(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】モノメチルアウリスタチンE化合物の調製及び精製プロセス
(51)【国際特許分類】
C07K 1/02 20060101AFI20240308BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C07K1/02
C07K1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558220
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2022084236
(87)【国際公開番号】W WO2022206870
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110349993.3
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087262
【氏名又は名称】レメゲン シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】REMEGEN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.58 Beijing Middle Road, Yantai Development Zone, Yantai District, China(Shandong)Pilot Free Trade Zone, Yantai, Shandong 264006 China
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジュアンリン
(72)【発明者】
【氏名】グオ, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン, ペン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, カイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, シンリー
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA83
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA30
4H045GA21
(57)【要約】
MMAEの調製及び精製プロセスを提供する。このプロセスは合成及び精製条件が穏やかであり、過度の高温による生成物のキラリティーの変化を効果的に防止し、分解不純物の生成を大幅に低減し、生成物の純度及び収率を高める。さらに、この調製及び精製プロセスは、良好な安定性を有し、スケールアップ生産により適している。調製されるMMAEは、99%を超える純度を有し、臨床薬剤の要件を完全に満たすことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示される化合物の調製及び精製方法であって:
【化12】
前記方法の調製経路は以下のとおりであり:
【化13】
前記方法は、以下のステップ:
(1)化合物1を適量の第1の有機溶媒に溶解して溶液Aを形成するステップと、
(2)前記溶液Aに十分量のHCl-1,4-ジオキサン溶液を加えて絶縁反応を行い、Boc保護基を除去するステップと、
(3)前記反応の終了後、前記ステップ(2)の反応溶液を十分量の第1の低極性溶媒に注ぎ、撹拌後に濾液を捨てるステップであって、乾燥後の固体残渣が化合物2である、前記ステップと、
(4)前記得られた化合物2及び適量の化合物3を第2の有機溶媒に溶解して溶液Bを形成するステップと、
(5)第1のポリペプチド濃縮剤を適量の第3の有機溶媒に溶解して溶液Cを形成するステップであって、前記第1のポリペプチド濃縮剤のモル数が、前記ステップ(4)の前記化合物3のモル数よりも大きい、前記ステップと、
(6)前記溶液Cを前記溶液Bに加えて溶液Dを形成するステップと、
(7)前記溶液Dに適量の第1の有機塩基を加えて絶縁反応を行うステップと、
(8)前記ステップ(7)の反応終了後、前記ステップ(7)の反応系に十分量の第2の低極性溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収するステップと、
(9)前記ステップ(8)で回収した前記有機相を適量の塩酸溶液、精製水、及び塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、乾燥して化合物4を得るステップと、
(10)前記化合物4を第4の有機溶媒に溶解して溶液Eを形成するステップと、
(11)前記溶液Eに十分量のジエチルアミンを加えて絶縁反応を行い、Fmoc保護基を除去するステップと、
(12)前記反応の終了後、前記ステップ(11)の反応系に適量の第5の有機溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮するステップと、
(13)前記ステップ(12)で得られた減圧濃縮物にトルエン:メタノールの溶出系によるクロマトグラフィーで精製を行い、回収した溶出液を減圧下で濃縮するステップと、
(14)前記ステップ(13)で得られた減圧濃縮生成物を第6の有機溶媒で溶解した後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮するステップと、
(15)前記ステップ(14)で得られた減圧濃縮生成物を真空乾燥してMMAEを得るステップと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ステップ1の前記第1の有機溶媒が、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、前記ステップ1の前記第1の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ1の前記化合物1と前記第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:2であり、好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:1~3であり、より好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:1.5~2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が約4mol/Lであり、好ましくは、前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が約3~7mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が3.5~4.5mol/Lである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が約1:6であり、好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:4~8であり、より好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:5~7であり、より好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:6である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液が滴下され、前記反応系の内温が前記滴下中に-5℃~5℃に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(2)の前記絶縁反応の温度が10~15℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(3)の前記第1の低極性溶媒が、n-ヘキサン、石油エーテル、及びn-ヘプタンから選択され、好ましくは、前記第1の低極性溶媒はn-ヘキサンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(3)の前記第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:16であり、好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(3)の前記第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:10~25であり、より好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(3)の前記第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:12~20であり、より好ましくは、前記ステップ1の前記化合物1と前記ステップ(3)の前記第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:15~17である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(4)の前記第2の有機溶媒が、DMF、DMA、DMSO及びDCMから選択され、好ましくは前記第2の有機溶媒はDMFであり、さらに好ましくは、前記ステップ(4)において、前記化合物2と前記化合物3のモル量が同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(4)の前記化合物3と前記第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:6であり、好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:5~10であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記第2の有機溶媒との重量体積比(g/mp)が1:5~8であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:6~7である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤が、HATU、DIC、DCC、EDC、HCTU、DEPBT、EEDQ及びCDIから選択され、好ましくは、前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤がHATUである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比が約1:1.2であり、好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.01~1.5であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.1~1.4であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.2~1.3である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(5)の前記第3の有機溶媒が、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、前記第3の有機溶媒はDMFである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:3であり、好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:2~6であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:2.5~4であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(5)の前記第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:3~4である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(6)において、前記溶液Cが前記溶液Bに滴下され、前記滴下中の前記反応系全体の内温が0~5℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、及びピリジンから選択される1つ以上であり、好ましくは、前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基とのモル比が約1:3であり、好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基とのモル比が1:2~5であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基とのモル比が1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基とのモル比が1:3~4である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップ(7)の前記第1の有機塩基が前記溶液Dに滴下され、前記絶縁反応の温度が0~5℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランから選択され、好ましくは、前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒はメチルtert-ブチルエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が約1:20.2:20.2であり、好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:15~25:15~25であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:20~24:20~24であり、より好ましくは、前記ステップ(4)の前記化合物3と前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:20~21:20~21である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒と前記精製水の体積が同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップ(9)の前記塩酸溶液の濃度が約0.05mol/Lであり、好ましくは、前記ステップ(9)の前記塩酸溶液の濃度は0.02~0.08mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(9)の前記塩酸溶液の濃度は0.04~0.06mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(9)の前記塩酸溶液の濃度は0.05mol/Lである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップ(9)の前記塩化ナトリウム溶液の濃度が約30%であり、好ましくは、前記ステップ(9)の前記塩化ナトリウム溶液の濃度は20%~40%である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップ(9)の塩酸溶液、前記精製水及び前記塩化ナトリウム溶液の体積は、前記ステップ(8)の前記第2の低極性溶媒の体積と等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ステップ(10)の前記第4の有機溶媒が、ジクロロメタン、アセトニトリル、トリクロロメタン及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、前記ステップ(10)の前記第4の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(10)の前記化合物4と前記第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:7であり、好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:4~10であり、より好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:5~8である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(11)の前記ジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)が約1:3.5であり、好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(11)の前記ジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は1:3~5であり、より好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(11)の前記ジエチルアミンの重量体積比(g/mL)は1:3~4である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ(11)の前記ジエチルアミンが前記溶液Eに滴下され、前記滴下プロセス中、前記溶液の内温は0℃~5℃に維持され、前記ステップ(11)の前記絶縁反応の温度は20~30℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ(12)の前記第5の有機溶媒が、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素及びトルエンから選択され、好ましくは、前記ステップ(12)の前記第5の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(12)の前記第5の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は約1:7:10であり、好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(12)の前記第5の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は1:5~10:5~15であり、より好ましくは、前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(12)の前記第5の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は1:6~8:9~12である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(13)の前記クロマトグラフィー精製で使用されるシリカゲルは200~300メッシュのシリカゲルであり、前記溶出系は体積比(V/V)=10~20:1のトルエン:メタノールであり、好ましくは、前記溶出系は、最初に、体積比(V/V)=約20:1のトルエン:メタノールであり、TLCで生成物のみが視認されることが検出された時点で前記溶出系が体積比(V/V)=約10:1のトルエン:メタノールに変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記TLC検出の展開剤が、体積比(V/V)=約5:1のトルエン:メタノールである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ステップ(14)の前記第6の有機溶媒は、メタノール、トルエン及びアセトニトリルから選択され、好ましくは、前記ステップ(14)の前記第6の有機溶媒はメタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(10)の前記化合物4と前記ステップ(14)の前記第6の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:3~10である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップ(14)のプロセスを1~5回繰り返すことができる、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
以下の式に示される化合物の調製及び精製方法であって:
【化14】
前記方法の調製経路は以下のとおりであり:
【化15】
前記方法は、以下のステップ:
(1-1)化合物1を適量の第7の有機溶媒に溶解して溶液Fを形成するステップと、
(1-2)前記溶液Fに十分量のHCl-1,4-ジオキサン溶液を加えて絶縁反応を行い、Boc保護基を除去するステップと、
(1-3)前記反応の終了後、前記ステップ(1-2)の反応溶液を十分量の第3の低極性溶媒に注ぎ、撹拌後に濾液を捨てるステップであって、乾燥後の固体残渣が化合物2である、前記ステップと、を含む、前記方法。
【請求項38】
前記ステップ(1-1)の前記第7の有機溶媒が、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記第7の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:2であり、好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:1~3であり、より好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:1.5~2.5である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が約4mol/Lであり、好ましくは、前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が約3~7mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度が3.5~4.5mol/Lである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が約1:6であり、好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:4~8であり、より好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:5~7であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)が1:6である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記ステップ(1-2)の前記HCl-1,4-ジオキサン溶液が滴下され、前記反応系の内温が前記滴下中に-5~5℃に維持される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記ステップ(1-2)の前記絶縁反応の温度が10~15℃である、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒が、n-ヘキサン、石油エーテル、及びn-ヘプタンから選択され、好ましくは、前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒はn-ヘキサンから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:16であり、好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:10~25であり、より好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:12~20であり、より好ましくは、前記ステップ(1-1)の前記化合物1と前記ステップ(1-3)の前記第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)が1:15~17である、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
以下の式に示される化合物の調製及び精製方法であって:
【化16】
前記方法の調製経路は以下のとおりであり:
【化17】
前記方法は、以下のステップ:
(2-1)化合物2及び適量の化合物3を第8の有機溶媒に溶解して溶液Gを形成するステップと、
(2-2)第2のポリペプチド濃縮剤を適量の第9の有機溶媒に溶解して溶液Hを形成するステップであって、前記第2のポリペプチド濃縮剤のモル数が、前記ステップ(2-1)の前記化合物3のモル数よりも大きい、前記ステップと、
(2-3)前記溶液Hを溶液Gに加えて溶液Iを形成するステップと、
(2-4)前記溶液Iに適量の第2の有機塩基を加えて絶縁反応を行うステップと、
(2-5)前記反応の終了後、前記ステップ(2-4)の反応系に十分量の第4の低極性溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収するステップと、
(2-6)前記ステップ(2-5)で回収した有機相を適量の塩酸溶液、精製水、及び塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、乾燥して化合物4を得るステップと、を含む、前記方法。
【請求項47】
前記ステップ(2-1)の前記第8の有機溶媒が、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、前記第8の有機溶媒はDMFである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:6であり、好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:5~10であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記第8の有機溶媒との重量体積比(g/mp)が1:5~8であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:6~7である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤が、HATU、DIC、DCC、EDC、HCTU、DEPBT、EEDQ及びCDIから選択され、好ましくは、前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤がHATUである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比が約1:1.2であり、好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.01~1.5であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.1~1.4であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比が1:1.2~1.3である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記ステップ(2-2)の前記第9の有機溶媒が、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、前記第9の有機溶媒はDMFである、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:3であり、好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:2~6であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-2)の前記第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:3~4である、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記ステップ(2-3)において、前記溶液Hが前記溶液Gに滴下され、前記滴下中の前記反応系全体の内温が0~5℃である、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、及びピリジンから選択される1つ以上であり、好ましくは、前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基とのモル比が約1:3であり、好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基とのモル比が1:2~5であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基とのモル比が1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-4)の前記第2の有機塩基とのモル比が1:3~4である、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記ステップ(2-4)において、前記第2の有機塩基が前記溶液Iに滴下され、前記絶縁反応の温度が0~5℃である、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランから選択され、好ましくは、前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒はメチルtert-ブチルエーテルである、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が約1:20.2:20.2であり、好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:15~25:15~25であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:20~24:20~24であり、より好ましくは、前記ステップ(2-1)の前記化合物3と前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)が1:20~21:20~21である、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記ステップ(2-5)の前記第4の低極性溶媒の体積と前記精製水の体積が同じである、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記ステップ(2-6)の前記塩酸溶液の濃度が約0.05mol/Lであり、好ましくは、前記ステップ(2-6)の前記塩酸溶液の濃度は0.02~0.08mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(2-6)の前記塩酸溶液の濃度は0.04~0.06mol/Lであり、より好ましくは、前記ステップ(2-6)の前記塩酸溶液の濃度は0.05mol/Lである、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
式(I)に示される化合物の調製及び精製方法であって:
【化18】
前記方法の調製経路は以下のとおりであり:
【化19】
前記方法は、以下のステップ:
(3-1)化合物4を第10の有機溶媒に溶解して溶液Jを形成するステップと、
(3-2)前記溶液Jに十分量のジエチルアミンを加えて絶縁反応を行い、Fmoc保護基を除去するステップと、
(3-3)前記反応の終了後、前記ステップ(3-2)の反応系に適量の第11の有機溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮するステップと、
(3-4)前記ステップ(3-3)で得られた減圧濃縮物にトルエン:メタノールの溶出系によるクロマトグラフィーで精製を行い、回収した溶出液を減圧下で濃縮するステップと、
(3-5)前記ステップ(3-4)で得られた減圧濃縮生成物を第12の有機溶媒で溶解した後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮するステップと、
(3-6)前記ステップ(3-5)で得られた減圧濃縮生成物を真空乾燥してMMAEを得るステップと、を含む、前記方法。
【請求項62】
前記ステップ(3-1)の前記第10の有機溶媒が、ジクロロメタン、アセトニトリル、トリクロロメタン及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記第10の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:7であり、好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:4~10であり、より好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が1:5~8である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-2)の前記ジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)が約1:3.5であり、好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-2)の前記ジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は1:3~5であり、より好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-2)の前記ジエチルアミンの重量体積比(g/mL)は1:3~4である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記ステップ(3-2)の前記ジエチルアミンが滴下され、前記滴下プロセス中、内温は0℃~5℃に維持され、前記ステップ(3-2)の前記絶縁反応の温度は20~30℃である、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記ステップ(3-3)の前記第11の有機溶媒が、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素及びトルエンから選択され、好ましくは、前記ステップ(3-3)の前記第11の有機溶媒はジクロロメタンである、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-3)の前記第11の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は約1:7:10であり、好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-3)の前記第11の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は1:5~10:5~15であり、より好ましくは、前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-3)の前記第11の有機溶媒と前記精製水との重量体積比(g/mL)は1:6~8:9~12である、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記ステップ(3-4)の前記クロマトグラフィー精製で使用されるシリカゲルは200~300メッシュのシリカゲルであり、前記溶出系は体積比(V/V)=10~20:1のトルエン:メタノールであり、好ましくは、前記溶出系は、最初に、体積比(V/V)=約20:1のトルエン:メタノールであり、TLCで生成物のみが視認されることが検出された時点で前記溶出系が体積比(V/V)=約10:1のトルエン:メタノールに変更される、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記TLC検出の展開剤が、体積比(V/V)=約5:1のトルエン:メタノールである、請求項61に記載の方法。
【請求項70】
前記ステップ(3-5)の前記第12の有機溶媒は、メタノール、トルエン及びアセトニトリルから選択され、好ましくは、前記ステップ(3-5)の前記第12の有機溶媒はメタノールである、請求項61に記載の方法。
【請求項71】
前記ステップ(3-1)の前記化合物4と前記ステップ(3-5)の前記第12の有機溶媒との重量体積比(g/mL)が約1:3~10である、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記ステップ(3-5)のプロセスを1~5回繰り返すことができる、請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物合成の技術分野に関し、詳細には、モノメチルオーリスタチンE化合物(すなわち、MMAE)の調製及び精製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
オーリスタチンの完全合成誘導体であるMMAE(モノメチルオーリスタチンE、メチルオーリスタチンEとしても知られる)は、チューブリン重合を阻害することで有糸分裂を効果的に阻害することができ、がんを治療するための抗体薬物複合体を合成するための細胞毒性成分(つまり薬物部分)として広く使用されている。
【0003】
抗体薬物複合体(ADC)は抗腫瘍薬の一種であり、抗体、リンカー、及び薬物の3つの成分が含まれている。その原理は、抗体の選択的ターゲティング能力と薬物部分の細胞傷害効果が組み合わされることで、腫瘍細胞の表面上の抗原が抗体のターゲティング特異性によって特異的に認識され、細胞への侵入が細胞のエンドサイトーシスによって達成され、薬物部分が細胞内のプロテアーゼによって放出されることにより、非標的組織の殺滅を回避しつつ腫瘍細胞を殺滅するという目的が達成されるというものである。
【0004】
現在、多数の天然及び化学合成された細胞毒が存在することが知られているが、ADCに適用できる薬物構造はごく一部のみである。これは主として、ADCのロードとして使用できる毒素が、高い細胞毒性能及び小さな分子量といった複雑な特性を備える必要があることによる。そのため、オーリスタチン化合物(MMAEなど)がADCの分野で強く求められている。現在、市販されている多くのADC薬の抗体のリンカー毒素構造は、Mc-Val-Cit-PAB-MMAEである。しかし、MMAEの現在の市場価格は非常に高価である。その主な理由は、現在の合成と精製プロセスがまだ未成熟であり、多くの薬物の合成プロセスが複雑で、精製プロセスが未成熟であるため、最終生成物の収率が低く、純度が低く、不純物(特に単一不純物)の含有量が高いことが挙げられる。臨床医薬品の安全性を担保するには、臨床用途で使用される医薬品の純度が極めて高く、不純物が極めて少ないことが必要であるが、現在のプロセスの多くは臨床医薬品の標準要件を満たすことができず、そのことも市販のMMAEの価格が高価となる主な理由の1つとなっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、臨床薬剤の品質要件を十分に満たすことができる、極めて高純度のMMAE(構造式を式Iに示す)を得ることが可能な調製及び精製プロセスを提供する。
【化1】
【0006】
【0007】
本方法は以下のステップを含む。
(1)化合物1を適量の第1の有機溶媒に溶解して溶液Aを形成するステップと、
(2)溶液Aに十分量のHCl-1,4-ジオキサン溶液を加えて絶縁反応を行い、Boc保護基を除去するステップと、
(3)反応の終了後、ステップ(2)の反応溶液を十分量の第1の低極性溶媒に注ぎ、撹拌後に濾液を捨てるステップであって、乾燥後の固体残渣が化合物2である、ステップと、
(4)得られた化合物2及び適量の化合物3を第2の有機溶媒に溶解して溶液Bを形成するステップと、
(5)第1のポリペプチド濃縮剤を適量の第3の有機溶媒に溶解して溶液Cを形成するステップであって、第1のポリペプチド濃縮剤のモル数が、ステップ(4)の化合物3のモル数よりも大きい、ステップと、
(6)溶液Cを溶液Bに加えて溶液Dを形成するステップと、
(7)溶液Dに適量の第1の有機塩基を加えて絶縁反応を行うステップと、
(8)ステップ(7)の反応終了後、ステップ(7)の反応系に十分量の第2の低極性溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収するステップと、
(9)ステップ(8)で回収した有機相を適量の塩酸溶液、精製水、及び塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、乾燥して化合物4を得るステップと、
(10)化合物4を第4の有機溶媒に溶解して溶液Eを形成するステップと、
(11)溶液Eに十分量のジエチルアミンを加えて絶縁反応を行い、Fmoc保護基を除去するステップと、
(12)反応の終了後、ステップ(11)の反応系に適量の第5の有機溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮するステップと、
(13)ステップ(12)で得られた減圧濃縮物にトルエン:メタノールの溶出系によるクロマトグラフィーで精製を行い、回収した溶出液を減圧下で濃縮するステップと、
(14)ステップ(13)で得られた減圧濃縮生成物を第6の有機溶媒で溶解した後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮するステップと、
(15)ステップ(14)で得られた減圧濃縮生成物を真空乾燥してMMAEを得るステップ。
【0008】
さらに、ステップ1の第1の有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、ステップ1の第1の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0009】
さらに、ステップ1の化合物1と第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:2であり、好ましくは、ステップ1の化合物1と第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:1~3であり、より好ましくは、ステップ1の化合物1と第1の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:1.5~2.5である。
【0010】
さらに、ステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は約4mol/Lであり、好ましくは、ステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は約3~7mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は3.5~4.5mol/Lである。
【0011】
さらに、ステップ1の化合物1とステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は約1:6であり、好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:4~8であり、より好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:5~7であり、より好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:6である。
【0012】
さらに、ステップ(2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液は滴下され、反応系の内温は滴下中に-5~5℃に維持される。
【0013】
さらに、ステップ(2)の絶縁反応の温度は10~15℃である。
【0014】
さらに、ステップ(3)の第1の低極性溶媒は、n-ヘキサン、石油エーテル、及びn-ヘプタンから選択され、好ましくは、第1の低極性溶媒はn-ヘキサンから選択される。
【0015】
さらに、ステップ1の化合物1とステップ(3)の第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:16であり、好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(3)の第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:10~25であり、より好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(3)の第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:12~20であり、より好ましくは、ステップ1の化合物1とステップ(3)の第1の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:15~17である。
【0016】
さらに、ステップ(4)の第2の有機溶媒は、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、第2の有機溶媒はDMFであり、さらに好ましくは、ステップ(4)において、化合物2と化合物3のモル量は同じである。
【0017】
さらに、ステップ(4)の化合物3と第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:6であり、好ましくは、ステップ(4)の化合物3と第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:5~10であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3と第2の有機溶媒との重量体積比(g/mp)は1:5~8であり、さらにより好ましくは、ステップ(4)の化合物3と第2の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:6~7である。
【0018】
さらに、ステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤は、HATU、DIC、DCC、EDC、HCTU、DEPBT、EEDQ及びCDIから選択され、好ましくは、ステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤はHATUである。
【0019】
さらに、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比は約1:1.2であり、好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.01~1.5であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.1~1.4であり、さらにより好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第1のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.2~1.3である。
【0020】
さらに、ステップ(5)の第3の有機溶媒は、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、第3の有機溶媒はDMFである。
【0021】
さらに、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:3であり、好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:2~6であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:2.5~4であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(5)の第3の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:3~4である。
【0022】
さらに、ステップ(6)において、溶液Cは溶液Bに滴下され、滴下中の反応系全体の内温は0~5℃である。
【0023】
さらに、ステップ(7)の第1の有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、及びピリジンから選択される1つ以上であり、好ましくは、ステップ(7)の第1の有機塩基はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0024】
さらに、ステップ(4)の化合物3とステップ(7)の第1の有機塩基とのモル比は約1:3であり、好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(7)の第1の有機塩基とのモル比は1:2~5であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(7)の第1の有機塩基とのモル比は1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(7)の第1の有機塩基とのモル比は1:3~4である。
【0025】
さらに、ステップ(7)の第1の有機塩基は溶液Dに滴下され、絶縁反応の温度が0~5℃である。
【0026】
さらに、ステップ(8)の第2の低極性溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランから選択され、好ましくは、ステップ(8)の第2の低極性溶媒はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0027】
さらに、ステップ(4)の化合物3とステップ(8)の第2の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は約1:20.2:20.2であり、好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(8)の第2の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:15~25:15~25であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(8)の第2の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:20~24:20~24であり、より好ましくは、ステップ(4)の化合物3とステップ(8)の第2の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:20~21:20~21である。
【0028】
さらに、ステップ(8)の第2の低極性溶媒と精製水の体積は同じである。
【0029】
さらに、ステップ(9)の塩酸溶液の濃度は約0.05mol/Lであり、好ましくは、ステップ(9)の塩酸溶液の濃度は0.02~0.08mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(9)の塩酸溶液の濃度は0.04~0.06mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(9)の塩酸溶液の濃度は0.05mol/Lである。
【0030】
さらに、ステップ(9)の塩化ナトリウム溶液の濃度は約30%であり、好ましくは、ステップ(9)の塩化ナトリウム溶液の濃度は20%~40%である。
【0031】
さらに、ステップ(9)の塩酸溶液、精製水及び塩化ナトリウム溶液の体積は、ステップ(8)の第2の低極性溶媒の体積と等しい。
【0032】
さらに、ステップ(10)の第4の有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、トリクロロメタン及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、ステップ(10)の第4の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0033】
さらに、ステップ(10)の化合物4と第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:7であり、好ましくは、ステップ(10)の化合物4と第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:4~10であり、より好ましくは、ステップ(10)の化合物4と第4の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:5~8である。
【0034】
さらに、ステップ(10)の化合物4とステップ(11)のジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は約1:3.5であり、好ましくは、ステップ(10)の化合物4とステップ(11)のジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は1:3~5であり、より好ましくは、ステップ(10)の化合物4とステップ(11)のジエチルアミンの重量体積比(g/mL)は1:3~4である。
【0035】
さらに、ステップ(11)のジエチルアミンは溶液Eに滴下され、滴下プロセス中、溶液の内温は0℃~5℃に維持され、ステップ(11)の絶縁反応の温度は20~30℃である。
【0036】
さらに、ステップ(12)の第5の有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素及びトルエンから選択され、好ましくは、ステップ(12)の第5の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0037】
さらに、ステップ(10)の化合物4とステップ(12)の第5の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は約1:7:10であり、好ましくは、ステップ(10)の化合物4とステップ(12)の第5の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:5~10:5~15であり、より好ましくは、ステップ(10)の化合物4とステップ(12)の第5の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:6~8:9~12である。
【0038】
さらに、ステップ(13)のクロマトグラフィー精製で使用されるシリカゲルは200~300メッシュのシリカゲルであり、溶出系は体積比(V/V)=10~20:1のトルエン:メタノールであり、好ましくは、溶出系は、最初に、体積比(V/V)=約20:1のトルエン:メタノールである。TLCで生成物のみ(例えば、生成物のスポットのみ)が視認されることが検出された時点で溶出系は体積比(V/V)=約10:1のトルエン:メタノールに変更される。無論、溶出系は置換されなくともよく、ここで溶出系を置換する目的は、生成物をより速やかに溶出させ、製造プロセスの時間及びコストを削減することにある。
【0039】
TLC検出の展開剤は、体積比(V/V)=約5:1のトルエン:メタノールである。
【0040】
さらに、ステップ(14)の第6の有機溶媒は、メタノール、トルエン及びアセトニトリルから選択され、好ましくは、ステップ(14)の第6の有機溶媒はメタノールである。
【0041】
さらに、ステップ(10)の化合物4とステップ(14)の第6の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:3~10である。
【0042】
さらに、ステップ(14)のプロセスは1~5回繰り返してもよい。
【0043】
本発明はまた、以下の式で示される化合物の調製及び精製方法も提供する。
【化3】
【0044】
【0045】
本方法は以下のステップを含む。
(1-1)化合物1を適量の第7の有機溶媒に溶解して溶液Fを形成するステップと、
(1-2)溶液Fに十分量のHCl-1,4-ジオキサン溶液を加えて絶縁反応を行い、Boc保護基を除去するステップと、
(1-3)反応の終了後、ステップ(1-2)の反応溶液を十分量の第3の低極性溶媒に注ぎ、撹拌後に濾液を捨てるステップであって、乾燥後の固体残渣が化合物2である、ステップ。
【0046】
さらに、ステップ(1-1)の第7の有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、ステップ(1-1)の第1の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0047】
さらに、ステップ(1-1)の化合物1と第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:2であり、好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1と第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:1~3であり、より好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1と第7の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:1.5~2.5である。
【0048】
さらに、ステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は約4mol/Lであり、好ましくは、ステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は約3~7mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液の濃度は3.5~4.5mol/Lである。
【0049】
さらに、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は約1:6であり、好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:4~8であり、より好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:5~7であり、さらにより好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液との重量体積比(g/mL)は1:6である。
【0050】
さらに、ステップ(1-2)のHCl-1,4-ジオキサン溶液は滴下され、反応系の内温は滴下中に-5~5℃に維持される。
【0051】
さらに、ステップ(1-2)の絶縁反応の温度は10~15℃である。
【0052】
さらに、ステップ(1-3)の第3の低極性溶媒は、n-ヘキサン、石油エーテル、及びn-ヘプタンから選択され、好ましくは、ステップ(1-3)の第3の低極性溶媒はn-ヘキサンから選択される。
【0053】
さらに、ステップ(1-3)の第3の低極性溶媒に対するステップ(1-1)の化合物1は約1:16であり、好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-3)の第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:10~25であり、より好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-3)の第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:12~20であり、より好ましくは、ステップ(1-1)の化合物1とステップ(1-3)の第3の低極性溶媒との重量体積比(g/mL)は1:15~17である。
【0054】
本発明はまた、以下の式で示される化合物の調製及び精製方法も提供する。
【化5】
【0055】
【0056】
本方法は以下のステップを含む。
(2-1)化合物2及び適量の化合物3を第8の有機溶媒に溶解して溶液Gを形成するステップと、
(2-2)第2のポリペプチド濃縮剤を適量の第9の有機溶媒に溶解して溶液Hを形成するステップであって、第2のポリペプチド濃縮剤のモル数が、ステップ(2-1)の化合物3のモル数よりも大きい、ステップと、
(2-3)溶液Hを溶液Gに加えて溶液Iを形成するステップと、
(2-4)溶液Iに適量の第2の有機塩基を加えて絶縁反応を行うステップと、
(2-5)反応の終了後、ステップ(2-4)の反応系に十分量の第4の低極性溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収するステップと、
(2-6)ステップ(2-5)で回収した有機相を適量の塩酸溶液、精製水、及び塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、乾燥して化合物4を得るステップ。
【0057】
さらに、ステップ(2-1)の第8の有機溶媒は、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、第8の有機溶媒はDMFである。
【0058】
さらに、ステップ(2-1)の化合物3と第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:6であり、好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3と第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:5~10であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3と第8の有機溶媒との重量体積比(g/mp)は1:5~8であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3と第8の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:6~7である。
【0059】
さらに、ステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤は、HATU、DIC、DCC、EDC、HCTU、DEPBT、EEDQ及びCDIから選択され、好ましくは、ステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤はHATUである。
【0060】
さらに、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比は約1:1.2であり、好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.01~1.5であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.1~1.4であり、さらにより好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第2のポリペプチド濃縮剤とのモル比は1:1.2~1.3である。
【0061】
さらに、ステップ(2-2)の第9の有機溶媒は、DMF、DMA、DMSO、及びDCMから選択され、好ましくは、第9の有機溶媒はDMFである。
【0062】
さらに、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:3であり、好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:2~6であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-2)の第9の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:3~4である。
【0063】
さらに、ステップ(2-3)において、溶液Hは溶液Gに滴下され、滴下中の反応系全体の内温は0~5℃である。
【0064】
さらに、ステップ(2-4)の第2の有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、及びピリジンから選択される1つ以上であり、好ましくは、ステップ(2-4)の第2の有機塩基はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0065】
さらに、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-4)の第2の有機塩基とのモル比は約1:3であり、好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-4)の第2の有機塩基とのモル比は1:2~5であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-4)の第2の有機塩基とのモル比は1:2.5~4であり、さらにより好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-4)の第2の有機塩基とのモル比は1:3~4である。
【0066】
さらに、ステップ(2-4)において、第2の有機塩基が溶液Iに滴下され、絶縁反応の温度が0~5℃である。
【0067】
さらに、ステップ(2-5)の第4の低極性溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランから選択され、好ましくは、ステップ(2-5)の第2の低極性溶媒はメチルtert-ブチルエーテルである。
【0068】
さらに、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-5)の第4の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は約1:20.2:20.2であり、好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-5)の第4の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:15~25:15~25であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-5)の第4の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:20~24:20~24であり、より好ましくは、ステップ(2-1)の化合物3とステップ(2-5)の第4の低極性溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:20~21:20~21である。
【0069】
さらに、ステップ(2-5)の第4の低極性溶媒と精製水の体積は同じである。
【0070】
さらに、ステップ(2-6)の塩酸溶液の濃度は約0.05mol/Lであり、好ましくは、ステップ(2-6)の塩酸溶液の濃度は0.02~0.08mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(2-6)の塩酸溶液の濃度は0.04~0.06mol/Lであり、より好ましくは、ステップ(2-6)の塩酸溶液の濃度は0.05mol/Lである。
【0071】
本発明はまた、式(I)に示される化合物の調製及び精製方法も提供する。
【化7】
【0072】
【0073】
本方法は以下のステップを含む。
(3-1)化合物4を第10の有機溶媒に溶解して溶液Jを形成するステップと、
(3-2)溶液Jに十分量のジエチルアミンを加えて絶縁反応を行い、Fmoc保護基を除去するステップと、
(3-3)反応の終了後、ステップ(3-2)の反応系に適量の第11の有機溶媒及び精製水を加えて抽出し、有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮するステップと、
(3-4)ステップ(3-3)で得られた減圧濃縮物にトルエン:メタノールの溶出系によるクロマトグラフィーで精製を行い、回収した溶出液を減圧下で濃縮するステップと、
(3-5)ステップ(3-4)で得られた減圧濃縮生成物を第12の有機溶媒で溶解した後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮するステップと、
(3-6)ステップ(3-5)で得られた減圧濃縮生成物を真空乾燥してMMAEを得るステップ。
【0074】
さらに、ステップ(3-1)の第10の有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、トリクロロメタン及び四塩化炭素から選択され、好ましくは、ステップ(3-1)の第10の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0075】
さらに、ステップ(3-1)の化合物4と第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:7であり、好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4と第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:4~10であり、より好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4と第10の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は1:5~8である。
【0076】
さらに、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-2)のジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は約1:3.5であり、好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-2)のジエチルアミンとの重量体積比(g/mL)は1:3~5であり、より好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-2)のジエチルアミンの重量体積比(g/mL)は1:3~4である。
【0077】
さらに、ステップ(3-2)のジエチルアミンは滴下され、滴下プロセス中、内温は0℃~5℃に維持され、ステップ(3-2)の絶縁反応の温度は20~30℃である。
【0078】
さらに、ステップ(3-3)の第11の有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素及びトルエンから選択され、好ましくは、ステップ(3-3)の第11の有機溶媒はジクロロメタンである。
【0079】
さらに、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-3)の第11の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は約1:7:10であり、好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-3)の第11の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:5~10:5~15であり、より好ましくは、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-3)の第11の有機溶媒と精製水との重量体積比(g/mL)は1:6~8:9~12である。
【0080】
さらに、ステップ(3-4)のクロマトグラフィー精製で使用されるシリカゲルは200~300メッシュのシリカゲルであり、溶出系は体積比(V/V)=10~20:1のトルエン:メタノールであり、好ましくは、溶出系は、最初に、体積比(V/V)=約20:1のトルエン:メタノールであり、TLCで生成物のみが視認されることが検出された時点で溶出系は体積比(V/V)=約10:1のトルエン:メタノールに変更される。
【0081】
TLC検出の展開剤は、体積比(V/V)=約5:1のトルエン:メタノールである。
【0082】
さらに、ステップ(3-5)の第12の有機溶媒は、メタノール、トルエン及びアセトニトリルから選択され、好ましくは、ステップ(3-5)の第12の有機溶媒はメタノールである。
【0083】
さらに、ステップ(3-1)の化合物4とステップ(3-5)の第12の有機溶媒との重量体積比(g/mL)は約1:3~10である。
【0084】
さらに、ステップ(3-5)のプロセスは1~5回繰り返してもよい。
【0085】
本発明によって提供されるMMAEの調製及び精製プロセスは、穏やかな合成及び精製条件を有し、過度の高温によって引き起こされる生成物のキラリティーの変化を効果的に防止することができ、分解不純物の生成を大幅に減少させ、生成物の純度を向上させ、生成物の収率を高める。さらに、本発明によって提供される調製及び精製プロセスは、良好な安定性を有し、スケールアップ生産により適している。本発明によって提供される調製及び精製プロセスによって調製されるMMAEは、99%を超える純度を有し、臨床薬剤の要件を完全に満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【発明を実施するための形態】
【0087】
本発明の技術的解決策の非限定的な詳細を、特定の実施形態に関連して以下にさらに説明する。以下の実施形態は、あくまで本発明の技術的概念及び特徴を説明するためのものに過ぎず、当業者に本発明の内容を理解させしめ、それに応じて本発明を実施可能ならしめることを目的としたものであり、本発明の保護範囲の限定するものではない点は指摘されなければならない。本発明の趣旨に従って行われた同等の変更または改変はすべて、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【実施例】
【0088】
【0089】
115.05gの化合物1(273.58mmol)及び230mLのジクロロメタン(Vジクロロメタン/W化合物1=2.0)を反応フラスコに加えた。内温を0~5℃に制御し、4mol/LのHCl-1,4-ジオキサン溶液690mL(V4mol/L HCl-1,4-ジオキサン溶液/W化合物1=6.0)を滴下して加えた。滴下後、温度を10℃に昇温し、温度を10~15℃に1時間維持して反応させた。超高速液体クロマトグラフィーでサンプリングして反応をモニタリングした後、0.5時間ごとにUPLCでサンプリングして反応をモニタリングし、試料を採取して化合物1の残存量を検出した。化合物1の残存量が1.0%未満となった時点で、反応が終了したとみなした。
【0090】
反応終了後、上記反応溶液を、1840mLのn-ヘキサン(V
n-ヘキサン/W
化合物1=16.0)が入った反応フラスコに撹拌下、ゆっくりと注ぎ入れた(n-ヘキサンは、予め0~5℃に冷却しておいてもよい)。撹拌を30分間継続し、上清をデカントした。反応フラスコ内の固体をダイヤフラム真空ポンプを用いて30~35℃で1±0.5時間、真空乾燥した。オイルポンプを用いて室温(18~26℃)で12時間以上真空乾燥を継続して、重量が変化しなくなった時点で化合物2(収率119%、純度95.4%、最大単一不純物1.4%)を得た。そのクロマトグラムを
図1に示す。
【0091】
実施例2 化合物4の調製及び精製
【化10】
114.17gの化合物2(301.52mmol)、192.31gの化合物3(301.52mmol)及び1160mLのDMF(
化合物3のV
DMF/W=6.0)を反応フラスコに順次加え、さらに139.04gのHATU(365.67mmol)を580mLのDMFに溶解して(V
DMF/W
化合物3=3.0)、HATUのDMF溶液を形成した。内温を0~5℃に制御し、化合物2及び化合物3のDMF溶液にHATUのDMF溶液を滴下した。滴下終了後、内温を0~5℃で20±2分間制御した。次いで、内温を0~5℃に制御しながら、118.07gのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(913.50mmol)を滴下し、滴下後、温度を0~5℃に保って1時間反応させた。UPLCで反応をモニタリングするためのサンプリングを行った後、0.5時間ごとにサンプリングを行って化合物3の残存量を検出した。化合物3の残存量が6.0%未満になった時点で、反応が終了したとみなした。
【0092】
反応終了後、反応溶液を30Lのガラス反応器に移し、3900mLのメチルtert-ブチルエーテル及び3900mLの精製水(予め0℃に冷却)を順次加えて抽出し、有機相を分離した。水相を3900mLのメチルtert-ブチルエーテルでさらに2回抽出した。有機相を合わせた。
【0093】
上記有機相を0.05mol/Lの塩酸溶液3900mL(予め0℃に冷却)で洗浄し、有機相を回収した。有機相を3900mLの精製水(V
精製水/W
化合物3=20.2)(予め0℃に冷却)で洗浄し、有機相を回収した。次いで、有機相を3900mLの30%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を回収した。次いで、有機相を撹拌し、388.48gの無水硫酸ナトリウムで0.5時間乾燥させた。乾燥剤を濾去し、フィルターケーキを1950mLのメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、濾液を合わせた後、減圧下30~35℃で濃縮して発泡させた。オイルポンプを少なくとも1時間真空乾燥させ、重量が変化しなくなった時点で、化合物4(収率112%、純度88.6%、最大単一不純物5.6%)を得た。そのクロマトグラムを
図2に示す。
【0094】
【0095】
307.22gの化合物4(326.75mmol)及び1900mLのジクロロメタンを反応フラスコに加えた。内温を0~5℃に制御し、950mLのジエチルアミンを滴下した。滴下後、20℃まで昇温してタイミング反応を開始し、温度を20~30℃に維持して10時間反応させた。UPLCで反応をモニタリングするためのサンプリングを行った後、UPLCで反応をモニタリングするためのサンプリングを1時間ごとに行い、サンプリングを行って化合物4の残存量を検出した。化合物4の残存量が1.0%未満になった時点で、反応が終了したとみなした。
【0096】
反応終了後、反応溶液を30Lのガラス製反応器に移し、1900mLのジクロロメタンを加え、2700mLの精製水(予め0℃に冷却)で2回洗浄し、有機相を分離した。有機相を撹拌し、542.04gの無水硫酸ナトリウムで0.5時間乾燥し、乾燥剤を濾去し、フィルターケーキをジクロロメタン810mLで洗浄し、濾液を合わせた。濾液を減圧下、30~35℃で濃縮して発泡させた。オイルポンプを使用して室温(18~26℃)で少なくとも1時間真空乾燥し、重量が変化しなくなった時点で粗製MMAEが得られた。
【0097】
クロマトグラフィーカラムを洗浄した後、カラムを充填した。13986.14gのシリカゲル(200~300メッシュ)と40Lのトルエンを撹拌して均一な流体状態とし、次にバッチでクロマトグラフィーカラムに移し(1時間放置)、5~8cmのトルエンをシリカゲルの上部に保持し、シリカ表面のトルエンを排出させた。
【0098】
262.17gの粗製MMAEを500mLのジクロロメタンに溶解した。粗製MMAEのジクロロメタン溶液を篩にゆっくりと注ぎ、添加後、試料表面の液体を排出させて試料の上面が平らになるようにし、2896.58gの無水硫酸ナトリウムをシリカカラムの上端に添加した。30Lの二層ガラス反応器を用いて溶出液を調製し、溶出液を2~8℃に冷却し、最初に235.2Lのトルエン:メタノール=20:1(V/V)系で溶出し、検出はカラーバンドが完全に流出するまで行わなかった。カラーバンドが流出した後、薄層クロマトグラフィー(TLC)検出を開始し(展開剤はVトルエン:Vメタノール=5:1、発色にはヨウ素を使用)、生成物のみが視認された時点で、140.8Lのトルエン:メタノール=10:1(V/V)を代わりに使用して、生成物が完全に流出するまで(TLCによって生成物が検出されなくなるまで)連続溶出を行った。
【0099】
MMAEの純粋な画分を合わせ、減圧下35~40℃で濃縮して発泡させた。1200mLのメタノールで溶解した後、生成物を濾過し、減圧下35~40℃で濃縮し、この操作を2回繰り返した。オイルポンプ真空下、40~45℃で10~18時間乾燥した後、均一な粉末が得られるまで粉砕を数回行った。合計36時間連続乾燥した後、6~12時間ごとにサンプリングを開始し、メタノール及びトルエン溶媒残留物を検出した。メタノール残留物が0.200%以下、トルエン残留物が0.089%以下になった時点で乾燥を停止して、収率71.79%、純度99.8%、単一不純物0.2%の精製MMAEを得た。そのクロマトグラムを
図3に示す。
【0100】
以上、本発明を、さまざまな特定の実施形態によって例示した。しかしながら、当業者であれば、本発明がそれぞれの特定の実施形態に限定されるものではなく、当業者が本発明の範囲内でさまざまな変更または改変を行い得る点、また、本明細書のさまざまな箇所に述べられるさまざまな技術的特徴を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができる点は理解することができる。かかる改変及び変更は、本発明の範囲内のものである。
【国際調査報告】