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特表2024-511750二軸延伸フィルム、積層体、およびそのフィルムを含む環境配慮型包装材
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  • 特表-二軸延伸フィルム、積層体、およびそのフィルムを含む環境配慮型包装材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】二軸延伸フィルム、積層体、およびそのフィルムを含む環境配慮型包装材
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240308BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240308BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20240308BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
B32B27/36
B29C55/12
C08L67/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556878
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2022005195
(87)【国際公開番号】W WO2022220513
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0050149
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0062999
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】オ、ミオク
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドクヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、ジェウォン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4F210
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA43
4F071AA81
4F071AA84
4F071AA86
4F071AB26
4F071AD02
4F071AD06
4F071AF04Y
4F071AF14Y
4F071AF15Y
4F071AF20
4F071AF30Y
4F071AF37Y
4F071AF49Y
4F071AF59Y
4F071AF61Y
4F071AG17
4F071AG28
4F071AH04
4F071BB06
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK80A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100EJ38A
4F100GB15
4F100JB04A
4F100JH00A
4F100JK02
4F100JK06
4F100JK06A
4F100JL11
4F100YY00A
4F100YY00B
4F210AA24
4F210AB17
4F210AG01
4F210AH54
4F210AR01
4F210QA02
4F210QA03
4F210QC06
4F210QD25
4F210QG01
4F210QG18
4F210QL16
4F210QM15
4F210QW07
4J002CF18X
4J002CF19W
4J002GG00
(57)【要約】
本発明は、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む二軸延伸フィルム、積層体、および前記フィルムを含む、環境配慮型包装材に関するものである。具体的に、本発明の二軸延伸フィルムは、特定含有量範囲のPHAを含み、フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)が特定範囲を満足することにより、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、光学特性および熱的特性を向上させ、騒音度を低減させ得る。また、本発明の積層体は、特定の組成を有する第1層および第2層を含むことにより、前記特性を向上させるとともに、前記第1層および第2層の層間相溶性が良いので、優れた層間接着特性を維持し得る。したがって、前記二軸延伸フィルムおよび積層体は、包装材として様々な分野に活用され、高品質の包装材を提供し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、
二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、
前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、下記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である、二軸延伸フィルム:
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を、1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片を、ループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【請求項2】
前記NAVGが86dB以下であり、
前記LSが0.10~0.23gfである、請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
【請求項3】
下記式1-3で表される成形指数(FI)が65以上である、請求項1に記載の二軸延伸フィルム:
<式1-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式1-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて長さ約100mm、幅15mmに裁断して試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf)/mm)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定して、ループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【請求項4】
以下の特性の中から選択される少なくとも1つの特性を満足する、請求項3に記載の二軸延伸フィルム:
縦方向(MD)の柔軟騒音複合指数(LSNMD)5~20、
横方向(TD)の柔軟騒音複合指数(LSNTD)5~20、
縦方向(MD)の成形指数(FIMD)65~90、
横方向(TD)の成形指数(FITD)80~110、
縦方向(MD)の引張強度(TSMD)9~25kgf/mm
横方向(TD)の引張強度(TSTD)9~25kgf/mm
前記フィルムの幅全体の厚さに対する厚さ偏差10μm以下、
ヘイズ10%以下、および
下記式1-2で表される熱収縮率(S100)15%以下:
<式1-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式1-2において、
25は、25℃にて二軸延伸フィルム試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ(mm)である。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1の単位および下記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む、請求項1に記載の二軸延伸フィルム:
[化学式1]
前記化学式1において、
前記Rは、置換されたC~Cのアルキレンであり、
mは、1以上の整数であり、
[化学式2]
前記化学式2において、
前記Rは、置換または非置換のC~Cのアルキレンであり、
nは、1以上の整数である。
【請求項6】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に1重量%~60重量%含む、請求項5に記載の二軸延伸フィルム。
【請求項7】
第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、
前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と、を含み、
前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1の単位および下記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む、請求項7に記載の積層体:
[化学式1]
前記化学式1において、
前記Rは、置換されたC~Cのアルキレンであり、
mは、1以上の整数であり、
[化学式2]
前記化学式2において、
前記Rは、置換または非置換のC~Cのアルキレンであり、
nは、1以上の整数である。
【請求項9】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に1重量%~60重量%含む、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸のL-異性体およびD-異性体の混合物を含み、
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸の総重量を基準に5重量%~30重量%のD-異性体を含む、請求項7に記載の積層体。
【請求項11】
前記第1層の他面上に配置されるコロナ層、コーティング層、またはその両方をさらに含み、
前記コロナ層は、前記第1層のコロナ処理により形成され、-CO、-COOHおよび-OHからなる群より選択される極性官能基を含み、
前記第1層において、前記コロナ処理された面に対する表面張力が38dyn/cm以上であり、
前記コーティング層はプライマーコーティング層を含み、
前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面または前記コロナ層の他面上にプライマー処理により形成され、表面抵抗が0.1~30Ω/□である、請求項7に記載の積層体。
【請求項12】
前記積層体の縦方向(MD)の引張強度(TSMD)が7~14kgf/mm、で、横方向(TD)の引張強度(TSTD)が8~20kgf/mmであり、
前記第1層および第2層の熱接着強度が0.7~2.0kgf/mmである、請求項7に記載の積層体。
【請求項13】
第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(段階1)と、
前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して、2層の積層されたシートを得る段階(段階2)と、
前記積層されたシートを二軸延伸し熱固定して、積層体を得る段階(段階3)と、を含み、
前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、
前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と、を含み、
前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の二軸延伸フィルムを含む、環境配慮型包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸延伸フィルム、積層体、およびそのフィルムを含む環境配慮型包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、アンタクト(untact)非対面消費文化および衛生などの面から、使い捨て製品の使用が増加しており、特に食品用包装材の使用量が著しく増加している傾向である。
【0003】
現在、前記包装材に使用される汎用プラスチックフィルムとしては、石油系に由来するポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)が挙げられる。しかし、PVCフィルムは、焼却時にダイオキシンのような有害物質が発生して使用に多くの規制があり、ポリエチレンフィルムは寸法安定性が不良で機械的特性が低すぎるため、低級包装紙以外には使用に制限がある。比較的安定した分子構造を形成して良好な機械的特性を有するフィルムとしては、ポリプロピレンフィルムがあるが、包装用途で使用された後、ほとんど埋立処分されており、これは化学的・生物学的安定性のためほとんど分解されずに蓄積されるプラスチックフィルムの特性上、地球土壌汚染の原因として深刻な環境問題を引き起こす。
【0004】
また、最近では、樹脂自体の生分解性の高い脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸(polylactic acid、PLA)に関する研究も多く進められている。しかしながら、前記ポリ乳酸フィルムは、柔軟性が足りず騒音が激しいため、包装用としてはその用途が制限的である。
【0005】
そこで、前記ポリ乳酸を他の樹脂と混合して使用するフィルムに関する研究も進められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸とポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutyleneadipate terephthalate、PBAT)とを混合して使用したフィルムが開示されている。しかし、この場合、前記両素材の相溶性が不足して透明性が低下し、熱的特性が低減し、満足のいく柔軟性および強度を同時に実現することが難しいという問題点があり得る。
【0007】
また、前記ポリ乳酸を含む樹脂層を、例えばポリトリエチレンテレフタレート(PTT)などの他の樹脂層と積層した多層フィルムに関する研究も進められていた。しかしながら、この場合、満足のいく騒音低減効果または柔軟性を実現することが難しいだけでなく、前記樹脂層間の相溶性が落ちて、層間接着特性が悪くなったり、互いに脱離したりして、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2014-0106882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の従来技術の問題を解決するべく考案されたものである。
本発明の目的は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、樹脂間の相溶性があって優れた透明性を有し、騒音度および熱的特性が改善された、二軸延伸フィルムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度および熱的特性が改善され、第1層および第2層の層間相溶性が良いので層間接着特性に優れた、積層体を提供することである。
【0011】
本発明のまた他の目的は、経済的かつ効率的な方法により、加工性および生産性に優れながらも、前記特性を実現し得る積層体の製造方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記特性を有する二軸延伸フィルム、または積層体を用いることにより、生分解可能であるとともに環境にやさしく、高品質の環境配慮型包装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19~21μmのとき、下記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である二軸延伸フィルムを提供する。
【0014】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定して、ループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0015】
また、本発明は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、および前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体を提供する。
【0016】
また、本発明は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂、および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(段階1)と、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(段階2)と、前記積層されたシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(段階3)とを含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体の製造方法を提供する。
【0017】
さらには、本発明は、前記二軸延伸フィルムまたは積層体を含む、環境配慮型包装材を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明による二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、特定含有量範囲のPHAを含み、フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)が特定の範囲を満足することにより、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度が低く、光学特性および熱的特性が向上し得る。
【0019】
また、本発明による積層体は、特定の組成を有する第1層および第2層を含むことにより、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度が低く、光学特性および熱的特性が向上するのみならず、前記第1層および第2層の層間相溶性が良いので、優れた層間接着特性を維持し得る。
【0020】
また、本発明による積層体の製造方法は、経済的かつ効率的な方法により、加工性および生産性をさらに向上させ得る。
【0021】
さらには、前記二軸延伸フィルムおよび前記積層体は生分解が可能であり、埋め立ての際に完全に分解され環境にやさしい特性を有するため、包装材として様々な分野に活用されるので、高品質の包装材を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実現例による積層体の模式図である。
図2図2は、本発明の他の実現例による積層体の模式図である。
図3図3は、本発明のまた他の実現例による積層体の模式図である。
図4図4は、本発明の一実現例による積層体を製造する方法を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例により発明を詳細に説明する。実現例は、以下に開示される内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更されない限り、様々な形態に変形され得る。
【0024】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
本明細書における単数表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味と解釈される。
【0026】
また、本明細書に記載の構成要素の物性値、寸法、反応条件等を示す全ての数値範囲は、特に記載がない限り、全ての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解すべきである。
【0027】
一方、本明細書において、第1層、第2層、または第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にのみ使用される。
【0028】
また、各構成要素の「一面」/「打面」または「上」/「下」に対する基準は図面に基づいて説明し、これらの用語は構成要素を区別するための用語であるのみ、実際適用する際に相互互換され得る。
【0029】
本明細書において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されるものと記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、またはさらに他の構成要素を介して間接的に形成されるものをすべて含む。
【0030】
また、図面における各構成要素の大きさは説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさを意味するものではない。また、明細書全体にわたって同一参照番号は同一構成要素を指す。
【0031】
[二軸延伸フィルム]
一実現例において、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、下記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である、二軸延伸フィルムを提供する。
【0032】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定して、ループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0033】
一実現例においては、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させ、騒音度を下げることができ、特に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満で含むことにより、柔軟性を向上させながらも適切な強度を維持することができ、光学特性をさらに向上させることができ、100℃以上の高温における熱収縮率が低く、厚さ偏差の少ないフィルムを提供し得る。さらに、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を20以下に制御することにより、強度、柔軟性、および騒音度をさらに改善することができ、曳いては、前記フィルムを両方向に延伸する二軸延伸フィルムとして提供することにより、フィルムの物性および成形性などをさらに向上させ、高品質の包装材を実現できるということに技術的意義がある。
【0034】
以下、実現例による二軸延伸フィルムについてより詳細に説明する。
一実現例による二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む。
【0035】
前記ポリ乳酸(PLA)は、石油ベースの樹脂とは異なり、バイオマス(biomass)をベースとするため、再生資源の活用が可能であり、生産の際に既存の樹脂に比べて地球温暖化の主犯である二酸化炭素の排出が少なく、埋め立ての際水分および微生物によって生分解されるなど環境にやさしい。
【0036】
前記ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、100000~1000000g/mol、例えば100000~800000g/mol、100000~500000g/mol、または100000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、フィルムの機械的強度および耐熱性が前記範囲内の場合よりも減少し得る。
【0037】
前記ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。具体的に、前記ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体であり得る。この際、前記L-乳酸の含有量は、ポリ乳酸の総重量を基準に、80重量%~99重量%、83重量%~99重量%、または85重量%~99重量%であり得る。
【0038】
前記ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。
【0039】
前記ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が、30℃~80℃、40℃~80℃、40℃~70℃、または45℃~65℃であり得る。
【0040】
前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、70重量%超、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上を含み得る。また、前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、100重量%未満、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、または95重量%以下であり得る。
【0041】
具体的に、前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、70重量%超~100重量%未満、70重量%超~99重量%以下、75重量%以上~99重量%以下、75重量%以上~98重量%以下、75重量%以上~97重量%以下、80重量%以上~97重量%以下、85重量%以上~97重量%以下、90重量%以上~97重量%以下、95重量%以上~100重量%未満、95重量%以上~97重量%以下、または90重量%以上~95重量%以下の量で含まれ得る。
【0042】
前記ポリ乳酸(PLA)の含有量が少なすぎると、引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、透明性および光透過率などの光学特性が低下し得る。一方、前記ポリ乳酸(PLA)の含有量が多すぎると、脆性(brittleness)が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音が激しい問題点があり得る。
【0043】
特に、前記ポリ乳酸(PLA)は、脆性が大きいため使用温度範囲が20℃以下の場合フィルムが硬くなる特性があるので、冬場にフィルムが衝撃を受けるとひびが入ったり割れたりしやすい傾向があり、使用温度範囲が35℃以上の場合は、フィルムが弾性を失ってふにゃふにゃとなる傾向があり、騒音が激しいため使用が制限的である。
【0044】
したがって、実施例においては、前記ポリ乳酸(PLA)とともに、柔軟性に優れ、騒音度の低いポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を混合して使用することを特徴とする。
【0045】
特に、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、優れた強度、柔軟性、向上した光学特性、熱的特性、改善された騒音度を達成するために、前記二軸延伸フィルムに含まれるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が重要である。
【0046】
実現例による二軸延伸フィルムは、前記二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み得る。
【0047】
具体的に、前記二軸延伸フィルムは、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満、1重量%以上~30重量%未満、1重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~15重量%以下、3重量%以上~10重量%以下、0超~5重量%、3重量%~5重量、または5重量%~10重量%の量で含み得る。
【0048】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が多すぎると、引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、押出加工性が低下し、光学特性が低下し得る。一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が少なすぎると、脆性が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音度が増加する問題点があり得る。
【0049】
実現例によると、前記ポリ乳酸(PLA)および前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合重量比は、70超~100未満:0超~30未満、例えば80~97:3~20、例えば80~95:5~20、例えば90~97:3~10、例えば90~95:5~10、または、例えば95~97:3~5であり得る。前記ポリ乳酸(PLA)および前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合重量比が前記範囲を満足すると、適切な強度を有しながらも柔軟性を向上させることができ、光学特性および熱的特性を向上させ、騒音度を下げ得る。
【0050】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0051】
具体的に、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、結晶化度(結晶性)が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0052】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1の単位および下記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む共重合ポリヒドロキシアルカノエートを含んで、結晶性が調節された共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
[化学式1]
前記化学式1において、
前記Rは、置換されたC~Cのアルキレンであり、
mは、1以上の整数である。
【0053】
[化学式2]
前記化学式2において、
前記Rは、置換または非置換のC~Cのアルキレンであり、
nは、1以上の整数である。
【0054】
この際、前記化学式1および2において、「置換された」というものは、特に記載がない限り、置換または非置換のアルキル基、具体的に置換または非置換のC~Cのアルキル基を含み得る。
【0055】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位のみを含むポリエステルであってよく、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記化学式2の単位はランダムに繰り返され得る。
【0056】
実現例によると、前記化学式1において、前記Rは、例えば、置換されたC~Cのアルキレン、置換されたC~Cのアルキレン、または置換されたC~Cのアルキレンであり得る。また、前記mは、1~12000であり得る。
【0057】
前記化学式2において、前記Rは、例えば、置換または非置換のC~Cのアルキレン、置換または非置換のC~Cのアルキレン、または置換または非置換のC~Cのアルキレンであり得る。例えば、前記化学式2において、前記Rは、非置換のアルキレンを含み得る。また、前記nは、1~12000であり得る。
【0058】
また、前記化学式1および2において、前記置換基はそれぞれC~Cのアルキル、C~Cのアルキル、またはC~Cのアルキルを含み得る。
【0059】
具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1-1の単位および下記化学式2-1の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含み得る。
【0060】
[化学式1-1]
前記化学式1-1において、
前記Rは、メチル、エチル、またはプロピルであり、
mは、1以上の整数である。
【0061】
[化学式2-1]
前記化学式2-1において、
nは、1以上の整数である。
【0062】
具体的に、前記化学式1-1において、Rがメチルであり、mが1~12000であり得る。
【0063】
前記化学式2-1において、nは1~12000であり得る。
【0064】
前記結晶性が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、分子構造上非規則性を増加させることにより、結晶性と非晶性が調節されたものであってよく、具体的にモノマーの種類、モノマーの比、または異性体の種類および/または含有量を調整したものであり得る。
【0065】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエートの全重量を基準に、1重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上であり、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下であり得る。
【0066】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、1~60重量%、5~50重量%、10~60重量%、10~50重量%、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%であり得る。
【0067】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、異性体を含み得る。例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、構造異性体、鏡像異性体、または幾何異性体を含み得る。具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は構造異性体を含み得る。
【0068】
実現例によると、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0069】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)として結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いて前記ポリ乳酸(PLA)と混合してフィルムを製造する場合に比べて、樹脂間の相溶性があるので、光学特性が向上する効果があり得る。
【0070】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に、15重量%~60重量%含み得る。
【0071】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位の含有量が増加するほど非晶性が増加し得るので、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の前記化学式2の単位の含有量が重要であり得る。
【0072】
例えば、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%の量で含み得る。
【0073】
実現例による二軸延伸フィルムは、前記化学式2の単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)をポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があり、光学特性に優れるのでフィルムの光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり透明性および光透過率が低下し得る。
【0074】
実現例によると、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に15重量%~60重量%含み得る。
【0075】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が増加するほど非晶性が増加するので、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が重要であり得る。
【0076】
例えば、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、例えば20~60重量%、例えば25~60重量%、例えば25~50重量%、例えば30~60重量%、例えば30~50重量%、例えば35~60重量%、例えば35~50重量%、例えば40~60重量%、例えば40~50重量%、例えば45~60重量%、例えば45~50重量%、例えば46~60重量%、または、例えば46~50重量%の量で含まれ得る。
【0077】
実現例による二軸延伸フィルムは、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を前記ポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、フィルムの光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり光学特性が低下し得る。
【0078】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位のみを含むポリエステルであってよく(すなわち、重合単位は、3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)と4-ヒドロキシブチレート単位(4-HB)のみからなる)、または、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位はランダムに繰り返され得る。
【0079】
前記異なる重合単位としては、ラクテート(LA)、グリコレート(GA)、3-ヒドロキシプロピオネート(3HP)、3-ヒドロキシバレレート(3HV)、5-ヒドロキシバレレート(5HV)、5-ヒドロキシヘキサノエート(5HH)、6-ヒドロキシヘキサノエート(6HH)、または3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)、または炭素数7以上のヒドロキシアルカノエート等が挙げられる。
【0080】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重量平均分子量(Mw)が100000g/mol~1000000g/mol、100000g/mol~900000g/mol、120000g/mol~850000g/mol、または150000g/mol~800000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。
【0081】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、ガラス転移温度(Tg)が-5℃~-50℃、-15℃~-40℃、-20℃~-40℃であり得る。前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)が前記範囲を満足すると、透明性および光透過率等の光学特性が向上し、目的とする騒音改善効果および柔軟性向上効果を達成する上でさらに有利であり得る。
【0082】
一実現例によると、前記二軸延伸フィルムはフィラーをさらに含み得る。
前記フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0083】
前記有機フィラーは、硬質アクリレート、ポリスチレン、ナイロン、および軟質アクリレートの中から選択される材質を含む有機フィラーを含み得る。
【0084】
前記無機フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0085】
前記フィラーは無機フィラーであってよく、例えばシリカを含み得る。
【0086】
前記二軸延伸フィルムは、前記フィラーを含むことにより、滑り性に優れ加工性を向上させることができ、優れた品質を提供し得る。
【0087】
また、前記フィラーの粒径は0.1μm~6.0μmであり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、1.0μm~5.5μmまたは2.0μm~5.2μmであり得る。
【0088】
前記二軸延伸フィルムは、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。例えば、前記二軸延伸フィルムは、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、前記フィラーを0.05~2.5重量%、0.1~2重量%、0.2~1.7重量%、または0.5~1.5重量%の量で含み得る。
【0089】
一実現例による二軸延伸フィルムは、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下であり得る。
【0090】
前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの平均騒音度およびループ剛性の積で示し、これは、二軸延伸フィルムの柔軟性および騒音度の複合特性の程度を示す指標である。したがって、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記二軸延伸フィルムを含む包装材の品質を示す尺度となり得る。
【0091】
前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)が低いほど低く、騒音度(NAVG)が高いほど高くあり得る。また、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、ループ剛性(LS)が低いほど低く、ループ剛性(LS)が高いほど高くあり得る。
【0092】
このような特性を有する柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記特定範囲以下を満足するとき、二軸延伸フィルムの機械的物性、光学特性および熱的特性に優れ、騒音度を低減し得る。
【0093】
具体的に、前記二前記軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)は、例えば、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、または15以下であり得る。仮に、前記二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)が20を超えると、柔軟性が低下し、脆性が大きくなることがあり、騒音が増加し得るため、これを包装材に適用すると品質が低下し得る。
【0094】
前記二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。この際、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)は長さ方向または機械方向を示し、前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)は前記縦方向(MD)に垂直な方向であって幅方向を示し得る。
【0095】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の柔軟騒音複合指数(LSNMD)は、例えば、5~20、5~19、5~18、10~18、14~18、または15~18であり得る。
【0096】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の柔軟騒音複合指数(LSNTD)は、例えば、5~20、5~19、8~19、10~19、12~19、または13~19であり得る。
【0097】
前記二軸延伸フィルムは、LSNMDのみを満足してもよく、またはLSNTDのみを満足してもよく、またはLSNMDおよびLSNTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、騒音を下げ得るので、目的とする効果を実現する上でさらに有利であり、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0098】
一方、前記式1-1において、前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)は、KS C IEC61672-1に定めたクラス2の騒音計またはそれ以上の騒音計を用いて、騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、一枚の前記二軸延伸フィルムを一定の速度で1分間振って発生する騒音度を測定して最大騒音度を記録し、これを各5回繰り返して各回に対する最大騒音度の平均値を求めて、平均騒音度と定義した。前記騒音度は、地面上1.2m~1.5mの高さで測定することができ、測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に約1.0m~3.5m離れた地点で測定し得る。
【0099】
前記二軸延伸フィルムは、特定の範囲以下に前記平均騒音度(NAVG)を制御することが、高品質の包装材を提供する面から好ましい。
【0100】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)は、例えば86dB以下、例えば85dB以下、例えば84dB以下、例えば83dB以下、または例えば82.5dB以下であり得る。
【0101】
前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)が86dB以下であると、前記式1-1の柔軟騒音複合指数(LSN)を20以下に制御する上で有利であり、騒音を改善して品質の良い包装材を提供し得る。
【0102】
また、前記式1-1において、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定して、ループ中心における荷重を測定したものであり、二軸延伸フィルムの柔軟性の程度を示す指標である。
【0103】
前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、0.23gf以下、0.22gf以下、0.21gf以下、または0.20gf以下であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば、0.10~0.21gf、または、例えば0.10~0.20gfであり得る。
【0104】
前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)が低いほど柔軟性が増加し、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)が高いほど柔軟性は減少し得る。
【0105】
また、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0106】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)のループ剛性(LSMD)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば0.12~0.22gf、例えば0.12~0.21gf、例えば0.15~0.21gfであり得る。
【0107】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)のループ剛性(LSTD)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば0.12~0.22gf、または、例えば0.14~0.22gfであり得る。
【0108】
前記二軸延伸フィルムは、LSMDのみを満足してよく、またはLSTDのみを満足してもよく、またはLSMDおよびLSTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を前記範囲に制御する上でより効果的であるので、目的とする効果を実現するのにさらに有利であり、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0109】
一方、前記二軸延伸フィルムは、下記式1-2で表される熱収縮率(S100)が15%以下であり得る。
【0110】
<式1-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式1-2において、
25は、25℃にて二軸延伸フィルム試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ(mm)である。
【0111】
前記式1-2で表される熱収縮率(S100)は、100℃の熱風温度にて二軸延伸フィルム試験片の熱収縮程度を百分率に換算した値であって、前記二軸延伸フィルム試験片の初期長さに対する二軸延伸フィルム試験片の初期長さと熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ変化量を百分率で算出した値である。
【0112】
前記熱収縮率(S100)は、二軸延伸フィルムを方向に関係なく長さ150mm、幅2cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留後の二軸延伸フィルム試験片の長さを測定して算出し得る。
【0113】
前記熱収縮率(S100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0114】
前記熱収縮率(S100)が前記範囲以下を満足すると、100℃以上の高温の熱風温度にて熱収縮程度が少ないため、熱的特性が向上し、印刷性および成形性をより向上させ得る。
【0115】
また、前記二軸延伸フィルムの熱収縮率(S100)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0116】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の熱収縮率(SMD100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4.5%以下、または4%以下であり得る。
【0117】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の熱収縮率(STD100)は、例えば15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0118】
前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の熱収縮率が前記範囲を超えると、印刷やラミネート時に熱風による縦方向および横方向の収縮が激しいため印刷上の問題が発生し、印刷後にカール発生が激しいため巻かれる現象があるので好ましくない。
【0119】
一方、実現例による二軸延伸フィルムは、下記式1-3で表される成形指数(FI)が65以上であり得る。
【0120】
<式1-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式1-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて、長さ約100mm、幅15mmに裁断して試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0121】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、二軸延伸フィルムのループ剛性に対する引張強度の比であり、引張強度および柔軟性が適切であるかについての尺度を示し得る。
【0122】
すなわち、実現例によると、前記二軸延伸フィルムは柔軟性が増加してソフトな特性を有しながらも、適正範囲の強度、例えば引張強度を維持し得ることが、主な特徴の一つであり得る。この場合、前記二軸延伸フィルムは、成形性に優れ様々な用途拡張に有利であり得る。
【0123】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、例えば、65以上、68以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、または100以上であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、例えば65~120、例えば65~110、または例えば65~105であり得る。仮に、前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)が65未満であると、柔軟性が低下して容易に砕けたり、強度が低下して加工または成形の際に、様々な問題が発生したり、様々な用途への適用に限界があり、前記二軸延伸フィルムを適用した包装材等の成形品に品質の低下や不良が発生し得る。
【0124】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0125】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の成形指数(FIMD)は、例えば65~90、例えば70~90、または、例えば70~80であり得る。
【0126】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の成形指数(FITD)は、例えば80~110、例えば85~110、または、例えば90~110であり得る。
【0127】
前記二軸延伸フィルムは、前記FIMDのみを満足してよく、またはFITDのみを満足してもよく、またはFIMDおよびFITDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0128】
また、前記式1-3において、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は前記定義の通りである。
【0129】
また、前記二軸延伸フィルムの引張強度は、ASTM D882に基づいて二軸延伸フィルム試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着して、インストロン(INSTRON)社の万能試験機(UTM、モデル名5966を)を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0130】
前記引張強度は、例えば、9~25kgf/mm、例えば9.5~22kgf/mm、例えば10~22kgf/mm、例えば12~20kgf/mm、または、例えば13~20kgf/mmであり得る。
【0131】
前記引張強度が前記範囲を満足すると、二軸延伸フィルムの生産性、加工性および成形性を同時に向上させ得る。
【0132】
また、前記二軸延伸フィルムの引張強度(TS)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0133】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の引張強度(TSMD)は、例えば9~25kgf/mm、9.5~22kgf/mm、例えば10~22kgf/mm、例えば12~20kgf/mm、または、例えば13~18kgf/mmであり得る。
【0134】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の引張強度(TSTD)は、例えば、9~25kgf/mm、10~25kgf/mm、例えば11~23kgf/mm、例えば12~23kgf/mm、または、例えば15~20kgmmであり得る。
【0135】
前記二軸延伸フィルムは、前記TSMDのみを満足してよく、またはTSTDのみを満足してもよく、またはTSMDおよびTSTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、前記式1-3で表される成形指数(FI)を前記範囲に制御することができ、生産性、加工性および成形性を同時に向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0136】
一方、前記二軸延伸フィルムは、ひずみ-応力曲線上で200kgf/mm~380kgf/mm、200kgf/mm~360kgf/mm、200kgf/mm~350kgf/mm、250kgf/mm~350kgf/mm、または260kgf/mm~350kgf/mmのモジュラスを有する。前記モジュラスが200kgf/mm未満であると、印刷またはラミネート等の加工工程において機械的なテンションに対する抵抗力が不十分であるため、走行方向にシワが発生して印刷上の問題が発生したり、走行中に破断が発生したりして好ましくない。一方、前記モジュラスが380kgf/mmを超えると、フィルムの剛性(stiffness)が上昇して外部衝撃によって容易に破断または割れ得る。また、前記範囲内でモジュラスが低いほど柔軟性に優れ得る。
【0137】
一方、前記二軸延伸フィルムは、フィルムの幅全体の厚さに対する厚さ偏差が10μm以下であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムは、フィルムの幅全体の厚さに対する厚さ偏差が、9μm以下、8.5μm以下、8μm以下、7μm以下、6.5μm以下、または5μm以下であり得る。
【0138】
実現例による二軸延伸フィルムは、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むと、延伸均一性に優れるため、厚さ偏差の少ない二軸延伸フィルムを提供し得る。
【0139】
一方、前記二軸延伸フィルムは光学特性に優れ得る。
具体的に、前記二軸延伸フィルムは、ヘイズが10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、または5%以下であり得る。ヘイズが前述の範囲を超えると、フィルムの透明度が著しく減少して、内容物の中身が見える包装用途に使用するのに制限があり得る。
【0140】
実現例による二軸延伸フィルムは、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を特定の含有量で含むと、ヘイズが低いため透明な二軸延伸フィルムを提供し得る。
【0141】
また、前記二軸延伸フィルムは、光透過率が90%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0142】
さらには、前記二軸延伸フィルムは、KS M3100-1に基づいて二酸化炭素の発生量を測定した生分解度が90%以上であることを特徴とする。生分解度は、同一期間に標準物質(例えば、セルロース)に対して分解された比を示したものであり、大韓民国環境部では、生分解度が標準物質に対して90%以上のときに生分解性物質と規定している。
【0143】
実現例による二軸延伸フィルムの前記構造および物性特徴は、実現例による二軸延伸フィルムの製造方法により製造することで効率的に達成し得る。
以下、前記二軸延伸フィルムを製造する方法について詳細に説明する。
【0144】
[二軸延伸フィルムの製造方法]
二軸延伸フィルムの製造方法は、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合した後、それを溶融押出してシートを製造する第1段階と、溶融押出されたシートを二軸延伸してフィルムを製造する第2段階と、前記二軸延伸済みのフィルムを熱固定する第3段階と、を含み得る。
【0145】
具体的に、前記第1段階は、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合した後、それを溶融押出してシートを製造する段階を含み得る。
【0146】
前記ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量または混合重量比は前述の通りである。
【0147】
また、前記混合の際、滑り性および品質向上のためにフィラーをさらに投入し得る。
前記フィラーの種類、含有量、粒径などは前述の通りである。
【0148】
前記溶融押出は180℃~250℃にて行われ、前記溶融押出後、約10℃~30℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得ることができる。
【0149】
前記第2段階は、溶融押出されたシートを二軸延伸して、フィルムを製造する段階を含み得る。
【0150】
前記溶融押出されたシートは50℃~80℃に予熱した後、40℃~100℃にて縦方向(MD)に2倍~4倍縦延伸し得る。
【0151】
例えば、前記溶融押出されたシートは、50℃~80℃に予熱した後、70℃~100℃の延伸区間にロールを通過させて2倍~4倍に縦延伸し得る。
【0152】
前記延伸済みフィルムは、50℃~110℃にて、横方向(MD)に3倍~5倍横延伸し得る。
【0153】
例えば、前記延伸済みフィルムは、初期30%区間の平均温度が80℃~105℃の第1区域、および後期70%区間の平均温度が80℃~110℃の2区域に区分されているテンターの区間内で3倍~5倍の横延伸を行い得る。
【0154】
実現例により、双方向に延伸する二軸フィルムとして提供することにより、フィルムの物性および成形性等をより向上させ得るので、高品質の包装材を実現し得る。
【0155】
仮に、縦方向および横方向のうちの一方に延伸する一軸フィルムの場合、フィルムの厚さ偏差が激しく、延伸を行っていない他方の強度が著しく低下し、熱的特性も低下し得る。
【0156】
前記第3段階は、前記二軸延伸済みのフィルムを熱固定する段階を含み得る。
【0157】
前記熱固定段階は、50℃~150℃、70℃~150℃、100℃~150℃、または120℃~150℃にて行われ得る。
【0158】
実現例の製造方法により前記二軸延伸フィルムを製造すると、目的とする構成および物性を有する二軸延伸フィルムを製造する上でさらに効果的であり得る。
【0159】
[積層体]
一実現例において、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と、を含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む積層体を提供する。
【0160】
一実現例においては、前記特定組成を有する第1層および第2層、具体的に第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層、および前記第1層の一面に第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層を含むことにより、柔軟性を向上させ騒音度を下げ得るだけでなく、前記第1層および第2層の層間相溶性が良いので層間接着特性を向上させることができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0161】
特に、前記第1層が前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させながらも適切な強度を維持することができ、光学特性をより向上させることができ、100℃以上の高温における熱収縮率が低く厚さ偏差の少ない積層体を提供し得る。
【0162】
さらには、前記積層体は生分解が可能であり、埋め立て時に完全分解され環境にやさしい特性を有するため、より多様な分野に活用され、優れた特性を発揮できることに技術的意義がある。
【0163】
図1を参照すると、本発明の実現例による積層体1は、第1層12をと、前記第1層12の一面に配置される第2層11とを含む。
【0164】
本発明の他の実現例による積層体は、第1層と、前記第1層の一面に配置される第2層と、前記第1層の他面上に配置されるコロナ層、コーティング層、またはその両方を含み得る。
【0165】
具体的に、図2を参照すると、前記積層体1は、第1層12と、前記第1層12の上面に配置される第2層11と、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層13とを含み得る。この際、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層の代わりにコーティング層を配置しても良い。
【0166】
また、図3を参照すると、前記積層体1は、第1層12と、前記第1層12の上面に配置される第2層11と、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層13と、前記コロナ層13の下面に配置されるコーティング層14とを含み得る。
以下、実現例による積層体の各層について具体的に説明する。
【0167】
-第1層-
一実現例によると、前記第1層は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む。
【0168】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、前記二軸延伸フィルムで言及したポリ乳酸(PLA)と同一であり得る。
【0169】
前記第1層が第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させ騒音度を下げ得るだけでなく、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と層間相溶性が良いので優れた層間接着特性を維持することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0170】
仮に、前記第1層が、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)のうち一方の樹脂のみを含むか、またはいずれも含まない場合、満足のいく騒音低減効果または柔軟性を実現するのが難しいだけでなく、前記積層体において前記第1層および前記第2層の層間の相溶性が低下して、層間接着特性が悪くなるか、互いに脱離して、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【0171】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、100000~1000000g/mol、例えば100000~800000g/mol、100000~500000g/mol、または100000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記第1ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、積層体の機械的強度および耐熱性をさらに向上させ得る。
【0172】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。具体的に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり得る。この際、前記L-乳酸の含有量は、前記第1ポリ乳酸の総重量を基準に、80重量%~99重量%、83重量%~99重量%、または85重量%~99重量%であり得る。
【0173】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。
【0174】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が30℃~80℃、40℃~80℃、40℃~70℃、または45℃~65℃であり得る。
【0175】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、70重量%超、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上を含み得る。また、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、100重量%未満、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、または95重量%以下であり得る。
【0176】
具体的に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、70重量%超~100重量%未満、70重量%超~99重量%以下、75重量%以上~99重量%以下、75重量%以上~98重量%以下、75重量%以上~97重量%以下、80重量%以上~97重量%以下、85重量%以上~97重量%以下、90重量%以上~97重量%以下、95重量%以上~100重量%未満、95重量%以上~97重量%以下、または90重量%以上~95重量%以下の量で含まれ得る。
【0177】
前記第1ポリ乳酸(PLA)の含有量が少なすぎると、前記積層体の引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、透明性および光透過率などの光学特性が低下し得る。一方、前記第1ポリ乳酸(PLA)の含有量が多すぎると、脆性(brittleness)が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音が激しい問題があり得る。
【0178】
特に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、脆性が大きいため使用温度範囲が20℃以下の場合フィルムが硬くなる特性があって、冬場にフィルムが衝撃を受けると容易にひびが入ったり割れたりする傾向があり、使用温度範囲が35℃以上の場合は、フィルムが弾性を失ってふにゃふにゃとなる傾向があり、騒音が激しいため使用が制限的である。
【0179】
したがって、実現例においては、前記第1ポリ乳酸(PLA)と一緒に、柔軟性に優れ、騒音度の低いポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を混合して使用することを特徴とする。
【0180】
特に、前記積層体の優れた強度、柔軟性、向上した光学特性、熱的特性、改善された騒音度を達成するためには、前記第1層に含まれるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が重要である。
【0181】
実現例によると、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み得る。
【0182】
具体的に、前記第1層は、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満、0重量%超~25重量%未満、0重量%超~20重量%未満、1重量%以上~30重量%未満、1重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~15重量%以下、3重量%以上~10重量%以下、0超~5重量%、3重量%~5重量%、または5重量%~10重量%の量で含み得る。
【0183】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が多すぎると、引張強度が減少し、熱収縮率および厚さ偏差が増加することがあり、押出加工性が低下し、光学特性が低下し得る。一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が少なすぎると、脆性が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音度が増加する問題点があり得る。
【0184】
実現例によると、前記第1ポリ乳酸(PLA)と前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合重量比は、70超~100未満:0超~30未満、例えば80~97:3~20、例えば 80~95:5~20、例えば90~97:3~10、例えば90~95:5~10、または、例えば95~97:3~5であり得る。前記第1ポリ乳酸(PLA)と前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合重量比が前記範囲を満足すると、適切な強度を有しながらも柔軟性を向上させることができ、光学特性および熱的特性を向上させ、騒音度を下げることができる。
【0185】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記二軸延伸フィルムで言及したポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と同一であり得る。
【0186】
具体的に、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、結晶化度(結晶性)が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0187】
例えば、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む共重合ポリヒドロキシアルカノエートを含み、結晶性が調節された共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0188】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位のみを含むポリエステルであってもよく、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記化学式2の単位はランダムに繰り返され得る。
【0189】
前記結晶性が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、分子構造上の非規則性を増加させることにより結晶性と非晶性が調節されたものであってもよく、具体的にモノマーの種類、モノマーの比または異性体の種類および/または含有量を調整したものであり得る。
【0190】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、1重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上であり、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下であり得る。
【0191】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、1~60重量%、5~50重量%、10~60重量%、10~50重量%、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%であり得る。
【0192】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は異性体を含み得る。例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、構造異性体、鏡像異性体、または幾何異性体を含み得る。具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は構造異性体を含み得る。
【0193】
実現例によると、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0194】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)として、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いて前記第1ポリ乳酸(PLA)と混合して第1層を形成する場合に比べて、積層体の光学特性が向上する効果があり得る。
【0195】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に15~60重量%含み得る。
【0196】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位の含有量が増加するほど非晶性が増加し得るので、実現例による第1層において、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の前記化学式2の単位の含有量が重要であり得る。
【0197】
例えば、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、15~55重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%の量で含み得る。
【0198】
前記第1層が、前記化学式2の単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を第1ポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、積層体の光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり積層体の透明性および光透過率が低下し、モジュラスおよび騒音度が低下し得る。
【0199】
実現例によると、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に15~60重量%含み得る。
【0200】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が増加するほど非晶性が増加するため、実現例による第1層において、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が重要であり得る。
【0201】
例えば、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、例えば20~60重量%、例えば25~60重量%、例えば25~50重量%、例えば30~60重量%、例えば30~50重量%、例えば35~60重量%、例えば35~50重量%、例えば40~60重量%、例えば40~50重量%、例えば45~60重量%、例えば45~50重量%、例えば46~60重量%、または、例えば46~50重量%の量で含まれ得る。
【0202】
前記第1層が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を前記第1ポリ乳酸(PLA)と混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、積層体の光学特性をさらに向上させ得る利点がある。仮に、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり積層体の光学特性が低下し得る。
【0203】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位のみを含むポリエステルであってもよく(すなわち、重合単位は、3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)と4-ヒドロキシブチレート単位(4-HBのみからなる)、または、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含み、さらには前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位はランダムに繰り返され得る。
【0204】
前記異なる重合単位としては、ラクテート(LA)、グリコレート(GA)、3-ヒドロキシプロピオネート(3HP)、3-ヒドロキシバレレート(3HV)、5-ヒドロキシバレレート(5HV)、5-ヒドロキシヘキサノエート(5HH)、6-ヒドロキシヘキサノエート(6HH)、または3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)、または炭素数7以上のヒドロキシアルカノエート等が挙げられる。
【0205】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)は前述の通りである。
【0206】
一実現例によると、前記第1層はフィラーをさらに含み得る。
前記フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0207】
前記有機フィラーは、硬質アクリレート、ポリスチレン、ナイロン、および軟質アクリレートの中から選択される材質を含む有機フィラーを含み得る。
【0208】
前記無機フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。
前記フィラーは、無機フィラーであってよく、例えばシリカを含み得る。
【0209】
前記第1層は、前記フィラーを含むことにより、滑り性に優れ加工性を向上させることができ、優れた品質を提供し得る。
【0210】
また、前記フィラーの粒径は、0.1μm~6.0μmであり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、1.0μm~5.5μmまたは2.0μm~5.2μmであり得る。
【0211】
前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。例えば、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~2.5重量%、0.01~2重量%、0.01~1.5重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、または0.01~0.2重量%の量で含み得る。
【0212】
前記第1層の厚さは、例えば1μm~20μm、例えば2μm~19μm、または、例えば3μm~17μmであり得る。
【0213】
-第2層-
一実現例によると、前記第2層は、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む。
【0214】
前記第2層が第2ポリ乳酸(PLA)を含むことにより、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と相溶性が良いので優れた層間接着特性を維持することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0215】
仮に、前記第2層が前記第2ポリ乳酸(PLA)を含まず、例えばポリトリエチレンテレフタレート(PTT)などの他の樹脂を含むと、前記第1層と前記第2層との層間相溶性が劣るため、層間接着特性が悪くなるか互いに脱離して、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【0216】
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸の異性体を含み得る。
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸のL-異性体、D-異性体、DL-異性体、またはそれらの混合物を含み得る。例えば、前記第2ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり得る。
【0217】
具体的に、前記第2ポリ乳酸は、互いに反対の立体配列(configuration)を有するL-異性体およびD-異性体の立体異性体(stereoisomer)を含むことができ、このような立体異性体は、化学的構造と物性は同一であるが、立体配列のみが鏡像で互いに対称され得る。
【0218】
前記第2層が、前記第2ポリ乳酸のL-異性体とD-異性体との混合物を含むと、フィルムの透明性が向上し、熱接着性能を有することになるので、熱接着用途に活用可能である。
【0219】
実現例によると、前記第2層は、前記第2ポリ乳酸の総重量を基準に5重量%~30重量%のD-異性体を含み得る。仮に、前記D-異性体の含有量が多すぎると、積層体の厚さ偏差および熱収縮率が増加することがあり、引張強度など積層体の物性が減少することがあり、工程において、生産および加工時に巻取性が不足してロールパス(roll pass)に問題があって、加工性および生産性が低下し得る。一方、前記D-異性体の含有量が少なすぎると、熱接着加工時に多くの熱量を必要とし、前記積層体をフィルム化する際にフィルムがうねるなど、積層体の形状が変形し得る。
【0220】
実現例によると、前記第2層が、前記第2ポリ乳酸のL-異性体とD-異性体との混合物を含み、前記L-異性体およびD-異性体の重量比は、70~95:5~30であり得る。
【0221】
例えば、前記第2層は、ポリ-L-乳酸(L-PLA)およびポリ-D-乳酸(D-PLA)を含み得る。この際、前記L-PLAおよびD-PLAの重量比(L-PLA:D-PLA)は、70~95:5~30、例えば72~95:5~28、例えば74~93:7~26、または、例えば75~93:7~25であり得る。
【0222】
前記L-異性体およびD-異性体の重量比が前記範囲を満足すると、フィルムの光学特性が向上し、熱接着性能がより向上され得る。また、積層体の厚さ偏差および熱収縮率を下げ、引張強度およびモジュラスなどの物性を向上させることができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0223】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、例えば50000~1000000g/mol、例えば50000~800000g/mol、例えば50000~500000g/mol、例えば50000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記第2ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、積層体の機械的強度および耐熱性をより向上させ得る。
【0224】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が例えば100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。また、前記第2ポリ乳酸(PLA)は溶融温度(Tm)がなくてもよい。
【0225】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が20℃~80℃、25℃~80℃、30℃~75℃、または35℃~70℃であり得る。
【0226】
一方、前記第2層は、滑り特性を向上させるためにフィラーをさらに含み得る。
【0227】
前記フィラーは、前記第1層におけるフィラーの種類および含有量と同一または異なり得る。
具体的に、第2層に含まれているフィラーの粒径は0.1μm~6.0μmであり得る。
また、前記第2層は、前記第2層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。
【0228】
前記第2層がフィラーを含むと、工程において滑り性が向上して加工がより容易となり得る。
【0229】
前記第2層の厚さは、例えば0.1μm~20μm、例えば0.1μm~18μm、または、例えば0.1μm~16μmであり得る。
【0230】
一方、前記第1層および前記第2層の厚さ比は、例えば1:0.1~1、例えば1:0.1~0.9、または、例えば1:0.1~0.8であり得る。
【0231】
-コロナ層-
一実現例による積層体は、前記第1層の他面上に配置されるコロナ層をさらに含み得る。具体的に、前記コロナ層は、前記第1層の他面に直接形成され得る。
【0232】
前記積層体がコロナ層をさらに含むことにより、積層体表面の油分等の汚染を除去し、接着部位と親和性のある表面を作って接着強度を増加させることができ、化学的および物理的に表面改質となり、親水性、接着性、印刷性、コーティング特性、蒸着特性などがより向上され得る。
【0233】
具体的に、前記積層体の第1層は、極性基がないため極性が非常に少なく結晶度が高いため、インクや接着剤に対する親和性が低調であり得る。そのために、前記第1層の表面に高周波、高電圧を加え表面上の分子結合を絶縁破壊し、表面に極性基を生成させて表面エネルギーを高めることができる。
【0234】
前記コロナ層は、前記第1層のコロナ処理によって形成され、-CO、-COOHおよび-OHからなる群より選択される極性官能基を含み得る。
【0235】
前記第1層において、前記コロナ処理された面に対する表面張力が38dyn/cm以上であり、例えば38~70dyn/cm、例えば38~68dyn/cm、または、例えば38~66dyn/cmであり得る。前記第1層において、前記コロナ処理された面に対する表面張力が前記範囲を満足すると、前記積層体の接着性、印刷性、コーティング特性、蒸着特性等をさらに向上させ得る。
【0236】
前記コロナ層の厚さは、積層体の用途および目的に応じて適宜調整することができ、具体的に、例えば0.1nm~1000nm、例えば0.2nm~900nm、または、例えば0.1nm~800nmであり得るが、これに限定されない。
【0237】
-コーティング層-
一実現例による積層体は、前記第1層の他面上に配置されるコーティング層をさらに含み得る。
【0238】
前記コーティング層はプライマーコーティング層を含むことができ、そうすると、帯電防止性能を向上させ得る。
【0239】
前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面、または前記積層体が前記コロナ層を含む場合、前記第1層の他面にコロナ層を含み、前記コロナ層の他面(下面)に前記プライマーコーティング層を含み得る。
【0240】
具体的に、前記第1層の他面上にプライマー処理を施してプライマーコーティング層を形成し得る。または、前記第1層の他面上に配置されている前記コロナ層の一面(下面)にプライマー処理してプライマーコーティング層を形成し得る。
【0241】
前記プライマーコーティング層は、帯電防止性能を有するアンモニウム系化合物、リン酸系化合物、ならびにアクリル系樹脂およびウレタン系樹脂等の高分子からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0242】
前記プライマーコーティング層の表面抵抗は、0.1~30Ω/□、0.2~28Ω/□、0.3~26Ω/□、0.4~24Ω/□、または1~20Ω/□であり得る。
【0243】
前記表面抵抗は、例えば常温(22±2℃)にて相対湿度(60%±10%)下で、表面抵抗測定器により帯電防止性能を評価したものである。
【0244】
前記コーティング層の厚さは、積層体の用途および目的に応じて適宜調整することができ、具体的に15nm~50nm、20nm~45nm、25nm~40nm、または30nm~35nmであり得るが、これに限定されない。
【0245】
本発明の実現例の積層体は、2層以上、例えば3層以上、例えば4層以上の多層構造を含み得る。
【0246】
-積層体の物性-
一実現例による積層体は、前記積層体の厚さが19~22μmのとき、下記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が18以下であり得る。
【0247】
<式2-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式2-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返す時の最大騒音度を、各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0248】
前記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)は、積層体の平均騒音度とループ剛性との積で示し、これは積層体の柔軟性および騒音度の複合特性程度を示す指標である。したがって、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記積層体を含む包装材などの成形品の品質を示す尺度となり得る。
【0249】
前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、第1層の平均騒音度(NAVG)が低いほど低く、騒音度(NAVG)が高いほど高くあり得る。また、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、ループ剛性(LS)が低いほど低く、ループ剛性(LS)が高いほど高くあり得る。
【0250】
このような特性を有する柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記特定範囲以下を満足するとき、積層体の機械的物性、光学特性および熱的特性に優れ、騒音度を低減させ得る。
【0251】
具体的に、前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)は、例えば、18以下、17以下、16以下、または15以下であり得る。仮に、前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)が18を超えると、柔軟性が低下し脆性が大きくなることがあり、騒音が増加し得るため、それを包装材に適用すると品質が低下し得る。
【0252】
前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。この際、前記積層体の縦方向(MD)は長さ方向または機械方向を示し、前記積層体の横方向(TD)は前記縦方向(MD)に垂直な方向として幅方向を示し得る。
【0253】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の柔軟騒音複合指数(LSNMD)は、例えば、4~18、5~18、5~17、6~17、8~17、または8~16であり得る。
【0254】
前記積層体の横方向(TD)の柔軟騒音複合指数(LSNTD)は、例えば、4~18、5~17、5~16、6~16、8~15、または9~15であり得る。
【0255】
前記積層体は、前記LSNMDのみを満足してよく、またはLSNTDのみを満足してもよく、またはLSNMDとLSNTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、騒音を下げ得るので、目的とする効果を実現する上でより有利であるので、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0256】
一方、前記式2-1において、前記積層体の平均騒音度(NAVG)は、KS C IEC61672-1に定めたクラス2の騒音計またはそれ以上の騒音計を用いて、騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、前記積層体を一定の速度で10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返すときの騒音度を測定して最大騒音度を記録し、これを各5回繰り返して、各回に対する最大騒音度の平均値を求めて平均騒音度と定義した。前記騒音度は、地面から1.2m~1.5m高さで測定することができ、測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に約1.0m~3.5m離れた地点で測定し得る。
【0257】
前記積層体は、特定の範囲以下で前記平均騒音度(NAVG)を制御することが、高品質の包装材を提供する面から好まし得る。
【0258】
具体的に、前記積層体の平均騒音度(NAVG)は、例えば86dB以下、例えば85dB以下、例えば84.8dB以下、または例えば84dB以下であり得る。
【0259】
前記積層体の平均騒音度(NAVG)が86dB以下であると、前記式2-1の柔軟騒音複合指数(LSN)を18以下に制御する上で有利であり、騒音を改善して品質の良い包装材を提供し得る。
【0260】
また、前記式2-1において、前記積層体のループ剛性(LS)はASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定してループ中心における荷重を測定したものであって、積層体の柔軟性の程度を示す指標である。
【0261】
前記積層体のループ剛性(LS)は、0.20gf以下、または0.19gf以下であり得る。具体的に、前記積層体のループ剛性(LS)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.19gf、例えば0.10~0.18gf、または、例えば0.10~0.17gfであり得る。
【0262】
前記積層体のループ剛性(LS)が低いほど柔軟性が増加し、前記積層体のループ剛性(LS)が高いほど柔軟性は減少し得る。
【0263】
また、前記積層体のループ剛性(LS)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0264】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)のループ剛性(LSMD)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.19gf、例えば0.11~0.19gf、例えば0.11~0.18gf、または、例えば0.11~0.15gfであり得る。
【0265】
前記積層体の横方向(TD)のループ剛性(LSTD)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.18gf、例えば0.10~0.17gf、または、例えば0.12~0.16gfであり得る。
【0266】
前記積層体は、前記LSMDのみを満足してよく、またはLSTDのみを満足してもよく、またはLSMDおよびLSTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、前記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を前記範囲に制御する上でより効果的であるため、目的とする効果を実現する上でさらに有利であるので、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0267】
一方、前記積層体は、下記式2-2で表される熱収縮率(S100)が15%以下であり得る。
【0268】
<式2-2>
熱収縮率(S100)(%)={(L25-L100)/L25}×100
前記式2-2において、
25は、25℃にて積層体試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さ(mm)である。
【0269】
前記式2-2で表される熱収縮率(S100)は、100℃の熱風温度にて積層体試験片の熱収縮程度を百分率に換算した値であって、前記積層体試験片の初期長さに対する積層体試験片の初期長さと、熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さの変化量を百分率で算出した値である。
【0270】
前記熱収縮率(S100)は、積層体を方向に関係なく長さ150mm、幅2cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留後の積層体試験片の長さを測定して算出し得る。
【0271】
前記熱収縮率(S100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0272】
前記熱収縮率(S100)が前記範囲以下を満足すると、100℃以上の高温の熱風温度にて熱収縮程度が少ないので、熱的特性が向上して印刷性および成形性をより向上させ得る。
【0273】
また、前記積層体の熱収縮率(S100)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0274】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の熱収縮率(SMD100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4.7%以下、または4.5%以下であり得る。
【0275】
前記積層体の横方向(TD)の熱収縮率(STD100)は、例えば、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5.5%以下、または5.0%以下であり得る。
【0276】
前記積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)の熱収縮率が前記範囲を超えると、印刷やラミネート時に熱風による縦方向および横方向の収縮が激しいため印刷上問題が発生し、印刷後にカール発生が激しいため巻かれる現象があるので好ましくない。
【0277】
一方、実現例による積層体は、下記式2-3で表される成形指数(FI)が65以上であり得る。
【0278】
<式2-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式2-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて長さ約100mm、幅15mmに裁断して試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0279】
前記積層体の成形指数(FI)は、積層体のループ剛性に対する引張強度の比であって、引張強度および柔軟性が適切か否かに対する尺度を示し得る。
【0280】
すなわち、実現例によると、前記積層体は、柔軟性が増加してソフトな特性を有しながらも適正範囲の強度、例えば引張強度を維持し得ることが主な特徴の一つであり得る。この場合、前記積層体は、成形性に優れており、様々な用途拡張に有利であり得る。
【0281】
前記積層体の成形指数(FI)は、例えば、65以上、68以上、70以上、73以上、75以上、80以上、85以上、88以上、90以上、95以上、または100以上であり得る。具体的に、前記積層体の成形指数(FI)は、例えば65~120、例えば65~110、または、例えば65~105であり得る。仮に、前記積層体の成形指数(FI)が65未満であると、柔軟性が低下して容易に砕けたり、強度が低下して加工または成形の際に様々な問題が発生したり、様々な用途適用に限界があり、前記積層体を適用した包装材などの成形品の品質が低下したり、不良が発生したりし得る。
【0282】
前記積層体の成形指数ア(FI)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0283】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の成形指数(FIMD)は、例えば65~120、65~100、例えば65~90、または、例えば70~90であり得る。
【0284】
前記積層体の横方向(TD)の成形指数(FITD)は、例えば70~120、例えば72~110、例えば80~110、例えば90~110、または、例えば90~105であり得る。
【0285】
前記積層体は、前記FIMDのみを満足してよく、またはFITDのみを満足してもよく、またはFIMDとFITDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0286】
また、前記式2-3において、前記積層体のループ剛性(LS)は前記定義の通りである。
【0287】
また、前記積層体の引張強度は、ASTM D882に基づいて積層体試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間長さが50mmとなるように装着し、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966))を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0288】
前記引張強度は、例えば7~20kgf/mm、例えば8~20kgf/mm、例えば8~18kgf/mm、例えば9~17kgf/mm、または、例えば10~17kgf/mmであり得る。
【0289】
前記引張強度が前記範囲を満足すると、積層体の生産性、加工性および成形性を同時に向上させ得る。
【0290】
また、積層体の引張強度(TS)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0291】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の引張強度(TSMD)は、例えば7~14kgf/mm、8~14kgf/mm、例えば9~14kgf/mm、例えば10~14kgf/mm、または、例えば11~14kgf/mmであり得る。
【0292】
前記積層体の横方向(TD)の引張強度(TSTD)は、例えば8~20kgf/mm、10~20kgf/mm、例えば11~20kgf/mm、例えば12~18kgf/mm、または、例えば13~17kgf/mmであり得る。
【0293】
前記積層体は、前記TSMDのみを満足してよく、またはTSTDのみを満足してもよく、またはTSMDおよびTSTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、前記式2-3で表される成形指数(FI)を前記範囲に制御し得るので、生産性、加工性および成形性を同時に向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0294】
一方、前記積層体は、応力-ひずみ曲線上で200kgf/mm~380kgf/mm、230kgf/mm~380kgf/mm、250kgf/mm~350kgf/mm、280kgf/mm~350kgf/mm、または、290kgf/mm~350kgf/mmのモジュラスを有する。前記モジュラスが200kgf/mm未満であると、印刷またはラミネート等の加工工程で機械的なテンションに対する抵抗力が不十分であるため、走行方向にシワが発生して印刷上問題が発生するか、または走行中に破断が発生して好ましくない。一方、前記モジュラスが380kgf/mmを超えると、積層体の剛性が上昇して、外部衝撃によって容易に破断するか、または割れ得る。また、前記範囲内でモジュラスが低いほど柔軟性に優れ得る。
【0295】
また、前記積層体のモジュラスは、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0296】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)のモジュラス(MMD)は、200kgf/mm~380kgf/mm、250kgf/mm~380kgf/mm、260kgf/mm~350kgf/mm、290kgf/mm~350kgf/mm、または、295kgf/mm~345kgf/mmであり得る。
【0297】
前記積層体の横方向(TD)のモジュラス(MTD)は、例えば、200kgf/mm~380kgf/mm、260kgf/mm~380kgf/mm、270kgf/mm~350kgf/mm、280kgf/mm~350kgf/mm、または300kgf/mm~350kgf/mmであり得る。
【0298】
また、前記積層体の横方向(TD)のモジュラス(MTD)が、縦方向(MD)のモジュラス(MMD)よりも大きくあり得る。
【0299】
一方、前記積層体は、積層体の幅全体の厚さに対する厚さ偏差が10μm以下であり得る。具体的に、前記積層体は、積層体の幅全体の厚さに対する厚さ偏差が、9μm以下、8.5μm以下、8μm以下、7μm以下、6.5μm以下、5μm以下、または4.7μm以下であり得る。
【0300】
一方、前記積層体は、前記第1層および第2層の層間接着特性に優れる。
【0301】
具体的に、前記第1層および第2層の熱接着強度は、0.7~2.0kgf/mmであり得る。具体的に、前記第1層および第2層の熱接着強度は、0.7~1.8kgf/mm、0.9~1.8kgf/mmまたは0.9~1.7kgf/mmであり得る。
【0302】
前記第1層および第2層の熱接着強度を前記範囲で満足すると、層間接着特性に優れ、各層が離脱することの発生を防止することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0303】
前記熱接着強度は、例えばASTM D882に基づいて積層体試験片を作った後、長さ約100mmおよび幅約15mmに裁断し、相対している第1層および第2層をヒートシールテスター(Heat Seal Tester、テスター産業社、TP-701-B)で熱合紙した後、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて、前記積層体試験片の熱合紙した部分が中央に来て、チャック間距離が50mmとなるように装着した後、前記積層体試験片の第1層および第2層について、約25℃の常温にて引張速度約200mm/分の速度で180°角度で剥離する強度を評価した後、引張設備に内蔵されたプログラムにより測定した。
【0304】
一方、前記積層体は、光学特性に優れ得る。
具体的に、前記積層体は、ヘイズが10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、または5%以下であり得る。ヘイズが前記の範囲を超えると、積層体の透明度が著しく減少し、内容物の中身が見える包装用途への使用に制限があり得る。
【0305】
実現例による積層体は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を特定の含有量で含むと、ヘイズが低いので透明な積層体を提供し得る。
【0306】
また、前記積層体は、光透過率が90%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0307】
さらには、前記積層体は、KS M3100-1に基づいて二酸化炭素の発生量を測定した生分解度が90%以上であることを特徴とする。生分解度は、同一期間に標準物質(例えば、セルロース)に対して分解された比を示したものであり、大韓民国環境部では、生分解度が標準物質に対して90%以上のときに生分解性物質として規定している。
【0308】
実現例による積層体の前記構造および物性特徴は、実現例による積層体の製造方法によって製造することにより効率的に達成し得る。
【0309】
以下、前記積層体を製造する方法を詳細に説明する。
【0310】
[積層体の製造方法]
一実現例により、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(段階1)と、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(段階2)と、前記積層されたシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(段階3)とを含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体の製造方法を提供する。
【0311】
本発明の実現例による積層体の製造方法は、特定組成を有する第1樹脂および第2樹脂を用いて溶融共押出して2層の積層されたシートを得て、これを二軸延伸および熱固定することにより、加工性および生産性をより向上させることができ、経済的かつ効率的な方法により、本発明において目的とする物性効果を達成し得る。
【0312】
図1を参照すると、前記積層体の製造方法(S100)は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(S110)を含み得る。
【0313】
具体的に、前記第1樹脂は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含み、それらの含有量または混合重量比は前述の通りである。
【0314】
また、前記第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合する際、滑り性および品質向上のためにフィラーをさらに投入し得る。
前記フィラーの種類、含有量、粒径などは前述の通りである。
【0315】
一方、前記第2樹脂は、第2ポリ乳酸(PLA)を含む。前記第2ポリ乳酸(PLA)は前述の通りである。
【0316】
前記積層体の製造方法(S100)は、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(S120)を含み得る。
【0317】
前記溶融共押出工程の際、前記第1樹脂および前記第2樹脂の押出温度はそれぞれ調整され得る。
【0318】
具体的に、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度とは同一または異なり、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度との差は80℃以下であり得る。具体的に、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度との差は、60℃以下、50℃以下、または40℃以下であり得る。
【0319】
例えば、前記第1樹脂の押出温度は、例えば180℃~250℃であり、前記第2樹脂の押出温度は、例えば180℃~270℃であり得る。前記溶融押出後、約10℃~40℃に冷却された冷却ロールに密着させて2層の積層されたシートを得ることができる。
【0320】
一方、実現例により、前記溶融共押出の前に前記第1樹脂および前記第2樹脂を乾燥する段階をさらに含み得る。
【0321】
前記乾燥段階は、押出機の種類に応じて乾燥段階を必要とする場合もあれば省略してもよい。
【0322】
例えば、前記押出機がシングル押出機である場合、前記乾燥段階を行った後、溶融共押出を行い得る。前記乾燥段階は、例えば40℃~130℃にて4時間~24時間行われ得る。
【0323】
前記積層体の製造方法(S100)は、前記積層済みシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(S130)を含み得る。
【0324】
具体的に、前記2層の積層済みシートを二軸延伸することができ、前記二軸延伸段階は、例えば50℃~80℃に予熱した後、40℃~100℃にて縦方向(MD)に2倍~4倍縦延伸する段階および50℃~110℃にて横方向(MD)に3倍~5倍延伸する段階を含み得る。
【0325】
前記積層済みシートを双方向に二軸延伸を行うことにより、積層体の物性および成形性などをより向上させ得るので、高品質の包装材を実現し得る。
【0326】
仮に、縦方向および横方向のいずれか一方向にのみ一軸延伸する場合、積層体の厚さ偏差が激しく、延伸を行っていない他方の強度が低下し、熱的特性も低下し得る。
【0327】
また、前記熱固定段階は、50℃~150℃、70℃~150℃、100℃~150℃、または120℃~150℃にて行われ得る。
【0328】
一方、前記積層体の製造方法(S100)は、前記第1層の他面上にコロナ層、コーティング層、またはその両方をさらに形成し得る。
【0329】
具体的に、前記第1層のコロナ処理によりコロナ層を形成し得る。
【0330】
前記コロナ処理は、高周波-高電圧出力を放電電極-処理ロール間に印加した際にコロナ放電が起こるが、この際、所望の面を通過させることにより、コロナ処理を行うことができる。
【0331】
具体的に、前記コロナ放電の強さは、例えば3kW~20kWであり得る。前記コロナ放電の強さが前記範囲未満であると、コロナ放電処理効果が微小となり、逆に前記コロナ放電の強さが前記範囲を超えると、過剰な表面改質により表面損傷を引き起こし得る。
前記コロナ層の構成および物性は前述の通りである。
【0332】
また、前記第1層の他面上にコーティング層を形成し得る。
前記コーティング層は、プライマーコーティング層を含むことができ、前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面上にアンモニウム系化合物、リン酸系化合物、並びにアクリル系樹脂およびウレタン系樹脂等の高分子からなる群より選択される1種以上を含むプライマー組成物でプライマー処理し表面粗さを形成して、接着特性をより向上させ得る。
【0333】
前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面、または前記積層体が前記コロナ層を含む場合、前記第1層の他面にコロナ層を形成し、前記コロナ層の他面上に前記プライマーコーティング層を形成し得る。
【0334】
また、前記プライマー組成物は、硬化剤成分を含有してもよく、より具体的な例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、芳香族ジアミンおよびそれらの混合物が可能である。この際、前記硬化剤成分の添加量は、前記プライマー組成物の総重量を基準に0.1~50重量%の量で添加され得る。
【0335】
前記プライマー処理方法としては、当業界で用いられる通常の方法を用いることができ、例えばスプレー噴射法、ブラッシング、ローリング等を用い得る。具体的に、エアレススプレーを用いて誘導時間1~30分、噴射圧力5~500Mpa、ノズル口径0.46~0.58mm、および噴射角度40°~80°の条件でプライマー組成物を前記第1層の表面に噴射し得る。
【0336】
外にも、積層体の接着性を高めるために、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、または石けん化処理などのような表面処理を適宜行い得る。
【0337】
実現例の製造方法により前記積層体を製造すると、目的とする構成および物性を有する積層体を製造する上でさらに効果的であり得る。
【0338】
[環境配慮型包装材]
一実現例において、二軸延伸フィルムを含み、前記二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である、環境配慮型包装材を提供し得る。
【0339】
他の一実現例において、積層体を含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、環境配慮型包装材を提供し得る。
【0340】
前記環境配慮型包装材は、例えば一般的な使い捨て包装材および食品包装材等として利用され得るフィルム状であってよく、織物、編物、不織布、ロープ等として利用され得る繊維状であってもよく、弁当等のような食品包装用容器として利用され得る容器状であり得る。
【0341】
前記環境配慮型包装材は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、透明性などの光学特性および熱的特性に優れ、騒音度の低い積層体を含むことにより、優れた物性および品質を提供し得る。また、生分解が可能であり、埋め立て時に完全に分解され、環境にやさしい特性を有する包装材を提供し得るので、包装材として様々な分野に活用され、優れた特性を発揮し得る。
【0342】
(実施例)
以下の実施例により本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明を例示するものであるのみ、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0343】
[二軸延伸フィルムの製造]
(実施例1-1)
L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体(L-乳酸の含有量:98重量%)であり、重量平均分子量が150000g/molであり、溶融温度(Tm)が170℃、ガラス転移温度(Tg)が58℃であるポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks社、米国)と、ガラス転移温度(Tg)が-30℃である非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)と、シリカ(富士シリシア化学社、3.9μm)とを混合して混合樹脂を製造した。この際、前記ポリ乳酸(PLA)と非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合は、下記表1に示すように、最終フィルムのポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が97:3となるように混合を行い、シリカの含有量は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0.1重量%であった。
【0344】
前記混合樹脂を温度220℃の押出機を介して溶融押出した後、20℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得た。
【0345】
このようにして得られたシートを直ちに55℃に予熱した後、70℃の延伸区間にロールを通過させて縦方向(MD)に3倍延伸した。前記延伸されたフィルムを、初期30%区間の平均温度が85℃、後期70%区間の平均温度が100℃の2区域に区分されているテンターの延伸区間内で横方向(TD)に4倍延伸した。
【0346】
次いで、延伸済みのシートをテンターの熱処理区間内で150℃で熱固定して厚さ19.98μmの二軸延伸フィルムを製造した。
【0347】
(実施例1-2)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が95:5となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0348】
(実施例1-3)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が90:10となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0349】
(実施例1-4)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が80:20となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0350】
(実施例1-5)
非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の代わりに、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)を用いたことを除いては、実施例1-3と同様の方法で行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0351】
(比較例1-1)
下記表1に示すように、ポリ乳酸(PLA)樹脂のみを用いたことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0352】
(比較例1-2)
下記表1に示すように、二軸延伸フィルムにおいてポリ乳酸(PLA)樹脂および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂の重量比が70:30となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0353】
(比較例1-3)
実施例1-3と同様のポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合樹脂を温度220℃の押出機を介して溶融押出した後、20℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得た後、縦方向(MD)に3倍延伸した後、延伸済みシートをテンターの熱処理区間内で150℃で熱固定して、一軸延伸フィルムを製造した。
【0354】
【表1】
【0355】
[積層体の製造]
(実施例2-1)
-段階1:第1樹脂および第2樹脂を準備する段階-
<第1樹脂>
L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体(L-乳酸の含有量:98重量%)であり、重量平均分子量が約190000g/molであり、溶融温度(Tm)が約160℃、ガラス転移温度(Tg)が約58℃である第1ポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks LLC、4032D)と、ガラス転移温度(Tg)が約-30℃である非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)と、シリカ(富士シリシア化学社、3.9μm)を混合して混合樹脂を製造した。この際、前記第1ポリ乳酸(PLA)と非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合は、下記表2に示すように、最終第1層の第1ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が約97:3となるように混合を行い、シリカの含有量は第1層の総重量を基準に、約500ppmであった。
【0356】
<第2樹脂>
L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり、ガラス転移温度(Tg)が約52℃である第2ポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks LLC、4060D)を準備した。この際、前記L-乳酸とD-乳酸との混合は、下記表2に示すように、最終第2層のポリ-L-乳酸(L-PLA)とポリ-D-乳酸(D-PLA)との重量比が約90:10となるように混合を行った。
【0357】
-段階2:溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階-
前記段階1で得た第1樹脂および前記第2樹脂を、それぞれ除湿乾燥機を用いて約50℃にて約5時間乾燥して水分を除去した後、シングル押出機を介して溶融共押出して2層の積層されたシートを得た。この際、前記第1樹脂の押出温度は約210℃であり、第2樹脂の押出温度は約220℃であった。
【0358】
-段階3:二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階-
前記段階2で得た積層されたシートを、約75℃にて縦方向(MD)に約3倍延伸し、約85℃にて横方向(TD)に約3.8倍延伸した後、約140℃にて熱固定した後、約2%弛緩して、約19.98μmの厚さを有する積層体を製造した。
【0359】
(実施例2-2~2-4および2-6)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、最終第1層および第2層の組成を異にしたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0360】
(実施例2-5)
下記表2に示すように、実施例2-3の段階1において、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の代わりに、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)を用い、最終第2層の組成を異にしたことを除いては、実施例2-3と同様の方法で行い、積層体を製造した。
【0361】
(比較例2-1)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、第1層の成分として第1ポリ乳酸(PLA)樹脂のみを用いたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0362】
(比較例2-2)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、最終第1層および第2層の組成を異にしたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0363】
(比較例2-3)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、第2層をL-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体の代わりにポリトリエチレンテレフタレート(PTT)を用いたことを除いては、前記実施例2-3と同様に行い、積層体を製造した。
【0364】
【表2】
【0365】
(評価例)
(評価例1:厚さおよび標準偏差)
実施例および比較例で製造されたフィルムおよび積層体のそれぞれの幅全体に対する厚さを測定し、これに対する厚さ偏差を求めた。
【0366】
前記実施例1-1~1-5、および比較例1-1~1-3で製造された二軸延伸フィルムについて、フィルムの厚さd(nm)を電気マイクロメータ(ミリトロン1245D、ファインリューフ社)を用いて幅方向に5cm間隔で厚さを測定した後、厚さ偏差を下記の式3により計算した。
【0367】
一方、前記実施例2-1~2-6、および比較例2-1~2-3で製造された積層体について、積層体の厚さd(nm)を電気マイクロメータ(ミリトロン1245D、ファインリューフ社)を用いて幅方向に5cm間隔で厚さを測定した後、厚さ偏差を下記式3により計算した。
【0368】
<式3>
厚さ偏差=幅方向厚さの最大値-幅方向厚さの最小値
【0369】
(評価例2:引張強度)
ASTM D882に基づいて、フィルムおよび積層体試験片をそれぞれ作製した後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片をASTM D882に基づいてインストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて評価した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0370】
TSMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の引張強度であり、TSTDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の引張強度である。
【0371】
(評価例3:モジュラス)
ASTM D882に基づいて、実施例および比較例で製造された二軸延伸フィルム試験片および積層体試験片をそれぞれ作製した後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて引張速度200mm/分の速度で実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより計算されたモジュラス(kgf/mm)値を得た。
【0372】
また、前記二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向(MD)のモジュラスおよび横方向(TD)のモジュラスをそれぞれ測定した。
【0373】
(評価例4:熱収縮率)
実施例および比較例で製造されたフィルムおよび積層体のそれぞれを方向に関係なく長さ150mm、幅1.5cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留させた直後の二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の長さを測定し、下記式1-2および式2-2のように算出して熱収縮率をそれぞれ評価した。
【0374】
<式1-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式1-2において、
25は、25℃にて二軸延伸フィルム試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ(mm)である。
【0375】
<式2-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式2-2において、
25は、25℃にて積層体試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さ(mm)である。
【0376】
MD100は二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の熱収縮率であり、STD100は二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の熱収縮率である。
【0377】
(評価例5:ヘイズおよび光透過率)
前記実施例および比較例で製造された二軸延伸フィルムおよび積層体のそれぞれについて、ASTM D1003に基づいて、ヘイズメーター(Haze gardner, gardner BYK)を用いてヘイズおよび光透過率を分析した。
【0378】
(評価例6:騒音度)
二軸延伸フィルムの場合、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計またはそれ以上の騒音計(聴感補正回路:A特性、動特性:速い(fast)モード)を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点(測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に1.0m~3.5m離れた地点)で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を1回測定した。同様の方法により騒音度を各5回測定して平均騒音度(dB)を求めた。
【0379】
一方、積層体の場合は、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計またはそれ以上の騒音計(聴感補正回路:A特性、動特性:速い(fast)モード)を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点(測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に1.0m~3.5m離れた地点)で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返して最大騒音度を1回測定した。同様の方法により騒音度を各5回測定して平均騒音度(dB)を求めた。
【0380】
(評価例7:ループ剛性(loop stiffness))
ループ剛性は、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片および積層体試験片をそれぞれループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定してループ中心における荷重を測定した。
【0381】
LSMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向のループ剛性であり、LSTDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向のループ剛性である。
【0382】
(評価例8:柔軟騒音複合指数(LSN))
前記評価例6および7の騒音度およびループ剛性を用いて、下記式1-1で表される二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)を求めた。
【0383】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0384】
LSNMDは、二軸延伸フィルムの縦方向の柔軟騒音複合指数であり、LSNTDは、二軸延伸フィルムの横方向の柔軟騒音複合指数である。
【0385】
一方、前記評価例6および7の騒音度およびループ剛性を用いて、下記式2-1で表される積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)を求めた。
【0386】
<式2-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式2-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5mの高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返す時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0387】
LSNMDは、積層体の縦方向の柔軟騒音複合指数であり、LSNTDは、積層体の横方向の柔軟騒音複合指数である。
【0388】
(評価例9:成形指数)
前記評価例2および7の引張強度およびループ剛性を用いて、下記式1-3および下記式2-3で表される二軸延伸フィルムおよび積層体それぞれの成形指数(FI)を求めた。
【0389】
<式1-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式1-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて二軸延伸フィルム試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0390】
<式2-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式2-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて長さ約100mm、幅15mmに裁断して積層体試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0391】
FIMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の成形指数であり、FITDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の成形指数である。
【0392】
【表3】
【0393】
前記表3から分かるように、ポリ乳酸(PLA)および特定含有量範囲のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である実施例の二軸延伸フィルムの場合、優れた強度および柔軟性を同時に有しながらも、熱的特性に優れ、騒音度が改善された。
【0394】
具体的に、実施例1-1~1-5の二軸延伸フィルムは、引張強度が9~25kgf/mmと適正範囲を有するとともに、ループ剛性が0.1~0.23gfと柔軟性に優れている。また、騒音度が86dB以下と低く、100℃の高温においても熱収縮率が15%以下と非常に低いので、機械的物性および熱的特性がいずれも優れていた。
【0395】
一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含まない比較例1-1の二軸延伸フィルムの場合、柔軟騒音複合指数が20を超えることにより、フィルムのループ剛性が増加して柔軟性が減少し、騒音度が増加しており、特に、実施例1-4の二軸延伸フィルムに比べてループ剛性は60%以上増加し、騒音度は10%以上まで増加することを確認した。
【0396】
一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を30重量%以上過量で含有した比較例1-2の二軸延伸フィルムの場合、引張強度が約4~6kgf/mmと著しく減少しており、100℃の高温において熱収縮率は17~20%と著しく増加した。また、ヘイズも14%以上に増加し、光透過率も約85%と光学特性が著しく低下した。
【0397】
さらに、比較例1-3の一軸延伸フィルムの場合、同一含有量の非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例1-3の二軸延伸フィルムに比べて、厚さ偏差が11.3μmと250%以上増加しており、延伸していない横方向(TD)の強度が著しく低下しており、熱収縮率も40%以上増加した。
【0398】
一方、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例1-1~1-4の二軸延伸フィルムは、ヘイズが6.8%以下と低く、光透過率が90%以上で優れている反面、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いた実施例1-5の二軸延伸フィルムの場合は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を同一含有量で含む実施例1-3の二軸延伸フィルムに比べてヘイズが増加し、光透過率が低下して光学特性が低下した。
【0399】
【表4】
【0400】
表4から分かるように、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、特定含有量範囲のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含む実施例の積層体の場合、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、熱的特性に優れ、騒音度が改善されており、第1層および第2層の層間相溶性が良いので、層間接着特性も優れていた。
【0401】
具体的に、実施例2-1~2-6の積層体は、騒音度が86dB以下と低く、ループ剛性が0.1~0.2gfであって柔軟性に非常に優れている。また、縦方向(MD)の引張強度(TSMD)が7~14kgf/mmと適正範囲を有すると、100℃の高温においても熱収縮率が15%以下と非常に低く、ヘイズ10%以下および光透過率90%以上と、機械的物性、熱的特性および光学特性がいずれも優れていた。
【0402】
一方、第1層にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含まない比較例2-1の積層体の場合、積層体のループ剛性が増加して柔軟性が減少しており、騒音度が増加し、特に、第2層の組成が同一の実施例2-1の積層体に比べてループ剛性および騒音度が増加することを確認した。
【0403】
一方、第1層にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を30重量%以上と過剰含有した比較例2-2の積層体の場合、積層体の厚さ偏差が増加し、縦方向の引張強度(TSMD)および横方向の引張強度(TSTD)がそれぞれ約6.4kgf/mmおよび7.8kgf/mmと減少しており、100℃の高温において熱収縮率は15.3~16.8%と著しく増加しており、光学特性も低下した。
【0404】
さらには、第2層において第2ポリ乳酸の代わりにポリトリエチレンテレフタレート(PTT)を用いた比較例2-3の積層体の場合、延伸時第1層および第2層の相溶性不足のため層間接着特性が足りず、層間剥離(delamination)により延伸フィルム(フィルム化)作製が不可能であった。
【0405】
これに対し、実施例2-1~2-6の積層剤は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とで構成されることにより、相溶性が良いので延伸後も第1層および第2層の接着特性に優れている。
【0406】
一方、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いた実施例2-5の積層体の場合、比較例2-1~2-3の積層体に比べて熱収縮率が著しく減少し、工程において押出加工のための乾燥が容易で、押出加工時の気泡発生が少ない利点はあるものの、第1層に非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例2-1~2-4の積層体に比べてモジュラスおよび騒音度がやや増加しました。
【0407】
さらには、第2層において、L-PLAおよびD-PLAの重量比を62:38にD-PLAの含有量を増加した実施例2-6の積層体の場合、比較例2-1~2-3の積層体に比べて機械的物性、熱的特性、光学特性、騒音度、および柔軟性等は改善されたものの、第1層の組成が同一の実施例2-3の積層体に比べ相対的に積層体の厚さ偏差が増加し、熱収縮率が増加した。また、フィルム生産および加工の際、巻取性が不十分なため、加工性および生産性が多少低下することを確認した。
【符号の説明】
【0408】
1:積層体
11:第2層
12:第1層
13:コロナ層
14:コーティング層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸延伸フィルム、積層体、およびそのフィルムを含む環境配慮型包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、いわゆるアンタクト(un-contact)と呼ばれる非対面・非接触消費文化および衛生などの面から、使い捨て製品の使用が増加しており、特に食品用包装材の使用量が著しく増加している傾向である。
【0003】
現在、前記包装材に使用される汎用プラスチックフィルムとしては、石油系に由来するポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)が挙げられる。しかし、PVCフィルムは、焼却時にダイオキシンのような有害物質が発生して使用に多くの規制があり、ポリエチレンフィルムは寸法安定性が不良で機械的特性が低すぎるため、低級包装紙以外には使用に制限がある。比較的安定した分子構造を形成して良好な機械的特性を有するフィルムとしては、ポリプロピレンフィルムがあるが、包装用途で使用された後、ほとんど埋立処分されており、これは化学的・生物学的安定性のためほとんど分解されずに蓄積されるプラスチックフィルムの特性上、地球土壌汚染の原因として深刻な環境問題を引き起こす。
【0004】
また、最近では、樹脂自体の生分解性の高い脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸(polylactic acid、PLA)に関する研究も多く進められている。しかしながら、前記ポリ乳酸フィルムは、柔軟性が足りず騒音が激しいため、包装用としてはその用途が制限的である。
【0005】
そこで、前記ポリ乳酸を他の樹脂と混合して使用するフィルムに関する研究も進められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸とポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutyleneadipate terephthalate、PBAT)とを混合して使用したフィルムが開示されている。しかし、この場合、前記両素材の相溶性が不足して透明性が低下し、熱的特性が低減し、満足のいく柔軟性および強度を同時に実現することが難しいという問題点があり得る。
【0007】
また、前記ポリ乳酸を含む樹脂層を、例えばポリトリエチレンテレフタレート(PTT)などの他の樹脂層と積層した多層フィルムに関する研究も進められていた。しかしながら、この場合、満足のいく騒音低減効果または柔軟性を実現することが難しいだけでなく、前記樹脂層間の相溶性が落ちて、層間接着特性が悪くなったり、互いに脱離したりして、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2014-0106882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の従来技術の問題を解決するべく考案されたものである。
本発明の目的は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、樹脂間の相溶性があって優れた透明性を有し、騒音度および熱的特性が改善された、二軸延伸フィルムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度および熱的特性が改善され、第1層および第2層の層間相溶性が良いので層間接着特性に優れた、積層体を提供することである。
【0011】
本発明のまた他の目的は、経済的かつ効率的な方法により、加工性および生産性に優れながらも、前記特性を実現し得る積層体の製造方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記特性を有する二軸延伸フィルム、または積層体を用いることにより、生分解可能であるとともに環境にやさしく、高品質の環境配慮型包装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19~21μmのとき、下記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である二軸延伸フィルムを提供する。
【0014】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定して、ループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0015】
また、本発明は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、および前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体を提供する。
【0016】
また、本発明は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂、および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(段階1)と、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(段階2)と、前記積層されたシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(段階3)とを含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体の製造方法を提供する。
【0017】
さらには、本発明は、前記二軸延伸フィルムまたは積層体を含む、環境配慮型包装材を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明による二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、特定含有量範囲のPHAを含み、フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)が特定の範囲を満足することにより、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度が低く、光学特性および熱的特性が向上し得る。
【0019】
また、本発明による積層体は、特定の組成を有する第1層および第2層を含むことにより、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、騒音度が低く、光学特性および熱的特性が向上するのみならず、前記第1層および第2層の層間相溶性が良いので、優れた層間接着特性を維持し得る。
【0020】
また、本発明による積層体の製造方法は、経済的かつ効率的な方法により、加工性および生産性をさらに向上させ得る。
【0021】
さらには、前記二軸延伸フィルムおよび前記積層体は生分解が可能であり、埋め立ての際に完全に分解され環境にやさしい特性を有するため、包装材として様々な分野に活用されるので、高品質の包装材を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実現例による積層体の模式図である。
図2図2は、本発明の他の実現例による積層体の模式図である。
図3図3は、本発明のまた他の実現例による積層体の模式図である。
図4図4は、本発明の一実現例による積層体を製造する方法を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例により発明を詳細に説明する。実現例は、以下に開示される内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更されない限り、様々な形態に変形され得る。
【0024】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
本明細書における単数表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味と解釈される。
【0026】
また、本明細書に記載の構成要素の物性値、寸法、反応条件等を示す全ての数値範囲は、特に記載がない限り、全ての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解すべきである。
【0027】
一方、本明細書において、第1層、第2層、または第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にのみ使用される。
【0028】
また、各構成要素の「一面」/「打面」または「上」/「下」に対する基準は図面に基づいて説明し、これらの用語は構成要素を区別するための用語であるのみ、実際適用する際に相互互換され得る。
【0029】
本明細書において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されるものと記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、またはさらに他の構成要素を介して間接的に形成されるものをすべて含む。
【0030】
また、図面における各構成要素の大きさは説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさを意味するものではない。また、明細書全体にわたって同一参照番号は同一構成要素を指す。
【0031】
[二軸延伸フィルム]
一実現例において、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、下記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である、二軸延伸フィルムを提供する。
【0032】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定して、ループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0033】
一実現例においては、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させ、騒音度を下げることができ、特に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満で含むことにより、柔軟性を向上させながらも適切な強度を維持することができ、光学特性をさらに向上させることができ、100℃以上の高温における熱収縮率が低く、厚さ偏差の少ないフィルムを提供し得る。さらに、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を20以下に制御することにより、強度、柔軟性、および騒音度をさらに改善することができ、曳いては、前記フィルムを両方向に延伸する二軸延伸フィルムとして提供することにより、フィルムの物性および成形性などをさらに向上させ、高品質の包装材を実現できるということに技術的意義がある。
【0034】
以下、実現例による二軸延伸フィルムについてより詳細に説明する。
一実現例による二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む。
【0035】
前記ポリ乳酸(PLA)は、石油ベースの樹脂とは異なり、バイオマス(biomass)をベースとするため、再生資源の活用が可能であり、生産の際に既存の樹脂に比べて地球温暖化の主犯である二酸化炭素の排出が少なく、埋め立ての際水分および微生物によって生分解されるなど環境にやさしい。
【0036】
前記ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、100000~1000000g/mol、例えば100000~800000g/mol、100000~500000g/mol、または100000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、フィルムの機械的強度および耐熱性が前記範囲内の場合よりも減少し得る。
【0037】
前記ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。具体的に、前記ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体であり得る。この際、前記L-乳酸の含有量は、ポリ乳酸の総重量を基準に、80重量%~99重量%、83重量%~99重量%、または85重量%~99重量%であり得る。
【0038】
前記ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。
【0039】
前記ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が、30℃~80℃、40℃~80℃、40℃~70℃、または45℃~65℃であり得る。
【0040】
前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、70重量%超、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上を含み得る。また、前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、100重量%未満、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、または95重量%以下であり得る。
【0041】
具体的に、前記ポリ乳酸(PLA)は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、70重量%超~100重量%未満、70重量%超~99重量%以下、75重量%以上~99重量%以下、75重量%以上~98重量%以下、75重量%以上~97重量%以下、80重量%以上~97重量%以下、85重量%以上~97重量%以下、90重量%以上~97重量%以下、95重量%以上~100重量%未満、95重量%以上~97重量%以下、または90重量%以上~95重量%以下の量で含まれ得る。
【0042】
前記ポリ乳酸(PLA)の含有量が少なすぎると、引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、透明性および光透過率などの光学特性が低下し得る。一方、前記ポリ乳酸(PLA)の含有量が多すぎると、脆性(brittleness)が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音が激しい問題点があり得る。
【0043】
特に、前記ポリ乳酸(PLA)は、脆性が大きいため使用温度範囲が20℃以下の場合フィルムが硬くなる特性があるので、冬場にフィルムが衝撃を受けるとひびが入ったり割れたりしやすい傾向があり、使用温度範囲が35℃以上の場合は、フィルムが弾性を失ってふにゃふにゃとなる傾向があり、騒音が激しいため使用が制限的である。
【0044】
したがって、実施例においては、前記ポリ乳酸(PLA)とともに、柔軟性に優れ、騒音度の低いポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を混合して使用することを特徴とする。
【0045】
特に、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、優れた強度、柔軟性、向上した光学特性、熱的特性、改善された騒音度を達成するために、前記二軸延伸フィルムに含まれるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が重要である。
【0046】
実現例による二軸延伸フィルムは、前記二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み得る。
【0047】
具体的に、前記二軸延伸フィルムは、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満、1重量%以上~30重量%未満、1重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~15重量%以下、3重量%以上~10重量%以下、0超~5重量%、3重量%~5重量、または5重量%~10重量%の量で含み得る。
【0048】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が多すぎると、引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、押出加工性が低下し、光学特性が低下し得る。一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が少なすぎると、脆性が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音度が増加する問題点があり得る。
【0049】
実現例によると、前記ポリ乳酸(PLA)および前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合重量比は、70超~100未満:0超~30未満、例えば80~97:3~20、例えば80~95:5~20、例えば90~97:3~10、例えば90~95:5~10、または、例えば95~97:3~5であり得る。前記ポリ乳酸(PLA)および前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合重量比が前記範囲を満足すると、適切な強度を有しながらも柔軟性を向上させることができ、光学特性および熱的特性を向上させ、騒音度を下げ得る。
【0050】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0051】
具体的に、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、結晶化度(結晶性)が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0052】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1の単位および下記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む共重合ポリヒドロキシアルカノエートを含んで、結晶性が調節された共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
[化学式1]
前記化学式1において、
前記Rは、置換されたC~Cのアルキレンであり、
mは、1以上の整数である。
【0053】
[化学式2]
前記化学式2において、
前記Rは、置換または非置換のC~Cのアルキレンであり、
nは、1以上の整数である。
【0054】
この際、前記化学式1および2において、「置換された」というものは、特に記載がない限り、置換または非置換のアルキル基、具体的に置換または非置換のC~Cのアルキル基を含み得る。
【0055】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位のみを含むポリエステルであってよく、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記化学式2の単位はランダムに繰り返され得る。
【0056】
実現例によると、前記化学式1において、前記Rは、例えば、置換されたC~Cのアルキレン、置換されたC~Cのアルキレン、または置換されたC~Cのアルキレンであり得る。また、前記mは、1~12000であり得る。
【0057】
前記化学式2において、前記Rは、例えば、置換または非置換のC~Cのアルキレン、置換または非置換のC~Cのアルキレン、または置換または非置換のC~Cのアルキレンであり得る。例えば、前記化学式2において、前記Rは、非置換のアルキレンを含み得る。また、前記nは、1~12000であり得る。
【0058】
また、前記化学式1および2において、前記置換基はそれぞれC~Cのアルキル、C~Cのアルキル、またはC~Cのアルキルを含み得る。
【0059】
具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、下記化学式1-1の単位および下記化学式2-1の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含み得る。
【0060】
[化学式1-1]
前記化学式1-1において、
前記Rは、メチル、エチル、またはプロピルであり、
mは、1以上の整数である。
【0061】
[化学式2-1]
前記化学式2-1において、
nは、1以上の整数である。
【0062】
具体的に、前記化学式1-1において、Rがメチルであり、mが1~12000であり得る。
【0063】
前記化学式2-1において、nは1~12000であり得る。
【0064】
前記結晶性が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、分子構造上非規則性を増加させることにより、結晶性と非晶性が調節されたものであってよく、具体的にモノマーの種類、モノマーの比、または異性体の種類および/または含有量を調整したものであり得る。
【0065】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエートの全重量を基準に、1重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上であり、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下であり得る。
【0066】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、1~60重量%、5~50重量%、10~60重量%、10~50重量%、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%であり得る。
【0067】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、異性体を含み得る。例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、構造異性体、鏡像異性体、または幾何異性体を含み得る。具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は構造異性体を含み得る。
【0068】
実現例によると、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0069】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)として結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いて前記ポリ乳酸(PLA)と混合してフィルムを製造する場合に比べて、樹脂間の相溶性があるので、光学特性が向上する効果があり得る。
【0070】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に、15重量%~60重量%含み得る。
【0071】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位の含有量が増加するほど非晶性が増加し得るので、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の前記化学式2の単位の含有量が重要であり得る。
【0072】
例えば、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%の量で含み得る。
【0073】
実現例による二軸延伸フィルムは、前記化学式2の単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)をポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があり、光学特性に優れるのでフィルムの光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり透明性および光透過率が低下し得る。
【0074】
実現例によると、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に15重量%~60重量%含み得る。
【0075】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が増加するほど非晶性が増加するので、実現例による二軸延伸フィルムにおいて、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が重要であり得る。
【0076】
例えば、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、例えば20~60重量%、例えば25~60重量%、例えば25~50重量%、例えば30~60重量%、例えば30~50重量%、例えば35~60重量%、例えば35~50重量%、例えば40~60重量%、例えば40~50重量%、例えば45~60重量%、例えば45~50重量%、例えば46~60重量%、または、例えば46~50重量%の量で含まれ得る。
【0077】
実現例による二軸延伸フィルムは、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を前記ポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、フィルムの光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり光学特性が低下し得る。
【0078】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位のみを含むポリエステルであってよく(すなわち、重合単位は、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位と4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位のみからなる)、または、重合単位として3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位はランダムに繰り返され得る。
【0079】
前記異なる重合単位としては、ラクテート(LA)、グリコレート(GA)、3-ヒドロキシプロピオネート(3HP)、3-ヒドロキシバレレート(3HV)、5-ヒドロキシバレレート(5HV)、5-ヒドロキシヘキサノエート(5HH)、6-ヒドロキシヘキサノエート(6HH)、または3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)、または炭素数7以上のヒドロキシアルカノエート等が挙げられる。
【0080】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重量平均分子量(Mw)が100000g/mol~1000000g/mol、100000g/mol~900000g/mol、120000g/mol~850000g/mol、または150000g/mol~800000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。
【0081】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、ガラス転移温度(Tg)が-5℃~-50℃、-15℃~-40℃、-20℃~-40℃であり得る。前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)が前記範囲を満足すると、透明性および光透過率等の光学特性が向上し、目的とする騒音改善効果および柔軟性向上効果を達成する上でさらに有利であり得る。
【0082】
一実現例によると、前記二軸延伸フィルムはフィラーをさらに含み得る。
前記フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0083】
前記有機フィラーは、硬質アクリレート、ポリスチレン、ナイロン、および軟質アクリレートの中から選択される材質を含む有機フィラーを含み得る。
【0084】
前記無機フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0085】
前記フィラーは無機フィラーであってよく、例えばシリカを含み得る。
【0086】
前記二軸延伸フィルムは、前記フィラーを含むことにより、滑り性に優れ加工性を向上させることができ、優れた品質を提供し得る。
【0087】
また、前記フィラーの粒径は0.1μm~6.0μmであり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、1.0μm~5.5μmまたは2.0μm~5.2μmであり得る。
【0088】
前記二軸延伸フィルムは、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。例えば、前記二軸延伸フィルムは、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、前記フィラーを0.05~2.5重量%、0.1~2重量%、0.2~1.7重量%、または0.5~1.5重量%の量で含み得る。
【0089】
一実現例による二軸延伸フィルムは、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下であり得る。
【0090】
前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの平均騒音度およびループ剛性の積で示し、これは、二軸延伸フィルムの柔軟性および騒音度の複合特性の程度を示す指標である。したがって、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記二軸延伸フィルムを含む包装材の品質を示す尺度となり得る。
【0091】
前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)が低いほど低く、平均騒音度(NAVG)が高いほど高くあり得る。また、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、ループ剛性(LS)が低いほど低く、ループ剛性(LS)が高いほど高くあり得る。
【0092】
このような特性を有する柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記特定範囲以下を満足するとき、二軸延伸フィルムの機械的物性、光学特性および熱的特性に優れ、騒音度を低減し得る。
【0093】
具体的に、前記二前記軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)は、例えば、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、または15以下であり得る。仮に、前記二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)が20を超えると、柔軟性が低下し、脆性が大きくなることがあり、騒音が増加し得るため、これを包装材に適用すると品質が低下し得る。
【0094】
前記二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。この際、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)は長さ方向または機械方向を示し、前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)は前記縦方向(MD)に垂直な方向であって幅方向を示し得る。
【0095】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の柔軟騒音複合指数(LSNMD)は、例えば、5~20、5~19、5~18、10~18、14~18、または15~18であり得る。
【0096】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の柔軟騒音複合指数(LSNTD)は、例えば、5~20、5~19、8~19、10~19、12~19、または13~19であり得る。
【0097】
前記二軸延伸フィルムは、LSNMDのみを満足してもよく、またはLSNTDのみを満足してもよく、またはLSNMDおよびLSNTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、騒音を下げ得るので、目的とする効果を実現する上でさらに有利であり、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0098】
一方、前記式1-1において、前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)は、KS C IEC61672-1に定めたクラス2の騒音計またはそれ以上の騒音計を用いて、騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、一枚の前記二軸延伸フィルムを一定の速度で1分間振って発生する騒音度を測定して最大騒音度を記録し、これを各5回繰り返して各回に対する最大騒音度の平均値を求めて、平均騒音度と定義した。前記騒音度は、地面上1.2m~1.5mの高さで測定することができ、測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に約1.0m~3.5m離れた地点で測定し得る。
【0099】
前記二軸延伸フィルムは、特定の範囲以下に前記平均騒音度(NAVG)を制御することが、高品質の包装材を提供する面から好ましい。
【0100】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)は、例えば86dB以下、例えば85dB以下、例えば84dB以下、例えば83dB以下、または例えば82.5dB以下であり得る。
【0101】
前記二軸延伸フィルムの平均騒音度(NAVG)が86dB以下であると、前記式1-1の柔軟騒音複合指数(LSN)を20以下に制御する上で有利であり、騒音を改善して品質の良い包装材を提供し得る。
【0102】
また、前記式1-1において、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定して、ループ中心における荷重を測定したものであり、二軸延伸フィルムの柔軟性の程度を示す指標である。
【0103】
前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、0.23gf以下、0.22gf以下、0.21gf以下、または0.20gf以下であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば、0.10~0.21gf、または、例えば0.10~0.20gfであり得る。
【0104】
前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)が低いほど柔軟性が増加し、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)が高いほど柔軟性は減少し得る。
【0105】
また、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0106】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)のループ剛性(LSMD)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば0.12~0.22gf、例えば0.12~0.21gf、例えば0.15~0.21gfであり得る。
【0107】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)のループ剛性(LSTD)は、例えば0.10~0.23gf、例えば0.10~0.22gf、例えば0.12~0.22gf、または、例えば0.14~0.22gfであり得る。
【0108】
前記二軸延伸フィルムは、LSMDのみを満足してよく、またはLSTDのみを満足してもよく、またはLSMDおよびLSTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を前記範囲に制御する上でより効果的であるので、目的とする効果を実現するのにさらに有利であり、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0109】
一方、前記二軸延伸フィルムは、下記式1-2で表される熱収縮率(S100)が15%以下であり得る。
【0110】
<式1-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式1-2において、
25は、25℃にて二軸延伸フィルム試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ(mm)である。
【0111】
前記式1-2で表される熱収縮率(S100)は、100℃の熱風温度にて二軸延伸フィルム試験片の熱収縮程度を百分率に換算した値であって、前記二軸延伸フィルム試験片の初期長さに対する二軸延伸フィルム試験片の初期長さと熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ変化量を百分率で算出した値である。
【0112】
前記熱収縮率(S100)は、二軸延伸フィルムを方向に関係なく長さ150mm、幅2cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留後の二軸延伸フィルム試験片の長さを測定して算出し得る。
【0113】
前記熱収縮率(S100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0114】
前記熱収縮率(S100)が前記範囲以下を満足すると、100℃以上の高温の熱風温度にて熱収縮程度が少ないため、熱的特性が向上し、印刷性および成形性をより向上させ得る。
【0115】
また、前記二軸延伸フィルムの熱収縮率(S100)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0116】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の熱収縮率(SMD100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4.5%以下、または4%以下であり得る。
【0117】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の熱収縮率(STD100)は、例えば15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0118】
前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の熱収縮率が前記範囲を超えると、印刷やラミネート時に熱風による縦方向および横方向の収縮が激しいため印刷上の問題が発生し、印刷後にカール発生が激しいため巻かれる現象があるので好ましくない。
【0119】
一方、実現例による二軸延伸フィルムは、下記式1-3で表される成形指数(FI)が65以上であり得る。
【0120】
<式1-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式1-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて、長さ約100mm、幅15mmに裁断して試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0121】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、二軸延伸フィルムのループ剛性に対する引張強度の比であり、引張強度および柔軟性が適切であるかについての尺度を示し得る。
【0122】
すなわち、実現例によると、前記二軸延伸フィルムは柔軟性が増加してソフトな特性を有しながらも、適正範囲の強度、例えば引張強度を維持し得ることが、主な特徴の一つであり得る。この場合、前記二軸延伸フィルムは、成形性に優れ様々な用途拡張に有利であり得る。
【0123】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、例えば、65以上、68以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、または100以上であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、例えば65~120、例えば65~110、または例えば65~105であり得る。仮に、前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)が65未満であると、柔軟性が低下して容易に砕けたり、強度が低下して加工または成形の際に、様々な問題が発生したり、様々な用途への適用に限界があり、前記二軸延伸フィルムを適用した包装材等の成形品に品質の低下や不良が発生し得る。
【0124】
前記二軸延伸フィルムの成形指数(FI)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0125】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の成形指数(FIMD)は、例えば65~90、例えば70~90、または、例えば70~80であり得る。
【0126】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の成形指数(FITD)は、例えば80~110、例えば85~110、または、例えば90~110であり得る。
【0127】
前記二軸延伸フィルムは、FI MD のみを満足してよく、またはFITDのみを満足してもよく、またはFIMDおよびFITDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0128】
また、前記式1-3において、前記二軸延伸フィルムのループ剛性(LS)は前記定義の通りである。
【0129】
また、前記二軸延伸フィルムの引張強度は、ASTM D882に基づいて二軸延伸フィルム試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着して、インストロン(INSTRON)社の万能試験機(UTM、モデル名5966を)を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0130】
前記引張強度は、例えば、9~25kgf/mm、例えば9.5~22kgf/mm、例えば10~22kgf/mm、例えば12~20kgf/mm、または、例えば13~20kgf/mmであり得る。
【0131】
前記引張強度が前記範囲を満足すると、二軸延伸フィルムの生産性、加工性および成形性を同時に向上させ得る。
【0132】
また、前記二軸延伸フィルムの引張強度(TS)は、二軸延伸フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0133】
具体的に、前記二軸延伸フィルムの縦方向(MD)の引張強度(TSMD)は、例えば9~25kgf/mm例えば9.5~22kgf/mm、例えば10~22kgf/mm、例えば12~20kgf/mm、または、例えば13~18kgf/mmであり得る。
【0134】
前記二軸延伸フィルムの横方向(TD)の引張強度(TSTD)は、例えば、9~25kgf/mm、10~25kgf/mm、例えば11~23kgf/mm、例えば12~23kgf/mm、または、例えば15~20kgmmであり得る。
【0135】
前記二軸延伸フィルムは、前記TSMDのみを満足してよく、またはTSTDのみを満足してもよく、またはTSMDおよびTSTDをいずれも満足し得る。この場合、実現例による二軸延伸フィルムは、前記式1-3で表される成形指数(FI)を前記範囲に制御することができ、生産性、加工性および成形性を同時に向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0136】
一方、前記二軸延伸フィルムは、ひずみ-応力曲線上で200kgf/mm~380kgf/mm、200kgf/mm~360kgf/mm、200kgf/mm~350kgf/mm、250kgf/mm~350kgf/mm、または260kgf/mm~350kgf/mmのモジュラスを有する。前記モジュラスが200kgf/mm未満であると、印刷またはラミネート等の加工工程において機械的なテンションに対する抵抗力が不十分であるため、走行方向にシワが発生して印刷上の問題が発生したり、走行中に破断が発生したりして好ましくない。一方、前記モジュラスが380kgf/mmを超えると、フィルムの剛性(stiffness)が上昇して外部衝撃によって容易に破断または割れ得る。また、前記範囲内でモジュラスが低いほど柔軟性に優れ得る。
【0137】
一方、前記二軸延伸フィルムは、フィルムの幅全体の厚さに対する厚さ偏差が10μm以下であり得る。具体的に、前記二軸延伸フィルムは、フィルムの幅全体の厚さに対する厚さ偏差が、9μm以下、8.5μm以下、8μm以下、7μm以下、6.5μm以下、または5μm以下であり得る。
【0138】
実現例による二軸延伸フィルムは、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むと、延伸均一性に優れるため、厚さ偏差の少ない二軸延伸フィルムを提供し得る。
【0139】
一方、前記二軸延伸フィルムは光学特性に優れ得る。
具体的に、前記二軸延伸フィルムは、ヘイズが10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、または5%以下であり得る。ヘイズが前述の範囲を超えると、フィルムの透明度が著しく減少して、内容物の中身が見える包装用途に使用するのに制限があり得る。
【0140】
実現例による二軸延伸フィルムは、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を特定の含有量で含むと、ヘイズが低いため透明な二軸延伸フィルムを提供し得る。
【0141】
また、前記二軸延伸フィルムは、光透過率が90%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0142】
さらには、前記二軸延伸フィルムは、KS M3100-1に基づいて二酸化炭素の発生量を測定した生分解度が90%以上であることを特徴とする。生分解度は、同一期間に標準物質(例えば、セルロース)に対して分解された比を示したものであり、大韓民国環境部では、生分解度が標準物質に対して90%以上のときに生分解性物質と規定している。
【0143】
実現例による二軸延伸フィルムの前記構造および物性特徴は、実現例による二軸延伸フィルムの製造方法により製造することで効率的に達成し得る。
以下、前記二軸延伸フィルムを製造する方法について詳細に説明する。
【0144】
[二軸延伸フィルムの製造方法]
二軸延伸フィルムの製造方法は、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合した後、それを溶融押出してシートを製造する第1段階と、溶融押出されたシートを二軸延伸してフィルムを製造する第2段階と、前記二軸延伸済みのフィルムを熱固定する第3段階と、を含み得る。
【0145】
具体的に、前記第1段階は、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合した後、それを溶融押出してシートを製造する段階を含み得る。
【0146】
前記ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量または混合重量比は前述の通りである。
【0147】
また、前記混合の際、滑り性および品質向上のためにフィラーをさらに投入し得る。
前記フィラーの種類、含有量、粒径などは前述の通りである。
【0148】
前記溶融押出は180℃~250℃にて行われ、前記溶融押出後、約10℃~30℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得ることができる。
【0149】
前記第2段階は、溶融押出されたシートを二軸延伸して、フィルムを製造する段階を含み得る。
【0150】
前記溶融押出されたシートは50℃~80℃に予熱した後、40℃~100℃にて縦方向(MD)に2倍~4倍縦延伸し得る。
【0151】
例えば、前記溶融押出されたシートは、50℃~80℃に予熱した後、70℃~100℃の延伸区間にロールを通過させて2倍~4倍に縦延伸し得る。
【0152】
前記延伸済みフィルムは、50℃~110℃にて、横方向(MD)に3倍~5倍横延伸し得る。
【0153】
例えば、前記延伸済みフィルムは、初期30%区間の平均温度が80℃~105℃の第1区域、および後期70%区間の平均温度が80℃~110℃の第2区域に区分されているテンターの区間内で3倍~5倍の横延伸を行い得る。
【0154】
実現例により、双方向に延伸する二軸フィルムとして提供することにより、フィルムの物性および成形性等をより向上させ得るので、高品質の包装材を実現し得る。
【0155】
仮に、縦方向および横方向のうちの一方に延伸する一軸フィルムの場合、フィルムの厚さ偏差が激しく、延伸を行っていない他方の強度が著しく低下し、熱的特性も低下し得る。
【0156】
前記第3段階は、前記二軸延伸済みのフィルムを熱固定する段階を含み得る。
【0157】
前記熱固定段階は、50℃~150℃、70℃~150℃、100℃~150℃、または120℃~150℃にて行われ得る。
【0158】
実現例の製造方法により前記二軸延伸フィルムを製造すると、目的とする構成および物性を有する二軸延伸フィルムを製造する上でさらに効果的であり得る。
【0159】
[積層体]
一実現例において、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と、を含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む積層体を提供する。
【0160】
一実現例においては、前記特定組成を有する第1層および第2層、具体的に第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層、および前記第1層の一面に第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層を含むことにより、柔軟性を向上させ騒音度を下げ得るだけでなく、前記第1層および第2層の層間相溶性が良いので層間接着特性を向上させることができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0161】
特に、前記第1層が前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させながらも適切な強度を維持することができ、光学特性をより向上させることができ、100℃以上の高温における熱収縮率が低く厚さ偏差の少ない積層体を提供し得る。
【0162】
さらには、前記積層体は生分解が可能であり、埋め立て時に完全分解され環境にやさしい特性を有するため、より多様な分野に活用され、優れた特性を発揮できることに技術的意義がある。
【0163】
図1を参照すると、本発明の実現例による積層体1は、第1層12をと、前記第1層12の一面に配置される第2層11とを含む。
【0164】
本発明の他の実現例による積層体は、第1層と、前記第1層の一面に配置される第2層と、前記第1層の他面上に配置されるコロナ層、コーティング層、またはその両方を含み得る。
【0165】
具体的に、図2を参照すると、前記積層体1は、第1層12と、前記第1層12の上面に配置される第2層11と、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層13とを含み得る。この際、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層の代わりにコーティング層を配置しても良い。
【0166】
また、図3を参照すると、前記積層体1は、第1層12と、前記第1層12の上面に配置される第2層11と、前記第1層12の下面に配置されるコロナ層13と、前記コロナ層13の下面に配置されるコーティング層14とを含み得る。
以下、実現例による積層体の各層について具体的に説明する。
【0167】
-第1層-
一実現例によると、前記第1層は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む。
【0168】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、前記二軸延伸フィルムで言及したポリ乳酸(PLA)と同一であり得る。
【0169】
前記第1層が第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含むことにより、柔軟性を向上させ騒音度を下げ得るだけでなく、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層と層間相溶性が良いので優れた層間接着特性を維持することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0170】
仮に、前記第1層が、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)のうち一方の樹脂のみを含むか、またはいずれも含まない場合、満足のいく騒音低減効果または柔軟性を実現するのが難しいだけでなく、前記積層体において前記第1層および前記第2層の層間の相溶性が低下して、層間接着特性が悪くなるか、互いに脱離して、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【0171】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、100000~1000000g/mol、例えば100000~800000g/mol、100000~500000g/mol、または100000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記第1ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、積層体の機械的強度および耐熱性をさらに向上させ得る。
【0172】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。具体的に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり得る。この際、前記L-乳酸の含有量は、前記第1ポリ乳酸の総重量を基準に、80重量%~99重量%、83重量%~99重量%、または85重量%~99重量%であり得る。
【0173】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。
【0174】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が30℃~80℃、40℃~80℃、40℃~70℃、または45℃~65℃であり得る。
【0175】
前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、70重量%超、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上を含み得る。また、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、100重量%未満、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、または95重量%以下であり得る。
【0176】
具体的に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、第1層の総重量を基準に、70重量%超~100重量%未満、70重量%超~99重量%以下、75重量%以上~99重量%以下、75重量%以上~98重量%以下、75重量%以上~97重量%以下、80重量%以上~97重量%以下、85重量%以上~97重量%以下、90重量%以上~97重量%以下、95重量%以上~100重量%未満、95重量%以上~97重量%以下、または90重量%以上~95重量%以下の量で含まれ得る。
【0177】
前記第1ポリ乳酸(PLA)の含有量が少なすぎると、前記積層体の引張強度が減少し、熱収縮率が増加することがあり、透明性および光透過率などの光学特性が低下し得る。一方、前記第1ポリ乳酸(PLA)の含有量が多すぎると、脆性(brittleness)が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音が激しい問題があり得る。
【0178】
特に、前記第1ポリ乳酸(PLA)は、脆性が大きいため使用温度範囲が20℃以下の場合フィルムが硬くなる特性があって、冬場にフィルムが衝撃を受けると容易にひびが入ったり割れたりする傾向があり、使用温度範囲が35℃以上の場合は、フィルムが弾性を失ってふにゃふにゃとなる傾向があり、騒音が激しいため使用が制限的である。
【0179】
したがって、実現例においては、前記第1ポリ乳酸(PLA)と一緒に、柔軟性に優れ、騒音度の低いポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を混合して使用することを特徴とする。
【0180】
特に、前記積層体の優れた強度、柔軟性、向上した光学特性、熱的特性、改善された騒音度を達成するためには、前記第1層に含まれるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が重要である。
【0181】
実現例によると、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み得る。
【0182】
具体的に、前記第1層は、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満、0重量%超~25重量%未満、0重量%超~20重量%未満、1重量%以上~30重量%未満、1重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~25重量%以下、2重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~25重量%以下、3重量%以上~20重量%以下、3重量%以上~15重量%以下、3重量%以上~10重量%以下、0超~5重量%、3重量%~5重量%、または5重量%~10重量%の量で含み得る。
【0183】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が多すぎると、引張強度が減少し、熱収縮率および厚さ偏差が増加することがあり、押出加工性が低下し、光学特性が低下し得る。一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の含有量が少なすぎると、脆性が増加し、柔軟性が低下して砕けたり割れたりしやすく、騒音度が増加する問題点があり得る。
【0184】
実現例によると、前記第1ポリ乳酸(PLA)と前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合重量比は、70超~100未満:0超~30未満、例えば80~97:3~20、例えば 80~95:5~20、例えば90~97:3~10、例えば90~95:5~10、または、例えば95~97:3~5であり得る。前記第1ポリ乳酸(PLA)と前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合重量比が前記範囲を満足すると、適切な強度を有しながらも柔軟性を向上させることができ、光学特性および熱的特性を向上させ、騒音度を下げることができる。
【0185】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記二軸延伸フィルムで言及したポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と同一であり得る。
【0186】
具体的に、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、結晶化度(結晶性)が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0187】
例えば、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位をそれぞれ少なくとも1つ以上含む共重合ポリヒドロキシアルカノエートを含み、結晶性が調節された共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0188】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位のみを含むポリエステルであってもよく、重合単位として前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含み、さらには、前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記化学式2の単位はランダムに繰り返され得る。
【0189】
前記結晶性が調節されたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、分子構造上の非規則性を増加させることにより結晶性と非晶性が調節されたものであってもよく、具体的にモノマーの種類、モノマーの比または異性体の種類および/または含有量を調整したものであり得る。
【0190】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、1重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上であり、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下であり得る。
【0191】
例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位含有量は、1~60重量%、5~50重量%、10~60重量%、10~50重量%、15~60重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%であり得る。
【0192】
実現例によると、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は異性体を含み得る。例えば、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、構造異性体、鏡像異性体、または幾何異性体を含み得る。具体的に、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は構造異性体を含み得る。
【0193】
実現例によると、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり得る。
【0194】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)として、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いて前記第1ポリ乳酸(PLA)と混合して第1層を形成する場合に比べて、積層体の光学特性が向上する効果があり得る。
【0195】
前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の場合、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式1の単位および前記化学式2の単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記化学式2の単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に15~60重量%含み得る。
【0196】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位の含有量が増加するほど非晶性が増加し得るので、実現例による第1層において、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の前記化学式2の単位の含有量が重要であり得る。
【0197】
例えば、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、前記化学式2の単位を前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、15~55重量%、15~50重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~60重量%、25~50重量%、30~60重量%、30~50重量%、35~60重量%、35~50重量%、40~60重量%、40~50重量%、45~60重量%、45~50重量%、または46~50重量%の量で含み得る。
【0198】
前記第1層が、前記化学式2の単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を第1ポリ乳酸(PLA)と一緒に混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、積層体の光学特性をより向上させ得る利点がある。仮に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記化学式2の単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり積層体の透明性および光透過率が低下し、モジュラスおよび騒音度が低下し得る。
【0199】
実現例によると、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が3-ヒドロキシブチレート(3-HB)単位および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含む共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であり、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)全重量を基準に15~60重量%含み得る。
【0200】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)において、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が増加するほど非晶性が増加するため、実現例による第1層において、前記非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)中の4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位の含有量が重要であり得る。
【0201】
例えば、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位は、前記共重合ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の全重量を基準に、例えば20~60重量%、例えば25~60重量%、例えば25~50重量%、例えば30~60重量%、例えば30~50重量%、例えば35~60重量%、例えば35~50重量%、例えば40~60重量%、例えば40~50重量%、例えば45~60重量%、例えば45~50重量%、例えば46~60重量%、または、例えば46~50重量%の量で含まれ得る。
【0202】
前記第1層が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を前記範囲で含むことにより、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を前記第1ポリ乳酸(PLA)と混合して使用する際、樹脂間の相溶性があるので、積層体の光学特性をさらに向上させ得る利点がある。仮に、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位が15重量%未満であると、樹脂間の相溶性が悪くなり積層体の光学特性が低下し得る。
【0203】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位のみを含むポリエステルであってもよく(すなわち、重合単位は、3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)と4-ヒドロキシブチレート単位(4-HBのみからなる)、または、重合単位として3-ヒドロキシブチレート単位(3-HB)および4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位を含み、さらには前記以外の異なる重合単位を含み得る。また、前記4-ヒドロキシブチレート(4-HB)単位はランダムに繰り返され得る。
【0204】
前記異なる重合単位としては、ラクテート(LA)、グリコレート(GA)、3-ヒドロキシプロピオネート(3HP)、3-ヒドロキシバレレート(3HV)、5-ヒドロキシバレレート(5HV)、5-ヒドロキシヘキサノエート(5HH)、6-ヒドロキシヘキサノエート(6HH)、または3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)、または炭素数7以上のヒドロキシアルカノエート等が挙げられる。
【0205】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)は前述の通りである。
【0206】
一実現例によると、前記第1層はフィラーをさらに含み得る。
前記フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0207】
前記有機フィラーは、硬質アクリレート、ポリスチレン、ナイロン、および軟質アクリレートの中から選択される材質を含む有機フィラーを含み得る。
【0208】
前記無機フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。
前記フィラーは、無機フィラーであってよく、例えばシリカを含み得る。
【0209】
前記第1層は、前記フィラーを含むことにより、滑り性に優れ加工性を向上させることができ、優れた品質を提供し得る。
【0210】
また、前記フィラーの粒径は、0.1μm~6.0μmであり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、1.0μm~5.5μmまたは2.0μm~5.2μmであり得る。
【0211】
前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。例えば、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~2.5重量%、0.01~2重量%、0.01~1.5重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、または0.01~0.2重量%の量で含み得る。
【0212】
前記第1層の厚さは、例えば1μm~20μm、例えば2μm~19μm、または、例えば3μm~17μmであり得る。
【0213】
-第2層-
一実現例によると、前記第2層は、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む。
【0214】
前記第2層が第2ポリ乳酸(PLA)を含むことにより、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と相溶性が良いので優れた層間接着特性を維持することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0215】
仮に、前記第2層が前記第2ポリ乳酸(PLA)を含まず、例えばポリトリエチレンテレフタレート(PTT)などの他の樹脂を含むと、前記第1層と前記第2層との層間相溶性が劣るため、層間接着特性が悪くなるか互いに脱離して、加工性および生産性に悪影響を及ぼす問題点があり得る。
【0216】
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸の異性体を含み得る。
前記第2層は、前記第2ポリ乳酸のL-異性体、D-異性体、DL-異性体、またはそれらの混合物を含み得る。例えば、前記第2ポリ乳酸(PLA)は、L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり得る。
【0217】
具体的に、前記第2ポリ乳酸は、互いに反対の立体配列(configuration)を有するL-異性体およびD-異性体の立体異性体(stereoisomer)を含むことができ、このような立体異性体は、化学的構造と物性は同一であるが、立体配列のみが鏡像で互いに対称され得る。
【0218】
前記第2層が、前記第2ポリ乳酸のL-異性体とD-異性体との混合物を含むと、フィルムの透明性が向上し、熱接着性能を有することになるので、熱接着用途に活用可能である。
【0219】
実現例によると、前記第2層は、前記第2ポリ乳酸の総重量を基準に5重量%~30重量%のD-異性体を含み得る。仮に、前記D-異性体の含有量が多すぎると、積層体の厚さ偏差および熱収縮率が増加することがあり、引張強度など積層体の物性が減少することがあり、工程において、生産および加工時に巻取性が不足してロールパス(roll pass)に問題があって、加工性および生産性が低下し得る。一方、前記D-異性体の含有量が少なすぎると、熱接着加工時に多くの熱量を必要とし、前記積層体をフィルム化する際にフィルムがうねるなど、積層体の形状が変形し得る。
【0220】
実現例によると、前記第2層が、前記第2ポリ乳酸のL-異性体とD-異性体との混合物を含み、前記L-異性体およびD-異性体の重量比は、70~95:5~30であり得る。
【0221】
例えば、前記第2層は、ポリ-L-乳酸(L-PLA)およびポリ-D-乳酸(D-PLA)を含み得る。この際、前記L-PLAおよびD-PLAの重量比(L-PLA:D-PLA)は、70~95:5~30、例えば72~95:5~28、例えば74~93:7~26、または、例えば75~93:7~25であり得る。
【0222】
前記L-異性体およびD-異性体の重量比が前記範囲を満足すると、フィルムの光学特性が向上し、熱接着性能がより向上され得る。また、積層体の厚さ偏差および熱収縮率を下げ、引張強度およびモジュラスなどの物性を向上させることができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0223】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、重量平均分子量(Mw)が、例えば50000~1000000g/mol、例えば50000~800000g/mol、例えば50000~500000g/mol、例えば50000~300000g/molであり得る。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC)によって測定し得る。前記第2ポリ乳酸(PLA)の重量平均分子量(Mw)が前記範囲から外れると、積層体の機械的強度および耐熱性をより向上させ得る。
【0224】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、溶融温度(Tm)が例えば100℃~250℃、110℃~220℃、または120℃~200℃であり得る。また、前記第2ポリ乳酸(PLA)は溶融温度(Tm)がなくてもよい。
【0225】
前記第2ポリ乳酸(PLA)は、ガラス転移温度(Tg)が20℃~80℃、25℃~80℃、30℃~75℃、または35℃~70℃であり得る。
【0226】
一方、前記第2層は、滑り特性を向上させるためにフィラーをさらに含み得る。
【0227】
前記フィラーは、前記第1層におけるフィラーの種類および含有量と同一または異なり得る。
具体的に、前記第2層に含まれているフィラーの粒径は0.1μm~6.0μmであり得る。
また、前記第2層は、前記第2層の総重量を基準に、前記フィラーを0.01~3重量%の量で含み得る。
【0228】
前記第2層がフィラーを含むと、工程において滑り性が向上して加工がより容易となり得る。
【0229】
前記第2層の厚さは、例えば0.1μm~20μm、例えば0.1μm~18μm、または、例えば0.1μm~16μmであり得る。
【0230】
一方、前記第1層および前記第2層の厚さ比は、例えば1:0.1~1、例えば1:0.1~0.9、または、例えば1:0.1~0.8であり得る。
【0231】
-コロナ層-
一実現例による積層体は、前記第1層の他面上に配置されるコロナ層をさらに含み得る。具体的に、前記コロナ層は、前記第1層の他面に直接形成され得る。
【0232】
前記積層体がコロナ層をさらに含むことにより、積層体表面の油分等の汚染を除去し、接着部位と親和性のある表面を作って接着強度を増加させることができ、化学的および物理的に表面改質となり、親水性、接着性、印刷性、コーティング特性、蒸着特性などがより向上され得る。
【0233】
具体的に、前記積層体の第1層は、極性基がないため極性が非常に少なく結晶度が高いため、インクや接着剤に対する親和性が低調であり得る。そのために、前記第1層の表面に高周波、高電圧を加え表面上の分子結合を絶縁破壊し、表面に極性基を生成させて表面エネルギーを高めることができる。
【0234】
前記コロナ層は、前記第1層のコロナ処理によって形成され、-CO、-COOHおよび-OHからなる群より選択される極性官能基を含み得る。
【0235】
前記第1層において、前記コロナ処理された面に対する表面張力が38dyn/cm以上であり、例えば38~70dyn/cm、例えば38~68dyn/cm、または、例えば38~66dyn/cmであり得る。前記第1層において、前記コロナ処理された面に対する表面張力が前記範囲を満足すると、前記積層体の接着性、印刷性、コーティング特性、蒸着特性等をさらに向上させ得る。
【0236】
前記コロナ層の厚さは、積層体の用途および目的に応じて適宜調整することができ、具体的に、例えば0.1nm~1000nm、例えば0.2nm~900nm、または、例えば0.1nm~800nmであり得るが、これに限定されない。
【0237】
-コーティング層-
一実現例による積層体は、前記第1層の他面上に配置されるコーティング層をさらに含み得る。
【0238】
前記コーティング層はプライマーコーティング層を含むことができ、そうすると、帯電防止性能を向上させ得る。
【0239】
前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面、または前記積層体が前記コロナ層を含む場合、前記第1層の他面にコロナ層を含み、前記コロナ層の他面(下面)に前記プライマーコーティング層を含み得る。
【0240】
具体的に、前記第1層の他面上にプライマー処理を施してプライマーコーティング層を形成し得る。または、前記第1層の他面上に配置されている前記コロナ層の他面(下面)にプライマー処理してプライマーコーティング層を形成し得る。
【0241】
前記プライマーコーティング層は、帯電防止性能を有するアンモニウム系化合物、リン酸系化合物、ならびにアクリル系樹脂およびウレタン系樹脂等の高分子からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0242】
前記プライマーコーティング層の表面抵抗は、0.1~30Ω/□、0.2~28Ω/□、0.3~26Ω/□、0.4~24Ω/□、または1~20Ω/□であり得る。
【0243】
前記表面抵抗は、例えば常温(22±2℃)にて相対湿度(60%±10%)下で、表面抵抗測定器により帯電防止性能を評価したものである。
【0244】
前記コーティング層の厚さは、積層体の用途および目的に応じて適宜調整することができ、具体的に15nm~50nm、20nm~45nm、25nm~40nm、または30nm~35nmであり得るが、これに限定されない。
【0245】
本発明の実現例の積層体は、2層以上、例えば3層以上、例えば4層以上の多層構造を含み得る。
【0246】
-積層体の物性-
一実現例による積層体は、前記積層体の厚さが19~22μmのとき、下記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が18以下であり得る。
【0247】
<式2-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式2-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返す時の最大騒音度を、各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0248】
前記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)は、積層体の平均騒音度とループ剛性との積で示し、これは積層体の柔軟性および騒音度の複合特性程度を示す指標である。したがって、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記積層体を含む包装材などの成形品の品質を示す尺度となり得る。
【0249】
前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、第1層の平均騒音度(NAVG)が低いほど低く、騒音度(NAVG)が高いほど高くあり得る。また、前記柔軟騒音複合指数(LSN)は、ループ剛性(LS)が低いほど低く、ループ剛性(LS)が高いほど高くあり得る。
【0250】
このような特性を有する柔軟騒音複合指数(LSN)は、前記特定範囲以下を満足するとき、積層体の機械的物性、光学特性および熱的特性に優れ、騒音度を低減させ得る。
【0251】
具体的に、前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)は、例えば、18以下、17以下、16以下、または15以下であり得る。仮に、前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)が18を超えると、柔軟性が低下し脆性が大きくなることがあり、騒音が増加し得るため、それを包装材に適用すると品質が低下し得る。
【0252】
前記積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。この際、前記積層体の縦方向(MD)は長さ方向または機械方向を示し、前記積層体の横方向(TD)は前記縦方向(MD)に垂直な方向として幅方向を示し得る。
【0253】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の柔軟騒音複合指数(LSNMD)は、例えば、4~18、5~18、5~17、6~17、8~17、または8~16であり得る。
【0254】
前記積層体の横方向(TD)の柔軟騒音複合指数(LSNTD)は、例えば、4~18、5~17、5~16、6~16、8~15、または9~15であり得る。
【0255】
前記積層体は、前記LSNMDのみを満足してよく、またはLSNTDのみを満足してもよく、またはLSNMDとLSNTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、騒音を下げ得るので、目的とする効果を実現する上でより有利であるので、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0256】
一方、前記式2-1において、前記積層体の平均騒音度(NAVG)は、KS C IEC61672-1に定めたクラス2の騒音計またはそれ以上の騒音計を用いて、騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、前記積層体を一定の速度で10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返すときの騒音度を測定して最大騒音度を記録し、これを各5回繰り返して、各回に対する最大騒音度の平均値を求めて平均騒音度と定義した。前記騒音度は、地面から1.2m~1.5m高さで測定することができ、測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に約1.0m~3.5m離れた地点で測定し得る。
【0257】
前記積層体は、特定の範囲以下で前記平均騒音度(NAVG)を制御することが、高品質の包装材を提供する面から好まし得る。
【0258】
具体的に、前記積層体の平均騒音度(NAVG)は、例えば86dB以下、例えば85dB以下、例えば84.8dB以下、または例えば84dB以下であり得る。
【0259】
前記積層体の平均騒音度(NAVG)が86dB以下であると、前記式2-1の柔軟騒音複合指数(LSN)を18以下に制御する上で有利であり、騒音を改善して品質の良い包装材を提供し得る。
【0260】
また、前記式2-1において、前記積層体のループ剛性(LS)はASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定してループ中心における荷重を測定したものであって、積層体の柔軟性の程度を示す指標である。
【0261】
前記積層体のループ剛性(LS)は、0.20gf以下、または0.19gf以下であり得る。具体的に、前記積層体のループ剛性(LS)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.19gf、例えば0.10~0.18gf、または、例えば0.10~0.17gfであり得る。
【0262】
前記積層体のループ剛性(LS)が低いほど柔軟性が増加し、前記積層体のループ剛性(LS)が高いほど柔軟性は減少し得る。
【0263】
また、前記積層体のループ剛性(LS)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0264】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)のループ剛性(LSMD)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.19gf、例えば0.11~0.19gf、例えば0.11~0.18gf、または、例えば0.11~0.15gfであり得る。
【0265】
前記積層体の横方向(TD)のループ剛性(LSTD)は、例えば0.10~0.20gf、例えば0.10~0.18gf、例えば0.10~0.17gf、または、例えば0.12~0.16gfであり得る。
【0266】
前記積層体は、前記LSMDのみを満足してよく、またはLSTDのみを満足してもよく、またはLSMDおよびLSTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、前記式2-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)を前記範囲に制御する上でより効果的であるため、目的とする効果を実現する上でさらに有利であるので、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0267】
一方、前記積層体は、下記式2-2で表される熱収縮率(S100)が15%以下であり得る。
【0268】
<式2-2>
熱収縮率(S100)(%)={(L25-L100)/L25}×100
前記式2-2において、
25は、25℃にて積層体試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さ(mm)である。
【0269】
前記式2-2で表される熱収縮率(S100)は、100℃の熱風温度にて積層体試験片の熱収縮程度を百分率に換算した値であって、前記積層体試験片の初期長さに対する積層体試験片の初期長さと、熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さの変化量を百分率で算出した値である。
【0270】
前記熱収縮率(S100)は、積層体を方向に関係なく長さ150mm、幅2cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留後の積層体試験片の長さを測定して算出し得る。
【0271】
前記熱収縮率(S100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4.5%以下であり得る。
【0272】
前記熱収縮率(S100)が前記範囲以下を満足すると、100℃以上の高温の熱風温度にて熱収縮程度が少ないので、熱的特性が向上して印刷性および成形性をより向上させ得る。
【0273】
また、前記積層体の熱収縮率(S100)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0274】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の熱収縮率(SMD100)は、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4.7%以下、または4.5%以下であり得る。
【0275】
前記積層体の横方向(TD)の熱収縮率(STD100)は、例えば、15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5.5%以下、または5.0%以下であり得る。
【0276】
前記積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)の熱収縮率が前記範囲を超えると、印刷やラミネート時に熱風による縦方向および横方向の収縮が激しいため印刷上問題が発生し、印刷後にカール発生が激しいため巻かれる現象があるので好ましくない。
【0277】
一方、実現例による積層体は、下記式2-3で表される成形指数(FI)が65以上であり得る。
【0278】
<式2-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式2-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて長さ約100mm、幅15mmに裁断して試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0279】
前記積層体の成形指数(FI)は、積層体のループ剛性に対する引張強度の比であって、引張強度および柔軟性が適切か否かに対する尺度を示し得る。
【0280】
すなわち、実現例によると、前記積層体は、柔軟性が増加してソフトな特性を有しながらも適正範囲の強度、例えば引張強度を維持し得ることが主な特徴の一つであり得る。この場合、前記積層体は、成形性に優れており、様々な用途拡張に有利であり得る。
【0281】
前記積層体の成形指数(FI)は、例えば、65以上、68以上、70以上、73以上、75以上、80以上、85以上、88以上、90以上、95以上、または100以上であり得る。具体的に、前記積層体の成形指数(FI)は、例えば65~120、例えば65~110、または、例えば65~105であり得る。仮に、前記積層体の成形指数(FI)が65未満であると、柔軟性が低下して容易に砕けたり、強度が低下して加工または成形の際に様々な問題が発生したり、様々な用途適用に限界があり、前記積層体を適用した包装材などの成形品の品質が低下したり、不良が発生したりし得る。
【0282】
前記積層体の成形指数ア(FI)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0283】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の成形指数(FIMD)は、例えば65~120、例えば65~100、例えば65~90、または、例えば70~90であり得る。
【0284】
前記積層体の横方向(TD)の成形指数(FITD)は、例えば70~120、例えば72~110、例えば80~110、例えば90~110、または、例えば90~105であり得る。
【0285】
前記積層体は、前記FIMDのみを満足してよく、またはFITDのみを満足してもよく、またはFIMDとFITDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、適切な引張強度を維持しながらも柔軟性を向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0286】
また、前記式2-3において、前記積層体のループ剛性(LS)は前記定義の通りである。
【0287】
また、前記積層体の引張強度は、ASTM D882に基づいて積層体試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間長さが50mmとなるように装着し、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966))を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0288】
前記引張強度は、例えば7~20kgf/mm、例えば8~20kgf/mm、例えば8~18kgf/mm、例えば9~17kgf/mm、または、例えば10~17kgf/mmであり得る。
【0289】
前記引張強度が前記範囲を満足すると、積層体の生産性、加工性および成形性を同時に向上させ得る。
【0290】
また、積層体の引張強度(TS)は、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0291】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)の引張強度(TSMD)は、例えば7~14kgf/mm例えば8~14kgf/mm、例えば9~14kgf/mm、例えば10~14kgf/mm、または、例えば11~14kgf/mmであり得る。
【0292】
前記積層体の横方向(TD)の引張強度(TSTD)は、例えば8~20kgf/mm例えば10~20kgf/mm、例えば11~20kgf/mm、例えば12~18kgf/mm、または、例えば13~17kgf/mmであり得る。
【0293】
前記積層体は、前記TSMDのみを満足してよく、またはTSTDのみを満足してもよく、またはTSMDおよびTSTDを両方とも満足し得る。この場合、実現例による積層体は、前記式2-3で表される成形指数(FI)を前記範囲に制御し得るので、生産性、加工性および成形性を同時に向上させることができ、品質に優れた環境配慮型包装材を提供し得る。
【0294】
一方、前記積層体は、応力-ひずみ曲線上で200kgf/mm~380kgf/mm、230kgf/mm~380kgf/mm、250kgf/mm~350kgf/mm、280kgf/mm~350kgf/mm、または、290kgf/mm~350kgf/mmのモジュラスを有する。前記モジュラスが200kgf/mm未満であると、印刷またはラミネート等の加工工程で機械的なテンションに対する抵抗力が不十分であるため、走行方向にシワが発生して印刷上問題が発生するか、または走行中に破断が発生して好ましくない。一方、前記モジュラスが380kgf/mmを超えると、積層体の剛性が上昇して、外部衝撃によって容易に破断するか、または割れ得る。また、前記範囲内でモジュラスが低いほど柔軟性に優れ得る。
【0295】
また、前記積層体のモジュラスは、積層体の縦方向(MD)および横方向(TD)によって同一または異なり得る。
【0296】
具体的に、前記積層体の縦方向(MD)のモジュラス(MMD)は、200kgf/mm~380kgf/mm、250kgf/mm~380kgf/mm、260kgf/mm~350kgf/mm、290kgf/mm~350kgf/mm、または、295kgf/mm~345kgf/mmであり得る。
【0297】
前記積層体の横方向(TD)のモジュラス(MTD)は、例えば、200kgf/mm~380kgf/mm、260kgf/mm~380kgf/mm、270kgf/mm~350kgf/mm、280kgf/mm~350kgf/mm、または300kgf/mm~350kgf/mmであり得る。
【0298】
また、前記積層体の横方向(TD)のモジュラス(MTD)が、縦方向(MD)のモジュラス(MMD)よりも大きくあり得る。
【0299】
一方、前記積層体は、積層体の幅全体の厚さに対する厚さ偏差が10μm以下であり得る。具体的に、前記積層体は、積層体の幅全体の厚さに対する厚さ偏差が、9μm以下、8.5μm以下、8μm以下、7μm以下、6.5μm以下、5μm以下、または4.7μm以下であり得る。
【0300】
一方、前記積層体は、前記第1層および第2層の層間接着特性に優れる。
【0301】
具体的に、前記第1層および第2層の熱接着強度は、0.7~2.0kgf/mmであり得る。具体的に、前記第1層および第2層の熱接着強度は、0.7~1.8kgf/mm、0.9~1.8kgf/mmまたは0.9~1.7kgf/mmであり得る。
【0302】
前記第1層および第2層の熱接着強度を前記範囲で満足すると、層間接着特性に優れ、各層が離脱することの発生を防止することができ、加工性および生産性をより向上させ得る。
【0303】
前記熱接着強度は、例えばASTM D882に基づいて積層体試験片を作った後、長さ約100mmおよび幅約15mmに裁断し、相対している第1層および第2層をヒートシールテスター(Heat Seal Tester、テスター産業社、TP-701-B)で熱合紙した後、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて、前記積層体試験片の熱合紙した部分が中央に来て、チャック間距離が50mmとなるように装着した後、前記積層体試験片の第1層および第2層について、約25℃の常温にて引張速度約200mm/分の速度で180°角度で剥離する強度を評価した後、引張設備に内蔵されたプログラムにより測定した。
【0304】
一方、前記積層体は、光学特性に優れ得る。
具体的に、前記積層体は、ヘイズが10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、または5%以下であり得る。ヘイズが前記の範囲を超えると、積層体の透明度が著しく減少し、内容物の中身が見える包装用途への使用に制限があり得る。
【0305】
実現例による積層体は、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を特定の含有量で含むと、ヘイズが低いので透明な積層体を提供し得る。
【0306】
また、前記積層体は、光透過率が90%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0307】
さらには、前記積層体は、KS M3100-1に基づいて二酸化炭素の発生量を測定した生分解度が90%以上であることを特徴とする。生分解度は、同一期間に標準物質(例えば、セルロース)に対して分解された比を示したものであり、大韓民国環境部では、生分解度が標準物質に対して90%以上のときに生分解性物質として規定している。
【0308】
実現例による積層体の前記構造および物性特徴は、実現例による積層体の製造方法によって製造することにより効率的に達成し得る。
【0309】
以下、前記積層体を製造する方法を詳細に説明する。
【0310】
[積層体の製造方法]
一実現例により、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(段階1)と、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(段階2)と、前記積層されたシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(段階3)とを含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は、前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、積層体の製造方法を提供する。
【0311】
本発明の実現例による積層体の製造方法は、特定組成を有する第1樹脂および第2樹脂を用いて溶融共押出して2層の積層されたシートを得て、これを二軸延伸および熱固定することにより、加工性および生産性をより向上させることができ、経済的かつ効率的な方法により、本発明において目的とする物性効果を達成し得る。
【0312】
図1を参照すると、前記積層体の製造方法(S100)は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1樹脂および第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2樹脂を準備する段階(S110)を含み得る。
【0313】
具体的に、前記第1樹脂は、第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを含み、それらの含有量または混合重量比は前述の通りである。
【0314】
また、前記第1ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカノエート(PHA)とを混合する際、滑り性および品質向上のためにフィラーをさらに投入し得る。
前記フィラーの種類、含有量、粒径などは前述の通りである。
【0315】
一方、前記第2樹脂は、第2ポリ乳酸(PLA)を含む。前記第2ポリ乳酸(PLA)は前述の通りである。
【0316】
前記積層体の製造方法(S100)は、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階(S120)を含み得る。
【0317】
前記溶融共押出工程の際、前記第1樹脂および前記第2樹脂の押出温度はそれぞれ調整され得る。
【0318】
具体的に、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度とは同一または異なり、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度との差は80℃以下であり得る。具体的に、前記第1樹脂の押出温度と前記第2樹脂の押出温度との差は、60℃以下、50℃以下、または40℃以下であり得る。
【0319】
例えば、前記第1樹脂の押出温度は、例えば180℃~250℃であり、前記第2樹脂の押出温度は、例えば180℃~270℃であり得る。前記溶融押出後、約10℃~40℃に冷却された冷却ロールに密着させて2層の積層されたシートを得ることができる。
【0320】
一方、実現例により、前記溶融共押出の前に前記第1樹脂および前記第2樹脂を乾燥する段階をさらに含み得る。
【0321】
前記乾燥段階は、押出機の種類に応じて乾燥段階を必要とする場合もあれば省略してもよい。
【0322】
例えば、前記押出機がシングル押出機である場合、前記乾燥段階を行った後、溶融共押出を行い得る。前記乾燥段階は、例えば40℃~130℃にて4時間~24時間行われ得る。
【0323】
前記積層体の製造方法(S100)は、前記積層済みシートを二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階(S130)を含み得る。
【0324】
具体的に、前記2層の積層済みシートを二軸延伸することができ、前記二軸延伸段階は、例えば50℃~80℃に予熱した後、40℃~100℃にて縦方向(MD)に2倍~4倍縦延伸する段階および50℃~110℃にて横方向(MD)に3倍~5倍延伸する段階を含み得る。
【0325】
前記積層済みシートを双方向に二軸延伸を行うことにより、積層体の物性および成形性などをより向上させ得るので、高品質の包装材を実現し得る。
【0326】
仮に、縦方向および横方向のいずれか一方向にのみ一軸延伸する場合、積層体の厚さ偏差が激しく、延伸を行っていない他方の強度が低下し、熱的特性も低下し得る。
【0327】
また、前記熱固定段階は、50℃~150℃、70℃~150℃、100℃~150℃、または120℃~150℃にて行われ得る。
【0328】
一方、前記積層体の製造方法(S100)は、前記第1層の他面上にコロナ層、コーティング層、またはその両方をさらに形成し得る。
【0329】
具体的に、前記第1層のコロナ処理によりコロナ層を形成し得る。
【0330】
前記コロナ処理は、高周波-高電圧出力を放電電極-処理ロール間に印加した際にコロナ放電が起こるが、この際、所望の面を通過させることにより、コロナ処理を行うことができる。
【0331】
具体的に、前記コロナ放電の強さは、例えば3kW~20kWであり得る。前記コロナ放電の強さが前記範囲未満であると、コロナ放電処理効果が微小となり、逆に前記コロナ放電の強さが前記範囲を超えると、過剰な表面改質により表面損傷を引き起こし得る。
前記コロナ層の構成および物性は前述の通りである。
【0332】
また、前記第1層の他面上にコーティング層を形成し得る。
前記コーティング層は、プライマーコーティング層を含むことができ、前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面上にアンモニウム系化合物、リン酸系化合物、並びにアクリル系樹脂およびウレタン系樹脂等の高分子からなる群より選択される1種以上を含むプライマー組成物でプライマー処理し表面粗さを形成して、接着特性をより向上させ得る。
【0333】
前記プライマーコーティング層は、前記第1層の他面、または前記積層体が前記コロナ層を含む場合、前記第1層の他面にコロナ層を形成し、前記コロナ層の他面上に前記プライマーコーティング層を形成し得る。
【0334】
また、前記プライマー組成物は、硬化剤成分を含有してもよく、より具体的な例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、芳香族ジアミンおよびそれらの混合物が可能である。この際、前記硬化剤成分の添加量は、前記プライマー組成物の総重量を基準に0.1~50重量%の量で添加され得る。
【0335】
前記プライマー処理方法としては、当業界で用いられる通常の方法を用いることができ、例えばスプレー噴射法、ブラッシング、ローリング等を用い得る。具体的に、エアレススプレーを用いて誘導時間1~30分、噴射圧力5~500Mpa、ノズル口径0.46~0.58mm、および噴射角度40°~80°の条件でプライマー組成物を前記第1層の表面に噴射し得る。
【0336】
外にも、積層体の接着性を高めるために、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、または石けん化処理などのような表面処理を適宜行い得る。
【0337】
実現例の製造方法により前記積層体を製造すると、目的とする構成および物性を有する積層体を製造する上でさらに効果的であり得る。
【0338】
[環境配慮型包装材]
一実現例において、二軸延伸フィルムを含み、前記二軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、前記フィルムの厚さが19μm~21μmのとき、前記式1-1で表される柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である、環境配慮型包装材を提供し得る。
【0339】
他の一実現例において、積層体を含み、前記積層体は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含み、前記第1層は前記第1層の総重量を基準に、0重量%超~30重量%未満のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む、環境配慮型包装材を提供し得る。
【0340】
前記環境配慮型包装材は、例えば一般的な使い捨て包装材および食品包装材等として利用され得るフィルム状であってよく、織物、編物、不織布、ロープ等として利用され得る繊維状であってもよく、弁当等のような食品包装用容器として利用され得る容器状であり得る。
【0341】
前記環境配慮型包装材は、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、透明性などの光学特性および熱的特性に優れ、騒音度の低い積層体を含むことにより、優れた物性および品質を提供し得る。また、生分解が可能であり、埋め立て時に完全に分解され、環境にやさしい特性を有する包装材を提供し得るので、包装材として様々な分野に活用され、優れた特性を発揮し得る。
【0342】
(実施例)
以下の実施例により本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明を例示するものであるのみ、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0343】
[二軸延伸フィルムの製造]
(実施例1-1)
L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体(L-乳酸の含有量:98重量%)であり、重量平均分子量が150000g/molであり、溶融温度(Tm)が170℃、ガラス転移温度(Tg)が58℃であるポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks社、米国)と、ガラス転移温度(Tg)が-30℃である非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)と、シリカ(富士シリシア化学社、3.9μm)とを混合して混合樹脂を製造した。この際、前記ポリ乳酸(PLA)と非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合は、下記表1に示すように、最終フィルムのポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が97:3となるように混合を行い、シリカの含有量は、二軸延伸フィルムの総重量を基準に、0.1重量%であった。
【0344】
前記混合樹脂を温度220℃の押出機を介して溶融押出した後、20℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得た。
【0345】
このようにして得られたシートを直ちに55℃に予熱した後、70℃の延伸区間にロールを通過させて縦方向(MD)に3倍延伸した。前記延伸されたフィルムを、初期30%区間の平均温度が85℃、後期70%区間の平均温度が100℃の2区域に区分されているテンターの延伸区間内で横方向(TD)に4倍延伸した。
【0346】
次いで、延伸済みのシートをテンターの熱処理区間内で150℃で熱固定して厚さ19.98μmの二軸延伸フィルムを製造した。
【0347】
(実施例1-2)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が95:5となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0348】
(実施例1-3)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が90:10となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0349】
(実施例1-4)
下記表1に示すように、最終二軸延伸フィルムにおいて、ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が80:20となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0350】
(実施例1-5)
非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の代わりに、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)を用いたことを除いては、実施例1-3と同様の方法で行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0351】
(比較例1-1)
下記表1に示すように、ポリ乳酸(PLA)樹脂のみを用いたことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0352】
(比較例1-2)
下記表1に示すように、二軸延伸フィルムにおいてポリ乳酸(PLA)樹脂および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂の重量比が70:30となるように混合したことを除いては、前記実施例1-1と同様に行い、二軸延伸フィルムを製造した。
【0353】
(比較例1-3)
実施例1-3と同様のポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の混合樹脂を温度220℃の押出機を介して溶融押出した後、20℃に冷却された冷却ロールに密着させてシートを得た後、縦方向(MD)に3倍延伸した後、延伸済みシートをテンターの熱処理区間内で150℃で熱固定して、一軸延伸フィルムを製造した。
【0354】
【表1】
【0355】
[積層体の製造]
(実施例2-1)
-段階1:第1樹脂および第2樹脂を準備する段階-
<第1樹脂>
L-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体(L-乳酸の含有量:98重量%)であり、重量平均分子量が約190000g/molであり、溶融温度(Tm)が約160℃、ガラス転移温度(Tg)が約58℃である第1ポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks LLC、4032D)と、ガラス転移温度(Tg)が約-30℃である非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)と、シリカ(富士シリシア化学社、3.9μm)を混合して混合樹脂を製造した。この際、前記第1ポリ乳酸(PLA)と非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)との混合は、下記表2に示すように、最終第1層の第1ポリ乳酸(PLA)および非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の重量比が約97:3となるように混合を行い、シリカの含有量は第1層の総重量を基準に、約500ppmであった。
【0356】
<第2樹脂>
L-乳酸とD-乳酸とのランダム共重合体であり、ガラス転移温度(Tg)が約52℃である第2ポリ乳酸(PLA)樹脂(NatureWorks LLC、4060D)を準備した。この際、前記L-乳酸とD-乳酸との混合は、下記表2に示すように、最終第2層のポリ-L-乳酸(L-PLA)とポリ-D-乳酸(D-PLA)との重量比が約90:10となるように混合を行った。
【0357】
-段階2:溶融共押出して2層の積層されたシートを得る段階-
前記段階1で得た前記第1樹脂および前記第2樹脂を、それぞれ除湿乾燥機を用いて約50℃にて約5時間乾燥して水分を除去した後、シングル押出機を介して溶融共押出して2層の積層されたシートを得た。この際、前記第1樹脂の押出温度は約210℃であり、前記第2樹脂の押出温度は約220℃であった。
【0358】
-段階3:二軸延伸し熱固定して積層体を得る段階-
前記段階2で得た積層されたシートを、約75℃にて縦方向(MD)に約3倍延伸し、約85℃にて横方向(TD)に約3.8倍延伸した後、約140℃にて熱固定した後、約2%弛緩して、約19.98μmの厚さを有する積層体を製造した。
【0359】
(実施例2-2~2-4および2-6)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、最終第1層および第2層の組成を異にしたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0360】
(実施例2-5)
下記表2に示すように、実施例2-3の段階1において、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の代わりに、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(CJ社、韓国)を用い、最終第2層の組成を異にしたことを除いては、実施例2-3と同様の方法で行い、積層体を製造した。
【0361】
(比較例2-1)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、第1層の成分として第1ポリ乳酸(PLA)樹脂のみを用いたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0362】
(比較例2-2)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、最終第1層および第2層の組成を異にしたことを除いては、前記実施例2-1と同様に行い、積層体を製造した。
【0363】
(比較例2-3)
下記表2に示すように、実施例2-1の段階1において、第2層をL-乳酸およびD-乳酸のランダム共重合体の代わりにポリトリエチレンテレフタレート(PTT)を用いたことを除いては、前記実施例2-3と同様に行い、積層体を製造した。
【0364】
【表2】
【0365】
(評価例)
(評価例1:厚さおよび標準偏差)
実施例および比較例で製造されたフィルムおよび積層体のそれぞれの幅全体に対する厚さを測定し、これに対する厚さ偏差を求めた。
【0366】
前記実施例1-1~1-5、および比較例1-1~1-3で製造された二軸延伸フィルムについて、フィルムの厚さd(nm)を電気マイクロメータ(ミリトロン1245D、ファインリューフ社)を用いて幅方向に5cm間隔で厚さを測定した後、厚さ偏差を下記の式3により計算した。
【0367】
一方、前記実施例2-1~2-6、および比較例2-1~2-3で製造された積層体について、積層体の厚さd(nm)を電気マイクロメータ(ミリトロン1245D、ファインリューフ社)を用いて幅方向に5cm間隔で厚さを測定した後、厚さ偏差を下記式3により計算した。
【0368】
<式3>
厚さ偏差=幅方向厚さの最大値-幅方向厚さの最小値
【0369】
(評価例2:引張強度)
ASTM D882に基づいて、フィルムおよび積層体試験片をそれぞれ作製した後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片をASTM D882に基づいてインストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて引張速度200mm/分の速度で25℃の常温にて評価した後、設備に内蔵されたプログラムにより測定し得る。
【0370】
TSMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の引張強度であり、TSTDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の引張強度である。
【0371】
(評価例3:モジュラス)
ASTM D882に基づいて、実施例および比較例で製造された二軸延伸フィルム試験片および積層体試験片をそれぞれ作製した後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、インストロン社の万能試験機(UTM、モデル名5966)を用いて引張速度200mm/分の速度で実験した後、設備に内蔵されたプログラムにより計算されたモジュラス(kgf/mm)値を得た。
【0372】
また、前記二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向(MD)のモジュラスおよび横方向(TD)のモジュラスをそれぞれ測定した。
【0373】
(評価例4:熱収縮率)
実施例および比較例で製造されたフィルムおよび積層体のそれぞれを方向に関係なく長さ150mm、幅1.5cmに切って試験片を作った後、常温における初期長さおよび100℃の熱風オーブンで5分間滞留させた直後の二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の長さを測定し、下記式1-2および式2-2のように算出して熱収縮率をそれぞれ評価した。
【0374】
<式1-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式1-2において、
25は、25℃にて二軸延伸フィルム試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した二軸延伸フィルム試験片の長さ(mm)である。
【0375】
<式2-2>
熱収縮率(S100)={(L25-L100)/L25}×100
前記式2-2において、
25は、25℃にて積層体試験片の初期長さ(mm)であり、
100は、100℃の熱風機で5分間滞留させた直後に測定した積層体試験片の長さ(mm)である。
【0376】
MD100は二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の熱収縮率であり、STD100は二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の熱収縮率である。
【0377】
(評価例5:ヘイズおよび光透過率)
前記実施例および比較例で製造された二軸延伸フィルムおよび積層体のそれぞれについて、ASTM D1003に基づいて、ヘイズメーター(Haze Guard i, BYK-Gardner社)を用いてヘイズおよび光透過率を分析した。
【0378】
(評価例6:騒音度)
二軸延伸フィルムの場合、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計またはそれ以上の騒音計(聴感補正回路:A特性、動特性:速い(fast)モード)を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点(測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に1.0m~3.5m離れた地点)で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を1回測定した。同様の方法により騒音度を各5回測定して平均騒音度(dB)を求めた。
【0379】
一方、積層体の場合は、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計またはそれ以上の騒音計(聴感補正回路:A特性、動特性:速い(fast)モード)を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点(測定地点に高さ1.5mを超える障害物がある場合、障害物から騒音源方向に1.0m~3.5m離れた地点)で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返して最大騒音度を1回測定した。同様の方法により騒音度を各5回測定して平均騒音度(dB)を求めた。
【0380】
(評価例7:ループ剛性(loop stiffness))
ループ剛性は、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片および積層体試験片をそれぞれループ測定装置(Loop Stiffness Tester、東洋精機製作所)に固定してループ中心における荷重を測定した。
【0381】
LSMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向のループ剛性であり、LSTDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向のループ剛性である。
【0382】
(評価例8:柔軟騒音複合指数(LSN))
前記評価例6および7の騒音度およびループ剛性を用いて、下記式1-1で表される二軸延伸フィルムの柔軟騒音複合指数(LSN)を求めた。
【0383】
<式1-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式1-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5m高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの二軸延伸フィルム試験片を1分間120回/分の速度で振る時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の二軸延伸フィルム試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0384】
LSNMDは、二軸延伸フィルムの縦方向の柔軟騒音複合指数であり、LSNTDは、二軸延伸フィルムの横方向の柔軟騒音複合指数である。
【0385】
一方、前記評価例6および7の騒音度およびループ剛性を用いて、下記式2-1で表される積層体の柔軟騒音複合指数(LSN)を求めた。
【0386】
<式2-1>
柔軟騒音複合指数(LSN)=NAVG×LS
前記式2-1において、
前記NAVGは、KS C IEC61672-1で定めたクラス2騒音計を騒音源方向に向けるようにし、地面1.2m~1.5mの高さの地点で、幅21cmおよび長さ29.5cmの積層体試験片を10秒間10回しわくちゃにして広げることを繰り返す時の最大騒音度を各5回測定して算出した平均騒音度(dB)で、単位を除いた数値であり、
前記LSは、ASTM D747に基づいて、幅1.5cmおよび長さ18cmのループ状の積層体試験片をループ測定装置(Loop Stiffness Tester)に固定してループ中心における荷重を測定したループ剛性(gf)で、単位を除いた数値である。
【0387】
LSNMDは、積層体の縦方向の柔軟騒音複合指数であり、LSNTDは、積層体の横方向の柔軟騒音複合指数である。
【0388】
(評価例9:成形指数)
前記評価例2および7の引張強度およびループ剛性を用いて、下記式1-3および下記式2-3で表される二軸延伸フィルムおよび積層体それぞれの成形指数(FI)を求めた。
【0389】
<式1-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式1-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて二軸延伸フィルム試験片を作った後、長さ100mmおよび幅15mmに裁断し、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0390】
<式2-3>
成形指数(FI)=TS/LS
前記式2-3において、
TSは、ASTM D882に基づいて長さ約100mm、幅15mmに裁断して積層体試験片を作った後、チャック間距離が50mmとなるように装着し、前記試験片を万能試験機(UTM)により常温にて測定した引張強度(kgf/mm)で、単位を除いた数値であり、LSは、前記で定義した通りである。
【0391】
FIMDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の縦方向の成形指数であり、FITDは、二軸延伸フィルム試験片または積層体試験片の横方向の成形指数である。
【0392】
【表3】
【0393】
前記表3から分かるように、ポリ乳酸(PLA)および特定含有量範囲のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、柔軟騒音複合指数(LSN)が20以下である実施例の二軸延伸フィルムの場合、優れた強度および柔軟性を同時に有しながらも、熱的特性に優れ、騒音度が改善された。
【0394】
具体的に、実施例1-1~1-5の二軸延伸フィルムは、引張強度が9~25kgf/mmと適正範囲を有するとともに、ループ剛性が0.1~0.23gfと柔軟性に優れている。また、騒音度が86dB以下と低く、100℃の高温においても熱収縮率が15%以下と非常に低いので、機械的物性および熱的特性がいずれも優れていた。
【0395】
一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含まない比較例1-1の二軸延伸フィルムの場合、柔軟騒音複合指数が20を超えることにより、フィルムのループ剛性が増加して柔軟性が減少し、騒音度が増加しており、特に、実施例1-4の二軸延伸フィルムに比べてループ剛性は60%以上増加し、騒音度は10%以上まで増加することを確認した。
【0396】
一方、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を30重量%以上過量で含有した比較例1-2の二軸延伸フィルムの場合、引張強度が約4~6kgf/mmと著しく減少しており、100℃の高温において熱収縮率は17~20%と著しく増加した。また、ヘイズも14%以上に増加し、光透過率も約85%と光学特性が著しく低下した。
【0397】
さらに、比較例1-3の一軸延伸フィルムの場合、同一含有量の非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例1-3の二軸延伸フィルムに比べて、厚さ偏差が11.3μmと250%以上増加しており、延伸していない横方向(TD)の強度が著しく低下しており、熱収縮率も40%以上増加した。
【0398】
一方、非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例1-1~1-4の二軸延伸フィルムは、ヘイズが6.8%以下と低く、光透過率が90%以上で優れている反面、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いた実施例1-5の二軸延伸フィルムの場合は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を同一含有量で含む実施例1-3の二軸延伸フィルムに比べてヘイズが増加し、光透過率が低下して光学特性が低下した。
【0399】
【表4】
【0400】
表4から分かるように、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含み、特定含有量範囲のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とを含む実施例の積層体の場合、優れた強度および柔軟性を同時に有するとともに、熱的特性に優れ、騒音度が改善されており、第1層および第2層の層間相溶性が良いので、層間接着特性も優れていた。
【0401】
具体的に、実施例2-1~2-6の積層体は、騒音度が86dB以下と低く、ループ剛性が0.1~0.2gfであって柔軟性に非常に優れている。また、縦方向(MD)の引張強度(TSMD)が7~14kgf/mmと適正範囲を有すると、100℃の高温においても熱収縮率が15%以下と非常に低く、ヘイズ10%以下および光透過率90%以上と、機械的物性、熱的特性および光学特性がいずれも優れていた。
【0402】
一方、第1層にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含まない比較例2-1の積層体の場合、積層体のループ剛性が増加して柔軟性が減少しており、騒音度が増加し、特に、第2層の組成が同一の実施例2-1の積層体に比べてループ剛性および騒音度が増加することを確認した。
【0403】
一方、第1層にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を30重量%以上と過剰含有した比較例2-2の積層体の場合、積層体の厚さ偏差が増加し、縦方向の引張強度(TSMD)および横方向の引張強度(TSTD)がそれぞれ約6.4kgf/mmおよび7.8kgf/mmと減少しており、100℃の高温において熱収縮率は15.3~16.8%と著しく増加しており、光学特性も低下した。
【0404】
さらには、第2層において第2ポリ乳酸の代わりにポリトリエチレンテレフタレート(PTT)を用いた比較例2-3の積層体の場合、延伸時第1層および第2層の相溶性不足のため層間接着特性が足りず、層間剥離(delamination)により延伸フィルム(フィルム化)作製が不可能であった。
【0405】
これに対し、実施例2-1~2-6の積層剤は、第1ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む第1層と、前記第1層の一面に配置され、第2ポリ乳酸(PLA)を含む第2層とで構成されることにより、相溶性が良いので延伸後も第1層および第2層の接着特性に優れている。
【0406】
一方、結晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を用いた実施例2-5の積層体の場合、比較例2-1~2-3の積層体に比べて熱収縮率が著しく減少し、工程において押出加工のための乾燥が容易で、押出加工時の気泡発生が少ない利点はあるものの、第1層に非晶性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む実施例2-1~2-4の積層体に比べてモジュラスおよび騒音度がやや増加しました。
【0407】
さらには、第2層において、L-PLAおよびD-PLAの重量比を62:38にD-PLAの含有量を増加した実施例2-6の積層体の場合、比較例2-1~2-3の積層体に比べて機械的物性、熱的特性、光学特性、騒音度、および柔軟性等は改善されたものの、第1層の組成が同一の実施例2-3の積層体に比べ相対的に積層体の厚さ偏差が増加し、熱収縮率が増加した。また、フィルム生産および加工の際、巻取性が不十分なため、加工性および生産性が多少低下することを確認した。
【符号の説明】
【0408】
1:積層体
11:第2層
12:第1層
13:コロナ層
14:コーティング層
【国際調査報告】