(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】熱放散装置及び制御装置アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240308BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 Z
H05K7/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557149
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022056346
(87)【国際公開番号】W WO2022194705
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021202654.0
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】イウリアン マーガ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ツンデル
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル マウル
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ゲーバース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー カイ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322EA10
5E322FA09
5F136BB18
5F136BC04
5F136DA27
5F136DA44
(57)【要約】
本発明は、熱放散装置(10)と、このような熱放散装置(10)を備えた車両における制御装置アセンブリとに関し、熱放散装置(10)は、少なくとも1つの側が開いている収容空間(11)と、収容空間(11)内に配置された、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)とを含み、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)と、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)とを含み、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)が、収容空間(11)の底部(11.1)の内側表面に当接するように、かつ、少なくとも、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)が、収容空間(11)のうちの、底部(11.1)とは反対側に位置する開いた側において収容空間(11)から部分的に突出するように、収容空間(11)内に配置されており、収容空間(11)の底部(11.1)の外側表面は、熱源(7)又はヒートシンク(9)のための剛性の第1のコンタクト面を形成しており、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)は、ヒートシンク(9)又は熱源(7)のための柔軟な第2のコンタクト面を形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における制御装置アセンブリ(1)のための熱放散装置(10)であって、少なくとも1つの側が開いている収容空間(11)と、前記収容空間(11)内に配置された、少なくとも1つのモザイクセグメント(14)とを備えた熱放散装置(10)において、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)と、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)とを含み、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)が、前記収容空間(11)の底部(11.1)の内側表面に当接するように、かつ、少なくとも、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)が、前記収容空間(11)のうちの、前記底部(11.1)とは反対側に位置する開いた側において前記収容空間(11)から部分的に突出するように、
前記収容空間(11)内に配置されており、
前記収容空間(11)の前記底部(11.1)の外側表面は、熱源(7)又はヒートシンク(9)のための剛性の第1のコンタクト面を形成しており、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)は、前記ヒートシンク(9)又は前記熱源(7)のための柔軟な第2のコンタクト面を形成している、
熱放散装置(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、前記収容空間(11)の前記内側表面に分離不能に接続されている、
請求項1に記載の熱放散装置(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、複数のパーツから構成されている、
請求項1又は2に記載の熱放散装置(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)は、ギャップ充填材(16A)として構成されており、
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)の前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)は、前記ギャップ充填材(16A)に接着された金属パッド(18A)として構成されている、
請求項3に記載の熱放散装置(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、単一のパーツから構成されている、
請求項1又は2に記載の熱放散装置(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)を形成している少なくとも1つのばね要素(16B)を含み、
前記少なくとも1つのばね要素(16B)のばね端部(18B)が、前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)を形成している、
請求項5に記載の熱放散装置(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)を形成している金属発泡体部材(16C)として構成されており、
前記金属発泡体部材(16C)のうちの、前記収容空間(11)の前記底部(11.1)とは反対側を向いた載置面(18C)が、前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)を形成している、
請求項5に記載の熱放散装置(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)を形成している金属ウール部材(16D)として構成されており、
前記金属ウール部材(16D)のうちの、前記収容空間(11)の前記底部(11.1)とは反対側を向いた載置面(18C)が、前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)を形成している、
請求項5に記載の熱放散装置(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、薄板構造体として構成されており、
前記薄板構造体は、ベースプレートから突出している複数の薄板を含み、
前記複数の薄板が、前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)を形成しており、
前記ベースプレートは、前記収容空間(11)の前記底部(11.1)の前記内側表面に当接しており、
前記薄板のうちの、前記ベースプレートとは反対側を向いた縁部が、前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)を形成している、
請求項5に記載の熱放散装置(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのモザイクセグメント(14)は、金属突起フィルムとして構成されており、
前記金属突起フィルムは、ベース面から突出している複数の突起を含み、
前記複数の突起が、前記熱伝導性かつ弾性の補償要素(16)を形成しており、
前記金属突起フィルムの前記ベース面は、前記収容空間(11)の前記底部(11.1)の前記内側表面に当接しており、
前記ベースプレートとは反対側を向いた突起が、前記熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域(18)を形成している、
請求項5に記載の熱放散装置(10)。
【請求項11】
特に車両のための制御装置アセンブリ(1)であって、
前記制御装置アセンブリ(1)は、制御装置(3)と、冷却装置(9A)として構成されたヒートシンク(9)とを含み、
前記制御装置(3)は、ハウジング(4)と、前記ハウジング(4)の内部に配置された少なくとも1つの熱源(7)とを含み、
前記制御装置(3)は、前記冷却装置(9A)と分離可能に接続されており、
前記少なくとも1つの熱源(7)は、第1の熱界面(8)を介して前記制御装置(3)の前記ハウジング(4)に熱的に結合されており、
前記制御装置(3)と前記冷却装置(9A)との間には、少なくとも1つの熱放散装置(10)が配置されており、
前記熱放散装置(10)は、前記ハウジング(4)と前記冷却装置(9A)との間に第2の熱界面(12)を形成し、前記少なくとも1つの熱源(7)によって生成された熱を前記冷却装置(9A)に放散する、
制御装置アセンブリ(1)において、
前記少なくとも1つの熱放散装置(10)は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱放散装置(10)のように構成されており、
これにより、前記少なくとも1つの熱源(7)によって生成された熱は、前記第1の熱界面(8)を介して、前記制御装置(3)の前記ハウジング(4)を介して、かつ、前記第2の熱界面(12)を形成している少なくとも1つのモザイクセグメント(14)を介して、前記冷却装置(9A)に直接的に熱放散される
ことを特徴とする制御装置アセンブリ(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの熱放散装置(10)は、複数のモザイクセグメント(14)を有し、前記制御装置(3)の前記ハウジングに又は前記冷却装置(9A)に大面積で形成されている、
請求項11に記載の制御装置アセンブリ(1)。
【請求項13】
前記複数の熱放散装置(10)は、前記制御装置(3)の前記ハウジングに又は前記冷却装置(9A)に部分的に分散されて形成されている、
請求項11に記載の制御装置アセンブリ(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの熱放散装置(10)の前記収容空間(11)は、前記制御装置(3)の前記ハウジング(4)の前記第1の熱界面(8)の領域に設けられた凹部(5.2)内に形成されている、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の制御装置アセンブリ(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの熱放散装置(10)の前記収容空間(11)は、前記冷却装置(9A)のうちの、前記制御装置(3)の方を向いた表面に設けられた凹部(5.2)内に形成されており、
前記凹部(5.2)は、前記制御装置アセンブリ(1)が組み立てられた状態で、前記制御装置(3)の前記ハウジング(4)における前記第1の熱界面(8)の領域に配置されている、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の制御装置アセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両における制御装置アセンブリのための熱放散装置に関する。さらに、本発明は、このような熱放散装置を備えた、特に車両のための制御装置アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、例えば制御装置、パワー終段等のような電気モジュール、又は、例えばパワー半導体、マイクロコントローラ等のような個々の電気部品を、所定の温度範囲内で動作させるための種々異なる放熱技術が公知である。この場合、熱源であるコンポーネントと、例えば冷却装置のようなヒートシンクとの熱的結合が大きな影響を有する。
図7に示されている制御装置アセンブリ100においては、制御装置アセンブリ100が、制御装置3と、冷却装置9Aとして構成されたヒートシンク9とを備え、制御装置3は、ハウジング4と、例えばプリント基板6上に配置された電気モジュール7Aのような、ハウジング4の内部に配置された少なくとも1つの熱源7とを含み、制御装置3は、冷却装置9Aと分離可能に接続されている。この場合、少なくとも1つの熱源7は、第1の熱界面8を介して制御装置3のハウジング4に熱的に結合されている。第1の熱界面8は、例えば、熱界面材料(TIM)とも称される熱伝導材料8Aから構成可能である。したがって、例えば、好ましくは熱伝導性のエラストマからなるいわゆるギャップ充填材が、熱源7と、ハウジング4の底部5に形成された熱放散ドーム5.1との間にTIM8Aとして配置可能であり、第1の熱界面8を形成することができる。冷却装置9Aの外見的に平坦に見える表面も、制御装置のハウジング4のうちの、ここでは冷却装置9Aの方を向いた底部5も、いずれも厳密に平坦であるわけではないので、冷却装置9Aに制御装置3を組み付ける際には、対応する取り付け領域におけるわずかな載置点を除いて空隙LSが生じ、この空隙LSは、熱伝導率がわずかであることに起因して良好な放熱を阻止する。
図7から見て取れるように、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の熱放散経路WAPは、第1の熱放散経路WAP1に分散されており、第1の熱放散経路WAP1は、熱源によって生成された熱の一部を、制御装置3のハウジング4の底部5と、取り付け領域とを介して冷却装置9Aに放散する。第2の熱放散経路WAP2は、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の一部を、放射熱及び熱伝導として、空隙LSにわたる空気分子を介して冷却装置9Aに放散する。従来技術から、制御装置3と冷却装置9Aとの間においても改善された熱伝導率を達成するために、空隙LSを橋渡しする目的で、例えば熱伝導ペースト又はギャップ充填材のような熱伝導材料を使用することが公知である。しかしながら、このような解決手段は、制御ユニット3の簡単な交換を阻止する。なぜなら、制御ユニット3を取り外す際に、使用されている熱伝導材料の残留物が冷却装置9A上に残存してしまい、このような残留物を、洗浄プロセスによって手間をかけて先ずは除去しなければならないからである。さらに、交換する制御装置を取り付ける際に、対応する熱伝導材料を設ける必要があり、要求が多くて検査が困難である気泡のない被着を実現する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の開示
独立請求項1の特徴を備えた熱放散装置と、独立請求項11の特徴を備えた制御装置アセンブリとは、熱源とヒートシンクとの間の凹凸を補償することができるという利点をそれぞれ有する。この場合、モザイクセグメントが、圧縮可能な熱伝導性かつ弾性の補償要素に基づいて表面の凹凸に適合する。これにより、凹凸を有する接合された表面同士も、大面積でコンタクトさせられ、ひいては良好な熱伝達を有し得る。さらに、個々のモザイクセグメントの当接によるだけで、空隙内の個々の汚染粒子を阻止することができるので、汚染に対して高いロバスト性が得られる。これにより、全ての他のモザイクセグメントの良好な熱伝達がさらに保証される。モザイクセグメントの中間空間は、「ボリュームバッファ」として機能することができる。粒子又は局所的な凹凸が存在する場合には、これらの空間が、例えば、モザイクセグメントを対応する収容空間に保持する接着剤のための体積補償として機能することができる。改善された熱伝達により、熱源である電気部品の寿命を延長させることができる。さらに、比較的劣った熱伝導特性を有するより有利な材料を、ハウジングのために使用することができる。さらに、許容誤差の範囲が拡大されていることに基づいて、より有利な製造方法を使用することができる。個々のモザイクセグメントの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域によって、これらのモザイクセグメントを、ヒートシンク又は熱源の対応する表面から簡単に再び取り上げることができる。
【0004】
本発明に係る熱放散装置の実施形態によれば、冷却面に対する凸凹の誤差を補償することが可能となり、表面が凸凹であっても、また、表面同士の間に粒子が存在していても、熱源と冷却装置との間に残留する空隙が生じることなく良好な熱伝達を実施することが可能となる。
【0005】
本発明の実施形態は、特に車両における制御装置アセンブリのための熱放散装置であって、熱放散装置は、少なくとも1つの側が開いている収容空間と、収容空間内に配置された、少なくとも1つのモザイクセグメントとを備え、少なくとも1つのモザイクセグメントは、熱伝導性かつ弾性の補償要素と、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域とを含む、熱放散装置を提供する。少なくとも1つのモザイクセグメントは、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性かつ弾性の補償要素が、収容空間の底部の内側表面に当接するように、かつ、少なくとも、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域が、収容空間のうちの、底部とは反対側に位置する開いた側において収容空間から部分的に突出するように、収容空間内に配置されている。この場合、収容空間の底部の外側表面は、熱源又はヒートシンクのための剛性の第1のコンタクト面を形成しており、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域は、ヒートシンク又は熱源のための柔軟な第2のコンタクト面を形成している。
【0006】
さらに、特に車両のための制御装置アセンブリであって、制御装置アセンブリは、制御装置と、冷却装置として構成されたヒートシンクとを備え、制御装置は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された少なくとも1つの熱源とを含む、制御装置アセンブリが提案される。制御装置は、冷却装置と分離可能に接続されており、少なくとも1つの熱源は、第1の熱界面を介して制御装置のハウジングに熱的に結合されている。制御装置と冷却装置との間には、少なくとも1つの本発明に係る熱放散装置が配置されており、熱放散装置は、ハウジングと冷却装置との間に第2の熱界面を形成し、少なくとも1つの熱源によって生成された熱を冷却装置に放散する。この場合、少なくとも1つの熱源によって生成された熱は、第1の熱界面を介して、制御装置のハウジングを介して、かつ、第2の熱界面を形成している少なくとも1つのモザイクセグメントを介して冷却装置に直接的に熱放散される。
【0007】
従属請求項に記載されている手段及び発展形態により、独立請求項1に記載されている熱放散装置、及び、独立請求項11に記載されている制御装置アセンブリの有利な改善が可能である。
【0008】
少なくとも1つのモザイクセグメントが、収容空間の内側表面に分離不能に接続されていることが特に有利である。少なくとも1つのモザイクセグメントは、例えば、接着、溶接、鑞接、クランプ、リベット留めによって収容空間の内側表面に接続可能である。
【0009】
熱放散装置の特に有利な実施形態においては、少なくとも1つのモザイクセグメントは、複数のパーツから構成可能である。この場合、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性かつ弾性の補償要素は、好ましくは、例えば1mm乃至5mmの厚さを有するギャップ充填材として構成可能である。少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域は、好ましくは、ギャップ充填材に接着可能な金属パッドとして構成可能である。モザイクセグメントの金属パッドは、例えば打ち抜き部材又はレーザー切断部材として製造可能であり、例えば5mm乃至20mmの間の辺長さと、0.1mm乃至1.5mmの範囲内の厚さとを有し得る。したがって、幾何形状的な高自由度が得られ、これにより、金属パッドを、個々のモザイクセグメントの幾何形状及び材料選択と、冷却面全体に対する面積割合とに関して簡単に要件に適合させることができる。金属パッドは、例えば、アルミニウム、銅、鋼、又は、他の適当な金属から製造可能である。ギャップ充填材は、個々の金属パッドによって広範囲に覆われ、金属同士の間には接着構造が生じていないので、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を、冷却装置又は制御装置ハウジングの金属表面から容易に除去することができる。したがって、例えば、複数の金属パッドが存在する場合には、ギャップ充填材を、収容空間の内側表面に大面積で接着させることができる。次いで、モザイクセグメントの個々の金属パッドを、被着されたギャップ充填材に接着させることができる。このことはつまり、複数のモザイクセグメントが、1つの共通の熱伝導性かつ弾性の補償要素を有し得るということを意味する。
【0010】
熱放散装置の代替的な実施形態においては、少なくとも1つのモザイクセグメントは、単一のパーツから構成可能である。したがって、少なくとも1つのモザイクセグメントは、熱伝導性かつ弾性の補償要素を形成している少なくとも1つのばね要素を含み得る。この場合、少なくとも1つのばね要素のばね端部が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を形成することができる。少なくとも1つのばね要素は、例えば、銅、鋼、又は、他の適当な金属から製造可能であり、収容空間の内側表面に溶接又はリベット留め可能である。少なくとも1つのばね要素と、冷却装置又は制御装置ハウジングの金属表面との間には接着構造が生じていないので、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を、対応する表面から容易に再び除去することができる。
【0011】
熱放散装置のさらなる有利な実施形態においては、少なくとも1つのモザイクセグメントは、熱伝導性かつ弾性の補償要素を形成している金属発泡体部材として構成可能である。この場合、金属発泡体部材のうちの、収容空間の底部とは反対側を向いた載置面が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を形成することができる。金属発泡体部材は、例えば銅又は他の適当な金属から製造可能であり、収容空間の内側表面に接着、溶接、鑞接又はクランプ可能である。代替的に、少なくとも1つのモザイクセグメントは、熱伝導性かつ弾性の補償要素を形成している金属ウール部材として構成可能である。この場合、金属ウール部材のうちの、収容空間の底部とは反対側を向いた載置面が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を形成することができる。金属ウール部材は、例えば、銅、鋼、又は、他の適当な金属から製造可能であり、収容空間の内側表面に接着、溶接又は鑞接可能である。金属発泡体部材又は金属ウール部材と、冷却装置又は制御装置ハウジングの金属表面との間には接着構造が生じていないので、対応する熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を、対応する表面から容易に再び除去することができる。
【0012】
熱放散装置のさらなる代替的な実施形態においては、少なくとも1つのモザイクセグメントは、「スカイブドフィン(Skived Fins)」とも称される薄板構造体として構成可能であり、薄板構造体は、ベースプレートから突出している複数の薄板を含み、複数の薄板が、熱伝導性かつ弾性の補償要素を形成している。この場合、ベースプレートは、収容空間の底部の内側表面に当接可能であり、薄板のうちの、ベースプレートとは反対側を向いた縁部が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を形成することができる。さらなる代替として、少なくとも1つのモザイクセグメントは、金属突起フィルムとして構成可能であり、金属突起フィルムは、ベース面から突出している複数の突起を含み、複数の突起が、熱伝導性かつ弾性の補償要素を形成している。この場合、金属突起フィルムのベース面は、収容空間の底部の内側表面に当接可能であり、かつ、接着又は溶接可能である。ベースプレートとは反対側を向いた突起が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域を形成することができる。
【0013】
制御装置アセンブリの有利な実施形態においては、少なくとも1つの熱放散装置は、複数のモザイクセグメントを有することができ、制御装置のハウジングに又は冷却装置に大面積で形成可能である。これにより、例えばパワーモジュールの金属製のベース面を、冷却装置の対応する表面に大面積で熱的に結合することができる。冷却装置は、例えば、水冷却部を備えた金属プレートを有し得る。代替的に、複数の熱放散装置は、制御装置のハウジングに又は冷却装置に部分的に分散されて形成可能である。これにより、いわゆる「ホットスポット」に配置された、熱源である電気モジュールを所期のように冷却することができる。
【0014】
制御装置アセンブリのさらなる有利な実施形態においては、少なくとも1つの熱放散装置の収容空間は、制御装置のハウジングの第1の熱界面の領域に設けられた凹部内に形成可能である。代替的に、少なくとも1つの熱放散装置の収容空間は、冷却装置のうちの、制御装置の方を向いた表面に設けられた凹部内に形成可能であり、凹部は、制御装置アセンブリが組み立てられた状態で、制御装置のハウジングにおける第1の熱界面の領域に配置されている。
【0015】
本発明の実施例が図面に示されており、以下の記載においてより詳細に説明される。図面において、同一又は類似の機能を実施するコンポーネント又は要素には、同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る熱放散装置の第1の実施例を備えた、特に車両における本発明に係る制御装置アセンブリの第1の実施例の一部の概略断面図である。
【
図2】本発明に係る熱放散装置の第2の実施例を備えた、特に車両における本発明に係る制御装置アセンブリの第2の実施例の一部の概略断面図である。
【
図3】本発明に係る熱放散装置の第3の実施例を備えた、特に車両における本発明に係る制御装置アセンブリの第3の実施例の一部の概略断面図である。
【
図4】本発明に係る熱放散装置の第4の実施例を備えた、特に車両における本発明に係る制御装置アセンブリの第4の実施例の一部の概略断面図である。
【
図5】本発明に係る制御装置アセンブリのための制御装置のハウジングの底部の概略図である。
【
図6】本発明に係る熱放散装置の第5の実施例と、
図5の制御装置とを備えた、特に車両における本発明に係る制御装置アセンブリの第5の実施例の一部の概略断面図である。
【
図7】本発明に係る熱放散装置を有していない、特に車両における制御装置アセンブリの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施形態
図1乃至
図6から見て取れるように、特に車両のための本発明に係る制御装置アセンブリ1,1A,1B,1C,1D,1Eの図示の実施例は、制御装置3,3A,3Bと、冷却装置9Aとして構成されたヒートシンク9とをそれぞれ含み、制御装置3,3A,3Bは、ハウジング4と、ハウジング4の内部に配置された少なくとも1つの熱源7とを含む。制御装置3,3A,3Bは、冷却装置9Aと分離可能に接続されている。少なくとも1つの熱源7は、第1の熱界面8を介して制御装置3のハウジング4に熱的に結合されている。さらに、制御装置3,3A,3Bと冷却装置9Aとの間には、本発明に係る少なくとも1つの熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eが配置されており、熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eは、ハウジング4と冷却装置9Aとの間に第2の熱界面12を形成し、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱を冷却装置9Aに放散する。この場合、少なくとも1つの熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eにより、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱は、第1の熱界面8を介して、制御装置3のハウジング4を介して、かつ、第2の熱界面12を介して冷却装置9Aに直接的に熱放散される。
【0018】
図示の実施例においては、冷却装置9Aは、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱を排出するために、図示されていない複数の通路を備えた金属プレートを含み、これらの通路を通して水又は他の適当な冷却剤が導かれる。
【0019】
図1乃至
図6からさらに見て取れるように、本発明に係る熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eの図示の実施例は、少なくとも1つの側が開いている収容空間11,11A,11B,11Cと、収容空間11,11A,11B,11C内に配置された、少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dとをそれぞれ含み、少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dは、熱伝導性かつ弾性の補償要素16と、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18とを含む。少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dは、少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dの熱伝導性かつ弾性の補償要素16が、収容空間11,11A,11B,11Cの底部11.1の内側表面に当接するように、かつ、少なくとも、少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18が、収容空間11,14A,14B,11Cのうちの、底部11.1とは反対側に位置する開いた側において収容空間11,11A,11B,11Cから部分的に突出するように、収容空間11,11A,11B,11C内に配置されている。この場合、収容空間11,11A,11B,11Cの底部11.1の外側表面は、熱源7又はヒートシンク9のための剛性の第1のコンタクト面を形成しており、少なくとも1つのモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18は、ヒートシンク9又は熱源7のための柔軟な第2のコンタクト面を形成している。
【0020】
図1乃至
図6からさらに見て取れるように、例えばパワー半導体、マイクロコントローラとして構成されている、プリント基板6上に配置された電気モジュール7A,7B,7Cが、少なくとも1つの熱源7を形成している。この場合、少なくとも1つの熱源7は、第1の熱界面8を介して制御装置3のハウジング4に熱的に結合されている。第1の熱界面8は、例えば、熱界面材料(TIM)とも称される熱伝導材料8Aから構成可能である。したがって、図示の実施例においては、例として、好ましくは熱伝導性のエラストマからなるいわゆるギャップ充填材が、熱源7と、ハウジング4の底部5に形成された凹部5.2との間にTIM8Aとして配置されており、第1の熱界面8を形成している。この場合、少なくとも1つの熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eの収容空間11,11A,11B,11Cは、図示の実施例においてはそれぞれ、それぞれの制御装置3,3A,3Bのハウジング4の底部5に設けられたこの凹部5.2内に形成されている。
【0021】
制御装置アセンブリ1の、図示されていない代替的な実施例においては、少なくとも1つの熱放散装置10の収容空間11は、冷却装置9Aのうちの、制御装置3の方を向いた表面に形成された凹部内に形成されている。この場合、凹部は、制御装置アセンブリ1が組み立てられた状態で、制御装置3のハウジング4における第1の熱界面8の領域に配置されるように、冷却装置9Aにおいて位置決めされている。
【0022】
図1乃至
図4及び
図6からさらに見て取れるように、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の熱放散経路WAPは、第1の熱放散経路WAP1に分散されており、第1の熱放散経路WAP1は、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の一部を、制御装置3,3A,3Bのハウジング4の底部5と、取り付け領域とを介して冷却装置9Aに放散する。第2の熱放散経路WAP2は、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の一部を、放射熱及び熱伝導として、空隙LSにわたる空気分子を介して冷却装置9Aに放散する。熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eは、第3の熱放散経路WAP3を形成し、第3の熱放散経路WAP3は、少なくとも1つの熱源7によって生成された熱の一部を直接的に冷却装置9Aに放散する。図示の実施例においては、熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eの種々異なる実施形態は、より良好な熱伝導率を達成するために、制御装置3,3A,3Bと冷却装置9Aとの間の空隙LSを橋渡ししている。この場合、熱放散装置10,10A,10B,10C,10D,10Eは、制御装置3,3A,3Bを取り外す際に、洗浄プロセスによって手間をかけて初めて除去しなければならないような残留物を冷却装置9A上に残存させない。さらに、交換する制御装置を取り付ける際に、熱伝導材料を設ける必要がない。
【0023】
図示の実施例においては、個々のモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dは、熱伝導性の接着接続によってそれぞれの収容空間11,11A,11B,11Cの内側表面に分離不能に接続されている。このことはつまり、熱伝導性かつ弾性の補償要素16が、それぞれの収容空間11,11A,11B,11Cに接着されているということを意味する。もちろん、個々のモザイクセグメント14,14A,14B,14C,14Dをそれぞれの収容空間11,11A,11B,11Cの内側表面と分離不能に接続するために、他の適当な接続技術を使用することも可能である。
【0024】
図1及び
図6からさらに見て取れるように、制御装置アセンブリ1A,1Eの図示の実施例における少なくとも1つのモザイクセグメント14Aは、複数のパーツから構成されている。この場合、
図1に示されている熱放散装置10Aは、単一のモザイクセグメント14Aのみを有し、
図6に示されている熱放散装置10Eは、隣り合って配置された複数のモザイクセグメント14Aを有する。図示のモザイクセグメント14Aの熱伝導性かつ弾性の補償要素16は、それぞれギャップ充填材16Aとして構成されている。図示のモザイクセグメント14Aの熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18は、ギャップ充填材16Aに接着された金属パッド18Aとして構成されている。
【0025】
図2乃至
図4からさらに見て取れるように、制御装置アセンブリ1B,1C,1Dの図示の実施例における少なくとも1つのモザイクセグメント14B,14C,14Dは、単一のパーツから構成されている。この場合、
図2乃至
図4に示されている熱放散装置10B,10C,10Dは、それぞれ単一のモザイクセグメント14B,14C,14Dのみを有する。
【0026】
図2からさらに見て取れるように、図示のモザイクセグメント14Bは、熱伝導性かつ弾性の補償要素16を形成している複数のばね要素16Bを含む。この場合、2つのばね要素16Bの平坦にされたばね端部18Bが、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18を形成している。
【0027】
図3からさらに見て取れるように、図示のモザイクセグメント14Cは、熱伝導性かつ弾性の補償要素16を形成している圧縮可能な弾性の金属発泡体部材16Cとして構成されている。この場合、金属発泡体部材16Cのうちの、収容空間11の底部11.1とは反対側を向いた載置面18Cが、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18を形成している。
【0028】
図4からさらに見て取れるように、図示のモザイクセグメント14Dは、熱伝導性かつ弾性の補償要素16を形成している圧縮可能な弾性の金属ウール部材16Dとして構成されている。この場合、金属ウール部材16Dのうちの、収容空間11の底部11.1とは反対側を向いた載置面18Cが、熱伝導性のコンタクト領域18を形成している。
【0029】
熱放散装置10の図示されていない代替的な実施例においては、少なくとも1つのモザイクセグメント14は、薄板構造体として構成されており、この薄板構造体は、ベースプレートから突出している複数の薄板を含み、これら複数の薄板が、熱伝導性かつ弾性の補償要素16を形成している。この場合、ベースプレートは、収容空間11の底部11.1の内側表面に当接しており、好ましくは、熱伝導性の接着接続を介して収容空間11の底部11.1に接着されている。薄板のうちの、ベースプレートとは反対側を向いた縁部が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18を形成している。熱放散装置10のさらなる図示されていない代替的な実施例においては、少なくとも1つのモザイクセグメント14は、金属突起フィルムとして構成されており、この金属突起フィルムは、ベース面から突出している複数の突起を含み、これら複数の突起が、熱伝導性かつ弾性の補償要素16を形成している。この場合、金属突起フィルムのベース面は、収容空間11の底部11.1の内側表面に当接しており、好ましくは、熱伝導性の接着接続を介して収容空間11の底部11.1に接着されている。ベースプレートとは反対側を向いた突起が、熱伝導性かつ低接着性のコンタクト領域18を形成している。
【0030】
図5からさらに見て取れるように、図示の実施例においては2つの熱放散装置10E,10Fが、制御装置3Bの底部5に部分的に分散されて配置されている。この場合、第1の熱放散装置10Eは、12個のモザイクセグメント14Aを含み、これらのモザイクセグメント14Aは、第1の収容空間11B内に配置されており、第1の電気モジュール7Bによって生成された熱を放散するために使用される。第2の熱放散装置10Fは、6個のモザイクセグメント14Aを含み、これらのモザイクセグメント14Aは、第2の収容空間11C内に配置されており、第2の電気モジュール7Cによって生成された熱を放散するために使用される。
【0031】
図示されていない実施例においては、熱放散装置10は、複数のモザイクセグメント14と共に大面積で構成されている。この場合、モザイクセグメント14は、制御装置3の底部5全体にわたって分散されており、したがって、制御装置3は、熱を放散するために冷却装置9Aに大面積で熱的に結合されている。
【国際調査報告】