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特表2024-511711ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 19/04 20060101AFI20240308BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01F19/04
H03H7/01 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552504
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022012346
(87)【国際公開番号】W WO2022191919
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】17/195,220
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンヘ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、チャンハン・ホビー
(72)【発明者】
【氏名】ラン、ジェ-ション
(72)【発明者】
【氏名】ドゥッタ、ラナディープ
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070CB12
5J024AA01
5J024DA01
5J024DA25
(57)【要約】
インダクタは、第1の金属化層マルチターントレースを含む。インダクタは、少なくとも1つの第1のビアを通じて、第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースも含む。インダクタは、複数の第2のビアを通じて、第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属化層マルチターントレースと、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、前記第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースと、
複数の第2のビアを通じて、前記第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントと、
を備える、インダクタ。
【請求項2】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、所定のパターンに従った前記第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、請求項1のインダクタ。
【請求項3】
前記第1の金属化層マルチターントレースは、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを備える、請求項1のインダクタ。
【請求項4】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第1の1つの厚さは、前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第2の1つの厚さと異なる、請求項1のインダクタ。
【請求項5】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、ライントレースセグメント、角度付きのジョイントトレースセグメント、または角度付きのトレースセグメントを備える、請求項1のインダクタ。
【請求項6】
前記インダクタは、集積受動デバイス(IPD)へ一体化されている、請求項1のインダクタ。
【請求項7】
前記IPDは、無線周波数(RF)フィルタに一体化されている、請求項6のインダクタ。
【請求項8】
前記IPDは、無線周波数(RF)モジュールに一体化されている、請求項6のインダクタ。
【請求項9】
ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを作製するための方法であって、
第1の金属化層マルチターントレースを形成することと、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、前記第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースを形成することと、
複数の第2のビアを通じて、前記第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することと、
を備える、方法。
【請求項10】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することは、所定のパターンに従った前記第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを堆積させることを備える、請求項9の方法。
【請求項11】
前記第1の金属化層マルチターントレースを形成することは、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを形成することを備える、請求項9の方法。
【請求項12】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することは、ライントレースセグメント、角度付きのトレースセグメント、または角度付きのジョイントトレースセグメントを形成することを備える、請求項9の方法。
【請求項13】
前記積層インダクタを集積受動デバイス(IPD)へ一体化することをさらに備える、請求項9の方法。
【請求項14】
前記IPDを無線周波数(RF)フィルタに一体化することをさらに備える、請求項13の方法。
【請求項15】
前記IPDを無線周波数(RF)モジュールに一体化することをさらに備える、請求項13の方法。
【請求項16】
無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールであって、
半導体ダイと、
前記半導体ダイに結合され、インダクタを備える集積受動デバイス(IPD)ダイと、
を備え、前記インダクタは、
第1の金属化層マルチターントレース、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、前記第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレース、および
複数の第2のビアを通じて、前記第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを備える、RFFEモジュール。
【請求項17】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、所定のパターンに従った前記第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、請求項16のRFFEモジュール。
【請求項18】
前記第1の金属化層マルチターントレースは、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを備える、請求項16のRFFEモジュール。
【請求項19】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第1の1つの厚さは、前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第2の1つの厚さと異なる、請求項16のRFFEモジュール。
【請求項20】
前記複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、ライントレースセグメント、角度付きのジョイントトレースセグメント、または角度付きのトレースセグメントを備える、請求項16のRFFEモジュール。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年3月8日に出願され、「STACKED INDUCTOR HAVING DISCRETE METAL-STACK PATTERN」と題された米国特許出願第17/195,220号の優先権を主張し、この米国特許出願の開示内容は、その全体が参照によって明示的に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示の態様は、半導体デバイスに関し、より詳細には、ディスクリート金属積層パターン(discrete metal-stack pattern)を有する積層インダクタ(stacked inductor)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ワイヤレス通信デバイスは、ユーザが期待する通信および特徴を促進する無線周波数(RF)モジュールを組み込んでいる。ワイヤレスシステムが益々普及するようになり、より多くの能力を含むにつれて、チップは生産することがより複雑になってきた。第5世代(5G)新無線(NR)ワイヤレス通信デバイスは、より小さく、ますます小さい相互接続を有するモジュールに、多くの特徴およびデバイスを詰め込んだ、最新世代の電子ダイ(electric dies)を組み込んでいる。これらのモジュールの密度が増加するにつれて、インダクタは、性能にとって重要であり、ダイ上の著しい面積を占有することがある。
【0004】
[0004]モバイル無線周波数(RF)チップ、たとえばモバイルRF送受信機などのための設計課題は、不整合、ノイズおよび他の性能検討事項を含む、アナログ/RF性能検討事項を含む。これらのモバイルRF送受信機の設計は、たとえば、共振を抑制するために、ならびに/またはフィルタリング、バイパス、およびカップリングを行うために、インダクタなどの受動デバイスの使用を含む。これらのインダクタは、高出力のシステムオンチップデバイス、たとえば、アプリケーションプロセッサおよびグラフィックスプロセッサなどへ一体化される。
【0005】
[0005]この例において、モバイルRF送受信機の受動デバイスは、高性能インダクタ構成要素を含み得る。たとえば、アナログ集積回路は、集積インダクタなどの様々なタイプの受動デバイスを使用する。集積インダクタの使用は、ラミネート基板またはパッケージ基板上の著しい面積を消費することがあり、より高い挿入損失、および、より低い品質(Q)ファクタにもつながり得る。改善された熱放散を提供しながら、より高いQファクタを提供するために、集積インダクタのキーパフォーマンスインジケータ(KPI)を改善することが望ましい。集積インダクタは、5G NR RFモジュール内のミリメートル波(mmW)フィルタのために使用され得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006]インダクタは、第1の金属化層(metallization layer)マルチターントレース(multi-turn trace)を含む。インダクタは、少なくとも1つの第1のビア(via)を通じて第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースも含む。インダクタは、複数の第2のビアを通じて第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントをさらに含む。
【0007】
[0007]ディスクリート金属積層パターン(discrete metal-stack pattern)を有する積層(stacked)インダクタを作製するための方法が説明される。本方法は、第1の金属化層マルチターントレースを形成することを含む。本方法は、少なくとも1つの第1のビアを通じて第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースを形成することも含む。本方法は、複数の第2のビアを通じて第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することをさらに含む。
【0008】
[0008]無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールが説明される。RFFEモジュールは、半導体ダイと、半導体ダイに結合された集積受動デバイス(IPD:integrated passive device)フィルタダイとを含む。IPDダイは、インダクタで構成される。インダクタは、第1の金属化層マルチターントレースを含む。インダクタは、少なくとも1つの第1のビアを通じて第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースも含む。インダクタは、複数の第2のビアを通じて第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントをさらに含む。
【0009】
[0009]本章は、以下に続く詳細な説明がより良く理解されるように、本開示の特徴および技術的な利点をかなり大まかに概説するものである。本開示のさらなる特徴および利点は、下記に説明されることになる。この本開示は、本開示の同じ目的を実行するために他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって認識されるべきである。そのような均等な構造は、添付の特許請求の範囲において述べられるような本開示の教示から逸脱しないことも、当業者によって把握されるべきである。本開示の特徴であると信じられる新規な特徴は、その機構と動作の方法の両方に関して、さらなる目的および利点と共に、添付の図に関連して考慮された場合に、以下の説明からより良く理解されることになる。ただし、図の各々は、例示および説明の目的のためだけに提供されており、本開示の限界の定義としては意図されていないことが、明示的に理解されるべきである。
【0010】
[0010]本開示のより完全な理解のために、添付の図面と共に、以下の説明への参照がここで行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]受動デバイスを採用する無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールの概略図。
図2】[0012]チップセットのための受動デバイスを採用する無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールの概略図。
図3】[0013]本開示の態様による、半導体ダイと集積受動デバイス(IPD)フィルタダイとを含む無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールの断面図を例示するブロック図。
図4A】[0014]本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの上面図を例示するブロック図。
図4B】本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの斜視図を例示するブロック図。
図5】[0015]本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの俯瞰図を例示する図。
図6A】[0016]本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを例示する斜視図。
図6B】本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを例示する断面図。
図7A】[0017]本開示の態様による、図6Aのディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの、インダクタンス対周波数グラフ。
図7B】本開示の態様による、図6Aのディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの、品質ファクタ対周波数グラフ。
図8】[0018]本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを作製するための方法を例示するプロセスフロー図。
図9】[0019]本開示の構成が有利に採用され得る例示的なワイヤレス通信システムを示すブロック図。
図10】[0020]1つの構成による半導体構成要素の回路、レイアウト、および論理設計のために使用される設計ワークステーションを例示するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0021]添付の図面に関連して下記に述べられる詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書において説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供する目的のために、具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念が、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの実例において、そのような概念を曖昧にすることを回避するために、周知の構造および構成要素はブロック図の形式で示される。
【0013】
[0022]本明細書において説明されるように、「および/または」という用語の使用は、「包含的論理和」を表すことを意図されており、「または」という用語の使用は、「排他的論理和」を表すことを意図されている。本明細書において説明されるように、本説明全体にわたって使用される「例示的な」という用語は、「例、実例、または例示としての役割を果たす」ことを意味し、必ずしも他の例示的な構成よりも好適または有利なものとして解釈されるべきではない。本明細書において説明されるように、本説明全体にわたって使用される「結合される」という用語は、「直接的であれ、または介在する接続部(たとえば、スイッチ)を通じて間接的であれ、電気的に、機械的に、またはそれ以外の方法で、接続される」ことを意味し、必ずしも物理的な接続に限定されるとは限らない。また、接続は、オブジェクト同士が恒久的に接続される、または取り外し可能に接続されるようなものとすることができる。接続は、スイッチを通じたものとすることができる。本明細書において説明されるように、本説明全体にわたって使用される「近接した」という用語は、「隣接した、非常に近い、隣りの、または接近した」を意味する。本明細書において説明されるように、本説明全体にわたって使用される「上の」という用語は、いくつかの構成においては「直接的に上に」を意味し、他の構成においては「間接的に上に」を意味する。
【0014】
[0023]モバイル無線周波数(RF)チップ(たとえば、モバイルRF送受信機)は、コストおよび電力消費の検討事項に起因して、ディープサブミクロン処理ノードへ移行した。モバイルRF送受信機を設計することは、第5世代(5G)新無線(NR)通信システムなどの、通信向上をサポートするための回路機能が付加されることによって複雑になる。モバイルRF送受信機のためのさらなる設計課題は、受動デバイスを使用することを含み、これは、不整合、ノイズ、および他の性能検討事項を含む、アナログRF性能検討事項に直接影響を与える。
【0015】
[0024]モバイル無線周波数(RF)送受信機における受動デバイスは、高性能インダクタ構成要素を含み得る。たとえば、アナログ集積回路は、集積インダクタなどの、様々なタイプの受動デバイスを使用する。インダクタは、インダクタンス値に従ってワイヤコイル内の磁界にエネルギーを一時的に貯蔵するために使用される電気デバイスの一例である。このインダクタンス値は、インダクタを通過する電流の変化率に対する電圧の比の基準を提供する。インダクタを通って流れる電流が変化する場合、エネルギーは、コイルにおける磁界に一時的に貯蔵される。それらの磁界貯蔵能力に加えて、インダクタは、無線機器などの交流(AC)電子機器において使用されることが多い。たとえば、モバイルRF送受信機の設計は、ミリメートル波(mmW)周波数(たとえば、周波数範囲2(FR2))における磁気損失を低減しながら、改善されたインダクタンス密度を有するインダクタの使用を含む。
【0016】
[0025]無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールは、コンデンサとインダクタとを含む5GブロードバンドFR2フィルタを含み得る。残念ながら、5GブロードバンドFR2フィルタ内の集積インダクタは、劣化した品質(Q)ファクタに悩まされることがある。また、集積インダクタは、5GブロードバンドFR2フィルタ内の熱放散問題を引き起こすことがある。5G NRブロードバンドFR2フィルタの動作期間中に、電力放散は、インダクタのQファクタに関連する。また、熱放散は、インダクタのQファクタとインダクタのエレクトロマイグレーション(EM)の両方に関連する。インダクタは、バックエンドオブライン(BEOL:back-end-of-line)金属化層の積層と共に形成され得るが、インダクタンス値は、積層が増加するにつれて低減される。
【0017】
[0026]本開示の様々な態様は、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを提供する。ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの製作のためのプロセスフローは、フロントエンドオブライン(FEOL:front-end-of-line)処理、ミドルオブライン(MOL:middle-of-line)処理、およびバックエンドオブライン(BEOL)処理を含み得る。「層」という用語は、フィルムを含み、特に明記しない限り、垂直な厚さまたは水平な厚さを示すものとして解釈されないことが、理解されるであろう。説明されるように、「基板」という用語は、ダイシングされたウェーハの基板を指すことがあり、またはダイシングされていないウェーハの基板を指すことがある。同様に、「チップ」および「ダイ」という用語は、互換的に使用され得る。
【0018】
[0027]説明されるように、バックエンドオブライン(BEOL)相互接続層は、集積回路のフロントエンドオブライン(FEOL)能動デバイスに電気的に結合するための導電性相互接続層(たとえば、第1の相互接続層(M1)、または金属1 M1、金属2(M2)、金属3(M3)、金属4(M4)等)を指し得る。様々なBEOL相互接続層は、対応するBEOL相互接続層において形成され、その中で、より下位のBEOL相互接続層は、より上位のBEOL相互接続レベルに対して、より薄い金属層を使用する。BEOL相互接続層は、たとえば、M1を集積回路の酸化物拡散(OD)層に接続するために、ミドルオブライン(MOL)相互接続層に電気的に結合し得る。MOL相互接続層は、M1を集積回路の能動デバイス層に接続するためのゼロ相互接続層(M0)を含み得る。BEOLの第1のビア(V2)は、M2をM3またはBEOL相互接続層の他の層に接続し得る。
【0019】
[0028]本開示の態様によれば、無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールは、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタと共に構成されたフィルタを含む。本開示の態様は、5G NRブロードバンドFR2フィルタのための特別な設計を提供するために、改善された金属積層パターンを実装することによって、ブロードバンドフィルタ内のインダクタのキーパフォーマンスインジケータ(KPI)を改善する。特別な設計は、新規なインダクタ金属積層パターンを提供することによって、インダクタ金属層を改善する。この特別な設計は、ブロードバンドフィルタの電流密集エリアにおける金属厚さを再構成し得る。本開示のいくつかの態様において、この特別な設計は、ブロードバンドフィルタの熱ホットスポットに、より多くの金属層を追加し得る。本開示のいくつかの態様は、インダクタの所望のオンインダクタンスを提供するために、カスタマイズされた金属積層パターンを提供する。これらのカスタマイズされた金属積層パターンは、熱緩和を改善しながら、ブロードバンドフィルタの電気性能を有益に改善する。
【0020】
[0029]図1は、インダクタ118(たとえば、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ)を含む受動デバイスを採用する、無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュール100の概略図である。RFFEモジュール100は、電力増幅器102と、ディプレクサ/フィルタ104と、無線周波数(RF)スイッチモジュール106とを含む。電力増幅器102は、信号を送信のために一定の電力レベルへ増幅する。ディプレクサ/フィルタ104は、周波数、挿入損失、除去、または他の同様のパラメータを含む、多様な異なるパラメータに従って、入力/出力信号をフィルタリングする。また、RFスイッチモジュール106は、RFFEモジュール100の残りの部分へ渡すために、入力信号の一定の部分を選択し得る。
【0021】
[0030]無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュール100はまた、チューナ回路構成112(たとえば、第1のチューナ回路構成112Aおよび第2のチューナ回路構成112B)と、ダイプレクサ190と、コンデンサ116と、インダクタ118と、接地端子115と、アンテナ114とを含む。チューナ回路構成112(たとえば、第1のチューナ回路構成112Aおよび第2のチューナ回路構成112B)は、チューナ、ポータブルデータエントリー端末(PDET:portable data entry terminal)、およびハウスキーピングアナログデジタル変換器(HKADC:housekeeping analog to digital converter)などの構成要素を含む。チューナ回路構成112は、アンテナ114のためのインピーダンスチューニング(たとえば、電圧定在波比(VSWR)最適化)を行い得る。RFFEモジュール100は、ワイヤレス送受信機(WTR)120に結合された受動コンバイナ108も含む。受動コンバイナ108は、第1のチューナ回路構成112Aおよび第2のチューナ回路構成112Bからの検出された電力を組み合わせる。ワイヤレス送受信機120は、受動コンバイナ108からの情報を処理し、この情報をモデム130(たとえば、移動局モデム(MSM))へ提供する。モデム130は、アプリケーションプロセッサ(AP)140にデジタル信号を提供する。
【0022】
[0031]図1に示されるように、ダイプレクサ190は、チューナ回路構成112のチューナ構成要素と、コンデンサ116、インダクタ118(たとえば、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ)、およびアンテナ114との間にある。ダイプレクサ190は、無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュール100から、ワイヤレス送受信機120と、モデム130と、アプリケーションプロセッサ140とを含むチップセットへ、高いシステム性能を提供するために、アンテナ114とチューナ回路構成112との間に配置され得る。ダイプレクサ190は、高帯域周波数と低帯域周波数の両方に対して周波数ドメイン多重化を行う。ダイプレクサ190が、その周波数多重化機能を入力信号に対して行った後に、ダイプレクサ190の出力は、コンデンサ116とインダクタ118とを含む任意選択のインダクタ/コンデンサ(LC)ネットワークへ供給される。LCネットワークは、望まれる場合には、アンテナ114のための追加のインピーダンス整合構成要素を提供してもよい。次いで、特定の周波数を有する信号が、アンテナ114によって送信または受信される。単一のコンデンサおよびインダクタが示されているが、複数の構成要素も想定される。
【0023】
[0032]図2は、第1のダイプレクサ190-1を含むワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)(たとえばWi-Fi(登録商標))モジュール170と、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを含む、チップセット160のための第2のダイプレクサ190-2を含む無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュール150とを有する、無線周波数集積回路(RFIC)チップ200の概略図である。Wi-Fiモジュール170は、アンテナ192をワイヤレスローカルエリアネットワークモジュール(たとえば、WLANモジュール172)へ通信可能に結合する第1のダイプレクサ190-1を含む。RFFEモジュール150は、アンテナ194をデュプレクサ180を通じてワイヤレス送受信機(WTR)120へ通信可能に結合する第2のダイプレクサ190-2を含む。ワイヤレス送受信機120とWi-Fiモジュール170のWLANモジュール172とは、電力管理集積回路(PMIC)156を通じて電源152によって電力供給されるモデム(移動局モデム(MSM)、たとえば、ベースバンドモデム)130に結合される。チップセット160は、コンデンサ162および164、ならびに信号完全性を提供するためのインダクタ166も含む。
【0024】
[0033]電力管理集積回路(PMIC)156、モデム130、ワイヤレス送受信機120、およびワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)モジュール172は各々、コンデンサ(たとえば、158、132、122、および174)を含み、クロック154に従って動作する。また、インダクタ166は、モデム130をPMIC156に結合する。無線周波数集積回路(RFIC)チップ200の設計は、本開示の態様によれば、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを含む。
【0025】
[0034]図3は、本開示の態様による、半導体ダイと、集積受動デバイス(IPD)フィルタダイとを含む無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュール300の断面図を例示するブロック図である。この例において、RFFEモジュール300は、基板310によってサポートされる半導体ダイ350と集積受動デバイス(IPD)フィルタダイ320とを含む。半導体ダイ350は、バックエンドオブライン(BEOL)層370を通じてパッケージボール302に結合された半導体基板360(たとえば、アクティブシリコン基板)を有するアクティブダイであり得る。BEOL層370は、半導体基板360(たとえば、ダイシングされたシリコンウェーハ)上に複数のBEOL金属化層(M1、M2、M3、...、Mn)を含む。再分配層312は、パッケージボール302に結合される。
【0026】
[0035]IPDフィルタダイ320は、バックエンドオブライン(BEOL)層340を通じてパッケージボール302に結合された基板330(たとえば、受動基板)を含む。再分配層312は、パッケージボール302を通じてIPDフィルタダイ320に結合される。いくつかの態様において、基板330は、ガラスで構成され、IPDフィルタダイ320は、ガラス基板集積受動デバイス(GIPD)フィルタダイである。IPDフィルタダイ320は、5G NRブロードバンドのFR2フィルタを実装し得る。本開示の態様によれば、IPDフィルタダイ320は、図4Aおよび図4Bに示されるように、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを含む。
【0027】
[0036]図4Aおよび図4Bは、本開示の態様による、ブロードバンドフィルタ内にディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの上面図および斜視図を例示するブロック図である。図4Aに示されるように、ブロードバンドフィルタ410は、図3のIPDフィルタダイ320、たとえば、無線周波数(RF)フィルタおよび/または無線周波数(RF)モジュールなどであり得る。図4Bは、本開示の態様による、変化するディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ420の斜視図を例示する。たとえば、積層インダクタ420は、多層インダクタの第1のディスクリート金属積層パターン430と、第2のディスクリート金属積層パターン440と、第3のディスクリート金属積層パターン450とを含む。
【0028】
[0037]この例において、第1のディスクリート金属積層パターン430および第3のディスクリート金属積層パターン450は、M1金属化層およびM2金属化層で構成されている。また、第2のディスクリート金属積層パターン440は、M1金属化層、M2金属化層、およびM3金属化層で構成されている。第2のディスクリート金属積層パターン440の増加された厚さは、積層インダクタ420の品質(Q)ファクタを増加させながら、インダクタンスを低減させ得る。第2のディスクリート金属積層パターン440によって提供される、改善されたQファクタは、第2のディスクリート金属積層パターン440の抵抗を低減させながら、熱放散ハンドリング能力も改善する。対照的に、第1のディスクリート金属積層パターン430および第3のディスクリート金属積層パターン450は、第2のディスクリート金属積層パターン440に対して、増加されたインダクタンスを有する。第1のディスクリート金属積層パターン430のインダクタンスは、第1のディスクリート金属積層パターン430のより小さい面積に起因して、第3のディスクリート金属積層パターン450のインダクタンスよりも小さい。
【0029】
[0038]本開示の態様において、積層インダクタ420は、積層インダクタ420の所望の特徴に応じて、図4Bのディスクリート金属積層パターンのうちの1つまたは複数を用いて構成される。たとえば、付加的なディスクリート金属積層層が、第2のディスクリート金属積層パターン440を使用して、ブロードバンドフィルタ410の熱ホットスポットに提供されてもよい。また、積層インダクタ420の金属厚さは、第3のディスクリート金属積層パターン450を使用して、ブロードバンドフィルタ410の密集エリアにおいて調整され得る。同様に、積層インダクタ420の層は、第1のディスクリート金属積層パターン430を使用して、層の面積を低減するなど、調整されてもよい。図4Bのディスクリート金属積層パターンは、図4Aのブロードバンドフィルタ410の電気性能の改良および熱緩和を可能にする。
【0030】
[0039]図5は、本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの俯瞰図を例示する図である。図5に示される積層インダクタ500は、図4Aおよび図4Bに示される積層インダクタ420と同様である。この例において、積層インダクタ500は、ライントレースセグメントと角度付きのジョイントトレースセグメントとを含むマルチターントレースで構成されている。角度付きのジョイントトレースセグメントは、45度(45°)の角度で示されている。積層インダクタ500のマルチターントレースは、M1金属化層で構成されているが、積層インダクタ500のマルチターントレースは、図4Bに示されるように、M1金属化層上に積層されたM2金属化層で構成されてもよい。
【0031】
[0040]本開示のこの態様において、積層インダクタ500の角部502は、ディスクリート金属積層パターンの形成のために選択される。この例において、積層インダクタ500の角部502は、積層インダクタ500の角度付きのジョイントトレースセグメントとライントレースセグメントとを含む。角部502は、積層インダクタ500の第1のライントレースセグメント510と第3のライントレースセグメント530との間の第1の角度付きのジョイントトレースセグメント520で構成される。この例において、第1の角度付きのジョイントトレースセグメント520も、45度のジョイントで示され、M1金属化層で構成されている。本開示のこの態様において、第2の角度付きのジョイントトレースセグメント540は、M2金属化層から形成され、ディスクリート金属積層パターン550を形成するために、第1の角度付きのジョイントトレースセグメント520上に積層される。
【0032】
[0041]図6Aおよび図6Bは、本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ600を例示する斜視図および断面図である。図6Aに示される積層インダクタ600は、ディスクリート金属積層パターンを含めて、図5に示される積層インダクタ500と同様である。本開示のこの態様において、積層インダクタ600は、所定の部分に形成されたディスクリート金属積層パターンを含むM1金属化層上に積層されたM2金属化層で構成される、積層されたマルチターントレース610を含む。M1金属化層上に積層されたM2金属化層を含むものとして示されているが、積層されたマルチターントレース610は、図4Bに示されるように、単一の金属化層で構成されてもよい。
【0033】
[0042]この例において、M3金属化層の第1の角度付きのトレースセグメント630は、第1のポート602に近接した、積層されたマルチターントレース610上に形成される。同様に、M3金属化層の第2の角度付きのジョイントトレースセグメント670は、積層インダクタ600の第2のポート604に近接した、積層されたマルチターントレース610上に形成される。積層インダクタ600はまた、積層されたマルチターントレース610上に形成されたM3金属化層の第1の角度付きのトレースセグメント630と、第2の角度付きのトレースセグメント640と、第3の角度付きのトレースセグメント660とを含む。積層インダクタ600は、積層されたマルチターントレース610上に形成されたM3金属化層のライントレースセグメント650をさらに含む。切断線606および608に沿った断面図が、図6Bに示される。
【0034】
[0043]図6Bは、本開示の態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ600を例示する断面図である。この例において、積層インダクタ600の断面図680は、図6Aの切断線606および608に沿った、第1の角度付きのトレースセグメント630および第2の角度付きのトレースセグメント640の部分を例示する。この構成において、第1の角度付きのトレースセグメント630および第2の角度付きのトレースセグメント640は、ビアV2を通じて、積層されたマルチターントレース610に結合される。また、積層されたマルチターントレース610は、M1金属化層上に積層され、ビアV1を通じて結合されるM2金属化層で構成される。
【0035】
[0044]図7Aおよび図7Bは、本開示の態様による、図6Aのディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタの、インダクタンス対周波数グラフ、および品質ファクタ対周波数グラフを例示する。図7Aは、インダクタンス対周波数グラフ700を例示しており、これは、ターゲットインダクタンス1.41ナノ・ヘンリー(nH)を示す。図7Bは、品質(Q)ファクタ対周波数グラフ750を例示しており、これは、ターゲットQファクタ72を示す。ターゲットインダクタンスおよびターゲットQファクタは、本開示の態様による、図6Aのディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ600についての強調されたエリア710内に示されている。
【0036】
[0045]図8は、本開示の一態様による、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを作製するための方法を例示するプロセスフロー図である。方法800は、ブロック802において始まり、ブロック802において、第1の金属化層マルチターントレースが形成される。たとえば、図6Aに示されるように、積層インダクタ600は、所定の部分に形成されたディスクリート金属積層パターンを含むM1金属化層上に積層されたM2金属化層で構成された、積層されたマルチターントレース610を含む。ブロック804において、第2の金属化層マルチターントレースが、第1のビアを通じて第1の金属化層マルチターントレースに結合するように形成される。たとえば、図6Bに示されるように、積層されたマルチターントレース610は、M1金属化層上に積層され、ビアV1を介して結合されるM2金属化層で構成される。
【0037】
[0046]ブロック806において、(複数の)ディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、第2のビアを通じて、第2の金属化層マルチターントレースに結合されるように形成される。たとえば、図6Bに示されるように、M3金属化層の角度付きのジョイントトレースセグメント620は、第1のポート602に近接した、積層されたマルチターントレース610上に形成される。同様に、M3金属化層の第2の角度付きのジョイントトレースセグメント670は、積層インダクタ600の第2のポート604に近接した、積層されたマルチターントレース610上に形成される。積層インダクタ600はまた、積層されたマルチターントレース610上に形成されたM3金属化層の第1の角度付きのトレースセグメント630と、第2の角度付きのトレースセグメント640と、第3の角度付きのトレースセグメント660とを含む。積層インダクタ600は、積層されたマルチターントレース610上に形成されたM3金属化層のライントレースセグメント650をさらに含む。(複数の)ディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントは、所定のパターンに従った第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う。
【0038】
[0047]本開示の態様は、5G NRブロードバンドFR2フィルタのための特別な設計を提供するために、改善された金属積層パターンを実装することによって、ブロードバンドフィルタ内のインダクタのキーパフォーマンスインジケータ(KPI)を改善する。特別な設計は、新規なインダクタ金属積層パターンを提供することによって、インダクタ金属層を改善する。この特別な設計は、ブロードバンドフィルタの電流密集エリアにおける金属厚さを再構成し得る。いくつかの態様において、この特別な設計は、ブロードバンドフィルタの熱ホットスポット(たとえば、最大で100℃まで)に、より多くの金属層を追加し得る。本開示のいくつかの態様は、インダクタの所望のオンインダクタンスを提供するために、カスタマイズされた金属積層パターンを提供する。これらのカスタマイズされた金属積層パターンは、熱緩和を改善しながら、ブロードバンドフィルタの電気性能(たとえば、挿入損失および除去)を有益に改善する。カスタマイズされた金属積層パターンは、厚い銅(Cu)層処理についての化学機械研磨(CMP)比も改善する。
【0039】
[0048]図9は、本開示の態様が有利に採用され得る、例示的なワイヤレス通信システム900を示すブロック図である。例示の目的のために、図9は、3つの遠隔ユニット920、930、および950と、2つの基地局940とを示す。ワイヤレス通信システムは、さらに多くの遠隔ユニットおよび基地局を有してもよいことが認識されるであろう。遠隔ユニット920、930、および950は、ディスクリート金属積層パターンを有する、開示された積層インダクタを含む集積回路(IC)デバイス925A、925C、および925Bを含む。他のデバイス、たとえば、基地局、スイッチングデバイス、およびネットワーク機器なども、開示された積層インダクタを含んでよいことが認識されるであろう。図9は、基地局940から遠隔ユニット920、930、および950へのフォワードリンク信号980と、遠隔ユニット920、930および950から基地局940へのリバースリンク信号990とを示す。
【0040】
[0049]図9において、遠隔ユニット920は携帯電話として示され、遠隔ユニット930はポータブルコンピュータとして示され、遠隔ユニット950は、ワイヤレスローカルループシステムにおける固定ロケーション遠隔ユニットとして示されている。たとえば、遠隔ユニットは、携帯電話、携帯型パーソナル通信システム(PCS:personal communication system)ユニット、パーソナルデータアシスタントなどのポータブルデータユニット、GPS対応デバイス、ナビゲーションデバイス、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、検針機器などの固定ロケーションデータユニット、または、データもしくはコンピュータ命令を記憶もしくは取得する他のデバイス、または、これらの組み合わせであってもよい。図9は、本開示の態様による遠隔ユニットを例示しているが、本開示は、これらの例示的な例示されているユニットに限定されない。本開示の態様は、開示された積層インダクタを含む、多くのデバイスにおいて適切に採用され得る。
【0041】
[0050]図10は、上記に開示された積層インダクタなどの、半導体構成要素の回路、レイアウト、および論理設計のために使用される設計ワークステーションを例示するブロック図である。設計ワークステーション1000は、オペレーティングシステムソフトウェア、サポートファイル、および、CadenceまたはOrCADなどの設計ソフトウェアを格納するハードディスク1001を含む。設計ワークステーション1000は、回路1010、または、積層インダクタなどの無線周波数(RF)構成要素1012の設計を容易にするためのディスプレイ1002も含む。記憶媒体1004は、回路1010またはRF構成要素1012(たとえば、ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタ)の設計を有形に記憶するために提供される。回路1010またはRF構成要素1012の設計は、GDSIIまたはGERBERなどのファイルフォーマットで、記憶媒体1004上に記憶され得る。記憶媒体1004は、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ハードディスク、フラッシュメモリ、または他の適当なデバイスであってよい。さらに、設計ワークステーション1000は、記憶媒体1004から入力を受け取るための、および記憶媒体1004に出力を書き込むためのドライブ装置1003を含む。
【0042】
[0051]実装例は、以下の番号が付けられた条項において説明される。
【0043】
1.第1の金属化層マルチターントレースと、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースと、
複数の第2のビアを通じて、第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントと
を備える、インダクタ。
【0044】
2.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントが、所定のパターンに従った第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、条項1のインダクタ。
【0045】
3.第1の金属化層マルチターントレースが、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを備える、条項1または2のインダクタ。
【0046】
4.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第1の1つ(第3の金属化層トレースセグメント)の厚さが、複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第2の1つ(第3の金属化層トレースセグメント)の厚さと異なる、条項1~3のいずれかのインダクタ。
【0047】
5.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントが、ライントレースセグメント、角度付きのジョイントトレースセグメント、または角度付きのトレースセグメントを備える、条項1~4のいずれかのインダクタ。
【0048】
6.インダクタが、集積受動デバイス(IPD)へ一体化されている、条項1~5のいずれかのインダクタ。
【0049】
7.IPDが、無線周波数(RF)フィルタに一体化されている、条項6のインダクタ。
【0050】
8.IPDが、無線周波数(RF)モジュールに一体化されている、条項6のインダクタ。
【0051】
9.ディスクリート金属積層パターンを有する積層インダクタを作製するための方法であって、
第1の金属化層マルチターントレースを形成することと、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレースを形成することと、
複数の第2のビアを通じて、第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することと
を備える、方法。
【0052】
10.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することが、所定のパターンに従った第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを堆積させることを備える、条項9の方法。
【0053】
11.第1の金属化層マルチターントレースを形成することが、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを形成することを備える、条項9または10の方法。
【0054】
12.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを形成することが、ライントレースセグメント、角度付きのトレースセグメント、または角度付きのジョイントトレースセグメントを形成することを備える、条項9~11のいずれかの方法。
【0055】
13.積層インダクタを集積受動デバイス(IPD)へ一体化することをさらに備える、条項9~12のいずれかの方法。
【0056】
14.IPDを無線周波数(RF)フィルタに一体化することをさらに備える、条項13のいずれかの方法。
【0057】
15.IPDを無線周波数(RF)モジュールに一体化することをさらに備える、条項13のいずれかの方法。
【0058】
16.無線周波数フロントエンド(RFFE)モジュールであって、
半導体ダイと、
半導体ダイに結合され、インダクタを備える集積受動デバイス(IPD)ダイとを備え、インダクタが、
第1の金属化層マルチターントレース、
少なくとも1つの第1のビアを通じて、第1の金属化層マルチターントレースに結合された第2の金属化層マルチターントレース、および
複数の第2のビアを通じて、第2の金属化層マルチターントレースに結合された複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントを備える、RFFEモジュール。
【0059】
17.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントが、所定のパターンに従った第2の金属化層マルチターントレースの形状に従う、条項16のRFFEモジュール。
【0060】
18.第1の金属化層マルチターントレースが、角度付きのジョイントトレースセグメントおよび/または角度付きのトレースセグメントに結合されたライントレースセグメントを備える、条項16または17のRFFEモジュール。
【0061】
19.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第1の1つ(第3の金属化層トレースセグメント)の厚さが、複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントのうちの第2の1つ(第3の金属化層トレースセグメント)の厚さと異なる、条項16~18のいずれかのRFFEモジュール。
【0062】
20.複数のディスクリートな第3の金属化層トレースセグメントが、ライントレースセグメント、角度付きのジョイントトレースセグメント、または角度付きのトレースセグメントを備える、条項16~19のいずれかのRFFEモジュール。
【0063】
[0052]記憶媒体1004上に記録されたデータは、論理回路構成、フォトリソグラフィマスクのためのパターンデータ、または電子線リソグラフィなどの連続書き込みツールのためのマスクパタンデータを特定し得る。データは、論理検証データ、たとえば、論理シミュレーションに関連付けられたタイミング図またはネット回路などをさらに含んでもよい。記憶媒体1004上にデータを提供することは、半導体ウェーハを設計するための処理の数を減少させることによって、回路1010または無線周波数(RF)構成要素1012の設計を容易にする。
【0064】
[0053]ファームウェア実装および/またはソフトウェア実装の場合、方法論は、本明細書において説明された機能を行うモジュール(たとえば、プロシージャ、関数など)により実装され得る。命令を有形に具現化した機械可読媒体は、本明細書において説明された方法論を実装する際に使用され得る。たとえば、ソフトウェアコードが、メモリ内に記憶され、プロセッサユニットによって実行されてもよい。メモリは、プロセッサユニット内に実装されても、またはプロセッサユニットの外部に実装されてもよい。本明細書において使用される場合、「メモリ」という用語は、長期間、短期間、揮発性、不揮発性、または他のメモリのタイプを指し、特定のタイプのメモリもしくは特定の数のメモリ、またはメモリが記憶された媒体のタイプに限定されない。
【0065】
[0054]ファームウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶され得る。例は、データ構造が符号化されたコンピュータ可読媒体と、コンピュータプログラムが符号化されたコンピュータ可読媒体とを含む。コンピュータ可読媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る、利用可能な媒体であってよい。限定ではなく、例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)もしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、または、命令もしくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る他の媒体を含むことができる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ただし、ディスク(disks)は通常、データを磁気的に再生するのに対して、ディスク(discs)は、レーザによりデータを光学的に再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきものである。
【0066】
[0055]コンピュータ可読媒体上の記憶に加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含まれる送信媒体上の信号として提供され得る。たとえば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有する送受信機を含んでもよい。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲において概説される機能を実装させるように構成される。
【0067】
[0056]本開示およびその利点が詳細に説明されてきたが、様々な変更、置換、および修正が、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の技術から逸脱せずに、本明細書において行われ得ることが理解されるべきである。たとえば、「上方」および「下方」などの関係用語が、基板または電子デバイスに関して使用される。当然ながら、基板または電子デバイスが反転された場合、上方は下方になり、その逆もまた同様である。また、横に向けられた場合、上方および下方は、基板または電子デバイスの両側を指し得る。さらに、本出願の範囲は、本明細書において説明された処理、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の構成に限定されることを意図されていない。当業者が本開示から容易に認識するであろうように、本明細書において説明された対応する構成と実質的に同じ機能を行い、または実質的に同じ結果を達成する、現存するまたは将来開発されることになる処理、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップは、本開示に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、それらの範囲内に、そのような処理、機械、製品、組成物、手段、方法、またはステップを含むように意図されている。
【0068】
[0057]当業者は、本明細書における開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装され得ることをさらに認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に例示するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、概してそれらの機能性の観点から、上記に説明されてきた。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途およびシステム全体に課される設計制約条件に依存する。熟練した職人は、説明された機能性を特定の用途ごとに様々な手法で実装し得るが、そのような実装決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきでない。
【0069】
[0058]本明細書における開示に関連して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートなゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートなハードウェア構成要素、または、本明細書において説明された機能を行うように設計された、これらの任意の組み合わせにより、実装され、または行われ得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替例において、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサも、コンピューティングデバイスの組み合わせ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0070】
[0059]本開示に関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアにおいて、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにおいて、または、この2つの組み合わせにおいて、具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、または本技術分野において知られている任意の他の形式の記憶媒体において存在し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替例において、記憶媒体は、プロセッサと一体であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末内に存在し得る。代替例において、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末においてディスクリート構成要素として存在してもよい。
【0071】
[0060]1つまたは複数の例示的な設計において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、これらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。ソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶されても、または送信されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であってよい。限定ではなく、例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)もしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、または、特定されたプログラムコード手段を命令もしくはデータ構造の形式で搬送もしくは記憶するために使用され得、汎用コンピュータもしくは専用コンピュータ、もしくは汎用プロセッサもしくは専用プロセッサによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体と適当に名付けられる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、デジタル加入者線(DSL)、またはワイヤレス技術、たとえば、赤外線、無線、およびマイクロ波などを使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔源から送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、DSL、またはワイヤレス技術、たとえば、赤外線、無線、およびマイクロ波は、媒体の定義に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクを含み、ただし、ディスク(disks)は通常、データを磁気的に再生するのに対して、ディスク(discs)は、レーザによりデータを光学的に再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきものである。
【0072】
[0061]本開示の先行する説明は、いかなる当業者も本開示を行うことまたは使用することを可能にするために提供されている。本開示に対する様々な変形は、当業者にとって容易に明らかになり、本明細書において定義されている一般的な原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱せずに、他のバリエーションに対して適用され得る。したがって、本開示は、本明細書において説明された例および設計に限定されることを意図されていないが、本明細書において開示された原理および新規な特徴に一致する最も広い範囲に合致するべきものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
【国際調査報告】