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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】生物医学的デバイス
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20240308BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240308BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240308BHJP
   A61L 27/26 20060101ALI20240308BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C08G18/40 009
G02C7/04
C08G18/61
C08G18/73
C08G18/75
C08G18/76
C08G18/32 003
C08G18/48
A61L27/26
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554393
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2022056450
(87)【国際公開番号】W WO2022194737
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,002
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522110555
【氏名又は名称】ボシュ + ロム アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス、イヴァン エム.
(72)【発明者】
【氏名】クッラード、リン
(72)【発明者】
【氏名】ポエッズ、ケイティ エル.
【テーマコード(参考)】
2H006
4C081
4C097
4J034
【Fターム(参考)】
2H006BB03
2H006BB05
2H006BB07
4C081AB22
4C081AB23
4C081BB01
4C081BB02
4C081CA221
4C081CA272
4C081CB02
4C081DA01
4C081DA12
4C097AA25
4C097BB01
4C097MM04
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CB02
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC09
4J034CC12
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CD01
4J034CD04
4J034CD06
4J034DA01
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4J034DP18
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4J034HA06
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4J034HC03
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4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
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4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
4J034QA01
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4J034QA03
4J034QA05
4J034QB08
4J034QC06
4J034RA13
(57)【要約】
(a)1つ以上の二官能性イソシアネートと、(b)1つ以上のポリアルコールと、(c)1つ以上のジヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、(d)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む混合物の重合生成物である、生物医学的デバイスが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物の重合生成物である生物医学的デバイスであって、
(a)1つ以上の二官能性イソシアネートと、
(b)1つ以上のポリアルコールと、
(c)1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、
(d)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む、生物医学的デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の二官能性イソシアネートが、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、及び芳香族イソシアネートを含む、請求項1に記載の生物医学的デバイス。
【請求項3】
前記1つ以上の二官能性イソシアネートが、式OCN-R-NCOのものであり、式中、Rが、直鎖又は分岐鎖C~C18-アルキレン基、非置換若しくは置換C~C10-アリーレン基、非置換若しくは置換C~C18-アラルキレン基、C~C10-アリーレン-C~C-アルキレン-C~C10-アリーレン基、C~C-シクロアルキレン基、C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン基、C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン-C~C-シクロアルキレン基、又はC~C-アルキレン-C~C-シクロ-アルキレン-C~C-アルキレン基である、請求項1に記載の生物医学的デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上のポリアルコールが、約2~約50個の炭素原子と少なくとも2個のヒドロキシ基とを有する、請求項1~3に記載の生物医学的デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上のポリアルコールが、ジオール、トリオール、三級アミンポリアルコール、アルコキシル化ポリアルコール、ポリエーテルポリアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3に記載の生物医学的デバイス。
【請求項6】
前記ジオールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、エチレンオキシド、プロピレンオキシドの縮合に由来するポリ(オキシアルキレン)ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項7】
前記トリオールが、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項8】
前記三級アミンポリアルコールが、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン N-n-ブチルジエタノールアミン N-tert-ブチルジエタノールアミン N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ココアルキルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミン、エトキシル化(EO)、プロポキシル化(PO)、及び混合EO/PO三級アミン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項9】
前記アルコキシル化ポリアルコールが、1つ以上のポリオキシエチレングリコールを含む、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項10】
前記ポリエーテルポリアルコールが、ポロキサマーブロックコポリマーを含む、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項11】
前記ポリエーテルポリアルコールが、ポロキサミンブロックコポリマーを含む、請求項5に記載の生物医学的デバイス。
【請求項12】
前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーが、以下の式
【化V】

のものであり、式中、各R、R、R、R及びR基が、独立して、H又はヒドロカルビル基を表し、pが、0~40の整数であり、qが、0~40の整数であり、zが、2~50の整数であり、uが、1~100の整数であり、yが、0~40の整数であり、wが、0~40の整数であり、vが、2~50の整数であり、各Q基が、独立して、ヒドロキシル含有反応性官能末端基を表す、請求項1~11に記載の生物医学的デバイス。
【請求項13】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、1つ以上の二官能性、三官能性、及び四官能性のポリオキサゾリンポリオールを含む、請求項1~12に記載の生物医学的デバイス。
【請求項14】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、以下の式
【化VI】

のものであり、式中、各Rが、ヒドロキシル基であり、各R’が、独立して、アルキル基、ハロアルキル基、アルケン基、アルキン基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ハロアリール基、アラルキル基、及びハロアラルキル基であり、Zが、二価の結合であり、x及びyの各々が、独立して、少なくとも1である、請求項1~12に記載の生物医学的デバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の二官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項16】
前記1つ以上の二官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個のアルキル分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、前記アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、1つ以上のC~C12アルキルポリオキサゾリンポリオール、1個の芳香族分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオール、及び1個のシクロアルキル分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項17】
前記オキサゾリン含有ヒドロキシル基の各々が、1~約200個の繰り返しオキサゾリン単位を有する、請求項15又は16に記載の生物医学的デバイス。
【請求項18】
前記1つ以上の二官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個の芳香族分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオールであり、前記芳香族分子が、フェニル基又はビフェニル基である、請求項16又は17に記載の生物医学的デバイス。
【請求項19】
前記1つ以上の三官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項20】
前記1つ以上の三官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個のアルキル分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、前記アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、1つ以上のC~C12アルキルポリオキサゾリンポリオール、1個の芳香族分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオール、及び1個のシクロアルキル分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項21】
前記オキサゾリン含有ヒドロキシル基の各々が、1~約200個の繰り返しオキサゾリン単位を有する、請求項19又は20に記載の生物医学的デバイス。
【請求項22】
前記1つ以上の三官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個の芳香族分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオールであり、前記芳香族分子が、フェニル基又はビフェニル基である、請求項20又は21に記載の生物医学的デバイス。
【請求項23】
前記1つ以上の四官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項24】
前記1つ以上の四官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個のアルキル分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、前記アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、1つ以上のC~C12アルキルポリオキサゾリンポリオール、1個の芳香族分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオール、及び1個のシクロアルキル分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールである、請求項13に記載の生物医学的デバイス。
【請求項25】
前記オキサゾリン含有ヒドロキシル基の各々が、1~約200個の繰り返しオキサゾリン単位を有する、請求項23又は24に記載の生物医学的デバイス。
【請求項26】
前記1つ以上の四官能性ポリオキサゾリンポリオールが、1個の芳香族分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、1つ以上のC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオールであり、前記芳香族分子が、フェニル基又はビフェニル基である、請求項24又は25に記載の生物医学的デバイス。
【請求項27】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、約1000ダルトン以上、かつ最大約50,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1~26に記載の生物医学的デバイス。
【請求項28】
前記混合物が、触媒量の1つ以上の触媒を更に含む、請求項1~27に記載の生物医学的デバイス。
【請求項29】
前記混合物が、少なくとも1つのシリコーン含有モノマーを更に含む、請求項1~28に記載の生物医学的デバイス。
【請求項30】
コンタクトレンズである、請求項1~29に記載の生物医学的デバイス。
【請求項31】
ヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項1~29に記載の生物医学的デバイス。
【請求項32】
眼内レンズである、請求項1~29に記載の生物医学的デバイス。
【請求項33】
前記重合生成物が、熱硬化性重合生成物である、請求項1~32に記載の生物医学的デバイス。
【請求項34】
前記混合物が、
(a)前記混合物の総重量に基づいて、約20~約60重量パーセントの前記1つ以上の二官能性イソシアネートと、
(b)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約70重量パーセントの前記1つ以上のポリアルコールと、
(c)前記混合物の総重量に基づいて、約3~約60重量パーセントの前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、
(d)前記混合物の総重量に基づいて、約5~約65重量パーセントの、約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む、請求項1~33に記載の生物医学的デバイス。
【請求項35】
前記混合物が、
(a)前記混合物の総重量に基づいて、約30~約45重量パーセントの前記1つ以上の二官能性イソシアネートと、
(b)前記混合物の総重量に基づいて、約12~約20重量パーセントの前記1つ以上のポリアルコールと、
(c)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約50重量パーセントの前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、
(d)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約45重量パーセントの、約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む、請求項1~33に記載の生物医学的デバイス。
【請求項36】
生物医学的デバイスを作製する方法であって、前記方法が、
(a)(i)1つ以上の二官能性イソシアネートと、(ii)1つ以上のポリアルコールと、(iii)1つ以上のジヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、(iv)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む混合物を提供することと、
(b)前記混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、
(c)前記重合されたデバイスを水和させることと、を含む、方法。
【請求項37】
前記1つ以上の二官能性イソシアネートが、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、及び芳香族イソシアネートを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の二官能性イソシアネートが、式OCN-R-NCOのものであり、式中、Rが、直鎖又は分岐鎖C~C18-アルキレン基、非置換若しくは置換C~C10-アリーレン基、非置換若しくは置換C~C18-アラルキレン基、C~C10-アリーレン-C~C-アルキレン-C~C10-アリーレン基、C~C-シクロアルキレン基、C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン基、C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン-C~C-シクロアルキレン基、又はC~C-アルキレン-C~C-シクロ-アルキレン-C~C-アルキレン基である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上のポリアルコールが、約2~約50個の炭素原子と少なくとも2個のヒドロキシ基とを有する、請求項36~38に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上のポリアルコールが、ジオール、トリオール、三級アミンポリアルコール、アルコキシル化ポリアルコール、ポリエーテルポリアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36~38に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上のアルコキシル化ポリアルコールが、1つ以上のポリオキシエチレングリコールを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上のポリエーテルポリアルコールが、ポロキサマーブロックコポリマー及びポロキサミンブロックコポリマーのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーが、以下の式
【化V】

のものであり、式中、各R、R、R、R及びR基が、独立して、H又はヒドロカルビル基を表し、pが、0~40の整数であり、qが、0~40の整数であり、zが、2~50の整数であり、uが、1~100の整数であり、yが、0~40の整数であり、wが、0~40の整数であり、vが、2~50の整数であり、各Q基が、独立して、ヒドロキシル含有反応性官能末端基を表す、請求項36~42に記載の方法。
【請求項44】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、1つ以上の二官能性、三官能性、及び四官能性のポリオキサゾリンポリオールを含む、請求項36~43に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、以下の式
【化VI】

のものであり、式中、各Rが、ヒドロキシル基であり、各R’が、独立して、アルキル基、ハロアルキル基、アルケン基、アルキン基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ハロアリール基、アラルキル基、及びハロアラルキル基であり、Zが、二価の結合であり、x及びyの各々が、独立して、少なくとも1である、請求項36~43に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールが、約1000ダルトン以上、かつ最大約50,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項36~45に記載の方法。
【請求項47】
前記混合物が、触媒量の1つ以上の触媒を更に含む、請求項36~46に記載の方法。
【請求項48】
前記混合物が、少なくとも1つのシリコーン含有モノマーを更に含む、請求項36~47に記載の方法。
【請求項49】
コンタクトレンズである、請求項36~48に記載の方法。
【請求項50】
ヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項36~48に記載の方法。
【請求項51】
眼内レンズである、請求項36~48に記載の方法。
【請求項52】
前記重合生成物が、熱硬化性重合生成物である、請求項36~51に記載の方法。
【請求項53】
前記混合物が、
(a)前記混合物の総重量に基づいて、約20~約60重量パーセントの前記1つ以上の二官能性イソシアネートと、
(b)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約70重量パーセントの前記1つ以上のポリアルコールと、
(c)前記混合物の総重量に基づいて、約3~約60重量パーセントの前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、
(d)前記混合物の総重量に基づいて、約5~約65重量パーセントの、約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む、請求項36~52に記載の方法。
【請求項54】
前記混合物が、
(a)前記混合物の総重量に基づいて、約30~約45重量パーセントの前記1つ以上の二官能性イソシアネートと、
(b)前記混合物の総重量に基づいて、約12~約20重量パーセントの前記1つ以上のポリアルコールと、
(c)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約50重量パーセントの前記1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、
(d)前記混合物の総重量に基づいて、約10~約45重量パーセントの、約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する前記1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む、請求項36~52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その内容が、全体的に参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月15日に出願された「Biomedical Devices」という名称の米国仮特許出願第63/161,002号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
シロキシ含有材料から作られた眼科用レンズなどの生物医学的デバイスは、数年間にわたって調べられてきた。そのような材料は、一般的に、2つの主な種類、すなわち、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルに細分することができる。ヒドロゲルは、平衡状態で水を吸収し、保持することができ、一方、非ヒドロゲルは、大量の水を吸収しない。それらの含水量にかかわらず、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルのシロキシ及び/又はフッ素化コンタクトレンズは両方とも、比較的疎水性であり、非濡れ性の表面を有する傾向がある。
【0003】
ヒドロゲルは、コンタクトレンズ及び眼内レンズを含む、多くの生物医学的用途のための望ましい種類の材料を表す。ヒドロゲルは、平衡状態で水を含有する水和架橋ポリマー系である。シリコーンヒドロゲルは、公知の種類のヒドロゲルであり、シロキシ含有材料を含むことを特徴とする。非シリコーンヒドロゲルを超えるシリコーンヒドロゲルの利点は、シロキシ含有モノマーを含むことに起因して、シリコーンヒドロゲルが典型的にはより高い酸素透過性を有することである。ほとんどの既存のヒドロゲルは、架橋剤を含有するモノマーのフリーラジカル重合に基づいているため、これらの材料は、熱硬化性ポリマーである。
【0004】
コンタクトレンズなどの生物医学的デバイスの分野では、例えば、酸素透過性、濡れ性、材料強度及び安定性などの様々な物理的特性及び化学的特性は、使用可能なコンタクトレンズを提供するために慎重にバランスをとらなければならない因子のほんの一部である。例えば、角膜は、大気との接触から酸素供給を受けるため、良好な酸素透過性は、特定のコンタクトレンズ材料にとって重要な特徴である。濡れ性は、レンズが十分に濡れ性ではない場合、潤滑された状態を維持しないため、眼に快適に着用することができないという点でも重要である。したがって、最適なコンタクトレンズは、少なくとも優れた酸素透過性と優れた涙液濡れ性の両方を有するであろう。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態によれば、混合物の重合生成物である生物医学的デバイスは、(a)1つ以上の二官能性イソシアネートと、(b)1つ以上のポリアルコールと、(c)1つ以上のジヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、(d)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む。
【0006】
別の例示的な実施形態によれば、生物医学的デバイスを作製するための方法であって、(a)(i)1つ以上の二官能性イソシアネートと、(ii)1つ以上のポリアルコールと、(iii)1つ以上のジヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、(iv)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む混合物を提供することと、(b)混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、(c)重合されたデバイスを水和させることと、を含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される様々な例示的な実施形態は、熱硬化性又は熱可塑性のポリオキサゾリン系シリコーン含有ポリウレタン材料から得られる生物医学的デバイスを対象とする。非限定的な例示的な実施形態で本明細書に記載のポリオキサゾリン系シリコーン含有ポリウレタン材料は、コンタクトレンズ産業での使用に特に適している。加えて、ポリオキサゾリン系シリコーン含有ポリウレタン材料は、特に酸素透過性及び光透過性の観点から、例示的な物理的特性を示す熱可塑性又は熱硬化性の材料である。有利には、本明細書に記載の熱可塑性又は熱硬化性の材料は、従来の成形装置における使用に好適であり、それによって、コンタクトレンズの高スループット生産を可能にする。
【0008】
熱可塑性ポリウレタンは、最小限の架橋を有し、ポリマーネットワーク内の任意の結合は、主に水素結合又は他の物理的機構を介している。架橋レベルが低いため、熱可塑性ポリウレタンは、比較的可撓性である。熱可塑性ポリウレタン中の架橋結合は、成形中又は押出成形中などの温度の上昇によって可逆的に破壊する場合がある。すなわち、熱可塑性材料は、熱にさらされると軟化し、冷却されると元の状態に戻る。一方、熱硬化性ポリウレタンは、硬化させると、不可逆的に固定される。架橋結合は不可逆的に固定され、熱にさらされても破壊しない。したがって、典型的には高レベルの架橋を有する熱硬化性ポリウレタンは、比較的剛性である。したがって、本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、分解温度よりも低い温度で溶融する材料を指す。本明細書で使用される場合、「熱硬化性」という用語は、分解温度よりも高い温度で融解する材料を指す。
【0009】
本明細書に開示される生物医学的デバイスは、体組織又は体液と直接接触することを意図している。本明細書で使用される場合、「生物医学的デバイス」という用語は、哺乳動物組織若しくは体液中、又は哺乳動物組織若しくは体液上で、好ましくはヒト組織若しくは体液中、又はヒト組織若しくは体液上で使用されるように設計される任意の物品である。生物医学的デバイスの代表的な例としては、人工尿管、ダイアフラム、子宮内避妊器具、心臓弁、カテーテル、義歯ライナー、人工器官、眼科用レンズ用途が挙げられるが、これらに限定されず、ここでは、レンズは、例えば、眼内デバイス及びコンタクトレンズなどの眼内又は眼上に直接配置することを意図している。例示的な実施形態では、生物医学的デバイスは、眼科用デバイス、特に、コンタクトレンズ、より特定的には、シリコーンヒドロゲルから作製されたコンタクトレンズである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「眼科用デバイス」という用語は、眼の中及び眼の上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正、創傷ケア、薬物送達、診断機能、又は美顔的向上若しくは効果、あるいはこれらの特性の組み合わせを提供することができる。有用な眼科用デバイスとしては、ソフトコンタクトレンズ(例えば、ヒドロゲルソフトレンズ、及び非ヒドロゲルソフトレンズなど)、ハードコンタクトレンズ(例えば、気体透過性ハードレンズ材料など)、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物などの、眼科用レンズが挙げられるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるように、レンズが壊れることなくそれ自体に折り返すことができる場合、レンズは「ソフト」であるとみなされる。
【0011】
例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、高含水量眼科用デバイスであり得る。例示的な実施形態では、高含水量眼科用デバイスは、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水量を有するであろう。別の例示的な実施形態では、高含水量眼科用デバイスは、少なくとも約70重量パーセントの平衡含水量を有するであろう。別の例示的な実施形態では、高含水量眼科用デバイスは、少なくとも約75重量パーセントの平衡含水量を有するであろう。
【0012】
例示的な非限定的な実施形態では、本明細書に開示される生物医学的デバイスは、(a)1つ以上の二官能性イソシアネートと、(b)1つ以上のポリアルコールと、(c)1つ以上のジヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーと、(d)約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールと、を含む混合物の重合生成物から形成される。
【0013】
好適な1つ以上の二官能性イソシアネートとしては、例えば、任意の脂肪族、脂環式、又は芳香族イソシアネートが挙げられる。本明細書で使用され得る好適な芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トルエン 2,4-ジイソシアネート(TDI)、トルエン 2,6-ジイソシアネート(TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン 1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン 2,4-ジイソシアネート(NDI)、p-キシレンジイソシアネート(XDI)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマー及びブレンドが挙げられる。本明細書で使用され得る好適な脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12MDI」)、メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、トランス-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマー及びブレンドが挙げられる。好適な多官能性イソシアネートには、HDI又はH12MDIのトリマー、オリゴマー、又はこれらの他の誘導体が含まれる。本明細書で使用される場合、「二官能性」という用語は、イソシアネート組成物及びポリヒドロキシ化合物の平均官能性が約2であることを意味する。
【0014】
例示的な実施形態では、1つ以上の二官能性イソシアネートは、式OCN-R-NCOのものであり、式中、Rが、直鎖又は分岐鎖C~C18-アルキレン、非置換若しくは置換C~C10-アリーレン、非置換若しくは置換C~C18-アラルキレン、非置換若しくは置換C~C10-アリーレン-C~C-アルキレン-C~C10-アリーレン、非置換若しくは置換C~C-シクロアルキレン、非置換若しくは置換C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン、非置換若しくは置換C~C-シクロアルキレン-C~C-アルキレン-C~C-シクロアルキレン、又は非置換若しくは置換C~C-アルキレン-C~C-シクロ-アルキレン-C~C-アルキレンである。
【0015】
例示的な実施形態では、1つ以上の二官能性イソシアネートは、混合物の総重量に基づいて、約20~約60重量パーセントの範囲の量で混合物中に存在し得る。例示的な実施形態では、混合物中の1つ以上の二官能性イソシアネートの量は、混合物の総重量に基づいて、約30~約45重量パーセントの範囲であり得る。
【0016】
混合物は、1つ以上のポリアルコールを更に含む。好適なポリアルコールとしては、例えば、直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族又は芳香族ジオール、トリオール、3つを超える平均官能度を有するより高級の官能性ポリオール、三級アミンポリアルコール、アルコキシル化ポリアルコール、ポリエーテルポリアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。例示的な実施形態では、1つ以上のポリアルコールは、例えば、約2~約1000個の炭素原子と2~約10個のヒドロキシ基とを有し得る。別の実施形態では、1つ以上のポリアルコールは、最大約1000個の炭素原子、又は最大約750個の炭素原子、又は最大約650個の炭素原子、又は最大約550個の炭素原子、又は最大約450個の炭素原子、又は最大約350個の炭素原子、又は最大約250個の炭素原子、又は最大約150個の炭素原子、又は最大約100個の炭素原子、又は最大約50個の炭素原子、及び2~約10個のヒドロキシ基を有し得る。一実施形態では、1つ以上のポリアルコールは、少なくとも2個の炭素原子、又は少なくとも約5個の炭素原子、又は少なくとも約10個の炭素原子、又は少なくとも約15個の炭素原子、又は少なくとも約20個の炭素原子、又は少なくとも約25個の炭素原子、又は少なくとも約30個の炭素原子、又は少なくとも約40個の炭素原子、又は少なくとも約50個の炭素原子、又は少なくとも約100個の炭素原子、及び2~約10個のヒドロキシ基を有し得る。当業者であれば容易に理解するように、前述の下限のうちのいずれかを上限のうちのいずれかと組み合わせることができる。
【0017】
例示的な実施形態では、1つ以上のポリアルコールは、例えば、約1~約50個の炭素原子と2~10個のヒドロキシ基とを有し得る。例示的な実施形態では、1つ以上のポリアルコールは、例えば、約2~約50個の炭素原子と2~10個のヒドロキシ基とを有し得る。鎖延長剤として使用される場合、1つ以上のポリアルコールは、例えば、約2~約20個の炭素原子、又は約2~約10個の炭素原子、又は約2~約5個の炭素原子、及び2~10個のヒドロキシ基、又は2~4個のヒドロキシ基を有し得る。
【0018】
好適なジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート(HPHP)、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、並びにエチレンオキシド、プロピレンオキシドの縮合に由来するポリ(オキシアルキレン)ポリオール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ジオールのいずれかの混合物も企図される。ポリアルコール成分はまた、トリオール、3つを超える平均官能性を有するより高級の官能性ポリオール、又はそれらの混合物を含み得る。
【0019】
好適なトリオール及びより高級の官能性ポリアルコールとしては、例えば、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖(例えば、スクロース、グルコース、及びフルクトース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール及びマンニトール)、並びに前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態について、ジオール、トリオール、及び/又はより高級の官能性ポリアルコールの混合物も企図される。
【0020】
好適な三級アミンポリアルコールとしては、例えば、少なくとも2つのヒドロキシル及び少なくとも1つの三級アミン基を有する化合物が挙げられる。一実施形態では、三級アミンポリアルコールは、例えば、約2~約50個の炭素原子、又は約2~約20個の炭素原子、又は約2~約10個の炭素原子、又は約2~約5個の炭素原子、及び2~10個のヒドロキシ基、又は2~4個のヒドロキシ基を有し得る。好適な三級アミンポリアルコールの代表的な例としては、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン N-n-ブチルジエタノールアミン N-tert-ブチルジエタノールアミン N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ココアルキルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミン、エトキシル化(EO)、プロポキシル化(PO)、及び混合EO/PO三級アミン、例えば、エトキシル化トリエタノールアミンなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
好適なアルコキシル化ポリアルコールは、例えば、約2~約20個の炭素原子、又は約3~約20個の炭素原子、約4~約20個の炭素原子、又は約2~約10個の炭素原子、及び2~10個のヒドロキシ基、又は2~4個のヒドロキシ基を有し得る。一実施形態では、アルコキシル化ポリアルコールは、200~5,000グラム/モルの数平均分子量を有し得る。一実施形態では、好適なアルコキシル化ポリアルコールは、ポリオキシエチレングリコール、すなわち、ポリオキシエチレンを説明するために使用される「PEG」であってもよく、その数に等しいおおよその分子量を有するPEG部分を示す数が後に続いてもよい。本明細書で使用するためのPEGの代表的な例としては、PEG350、PEG4000、PEG6000、PEG8000、及びPEG10000(10,000ダルトンのおおよその分子量を有するPEG部分である)が挙げられる。
【0022】
好適なアルコキシル化ポリアルコールの代表的な例としては、エトキシル化ジオール、エトキシル化トリオール、エトキシル化テトロール、エトキシル化ペンタオール、エトキシル化ヘキサオール、プロポキシル化ジオール、プロポキシル化トリオール、プロポキシル化テトロール、プロポキシル化ペンタオール、プロポキシル化ヘキサオール ブトキシル化ジオール、ブトキシル化トリオール、ブトキシル化テトロール、ブトキシル化ペンタオール、ブトキシル化ヘキサオールなどが挙げられる。エトキシル化ポリアルコールの代表的な例は、エトキシル化グリセロール、エトキシル化ペンタエリスリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、エトキシル化グルコシド、及びエトキシル化グルコースである。
【0023】
好適なポリエーテルポリアルコールとしては、例えば、1つ以上の(-O-R-)繰り返し単位を有する1つ以上の鎖又はポリマー成分を含み、Rが、2~約6個の炭素原子を有するアルキレン又はアリーレン基である、ポリエーテルポリアルコールが挙げられる。ポリエーテルは、異なる比のエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)の成分から形成されたブロックコポリマーに由来し得る。そのようなポリエーテル及びそれらの各成分セグメントは、異なる結合した疎水性及び親水性の化学官能基の部分及びセグメントを含み得る。
【0024】
好適なポリエーテルポリアルコールの代表的な例は、ポロキサマーブロックコポリマーである。ポロキサマーブロックコポリマーの1つの特定の種類は、Pluronic(登録商標)(BASF Wyandotte Corp.,Wyandotte,Mich.)という商標で入手可能なものである。ポロキサマーとしては、Pluronics及び逆Pluronicsが挙げられる。Pluronicsは、一般に式(I)
HO(CO)(CO)(CO)H (I)
(式中、aは独立して、少なくとも1であり、bは、少なくとも1である)で表されるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックから構成されるABAブロックコポリマーのシリーズである。
【0025】
逆Pluronicsは、一般に式(II)
HO(CO)(CO)(CO)H (II)
(式中、aは、少なくとも1であり、bは独立して、少なくとも1である)で表されるポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックからそれぞれ構成されるBABブロックコポリマーのシリーズである。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)ブロックは親水性であるのに対し、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)ブロックは、本質的に疎水性である。各シリーズのポロキサマーは、最終的に材料の親水性-親油性バランス(HLB)を決定するPEOとPPOとの比が異なり、すなわち、異なるHLB値は、a及びbの値が異なることに基づいており、aは、分子中に存在する親水性ポリ(エチレンオキシド)単位(PEO)の数を表し、bは、分子中に存在する疎水性ポリ(プロピレンオキシド)単位(PPO)の数を表す。
【0026】
ポロキサミンブロックコポリマーであり得る、好適なポリエーテルポリアルコールの別の例。本明細書で使用されるブロックコポリマーという用語は、ポリマー骨格中に2つ以上のブロックを有するポロキサマー及び/又はポロキサミンを意味すると理解されるべきである。ポロキサマー及び逆ポロキサマーが(末端ヒドロキシル基に基づいて)二官能性分子であるとみなされる一方で、ポロキサミンは四官能性形態にあり、すなわち、これらの分子は、一級ヒドロキシル基で終端しかつ中央のジアミンにより結合された四官能性ブロックコポリマーである。ポロキサミンブロックコポリマーの1つの特定の種類は、Tetronic(BASF)という商標で入手可能なものである。ポロキサミンとしては、Tetronic及び逆Tetronicsが挙げられる。ポロキサミンは、以下の、式(III)
【化III】

(式中、aは独立して、少なくとも1であり、bは独立して、少なくとも1である)の一般構造を有する。
【0027】
上述の1つ以上のポリアルコールは、混合物の総重量に基づいて、約10~約70重量パーセントの範囲の量で混合物中に存在し得る。例示的な実施形態では、混合物中の1つ以上のポリアルコールの量は、混合物の総重量に基づいて、約12~約20重量パーセントの範囲であり得る。
【0028】
混合物は、1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーを更に含む。例示的な実施形態では、ヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、式(IV)の構造
【化IV】

によって表され、式中、各Rが、独立して、ヒドロキシル含有反応性官能末端基であり、R~Rが、独立して、ヒドロカルビル基、例えば、直鎖若しくは分岐鎖の、置換若しくは非置換C~C30アルキル基、置換若しくは非置換C~C30シクロアルキル基、置換若しくは非置換C~C30シクロアルキルアルキル基、置換若しくは非置換C~C30シクロアルケニル基、置換若しくは非置換C~C30アリール基、及び置換若しくは非置換C~C30アリールアルキル基であり、Lが、独立して、連結基であり、xが、3~200である。
【0029】
本明細書で使用するためのヒドロキシル含有反応性官能末端基は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する基である。本明細書で使用するためのヒドロキシル含有反応性官能末端基の代表的な例としては、例として、以下の一般式-R(OH)を有する基が挙げられ、式中、Rが、独立して、本明細書で定義されるアルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基などである。
【0030】
連結基Lは、独立して、直鎖又は分岐鎖の、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、置換若しくは非置換アリール基、置換若しくは非置換エーテル基又はポリエーテル基、及び置換若しくは非置換エステル基である。
【0031】
本明細書で使用するためのアルキル基の代表的な例としては、例として、不飽和部の有無にかかわらず、分子の残りの部分に対して、1~約30個の炭素原子、又は1~約12個の炭素原子、又は1~約6個の炭素原子を有する炭素原子と水素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、メチレン、エチレンなどが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用するためのシクロアルキル基の代表的な例としては、例として、約3~約30個の炭素原子、又は3~約6個の炭素原子の置換若しくは非置換の非芳香族の単環式環系又は多環式環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基、架橋した環状基又はスピロ二環基、例えば、スピロ-(4,4)-ノナ-2-イルなどが挙げられ、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有するものなどが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用するためのシクロアルキルアルキル基の代表的な例としては、例として、アルキル基に直接接続し、次いで、アルキル基由来の任意の炭素でモノマーの主構造に接続して安定な構造を生成する、約4~約30個の炭素原子、又は3~約6個の炭素原子を含有する置換又は非置換の環式環含有基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチルなどが挙げられ、環式環は、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0034】
本明細書で使用するためのシクロアルケニル基の代表的な例としては、例として、約3~約30個の炭素原子、又は3~約6個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、置換又は非置換の環式環含有基、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルなどが挙げられ、環式環は、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0035】
本明細書で使用するためのアリール基の代表的な例としては、例として、約6~約30個の炭素原子を含有する置換又は非置換の単環芳香族又は多環芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどが挙げられ、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有する。
【0036】
本明細書で使用するためのアリールアルキル基の代表的な例としては、例として、本明細書で定義されるアルキル基に直接結合する、本明細書で定義される置換又は非置換のアリール基、例えば、-CH、-Cなどが挙げられ、アリール基は、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0037】
本明細書で使用するためのエステル基の代表的な例としては、例として、1~20個の炭素原子を有するカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用するためのエーテル含有基又はポリエーテル含有基の代表的な例としては、例として、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルキルアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテルが挙げられ、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、及びアリールアルキル基は、本明細書で定義される通りである。例示的なエーテル含有基又はポリエーテル含有基としては、例として、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレンオキシド)、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、及びこれらの混合物又はコポリマー、一般式-(R14OR15のエーテル基又はポリエーテル基(式中、R14が、結合、本明細書で定義される置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、R15が、本明細書で定義される置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、tは少なくとも1である)などが挙げられる。
【0039】
例示的な実施形態では、ヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、式(V)の構造
【化V】

によって表され、式中、各R、R、R、R及びR基が、独立して、H又はヒドロカルビル基、例えば、直鎖又は分岐鎖の、置換若しくは非置換C~C12アルキル基を表し、pが、0~40、例えば、1~10の整数であり、qが、0~40、例えば、1~10の整数であり、zが、2~50、例えば、2~10、又は2の整数であり、uが、1~100、例えば、10~40の整数であり、yが、0~40、例えば、1~10の整数であり、wが、0~40、例えば、1~10の整数であり、vが、2~50、例えば、2~10の整数であり、各Q基が、独立して、ヒドロキシル含有反応性官能末端基を表す。
【0040】
例示的な実施形態では、少なくとも1つのR基が、ヒドロカルビル基を表し、pが、1~40の整数を表すか、又は少なくとも1つのR基が、ヒドロカルビル基を表し、qが、1~40の整数を表し、少なくとも1つのR基が、ヒドロカルビル基を表し、wが、1~40の整数を表すか、又は少なくとも1つのR基が、ヒドロカルビル基を表し、yが、1~40の整数を表す。
【0041】
例示的な実施形態では、各R、R、R、R及びR基は、独立して、H、又はメチル、エチル、若しくはプロピル基などのアルキル基を表す。
【0042】
例示的な実施形態では、少なくとも1つのR基及び少なくとも1つのR基は、ヒドロカルビル基を表し、pは、1~40の整数を表し、yは、1~40の整数を表す。
【0043】
例示的な実施形態では、少なくとも1つのR基及び少なくとも1つのR基は、ヒドロカルビル基を表し、qは、1~40の整数を表し、wは、1~40の整数を表す。
【0044】
例示的な実施形態では、シリコーン含有化合物は、対称であるが、シリコーン化合物を有する非対称構造も用いることができる。
【0045】
例示的な実施形態では、式中、R及び/又はRは、ヒドロカルビル基を表し、p及びqは独立して、それぞれ1~5の整数を表し、w及びyは独立して、それぞれ1~10、又は5~10の整数を表す。
【0046】
例示的な実施形態では、式中、R及び/又はRは、ヒドロカルビル基を表し、w及びyは独立して、それぞれ1~5の整数を表し、p及びqは独立して、それぞれ1~10、又は5~10の整数を表す。
【0047】
例示的な実施形態では、Qは、OHである。
【0048】
別の例示的な実施形態では、ヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、式(Va)の構造
【化Va】

によって表され、式中、R及びRが、ヒドロカルビル基、例えば、直鎖若しくは分岐鎖の、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロプルを表し、pが、1~40、例えば、1~10の整数を表し、yが、1~40、例えば、1~10の整数を表し、qが、1~40、例えば、5~10の整数を表し、wが、1~40、例えば、5~10の整数を表し、Q、z、R、u及びvが、上に定義される通りである。
【0049】
別の例示的な実施形態では、ヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、式(Vb)の構造
【化Vb】

によって表され、式中、R及びRが、ヒドロカルビル基、例えば、直鎖若しくは分岐鎖の、置換若しくは非置換C~C12アルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロプルを表し、pが、1~40、例えば、1~10の整数を表し、yが、1~40、例えば、1~10の整数を表し、qが、1~40、例えば、5~10の整数を表し、wが、1~40、例えば、5~10の整数を表し、Q、z、R、u及びvが、上に定義される通りである。
【0050】
別の例示的な実施形態では、ヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、式(Vc)の構造
【化Vc】

によって表され、式中、各R基が、アルキル基、例えば、メチル、エチル、又はプロピルであり、p、q、z、u、v、w、及びyは、上で定義した通りである。式(Vc)の化合物の一例は、Siltech Corporationから入手可能なSilsurf(登録商標)2510であり、各R基は、メチル基を表し、zは25であり、pは10であり、yは10である。
【0051】
例示的な実施形態では、1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(すなわち、ゲル透過クロマトグラフィー)によって決定される場合、約500~約5000ダルトンの数平均分子量を有し得る。例示的な実施形態では、1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、約500~約3500ダルトンの数平均分子量を有し得る。例示的な実施形態では、1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、約800~約3000ダルトンの数平均分子量を有し得る。
【0052】
1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーを作製するための方法は、周知であり、当業者の範囲内である。加えて、ポリシロキサンプレポリマーは、例えば、Gelest、Silar、Shin-Etsu、Momentive及びSiltechなどの供給源からも市販されている。
【0053】
1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーは、混合物の総重量に基づいて、約3~約60重量パーセントの範囲の量で混合物中に存在し得る。例示的な実施形態では、混合物中の1つ以上のヒドロキシ末端ポリシロキサンプレポリマーの量は、混合物の総重量に基づいて、約10~約50重量パーセントの範囲であり得る。
【0054】
混合物は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(すなわち、ゲル透過クロマトグラフィー)によって決定される場合、約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する1つ以上のポリオキサゾリンポリオールを更に含む。例示的な実施形態では、1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、約1000ダルトン以上、かつ最大約50,000,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。例示的な実施形態では、1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、約1000ダルトン以上、又は10,000ダルトンより大きいか、又は25,000ダルトンより大きいか、又は50,000ダルトンより大きいか、又は100,000ダルトンより大きいか、又は250,000ダルトンより大きいか、又は500,000ダルトンより大きいか、又は750,000ダルトンより大きいか、又は1,000,000ダルトンより大きいか、又は2,500,000ダルトンより大きいか、又は5,000,000ダルトンより大きいか、又は10,000,000ダルトンより大きいか、又は25,000,000ダルトンより大きく、かつ最大約50,000,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。例示的な実施形態では、1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、約50,000,000ダルトン未満、又は25,000,000ダルトン未満、又は10,000,000ダルトン未満、又は5,000,000ダルトン未満、又は2,500,000ダルトン未満、又は1,000,000ダルトン未満、又は750,000ダルトン未満、又は500,000ダルトン未満、又は250,000ダルトン未満、又は100,000ダルトン未満の重量平均分子量を有し得る。
【0055】
例示的な実施形態では、1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、二官能性、三官能性、又は四官能性のポリオキサゾリンポリオールである。例示的な実施形態では、二官能性ポリオキサゾリンポリオールは、1個のアルキル分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、C~C12アルキルポリオキサゾリンポリオール、1個の芳香族分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオール、及び1個のシクロアルキル分子当たり2つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールのうちの1つである。一実施形態では、アリール基は、フェニルである。例えば、一実施形態では、1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、式(VI)の構造
【化VI】

によって表され、式中、各Rが、ヒドロキシル基であり、各R’が、独立して、例えば、アルキル基、ハロアルキル基、アルケン基、アルキン基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ハロアリール基、アラルキル基、及びハロアラルキル基などのヒドロカルビル基であり、Zが、二価の結合であり、x及びyの各々が、独立して、少なくとも1、例えば、1から最大約200である。代表的なZ結合としては、単結合、任意選択的にエーテル結合を含むC~C12アルキレン基、C~C30アリーレン基、C~C30アルカリーレン基、及びC~C20シクロアルキレン基が挙げられる。
【0056】
別の例示的な実施形態では、三官能性ポリオキサゾリンポリオールは、1個のアルキル分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、C~C12アルキルポリオキサゾリンポリオールである。例示的な実施形態では、C~C12アルキル分子は、不飽和部の有無にかかわらず、分子の残りの部分に対して、1~12個の炭素原子、又は1~約6個の炭素原子の炭素原子と水素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖分子であり得る。3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基は、同じであってもよく、又は異なってもよく、アルキル分子への任意の結合点で提供されてもよい。
【0057】
別の例示的な実施形態では、三官能性ポリオキサゾリンポリオールは、1個の芳香族分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有するC~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオールである。例示的な実施形態では、C~C30芳香族は、約6~約30個の炭素原子、又は6~12個の炭素原子を含有する、置換又は非置換の単環芳香族基又は多環芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどであってもよく、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有するものなどが挙げられる。3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基は、同じであってもよく、又は異なってもよく、芳香族分子への任意の結合点で提供されてもよい。一実施形態では、芳香族分子は、フェニルである。
【0058】
別の例示的な実施形態では、三官能性ポリオキサゾリンポリオールは、1個のシクロアルキル分子当たり3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有するC~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールである。例示的な実施形態では、C~C20シクロアルキル分子は、約3~約20個の炭素原子、又は3~約6個の炭素原子の置換若しくは非置換の非芳香族の単環式環系又は多環式環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基、架橋した環状基又はスピロ二環基、例えば、スピロ-(4,4)-ノナ-2-イルなどであってもよく、任意選択的に、例えば、O及びNなどの1つ以上のヘテロ原子を含有するものであってもよい。3つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基は、同じであってもよく、又は異なってもよく、シクロアルキル分子への任意の結合点で提供されてもよい。
【0059】
別の例示的な実施形態では、四官能性ポリオキサゾリンポリオールは、1個のアルキル分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有し、アルキル分子が、任意選択的に、エーテル結合及び/又はエステル結合のうちの1つ以上を含有する、C~C12アルキルポリオキサゾリンポリオール、1個の芳香族分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C30芳香族ポリオキサゾリンポリオール、及び1個のシクロアルキル分子当たり4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基を有する、C~C20シクロアルキルポリオキサゾリンポリオールのうちの1つである。一実施形態では、アリール基は、フェニルである。C~C12アルキル分子、C~C30芳香族分子、及びC~C20シクロアルキル分子は、上に記載されるもののいずれかであり得る。例示的な実施形態では、4つのオキサゾリン含有ヒドロキシル基は、同じであってもよく、又は異なってもよく、アルキル分子、芳香族分子、及びシクロアルキル分子への任意の結合点で提供されてもよい。
【0060】
約1000ダルトン以上の重量平均分子量を有する上述の1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、当該技術分野で既知の方法によって調製することができる。
【0061】
一実施形態では、前述の1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、
例えば、ブロモ含有開始剤(A-2)
(Br)-Z
(A-2)
(式中、Zが、ヒドロカルビル基であり、aが、2~4の整数である)などの開始剤を使用して、2-置換-2-オキサゾリン(A-1)
【化A-1】

を触媒開環重合に供し、続いて、得られた生成物を、水/炭酸ナトリウム混合物又は他の好適な終結剤と反応させて、ポリオキサゾリンポリオールを調製することによって得ることができる。ブロモ含有開始剤のZヒドロカルビル基は、任意のC~C30アルキル基、C~C30芳香族基、C~C20シクロアルキル、C~C20エステル含有基、C~C20ポリエーテル含有基などであり得る。C~C30アルキル基、C~C30芳香族基、C~C20シクロアルキル、C~C20エステル含有基、及びC~C20ポリエーテル含有基は、本明細書で上に記載されるもののいずれかであり得る。トリアザビシクロデセンなどの塩基の存在下で、例えば、グリコール酸、乳酸、エチレングリコール、プロピレングリコールなどを含め、水/炭酸ナトリウム混合物以外の好適な終結剤を使用することができる。
【0062】
例示的な実施形態では、前述の1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、2-置換-2-オキサゾリン(A-1)を、以下に示される触媒開環重合プロセスに供することによって得ることができる。
【化62】
【0063】
別の例示的な実施形態では、前述の1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、2-置換-2-オキサゾリン(A-1)を、以下に示される触媒開環重合プロセスに供することによって得ることができる。
【化63】
【0064】
したがって、本明細書で使用するための好適なアルキル置換オキサゾリンは、以下の式
【化64-1】

によって表される2-アルキル置換オキサゾリンであり、式中、Rは、1~12個の炭素原子のアルキル基である。例示的な非限定的な実施形態では、本明細書で使用するための2-アルキル置換オキサゾリンは、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンである。したがって、例示的な実施形態では、触媒開環重合プロセスにおいて上に示すようなポリ(2-アルキルオキサゾリン)繰り返し単位は、以下
【化64-2】
【0065】
のように表され、式中、Rは、1~12個の炭素原子のアルキル基である。
【0066】
1つ以上のポリオキサゾリンポリオールは、混合物の総重量に基づいて、約5~約65重量パーセントの範囲の量で混合物中に存在し得る。例示的な実施形態では、混合物中の1つ以上のポリオキサゾリンポリオールの量は、混合物の総重量に基づいて、約10~約45重量パーセントの範囲であり得る。
【0067】
例示的な実施形態では、混合物は、重合生成物を調製するための反応を実施するための触媒を更に含有する。好適なウレタン触媒としては、例えば、オクト酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸スズ、及びラウリン酸スズなどのカルボン酸のスズ塩、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテートなどのジアルキルスズジカルボン酸塩(これらはウレタン触媒として、三級アミンとして、当該技術分野において既知である)、並びにスズメルカプチドが挙げられる。
【0068】
使用される触媒の量は、一般に、イソシアネートの性質に応じて、触媒される混合物の約0.005~約5重量パーセントである。
【0069】
混合物は、他のモノマーを更に含有してもよい。例示的な実施形態では、混合物は、1つ以上の抗酸化剤を更に含み得る。好適な抗酸化剤は、例えば、BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びアスコルビン酸などのポリウレタンに一般的に使用されるもののいずれかであり得る。1つ以上の抗酸化剤は、混合物の総重量に基づいて、約0.01~約10重量パーセント、又は約0.1~約5重量パーセント、又は約0.2~約1重量パーセントの量で使用することができる。
【0070】
別の例示的な実施形態では、混合物は、1つ以上の末端官能化された界面活性剤を更に含み得る。好適な末端官能化された界面活性剤としては、例として、Pluronics及び逆Pluronicsなどのポロキサマー、並びに上述したTetronic及び逆Tetronicsなどのポロキサミンが挙げられる。
【0071】
ポロキサマー及び逆ポロキサマーは、末端官能化され得る末端ヒドロキシル基を有する。末端官能化されたポロキサマーの一例は、米国特許出願公開第2003/0044468号に開示されているポロキサマージメタクリレート(例えば、Pluronic(登録商標)F127ジメタクリレート)である。他の例としては、米国特許第6,517,933号に開示されている、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのグリシジル末端コポリマーが挙げられる。
【0072】
ポロキサマー及び/又はポロキサミンは、分子の末端に所望の反応性を提供するように官能化され得る。官能性は、様々であり得、官能化されたPEO含有ブロックコポリマー及びPPO含有ブロックコポリマーの意図される使用に基づいて決定される。すなわち、PEO含有ブロックコポリマー及びPPO含有ブロックコポリマーを反応させて、意図するデバイス形成混合物と相補的な末端官能性を提供する。
【0073】
PEO含有ブロックコポリマー及びPPO含有ブロックコポリマーを末端官能化することが可能な反応順序の代表的な例を以下に記載する。
【化73】
【0074】
上述の反応順序は、単なる例示であるが、PEO含有ブロックコポリマー及びPPO含有ブロックコポリマーのための官能化された末端を提供する反応の非限定的な例である。当業者であれば余計な回数の実験を行うことなく他の反応法を決定することができることを理解されたい。また、示されるどの特定のブロックコポリマー分子も、参照される材料を多分散させた集団の1本のみの鎖長であることも理解されるべきである。
【0075】
一実施形態では、末端官能化された界面活性剤は、末端官能化された少なくとも1つの端部を有するポロキサマー、末端官能化された少なくとも1つの端部を有する逆ポロキサマー、末端官能化された少なくとも1つの端部を有するポロキサミン、末端官能化された少なくとも1つの端部を有する逆ポロキサミン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
一般に、末端官能化された界面活性剤は、混合物の総重量に基づいて、約0.01~約20重量パーセント、又は約1~約10重量パーセント、又は約3~約6重量パーセントの範囲の量で混合物中に存在するであろう。
【0077】
混合物は、必要な際、本明細書に開示される例示的な実施形態の目的及び効果を損なわない限度内で、例えば、1つ以上の紫外線(UV)遮断剤、着色剤、潤滑内部湿潤剤、及び強化剤などの様々な添加剤、並びに当該技術分野で周知の他の構成要素を更に含有し得る。
【0078】
例示的な実施形態の生物医学的デバイス、例えば、コンタクトレンズ又は眼内レンズは、上述の混合物を重合させて、その後に旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断などによって適切な形状に形成することができる生成物を形成することによって調製することができる。例えば、コンタクトレンズを製造する際、初期混合物をチューブ内で重合させて棒状の物品を提供して、その後、これらをボタンに切断してもよい。次いで、ボタンを旋盤加工してコンタクトレンズにしてもよい。
【0079】
あるいは、コンタクトレンズなどの生物医学的デバイスは、例えば、スピンキャスト法及びスタティックキャスト法によって、混合物から、モールド、例えば、ポリプロピレンモールド中で直接キャスト成形されてもよい。スピンキャスト法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、スタティックキャスト法は、米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号及び同第5,271,875号に開示されている。スピンキャスト法は、重合されるべき混合物をモールドに充填することと、混合物をUV光などの放射線源に曝露しながら、制御された手法でモールドを回転させることと、を伴う。スタティックキャスト法は、レンズの前側表面を形成するように成形された一方のモールドセクションとレンズの後側表面を形成するように成形された他方のモールドセクションとを有する2つのモールドセクションの間に混合物を投入することと、レンズを形成するためにモールドアセンブリ内に保持された状態で混合物を硬化させることと、を含む。米国特許第5,271,875号は、後側モールド及び前側モールドによって画定されるモールドキャビティ内の完成したレンズの成形を可能にするスタティックキャスト法を記載している。追加の方法として、米国特許第4,555,732号は、レンズ前側表面及び比較的大きな厚さを有する成形物品を形成するためにモールド中でスピンキャストを施すことによって過剰なモノマー混合物を硬化させ、硬化したスピンキャスト物品の後側表面をその後に旋盤加工して、所望の厚さ及びレンズ後側表面を有するコンタクトレンズを提供するプロセスを開示している。
【0080】
重合は、例えば、好適な溶媒を使用した溶液又は分散液などの反応媒体中で実施することができる。一般に、重合は、約15分間~約72時間行うことができる。所望される場合、得られた重合生成物は、高減圧で、例えば、約5~約72時間乾燥させるか、又は使用前に水溶液中に放置することができる。
【0081】
混合物の重合により、水和したときに、好ましくはヒドロゲルを形成するポリマーが得られる。ヒドロゲルレンズを製造するとき、混合物は、重合生成物が水和されてヒドロゲルを形成するときに最終的に水に置き換えられる、少なくとも希釈剤(例えば、PEG-エーテル希釈剤)を更に含み得る。使用され得る希釈剤の最大量は、希釈剤が最終ポリマーに引き起こす膨潤の量によって異なるであろう。過度の膨潤は、希釈剤が水和時に水で置換されたときにコポリマーを崩壊させるか、又は崩壊させる可能性がある。一般に、ヒドロゲルの含水量は、本明細書で上に記載される通りである。使用される希釈剤の量は、約50重量パーセント未満でなければならず、ほとんどの場合、希釈剤含有量は、約30重量パーセント未満である。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の限度は、希釈剤中の様々なモノマーの溶解度により規定されるだろう。光学的に透明なコポリマーを生成するためには、コモノマーと希釈剤、又は希釈剤と最終コポリマーとの間に視覚的な不透明性を生じさせる相分離が生じないことが重要である。
【0082】
必要に応じて、周囲圧力で、若しくはそれに近い圧力で、又は高減圧下での蒸発によって達成することができる縁部仕上げ操作の前に、レンズから残留希釈剤を除去することが望ましい場合がある。高温を使用して、希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮することができる。溶媒除去ステップのための時間、温度、及び圧力条件は、当業者によって容易に決定することができるように、希釈剤及び特定のモノマー成分の揮発性などの因子に応じて変化するであろう。所望される場合、ヒドロゲルレンズを製造するために使用される混合物は、ヒドロゲル材料を作製するための先行技術において既知の架橋剤及び湿潤剤を更に含み得る。
【0083】
本明細書で得られるコンタクトレンズなどの生物医学的デバイスに、任意選択的な機械加工操作を施してもよい。例えば、他の任意選択的な機械加工ステップは、レンズ縁部及び/又は表面のバフ加工又は研磨を含み得る。一般に、このような機械加工プロセスは、生成物がモールド部分から離型される前又は後に実施されてもよく、例えば、レンズは、高減圧ピンセットを用いてレンズをモールドから持ち上げることによって、モールドから乾燥離型され、その後、レンズは、機械的ピンセットによって第2のセットの高減圧ピンセットに移され、表面又は縁部を滑らかにするために、回転する表面に対して配置される。次いで、レンズの反対側を機械加工するために、レンズを裏返してもよい。
【0084】
次いで、レンズを、緩衝生理食塩水溶液を含有する個々のレンズパッケージに移してもよい。生理食塩水は、レンズの移動前又は移動後のいずれかにパッケージに添加されてもよい。好適なパッケージデザイン及び材料は、当該技術分野において既知である。プラスチックパッケージは、フィルムで剥離可能に密封される。好適な密封フィルムは、当該技術分野において既知であり、箔、ポリマーフィルム、及びこれらの混合物を含む。次いで、滅菌生成物を確保するために、レンズを含有する密封されたパッケージを滅菌する。
【0085】
当業者は容易に理解するであろうように、他のステップを上述の成形及びパッケージングプロセスに含めることができる。このような他のステップは、例えば、形成されたレンズをコーティングすること、形成中にレンズを表面処理すること(例えば、モールド移送を介して)、レンズを検査すること、欠陥のあるレンズを廃棄すること、モールドの半分を洗浄すること、及びモールドの半分を再利用することなど、並びにこれらの組み合わせを含み得る。
【0086】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供されるものであり、単なる例示である。実施例は、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0087】
実施例1
数平均分子量が400ダルトンであり、重量平均分子量が1900ダルトンであるポリオキサゾリンを、以下の反応スキームに従って調製した。
【化87】
【0088】
ストッパ及び撹拌棒、並びに凝縮器を備えた、フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、シリンジを介して、2-エチル-2-オキサゾリン(25mL)、エチレングリコールビス(2-ブロモプリオネート)(0.568グラム)、及びアセトニトリル(55mL)を添加した。フラスコを、N2(g)下、80℃の油浴に入れ、一晩撹拌した。反応を、重炭酸ナトリウム(0.12グラム)及び脱イオン(DI)水(0.2mL)を添加することによって終了させ、1時間撹拌した。得られたポリマーを、約1500mLのジエチルエーテルに沈殿させ、濾過し、高減圧オーブン内で乾燥させた。
【0089】
実施例2
数平均分子量が5,000ダルトンであるポリオキサゾリンを、以下の反応スキームに従って調製した。
【化89】
【0090】
ストッパ及び撹拌棒、並びに凝縮器を備えた、フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、シリンジを介して、2-エチル-2-オキサゾリン(25mL)、α,α’-ジブロモ-p-キシレン(0.45グラム)、及びアセトニトリル(55mL)を添加した。フラスコを、N2(g)下、80℃の油浴に入れ、一晩撹拌した。反応を、重炭酸ナトリウム(0.12グラム)及びDI水(0.2mL)を添加することによって終了させ、1時間撹拌した。得られたポリマーを、約1500mLのジエチルエーテルに沈殿させ、濾過し、高減圧オーブン内で乾燥させた。
【0091】
実施例3
数平均分子量が700ダルトンであり、重量平均分子量が7700ダルトンであるポリオキサゾリンを、以下の反応スキームに従って調製した。
【化91】
【0092】
ストッパ及び撹拌棒、並びに凝縮器を備えた、フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、シリンジを介して、2-エチル-2-オキサゾリン(25mL)、1,6-ジブロモヘキサン(0.26mL)、及びアセトニトリル(55mL)を添加した。フラスコを、N2(g)下、80℃の油浴に入れ、一晩撹拌した。反応を、重炭酸ナトリウム(0.12グラム)及びDI水(0.2mL)を添加することによって終了させ、1時間撹拌した。得られたポリマーを、約1500mLのジエチルエーテルに沈殿させ、濾過し、高減圧オーブン内で乾燥させた。
【0093】
実施例4
数平均分子量が800ダルトンであり、重量平均分子量が14400ダルトンであるポリオキサゾリンを、以下の反応スキームに従って調製した。
【化93】
【0094】
ストッパ及び撹拌棒、並びに凝縮器を備えた、フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、シリンジを介して、2-エチル-2-オキサゾリン(25mL)、1,2,5,6-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン(0.77グラム)、及びアセトニトリル(55mL)を添加した。フラスコを、N2(g)下、80℃の油浴に入れ、一晩撹拌した。反応を、重炭酸ナトリウム(0.12グラム)及びDI水(0.2mL)を添加することによって終了させ、1時間撹拌した。得られたポリマーを、約1500mLのジエチルエーテルに沈殿させ、濾過し、高減圧オーブン内で乾燥させた。
【0095】
実施例5
数平均分子量が4,900ダルトンであり、重量平均分子量が9,135ダルトンであるポリオキサゾリンを、以下の反応スキームに従って調製した。
【化95】
【0096】
フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、4,4’-ビス(ブロモメチル)ビフェニル(0.54g、0.0016mol)及び無水アセトニトリル20mLを添加した。次に、2-エチル-2-オキサゾリン(24.55g、0.2476mol)をシリンジによって添加した。フラスコを、予熱した油浴に80℃で約6時間置き、エーテル中でポリマーを生成させ、次いで冷却した。グリコール酸(2.20g、0.037mol)及びトリエチルアミン(1.24g、0.012mol)を順次添加し、予熱した油浴に50℃で一晩置いた。反応物を撹拌し続けるために、追加の溶媒(約5mL)を加えた。
【0097】
混合物を冷却し、ジクロロメタン(400mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×300mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(1×300mL)で洗浄した。合わせた重炭酸塩抽出物を、1×400mLのジクロロメタンで逆抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。次に、ジクロロメタン(約100mL)を残渣に加え、エーテル中で沈殿させた。ポリマーを集め、乾燥させ、ジクロロメタンに再溶解させ、エーテル中で沈殿させた。固体を濾過し、すすぎ、室温で、家庭用高減圧オーブンで数日間乾燥させた。白色固体(18.60g)(76%)を回収した。
【0098】
実施例6
ポリオキサゾリン系シリコーン含有ポリウレタンの調製。
【0099】
ストッパ、撹拌棒、追加の漏斗、及び凝縮器を備えた、フレームドライした2ッ口の250mLの丸底フラスコに、乾燥環境を維持するために窒素下で、実施例2のポリオキサゾリンポリマー(6.43グラム)と1,2-ジクロロエタン(76mL/100グラムの混合物)を添加した。ポリマーを溶解した後、Silsurf(登録商標)2510(45.89グラム)、トリエチレングリコール(13.14グラム)、ジブチルスズジラウレート(0.05グラム)を添加した。フラスコを加熱した油浴(80℃)に置き、撹拌して成分を合わせた。次に、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(34.50グラム)をシリンジを介して添加した。反応混合物を、80℃を維持しながら、窒素下で少なくとも2時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、処理されたガラスプレート上に注ぎ、薄膜を作製した。溶媒をフード内で一晩蒸発させた。
【0100】
簡潔にするために、本明細書に開示される様々な特徴は、単一の実施形態の文脈において記載されるが、別々に、又は任意の好適なサブコンビネーションでも提供され得る。実施形態の全ての組み合わせは、各々及び全ての組み合わせが個別に及び明示的に開示されているかのように、本明細書に開示される例示的な実施形態によって具体的に包含される。加えて、そのような変数を記載している実施形態に列挙される全てのサブコンビネーションはまた、本製剤によって具体的に包含され、各々及び全てのそのようなサブコンビネーションが本明細書に個別かつ明示的に開示されているかのように、本明細書に開示される。
【0101】
本明細書に開示される実施形態に様々な修正を加えることができることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定的と解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。例えば、上に記載される、本明細書に開示される実施形態を動作させるための最良の態様として実施される機能は、例示目的のみのためである。当業者であれば、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の構成及び方法を実施することができる。更に、当業者は、本明細書に追加される特徴及び利点の範囲及び趣旨内で他の修正を想定するであろう。
【国際調査報告】