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特表2024-511722レーザビームによる被処理対象である材料または物品に対する制御型腐食誘導のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】レーザビームによる被処理対象である材料または物品に対する制御型腐食誘導のための方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20240308BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20240308BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240308BHJP
   B23K 26/12 20140101ALI20240308BHJP
【FI】
C23C26/00 E
B23K26/352
B23K26/00 N
B23K26/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554064
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 ES2022070121
(87)【国際公開番号】W WO2022184963
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P202130191
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518157791
【氏名又は名称】ウニベルシダーデ、デ、ヴィーゴ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DE VIGO
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パブロ、ポウ、アルバレス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、リベイロ、ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】ヘサス、デル、バル、ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル、コメサナ、ピネイロ
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド、ブーティングイサ、ラローシ
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド、ラスキノス、ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、マリア、ポウ、サラチョ
【テーマコード(参考)】
4E168
4K044
【Fターム(参考)】
4E168AC00
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA26
4E168DA28
4E168DA29
4E168DA45
4E168DA47
4E168FB06
4E168JA01
4E168KA04
4K044AA06
4K044AB10
4K044BC02
4K044CA41
(57)【要約】
本発明は、レーザビームの作用による、腐食の制御型誘導の方法を開示する。本方法によって、標的となる構成部分の各領域における腐食速度の選択的な調整が可能となるため、目標の領域に対して腐食を導くことが可能となる。本方法の適用により、腐食プロセスはレーザ処理によって誘導され、予測可能かつ制御可能となる。本方法は、腐食を制御する必要のあるすべての活動分野に適用可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理対象である材料または物品に対する腐食の制御型誘導の方法であって、
前記被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための誘導戦略を得る工程であって、前記腐食を誘導するための前記誘導戦略が腐食を誘導するための誘導方向を伴うマップを含む工程と、
露光量増加によって前記被処理対象である材料または物品に対して適用される、少なくとも1つのレーザビーム表面処理を確立させ、前記被処理対象である材料または物品に少なくとも2つの腐食速度をもたらす工程と、
誘導方向を伴う前述のマップが示す方向での露光量増加によって、前記被処理対象である材料または物品の少なくとも1つの領域に対して前記少なくとも1つのレーザビーム表面処理を適用する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記露光量増加が、次式
【数1】
(式中、
Pがレーザの出力であり、
νが処理速度である)
に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
定められた段階、好ましくは2段階、より好ましくは4段階で、露光量を増加させながら実行される複数のレーザビーム表面処理を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの表面処理が、露光量を徐々に増加させることによって実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記被処理対象である材料または物品に対して少なくとも1つのレーザ表面処理を確立させる工程において、前記レーザビームが、波長が100nm~11000nmの範囲内にあるレーザ源から生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザ源の平均出力が、1W~5000Wの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
レーザビーム放射線を発生させるのに使用される前記レーザ源が、Nd:YAG、Nd:ガラス、Nd:YVO、Er:YAG、Yb:YAG、Tm:YAG、ダイオード、ファイバ、ディスク、CO、CO、HeCd、銅蒸気、ヨウ素、アルゴン、クリプトンレーザ、または化学レーザ(HF、DF)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
使用される前記レーザ源が、パルスモードまたは連続モードで放射線を放つ、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
使用される前記レーザ源が、パルス持続時間がミリ秒~フェムト秒の間、より好ましくは1~500ナノ秒の範囲にあるパルスモードで発する、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記被処理対象である材料または物品の形状が非平面状であり、前記レーザビームが、三次元光学走査システムによって、前記被処理対象である材料または物品の表面を走査する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記被処理対象である材料または物品の形状が平面状であり、前記レーザビームが、二次元光学走査システムによって、前記被処理対象である材料または物品の表面を走査する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、真空下、または酸化ガス雰囲気の存在下で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化ガスが、O、CO、またはそれらの混合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
人体により再吸収され得る吸収性の金属製骨接合板の製造のための、請求項1ないし13に記載の方法の使用。
【請求項15】
コンクリート製の構造物中の鋼補強材を陰極保護するための陽極であって、腐食が誘導かつ制御されて持続時間および保護が長期にわたる陽極の製造のための、請求項1ないし8に記載の方法の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を腐食から保護するための技法に関する。具体的に本発明は、レーザビームの作用による被処理対象である材料または物品に対する腐食の制御型誘導の方法に関する。
【0002】
本発明に記載の技法により、レーザビームの作用によって金属製の材料または物品に、所望の方向で腐食を誘導することが可能になる。
【背景技術】
【0003】
腐食は、腐食した材料または構成部分の機能性が失われ、深刻な個人的、環境的、および経済的リスクの発生を表すことから、多くの工学分野に影響を及ぼす問題である。
【0004】
腐食は、材料の環境に起因して、材料によって化学エッチングが持続した結果生じる。あらゆる材料が腐食の持続による影響を受けやすいが、腐食で最もよく見られる事例は金属の化学エッチングからなり、化学エッチングは、金属が、内部に電気化学セルを形成可能な自由電子を有することから、主に電気化学エッチングに起因して生じる。電気化学反応には導電性電解質が必要であり、その媒体は典型的に水である。腐食プロセスは、材料や環境特性を含む広範な要因に左右される。腐食が起こる速度は、ある程度、試薬および生成物の温度および濃度に左右される。機械的応力や浸食などの他の要因も、腐食によって生じる劣化の加速に寄与する可能性がある。
【0005】
腐食は、無作為かつ予測不能に進行することが多い。それゆえ、腐食の制御は、極めて複雑な作業である。結果、腐食は全体として防止すべき課題と見なされている。その目的のために、予防保全の手段、および構成部分のオーバーサイジングが通常適用されるが、これらの戦略には高額な経済的コストが伴う。
【0006】
しかし、バッテリーや生分解性インプラントなどの特定の用途は、腐食プロセスによって利益を得る。これらの事例では、腐食は防止されてはならず、むしろ制御された形で進行しなければならない。被処理対象である材料、構成部分、または物品の特定の領域での腐食速度を局所的に調整することで、特注の機械的性能をもって、特定の化学反応、または分解性構成部分の設計を調節することが可能とされる。
【0007】
そのような種類の、腐食プロセスの正確な制御を達成する方法は、非常に限られている。一方で、環境特性の局所的な調整は、特定用途における制限によって不可能ではないにしても、撹拌および/または拡散プロセスに起因して、少なくとも困難であると見なされる。
【0008】
代替的な選択肢は、被処理対象である材料、構成部分、または物品自体の特性を適合させることである。当該材料の特性に対する正確な適合は、製造プロセスの観点から実現不可能な場合があり、対象となる材料の機械的、熱的、および/または電気的性能を損なうおそれがある。それゆえ、材料の表面の特性を制御することが、最も合理的な手法と見なされている。
【0009】
したがって、様々な種類の(金属、セラミック、有機)コーティングの適用が、通常、腐食を防止する際に好ましい表面改質技法である。すべてのコーティングに共通する特徴は、保護対象である構成部分全体に沿って新たな層が全体的に適用されるということである。それゆえ、腐食特性の局所的な調整は、これらの方法によって達成することができない。
【0010】
代案として、レーザを利用した表面処理技法によって、組成、微細構造、トポグラフィ、または残存する機械的応力など、腐食現象を左右する重要な表面特性の制御が可能とされる。さらに、処理条件を適合させることによって、ナノメートル規模でも高精度が達成され、これらの特性の局所的な調整が可能とされる。
【0011】
本発明は、レーザビームの作用による、腐食の制御型誘導の方法を開示する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、請求項1に記載の、被処理対象である材料または物品に対する腐食の制御型誘導の方法と、請求項9に記載の、人体によって再吸収され得る吸収性の金属製骨接合板の製造における前述の方法の使用と、請求項10に記載の、コンクリート製の構造物中の鋼補強材を陰極保護するための陽極の製造における前述の方法の使用とを提供する。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を定める。
【0013】
第1の発明態様は、被処理対象である材料または物品に対する腐食の制御型誘導の方法であって、
腐食を誘導するための誘導方向を伴うマップが定められるように、被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための誘導戦略を得る工程と、
露光量増加によって被処理対象である材料または物品に対して少なくとも1つのレーザビーム表面処理を確立させ、材料または物品に様々な腐食速度をもたらす工程と、
誘導方向を伴う前述のマップが示す方向での露光量増加によって、被処理対象である材料または物品の少なくとも1つの領域に対して少なくとも1つのレーザビーム表面処理を適用する工程と
を含む方法に関する。
【0014】
本発明の観点では、被処理対象である材料または物品は、本発明の方法の様々な工程が実行される、材料、複合材、または物品である。
【0015】
被処理対象である材料または物品の、レーザビームに対する露光量増加、または単に「露光量」は、レーザの出力と加工速度との比として測定される、レーザビームの作用によって特定の表面上および特定の期間で物品に与えられるエネルギー量を意味すると理解されたい。
【0016】
腐食は、化学エッチングによる材料の破壊現象を意味すると理解されたい。
【0017】
被処理対象である材料または物品に対して少なくとも1つのレーザビーム表面処理を適用する工程は、材料表面の処理領域の腐食速度が未処理の材料の腐食速度と比較して低下するような、レーザビームの作用による材料の表面の改質からなる。この改質は、様々な機構、すなわち表面再溶解、粒径の改質、表面テクスチャの改質、表面湿潤性の改質、表面合金元素の蒸発、表面材料の溶発、またはこれら機構のすべてもしくは一部の集合に起因し得る。
【0018】
被処理対象である材料または物品に対して少なくとも1つのレーザビーム表面処理を適用する上記工程の前に、未処理の材料の腐食速度に対する事前試験が行われる。続いて、適用されたレーザビームに対する様々な値の露光量で行われる処理によってもたらされる、腐食速度の低下が試験される。これによって、腐食速度の低下を引き起こす、特定の材料に対する様々な処理が定められ、順序付けられる。それゆえ、表面処理を適用する工程は、より低露光量での処理から始まり、より速い腐食速度を生じさせ、必要な場合にはより高露光量での処理が適用される。
【0019】
一実施形態では、本方法は、被処理対象である材料または物品に対して実行されることになる複数または一組のレーザビーム表面処理を実行することを含み、この表面処理は、定められた段階で露光量を増加させながら実行される。別の実施形態では、被処理対象である材料または物品に対する少なくとも1つのレーザビーム表面処理は、露光量を徐々に増加させることによって実行される。両実施形態で、最初の露光量の値は0とすることができる。これらの実施形態により、腐食の制御型誘導とともに求められる最終用途に応じて、被処理対象である材料または物品の様々な部分の腐食速度を適合させることが可能となる。
【0020】
露光量増加による、被処理対象である材料または物品に対するレーザ表面処理は、被処理対象である材料または物品の未処理の領域よりも速い腐食速度をもたらすレーザビームに対する露光量値での、当該材料または物品の少なくとも1つの領域に対する少なくとも1つの処理からなり、かつ、最終的に腐食誘導を可能にする規定の戦略に従って施されねばならない。
【0021】
一実施形態では、露光量増加による、被処理対象である材料または物品に対するレーザ表面処理は、その材料または物品に少なくとも2つの異なる腐食速度を生じさせる、レーザビームに対する異なる値の露光量(値0を含む)での少なくとも2つからなる。
【0022】
本発明の方法目的の一実施形態では、被処理対象である材料または物品は、金属、セラミック、ポリマー、天然岩、ハイブリッド材料(「複合材料」としても知られる)などである。特定の実施形態では、被処理対象である材料または物品は、リチウム、マグネシウム、チタン、マンガン、ニオブ、タリウム、バナジウム、亜鉛、クロミウム、カドミウム、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、銅、ニッケル、銀、もしくはスズの合金、またはこれら合金のすべてもしくは一部の組合せである。
【0023】
本発明の方法の一実施形態では、様々な腐食速度を生じさせるレーザビームに対する露光量が異なる、4種類の処理が確立される。これらの4種類の処理(より低い露光量からより高い露光量まで)を順序正しく組み合わせることで、被処理対象である材料に対して腐食誘導が生じる。
【0024】
本発明の方法の一実施形態では、様々な腐食速度を生じさせるレーザビームに対する露光量が異なる、2種類の処理が確立される。これらの2種類の処理(より低い露光量からより高い露光量まで)を順序正しく組み合わせることで、被処理対象である材料に対して腐食誘導が生じる。
【0025】
本発明の方法目的の一実施形態では、材料または物品に対して一組のレーザ表面処理を確立させる工程において、上記レーザビームは、波長が100nm~11000nmの範囲内にあるレーザ源から生じる。有利には、この波長範囲によって、電離放射線からの保護手段の使用を必要とすることなく、放射線レーザの取り扱いが可能となる。
【0026】
本方法の一実施形態では、レーザ源の平均出力は、1W~5000Wの範囲内にある。有利には、レーザ源のこの出力範囲によって、様々な化学組成を有する多数の材料における腐食速度を改質する処理を達成することが可能となる。
【0027】
一実施形態では、レーザビーム放射線を発生させるのに使用されるレーザ源は、Nd:YAG、Nd:ガラス、Nd:YVO、Er:YAG、Yb:YAG、Tm:YAG、ダイオード、ファイバ、ディスク、CO、CO、HeCd、銅蒸気、ヨウ素、アルゴン、クリプトンレーザ、または化学レーザ(HF、DF)から選択される。有利には、この種のレーザ源の使用によって、様々な化学組成を有する多数の材料における腐食速度を改質する処理を達成することが可能となる。
【0028】
一実施形態では、使用されるレーザ源は、パルスモードまたは連続モードで放射線を放つ。より具体的な実施形態では、使用されるレーザは、パルス持続時間がミリ秒~フェムト秒の間、より好ましくは1~500ナノ秒の範囲にあるパルスモードで発せられる。有利には、このレーザパルス持続時間範囲を使用することによって、様々な化学組成を有する多数の材料における腐食速度を改質する処理を達成することが可能となる。
【0029】
本方法の一実施形態では、被処理対象である材料または物品の形状は非平面状であり、レーザは、三次元光学走査システムによって、被処理対象である材料または物品の表面を走査する。
【0030】
本方法の一実施形態では、被処理対象である材料または物品の形状は平面状であり、レーザビームは、二次元光学走査システムによって、被処理対象である材料または物品の表面を走査する。
【0031】
任意選択で、本発明のレーザオブジェクトによる制御型腐食誘導の方法は、真空下、または酸化ガス雰囲気の存在下で実行される。一実施形態では、この酸化ガスは、O、CO、またはそれらの混合物とすることができる。
【0032】
有利には、酸化ガス雰囲気によって、材料の腐食速度が改質されるように、材料に対してレーザビームが作用する間に酸化物の形成が促進される。
【0033】
本発明の方法は、被処理対象の有形物に対する、塗料、コーティング、保護層の適用、合金元素の添加、または他のあらゆる種類の添加剤を必要としない。この結果は、被処理対象である材料または物品の表面に対する事前の機械加工または事前調整を必要としない、当該材料または物品に対する単一のレーザビームの使用に基づく比較的単純なシステムによって達成される。
【0034】
さらに本方法によって、標的となる材料または物品の各領域における腐食速度の選択的な調整が可能となるため、目標の区域または領域に対して腐食を導くことが可能となる。本方法の適用により、腐食プロセスはレーザ処理によって誘導され、予測可能かつ制御可能となる。
【0035】
第2の発明態様は、人体により再吸収され得る吸収性の金属製骨接合板の製造における、第1の発明態様の方法の使用に関する。
【0036】
本発明の方法を適用することによって、整形外科、脳神経外科、口腔顎顔面外科などにおいて骨折を固定するための、吸収性の金属製骨接合板を製造することができる。現行の金属製骨接合板は吸収性ではないが、現在利用可能な吸収性の板は、機械特性が低いポリマー材料で作製される。本発明の方法目的によって、人体により吸収可能であるが、骨の再生に必要な時間にわたり機械的応力に耐えるのに必要な材料特性を維持する、マグネシウム合金を用いた骨接合プレートを製造することができる。
【0037】
第3の発明態様は、コンクリート製の構造物中の鋼補強材を陰極保護するための陽極であって、腐食が誘導かつ制御されて持続時間および保護が長期にわたる陽極の製造における、第1の発明態様の方法の使用に関する。
【0038】
本発明の方法目的を保護陽極に適用することによって、陽極の劣化を誘導かつ制御して、陽極自体の寿命を延ばし、保護時間を延ばすことができる。自己腐食の作用を防止することで、陽極保護が必要な場合に、腐食に利用可能な陽極材料の量を増加させることができる。結果、鉄筋コンクリート製の構造物の寿命がさらに長くなる。
【0039】
これまでの記載を補完するために、かつ本発明の特徴のより良い理解を助ける目的で、以下の図を、当該記載の必須部分として添付する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の一実施形態による、被処理対象である材料または物品に対して行われる4種類の処理を概略的に描く図である。
図2図2は、矢印方向に従い腐食を誘導する方向が定められるように、本発明の一実施形態により、被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための誘導戦略を示す図である。
図3図3は、矢印方向に従い腐食を誘導する方向が定められるように、本発明の別の実施形態により、被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための誘導戦略を示す図である。
図4図4a~4eは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御なしの場合の経時的進展を示す図であり、図4aは試験開始前の物品に対応し、続く図4b~図4eは、3週間にわたる物品の腐食の無作為な進展に対応する。
図5図5a~5eは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御ありの場合の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、図2の実施形態による誘導戦略が適用されている。図5aは腐食試験の開始前の物品を示し、続く図5b~図5eは、3週間にわたる同物品の、制御または誘導ありの場合の進展を示す。
図6図6a~6eは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御ありの場合の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、図3の実施形態による誘導戦略が適用されている。図6aは腐食試験の開始前の物品を示し、続く図6b~図6eは、3週間にわたる同物品の、制御または誘導ありの場合の進展を示す。
図7図7a~7eは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御ありの場合の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、中央の菱形形状が高露光量で処理され(図1の実施形態の処理T4に相当)、物品の残りが低露光量で処理される(図1の実施形態の処理T1に相当)、本発明の別の実施形態による誘導戦略が適用されている。図7aは腐食試験の開始前の物品を示し、続く図7b~図7eは、3週間にわたる同物品の、制御または誘導ありの場合の進展を示す。
図8図8a~8bは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御ありの場合の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、中央の菱形形状が低露光量で処理され(図1の実施形態の処理T1に相当)、物品の残りが高露光量で処理される(図1の実施形態の処理T4に相当)、本発明の別の実施形態による誘導戦略が適用されている。図8aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で図8bは3週間後の同物品の状態を示す。
図9図9a~9bは、生理的食塩水中で腐食に供されたマグネシウム合金板の、制御ありの場合の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、物品の中央の菱形形状と四隅の三角形が低露光量で処理され(図1の実施形態の処理T1に相当)、物品の残りが高露光量で処理される(図1の実施形態の処理T4に相当)、本発明の別の実施形態による誘導戦略が適用されている。図9aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で図9bは3週間後の同物品の状態を示す。
図10図10a~10lは、生分解性骨接合板の製造に対する、特定の実施形態による本発明の方法目的の適用を示す図である。
図11図11a~11hは、コンクリート製の構造物中の鋼補強材を陰極保護するための陽極の製造における、特定の実施形態による本発明の方法目的の適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、被処理対象である材料または物品に対する腐食の制御型誘導の方法に関する。
【0042】
図1は、被処理対象である材料または物品に対し、レーザビームによって行われる4種類の処理を概略的に描く図である。処理間の違いは、露光量の違いにある。その意味で、処理T1の露光量は処理T2よりも少なく、処理T2の露光量は処理T3よりも少なく、処理T3の露光量は処理T4よりも少ない。そのため、処理T1に供された材料の腐食速度は、処理T2に供された同材料の腐食速度よりも速い。同様に、処理T2に供された本材料の腐食速度は、処理T3に供された同材料の腐食速度よりも速く、処理T3に供された本材料の腐食速度は、処理T4に供された同材料の腐食速度よりも速い。
【0043】
図2は、矢印方向に従い腐食を誘導する方向が定められるように、被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための例示的な誘導戦略を示す図である。4つの異なる領域は、被処理対象である材料または物品の表面に対して様々な露光量で行われるレーザ処理に対応する。そのため、露光量は、次の指針による露光量増加である。T1の露光量はT2の露光量よりも多く、T2の露光量はT3の露光量よりも多く、T3の露光量はT4の露光量よりも多い。
【0044】
図3は、矢印方向に従い腐食を誘導する方向が定められるように、被処理対象である材料または物品に対して腐食を誘導するための例示的な誘導戦略を示す図である。この場合、被処理対象である材料または物品に対するレーザビームの露光量は、矢印方向で徐々に増加する。
【0045】
図4は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたAZ31マグネシウム合金板の経時的な進展を示す図である。図4aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で続く図4b、図4c、図4d、および図4eは、3週間にわたる同物品の進展を示す。腐食は無作為かつ予測不能に発生し、あらゆる方向で物品に侵襲していることが確認できる。3週間後、物品は完全に破壊される。
【0046】
図5は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたAZ31マグネシウム合金板の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、本発明の制御型腐食誘導目的の方法が適用されている。本事例では、図2に示される戦略に従う。図5aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で続く図5b、図5c、図5d、および図5eは、3週間にわたる同物品の進展を示す。腐食は誘導または制御された形で発生し、本発明の誘導目的の方法によって確立された方向に従い、物品の下部から始まって上部に向かい進行することが確認できる。3週間後、物品は全体的に腐食していない。
【0047】
図6は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたマグネシウム合金板の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、本発明の制御型腐食誘導目的の方法が適用されている。本事例では、図3に示される戦略に従う。図6aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で続く図6b、図6c、図6d、および図6eは、3週間にわたる同物品の進展を示す。腐食は誘導または制御された形で発生し、本発明の誘導目的の方法によって確立された方向に従い、物品の下部から始まって上部に向かい進行することが確認できる。3週間後、腐食は物品の半分強にしか達しなかった。
【0048】
図7は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたマグネシウム合金板の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、本発明の制御型腐食誘導目的の方法が適用されている。本事例で、中央の菱形形状は高露光量で処理され(図1の実施形態の処理T4に相当)、物品の残りは低露光量で処理されている(図1の実施形態の処理T1に相当)。図7aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で続く図7b、図7c、図7d、および図7eは、3週間にわたる同物品の進展を示す。腐食は誘導または制御された形で発生し、物品の周囲から始まって物品の中心に向かい進行することが確認できる。3週間後、中央の菱形形状は腐食していない。
【0049】
図8は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたマグネシウム合金板の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、本発明の制御型腐食誘導目的の方法が適用されている。本事例で、中央の菱形形状は低露光量で処理され(図1の実施形態の処理T1に相当)、物品の残りは高露光量で処理されている(図1の実施形態の処理T4に相当)。図8aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で図8bは3週間後の同物品の状態を示す。腐食は誘導または制御された形で発生し、物品の内部から始まって物品の周囲に向かい進行することが確認できる。3週間後、腐食は中央の菱形形状にのみ影響を及ぼした。
【0050】
図9は、生理的食塩水(9グラム/リットルのClNaを含有する生理食塩水)中で腐食に供されたマグネシウム合金板の経時的進展を示す図であり、当該合金板には、本発明の制御型腐食誘導目的の方法が適用されている。本事例で、物品の中央の菱形形状と四隅の三角形は低露光量で処理され(図1の実施形態の処理T1に相当)、物品の残りは高露光量で処理されている(図1の実施形態の処理T4に相当)。図9aは腐食試験の開始前の物品を示し、一方で図9bは3週間後の同物品の状態を示す。腐食は誘導または制御された形で発生し、物品の内部および四隅から始まって、処理タイプT4を用いて処理される領域に向かい進行することが確認できる。3週間後、腐食は四隅、および中央の菱形形状にのみ影響を及ぼした。
【0051】
図10は、生分解性骨接合板の製造に対する本発明の方法目的の適用を示す図である。図10a、図10b、図10c、および図10dは、非吸収性の金属製骨接合板による骨折の再生における進展を示す図である。骨が既に再生されている場合(図10d)、骨接合板は依然として無傷であり、患者を初期の状態、すなわち骨が再生しているが体内に金属板がない状態に戻すため2回目の外科手術が必要となる。図10e、図10f、図10g、および図10hは、先述の図と同じプロセスを示すが、ここでは再吸収性材料で作製された板が用いられる。この材料は、骨が完全に再生する前にその機械的完全性を失い(図10f)、そのため骨は適切に再生されない(図10h)。図10i、図10j、図10k、および図10lは、先述の2つの事例と同じプロセスを示すが、ここでは、吸収性マグネシウム合金で作製され、本発明の制御型腐食誘導目的の方法に供された骨接合板が用いられる。本事例では、腐食は、誘導または制御された形で、骨が再生するのと同じ速度で発生する(図10jおよび図10k)。結果、骨が完全に再生するとともに、骨接合板が完全に吸収される(図10l)。このことは、骨機能が完全に回復し、骨接合板を除去するための2回目の手術が回避されることを意味する。
【0052】
図11は、コンクリート製の構造物中の鋼補強材を陰極保護するための陽極の製造における、本発明の方法目的の適用を示す図である。図11a、図11b、図11c、および図11dは、陽極が従来の陰極保護に使用される場合の鉄筋コンクリートの挙動を示す。陽極は、非制御型の腐食プロセスを受ける。結果、陽極は寿命が短くなり、補強材を腐食から保護するのを止めるので(図11c)、コンクリートを変形かつ亀裂させてコンクリート構造の破壊を引き起こす、腐食生成物の層が補強材に生じる(図11d)。
【0053】
陰極保護用の陽極が本発明の方法目的に供されると、腐食は誘導または制御された形で発生するので、陽極はゆっくりと腐食し(図11g)、それによって陽極の寿命が非常に顕著に延び、陰極保護の持続時間が延びる(図11h)。最終的な結果、鉄筋コンクリート製の構造物の寿命がさらに長くなる。
【実施例
【0054】
実施例1:
AZ31マグネシウム合金板に腐食を誘導するために、板の底部から始まって上部に向かい進行する必要のある腐食からなる、誘導戦略を確立させた。
【0055】
定格出力20WのNd:YVO4レーザビーム(1064nm)を使用して、20nsのパルス持続時間のパルスモードで作動し、AZ31マグネシウム合金板の表面に集束される、一組のレーザ表面処理を確立させた。このレーザおよびこの材料により、T1、T2、T3、およびT4と呼ばれる4つの異なる処理を確立させ、これらの処理によって4つの異なる腐食速度を生じさせ、このとき、処理T1での腐食速度はT2よりも速く、T2での腐食速度はT3よりも速く、T3での腐食速度はT4よりも速い。
【0056】
レーザビームの作用に対するAZ31マグネシウム合金の露光量増加は、レーザ出力の二乗を加工速度の平方根で除算した商であるネイピア対数
【数1】
を意味すると理解され、この露光量増加の値は各処理において、
T1=3.3W-0.50.5
T2=4.2W-0.50.5
T3=5.1W-0.50.5、および
T4=6.0W-0.50.5
であった。
【0057】
次いで、図2に示されるように、段階的な露光量増加とともに処理を行った。AZ31マグネシウム合金製の物品を処理した後、生理的食塩水中での腐食試験を、未処理のAZ31マグネシウム合金板(図4)、および先ほど詳細に記載された本発明の方法目的を適用したマグネシウム合金製の物品(図5)に対して行った。
【0058】
図4図5を比較して確認できるように、未処理の物品では、腐食は無作為かつ予測不能に発生し、あらゆる方向で物品に侵襲していることを確認できる(図4)。3週間後、物品は完全に破壊される。
【0059】
しかし、本発明の実施形態に従い、本発明の方法目的を適用されている物品では、最初に確立された方向(図5)に従った、物品の上部から下部への腐食誘導を観察することができる。3週間後、物品は全体的に腐食していない。
【0060】
実施例2:
AZ31マグネシウム合金板に腐食を誘導するために、板の底部から始まって上部に向かい進行する必要のある腐食からなる、誘導戦略を確立させた。
【0061】
定格出力20WのNd:YVO4レーザビーム(1064nm)を使用して、20nsのパルス持続時間のパルスモードで作動し、AZ31マグネシウム合金板の表面に集束される、一組のレーザ表面処理を確立させた。このレーザおよびこの材料により、異なる腐食速度を生じさせる異なる処理を確立させた。これらの処理によって、レーザビームの作用に対するAZ31マグネシウム合金の露光量の値を首尾よく変化させた。
【0062】
レーザビームの作用に対するAZ31マグネシウム合金の露光量増加は、レーザ出力の二乗を加工速度の平方根で除算した商であるネイピア対数
【数2】
を意味すると理解され、この露光量増加の値は、2.2W-0.50.5の値から、6.0W-0.50.5の最大値まで徐々に増加した。
【0063】
次いで、図3に示されるように、露光量を徐々に増加させながら処理を行った。AZ31マグネシウム合金製の物品を処理した後、生理的食塩水中での腐食試験を、未処理のAZ31マグネシウム合金板(図4)、および先ほど詳細に記載された本発明の方法目的を適用したマグネシウム合金製の物品(図6)に対して行った。
【0064】
図4図6を比較して確認できるように、未処理の物品では、腐食は無作為かつ予測不能に発生し、あらゆる方向で物品に侵襲していることを確認できる(図4)。3週間後、物品は完全に破壊される。
【0065】
しかし、本実施形態に従い、本発明の方法目的を適用されている物品では、最初に確立された方向(図6)に従った、物品の上部から下部への腐食誘導を観察することができる。3週間後、腐食は物品の半分強にしか達しなかった。
【0066】
実施例3:
AZ31マグネシウム合金板に腐食を誘導するために、物品の周囲から始まって中心に向かい進行する必要のある腐食からなる、誘導戦略を確立させた。
【0067】
定格出力20WのNd:YVO4レーザビーム(1064nm)を使用して、20nsのパルス持続時間のパルスモードで作動し、AZ31マグネシウム合金板の表面に集束される、一組のレーザ表面処理を確立させた。このレーザおよびこの材料により、第1の処理での腐食速度が第2の処理よりも速い、2つの異なる腐食速度を生じさせる2つの異なる処理を確立させた。
レーザビームの作用に対するAZ31マグネシウム合金の露光量増加は、レーザ出力の二乗を加工速度の平方根で除算した商であるネイピア対数
【数3】
を意味すると理解され、この露光量増加の値は、第1の処理では0W-0.50.5、第2の処理では6.0W-0.50.5であった。
【0068】
本事例では、中央の菱形形状を第2の処理に供し、物品の残りを第1の処理に供した。AZ31マグネシウム合金製の物品を処理した後、生理的食塩水中での腐食試験を、未処理のAZ31マグネシウム合金板(図4)、および先ほど詳細に記載された本発明の方法目的を適用したマグネシウム合金製の物品(図7)に対して行った。
【0069】
図4図7を比較して確認できるように、未処理の物品では、腐食は無作為かつ予測不能に発生し、あらゆる方向で物品に侵襲を生じさせることを確認できる(図4)。3週間後、物品は完全に破壊される。
【0070】
しかし、本実施形態に従い、本発明の方法目的を適用されている物品では、最初に確立された方向(図7)に従った、周囲から内部に向かう腐食誘導を観察することができる。3週間後、中央の菱形形状は腐食していない。
【0071】
実施例4:
本実施例は、実施例3の実施形態による本発明の方法目的を適用した結果であり、すなわち、材料、レーザ、および露光量増加の値は当該実施例3と同じであるが、本実施例4では、腐食が板の中心から始まって周囲に向かい進行しなければならないように腐食を誘導するための、誘導戦略が確立される。
【0072】
図8では、腐食は誘導された形で発生し、物品の内部から始まって周囲に向かい進行することを確認できる。3週間後、腐食は中央の菱形形状にのみ影響を及ぼした。
【0073】
実施例5:
本実施例は、実施例3の実施形態による本発明の方法目的を適用した結果であり、すなわち、材料、レーザ、および露光量増加の値は当該実施例3と同じであるが、本実施例5では、腐食が四隅から板の中心に向かい、および板の中心から四隅に向かい導かれねばならないように腐食を誘導するための、誘導戦略が確立される。
【0074】
図9では、腐食は誘導された形で発生し、四隅、および物品の内部から始まって、それぞれ内部および四隅に向かい進行することを確認できる。3週間後、腐食は四隅、および中央の菱形形状にのみ影響を及ぼした。
【0075】
本発明の性質、ならびに本発明を実施する方法を十分に説明してきたが、本発明では、全体として、およびその構成部分において、形態、材料、および配置の変更を、かかる変更が本発明を実質的に変化させないことを前提として導入することが可能であることを付記するのみである。

図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
【国際調査報告】