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特表2024-511757定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生させるための方法
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  • 特表-定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/14 20060101AFI20240308BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20240308BHJP
   F23L 7/00 20060101ALI20240308BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240308BHJP
   F01K 7/38 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F22B1/14
F22B1/18 D
F23L7/00 A
F23K5/00 302
F01K7/38 102Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557123
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022055451
(87)【国際公開番号】W WO2022194564
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021202617.6
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】バーガード,トバイアス フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】コルナック,フランク
(72)【発明者】
【氏名】デェリング,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】エッペンドルファー,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ライディンガー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ニッケ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ロレ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン,インゴ
【テーマコード(参考)】
3K023
3K068
【Fターム(参考)】
3K023JA01
3K068AA05
3K068BB02
3K068CA01
(57)【要約】
本発明は定められたパラメータを有する水蒸気を発生するための方法に関するものである。本方法は、以下の工程を特徴とする、すなわち、-蒸気発生器(1)内で水を加えながら、圧力をかけて水素を酸素と内部燃焼させる、及び、生蒸気の生成する、工程、-蒸気発生器(1)で生成された生蒸気を蒸気タービン(2)へ供給する工程、-水蒸気タービン(2)内の膨張区間に沿って生蒸気を膨張させる工程、-定められた蒸気パラメータを用いて、膨張区間に沿って中間蒸気を抽出する工程および/または膨張区間の終端で廃蒸気を抽出する工程、-抽出された中間蒸気および/または廃蒸気を次の工業プロセスへ供給する工程、を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法であって、以下の工程、すなわち、
- 蒸気発生器(1)内で水を加えながら、圧力をかけて水素を酸素と内部燃焼させる、及び、生蒸気を生成する、工程、
- 前記蒸気発生器(1)で生成された前記生蒸気を蒸気タービン(2)へ供給する工程、
- 前記蒸気タービン(2)内の膨張区間に沿って前記生蒸気を膨張させる工程、
- 定められた蒸気パラメータを用いて、前記膨張区間に沿って中間蒸気を抽出する工程および/または前記膨張区間の終端で廃蒸気を抽出する工程、及び、
- 抽出された前記中間蒸気および/または前記廃蒸気を次の工業プロセスへの供給する工程、
を特徴とする、
水蒸気を発生するための方法。
【請求項2】
燃焼に利用される水素と酸素が再生エネルギーを利用して生成されることを特徴とする、
請求項1記載の定められたの蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【請求項3】
前記生蒸気の少なくとも一部が、前記蒸気タービン(2)に入る前に抽出され、工業プロセスに供給されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【請求項4】
前記蒸気タービン(1)によって生成される機械エネルギーが、機械を駆動するために、または、発電機(3)を利用して電流を生成するために、利用されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載された定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気はしばしば各種のプロセス並びに熱供給において使用されるが、以下では一般的な意味での工業プロセスが対象とされる。典型的な適用分野は、例えば、調理プロセス、蒸発濃縮プロセスまたは蒸留プロセスのための、熱の供給であり、さらには、化学工業における吸熱反応での乾燥プロセスまたは熱の供給も、水蒸気を用いて実現され得る。工業プロセスで使用される水蒸気は、しばしばプロセス蒸気とも称される。
【0003】
工業プロセス用水蒸気の発生は、一方では発生に必要な設備に高い要求が課せられ、他方では主としてエネルギー消費にも影響を与えている。従来のボイラー(および場合によっては蒸気タービン)を用いた旧来の水蒸気発生は、その運転上のフレキシビリティ(負荷勾配、起動時間など)に限界がある。さらにボイラーの使用は高い投資コストを伴う。ボイラーの燃焼には一般に化石エネルギー担体が用いられ、これは設備の排出物に悪影響を及ぼし、またしたがって生態学的および経営的観点にも悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、定められた蒸気パラメータを有する水蒸気の供給における従来技術の欠点を回避し、水蒸気の供給のためのより効果的なプロセスを示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項1の特徴によって解決される。
【0006】
個々にまたは互いに組み合わせて使用することが可能である本発明の構成は、従属請求項の対象である。
【0007】
定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生させるための本発明による方法は、以下の方法工程、すなわち、
- 蒸気発生器内で(凝集状態に無関係に)水を添加しながら、圧力をかけて、水素を酸素と内部燃焼させる、および、生蒸気を発生させる、工程、
- 蒸気発生器内で生成された生蒸気を蒸気タービンへ供給する工程、
- 蒸気タービン内の膨張区間に沿って生蒸気を膨張させる工程、
- 定められた蒸気パラメータを用いて、膨張区間に沿って中間蒸気を抽出する工程および/または膨張区間の終端で廃蒸気を抽出する工程、
- 抽出された中間蒸気および/または廃蒸気を次の工業プロセスへ供給する工程、
を特徴とする。
【0008】
従来のボイラーを用いた典型的な蒸気発生とは異なり、著しく高い運転フレキシビリティ(負荷勾配、起動時間など)がもたらされる。特に、水素と酸素との内部燃焼により、極めて短い起動時間がもたらされる。(凝集状態とは無関係に)水を添加することにより、既に、生蒸気の(事前の)調整が行われ得る。蒸気タービンにおける生蒸気の供給および緩和は、定められたそして場合によっては異なる蒸気パラメータを有する水蒸気を供給することを、可能にする。このため、適切な蒸気パラメータを有する水蒸気が、蒸気タービン内部の膨張区間に沿って1回以上の中間蒸気抽出によって抽出され得て、それぞれの工業プロセスに供給され得る。プロセス蒸気パラメータの調整手段としての蒸気タービンに対する代替として又はそれに追加して、例えばスロットルのような他の技術装置が、(例えば水注入または他の冷却と組み合わせて)使用され得る。
【0009】
本発明の一実施形態は、燃焼に利用される水素および酸素が再生エネルギー(英:regenerative energy、独:regenerative Energie)を使用して生成されることを企図している。これにより、プロセス蒸気の発生を完全にエミッションフリーで行うことができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、生蒸気の少なくとも一部が蒸気タービンに入る前に抽出され、工業プロセスに直接供給されることを企図している。水の添加によって、水素と酸素との内部燃焼において発生される生蒸気の蒸気パラメータは、生蒸気の少なくとも一部が工業プロセスに直接供給され得るように、影響され得る。より低い蒸気パラメータを有する更なる水蒸気が必要とされる場合には、これは、蒸気タービン内で生蒸気の更なる部分の膨張によって、もたらされ得る。
【0011】
本発明の別の実施形態は、蒸気タービンによって生成された機械エネルギーが、機械の駆動および/または発電機を利用した電気エネルギーの生成、に利用されることを企図している。コジェネレーション(英:combined heat and power、独:Kraft-Waerme-Kopplung)とも称される蒸気の二重利用によって、格別に高い全体効率が達成され得て、それは本発明による方法の経済性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のさらなる利点は図面を参照して以下に説明される。図面は本発明による方法を実施するのに適した設備を示す。図面はこの方法を説明するために必要な主要構成要素のみを示し、縮尺通りの表示ではない。
【0013】
図1図1は、本発明の方法を実施するための設備の主要構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による方法を実施するための設備は、主として、蒸気発生器1とこの蒸気発生器に下流で接続された蒸気タービン2と、を備える。
【0015】
本発明による方法では、蒸気の発生は、内部燃焼によって行われ、通常のように、例えば従来のボイラーを使用する際のような(部分的に外部燃焼からの)純粋な熱供給によって、行われるのではない。
【0016】
内部燃焼は、その際、クリーン蒸気発生器(CSG:Clean Steam Generator)と称される蒸気発生器1内で、行われる。CSG1は、圧力をかけて水素Hと酸素Oの内部燃焼させること及び(凝集状態とは無関係に)水Hを添加すること、を特徴とするもので、定められた蒸気パラメータ(圧力、温度など)を有し定められた量および純度を有する、生蒸気SLが生じる。
【0017】
生蒸気SLは、その後、CSGの下流に接続された蒸気タービン2に供給される。蒸気タービン入口4から蒸気タービン出口5までに延在する膨張区間に沿って、生蒸気は、より低い蒸気パラメータへと緩和される。それぞれの工業プロセスのためにどのような蒸気パラメータが必要とされているかに応じて、蒸気は、膨張区間に沿って1つ以上の中間蒸気抽出口を介して、抽出され得て、プロセス蒸気SP2としてそれぞれの工業プロセスに供給され得る。蒸気の残部は膨張区間に沿って完全に緩和され、廃蒸気Sとして蒸気タービン出口5で蒸気タービンを出る。廃蒸気は、その後、復水器に供給され得る、または、プロセス水蒸気SP3として別の工業的プロセスに供給され得る。蒸気が膨張区間の端部で廃蒸気として復水器に供給されるか又はプロセス蒸気として工業プロセスに供給されるかに応じて、蒸気タービン1は(抽出)凝縮タービンとして又は(抽出気)背圧タービンとして構成されている。
【0018】
工業プロセスが非常に高い蒸気パラメータを必要とする場合、生蒸気の一部または全体が、すでに蒸気タービンの前で転向され得て、プロセス蒸気SP1として工業プロセスに直接的に供給され得る。さまざまな工業プロセスへの水蒸気SP1-SP3の分配は、時間的に、および、各蒸気量によって、変化してもよい。
【0019】
蒸気タービンは、実施例においては、電気エネルギーを生成するための発電機3を駆動しているが、代替的に、蒸気タービンは、作業機械(コンプレッサ、ポンプなど)を駆動してもよい。
【0020】
蒸気タービンは、単段にまたは多段に構成されていてもよく、さらには1つ以上のハウジングから構成されていてもよい。さらに、生蒸気は複数の蒸気タービンに分配され、緩和され、異なる工業プロセスに供給され、てもよい。種々の蒸気タービンおよびハウジングが、同一または異なる回転数で作動され得て、またそれらは必ずしも一つの軸を介して互いに機械的に連結させる必要はなく(複数の発電機)、またそれらは必ずしも同じ目的を果たす必要もない(例えば駆動機の機械的駆動部としての高圧タービン、発電機の駆動部としての低圧タービン)。
【0021】
燃焼に利用される水素および酸素は、好ましくは再生エネルギーを使用して生成され、その後さらなる使用のためにCSGに貯蔵され得る。水素および酸素の再生可能な生成により、本発明による方法は、プロセス蒸気を生成するため、CO2フリーで実施することができる。
【0022】
水蒸気を生成させるための本発明による方法は、燃料の有効利用に関しても、運転のフレキシビリティに関しても(CSGは従来のボイラーよりも高い負荷勾配で運転できる)、従来の方法よりも顕著な利点を提供する。
【符号の説明】
【0023】
1 蒸気発生器
2 蒸気タービン
3 発電機
4 蒸気タービン入口
5 蒸気タービン出口
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法であって、以下の工程、すなわち、
- 蒸気発生器(1)内で水を加えながら、圧力をかけて水素を酸素と内部燃焼させる、及び、生蒸気を生成する、工程、
- 前記蒸気発生器(1)で生成された前記生蒸気を蒸気タービン(2)へ供給する工程、
- 前記蒸気タービン(2)内の膨張区間に沿って前記生蒸気を膨張させる工程、
- 定められた蒸気パラメータを用いて、前記膨張区間に沿って中間蒸気を抽出する工程および/または前記膨張区間の終端で廃蒸気を抽出する工程、及び、
- 抽出された前記中間蒸気および/または前記廃蒸気を次の工業プロセスへの供給する工程、
を特徴とする、
水蒸気を発生するための方法。
【請求項2】
燃焼に利用される水素と酸素が再生エネルギーを利用して生成されることを特徴とする、
請求項1記載の定められたの蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【請求項3】
前記生蒸気の少なくとも一部が、前記蒸気タービン(2)に入る前に抽出され、前記次の工業プロセス又は別の工業プロセスに供給されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【請求項4】
前記蒸気タービン(1)によって生成される機械エネルギーが、機械を駆動するために、または、発電機(3)を利用して電流を生成するために、利用されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の定められた蒸気パラメータを有する水蒸気を発生するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
内部燃焼は、その際、クリーン蒸気発生器(CSG:Clean Steam Generator)と称される蒸気発生器1内で、行われる。CSG1は、圧力をかけて水素Hと酸素Oの内部燃焼させること及び(凝集状態とは無関係に)水H を添加すること、を特徴とするもので、定められた蒸気パラメータ(圧力、温度など)を有し定められた量および純度を有する、生蒸気SLが生じる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
生蒸気SLは、その後、CSGの下流に接続された蒸気タービン2に供給される。蒸気タービン入口4から蒸気タービン出口5までに延在する膨張区間に沿って、生蒸気は、より低い蒸気パラメータへと緩和される。それぞれの工業プロセスのためにどのような蒸気パラメータが必要とされているかに応じて、蒸気は、膨張区間に沿って1つ以上の中間蒸気抽出口を介して、抽出され得て、プロセス蒸気SP2としてそれぞれの工業プロセスに供給され得る。蒸気の残部は膨張区間に沿って完全に緩和され、廃蒸気Sとして蒸気タービン出口5で蒸気タービンを出る。廃蒸気は、その後、復水器に供給され得る、または、プロセス水蒸気SP3として別の工業的プロセスに供給され得る。蒸気が膨張区間の端部で廃蒸気として復水器に供給されるか又はプロセス蒸気として工業プロセスに供給されるかに応じて、蒸気タービンは(抽出)凝縮タービンとして又は(抽出気)背圧タービンとして構成されている。
【国際調査報告】