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特表2024-511721電気自動車に使用するための高電圧コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電気自動車に使用するための高電圧コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240308BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240308BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20240308BHJP
   C08K 7/04 20060101ALI20240308BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01R13/46 301B
B60L53/16
C08K5/5313
C08K7/04
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553971
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022019733
(87)【国際公開番号】W WO2022197525
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/162,054
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/233,512
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512225379
【氏名又は名称】セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】パセッティ,グリエルモ
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,ホルガー
【テーマコード(参考)】
4J002
5E087
5H125
【Fターム(参考)】
4J002CL01X
4J002CL03W
4J002DH057
4J002DK007
4J002DL006
4J002EU187
4J002EW137
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD040
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD137
4J002FD170
4J002GN00
4J002GQ00
5E087EE14
5E087KK04
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
電気自動車用高電圧コネクタが提供される。コネクタは、電気ピン、および基部から延びて電気ピンの少なくとも一部を取り囲む保護部材を含むコネクタ部分を含む。基部、保護部材、またはそれらの組合せは、約20wt.%~約70wt.%の少なくとも1種のポリアミド、約10wt.%~約60wt.%の無機繊維、および約10wt.%~約35wt.%の少なくとも1種のハロゲン不含有機リン化合物を含む難燃剤系を含むポリアミド組成物を含む。ポリアミド組成物は、約600ボルト以上のCTI、およびUL94に従って決定して0.8mmの厚さでV0評価を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用高電圧コネクタであって、前記コネクタは、電気ピンと、基部から延びて前記電気ピンの少なくとも一部を取り囲む保護部材とを含むコネクタ部分を含み、前記基部、保護部材、またはそれらの組合せがポリアミド組成物を含み、前記ポリアミド組成物が、約20wt.%~約70wt.%の少なくとも1種のポリアミド、約10wt.%~約60wt.%の無機繊維、および約10wt.%~約35wt.%の、少なくとも1種のハロゲン不含有機リン化合物を含む難燃剤系を含み、さらに前記ポリアミド組成物が、3ミリメートルの厚さで、IEC60112:2003に従って決定して約600ボルト以上の比較トラッキング指数、およびUL94に従って決定して0.8mmの厚さでV0評価を示す、前記電気自動車用高電圧コネクタ。
【請求項2】
前記ポリアミド組成物が、ISO試験No.527-1:2019に従って決定して約8,500MPa以上の引張弾性率を示す、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項3】
前記保護部材が約0.8~約2ミリメートルの肉厚を有する、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項4】
前記保護部材の周縁部が前記電気ピンの端部を越えて延びる、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項5】
前記保護部材が前記ポリアミド組成物を含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項6】
前記電気ピンを受容するためのレセプタクルと、基部から延び、前記レセプタクルの少なくとも一部を取り囲む保護部材とを含む第2のコネクタ部分をさらに含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項7】
前記第2のコネクタ部分の基部、前記第2の接続部分の保護部材、またはこれらの組合せが前記ポリアミド組成物を含む、請求項6に記載の高電圧コネクタ。
【請求項8】
前記ポリアミドが脂肪族ポリアミドを含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項9】
前記ポリアミド組成物がナイロン-6とナイロン-6,6の組合せを含む、請求項8に記載の高電圧コネクタ。
【請求項10】
前記無機繊維がガラス繊維を含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項11】
前記難燃剤系が、一般式(I)および/または式(II):
【化1】
(式中、
およびRは、独立して水素、または1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖、分枝もしくは環式炭化水素基であり、
は、置換または非置換の直鎖、分枝または環式C~C10アルキレン、アリーレン、アリールアルキレンまたはアルキルアリーレン基であり、
Zは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり、
yは1~4であり、
nは1~4であり、
mは1~4である)
を有するホスフィン酸塩を含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項12】
前記ホスフィン酸塩が、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル-n-プロピルホスフィン酸、メタン-ジ(メチルホスフィン酸)、エタン-1,2-ジ(メチルホスフィン酸)、ヘキサン-1,6-ジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、次亜リン酸の金属塩、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項13】
前記ホスフィン酸塩がジエチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、またはそれらの組合せである、請求項12に記載の高電圧コネクタ。
【請求項14】
前記難燃剤系が亜リン酸の塩をさらに含む、請求項12に記載の高電圧コネクタ。
【請求項15】
前記難燃剤系が金属亜リン酸塩、金属ホスホン酸塩またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の高電圧コネクタ。
【請求項16】
前記難燃剤系が、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンまたはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の高電圧コネクタ。
【請求項17】
前記難燃剤系が無機化合物をさらに含む、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項18】
前記無機化合物がホウ酸亜鉛を含む、請求項17に記載の高電圧コネクタ。
【請求項19】
前記難燃剤系のハロゲン含有量が約1,000百万分率であるか又はそれを下回る、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項20】
70wt.%の脱イオン水相および30wt.%の前記ポリアミド組成物を含む水性分散液の形成から72時間後に、前記脱イオン水相のpH値が約4~約8である、請求項1に記載の高電圧コネクタ。
【請求項21】
少なくとも1つの電気推進源と、少なくとも1つのパワーエレクトロニクスモジュールを介して前記推進源に接続された変速機とを含むパワートレインを含む電気自動車であって、請求項1に記載の高電圧コネクタを含む、電気自動車。
【請求項22】
請求項1に記載の高電圧コネクタが前記推進源を前記パワーエレクトロニクスモジュールに電気的に接続し、かつ/または前記パワーエレクトロニクスモジュールを前記変速機に電気的に接続する、請求項21に記載の電気自動車。
【請求項23】
請求項21に記載の電気自動車であって、前記自動車の充電ポートに差し込むための充電コネクタをさらに含み、前記充電コネクタが請求項1に記載の高電圧コネクタを含む、前記電気自動車。
【請求項24】
少なくとも1つの電気機械が前記パワーエレクトロニクスモジュールを前記変速機に電気的に接続し、請求項1に記載の高電圧コネクタが前記パワーエレクトロニクスモジュールを前記電気機械に、かつ/または前記電気機械を前記変速機に電気的に接続する、請求項21に記載の電気自動車。
【請求項25】
前記推進源がバッテリーを含む、請求項21に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年3月17日の出願日を有する米国仮特許出願第63/162,054号および2021年8月16日の出願日を有する同第63/233,512号の出願利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]バッテリー電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、マイルドハイブリッド電気自動車、またはフルハイブリッド電気自動車などの電気自動車は、一般に、電気推進源(例えば、バッテリー)および変速機を含む電気パワートレインを有する。推進源は、1つまたは複数のパワーエレクトロニクスモジュールを介して変速機に供給される高電圧電流を提供する。それらは小型で複雑な形状のため、ポリアミド組成物から高電圧電気コネクタを形成する試みがなされてきた。しかし、残念なことに、従来のポリアミド組成物、特にガラス繊維で強化されたポリアミド組成物の多くは、十分な絶縁特性(例えば、比較トラッキング指数(「CTI」))および耐着火性が不足している。そのため、現在、高いCTIを示すことができるだけでなく、難燃性を維持し、良好な機械的特性を有する、電気自動車に使用するための高電圧コネクタに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態によると、電気自動車用高電圧コネクタが開示される。コネクタは、電気ピン、および基部から延びて電気ピンの少なくとも一部を取り囲む保護部材を含むコネクタ部分を含む。基部、保護部材、またはそれらの組合せは、約20wt.%~約70wt.%の少なくとも1種のポリアミド、約10wt.%~約60wt.%の無機繊維、および約10wt.%~約35wt.%の少なくとも1種のハロゲン不含有機リン化合物を含む難燃剤系を含むポリアミド組成物を含む。ポリアミド組成物は、3ミリメートルの厚さで、IEC60112:2003に従って決定して約600ボルト以上の比較トラッキング指数、およびUL94に従って決定して0.8mmの厚さでV0評価を示す。
【0004】
[0004]本発明の他の特徴および態様を以下により詳細に示す。
[0005]当業者にとってその最良の態様を含む、本発明の完全かつ有効な開示は、添付の図面の参照を含め、本明細書の残り部分により具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0006]本発明の高電圧コネクタを利用し得る電気自動車の一実施形態の概略図である。
図2】[0007]本発明の高電圧コネクタの一実施形態の透視図である。
図3】[0008]第1および第2のコネクタ部分が分離された、図2の高電圧コネクタの平面図である。
図4】[0009]第1および第2のコネクタ部分が係合した、図2の高電圧コネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0010]本考察は例示的な実施形態の説明に過ぎず、本発明のより広範な態様を限定することを意図しないことが当業者に理解される。
[0011]一般的に、本発明は、バッテリー式電気自動車、燃料電池式電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、マイルドハイブリッド電気自動車(MHEV)、フルハイブリッド電気自動車(FHEV)などの電気自動車に使用するための高電圧コネクタに関する。特に、コネクタの少なくとも1つの構成要素は、無機繊維、およびハロゲン不含有機リン化合物を含む難燃剤系と組み合わせて少なくとも1種のポリアミド樹脂を含むポリアミド組成物から形成される。これらの性質およびこれらの成分の相対濃度を選択的に制御することにより、本発明者らは、得られるポリアミド組成物が、約4ミリメートル以下、一部の実施形態では約0.2~約3.2ミリメートル、一部の実施形態では約0.4~約2.5ミリメートル、一部の実施形態では約0.8~約2ミリメートルなどの比較的小さな厚さ値であっても、絶縁特性、難燃性、および良好な機械的特性の独自の組合せを達成できることを発見した。
【0007】
[0012]ポリアミド組成物の絶縁特性は、上述のような部品厚さ(例えば、3ミリメートル)で、IEC60112:2003に従って決定して約550ボルト以上、一部の実施形態では約580ボルト以上、一部の実施形態では約600ボルト以上などの高い比較トラッキング指数(「CTI」)によって特徴付けられ得る。ポリアミド組成物はまた、湿潤環境で酸の放出に対して比較的耐性であってもよく、これにより腐食を最小限に抑えることができる。より詳細には、70wt.%の脱イオン水相および30wt.%のポリアミド組成物を含む水性分散液の形成から72時間後に、脱イオン水相のpH値は、約4~約8、一部の実施形態では約4~約7.5、一部の実施形態では約5~約7などの比較的中性に近いpH値を有する。
【0008】
[0013]本発明の組成物の燃焼性は、「Tests for Flammability of Plastic Materials,UL94」と題するUnderwriter’s Laboratory Bulletin94の手順に従って特徴付けられ得る。以下に詳述するように、消火までの時間((5個の試験片のセットの総燃焼時間))および落下に耐える能力に基づき、いくつかの評価を適用することができる。この手順によれば、例えば、組成物は、上述のような部品厚さ(例えば、約0.4~約3.2ミリメートル、特に約0.8~約2ミリメートル、例えば0.8ミリメートル)でV0評価を示すことができ、これは、約50秒以下の総燃焼時間を有することを意味する。V0評価を達成するために、組成物はまた、綿を着火させる燃焼粒子の総落下数0を示すことができる。ポリアミド組成物の難燃性は、同様にグローワイヤー試験によって特徴付けられ得る。例えば、グローワイヤー試験中に、加熱した試験板と接触させたときに組成物が着火して5秒より長く燃焼する温度を測定することができる。この温度は、グローワイヤー着火温度(「GWIT」)として公知であり、上述のような部品厚さでIEC-60695-2-13:2010に従って決定される。例えば、約0.8~約2ミリメートル(例えば、0.8ミリメートル)の厚さで、本発明のポリアミド組成物は、約650℃以上、一部の実施形態では約700℃以上、一部の実施形態では約750℃~約900℃、一部の実施形態では約800℃~約875℃のGWITを示し得る。組成物の難燃性はまた、上述のような部品厚さでIEC-60695-2-12:2010に従って実施されるグローワイヤー試験中に、加熱要素を除去した後30秒以内に材料が着火または自己消火しない最高温度によって特徴付けられ得る。この温度は、グローワイヤー燃焼性指数(GWFI)として公知である。例えば、約0.8~約2ミリメートル(例えば、0.8ミリメートル)の厚さで、GWFIは、本発明のポリアミド組成物について、典型的には約900℃以上、一部の実施形態では約920℃~約1050℃、一部の実施形態では約950℃~約1000℃である。
【0009】
[0014]従来、難燃性を有する組成物は、電気自動車に使用するための所望の機械的特性を達成することができないと考えられていた。しかし、本発明者らは、本発明の組成物が良好な衝撃強度、引張特性および曲げ特性を依然として達成し得ることを発見した。例えば、ポリアミド組成物は、ISO試験No.179-1:2010(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等である)に従って23℃または-30℃で測定して約5kJ/m以上、一部の実施形態では約6kJ/m以上、一部の実施形態では約7~約30kJ/m、一部の実施形態では約8~約25kJ/mのノッチなしシャルピー衝撃強度を示すことができる。組成物はまた、約40メガパスカル(「MPa」)以上、一部の実施形態では約50MPa以上、一部の実施形態では約55~約200MPa、一部の実施形態では約60~約150MPaの引張強度、および約7,000MPa以上、一部の実施形態では約8,000MPa以上、一部の実施形態では約9,000MPa以上、一部の実施形態では約11,000~約50,000MPa、一部の実施形態では約12,000~約25,000MPaの引張弾性率を示すことができ、引張特性は、23℃でISO試験No.527:2012(ASTM D638-14と技術的に同等である)に従って決定される。組成物はまた、約70~約500MPa、一部の実施形態では約80~約400MPa、一部の実施形態では約90~約300MPaの曲げ強度、および/または約10,000MPa~約30,000MPa、一部の実施形態では約12,000MPa~約25,000MPa、一部の実施形態では約14,000MPa~約20,000MPaの曲げ弾性率を示し得る。曲げ特性は、23℃でISO試験No.178:2010(ASTM D790-10と技術的に同等である)に従って決定され得る。
【0010】
[0015]高電圧コネクタは、それが利用される特定の用途に応じて様々な異なる構成を有することができる。しかし、典型的に、コネクタは、少なくとも1つの電気ピン、および電気ピンの少なくとも一部を取り囲む基部から延びる保護部材を含む第1のコネクタ部分を含む。基部および/または保護部材は、本発明のポリアミド組成物を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、保護部材は、約4ミリメートル以下、一部の実施形態では約0.2~約3.2ミリメートル、一部の実施形態では約0.4~約2.5ミリメートル、一部の実施形態では約0.8~約2ミリメートルなどの比較的小さな肉厚を有してもよい。上述のように、本発明者らは、このような低い厚さ値であっても、ポリアミド組成物が良好な性能を示し得ることを発見した。第1のコネクタ部分は、電気ピンを受容するためのレセプタクルを含む対向する第2のコネクタ部分と嵌合するように構成されてもよい。そのような実施形態では、第2のコネクタ部分は、第1のコネクタ部分の電気ピンを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタブル、およびレセプタクルの少なくとも一部を取り囲む基部から延びる保護部材を含むことができる。第2のコネクタ部分の基部および/または保護部材も、本発明のポリアミド組成物を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、第2のコネクタ部分の保護部材の厚さは、上述した範囲内であってもよく、したがってポリアミド組成物から有益に形成される。
【0011】
[0016]図2~4を参照すると、電気自動車に使用するための高電圧コネクタ200の特定の一実施形態が示される。コネクタ200は、第1のコネクタ部分202および第2のコネクタ部分204を含む。第1のコネクタ部分202は、1つまたは複数の電気ピン206を含むことができ、第2のコネクタ部分204は、電気ピン206を受容するための1つまたは複数のレセプタクル208を含むことができる。第1の保護部材212は、ピン206を取り囲むように第1の接続部分202の基部203から延びてもよく、同様に、第2の保護部材218は、レセプタクル208を取り囲むように第2の接続部分204の基部201から延びてもよい。特定の場合には、第1の保護部材212の周縁部は、電気ピン203の端部を越えて延びてもよく、第2の保護部材218の周縁部は、レセプタクル208の端部を越えて延びてもよい。上述のように、第1のコネクタ部分202の基部203および/または第1の保護部材212、ならびに第2の部分204の基部201および/または第2の保護部材218は、本発明のポリアミド組成物から形成されてもよい。このような部品は、様々な異なる技術を使用してポリアミド組成物から形成され得る。好適な技術としては、例えば、射出成型、低圧射出成型、押出圧縮成型、ガス射出成型、発泡射出成型、低圧ガス射出成型、低圧発泡射出成型、ガス押出圧縮成型、発泡押出圧縮成型、押出成型、発泡押出成型、圧縮成型、発泡圧縮成型、ガス圧縮成型などを挙げることができる。例えば、ポリアミド組成物が射出され得る金型を含む射出成型システムが利用されてもよい。射出機内の時間は、ポリマーマトリックスが予め固化しないように制御され、最適化され得る。サイクル時間に達し、バレルが排出のために満杯になると、ピストンを使用して金型キャビティに組成物を射出することができる。圧縮成型システムも利用され得る。射出成型と同様に、ポリアミド組成物の所望の物品への成形も金型内で行われる。組成物は、自動化されたロボットアームによってピックアップされるなど、任意の公知の技術を使用して圧縮金型内に配置されてもよい。金型の温度は、固化を可能にするために、所望の時間にわたってポリマーマトリックスの固化温度以上に維持され得る。その後、成型品を溶融温度未満の温度にすることによって固化させることができる。得られた製品は脱型されてもよい。各成型プロセスのサイクル時間は、ポリマーマトリックスに合わせて調整され、十分な結合を達成し、プロセス全体の生産性を高めることができる。
【0012】
[0017]決して必須ではないが、第1のコネクタ部分202は、第1の保護部材212に固定された、または第1の保護部材212によって画定された識別マーク210を含むこともできる。第2の接続部分204はまた、任意に、部分がいつ完全に嵌合したかをより容易に決定するために、識別マーク210に応じた大きさの位置合わせ窓220を画定することができる。例えば、ブロッカー221が識別マーク210の一部を覆わない限り、識別マーク210を読み取ることができない場合がある。任意に、第2の接続部分204は、位置合わせ窓220に隣接して配置された補助マーク224を含むことができる。
【0013】
[0018]次に、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリアミド組成物
A.ポリアミド
[0019]典型的に、ポリアミドは、組成物の約20wt.%~約70wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約60wt.%、一部の実施形態では約35wt.%~約55wt.%を構成する。ポリアミドは、一般に主鎖にCO-NH結合を有し、ジアミンとジカルボン酸の縮合、ラクタムの開環重合、またはアミノカルボン酸の自己縮合によって得られる。例えば、ポリアミドは、典型的に4~14個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンに由来する脂肪族繰返し単位を含んでもよい。このようなジアミンの例としては、直鎖脂肪族アルキレンジアミン、例えば1,4-テトラメチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンなど、分枝脂肪族アルキレンジアミン、例えば2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミンなど、およびこれらの組合せが挙げられる。当然ながら、芳香族および/または脂環式ジアミンも利用できる。さらに、ジカルボン酸成分の例としては、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオキシ二酢酸、1、3-フェニレンジオキシ-二酢酸、ジフェン酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸など)などを挙げることができる。ラクタムの例としては、ピロリドン、アミノカプロン酸、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタムなどが挙げられる。同様に、アミノカルボン酸の例としては、水で開環された前述のラクタムの化合物であるアミノ脂肪酸が挙げられる。
【0014】
[0020]特定の実施形態では、脂肪族モノマー単位(例えば、ジアミンおよびジカルボン酸モノマー単位)のみから形成される「脂肪族」ポリアミドが利用される。このような脂肪族ポリアミドの特定の例としては、例えば、ナイロン-4(ポリ-α-ピロリドン)、ナイロン-6(ポリカプロアミド)、ナイロン-11(ポリウンデカンアミド)、ナイロン-12(ポリドデカンアミド)、ナイロン-46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ナイロン-66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン-610およびナイロン-612が挙げられる。ナイロン-6およびナイロン-66が特に好適である。特定の一実施形態では、例えば、ナイロン-6またはナイロン-66が単独で使用されてもよい。他の実施形態では、ナイロン-6とナイロン-66のブレンドを利用することができる。このようなブレンドが利用される場合、ナイロン-66とナイロン-6の重量比は、典型的に1~約2、一部の実施形態では約1.1~約1.8、一部の実施形態では約1.2~約1.6である。
【0015】
[0021]当然ながら、ポリアミドが半芳香族(脂肪族と芳香族の両方のモノマー単位を含む)または全芳香族(芳香族モノマー単位のみを含む)とみなされるように、芳香族モノマー単位をポリアミドに含めることも可能である。例えば、好適な半芳香族ポリアミドとしては、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(PA9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンデカンジアミド)(PA9T/910)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンドデカンジアミド)(PA9T/912)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA9T/11)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA9T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンデカンジアミド)(PA10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンドデカンジアミド)(PA10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/テトラメチレンヘキサンジアミド)(PA10T/46)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/カプロラクタム)(PA10T/6)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA10T/66)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド(Ierephthalamide)/ドデカメチレンドデカンジアミド(dodecanediarnide))(PA12T/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/カプロラクタム)(PA12T/6)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA12T/66)などを挙げることができる。
【0016】
[0022]ポリアミド組成物に利用されるポリアミドは、典型的に本質的に結晶性または半結晶性であり、したがって測定可能な溶融温度を有する。溶融温度は、組成物が得られる部品に実質的な程度の耐熱性を与えることができるように、比較的高くてもよい。例えば、ポリアミドは、約220℃以上、一部の実施形態では約240℃~約325℃、一部の実施形態では約250℃~約335℃の溶融温度を有することができる。ポリアミドはまた、約30℃以上、一部の実施形態では約40℃以上、一部の実施形態では約45℃~約140℃などの比較的高いガラス転移温度を有することができる。ガラス転移および溶融温度は、ISO試験No.11357-2:2013(ガラス転移)および11357-3:2011(溶融)によって決定されるような示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して、当技術分野で周知のように決定されてもよい。
【0017】
B.無機繊維
[0023]無機繊維は、典型的に組成物の約10wt.%~約60wt.%、一部の実施形態では約15wt.%~約55wt.%、一部の実施形態では約20wt.%~約50wt.%を構成する。無機繊維は、一般にその質量に対して高度の引張強度を有する。例えば、繊維の極限引張強度は、典型的に約1,000~約15,000MPa、一部の実施形態では約2,000MPa~約10,000MPa、一部の実施形態では約3,000MPa~約6,000MPaである。高強度繊維は、ガラス、セラミック(例えば、アルミナまたはシリカ)など、およびそれらの混合物などの本質的に電気絶縁性でもある材料から形成されてもよい。ガラス繊維、例えば、Eガラス、Aガラス、Cガラス、Dガラス、ARガラス、Rガラス、S1ガラス、S2ガラスなど、およびそれらの混合物が特に好適である。無機繊維は、例えば、ISO13320:2009に従い(例えば、HoribaLA-960粒度分布分析器を用いて)、レーザー回折技術を使用して決定して約50マイクロメートル以下、一部の実施形態では約0.1~約40マイクロメートル、一部の実施形態では約2~約20マイクロメートルなどの比較的小さいメジアン径を有してもよい。このような繊維の直径が小さいと、溶融ブレンドの際に繊維の長さをより容易に短くすることができ、これにより表面外観および機械的特性をさらに改善させることができると考えられる。ポリマー組成物の形成後、例えば、無機繊維の平均長さは、約10~約800マイクロメートル、一部の実施形態では約100~約700マイクロメートル、一部の実施形態では約200~約600マイクロメートルなど、比較的小さくてもよい。無機繊維はまた、約1~約100、一部の実施形態では約10~約60、一部の実施形態では約30~約50などの比較的高いアスペクト比(平均長さを公称直径で除したもの)を有することができる。
【0018】
C.難燃剤系
[0024]上記の成分に加えて、ポリアミド組成物は、従来のハロゲン系難燃剤を必要とすることなく、所望の燃焼性性能、絶縁特性および機械的特性を達成することができる難燃剤系も含む。難燃剤系は、通常、ポリアミド組成物の約10wt.%~約35wt.%、一部の実施形態では約12wt.%~約30wt.%、一部の実施形態では約15wt.%~約25wt.%を構成する。難燃剤系は、一般に、少なくとも1種のハロゲン不含難燃剤を含む。このような難燃剤のハロゲン(例えば、臭素、塩素、および/またはフッ素)含有量は、典型的に約1,500重量百万分率(「ppm」)以下、一部の実施形態では約900ppm以下、一部の実施形態では約50ppm以下である。特定の実施形態では、難燃剤はハロゲンを完全に含まない(すなわち、0ppm)。ハロゲン不含難燃剤の特定の性質は、組成物の機械的特性に悪影響を与えることなく所望の燃焼性特性を達成するのに役立つように選択される。
【0019】
[0025]この点に関して、難燃剤系は、典型的に難燃剤系の約20wt.%~約100wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約100wt.%、一部の実施形態では約40wt.%~約80wt.%の量で1種または複数のハロゲン不含有機リン難燃剤を含む。特に好適な有機リン難燃剤の1つはホスフィン酸塩であり、これは機械的特性および絶縁特性に悪影響を及ぼすことなく、特に比較的薄い部品の場合に組成物全体の難燃性を高めることができる。このようなホスフィン酸塩は、典型的に、一般式(I)および/または一般式(II):
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、
およびRは、独立して水素、または1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖、分枝、もしくは環式炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキルニル、アラルキル、アリール、アルカリルなど)、特に1~4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルまたはtert-ブチル基であり、
は、置換または非置換の直鎖、分枝、または環式C~C10アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、またはアルキルアリーレン基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、フェニレン、ナフチレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert-ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、t-ブチルナフチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレン基であり、
Zは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、および/またはプロトン化(protonated)窒素塩基であり、
yは1~4、好ましくは1~2(例えば1)であり、
nは1~4、好ましくは1~2(例えば1)であり、
mは1~4、好ましくは1~2(例えば2)である)
を有するものなどのホスフィン酸および/またはジホスフィン酸の塩である。
【0022】
[0026]ホスフィン酸塩は、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物、または金属酸化物を水溶液中で反応させることなどにより、任意の公知の技術を使用して調製され得る。特に好適なホスフィン酸塩としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル-n-プロピルホスフィン酸、メタン-ジ(メチルホスフィン酸)、エタン-1,2-ジ(メチルホスフィン酸)、ヘキサン-1,6-ジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、次亜リン酸などの金属塩が挙げられる。得られる塩は、典型的にモノマー化合物であるが、ポリマー性ホスフィン酸塩が形成されることもある。塩に特に適した金属としては、AlおよびZnを挙げることができる。例えば、1種の特に好適なホスフィン酸塩は、例えばClariantからEXOLIT(登録商標)OP950の名称で市販されているジエチルホスフィン酸亜鉛である。別の特に好適なホスフィン酸塩は、例えばClariantからEXOLIT(登録商標)OP1230の名称で市販されているジエチルホスフィン酸アルミニウムである。
【0023】
[0027]当然ながら、他の好適な有機リン難燃剤もポリアミド組成物に利用することができる。このような難燃剤の例としては、亜リン酸の塩、例えばリン酸塩、亜ホスホン酸塩、亜リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスファゼンなど、およびこれらの組合せを挙げることができる。亜リン酸の塩を形成するために使用されるカチオンは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、NaまたはKなどの金属、および/またはプロトン化窒素塩基であってもよい。金属カチオンを利用する場合、アルミニウムおよび亜鉛、例えば、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、ホスホン酸アルミニウム、ホスホン酸亜鉛などが特に好適である。好適なプロトン化窒素塩基としては、同様に、環構造の少なくとも1つの窒素ヘテロ原子(例えば、複素環式またはヘテロアリール基)ならびに/または環構造の炭素原子および/もしくはヘテロ原子で置換された少なくとも1つの窒素含有官能基(例えば、アミノ、アシルアミノなど)とともに、置換または非置換の環構造を有するものが挙げられる。このような複素環式基の例としては、例えば、ピロリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、チオモルホリンなどを挙げることができる。同様に、ヘテロアリール基の例としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、フラザン、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアジン、オキサジン、トリアジン、テトラジンなどを挙げることができる。所望により、塩基の環構造はまた、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルコキシ、アルケニル、アルキル、アミノ、アリール、アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどの1つまたは複数の官能基で置換されてもよい。置換は、環構造のヘテロ原子および/または炭素原子で起こり得る。
【0024】
[0028]1つの好適な窒素塩基はメラミンであり、これは3つの炭素原子の各々でアミノ官能基で置換された1,3,5トリアジン環構造を含む。好適なリン酸メラミン塩の例としては、例えば、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンなどを挙げることができる。ポリリン酸メラミンは、例えば、BASFからMELAPUR(登録商標)(例えば、MELAPUR(登録商標)200または200/70)の名称で市販されているものであってもよい。別の好適な窒素塩基はピペラジンであり、これは環の対向する位置に2つの窒素原子を含む6員環構造である。好適なリン酸ピペラジン塩の例としては、例えば、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンなどを挙げることができる。特定の実施形態では、メラミン塩とリン酸ピペラジン塩のブレンドを難燃剤系に利用することができる。
【0025】
[0029]当然ながら、他の有機リン難燃剤を難燃剤系に利用することもできる。例えば、一実施形態では、モノ-およびオリゴマー性リン酸およびホスホン酸エステル、例えばリン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン酸ジフェニルクレシル、リン酸ジフェニルオクチル、リン酸ジフェニル-2-エチルクレシル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、レゾルシノール架橋オリゴホスフェート、ビスフェノールA架橋ホスフェート(例えば、ビスフェノールA架橋オリゴホスフェートまたはビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))など、およびそれらの混合物を利用することができる。また、リン酸アリール、亜ホスホン酸アリール、ホスホン酸アリール、次亜リン酸塩、赤リンなども好適な有機リン(organophorphorous)難燃剤として利用され得る。
【0026】
[0030]特定の実施形態では、難燃剤系は、ホスフィン酸塩などの1種類の有機リン(organophophorous)難燃剤のみから形成されてもよい。しかし、他の場合では、所望の特性を達成するために、2種類以上の有機リン難燃剤の組合せを利用することが望ましい場合がある。例えば、一実施形態では、ホスフィン酸塩は、難燃剤系の約50wt.%~約95wt.%、一部の実施形態では約60wt.%~約92wt.%、一部の実施形態では約70wt.%~約90wt.%、さらにポリアミド組成物全体の約5wt.%~約25wt.%、一部の実施形態では約9wt.%~約22wt.%、一部の実施形態では約10wt.%~約20wt.%、一部の実施形態では約11wt.%~約18wt.%を構成してもよい。同様に、他の種類の有機リン難燃剤、例えば亜リン酸の塩(例えば、亜リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム、ポリリン酸メラミンなど)は、難燃剤系の約5wt.%~約50wt.%、一部の実施形態では約8wt.%~約40wt.%、一部の実施形態では約10wt.%~約30wt.%を構成することができる。
【0027】
[0031]難燃剤系は、上述のものなどの有機リン難燃剤のみから形成されてもよい。しかし、特定の実施形態では、系の効果を高めるのに役立つ追加の化合物を利用することが所望される場合がある。例えば、低ハロゲン炭化物形成剤および/または発煙抑制剤として、有機リン化合物と組み合わせて無機化合物を利用することができる。好適な無機化合物(無水物または水和物)としては、例えば、モリブデン酸亜鉛(例えば、Huber Engineered MaterialsからKemgard(登録商標)という名称で市販されている)、モリブデン酸カルシウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸亜鉛-ケイ酸マグネシウムなどの無機モリブデン酸塩を挙げることができる。他の好適な無機化合物としては、無機ホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛(Rio Tento MineralsからFirebrake(登録商標)という名称で市販されている)など)、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、ピロリン酸亜鉛、塩基性クロム酸亜鉛(VI)(ジンクイエロー)、亜クロム酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二水酸化マグネシウムなどを挙げることができる。特定の実施形態では、組成物の全体的な性能を高めるために、モリブデン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛などの無機亜鉛化合物を使用することが所望され得る。利用される場合、そのような無機化合物(例えば、ホウ酸亜鉛)は、例えば、難燃剤系の約1wt.%~約20wt.%、一部の実施形態では約2wt.%~約15wt.%、一部の実施形態では約3wt.%~約10wt.%、さらにポリアミド組成物全体の約0.1wt.%~約10wt.%、一部の実施形態では約0.2wt.%~約5wt.%、一部の実施形態では約0.5wt.%~約4wt.%を構成してもよい。
【0028】
[0032]所望により、他の添加剤を本発明の難燃剤系に利用することもできる。例えば、有機リン化合物および/または他の成分とともに作用してより効果的な難燃剤系をもたらす窒素含有相乗剤を利用することができる。このような窒素含有相乗剤としては、式(III)~(VIII)のもの、またはそれらの混合物:
【0029】
【化2】
【0030】
(式中、
、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、独立して水素、C~Cアルキル、ヒドロキシまたはC~Cヒドロキシアルキルで任意に置換されたC~C16シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、アシルまたはアシルオキシ、C~C12アリールまたはアリールアルキル、ORまたはN(R)R(ここでRは、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシまたはC~Cヒドロキシアルキルで任意に置換されたC~C16シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、アシルもしくはアシルオキシである)、またはC~C12アリールもしくはアリールアルキルであり、
mは1~4であり、
nは1~4であり、
Xは、式IIIのトリアジン化合物と付加体を形成し得る酸である)
を挙げることができる。例えば、窒素含有相乗剤としては、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、シアヌル酸メラミン、ジシアンジアミド、グアニジンなどを挙げることができる。このような相乗剤の例は、Jenewein,et al.の米国特許第6,365,071号、Hoerold,et al.の同第7,255,814号、およびBauer,et al.の同第7,259,200号に記載されている。特に好適な相乗剤の1つは、BASFからMELAPUR(登録商標)MC(例えば、MELAPUR(登録商標)MC15、MC25、MC50)の名称で市販されているようなシアヌル酸メラミンである。
【0031】
[0033]利用される場合、窒素含有相乗剤は、例えば、難燃剤系の約0.5wt.%~約30wt.%、一部の実施形態では約1wt.%~約25wt.%、一部の実施形態では約2wt.%~約20wt.%、さらにポリアミド組成物全体の約0.1wt.%~約10wt.%、一部の実施形態では約0.5wt.%~約8wt.%、一部の実施形態では約1wt.%~約6wt.%を構成してもよい。
【0032】
[0034]難燃剤系および/またはポリアミド組成物自体は、一般に、ハロゲン(すなわち、臭素、フッ素、および/または塩素)の含有量が比較的低く、例えば約15,000百万分率(「ppm」)以下、一部の実施形態では約5,000ppm以下、一部の実施形態では約1,000ppm以下、一部の実施形態では約800ppm以下、一部の実施形態では約1ppm~約600ppmである。それにもかかわらず、本発明の特定の実施形態では、ハロゲン系難燃剤を任意選択の成分として依然として利用することができる。特に好適なハロゲン系難燃剤は、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンポリプロピレン(FEP)コポリマー、パーフルオロアルコキシ(PFA)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)コポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドおよび他の組合せである。利用される場合、このようなハロゲン系難燃剤は、典型的に難燃剤系のわずか約10wt.%以下、一部の実施形態では約5wt.%以下、一部の実施形態では約1wt.%以下を構成する。同様に、ハロゲン系難燃剤は、典型的にポリアミド組成物全体の約5wt.%以下、一部の実施形態では約1wt.%以下、一部の実施形態では約0.5wt.%以下を構成する。
【0033】
D.他の成分
[0035]衝撃改良剤、相溶化剤、粒子状充填剤(例えば、鉱物充填剤)、滑剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、スリップ添加剤、ならびに/または特性および加工性を向上させるために添加される他の材料など、多種多様な追加の添加剤をポリアミド組成物に含めることもできる。特定の実施形態では、例えば、組成物はUV安定剤を含んでもよい。適切なUV安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール(例えば、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(TINUVIN(登録商標)234)、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(TINUVIN(登録商標)329)、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(TINUVIN(登録商標)928)など)、トリアジン(例えば、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(登録商標)1577))、立体障害アミン(例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(登録商標)770)、またはコハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンのポリマー(TINUVIN(登録商標)622))など、およびそれらの混合物を挙げることができる。利用される場合、このようなUV安定剤は、典型的に組成物の約0.05wt.%~約2wt.%、一部の実施形態では約0.1wt.%~約1.5wt.%、および一部の実施形態では約0.2wt.%~約1.0wt.%を構成する。
【0034】
II.形成
[0036]ポリアミド、無機繊維、難燃剤系、および他の任意選択の添加剤は、一緒に溶融加工またはブレンドすることができる。成分は、バレル(例えば、円筒形バレル)内に回転可能に取り付けられて受容される少なくとも1つのスクリューを含み、フィードセクションおよびフィードセクションの下流に位置する溶融セクションをスクリューの長さに沿って画定し得る押出機に、別々にまたは組み合わせて供給されてもよい。繊維は、任意に、ポリアミドが供給される点(例えば、ホッパー)から下流の位置に添加されてもよい。所望により、難燃剤も、ポリアミドが供給される点より下流の位置で押出機に添加されてもよい。押出機のセクションの1つまたは複数は、典型的に約200℃~約450℃、一部の実施形態では約220℃~約350℃、一部の実施形態では約250℃~約350℃の温度範囲内などで加熱され、組成物を形成する。スクリューの速度は、所望の滞留時間、せん断速度、溶融加工温度などを達成するように選択され得る。例えば、スクリュー速度は、約50~約800回転毎分(「rpm」)、一部の実施形態では約70~約150rpm、一部の実施形態では約80~約120rpmの範囲であり得る。また、溶融ブレンド中の見かけのせん断速度は、約100秒-1~約10,000秒-1、一部の実施形態では約500秒-1~約5000秒-1、一部の実施形態では約800秒-1~約1200秒-1の範囲であってもよい。見かけのせん断速度は、4Q/πRに等しく、ここでQはポリマー溶融物の体積流量(「m/s」)であり、Rは溶融ポリマーが流れるキャピラリー(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である。
【0035】
[0037]それが形成される特定の方法にかかわらず、得られるポリアミド組成物は優れた熱特性を有することができる。例えば、ポリアミド組成物の溶融粘度は、小さな寸法を有する金型のキャビティに容易に流入することができるように十分に低くてもよい。1つの特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、1000秒-1のせん断速度で決定して約400~約1,000パスカル秒(「Pa・s」)、一部の実施形態では約450~約900Pa・s、一部の実施形態では約500~約800Pa・sの溶融粘度を有することができる。溶融粘度は、組成物の溶融温度より15℃高い温度(例えば、285℃)でISO試験No.11443:2005に従って決定され得る。
【0036】
III.電気自動車
[0038]上述のように、高電圧電気コネクタは電気自動車に使用するために構成される。例えば、コネクタは、様々な異なる目的を達成するためにパワートレインに利用することができる。例えば、高電圧コネクタは、推進源(例えば、バッテリー、燃料電池など)をパワーエレクトロニクスモジュールに、かつ/またはパワーエレクトロニクスモジュールを特定の電気機械および/もしくは変速機に電気的に接続することができる。例えば、図1を参照すると、パワートレイン10を含む電気自動車12の一実施形態が示される。パワートレイン10は、変速機16に接続された1つまたは複数の電気機械14を含み、変速機16は、ドライブシャフト20および車輪22に機械的に接続される。決して必須ではないが、この特定の実施形態では、変速機16はエンジン18にも接続されている。電気機械14は、推進力および減速能力を提供するために、モータまたは発電機として動作可能であってもよい。パワートレイン10は、電気機械14が使用するためのエネルギーを蓄積して提供するバッテリーパック24などの推進源も含む。バッテリーパック24は、典型的に、1つまたは複数のバッテリーセルを含み得る1つまたは複数のバッテリーセルアレイから高電圧電流出力(例えば、DC電流)を提供する。
【0037】
[0039]パワートレイン10はまた、バッテリーパック24に接続され、電力コンバータ(例えば、インバータ、整流器、電圧コンバータなど、およびそれらの組合せ)を含むことができる少なくとも1つのパワーエレクトロニクスモジュール26を含むことができる。パワーエレクトロニクスモジュール26は、典型的に電気機械14に電気的に接続され、バッテリーパック24と電気機械14との間で電気エネルギーを双方向に伝達する能力を提供する。例えば、バッテリーパック24はDC電圧を提供するが、電気機械14は機能するために三相AC電圧を必要とする場合がある。パワーエレクトロニクスモジュール26は、DC電圧を電気機械14が必要とする三相AC電圧に変換することができる。回生モードでは、パワーエレクトロニクスモジュール26は、発電機として作用する電気機械14からの三相AC電圧を、バッテリーパック24が必要とするDC電圧に変換してもよい。本明細書の説明は、純粋な電気自動車にも同様に適用可能である。バッテリーパック24は、他の車両電気システムにエネルギーを提供することもできる。例えば、パワートレインは、バッテリーパック24からの高電圧DC出力を、コンプレッサおよび電気ヒータなどの他の車両負荷に適合する低電圧DC電源に変換するDC/DCコンバータモジュール28を利用することができる。一般的な車両では、低電圧システムは、補助バッテリー30(例えば12Vバッテリー)に電気的に接続される。バッテリーパック24のコントローラとして作用する、バッテリーパック24と通信するバッテリーエネルギー制御モジュール(BECM)33が存在することもあり、バッテリーセルのそれぞれの温度および充電状態を管理する電子監視システムを含んでもよい。また、電池パック24は、サーミスタまたは他の温度計などの温度センサ31を有してもよい。温度センサ31は、BECM33と通信して、電池パック24に関する温度データを提供することができる。温度センサ31は、走行用バッテリー24内のバッテリーセル上またはその近傍に配置され得る。また、バッテリーセルの温度を監視するために、2つ以上の温度センサ31が使用され得ることが企図される。
【0038】
[0040]特定の実施形態では、バッテリーパック24は、コンセントなどの外部電源36によって再充電され得る。外部電源36は、電源36と車両12との間の電気エネルギーの伝達を調節および管理する電気自動車供給装置(EVSE)に電気的に接続されてもよい。EVSE38は、車両12の充電ポート34に差し込むための充電コネクタ40を有する場合がある。充電ポート34は、EVSE38から車両12に電力を伝達するように構成された任意のタイプのポートであってもよく、充電器または車載電力変換モジュール32に電気的に接続されてもよい。電力変換モジュール32は、EVSE38から供給される電力を調整して、適切な電圧および電流レベルをバッテリーパック24に提供することができる。電力変換モジュール32は、車両12への電力送達を調整するためにEVSE38とインターフェースすることができる。
【0039】
[0041]当業者に公知のように、本発明の高電圧コネクタは、電気自動車のパワートレインに利用されて、様々な異なる目的を達成することができる。再び図1を参照すると、例えば、高電圧コネクタ(図示せず)は、バッテリーパック24をパワーエレクトロニクスモジュール26、DC/DCコンバータモジュール28、および/または電力変換モジュール32などのパワーエレクトロニクスモジュールに電気的に接続することができる。また、高電圧コネクタ(図示せず)は、パワーエレクトロニクスモジュール(例えば、モジュール32)を特定の電気機械14に、かつ/またはパワーエレクトロニクスモジュールおよび/もしくは電気機械14を変速機16に電気的に接続してもよい。当然ながら、パワートレインに使用される以外に、高電圧コネクタはまた、電気自動車の他の部品とともに利用されてもよい。一実施形態では、例えば、高電圧コネクタは、図1に示される充電コネクタ40などの電気自動車供給装置に利用されてもよい。
【0040】
[0042]本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解され得る。
【実施例
【0041】
試験方法
[0043]引張弾性率、引張応力および破断引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527:2012(ASTM D638-14と技術的に同等である)に従って試験され得る。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同一の試験片試料を用いて行われ得る。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は1または5mm/分であってもよい。
【0042】
[0044]曲げ弾性率および曲げ応力:曲げ特性は、ISO試験No.178:2010(ASTM D790-10と技術的に同等である)に従って試験され得る。この試験は、64mmの支持台間距離で実施され得る。試験は、切断されていないISO3167多目的バーの中央部分で行われ得る。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0043】
[0045]ノッチなしシャルピー衝撃強度:ノッチなしシャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1:2010)(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等である)に従って試験され得る。この試験は、タイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して行われ得る。試験片は、一枚歯フライス盤を使用して多目的バーの中心から切り出され得る。試験温度は23℃であってもよい。
【0044】
[0046]ノッチ付きシャルピー衝撃強度:ノッチ付きシャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1:2010)(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等である)に従って試験され得る。この試験は、タイプAノッチ(底面半径0.25mm)およびタイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して行われ得る。試験片は、一枚歯フライス盤を使用して多目的バーの中心から切り出され得る。試験温度は23℃または-30℃であってもよい。
【0045】
[0047]比較トラッキング指数(「CTI」):比較トラッキング指数(CTI)は、国際規格IEC60112-2003に従って決定され、湿潤および/または汚染条件下で電気絶縁材料として機能する組成物の能力の定量的指標を提供することができる。組成物のCTI評価を決定する際には、成型された試験体上に2つの電極を配置する。次に、0.1%塩化アンモニウム水溶液を試験体に滴下する間、電極間に電圧差を設ける。5個の試験片が、破損することなく50滴の試験期間に耐える最大電圧を決定する。試験電圧は、25V刻みで100~600Vの範囲である。電解液を50滴適用して破損を生じる電圧の数値が「比較トラッキング指数」である。値は、材料の相対的な耐トラッキング性の指標となる。UL746Aによると、公称部品厚さ3mmが、他の厚さでの性能の代表と考えられる。
【0046】
[0048]pH試験:試料と接触させた後の水性分散液の水相のpHを測定する試験を行う。まず、基準となる脱イオン水のpHを決定する。次に、密閉容器内の7グラムの脱イオン水に3グラムのペレット試料を入れることによって水性分散液を形成する(70wt.%の脱イオン水相、分散相として30wt.%のペレット)。容器を70℃未満の温度でオーブンで72時間保存する。その後、水相のpHを決定する。
【0047】
[0049]UL94:試験片を垂直な位置で支持し、試験片の底部に炎を当てる。炎を10秒間当て、その後燃焼が止まるまで取り除き、燃焼が止まった時点でさらに10秒間炎を再び当て、その後取り除く。5個の試験片を2セット試験する。試料の大きさは、長さ125mm、幅13mm、および厚さ0.8mmである。2セットをエージング前後にコンディショニングする。エージングなし試験では、各厚さを23℃および相対湿度50%で48時間コンディショニングした後に試験する。エージング試験では、各厚さの試料5つを70℃で7日間コンディショニングした後に試験する。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例1~4
[0050]電気自動車の高電圧コネクタの形成に使用するための4種の異なるポリアミド樹脂試料を、下表に列挙される成分から形成した。
【0050】
【表2】
【0051】
[0051]形成後、得られた組成物を約280℃の温度および80℃~90℃の工具温度で射出成型した。実施例3の射出成型試料を、上述の種々の特性について試験した。結果を以下に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例5~12
[0052]電気自動車の高電圧コネクタの形成に使用するための8種の異なるポリアミド樹脂試料を、下表に列挙される成分から形成した。試料は、標準的なスクリュー設計を有する共回転二軸押出機(Coperion製ZSK40)を使用して形成する。押出機には、メインホッパーおよび下流から成分を添加する選択肢を有する「ウェイトロス」マルチフィーダーシステムが備えられている。バレルおよびダイヘッドの温度は270~290℃であり、溶融温度は300℃未満であり、スループット範囲は毎時80~120キログラムである。各配合物の成分を以下により詳細に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
[0053]形成後、得られた組成物を、約280℃の温度および80℃~90℃の工具温度で射出成型した。実施例5~11の射出成型試料を、上述の種々の特性について試験した。結果を以下に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
[0054]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得る。さらに、様々な実施形態の態様は、全体的または部分的に相互交換され得ることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、前述の説明は例示に過ぎず、そのような添付の特許請求の範囲にそのようにさらに記載された本発明を限定するものではないことを理解する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】