(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】硫酸コバルト塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 51/10 20060101AFI20240308BHJP
C22B 23/00 20060101ALI20240308BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C01G51/10
C22B23/00 102
C22B3/44 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557180
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 KR2022003504
(87)【国際公開番号】W WO2022197022
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0034110
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ナ ジ イェ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョン ジュン
【テーマコード(参考)】
4G048
4K001
【Fターム(参考)】
4G048AA07
4G048AB02
4G048AC06
4G048AE02
4K001AA07
4K001BA24
4K001DB22
(57)【要約】
硫酸コバルト塩の製造方法では、コバルトスルフェートおよび硫酸水溶液を含むフィード溶液を準備する。フィード溶液を蒸発結晶化して第1溶液を生成する。第1溶液を第1パージと共に濾過して第1硫酸コバルト塩を生成する。第1硫酸コバルト塩を含む水溶液を冷却結晶化して第2溶液を生成する。第2溶液を第2パージと共に濾過して第2硫酸コバルト塩を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルトスルフェートおよび硫酸水溶液を含むフィード溶液を準備するステップと、
前記フィード溶液を蒸発結晶化して第1溶液を生成するステップと、
前記第1溶液を第1パージと共に濾過して第1硫酸コバルト塩を生成するステップと、
前記第1硫酸コバルト塩を含む水溶液を冷却結晶化して第2溶液を生成するステップと、
前記第2溶液を第2パージと共に濾過して第2硫酸コバルト塩を生成するステップとを含む、硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項2】
前記蒸発結晶化の温度は60~80℃である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項3】
前記冷却結晶化の温度は10~20℃である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項4】
前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合は5重量%以下である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項5】
前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合は1~5重量%である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項6】
前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は5~20重量%である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項7】
前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は5~10重量%である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項8】
前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は、前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合以上である、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項9】
前記フィード溶液は、マンガン不純物をさらに含む、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項10】
前記冷却結晶化で除去されるマンガン不純物の量は、前記蒸発結晶化で除去されるマンガン不純物の量よりも大きい、請求項9に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項11】
前記第1硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト一水和物(CoSO
4・H
2O)を含み、前記第2硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト七水和物(CoSO
4・7H
2O)を含む、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【請求項12】
前記第1溶液を前記第1パージと共に濾過するステップ、または前記第2溶液を前記第2パージと共に濾過するステップは、濾過によって分離された液相を前記フィード溶液にリサイクルすることを含む、請求項1に記載の硫酸コバルト塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸コバルト塩の製造方法に関し、より詳細には、精製工程を含む硫酸コバルト塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池はカムコーダー、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯用電子通信機器およびハイブリッド自動車、電気自動車などの車両の動力源として広く適用および開発されている。二次電池としては、リチウム二次電池が、動作電圧および単位重量当たりのエネルギー密度が高く、充電速度および軽量化に有利な点で積極的に開発及び適用されてきた。
【0003】
前記リチウム二次電池の正極用活物質としては、リチウム金属酸化物を用いることができる。前記リチウム金属酸化物はコバルトを含むことができ、ニッケル、マンガンなどの遷移金属を共に含有することができる。
【0004】
前記正極用活物質に前述した高コストの有価金属が用いられることにより、正極材の製造に製造コストの20%以上がかかっている。また、最近では環境保護への関心が高まることによって、正極用活物質のリサイクル方法の研究が進められている。
【0005】
例えば、強酸に廃正極活物質を浸出させてコバルトスルフェートの形態でコバルトを回収することができ、回収されたコバルトスルフェートを活用して再び正極活物質を製造することができる。
【0006】
しかしながら、回収されたコバルトスルフェートには、例えば、マンガンのような他の遷移金属が不純物として含まれ得る。そこで、コバルトの収率を過度に低下させることなく高純度のコバルト化合物を得るための工程の設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した純度および収率を提供する硫酸コバルト塩の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施形態による硫酸コバルト塩の製造方法では、コバルトスルフェートおよび硫酸水溶液を含むフィード溶液(feeding solution)を準備する。前記フィード溶液を蒸発結晶化して第1溶液を生成する。前記第1溶液を第1パージと共に濾過して第1硫酸コバルト塩を生成する。前記第1硫酸コバルト塩を含む水溶液を冷却結晶化して第2溶液を生成する。前記第2溶液を第2パージと共に濾過して第2硫酸コバルト塩を生成する。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記蒸発結晶化の温度は60~80℃であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記冷却結晶化の温度は10~20℃であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合は、5重量%以下であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合は、1~5重量%であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は、5~20重量%であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は、5~10重量%であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第2パージによって前記第2溶液の重量中の除去される溶液の割合は、前記第1パージによって前記第1溶液の重量中の除去される溶液の割合以上であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記フィード溶液はマンガン不純物をさらに含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記冷却結晶化で除去されるマンガン不純物の量は、前記蒸発結晶化で除去されるマンガン不純物の量よりも大きくてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記第1硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト一水和物(CoSO4・H2O)を含み、前記第2硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第1溶液を前記第1パージと共に濾過するステップ、または前記第2溶液を前記第2パージと共に濾過するステップは、濾過によって分離された液相を前記フィード溶液にリサイクルすることを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
前述の例示的な実施形態によれば、硫酸コバルトを含むフィード溶液に対して蒸発結晶化および冷却結晶化を順次行い、硫酸コバルト塩を高純度で得ることができる。
【0021】
例示的な実施形態によれば、前記蒸発結晶化と前記冷却結晶化との間で第1パージを行うことによって溶液中の硫酸の濃度を減少させ、硫酸コバルト塩の結晶化を促進することができる。また、前記冷却結晶化の後に第2パージを行って液相の量を減少させることにより、前記フィード溶液に含まれて残存するマンガンの量を減らすことができる。
【0022】
例示的な実施形態によれば、前記第1パージおよび前記第2パージのそれぞれのパージ量を調整することにより、回収される硫酸コバルト塩の収率と純度とを共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による硫酸コバルト塩の製造方法を説明するための概略的なフローチャートである。
【発明を行うための形態】
【0024】
本発明の実施形態は、例えば、リチウム二次電池の正極活物質から高純度、高収率で硫酸コバルト塩を製造する方法を提供する。
【0025】
しかし、本発明の実施形態はリチウム二次電池からの回収工程に限定されるものではなく、硫酸コバルト塩の精製工程を伴う様々な製造、製品工程に活用できる。
【0026】
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明することとする。しかし、これらの実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0027】
図1は、例示的な実施形態による硫酸コバルト塩の製造方法を説明するための概略的なフローチャートである。
【0028】
図1を参照すると、コバルトを含有するフィード(feeding)溶液を準備することができる(例えば、S10ステップ)。
【0029】
前記フィード溶液は、コバルトスルフェート(CoSO4)を含むことができる。いくつかの実施形態では、コバルトスルフェートは、廃リチウム二次電池または使用済みのリチウム二次電池の正極活物質から得ることができる。
【0030】
例えば、前記廃リチウム二次電池から正極を分離して廃正極を回収することができる。前記廃正極は、正極集電体(例えば、アルミニウム(Al))および正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、例えば、ニッケル-コバルト-マンガン(NCM)系のリチウム遷移金属酸化物(例えば、Li(NCM)O2)を含むことができる。
【0031】
前記廃正極から前記正極活物質層を分離して活物質混合物を収集した後、過水(H2O2)のような還元剤と共に硫酸処理して活物質溶液を形成することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記活物質混合物中に残存する前記の集電体、導電材及び/又は結合剤の成分を減少させるために、アルカリを用いた沈殿、濾過、遠心分離、洗浄工程などをさらに行ってもよい。
【0033】
前記活物質溶液に遷移金属抽出剤を投入することにより、例えば、Ni、CoおよびMnからそれぞれニッケルスルフェート(NiSO4)、コバルトスルフェート(CoSO4)、およびマンガンスルフェート(MnSO4)を生成して収集することができる。例えば、前記遷移金属抽出剤は、リン酸系の化合物を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記遷移金属の抽出は、pHを段階的に増加させながら行うことができる。例えば、pHを増加させながらMn、CoおよびNiを順次抽出することができる。
【0035】
例えば、前記活物質溶液のpHを段階的に増加させながら、マンガンスルフェート(MnSO4)、コバルトスルフェート(CoSO4)およびニッケルスルフェート(NiSO4)を順次抽出することができる。
【0036】
前述のようにして収集されたコバルトスルフェートを含むフィード溶液を調製することができる。前記フィード溶液は、硫酸水溶液に含まれるコバルトスルフェートを含み、抽出されていない残りのマンガンスルフェートを不純物として含み得る。後述のように、高純度のコバルトスルフェートを得るための結晶化工程を行うことができる。
【0037】
例えば、S20ステップでは、前記フィード溶液に対して蒸発結晶化を行うことができる。
【0038】
前記蒸発結晶化は、減圧蒸発工程を含むことができる。例えば、前記蒸発結晶化は、約60~80℃の温度範囲で行うことができる。
図1に示すように、前記蒸発結晶化によって水(H
2O)が一部除去され、コバルトスルフェートの濃度が増加した第1溶液を調製することができる。
【0039】
その後、例えば、S30及びS40ステップでは、前記第1溶液に対して第1濾過工程を行うことにより、第1硫酸コバルト塩を得ることができる。
【0040】
前記第1濾過工程は、例えば、フィルタープレスまたは遠心脱水工程による固相-液相分離(固液分離)工程を含むことができる。前記第1濾過工程によって液相が少なくとも部分的に除去・分離され、固相の第1硫酸コバルト塩を取り出すことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記第1濾過工程によって分離された液相部分は、再びフィード溶液にリサイクルすることができる(例えば、第1リサイクル(C1))。これにより、前記蒸発結晶化による回収ができなかったコバルトを再循環させ、コバルト回収率を向上させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記第1硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト一水和物(CoSO4・H2O)を含むことができる。
【0043】
例示的な実施形態によれば、前記第1溶液に対して第1パージ(purging)を行うことができる。いくつかの実施形態では、
図1に示すように、前記第1濾過工程を行いながら第1パージ(purging)を行うことができる。
【0044】
前記第1パージにより、前記第1濾過工程に投入される前記第1溶液の所定の分画を除去することができる。これにより、前記第1濾過工程における硫酸の濃度が減少し、第1濾過工程における固液分離効率を向上させることができる。したがって、前記第1硫酸コバルト塩の収集効率および収率を向上させることができる。
【0045】
図1では、S20ステップ及びS30ステップをそれぞれ蒸発結晶化と第1濾過とに分離して示しているが、S20ステップとS30ステップの両方を蒸発結晶化として含むこともできる。
【0046】
収集された前記第1硫酸コバルト塩に対して、例えば、S50ステップでは、冷却結晶化をさらに行うことができる。例えば、前記第1硫酸コバルト塩に蒸留水を投入して水溶液を形成することができる。前記蒸留水の温度は、溶解効率の観点から約60~80℃であってもよい。その後、前記水溶液を約10~20℃の温度に冷却して第2溶液を生成することができる。
【0047】
その後、例えば、S50及びS60ステップでは、冷却された第2溶液に対して第2濾過工程を行うことにより、第2硫酸コバルト塩を得ることができる。
【0048】
前記第2濾過工程は、例えば、フィルタープレスまたは遠心脱水工程による固相-液相分離(固液分離)工程を含むことができる。前記第2濾過工程によって前記第2溶液の液相が少なくとも部分的に除去・分離され、固相の第2硫酸コバルト塩を取り出すことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記第2硫酸コバルト塩は、硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記第2濾過工程によって分離された液相部分は、再びフィード溶液にリサイクルすることができる(例えば、第2リサイクル(C2))。これにより、前記冷却結晶化による回収ができなかったコバルトを再循環させ、コバルト回収率を向上させることができる。
【0051】
例示的な実施形態によれば、前記第2溶液に対して第2パージ(purging)を行うことができる。いくつかの実施形態では、
図1に示すように、前記第2濾過工程を行いながら第2パージ(purging)を行うことができる。
【0052】
前記第2パージにより、前記第2濾過工程に投入される前記第2溶液の所定の分画を除去することができる。前記第2パージにより、前記蒸発結晶化による分離ができずに残存するマンガンの量を減らすことができる。このように、前記第2濾過により、マンガンの除去効率、マンガンの分離効率を向上させることができる。これにより、S70ステップで収集される第2硫酸コバルト塩の純度を向上させることができる。
【0053】
図1では、S50ステップ及びS60ステップをそれぞれ冷却結晶化と第2濾過とに分離して示しているが、S50ステップとS60ステップの両方を冷却結晶化として含むこともできる。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記第2パージにおけるパージ率(purge rate)は、前記第1パージにおけるパージ率以上であってもよい。
【0055】
一実施形態では、前記第1パージで除去される溶液の割合(第1パージ率)は、前記第1溶液の重量中約5重量%以下、好ましくは約1~5重量%であってもよい。前記第1パージ率の範囲では、第1硫酸コバルト塩の分離効率が増加し、全収率が過度に低下することがなくなる。
【0056】
一実施形態では、前記第2パージで除去される溶液の割合(第2パージ率)は、前記第2溶液の重量中約5~20重量%、好ましくは約5~15重量%、より好ましくは約5~10重量%であってもよい。前記第2パージ率の範囲では、硫酸コバルト塩の全収率の過度の低下を防止しながら、マンガン不純物を十分に除去することができる。
【0057】
前述のように、一実施形態では、前記第2パージ率を前記第1パージ率以上または前記第1パージ率よりも大きくなるように調整できる。これにより、前記蒸発結晶化において相対的に硫酸塩全体の結晶化効率を向上させながら、前記冷却結晶化においてマンガン不純物の除去効率を向上させることができる。
【0058】
例えば、前記蒸発結晶化により前記フィード溶液から液相分離を行い、前記第1パージによって固体塩の生成効率を向上させることができる。前記蒸発結晶化の後に形成される前記第1溶液中には、相対的に多量のマンガン不純物が含まれ、前記冷却結晶化によって前記マンガン不純物を除去することができる。
【0059】
そのため、前記冷却結晶化によって除去されるマンガンの量は、前記蒸発結晶化によって除去されるマンガンの量よりも大きくてもよい。前記冷却結晶化を前記第2パージと組み合わせることによってマンガン不純物の除去効率がより向上し、高純度の硫酸コバルト塩を得ることができる。
【0060】
以下、本発明の理解を助けるために具体的な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0061】
実施例1
800ppmのMnSO4および5~6%のH2SO4を含む3kgのCoSO4をフィード溶液として使用した。
【0062】
前記フィード溶液を70℃、圧力200~500mbarの条件下で8時間減圧蒸発を行い、第1溶液を生成した。前記第1溶液を、第1パージ率を5重量%に維持しながら真空ポンプで濾過し、第1硫酸コバルト塩として硫酸コバルト一水和物(CoSO4・H2O)を得た。
【0063】
得られた第1硫酸コバルト塩に蒸留水(70℃)の0.6kgを投入し、15℃に2時間冷却して第2溶液を生成した。前記第2溶液を、第2パージ率を5重量%に維持しながら真空ポンプで濾過し、第2硫酸コバルト塩として硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を得た。
【0064】
実施例2及び4
第2パージ率を表1に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を得た。
【0065】
比較例1
冷却結晶化において第2パージを行わなかった以外は、実施例1と同様にして硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を得た。
【0066】
比較例2
蒸発結晶化において第1パージを行わなかった以外は、実施例1と同様にして硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を得た。
【0067】
前述の実施例及び比較例で得られた生成物に対して、フィード溶液と比較して回収されたコバルトの量(回収率(%))、マンガンの含有量、および硫酸コバルト塩の純度を測定した。純度は、得られた生成物の全重量に対する硫酸コバルト七水和物の重量として計算した。硫酸コバルト七水和物の重量は、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)分析によって測定した。
【0068】
評価の結果は下記表1にまとめて示す。
【0069】
【0070】
表1に示すように、実施例によれば、第1パージと第2パージを組み合わせてマンガン不純物の量を減少させ、85%以上のコバルト回収率を確保することができた。
【0071】
第1パージまたは第2パージを省略した比較例1または比較例2では、残存するマンガンの量が増加するか、または硫酸の量が十分に除去されずに濃縮され、コバルト塩の純度が低下した。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
前記第2パージにより、前記第2濾過工程に投入される前記第2溶液の所定の分画を除去することができる。前記第2パージにより、前記冷却結晶化による分離ができずに残存するマンガンの量を減らすことができる。このように、前記第2濾過により、マンガンの除去効率、マンガンの分離効率を向上させることができる。これにより、S70ステップで収集される第2硫酸コバルト塩の純度を向上させることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
実施例2~4
第1パージ率、第2パージ率を表1に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を得た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
【国際調査報告】