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特表2024-511719亜鉛およびホウ素含有強化木材防腐剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】亜鉛およびホウ素含有強化木材防腐剤
(51)【国際特許分類】
   B27K 3/52 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B27K3/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553948
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022020956
(87)【国際公開番号】W WO2022198051
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,219
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/166,733
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21169455.9
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ARXADA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ニチェンコ,エド
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジャーヤシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマソン,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】リホン,ジン
【テーマコード(参考)】
2B230
【Fターム(参考)】
2B230AA02
2B230AA11
2B230BA01
2B230CA03
2B230CA17
2B230CA19
2B230CB17
2B230CB21
(57)【要約】
銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤を含む木材防腐剤組成物、ならびに銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤を含む木材防腐剤組成物を製造する方法が提供される。木材防腐剤組成物は、銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)銅含有殺生物剤、
(b)亜鉛含有殺生物剤、
(c)ホウ素含有殺生物剤、および
(d)少なくとも1種の有機殺生物剤
を含む、木材防腐剤組成物。
【請求項2】
前記有機殺生物剤が、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項3】
前記銅含有殺生物剤が、塩基性炭酸銅、酸化銅またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項4】
前記亜鉛含有殺生物剤が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項5】
前記ホウ素含有殺生物剤が、ホウ酸、四ホウ酸二ナトリウム五水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項6】
前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸である、請求項1から4のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項7】
前記有機殺生物剤がアゾール類である、請求項1から6のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項8】
前記有機殺生物剤が第4級アンモニウム化合物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項9】
前記有機殺生物剤がペンフルフェンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項10】
前記有機殺生物剤がイソチアゾロン類である、請求項1から9のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項11】
前記アゾール類がテブコナゾールを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項12】
前記アゾール類がテブコナゾール、プロピコナゾールまたはこれらの混合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項13】
前記アゾール類が銅含有殺生物剤と錯体を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項14】
前記アゾール類が微粉化アゾール類粒子を含み、前記微粉化アゾール類粒子の50%以上が、約1ミクロン未満の中位粒径を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項15】
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、前記アゾール類がテブコナゾールを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項16】
請求項1から9のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物であって、
前記組成物の総重量を基準にして、前記銅含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記亜鉛含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成し、前記ホウ素含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記有機殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成する、木材防腐剤組成物。
【請求項17】
約3~約10のpHを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項18】
アルカノールアミン類をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項19】
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅の亜鉛に対する重量比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項20】
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅のホウ素含有殺生物剤に対する重量比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項21】
前記亜鉛含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、亜鉛のホウ素含有殺生物剤に対する重量比が約5:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項22】
前記亜鉛含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、亜鉛のホウ素含有殺生物剤に対する重量比が約3:1~約1:1.5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項23】
請求項1から16のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物で処理された木材系製品。
【請求項24】
(a)銅含有殺生物剤、
(b)亜鉛含有殺生物剤、
(c)ホウ素含有殺生物剤、および
(d)有機殺生物剤
を含む、木材防腐剤組成物であって、
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅の亜鉛に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅のホウ素含有殺生物剤に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、アゾール類がテブコナゾールを含む、
木材防腐剤組成物。
【請求項25】
請求項1から19のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物で木材を処理する方法であって、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および少なくとも1種のアゾール類が、一段階法で木材に注入される、方法。
【請求項26】
木材防腐剤組成物を製造する方法であって、
(a)銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部を分散させるステップと、
(b)少なくとも1種のアゾール類を微粉化して微粉化アゾール類を製造するステップと、
(c)ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤を前記銅含有殺生物剤、前記亜鉛含有殺生物剤、および前記微粉化アゾール類と合わせるステップと
を含み、
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:1であるように前記木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅イオンのホウ素含有殺生物剤に対する比が約15:1~約1:5であるように前記木材防腐剤組成物中に存在する、
方法。
【請求項27】
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤を少なくとも1種の分散剤と共に粉砕するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
組成物の総重量を基準にして、前記銅含有殺生物剤が、前記組成物の約1重量%~約75重量%を構成し、前記亜鉛含有殺生物剤が、前記組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成し、前記ホウ素含有殺生物剤が、前記組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記アゾール類が、前記組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成する、請求項21および22の任意の組み合わせの方法。
【請求項29】
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、前記アゾール類がテブコナゾールを含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、いずれも参照により本明細書に援用される2021年3月19日に出願された米国仮特許出願第63/163,219号および2021年3月26日に出願された第63/166,733号に基づくものであり、これらの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
木材製品および他のセルロース系製品は、カビ、真菌および昆虫、例えばシロアリを含む様々なタイプの生物からの攻撃を受ける。これらの生物による攻撃は、木材および他のセルロース系製品中の木材を腐朽させ得、製品の質量および構造的完全性を低減する。微生物の攻撃に対抗するために、様々なタイプの木材防腐処理剤が開発されており、現在市場に存在する。これらの木材防腐処理剤は、沈積、噴霧もしくははけ塗りによって、または真空圧浸漬によって表面に直接塗布され得る。防腐剤を工業的に塗布する際、木材ならびに木材系およびセルロース系製品は、基材へのシェルまたはフルセル型いずれかの浸透を達成するために、典型的には処理液に含浸させる。処理される木材種および最終用途に応じて、木材および他のセルロース系製品への防腐剤溶液の浸透深さは、処理される木材および他のセルロース系製品の有用な耐用年数に著しく影響し得る。
【0003】
銅-有機木材防腐剤は、接地防腐剤(ground contact preservative)として世界中で成功裏に用いられてきた。しかし、このような組成物に対する抵抗性が判明しており、銅系防腐剤を含有する木材の汚染および劣化を引き起こす真菌が存在する。他のタイプの殺生物性金属化合物、例えば亜鉛も木材を処理するために使用できる。その使用はおそらく銅ほど普及していないが、殺生物性金属イオンとして亜鉛を単独または銅との組合せのいずれかで含むいくつかの木材防腐剤が市販されている。しかし、これらの既存の組成物は、他の問題に加えて、銅単独と同じ有効量で一緒に使用した場合、亜鉛が(1)銅耐性菌を適切に制御できないか、または(2)銅以外の耐性菌に対しても十分な効力を欠くいずれかの問題がある。
【0004】
非金属系代替物、例えばアゾール類およびホウ素系殺生物剤は、金属耐性菌に対抗するために、金属系防腐剤と組み合わせて用いられてきた。しかし、アゾール類およびホウ素系殺生物剤は、単独でまたは組合せで浸出性を含む欠点を示すことが見出された。
【0005】
アゾール類は、商業的使用ではまれな極めて高い濃度を除き、ある特定の攻撃的な褐色腐朽菌に対する効力が限られていることが見出された。アゾール類および他の有機殺生物剤は、処理される材木の断面にわたって急な浸透勾配を有することが公知である。材木の内部は、外部と比較して極めて低いアゾール濃度を示し得、木材は真菌による攻撃をより受けやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホウ酸塩類は、広範囲の木材腐朽菌に対して非常に有効な防腐剤である。しかし、ホウ酸防腐剤は、一般に、金属系防腐剤より浸出率が高くなりやすい可溶性化合物である。
【0007】
したがって、強化された殺菌効力を発揮する木材防腐剤組成物が必要とされている。銅耐性菌に対して改善された効力を示す木材防腐剤組成物を提供することはさらに有益である。さらに、銅耐性菌を含む真菌に対する長期の効力、ならびに木材、木材製品および他のセルロース系製品の内部の保護およびこれらの内部への浸透の改善を示す殺生物性組成物を提供することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、全体的に木材防腐剤組成物を対象とする。木材防腐剤組成物は、銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を示す。得られた木材防腐剤組成物は、木材および他のセルロース系材料の防腐に好適である。
【0009】
一実施形態において、木材防腐剤組成物は、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤を含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅の亜鉛に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。追加的に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅のホウ酸当量に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。
【0010】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅、酸化銅またはこれらの組合せを含むことができる。
【0011】
本発明で使用される銅含有殺生物剤は、微粉化形態で分散された形態で使用されるか、または0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する微紛化形態で使用される場合、アミノ化合物と錯体を形成することができる。本明細書に開示される組成物で使用される微粉化銅殺生物剤の粒径は、0.01~10.0ミクロン、0.05~10ミクロン、0.1~10.0ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。より均一な浸透が所望される場合、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化銅殺生物剤化合物の粒径は、0.05~1.0ミクロンであってもよい。
【0012】
亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができる。
【0013】
本発明で使用される亜鉛含有殺生物剤は、0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する微粉化形態で使用されるか、またはアミノ化合物と錯体を形成することができる。本明細書に開示される組成物で使用される微粉化亜鉛殺生物剤の粒径は、0.01~10ミクロン、0.05~10ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。より均一な浸透が所望される場合、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化亜鉛殺生物剤化合物の粒径は、0.05~1.0ミクロンであってもよい。
【0014】
ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸、四ホウ酸二ナトリウム五水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物またはこれらの組合せを含むことができる。
【0015】
ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸であってもよい。
【0016】
有機殺生物剤は、殺真菌剤から選択される。
【0017】
有機殺生物剤は、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0018】
本発明で使用される有機殺生物剤は、0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する微粉化形態であってもよい。本明細書に開示される組成物で使用される微粉化有機殺生物剤の粒径は、0.01~10ミクロン、0.05~10ミクロン、0.1~10.0ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。
【0019】
有機殺生物剤は、アゾール類であってもよい。
【0020】
アゾール類は、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、トリアゾール類またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0021】
有機殺生物剤は、1,2,4-トリアゾール類であってもよい。
【0022】
1,2,4-トリアゾール類は、シプロコナゾール、フェンブコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリチコナゾールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0023】
1,2,4-トリアゾール類は、テブコナゾールもしくはプロピコナゾールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0024】
1,2,4-トリアゾール類は、テブコナゾールから選択することができる。
【0025】
1,2,4-トリアゾール類は、プロピコナゾールから選択することができる。
【0026】
アゾール類は、銅含有殺生物剤と錯体を形成することができる。
【0027】
本発明で使用されるアゾール類は、0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する微粉化形態であってもよい。本明細書に開示される組成物で使用される微粉化アゾール類の粒径は、0.01~10ミクロン、0.05~10ミクロン、0.1~10.0ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。より均一な浸透が所望される場合、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化アゾール化合物の粒径は、0.05~1.0ミクロンであってもよい。
【0028】
有機殺生物剤は、第4級アンモニウム化合物であってもよい。
【0029】
第4級アンモニウム化合物は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムおよびこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0030】
有機殺生物剤は、イソチアゾロン類であってもよい。
【0031】
イソチアゾロン化合物は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、5-クロロ-2n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(COIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(MBIT)もしくは2-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3(2H)-オン(BBIT)またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0032】
イソチアゾロン化合物は、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)であってもよい。
【0033】
有機殺生物剤は、ピラゾールカルボキサミド類であってもよい。
【0034】
ピラゾールカルボキサミド類は、ペンフルフェンであってもよい。
【0035】
有機殺生物剤は、フェニルピラゾール類であってもよい。
【0036】
有機殺生物剤は、ハロアルキニル化合物であってもよい。
【0037】
ハロアルキニル化合物は、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)であってもよい。
【0038】
有機殺生物剤は、銅含有殺生物剤と錯体を形成することができる。
【0039】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物またはこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0040】
組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、有機殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0041】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、アゾール類を含むことができる。
【0042】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、アゾール類は、テブコナゾールもしくはプロピコナゾールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0043】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、アゾール類は、テブコナゾールを含むことができる。
【0044】
組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、アゾール類は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0045】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、ピラゾールカルボキサミド類を含むことができる。
【0046】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、ピラゾールカルボキサミド類は、ペンフルフェンから独立して選択することができる。
【0047】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、ピラゾールカルボキサミド類は、ペンフルフェンを含むことができる。
【0048】
一実施形態において、組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、ピラゾールカルボキサミド類は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0049】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、第4級アンモニウム化合物を含むことができる。
【0050】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、第4級アンモニウム化合物は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0051】
一実施形態において、組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、第4級アンモニウム化合物は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0052】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、イソチアゾロン類を含むことができる。
【0053】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、イソチアゾロン類は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、5-クロロ-2n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(COIT)、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(MBIT)もしくは2-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3(2H)-オン(BBIT)またはこれらの組合せを含む群から独立して選択することができる。
【0054】
一実施形態において、組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、イソチアゾロン類は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0055】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、有機殺生物剤は、ハロアルキニル化合物を含むことができる。
【0056】
一実施形態において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、ハロアルキニル化合物は、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)を含むことができる。
【0057】
一実施形態において、組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、ハロアルキニル化合物は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0058】
一実施形態において、組成物は、約3~約10のpHを有することができる。
【0059】
一実施形態において、組成物は、アルカノールアミン類をさらに含むことができる。
【0060】
一実施形態において、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅の亜鉛に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5、15:1~約1:1、10:1~約1:5、10:1~約1:2、10:1~約1:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0061】
一実施形態において、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅のホウ酸当量に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5、15:1~約1:1、10:1~約1:5、10:1~約1:2、10:1~約1:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0062】
一実施形態において、亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、亜鉛のホウ酸当量に対する比が重量を基準にして約5:1~約1:5、約3:1~約1:1.5であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0063】
木材および他のセルロース系製品は、記載の木材防腐剤組成物のいずれかで処理できる。木材および他のセルロース系製品において、銅は、木材系製品の約200g/m(1立方メートルあたりのグラム)~約7.5kg/m(1立方メートルあたりのキログラム)の量で存在し得、亜鉛は、該製品の約40g/m~約1.5kg/mの量で存在し得、ホウ酸当量は、該製品の約40g/m~約3kg/mの量で存在し得、有機殺生物剤は、該製品の約20g/m~約260g/mの量で存在し得る。
【0064】
一実施形態において、木材防腐剤組成物は、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅の亜鉛に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅のホウ酸当量に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含む。亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含む。ホウ素含有殺生物剤はホウ酸を含む。アゾール類はテブコナゾールを含む。
【0065】
本発明は、開示の木材防腐剤組成物のいずれかで木材を処理する方法をさらに提供する。方法において、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤は、一段階法で木材に注入することができる。
【0066】
木材防腐剤組成物を製造する方法が記載される。方法は、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部を分散させるステップと、少なくとも1種の有機殺生物剤を微粉化して微粉化有機殺生物剤を製造するステップと、ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤を銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤および微粉化有機殺生物剤と合わせるステップとを含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅の亜鉛に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。追加的に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅のホウ酸当量に対する比が重量を基準にして約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。
【0067】
銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、少なくとも1種の分散剤と共に粉砕することができる。
【0068】
組成物の総重量を基準にして、銅含有殺生物剤は、組成物の約1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、有機殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0069】
銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、アゾール類は、テブコナゾールを含むことができる。
【0070】
上に列挙した実施形態はそれぞれ、ある特定の実施形態において上に列挙した他の実施形態のうちの1つまたは複数と組み合わされ得る。
【0071】
本発明のこれらおよび他の特徴、実施形態および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解される。本明細書に援用され、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と一緒に本発明の原理を説明する役割を果たす。
定義
ここで、用語「D50」または「D50粒径」は、試料体積の50%の粒子が、その範囲または値を下回るサイズを有する体積中位粒径を指す。
【0072】
類似的に、ここで、用語「D95」または「D95粒径」は、試料体積の99%の粒子が、その範囲または値を下回るサイズを有する値を指す。
【0073】
ここで、本明細書で使用する用語「粒径」は、他に特に言及しない限り、中位粒径D50を指す。
【0074】
用語「中位粒径」および「平均粒径」および「D50」は、本明細書で交換可能に使用される。
【0075】
ここで、本明細書で使用する用語「微粉化」は、0.01~25ミクロンの範囲の中位粒径(D50)を意味する。
【0076】
用語「ミクロン(μ)」および「マイクロメートル(μm)」は本明細書で交換可能に使用される。
【0077】
ここで、本明細書で使用する用語「防腐剤」は、組成物が塗布される材料を、組成物が塗布されない同じ材料より昆虫、真菌および微生物の攻撃に対してより抵抗性にする組成物を意味する。
【0078】
ここで、用語「木材」は、木材および他のセルロース系製品を指す。用語「木材」、「材木」および「木材製品」は交換可能に使用される。
【0079】
ここで、用語「セルロース系木材製品」は、木材;木材製品、例えば複合木材製品(配向性ストランドボード、パーティクルボード、合板、単板積層材(LVL)および他の積層木材製品など);紙および紙製品;セルロース成分を有する織物;ロープおよびセルロース繊維を含有する他の製品などを含む。
【0080】
ここで、用語「ホウ素含有殺生物剤」は、他に特に言及しない限り、元素であるホウ素を含有する化合物、例えばホウ素含有鉱物、ホウ酸化合物、ホウ素エステル化合物および他の有機もしくは無機ホウ素含有化合物などを指すことが意図される。
【0081】
ここで、重量を基準にした銅の亜鉛に対する比は、得られた結果の比較を可能にするために、任意の銅化合物中の銅含有量および任意の亜鉛化合物中の亜鉛含有量に基づき算出される。
【0082】
ここで、重量を基準にした銅のホウ酸当量(BAE)に対する比は、得られた結果の比較を可能にするために、任意の銅化合物中の銅含有量および任意のホウ素化合物中のBAE含有量に基づき算出される。
【0083】
ここで、重量を基準にした亜鉛のホウ酸当量(BAE)に対する比は、得られた結果の比較を可能にするために、任意の亜鉛化合物中の亜鉛含有量および任意のホウ素化合物中のBAE含有量に基づき算出される。
【0084】
ここで、用語「ホウ酸当量」は、得られた結果の比較を可能にするためにホウ酸当量(BAE)に変換したホウ素の量を指す。ホウ素含有殺生物剤は、様々なレベルのホウ素を含有することができる。様々なホウ素含有殺生物剤を比較するために、ホウ素の量を、ホウ酸当量(BAE)に変換した。以下の例において、ホウ酸当量(BAE)を、以下の変換係数を用いて算出した:
【0085】
【表1】
【0086】
例えば、ホウ砂が木材ブロックに1,000ppmの濃度で保持される場合、ホウ酸当量は1、000ppm0.646=646ppmである。
【0087】
ここで、用語「約」、「およそ」または「一般に」は、値を修飾するために使用される場合、値は10%上昇または低下し得、開示された態様、例えば7.5%、例えば5%、例えば4%、例えば3%、例えば2%、例えば1%内またはそれらの間の任意の範囲もしくは値にとどまり得ることを示す。さらに、用語「実質的に含まない」は、材料中の物質の量を記載するために使用される場合、全くまたは完全に含まないことに限定されるべきではなく、材料中の列挙した物質の任意の感知可能なまたは検出可能な量の欠如に対応し得る。したがって、例えば、材料中の物質の量が、材料中の物質の量を測定するための工業的に許容される装置または試験の精度未満である場合、材料は物質を「実質的に含まない」。ある特定の例示的な実施形態において、材料中の物質の量が材料の10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満または0.1重量%未満である場合、材料は物質を「実質的に含み得ない」。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本開示は、非常に有効な木材防腐組成物を提供する、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および少なくとも1種の有機殺生物剤の予想外の相乗的組合せを対象とする。驚くべきことに、本開示によって調製される木材防腐剤組成物は、有効成分間の顕著な相乗作用を示し、同じまたは類似の総金属系殺生物剤濃度でも銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を提供する。追加的に、本開示は、開示された組成物が木材または木材系製品の処理に利用される場合、得られた木材または木材系製品は、木材または木材系製品のコア層と外層の両方において銅耐性菌に対して改善された特性および改善された長期的保護を示すことを見出した。
【0089】
本発明の木材防腐剤組成物は、広範なスペクトルの木材腐朽菌に対して使用できる。典型的な木材腐朽菌は、褐色腐朽菌、白色腐朽菌および軟腐朽菌を含む。褐色腐朽菌の例は、コニオホラ・プテアナ、セルプラ・ラクリマンス、フィブロポリア・ラジクロサ、フィブロポリア・ヴァイランティ、フォミトプシス・パルストリス、グロエオフィラム・トラベウム、グロエオフィラム・セピアリウム、レンチナム・レピデウス、オリゴポラス・プラセンタ、メルリポリア・インクラサッタ(Merulliporia incrassate)、ダエダレア・クエルキナ、ポスティア・プラセンタ、フェオロス・シュヴァイニツィイ(Phaeolus schweinitizii)およびフォミトプシス・ピニコラである。白色腐朽菌の例は、トラメテス・ヴェルシカラー、ファネロケーテ・クリソスポリウム、プレウロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、シゾフィラム・コムーネ、イルペックス・ラクテウスである。軟腐朽菌の例は、ケトミウム・グロボスム、レシトフォラ・ホフィナンニ(Lecythophora hoffinannii)、モノジクチス・プトレディニス、フミコラ・アロパロネラ、セファロスポリウム、アクレモニウムおよびケトミウムである。
【0090】
さらに本開示は、殺生物性金属(銅)に対して特定量のホウ素含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤を組み込むことにより、相乗効果が示され得、銅耐性菌を含む真菌に対抗し、上記の成分のうちのいずれか1つもしくは複数を単独でまたは本開示の比以外の量で含有する殺生物剤によって以前に示されたものより強固な防腐および長期的防腐をもたらすことを見出した。例えば、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、重量を基準にして約15:1~約1:5、例えば約12.5:1~約2:1、例えば約10:1~約3:1、例えば約9:1~約4:1、例えば約8:1~約5:1、例えば15:1~約1:5、例えば15:1~約1:1、例えば10:1~約1:5、例えば10:1~約1:2、例えば10:1~約1:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の銅の亜鉛に対する重量比が防腐剤組成物において提供されるような量で、防腐剤組成物中に存在し得る。
【0091】
同様に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、重量を基準にして約15:1~約1:5、例えば約12.5:1~約1.5:1、例えば約10:1~約2:1、例えば約9:1~約3:1、例えば約8:1~約4:1、15:1~約1:5、15:1~約1:1、10:1~約1:5、10:1~約1:2、10:1~約1:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の銅のホウ酸当量として表されるホウ素含有殺生物剤に対する比が、防腐剤組成物において提供されるような量で、防腐剤組成物中に存在し得る。特に、上で考察したように、本開示は、銅含有殺生物剤を亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤で補うことによって、銅耐性菌を含む真菌に対して優れた保護が示されることを見出した。
【0092】
例えば、本開示は、上記の比で銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含有する組成物の部分阻止濃度の合計が、標的微生物に対して、特に褐色腐朽菌に対して試験した場合、1(一つ(one))未満であり得ることを見出した。部分阻止濃度は、単独で使用した場合に発育を制御するのに必要とされる殺生物剤の量で割った混合物中での発育を制御した殺生物剤の濃度として算出される。特に、ここでは、部分阻止濃度は、銅耐性菌であるフィブロポリア・ラジクロサの発育を制御するのに必要とされる銅およびアゾール類を単独で含有する組成物の量に対して算出される。殺生物剤の部分阻止濃度は、標的微生物に対して試験した場合、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類の混合物中での抗微生物活性に起因し得る殺生物剤の濃度を、銅含有殺生物剤とアゾール類の組合せの最小発育阻止濃度で割ることによって算出することができる。最小発育阻止濃度は、単独で使用した場合に発育阻止を示した殺生物剤の最小濃度である。本開示によれば、特定の微生物を標的とする場合、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤の部分阻止濃度の合計は、亜鉛およびホウ素と組み合わせて使用した場合、約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満であり得、これは下記の実施例でより詳細に考察される。当技術分野で公知なように、1(一つ(one))未満の任意の値は、相乗的相互作用を示す。
【0093】
銅含有殺生物剤は、上に列挙した銅の比を提供する任意の殺生物性銅化合物を含み得るが、銅含有殺生物剤は、無機銅塩、例えば炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、ホウ酸塩、フッ化物または酸化物の形態で組成物に組み込まれ得る。
【0094】
本発明の組成物で使用される銅含有殺生物剤は、例えば水酸化銅、酸化銅(I)、酸化銅(II)、炭酸銅、塩基性炭酸銅、硫酸銅、塩基性硫酸銅、酢酸銅、ホウ酸銅、クエン酸銅、塩化銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、8-ヒドロキシキノリン酸銅、ジメチルジチオカルバメート銅、銅オマジン、ナフテン酸銅、クフラネブまたは二塩化ジメチルジチオカルバメート三銅、脂肪酸およびロジン酸の銅塩、エチレンジアミン四酢酸銅およびチオシアン酸銅が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0095】
代替的に、銅含有殺生物剤は、銅錯体、例えばN-ニトロソ-N-シクロヘキシル-ヒドロキシルアミン-銅(銅-HDO)または銅ピリチオン(ビス(2-ピリジルチオ)銅1,1'-ジオキシド、CAS番号14915-37-8)、銅エチレンジアミン錯体、銅トリエタノールアミン錯体、銅二酢酸二アンモニウム錯体および銅エタノールアミン錯体の形態であってもよい。
【0096】
銅含有殺生物剤は、銅(II)イオンの形態であってもよい。例えば、銅(II)の形態は、塩基性塩化銅、塩基性炭酸銅(Cu(OH)CO)、酢酸銅(II)、銅炭酸アンモニウム錯体、水酸化銅(II)、酸化銅(II)、オキシ塩化銅、オキシ塩化硫酸銅、銅アンモニウム錯体、クエン酸銅のキレート、グルコン酸銅のキレートおよび硫酸銅(II)五水和物を含む。
【0097】
一実施形態において、銅は、炭酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される。
【0098】
一実施形態において、銅化合物は、塩基性炭酸銅である。
【0099】
一実施形態において、本発明で使用される銅含有殺生物剤は、0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する銅化合物の形態である。一実施形態において、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化銅化合物の粒径は、0.01~10ミクロン、0.05~10ミクロン、0.1~10.0ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。より均一な浸透が所望される場合、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化銅化合物の粒径は、0.05~1.0ミクロンであってもよい。
【0100】
一実施形態において、選択された銅含有殺生物剤のタイプまたは量にかかわらず、銅含有殺生物剤は、微粉化形態でまたは分散剤と組み合わせて存在し得る。例えば、銅粒子は、約25ミクロン以下、例えば約10ミクロン以下、例えば約6ミクロン以下、例えば約5ミクロン以下、例えば約4ミクロン以下、例えば約3ミクロン以下、例えば約2ミクロン以下、例えば約1ミクロン以下の粒径D50を有することができる。
【0101】
銅含有殺生物剤の形態にかかわらず、銅含有殺生物剤は、組成物の約1重量%~約75重量%、例えば組成物の約2重量%~約45重量%、例えば約3重量%~約40重量%、例えば約4重量%~約35重量%、例えば約5重量%~約32.5重量%、例えば約6重量%~約30重量%、例えば約7.5重量%~約27.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で組成物中に存在し得る。
【0102】
本発明の組成物で使用される亜鉛含有殺生物剤は、例えば硫酸亜鉛、塩基性硫酸亜鉛、塩化亜鉛、塩基性塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性リン酸亜鉛、塩基性ホスホ硫酸亜鉛、塩基性硝酸亜鉛、酸化亜鉛、ナフテン酸亜鉛、トリクロロフェノキシド亜鉛、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛または亜鉛ピリチオン(ビス(2-ピリジルチオ)亜鉛1,1'-ジオキシド-CAS番号13463-41-7)が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0103】
一実施形態において、亜鉛含有殺生物剤は、無機亜鉛塩、例えば酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、塩化物、水酸化物、ホウ酸塩、酸化物もしくはリン酸塩の形態で、または有機亜鉛化合物、例えば単純な有機塩、例えばギ酸塩もしくは酢酸塩の形態で、または錯体、例えばN-ニトロソ-N-シクロヘキシル-ヒドロキシルアミン亜鉛(亜鉛-HDO)、ナフテン酸亜鉛または亜鉛ピリチオン(ビス(2-ピリジルチオ)亜鉛1,1'-ジオキシド-CAS番号13463-41-7)として組成物に組み込むことができる。
【0104】
一実施形態において、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛塩、例えば有機酸、無機酸の亜鉛塩またはこれらの組合せを含むことができる。
【0105】
別の実施形態において、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される。
【0106】
一実施形態において、本発明で使用される亜鉛含有殺生物剤は、0.01ミクロン~25.0ミクロンの粒径を有する亜鉛化合物の形態である。一実施形態において、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化亜鉛化合物の粒径は、0.01~10ミクロン、0.05~10ミクロン、0.1~10.0ミクロン、0.01~1.0ミクロン、0.05~1.0ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.2~1.0ミクロンであってもよい。より均一な浸透が所望される場合、本明細書に開示される組成物で使用される微粉化銅化合物の粒径は、0.05~1.0ミクロンであってもよい。
【0107】
一実施形態において、選択された亜鉛含有殺生物剤のタイプまたは量にかかわらず、亜鉛含有殺生物剤は、微粉化形態で、単独でまたは分散剤と組み合わせて存在し得る。例えば、一実施形態において、亜鉛粒子は、約25ミクロン以下、例えば約10ミクロン以下、例えば約6ミクロン以下、例えば約5ミクロン以下、例えば約4ミクロン以下、例えば約3ミクロン以下、例えば約2ミクロン以下、例えば約1ミクロン以下の粒径D50を有することができる。
【0108】
米国特許第4,879,083号;第5,763,338号;および第5,972,266号に記載されるように、パーティクルボード、ハードボードおよび配向性ストランドボードを含む木材またはセルロース系製品を真菌腐朽から保護するために、ホウ酸亜鉛を使用することが公知である。固体のホウ酸亜鉛は、その固有の低い可溶性により、高湿度環境における防腐剤の浸出を減少させるので、製造時に木材複合材に添加される。このようなホウ酸亜鉛化合物の例は、メタホウ酸亜鉛、六酸化二ホウ素三亜鉛((Zn(B(OH))、塩基性ホウ酸亜鉛およびホウ酸亜鉛四水和物(2ZnO×3B×3.5HO)を含む。Devら(J Timb. Dev. Assoc.、1997)は、木材が2つの別個のステップにおいてホウ砂および塩化亜鉛の溶液で処理される、硬材をホウ酸亜鉛で処理する2段階法を記載した。しかし、木材を再び処理し、再び取り扱うための高額なコストは、このような多段階法の商業的使用を魅力のないものにし、また、ホウ酸亜鉛はカビ菌に対して特に効果があるわけでもない。
【0109】
しかし、下記でより詳細に考察されるように、亜鉛含有殺生物剤としてのホウ酸亜鉛の使用は、重量を基準にした亜鉛またはホウ酸当量の防腐剤組成物に対する必要な比をもたらさないことが理解されるべきである。特に、ホウ酸亜鉛単独では、重量を基準にした銅のホウ酸当量に対する重量比を維持しながら、本開示の銅対亜鉛重量比を形成するのに十分な亜鉛を提供することができない。したがって、ホウ酸亜鉛が亜鉛含有殺生物剤として使用される場合、さらなる亜鉛化合物が、相乗効果が達成されることを確実にするためにホウ酸亜鉛と一緒に使用されねばならない。
【0110】
一実施形態において、選択された亜鉛含有殺生物剤にかかわらず、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の総重量を基準にして組成物の約0.01重量%~約50重量%、例えば約0.1重量%~約45重量%、例えば約0.25重量%~約40重量%、例えば約0.5重量%~約35重量%、例えば約0.75重量%~約32.5重量%、例えば約1重量%~約30重量%、例えば約1.5重量%~約27.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で組成物中に存在し得る。
【0111】
銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、可溶化された金属イオンとして本発明の組成物中に含まれ得る。金属イオン、例えば銅および亜鉛を可溶化する好適な方法は、例えばWO93/02557から当技術分野で公知である。銅または亜鉛イオンに好適な錯化剤は、例えばポリリン酸、例えばトリポリリン酸;アンモニア;銅または亜鉛カチオンと錯体を形成することができる水溶性アミンおよびアルカノールアミン;アミノカルボン酸、例えばグリシン、グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸およびN-ジヒドロキシエチルグリシンを含む。錯化剤が本質的に酸性である場合、これらは遊離酸としてまたはそのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩としてのいずれかで使用できる。これらの錯化剤は、単独でまたは互いに組み合わせて使用できる。
【0112】
一実施形態において、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、アンモニア、水溶性アミンまたはアルカノールアミン類およびアミノカルボン酸からなる群から選択されるアミノ化合物と錯体を形成することができる。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤と錯体を形成するのに好適なアミノ化合物は、アンモニア、モノエタノールアミンおよび第1級、第2級または第3級アミンであり、C~C14アルキル鎖、好ましくはC12アルキル鎖を組み込み、例えばラウリルアミンまたはジメチルラウリルアミンである。
【0113】
一実施形態において、錯化剤は、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンおよびトリプロパノールアミンまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0114】
別の実施形態において、錯化剤は、エタノールアミン、モノエタノールアミンまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0115】
別の実施形態において、錯化剤は、モノエタノールアミンであってもよい。
【0116】
別の実施形態において、銅含有殺生物剤は、銅アンモニウム錯体として存在し得る。
【0117】
別の実施形態において、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛アンモニウム錯体として存在し得る。
【0118】
本発明の組成物で使用されるホウ素含有殺生物剤は、例えば可溶性および不溶性のホウ酸塩、ホウ酸、四水酸化二ホウ素、ホウ酸塩、酸化ホウ素、ボラン、過ホウ酸塩、メタホウ酸塩、四ホウ酸塩、八ホウ酸塩、ホウ酸エステルが公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。好適なホウ素化合物は、水性媒体中でホウ素の酸化物を生成するボランおよびホウ酸エステルを含むが、これらに限定されない。ホウ素含有殺生物剤のさらなる例は、金属ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カリウム、ホウ酸銅)、例えば四ホウ酸二ナトリウム十水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、メタホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、八ホウ酸二ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム五水和物、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムである。さらに好適なホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸ビス(2-アミノエチル)である。
【0119】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸の塩、ホウ酸エステル、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、ホウ酸銅、ホウケイ酸塩またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される。
【0120】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸、ホウ酸エステル、酸化ホウ素、八ホウ酸二ナトリウム四水和物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される。
【0121】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、八ホウ酸二ナトリウム四水和物である。
【0122】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸である。
【0123】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、重ホウ酸トリヘキシレングリコールから選択されるホウ酸エステルおよび一般式(I)
B-(O-R)(I)
または一般式(II)
【0124】
【化1】
【0125】
(式中、Rは、C~C18アルキル、アリールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択される)
を有する化合物からなる群から独立して選択することができる。
【0126】
一実施形態において、ホウ酸エステルは、重ホウ酸トリヘキシレングリコールであってもよい。
【0127】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤も微粉化でき、本明細書で考察される粒径のうちのいずれか1つまたは複数を有することができる。
【0128】
一実施形態において、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の総重量を基準にして組成物の約0.01重量%~約75重量%、例えば組成物の約0.1重量%~約70重量%、例えば約0.25重量%~約65重量%、例えば約0.5重量%~約60重量%、例えば約0.75重量%~約57.5重量%、例えば約1重量%~約55重量%、例えば約1.5重量%~約52.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で組成物中に存在し得る。
【0129】
本発明の防腐剤組成物はさらに少なくとも1種の有機殺生物剤を含む。一実施形態において、有機殺生物剤は殺真菌剤である。
【0130】
本発明の組成物で使用される殺真菌剤は、例えばアゾール類(ベンズイミダゾール類、イミダゾール類およびトリアゾール類を含むが、これらに限定されない)、モルホリン誘導体、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物、ストロビルリン類、フェニルスルファミド類が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0131】
一実施形態において、有機殺生物剤は、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0132】
一実施形態において、有機殺生物剤は、アゾール類を含むことができる。
【0133】
一実施形態において、アゾール殺真菌剤は、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、トリアゾール類またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0134】
一実施形態において、有機殺生物剤は、トリアゾール類を含むことができる。
【0135】
一実施形態において、有機殺生物剤は、第4級アンモニウム化合物を含むことができる。
【0136】
一実施形態において、有機殺生物剤は、イソチアゾロン類を含むことができる。
【0137】
一実施形態において、有機殺生物剤は、ピラゾールカルボキサミド類を含むことができる。
【0138】
一実施形態において、有機殺生物剤は、フェニルピラゾール類を含むことができる。
【0139】
一実施形態において、有機殺生物剤は、ハロアルキニル化合物を含むことができる。
【0140】
アゾール化合物、すなわちアゾール基を含む化合物は、イミダゾール類または1,2,4-トリアゾール類であってもよく、好ましくは一般式(III)
【0141】
【化2】
【0142】
(式中、
Xは、CRまたはNから独立して選択され、
は、水素または直鎖、分岐、環状、芳香族飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換のC~C40基またはこれらの組合せからなる群から独立して選択され、
そこで、式(A)で示される窒素原子に結合したもの以外の炭素原子のいずれかが、場合により置換されているヘテロ原子と置き換えられてもよく、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリールまたはC~Cアルキルカルバメートからなる群から独立して選択され、
およびRは水素であるか、または
およびRは一緒にベンズイミダゾール基を提供してもよい)
で表される。
【0143】
一実施形態において、アゾール化合物は、イミダゾール類であってもよい。
【0144】
イミダゾール化合物は、非隣接位置で3個の炭素原子および2個の窒素原子からなる5員ジ不飽和環を組み込む。
【0145】
一実施形態において、イミダゾール化合物は、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(2-プロペン-1-イルオキシ)エチル]-1H-イミダゾール(イマザリル)、N-プロピル-N-[2-(2,4、6-トリクロロフェノキシ)エチル]-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド(プロクロラズ)またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0146】
一実施形態において、イミダゾール化合物は、ベンズイミダゾール類であってもよい。
【0147】
一実施形態において、ベンズイミダゾール類は、2-(4-チアゾリル)-1H-ベンズイミダゾール(チアベンダゾール)、メチルN-1H-ベンズイミダゾール-2-イルカルバメート(カルベンダジム)、2-(2-フラニル)-1H-ベンズイミダゾール(フベリダゾール)またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0148】
一実施形態において、アゾール化合物は、1,2,4-トリアゾール化合物であってもよい。
【0149】
1,2,4-トリアゾール化合物は、非隣接位置で3個の窒素原子および2個の炭素原子からなる5員ジ不飽和環を組み込む。
【0150】
一実施形態において、1,2,4-トリアゾール化合物は、式(IV)
【0151】
【化3】
【0152】
(式中、
は、分岐または直鎖のC~Cアルキル基(例えばt-ブチル)からなる群から独立して選択され、
Rは、ハロゲン(例えば塩素、フッ素または臭素)原子またはC~Cアルキル(例えばメチル)、C~Cアルコキシ(例えばメトキシ)、フェニルまたはニトロ基から選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されているフェニル基からなる群から独立して選択される)
の化合物から独立して選択することができる。
【0153】
別の実施形態において、1,2,4-トリアゾール化合物は、式(V)
【0154】
【化4】
【0155】
(式中、
は、ハロゲン(例えば塩素、フッ素または臭素)原子またはC~Cアルキル(例えばメチル)、C~Cアルコキシ(例えばメトキシ)、フェニルもしくはニトロ基から選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されているフェニル基からなる群から独立して選択され、
は、水素原子または分岐もしくは直鎖のC~Cアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピルなど)からなる群から独立して選択される)
の化合物から独立して選択することができる。
【0156】
本発明の組成物で使用される1,2,4-トリアゾール化合物は、例えば1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(アザコナゾール)、1-[[4-ブロモ-2-(2,4-ジクロロフェニル)テトラヒドロ-2-フラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(ブロムコナゾール)、α-(4-クロロフェニル)-α-(1-シクロプロピルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(シプロコナゾール)、(2RS,3RS)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペンタン-3-オール(ジクロブトラゾール)、1-[[2-[2-クロロ-4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(ジフェノコナゾール)、(E)-(RS)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペンタ-1-エン-3-オール(ジニコナゾール)、(E)-(R)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペンタ-1-エン-3-オール(ジニコナゾール-M)、(2RS,3SR)-1-[3-(2-クロロフェニル)-2,3-エポキシ-2-(4-フルオロフェニル)プロピル]-1H-1,2,4-トリアゾール(エポキシコナゾール)、1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(エタコナゾール)、α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-プロパンニトリル(フェンブコナゾール)、3-(2,4-ジクロロフェニル)-6-フルオロ-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(フルキンコナゾール)、1-[[ビス(4-フルオロフェニル)メチルシリル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(フルシラゾール)、α-(2-フルオロフェニル)-α-(4-フルオロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(フルトリアホール)、1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)テトラヒドロ-5-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-フラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(フルコナゾール)、(2RS,5RS)-5-(2,4-ジクロロフェニル)テトラヒドロ-5-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-2-フリル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(フルコナゾール-cis)、α-ブチル-α-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(ヘキサコナゾール)、(4-クロロフェニル)メチルN-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタンイミドチオエート(イミベンコナゾール)、2-[(4-クロロフェニル)メチル]-5-(1-メチルエチル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンタノール(イプコナゾール)、5-[(4-クロロフェニル)メチル]-2,2-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンタノール(メトコナゾール)、α-ブチル-α-(4-クロロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-プロパンニトリル(ミクロブタニル)、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)ペンチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(ペンコナゾール)、1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(プロピコナゾール)、2-[2-(1-クロロシクロプロピル)-3-(2-クロロフェニル)-2-ヒドロキシプロピル]-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン(プロチオコナゾール)、3-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-4(3H)-キナゾリノン(キンコナゾール)、α-(4-フルオロフェニル)-α-[(トリメチルシリル)メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(シメコナゾール)、α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(テブコナゾール)、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)プロピル]-1H-1,2,4-トリアゾール(テトラコナゾール)、1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(トリアジメホン)、β-(4-クロロフェノキシ)-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(トリアジメノール)、(5E)-5-[(4-クロロフェニル)メチレン]-2,2-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンタノール(トリチコナゾール)、(βE)-β-[(4-クロロフェニル)メチレン]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(ウニコナゾール)、(αS,βE)-β-[(4-クロロフェニル)メチレン]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(ウニコナゾール-P)が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0157】
一実施形態において、1,2,4-トリアゾール殺真菌剤は、シプロコナゾール、フェンブコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリチコナゾールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0158】
一実施形態において、アゾール殺真菌剤は、テブコナゾールもしくはプロピコナゾールまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0159】
一実施形態において、アゾール殺真菌剤は、テブコナゾールから選択することができる。
【0160】
一実施形態において、アゾール殺真菌剤は、プロピコナゾールから選択することができる。
【0161】
一実施形態において、本開示の防腐剤組成物は、1種または複数のアゾール化合物、例えばイミダゾール類と1,2,4-トリアゾール類の混合物、または2種以上の1,2,4-トリアゾール類の混合物を含有することができる。アゾール類の混合物の使用は、一部の態様において真菌に対してより広い範囲の活性を可能にし得る。
【0162】
別の実施形態において、本開示の防腐剤組成物は、1種または複数の1,2,4-トリアゾール類を単独でまたはイミダゾール類と組み合わせて利用する。
【0163】
一実施形態において、プロピコナゾールとテブコナゾールの混合物が利用される場合、プロピコナゾールおよびテブコナゾールは、重量で約1:10~約10:1、例えば約1:5~約5:1、例えば約1:1~5:1、例えば約3:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のプロピコナゾールのテブコナゾールに対する重量比で混合物中で使用される。
【0164】
選択されたアゾール類にかかわらず、アゾール類は、組成物の約0.01重量%~約20重量%、例えば約0.1重量%~約18重量%、例えば約0.25重量%~約16重量%、例えば約0.5重量%~約15重量%、例えば約0.75重量%~約14重量%、例えば約0.9重量%~約12.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で防腐剤組成物中に存在し得る。
【0165】
一実施形態において、選択されたアゾール類のタイプまたは量にかかわらず、アゾール類は、微粉化形態で、単独でまたは分散剤と組み合わせて存在し得る。例えば、態様において、アゾール類粒子は、約25ミクロン以下、例えば約10ミクロン以下、例えば約6ミクロン以下、例えば約5ミクロン以下、例えば約4ミクロン以下、例えば約3ミクロン以下、例えば約2ミクロン以下、例えば約1ミクロン以下の粒径D50を有する。
【0166】
本発明の組成物で使用されるピラゾールカルボキサミド類は、例えばN-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロ[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ベンゾビンジフルピル)、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロ[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ビキサフェン)、N-[2-[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(フルベネテラム)、3-(ジフルオロメチル)-N-(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(フルインダピル)、5-クロロ-N-(1,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-4-イソベンゾフラニル)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(フラメトピル)、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-(3',4',5'-トリフルオロ[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(フルキサピロキサド)、N-[[5-クロロ-2-(1-メチルエチル)フェニル]メチル]-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(イソフルシプラム)、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[1,2,3、4-テトラヒドロ-9-(1-メチルエチル)-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(イソピラザム)、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル]-5-フルオロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ペンフルフェン)、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-3-チエニル]-1-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ペンチオピラド)、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロフェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ピジフルメトフェン)、N-[2-[1,1'-ビシクロプロピル]-2-イルフェニル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(セダキサン)が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0167】
一実施形態において、ピラゾールカルボキサミド類は、ペンフルフェンであってもよい。
【0168】
本発明の組成物で使用されるイソチアゾロン類は、例えば2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、5-クロロ-2n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(COIT)、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(MBIT)、2-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3(2H)-オン(BBIT)および2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オンが公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0169】
一実施形態において、イソチアゾロン類は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、5-クロロ-2n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(COIT)、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(MBIT)もしくは2-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3(2H)-オン(BBIT)またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0170】
一実施形態において、イソチアゾロン類は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(OIT)またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0171】
一実施形態において、イソチアゾロン類は、4,5-ジクロロ-2n-オクチルイソチアゾリン-3-オン(DCOIT)である。
【0172】
本発明の組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、例えばテトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、酸化トリアルキルアンモニウム塩またはこれらの組合せが公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0173】
本発明の組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、例えば一般式(VI)
NR-X(VI)
(式中、
、R、R、Rは、直鎖、分岐、飽和または不飽和のC~C18アルキル、C~C18アルケニル、C~C18アルキニル、C~Cヒドロキシアルキル、C~Cヒドロキシアルケニル、C~Cヒドロキシアルキニル、C~C12アリール、C~C12アラルキル、C~Cヒドロキシアリールからなる群から独立して選択され、
Xは、ハロゲン、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、ホウ酸から独立して選択される)
を有する第4級アンモニウム化合物またはこれらの組合せが公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0174】
一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、
、R、R、Rが、メチル、エチル、オクチル、デシル、ジデシルからなる群から独立して選択され、
Xが、ハロゲン、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、ホウ酸から独立して選択される
式(VI)の化合物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される。
【0175】
本発明の組成物で使用される第4級アンモニウム化合物は、例えばトリメチルアルキル第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ココトリメチルアンモニウム;ジアルキルジメチル第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウムおよび塩化オクチルデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの混合物;アルキルジメチルまたはジエチルベンジルアンモニウム塩、例えば塩化ベンザルコニウムおよび水酸化ベンザルコニウム;ポリエトキシル化第4級アンモニウム化合物、例えばN,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオン酸塩(Bardap 26)またはN,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウム乳酸塩;モノアルキルメチルビスアルコキシル化第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ココアルキルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムのエトキシル化体;ジアルキルビスアルコキシル化第4級アンモニウム化合物、例えば水酸化ジデシルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムのエトキシル化体;ベタインポリマーとも称されるホウ酸ジデシルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムのような添加化合物、例えばホウ素含有化合物、例えばホウ酸と錯体を形成する第4級アンモニウム化合物が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0176】
一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウム、ホウ酸ジデシルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0177】
一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0178】
一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0179】
別の実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0180】
本発明の組成物で使用されるハロアルキニル化合物は、以下の式(VII)
【0181】
【化5】
【0182】
(式中、
Rは、水素、置換および非置換C~C20アルキル基、置換および非置換C~C20アリール、C~C20アルキルアリールおよびC~C20アラルキル、C~C10シクロアルキルまたはC~C10シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
mおよびnは独立して1~3の整数である)
のヨードプロピニルカルバメート類もしくはカルバミン酸エステル類またはこれらの組合せとして公知であり、一般にこのように称される。
【0183】
一実施形態において、ヨードプロピニルカルバメート類は、式(VIII)
【0184】
【化6】
【0185】
(式中、
Rは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、クミル、クロロブチル、クロロフェニル、エトキシフェニルまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択される)
の化合物から独立して選択することができる。
【0186】
一実施形態において、ヨードプロピニル化合物は、3-ヨード-2-プロピニルプロピルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルヘキシルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルシクロヘキシルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルフェニルカルバメートまたはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。
【0187】
別の実施形態において、ヨードプロピニル化合物は、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)であってもよい。
【0188】
さらに、防腐剤組成物は、分散剤および/または溶媒も含むことができる。分散剤および/または溶媒は、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンおよびトリプロパノールアミンであってもよい。一実施形態において、分散剤および/または溶媒は、エタノールアミン、例えばモノエタノールアミンである。しかし、当技術分野で公知の他の分散剤および/または溶媒が使用されてもよいことが理解されるべきである。特定の例として、上に列挙した分散剤および/または溶媒は、ある特定の例示的な実施形態においてホウ酸のための溶媒であってもよい。
【0189】
追加的にまたは代替的に、分散剤は、防腐剤組成物の1種または複数の成分の一部またはすべてと錯体を形成することができる。例えば、分散剤は、有機殺生物剤、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部またはこれらの任意の組合せと錯体を形成することができる。しかし、一態様において、分散剤の少なくとも一部は、少なくとも一部が別の成分と錯体を形成しないという意味で、溶液中で「遊離」であり得ることが理解されるべきである。
【0190】
追加的にまたは代替的に、分散剤は、アゾール類、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部またはこれらの任意の組合せと錯体を形成することができる。しかし、一態様において、分散剤の少なくとも一部は、少なくとも一部が別の成分と錯体を形成しないという意味で、溶液中で「遊離」であり得ることが理解されるべきである。
【0191】
銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および1種または複数の有機殺生物剤の上記の組合せは、防腐剤組成物として単独で使用できる。
【0192】
しかし、一態様において、防腐剤組成物は、殺真菌剤(殺真菌性木材腐朽防腐剤)または殺虫剤から選択される1種または複数のさらなる第2の有機共殺生物剤を含むことができ、第2の有機殺生物剤は、上記以外であってもよい。
【0193】
例えば、本開示の防腐剤組成物での使用に好適な有機の殺真菌性木材腐朽防腐剤は、殺真菌性アミド、例えばプロクロラズ、ジクロフルアニドおよびトリルフルアニド;殺真菌性芳香族化合物、例えばクロロタロニル、クレゾール、ジクロラン、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-(チオシアナトメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール(TCMBC)、ジクロロフェン、フルジオキソニルおよび8-ヒドロキシキノリン;殺真菌性複素環化合物、例えばダゾメット、フェンプロピモルフ、ベトキサジンおよびデヒドロ酢酸;ストロビルリン、例えばアゾキシストロビン;ピラクロストロビン;フルアジナム;第4級アンモニウム化合物;イソチアゾロン;ピリチオン;ならびにこれらの混合物を含む。
【0194】
一実施形態において、防腐剤組成物は、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピリチオン類またはこれらの組合せからなる群から独立して選択される1種または複数のさらなる殺真菌性木材腐朽防腐剤を含むことができる。
【0195】
一実施形態において、さらなる殺真菌性木材腐朽防腐剤は、上に定義したアゾール類である。
【0196】
一実施形態において、さらなる殺真菌性木材腐朽防腐剤は、上に定義した第4級アンモニウム化合物である。
【0197】
一実施形態において、さらなる殺真菌性木材腐朽防腐剤は、上に定義したイソチアゾロン化合物である。
【0198】
一実施形態において、さらなる殺真菌性木材腐朽防腐剤は、ピリチオンナトリウム、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、1-ヒドロキシ-2-ピリジノン(pyridinone)および二硫化ピリチオンまたはこれらの混合物からなる群から独立して選択されるピリチオン類である。
【0199】
一実施形態において、防腐剤組成物は、殺虫剤から選択される1種または複数のさらなる有機殺生物剤を含むことができる。
【0200】
本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、例えばピレスロイド類、ネオニコチノイド類、有機リン酸塩類、ホウ酸塩類が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0201】
一実施形態において、本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、ピレスロイド類、ネオニコチノイド類、有機リン酸塩類、ホウ酸塩類またはこれらの組合せから独立して選択される。
【0202】
一実施形態において、本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、ピレスロイド類である。
【0203】
本発明の木材防腐剤組成物で使用できるピレスロイド化合物は、例えばアクリナトリン、アレトリン、ビオアレトリン、バルトリン、ビフェントリン、ビオエタノメトリン、シクレトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、ジメフルトリン、ジメトリン、エムペントリン、フェンフルトリン、フェンピリトリン、フェンプロパトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、タウ-フルバリネート、フレトリン、イミプロトリン、メトフルトリン、ペルメトリン、ビオペルメトリン、トランスペルメトリン、フェノトリン、プラレトリン、プロフルトリン、ピレスメトリン、レスメトリン、ビオレスメトリン、シスメトリン、テフルトリン、テラレトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、エトフェンプロクス、フルフェンプロクス、ハルフェンプロクス、プロトリフェンブト、シラフルオフェンが公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0204】
一実施形態において、ピレスロイド化合物は、ビフェントリン、シペルメトリン、ペルメトリンまたはこれらの混合物からなる群から独立して選択することができる。
【0205】
一実施形態において、ピレスロイド化合物は、ビフェントリン、ペルメトリンまたはこれらの混合物からなる群から独立して選択することができる。
【0206】
一実施形態において、本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、ネオニコチノイド類である。
【0207】
本発明の木材防腐剤組成物で使用できるネオニコチノイド化合物は、例えば(1E)-N-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-N'-シアノ-N-メチルエタンイミドアミド(アセタミプリド)、(E)-1-[(2-クロロチアゾール-5-イル)メチル]-3-メチル-2-ニトログアニジン(クロチアニジン)、(2E)-1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-N-ニトロ-2-イミダゾリジンイミン(イミダクロプリド)、(1E)-N-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-N-エチル-N'-メチル-2-ニトロ-1,1-エテンジアミン(ニテンピラム)、テトラヒドロ-2-(ニトロメチレン)-2H-1,3-チアジン(ニチアジン)、(Z)-[3-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-2-チアゾリジニリデン]シアナミド(チアクロプリド)および3-[(2-クロロ-5-チアゾリル)メチル]テトラヒドロ-5-メチル-N-ニトロ-4H-1,3,5-オキサジアジン-4-イミン(チアメトキサム)が公知であり、これらを含むが、これらに限定されない。
【0208】
一実施形態において、ネオニコチノイド化合物はイミダクロプリドであってもよい。
【0209】
一実施形態において、本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、有機リン酸塩類を含むことができる。
【0210】
一実施形態において、本発明の組成物で使用できる殺虫剤は、ホウ酸塩類を含むことができる。
【0211】
別の実施形態において、ホウ酸化合物は、八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)であってもよい。
【0212】
それにもかかわらず、殺真菌剤(殺真菌性木材腐朽防腐剤)または殺虫剤から選択されるさらなる有機殺生物剤は、存在する場合、組成物の約10重量%以下、例えば約9重量%以下、例えば約8重量%以下、例えば約7重量%以下、例えば約6重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約4重量%以下、例えば約3重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1重量%以下、例えば約0.5重量%以下の量で存在し得る。
【0213】
しかし、上で考察したように、防腐剤組成物は、本開示の防腐剤組成物の予想外の相乗性により、さらなる有機殺真菌性防腐剤のいずれか1つまたはその組合せを全体的に含まなくてもよいことが理解されるべきである。
【0214】
さらに、防腐剤組成物は、溶媒、界面活性剤、希釈剤、乳化剤またはこれらの組合せを含むことができる。
【0215】
例えば、上で参照した量および比は、濃縮物とみなすことができる防腐剤組成物に対応する。防腐剤組成物は、防腐剤組成物が濃縮物として存在するかどうかにかかわらず、溶媒、界面活性剤またはこれらの組合せを含むことができ、これらは上で考察した「有効」成分をその分散または可溶化形態で安定化させ、維持するのに十分な量で防腐剤組成物中に存在する。
【0216】
特に、防腐剤組成物は、液体組成物の形態で存在する濃縮物とみなすことができる。しかし、一態様において、溶媒が存在せず、防腐剤組成物が固体の埋込物またはペーストであり得ることが理解されるべきである。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、可溶化された液滴で構成されるエマルジョンの形態である。好ましくは、エマルジョンは、マイクロエマルジョンの形態である。エマルジョンを製造する技術分野の当業者には、好適な溶媒および乳化剤の使用によって本発明に従ってエマルジョンを製造する方法が公知である。
【0217】
防腐剤組成物は水溶液であり得るが、1種もしくは複数の有機溶媒または水と有機溶媒の混合物も使用できる。好適な有機溶媒は、芳香族と脂肪族の両方の炭化水素溶媒、例えば揮発油、石油蒸留物、灯油、ディーゼル油およびナフサを含む。また、グリコールエーテル類、ベンジルアルコール、2-フェノキシエタノール、メチルカルビトール、炭酸プロピレン、安息香酸ベンジル、乳酸エチルおよび乳酸2-エチルヘキシルが、単独でまたは水と組み合わせて使用できる。
【0218】
溶媒は、防腐剤組成物中に存在する場合、約0.1重量%~約85重量%、例えば約2重量%~約80重量%、例えば約3重量%~約75重量%、例えば約4重量%~約70重量%、例えば約5重量%~約65重量%、例えば約6重量%~約60重量%、例えば約7重量%~約55重量%、例えば約8重量%~約50重量%、例えば約9重量%~約45重量%、例えば約10重量%~約40重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で存在し得る。当然ながら、上述のとおり、一態様において、濃縮物の形態の防腐剤組成物は、溶媒を全体的に含まなくてもよく、したがって固体またはペーストの形態であってもよい。
【0219】
一実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約75重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%の有機殺真菌剤を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0220】
例えば、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約50重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0221】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約75重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%の第4級アンモニウム化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0222】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約75重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%のイソチアゾロン類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0223】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約75重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%のピラゾールカルボキサミド類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0224】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約1重量%~約75重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%のヨードプロピニル化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0225】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%の有機殺生物剤を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0226】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0227】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%の第4級アンモニウム化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0228】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%のイソチアゾロン類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0229】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%のピラゾールカルボキサミド類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0230】
別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約5重量%~約45重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%のヨードプロピニル化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性もしくは殺虫性防腐剤またはこれらの組合せを含む)またはこれらの組合せである。
【0231】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%の有機殺生物剤を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0232】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0233】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%の第4級アンモニウム化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0234】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%のイソチアゾロン類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0235】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%のピラゾールカルボキサミド類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0236】
追加的にまたは代替的に、別の実施形態において、防腐剤組成物は、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%のヨードプロピニル化合物を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0237】
防腐剤組成物は、使用前に1種または複数の希釈剤で希釈されてもよい。希釈剤は、さらなる量の上で考察した1種または複数の溶媒であってもよく、当技術分野で公知の別の希釈剤であってもよい。いずれにせよ、希釈剤は、重量を基準にして約300:1~約1:1、例えば約100:1~約1:1、例えば約75:1~約2:1、例えば約50:1~約3:1、例えば約40:1~約4:1、例えば約20:1~約5:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の希釈剤の防腐剤組成物に対する比で防腐剤組成物に添加され得る。したがって、防腐剤組成物は、即時使用可能な配合物の約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約7.5重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約2.5重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1.5重量%以下、例えば約1重量%以下、例えば約0.1重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。
【0238】
言い換えれば、希釈剤は、銅含有殺生物剤が、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で即時使用可能な配合物(例えば希釈された防腐剤配合物)中に存在するような量で存在し得る。同様に、亜鉛含有殺生物剤は、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。ホウ素含有殺生物剤は、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。1種または複数の有機殺生物剤は、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下、例えば約50ppm以下、例えば約5ppm以下またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。
【0239】
防腐剤組成物または即時使用可能な配合物は、約3~約10、例えば約3.5~約9.5、例えば約4~約9、例えば約4.5~約8.5、例えば約5~約8またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のpHを有することができる。しかし、上記のpH値は、防腐剤組成物のpHを指す。さらに、即時使用可能な配合物は、約4~約11、例えば約4.5~約10.5、例えば約5~約10、例えば約5.5~約9.5、例えば約6~約9またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のpHを有することができる。当技術分野で公知なように、pHビルダー、pH緩衝剤および他のpH調整剤は、上記のpH値を得、安定化させるために使用できる。
【0240】
防腐剤組成物は、木材または木材セルロース系基材を処理するために使用される。本開示の防腐剤組成物で処理できる木材またはセルロース系製品は、リグノセルロース基材、木材プラスチック複合材、ボール紙およびボール紙張りの建材、例えば石膏ボード、ならびにセルロース材料、例えば綿を含むが、これらに限定されない。また、皮革、織物材料、さらに合成繊維、ヘシアン、ロープおよび策具、ならびに複合木材。便宜上、本開示は、木材の処理に関して記載されるが、他のセルロース材料を類似的に処理できることが認識される。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、排他的ではないが、挽材、丸太もしくは単板積層材、OSB、合板、MDFまたは任意の他のセルロース系製品に塗布される。一態様において、基材は、その寿命期間中湿潤となることが意図される木材または木材複合材料、例えば窓枠の木材、曝露環境において地上で使用される材木、例えば敷板(decking)、および接地または淡水環境で使用される材木である。
【0241】
一実施形態において、処理される木材またはセルロース系基材は、処理される木材またはセルロース系基材が約150g/m(1立方メートルあたりのグラム)~約7.5kg/mの銅、例えば約200g/m~約6kg/mの銅含有殺生物剤、約40g/m~約2kg/mの亜鉛含有殺生物剤、例えば約200g/m~約1.5kg/mの亜鉛含有殺生物剤、約20g/m~約3.5kg/mのホウ素含有殺生物剤、例えば約40g/m~約3kg/mのホウ素含有殺生物剤、約10g/m~約300g/mの有機殺生物剤、例えば約20g/m~約260g/mの有機殺生物剤を含むような量の防腐剤組成物(または即時使用可能な配合物)で処理され得、有機殺生物剤は、殺真菌剤であり、アゾール類、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類、ピラゾールカルボキサミド類、フェニルピラゾール類、ハロアルキニル化合物またはこれらの組合せからなる群から独立して選択することができる。例えば、実施例に示すように、本開示は、防腐剤組成物が、木材またはセルロース系製品のコアにも浸透し、防腐剤を均等に分布させることが可能であることを見出した。
【0242】
別の実施形態において、処理される木材またはセルロース系基材は、処理される木材またはセルロース系基材が約150g/m(1立方メートルあたりのグラム)~約7.5kg/mの銅、例えば約200g/m~約6kg/mの銅含有殺生物剤、約40g/m~約2kg/mの亜鉛含有殺生物剤、例えば約200g/m~約1.5kg/mの亜鉛含有殺生物剤、約20g/m~約3.5kg/mのホウ素含有殺生物剤、例えば約40g/m~約3kg/mのホウ素含有殺生物剤、約10g/m~約300g/mのアゾール類、例えば約20g/m~約260g/mアゾール類またはこれらの組合せを含むような量の防腐剤組成物(または即時使用可能な配合物)で処理できる。例えば、実施例に示すように、本開示は、防腐剤組成物が、木材またはセルロース系製品のコアにも浸透し、防腐剤を均等に分布させることが可能であることを見出した。
【0243】
しかし、木材またはセルロース系基材は、本開示の即時使用可能な防腐剤組成物で処理されてもよい。このような木材またはセルロース系基材は、即時使用可能な組成物に対して上で考察した量で銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ酸および有機殺生物剤を含有することができる。
【0244】
本開示は、木材防腐剤組成物を製造する方法、および木材系基材を前記木材防腐剤組成物で処理する方法にさらに関する。例えば、一態様において、銅含有殺生物剤およびアゾール類は、単独でまたは1種もしくは複数の分散剤/錯化剤と組み合わせてのいずれかで、一緒に微粉化(例えばミクロンサイズ以上から上で考察したサイズ/粒径分布に縮小)されてもよく、代わりに別個に微粉化された後、組み合わされてもよい。
【0245】
さらに、一実施形態において、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤は、上で考察したように予め混合されてもよい。しかし、防腐剤組成物はまた、複数部分の形態で存在し、木材またはセルロース系基材を処理する直前に混合されてもよいことが理解されるべきである。しかし、別の実施形態において、防腐剤組成物は、一部分の形態、例えばパックまたはミックスであり、上で考察した量で銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤および有機殺生物剤をそれぞれ含有する。
【0246】
木材防腐剤組成物の形態にかかわらず、前記組成物は、上で考察したように希釈され、木材またはセルロース系基材を処理するために使用される。例えば、木材またはセルロース系基材への本開示の防腐剤組成物の塗布は、沈積、掛け流し(deluging)、噴霧、はけ塗りもしくは他の表面コーティング手段のうちの1つもしくは複数によるか、または木材もしくは他の材料の本体への含浸法、例えば高圧もしくは二重真空含浸によるものであってもよい。一態様において、方法は減圧下での含浸である。
【0247】
さらに本開示のある特定の態様は、本質的に非限定的および例示的であることが意図される以下の実施例により良く理解され得る。
【実施例
【0248】
実施例に記載される防腐剤組成物は、明確に記載されない任意の物質を実質的に含まなくてもよいことが理解される。
【0249】
略記
【0250】
【表2】
【0251】
方法
AWPA E10-16:「純粋な担子菌培養物に対する木材系材料の腐朽抵抗性を評価する実験的方法:土壌/ブロック試験」この方法は、制御された実験室条件下での選択された真菌による腐朽に対する木材系材料の抵抗性を決定するためのスクリーニング試験である。これは、最適な実験室条件下で、選択された真菌による選択された木材種の腐朽を防止する効果がある防腐剤の最小量を確立するためにも使用できる。この試験方法は、保護処理の標準化についての情報を提供することが意図される。木材ブロックを最初に防腐剤溶液による真空含浸を介してコンディショニングする。典型的には、該ブロックを処理液に浸した後、真空処理(100mmHgで30分)、続いて加圧処理(700kPaで60分)および30分大気圧に曝す。被験ブロックは、14mmまたは19mmにできるだけ正確に粉砕された立方体でなくてはならず、各々2.7cmまたは6.9cmの公称体積が得られる。コンディショニング後、木材ブロックを木材腐朽菌に曝露する。
【0252】
粒径:粒径をHoriba LA-910粒径分布分析装置(PSDA)で分析した。
【0253】
実施例1
AWPA E10-16土壌/ブロック試験
木材種:サザンイエローパイン(SYP)
微生物:以下の生物をこの試験で使用した:フィブロポリア・ラジクロサおよびフォミトプシス・パルストリス。フィブロポリア・ラジクロサ(担子菌)およびフォミトプシス・パルストリス(担子菌)は、銅耐性により、野外において銅系木材防腐剤で処理した木製の杭の早期損傷を引き起こすことが文書化された褐色腐朽菌である。
【0254】
粒径:BCC、テブコナゾール、酸化亜鉛の粒径をHoriba LA-910粒径分布分析装置(PSDA)で分析した。BCC、テブコナゾールおよび酸化亜鉛の平均粒径は、0.15~0.5ミクロンであり、D50は0.35、D95は1ミクロン未満であった。
【0255】
土壌ブロック試験を、AWPA E10-16に記載される手順に従って行った。試験は、上述の微生物による浸出前後に本発明の木材防腐剤組成物による真空含浸を介して処理した木材ブロックで実施した。
【0256】
木材防腐剤組成物の性質および比を表1に要約する。比を、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして重量%で表す。浸出プロトコルを、AWPA E10-16に記載の手順に従って行った。
【0257】
【表3】
【0258】
大量の木材ブロックの喪失は、特定の木材防腐剤組成物が木材を真菌攻撃から保護できないことを示す。特定の防腐剤の保持レベルは、木材ブロックを真菌腐朽から保護する防腐剤の最小量に対応する。保持の算出は、AWPA E10-16に従った。得られた重量損失データを表2に要約する。
【0259】
【表4】
【0260】
この試験において、F.ラジクロサとF.パルストリスの両方が、各々52.5%および41.5%の未処理対照の平均重量損失によって示されるように非常に活性であった。本発明の木材防腐剤組成物は、含浸されたブロックを所与の被験真菌による腐朽から保護するのに非常に効率的であることを証明する。
【0261】
本発明に対するこれらおよび他の修正および変更は、添付の特許請求の範囲により詳細に示す本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得る。加えて、様々な態様の側面は、全体的または部分的の両方で相互交換できることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、先の説明が例示にすぎず、添付の特許請求の範囲にさらに記載される発明を限定することは意図されないことを認識するであろう。
【国際調査報告】