(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】亜鉛およびホウ素含有強化木材防腐剤
(51)【国際特許分類】
B27K 3/52 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B27K3/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553952
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022020961
(87)【国際公開番号】W WO2022198054
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ARXADA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ニチェンコ,エド
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジャーヤシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマソン,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】リホン,ジン
【テーマコード(参考)】
2B230
【Fターム(参考)】
2B230AA02
2B230AA05
2B230AA11
2B230BA01
2B230CA03
2B230CA14
2B230CA19
2B230CB17
2B230CB21
2B230CC22
2B230DA02
2B230EB02
(57)【要約】
銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含む木材防腐剤組成物、ならびに銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含む木材防腐剤組成物を製造する方法が提供される。木材防腐剤組成物は、銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)銅含有殺生物剤、
(b)亜鉛含有殺生物剤、
(c)ホウ酸、四ホウ酸二ナトリウム五水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物またはこれらの組合せを含むホウ素含有殺生物剤、および
(d)アゾール類
を含む木材防腐剤組成物であって、
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:5であるように前記木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:5であるように前記木材防腐剤組成物中に存在する、
木材防腐剤組成物。
【請求項2】
前記銅含有殺生物剤が、塩基性炭酸銅、酸化銅またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項3】
前記亜鉛含有殺生物剤が、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含む、請求項1または2に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項4】
前記ホウ素含有殺生物剤が、ホウ酸である、請求項1から3のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項5】
前記アゾール類がテブコナゾール、ペンフルフェンまたはこれらの混合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項6】
前記アゾール類がテブコナゾール、プロピコナゾールまたはこれらの混合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項7】
前記アゾール類が銅含有殺生物剤と錯体を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項8】
前記アゾール類が微粉化アゾール類粒子を含み、前記微粉化アゾール類粒子の50%以上が、約1ミクロン未満の粒径を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項9】
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、前記アゾール類がテブコナゾールを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項10】
前記銅含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記亜鉛含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成し、前記ホウ素含有殺生物剤が、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記アゾール類が、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項11】
約3~約10のpHを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項12】
アルカノールアミン類をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項13】
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約10:1~約2:1であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項14】
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約10:1~約2:1であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項15】
前記亜鉛含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、亜鉛イオンのホウ酸当量に対する比が約5:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項16】
前記亜鉛含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、亜鉛イオンのホウ酸当量に対する比が約3:1~約1:1.5であるように木材防腐剤組成物中に存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物で処理された木材系製品。
【請求項18】
銅イオンが、木材系製品中に前記製品の1立方メートルあたり約200グラム(g/m
3)~約7.5kg/m
3の量で前記木材系製品中に存在し、亜鉛イオンが、前記木材系製品中に前記製品の約40g/m
3~約1.5kg/m
3の量で存在し、ホウ酸当量が、前記木材系製品中に前記製品の約40g/m
3~約3kg/m
3の量で存在し、アゾール類が、前記木材系製品中に前記製品の約20g/m
3~約280g/m
3の量で存在する、請求項17に記載の木材系製品。
【請求項19】
(a)銅含有殺生物剤、
(b)亜鉛含有殺生物剤、
(c)ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤、および
(d)アゾール類
を含む木材防腐剤組成物であって、
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約3:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、アゾール類がテブコナゾールを含む、木材防腐剤組成物。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の木材防腐剤組成物で木材を処理する方法であって、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類が、一段階法で木材に注入される、方法。
【請求項21】
木材防腐剤組成物を製造する方法であって、
(a)銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部を分散させるステップと、
(b)少なくとも1種のアゾール類を微粉化して微粉化アゾール類を製造するステップと、
(c)ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤を前記銅含有殺生物剤、前記亜鉛含有殺生物剤、および前記微粉化アゾール類と合わせるステップと
を含み、
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤が、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:5であるように前記木材防腐剤組成物中に存在し、
前記銅含有殺生物剤および前記ホウ素含有殺生物剤が、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:5であるように前記木材防腐剤組成物中に存在する、方法。
【請求項22】
前記銅含有殺生物剤および前記亜鉛含有殺生物剤を少なくとも1種の分散剤と共に粉砕するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記銅含有殺生物剤が、前記組成物の約1重量%~約75重量%を構成し、前記亜鉛含有殺生物剤が、前記組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成し、前記ホウ素含有殺生物剤が、前記組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成し、前記アゾール類が、前記組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成する、請求項21および22の任意の組合せの方法。
【請求項24】
前記銅含有殺生物剤が塩基性炭酸銅を含み、前記亜鉛含有殺生物剤が酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含み、前記ホウ素含有殺生物剤がホウ酸を含み、前記アゾール類がテブコナゾールを含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、いずれも参照により本明細書に援用される2021年3月19日に出願された米国仮特許出願第63/163,219号および2021年3月26日に出願された第63/166,733号に基づくものであり、これらの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]材木系製品は、カビ、真菌および昆虫、例えばシロアリを含む様々なタイプの生物からの攻撃を受ける。これらの生物による攻撃は、材木系製品中の材木を腐朽させ得、製品の質量および構造的完全性を低減する。微生物の攻撃に対抗するために、様々なタイプの木材防腐処理剤が開発されており、現在市場に存在する。これらの木材防腐処理剤は、沈積、噴霧もしくははけ塗りによって、または真空圧浸漬によって表面に直接塗布され得る。防腐剤を工業的に塗布する際、材木は、基材へのシェルまたはフルセル型いずれかの浸透を達成するために、典型的には処理液に含浸させる。処理される木材種および最終用途に応じて、材木への防腐剤溶液の浸透深さは、処理される材木の有用な耐用年数に著しく影響し得る。
【0003】
[0003]銅-有機木材防腐剤は、接地防腐剤(ground contact preservative)として世界中で成功裏に用いられてきた。しかし、このような配合物に対する抵抗性が判明しており、銅系防腐剤を含有する木材の汚染および劣化を引き起こす真菌が存在する。他のタイプの殺生物性金属イオン、例えば亜鉛も木材を処理するために使用できる。その使用はおそらく銅ほど普及していないが、殺生物性金属イオンとして亜鉛を単独または銅との組合せのいずれかで含むいくつかの木材防腐剤が市販されている。しかし、これらの既存の配合物は、他の問題に加えて、銅単独と同じ有効量で一緒に使用した場合、亜鉛が(1)銅耐性菌を適切に制御できないか、または(2)銅以外の耐性菌に対しても十分な効力を欠くいずれかの問題がある。
【0004】
[0004]非金属系代替物、例えばアゾール類およびホウ素系殺生物剤は、金属耐性菌に対抗するために、金属系防腐剤と組み合わせて用いられてきた。しかし、アゾール類およびホウ素系殺生物剤は、単独でまたは組合せで浸出性を含む欠点を示すことが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、強化された殺菌効力を発揮する木材防腐剤組成物が必要とされている。銅耐性菌に対して改善された効力を示す木材防腐剤組成物を提供することはさらに有益である。さらに、銅耐性菌を含む真菌に対する長期の効力を示す殺生物性組成物を提供することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、全体的に木材防腐剤組成物を対象とする。木材防腐剤組成物は、銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を示す。
【0007】
[0007]第1の例示的な実施形態において、木材防腐剤組成物は、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含む。ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸、四ホウ酸二ナトリウム五水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物またはこれらの組合せを含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。追加的に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。
【0008】
[0008]第1の例示的な態様において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅、酸化銅またはこれらの組合せを含むことができる。
【0009】
[0009]第2の例示的な態様において、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができる。
【0010】
[0010]第3の例示的な態様において、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸であってもよい。
【0011】
[0011]第4の例示的な態様において、アゾール類は、テブコナゾール、ペンフルフェンまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0012】
[0012]第5の例示的な態様において、アゾール類は、テブコナゾール、プロピコナゾールまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0013】
[0013]第6の例示的な態様において、アゾール類は、銅含有殺生物剤と錯体を形成することができる。
【0014】
[0014]第7の例示的な態様において、アゾール類は、微粉化アゾール類粒子を含むことができる。微粉化アゾール類粒子の50%以上が、約1ミクロン未満の粒径を有することができる。
【0015】
[0015]第8の例示的な態様において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、アゾール類はテブコナゾールを含むことができる。
【0016】
[0016]第9の例示的な態様において、銅含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、アゾール類は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0017】
[0017]第10の例示的な態様において、組成物は約3~約10のpHを有することができる。
【0018】
[0018]第11の例示的な態様において、組成物はアルカノールアミン類をさらに含むことができる。
【0019】
[0019]第12の例示的な態様において、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約10:1~約2:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0020】
[0020]第13の例示的な態様において、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約10:1~約2:1であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0021】
[0021]第14の例示的な態様において、亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、亜鉛イオンのホウ酸当量に対する比が約5:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0022】
[0022]第15の例示的な態様において、亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、亜鉛イオンのホウ酸当量に対する比が約3:1~約1:1.5であるように木材防腐剤組成物中に存在し得る。
【0023】
[0023]第16の例示的な態様において、木材系製品は、記載の木材防腐剤組成物のいずれかで処理できる。
【0024】
[0024]第17の例示的な態様において、木材系製品は、記載の木材防腐剤組成物のいずれかで処理できる。木材系製品中に、銅イオンは、製品の1立方メートルあたり約200グラム(g/m3)~約7.5kg/m3の量で存在し得、亜鉛イオンは、該製品の約40g/m3~約1.5kg/m3の量で存在し得、ホウ酸当量は、該製品の約40g/m3~約3kg/m3の量で存在し得、アゾール類は、該製品の約20g/m3~約260g/m3の量で存在し得る。
【0025】
[0025]第2の例示的な実施形態において、木材防腐剤組成物は、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:1であるように木材防腐剤組成物中に存在する。銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含む。亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含む。ホウ素含有殺生物剤はホウ酸を含む。アゾール類はテブコナゾールを含む。
【0026】
[0026]第18の例示的な態様において、開示の木材防腐剤組成物のいずれかで木材を処理する方法が記載される。方法において、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類は、一段階法で木材に注入することができる。
【0027】
[0027]第3の例示的な実施形態において、木材防腐剤組成物を製造する方法が記載される。方法は、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤の少なくとも一部を分散させるステップと、少なくとも1種のアゾール類を微粉化して微粉化アゾール類を製造するステップと、ホウ酸を含むホウ素含有殺生物剤を銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤および微粉化アゾール類と合わせるステップとを含む。銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、銅イオンの亜鉛イオンに対する比が約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。追加的に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、銅イオンのホウ酸当量に対する比が約15:1~約1:5であるように木材防腐剤組成物中に存在する。
【0028】
[0028]第19の例示的な態様において、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、少なくとも1種の分散剤と共に粉砕することができる。
【0029】
[0029]第20の例示的な態様において、銅含有殺生物剤は、組成物の約1重量%~約75重量%を構成することができ、亜鉛含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約50重量%を構成することができ、ホウ素含有殺生物剤は、組成物の約0.1重量%~約75重量%を構成することができ、アゾール類は、組成物の約0.1重量%~約20重量%を構成することができる。
【0030】
[0030]第21の例示的な態様において、銅含有殺生物剤は、塩基性炭酸銅を含むことができ、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛または酸化亜鉛とホウ酸亜鉛の組合せを含むことができ、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸を含むことができ、アゾール類は、テブコナゾールを含むことができる。
【0031】
[0031]上に列挙した例示的な態様はそれぞれ、ある特定の実施形態において上に列挙した他の例示的な態様のうちの1つまたは複数と組み合わされ得る。例えば、第1の例示的な実施形態の上に列挙した17個の例示的な態様はすべて、一部の実施形態において互いに組み合わされ得る。別の例として、第1の例示的な実施形態の上に列挙した17個の例示的な態様のうちの2個、3個、4個、5個またはそれ以上の任意の組合せは、他の実施形態において組み合わされ得る。したがって、各例示的な実施形態の上に列挙した各例示的な態様は、一部の例示的な実施形態において互いに組み合わせて利用できる。代替的には、各例示的な実施形態の上に列挙した各例示的な態様は、他の例示的な実施形態において個々に実施できる。したがって、様々な例示的な実施形態が、上に列挙した例示的な態様を利用して実現できることが理解される。
【0032】
[0032]本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解される。本明細書に援用され、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と一緒に本発明の原理を説明する役割を果たす。
定義
[0033]ここで、用語「D50」または「D50粒径」は、粒子の試料体積の50%が、その範囲または値を下回るサイズを有する体積中位粒径を指す。
【0033】
[0034]ここで、用語「D10」または「D10粒径」は、粒子の試料体積の10%が、その範囲または値を下回るサイズを有する体積中位粒径を指す。
【0034】
[0035]ここで、用語「D50」または「D50粒径」は、粒子の試料体積の50%が、その範囲または値を下回るサイズを有する体積中位粒径を指す。
【0035】
[0036]類似的に、ここで、用語「D90」または「D90粒径」は、粒子の試料体積の90%が、その範囲または値を下回るサイズを有する値を指す。
【0036】
[0037]類似的に、ここで、用語「D99」または「D99粒径」は、粒子の試料体積の99%が、その範囲または値を下回るサイズを有する値を指す。
【0037】
[0038]ここで、用語「約」、「およそ」または「一般に」は、値を修飾するために使用される場合、値は10%上昇または低下し得、開示された態様、例えば7.5%、例えば5%、例えば4%、例えば3%、例えば2%、例えば1%内またはそれらの間の任意の範囲もしくは値にとどまり得ることを示す。さらに、用語「実質的に含まない」は、材料中の物質の量を記載するために使用される場合、全くまたは完全に含まないことに限定されるべきではなく、材料中の列挙した物質の任意の感知可能なまたは検出可能な量の欠如に対応し得る。したがって、例えば、材料中の物質の量が、材料中の物質の量を測定するための工業的に許容される装置または試験の精度未満である場合、材料は物質を「実質的に含まない」。ある特定の例示的な実施形態において、材料中の物質の量が材料の10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満または0.1重量%未満である場合、材料は物質を「実質的に含まない」ものでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[0039]概して、本開示は、非常に有効な木材防腐配合物を提供する、殺生物性金属(銅)、殺生物性亜鉛、少なくとも1種のアゾール類およびホウ素含有殺生物剤の予想外の相乗的組合せを対象とする。驚くべきことに、本開示によって調製される配合物は、有効成分間の顕著な相乗作用を示し、同じまたは類似の総金属系殺生物剤濃度でも銅耐性菌に対して改善された殺菌効力を提供する。追加的に、本開示は、開示された配合物が材木の処理に利用される場合、得られた材木系製品は、材木系製品のコア層と外層の両方において銅耐性菌に対して改善された特性および改善された長期的保護を示すことを見出した。
【0039】
[0040]特に、本開示は、殺生物性金属(銅)に対して特定量のホウ素含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤を組み込むことにより、相乗効果が示され得、銅耐性菌を含む真菌に対抗し、上記の成分のうちのいずれか1つもしくは複数を単独でまたは本開示の比以外の量で含有する殺生物剤によって以前に示されたものより強固な防腐および長期的防腐をもたらすことを見出した。例えば、銅含有殺生物剤および亜鉛含有殺生物剤は、約15:1~約1:5、例えば約12.5:1~約1:1、例えば約10:1~約3:1、例えば約9:1~約4:1、例えば約8:1~約5:1、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の銅イオンの亜鉛イオンに対する比が防腐剤組成物において提供されるような量で、防腐剤組成物中に存在し得る。
【0040】
[0041]同様に、銅含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、約15:1~約1:5、約15:1~約1:1、例えば約12.5:1~約1.5:1、例えば約10:1~約2:1、例えば約9:1~約3:1、例えば約8:1~約4:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の銅イオンのホウ酸当量として表されるホウ酸塩に対する比が、防腐剤組成物において提供されるような量で、防腐剤組成物中に存在し得る。特に、上で考察したように、本開示は、銅イオンを亜鉛イオンおよびホウ素含有殺生物剤当量で補うことによって、銅耐性菌を含む真菌に対して優れた保護が示されることを見出した。逆に、本開示は、亜鉛および/またはホウ素と共に存在する銅が少なすぎる場合(例えば1未満:5の比)、ある特定の銅耐性菌に対する防腐が不十分であることを示し、相乗効果が示されないことを見出した。同様に、銅と共に存在する亜鉛および/またはホウ素が少なすぎる場合(例えば15超:1の比)、組成物は、ある特定の銅耐性菌に対する防腐が不十分であることを示し、相乗効果が示されなかった。
【0041】
[0042]例えば、本開示は、上記の比で銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類を含有する組成物の部分阻止濃度の合計が、標的微生物に対して、特に褐色腐朽菌に対して試験した場合、1未満であり得ることを見出した。部分阻止濃度は、単独で使用した場合に発育を制御するのに必要とされる殺生物剤の量で割った混合物中での発育を制御した殺生物剤の濃度として算出される。特に、ここでは、部分阻止濃度は、銅耐性菌であるフィブロポリア・ラジクロサの発育を制御するのに必要とされる銅およびアゾール類を単独で含有する組成物の量に対して算出される。殺生物剤の部分阻止濃度は、標的微生物に対して試験した場合、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ素含有殺生物剤およびアゾール類の混合物中での抗微生物活性に起因し得る殺生物剤の濃度を、銅含有殺生物剤とアゾール類の組合せの最小発育阻止濃度で割ることによって算出することができる。最小発育阻止濃度は、単独で使用した場合に発育阻止を示した殺生物剤の最小濃度である。本開示によれば、特定の微生物を標的とする場合、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤の部分阻止濃度の合計は、亜鉛およびホウ素と組み合わせて使用した場合、約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満であり得、これは下記の実施例でより詳細に考察される。当技術分野で公知なように、1未満の任意の値は、相乗的相互作用を示す。
【0042】
[0043]それにもかかわらず、一態様において、銅含有殺生物剤は、上に列挙した銅イオンの比を提供する任意の殺生物性銅化合物を含み得るが、銅含有殺生物剤は、無機銅塩、例えば炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、ホウ酸塩、フッ化物または酸化物の形態で配合物に組み込まれ得る。代替的に、銅は、単純な有機塩、例えばギ酸塩もしくは酢酸塩の形態で、または錯体、例えばN-ニトロソ-N-シクロヘキシル-ヒドロキシルアミン-銅(銅-HDO)もしくは銅ピリチオン(ビス(2-ピリジルチオ)銅1,1’-ジオキシド、CAS番号14915-37-8)としての形態であってもよい。銅含有殺生物剤の他の例は、硫酸銅、例えば塩基性硫酸銅および硫酸銅五水和物、酸化銅、例えば酸化第一銅、酸化第二銅、ならびに銅塩、例えば脂肪酸およびロジン酸の銅塩、銅エチレンジアミン錯体、銅トリエタノールアミン錯体、エチレンジアミン四酢酸銅およびチオシアン酸銅を含む。銅含有殺生物剤のさらに他の例は、オクタン酸銅、銅二酢酸二アンモニウム錯体および銅エタノールアミン錯体、ナフテン酸銅および8-キノリン酸銅を含む。
【0043】
[0044]一態様において、殺生物性銅イオンは、銅(II)イオンである。例えば、銅(II)の形態は、塩基性塩化銅、塩基性炭酸銅(Cu2CO3.Cu(OH)2)、酢酸銅(II)、銅炭酸アンモニウム錯体、水酸化銅(II)、酸化銅(II)、オキシ塩化銅、オキシ塩化硫酸銅、銅アンモニウム錯体、クエン酸銅のキレート、グルコン酸銅のキレートおよび硫酸銅(II)五水和物を含み、態様において、銅含有殺生物剤は塩基性炭酸銅または酸化銅である。しかし、一態様において、使用される銅化合物は、酸化銅および炭酸銅、例えば塩基性炭酸銅である。
【0044】
[0045]例示的な実施形態において、銅含有殺生物剤は、1種または複数の可溶性の銅殺生物剤を含むことができる。例えば、銅含有殺生物剤は、銅エタノールアミン、銅アンモニウム錯体またはこれらの混合物を含んでもよく、これらとして存在してもよい。
【0045】
[0046]銅含有殺生物剤の形態にかかわらず、銅含有殺生物剤は、銅イオンが組成物の約1重量%~約75重量%、例えば約1重量%~約50重量%、例えば約2重量%~約50重量%、例えば約3重量%~約40重量%、例えば約4重量%~約35重量%、例えば約5重量%~約32.5重量%、例えば約6重量%~約30重量%、例えば約7.5重量%~約27.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を形成するように、組成物中に存在し得る。
【0046】
[0047]さらに、選択された銅含有殺生物剤のタイプまたは量にかかわらず、銅含有殺生物剤は、微粉化形態で、単独でまたは分散剤と組み合わせて存在し得る。例えば、態様において、銅粒子は、約10ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下、例えば約6ミクロン以下、例えば約5ミクロン以下、例えば約4ミクロン以下、例えば約3ミクロン以下、例えば約2ミクロン以下、例えば約1ミクロン以下のサイズを有する。追加的にまたは代替的に、銅粒子の少なくとも約10%以上、例えば約25%以上、例えば約50%以上、例えば約60%以上、例えば約70%以上、例えば約80%以上、例えば約90%以上、例えば約95%以上が約1ミクロン以下のサイズを有する。さらに、銅含有殺生物剤は、上記の範囲のいずれか1つまたは複数を下回るD10、D50、D90またはD99粒径を有することができる。さらに、下記でより詳細に考察されるように、さらなる態様において、アゾール類、亜鉛、ホウ素またはこれらの組合せも、上記の1つまたは複数に従った粒径を有するように微粉化されてもよい。
【0047】
[0048]さらに、亜鉛含有殺生物剤は、当技術分野で一般に使用される任意の亜鉛含有殺生物剤であってもよい。例えば、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛合金、亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、亜鉛アンモニウム錯体またはこれらの組合せであってもよい。一態様において、亜鉛塩は、有機酸の亜鉛塩および/または無機酸の亜鉛塩であってもよい。この点で、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛合金、有機酸の亜鉛塩、無機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛またはこれらの組合せであってもよい。
【0048】
[0049]一態様において、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛塩、例えば有機酸、無機酸の亜鉛塩またはこれらの組合せを含むことができる。別の態様において、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛、水酸化亜鉛またはこれらの組合せを含むことができる。
【0049】
[0050]全体的に、亜鉛塩は、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛またはこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0050】
[0051]一実施形態において、亜鉛含有殺生物剤は、二元亜鉛含有殺生物剤であってもよい。例えば、二元亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ハロゲン化亜鉛(例えばフッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛)、過酸化亜鉛、水素化亜鉛、炭化亜鉛、窒化亜鉛などまたはこれらの任意の組合せであってもよい。一つの特定の実施形態において、二元亜鉛含有殺生物剤は、ハロゲン化亜鉛、例えば塩化亜鉛であってもよい。それにもかかわらず、一態様において、亜鉛含有殺生物剤は、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛またはこれらの組合せであってもよい。また、前述の亜鉛含有殺生物剤は、個々にまたは任意の組合せで使用できることが理解されるべきである。
【0051】
[0052]一態様において、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛ピリチオンを含むことができる。
【0052】
[0053]しかし、下記でより詳細に考察されるように、ホウ酸亜鉛は、亜鉛またはホウ酸当量の防腐剤組成物に対する必要な比をもたらさないことが理解されるべきである。特に、ホウ酸亜鉛単独では、銅イオンのホウ酸当量に対する比を維持しながら、本開示の銅イオン対亜鉛イオン比を形成するのに十分な亜鉛を提供することができない。したがって、一態様において、ホウ酸亜鉛を使用しながら、さらなるまたは第2の亜鉛化合物がホウ酸亜鉛と併用される。
【0053】
[0054]さらに、選択された亜鉛含有殺生物剤にかかわらず、亜鉛含有殺生物剤は、亜鉛イオンが、組成物の約0.01重量%~約50重量%、例えば約0.1重量%~約45重量%、例えば約0.25重量%~約40重量%、例えば約0.5重量%~約35重量%、例えば約0.75重量%~約32.5重量%、例えば約1重量%~約30重量%、例えば約1.5重量%~約27.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を形成するように組成物中に存在し得る。
【0054】
[0055]一態様において、ホウ素含有殺生物剤は、可溶性および不溶性のホウ酸塩、ホウ素含有酸、酸化物、塩またはこれらの組合せを含む様々なホウ酸塩を含むことができる。例えば、一態様において、金属ホウ酸塩、ホウ酸塩鉱物、ホウ酸エステルおよび他の無機または有機のホウ酸塩。一態様において、ホウ素含有殺生物剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸の塩またはこれらの組合せを含むことができる。特に、態様において、ホウ素含有殺生物剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、ホウ酸銅、ホウ酸ケイ酸塩またはこれらの組合せを含むことができる。さらに、一態様において、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ酸、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、四ホウ酸二ナトリウム五水和物またはこれらの組合せである。しかし、態様において、ホウ素含有殺生物剤も微粉化され、本明細書で考察される粒径のうちのいずれか1つまたは複数を有することができる。
【0055】
[0056]それにもかかわらず、ホウ素含有殺生物剤は、ホウ素イオンが、組成物の約0.01重量%~約75重量%、例えば組成物の約0.1重量%~約70重量%、例えば約0.25重量%~約65重量%、例えば約0.5重量%~約60重量%、例えば約0.75重量%~約57.5重量%、例えば約1重量%~約55重量%、例えば約1.5重量%~約52.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を形成するように組成物中に存在し得る。
【0056】
[0057]上で考察したように、防腐剤組成物は、少なくとも1種のアゾール類、すなわちアゾール基を含む化合物をさらに含む。アゾール類は、イミダゾール類または1,2,4-トリアゾール類、または態様においてはピラゾール類、例えばペンフルフェンであってもよい。それにもかかわらず、態様において、アゾール類は、一般式(III)
【0057】
【0058】
(式中、
Xは、CR4またはNを示し、
R1は、水素または直鎖、分岐、環状、芳香族もしくはこれらの任意の組合せ、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換のC1~C40基を示し、
式(IV)で示される窒素原子に結合したもの以外の炭素原子のいずれかが、場合により置換されているヘテロ原子と置き換えられてもよく、
R2は、水素、C1~C8アルキル、C2~C8アルケニル、C6~C10芳香族、C5~C10複素芳香族またはC1~C4アルキルカルバメートを示し、
R3およびR4は水素を示し、または
R3およびR4は一緒にベンズイミダゾール基を提供してもよい(すなわち、R3およびR4は、組み合わさって-(CH)4-を形成してもよい))
で表すことができる。
【0059】
[0058]本開示の防腐剤組成物は、1種または複数のアゾール化合物、例えばイミダゾール類と1,2,4-トリアゾール類の混合物、または2種以上の1,2,4-トリアゾール類の混合物を含有することができる。アゾール類の混合物の使用は、一部の態様において真菌に対してより広い範囲の活性を可能にし得る。しかし、一態様において、本開示の防腐剤組成物は、1種または複数の1,2,4-トリアゾール類を単独でまたはイミダゾール類と組み合わせて利用する。
【0060】
[0059]イミダゾール化合物は、非隣接位置で3個の炭素原子および2個の窒素原子からなる5員ジ不飽和環を組み込む。イミダゾール化合物は、ベンズイミダゾール類であってもよい。一態様において、アゾール類は、チアベンダゾール、イマザリル、カルベンダジムおよびプロクロラズを含むことができる。
【0061】
[0060]1,2,4-トリアゾール化合物は、非隣接位置で3個の窒素原子および2個の炭素原子からなる5員ジ不飽和環を組み込む。
【0062】
[0061]一態様において、トリアゾール化合物は、式(IV)
【0063】
【0064】
(式中、R5は、分岐または直鎖のC1~C5アルキル基(例えばt-ブチル)を表し、R6は、ハロゲン(例えば塩素、フッ素または臭素)原子またはC1~C3アルキル(例えばメチル)、C1~C3アルコキシ(例えばメトキシ)、フェニルまたはニトロ基から選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されているフェニル基を表す)
の化合物から選択されるトリアゾール化合物を含む。
【0065】
[0062]代替的には、トリアゾール化合物は、式(V)
【0066】
【0067】
(式中、R7は、上でR6について定義した通りであり、R8は水素原子または分岐もしくは直鎖のC1~C5アルキル基(例えばn-プロピル)を表す)
の化合物から選択することができる。
【0068】
[0063]特に、一態様において、アゾール類は、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル、プロピコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、フルキンコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、ウニコナゾール、ジニコナゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、アザコナゾール、フルトリアホール、エポキシコナゾール、テトラコナゾール、ペンコナゾール、イプコナゾール、プロチオコナゾールおよびこれらの混合物を含むが、これに限定されない1種または複数のトリアゾール類を含むことができる。
【0069】
[0064]さらなる態様において、トリアゾール類は、プロピコナゾール、アザコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾール、トリアジメホン、イプコナゾール、プロチオコナゾールおよびこれらの混合物、例えば一態様において、プロピコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾールおよびこれらの混合物を含む。さらに、態様において、アゾール類は、プロピコナゾール、テブコナゾールまたはこれらの混合物を含む。
【0070】
[0065]さらに、一態様において、プロピコナゾールとテブコナゾールの混合物が利用される場合、プロピコナゾールおよびテブコナゾールは、重量で約1:10~約10:1、例えば約1:5~約5:1、例えば約1:1~5:1、例えば約3:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のプロピコナゾールのテブコナゾールに対する比で混合物中で使用される。
【0071】
[0066]選択されたアゾール類にかかわらず、アゾール類は、組成物の約0.01重量%~約20重量%、例えば約0.1重量%~約18重量%、例えば約0.25重量%~約16重量%、例えば約0.5重量%~約15重量%、例えば約0.75重量%~約14重量%、例えば約0.9重量%~約12.5重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で防腐剤組成物中に存在し得る。
【0072】
[0067]さらに、選択されたアゾール類のタイプまたは量にかかわらず、アゾール類は、微粉化形態で、単独でまたは分散剤と組み合わせて存在し得る。例えば、態様において、アゾール類粒子は、約10ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下、例えば約6ミクロン以下、例えば約5ミクロン以下、例えば約4ミクロン以下、例えば約3ミクロン以下、例えば約2ミクロン以下、例えば約1ミクロン以下のサイズを有する。追加的にまたは代替的に、アゾール類粒子の少なくとも約10%以上、例えば約25%以上、例えば約50%以上、例えば約60%以上、例えば約70%以上、例えば約80%以上、例えば約90%以上、例えば約95%以上が約1ミクロン以下のサイズを有する。
【0073】
[0068]さらに、一態様において、防腐剤組成物は、分散剤および/または溶媒も含むことができる。一態様において、分散剤および/または溶媒は、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンおよびトリプロパノールアミンである。一態様において、分散剤および/または溶媒は、エタノールアミン、例えばモノエタノールアミンである。しかし、当技術分野で公知の他の分散剤および/または溶媒が使用されてもよいことが理解されるべきである。特定の例として、上に列挙した分散剤および/または溶媒は、ある特定の例示的な実施形態においてホウ酸のための溶媒であってもよい。
【0074】
[0069]追加的にまたは代替的に、分散剤は、防腐剤配合物の1種または複数の成分の一部またはすべてと錯体を形成することができる。例えば、一態様において、分散剤は、アゾール類、銅含有殺生物剤の少なくとも一部またはアゾール類と銅含有殺生物剤の両方と錯体を形成することができる。しかし、一態様において、分散剤の少なくとも一部は、少なくとも一部が別の成分と錯体を形成しないという意味で溶液中で「遊離」であり得ることが理解されるべきである。
【0075】
[0070]一態様において、アゾール類、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤の上記の組合せは、防腐剤組成物として単独で使用できる。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、上記以外の1種または複数のさらなる有機殺真菌性材木腐朽防腐剤を含むことができる。例えば、本開示の防腐剤組成物での使用に好適な有機殺真菌性材木腐朽防腐剤は、殺真菌性アミド、例えばプロクロラズ、ジクロフルアニドおよびトリルフルアニド;殺真菌性芳香族化合物、例えばクロロタロニル、クレゾール、ジクロラン、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-(チオシアナトメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール(TCMBC)、ジクロロフェン、フルジオキソニルおよび8-ヒドロキシキノリン;殺真菌性複素環化合物、例えばダゾメット、フェンプロピモルフ、ベトキサジンおよびデヒドロ酢酸;ストロビルリン、例えばアゾキシストロビン;ピラクロストロビン;フルアジナム;第4級アンモニウム化合物;イソチアゾロン;ピリチオン;ならびにこれらの混合物を含む。
【0076】
[0071]一態様において、有機殺真菌性材木腐朽防腐剤は、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾロン類および殺真菌性複素環化合物、例えばフェンプロピモルフから選択される。
【0077】
[0072]第4級アンモニウム化合物は、トリメチルアルキル第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ココトリメチルアンモニウム;ジアルキルジメチル第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ジデシルジメチルアンモニウム、炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、重炭酸ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウムおよび塩化オクチルデシルジメチルアンモニウムまたはこれらの混合物;アルキルジメチルまたはジエチルベンジルアンモニウム塩、例えば塩化ベンザルコニウムおよび水酸化ベンザルコニウム;ポリエトキシル化第4級アンモニウム化合物、例えばN,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオン酸塩(Bardap 26)またはN,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウム乳酸塩;ならびにN置換ピリジニウム化合物、例えば塩化セチルピリジニウムを含むことができる。一態様において、第4級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよび炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを含むことができる。
【0078】
[0073]本開示の一態様において、好適なイソチアゾリノン類は、一般式(I)
【0079】
【0080】
(式中、R1は、水素、場合により置換されているC1~C18アルキル、C2~C8アルケニルもしくはアルキニル、C2~C8ハロアルキニル、場合により置換されているC3~C12シクロアルキル、最大10個の炭素原子を有する場合により置換されているアラルキルまたは最大10個の炭素原子を有する場合により置換されているアリールを示し、
R2およびR3は、独立して水素、ハロゲンもしくはC1~C4アルキルを示すか、または
R2およびR3は一緒に1,2ベンズイソチアゾリン-3-オン基(すなわち、R2およびR3は組み合わさって-(CH)4-を形成してもよい)を提供してもよい)
で表される。
【0081】
[0074]一態様において、R2およびR3は、独立してクロロもしくは水素を示すか、またはR2およびR3は一緒に1,2ベンズイソチアゾリン-3-オン基を提供してもよい。
【0082】
[0075]したがって、態様において、R1置換基は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、シクロヘキシル、4-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、ベンジル、4-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、3,4-ジクロロベンジル、フェネチル、2-(4-メトキシフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(3,4-ジクロロフェニル)エチル、ヒドロキシメチル、クロロメチルおよびクロロプロピルから選択される。
【0083】
[0076]一つのこのような態様において、式(I)の化合物中のR1置換基は、水素、場合により置換されているC1~C18アルキル、最大10個の炭素原子を有する場合により置換されているアラルキルまたは最大10個の炭素原子を有する場合により置換されているアリールを示す。さらなる態様において、R1は、水素または場合により置換されているC1~C18アルキルを示す。追加的にまたは代替的に、R1は、水素またはC1~C8アルキルであり、水素、メチル、ブチルおよびオクチルは最も好ましいR1置換基である。
【0084】
[0077]したがって、一態様において、本開示による殺生物性組成物で使用されるイソチアゾリノン類は、R1が、水素またはC1~C8アルキルを示し、R2およびR3が独立して、クロロもしくは水素を示すか、またはR2およびR3が一緒に1,2ベンズイソチアゾリン-3-オン基を提供してもよい上記の一般式(I)で表されるものである。
【0085】
[0078]一態様において、本開示による防腐剤組成物で使用されるイソチアゾリノン類は、R1が、水素、メチル、ブチルまたはオクチルを示し、R2およびR3が、独立してクロロまたは水素を示すか、またはR2およびR3が一緒に1,2ベンズイソチアゾリン-3-オン基を提供してもよい上記の一般式(I)で表されるものである。
【0086】
[0079]さらに、上で考察したように、一態様において、式(I)のイソチアゾリノン類は、式(II)
【0087】
【0088】
(式中、Rはヒドロキシ、ハロゲン(とりわけ塩素)、C1~C4アルキルまたはC1~C4アルコキシであり、
R1は、本明細書で先に定義した通りであり、nは0~4である)
のベンズイソチアゾリノン類である。
【0089】
Rは、態様において存在する場合、ベンズイソチアゾリノン類のフェニル環の5および6位のうちの1つまたは両方に位置する。しかし、さらなる態様において、nはゼロである。
【0090】
[0080]一態様において、式(II)のベンズイソチアゾリノン類は、R1がHもしくはC1~C5アルキルであるか、またはR1がHもしくはC3~C5アルキルであるものである。式(II)の化合物の例は、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-、N-メチル-、N-エチル-、N-n-プロピル-、N-イソプロピル-、N-n-ペンチル-、N-シクロプロピル-、N-イソブチル-およびN-tert-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを含む。したがって、一態様において、式(I)のベンズイソチアゾリノン類は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンである。
【0091】
[0081]例えば、一態様において、イソチアゾロン類は、メチルイソチアゾール-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、オクチルイソチアゾール-3-オン(OIT)、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(MBIT)およびN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(BBIT)を含むが、これらに限定されない。特に好ましいイソチアゾロン類は、メチルイソチアゾール-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、オクチルイソチアゾール-3-オン(OIT)、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(MBIT)およびN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(BBIT)を含むが、これらに限定されない。さらにより好ましいイソチアゾール-3-オン類は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、オクチルイソチアゾロン(OIT)、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)およびN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(BBIT)、より好ましくはオクチルイソチアゾロン(OIT)、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)およびN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾール-3-オン(BBIT)またはこれらの組合せである。
【0092】
[0082]一態様において、配合物はピリチオン化合物を含むことができる。例えば、ピリチオン化合物は、ピリチオンナトリウム、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、1-ヒドロキシ-2-ピリジノンおよび二硫化ピリチオンならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0093】
[0083]それにもかかわらず、さらなる有機殺真菌性防腐剤は、存在する場合、配合物の約10重量%以下、例えば約9重量%以下、例えば約8重量%以下、例えば約7重量%以下、例えば約6重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約4重量%以下、例えば約3重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1重量%以下、例えば約0.5重量%以下の量で存在し得る。しかし、上で考察したように、防腐剤配合物は、本開示の防腐剤組成物の予想外の相乗性により、さらなる有機殺真菌性防腐剤のいずれか1つまたはその組合せを全体的に含まなくてもよいことが理解されるべきである。
【0094】
[0084]さらに、一態様において、防腐剤組成物は、溶媒、界面活性剤、希釈剤、乳化剤またはこれらの組合せを含むことができる。
【0095】
[0085]例えば、一態様において、上で参照した量および比は、濃縮物とみなすことができる防腐剤組成物に対応する。防腐剤組成物は、防腐剤組成物が濃縮物として存在するかどうかにかかわらず、溶媒、界面活性剤またはこれらの組合せを含むことができ、これらは上で考察した「有効」成分をその分散または可溶化形態で安定化させ、維持するのに十分な量で防腐剤組成物中に存在する。
【0096】
[0086]特に、防腐剤組成物は、液体組成物の形態で存在する濃縮物とみなすことができる。しかし、一態様において、溶媒が存在せず、防腐剤組成物が固体の埋込物またはペーストであり得ることが理解されるべきである。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、可溶化された液滴で作られたエマルジョンの形態である。好ましくは、エマルジョンは、マイクロエマルジョンの形態である。エマルジョンを製造する技術分野の当業者には、好適な溶媒および乳化剤の使用によって本発明に従ってエマルジョンを製造する方法が公知である。
【0097】
[0087]一態様において、防腐剤組成物は水溶液であるが、1種もしくは複数の有機溶媒または水と有機溶媒の混合物も使用できる。好適な有機溶媒は、芳香族と脂肪族の両方の炭化水素溶媒、例えば揮発油、石油蒸留物、灯油、ディーゼル油およびナフサを含む。また、グリコールエーテル、ベンジルアルコール、2-フェノキシエタノール、メチルカルビトール、炭酸プロピレン、安息香酸ベンジル、乳酸エチルおよび乳酸2-エチルヘキシルが、単独でまたは水と組み合わせて使用できる。
【0098】
[0088]溶媒は、防腐剤組成物中に存在する場合、約0.1重量%~約85重量%、例えば約2重量%~約80重量%、例えば約3重量%~約75重量%、例えば約4重量%~約70重量%、例えば約5重量%~約65重量%、例えば約6重量%~約60重量%、例えば約7重量%~約55重量%、例えば約8重量%~約50重量%、例えば約9重量%~約45重量%、例えば約10重量%~約40重量%またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で存在し得る。当然ながら、上述のとおり、一態様において、濃縮物の形態の防腐剤組成物は、溶媒を全体的に含まなくてもよく、したがって固体またはペーストの形態であってもよい。
【0099】
[0089]例えば、一態様において、防腐剤組成物は、約1重量%~約50重量%の銅含有殺生物剤、約0.1重量%~約50重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.1重量%~約75重量%のホウ酸、約0.1重量%~約20重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0100】
[0090]さらに、態様において、防腐剤組成物は、約5重量%~約32.5重量%の銅含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約0.75重量%~約32.5重量%のホウ酸、約0.5重量%~約15重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0101】
[0091]追加的にまたは代替的に、一態様において、防腐剤組成物は、約7.5重量%~約27.5重量%の銅含有殺生物剤、約1.5重量%~約27.5重量%の亜鉛含有殺生物剤、約1.5重量%~約52.5重量%のホウ酸、約0.9重量%~約12.5重量%のアゾール類を含み、残部は溶媒、界面活性剤、乳化剤、任意選択の成分(さらなる有機殺真菌性防腐剤を含む)またはこれらの組合せである。
【0102】
[0092]それにもかかわらず、一態様において、防腐剤組成物は、使用前に1種または複数の希釈剤で希釈されてもよい。希釈剤は、さらなる量の上で考察した1種または複数の溶媒であってもよく、当技術分野で公知の別の希釈剤であってもよい。いずれにせよ、希釈剤は、約200:1~約1:1、例えば約100:1~約1:1、例えば約75:1~約2:1、例えば約50:1~約3:1、例えば約40:1~約4:1、例えば約20:1~約5:1またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の希釈剤の防腐剤組成物に対する比で防腐剤組成物に添加され得る。したがって、一態様において、防腐剤組成物は、約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約7.5重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約2.5重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1.5重量%以下、例えば約1重量%以下、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で即時使用可能な配合物中に存在する。
【0103】
[0093]言い換えれば、希釈剤は、銅イオンが、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量で即時使用可能な配合物(例えば希釈された防腐剤配合物)中に存在するような量で存在し得る。同様に、亜鉛イオンは、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。ホウ素イオンは、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。追加的にまたは代替的に、アゾール類は、約1重量%以下、例えば約0.5%以下、例えば約0.1%以下、例えば約750ppm以下、例えば約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約200ppm以下、例えば約100ppm以下、例えば約50ppm以下、例えば約5ppm以下またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の量で即時使用可能な配合物中に存在し得る。
【0104】
[0094]一態様において、防腐剤組成物または即時使用可能な配合物は、約3~約10、例えば約3.5~約9.5、例えば約4~約9、例えば約4.5~約8.5、例えば約5~約8またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のpHを有することができる。しかし、一態様において、上記のpH値は、防腐剤組成物のpHを指す。さらに、一態様において、即時使用可能な配合物は、約4~約11、例えば約4.5~約10.5、例えば約5~約10、例えば約5.5~約9.5、例えば約6~約9またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のpHを有することができる。当技術分野で公知なように、pHビルダー、pH緩衝剤および他のpH調整剤は、上記のpH値を得、安定化させるために使用できる。
【0105】
[0095]一態様において、防腐剤配合物は、セルロースまたは木材系基材を処理するために使用される。一態様において、本開示の防腐剤組成物で処理できるセルロース材料は、リグノセルロース基材、木材プラスチック複合材、ボール紙およびボール紙張りの建材、例えば石膏ボード、ならびにセルロース材料、例えば綿を含む。また、皮革、織物材料、さらに合成繊維、ヘシアン、ロープおよび策具、ならびに複合木材。便宜上、本開示は、木材の処理に関して記載されるが、他のセルロース材料を類似的に処理できることが認識される。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、排他的ではないが、挽材、丸太もしくは単板積層材、OSB、またはMDFに塗布される。一態様において、基材は、その寿命期間中湿潤となることが意図される木材または木材複合材料、例えば窓枠の木材、曝露環境において地上で使用される材木、例えば敷板(decking)、および接地または淡水環境で使用される材木である。
【0106】
[0096]一態様において、処理されるセルロースまたは木材系基材は、処理されるセルロースまたは木材系基材が1立方メートルあたり約150グラム(g/m3)~約7.5kg/m3の銅、例えば約200g/m3~約6kg/m3の銅、約40g/m3~約2kg/m3の亜鉛、例えば約200g/m3~約1.5kg/m3の亜鉛、約20g/m3~約3.5kg/m3のホウ酸当量、例えば約40g/m3~約3kg/m3のホウ酸当量、約10g/m3~約300g/m3のアゾール類、例えば約20g/m3~約260g/m3のアゾール類またはこれらの組合せを含むような量の防腐剤配合物(または即時使用可能な配合物)で処理できる。例えば、実施例に示すように、本開示は、防腐剤配合物が、セルロースまたは木材系製品のコアにも浸透し、防腐剤を均等に分布させることが可能であることを見出した。
【0107】
[0097]しかし、態様において、木材またはセルロース系基材は、本開示の即時使用可能な防腐剤組成物で処理されてもよい。このような態様において、木材またはセルロース系基材は、即時使用可能な組成物に対して上で考察した量で銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、ホウ酸およびテブコナゾールを含有することができる。
【0108】
[0098]それにもかかわらず、一態様において、本開示は、防腐剤組成物を形成する方法、および木材系基材を防腐剤組成物で処理する方法にさらに関する。例えば、一態様において、銅含有殺生物剤およびアゾール類は、単独でまたは1種もしくは複数の分散剤/錯化剤と組み合わせてのいずれかで、一緒に微粉化(例えばミクロンサイズ以上から上で考察したサイズ/粒径分布に縮小)されてもよく、代わりに別個に微粉化された後、組み合わされてもよい。さらに、一態様において、アゾール類、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤およびホウ素含有殺生物剤は、上で考察したように予め混合されてもよいが、一部の態様において、防腐剤組成物は、複数部分の形態で存在し、木材またはセルロース系基材を処理する直前に混合されてもよいことが理解されるべきである。しかし、一態様において、防腐剤組成物は、一部分の形態、例えばパックまたはミックスであり、上で考察した量でアゾール類、銅含有殺生物剤、亜鉛含有殺生物剤、およびホウ素含有殺生物剤をそれぞれ含有する。
【0109】
[0099]防腐剤組成物の形態にかかわらず、一態様において上で考察したように希釈され、木材またはセルロース系基材を処理するために使用される。例えば、一態様において、木材またはセルロース系基材への本開示の防腐剤組成物の塗布は、沈積、掛け流し(deluging)、噴霧、はけ塗りもしくは他の表面コーティング手段のうちの1つもしくは複数によるか、または木材もしくは他の材料の本体への含浸法、例えば高圧もしくは二重真空含浸によるものであってもよい。一態様において、方法は減圧下での含浸である。
【0110】
[00100]様々なホウ素含有化合物は、様々なレベルのホウ素を含有することができる。これを踏まえて、ホウ素含有化合物を比較する場合、あるホウ素含有化合物の量を別のホウ素含有化合物のホウ素含有量による当量に変換することは有用であり得る。以下の例において、ホウ酸当量を、以下の変換係数を用いて算出した:
【0111】
【0112】
[00101]例えば、ホウ酸亜鉛が木材ブロックに1,000ppmの濃度で保持される場合、ホウ酸当量は1、000ppm*0.852=852ppmである。
【0113】
[00102]さらに本開示のある特定の態様は、本質的に非限定的および例示的であることが意図される以下の実施例により良く理解され得る。
【実施例】
【0114】
[00103]実施例に記載される防腐剤組成物は、明確に記載されない任意の物質を実質的に含まなくてもよいことが理解される。
【0115】
略記
【0116】
【0117】
方法
AWPA E10-16:「純粋な担子菌培養物に対する木材系材料の腐朽抵抗性を評価する実験的方法:土壌/ブロック試験」この方法は、制御された実験室条件下での選択された真菌による腐朽に対する木材系材料の抵抗性を決定するためのスクリーニング試験である。これは、最適な実験室条件下で、選択された真菌による選択された木材種の腐朽を防止する効果がある防腐剤の最小量を確立するためにも使用できる。この試験方法は、保護処理の標準化についての情報を提供することが意図される。木材ブロックを最初に防腐剤溶液による真空含浸を介してコンディショニングする。典型的には、該ブロックを処理液に浸した後、真空処理(100mmHgで30分)、続いて加圧処理(700kPaで60分)および30分大気圧に曝す。被験ブロックは、14mmまたは19mmにできるだけ正確に粉砕された立方体でなくてはならず、各々2.7cm3または6.9cm3の公称体積が得られる。コンディショニング後、木材ブロックを木材腐朽菌に曝露する。
【0118】
[00104]粒径:粒径をHoriba LA-910粒径分布分析装置(PSDA)で分析した。
【0119】
実施例1
AWPA E10-16土壌/ブロック試験
[00105]木材種:サザンイエローパイン(SYP)
[00106]微生物:以下の生物をこの試験で使用した:フィブロポリア・ラジクロサおよびフォミトプシス・パルストリス。フィブロポリア・ラジクロサ(担子菌)およびフォミトプシス・パルストリス(担子菌)は、銅耐性により、野外において銅系木材防腐剤で処理した木製の杭の早期損傷を引き起こすことが文書化された褐色腐朽菌である。
【0120】
[00107]粒径:BCC、テブコナゾール、酸化亜鉛の粒径をHoriba LA-910粒径分布分析装置(PSDA)で分析した。BCC、テブコナゾールおよび酸化亜鉛の平均粒径は、0.15~0.5ミクロンであり、D50は0.35、D95は1ミクロン未満であった。
【0121】
[00108]土壌ブロック試験を、AWPA E10-16に記載される手順に従って行った。試験は、上述の微生物による浸出前後に本発明の木材防腐剤組成物による真空含浸を介して処理した木材ブロックで実施した。
【0122】
[00109]木材防腐剤組成物の性質および比を表1に要約する。比を、木材防腐剤組成物の総重量を基準にして重量%で表す。浸出プロトコルを、AWPA E10-16に記載の手順に従って行った。
【0123】
【0124】
[00110]大量の木材ブロックの喪失は、特定の木材防腐剤組成物が木材を真菌攻撃から保護できないことを示す。特定の防腐剤の保持レベルは、木材ブロックを真菌腐朽から保護する防腐剤の最小量に対応する。保持の算出は、AWPA E10-16に従った。得られた重量損失データを表2に要約する。
【0125】
【0126】
[00111]この試験において、F.ラジクロサとF.パルストリスの両方が、各々52.5%および41.5%の未処理対照の平均重量損失によって示されるように非常に活性であった。本発明の木材防腐剤組成物は、含浸されたブロックを所与の被験真菌による腐朽から保護するのに非常に効率的であることを証明する。
【0127】
[00112]本発明に対するこれらおよび他の修正および変更は、添付の特許請求の範囲により詳細に示す本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得る。加えて、様々な態様の側面は、全体的または部分的の両方で相互交換できることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、先の説明が例示にすぎず、添付の特許請求の範囲にさらに記載される発明を限定することは意図されないことを認識するであろう。
【国際調査報告】