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特表2024-511706ヌクレオシドホスホロアミダイトのN-環外アミノ環式炭化水素保護基の急速脱保護
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ヌクレオシドホスホロアミダイトのN-環外アミノ環式炭化水素保護基の急速脱保護
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/06 20060101AFI20240308BHJP
   C07H 19/16 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 31/708 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240308BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C07H19/06
C07H19/16 CSP
A61K31/708
A61K31/7068
A61K31/7088
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023550677
(86)(22)【出願日】2022-02-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 US2022018044
(87)【国際公開番号】W WO2022183081
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/154,691
(32)【優先日】2021-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ルンスタッド,ベンジャミン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デリンジャー,ダグラス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,ロバート
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL17
4C057LL40
4C086AA03
4C086AA04
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
(57)【要約】
【化1】
式(I)の構造を有する核酸を形成するのに有用な化合物。RまたはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、またはホスホロアミダイト基から選択される。RはH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよび除去可能なヒドロキシルの保護基から選択される。Qは複素環式塩基である。Rは環式炭化水素である。前記化合物から核酸を形成するための方法および生成される核酸生成物も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
は、H、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する化合物。
【請求項2】
式Ia:
【化2】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
は、H、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記環式炭化水素が5~6個の炭素原子を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択され、RおよびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(dimethoxytirtyl)(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記環式炭化水素がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化3】
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式Ib:
【化4】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記環式炭化水素が5~6個の炭素原子を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択され、RおよびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記環式炭化水素がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化5】
である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
5’(または3’)の保護されていないヒドロキシルを含むヌクレオシド残基を、式I:
【化6】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、保護基およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOEおよびO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する保護されたヌクレオチドモノマーと、保護されたヌクレオチドモノマーの前記ホスホロアミダイト基を前記ヌクレオシド残基の前記保護されていないヒドロキシル基に共有結合させてヌクレオチド間結合を生成するのに十分な条件下で接触させるステップを含む、方法。
【請求項11】
前記ヌクレオチド間結合を酸化剤に曝露するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記O-チオ炭素保護基を除去するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ヌクレオシド残基が固体支持体に共有結合している、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸を前記固体支持体から切断して遊離核酸を生成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記O-チオ炭素保護基が、
【化7】
からなる構造の群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記O-チオ炭素保護基が、
【化8】
であり、RまたはRのそれぞれが独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
QがGまたはCであり、前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
QがGであり、前記環式炭化水素がシクロペンチルおよびフェニルからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式VIII:
【化9】
(式中、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素であり、
は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択され、
mは少なくとも1の整数である)
の構造を含む保護された核酸。
【請求項20】
QがGであり、前記ヒドロキシルの除去可能な保護基が、
【化10】
であり、前記Rがシクロペンチルであり、前記Rが2-シアノエチルまたはメチルである、請求項19に記載の保護された核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年2月27日に出願された米国仮出願第63/154,691号の利益を主張する。前述の出願の内容は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本開示は、環外アミノ複素環保護基を有するヌクレオシドモノマーを提供する。特に関心のある環外アミノ複素環保護基は、シクロアルカンプロパノイル基またはヒドロシンナモイル基を含む。環外アミノ複素環保護基を含む核酸および環外アミノ複素環保護基を使用して核酸を合成する方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
序論
以下の背景の検討において、ある特定の構造および/または方法を参照する。しかし、以下の参照は、これらの構造および/または方法が先行技術を構成することを認めることであると解釈されるべきでない。本出願人は、そのような構造および/または方法が先行技術としての資格がないことを実証する権利を明確に保有する。
【0004】
リボース中の2’-ヒドロキシル基が化学合成中に保護されなければならないので、RNAの化学合成はDNAの化学合成よりはるかに難しい作業である。保護された2’-ヒドロキシルがヌクレオチド間のリン酸に近接していることは、ヌクレオチド間連結の形成およびオリゴリボヌクレオチドが合成されたときの2’-保護基の除去の両方に関して問題になる。加えて、RNAにおけるヌクレオチド間結合は、DNAにおけるものよりはるかに不安定である。
【0005】
オリゴ脱保護は、固体支持体からの化学的に合成されたオリゴの切断ならびにリン酸骨格および核酸塩基からの保護基の除去を含む。このプロセスの目的は、完全に脱保護されたオリゴを、プロセス中にそれに損傷を与えることなく遊離することである。全ての脱保護プロトコールは、DNAおよびRNAに損傷を与え得る塩基性条件を必要とするので、合成中にオリゴを完全に保護しながら、より温和な塩基の使用およびより短い脱保護時間を可能にする保護基を使用することは有益である。脱保護中に生じる主な不純物は、rU脱ピリミジンおよびホスホジエステル結合の加水分解である。
【0006】
RNA合成への典型的なアプローチは、5’-ヒドロキシル基が酸に不安定な4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)保護基によって保護されたリボヌクレオシドモノマーを利用し、保護基は、成長しているオリゴリボヌクレオチドへのモノマーのカップリング後に酸性条件下で除去され得る。酸による脱保護ステップ中の異性化およびヌクレオチド間結合の切断を防止するために、様々な酸に安定な保護基が2’-ヒドロキシルに配置された。最もよく知られているこれらの酸に安定な保護基は、TBDMSとして公知のtert-ブチル-ジメチルシリル基のようである(Ogilvie et al.,1979)。2’-保護基としてのTBDMSの使用は、RNA化学合成の以前は小さかった市場を非常に長い間支配した(Usman et al.,1987;Ogilvie et al.,1988)。
【0007】
最近、2’-O-チオモルホリン-4-カルボチオエート(TC)基が、代替のRNA2’-ヒドロキシル保護化学として導入された。それは、2’-TCおよび核酸塩基保護の両方を同時に除去する単純な1ステップ脱保護方法を使用する。現在使用されている環外アミン核酸塩基保護はイソブチリル(iBu)である。合成後、室温で5時間または40℃で1時間の無水エチレンジアミン(EDA)へのオリゴヌクレオチドの曝露は、この1ステップの合成後包括的脱保護(すなわち、核酸塩基、リンおよび2’-ヒドロキシル脱保護を一度に)に使用されるが、イソブチリル基を除去するのに必要とされる時間ゆえに、合成されたRNAの長さに応じて、検出可能な量のrU脱ピリミジンをもたらす。したがって、この脱保護スキームにおける制限因子は、全ての核酸塩基環外アミンイソブチリル基の完全な除去である。全ての他の保護基はTCより不安定であり、これが脱保護に必要とされる最低時間を定める。したがって、イソブチリルより不安定な保護基を見つけることが望まれている。
【0008】
イソブチリルおよびTCより不安定な環外アミン保護基を見つけようとするいくつかの試みがあったが、溶解性の問題および関連する2’から3’TCへの異性化ゆえに、2’-TCアミダイトとしての対応するリボヌクレオチドモノマー(特にrG)の合成は困難であった。したがって、適切に疎水性であるグアニンおよびシトシンなどの核酸塩基環外アミンのより不安定な保護基を有する化合物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、環外アミノ複素環保護基を有するヌクレオシドモノマーを提供する。特に関心のある環外アミノ複素環保護基は、シクロアルカンプロパノイル基またはヒドロシンナモイル基を含む。環外アミノ複素環保護基を含む核酸および環外アミノ複素環保護基を使用して核酸を合成する方法も開示される。
【0010】
一態様は、式I:
【化1】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する化合物を含む。
【0011】
式Iで表される化合物の実施形態では、RはH、F、O-Cアルキル、O-MOE、およびヒドロキシの除去可能な保護基である。O-Cアルキル基の例はO-CHである。除去可能な保護基の例はO-チオ炭素保護基である。チオ炭素保護基の例は、チオカーボネート、チオノカーボネート、およびチオノカーバメートを含むが、これらに限定されない。これらの化合物の実施形態は、以下の構造:
【化2】
(式中、波線は、ヌクレオチドの2’炭素上の酸素へのチオノカーバメート基の結合点を示す)
の化合物を含む。ある特定の実施形態では、O-チオ炭素保護基はTC:
【化3】
である。
【0012】
式Iの化合物の実施形態では、Qで表される複素環式塩基は、天然に存在するプリンおよびピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、または修飾されたプリンおよびピリミジン塩基、および一般的な類似体、例えば本明細書で列挙されるものなどから選択され得る。好ましくは、QはGおよびCから選択され、より好ましくは、QはGである。
【0013】
一部の実施形態では、複素環は、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、キューオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリンおよび2,6-ジアミノプリンから選択される。
【0014】
化合物のある特定の実施形態では、化合物は、複素環塩基としてグアニンを含み、式Ia:
【化4】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する。
【0015】
ある特定の他の実施形態では、化合物は、複素環塩基としてシトシンを含み、式Ib:
【化5】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する。
【0016】
式I、Ia、またはIbで表される化合物の実施形態では、環式炭化水素は3~10個の炭素原子または5~6個の炭素原子を有する。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチルである。
【0017】
式I、Ia、またはIbで表される化合物の実施形態では、RまたはRはそれぞれ、H、保護基およびホスホロアミダイト基から選択される。典型的には、保護基は4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)であり、ホスホロアミダイト基は2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトまたはメチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトである。
【0018】
別の態様は、核酸を合成する方法であって、5’(または3’)の保護されていないヒドロキシルを含むヌクレオシド残基を、式I:
【化6】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、保護基およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOE、またはO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する保護されたヌクレオチドモノマーと、保護されたヌクレオチドモノマーの前記ホスホロアミダイト基を前記ヌクレオシド残基の前記保護されていないヒドロキシル基に共有結合させてヌクレオチド間結合を生成するのに十分な条件下で接触させるステップを含む、方法を含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、方法は、前記ヌクレオチド間結合を酸化剤に曝露するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、方法は、前記2’-ヒドロキシル保護基を除去するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記ヌクレオシド残基は固体支持体に共有結合している。特定の実施形態では、方法は、前記核酸を前記固体支持体から切断して遊離核酸を生成するステップをさらに含む。
【0020】
O-チオ炭素保護基の例は、チオカーボネート、チオノカーボネート、およびチオノカーバメートを含むが、これらに限定されない。これらの化合物の実施形態は、以下の構造:
【化7】
(式中、波線は、ヌクレオチドの2’炭素上の酸素へのチオノカーバメート基の結合点を示す)
の化合物を含む。ある特定の実施形態では、O-チオ炭素保護基はTC:
【化8】
である。
【0021】
方法のある特定の実施形態では、式Iの化合物の基RまたはRはそれぞれ、保護基およびホスホロアミダイト基から選択される。典型的には、保護基は4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)であり、ホスホロアミダイト基は2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトまたはメチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトである。
【0022】
式Iの化合物の実施形態では、Qで表される複素環式塩基は、天然に存在するプリンおよびピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、または修飾されたプリンおよびピリミジン塩基、および一般的な類似体、例えば本明細書で列挙されるものなどから選択され得る。好ましくは、QはGおよびCから選択され、より好ましくはQはGである。
【0023】
一部の実施形態では、複素環は、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、キューオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリンおよび2,6-ジアミノプリンから選択される。
【0024】
式Iで表される化合物のある特定の実施形態では、環式炭化水素は、3~10個の炭素原子または5~6個の炭素原子を有する。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチルである。
【0025】
別の態様は、構造:
【化9】
(式中、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択され、
mは少なくとも1の整数である)
を含む核酸を含む。
【0026】
核酸化合物の実施形態では、RはH、F、O-Cアルキル、O-MOE、またはヒドロキシルの除去可能な保護基である。O-C1~6アルキル基の例はO-CHである。ヒドロキシルの除去可能な保護基の例はチオ炭素保護基である。O-チオ炭素保護基の例は、チオカーボネート、チオノカーボネート、およびチオノカーバメートを含むが、これらに限定されない。これらの化合物の実施形態は、以下の構造:
【化10】
(式中、波線は、ヌクレオチドの2’炭素上の酸素へのチオノカーバメート基の結合点を示す)
の化合物を含む。ある特定の実施形態では、O-チオ炭素保護基はTC:
【化11】
である。
【0027】
核酸化合物の実施形態では、Qで表される複素環式塩基は、天然に存在するプリンおよびピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、または修飾されたプリンおよびピリミジン塩基、および一般的な類似体、例えば本明細書で列挙されるものなどから選択され得る。好ましくは、QはGおよびCから選択され、より好ましくはQはGである。
【0028】
一部の実施形態では、複素環は1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、5キューオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリンおよび2,6-ジアミノプリンから選択される。
【0029】
核酸化合物のある特定の実施形態では、Rで表される環式炭化水素は、3~10個の炭素原子または5~6個の炭素原子を有する。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。ある特定の実施形態では、環式炭化水素はシクロペンチルである。
【0030】
核酸化合物のある特定の実施形態では、Rは水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、Rは水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、Rはメチルおよび2-シアノエチルからなる群から選択される。
【0031】
本発明の前述のおよび他の特徴ならびに本発明の利点は、添付の図において図示されるような、特定の実施形態の以下の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。理解されるように、全てが本発明から逸脱することなく、本発明は様々な点において改変が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、制限とみなされるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】N-ヒドロシンナモイルグアノシンrG(hcin)またはN-イソブチリルグアノシンrG(ibu)モノマーのどちらかを用いて合成された100merのRNA脱保護生成物の質量プロファイルを示すESI質量分析スキャンのオーバーレイを示す図である。脱保護反応は、溶媒なしの(neat)EDAを用いて、rG(hcin)-RNAに関して室温で1時間45またはrG(hcin)-RNAおよびrG(ibu)-RNAに関して40℃で1時間行われる。質量分析スキャンのオーバーレイは、室温でのヒドロシンナモイル除去が非常にきれいで、脱ピリミジン副生成物を減らすことを示す。
図2】100merのrG(hcin)-RNAおよびrG(ibu)-RNAからの脱保護生成物を示すUV-HPLCクロマトグラムシリーズを示す図である。RNA脱保護反応は、溶媒なしのEDAを用いて、室温で1時間45または40℃で1時間行われた。
図3】5つのrG(cpp)またはrG(iBu)を含有する短いRNA配列(20mer)の脱保護経時変化のUV-HPLCクロマトグラムシリーズを示す図である。RNAは、溶媒なしのEDAを用いて、40℃で、様々な時間(30~75分)で脱保護された。FLPは「完全長生成物」を意味する。
図4】rG(cpp)またはrG(iBu)モノマーを用いて合成された100merのRNAの質量プロファイルを示す、2つのESI質量分析スキャンのオーバーレイの図である。100merのRNAは、溶媒なしのEDAを用いて、40℃で、様々な時間(rG(cpp)-RNAに関して30~90分およびrG(ibu)-RNAに関して60~150分)で脱保護された。rG(cpp)-RNAおよびrG(ibu)-RNAの完全な脱保護は、それぞれ75分および120分で達成された。FLPは「完全長生成物」を意味する。
図5】溶媒なしのEDAを用いて、40℃で、それぞれ60分および150分で脱保護された100merのrG(cpp)-RNAおよび100merのrG(ibu)-RNAのUV-HPLCクロマトグラムのオーバーレイを示す図である。オーバーレイされたクロマトグラムの拡大図は、これらの2つの脱保護反応において得られたショートマー副生成物の量の顕著な差を示し、長い脱保護時間の負の効果およびそれぞれ得られたFLP%に対するその影響を強調する。
図6】溶媒なしのEDAを用いて、それぞれ40℃で60分および150分で得られた100merのRNA脱保護生成物(rG(cpp)-RNAおよび100merのrG(ibu)-RNA)の質量プロファイルを示す、ESI質量分析スキャンのオーバーレイを示す図である。オーバーレイは、両方の場合で得られた脱ピリミジン不純物の量の顕著な差を強調する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
本発明をさらに詳細に記載する前に、この出願で使用される用語は、特に示されない限り、以下のように定義される。
【0034】
「ヌクレオチド」または「ヌクレオチド部分」は、リン酸基、糖基および複素環式塩基を含む核酸(DNAであれ、RNAであれ、それらの類似体であれ)のサブユニット、ならびにそのようなサブユニットの類似体を指す。他の基(例えば保護基)は、ヌクレオチドの任意の成分に結合させることができる。
【0035】
「ヌクレオシド」または「ヌクレオシド部分」は、糖基および複素環式塩基を含む核酸サブユニット、ならびにそのようなサブユニットの類似体に言及する。他の基(例えば保護基)は、ヌクレオシドの任意の成分に結合させることができる。
【0036】
「ヌクレオシド残基」は、糖基および窒素含有塩基(ヌクレオシドにおけるように)を、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはヌクレオシドホスホロアミダイトにおけるような、より大きな分子の一部として有する分子を指す。
【0037】
「ヌクレオチドモノマー」は、より大きなオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖に組み込まれておらず、単一のヌクレオチドサブユニットに対応する分子を指し、ヌクレオチドモノマーは、活性化基または保護基がヌクレオチドモノマーの意図される使用に必要である場合、そのような基も有し得る。
【0038】
用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、公知のプリンおよびピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはウラシル(U)だけでなく、修飾された他の複素環式塩基も含有するそれらの部分を含むことが意図される。そのような修飾は、メチル化されたプリンまたはピリミジン、アシル化されたプリンまたはピリミジン、アルキル化されたリボースまたは他の複素環を含む。そのような修飾は、例えば、ジアミノプリンおよびその誘導体、イノシンおよびその誘導体、アルキル化されたプリンもしくはピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、チオール化されたプリンもしくはピリミジンなど、またはアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、ジブチルホルムアミジン、N,N-ジフェニルカーバメートなどの保護基の付加を含む。プリンまたはピリミジン塩基は前述のものの類似体であってもよく、適切な類似体は、当業者に公知であり、関連する本文および文献に記載されている。一般的な類似体は、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N6-メチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、4-アセチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、2,2-ジメチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、5-エチルウラシル、5-プロピルウラシル、5-メトキシウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)ウラシル、5-(カルボキシメチルアミノメチル)-ウラシル、2-チオウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-(2-ブロモビニル)ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、プソイドウラシル、1-メチルプソイドウラシル、キューオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリンおよび2,6-ジアミノプリンを含むが、これらに限定されない。
【0039】
加えて、用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、従来のリボースおよびデオキシリボース糖だけでなく、他の糖も含有するそれらの部分を含む。修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドは糖部分の修飾も含み、例えば、ヒドロキシル基の1つまたは複数が、ハロゲン原子もしくは脂肪族基で置き換えられるか、またはエーテル、アミンなどとして官能化される。「類似体」は、模倣物、誘導体、類似の構造を有する、または他の同様の用語として文字通り認識される構造的特徴を有する分子を指し、例えば、非天然(通常は自然界に存在しない)ヌクレオチドを組み込んだポリヌクレオチド、2%修飾されたヌクレオシドなどの非天然ヌクレオチド模倣物、ペプチド核酸、オリゴマーのヌクレオシドホスホネート、および保護基または連結基などの付加された置換基を有する任意のポリヌクレオチドを含む。
【0040】
「ヌクレオチド間結合」または「ヌクレオチド結合」は、自然界に見出される核酸におけるホスホジエステル連結などの2つのヌクレオシド部分の間の化学連結、または核酸および核酸類似体の合成の技術分野から周知の連結を指す。ヌクレオチド間結合は、ホスホまたはホスファイト基を含んでもよく、ホスホまたはホスファイト基の1つまたは複数の酸素原子が、置換基で修飾されているか、または別の原子、例えば、硫黄原子、もしくはモノアルキルもしくはジアルキルアミノ基の窒素原子で置き換えられている連結を含んでもよい。
【0041】
「基」は、置換および非置換形態の両方を含む。対象の置換基は、1種または複数の低級アルキル、アミノ、イミノ、アミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、もしくはアリール、またはアルキル;アリール、アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびボロニル、またはシアノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、リン酸、ホスホネートなどの非ヒドロカルビル置換基で、1つまたは複数の利用可能な炭素原子上で任意選択的に置換されているものを含む。任意の置換基は、反応収率に実質的に有害な影響を与えないように(例えば、そうでなければ特定の置換基または置換基の組合せなしで得られる収率の20%(または10%、または5%、または1%)を超えてそれを下げない)ように選択される。さらに、置換基は、存在する他の基と化学的に適合し、当業者に公知の副反応を避けるように選択される。例えば、アルコールの水酸化物およびリチウム基は、不適合であり、互いに反応するので、アルコールはリチウム基で置換されないであろう。この開示における任意の基について、各置換基は、40、35、30、25、20、18、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4または3個までの炭素原子を含み得る。全体として、任意の基について全ての置換基における炭素原子の総数は、ある特定の実施形態では、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、18、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4または3個以下である。
【0042】
用語「複素環」、「複素環式」、「複素環式基」または「ヘテロシクロ」は、芳香族(「ヘテロアリール」)または非芳香族(例えば、3~13員の単環式、7~17員の二環式、または10~20員の三環式環系)を含む、少なくとも1つの炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する完全飽和または部分もしくは完全不飽和環式基を指す。ヘテロ原子を含有する複素環式基の各環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有してもよく、窒素および硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されてもよい。複素環式基は、環または環系の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合させることができる。多環複素環の環は、1つまたは複数のスピロユニオンにより縮合、架橋および/または結合し得る。窒素含有塩基は、複素環の例である。他の例はピペリジニル、モルホリニルおよびピロリジニルを含む。
【0043】
用語「置換複素環」、「置換複素環式」、「置換複素環式基」および「置換ヘテロシクロ」は、好ましくはアルキル、置換アルキル、アルケニル、オキソ、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ(任意選択的に置換されている)、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(任意選択的に置換されている)、アリールオキシ(任意選択的に置換されている)、アルカノイル(任意選択的に置換されている)、アロイル(任意選択的に置換されている)、アルキルエステル(任意選択的に置換されている)、アリールエステル(任意選択的に置換されている)、シアノ、ニトロ、アミド、アミノ、置換アミノ、ラクタム、尿素、ウレタン、スルホニルなどから選択される1つまたは複数の基で置換されている複素環、複素環式、およびヘテロシクロ基を指し、任意選択的に1つまたは複数の対の置換基が、それらが結合している原子と一緒になって3~7員環を形成する。
【0044】
用語「電子求引基」は、隣接原子からの価電子を引き付ける傾向を有する部分を指す(すなわち、置換基は隣接原子に対して電気的陰性である)。電子吸引能のレベルの定量は、ハメットシグマ定数によって与えられる。この周知の定数は、多くの参考文献、例えばMarch,Advanced Organic Chemistry 251-59,McGraw Hill Book Company,New York,(1977)に記載されている。電子吸引基は、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、クロリドなどを含む。
【0045】
用語「電子供与基」は、隣接原子からの価電子を遠ざける傾向を有する部分を指す(すなわち、置換基は隣接原子に対して電気的陰性が小さい)。電子供与基は、アミノ、メトキシ、アルキル(直鎖状または分岐状構造を有し得るC1~6アルキルを含む)、C4~9シクロアルキルなどを含む。
【0046】
フレーズ「保護基」は、本明細書で使用される場合、分子の一部が特定の化学反応を受けることを防止するが、その反応の完了後に分子から除去可能である種を指す。「保護基」は、例えばGreene,et al.,“Protective Groups in Organic Synthesis,”John Wiley and Sons,Second Edition,1991において教示されているように、所望の反応のある特定の条件下で官能基を可逆的に非反応性にする基として、従来の化学的意味で使用される。所望の反応後、保護された官能基を脱保護するために保護基は除去され得る。全ての保護基は、合成された分子の実質的な割合を分解しない条件下で除去可能(したがって、不安定)であるべきである。保護基と対照的に、「キャッピング基」は、分子のセグメントに永久的に結合して、そのセグメントの任意のさらなる化学的変換を防止する。保護基によって保護された官能性は、保護基と称されるものの一部であってもなくてもよいことに留意すべきである。
【0047】
「ヒドロキシル保護基」または「O-保護基」は、保護される基がヒドロキシルである保護基を指す。「反応部位ヒドロキシル」は、3’-5’ポリヌクレオチド合成中の末端5’-ヒドロキシル、または5’-3’ポリヌクレオチド合成中の3’-ヒドロキシルである。「遊離反応部位ヒドロキシル」は、ポリヌクレオチド合成中に反応してヌクレオチド間結合(例えばホスホロアミダイト官能基と)を形成するのに利用可能である反応部位ヒドロキシルである。
【0048】
「チオ炭素保護基」は、チオ炭素保護基が窒素を通して基に連結している場合、基はアリール、置換アリール、複素環または置換複素環からさらに選択され得るという条件で、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから独立して選択される1つまたは複数の基に連結した酸素、硫黄または窒素をさらに有する、カルボニルまたはチオノカルボニル部分を通して連結した保護基を指す。
【0049】
用語「同時に脱保護する」は、同じプロセスにおいて異なる保護基を除去することを目的とし、実質的に同時または同時に行われるプロセスを指す。しかし、本明細書で使用される場合、この用語は、異なる保護基の脱保護が、ちょうど同時に、または同じ速度もしくは同じ動態で起こることを意味しない。
【0050】
「ホスホ」基はホスホジエステル、ホスホトリエステル、およびH-ホスホネート基を含む。ホスホまたはホスファイト基のどちらかの場合、置換された5員フリル環以外の化学部分は、フリル環およびP原子の間を連結する、ホスホまたはホスファイト基のOに結合させることができる。
【0051】
用語「ホスホロアミダイト基」は、構造-P-(OR13)(NR1415)(式中、R13、R14、およびR15のそれぞれは独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、複素環、置換複素環、アリールまたは置換アリールである)を含む基を指す。一部の実施形態では、R13、R14、およびR15は、低級アルキル、低級アリール、ならびに置換低級アルキルおよび低級アリール(好ましくは、18、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または2個までの炭素を含有する構造で置換されている)から選択され得る。一部の実施形態では、R13は2-シアノエチルまたはメチルであり、R14およびR15のどちらかまたは両方はイソプロピルである。R14およびR15は、任意選択的に環状に接続され得る。
【0052】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、および2,3-ジメチルブチルなどの1~24個、典型的には1~12個の炭素原子の飽和直鎖状、分岐状または環式炭化水素基を指す。用語「低級アルキル」は、1~6個の炭素原子のアルキル基を意図し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、および2,3-ジメチルブチルを含む。用語「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどの環式アルキル基を指す。
【0053】
さらに、用語「アルキル」は「修飾されたアルキル」を含み、これは1~24個の炭素原子を有し、エーテル-、チオ-、アミノ-、ホスホ-、オキソ-、エステル-、およびアミド-から選択される1つもしくは複数の連結などの追加の基をさらに有し、ならびに/または低級アルキル、アリール、アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシル、アミノ、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびボロニルを含む1つもしくは複数の追加の基で置換されているアルキル基に言及する。同様に、用語「低級アルキル」は「修飾された低級アルキル」を含み、これは1~6個の炭素原子を有し、エーテル-、チオ-、ホスホ-、ケト-、エステル-、およびアミド-から選択される1つもしくは複数の連結などの追加の基をさらに有し、ならびに/または低級アルキル;アリール、アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシル、アミノ、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびボロニルを含む1つもしくは複数の基で置換されている基に言及する。用語「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、置換基-O-R(式中、Rは上記で定義されたようなアルキルである)を指す。用語「低級アルコキシ」は、Rが低級アルキルであるそのような基を指す。用語「チオアルキル」は、本明細書で使用される場合、置換基-S-R(式中、Rは上記で定義されたようなアルキルである)を指す。
【0054】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、エテニル、ビニル、アリル、オクテニル、デセニルなどの少なくとも1つの二重結合を含有する2~24個、典型的には2~12個の炭素原子の分岐状、非分岐状または環式(例えば、C5およびC6の場合)炭化水素基を指す。用語「低級アルケニル」は、2~8個の炭素原子のアルケニル基を意図し、具体的にはビニルおよびアリルを含む。用語「シクロアルケニル」は、環式アルケニル基を指す。
【0055】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、アセチレニル、エチニル、n-プロピニル、イソプロピニル、n-ブチニル、イソブチニル、t-ブチニル、オクチニル、デシニルなどの少なくとも1つの三重結合を含有する2~24個、典型的には2~12個の炭素原子の分岐状または非分岐状炭化水素基を指す。用語「低級アルキニル」は、2~8個の炭素原子のアルキニル基を意図し、例えば、アセチレニルおよびプロピニルを含み、用語「シクロアルキニル」は環式アルキニル基を指す。
【0056】
用語「ヒドロカルビル」はアルキル、アルケニルまたはアルキニルを指す。用語「置換ヒドロカルビル」は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するヒドロカルビル部分を指す。そのような置換基は、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなどの)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなどの)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、複素環式、アラルキル、または芳香族もしくは複素芳香族部分を含み得る。炭化水素鎖上で置換された部分は、適当な場合、それら自体が置換されていてもよいことは、当業者により理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基は、置換および非置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、-CNなどを含み得る。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル-置換アルキル、-CNなどでさらに置換されていてもよい。
【0057】
用語「アルコキシ」は、酸素に連結しているアルキル基を意味し、式:R-O-(式中、Rはアルキル基を表す)で表され得る。例はメトキシ基CHO-である。
【0058】
用語「MOE」はメチルオキシエチルまたはメチルオキシエチレンを意味する。MOE基を有するヌクレオシドは、通常2’-MOEヌクレオシドと呼ばれ、ヌクレオシド(またはヌクレオチド)の2’炭素はO-CHCHO-CH基に連結している。
【0059】
用語「アリール」は、0~4個のヘテロ原子を含み得る5、6、および7員の単環芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを指す。環構造にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」または「複素芳香族」とも称され得る。用語「アリール」は、2個以上の炭素が2つの隣接している環(環は「縮合環」である)に共通である2つ以上の環式環を有する多環式環系であって、環の少なくとも1つが芳香族である(例えば、他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/または複素環である)多環式環系も含む。「低級アリール」は、14、12、10、8または6個までの炭素などの18個までの炭素を含有する。
【0060】
芳香環は、1つまたは複数の環位置において、置換ヒドロカルビルについての上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環式、芳香族または複素芳香族部分、-CF、-CNなどで置換されていてもよい。
【0061】
用語「ハロゲン」および「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を指す。
【0062】
「連結」は、本明細書で使用される場合、2つの他の部分に結合した第1の部分を指し、2つの他の部分は第1の部分を介して連結している。典型的な連結はエーテル(-O-)、オキソ(-C(O)-)、アミノ(-NH-)、アミド(-N-C(O)-)、チオ(-S-)、ホスホ(-P-)、エステル(-O-C(O)-)を含む。
【0063】
「官能化された」は、物質が、物質に結合した特定の部分を有するように修飾されるプロセスに言及し、例えば、分子または基質は、特定の部分を有するように修飾され、そのように修飾された物質(例えば、分子または支持体)は官能化された物質(例えば、官能化された分子または官能化された支持体)と称される。
【0064】
化学構造、基、または部分を記載するために使用されるような用語「置換されている」は、1つまたは複数の置換基を含む構造、基、または部分を指す。本明細書で使用される場合、第1の基が第2の基「で置換されている」場合、第2の基は第1の基に結合されており、これにより第1の基の部分(典型的には水素)は第2の基に置き換えられている。
【0065】
「置換基」は、化学構造中の別の基を置き換える基に言及する。典型的な置換基は、非水素原子(例えばハロゲン)、官能基(これらに限定されないが、アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル、シリルオキシ、リン酸などの)、ヒドロカルビル基、および1つまたは複数のヘテロ原子で置換されているヒドロカルビル基を含む。例示的な置換基は、アルキル、低級アルキル、アリール、アラルキル、低級アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシル、チオ、メルカプト、アミノ、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、ボロニル、および修飾された低級アルキルを含む。
【0066】
ハイフンまたはダッシュは、結合を示すために、この明細書全体を通して様々な箇所で使用され、例えば、2つの指定された基が、本文においてダッシュにすぐ隣接している場合、これはその2つの指定された基が互いに結合されていることを示す。同様に、本文における指定された基のそれぞれの間にダッシュを有する一連の指定された基は、指定された基が示された順番で互いに結合されていることを示した。また、本文におけるダッシュに隣接する単一の指定された基は、指定された基が典型的には、ある他の指定されていない基に結合されていることを示す。一部の実施形態では、ダッシュで示される結合は、例えば、隣接する指定された基の間の共有結合であり得る。本明細書全体を通して様々な箇所で、文脈が、基が別の基に結合することが意図されること(または結合する可能性を有すること)を示す場合、基は本文において隣接するダッシュを用いてまたは用いずに示されてもよく(例えば、アミドまたはアミド-、さらに例えば、アルキルまたはアルキル-、またさらにLnk、Lnk-または-Lnk-)、そのような場合、基の同一性は基の名称により示される(本文において隣接するダッシュがあろうとなかろうと)。文脈が示す場合、単一の基が1つより多くの他の基に結合されていてもよい(例えば、連結基などの連結が意図される場合)ことに留意されたい。
【0067】
破線(例えば、 - - - - - - )は、ある他の指定されていない基への結合を示すために、指定された基に隣接して、本明細書全体を通して使用される。
【0068】
「任意選択の」または「任意選択的に」は、その後に記載されている状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、したがって、記載は、状況が起こる場合および状況が起こらない場合を含む。例えば、フレーズ「任意選択的に置換されている」は、水素でない置換基が存在してもしなくてもよいことを意味し、したがって、記載は、水素でない置換基が存在する構造および水素でない置換基が存在しない構造を含む。本明細書の様々な箇所で、部分は、ゼロ回以上存在すると記載されることがあり、これは任意選択的である部分と同等であり、部分が存在する実施形態および部分が存在しない実施形態を含む。任意選択の部分が存在しない(構造中にゼロ回存在する)場合、任意選択の部分によって連結していると記載された隣接する基は、互いに直接連結している。同様に、部分は、(1)2つの隣接する基を連結する基、または(2)2つの隣接する基を連結する結合と記載されることがあり、これは任意選択的である部分と同等であり、部分が存在する実施形態および部分が存在しない実施形態を含む。任意選択の部分が存在しない(構造中にゼロ回存在する)場合、任意選択の部分によって連結していると記載される隣接する基は、互いに直接連結している。
【0069】
「結合した」は、直接的または間接的な結合を示すために本明細書で使用され得る。化学構造の文脈において、「結合した(bound)」(または「結合した(bonded)」)は、2つの部分を直接結合するまたは2つの部分を間接的に結合する(例えば、連結基または分子の任意の他の介在する部分を介して)化学結合の存在を指し得る。化学結合は、共有結合、イオン結合、配位錯体、水素結合、ファンデルワールス相互作用、もしくは疎水性スタッキングであってもよく、または複数の種類の化学結合の特徴を示してもよい。ある特定の場合では、「結合した」は、結合が直接的である実施形態およびまた結合が間接的である実施形態を含む。「遊離」は、遊離である部分の文脈において使用される場合、その部分が、部分が一部である溶液の他の成分と反応する、または接触するのに利用可能であることを示す。
【0070】
用語「判定する」は、測定の任意の形態を含み、要素が存在するかしないかを決定することを含む。用語「決定する」、「測定する」、「評価する」、「判定する」および「アッセイする」は、互換的に使用され、定量的および/または定性的決定を含み得る。判定は相対的または絶対的であり得る。「の存在を判定する」は、存在する何かの量を決定することおよび/またはそれが存在するか存在しないかを決定することを含む。
【0071】
「単離された」または「精製された」は、一般的に、物質が、それが存在する試料(溶媒を除く)の実質的な部分を構成する、すなわちその天然または単離されていない状態で典型的に見出される物質より多いような、物質(化合物、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド、染色体など)の単離を指す。典型的には、試料の実質的な部分は、試料(溶媒を除く)の少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%、またはより好ましくは少なくとも約90%を構成する。例えば、単離されたRNAの試料は、典型的には少なくとも約5%のトータルRNAを含み、パーセントは、この文脈において、試料中のトータルRNAの質量(例えばマイクログラム)を(トータルRNA+試料(溶媒を除く)中の他の構成成分)の合計の質量(例えばマイクログラム)で割って計算される。対象のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを精製するための技術は、当技術分野で周知であり、例えば、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、流動選別、および密度による沈降を含む。典型的な実施形態では、ヌクレオチド組成物の1種または複数は単離された形態であり、より典型的には、3種全てが、本方法での使用前に単離された形態で得られる。
【0072】
用語「所定の」は、その同一性がその使用前に分かっている要素を指す。例えば、「所定の配列」は、その同一性が、配列を有するポリヌクレオチドの使用または合成前に分かっている配列である。要素は、名称、配列、分子量、その機能、または任意の他の属性もしくは識別子で分かり得る。
【0073】
「上流」は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチド、例えばRNA分子に沿って5’方向を指す。「下流」は、ポリヌクレオチドに沿って3’方向を指す。「3’-」および「5’-」は、当技術分野で公知のようなそれらの従来の意味を有する。
【0074】
特定の実施形態の詳細な説明
本発明がより詳細に記載される前に、この発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん変動し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定的であることが意図されないことも理解されるべきである。
【0075】
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限と下限の間の、文脈がそうでないことを明らかに指示しない限り下限の単位の10分の1までの各介在値およびその記載範囲内の任意の他の記載値または介在値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載範囲内の任意の具体的に除外された限度を前提として本発明内に包含される。記載範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限度のどちらかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0076】
ある特定の範囲は、用語「約」が先行する数値を用いて本明細書で提示される。用語「約」は、それが先行する正確な数字、およびその用語が先行する数字に近いまたはおよそその数字である数字に文字通りの補助を提供するために本明細書で使用される。数字が、具体的に列挙された数字に近いかまたはおよそ具体的に列挙された数字であるかどうかの決定において、近いまたはおよその列挙されていない数字は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙された数字の実質的な同等物を提供する数字であり得る。
【0077】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、この発明が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは同等の任意の方法および物質も本発明の実践または試験に使用され得るが、代表的な例示的な方法および物質がこれらから記載される。
【0078】
なお、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに指示しない限り、複数の参照物を含む。さらになお、特許請求の範囲は、いかなる任意選択の要素も除外するように起草され得る。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などの排他的な専門用語の使用、または「否定的な」限定の使用に関して先行詞として機能することが意図される。
【0079】
従来通り、いくつかの化学構造の描画において、ヒドリド基のいくつかは、明確にする目的のために、描かれた構造から省略されることに留意すべきであるが、例えば、描かれた構造中の炭素の原子価結合を完全に記入することが必要である場合、存在することが理解されるべきである。
【0080】
この開示を読んだ当業者には明らかになるように、本明細書に記載および例示された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離される得るかまたはそれと合わせられ得る別個の成分および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順番または論理的に可能である任意の他の順番で行われ得る。
【0081】
環外アミノ複素環保護ヌクレオシドモノマー。
上記でまとめられた通り、環外アミノ複素環保護基を有するモノマーが本明細書で開示される。ある特定の実施形態では、環外アミノ複素環保護基は、末端環式炭化水素を有するプロパノイルである。
【0082】
実施形態は、式(I):
【化12】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素からなる群から選択される)
で描かれるようなヌクレオシドモノマーを含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、ヌクレオシドモノマーは、式(Ia):
【化13】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
で描かれる。
【0084】
ある特定の他の実施形態では、ヌクレオシドモノマーは式(Ib):
【化14】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
で描かれる。
【0085】
上記の実施形態のそれぞれでは、末端環式炭化水素はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールであり得る。ある特定の実施形態では、保護基はシクロアルキルプロパノイルまたはアリールプロパノイル(arylpropoanoyl)である。ある特定の実施形態では、シクロアルキルプロパノイル(cycloalkylproanoyl)またはアリールプロパノイル部分のアルキルまたはアリール部分は、3~10個の炭素原子または5~6個の炭素原子を有する。特定の実施形態では、保護基はシクロペンチルプロパノイル(cpp)、シクロヘキシルプロパノイル、またはヒドロシンナモイル(hyn)である。他の特定の実施形態では、保護基はシクロペンチルプロパノイル(cpp)である。
【0086】
式I、Ia、またはIbで表される化合物の実施形態では、RまたはRはそれぞれ、H、保護基およびホスホロアミダイト基から選択される。典型的には、保護基は4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)であり、ホスホロアミダイト基は2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトまたはメチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトである。
【0087】
式I、Ia、またはIbで表される化合物のある特定の実施形態では、Rはヒドロキシルの除去可能な保護基である。除去可能な保護基の例はO-チオ炭素保護基である。O-チオ炭素保護基の例は、チオカーボネート、チオノカーボネート、およびチオノカーバメートを含むが、これらに限定されない。これらの化合物の実施形態は、以下の構造:
【化15】
(式中、波線は、ヌクレオチドの2’炭素上の酸素へのチオノカーバメート基の結合点を示す)
の化合物を含む。ある特定の実施形態では、O-チオ炭素保護基はTC:
【化16】
である。
【0088】
式I、Ia、またはIbの化合物の実施形態では、Qで表される複素環式塩基は、天然に存在するプリンおよびピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、または修飾されたプリンおよびピリミジン塩基、ならびに一般的な類似体、例えば、本明細書で列挙されるものなどから選択され得る。好ましくは、QはGおよびCから選択され、より好ましくはQはGである。
【0089】
一部の実施形態では、複素環は、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、キューオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリンおよび2,6-ジアミノプリンから選択される。
【0090】
環外アミノ複素環保護ヌクレオシドモノマーの合成。
保護された複素環塩基を有するヌクレオシドモノマーは、任意の便利なプロトコールを使用して生成され得る。ある特定の実施形態では、保護されたヌクレオシドモノマーは、式(I)の構造の保護されたヌクレオシドモノマーを生成するのに十分な条件下で、式(II):
【化17】
(式中、RまたはRのそれぞれは独立して、水素および保護基から選択され、
はH、OH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、RがO-保護基である場合、R、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、
Qは、複素環式塩基である)
において示される構造を有するヌクレオシドモノマーが、構造R-CCO-LG(式中、Rはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールから選択され、LGはハロ基などの脱離基である)を有する化合物と接触する、プロトコールを使用して生成される。
【0091】
LGに適切な脱離基または活性化基の例は、イミダゾール、クロロ、p-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、O-スクシンイミジル、トリクロロメチル、ブロモ、およびヨードを含むが、これらに限定されない。
【0092】
本発明のN-3-(シクロアルキル)プロパノイルヌクレオシド誘導体は、Jonesの一過性シリル化プロトコールを修正した手順(Organic Letters,2004 Vol.6 No.15;2555-2557)を使用して調製した。ヌクレオシドは、OおよびN-グアニン位置(またはN-シトシンもしくはN-アデニン位置)ならびにリボースの2’、3’および5’ヒドロキシル位置で、トリメチルシリルクロリドを用いて最初に一時的にシリル化し、第2のステップにおいて所望の塩化アシルと反応させて、ヌクレオシドの複素環のN-3-(シクロアルキル)プロパノイルで保護されたそれぞれのアミノ位置が得られる(例えば、化合物1A、1B、1Cにおいて示されるような)。
【0093】
【化18】
【0094】
ある特定の実施形態では、下記で説明されるように、保護基を合成中の組成物の2’-OH部位に局在化する、すなわち位置選択性をもたらすためのMarkiewicz1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(TIPS)試薬の使用による、対応するホスホロアミダイトモノマーの合成が続き得る。2’-ヒドロキシル保護基の位置特異的導入は、5’および3’-ヒドロキシル基の保護により、例えば、下記の式(III)
【0095】
【化19】
(式中、Rはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールから選択される)
の構造において示されるように、Markiewiczの1,1,3,3-テトライソプロピルジシリルオキサン保護基(Markiewicz W.T.,J.Chem.Research (S),1979,24-25)の使用により行われる。
【0096】
一部の実施形態は2’-チオノカーバメートの合成を含み、式(III)の3’,5’-ジシロキサン保護ヌクレオシドは、触媒量の4-(ジメチル)アミノピリジン(DMAP)の存在下で、アセトニトリル中の1,1’-チオカルボニルジイミダゾールと反応し得る。上記の反応は、式IVの構造を有するイミダゾールチオノカーバメートへの保護されたヌクレオシドの定量的、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%の変換をもたらすことができ、結晶生成物を生じさせることができる。
【0097】
【化20】
(式中、Rはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールから選択される)
【0098】
触媒量の4-(ジメチル)アミノピリジンを有するアセトニトリル中での式IVの化合物と、1.1当量のアンモニア、第一級または第二級アミンとの反応が本明細書で開示され、反応は、2’-チオノカーバメート誘導体への定量的またはほぼ定量的変換、例えば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の変換をもたらし得る。アニリンまたは他の弱い求核試薬の場合、対応するチオノカーバメート誘導体への完全な変換を達成するために、1当量の4-(ジメチル)アミノピリジン(DMAP)が使用され得る。ジシアノエチルアミンなどの立体的に束縛されている弱い求核試薬の場合、反応は、アセトニトリル中での終夜の1当量の4-(ジメチル)アミノピリジンを用いた還流条件を採用することができ、得られた生成物は70%の収率で単離され得る。2’-O-TCヌクレオシドとして公知の式Vにおいて示されるような2’-O-(1,1-ジオキソ-1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)ヌクレオシドを合成するために使用されるチオモルホリン1,1-ジオキシドの場合、アミンの添加は、2’-イミダゾールチオノカーバメート中間体(式IV)が得られた直後に、それを単離する必要なしに行われ得る。
【0099】
【化21】
(式中、Rはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールから選択される)
【0100】
式Vの2’-チオノカーバメート化合物の実施形態は、以下の2’-保護基構造:
【化22】
(式中、波線は、ヌクレオシドの2’炭素上の酸素へのチオノカーバメート基の結合点を示す)
を有する化合物を含む。
【0101】
5’(または3’)-ヒドロキシルの保護、続いて3’(または5’)ホスフィチル化も本明細書で開示される。3’,5’-テトライソプロピルジシロキサン-2’-チオノカーバメート保護ヌクレオシド(式V)は、15eq.~40eq.のHF/ピリジンを用いて最初に3’,5’-テトライソプロピルジシロキサン保護基を除去して2’-チオノカーバメート-リボヌクレオシド中間体を生成することにより、3つのさらなる合成ステップで活性なRNA合成モノマーに変換され得る。この中間体は次いで、5eq.~10eq.のコリジンまたはN-メチルイミダゾール(NMI)を用いて4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(DMTrCl)と反応して5’-O-ジメトキシトリチル(DMT)-2’-チオノカーバメート-リボヌクレオシド誘導体を生成することができ、この生成物は次いで、クロロ(ジイソプロピルアミノ)-2-シアノエトキシホスフィン(NC-CH-CH-O-P(Cl)-N(iPr))、またはビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィン(NC-CH-CH-O-P-[N(iPr))、またはクロロ(ジイソプロピルアミノ)メトキシホスフィン(CH-O-P(Cl)-N(iPr))、またはビス(ジイソプロピルアミノ)メトキシホスフィン(CH-O-P-[N(iPr))などのホスフィチル化試薬と反応して式VIの5’-O-DMT-2’-チオノカーバメート-リボヌクレオシド-3’-O-メチル(-または2-シアノエチル)(N,Nジイソプロピル)ホスホロアミダイト化合物を生成することができる。
【0102】
【化23】
(式中、Rはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、またはアリールから選択され、Rは2-シアノエチルおよびメチルから選択される)
【0103】
一部の実施形態では、5’から3’のオリゴヌクレオチド合成が望まれ、3’-O-DMT-2’-チオノカーバメート-リボヌクレオシド-5’-O-メチル(-または2-シアノエチル)(N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイトを調製するために上記の方法の改変が使用され得る(例えば以下のステップによる:a.TIPSによる保護;b.2’-チオノカーバメート形成;c.TIPSの除去;d.5’OHのホスフィチル化;e.3’OHのトリチル化;またはa.TIPSによる保護;b.2’-チオノカーバメート形成;c.TIPSの除去;d.TBDMSによる5’-OHの保護;e.3’-OHのトリチル化;f.TBDMSの除去;g.5’-OHホスフィチル化)。
【0104】
2’-チオノカーバメート保護基を有するモノマーを使用する核酸合成。
一部の実施形態では、オリゴリボヌクレオチドの固相合成は、DNA合成と同じサイクルに従う。結合したヌクレオシドを有する固体支持体、典型的には制御細孔ガラス(CPG)は、ヌクレオシドの5’-ヒドロキシル上の保護基の除去に供される。次のホスホロアミダイトは、活性化剤の存在下で、成長している鎖にカップリングする。任意の未反応の5’-ヒドロキシルはキャッピングされ、カップリング反応で生成された亜リン酸トリエステルヌクレオチド間連結は次いで、酸化されて所望のリン酸トリエステル連結をもたらす。次いで、所望の長さのオリゴマーが得られるまで、プロセスは繰り返される。使用される実際の試薬は、5’-および2’-保護基に応じて変動し得る。他の補助的な試薬も異なり得る。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記載の2’-チオノカーバメートヌクレオチドモノマーは、1つまたは複数のリボヌクレオチド残基を含む核酸を合成するために使用され得る。合成は、3’から5’または5’から3’のどちらかの方向で行われ得る。例えば、3’から5’方向では、5’-OHを有する第1のヌクレオシドモノマーは、活性化剤(例えば、テトラゾールまたはS-エチルチオ-テトラゾール)の存在下で、3’-ホスホロアミダイトおよび5’-O-保護基(典型的にはDMT)を有するヌクレオチドモノマーとカップリングする。第1のヌクレオシドモノマーは、例えば3’-ヒドロキシル上のスクシンイミジルリンカーにより、任意選択的に固体支持体に結合している。代替的に、合成は溶液中で行われ得る。5’-OHおよび3’-ホスホロアミダイトが縮合して亜リン酸トリエステル連結を形成し、ジヌクレオチドをもたらすカップリングステップ後、第1のヌクレオシドモノマーの未反応の5’-ヒドロキシルは、酸化の前および/または後に、無水酢酸溶液で任意選択的にキャッピングされ得る。酸化中、亜リン酸トリエステル連結は、リン酸トリエステルを得るためにヨウ素を含有する溶液またはホスホロチオエート連結が望まれる場合は硫化剤のどちらかで酸化される。5’-DMT保護基は次いで、無水酸溶液、例えば、塩化メチレン中3%のトリクロロ酢酸(TCA)またはトルエン中5%~10%ジクロロ酢酸(DCA)で除去される(脱保護)。新しく形成されたジヌクレオチドは次いで、3’-ホスホロアミダイトおよび5’-DMT保護基を有する別のヌクレオチドモノマーとカップリングするための準備ができている。核酸が所望の長さおよび/または配列に到達するまで、これらのステップは繰り返され得る。
【0106】
一部の実施形態では、式VII(式中、Rはヒドロキシル保護基であり、Qは複素環式塩基であり、Rはチオノカーバメート保護基であり、Rは環式炭化水素である)の構造におけるような3’-H-ホスホネートを有する2’-チオノカーバメートヌクレオチドモノマーが、1つまたは複数のリボヌクレオチド残基を含む核酸を合成するために使用されてもよい。
【0107】
【化24】
【0108】
例えば、3’から5’方向では、5’-OHを有する第1のヌクレオシドモノマーは、活性化剤(例えばアダマンタンカルボニルクロリド)の存在下で、3’-H-ホスホネート、2’-O-保護基(典型的にはTC)および5’-O-保護基(典型的にはDMT)を有するヌクレオチドモノマーとカップリングする。第1のヌクレオシドモノマーは、例えば、3’-ヒドロキシル上のスクシンイミジルリンカーにより固体支持体に任意選択的に結合する。代替的に、合成は溶液中で行われ得る。5’-OHおよび3’-H-ホスホネートが縮合してH-ホスホネート連結を形成し、ジヌクレオチドをもたらすカップリングステップ後、第1のヌクレオシドモノマーの未反応の5’-ヒドロキシル基はキャッピング試薬(これに限定されないが、アダマンタンカルボニルクロリドの存在下の亜リン酸イソプロピルなどの)でキャッピングされる。5’-DMT保護基は次いで、無水酸溶液、例えば、塩化メチレン中の3%のトリクロロ酢酸(TCA)またはトルエン中の5%~10%ジクロロ酢酸(DCA)で除去される(脱保護)。新しく形成されたジヌクレオチドは次いで、3’-H-ホスホネート、2’-O-保護基および5’-O-DMT保護基を有する別のヌクレオチドモノマーとカップリングする用意ができている。これらのステップは、核酸が所望の長さおよび/または配列に到達するまで繰り返され得る。少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む完全に保護されたオリゴヌクレオチドは次いで、一度に全てのH-ホスホネート連結を酸化してホスホジエステル連結にするために、ヨウ素およびN-メチルモルホリンを含む酸化溶液と、または一度にホスホロチオエート連結を生成するために硫化試薬を含む溶液と反応する。
【0109】
一部の実施形態では、2’-ヒドロキシル上のチオノカーバメート保護は、TC化学の容易さおよび効率ならびにこれらの保護基の除去の容易さゆえに、RNAの長い配列の合成を可能にする。本明細書に開示される方法の一部の実施形態によって合成される核酸は、長さが20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、200または500ヌクレオチドほどの長さであってもよく、またはそれより長くてもよい。さらに、一部の実施形態に従って合成された核酸は、より長い核酸を形成するために別の核酸と結合され得る。例えば、70塩基の核酸は、化学ライゲーション、または非天然ヌクレオチド間連結をもたらす他の化学反応、例えば、2つ以上の核酸を連結するもしくは例えばこれらに限定されないが、脂質、ペプチド、コレステロール、ビタミン、PEG、色素などの非オリゴヌクレオチド部分をオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることが当技術分野で公知である、クリックケミストリーもしくはスクアレート化学の使用などにより70塩基の別の核酸とカップリングされ得る。別の例として、2つの核酸は、RNAリガーゼでライゲーションされてもよく、2’-保護基はライゲーション前に除去され得る。
【0110】
本明細書に記載の合成方法は、化学物質が結合し得る表面を有する固体支持体上で実行され得る。一部の実施形態では、合成された複数のオリゴヌクレオチドは、直接的または間接的に同じ固体支持体に結合し、アレイの一部を形成し得る。「アレイ」は、各配列の場所が分かるような、空間的に定義され、物理的にアドレス可能な様式でそれぞれ配置された公知のモノマー配列の別々の分子の集合である。アレイに含有され得る分子の数または「フィーチャー」は、基質の表面積、フィーチャーのサイズおよびフィーチャー間の間隔によって主に決定され、アレイ表面は、非フィーチャー領域で表されるローカルバックグラウンド領域を含んでも含まなくてもよい。アレイは、2,500~200,000フィーチャー/cmなどのcm当たり数十万以上のフィーチャーまでの密度を有し得る。フィーチャーは、基質に共有結合していてもいなくてもよい。互換的に使用される「アレイ」または「化学アレイ」は、アドレス可能な領域と会合する1つまたは複数の特定の化学部分(リガンドなど、例えば、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド配列(核酸)、ポリペプチド(例えばタンパク質)、炭水化物、脂質などの生体高分子)を有するその領域の任意の一次元、二次元または実質的に二次元(および三次元)配置を含む。アレイ上の特定の所定の場所(すなわち「アドレス」)の領域(すなわち、アレイの「フィーチャー」または「スポット」または「ウェル」)が特定の標的または標的のクラスを検出するように(フィーチャーは、そのフィーチャーの非標的を偶発的に検出することがあるが)、アレイが異なる部分(例えば異なるポリヌクレオチド配列)の複数の領域を有する場合、アレイは「アドレス可能」である。アレイのフィーチャーは、典型的には介在スペースによって分離されるが、その必要はない。アレイの場合、「標的」は、様々な領域で基質に結合しているプローブ(「標的プローブ」)によって検出される、移動相(典型的には流体)中の部分として言及される。しかし、「標的」または「プローブ」のどちらかは、他方によって評価されるものであり得る(したがって、どちらか一方は、他方との結合によって評価される分析物、例えばポリヌクレオチドの未知の混合物であり得る)。
【0111】
本明細書に記載のようなポリヌクレオチドのアレイは、ビーズの二次元または三次元アレイを含み得る。ある特定の場合では、ビーズは、標的に結合する第1の部分およびオリゴヌクレオチドを識別するヌクレオチド配列を含有する第2の部分である2つの部分を有するオリゴヌクレオチドに連結している。他の場合では、ビーズは光学アドレスをオリゴヌクレオチドに提供することができ、これによりオリゴヌクレオチドの同一性が決定される。
【0112】
一実施形態では、アレイは、Illumina BeadChipなどの三次元マルチウェルアレイの形態であり得る。BeadChip技術の一実施形態は、シリカビーズへのオリゴヌクレオチドの結合である。ビーズは次いで基板(例えばスライドグラス)上のウェルに無作為に置かれる。得られたアレイは、どのオリゴヌクレオチド-ビーズの組合せがどのウェルにあるかを決定するために解読される。解読されたアレイは、遺伝子発現解析および遺伝子型判定を含むいくつかの適用に使用され得る。遺伝子発現解析は、例えば、2つのセグメントを有する50~200オリゴヌクレオチドを使用して行われ得る。例えば、オリゴヌクレオチドの一方の末端の50~150塩基のセグメントは、標識された標的配列にハイブリダイズするように設計され得る。オリゴヌクレオチドの他方の末端はアドレスとして機能し得る。アドレスは、オリゴヌクレオチドがアレイ上に置かれた後、オリゴヌクレオチドの明白な識別を可能にする固有の配列である。ビーズアレイは、例えば、1,000~1,000,000またはそれより多くの固有のオリゴヌクレオチドを有し得る。各オリゴヌクレオチドは、標準的な技術を使用して、大きいバッチで合成され得る。オリゴヌクレオチドは次いで、シリカビーズ、例えば1~5ミクロンのビーズの表面に結合させることができる。各ビーズは、それに結合した1種類だけのオリゴヌクレオチドを有し得るが、オリゴヌクレオチドの何十万ものコピーを有し得る。標準的なリソグラフィ技術は、表面、例えばスライドグラス上にウェルのハニカムパターンを作るために使用され得る。各ウェルはビーズを保持し得る。所与のアレイのためのビーズは、等しい量で混合され、スライド表面に置かれて、無作為な分布でウェルを占め得る。各ビーズは、アレイ内で例えば約20個の事例で表され得る。各ビーズの同一性は、アドレス配列を使用して解読することによって決定され得る。固有のアレイレイアウトファイルは次いで、各アレイと関連付けられ、アレイのスキャン中にデータを解読するために使用され得る。
【0113】
本明細書に記載のいくつかの方法の効率および容易さにより、少なくとも1つのリボヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの合成が、小さいまたは大きい規模で行われ得る。したがって、特定の方法の1つの完全な実行で作製されるオリゴヌクレオチドの量(1つの容器中)は、マイクログラム未満、または数マイクログラム、数十マイクログラム、数百マイクログラム、数グラム、数十グラム、数百グラム、またはさらに数キログラムであり得る。
【0114】
したがって、本明細書に記載の一部の実施形態は、保護されていないヒドロキシル基を有するヌクレオチド残基またはヌクレオシドモノマー、および2’-チオノカーバメート保護基を有するヌクレオチドモノマーを用意するステップと、2’-チオノカーバメート保護ヌクレオチドモノマーをヌクレオチド残基またはヌクレオシドモノマーに共有結合させて核酸を生成するのに十分な条件下で、ヌクレオチド残基またはヌクレオシドモノマーを2’-チオノカーバメート保護ヌクレオチドモノマーと接触させるステップとを含む、核酸を合成する方法を含む。本明細書の一部の実施形態は、合成プロトコールの単一モノマー付加ステップを記載し、上記のプロセスは、所望の長さおよび配列のポリマーを生成するために、追加のモノマーを必要に応じて用いて反復され得る。任意選択のキャッピングステップは、例えば、酸化ステップの前および/または後に行われてもよく、第1のヌクレオチド残基またはヌクレオシドモノマーの未反応のヒドロキシルは、例えば無水酢酸溶液でキャッピングされ得る。これらの追加のモノマーは、2’-チオノカーバメート保護モノマーまたは保護された2’-デオキシ-モノマーまたは非天然の保護されたモノマー、すなわち修飾されたモノマー(例えば、2’-フルオロ2’-O-メチル、2’-メチルオキシエチル(2’-MOE)、2’-ロックド核酸(2’-LNA)など、修飾は修飾されたヌクレオチドの定義で記載されたように、塩基を含むヌクレオチド構造のどこでもよい)であり得る。修飾されたヌクレオチドのそのような組込みは、様々な修飾されたポリヌクレオチドをもたらす。
【0115】
RNA脱保護
RNAは、有機溶媒中のアミンを使用して2’-脱保護され得る。塩基により触媒されるRNAの分解機序は、環化および切断反応が顕著な速度で起こり得るような十分な程度まで、ヒドロキシルを脱プロトン化する塩基の能力により決まる。使用され得るアミンの例はエチレンジアミン(EDA)である。
【0116】
RNAを有機溶媒中のアミン塩基の溶液に曝露することは、環外アミン保護基および2’-ヒドロキシル保護基の両方のRNAの脱保護を果たし得る。環外アミンおよび2’-ヒドロキシルの脱保護は、同時にまたは逐次的に行われ得る。溶液が、アミンおよびヒドロキシルの好都合なpKa差異を顕著に変化させるのに十分な水を含有しない限り、保護基の適当な選択により、RNAの分解は脱保護の速度に対して非常にゆっくりになる。EDAを含むアミン塩基へのRNAの曝露も、リン部分上の2-シアノエチル基の脱保護およびRNAを固体支持体に結合させるスクシンイミジルリンカーの切断、したがって、固体支持体からのRNAの解放を果たすことができる。
【0117】
別の実施形態では、適当な有機溶媒中または気相中でアミン塩基の溶液を送達することには、RNAを固体支持体の表面に共有結合させるリンカーはアンモニアなどの塩基によって切断され得るがRNA自体は樹脂を離れて移動しないという顕著な利点がある。多くの有機溶媒、例えば、イソプロパノールおよびアセトニトリル中で、RNAは、明らかな可溶性ではなくおよび/または固体支持体に吸着もしくは会合したままである。これは、リンカーの切断および水またはDMSO溶液中へのRNAのその後の溶解を引き起こす、水またはDMSO中のアミンの溶液での固体支持体の処理と対照的である。
【0118】
1つの実施形態では、チオノカーボネートおよびチオノカーバメートは、所望のRNAの破壊をもたらさないアミンにより、合成RNAの2’-ヒドロキシルから切断され得る。
【0119】
1,2-ジアミノ化合物との反応。
1,2-ジアミノ官能性を含有する化合物、例えばエチレンジアミン(EDA)などは2’-O-(1,1-ジオキソ-1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)保護RNAと反応して所望の完全に脱保護された生成物を生じさせる(下記):
【化25】
【0120】
例として、100merのRNAオリゴマーは、式VI(式中、Rはフェニルであり、Qはグアニンであり、Rは保護基であるチオモルホリン-4-カルボチオエート(TC基)である)に従う、ヒドロシンナモイル部分を用いてN環外アミノ基上で保護されたriboGモノマー(rG(hyn))を使用して合成された。RNAオリゴマーの脱保護の経時変化は、脱保護の特徴を決定するために室温での1,2-エチレンジアミン(EDA)処理により実行された。時点は、15分ごとに5時間までとられた。
【0121】
検出可能なヒドロシンナモイルグアニン保護オリゴは、質量分析法によって観察されなかった。したがって、ヒドロシンナモイルは適切に不安定であることを示す。さらに、通常でない不純物は観察されず、ヒドロシンナモイルがオリゴ合成中に安定に保護することを示した。TC基の脱保護は1.75時間で完了し、rU脱ピリミジンはイソブチリル(isobutyrl)脱保護要件に対して50%超減少した。100merのrG(hcin)-RNAについての経時変化の結果は図1に示される。実験は40℃で繰り返され、脱保護が、高い温度で、同様に半分に短縮され得ることを示した。高い温度での経時変化の結果は、図2に示され、rG(ibu)を用いて調製された対照の100merのRNAと比較される。
【0122】
20ヌクレオチドおよび100ヌクレオチドの長さの混合配列RNAの化学合成は、Dellinger,et.al. J.Am.Chem.Soc.2011,133,30,11540-11556に記載の方法を使用して、固体支持体である制御細孔ガラス上で達成された。各RNA 100merは、4種の標準的な2’-TC RNAモノマー:N-イソブチリルrG(ibu)、N-ベンゾイルアデノシン(rA(bz))、ウリジン残基(rU)およびN-アセチルシチジン(rC(ac))、または3種の標準的な2’-TC RNAモノマーrA(bz)、rC(ac)、rUのどちらか、および本明細書(式VI)に開示されるような非標準的な2’-TC rGホスホロアミダイト、すなわちN-ヒドロシンナモイルrG(rG(hyn)と略される)、またはN-[3-(シクロペンチル)プロパノイル]rG(rG(cpp))を含有した。様々な合成されたRNAは次いで、20℃(室温)またはより高い温度(30℃~50℃)で、溶媒なしのエチレンジアミンまたはエチレンジアミンもしくは混合物を得られた固体支持体に直接添加することによって、有機溶媒(トルエンなどの)中のエチレンジアミンの混合物(80%~90%)を使用する異なる条件において、脱保護および切断され、異なる時間放置された(30分~6時間)。反応は、制御細孔ガラスからエチレンジアミンを無水アセトニトリルで洗浄し、次いで10%アセトニトリルを有する0.1M酢酸ナトリウム溶液、pH7.0を使用して粗製RNA生成物を溶出することによって停止された。RNA生成物は、Agilent 6545四重極飛行時間型液体クロマトグラム、質量分析計を使用して分析された。経時変化および比較研究は、様々な条件下での異なるRNA生成物の脱保護の完了を評価し、それらの不純物プロファイルを比較するために行われた。N-環外アミノグアノシン残基からの各保護基の除去の速度は、部分的に脱保護されたオリゴヌクレオチドの抽出された質量スペクトルを調べることによって推定され、推定半減期(T1/2)として報告された(図3~4)。異なるN-保護rG 2’-TCモノマーを用いて合成された様々なRNA生成物の脱保護の比較は、rG(hyn)およびrG(cpp)の両方が、100merのRNAの完全な脱保護の時間を、標準的なrG(ibu)モノマーを使用した場合の2.5時間から非標準的な2’-TC rGモノマー rG(cpp)を使用した場合の75分の時間に顕著に短くすることを示す。さらに、新しいrG(cpp)モノマーを用いて合成された100merのRNAオリゴヌクレオチドについて得られたより短い脱保護時間は、ショートマー断片不純物の量を顕著に減らすことを可能にし、図5に示すように完全長生成物の割合が大幅に増加する。加えて、非標準的なモノマーrG(cpp)を用いて作製されたRNA生成物のクロマトグラムで示された不純物プロファイルは、標準的なrG(ibu)RNA生成物を用いて得られた不純物プロファイルと比較して、脱ピリミジン副生成物の50%までの減少を示す(図6)。
【0123】
核酸生成物。
上記で開示された方法の核酸生成物がさらに開示される。核酸生成物、例えば、リボヌクレオチドを含むRNAまたはオリゴヌクレオチドは、ある特定の実施形態では、2~50またはそれを超えるモノマー単位の長さを含む、2~100またはそれを超えるモノマー単位の長さなどの2~200またはそれを超えるモノマー単位の長さの範囲でサイズが変動し得る。ある特定の実施形態では、生成物核酸のサイズは、2~25のモノマー単位の長さ、例えば、19、20、21、または22のモノマー単位の長さを含む17~23のモノマー単位の長さなどの15~25のモノマー単位の長さの範囲である。
【0124】
ある特定の実施形態では、本発明の核酸生成物は式(VIII):
【化26】
(式中、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOE、またはO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素であり、
は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択され、
mは少なくとも1の整数である)
の構造を有する。
【0125】
、Q、およびRのそれぞれは独立して、式Iの構造を有する化合物に関する上記のバリエーションのいずれかであり得る。Rは、典型的には2-シアノエチルまたはメチル基である。
【0126】
その好ましい実施形態に関して記載されているが、具体的に記載されていない付加、欠失、修飾、および置換が、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、当業者により理解されるであろう。
【実施例
【0127】
-(3-シクロアルキル)プロパノイル-グアノシン誘導体(1A、1B、1C)の合成
以下の誘導体、N[-(3-シクロペンチル)プロパノイル]-グアノシン(1A)、N[-(3-シクロヘキシル)プロパノイル]-グアノシン(1B)、N[-ヒドロシンナモイル-グアノシン(1C)を合成するために、以下の塩化アシル試薬3-(シクロペンチル)プロパノイルクロリド(A)、3-(シクロヘキシル)プロパノイルクロリド(B)およびヒドロシンナモイルクロリド(C)をそれぞれ、下記に詳述される反応において使用した。
【0128】
グアノシン水和物(1.5g、5mmol)を500mLの丸底フラスコに入れ、25mLポーションの無水ピリジンとの共沸蒸発によって3回乾燥させた。残留物をアルゴン雰囲気下で25mLの無水ピリジンおよび無水ジクロロメタン(100mL)に再懸濁した。混合物を氷浴/水浴中で冷却し、磁気撹拌子を使用して撹拌した。トリメチルシリルクロリド(TMSCl、5.7mL、45mmol、9eq)を2分かけて滴下添加した。フラスコを氷浴から取り出し、室温に温め、次いで2時間撹拌した。2時間後、ヌクレオシドを完全に溶解し、澄明な無色の液体を得た。フラスコを氷/水浴中で再び冷却し、対応する塩化アシル(A,B,C)(5.5mmol、1.1eq)を10分かけて滴下添加した。混合物を0℃で3時間撹拌した。過剰の酸塩化物をメタノール(20mL)の添加によって中和し、溶液を室温で12時間撹拌した。12時間後、メタノールおよびジクロロメタンをロータリーエバポレーターで真空下で除去し、残留物がピリジン中の粘性の油状物として残った。200mlの水を溶液に添加し、フラスコにFredrickの還流冷却器および加熱マンテルを取り付けた。反応混合物を加熱還流し、1時間還流させた。加熱マンテルを取り外し、溶液を室温に冷却し、白色沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させ、凝集白色粉末を得た。各場合において、粉末をH NMR、13C NMRおよび質量分析法によって分析し、ほぼ定量的な収率の所望のN-(3-シクロアルキル)プロパノイル保護グアノシン誘導体(1A、1B、1C)を得た。
【0129】
3’,5’-テトライソプロピルジシロキサン-N-(3-シクロアルキル)プロパノイル-グアノシン誘導体(2A、2B、2C)の合成。
出発物質としてそれぞれ化合物1A、1B、1Cを使用して、以下の生成物N-(3-シクロペンチル)プロパノイル-3’,5’-テトライソプロピルジシロキサングアノシン(2A)、N-(3-シクロヘキシル)プロパノイル-3’,5’-テトライソプロピルジシロキサン-グアノシン(2B)、N-ヒドロシンナモイル-3’,5’-テトライソプロピルジシロキサングアノシン(2C)を合成するために下記の一般的な実験プロトコールを使用した。
【0130】
ロータリーエバポレーターを使用して、200mlの無水ピリジンと共に、N-保護-グアノシン16.1g(39.5mmol)(1eq)を共沸蒸発によって3回乾燥させた。次いで、得られた白色粉末を400mlの無水ピリジンに溶解し、氷/水浴を使用して0℃に冷却した。この冷却した溶液に1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピル-ジシロキサン12.6ml(39.5mmol)(1eq)を撹拌しながら滴下添加した。添加が完了した後、氷浴を取り外し、反応を室温に温めた。反応の程度をTLC(塩化メチレン中5%メタノール)によってモニタリングした。全ての場合において、2時間後、TLCは全ての出発物質が消費されたことを示した。反応混合物を油状物までロータリーエバポレーターで蒸発させた。残留ピリジンを200mlの無水トルエンとの3回の共沸蒸発によって除去した。残留物をジクロロメタン(400ml)に溶解し、分液漏斗に移した。ジクロロメタン溶液を300mlの重炭酸ナトリウムの飽和溶液、続いて300mlの水で抽出し、次いでジクロロメタンをブラインで抽出した。塩化メチレン層を分離し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。塩化メチレンをロータリーエバポレーターでの蒸発によって除去し、残留物を加熱還流しながら無水アセトニトリルに溶解した。生成物を室温に冷却し、次いで-20℃の冷凍庫に終夜入れ、白色結晶固体の形成をもたらし、これを濾過によって単離し、真空下で乾燥させ、66%~88%の収率を得た。各場合において、結晶化された生成物をH NMR、13C NMR、および質量分析法によって分析し、高い純度のN-保護-3’,5’-テトライソプロピル-ジシロキサングアノシン(2A、2B、2C)生成物を得た。
【0131】
3’,5’-O-(テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)N-[3-(シクロアルキル)プロパノイル]-グアノシン化合物(3A、3B、3C)の合成。
出発物質としてそれぞれ化合物2A、2B、2Cを使用して、以下の生成物N-[3-(シクロペンチル)プロパノイル]-2’-O-TCグアノシン(3A)、N-[3-(シクロヘキシル)プロパノイル]-2’-O-TCグアノシン(3B)、N-ヒドロシンナモイル-2’-O-TCグアノシン(3C)を合成するために、下記の一般的な実験プロトコールを使用した。
【0132】
-保護-3’,5’-テトライソプロピルジシロキサン-グアノシン(100mmol)をDCM(200ml、0.5M)に溶解し、1,1-チオカルボニルジイミダゾール(1.05eq.、18.7g、105mmol)を添加し、周囲温度で2時間撹拌した。アセトニトリル(100ml)およびチオモルホリン-1,1-ジオキシド(14.87g、110mmol)を反応混合物に添加し、溶液が澄明になるまでおよそ50℃まで加熱し、次いで周囲温度で4時間撹拌した。得られた生成物を反応混合物から結晶化した。結晶を濾過によって収集し、次いでアセトニトリルから再結晶化した。各場合において、結晶化した生成物をH NMR、13C NMR、および質量分析法によって分析し、高い純度の3’,5’-O-(テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-保護-グアノシン誘導体(3A、3B、3C)を得た。
【0133】
3’,5’-O-(テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)保護基(化合物4A、4B、4C)の除去。
上記で得られた3’,5’-O-(テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-(3-シクロアルキル)プロパノイル-グアノシン化合物(3A、3B、3C)をそれぞれ、HF/ピリジンで処理することでTIPS保護基を除去し、以下の一般的な手順に従って、それぞれ2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロペンチル)プロパノイル]グアノシン(4A)、2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロヘキシル)プロパノイル]グアノシン(4B)および)、2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-ヒドロシンナモイルグアノシン(4C)を得た。
【0134】
3’,5’-O-(テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-保護-グアノシン(100mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(2-MTHF)(300ml、0.33M)およびピリジン(48.65ml、604mmol)に懸濁した。反応を0℃に冷却し、フッ化水素ピリジン(HFxPy)(31.37ml、1208mmol)を撹拌しながら添加した。HF溶液の添加後、氷浴を取り外し、反応を室温に温めた。反応溶液を周囲温度で2時間撹拌し、次いでさらに2-MTHF(200ml)を添加し、溶液を水(350ml)で抽出した。水性層を2-MTHF(2×250ml)で逆抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、真空ポンプで、室温で終夜乾燥させ、全ての場合において約70%の収率を得た。
【0135】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロアルキル)プロパノイル]-グアノシン誘導体(5A、5B、5C)の合成。
化合物5A、5B、5Cを、それらのそれぞれの前駆体4A、4B、および4Cから開始して、下記の一般的な手順に従って合成した。
【0136】
2’-O-(1,1-ジオキソ1λ6-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-保護-グアノシン(4A、4B、4C、70mmol)を2-MTHF/DCM(1400ml、0.05M)に懸濁し、30分間撹拌し、次いでN-メチルモルホリン(NMM)(8.47ml、77mmol)および4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(26.09g、77mmol)を撹拌しながら少量ずつ添加した。反応は40分で完了した。次いで、本明細書で後に記載されるように、生成物(5A、5B、5C)を単離せずに直接ホスフィチル化して2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-N-保護-グアノシン-3’-O-(β-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル-ホスホロアミダイトを生成した。
【0137】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロアルキル)プロパノイル]-グアノシン3’-O-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル-ホスホロアミダイト誘導体(6A、6B、6C)の合成。
N-メチルモルホリン(10ml、91mmol)を、化合物5Aまたは5Bまたは5Cを含有する先の反応混合物に添加し、続いて2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(18.74ml、84mmol)を添加し、次いでRTで3.5時間撹拌した。DCM(150ml)を添加し、混合物を飽和NaHCO(500ml)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、次いでロータリーエバポレーターで蒸発させ、粘性の油状物を得た。油状物を最低体積のジクロロメタンに溶解し、ヘキサン(400ml)を含有する2リットルのケルダールフラスコに撹拌しながら滴下添加し、綿状の懸濁液を得た。懸濁液を-20℃の冷凍庫に終夜入れて沈降させ、フラスコの底でケーキにした。溶媒をデカントし、粗生成物を乾燥DCMに直ちに溶解し、トリエチルアミンで予め中和したシリカゲルカラム(300gシリカゲル)にロードした。次いで、粗生成物をカラムの上部に慎重に導入し、アセトン;20%(1L)、25%(2L)、30%(2L)、40%(4L)および45%(2L)アセトン/ヘキサンで溶出した。TLCまたはHPLCを使用して生成物の画分を分析した。所望の生成物を含有する画分を照合し(collated)、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固し、65%~75%の全収率の白色泡状物を生成した。生成物をH NMR、13C NMR、および質量分析法によって分析し、31P NMRおよびHPLCを使用して純度を決定した。両方の方法による全ての生成物5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロペンチル)プロパノイル]-グアノシン3’-O-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル-ホスホロアミダイト(6A、rG(cpp))、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-[3-(シクロヘキシル)プロパノイル]-グアノシン3’-O-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル-ホスホロアミダイト(6B)、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’-O-(1,1-ジオキソ1λ-チオモルホリン-4-カルボチオエート)-N-ヒドロシンナモイル-グアノシン3’-O-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル-ホスホロアミダイト(6C、rG(hyn))の純度は、95%以上であった。
【0138】
オリゴヌクレオチド合成および脱保護
TC化学を使用し、Prime Synthesis(LGC)製の2000A CPG支持体で、Biolytic Lab Performance Inc.製のDr. Oligo 48 synthesizerを使用して、20merのRNAオリゴヌクレオチドおよび100merのRNAオリゴヌクレオチドを合成した。標準的な2’-TC RNAホスホロアミダイト(rA(bz)、rG(ib)、rC(ac)およびrU)をSigma-Aldrichから購入した。rG(cpp)2’-O-TC-3’-O-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル]ホスホロアミダイト(化合物6A)およびrG(hcin)2’-O-TC-3’-O-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル]ホスホロアミダイト(6C)を本明細書に記載のように合成した。全ての他の標準的なRNA合成試薬はGlen Research and Honeywellから購入した。20および100ヌクレオチドの長さの混合配列RNAの化学合成を、Dellinger,et.al. J.Am.Chem.Soc.2011,133,30,11540-11556に記載の方法を使用して行った。各RNA(20および100mer)は、4種のRNAモノマー、グアノシン残基、アデノシン残基、ウリジン残基およびシチジン残基を含有し、溶媒なしのエチレンジアミンを使用して、20℃(室温)またはより高い温度(30℃~50℃)の異なる条件において、エチレンジアミンを得られた固体支持体に直接添加することによって脱保護した。N-環外アミン脱保護の完了を評価するために経時変化(30分~>6時間)を行った。無水アセトニトリルでエチレンジアミンを制御細孔ガラスから洗浄し、次いで、10%アセトニトリルを有する0.1M酢酸ナトリウム溶液、pH7.0を使用して粗製RNA生成物を溶出することによって反応を停止した。Agilent6545四重極飛行時間型液体クロマトグラム、質量分析計を使用してRNA生成物を分析した。経時変化およびRNA生成物の脱保護に使用した様々な条件は、rG(ibu)、rG(cpp)およびrG(hyn)を用いて調製されたRNA生成物の脱保護の容易さ、完了を比較し、それらの不純物プロファイルを比較するために行った。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、保護基およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEまたはO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
はシクロペンチルまたはシクロヘキシルである)
の構造を有する化合物。
【請求項2】
式Ia:
【化2】
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化3】
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式Ib:
【化4】
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化5】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
(a)保護されていないヒドロキシルを含むヌクレオシド残基と、以下の構造:
【化6】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、保護基およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOEおよびO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
はシクロペンチルまたはシクロヘキシルである)
を有する、式Iの保護されたヌクレオチドモノマーとを用意するステップと、
(b)保護されたヌクレオチドモノマーの前記ホスホロアミダイト基を前記ヌクレオシド残基の前記保護されていないヒドロキシル基に共有結合させてヌクレオチド間結合を生成するのに十分な条件下で、前記ヌクレオシド残基を前記保護されたヌクレオチドモノマーと接触させるステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記ヌクレオチド間結合を酸化剤に曝露するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記O-チオ炭素保護基を除去するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ヌクレオシド残基が固体支持体に共有結合している、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸を前記固体支持体から切断して遊離核酸を生成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記O-チオ炭素保護基が、
【化7】
からなる構造の群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記O-チオ炭素保護基が、
【化8】
であり、RまたはRのそれぞれが独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
QがGまたはCであり、前記環式炭化水素がシクロペンチルまたはシクロヘキシルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
QがGである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式VIII:
【化9】
(式中、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOE、およびO-チオ炭素保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
はシクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択され、
mは少なくとも1の整数である)
の構造を含む保護された核酸。
【請求項18】
QがGであり、前記O-チオ炭素保護基が、
【化10】
であり、前記Rがシクロペンチルであり、前記Rが2-シアノエチルまたはメチルである、請求項17に記載の保護された核酸。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
オリゴヌクレオチド合成および脱保護
TC化学を使用し、Prime Synthesis(LGC)製の2000A CPG支持体で、Biolytic Lab Performance Inc.製のDr. Oligo 48 synthesizerを使用して、20merのRNAオリゴヌクレオチドおよび100merのRNAオリゴヌクレオチドを合成した。標準的な2’-TC RNAホスホロアミダイト(rA(bz)、rG(ib)、rC(ac)およびrU)をSigma-Aldrichから購入した。rG(cpp)2’-O-TC-3’-O-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル]ホスホロアミダイト(化合物6A)およびrG(hcin)2’-O-TC-3’-O-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピル]ホスホロアミダイト(6C)を本明細書に記載のように合成した。全ての他の標準的なRNA合成試薬はGlen Research and Honeywellから購入した。20および100ヌクレオチドの長さの混合配列RNAの化学合成を、Dellinger,et.al. J.Am.Chem.Soc.2011,133,30,11540-11556に記載の方法を使用して行った。各RNA(20および100mer)は、4種のRNAモノマー、グアノシン残基、アデノシン残基、ウリジン残基およびシチジン残基を含有し、ニートなエチレンジアミンを使用して、20℃(室温)またはより高い温度(30℃~50℃)の異なる条件において、エチレンジアミンを得られた固体支持体に直接添加することによって脱保護した。N-環外アミン脱保護の完了を評価するために経時変化(30分~>6時間)を行った。無水アセトニトリルでエチレンジアミンを制御細孔ガラスから洗浄し、次いで、10%アセトニトリルを有する0.1M酢酸ナトリウム溶液、pH7.0を使用して粗製RNA生成物を溶出することによって反応を停止した。Agilent6545四重極飛行時間型液体クロマトグラム、質量分析計を使用してRNA生成物を分析した。経時変化およびRNA生成物の脱保護に使用した様々な条件は、rG(ibu)、rG(cpp)およびrG(hyn)を用いて調製されたRNA生成物の脱保護の容易さ、完了を比較し、それらの不純物プロファイルを比較するために行った。
出願時の特許請求の範囲は以下の通り。

[請求項1]
式I:
【化27】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
は、H、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する化合物。
[請求項2]
式Ia:
【化28】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
は、H、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
[請求項3]
前記環式炭化水素が5~6個の炭素原子を有する、請求項2に記載の化合物。
[請求項4]
前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択され、RおよびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル((DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項3に記載の化合物。
[請求項5]
前記環式炭化水素がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化29】
である、請求項4に記載の化合物。
[請求項6]
式Ib:
【化30】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、水素、保護基、およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOEおよびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
は環式炭化水素である)
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
[請求項7]
前記環式炭化水素が5~6個の炭素原子を有する、請求項6に記載の化合物。
[請求項8]
前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択され、RおよびRがそれぞれ独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミノ)-ホスホロアミダイトから選択される、請求項7に記載の化合物。
[請求項9]
前記環式炭化水素がシクロペンチルであり、RがO-TC:
【化31】
である、請求項8に記載の化合物。
[請求項10]
5’(または3’)の保護されていないヒドロキシルを含むヌクレオシド残基を、式I:
【化32】
(式中、
またはRのそれぞれは独立して、保護基およびホスホロアミダイト基からなる群から選択され、
はH、F、O-Cアルキル、O-MOEおよびO-チオ炭素保護基であり、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素である)
の構造を有する保護されたヌクレオチドモノマーと、保護されたヌクレオチドモノマーの前記ホスホロアミダイト基を前記ヌクレオシド残基の前記保護されていないヒドロキシル基に共有結合させてヌクレオチド間結合を生成するのに十分な条件下で接触させるステップを含む、方法。
[請求項11]
前記ヌクレオチド間結合を酸化剤に曝露するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
[請求項12]
前記O-チオ炭素保護基を除去するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
[請求項13]
前記ヌクレオシド残基が固体支持体に共有結合している、請求項10に記載の方法。
[請求項14]
前記核酸を前記固体支持体から切断して遊離核酸を生成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
前記O-チオ炭素保護基が、
【化33】
からなる構造の群から選択される、請求項10に記載の方法。
[請求項16]
前記O-チオ炭素保護基が、
【化34】
であり、RまたはRのそれぞれが独立して、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)および2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピルアミン)-ホスホロアミダイトからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
QがGまたはCであり、前記環式炭化水素がシクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
[請求項18]
QがGであり、前記環式炭化水素がシクロペンチルおよびフェニルからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
[請求項19]
式VIII:
【化35】
(式中、
はH、F、O-C1~6アルキル、O-MOE、およびヒドロキシルの除去可能な保護基からなる群から選択され、
Qは複素環式塩基であり、
は環式炭化水素であり、
は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アリール、および置換アリールからなる群から選択され、
mは少なくとも1の整数である)
の構造を含む保護された核酸。
[請求項20]
QがGであり、前記ヒドロキシルの除去可能な保護基が、
【化36】
であり、前記Rがシクロペンチルであり、前記Rが2-シアノエチルまたはメチルである、請求項19に記載の保護された核酸。
【国際調査報告】