(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】薄膜乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 15/00 20060101AFI20240308BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20240308BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20240308BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240308BHJP
【FI】
F26B15/00 C
B05C9/12
H10K71/12
H10K50/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558252
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 KR2021014339
(87)【国際公開番号】W WO2022203143
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0038857
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523149709
【氏名又は名称】ナレナノテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジャジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨンウォン
【テーマコード(参考)】
3K107
3L113
4F042
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC45
3K107FF06
3K107FF15
3K107GG06
3K107GG28
3K107GG35
3L113AA02
3L113AB02
3L113AB10
3L113AC10
3L113AC36
3L113AC67
3L113BA34
3L113CB06
3L113DA10
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA22
4F042DB02
4F042DB04
4F042DB42
(57)【要約】
【課題】 本発明は、薄膜乾燥装置を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る薄膜乾燥装置は、基板上に塗布された塗布液上に広帯域波長帯域の多波長を有する光を照射して前記塗布液の表面及び内部を同時に乾燥させる広帯域光源を備える広帯域光源部と、前記広帯域光源に連結され、前記広帯域光源を駆動させる光源駆動部と、及び前記光源駆動部の動作を制御する制御部と、を含み、前記広帯域光源は紫外線(ultra violet、UV)波長帯域において近赤外線(near infrared ray、NIR)波長帯域の間に多波長を有する光を前記基板上に照射することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜乾燥装置において、
基板上に塗布された塗布液上に広帯域波長帯域の多波長を有する光を照射して前記塗布液の表面及び内部を同時に乾燥させる広帯域光源を備える広帯域光源部と、
前記広帯域光源に連結され、前記広帯域光源を駆動させる光源駆動部と、及び
前記光源駆動部の動作を制御する制御部と、を含み、
前記広帯域光源は紫外線(ultra violet、UV)波長帯域から近赤外線(near infrared ray、NIR)波長帯域の間の多波長を有する光を基板上に照射する、薄膜乾燥装置。
【請求項2】
前記広帯域波長帯域の範囲が300nm~1200nmの波長帯域である、請求項1に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項3】
前記広帯域光源が、Xe、Kr、Ar、Ne、及びHeのうちの少なくとも1つの不活性ガスを含む、請求項1に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項4】
前記広帯域光源としてXeガスを含むキセノンランプが用いられる、請求項3に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項5】
前記広帯域光源は、前記基板の上部に提供される複数の広帯域光源で具現されるが、前記基板の移送方向に対して水平な方向又は垂直な方向のいずれか一方に配列されるか、又は両者の方向に配列される、請求項1に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項6】
前記複数の広帯域光源は、前記光源駆動部と並列方式又は直列方式で連結される、請求項5に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項7】
前記広帯域光源部は、前記広帯域光源を収容するハウジングをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至6いずれか一項に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項8】
前記制御部は、パルス幅変調(pulse width modulation:PWM)方式を用いて前記光源駆動部を制御することにより、前記広帯域光源から照射される光の照射量を制御する、請求項1乃至6いずれか一項に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項9】
前記基板を連続的に移送させる移送コンベアをさらに含む、請求項1に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項10】
前記広帯域光源部が提供される密閉の乾燥チャンバーをさらに含み、
前記乾燥チャンバーは前記基板が投入される投入口及び乾燥が完了された前記基板が排出される排出口を備える、請求項1に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項11】
前記乾燥チャンバーは、複数の乾燥チャンバーが多段からなる多段乾燥チャンバーで具現され、
複数の基板(G)のそれぞれが前記多段乾燥チャンバーのそれぞれに投入されて乾燥工程が行われる、請求項10に記載の薄膜乾燥装置。
【請求項12】
前記乾燥チャンバーは、内部に複数の離隔した乾燥空間を形成するが、各乾燥空間内に前記広帯域光源部が設けられ、
前記複数の乾燥空間のそれぞれに前記基板が投入されて乾燥工程が行われる、請求項10に記載の薄膜乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜乾燥装置に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、広帯域光源を用いて基板上に塗布された塗布液を表面から内部までできるだけ早い時間内に乾燥させることができる薄膜乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電子回路部品、有機発光ダイオード(OLED)又は液晶ディスプレーパネル(LCD)などのフラットパネルディスプレー(Flat Panel Display;FPD)を製造するためには、様々な薄膜を積層する工程が必要である。特に、有機発光ダイオードディスプレーは、最近柔軟性が求められ、ガラス基板を使用せずにポリイミドなどの物質を薄膜でコーティングして使用している。通常、フレキシブル有機発光ダイオードディスプレーはガラス基板上にポリイミド層を薄くコーティングした後にディスプレー素子を形成する。その後、ガラス基板上にディスプレー素子が形成されたポリイミド層を剥離させてディスプレーを作製する。
【0004】
近年、ディスプレーの大面積化及び柔軟性を改善させるという要求が増大しており、薄膜をより迅速かつ正確に形成することが求められている。
【0005】
このような技術的要求に応じて、有機発光ダイオードディスプレーは、ガラス基板上にさらに薄い厚みでポリイミドをコーティングして硬化させる工程が使用されている傾向がある。ポリイミド薄膜はソルベントなどの有機溶剤に希釈されている状態で薄膜が形成されるため、必ず乾燥工程が必要であり、従来はガラス基板上に塗布されたポリイミド層を乾燥するために乾燥炉内に設けられたヒーター及びファンを用いて空気を加熱してポリイミド薄膜上に供給して乾燥させる熱風乾燥方式を用いたり、赤外線ランプを用いてポリイミド薄膜表面に直接光を照射する方式を適用した。
【0006】
しかしながら、上述したようなヒーター及びファンを用いた従来の熱風乾燥方式又は赤外線ランプを用いる工程は、次のような問題点がある。
【0007】
従来の熱風乾燥方式は、熱風が液状感光剤の表面に接触して伝達された熱が感光剤の表面から内部に伝導されながら乾燥が進むにつれて乾燥時間が長くなり、それにより乾燥炉内にポリイミド薄膜が塗布されたガラス基板が移動する乾燥空間も長くなければならず、それにより一字形の乾燥炉の場合には製造にかなり広い空間が要求される問題点がある。
【0008】
さらに、熱風乾燥方式は、ヒータを介して加熱された空気をファンを用いて供給して乾燥させる過程で、熱風内にほこり及び/又は異物を含むことができ、このようなほこり及び/又は異物の流入防止及び/又は除去のための清浄施設の設置に伴う費用が多くかかる問題点がある。
【0009】
このような熱風乾燥方式の問題を解決するために、近年、UVランプ及びIRランプを光源として利用する光乾燥方式が開発された。
【0010】
しかし、UVランプ及びIRランプの光源を用いた光乾燥方式は、特定波長帯域の光(例えば、UVランプは紫外線波長帯域を有する光、IRランプは赤外線波長帯域を有する光)が照射されるため、ポリイミッド薄膜に照射される光エネルギーの照射量が著しく少なく、ポリイミド薄膜の表面から内部までの全体の乾燥時間がさらに増加するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明は広帯域光源を用いて紫外線領域から近赤外線領域まで広い範囲にわたって光が基板上の塗布された塗布液に照射されるようにして塗布液に含有されたソルベントを早い時間内に除去して乾燥させることができる薄膜乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置は、基板上に塗布された塗布液上に広帯域波長帯域の多波長を有する光を照射し、前記塗布液の表面及び内部を同時に乾燥させる広帯域光源を備える広帯域光源部と、前記広帯域光源に連結され、前記広帯域光源を駆動させる光源駆動部と、及び前記光源駆動部の動作を制御する制御部と、を含み、前記広帯域光源は前記広帯域光源は紫外線(ultra violet、UV)波長帯域において近赤外線(near infrared ray、NIR)波長帯域の間に多波長を有する光を前記基板上に照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置を使用すると、以下の利点が達成される。
【0014】
1.紫外線領域から近赤外線領域まで様々な波長帯域を有する波長の光が照射される広帯域光源を用いることにより、例えば、ポリイミドのような塗布液に含有されたソルベントをできるだけ早い時間内に除去して塗布液を乾燥させることができる。
【0015】
2.従来技術に比べて著しく速い塗布液の乾燥が可能であるため、乾燥炉の乾燥空間も最小化が可能となり、それにより乾燥炉設置に要するコストも最小化される。
【0016】
3.熱風を使用しないため、ほこりや異物の流入を防止又は除去するための清浄施設の設置費用は不要である。
【0017】
4.前記1~3の利点により、最終製品(例えば、有機発光ダイオードディスプレー)の製造コストが大幅に削減される。
【0018】
5.前記1~3の利点により、最終製品(例えば、有機発光ディスプレー)の製造のための本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置をインライン方式又はバッチ(batch)方式などに自由に適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置の構造を概略的に示す図面である。
【0020】
【
図2】従来技術による紫外線及び赤外線光源を用いた光の波長帯域を示すグラフである。
【0021】
【
図3】
図2のグラフと本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いた光の波長帯域を示すグラフである。
【0022】
【
図4】従来技術による熱風乾燥方式における熱の移動状態と、本発明の一実施形態による広帯域光源を用いた光の照射状態とを比較して説明するためのグラフである。
【0023】
【
図7】本発明の一実施形態による複数の広帯域光源が基板の上部において基板の移送方向に対して水平な方向及び/又は垂直な方向に配列される構成を概略的に示す図面である。
【0024】
【
図8】本発明の一実施形態による1つの光源駆動部に複数の広帯域光源が直列方式又は並列方式で連結された状態を概略的に示す図面である。
【0025】
【
図9】本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置をインライン方式で具現した例を概略的に示す図面である。
【0026】
【
図10】本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置をバッチ方式で具現した例を概略的に示す図面である。
【0027】
【
図11】本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置を用いて経時的に基板上に塗布された塗布液(L)中のソルベントの乾燥率についての実験結果をグラフで示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明による好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面において、同じ構成要素は可能な限り同じ符号で付していることに留意されたい。なお、本発明の要旨をぼかすことができる公知の機能及び構成の詳細な説明は省略する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置の構造を概略的に示す図面である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100は、基板(G)上に塗布された塗布液(L)上に広帯域波長帯域の多波長を有する光を照射して前記塗布液(L)の表面及び内部を同時に乾燥させる広帯域光源111を備える広帯域光源部110と、前記広帯域光源111に連結され、前記広帯域光源111を駆動させる光源駆動部120と、及び前記光源駆動部120の動作を制御する制御部130と、を含み、前記広帯域光源111は紫外線(ultra violet、UV)波長帯域において近赤外線(near infrared ray、NIR)波長帯域の間の多波長を有する光を前記基板上(G)に照射することを特徴とする。
【0031】
以下では、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100の具体的な構成及び動作について詳細に述べる。
【0032】
再び
図1を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100は広帯域光源部110、光源駆動部120及び制御部130を含むことができる。
【0033】
本発明の一実施形態による広帯域光源部110は、基板(G)上に塗布された塗布液(L)に向けて広帯域波長帯域の多波長を有する光を照射して塗布液(L)内に含有されているソルベントを除去する広帯域光源111、及び前記広帯域光源111が収容されるハウジング112を含むことができる。この場合、本発明の一実施形態による広帯域光源部110は少なくとも1つ以上の広帯域光源111を含むことができる。
【0034】
このとき、広帯域光源111から照射される光の広帯域波長帯域は、紫外線波長帯域から近赤外線波長帯域までを含む波長帯域であってもよい。
【0035】
より具体的には、広帯域光源111の広帯域波長帯域の範囲は、例えば、300nm~1200nmの波長帯域であり得る。
【0036】
本発明の一実施形態による広帯域光源111はXe、Kr、Ar、Ne、及びHeのうちの少なくとも1つの不活性ガスを含むことができ、本発明の一実施形態では広帯域光源111としてXeガスを含むキセノンランプを使用することができるが、これに限定されないことに留意されたい。
【0037】
図2は、従来技術による紫外線及び赤外線光源を用いた光の波長帯域を示すグラフであり、
図3は、本発明の一実施形態による広帯域光源を用いた光の波長帯域を示すグラフである。
【0038】
図2(a)を参照すると、塗布液(L)を乾燥させるための光源としてUVランプを用いる場合には、紫外線波長帯域、すなわち、比較的短い波長帯域(300~600nm)の波長を有する光が塗布液(L)上に照射され、
図2(b)を参照すると、IRランプを用いる場合には赤外線波長帯域、すなわち、比較的長い波長帯域(800~1100nm)の波長を有する光が塗布液(L)に照射される。
【0039】
すなわち、薄膜乾燥装置100で光源としてUVランプを用いる場合、特定波長帯域(300~600nmの紫外線波長帯域)の光が塗布液(L)上に照射されるため、短波長に起因する光エネルギーの強度は大きいが、全体エネルギー照射量が少なく、塗布液(L)を表面から内部まで全体的に乾燥させるための乾燥時間が長くかかる。
【0040】
また、薄膜乾燥装置100で光源としてIRランプを用いる場合、800~1100nmの長い赤外線波長帯域の光が塗布液(L)上に照射されるため、光エネルギーの強度が弱く、特に塗布液(L)として用いられるポリイミド薄膜は、長波長透過率が低い特性を有し、乾燥性能及び効率が低下する問題があった。
【0041】
しかしながら、
図3を参照すると、本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いると、紫外線波長帯域に近赤外線波長帯域を含む300~1200nmの波長帯域の多波長を有する光塗布液(L)上に照射されることにより、
図2に示した従来技術の光源に比べて 全体エネルギー照射量が多くなり、また、全体エネルギーの強度も増加し、塗布液(L)の表面及び内部の同時乾燥が可能となり、塗布液(L)を乾燥させるための乾燥時間を最大限短縮できる。
【0042】
上述した
図3に示すグラフは、広帯域光源としてXeガスを含むキセノンランプに1,000Vの電圧を印加した場合に得られたグラフである。
【0043】
図4は、従来技術による熱風乾燥方式における熱の移動状態と、本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いた光の照射状態とを比較して説明するためのグラフである。
【0044】
図4(a)を参照すると、従来技術による熱源(ヒータ:図示せず)及びファン(図示せず)によって加熱された空気の熱風が塗布液(L)の表面と水平な方向に供給される。そのため、熱風と接触する塗布液(L)は表面から乾燥が始まるため、塗布液(L)の内部に存在するソルベントが乾燥した表面を突き抜け出ることが難しく、すぐに除去できず、熱風により塗布液(L)の表面に供給された熱が伝導により塗布液(L)内部に伝達されながら塗布液(L)内部のソルベントが加熱除去されるためにはかなりの時間が必要であり、最終的に塗布液(L)の乾燥時間が著しく長くなる。
【0045】
しかしながら、
図4(b)を参照すると、本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いれば、広帯域光源111から様々な範囲の波長帯域(具体的には、
図3に示されたように300~1200nmの範囲の波長帯域)を含む多波長の光が塗布液(L)の表面に照射されるだけでなく、照射された光が塗布液(L)の内部に透過して吸収されるのに十分なエネルギーを有するため、塗布液(L)の表面と内部を同時に乾燥させることが可能となり、塗布液(L)の乾燥時間を最大限短縮できるようになる。
【0046】
図5乃至
図7は、本発明の一実施形態による複数の広帯域光源が基板の上部において基板の移送方向に対して水平な方向及び/又は垂直な方向に配列される構成を概略的に示す図である。
【0047】
図5乃至
図7を参照すると、本発明の一実施形態による広帯域光源111は複数個を使用でき、このような複数の広帯域光源111は基板(G)の上部側に配置されることができる。
【0048】
このとき、複数の広帯域光源111は、基板(G)の上部から基板(G)の移送方向に対して垂直な方向に配列されるか(
図5参照)、基板(G)の上部から基板(G)の移送方向に対して水平な方向に配列されることができる(
図6参照)。また、複数の広帯域光源111は、基板(G)の上部における基板(G)の移送方向に対して一部は垂直な方向に、残りの一部は水平な方向に並行して配列されてもよい(
図7参照)。
図7の実施形態では、複数の広帯域光源111の一部が基板(G)の移送方向に対して垂直な方向に配列され、順次に複数の広帯域光源111の残りの部分が基板(G)の移送方向に対して水平な方向に配列されることで例示しているが、当業者であれば、複数の広帯域光源111の一部が基板(G)の移送方向に対して水平な方向に配列されたり、順次に複数の広帯域光源111の残りの部分が基板(G)の移送方向に対して垂直な方向に配列されたりすることを十分に理解できるだろう。
【0049】
本発明の一実施形態による光源駆動部120は広帯域光源111に連結され、広帯域光源111を駆動させることができる。
【0050】
図8(a)及び(b)を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100(
図1参照)では、
図5乃至
図7に示す複数の広帯域光源111が1つの光源駆動部120と並列方式(
図8(a)参照)又は直列方式(
図8(b)参照)で連結され、1つの光源駆動部120が複数の広帯域光源111を駆動させることができる。
【0051】
もちろん、1つの広帯域光源111を1つの光源駆動部120に連結して駆動することも可能であるが、薄膜乾燥装置100の全体的なサイズを縮小するために、1つの光源駆動部120に複数の広帯域光源111を並列方式又は直列方式で連結して駆動することが好ましい。
【0052】
図9を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100(
図1参照)は、例えば、基板(G)を連続的に移送しながら基板(G)に塗布された塗布液(L)を乾燥するインライン方式(In-Line Type)で具現されることができる。
【0053】
このとき、薄膜乾燥装置100は基板(G)を連続的に移動させるための移送コンベア200を含むことができる。
【0054】
すなわち、
図9に示すインライン方式で具現された薄膜乾燥装置100では、塗布液(L)が塗布された複数の基板(G)が移送コンベア200上に位置され、薄膜乾燥装置100の下部から移動できる。これにより、薄膜乾燥装置100(
図1参照)に提供された広帯域光源111によって複数の基板(G)上に塗布された各塗布液(L)に対する連続的な乾燥工程を行うことが可能となる。これにより、全工程時間が大幅に短縮されることはもちろん、最終製品(例えば、有機発光ダイオードディスプレー)の量産が可能となる。
【0055】
図10は、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置をバッチ方式で具現した例を概略的に示す図である。
【0056】
図10を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100(
図1参照)は広帯域光源部110が密閉された乾燥チャンバー300内に提供され、塗布液(L)が塗布された基板(G)を乾燥チャンバー300内に投入して加熱するバッチ方式(Batch Type)で具現されることができる。 。
【0057】
このとき、薄膜乾燥装置100の広帯域光源部110が提供された乾燥チャンバ300は基板(G)が投入される投入口301及び乾燥が完了した基板(G)を排出する排出口302を備えてもよい。この場合、乾燥チャンバ300の投入口301及び排出口302を介して基板(G)を投入及び排出するためには、例えば、基板(G)をピックアップして移送するためのロボットアーム等の基板ピックアップ及び移送装置(図示せず)を使用することができる。
【0058】
乾燥チャンバー300の内部には所定の作業空間を形成することができ、作業空間は、略六面体の空間で塗布液(L)が塗布された基板(G)の形状と対応する平面形状を有することができる。これに限定されないことに留意されたい。
【0059】
図10に示すような本発明の一実施形態に係るバッチ方式の薄膜乾燥装置100(
図1参照)では、一枚の基板(G)を乾燥チャンバー300内に投入して乾燥過程を行う。その後、乾燥が完了した基板(G)を排出した後、新しい基板(G)を乾燥チャンバ300内に投入して再度乾燥過程を行う方式で乾燥工程が行われる。
【0060】
図示していないが、当業者であれば、複数の乾燥チャンバー300が多段からなる多段乾燥チャンバーとして具現され、複数の基板(G)の各々を多段乾燥チャンバーの各々に投入して乾燥工程を行うか、又は一つの乾燥チャンバー300内に複数の離隔した乾燥空間を形成するが、各乾燥空間内に
図1に示す薄膜乾燥装置100の広帯域光源部110を設けた後、複数の基板(G)のそれぞれを複数の乾燥空間のそれぞれに投入して乾燥工程を行うことを十分に理解できる。
【0061】
再び
図1を参照すると、本発明の一実施形態による制御部130は、光源駆動部120の動作を制御することができ、一例として、制御部130は、マイクロ制御ユニット(micrо cоntrоl unit;MCU)で具現されることができる。
【0062】
制御部130は、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)方式を用いて光源駆動部120を制御することにより、複数の広帯域光源111から照射される光の照射量を制御することができる。
【0063】
一方、制御部130は、複数の広帯域光源111に対して駆動周波数を1~20Hzの範囲、オンタイム(Оn-Time)制御時間を300~1000μsの範囲、許容電流を100~1,200Aの範囲、及び放電電圧は500~2000Vの範囲内で制御できる。
【0064】
以下では、本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いて塗布液(L)を乾燥させた結果について詳細に説明する。
【0065】
図11は、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100を用いて経時的に基板上に塗布された塗布液(L)中のソルベントの乾燥率についての実験結果をグラフで示す。
【0066】
表1は、本発明の一実施形態による広帯域光源111を用いて経時的にソルベントの乾燥率を示したものである。
【0067】
【0068】
本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置100を用いた塗布液(L)乾燥実験に用いられた塗布液(L)はポリイミド(polyimide、PI)液が用いられ、ポリイミドはKeneka社で作製したAA-29B製品を用いた。ここで、ポリイミド液にはソルベントとしてNMP(N-メチル-2-ピロリドン)を用い、この場合、NMPの含有量は90%であり、固形分の含有量は10%であった。さらに、ポリイミド液は基板上にバーコーティング(bar cоating)を用いて濡れた状態で約50~55μmの厚みでコーティングした。
【0069】
その後、基板上にコーティングされたポリイミド液(塗布液(L)を広帯域光源111を用いてそれぞれ30秒、60秒、90秒、及び120秒の乾燥時間で下記に定義される乾燥率を電子スケールで測定した。
【0070】
このとき、乾燥率=塗布液(L)乾燥前の重量/塗布液(L)乾燥後の重量として算出した。
【0071】
表1及び
図11のグラフに示すように、広帯域光源111を用いて塗布液(L)を乾燥させた場合、90秒以上でNMPの乾燥率が約90%以上(NMPが完全に除去された完全乾燥状態)であることが確認された。また、90秒以上で乾燥後塗布液(L)コーティング厚みが5.4μm以下であり、初期の塗布液(L)コーティング厚み対比乾燥後のコーティング厚みが90%以上減少したことが確認された。
【0072】
以上の結果から分かるように、従来の光源を用いた場合には塗布液(L)の完全乾燥に最大5時間以上の長い乾燥時間が必要であったが、本願発明の広帯域光源111を用いた場合には約90秒程度の乾燥時間だけでも塗布液(L)の完全乾燥が可能であるため、従来技術に比べて塗布液(L)の乾燥時間を著しく短縮することができる。
【0073】
上述したように、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置は、紫外線領域から近赤外線領域までの様々な波長帯域の多波長を有する光を照射することができる広帯域光源を用いることにより、例えば、液状感光剤のような塗布液に含有されたソルベントをできるだけ早い時間で除去して塗布液の乾燥が可能となる。
【0074】
また、本発明の一実施形態に係る薄膜乾燥装置を用いる場合、従来技術に比べて著しく速い時間内に塗布液の乾燥が可能であるため、乾燥炉の乾燥空間も最小化が可能となり、それに応じて乾燥炉設置に必要なコストも最小化される。
【0075】
さらに、従来技術とは異なり、熱風を使用しないため、ほこり及び/又は異物の流入を防止又は除去するための清浄施設の設置コストが不要である。
【0076】
さらに、前記の利点により、最終製品(例えば、有機発光ダイオードディスプレー)の製造コストが大幅に削減される。
【0077】
また、前記の利点により、本発明の一実施形態による薄膜乾燥装置をインライン方式やバッチ(batch)方式などに自由に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
上述したように、本発明は添付の図面及び例示的な実施形態を参照して説明されたが、本発明の保護範囲はそのような図面及び例示的な実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内では任意の修正及び変形実施が可能である。
【国際調査報告】