 13.5gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CC-6を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0081】
実施例7:硬化性組成物7(CC-7)及びその積層物の調製
硬化性組成物CC-7は、CC-7の調製において、トルエン343.2g、架橋剤としてのBES5-7100 18.9g、添加剤としての1,2-H-SBS-L 33.2g、Tuftec M1913 44.2g、Septon 2104 44.2g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された53重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液604.9g、シリカ充填剤としてのEQ2410-SMC
288.3g及びEQ1010-SMC 123.6g、saytex-8010 209.4g、並びにCCDFB 9.0gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CC-7を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0082】
比較例1:比較硬化性組成物1(CCC-1)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-1は、CCC-1の調製において、トルエン98.3g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液837.4g、SC2500-SVJ 325.5g、saytex-8010 217g、及びCCDFB 21.7gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-1を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0083】
比較例2:比較硬化性組成物2(CCC-2)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-2は、CCC-2の調製において、トルエン287.6g、Tuftec M1913 40.7g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液732.8g、SC2500-SVJ 253.2g、saytex-8010 168.8g、及びCCD
FB 16.9gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-2を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0084】
比較例3:比較硬化性組成物3(CCC-3)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-3は、CCC-3の調製において、トルエン287.6g、Septon 2104 40.7g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液732.8g、SC2500-SVJ 253.2g、saytex-8010 168.8g、及びCCDFB 16.9gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-3を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0085】
比較例4:比較硬化性組成物4(CCC-4)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-4は、CCC-4の調製において、トルエン113.9g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液673.6g 、カップリング剤としてのOFS-6030 6g、SC2500-SVJ 440.1g、saytex-8010 165g及びVul-Cup R 1.4gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-4を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0086】
比較例5:比較硬化性組成物5(CCC-5)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-5は、CCC-5の調製において、トルエン165.1g、OPE-2st 2200 269.6g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液500.1g、GT130MC 293.4g、saytex-8010 195.6g、及びCCDFB
10.1gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-5を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0087】
比較例6:比較硬化性組成物6(CCC-6)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-6は、CCC-6の調製において、トルエン287.6g、SMA EF80 40.7g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液732.8g、SC2500-SVJ 253.2g、saytex-8010 168.8g、及びCCDFB 16.9gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-6を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0088】
比較例7:比較硬化性組成物7(CCC-7)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-7は、CCC-7の調製において、トルエン407.3g、Tuftec M1913 43.6g、Septon 2104 43.6g、OPE-2ST 1200 536.1g、SC2500-SVJ 270.9g、saytex-8010 180.6g、及びCCDFB 18.1gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-1と類似の手法で調製した。CCC-7を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0089】
比較例8:比較硬化性組成物8(CCC-8)及びその積層物の調製
比較硬化性組成物CCC-8は、CCC-8の調製において、トルエン295.7g、Tuftec M1913 41.8g、A1535H 41.8g、米国特許第11,130,861号明細書の実施例1に記載された50重量%コポリマーAを含有するトルエン溶液669.5g、SC2500-SVJ 260.3g、saytex-8010
173.5g、及びCCDFB 17.4gを用いたことを除き、硬化性組成物CC-
1と類似の手法で調製した。CCC-8を使用して、一般的手順1及びサイクルAに従って積層物を形成した。
【0090】
評価例1
硬化性組成物1~7(CC-1~CC-7)及びこれらの組成物から形成された積層物の特性を、以下の表1にまとめた。積層物の銅層は、約35μmの厚さを有していた。
【0091】
【0092】
比較硬化性組成物1~8(CCC-1~CCC-8)及びこれらの組成物から形成された積層物の特性を、以下の表2にまとめた。
【0093】
【0094】
表2に示された通り、本発明の組成物CC-1~CC-7は、驚くべきことに比較組成物CCC-1~CCC-8に比較して優れた特性を呈した。具体的には、理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-1は、本明細書に記載された第二及び第三のポリマーを含まなかったため、この組成物から調製された積層物は、不充分なILBS及びCu剥離強度を呈したと考えられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-2は、本明細書に記載された第二のポリマーを含まなかったため、この組成物は、重度の相分離を呈し、それゆえ不充分な溶液安定性を呈したと考えられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC3-は、本明細書に記載された第三のポリマーを含まなかったため、この組成物から調製された積層物は、不充分なILBSを呈したと考えられる。CCC-4は、CCC-1と類似していたが、異なる量のシリカ及び異なる触媒を含有した。しかし結果から、CCC-4から調製された積層物でも不十分なILBS及びCu剥離強度を呈したことが示される。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-5は、本明細書に記載された第二及び第三のポリマーを含まなかったため、CCC-5から調製された積層物は、不充分なILBSを呈したと考えられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-6は、本明細書に記載された第三のポリマーを含まなかったため(SMA EF80は、60重量%を超えるスチレンを含み、相対的に低い分子量を有し、それが脆性に寄与するため)、この組成物から調製された積層物は、不充分なILBS及びCu剥離強度を呈したと考えられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-7は、第一のポリマーを含まなかったため、この組成物から調製された積層物は、相対的に高いDfを呈したと考えられる。理論に結びつけるのを望むものではないが、CCC-8は、第二のポリマーとしてA1535Hを含んでいたため、この組成物から調製された積層物は、重度の相分離を呈し、それゆえ不充分な溶液安定性を呈したと考えられる。
【0095】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】