(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】AFT骨格構造を有するゼオライト材料を含むSCR触媒及びその合成
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20240308BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20240308BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240308BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20240308BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B01J29/76 Z ZAB
C01B39/48
B01D53/94 222
F01N3/10 A
F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558848
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 CN2022082249
(87)【国際公開番号】W WO2022199573
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/082413
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チー,シヤオトー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッティパリ,ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】シー,リーホワ
(72)【発明者】
【氏名】タイ,ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイタオ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
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4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB05
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4G169ZE01
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物に関する。本発明はまた、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの調製方法、及び窒素酸化物の選択的触媒還元のためのゼオライトの使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む、SCR触媒組成物。
【請求項2】
前記プロモーター金属が、遷移金属、アルカリ土類金属、Sb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、好ましくはCu及び/又はFe、好ましくはCuを含む、請求項1に記載のSCR触媒組成物。
【請求項3】
前記プロモーター金属がCu及び/又はFeからなる、請求項2に記載のSCR触媒組成物。
【請求項4】
前記プロモーター金属が、前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項5】
前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、10~25、好ましくは13~25、好ましくは13~20、より好ましくは13~18のシリカ対アルミナのモル比を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項6】
前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、典型的には、500nm以下、特に200nm~500nmの範囲の平均結晶径を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項7】
前記プロモーター金属が、前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項8】
合成されたままの形態の前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンと、ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンとを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項9】
合成されたままの形態の前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンのみを有機カチオンとして含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項10】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部分が、置換又は非置換の直鎖又は分岐C
3~C
10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分岐C
3~C
10アルカンジイルから選択される、請求項8又は9に記載のSCR触媒組成物。
【請求項11】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、下記の式(I):
(C
2H
5)
3N
+(CH
2)
nN
+(C
2H
5)
3 (I)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表される、請求項10に記載のSCR触媒組成物。
【請求項12】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、下記の式(II):
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
5アルキルであり、そして
R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルであるか、
又は
R
1及びR
3は、共に結合して1,4位間の1~3員結合、例えばエチレン結合を形成し、そして
R
2及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである)
で表される、請求項8、10及び11に記載のSCR触媒組成物。
【請求項13】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R
1はC
1~C
5アルキルであり、そしてR
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである、請求項12に記載のSCR触媒組成物。
【請求項14】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R
1はC
1~C
5アルキルであり、R
2及びR
4は、互いに独立して、H又はC
1~C
5アルキルであり、そしてR
3はHである、請求項13に記載のSCR触媒組成物。
【請求項15】
合成されたままの形態の前記AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオン及び1-メチル-1-プロピル-ピペリジニウムカチオンを含む、請求項14に記載のSCR触媒組成物。
【請求項16】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Al
2O
3の源、
(B) SiO
2の源、
(C1) N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含む第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、及び
(2) 前記合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む、方法。
【請求項17】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部分が、置換又は非置換の直鎖又は分岐C
3~C
10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分岐C
3~C
10アルカンジイルから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、下記の式(I):
(C
2H
5)
3N
+(CH
2)
nN
+(C
2H
5)
3 (I)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、好ましくは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウムより選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、下記の式(II):
【化2】
(式中、
R
1は、C
1~C
5アルキルであり、そして
R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルであるか、
又は
R
1及びR
3は、共に結合して1,4位間の1~3員結合、例えばエチレン結合を形成し、そして
R
2及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである)
で表される、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R
1はC
1~C
5アルキルであり、そしてR
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R
1はC
1~C
5アルキルであり、R
2及びR
4は、互いに独立して、H又はC
1~C
5アルキルであり、そしてR
3はHである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせより、好ましくは1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくは1-メチル-1-プロピルピペリジニウムより選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第一の有機構造指向剤がN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、前記第二の有機構造指向剤が1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:2~1:20、又は1:4~1:10、好ましくは1:4~1:8、より好ましくは1:5~1:7の範囲のモル比で使用される、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
Al
2O
3及びSiO
2の源がFAUゼオライト、特にゼオライトYを含み、より好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO
2対Al
2O
3のモル比を有するゼオライトYを含む、請求項16から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
SiO
2の追加的な源が使用される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒における、請求項16から27のいずれか一項に記載の方法から得られる又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの使用方法。
【請求項29】
触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品であって、前記触媒組成物が請求項1から15のいずれか一項に定義したSCR触媒組成物であるか、又は前記触媒組成物が請求項16から27のいずれか一項に記載の方法から得られた又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを含む、触媒物品。
【請求項30】
内燃機関、及び前記内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、請求項29に記載の触媒物品が前記排気ガス導管内に存在する、排気ガス処理システム。
【請求項31】
(A)窒素酸化物を含むガス流を提供する工程、
(B)前記ガス流を請求項1から15のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物又は請求項29に記載の触媒物品と接触させる工程
を含む、窒素酸化物の選択的触媒還元の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AFT骨格構造を有するゼオライト材料を含むSCR触媒、該ゼオライト材料を調製する方法、及び該ゼオライト材料を窒素酸化物の選択的触媒還元に使用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
触媒物品は、現代の内燃機関にとって、排気を空気に排出する前に処理するため不可欠である。内燃機関からの排気は、典型的には、粒子状物質(PM)、NO及び/又はNO2などの窒素酸化物(NOx)、未燃焼炭化水素(HC)、及び一酸化炭素(CO)を含む。窒素酸化物(NOx)の排出抑制は、生態系、動植物の生命に対する環境的な悪影響から、自動車分野では常に最重要課題の一つである。
【0003】
内燃機関からの排気、特にディーゼルエンジンの排気からNOxを除去する効果的な技術の一つは、アンモニア又は二次アンモニア源によるNOxの選択的触媒還元(SCR)である。小細孔ゼオライト、例えばCHA、AEI又はAFX骨格構造を有するものは、排気処理用のSCR触媒として優れていることが見出されている。小細孔ゼオライトをベースとしたSCR触媒の蓄えが拡大できれば望ましい。
【0004】
AFT骨格構造を有するゼオライトは、アルミノホスフェート(AIPO)小細孔ゼオライトとして知られていた。近年、AFT骨格を有するアルミノシリケートゼオライトも、例えば米国特許第10,343,927B2号で合成及び報告されている。US10,343,927B2でSSZ-112と指定されているAFT骨格を有するアルミノシリケートゼオライトは、SiO2、Al2O3の源、第一族金属、ヒドロキシドイオン、第一の有機テンプレート(Q1)としてヘキサメトニウムジカチオンイオン、及び第二の有機テンプレート(Q2)として1-メチル-1-アルキルピロリジニウムカチオン及び1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む合成ゲルから調製され、その各アルキル基は独立してC1~C5アルキルである。ゼオライトSSZ-112をアルキル化、分解、水素化分解、異性化、オリゴマー化、有機酸素酸塩(例えばメタノール及び/又はジメチルエーテル)からオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)への転化、モノアルキルアミン及びジアルキルアミンの合成、及び窒素酸化物の触媒的還元を含む、多種多様な有機又は無機の転化プロセスの触媒として使用され得ることが述べられている。しかしながら、ゼオライトSSZ-12については、US10,343,927B2において如何なる触媒性能試験も行われなかった。
【0005】
AFT骨格構造を有するゼオライトをベースとした有望なSCR触媒が開発されれば望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,343,927B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、AFT骨格構造を有するゼオライトをベースとするSCR触媒を提供することであり、この触媒は望ましい活性を有し、特に、高温、例えば800℃以上でのエージングに対する優れた安定性を併せ持つ。
【0008】
驚くべきことに、この目的は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物によって達成されることが見出された。
【0009】
本発明の別の目的は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための新規方法を提供することである。
【0010】
この目的は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウム有機構造指向剤と、1-メチル-1-アルキルピペリジニウム有機構造指向剤との組み合わせを用いることにより達成された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
よって一側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物に関するものである。
【0012】
別の側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法に関するものであり、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Al2O3の源、
(B) SiO2の源、
(C1) 第一の有機構造指向剤、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンの源、及び
(C2) 第二の有機構造指向剤、ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンの源
を含む、工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0013】
さらに別の側面において、本発明は、ここに記載の方法によって得られた及び/又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒において使用する方法に関するものである。
【0014】
なお別の側面において、本発明は、SCR触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上にSCR触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品に関するものであり、そのSCR触媒組成物は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む。
【0015】
さらなる側面において、本発明は、内燃機関、及びその内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関するものであり、ここに記載の触媒物品が、排気ガス導管内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施例1~6のゼオライト(材料A~F)それぞれのSEM画像を示す。
【
図2】
図2は、実施例1~6のゼオライト(材料A~F)それぞれのXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を以下で詳細に記載する。本発明は、多くの異なる方法で具体化することができ、ここに記載されている実施形態に限定されると解釈してはならないことを理解されたい。
【0018】
ここで、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「含む」、「含んでいる」などは、「含有する」、「含有」などと同じ意味で使用され、非限定的で開放的に解釈される。すなわち、例えばさらなる構成要素又は要素が存在し得る。「~からなる」又は「~から本質的になる」という表現、又は同族語は、「含む」又は同族語の中に包含される。
【0019】
ここで使用される用語「AFT」とは、国際ゼオライト委員会(IZA)構造委員会(International Zeolite Association (IZA) Structure Commission)によって承認されたAFT骨格型を指す。
【0020】
ゼオライトの文脈で使用される「アルミノシリケート」という用語は、主にアルミナ及びシリカから構成される骨格を意味することを意図しており、アルミニウム及びケイ素以外の骨格金属を含んでいても含んでいなくてもよい。1つ以上のアルミニウム又はケイ素骨格原子の代わりにアルミニウム以外の骨格金属が存在する場合、アルミノシリケートゼオライトは「金属置換」と呼ばれ得る。
【0021】
ここで使用される「AFT骨格構造を有するゼオライト」、「AFT型のゼオライト」、「AFTゼオライト」などの用語は、AFT骨格構造のXRDパターンを示す材料を指すことを意図しており、ここでは以下で互いに互換的に使用される。これらの用語はまた、ゼオライトの任意の形態、例えば、合成したままの形態、か焼された形態、NH4-交換された形態、H-形態及び金属置換形態を含むことを意図している。
【0022】
ここで使用される「合成したまま」という用語は、結晶化及び乾燥後の形態の、有機構造指向剤を除去する前のゼオライトを指すことを意図している。
【0023】
ここで使用される「か焼された形態」という用語は、か焼時の形態のゼオライトを指すことを意図している。
【0024】
ここで使用される「プロモーター金属」という用語は、ゼオライトの触媒活性を向上させることができる非骨格金属を指す。「非骨格金属」とは、その金属がゼオライト骨格構造の構成に関与しないことを意味することを意図している。プロモーター金属は、ゼオライト内部及び/又はゼオライト表面の少なくとも一部に、好ましくはイオン種の形態で存在する。
【0025】
よって本発明は、AFT型のアルミノシリケートゼオライトと、AFT型のアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属とを含む、SCR触媒組成物を提供する。
【0026】
本発明によるSCR触媒組成物において有用なAFT型のアルミノシリケートゼオライトは、好ましくは、X線粉末回折(XRD)分析によって決定して、少なくとも90%の相純度であり、すなわち、ゼオライト骨格の少なくとも90%がAFT型である。より好ましくは、AFT型のアルミノシリケートゼオライトは、少なくとも95%、又はさらにより好ましくは少なくとも98%又は少なくとも約99%の相純度である。
【0027】
いくつかの実施形態では、AFT型のアルミノシリケートゼオライトは、AFX又はCHAのようないくつかの他の骨格を相互成長(intergrowth)として微量で、例えば10%未満、好ましくは5%未満、さらにより好ましくは2%未満又は1%未満で含有する。
【0028】
AFT型のアルミノシリケートゼオライトは、そのか焼されたH-形態で決定して、シリカ対アルミナのモル比(SAR)を、10~25、好ましくは13~25、好ましくは13~20、より好ましくは13~18で有することが好ましい。
【0029】
本発明によるSCR触媒組成物において有用なAFT型のアルミノシリケートゼオライトは、60m2/g以下、好ましくは50m2/g以下、より好ましくは45m2/g以下、例えば1~50m2/g、又は3~45m2/gのメソ細孔表面積(MSA)を有してよい。代替的又は付加的に、本発明によるAFT型のアルミノシリケートゼオライトは、少なくとも400m2/g、又は少なくとも450m2/g、例えば450~650m2/g、又は450~600m2/gの範囲のゼオライト表面積(ZSA)を有する。メソポア表面積及びゼオライト表面積は、N2-吸着ポロシメトリーによって決定される。
【0030】
AFT型のアルミノシリケートゼオライトは、典型的には、500nm以下、特に200nm~500nmの範囲の平均結晶径を有する。平均結晶径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を介して決定される。特に、平均結晶径は、SEMを介して、サンプルの異なる領域をカバーする複数の画像から無作為に選択された少なくとも30個の異なる結晶について結晶径を測定することにより決定した。
【0031】
プロモーター金属は、NOxの選択的触媒還元(SCR)の適用においてゼオライトの触媒性能を向上させるのに有用であることが知られている任意の金属であってよい。一般に、プロモーター金属は遷移金属、例えば貴金属、例えばAu及びAg及び白金族金属、卑金属、例えばCr、Zr、Nb、Mo、Fe、Mn、W、V、Ti、Co、Ni、Cu及びZn、アルカリ土類金属、例えばCa及びMg、及びSb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0032】
好ましい実施形態では、SCR触媒組成物は、プロモーター金属として少なくともCu及び/又はFeを含む。いくつかの特定の実施形態では、SCR触媒組成物は、プロモーター金属としてCuを含む。特に、SCR触媒組成物に使用されるプロモーター金属は、Cuからなる。
【0033】
プロモーター金属は、SCR触媒組成物中に、プロモーター金属及びAFT型のアルミノシリケートゼオライトの総質量に対して、酸化物をベースとして0.1~10質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~7質量%、特に2~5質量%の量で存在する。銅、鉄又はそれらの組み合わせがプロモーター金属として使用されるいくつかの特定の実施形態では、プロモーター金属は、好ましくは、SCR触媒組成物中に、プロモーター金属及びAFT型のアルミノシリケートゼオライトの総質量に対して、酸化物をベースとして1~5質量%、より好ましくは2~4質量%の量で存在する。
【0034】
或いは、プロモーター金属は、AFT型のアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量でSCR触媒組成物中に存在してよい。銅、鉄又はそれらの組み合わせがプロモーター金属として使用されるいくつかの特定の実施形態では、プロモーター金属の量は、AFT型のアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.2~0.7モル、好ましくは0.3~0.5モルである。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態では、SCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT型のアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)を13~25、好ましくは13~20で有する、AFT型のアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属であって、Cu及び/又はFe、特にCuである、プロモーター金属
を含み、
プロモーター金属は、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.2~0.7モル、好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する。
【0036】
いくつかのより好ましい実施形態では、本発明によるSCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT型のアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)を13~20、より好ましくは13~18で有する、AFT型のアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属Cu
を含み、
Cuは、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.3~0.5モルの量で存在する。
【0037】
例示的な実施形態では、本発明によるSCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)を13~18で有する、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属Cu
を含み、
Cuは、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.3~0.5モルの量で存在する。
【0038】
プロモーター金属は、AFT型のアルミノシリケートゼオライトに任意の既知のプロセス、例えばイオン交換及び含浸を介して組み込んでよい。例えば、アルミノシリケートゼオライトをプロモーター金属の可溶性前駆体の溶液に混合することにより、AFT型のアルミノシリケートゼオライトにプロモーター金属を組み込んでよい。典型的にはカチオンの形態のプロモーター金属でイオン交換したゼオライトは、従来通り洗浄し、乾燥し、そしてか焼してよい。プロモーター金属の有用な可溶性前駆体は、例えばプロモーター金属の塩、プロモーター金属の錯体又はそれらの組み合わせである。或いは、プロモーター金属は、押出成形物又はコーティングされたモノリスなどの触媒物品の調製中に、その場でAFT型のアルミノシリケートゼオライトに組み込んでよい。
【0039】
本発明によるSCR触媒組成物は、NOxの選択的触媒還元(SCR)の用途において望ましい活性を有することが見出された。さらに、驚くべきことに、本発明によるSCR触媒組成物は、特に、AFT型のアルミノシリケートゼオライトが、有機構造指向剤の特定の組み合わせ、すなわちN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンと、ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンとを用いて調製される場合に、高温、例えば800℃以上でのエージングに対する優れた安定性も有することが見出された。
【0040】
よって別の側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法をさらに提供し、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Al2O3の源、
(B) SiO2の源、
(C1) N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤(OSDA1)の源、及び
(C2) ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含む第二の有機構造指向剤(OSDA2)の源
を含む、工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0041】
第一の有機構造指向剤(OSDA1)は、特に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含み、そのアルキレン部分は、置換又は非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイルから選択される。
【0042】
第一の有機構造指向剤(OSDA1)は、好ましくは、下記の式(I):
(C2H5)3N+(CH2)nN+(C2H5)3 (I)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表されるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、第一の有機構造指向剤(OSDA1)は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるカチオンを含む。好ましくは、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウムより選択されるカチオンを含む。
【0044】
第二の有機構造指向剤(OSDA2)は、特に、下記の式(II):
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
5アルキルであり、そして
R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルであるか、
又は
R
1及びR
3は、共に結合して1,4位間の1~3員結合、例えばエチレン結合を形成し、そして
R
2及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである)
で表される1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含む。
【0045】
第二の有機構造指向剤(OSDA2)は、好ましくは、式(II)で表される1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含み、式中、R1はC1~C5アルキルであり、そしてR2、R3及びR4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC1~C5アルキルである。
【0046】
より好ましくは、第二の有機構造指向剤(OSDA2)は、式(II)で表される1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含み、式中、R1はC1~C5アルキルであり、R2及びR4は、互いに独立して、H又はC1~C5アルキルであり、そしてR3はHである。
【0047】
いくつかの実施形態では、第二の有機構造指向剤(OSDA2)は、1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせから選択されるカチオンを含む。好ましくは、第二の有機構造指向剤は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、より好ましくは1-メチル-1-プロピルピペリジニウムより選択されるカチオンを含む。
【0048】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法の例示的な実施形態では、第一の有機構造指向剤(OSDA1)は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤(OSDA2)は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを含む。
【0049】
第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:2~1:20、又は1:4~1:10、好ましくは1:4~1:8、より好ましくは1:5~1:7の範囲のモル比で使用される。
【0050】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のさらなる例示的な実施形態では、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウムカチオンを含み、第二の有機構造指向剤は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:4~1:8、好ましくは1:5~1:7の範囲のモル比で使用される。
【0051】
合成混合物は、さらなる有機構造指向剤を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、合成混合物は、第一及び第二の有機構造指向剤以外の有機構造指向剤を含まない。
【0052】
好適には、第一及び第二の有機構造指向剤は、互いに独立して、それぞれの第四級アンモニウムカチオンのハライド、例えばフルオリド、クロリド及びブロミド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート及びカルボキシレート、例えばアセテート、好ましくはクロリド、ブロミド、ヒドロキシド及びスルフェートの形態である。
【0053】
好ましくは、第一及び第二の有機構造指向剤は、互いに独立して、ここに上述した式(I)及び(II)のそれぞれのカチオンのヒドロキシドである。
【0054】
第一及び第二の有機構造指向剤は、合成混合物中において、SiO2の源(複数可)に対して、第四級アンモニウムカチオン(OSDA1+OSDA2)の合計対SiO2として計算して0.01~1.0、好ましくは0.03~0.5、より好ましくは0.05~0.3の範囲の総モル比で存在してよい。
【0055】
Al2O3及びSiO2の源に特に制限はない。Al2O3の源の好適な例には、限定するものではないが、アルミナ、アルミネート、アルミニウムアルコキシド及びアルミニウム塩、好ましくはアルミナ、アルミニウムトリ(C1~C5)アルコキシド、AlO(OH)、Al(OH)3、アルミニウムハライド、アルミニウムスルフェート、アルミニウムホスフェート及びアルミニウムフルオロシリケートが含まれる。SiO2の源の好適な例には、限定するものではないが、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ケイ酸、シリコンアルコキシド、アルカリ金属シリケート、ナトリウムメタシリケート水和物、セスキシリケート、ジシリケート及びケイ酸エステルが含まれる。Al2O3及びSiO2の複合源、例えばFAUゼオライトなどのアルミノシリケートゼオライトを、代替的又は追加的に使用してよい。
【0056】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの実施形態では、Al2O3及びSiO2の複合源としてのFAUゼオライト、及びSiO2の追加の源が使用される。特に、FAUゼオライトはゼオライトYであり、好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO2対Al2O3のモル比を有するゼオライトYである。SiO2の追加的な源は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカからなる群より選択される。
【0057】
工程(1)で提供される合成混合物は、SiO2の源(複数可)及びAl2O3の源(複数可)を、SiO2対Al2O3として計算して、5~100、好ましくは30~80、より好ましくは40~60の範囲のモル比で含む。
【0058】
工程(1)で提供された合成混合物は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)、好ましくはアルカリ金属カチオンの源をさらに含んでよい。アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Cs及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはNa及び/又はK、及び最も好ましくはNaより選択される。アルカリ土類金属は、好ましくは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の好適な源は、典型的にはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハライド、例えばフルオリド、クロリド及びブロミド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート及びカルボキシレート、例えばアセテート、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましくは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の源には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のクロリド、ブロミド、ヒドロキシド又はスルフェート及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。より好ましくは、アルカリ金属のヒドロキシドが合成混合物中に用いられる。
【0059】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)は、合成混合物中において、SiO2の源(複数可)に対して、AM対SiO2として計算して0.01~1.0、好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.3~0.8の範囲のモル比で存在してよい。
【0060】
工程(1)で提供される合成混合物は、アニオンOH-の源を含んでもよい。OH-の有用な源は、例えば金属ヒドロキシド、例えばアルカリ金属ヒドロキシド又はアンモニウムヒドロキシドでよい。好ましくは、アニオンOH-は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の源、及び第一及び/又は第二の有機構造指向剤の源のうちの1つ以上に由来してよい。
【0061】
OH-アニオンは、合成混合物中において、SiO2の源(複数可)に対して、OH-対SiO2として計算して0.1~2.0、より好ましくは0.2~1.0、より好ましくは0.5~1.0の範囲のモル比で存在してよい。
【0062】
工程(1)で提供される合成混合物は、少なくとも1つの溶媒、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水を含んでもよい。溶媒は、合成混合物の出発材料の1つ以上、例えばAl2O3、SiO2及び第一及び/又は第二の有機構造指向剤の源に含まれていてもよく、ひいては合成混合物中に持ち込まれてもよく、及び/又は合成混合物中に別個に組み込まれてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、合成混合物は、水対SiO2の源(複数可)のモル比を、H2O対SiO2として計算して3~100、好ましくは10~80、より好ましくは20~60の範囲で有する。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、以下の表1に示すモル組成を有する:
【0065】
【0066】
いくつかの実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、AFTゼオライトの種結晶の量をさらに含んでもよい。AFTゼオライトの種結晶は、種結晶を使用せずにここに記載の方法から得てよい。
【0067】
合成混合物は、特に制限なく、工程(2)においてAFTゼオライトを形成するための結晶化条件に供してよい。結晶化は、80~250℃、より好ましくは100~200℃の範囲の高温で、結晶化に十分な期間、例えば0.5~12日間、1~6日間、又は2~5日間行う。典型的には、結晶化は自己圧力下で、例えばオートクレーブなどの圧力密閉容器中で行う。さらに、結晶化は、好ましくは撹拌せずに行う。
【0068】
形成されたままのアルミノシリケートゼオライトを、例えばろ過による単離、任意の洗浄、及び乾燥を含む後処理手順に供して、合成したままのAFTゼオライトを得る。よって、本発明による方法の工程(2)は、後処理手順を任意にさらに含む。
【0069】
合成したままのAFTゼオライトは、典型的にはその構造孔内に、上記の第一及び第二の有機構造指向剤の少なくとも一部分を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、工程(2)からの合成したままのAFTゼオライトを、か焼手順に供する。よって、本発明による方法は、合成したままのAFTゼオライトをか焼する工程(3)をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、合成したまま又はか焼したままのAFTゼオライトをイオン交換手順に供し、ゼオライトに含有されるイオン性非骨格元素の1つ以上がH+及び/又はNH4
+に交換されるようにしてよい。よって、本発明による方法は、
(4)工程(2)又は(3)で得られたゼオライトに含有されるイオン性非骨格元素の1つ以上を、H+及び/又はNH4
+、好ましくはNH4
+に交換する工程
をさらに含む。
【0072】
一般的に、工程(4)においてH+及び/又はNH4
+に交換されたゼオライトを、例えばろ過による単離、任意の洗浄、及び乾燥を含む後処理手順に供する、及び/又はか焼手順に供する。よって、本発明による方法の工程(4)は、後処理手順及び/又はか焼手順を任意にさらに含む。
【0073】
工程(3)及び/又は工程(4)におけるか焼は、300~900℃、例えば350~700℃、又は400~650℃の範囲の温度で行ってよい。特に、か焼は、上記の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ってよく、これは空気、酸素、窒素、又はそれらの2つ以上の混合物であってよい。好ましくは、か焼は、0.5~10時間、例えば3~7時間、又は4~6時間の範囲の期間行う。
【0074】
本発明によるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの変形例では、第二の有機構造指向剤を使用しなくてもよい。
【0075】
よって本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法も提供するものであり、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Al2O3の源、
(B) SiO2の源、
(C) アルキレン部分(OSDA)が置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖であるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤の源
を含む、工程、
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0076】
いくつかの特定の実施形態では、ここに上述したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤以外の有機構造指向剤は、変形例による方法において使用されない。
【0077】
本明細書中の任意の実施形態について一般に及び好ましいと記載したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンは、ここで変形例による方法に適用可能である。
【0078】
変形例によるいくつかの特定の実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、以下の表2に示すモル組成を有してよい:
【0079】
【0080】
この方法は、第一及び第二の有機構造指向剤を使用する方法についてここに上述したのと同様に行ってもよい。
【0081】
驚くべきことに、ここに記載の方法で得られたAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを含む触媒は、同じ骨格型を含むが他の方法で調製されたゼオライトを含む触媒と比較して、800℃以上の温度におけるエージングに対して著しく高い安定性を示すことが見出された。
【0082】
よってさらに別の側面において、本発明は、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒における、ここに記載の方法によって得られた及び/又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの使用方法を提供する。
【0083】
SCR用途の場合、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、好ましくはここに上述したプロモーター金属を担持し、押出成形物の形態で又はモノリス基材上のウォッシュコートの形態で適用される。
【0084】
よってなお別の側面において、本発明は、触媒組成物の押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品を提供するものであり、その触媒組成物は、ここで各側面において上述したAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む。
【0085】
「押出成形物」という用語は、一般に、押出成形によって形成された成形体を指す。本発明によれば、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む押出成形物は、典型的にはハニカム構造を有する。
【0086】
用語「ウォッシュコート」とは、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、すなわち、基材に適用された触媒又は他の材料の薄い付着したコーティングである。
【0087】
用語「基材」とは一般に、触媒コーティングが上に配置されたモノリシック材料、例えば、モノリシックハニカム基材、特にフロースルーモノリシック基材及びウォールフローモノリシック基材を指す。
【0088】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト及びプロモーター金属は、特に制限なく、任意の既知のプロセスによって適用形態に処理してよい。
【0089】
さらなる側面において、本発明は、内燃機関及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関し、ここに記載の触媒物品が排気ガス導管内に存在する。
【0090】
実施形態
以下に様々な実施形態を列挙する。以下に列挙する実施形態は、本発明の範囲に応じて、あらゆる側面及び他の実施形態と組み合わせてよいことが理解されるであろう。
【0091】
1. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物。
【0092】
2. プロモーター金属が、遷移金属、アルカリ土類金属、Sb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、好ましくはCu及び/又はFe、好ましくはCuを含む、実施形態1によるSCR触媒組成物。
【0093】
3. プロモーター金属がCu及び/又はFeからなる、実施形態2によるSCR触媒組成物。
【0094】
4. プロモーター金属が、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上にある、先行する実施形態のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0095】
5. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、10~25、好ましくは13~25、好ましくは13~20、より好ましくは13~18のシリカ対アルミナのモル比を有する、先行する実施形態のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0096】
6. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、典型的には、500nm以下、特に200nm~500nmの範囲の平均結晶径を有する、先行する実施形態のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0097】
7. プロモーター金属が、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する、先行する実施形態のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0098】
8. 合成されたままの形態のAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンと、ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンとを含む、先行する実施形態のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0099】
9. 合成されたままの形態のAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンのみを有機カチオンとして含む、実施形態1から7のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0100】
10. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部分が、置換又は非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイルから選択される、実施形態8又は9によるSCR触媒組成物。
【0101】
11. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、下記の式(I):
(C2H5)3N+(CH2)nN+(C2H5)3 (I)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表される、実施形態10によるSCR触媒組成物。
【0102】
12. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、下記の式(II):
【化2】
(式中、
R
1は、C
1~C
5アルキルであり、そして
R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルであるか、
又は
R
1及びR
3は、共に結合して1,4位間の1~3員結合、例えばエチレン結合を形成し、そして
R
2及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである)
で表される、実施形態8、10及び11によるSCR触媒組成物。
【0103】
13. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R1はC1~C5アルキルであり、そしてR2、R3及びR4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC1~C5アルキルである、実施形態12によるSCR触媒組成物。
【0104】
14. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R1はC1~C5アルキルであり、R2及びR4は、互いに独立して、H又はC1~C5アルキルであり、そしてR3はHである、実施形態13によるSCR触媒組成物。
【0105】
15. 合成されたままの形態のAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトが、その細孔内に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオン及び1-メチル-1-プロピル-ピペリジニウムカチオンを含む、実施形態14によるSCR触媒組成物。
【0106】
16. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Al2O3の源、
(B) SiO2の源、
(C1) N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) ピペリジニウム環が2~6位のうちの1つ以上で任意に置換されている1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンを含む第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む、方法。
【0107】
17. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部分が、置換又は非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分岐C3~C10アルカンジイルから選択される、実施形態16による方法。
【0108】
18. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、下記の式(I):
(C2H5)3N+(CH2)nN+(C2H5)3 (I)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表される、実施形態17による方法。
【0109】
19. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、好ましくは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタン-ジアンモニウムより選択される、実施形態18による方法。
【0110】
20. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、下記の式(II):
【化3】
(式中、
R
1は、C
1~C
5アルキルであり、そして
R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルであるか、
又は
R
1及びR
3は、共に結合して1,4位間の1~3員結合、例えばエチレン結合を形成し、そして
R
2及びR
4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC
1~C
5アルキルである)
で表される、実施形態16から19のいずれかによる方法。
【0111】
21. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R1はC1~C5アルキルであり、そしてR2、R3及びR4は、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC1~C5アルキルである、実施形態20による方法。
【0112】
22. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが式(II)で表され、式中、R1はC1~C5アルキルであり、R2及びR4は、互いに独立して、H又はC1~C5アルキルであり、そしてR3はHである、実施形態21による方法。
【0113】
23. 1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンが、1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせより、好ましくは1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくは1-メチル-1-プロピルピペリジニウムより選択される、実施形態22による方法。
【0114】
24. 第一の有機構造指向剤がN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、第二の有機構造指向剤が1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを含む、実施形態23による方法。
【0115】
25. 第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:2~1:20、又は1:4~1:10、好ましくは1:4~1:8、より好ましくは1:5~1:7の範囲のモル比で使用される、実施形態16から24のいずれかによる方法。
【0116】
26. Al2O3及びSiO2の源がFAUゼオライト、特にゼオライトYを含み、より好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO2対Al2O3のモル比を有するゼオライトYを含む、実施形態16から25のいずれかによる方法。
【0117】
27. SiO2の追加的な源が使用される、実施形態26による方法。
【0118】
28. 窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒における、実施形態16から27のいずれかによる方法から得られた又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの使用方法。
【0119】
29. 触媒組成物押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品であって、その触媒組成物が実施形態1から15のいずれかに定義したSCR触媒組成物であるか、又はその触媒組成物が実施形態16から27のいずれかによる方法から得られた又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトと金属プロモーターとを含む、触媒物品。
【0120】
30. 内燃機関、及び前記内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、前記排気ガス導管内に実施形態29による触媒物品が存在する、排気ガス処理システム。
【0121】
31. 窒素酸化物の選択的触媒還元の方法であって、
(A)窒素酸化物を含むガス流を提供する工程、
(B)前記ガス流を実施形態1から15のいずれかによるSCR触媒組成物又は実施形態29による触媒物品と接触させる工程
を含む方法。
【0122】
本発明を、特に有利な実施形態を示す以下の実施例によってさらに説明する。実施例は本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施形態】
【0123】
以下の実施例において、走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、走査型電子顕微鏡(日立SU1510)で行った。
【0124】
X線粉末回折(XRD)パターンは、PANalytical X’pert3粉末回折装置(40kV、40mA)でCuKα(λ=1.5406Å)放射を用いて測定して、ブラッグ-ブレンターノ形状でデータを収集した。
【0125】
実施例1 有機構造指向剤としてヘキサメトニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料A、か焼されたH-形態)
【0126】
814.6gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び80.2gのヘキサメトニウムヒドロキシド水溶液(25.3質量%)を2754.5gのD.I.水と混合し、次いで110.8gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、44.9gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び567.6gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0127】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0128】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して12.7であり、か焼されたH-形態で測定して、MSAが41m2/g、及びZSAが524m2/gであった。
【0129】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0130】
実施例2 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料B、か焼されたH-形態)
【0131】
833.5gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び182.8gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2163.5gのD.I.水と混合し、次いで148.8gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、68.9gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び871.2gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0132】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0133】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して16.7であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が29m2/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が489m2/gであった。
【0134】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0135】
実施例3 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料C、か焼されたH-形態)
【0136】
833.5gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び182.8gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2163.6gのD.I.水と混合し、次いで170.1gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、68.9gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び871.2gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0137】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0138】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して13.0であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が44m2/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が503m2/gであった。
【0139】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0140】
実施例4 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料D、か焼されたH-形態)
【0141】
463.7gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び94.2gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2679.5gのD.I.水と混合し、次いで174.9gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、106.5gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び836.4gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0142】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0143】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して13.2であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が23m2/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が527m2/gであった。
【0144】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0145】
実施例5 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料E、か焼されたH-形態)
【0146】
1038.7gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム水溶液(22.1質量%)を1989.4gのD.I.水と混合し、次いで52.38gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、260.95gのHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び675.0gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は180℃で2日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0147】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、H-形態のゼオライトを得た。
【0148】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して16.2であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が42m2/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が539m2/gであった。
【0149】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0150】
実施例6 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料F、か焼されたH-形態)
【0151】
1038.7gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム水溶液(22.1質量%)1989.4gのD.I.水と混合し、次いで58.44gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、260.95gのHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び675.0gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は180℃で2日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0152】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、H-形態のゼオライトを得た。
【0153】
そのゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して15.6であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が43m2/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が546m2/gであった。
【0154】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ
図1と
図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0155】
実施例7 Cu又はFeを担持したAFTゼオライト材料(SCR触媒)の調製
【0156】
得られたままのH-形態のゼオライト粉末に、銅(II)ニトレート水溶液又は鉄(III)ニトレート水溶液を湿潤含浸法により含浸させ、密閉容器中50℃で20時間保持した。得られた固体を乾燥させ、空気中450℃の炉で5時間か焼して、Cu又はFeを担持したゼオライトを得た。
【0157】
上記の一般的な手順によって調製したCuを担持したAFTゼオライト材料及びFeを担持したAFTゼオライト材料を、以下の表3にまとめる。
【0158】
【0159】
実施例8 触媒性能の試験
【0160】
SCR性能試験のため、Cu又はFeを担持したゼオライト材料をZr-アセテート水溶液でスラリー化した後、空気中周囲温度で撹拌しながら乾燥し、そして550℃で1時間か焼することにより、生成物の量に対してバインダーとして5質量%のZrO2を含有する生成物を得た。生成物を粉砕し、250~500ミクロンの粉末画分を試験サンプルとして使用した。得られた粉末の一部分を650℃で50時間又は820℃で16時間、10vol%の水蒸気/空気流中でエージングし、エージングしたサンプルを得た。
【0161】
選択的触媒還元(SCR)試験は、試験サンプル120mgを希釈液と同じふるい画分のコランダムと共に約1mLの床体積で担持した固定床反応器で、以下の条件に従って実施した。
【0162】
ガス供給:500vppmのNO、500vppmのNH3、5vol%のH2O、10vol%のO2及び残りN2、ガス毎時空間速度(GHSV)80,000h-1又は120,000h-1。
【0163】
温度:ラン1 - 200、400、575℃(脱グリーンのための第一のラン)
ラン2 - 175、200、225、250、350、450、550、575℃。
【0164】
200℃及び575℃でのラン2から測定したNOx転化率を試験結果として報告する。
【0165】
新しい状態、650℃でエージングした状態、及び820℃でエージングした状態の試験サンプルの結果を、それぞれ以下の表4、5及び6にまとめる。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
Cuを担持したAFTゼオライトを含む触媒は、650℃という高温でのエージング後の窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)に有効であることがわかる。
【0170】
驚いたことに、820℃でエージングすると、Cuを担持したAFTゼオライトを含む触媒(AFTゼオライトは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンと1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンとの組み合わせを用いて調製した)は、同じCu/Al比を有するが、AFTゼオライトがヘキサメトニウムカチオン及び1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを用いて調製された触媒と比較して、大幅に改善されたNOx転化率を示した。Cuを担持したAFTゼオライトを含む触媒(AFTゼオライトは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンと1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンとの組み合わせを用いて調製した)は、820℃でエージングすると、200℃でのNOx転化率が少なくとも54%、さらには最大で79%となり、そして575℃でのNOx転化率が少なくとも55%、さらには最大で91%となり、一方でAFTゼオライトがヘキサメトニウムカチオン及び1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンを用いて調製された対応する触媒の場合、NOx転化率は10%以下、又はさらには「0」であった。820℃でエージングした後の触媒のSCR活性が比較的高いのは、超高温でのAFTゼオライトの高い安定性を反映している。
【0171】
Feを担持したAFTゼオライトを含む触媒の試験サンプルも、ここに上述した方法に従い、以下の条件で試験した:
【0172】
【0173】
結果を以下の表7にまとめる。
【0174】
【0175】
Feを担持したAFTゼオライトを含む触媒も、高温でのエージング後におけるNOxの選択的触媒還元に有効であることがわかる。
【国際調査報告】