(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】化粧剤の送達のためのマルチソーム脂質小胞
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20240308BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240308BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240308BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240308BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/06
A61K8/14
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/42
A61K47/10
A61K47/24
A61K47/28
A61K9/06
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559738
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022021585
(87)【国際公開番号】W WO2022204308
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523367495
【氏名又は名称】ジーエルオー ファーマ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルドヴァリ,マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ラブ,ロバート エー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA19
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD52
4C076DD63
4C076DD68F
4C076DD68N
4C076DD70
4C076EE23F
4C076EE23N
4C076EE41
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC341
4C083AC401
4C083AC64
4C083AC662
4C083AC901
4C083AD391
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE12
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、美容活性を有するヒアルロン酸およびペプチドなどのアニオン性ポリマーを含む、化粧剤を送達するための製剤を含む組成物、およびこれらの製剤を使用するための方法に関する。これらは、しわを含む望ましくない皮膚特徴の防止するかまたは外観を改善する、あるいは唇のふくらみを強調する化粧品および医薬品において有用である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)それぞれが、小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞と、
(b)脂質小胞中に封入され、1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンと、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入された筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストと、
を含む脂質小胞組成物。
【請求項2】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の脂質小胞組成物。
【請求項3】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の脂質小胞組成物。
【請求項4】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項5】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号60、61、73、78、82、85、91、または95のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項6】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号60のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項7】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号61のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項8】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号73のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項9】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号78のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項10】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号82のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項11】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号85のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項12】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号91のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項13】
前記ペプチドアンタゴニストは、配列番号95のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項14】
前記ペプチドアンタゴニストは、約0.1mg/mL~約10mg/mLの濃度で存在する、請求項1~13のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項15】
1つ以上の浸透促進剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項16】
前記1つ以上の浸透促進剤は、非イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む、請求項15に記載の脂質小胞組成物。
【請求項17】
前記非イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ソルビタンエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項16に記載の脂質小胞組成物。
【請求項18】
前記脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、C
8-C
22脂肪族アルコールおよび約2~約8のエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール基を含む、請求項17に記載の脂質小胞組成物。
【請求項19】
前記脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、ジエチレングリコール・ヘキサデシル・エーテル、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール・モノオレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(3)オレイル・エーテル、もしくはポリオキシエチレン(5)オレイル・エーテル、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項17または18に記載の脂質小胞組成物。
【請求項20】
前記ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、もしくはソルビタンイソステアレート、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項17~19のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項21】
前記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項17~20のいずれか1つの脂質小胞組成物。
【請求項22】
前記ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項17~21のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤のそれぞれは、約10以下の疎水性-親油性バランス(HLB)を有する、請求項17~22のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項24】
前記非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する、請求項17~23のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項25】
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、水中油型エマルジョン中に存在する、請求項17~24のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、脂質二重層中に存在する、請求項17~25のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項27】
前記1つ以上の浸透促進剤は、ソルビタンエステル、ポリソルベート、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルの組み合わせを含む、請求項17~26のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項28】
前記1つ以上の浸透促進剤は、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、およびポリソルベートの組み合わせを含む、請求項17~26のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項29】
前記1つ以上の浸透促進剤は、モノラウロイルリシンもしくはジパルミトイルリシン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15~26のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項30】
前記小胞形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、セラミド、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルディオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項1~29のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項31】
前記小胞形成脂質は、リン脂質を含む、請求項1~30のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項32】
脂質形成小胞を、前記脂質小胞組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で含む、請求項1~31のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項33】
カチオン性界面活性剤を含む、請求項1~32のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項34】
前記カチオン性界面活性剤は、モノカチオン性界面活性剤である、請求項33に記載の脂質小胞組成物。
【請求項35】
前記カチオン性界面活性剤は、脂肪酸アミド由来プロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルを含む、請求項33または34に記載の脂質小胞組成物。
【請求項36】
前記カチオン性界面活性剤は、前記脂質小胞組成物の約1%~約20%(w/w)の量で存在する、請求項33~35のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項37】
前記水中油型エマルジョンは、油成分中にトリグリセリドを含む、請求項1~36のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項38】
前記トリグリセリドは、中鎖トリグリセリドを含む、請求項37に記載の脂質小胞組成物。
【請求項39】
前記トリグリセリドは、前記脂質小胞組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する、請求項37または38のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項40】
ステロールを含む、請求項1~39のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項41】
前記ステロールは、前記脂質小胞組成物の約1%~約5%(w/w)の量で存在する、請求項40に記載の脂質小胞組成物。
【請求項42】
プロピレングリコールを含む、請求項1~41のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項43】
前記プロピレングリコールは、前記脂質小胞組成物の約1%~約25%(w/w)の量で存在する、請求項42に記載の脂質小胞組成物。
【請求項44】
1つ以上の粘度増強剤を含む、請求項1~43のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項45】
前記1つ以上の粘度増強剤は、前記脂質小胞組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する、請求項1~44のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項46】
1つ以上の追加の薬剤をさらに含む、請求項1~45のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項47】
前記追加の薬剤は、増粘剤、防腐剤、保湿剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、抗菌剤、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を含む、請求項46に記載の脂質小胞組成物。
【請求項48】
対象の皮膚への局所適用のために製剤化される、請求項1~47のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項49】
前記ペプチドアンタゴニストを対象の皮膚の特定の層に送達するために製剤化される、請求項1~48のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項50】
クリーム、ローション剤、懸濁液、またはエマルジョンとして製剤化される、請求項1~49のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物。
【請求項51】
請求項1~50のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物を調製する方法であって、
a)筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを含む水中油型エマルジョンを、前記水中油型エマルジョンの油成分を前記水中油型エマルジョンの水性成分と混合することによって調製する工程であって、前記水中油型エマルジョンの前記油成分および前記水性成分が1つ以上の界面活性剤を含む、工程と、
b)前記小胞形成脂質を水以外の許容可能な溶媒に可溶化する工程と、
c)前記水中油型エマルジョンを前記可溶化された小胞形成脂質に加える工程と、
d)水中油型エマルジョンおよび可溶化された小胞形成脂質を、小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞、および前記脂質小胞中に封入された水中油型エマルジョンを形成するのに有効な混合条件下で混合する工程と
を含む方法。
【請求項52】
請求項1~50のいずれか1つに記載の脂質小胞組成物を皮膚表面に投与する工程を含む、対象の皮膚表面の下に化粧剤を送達することによって1つ以上の美容効果をもたらす方法。
【請求項53】
前記化粧剤は、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記化粧剤は、対象の筋肉または皮下組織に送達される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記1つ以上の美容効果は、1つ以上の皮膚のしわの予防または外観の一時的な改善を含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上の皮膚のしわは、皺眉筋および/または鼻根筋活性に関連する中等度から重度の眉間線、眼輪筋活性に関連する中等度から重度の外側眼角線(カラスの足跡線)、または前頭筋活性に関連する中等度から重度の額線を含む、請求項55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年12月3日出願の米国仮特許出願第63/285,860号、2021年10月25日出願の、米国仮特許出願第63/271,645号、および2021年3月24日出願の、米国仮特許出願第63/165,603号の利益を主張し、これらは、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ある種の美容剤は、望ましくは皮膚の表面より下に送達される。しわの予防、低減、または排除を含む、様々な美容目的および医薬目的のためのそのような化粧剤の送達の改善された方法および組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、化粧剤を送達するための組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、局所適用時に薬剤を皮膚の表面より下に送達することを可能にする化粧剤の脂質小胞製剤である。いくつかの実施形態では、化粧剤は、ヒアルロン酸などのアニオン性ポリマー材料であり、これは、対象の唇の皮膚などの皮膚の外観に有益である。いくつかの実施形態では、化粧剤は、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、化粧剤は、表皮、真皮、皮下組織、または筋組織などの皮膚または周囲組織の好ましいまたは予め選択された層に送達される。
【0004】
一態様では、本明細書には医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、(a)それぞれが、小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞と、(b)脂質小胞中に封入され、1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンと、(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入された筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストとを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60、61、73、78、82、85、91、または95のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号61のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号73のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号78のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号82のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号85のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号91のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号95のアミノ酸配列と同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、約0.1mg/mL~約10mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の浸透促進剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の浸透促進剤は、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ソルビタンエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、C8-C22脂肪族アルコールおよび約2~約8のエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール基を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、ジエチレングリコール・ヘキサデシル・エーテル、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール・モノオレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(3)オレイル・エーテル、もしくはポリオキシエチレン(5)オレイル・エーテル、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、もしくはソルビタンイソステアレート、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤のそれぞれは、約10以下の疎水性-親油性バランス(HLB)を有する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、水中油型エマルジョン中に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、脂質二重層中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の浸透促進剤は、ソルビタンエステル、ポリソルベート、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の浸透促進剤は、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、およびポリソルベートの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の浸透促進剤は、モノラウロイルリシン(monolauroyllysine)もしくはジパルミトイルリシン(dipalmitoyllysine)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、セラミド、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、小胞形成脂質を、組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、組成物はカチオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、モノカチオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、脂肪酸アミドに誘導されたプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は約1%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンは、油成分中にトリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、中鎖トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、組成物はステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%~約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態において、組成物はプロピレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の約1%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は1以上の粘度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の粘度増強剤は、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、増粘剤、防腐剤、保湿剤、皮膚軟化剤、保潤剤、抗菌剤、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、対象の皮膚への局所適用のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドアンタゴニストを対象の皮膚の特定の層に送達するために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、クリーム、ローション剤、懸濁液、またはエマルジョンとして製剤化される。
【0005】
一態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される脂質小胞組成物を調製する方法であって、該方法は、a)筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを含む水中油型エマルジョンを、水中油型エマルジョンの油成分を水中油型エマルジョンの水性成分と混合することによって調製する工程であって、水中油型エマルジョンの油成分および/または水性成分が1つ以上の界面活性剤を含む、工程と、b)小胞形成脂質を水以外の許容可能な溶媒に可溶化する工程と、c)水中油型エマルジョンを可溶化された小胞形成脂質に加える工程と、d)水中油型エマルジョンおよび可溶化された小胞形成脂質を、小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞、および脂質小胞中に封入された水中油型水エマルジョンを形成するのに有効な混合条件下で混合する工程とを含む。
【0006】
一態様では、本明細書に提供されるのは、対象の皮膚表面より下に化粧剤を送達することによって1つ以上の美容効果をもたらす方法であって、皮膚表面に本明細書に提供される脂質小胞組成物を投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、化粧剤は、ポリアニオン性充填材料である。いくつかの実施形態では、化粧剤は、対象の真皮に送達される。いくつかの実施形態では、1つ以上の美容効果は、唇のふくらみ、唇のボリューム、唇の滑らかさ、唇の色、またはそれらの組み合わせの増強を含む。いくつかの実施形態では、化粧剤は、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、化粧剤は、対象の筋肉または皮下組織に送達される。いくつかの実施形態では、1つ以上の美容効果は、1つ以上の皮膚のしわの予防または外観の一時的な改善を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の皮膚のしわは、皺眉筋および/または鼻根筋活性に関連する中等度から重度の眉間線、眼輪筋活性連する中等度から重度の外側目線(カラスの足跡線(crow’s feet lines))、または前頭筋活性に関連する中等度から重度の額の線を含む。
【0007】
一態様では、本明細書に提供されるのは、個体の唇に組成物を適用することを含む、個体の唇特性を増強する方法であり、組成物が、水中油型エマルジョンおよびアニオン性ポリマー材料を含む脂質小胞を含む方法である。いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョンおよびアニオン性ポリマー材料を含む脂質小胞を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、本明細書に記載される方法に従って製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、リン脂質、界面活性剤、ポリマー、乳化剤、浸透促進剤、トリグリセリド、ステロール、または本明細書に記載されるいずれかの他の材料を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、アニオン性多糖を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、ヒアルロン酸である。いくつかの実施形態では、唇特徴は、唇のふくらみ、唇のボリューム、唇の滑らかさ、唇の色、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組成物は局所使用のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、個体の皮膚表面以下に送達される。いくつかの実施形態では、組成物は、個体の唇の皮膚表面以下に送達される。
【0008】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公報、特許、および特許出願は、個々の公報、特許、または特許出願が引用によって組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同じ程度まで、引用によって本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の新しい特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴と利点をより良く理解するには、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明と添付図面とを参照されたい。
【
図1】のA~Cは、マルチソーム製剤(F1)、(F2)および(F3)の物理化学的特徴付けを示す。パネルAは、ローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA10Kを含有するマルチソーム製剤(F1)、(F2)および(F3)の共焦点顕微鏡画像を示し、FIトレース図は、小胞中で2つの標識の同時局在化を示す。
図1のBは、マルチソーム製剤(F1)、(F2)および(F3)の光学顕微鏡画像を示す。
図1のCは、マルチソーム製剤(F1)、(F2)および(F3)の粒径分布を示す。
【
図2】カチオン性マルチソーム製剤で処置されたヒト皮膚の共焦点顕微鏡画像を示す。カチオン性マルチソーム製剤は、ローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA150KまたはFITC-HA50Kを用いて調製された。FIトレース図は、皮膚の表面から真皮上部までの皮膚層におけるローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA10KまたはFITC-HA50Kのレベルを示す。各顕微鏡写真には、トレース方向の平面が示されている。
【
図3】マルチソーム製剤で処置されたヒト皮膚の共焦点顕微鏡画像を示す。マルチソーム製剤は、ローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA150KまたはFITC-HA50Kを用いて調製された。FIトレース図は、皮膚の表面から真皮上部までの皮膚層におけるローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA10KまたはFITC-HA50Kのレベルを示す。各顕微鏡写真には、トレース方向の平面が示されている。
【
図4】マルチソーム製剤で処置されたヒト皮膚の共焦点顕微鏡画像を示す。マルチソーム製剤は、ローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA150KまたはFITC-HA50Kを用いて調製された。FIトレース図は、皮膚の表面から真皮上部までの皮膚層におけるローダミン赤標識HA250Kおよび緑色のFITC-HA10KまたはFITC-HA50Kのレベルを示す。各顕微鏡写真には、トレース方向の平面が示されている。
【
図5】C7ペプチドおよびそれらの各ブランク(ペプチドなし)製剤を用いて調製された多相小胞系の光学顕微鏡画像を示す。棒:10μm。
【
図6A】C7ペプチド多相小胞送達系の粒径分布(左の3つのグラフ)およびゼータ電位(右の3つのグラフ)を示す。
【
図6B】ブランク多相小胞送達系の粒径分布(左の3つのグラフ)およびゼータ電位(右の3つのグラフ)を示す。
【
図7】本明細書に提供される脂質小胞を調製するための例示的な絵画的ワークフローを示す。
【
図8】本明細書に提供されるようなヒアルロン酸(HA)を含む脂質小胞を調製するための例示的なワークフローを示す。
【
図9】HAを含む脂質小胞の対象の唇への局所適用の結果を示す。
【
図10A】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図10B】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図10C】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図10D】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図10E】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図10F】脂質小胞製剤の官能特性および顕微鏡画像を示す。
【
図11A】脂質小胞製剤の共焦点顕微鏡画像を示す。
【
図11B】脂質小胞製剤の共焦点顕微鏡画像を示す。
【
図12】リード脂質小胞製剤の共焦点顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise)」またはその変化形「含む(comprises)」あるいは「含む(comprising)」は、任意の詳述された特徴を含むことを示すものであるが、任意の他の特徴を除外することを意味するものではない。したがって、本明細書で使用されるように、用語「含む(comprising)」は包括的であり、追加の詳述されていない特徴を除外するものではない。本明細書に提供される組成物および方法のいずれかのいくつかの実施形態では、「含む」は、「本質的にからなる」または「からなる」に置き換えられ得る。成句「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、指定された特性や、本発明の特徴や機能に実質的に影響を与えない特性を要求するために使用される。本明細書で使用されるように、用語「からなる」は、詳述された特徴のみの存在を示すために使用される。
【0011】
本明細書と添付の請求項で使用されるように、反対の意味に指定されない限り、次の用語は以下に指定する意味を有する。
【0012】
「薬学的に許容可能な塩」は、酸付加塩および塩基付加塩の両方を含む。本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つの薬学的に許容可能な塩は、すべての薬学的に適切な塩形態を包含することを意図している。本明細書に記載される化合物の好ましい薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸付加塩および薬学的に許容可能な塩基付加塩である。本開示の特定の薬学的実施形態では、「薬学的に許容可能な塩」は利用され得る。
【0013】
本明細書で使用されるように、「処置」または「処置すること」または「緩和すること」または「寛解させること」は交換可能に使用される。こうした用語は、限定されないが、治療上の利点および/または予防上の利点を含む、がこれらに限定されない有益な結果または望ましい結果を得るための手法を指す。「治療上の利点」は、処置されている基礎疾患の根絶または寛解を意味する。同様に、治療上の利点は、患者がまだ基礎疾患に罹っているにもかかわらず、改善が患者で観察されるように、基礎疾患に関連する生理的な症状の1つ以上の根絶または寛解により達成される。予防的な効果については、組成物は、実施形態によっては、特定の疾患にかかる危険に瀕している患者に、または、たとえ疾患の診断がなされていなくても、この疾患の生理的な症状の1つ以上を報告している患者に投与される。本開示の特定の薬学的実施形態では、「の処置」、または「処置する」、「適用する」、「緩和すること」、または「寛解させること」という用語が利用され得る。
【0014】
本明細書で使用されるように、「保存的置換」は、1つのアミノ酸を、サイズ、電荷、および極性などの類似の特性を有する別のアミノ酸と交換することを意味する。置換は、天然または修飾(例えば、非天然)アミノ酸に対するものであり得る。保存的置換において交換され得る非限定的な例としては、大型疎水性物質(バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン)、小型非極性(アラニン、グリシン)、極性(セリン、トレオニン、グルタミン、アスパラギン、システイン、ヒスチジン)、陽性荷電(リジン、アルギニン)、および陰性荷電(グルタミン酸、アスパラギン酸)の群が挙げられる。
【0015】
%が成分の量を指すために本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、%は%w/wであることが意図される。
【0016】
用語「浸透促進剤」および「浸透エンハンサー(penetration enhancers)」は本明細書に交換可能に使用される。本明細書で使用されるように、これは、対象の皮膚の1つ以上の層を通る1つ以上の有効成分(例えば、ヒアルロン酸またはペプチドアンタゴニストなどのアニオン性のポリマー材料)の浸透を促進するか、または向上させる1つ以上の成分を指す。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、例えば、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する非イオン性界面活性剤、カチオン性基、またはテルペン、アルカロイド、サリチレート誘導体、ニコチン酸塩誘導体などの別の薬剤、あるいはその任意の組み合わせを含む、界面活性剤である。
【0017】
本明細書で使用される用語「マルチソーム」は、1つ以上の浸透促進剤を含む(二相性脂質小胞などの)脂質小胞を指し、好ましい実施形態では、相乗的に作用する複数の浸透促進剤を含む。いくつかの実施形態では、マルチソームは、その中心コアコンパートメントが、水性連続相および分散した疎水性、親水性または油相から構成される水中油型エマルジョンによって占有される小胞を含む。ある実施形態では、脂質小胞の隣接する二重層の間の空間は、エマルジョンによってさらに占有され得る。
【0018】
本明細書で使用される用語「脂質小胞組成物」は、1つ以上の脂質小胞(例えば、多染色体脂質小胞、脂質二重層小胞など)を含む組成物を指す。脂質小胞組成物が、1つ以上の追加の成分(例えば、本明細書に提供されるアニオン性ポリマー材料またはペプチドアンタゴニスト)を「含む」こととして記載される場合、本組成物は、組成物内に任意の方法で追加の成分を含むこと(例えば、脂質小胞内にカプセル化されたものなど)が意図される。例えば、アニオン性ポリマー材料を含む脂質小胞組成物は、脂質小胞組成物の脂質二重層内にカプセル化されたアニオン性ポリマー材料を含むことができる。
【0019】
本明細書で使用される用語「エマルジョン」は、2つの非混和性物質の混合物を指す。
【0020】
本明細書で使用される用語「二重層」は、疎水性尾部が内部表面上にあり、および極性頭部基が外部表面上にある、2つの分子層に配置された両親媒性の脂質分子から構成される構造を指す。
【0021】
本明細書で使用される用語「局所投与」または「局所送達」は、皮膚および/または粘膜への化合物または複数の化合物を含む組成物の投与による化合物の皮内、経皮および/または経粘膜送達を意味する。
【0022】
本明細書で使用される用語「ジェミニ型界面活性剤」は、複数の疎水性尾部を含有し、各疎水性尾部が親水性頭部を有し、疎水性尾部または親水性頭部がスペーサー部分によって互いに結合されている界面活性剤分子を指す。疎水性尾部は同一であり得、異なり得る。同様に、親水性頭部は、同一であり得、異なり得る。親水性頭部は、アニオン性、カチオン性、または中性であり得る。
【0023】
用語「HLB」または「親水性-親油性バランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)」値は、Griffin,J.Soc.Cosm.Chem.,vol.5,249(1954)による標準HLBを指し、これは界面活性剤の親水性および親油性の程度を示す。
【0024】
皮内送達のためのヒアルロン酸などのアニオン性ポリマー材料の脂質小胞組成物
一態様では、アニオン性ポリマー材料を含む脂質小胞組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、それぞれが小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質小胞中に封入された水中油型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンは、1つ以上の界面活性剤によって安定化される。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、脂質二重層内に封入される。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、水中油型エマルジョン中に封入される。
【0025】
アニオン性ポリマー材料
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に提供される脂質小胞組成物は、アニオン性ポリマー材料を含む。アニオン性ポリマー材料は、望ましくは、対象の皮膚の表面の下への送達に適合するものである。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、皮膚の表面の下に送達された後に揮発剤または充填剤として作用するものである。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、皮膚の陥凹を修正するか、または顔の体積を回復するために、皮膚の別の層(例えば、表皮)のためのサポートとして作用する。
【0027】
いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、アニオン性多糖を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性多糖は、非硫酸化グリコサミノグリカンである。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、天然に存在する物質である。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、ヒトにおいて天然に存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、ヒトの結合組織または上皮組織に天然に存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、本明細書に記載される脂質小胞組成物中で架橋されていなくてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、またはそれらのあらゆる組み合わせである。いくつかの実施形態では、塩は、ナトリウム塩である。
【0029】
いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約5kDa~約500kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は重量平均分子量である。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約5kDa~約500kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約5kDa~約10kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約50kDa、約5kDa~約100kDa、約5kDa~約200kDa、約5kDa~約250kDa、約5kDa~約300kDa、約5kDa~約400kDa、約5kDa~約500kDa、約10kDa~約20kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約100kDa、約10kDa~約200kDa、約10kDa~約250kDa、約10kDa~約300kDa、約10kDa~約400kDa、約10kDa~約500kDa、約20kDa~約50kDa、約20kDa~約100kDa、約20kDa~約200kDa、約20kDa~約250kDa、約20kDa~約300kDa、約20kDa~約400kDa、約20kDa~約500kDa、約50kDa~約100kDa、約50kDa~約200kDa、約50kDa~約250kDa、約50kDa~約300kDa、約50kDa~約400kDa、約50kDa~約500kDa、約100kDa~約200kDa、約100kDa~約250kDa、約100kDa~約300kDa、約100kDa~約400kDa、約100kDa~約500kDa、約200kDa~約250kDa、約200kDa~約300kDa、約200kDa~約400kDa、約200kDa~約500kDa、約250kDa~約300kDa、約250kDa~約400kDa、約250kDa~約500kDa、約300kDa~約400kDa、約300kDa~約500kDa、または約400kDa~約500kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約5kDa、約10kDa、約20kDa、約50kDa、約100kDa、約200kDa、約250kDa、約300kDa、約400kDa、または約500kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、少なくとも約5kDa、約10kDa、約20kDa、約50kDa、約100kDa、約200kDa、約250kDa、約300kDa、または約400kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、最大で約10kDa、約20kDa、約50kDa、約100kDa、約200kDa、約250kDa、約300kDa、約400kDa、または約500kDaの分子量を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、第1および第2のアニオン性ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、第3のアニオン性ポリマー材料をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1および第2のアニオン性ポリマー材料は同じ種類である。いくつかの実施形態では、第1および第2のアニオン性ポリマー材料のそれぞれは、アニオン性多糖である。いくつかの実施形態では、第1および第2のアニオン性ポリマーのそれぞれは、ヒアルロン酸である。
【0032】
第1および第2のアニオン性ポリマー材料が同じ種類である場合、アニオン性ポリマー材料のそれぞれは異なる分子量を有する。いくつかの実施形態では、第1のアニオン性ポリマー材料は、最大約75kDaの分子量を有し、第2のアニオン性ポリマー材料は、約75kDaより大きい分子重量を有する。いくつかの実施形態では、第1のアニオン性ポリマー材料は、最大約75kDaの分子量を有し、第2のアニオン性ポリマー材料は、約75kDaより大きい分子量を有する。
【0033】
脂質小胞が第1および第2のアニオン性ポリマー材料を含む場合、各成分は異なる量で含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1および第2のアニオン性ポリマー材料は、ほぼ同じ量で存在する。いくつかの実施形態では、第1と第2のアニオン性材料との比率は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、3:2、2:1、または約1:1である。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物が第1、第2、および第3のアニオン性ポリマー材料を含む場合、アニオン性ポリマー材料のそれぞれは、同じ種類(例えば、ヒアルロン酸の3つの異なる分子量)であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、第1、第2、および第3のアニオン性ポリマー材料を含み、第1のアニオン性ポリマー材料は、約5kDa~約20kDaの分子量を有し、第2のアニオン性ポリマーは、約20kDa~約75kDaの分子量を有し、第3のアニオン性ポリマー材料は、約75kDaより大きい分子量を有する。いくつかの実施形態では、3つのアニオン性ポリマー材料のそれぞれは、ほぼ同じ量で存在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約0.01mg/mL~約10mg/mLの量で存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.01mg/mL~約10mg/mL、約0.05mg/mL~約0.1mg/mL、約0.05mg/mL~約0.5mg/mL、約0.05mg/mL~約1mg/mL、約0.05mg/mL~約1.25mg/mL、約0.05mg/mL~約1.5mg/mL、約0.05mg/mL~1.75mg/mL、約0.05mg/mL~約2mg/mL、約0.05mg/mL~約5mg/mL、約0.05mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約0.5mg/mL~約1.25mg/mL、約0.5mg/mL~約1.5mg/mL、約0.5mg/mL~約1.75mg/mL、約0.5mg/mL~約2mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~1.25mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~約1.75mg/mL、約1mg/ml~約2mg/ml、約1mg/ml~約5mg/ml、約1mg/ml~約10mg/ml、約1.25mg/ml~約1.5mg/ml、約1.25mg/ml~約1.75mg/ml、約1.25mg/ml~約2mg/ml、約1.25mg/ml~約5mg/ml、約1.25mg/ml~約10mg/ml、約1.5mg/ml~約1.75mg/ml、約1.5mg/ml~約2mg/ml、約1.5mg/ml~約5mg/ml、約1.5mg/ml~約10mg/ml、約1.75mg/ml~約2mg/ml、約1.75mg/ml~約5mg/ml、約1.75mg/mL~約10mg/mL、約2mg/mL~5mg/mL、約2mg/mL~約10mg/mL、または約5mg/mL~約10mg/mLの量で存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、約0.01mg/mL、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量で存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、少なくとも約0.01mg/mL、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、または約5mg/mLの量で存在する。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマー材料は、最大で約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量で存在する。
【0036】
小胞形成脂質
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、1つ以上の小胞形成脂質を含む。小胞形成脂質は、水中油型エマルジョンの部分をカプセル化するように作用する。いくつかの実施形態では、これは、水中油型エマルジョンがある期間にわたって安定したままであることを可能にする。
【0037】
小胞形成脂質は、そのような目的のための任意の適切な脂質であり得る。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、セラミド、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、脂質の組み合わせを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、天然に存在するか、半合成であるか、もしくは合成的に調製されるか、またはそれらの混合物である。一実施形態では、リン脂質は、脂肪酸の1つまたは2つの(等しいまたは異なる)残基およびリン酸を有するグリセロールの1つ以上のエステルであり、リン酸残基は、次いで、例えば、コリン(ホスファチジルコリン--PC)、セリン(ホスファチジルセリン--PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール--PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン--PE)、またはイノシトール(ホスファチジルイノシトール)などの親水性基に結合される。脂肪酸の1つの残基のみを有するリン脂質のエステルは、当該技術分野において一般的に、リン脂質または「リゾリン脂質」の「リゾ」形態と称される。リン脂質中に存在する脂肪酸残基は、一般的に、典型的には12~24の炭素原子、または14~22の炭素原子を含有する長鎖脂肪酸であり、脂肪族鎖は、1つ以上の不飽和を含有し得、または完全に飽和させられ得る。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸である。ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸などの飽和脂肪酸は使用され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、リン脂質は、1つ以上の天然リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、1つ以上の半合成リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、半合成リン脂質は、天然に存在するレシチンの部分的または完全に水素化された誘導体である。いくつかの実施形態では、リン脂質は、ホスファチジルコリン、エチルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、またはスフィンゴミエリンの脂肪酸ジエステルを含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、水素化ホスファチジルコリン(例えば、Sunlipon 90H)を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、例えば、ジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(DLPG)およびそのアルカリ金属塩、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(DAPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジオレオイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約0.5%~約2%、約0.5%~約5%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約0.5%~約12%、約0.5%~約15%、約0.5%~約20%、約0.5%~約25%、約2%~約5%、約2%~約8%、約2%~約10%、約2%~約12%、約2%~約15%、約2%~約20%、約2%~約25%、約5%~約8%、約5%~約10%、約5%~約12%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約8%~約10%、約8%~約12%、約8%~約15%、約8%~約20%、約8%~約25%、約10%~約12%、約10%~約15%、約10%~20約%、約10%~約25%、約12%~約15%、約12%~約20%、約12%~約25%、約15%~約20%、約15%~約25%、または約20%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の少なくとも約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、または約20%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の最大で約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%(w/w)の量で存在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%~約15%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約5%~約11%、約5%~約12%、約5%~約13%、約5%~約14%、約5%~約15%、約8%~約9%、約8%~約10%、約8%~約11%、約8%~約12%、約8%~約13%、約8%~約14%、約8%~約15%、約9%~約10%、約9%~約11%、約9%~約12%、約9%~約13%、約9%~約14%、約9%~約15%、約10%~約11%、約10%~約12%、約10%~約13%、約10%~約14%、約10%~約15%、約11%~約12%、約11%~約13%、約11%~14約%、約11%~約15%、約12%~約13%、約12%~約14%、約12%~約15%、約13%~約14%、約13%~約15%、または約14%~約15%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の少なくとも約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、または約14%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の最大で約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(w/w)の量で存在する。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物はした短鎖ポリオールを含む。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールは、得られる脂質小胞の安定性を増強するために作用する。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールは、2つまたは3つのアルコール基を含むC2-C4ポリオールである。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールは、プロピレングリコールである。いくつかの実施形態では、組成物はプロピレングリコールを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約0.5%~約2%、約0.5%~約5%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約0.5%~約12%、約0.5%~約15%、約0.5%~約20%、約0.5%~約25%、約2%~約5%、約2%~約8%、約2%~約10%、約2%~約12%、約2%~約15%、約2%~約20%、約2%~約25%、約5%~約8%、約5%~約10%、約5%~約12%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約8%~約10%、約8%~約12%、約8%~約15%、約8%~約20%、約8%~約25%、約10%~約12%、約10%~約15%、約10%~20約%、約10%~約25%、約12%~約15%、約12%~約20%、約12%~約25%、約15%~約20%、約15%~約25%、または約20%~約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、少なくとも約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、または約20%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、最大で約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは約1%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約1%~約2%、約1%~約4%、約1%~約6%、約1%~約8%、約1%~約10%、約2%~約4%、約2%~約6%、約2%~約8%、約2%~約10%、約4%~約6%、約4%~約8%、約4%~約10%、約6%~約8%、約6%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、少なくとも約1%、約2%、約4%、約6%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、最大で約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、小胞成形脂質とほぼ同じ量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールと組成物中の小胞成形脂質との比率は、約2:1~約1:2(w/w)である。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールと組成物中の小胞成形脂質との比率は、約1:1(w/w)である。
【0044】
油相
本明細書に提供される脂質小胞組成物は、水中油型エマルジョンを含む。油成分は、材料が動作温度(例えば、室温)で液体であり、水と混和しないように選択される。
【0045】
あらゆる好適な油を油相として使用することができる。いくつかの実施形態では、油は、天然に存在する油を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在する油は、1つ以上の植物または植物部分(例えば、種子または木の実)に由来する。いくつかの実施形態では、油は、天然に存在する油、例えば、オリーブ油、植物油、ヒマワリ油、または他の類似の植物由来油である。
【0046】
いくつかの実施形態では、油相は、植物油、モノ-、ジ-、およびトリグリセリド、シリコン流体、鉱油、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、油相は皮膚軟化剤を含む。いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤は、カプリル酸および/またはカプリン酸トリグリセリド(例えば、Labrafac CC)を含む。いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤は、天然油溶性皮膚軟化剤、例えば、油溶性植物抽出エキス、芳香油、植物油、植物性バター、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、天然油溶性皮膚軟化剤は、ヒマワリ由来の油を含む。いくつかの実施形態では、天然油溶性皮膚軟化剤は、アボカド由来の油を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、油は、ジメチコンなどのシリコーン油、または誘導体を含む。いくつかの実施形態では、シリコーン油はシロキサンポリマーを含む。いくつかの実施形態では、シロキサンポリマーは、C1-C3置換基を含む。いくつかの実施形態では、シロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。いくつかの実施形態では、油は、シリコーン油(例えば、ジメチコン)をより小さい成分として含む混合物である。いくつかの実施形態では、油は、ジメチコン(例えば、LexFeel(商標)N350MB)の代替物として天然皮膚軟化剤を含む混合物である。いくつかの実施形態では、シリコーン油は、得られる組成物の感触を高めるために、または保湿剤として組み込まれる。いくつかの実施形態では、油は、シリコーン油を、組成物の最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、または最大約1%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、シリコーン油は、約0.1%~約2%の量で存在する。
【0048】
いくつかの実施形態では、油は、組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約35%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約35%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約25%~約30%、約25%~約35%、または約30%~約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、または約30%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、最大で約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約5%~約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約5%~約11%、約5%~約12%、約5%~約13%、約5%~約14%、約5%~約15%、約8%~約9%、約8%~約10%、約8%~約11%、約8%~約12%、約8%~約13%、約8%~約14%、約8%~約15%、約9%~約10%、約9%~約11%、約9%~約12%、約9%~約13%、約9%~約14%、約9%~約15%、約10%~約11%、約10%~約12%、約10%~約13%、約10%~約14%、約10%~約15%、約11%~約12%、約11%~約13%、約11%~14約%、約11%~約15%、約12%~約13%、約12%~約14%、約12%~約15%、約13%~約14%、約13%~約15%、または約14%~約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、少なくとも約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、または約14%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、最大で約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%の量で存在する。
【0049】
いくつかの実施形態では、油は1つ以上のトリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6-C12の鎖長を有する脂肪酸エステルを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約35%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約35%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約25%~約30%、約25%~約35%、または約30%~約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、または約30%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、最大で約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物の脂質小胞および/または脂質小胞部分の油相は、ステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロールはコレステロールである。いくつかの実施形態では、コレステロールは、植物由来のコレステロールであり得る。いくつかの実施形態では、植物由来のコレステロールは、PhytoCho1(登録商標)、SyntheCho1(登録商標)、または他のいずれかの植物由来のコレステロール(例えば、Avanti#700100)、あるいはそのいずれかの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、ステロールは、フィトステロール、またはその誘導体であり得る。いくつかの実施形態では、フィトステロール、またはその誘導体は、フィトステロールMM、Advasterol(商標)90 IPまたは95 IP F、NET Sterol-ISO、キャノーラステロール、シトステロール700095、ラノステロール-95、ブラシカステロール、またはそのいずれかの組み合わせであり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%~約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、約1.5%~約3%、約1.5%~約4%、約1.5%~約5%、約2%~約2.5%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2.5%~約3%、約2.5%~約4%、約2.5%~約5%、約3%~約4%、約3%~約5%、または約4%~5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、または約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の少なくとも約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、または約4%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の、最大で約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、または約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約2.6%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールと小胞成形脂質との比率は、約1:2~約1:5(w/w)である。いくつかの実施形態では、ステロールと小胞成形脂質との比率は、約1:2、1:3、1:4、または1:5(w/w)である。
【0053】
浸透促進剤
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、1つ以上の浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、個体の皮膚に適用された場合、皮膚の1つ以上の層を通るアニオン性ポリマー材料の浸透の量を増加させるために作用する。
【0054】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、組成物の水中油型エマルジョンに含まれている。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は組成物の脂質二重層に含まれている。
【0055】
使用され得る浸透促進剤の種類が多く存在する。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、非イオン性界面活性、または非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、単一の非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、少なくとも2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の非イオン性界面活性剤の組み合わせである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、2つの非イオン性界面活性剤の組み合わせである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、3つの非イオン性界面活性剤の組み合わせである。
【0057】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ソルビタンエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸エステルならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールのポリエチレングリコール(PEG)エーテルを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約2~約8のPEG基およびC12-C22脂肪族アルコールを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、ジエチレングリコール・ヘキサデシル・エーテル、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール・モノオレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(3)オレイル・エーテル、もしくはポリオキシエチレン(5)オレイル・エーテル、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、super refined Brij(登録商標)O2、またはその誘導体である。
【0059】
いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、組成物の約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、または約0.05%~約3%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、最大で約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ソルビタンエステルを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、脂肪酸エステルである。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、C12-C22脂肪酸エステルである。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、もしくはソルビタンイソステアレート、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノパルミテートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノステアレートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタントリオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンセスキオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンイソステアレートを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、組成物の最大で約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.1%~約0.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.1%~約0.15%、約0.1%~約0.2%、約0.1%~約0.25%、約0.1%~約0.3%、約0.1%~約0.35%、約0.1%~約0.4%、約0.1%~約0.45%、約0.1%~約0.5%、約0.15%~約0.2%、約0.15%~約0.25%、約0.15%~約0.3%、約0.15%~約0.35%、約0.15%~約0.4%、約0.15%~約0.45%、約0.15%~約0.5%、約0.2%~約0.25%、約0.2%~約0.3%、約0.2%~約0.35%、約0.2%~約0.4%、約0.2%~約0.45%、約0.2%~約0.5%、約0.25%~約0.3%、約0.25%~約0.35%、約0.25%~約0.4%、約0.25%~約0.45%、約0.25%~約0.5%、約0.3%~約0.35%、約0.3%~約0.4%、約0.3%~約0.45%、約0.3%~約0.5%、約0.35%~約0.4%、約0.35%~約0.45%、約0.35%~約0.5%、約0.4%~約0.45%、約0.4%~約0.5%、または約0.45%~約0.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%からの量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、少なくとも約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、または約0.45%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、最大で約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%の量で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.1%~約5%、0.2%~約5%、0.3%~約5%、0.4%~約5%、0.5%~約5%、約0.5%~約4%、または約0.5%~約3%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.5%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、最大で約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0063】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート20である。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、最大で約5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、組成物の約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、または約0.5%~約3%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.5%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、最大で約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0065】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、1つの、脂肪酸エステルを形成するために各末端ヒドロキシルに付加されたC8-C22脂肪酸を含む約2~8のサブユニットのPEG鎖である。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは含む、PEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルはPEG-4ジラウレートである。
【0066】
いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、組成物の最大で約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、または約0.5%~約3%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、最大で約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約10以下の疎水性-親油性バランス(HLB)を有する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、モノステアリン酸グリセリル(例えば、Cithrol GMS 40)を含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、オレイルアルコール(例えば、Lipocol O-95)を含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン・オレイル・エーテル(例えば、Oleth-2)を含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、Capryol(登録商標)90)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、それぞれが約10以下のHLBを有する複数の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、10以下のHLBを有する非イオン性界面活性剤は、下記の表1から選択されるか、またはそれらのいずれかの組み合わせである。
【0067】
【0068】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約10以上の疎水性-親油性バランス(HLB)を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、それぞれが約10以上のHLBを有する複数の非イオン性界面活性剤を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約3%、約0.5%~約4%、約0.5%~約5%、約0.5%~約6%、約0.5%~約7%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1%~約6%、約1%~約7%、約1%~約8%、約1%~約10%、約1.5%~約2%、約1.5%~約3%、約1.5%~約4%、約1.5%~約5%、約1.5%~約6%、約1.5%~約7%、約1.5%~約8%、約1.5%~約10%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2%~約6%、約2%~約7%、約2%~約8%、約2%~約10%、約3%~約4%、約3%~約5%、約3%~約6%、約3%~約7%、約3%~約8%、約3%~約10%、約4%~約5%、約4%~約6%、約4%~約7%、約4%~約8%、約4%~約10%、約5%~約6%、約5%~約7%、約5%~約8%、約5%~約10%、約6%~約7%、約6%~約8%、約6%~約10%、約7%~約8%、約7%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、1.4%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、少なくとも約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、最大で約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約10%の量で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョン、脂質二重層、または両方中に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョン中に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの例では、組成物は、脂質二重層中に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョンおよび脂質二重層中に非イオン性界面活性剤を含み、組成物は、2つ以上の異なる非イオン性界面活性剤を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、サリチル酸エステル、またはニコチン酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、エステルは、C1-C6アルキルエステル、またはベンジルエステルである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、サリチル酸メチル、またはニコチン酸ベンジルを含む。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、組成物の最大で約0.1%、0.5%、1%、2%、または3%(w/w)の量で存在するニコチン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ニコチン酸エステルは、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、または約0.1%~約1%の量で存在する。
【0072】
カチオン性界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物はイオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、イオン性界面活性剤はカチオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、モノカチオン性界面活性剤、ジカチオン性界面活性剤、またはポリカチオン性界面活性剤である。
【0073】
いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は、本明細書で提供される最終の脂質小胞組成物の形成前に(例えば、脂質形成小胞を添加する前に)サブミクロンエマルジョンを形成するために組成物中で使用される。いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は、正味のモノカチオン性(例えば、リン酸アニオンによって部分的に中和されている、それぞれが単一のカチオン性官能性を有する2つの側鎖を含むリン酸塩)である。
【0074】
いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジアンモニウムリン酸エステルである。脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジアンモニウムリン酸エステルは、第四級アンモニウム基に結合した少なくとも1つのプロピレングリコールホスホエステルを含むリン脂質であり、これは次に脂肪酸アミドと結合している。脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジアンモニウムリン酸エステルの1つの非限定的な例は、リノールアミドプロピルPG-ジモニウムクロリドホスフェートである。異なる脂肪酸アミド基が結合した同様の化合物も知られている。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジアンモニオムリン酸エステルは、以下の構造を有する:
【0075】
【化1】
(式中、nは1~3の整数であり、mは0~2の整数であり、mとnの合計は3であり、Xは、プロトン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムから選択されるカチオンであり、およびRは、C
8-C
30脂肪酸のアシル基である)。
【0076】
いくつかの実施形態では、脂肪酸は、C12-C24脂肪酸である。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸である。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、リノール酸である。いくつかの実施形態では、モノカチオン性浸透促進剤は、リノールアミドプロピルPG-ジモニウムクロリドホスフェート(例えば、Arlasilk(商標)PTM、Arlasilk(商標)EFA)である。
【0077】
いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、組成物の約1%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、約1%~約2%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1%~約6%、約1%~約7%、約1%~約8%、約1%~約9%、約1%~約10%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2%~約6%、約2%~約7%、約2%~約8%、約2%~約9%、約2%~約10%、約3%~約4%、約3%~約5%、約3%~約6%、約3%~約7%、約3%~約8%、約3%~約9%、約3%~約10%、約4%~約5%、約4%~約6%、約4%~約7%、約4%~約8%、約4%~約9%、約4%~約10%、約5%~約6%、約5%~約7%、約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約6%~約7%、約6%~約8%、約6%~約9%、約6%~約10%、約7%~約8%、約7%~約9%、約7%~約10%、約8%~約9%、約8%~約10%、または約9%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、7%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、少なくとも約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約9%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステルは、最大で約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジモニウムクロリドリン酸エステル
【0078】
いくつかの実施形態では、非イオン性表面(例えば、モノカプリル酸プロピレングリコール)とカチオン性浸透促進剤(例えば、リノールアミドプロピルPG-ジモニウムクロリドホスフェート)率の比率は、約1:1~約1:10(w/w)である。いくつかの実施形態では、非イオン性表面とカチオン性浸透促進剤との比率は、約1:1~1:2、1:1~1:3、1:1~1:4、1:1~1:5、1:1~1:6、1:1~1:7、1:1~1:8、1:1~1:9、1:1~1:10、1:2~1:3、1:2~1:4、1:2~1:5、1:2~1:6、1:2~1:7、1:2~1:8、1:2~1:9、1:2~1:10、1:3~1:4、1:3~1:5、1:3~1:6、1:3~1:7、1:3~1:8、1:3~1:9、1:3~1:10、1:4~1:5、1:4~1:6、1:4~1:7、1:4~1:8、1:4~1:9、1:4~1:10、1:5~1:6、1:5~1:7、1:5~1:8、1:5~1:9、1:5~1:10、1:6~1:7、1:6~1:8、1:6~1:9、1:6~1:10、1:7~1:8、1:7~1:9、1:7~1:10、1:8~1:9、1:8~1:10、または1:9~1:10(w/w)である。いくつかの実施形態では、非イオン性表面とカチオン性浸透促進剤との比率は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10(w/w)である。いくつかの実施形態では、非イオン性表面とカチオン性浸透促進剤との比は、少なくとも約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10(w/w)である。いくつかの実施形態では、非イオン性表面とカチオン性浸透促進剤との比率は、最大で約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10(w/w)である。
【0079】
いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、ジカチオン性浸透促進剤である。いくつかの実施形態では、ジカチオン性界面活性剤は、ジェミニ型界面活性剤である。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、式のA-N(R)2-B-N(R)2-Cによって表わされる2つの第四級アミンを含む界面活性剤であり、式中、AおよびCのそれぞれは、独立して、任意選択で置換されたC6-C24アルキル基であり、各Rは、独立して、随意に置換されたC1-C6アルキルであり、およびBは任意選択で置換されたC2-C10アルキレン鎖である。いくつかの実施形態では、AおよびCのそれぞれは、C6-C24飽和または不飽和炭化水素である。いくつかの実施形態では、AおよびCのそれぞれは、C6-C24飽和炭化水素である。いくつかの実施形態では、各Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Bは飽和C2-C10アルキレン鎖である。場合によっては、ジェミニ型界面活性剤は、命名法X-Y-Zに従い、式中、X、Y、およびZのそれぞれは、各置換基の炭素原子の数を表す整数であり、Yは、2つの第四級アミンの間のスペーサーである。したがって、例えば、12-3-12ジェミニ型界面活性剤は、式のCH3(CH2)11-[N+(CH3)2]-(CH2)3-[N+(CH3)2]-(CH2)11CH3を有する。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、10-2-10、12-2-12、14-2-14、10-3-10、12-3-12、14-3-14、10-4-10、12-4-12、または14-4-14のジェミニ型界面活性剤である。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、12-3-12ジェミニ型界面活性剤である。
【0080】
いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、組成物の約0.1%~約1.5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、約0.1%~約0.2%、約0.1%~約0.3%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約0.7%、約0.1%~約0.9%、約0.1%~約1%、約0.1%~約1.2%、約0.1%~約1.5%、約0.2%~約0.3%、約0.2%~約0.5%、約0.2%~約0.7%、約0.2%~約0.9%、約0.2%~約1%、約0.2%~約1.2%、約0.2%~約1.5%、約0.3%~約0.5%、約0.3%~約0.7%、約0.3%~約0.9%、約0.3%~約1%、約0.3%~約1.2%、約0.3%~約1.5%、約0.5%~約0.7%、約0.5%~約0.9%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.7%~約0.9%、約0.7%~約1%、約0.7%~約1.2%、約0.7%~約1.5%、約0.9%~約1%、約0.9%~約1.2%、約0.9%~約1.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、または約1.2%~約1.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.5%、約0.7%、約0.9%、約1%、約1.2%、または約1.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、少なくとも約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.5%、約0.7%、約0.9%、約1%、または約1.2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ジェミニ型界面活性剤は、最大で約0.2%、約0.3%、約0.5%、約0.7%、約0.9%、約1%、約1.2%、または約1.5%の量で存在する。
【0081】
いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、ポリカチオン性基を含む。いくつかの実施形態では、ポリカチオン性基は、ポリマーの各モノマーが荷電基(例えば、アミノ基)を含むポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリカチオン性基はポリリジンである。いくつかの実施形態において、ポリカチオン性基はポリアルギニンである。
【0082】
いくつかの実施形態では、ポリリシンは、約1kDa~約10kDa、約1kDa~約5kDa、または約3kDa~約5kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリリシンは、組成物の約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.2%、約0.05%~約1%、約0.05%~約0.5%、または約0.05%~約0.2%(w/w)の量で存在する。
【0083】
追加の成分
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、これらの追加の成分は、アニオン性ポリマー材料の送達を劇的に変更させることなく、小胞の1つ以上の特性を改善する。
【0084】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、1以上の粘度増強剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、小胞組成物の使用者に対する安定性および/または感触を高めるために組成物を増粘させる。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、さらに界面活性剤として作用する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールは、C8-C20脂肪族アルコールである。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールは、セチルアルコールである。いくつかの実施形態では、セチルアルコールは、CrodacolC95である。いくつかの実施形態では、ワックスは、天然または合成ワックスである。いくつかの実施形態では、ワックスは、ミツロウである。いくつかの実施形態では、ワックスは、合成ミツロウである。いくつかの実施形態では、合成ミツロウは、syncrowax(商標)BB4である。いくつかの実施形態では、合成ミツロウは、非動物由来のミツロウである。いくつかの実施形態では、非動物由来のミツロウは、syncrowax(商標)SB1である。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルはモノエステルである。いくつかの実施形態では、モノエステルはC8-C24脂肪酸のエステルである。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルは、モノステアリン酸グリセロールである。
【0085】
いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、約0.5%~約5%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、または約0.5%~約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコールを、最大約2%の量で、ワックスを最大約2%の量で、およびグリセロールの脂肪酸エステルを最大約5%の量で含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールは、約0.1~約1.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ワックスは、約0.1%~約1%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルは、約0.5%~約2%の量で存在する。
【0086】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、増粘剤、防腐剤、保湿剤、皮膚軟化剤、保潤剤、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は、増粘剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は、防腐剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は、保湿剤をさらに含む。特定の実施形態では、小胞組成物は、皮膚軟化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は、保潤剤をさらに含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、抗菌剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、パラベンエステルである。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、組成物の最大約1%、最大約0.9%、最大約0.8%、最大約0.7%、最大約0.6%、最大約0.5%、最大約0.4%、最大約0.3%、約0.2%(w/w)の量で存在する。
【0088】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、増粘剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、増粘剤は不活性なポリマー材料である。いくつかの実施形態では、増粘剤は、シロキサンポリマーである。いくつかの実施形態では、増粘剤は、ポリジメチル・シロキサン(PDMS)である。いくつかの実施形態では、PDMSは、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、または最大約1%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PDMSは、組成物の約0.1%~約2%(w/w)の量で存在する。
【0089】
いくつかの実施形態では、組成物は保湿剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約0.5%~約25%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、または約0.5%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%~約2%、約1%~約4%、約1%~約6%、約1%~約8%、約1%~約10%、約2%~約4%、約2%~約6%、約2%~約8%、約2%~約10%、約4%~約6%、約4%~約8%、約4%~約10%、約6%~約8%、約6%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%、約2%、約4%、約6%、8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、少なくとも約1%、約2%、約4%、約6%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、組成物の最大で約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%(w/w)の量で存在する。
【0090】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、防腐剤を含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、Euxyl(登録商標)PE 9010、またはSpectrastat(登録商標)などの化粧品防腐剤である。Euxyl(登録商標)PE 9010は、フェノキシエタノール/エチルヘキシルグリセリン混合物である。Spectrastat(登録商標)は、カプリルヒドロキサム酸、カプリリルグリコール、およびグリセリンのブレンドである。いくつかの実施形態では、防腐剤は、組成物の最大約2%、最大約1.5%、または最大約1%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、または約0.1%~約1%の量で存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、または1.5%の量で存在する。
【0091】
いくつかの実施形態では、追加の成分は精製水を含む。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%~90%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~85約%、約70%~約90%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約80%~約85%、約80%~約90%、または約85%~約90%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、または約85%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、最大で約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の量で存在する。
【0092】
アニオン性ポリマー材料を送達するための例示的な組成物
アニオン性ポリマー材料を送達するための例示的な組成物が以下に提供される。下記の実施形態は、本明細書で提供される他の成分(ingredients)または成分(components)のいずれかをさらに含み得る。
【0093】
ヒアルロン酸組成物1:一態様では、本明細書で提供されるのは、脂質小胞組成物であり、該組成物は、
(a)それぞれが小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞であって、小胞形成脂質が約5%~約20%の量で存在する、脂質小胞、
(b)脂質小胞中に封入され、1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンであって、1つ以上の界面活性剤がカチオン性界面活性剤を含む水中油型エマルジョン、水中油型エマルジョン、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される、約0.1mg/mL~約10mg/mLの量のヒアルロン酸を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、油成分は、約2.5%~約20%の量で存在する。
【0095】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ヒアルロン酸を、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.01mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~1.75mg/mL、約1mg/mL~約2mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ヒアルロン酸を、約0.01mg/mL、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量で含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、粘度増強剤を、約0.5%~約5%の量でさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、非イオン性界面活性剤を、約0.1%~約3%の量でさらに含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールのPEGエーテルである。
【0098】
いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、脂肪アミド由来のプロピレングリコール-ジアンモニウムリン酸エステルである。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、約1%~約10%の量で存在する。
【0099】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量でさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量で含む。
【0100】
ヒアルロン酸組成物2:一態様では、本明細書で提供されるのは、脂質小胞組成物であり、該組成物は、
(a)それぞれが小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞であって、小胞形成脂質が約2%~約20%の量で存在する、脂質小胞、
(b)脂質小胞中に封入され、1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョン、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される、約0.1mg/mL~約10mg/mLの量のヒアルロン酸を含み、組成物は、
ジェミニ型界面活性剤を、約0.01%~約0.5%の量で、および
ポリソルベートを、約0.1%~約2%の量でさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、油成分は、約2.5%~約20%の量で存在する。
【0102】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ヒアルロン酸を、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.01mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~1.75mg/mL、約1mg/mL~約2mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ヒアルロン酸を、約0.01mg/mL、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量で含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、粘度増強剤を、約0.5%~約5%の量でさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート80である。
【0105】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量でさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ペプチドアンタゴニストを、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量で含む。
【0106】
皮内送達用の筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体アンタゴニストペプチドの脂質小胞組成物
一態様では、本明細書で提供されるのは、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを含む脂質小胞組成物である。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、それぞれが小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質小胞中に封入される水中油型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンは、1つ以上の界面活性剤によって安定化される。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入される。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、脂質二重層中に封入される。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、水中油型エマルジョン中に封入される。
【0107】
筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体
一態様では、本開示は、筋肉nAChRとも称される、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストを含む脂質小胞組成物に関する。
【0108】
筋肉nAChRは、関連するが遺伝的および免疫学的に異なる4つのサブユニットのヘテロペンタマーとして一般的に記載される構造を有するリガンド活性化されたイオンチャネル受容体である。サブユニットは、2つのαサブユニットならびにそれぞれβ、δおよびγの1つの化学量論で膜の中心細孔のまわりに編成される。筋肉nAChRは、神経筋接合部で神経によって放出される内因性神経伝達物質アセチルコリン(ACh、天然受容体アゴニスト)によって活性化される。AChは受容体に結合し、チャネル活性化またはゲーティングのためのシグナルの伝達をもたらす。
【0109】
本開示のペプチドアンタゴニストは、筋肉nAChRの活性部位で結合し、受容体へのAChの結合を阻害する。その結果、神経からのシグナル(ACh放出)がもはや筋収縮を刺激するのに有効ではなくなるように、神経筋シナプス後膜が非脱分極遮断される。例えば、Albuquerque,et al.,2009,“Mammalian Nicotinic Acetylcholine Receptors:From Structure to Function,”Physiol.Rev.89(1):73-120,およびKalamida,et al.,2007,“Muscle and neuronal nicotinic acetylcholine receptors,”The FEBS Journal 274:3799-3845を参照し、それぞれがその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
意図的な筋肉脱神経は、以下の抗コリン作用性ボツリヌス毒素産物:オナボツリヌス毒素A(BTX-A、BOTOX(登録商標)として販売)、アボツリヌス毒素A(Dysport(登録商標))、インコブオツリヌス毒素A(Xeomin(登録商標))、リマボツリヌス毒素B(Myobloc(登録商標))およびプラボツリヌス毒素A-xvfs(Jeuveau(登録商標))を使用して達成された。BTX-Aは、神経細胞小胞に存在するAChの、シナプスの神経細胞からの分泌を妨げる。その結果、シナプスでAChが存在しなくなり、筋細胞を神経支配できなくなる。したがって、これらの毒素の作用メカニズムはシナプス前性である。ボツリヌス毒素は、例えば、顔面における皮膚のしわ、皮膚の弛緩、皺眉筋および/または鼻根筋活性に関連する中等度~重度の眉間線、眼窩角膜活性に関連する中等度~重度の外側眼角線(カラスの足跡線)、前頭筋活性に関連する中等度~重度の額の線の予防または外観の改善、過活動膀胱(OAB)の処置、尿失禁の処置、慢性片頭痛を患う成人患者における頭痛の予防、突発性片頭痛の予防または処置、上肢および下肢の痙縮の処置、子宮頸部ジストニアの処置、過唾液分泌(唾液分泌過多または流涎症(sialorrhea)とも称される)の処置、ジストニアに関連する眼瞼痙攣の処置、斜視の処置および処置における使用のために指示される。(例えば、Botox Cosmetic BLA 103000、Botox Cosmeticの製品添付文書改訂5/2018、Botoxの製品添付文書改訂4/2017、Dysport BLA 125274、Dysportの製品添付文書改訂6/2017、Xeomin BLA 125360、Xeominの製品添付文書改訂7/2018、Myoblocの製品添付文書改訂8/2019、およびJeuveau BLA 761085の製品添付文書改訂7/2019を参照され、それぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。)
【0111】
対照的に、本開示のペプチドアンタゴニストは、筋細胞AChRにおけるACh活性部位を占有する(シナプス後性)。結合すると、本開示のペプチドアンタゴニストは、神経細胞から分泌されたAChの結合を遮断する。
【0112】
筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニスト
本開示は、ヒト筋肉nAChRを含む哺乳動物筋肉nAChRのペプチドアンタゴニストを含む脂質小胞組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるペプチドアンタゴニストは、当技術分野において既知の筋肉nAChRアンタゴニストと比較して望ましい特性または改善された特性を有する。そのような特性は、例えば、薬物動態学的特性(吸収度、バイオアベイラビリティ、分布、代謝、および排泄を含むが、これらに限定されない)薬力学的特性(以下を含むが、これらに限定されない:受容体結合特性、例えば、結合半減期、受容体後効果、および化学的相互作用)、増強された活性(例えば、IC50によって表わされる)、安定性(例えば、半減期によって表わされる)、溶解度(例えば、製剤中の)、または透過性(例えば、ペプチドアンタゴニストを含有する製剤による皮膚の透過性)を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストを含有する製剤は、当技術分野において既知の筋肉nAChRアンタゴニストを含有する製剤と比較して望ましい特性または改善された特性を有する。いくつかの実施形態では、本開示の製剤の望ましいまたは改善された特性は、本明細書に別記されるような適応症のための製剤の使用、例えば、皮膚のしわを低減またはその外観を改善するための使用に関連する特性である。
【0113】
ペプチドアンタゴニスト
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物のペプチドアンタゴニストは、コノトキシンペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つに関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つに関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のいずれか1つのアミノ酸配列に同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1~52または60~99のうちのいずれか1つの同一の配列からなるアミノ酸配列をしている。
【0114】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号1の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号3に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号3に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号3の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号60の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号61のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号61に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号61に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号61の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号73のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号73に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号73に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、または5のアミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号73の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号78のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号78に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号78に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号78の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号82のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号82に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号82に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号82の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号85のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号85に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号85に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号85の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号91のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号91に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号91に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号91の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号95のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の配列相同性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号95に関連する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、Xaa1-Xaa14として定義されるアミノ酸から選択されている。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号95に関連する1、2、3、4、または5のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、あるいは5アミノ酸置換の少なくとも1、2、または3は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、配列番号95の同一の配列からなるアミノ酸配列を有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、最大約20のアミノ酸、最大約18のアミノ酸、最大約16のアミノ酸、最大約14のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、最大約2500Da、最大約2200Da、最大約2000Da、最大約1800Da、最大約1700Da、最大約1600Da、最大約1500Daの分子量を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体ペプチドアンタゴニストは、12~14の残基を有し、以下の
【0126】
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14のアミノ酸配列を含み、
【0127】
式中に、
【0128】
Xaa1は、存在しないか、またはAla、Gly、Val、Leu、IleおよびAla、Gly、Val、Leu、またはIleの誘導体から選択され;
【0129】
Xaa2は、存在しないか、またはAsn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、Lys、Phe、Trp、Tyr、Ala、Gly、Val、Leu、He、およびAsn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、Lys、Phe、Trp、Tyr、Ala、Gly、Val、Leu、またはHeの誘導体から選択され;
【0130】
Xaa3およびXaa8は、結合Xaa3-Xaa8を形成し;
【0131】
Xaa4およびXaa14は、結合Xaa4-Xaa14を形成し;
【0132】
Xaa5は、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、Lys、およびAsn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、またはLysの誘導体から選択され;
【0133】
Xaa6は、Proおよびその誘導体から選択され;
【0134】
Xaa7は、Ala、Gly、Val、Leu、IleおよびAla、Gly、Val、Leu、またはIleの誘導体から選択され;
【0135】
Xaa9は、Ala、Gly、Val、Leu、IleおよびAla、Gly、Val、LeuまたはIleの誘導体から選択され;
【0136】
Xaa10は、Arg、His、Lys、およびArg、His、またはLysの誘導体から選択され;
【0137】
Xaa11は、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、Lys、およびAsn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、またはLysの誘導体から選択され;
【0138】
Xaa12は、Phe、Trp、Tyr、およびPhe、Trp、またはTyrの誘導体から選択され;
【0139】
Xaa13は、Cys、Met、Sec、Ser、Thr、Arg、His、Lys、およびCys、Met、Sec、Ser、Thr、Arg、His、またはLysの誘導体から選択され;
【0140】
N末端は、任意選択で修飾され;および
【0141】
C末端は、任意選択で修飾される。
【0142】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体ペプチドアンタゴニストは、12~14の残基を有し、以下の:
【0143】
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14のアミノ酸配列を含み、
【0144】
式中、
【0145】
Xaa1は、存在せず;
【0146】
Xaa2は、存在せず;
【0147】
Xaa3およびXaa8は、結合Xaa3-Xaa8を形成し;
【0148】
Xaa4およびXaa14は、結合Xaa4-Xaa14を形成し;
【0149】
Xaa5は、Asp、Gln、Glu、Arg、His、およびLysから選択され;
【0150】
Xaa6は、Proおよびヒドロキシプロリンから選択され;
【0151】
Xaa7は、Ala、Gly、Val、Leu、およびIleから選択され;
【0152】
Xaa9は、Ala、Gly、Val、Leu、およびIle選択され;
【0153】
Xaa10は、ArgおよびHisから選択され;
【0154】
Xaa11は、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、His、およびLysから選択され;
【0155】
Xaa12は、TrpおよびTyr選択され;
【0156】
Xaa13は、Cys、Met、Sec、Ser、Thr、Arg、His、およびLysから選択され;
【0157】
N末端は、任意選択で修飾され;および
【0158】
C末端は、任意選択で修飾される。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、以下のアミノ酸配列:
【0160】
Glu-Cys-Cys-Asn-Pro-Ala-Cys-Gly-Arg-His-Tyr-Ser-Cys(配列番号1)からならず、
【0161】
ここで、第1および第3のシステイン残基(Xaa3-Xaa8)は結合され、第2および第4のシステイン残基(Xaa4-Xaal4)は結合される(α-コノトキシンGI、またはCGI)。
【0162】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、以下のアミノ酸配列:
【0163】
Glu-Cys-Cys-Asn-Pro-Ala-Cys-Gly-Lys-His-Phe-Ser-Cys(配列番号2)からならず、
【0164】
ここで、第1および第3のシステイン残基(Xaa3-Xaa8)は結合され、第2および第4のシステイン残基(Xaa4-Xaal4)は結合される。
【0165】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、以下のアミノ酸配列:
【0166】
Glu-Cys-Cys-His-Pro-Ala-Cys-Gly-Lys-His-Phe-Ser-Cys(配列番号56)カラならず、
【0167】
ここで、第1および第3のシステイン残基(Xaa3-Xaa8)は結合され、第2および第4のシステイン残基(Xaa4-Xaal4)は結合される(α-コノトキシンGII配列)。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、以下のアミノ酸配列:
【0169】
Gly-Arg-Cys-Cys-His-Pro-Ala-Cys-Gly-Lys-Asn-Tyr-Ser-Cys(配列番号3)からならず、
【0170】
ここで、第1および第3のシステイン残基(Xaa3-Xaa8)は結合され、第2および第4のシステイン残基(Xaa4-Xaal4)は結合される(α-コノトキシンMI、またはCMI)。
【0171】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストにおけるアミノ酸残基の数は、12以下、13以下、または14以下である。実施形態では、開示のペプチドアンタゴニストは、12、13、または14のアミノ酸残基からなる。
【0172】
本開示のペプチドアンタゴニストの非限定的な例は、表2に示される。
【0173】
【0174】
【0175】
1(Xaa3-Xaa8)でシスタチオニン(Cyt-Cyt)結合を含む。2(Xaa4-Xaal4)でシスタチオニン(Cyt-Cyt)結合を含む。3(Xaa3-Xaa8)でジスルフィド(Cys-Cys)結合を含む。4(Xaa4-Xaal4)でジスルフィド(Cys-Cys)結合を含む。5(Xaa3-Xaa8)でSec-Sec結合を含む。6(Xaa4-Xaal4)でSec-Sec結合を含む。全ては、本明細書に提供されるXaal-Xaal4の番号付けを参照する。
【0176】
表に他に示されない限り、表1に列挙されるペプチドは、全てのL-アミノ酸または全てのD-アミノ酸を含み得る。
【0177】
拘束構造
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、結合、架橋、または2つの位置の残基間のいずれかの手段のライゲーションを含むが、それらに限定されない拘束構造を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、その末端もしくはペプチド内の位置、またはその両方によって拘束される。いくつかの実施形態では、拘束構造は、ペプチドアンタゴニスト特性、例えば、薬物動態学的特性(吸収度、バイオアベイラビリティ、分布、代謝、および排泄を含むが、これらに限定されない)、薬物力学的特性(以下を含むが、これらに限定されない:受容体結合特性、例えば、結合半減期、受容体後効果、および化学的相互作用)、増強された活性(例えば、IC50によって表わされる)、安定性(例えば、半減期によって表わされる)、溶解度(例えば、製剤中の)、または透過性(例えば、ペプチドアンタゴニストを含有する製剤による皮膚の透過性)に影響を及ぼす。ある特定の実施形態では、拘束構造は、ペプチドアンタゴニストの安定性を増強する。ある特定の実施形態では、拘束構造は、ペプチドアンタゴニストの皮膚を通した透過性を増強する。ある特定の実施形態では、拘束構造は、ペプチドアンタゴニストの製剤、例えば、局所製剤での溶解度を増強する。
【0179】
実施形態では、本明細書に記載されるように拘束されるペプチドアンタゴニストは、大環状ペプチドまたは構造と称される。大環状のペプチドは、ペプチド中の2つの位置の間の結合によって分子内で形成される直鎖状のペプチドの閉環構造を指し、必要に応じて、結合アミノ酸、結合アミノ酸誘導体、結合分子、結合部分、結合残基、結合実体などと称される。2つの結合アミノ酸、結合アミノ酸誘導体、結合分子、結合部分、結合残基、または結合実体は、2つ以上のアミノ酸残基によって互いに分離されるか、互いに直接結合されるか、リンカーなどを介して結合される。
【0180】
実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストの結合は、例えば、ジスルフィド結合、ペプチド結合、アルキル結合、アルケニル結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、C--S--C結合、C=N--C結合、C=N--C結合、アミド結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、アミン結合、チオアミド結合などによって互いに結合した2つの結合アミノ酸、結合アミノ酸誘導体、結合分子、結合部分、結合残基、または結合実体によって形成される。大環状化は、ペプチドのN末端アミノ酸とC末端アミノ酸との間の結合によって、末端アミノ酸と非末端アミノ酸との間の結合によって、または非末端アミノ酸間の結合によって形成され得る。
【0181】
便宜上、結合に関与する特定のアミノ酸への言及は、非結合アミノ酸(例えば、それが結合の形成に先立って有し得る構造)の命名法を使用することができる。ある特定の結合、例えば、合成結合は、当該技術分野において一般的に参照される2つのアミノ酸または誘導体を接続することによって形成されない場合があることも理解される。したがって、本明細書における結合されたアミノ酸への言及は、ペプチドアンタゴニストにおける所与の残基位置における各関与する化学物質を記載するために、最も密接に近似する言葉を使用し得る。対応して、ペプチド配列中の結合された実体、例えば、Xaa3、Xaa4、Xaa8、およびXaal4は、結合されたアミノ酸と称され得るが、それらは、当技術分野において一般的に参照されるアミノ酸ではない。いくつかの実施形態では、Xaa3およびXaa8ならびにXaa4およびXaal4は、(例えば、Xaa3-Xaa8結合およびXaa4-Xaal4結合を形成する)結合された実体の場合、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸誘導体、結合された(もしくは結合形成)分子、結合された(もしくは結合形成)部分、結合された(もしくは結合形成)残基、または代替として結合された(もしくは結合形成)実体と称され得る。これらの用語は、Xaa3、Xaa4、Xaa8、またはXaal4のいずれかに存在するアミノ酸、分子、部分、残基、または実体を指すために使用することができ、代替として、結合または非結合のいずれかである。例えば、本開示のペプチドアンタゴニストにおいて結合されないが、結合されることが意図される場合、2つの結合アミノ酸は、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸誘導体、結合された(もしくは結合形成)分子、結合された(もしくは結合形成)部分、結合された(もしくは結合形成)残基、または代替として結合された(もしくは結合形成)実体とも称され得る。結合される場合、2つの結合アミノ酸は、代替として、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸、結合された(もしくは結合形成)アミノ酸誘導体、結合された(もしくは結合形成)分子、結合された(もしくは結合形成)部分、結合された(もしくは結合形成)残基、または結合(もしくは結合形成)実体と称され得る。結合されず、結合されることが意図されない場合、2つのアミノ酸は、非結合(または非結合形成)アミノ酸、非結合(または非結合形成)アミノ酸誘導体、非結合分子、非結合部分、非結合残基、または非結合実体と称され得る。いくつかの実施形態では、開示のペプチドアンタゴニストを結合されていないア本開示のペプチドアンタゴニストにおける非結合アミノ酸位置における各残基は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、分子、部分、残基もしくは実体と称され得るか、または非結合(もしくは非結合形成)アミノ酸、非結合(もしくは非結合形成)アミノ酸誘導体、非結合(もしくは非結合形成)分子、非結合(または非結合形成)部分、非結合(または非結合形成)残基、または非結合(または非結合形成)実体と称され得る。
【0182】
当業者に公知の任意の拘束構造が、残基を結合するために企図される。拘束構造およびそれらのそれぞれの結合残基の例は、以下:ジスルフィド架橋(例えば、各結合アミノ酸がCysである、Cys-Cys結合)、Sec-Sec結合(各結合アミノ酸がセレノシステインである、セレノシステイン結合)、シスタチオニン結合または架橋(例えば、Ser-ホモシステイン結合)、本明細書ではCyt-Cyt(例えば、CH2-CH2-S-CH2)とも称される、ラクタム架橋(例えば、Asp-LysまたはGlu-Lys結合)、チオエーテル結合(例えば、Cys-デヒドロアラニンまたはメチル変異体を含むが、それらに限定されないランチオニン結合)、およびジカルバ結合(例えば、オレフィン含有アミノ酸、例えば、アリルグリシンまたはプレニルグリシンの結合)から選択される結合または架橋を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、結合は、結合残基Cys-Cysを有するジスルフィド架橋、結合残基Sec-Secを有するセレノシステイン結合、結合残基Ser-ホモシステインを有するシスタチオニン結合、残基Asp-LysまたはGlu-Lysを有するラクタム架橋、結合残基Cys-デヒドロアラニンまたはメチル変異体を有するランチオニン結合、および結合残基アリルグリシンまたはプレニルグリシンを有するジカルバ結合から選択される。実施形態では、結合アミノ酸、結合アミノ酸誘導体、結合分子、結合部分、結合残基、または結合実体は、Cys、Sec、Ser、ホモシステイン、Asp、Lys、Glu、デヒドロアラニン、またはオレフィン含有アミノ酸(例えば、アリルグリシンまたはプレニルグリシン)から選択される。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのXaa3-Xaa8およびXaa4-Xaal4結合のそれぞれは、2つのCys結合残基によって形成されるジスルフィド架橋、2つのセレノシステイン結合残基によって形成されるSec-Sec結合、Serおよびホモシステイン結合残基によって形成されるシスタチオニン結合、AspおよびLys結合残基またはGluおよびLys結合残基によって形成されるラクタム架橋、Cysおよびデヒドロアラニンまたはメチル変異体残基によって形成されるランチオニン結合であるチオエーテル結合、オレフィン含有の結合残基によって形成されるジカルバ結合、例えば、アリルグリシンまたはプレニルグリシン結合残基、または当技術分野において公知であり、記載されているような結合残基によって形成されるこれらの結合のいずれかから独立して選択される結合である。いくつかの実施形態では、Xaa3-Xaa8またはXaa4-Xaal4結合は、互いに同じであるか、または異なる。
【0184】
(例えば、Knerr et al.,2011,“Synthesis and activity of thioether-containing analogues of the complement inhibitor compstatin,”ACS Chem Biol.6(7):753-760;DiMarco et al.,2006,“Discovery of novel,highly potent and selective b-hairpin mimetic CXCR4 inhibitors with excellent anti-HIV activity and pharmacokinetic profiles”,Bioorganic & Medicinal Chemistry 14:8396-8404;Dekan et al.,2011,“α-Conotoxin ImI incorporating stable cystathionine bridges maintains full potency and identical three-dimensional structure,”J.Am.Chem.Soc.2011,133:15866-15869;Nguyen and Wong,2017,“Making circles:recent advance in chemical and enzymatic approaches in peptide macrocyclization,”Journal of Biochemistry and Chemical Sciences 1(1):1-13;Tam and Wong,2012,“Chemical Synthesis of Circular Proteins,”The Journal of Biological Chemistry 287(32):27020-27025を参照し、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。)いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の結合残基の使用に適するいずれかの適切な拘束構造が、本開示のペプチドアンタゴニストにおける使用のために企図される。
【0185】
いくつかの実施形態では、特定の拘束構造は、分解、例えば、ジスルフィド結合拘束構造の還元によって引き起こされる分解に対するその耐性に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、還元による分解に抵抗する拘束構造を含む。例えば、還元環境において、ジスルフィド結合は、分解および結果として生じる活性の喪失または他の所望のペプチドアンタゴニスト特性に感受性であり得る。いくつかの実施形態では、シスタチオン結合または少なくとも2つのC1-C6ヘテロシクロアルキル環の結合は、ジスルフィド結合と比較して増加した安定性を付与する。
【0186】
いくつかの実施形態では、鎖中の2つのアミノ酸は、結合によって結合されて、大環状環構造を作製する。いくつかの実施形態では、結合は、ペプチドにおけるヘアピンターンを模倣する。いくつかの実施形態では、結合は、シスタチオニン結合、ラクタム架橋、またはチオエーテル架橋(例えば、ランチオニン結合)などの標準または非標準アミノ酸間の共有結合を含む。いくつかの実施形態では、結合は、ジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、結合は、ランチオニンまたはメチルランチオニン結合などの標準または非標準酸アミノ酸間の共有結合を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの芳香族または非芳香族環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つのシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの複素環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも2つの複素環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの窒素含有のヘテロシクロアルキル環を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、結合は、
【0188】
【化2】
の構造を含み、式中、AおよびBは複素環である。いくつかの実施形態では、結合は、
【0189】
【化3】
の構造を含み、式中、AおよびBは複素環である。
【0190】
いくつかの実施形態では、結合は、ピロリジン、ピペリジン、デヒドロピロリジン、デヒドロピペリジン、アジリジン、アゼチジン、オキサゾリジン、またはチアゾリジンを含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つのC1-C6ヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの5-員のヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの6-員のヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つの5-員のヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つの5-員のヘテロシクロアルキル環を含み、各環は、少なくとも1つの窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つの5-員のヘテロシクロアルキル環を含み、少なくとも1つの環は、少なくとも1つの窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つの6-員のヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、アミド結合によって接続される2つのC1-C6ヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、-C(=O)NH-によって接続される2つのC1-C6ヘテロシクロアルキル環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つのピロリジン環を含む。いくつかの実施形態では、結合は、少なくとも1つの非標準アミノ(非天然)酸残基を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つの(標準または非標準)アミノ酸を含み、第1のアミノ酸は、α位に(S)構成を有し、第2のアミノ酸は、α位に(R)構成を有する。いくつかの実施形態では、結合は、ペプチド結合によって接続される2つの(標準または非標準)アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、結合は、2つのプロリン残基(ジプロリン結合)を含む。いくつかの実施形態では、結合は、ペプチド結合によって接続される2つのプロリン残基を含む。いくつかの実施形態では、結合は、D-プロリンおよびL-プロリン(D-プロリン-L-プロリン、またはL-プロリン-D-プロリン)を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、結合は、D-プロリンおよびL-プロリン、またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、そのような誘導体は、プロリンのピロリジン環への置換を含む。いくつかの実施形態では、結合は、3-フルオロプロリン、4-フルオロプロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、3-アミノプロリン、4-アミノプロリン、3,4-デヒドロプロリン、アジリジン-2-カルボン酸、アゼチジン-2-カルボン酸、ピペコリン酸、4-オキサ-プロリン、3-チアプロリン、または4-チアプロリンから選択される非標準アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、結合は、プロリン、3-フルオロプロリン、4-フルオロプロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、3-アミノプロリン、4-アミノプロリン、3,4-デヒドロプロリン、アジリジン-2-カルボン酸、アゼチジン-2-カルボン酸、ピペコリン酸、4-オキサ-プロリン、3-チアプロリン、または4-チアプロリンから選択される2つのアミノ酸を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、結合は、標準または非標準アミノ酸ラクタム架橋間の共有結合を含む。いくつかの実施形態では、結合は、
【0193】
【0194】
いくつかの実施形態では、結合は、標準または非標準アミノ酸チオエーテル架橋間の共有結合を含む。いくつかの実施形態では、結合は、
【0195】
【0196】
これらおよび同様の拘束構造を使用して、ペプチド中の末端および/または非末端位置の残基を結合させることができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのXaa3およびXaa8は結合される。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのXaa4およびXaa14は結合される。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのXaa3およびXaa8、ならびにXaa4およびXaal4が結合される。
【0197】
結合間隔
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような拘束構造は、拘束された残基間に生じる空間的隔離に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、空間的隔離は、上記のペプチドアンタゴニスト特性に影響を及ぼす。本開示のペプチドアンタゴニストは、2つの結合されたアミノ酸残基のアルファ炭素間、または2つの結合された残基(例えば、アミノ酸誘導体)の幾何学的中心間に約3.5~約10オングストロームの空間的隔離を付与する拘束構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、2つの結合されたアミノ酸残基のアルファ炭素間の空間的隔離、または2つの結合残基の幾何学的中心間の空間的隔離は、約3.5オングストローム~約10オングストロームである。いくつかの実施形態では、2つの結合されたアミノ酸残基のアルファ炭素間の空間的隔離、または2つの結合残基の幾何学的中心間の空間的隔離は、少なくとも約3.5オングストロームである。いくつかの実施形態では、2つの結合されたアミノ酸残基のアルファ炭素間の空間的隔離、または2つの結合残基の幾何学的中心間の空間的隔離は、最大で約10オングストロームである。いくつかの実施形態では、2つの結合アミノ酸残基のアルファ炭素間の空間的隔離、または2つの結合残基の幾何学的中心間の空間的隔離は、約3.5オングストローム~約4.5オングストローム、約3.5オングストローム~約5オングストローム、約3.5オングストローム~約5.5オングストローム、約3.5オングストローム~約6オングストローム、約3.5オングストローム~約6.5オングストローム、約3.5オングストローム~約7オングストローム、約3.5オングストローム~約7.5オングストローム、約3.5オングストローム~約8オングストローム、約3.5オングストローム~約8.5オングストローム、約3.5オングストローム~約9オングストローム、約3.5オングストローム~約10オングストローム、約4.5オングストローム~約5オングストローム、約4.5オングストローム~約5.5オングストローム、約4.5オングストローム~約6オングストローム、約4.5オングストローム~約6.5オングストローム、約4.5オングストローム~約7オングストローム、約4.5オングストローム~約7.5オングストローム、約4.5オングストローム~約8オングストローム、約4.5オングストローム~約8.5オングストローム、約4.5オングストローム~約9オングストローム、約4.5オングストローム~約10オングストローム、約5オングストローム~約5.5オングストローム、約5オングストローム~約6オングストローム、約5オングストローム~約6.5オングストローム、約5オングストローム~約7オングストローム、約5オングストローム~約7.5オングストローム、約5オングストローム~約8オングストローム、約5オングストローム~約8.5オングストローム、約5オングストローム~約9オングストローム、約5オングストローム~約10オングストローム、約5.5オングストローム~約6オングストローム、約5.5オングストローム~約6.5オングストローム、約5.5オングストローム~約7オングストローム、約5.5オングストローム~約7.5オングストローム、約5.5オングストローム~約8オングストローム、約5.5オングストローム~約8.5オングストローム、約5.5オングストローム~約9オングストローム、約5.5オングストローム~約10オングストローム、約6オングストローム~約6.5オングストローム、約6オングストローム~約7オングストローム、約6オングストローム~約7.5オングストローム、約6オングストローム~約8オングストローム、約6オングストローム~約8.5オングストローム、約6オングストローム~約9オングストローム、約6オングストローム~約10オングストローム、約6.5オングストローム~約7オングストローム、約6.5オングストローム~約7.5オングストローム、約6.5オングストローム~約8オングストローム、約6.5オングストローム~約8.5オングストローム、約6.5オングストローム~約9オングストローム、約6.5オングストローム~約10オングストローム、約7オングストローム~約7.5オングストローム、約7オングストローム~約8オングストローム、約7オングストローム~約8.5オングストローム、約7オングストローム~約9オングストローム、約7オングストローム~約10オングストローム、約7.5オングストローム~約8オングストローム、約7.5オングストローム~約8.5オングストローム、約7.5オングストローム~約9オングストローム、約7.5オングストローム~約10オングストローム、約8オングストローム~約8.5オングストローム、約8オングストローム~約9オングストローム、約8オングストローム~約10オングストローム、約8.5オングストローム~約9オングストローム、約8.5オングストローム~約10オングストローム、または約9オングストローム~約10オングストロームである。いくつかの実施形態では、2つの結合アミノ酸残基のアルファ炭素間の空間的隔離、または2つの結合残基の幾何学的中心間の空間的隔離は、約3.5オングストローム、約4.5オングストローム、約5オングストローム、約5.5オングストローム、約6オングストローム、約6.5オングストローム、約7オングストローム、約7.5オングストローム、約8オングストローム、約8.5オングストローム、約9オングストローム、または約10オングストロームである。実施形態では、特異的な空間的隔離は、当技術分野において公知のリンカーまたはスペーサー分子を使用して達成される。
【0198】
アミノ酸誘導体
本開示は、本開示のペプチドアンタゴニストのいずれかにおいて任意のアミノ酸のアミノ酸誘導体またはアナログの使用を企図する。いくつかの実施形態では、アミノ酸修飾は、任意の公知の方法を用いて化学的に行うことができる。選択的タンパク質修飾は、文献、例えば、Spicer and Davis,2014,“Selective chemical protein modification”,Nature Communications 5:4740に記載されており、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
いくつかの実施形態では、アミノ酸誘導体は、非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、α位で(S)構成を有する。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、α位で(R)構成を有する。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸はαアミノ酸である。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、βまたはγアミノ酸である。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、芳香族側鎖アミノ酸、非芳香族側鎖アミノ酸、脂肪族側鎖アミノ酸、側鎖アミドアミノ酸、側鎖エステルアミノ酸、ヘテロ芳香族側鎖アミノ酸、側鎖チオールアミノ酸、βアミノ酸、および骨格修飾アミノ酸から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、またはフェニルアラニンの誘導体である。いくつかの実施形態では、アミノ酸の誘導体は、アミノ酸のエステル、アミド、ジスルフィド、カルバマート、尿素、リン酸塩、エーテルを含む。いくつかの実施形態では、非芳香族側鎖アミノ酸は、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、またはロイシンの誘導体である。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジビン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシン、サルコシン、n-メチルイソロイシン、6-N-メチルリシン、N-メチルアリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、プロリン誘導体である。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、3-フルオロプロリン、4-フルオロプロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、3-アミノプロリン、4-アミノプロリン、3,4-デヒドロプロリン、アジリジン-2-カルボン酸、アゼチジン-2-カルボン酸、ピペコリン酸、4-オキサ-プロリン、3-チアプロリン、または4-チアプロリンである。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は脂質を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは、例えば、当業者に公知であり、文献または本明細書に記載されている1つ以上アミノ酸誘導体またはアナログを含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、または1~13のアミノ酸誘導体を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニスト中に存在するアミノ酸誘導体はそれぞれ、例えば、本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知であり、公開された文献に記載されている非標準アミノ酸から選択される芳香族側鎖アミノ酸、非芳香族側鎖アミノ酸、脂肪族側鎖アミノ酸、側鎖アミドアミノ酸、側鎖エステルアミノ酸、ヘテロ芳香族側鎖アミノ酸、側鎖チオールアミノ酸、βアミノ酸、および骨格修飾アミノ酸、からなる群から独立して選択された非標準アミノ酸である。
【0202】
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、D-アミノ酸配置を有する1つ以上のアミノ酸を含み、ペプチド中の残りのアミノ酸は、L-アミノ酸配置を有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、プロリン誘導体である。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含む。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含み、置換は、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、ヒドロキシル、アルキル(メチル、エチル)、チオル、またはアルキルチオを含む。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含み、置換は、ハロゲン、またはアルキル(メチル、エチル)を含む。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含み、置換は、ハロゲンを含む。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含み、置換は、アルコキシ、ヒドロキシル、アミノを含む。いくつかの実施形態では、プロリン誘導体は、ピロリジン環上の1つ以上の置換を含み、置換は、ハロゲン、アルコキシ、アルキル(メチル、エチル)、チオル、またはアルキルチオを含む。
【0204】
ペプチドアンタゴニストのN末端修飾
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのN末端アミノ基は、修飾されている(N末端修飾)。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストのN末端は、追加のアミノ酸またはアミノ酸誘導体で修飾されていない。いくつかの実施形態では、未修飾のN末端は水素を含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、C1-C6アシル、C1-C8アルキル、C6-C12アラルキル、C5-C10アリール、C4-C8ヘテロアリール、ホルミル、または脂質を含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、C6-C12アラルキルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、C1-C6アシルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、アセチル(Ac)を含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、C1-C6アルキルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、メチル、エチル、プロピル、またはtert-ブチルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、C1-C6アラルキルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、ベンジルを含む。いくつかの実施形態では、N末端修飾は、ホルミルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるペプチド、例えば、(表に示されるN末端にかかわらず)表2に列挙されるアミノ酸配列を有するいずれかのペプチドは、これらのN末端修飾のいずれかまたは非修飾N末端を有する。
【0205】
ペプチドアンタゴニストのC末端修飾
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドアンタゴニストのC末端酸基は、修飾されている(C末端修飾)。いくつかの実施形態では、C末端は、追加のアミノ酸またはアミノ酸誘導体で修飾されていない。いくつかの実施形態では、C末端はグリシン残基で修飾されていない。いくつかの実施形態では、未修飾のC末端は-OHを含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、アミノ基を含み、アミノ基は任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、C末端修飾はアミノ基を含み、アミノ基は非置換である(-NH2)。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、アミノ基を含み、アミノ基は置換される。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-NH2、-アミノ-アシル、-アミノ-C1-C8アルキル、-アミノ-C6-C12アラルキル、-アミノ-C5-C10アリール、または-アミノ-C4-C8ヘテロアリール、-アミノ-C4-C8ヘテロアリール、もしくは-O-(C1-C8アルキル)を含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-アミノ-C6-C12アラルキルを含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-O-(C1-C8アルキル)を含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-アミノ-C6-C12アラルキルを含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-NH-CH2フェニルを含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-OEtを含む。いくつかの実施形態では、C末端修飾は、-OMeを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるペプチド、例えば、(表に示されるC末端にかかわらず)表2に列挙されるアミノ酸配列を有するいずれかのペプチドは、これらのC末端修飾のいずれかまたは非修飾C末端を有する。
【0206】
いくつかの実施形態では、N末端アミノ基、および開示のペプチドアンタゴニストのC末端酸性基の両方は修飾されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるペプチド、例えば、(表に示されるC末端およびN末端にかかわらず)表2に列挙されるアミノ酸配列を有するいずれかのペプチドは、本明細書に記載されるものから独立して選択されるN末端およびC末端を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるペプチド、例えば、(表に示されるC末端およびN末端にかかわらず)表2に列挙されるアミノ酸配列を有するいずれかのペプチドは、Ac、NH2およびHから独立して選択されるN末端およびC末端を有する。
【0207】
組成物中のペプチドアンタゴニストの濃度
いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、約0.1mgmL~約50mgの量で小胞組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約0.5mg/mL~約2mg/mL、約0.5mg/mL~約3mg/mL、約0.5mg/mL~約4mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約20mg/mL、約0.5mg/mL~約50mg/mL、約1mg/ml~約2mg/ml、約1mg/ml~約3mg/ml、約1mg/ml~約4mg/ml、約1mg/ml~約5mg/ml、約1mg/ml~約10mg/ml、約1mg/ml~約20mg/ml、約1mg/ml~約50mg/ml、約2mg/mL~約3mg/mL、約2mg/mL~約4mg/mL、約2mg/mL~約5mg/mL、約2mg/mL~約10mg/mL、約2mg/mL~約20mg/mL、約2mg/mL~約50mg/mL、約3mg/mL~約4mg/mL、約3mg/mL~約5mg/mL、約3mg/mL~約10mg/mL、約3mg/mL~20mg/mL、約3mg/mL~約50mg/mL、約4mg/mL~約5mg/mL、約4mg/mL~約10mg/mL、約4mg/mL~約20mg/mL、約4mg/mL~約50mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約20mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約20mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、または約20mg/mL~約50mg/mLの量で小胞組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量で小胞組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは少なくとも、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、または約20mg/mLの量で小胞組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、最大で約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量で小胞組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドアンタゴニストは、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量で小胞組成物中に存在する。
【0208】
小胞形成脂質
いくつかの実施形態では、小胞組成物は1つ以上の小胞形成脂質を含む。小胞形成脂質は、水中油型エマルジョンの一部をカプセル化するために作用する。いくつかの実施形態では、これにより、水中油型エマルジョンがある期間の間安定した状態を保つことが可能になる。
【0209】
小胞形成脂質は、そのような目的に好適な任意の脂質であり得る。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、セラミド、リソレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、脂質の組み合わせを含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質はリン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は自然発生するか、半合成されるか、または合成的に調製されるか、あるいはそれらの混合である。一実施形態では、リン脂質は、脂肪酸およびリン酸の1つまたは2つの(等しいまたは異なる)残基を有するグリセロールの1つ以上のエステル類であり、ここで、リン酸残基は、例えば、コリン(ホスファチジルコリン--PC)、セリン(ホスファチジルセリン--PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール--PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン--PE)、またはイノシトール(ホスファチジルイノシトール)などの親水基に順番に結合される。1つのみの脂肪酸の残基を有するリン脂質のエステル類は、当該技術分野において、リン脂質の「リゾ」形態、または「リゾリン脂質」と通常称される。通常、リン脂質中に存在する脂肪酸残基は、典型的には12~24の炭素原子、または14~22の炭素原子を含有している長鎖脂肪族酸であり、脂肪族鎖は1つ以上の不飽和を含有し得るか、または完全に飽和される。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸である。ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびアラキジン酸などの飽和脂肪酸が使用され得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、リン脂質は、1つ以上の天然リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、1つ以上の半合成リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、半合成リン脂質は、天然に存在するレシチンの部分的にまたは完全に水素化された誘導体である。いくつかの実施形態では、リン脂質は、ホスファチジルコリン、エチルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、またはスフィンゴミエリンの脂肪酸ジエステルを含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は水素化ホスファチジルコリン(例えばSunlipon 90H)を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、例えば、ジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル基-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(DLPG)およびそのアルカリ金属塩、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(DAPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、ならびにジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジオレオイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
【0212】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約0.5%~約2%、約0.5%~約5%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約0.5%~約12%、約0.5%~約15%、約0.5%~約20%、約0.5%~約25%、約2%~約5%、約2%~約8%、約2%~約10%、約2%~約12%、約2%~約15%、約2%~約20%、約2%~約25%、約5%~約8%、約5%~約10%、約5%~約12%、約5%~約15%、約5%~約20%約5%~約25%、約8%~約10%、約8%~約12%、約8%~約15%、約8%~約20%、約8%~約25%、約10%~約12%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約12%~約15%、約12%~約20%、約12%~約25%、約15%~約20%、約15%~約25%、または約20%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の少なくとも約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、または約20%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の最大約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%(w/w)の量で存在する。
【0213】
いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%~約15%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約5%~約11%、約5%~約12%、約5%~約13%、約5%~約14%、約5%~約15%、約8%~約9%、約8%~約10%、約8%~約11%、約8%~約12%、約8%~約13%、約8%~約14%、約8%~約15%、約9%~約10%、約9%~約11%、約9%~約12%、約9%~約13%、約9%~約14%、約9%~約15%、約10%~約11%、約10%~約12%、約10%~約13%、約10%~約14%、約10%~約15%、約11%~約12%、約11%~約13%、約11%~約14%、約11%~約15%、約12%~約13%、約12%~約14%、約12%~約15%、約13%~約14%、約13%~約15%、または約14%~約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の少なくとも約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、または約14%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、小胞形成脂質は、組成物の最大約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(w/w)の量で存在する。
【0214】
いくつかの実施形態では、組成物は短鎖ポリオールを含む。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールは、生じる脂質小胞の安定性を増強するように作用する。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールは、2つまたは3つのアルコール基を含むC2-C4ポリオールである。いくつかの実施形態では、短鎖ポリオールはプロピレングリコールである。いくつかの実施形態では、組成物はプロピレングリコールを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の約0.5%~約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約0.5%~約2%、約0.5%~約5%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約0.5%~約12%、約0.5%~約15%、約0.5%~約20%、約0.5%~約25%、約2%~約5%、約2%~約8%、約2%~約10%、約2%~約12%、約2%~約15%、約2%~約20%、約2%~約25%、約5%~約8%、約5%~約10%、約5%~約12%、約5%~約15%、約5%~約20%約5%~約25%、約8%~約10%、約8%~約12%、約8%~約15%、約8%~約20%、約8%~約25%、約10%~約12%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約12%~約15%、約12%~約20%、約12%~約25%、約15%~約20%、約15%~約25%、または約20%~約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、少なくとも約0.5%、約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、または約20%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、最大約2%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約20%、または約25%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約1%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約1%~約2%、約1%~約4%、約1%~約6%、約1%~約8%、約1%~約10%、約2%~約4%、約2%~約6%、約2%~約8%、約2%~約10%、約4%~約6%、約4%~約8%、約4%~約10%、約6%~約8%、約6%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、少なくとも約1%、約2%、約4%、約6%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、最大約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは小胞形成脂質とほぼ同一の量で存在する。いくつかの実施形態では、組成物中のプロピレングリコールと小胞形成脂質との比率は、約2:1~1:2(w/w)である。
【0216】
油相
本明細書に提供される脂質小胞組成物は、水中油型エマルジョンを含む。油成分は、材料が作用温度(例えば、室温)で液体であり、水と混和しないように選択される。
【0217】
任意の好適な油が油相として使用され得る。いくつかの実施形態では、油は、天然に存在する油を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在する油は、1つ以上の植物または植物の一部(例えば、種子または木の実)に由来する。いくつかの実施形態では、油は、オリーブ油、植物油、ヒマワリ油、または他の同様の植物由来の油などの天然に存在する油である。
【0218】
いくつかの実施形態では、油相は、植物油、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、シリコーン流体、鉱油、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0219】
いくつかの実施形態では、油は、ジメチコンなどのシリコーン油または誘導体を含む。いくつかの実施形態では、シリコーン油はシロキサンポリマーを含む。いくつかの実施形態では、シロキサンポリマーはC1-C3置換基を含む。いくつかの実施形態では、シロキサンはポリジメチルシロキサン(PDMS)である。いくつかの実施形態では、油は、より小さな成分としてシリコーン油(例えばジメチコン)を含む混合物である。いくつかの実施形態では、シリコーン油は、生じる組成物の感触を良くするために、または保湿剤として組み込まれる。いくつかの実施形態では、油は、最大で約5%、最大で約4%、最大で約3%、最大で約2%、または最大で約1%の量のシリコーン油を含む。いくつかの実施形態では、シリコーン油は、組成物の約0.1%~約2%(w/w)の量で存在する。
【0220】
いくつかの実施では、油形成は、組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約35%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約35%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約20%~約、25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約25%~約30%、約25%~約35%、または約30%~約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、または約30%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、最大約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約5%~約15%の量で存在する。いくつかの実施では、油は、約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約5%~約11%、約5%~約12%、約5%~約13%、約5%~約14%、約5%~約15%、約8%~約9%、約8%~約10%、約8%~約11%、約8%~約12%、約8%~約13%、約8%~約14%、約8%~約15%、約9%~約10%、約9%~約11%、約9%~約12%、約9%~約13%、約9%~約14%、約9%~約15%、約10%~約11%、約10%~約12%、約10%~約13%、約10%~約14%、約10%~約15%、約11%~約12%、約11%~約13%、約11%~約14%、約11%~約15%、約12%~約13%、約12%~約14%、約12%~約15%、約13%~約14%、約13%~約15%、または約14%~約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、少なくとも約5%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、または約14%の量で存在する。いくつかの実施形態では、油は、最大約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%の量で存在する。
【0221】
いくつかの実施形態では、油は、1つ以上のトリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6-C12の鎖長を有する脂肪酸エステルを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約1%~約35%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約35%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約35%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約20%~約、25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約25%~約30%、約25%~約35%、または約30%~約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、少なくとも約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、または約30%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、最大約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂質小胞および/または組成物の脂質小胞部分の油相は、ステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロールはコレステロールである。いくつかの実施形態では、コレステロールは、植物由来のコレステロールであってもよい。いくつかの実施形態では、植物由来のコレステロールは、PhytoChol(登録商標)、SyntheChol(登録商標)、もしくは任意の他の植物由来のコレステロール(例えば、Avanti#700100)、またはそれらのいずれかの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ステロールは、フィトステロールまたはその誘導体であってもよい。いくつかの実施形態では、フィトステロールまたはその誘導体は、フィトステロールMM、Advasterol(商標)90IPもしくは95IP F、NETステロール-ISO、キャノーラステロール、シトステロール700095、ラノステロール-95、ブラシカステロール、またはそれらのいずれかの組み合わせであってもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%~約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、約1.5%~約3%、約1.5%~約4%、約1.5%~約5%、約2%~約2.5%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2.5%~約3%、約2.5%~約4%、約2.5%~約5%、約3%~約4%、約3%~約5%、または約4%~約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、または約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の少なくとも約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、または約4%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ステロールは、組成物の最大約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、または約5%(w/w)の量で存在する。
【0224】
浸透促進剤
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、1つ以上の浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、個体の皮膚に適用されるとき、皮膚の1つ以上の層を介したアニオン性ポリマー材料の浸透の量を増加させるように作用する。
【0225】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、組成物の水中油型エマルジョンに含まれている。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、組成物の脂質二重層に含まれている。
【0226】
様々な種類の使用され得る浸透促進剤が存在する。いくつかの実施形態では、イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはその組み合わせを含む浸透促進剤である。
【0227】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、浸透促進剤は、単一の非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、少なくとも2、3、または4つ以上の非イオン性界面活性剤の組み合わせである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、2つの非イオン性界面活性剤の組み合わせである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、3つの非イオン性界面活性剤の組み合わせである。
【0228】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0229】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルおよびソルビタンエステルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルおよびポリソルベートの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルおよびソルビタンエステルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルおよびポリエチレングリコール脂肪酸エステルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、およびポリソルベートの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルの組み合わせである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリソルベート、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルの組み合わせである。
【0230】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルおよびソルビタンエステルを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルおよびポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤の組み合わせは、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、およびソルビタンエステルの組み合わせである。
【0231】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールのポリエチレングリコール(PEG)エーテルを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約2~約8のPEG基およびC12-C22脂肪族アルコールを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、ジエチレングリコール・ヘキサデシル・エーテル、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール・モノオレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイル・エーテル、ポリオキシエチレン(3)オレイル・エーテル、もしくはポリオキシエチレン(5)オレイル・エーテル、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、2-(2-オクタデカオキシエトキシ)エタノールを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、super refined Brij(登録商標)O2またはその誘導体である。
【0232】
いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.5%~約2.5%、約1.2%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、最大約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0233】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤はソルビタンエステルを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは脂肪酸エステルである。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはC12-C22脂肪酸エステルである。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、もしくはソルビタンイソステアレート、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンモノラウレートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンモノパルミテートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンモノステアレートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンモノオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタントリオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンセスキオレエートを含む。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルはソルビタンイソステアレートを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、組成物の約0.5%~約2.5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビタンエステルは、最大約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0235】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤はポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート20である。
【0236】
いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、組成物の約0.5%~約2.5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、最大約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0237】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、脂肪酸エステルを形成するために各末端水酸基に付着したC8-C22脂肪酸を含む約2~8個のサブユニットのPEG鎖である。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、PEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルはPEG-4ジラウレートである。
【0238】
いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、組成物の約0.5%~約2.5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約2.5%、約0.8%~約1%、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.5%、約0.8%~約2%、約0.8%~約2.5%、約1%~約1.2%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約2.5%、約1.2%~約1.5%、約1.2%~約2%、約1.2%~約2.5%、約1.5%~約2%、約1.5%~約2.5%、または約2%~約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、少なくとも約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、または約2%の量で存在する。いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、最大約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、または約2.5%の量で存在する。
【0239】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約10以下の疎水性-親油性バランス(HLB)を有している。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Cithrol GMS40であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は複数の非イオン性界面活性剤を含み、それぞれは約10以下のHLBを有している。いくつかの実施形態では、10以下のHLBを有する非イオン性界面活性剤は、表1またはそのいずれかの組み合わせから選択される。
【0240】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、約0.5%~約1%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約3%、約0.5%~約4%、約0.5%~約5%、約0.5%~約6%、約0.5%~約7%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約1%~約1.5%、約1%~約2%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1%~約6%、約1%~約7%、約1%~約8%、約1%~約10%、約1.5%~約2%、約1.5%~約3%、約1.5%~約4%、約1.5%~約5%、約1.5%~約6%、約1.5%~約7%、約1.5%~約8%、約1.5%~約10%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2%~約6%、約2%~約7%、約2%~約8%、約2%~約10%、約3%~約4%、約3%~約5%、約3%~約6%、約3%~約7%、約3%~約8%、約3%~約10%、約4%~約5%、約4%~約6%、約4%~約7%、約4%~約8%、約4%~約10%、約5%~約6%、約5%~約7%、約5%~約8%、約5%~約10%、約6%~約7%、約6%~約8%、約6%~約10%、約7%~約8%、約7%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、少なくとも約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組み合わせは、最大約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約10%の量で存在する。
【0241】
いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョン、脂質二重層、またはその両方に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョン中に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、脂質二重層中に非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョンおよび脂質二重層に非イオン性界面活性剤を含み、ここで、組成物は、2つ以上の異なる非イオン性界面活性剤を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、サリチル酸エステルまたはニコチン酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、エステルは、C1-C6アルキルエステルまたはベンジルエステルである。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、サリチル酸メチルまたはニコチン酸ベンジルを含む。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、組成物の約0.1%、0.5%、1%、2%、または3%(w/w)までの量で存在するニコチン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ニコチン酸エステルは、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%の量で存在する。
【0243】
いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、脂肪酸アシル化アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸アシル化アミノ酸はリジンである。いくつかの実施形態では、リジンは、脂肪酸でモノアシル化される。いくつかの実施形態では、浸透促進剤はモノラウリルリジンである。いくつかの実施形態では、リジンはジアシル化される。いくつかの実施形態では、浸透促進剤はジパルミトイルリジンである。いくつかの実施形態では、脂肪アシル化アミノ酸は、組成物の最大で約1%、最大で約2%、最大で約3%、最大で約4%、または最大で約5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アシル化アミノ酸は、約0.1%~約5%、約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、または約1.5%~約2.5%の量で存在する。
【0244】
カチオン性界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物はカチオン性界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、油中水型エマルジョン(例えば、脂質小胞形成の前のサブミクロンエマルジョンの段階で)を安定化させるために使用される。いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、モノカチオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は正味のモノカチオン性である(例えば、単一のカチオン性の機能性をそれぞれが有する2つの側鎖を含むリン酸塩であり、リン酸アニオンによって部分的に中和される)。
【0245】
いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルである。いくつかの実施形態では、モノカチオン性界面活性剤は、リノールアミドプロピルPG-ジモニウムクロリドリン酸である。
【0246】
いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルは、組成物の約1%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルは、約1%~約2%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1%~約6%、約1%~約7%、約1%~約8%、約1%~約9%、約1%~約10%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2%~約6%、約2%~約7%、約2%~約8%、約2%~約9%、約2%~約10%、約3%~約4%、約3%~約5%、約3%~約6%、約3%~約7%、約3%~約8%、約3%~約9%、約3%~約10%、約4%~約5%、約4%~約6%、約4%~約7%、約4%~約8%、約4%~約9%、約4%~約10%、約5%~約6%、約5%~約7%、約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約6%~約7%、約6%~約8%、約6%~約9%、約6%~約10%、約7%~約8%、約7%~約9%、約7%~約10%、約8%~約9%、約8%~約10%、または約9%~約10%の量で存在する。いくつかの実施では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルは、組成物の約1%、2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルは、少なくとも約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約9%の量で存在する。いくつかの実施形態では、脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルは、最大約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の量で存在する。
【0247】
追加の成分
いくつかの実施形態では、小胞組成物は追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、これらの追加の成分は、アニオン性ポリマー材料の送達を劇的に変更せずに、小胞の1つ以上特性を改善する。
【0248】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、1つ以上の粘度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、小胞組成物の安定性および/または使用者の感触の改善のために組成物の粘度を高める。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、界面活性剤としてさらに作用する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールはC8-C20脂肪族アルコールである。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールはセチルアルコールである。いくつかの実施形態では、セチルアルコールはCrodacol C95である。いくつかの実施形態では、ワックスは天然または合成のワックスである。いくつかの実施形態では、ワックスはミツロウである。いくつかの実施形態では、ワックスは合成ミツロウである。いくつかの実施形態では、合成ミツロウはsyncrowax(商標)BB4である。いくつかの実施形態では、合成ミツロウは非動物由来のミツロウである。いくつかの実施形態では、非動物由来のミツロウはsyncrowax(商標)SB1である。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルは、モノエステルである。いくつかの実施形態では、モノエステルはC8-C24脂肪酸のエステルである。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルは、モノステアリン酸グリセロールである。
【0249】
いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、組成物の約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、組成物の約0.5%~約5%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、または約0.5%~約2%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、最大で約2%の量の脂肪族アルコール、最大で約2%の量のワックス、および最大で約5%の量のグリセロールの脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールは、約0.1~約1.5%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ワックスは、約0.1%~約1%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールの脂肪酸エステルは、約0.5%~約2%の量で存在する。
【0250】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は、増粘剤、防腐剤、保湿剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、またはそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は増粘剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は防腐剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は保湿剤(例えば、イソプロピルミリステート)をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は皮膚軟化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、小胞組成物は湿潤剤をさらに含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は湿潤剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、グリセロールは、組成物の約0.5%~約25%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、または約0.5%~約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%~約2%、約1%~約4%、約1%~約6%、約1%~約8%、約1%~約10%、約2%~約4%、約2%~約6%、約2%~約8%、約2%~約10%、約4%~約6%、約4%~約8%、約4%~約10%、約6%~約8%、約6%~約10%、または約8%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、少なくとも約1%、約2%、約4%、約6%、または約8%の量で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、最大約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の量で存在する。
【0252】
いくつかの実施形態では、小胞組成物は防腐剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、防腐剤はパラベンエステルである。いくつかの実施形態では、防腐剤は、メチルパラベンもしくはプロピルパラベンまたはその組み合わせである。いくつかの実施形態では、防腐剤は、組成物の最大で約1%、最大で約0.9%、最大で約0.8%、最大で約0.7%、最大で約0.6%、最大で約0.5%、最大で約0.4%、最大で約0.3%、最大で約0.2%(w/w)の量で存在する。
【0253】
いくつかの実施形態では、追加の成分は精製水を含む。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%~90%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約80%~約85%、約80%~約90%、または約85%~約90%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、または約85%の量で存在する。いくつかの実施形態では、精製水は、最大約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の量で存在する。
【0254】
ペプチドアンタゴニストの送達のための例示的な組成物
ペプチドアンタゴニストの送達のための例示的な組成物が、以下に提供される。下記の実施形態は、付加的、本明細書に提供される他の成分(ingredient)または成分(component)をさらに含み得る。
【0255】
ペプチド組成物1:一態様では、
(a)小胞形成脂質を含む脂質二重層をそれぞれが含む脂質小胞であって、小胞形成脂質は、約5%~約20%の量で存在する、脂質小胞と、
(b)脂質小胞に封入され、1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンと、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入された、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量の 筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストと
を含む脂質小胞組成物が本明細書に提供され、
組成物は、
約1%~約10%の量の脂肪酸アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルと、
約0.1%~約3%の量の非イオン性界面活性剤と
をさらに含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、油成分は、約2.5%~約20%の量で存在する。
【0257】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%~約3%の量の脂肪アシル化アミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、脂肪アシル化アミノ酸は、モノラウリルリジンである。
【0259】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.5%~約5%の量の粘度増強剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールのPEGエーテルを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその組み合わせに封入された、約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~約1.75mg/mL、約1mg/mL~約2mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mgmg/mL、約0.05mgmg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。
【0262】
ペプチド組成物2:一態様では、
(a)小胞形成脂質を含む脂質二重層をそれぞれが含む脂質小胞であって、小胞形成脂質は、約2%~約20%の量で存在する、脂質小胞と、
(b)脂質小胞中に封入され、かつ1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンと、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入された、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量の 筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストと
を含む脂質小胞組成物が本明細書に提供され、
組成物は、
約0.1%~約2%の量のPEG脂肪酸エステルと、
約0.5%~約3%の量のポリソルベートと、
約0.1%~約2%の量のソルビン酸エステルと
をさらに含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、油成分は、約2.5%~約20%の量で存在する。
【0264】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.5%~約5%の量の粘度増強剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、PEG脂肪酸エステルは、PEG4-ジラウレートをふくむ。いくつかの実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、ソルビン酸エステルは、ソルビタンパルミテートである。
【0267】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその組み合わせに封入された、約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~約1.75mg/mL、約1mg/mL~約2mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mgmg/mL、約0.05mgmg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。
【0268】
ペプチド組成物3:一態様では、
(a)小胞形成脂質を含む脂質二重層をそれぞれが含む脂質小胞であって、小胞形成脂質は、約5%~約20%の量で存在する、脂質小胞と、
(b)脂質小胞中に封入され、かつ1つ以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョンと、
(c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョン中に封入された、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量の筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体のペプチドアンタゴニストと
を含む脂質小胞組成物が本明細書に提供され、
組成物は、
約1%~約10%の量の脂肪アミド由来のプロピレングリコール・リン酸二アンモニウム・エステルと、
約0.1%~約3%の量の脂肪族アルコールのPEGエーテルと、
約0.5%~約3%の量のポリソルベートと、
約0.1%~約2%の量のソルビン酸エステルと
をさらに含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、油成分は、約2.5%~約20%の量で存在する。
【0270】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約3mg/mL、約0.1mg/mL~約4mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約20mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、または約50mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLの量のペプチドアンタゴニストを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.5%~約5%の量の粘度増強剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、粘度増強剤は、脂肪族アルコール、ワックス、グリセロールの脂肪酸エステル、またはそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、ソルビン酸エステルは、ソルビタンパルミテートである。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールのPEGエーテルは、ジエチレングリコール・モノオレイル・エーテルである。
【0273】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその組み合わせに封入された、約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mg/mL~約0.05mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.01mg/mL~約1.5mg/mL、約0.01mg/mL~約1.75mg/mL、約0.01mg/mL~約2mg/mL、約0.01mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1.25mg/mL、約0.1mg/mL~約1.5mg/mL、約0.1mg/mL~約1.75mg/mL、約0.1mg/mL~約2mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約1.5mg/mL、約1mg/mL~約1.75mg/mL、約1mg/mL~約2mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、約0.01mgmg/mL、約0.05mgmg/mL、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.25mg/mL、約1.5mg/mL、約1.75mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、または約10mg/mLの量のアニオン性ポリマー材料を含む。
【0274】
本明細書に提供される脂質小胞組成物の使用方法
本明細書に提供される脂質小胞組成物は、皮膚のしわ、皮膚の弛緩、皺眉筋および/または鼻根筋の活性に関連した中等度~重度の眉間のしわ、眼輪筋の活性に関連した中等度~重度の外眼角部のしわ(カラスの足跡線)、および前頭筋の活性に関連した中等度~重度の前頭部のしわのうちの1つ以上の予防または外観の一時的な改善を含むがこれらに限定されない徴候のための、対象における美容的使用のために企図される。
【0275】
薬学的な実施形態を含む特定の実施形態では、本明細書に提供される脂質小胞組成物は、1つ以上の皮膚のしわ、例えば、顔のしわ、皮膚の弛緩、皺眉筋および/または鼻根筋の活性に関連した中等度~重度の眉間のしわ、眼輪筋の活性に関連した中等度~重度の外眼角部のしわ(カラスの足跡線)、および前頭筋の活性に関連した中等度~重度の前頭部のしわの予防または外観の一時的な改善を含むがこれらに限定されない徴候のための、対象における薬学的使用のために企図される。
【0276】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。具体的な実施形態では、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、任意の年齢の小児または成人の対象である。
【0277】
化粧料組成物または医薬組成物の使用方法
薬学的な実施形態を含む一定の実施形態では、本開示は、ヒアルロン酸などのペプチドアンタゴニストまたはアニオン性ポリマー材料を含む化粧料組成物または医薬組成物の使用方法にも関する。いくつかの実施形態では、本開示は、対象の皮膚に有効量の化粧品組成物または医薬組成物を適用する工程を含む、対象において1つ以上の皮膚のしわ、例えば、顔のしわ、皮膚の弛緩、皺眉筋および/または鼻根筋の活性に関連した中等度~重度の眉間のしわ、眼輪筋の活性に関連した中等度~重度の外眼角部のしわ(カラスの足跡線)、および前頭筋の活性に関連した中等度~重度の前頭部のしわを予防または外観を一時的に改善するための化粧品組成物または医薬組成物の使用方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、唇をよりふっくらとさせることによって、対象の唇の外観を改善するために、化粧料組成物または医薬組成物を使用する方法に関する。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、唇のふくらみ、唇のボリューム、唇の滑らかさ、唇の色、またはそれらの組み合わせを増強するために使用される。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、対象にふっくらとしたかつ/または自然な唇を提供する。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、対象の唇にボリューム、鮮明度、柔らかさ、またはふくらみのうちのいずれか1つを回復させるために使用される。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、目に見えるほどに対象の唇の線またはしわを除去または減らすために使用される。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、唇の発色を高める(例えば、バラ色のような赤み)。いくつかの実施形態では、化粧料組成物または医薬組成物は、対象の唇にボリューム、柔らかさ、および鮮明度のうちの1つ以上を提供する。
【0278】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象に局所的に適用される。本明細書で言及されるような局所適用は、1つ以上の表面、例えば、ケラチン組織上への適用を指すことができる。いくつかの実施形態では、局所用組成物は対象の皮膚に投与される。いくつかの実施形態では、皮膚は対象の顔の皮膚である。いくつかの実施形態では、皮膚とは対象の唇を含む。局所適用は所望の領域への直接適用に関する場合がある。薬学的な実施形態を含む特定の実施形態では、局所的な化粧料組成物または医薬組成物または調製物は、液体またはエアゾール組成物として存在する場合、例えば、注ぐこと、垂らすこと、あるいは噴霧することによって適用可能であり、軟膏、ローション剤、クリーム、ゲル、または同様な組成物の場合は、のばすこと、すり込むこと、塗ることなどによって適用可能であり、粉末の場合は振りかけることで適用可能であり、あるいは他の任意の適切な手段によって適用可能である。
【0279】
いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は局所適用に好適な形態で製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、クリーム、ローション剤、懸濁液、またはエマルジョンとして製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、クリームとして製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、ローション剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、懸濁液として製剤化される。
【0280】
いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を含む局所適用を、使用もしくは処置の過程において1回以上、例えば、1日当たり1~3回、1週間当たり1~21回、1日当たり1回、1日当たり2回、または1日当たり3回使用するか、またはそれで処置される。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を1週間当たり約1回~1週間当たり約12回使用するか、またはそれで処置される。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を1週間当たり少なくとも約1回使用するか、またはそれで処置される。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を1週間当たり最大約12回使用するか、またはそれで処置される。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を1週間当たり約1回~1週間当たり約2回、1週間当たり約1回~1週間当たり約3回、1週間当たり約1回~1週間当たり約4回、1週間当たり約1回~1週間当たり約5回、1週間当たり約1回~1週間当たり約6回、1週間当たり約1回~1週間当たり約7回、1週間当たり約1回~1週間当たり約8回、1週間当たり約1回~1週間当たり約9回、1週間当たり約1回~1週間当たり約10回、1週間当たり約1回~1週間当たり約11回、1週間当たり約1回~1週間当たり約12回、1週間当たり約2回~1週間当たり約3回、1週間当たり約2回~1週間当たり約4回、1週間当たり約2回~1週間当たり約5回、1週間当たり約2回~1週間当たり約6回、1週間当たり約2回~1週間当たり約7回、1週間当たり約2回~1週間当たり約8回、1週間当たり約2回~1週間当たり約9回、1週間当たり約2回~1週間当たり約10回、1週間当たり約2回~1週間当たり約11回、1週間当たり約2回~1週間当たり約12回、1週間当たり約3回~1週間当たり約4回、1週間当たり約3回~1週間当たり約5回、1週間当たり約3回~1週間当たり約6回、1週間当たり約3回~1週間当たり約7回、1週間当たり約3回~1週間当たり約8回、1週間当たり約3回~1週間当たり約9回、1週間当たり約3回~1週間当たり約10回、1週間当たり約3回~1週間当たり約11回、1週間当たり約3回~1週間当たり約12回、1週間当たり約4回~1週間当たり約5回、1週間当たり約4回~1週間当たり約6回、1週間当たり約4回~1週間当たり約7回、1週間当たり約4回~1週間当たり約8回、1週間当たり約4回~1週間当たり約9回、1週間当たり約4回~1週間当たり約10回、1週間当たり約4回~1週間当たり約11回、1週間当たり約4回~1週間当たり約12回、1週間当たり約5回~1週間当たり約6回、1週間当たり約5回~1週間当たり約7回、1週間当たり約5回~1週間当たり約8回、1週間当たり約5回~1週間当たり約9回、1週間当たり約5回~1週間当たり約10回、1週間当たり約5回~1週間当たり約11回、1週間当たり約5回~1週間当たり約12回、1週間当たり約6回~1週間当たり約7回、1週間当たり約6回~1週間当たり約8回、1週間当たり約6回~1週間当たり約9回、1週間当たり約6回~1週間当たり約10回、1週間当たり約6回~1週間当たり約11回、1週間当たり約6回~1週間当たり約12回、1週間当たり約7回~1週間当たり約8回、1週間当たり約7回~1週間当たり約9回、1週間当たり約7回~1週間当たり約10回、1週間当たり約7回~1週間当たり約11回、1週間当たり約7回~1週間当たり約12回、1週間当たり約8回~1週間当たり約9回、1週間当たり約8回~1週間当たり約10回、1週間当たり約8回~1週間当たり約11回、1週間当たり約8回~1週間当たり約12回、1週間当たり約9回~1週間当たり約10回、1週間当たり約9回~1週間当たり約11回、1週間当たり約9回~1週間当たり約12回、1週間当たり約10回~1週間当たり約11回、1週間当たり約10回~1週間当たり約12回、1週間当たり約11回~1週間当たり約12回、使用するか、またはそれで処置される。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の脂質小胞組成物を1週間当たり約1回、1週間当たり約2回、1週間当たり3回、1週間当たり約4回、1週間当たり約5回、1週間当たり約6回、1週間当たり約7回、1週間当たり約8回、1週間当たり約9回、1週間当たり約10回、1週間当たり約11回、1週間当たり約12回、1週間当たり約13回、または1週間当たり約14回、使用するか、またはそれで処置される。
【0281】
いくつかの実施形態では、本開示の脂質小胞組成物の1つ以上の層は、所与の時間に対象の皮膚に適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の先の層が対象の皮膚に十分に吸収された後、次の層が適用され得る。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に十分に吸収されるのに数秒(例えば、1秒、2秒、3秒、5秒、10秒、15秒、30秒など)かかる場合がある。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の1、2、3、4、5、6、または7つの層は、所与の時間に対象の皮膚に適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に1日に1回以上(例えば、1日当たり1~3回、1日当たり1回、1日当たり2回、1日当たり3回など)適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に1週間に1回以上(例えば、1週間当たり1~21回、1週間当たり1~14回、1週間当たり1~7回など)適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に毎日適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の1つ以上の層は、対象の皮膚に1日1回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の2つ以上の層は、対象の皮膚に1日1回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の3つ以上の層は、対象の皮膚に1日1回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の1つ以上の層は、対象の皮膚に1日2回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の2つ以上の層は、対象の皮膚に1日2回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の3つ以上の層は、対象の皮膚に1日2回、1日以上適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月間、2か月間、3か月間、6か月間、1年間適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物は、対象の皮膚に1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、6か月、9か月、または1年以上の間適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の1つ以上の層は、対象の皮膚に1日2回、数日間適用され、その後は1日3回適用される。いくつかの実施形態では、脂質小胞組成物の5つの層は、対象の皮膚に1日2回(例えば、朝と夜)、5日間適用され、その後、脂質小胞組成物の1~3つの層は、対象の皮膚に1日3回(例えば、朝、正午、および夜)適用される。
【0282】
いくつかの実施形態では、本開示の脂質小胞組成物は、1つ以上の皮膚のしわ、例えば、顔のしわ、皮膚の弛緩、皺眉筋および/または鼻根筋の活性に関連した中等度~重度の眉間のしわ、眼輪筋の活性に関連した中等度~重度の外眼角部のしわ(カラスの足跡線)、および前頭筋の活性に関連した中等度~重度の前頭部のしわの予防または外観の一時的な改善を含むが、これらに限定されない徴候のために対象に投与される。
【0283】
いくつかの実施形態では、本開示の脂質小胞組成物は、唇のふくらみの外観の一時的な改善を含むが、これに限定されない徴候のために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の脂質小胞組成物は、ワセリン、リップバーム、口紅、リップティント、リップグロス、薬用リップクリーム、リップコンディショナー、日焼け止めなどを含むがこれらに限定されない他の製品と共に使用される。
【0284】
いくつかの実施形態では、本開示の局所用の化粧料組成物は、対象によって自己適用されるか投与される。薬学的な実施形態を含む特定の実施形態では、開示の化粧料組成物または医薬組成物は、例えば、診療所の環境で、医療従事者によって適用または投与される。
【0285】
本明細書に提供される脂質小胞組成物を作製する方法
さらに、脂質小胞組成物を作製する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、上記に記載されるような本開示の組成物は、水中油型エマルジョンの油成分と水中油型エマルジョンの水性成分とを混合することによって調製され、水中油型エマルジョンの成分またはエマルジョン成分のいずれかは、水中油型エマルジョンの油成分の成分との乳化のための1つ以上の界面活性剤を含む。一実施形態では、界面活性剤は、水性成分と混合され、エマルジョンの形成のために油に添加される。その後、水中油型エマルジョンは、可溶性された小胞を形成脂質、および添加される場合は、脂質小胞(例えば、マルチソーム)を形成するのに有効な混合条件下の他の脂質成分と混合される。
【0286】
いくつかの実施形態では、1つ以上の浸透促進剤および1つ以上の化合物(例えば、アニオン性ポリマー材料、1つ以上のペプチドなど)は、水中油型エマルジョンの油成分、水中油型油の水性成分、またはその両方に添加される。あるいは、またはそれに加えて、1つ以上の浸透促進剤および/または1つ以上の化合物は、脂質成分に添加することができる。
【0287】
一態様では、a)水中エマルジョン型エマルジョンの油成分と水中油型エマルジョンの水性成分とを混合することによって、有効成分を含む水中油型エマルジョンを調製する工程と、b)水以外の許容可能な溶剤中で小胞形成脂質を可溶化する工程と、c)前記水中油型エマルジョンを、可溶化された前記小胞形成脂質に添加する工程と、d)小胞形成脂質を含む脂質二重層を含む脂質小胞、および前記脂質小胞中に封入された水中エマルジョン型エマルジョンを形成するのに効果的な混合条件下で、前記水中油型エマルジョンと前記可溶化された小胞形成脂質とを混合する工程とを含む、本明細書に提供される脂質小胞組成物を調製する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、有効成分は、本明細書に提供されるペプチドである。いくつかの実施形態では、有効成分は、本明細書に提供されるアニオン性ポリマー材料である。
【0288】
いくつかの実施形態では、上記方法は、本明細書に提供される1つ以上の追加の成分(例えば、浸透促進剤、粘度増強剤など)を添加する工程をさらに含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、工程a)の水中油型小胞の油成分と水中油型エマルジョンの油成分とを混合する工程、および/または工程e)の混合条件は、均質化または乳化などの撹拌を使用すること、もしくは撹拌を伴わないマイクロエマルジョン技術を含む。一実施形態では、混合することは高圧均質化を含む。高圧均質化は、脂質小胞の組成物の比較的正確なコントロールを提供する。高圧均質化は、剪断に耐性を示す小分子、ペプチド、またはタンパク質に対して好適である。一実施形態では、形成される組成物は、本明細書に記載される脂質小胞組成物のうちのいずれか1つである。
【0290】
いくつかの実施形態では、他の脂質成分はいずれか1つの工程で添加される。
【実施例】
【0291】
実施例1.ヒアルロン酸のマルチソーム脂質小胞組成物の調製
3つの異なる分子量のヒアルロン酸である250K、50K、および10K(Creative PEGWorks、チャペルヒル、ノースカロライナ州)を用いて、1mg/mLまたは1.5mg/mLの濃度のいずれかで、複数の/相乗的な浸透促進剤(マルチソーム)を有する二相性小胞を製剤化した。製剤開発では非標識HAを使用した。拡散セルの実験では、小胞を標識HA(ローダミン-HA250K、FITC-HA50K、およびFITC-HA-10K;Creative PEGWorks)で調製した。
【0292】
マルチソーム調製の基本手順は以下のとおりであった。
【0293】
1)油相成分および水相成分を、別々のビーカー内に量り分けた。
【0294】
2)両方のビーカーを約70℃に加熱することで、成分すべてを完全に溶解して、取り込んだ。
【0295】
3)へらを用いて激しく攪拌しながら水相を油相に添加して、o/w粗エマルジョンを形成することで、70℃の水浴中で均質の乳状溶液を効果的に得た(約2~6分)。溶液の温度は約55~65℃であった。
【0296】
4)Z5モジュールを備えたLV1マイクロフルイダイザーまたはNano DeBeeホモジナイザーを使用して、製剤を約20,000psiで3回バッチ処理した。
【0297】
小胞形成のための手順(全ての製剤に適用可能):
【0298】
1)脂質相成分を、20mLガラスバイアルに量り入れた。
【0299】
2)バイアルを水浴中で約70℃に加熱することで、成分すべてを完全に溶解して、取り込んだ。
【0300】
3)溶液の温度が約60℃になるまで、約10~20分間激しく攪拌しながら、水相(系A)を液相に添加した。
【0301】
場合によっては、均一なクリーム状のローション剤が生じるまで、混合物を8~10サイクルにわたり、5秒間のボルテックスと5秒間の加熱を断続的に行った。
【0302】
このプロセスの図による表現を
図7に示す。この例示的なプロセスのフローチャートを
図8に示す。
【0303】
実験全体にわたって使用される様々な脂質相を以下の表Aに記載し、水相を以下の表Bに記載する。
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
実施例2.分析および特徴付けの方法
以下の方法を使用して、以下の実施例に記載される製剤、ならびに製剤の性能の特徴付けした。
【0308】
物理化学的な特徴付け-官能的観察、光学顕微鏡検査法、および共焦点顕微鏡検査法(Zeiss710共焦点レーザー顕微鏡(CLSM))を実行し、製剤の特徴付けを行った。FITC(495/525)およびローダミン(570/590)にアルゴンレーザー488およびHeNeレーザー543ラインを使用するZeiss LSM710CLSMと、Plan-Apochromat 20x/0.80乾燥対物レンズまたは63x/1.40油浸対物レンズのいずれかを使用して、製剤の共焦点顕微鏡画像を得た。選択された事例に対して光学ズーム選択を適用した。レーザー強度、ピンホール、およびゲイン設定を試料セット間で一定に保つことで、試料間の相対的な蛍光強度測定の比較が可能になった。Zen2009ソフトウェアを使用して、画像を捕捉し処理した。
【0309】
動的光散乱(DLS)を使用して粒子の流体力学的直径を測定するNano ZS Zetasizer(Malvern Instruments、ウスターシャー、英国)を使用して、サイズ(流体力学的直径)、多分散指数、およびゼータ(ζ)電位の測定を製剤に対して実行した。製剤のアリコートを水で20倍希釈し、100μLおよび1000μLの各製剤を、それぞれサイズおよびゼータ電位の測定のために調製した。測定を3回実行した。
【0310】
In vitro拡散セル試験-ロイヤル大学病院、サスカチュワン大学(サスカトゥーン、サスカチュワン州、カナダ)において選択的乳房形成手術を受ける女性ドナーから、全層ヒト乳房皮膚を得た。サスカチュワン大学のヒト試験倫理委員会から、皮膚採取のための承認を得た。皮膚を術後2時間以内に採取して皮下脂肪を切り取り、使用まで-20℃で保管した。9mmのオリフィス直径(0.63cm2)を有するインライン型Bronaughフロースルー拡散セルを、遮水セルウォーマー(PermeGear,Inc.、ヘラータウン、ペンシルバニア州)に搭載し、32℃の一定温度に設定した。予め切断した1cm2皮膚切片を、角質層側を上向きにして拡散セルに配置した。37℃の灌流緩衝液(0.05%Naアジドを含む100mMリン酸緩衝液)を、蠕動ポンプを使用して1mL/hの速度で、拡散セルの下半分に循環させた。皮膚の表面に製剤0.1mLを投薬した。24時間のインキュベーション後、皮膚試料をセルから取り除き、洗浄して、分析のために処理した。
【0311】
皮膚分析-拡散セルから皮膚試料を取り除いた後、先ず、皮膚表面に残存する製剤を取り除いた。各皮膚試料を、洗浄プロトコルおよびテープストリッピングプロトコルに供し、残余の結合したクリーム(bound cream)および角質層を次のように取り除いた:皮膚試料を水10mLで3回洗浄し、キムワイプで軽く叩いて水気を取り、半分に分割した。一方の皮膚には、テープストリッピングを2回行い(表面に結合した製剤を除去)、ドライアイス上でOCTコンパウンドに包埋し、凍結切除した。凍結切片を共焦点顕微鏡によって検査した。
【0312】
皮膚試料を、ライカCM1850クライオスタットを用いて10μmの切片へと凍結切除した。スライド上の切片は無染色のままにした。FITC(495/525)およびローダミン(570/590)にアルゴンレーザー488およびHeNeレーザー543ラインを使用するZeiss LSM710CLSMと、Plan-Apochromat 20x/0.80乾燥対物レンズまたは63x/1.40油浸対物レンズのいずれかを使用して、皮膚切片の共焦点顕微鏡画像を得た。選択された事例に対して光学ズーム選択を適用した。レーザー強度、ピンホール、およびゲイン設定を、試料セット間で一定に保つことで、異なる処置間の相対的な蛍光強度測定の比較が可能になった。Zen2009ソフトウェアを使用して、画像を捕捉し処理した。
【0313】
「無処置」皮膚試料を使用してゲインおよびピンホールの設定を確認し、ノイズおよび自家蛍光バックグラウンドを排除してから、後の処置試料に対する分析を行った。
【0314】
実施例3.カチオン性浸透促進剤の評価
HA250K+HA10Kの組み合わせ1mg/mLを製剤化するための第1の方策は、それらをマルチソーム、すなわち次世代の二相性小胞(相乗的促進剤型)に、モノカチオン性、ジカチオン性、またはポリカチオン性のビルディングブロックを用いて取り込むことで、皮膚層への負電荷を帯びたヒアルロン酸のカプセル化および送達を増強することである。これらの製剤の成分を、以下の表Cに示す。
【0315】
【0316】
製剤におけるRho-HA250K(赤色)およびFITC-HA10K(緑色)蛍光の分布を示す、マルチソームに対する共焦点顕微鏡試験を使用して、小胞中のHAカプセル化を分析した(
図1パネルAの画像)。これらの試料中のHAの最終濃度は1mg/mLであった。共焦点顕微鏡によるプロファイルトレーシングにより、製剤F1、F2、およびF3における、赤色Rho-HA250Kおよび緑色FITC-HA10Kと小胞との関連性を確認した(
図1、パネルAトレース)。選択された面に沿って小胞をトレースする蛍光強度(FI)の曲線は、赤色および緑色蛍光の共局在化を示すことから、2つの異なる分子量のHAの共カプセル化が認められる。光学顕微鏡により撮影された製剤の画像は、各型の製剤でのマルチソーム(次世代の二相性小胞)の形成を示していた(
図1パネルB)。系A(サブミクロンエマルジョン成分および二相性小胞)に対しZetasizer試験を実行した(
図1のパネルC)。これらの製剤は多分散性であり、全体として0.3~10μmの間の範囲の小胞サイズを有することが示された。Zetasizerデータは、顕微鏡観察による一貫した結果を示す(
図1のパネルB)。これはマルチソームに特有である。F1、F2、およびF3のゼータ電位は、それぞれ+33.6±0.6、+13.0±0.71、および-5.78±0.31であった。後続の実施例に記載される他の製剤では、同様のデータを観察した(データは示さず)。
【0317】
マルチソーム製剤の物理化学的特性を、色、粘稠性、および均質性について評価した。製剤はすべて、局所適用に好適なローション剤またはクリームの粘稠性であった。製剤は、4℃で3か月を超える保管の間、分離、沈殿、または他の安定性に係る問題の徴候を示すことなく、物理的に安定していた。顕微鏡観察により、マルチソームは保管時に無傷のままであり、かつ均一に分布したことを確認した。同様の観察を、後続の実施例に記載される他の製剤に対して行った(データは示さず)。
【0318】
蛍光標識されたHAを含有する局所用製剤を用いて、拡散セル中、in vitroで処置されたヒト皮膚試料の凍結切片を、蛍光タンパク質の存在について評価した。3つのカチオン性小胞ビルディングブロックを利用する3つの基本的な小胞製剤(表C)を用いた場合の、(負電荷を帯びた)HA化合物の送達増強を示す。
【0319】
これらの試験により、3つのカチオン性製剤すべてがHA送達を増加させたことを認めた(表D、
図2)。増強の順序は、ジカチオン性製剤、モノカチオン性製剤、ポリカチオン性製剤の順であった。
【0320】
【0321】
実施例4.ヒアルロン酸濃度および追加の化粧料成分の存在の評価
次に、基本的な小胞製剤におけるHA濃度の効果を評価した。この効果を評価するべく、1mg/mLおよび1.5mg/mLの250kDaおよび10kDaのヒアルロン酸(組み合わせたHAの総重量、各分子量の質量は同等)、ならびに1mg/mLおよび1.5mg/mLの250kDaおよび50kDaヒアルロン酸(組み合わせたHAの総重量、各分子量の質量は同等)を、表Eで提供される製剤中で調製した。さらに、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ゲルから作製した、表Eの製剤E11およびE12によるHAの溶液またはゲル製剤を調製した。
【0322】
【0323】
実施例2に提供されるヒト皮膚への投与後、以下の表Fで示される結果を得た。製剤E1対E2および製剤E4対E5の比較(表F)により示されるように、総濃度1mg/mL~1.5mg/mLのHA250/10KまたはHA250/50Kの小胞製剤の濃度の増加は、送達を増加させ、特にHA250K成分の増加から明白である。化粧小胞製剤を得るためのさらなる最適化により、これらの変化は送達に影響しなかったことが認められ、製剤E2対E3およびE5対E6(表F)を参照されたい。
【0324】
製剤E7、E8、E9、およびE10の比較(表F)により、これらの組成物は他の製剤と比較して、送達の増強を達成しなかったことが示される。製剤E7およびE10(表7)では、ポリカチオン性およびモノカチオン性の薬剤をともに使用する方策は、モノカチオン性薬剤単独での使用と比較して送達が減少した。HA250/10Kまたは250/50Kが「遊離」(カプセル化されていない)形態で取り込まれたゲル製剤(表Fの製剤E11およびE12)は、非常に低い/ごくわずかな送達レベルを示した。
【0325】
すべての多相性小胞製剤では、溶液またはゲル製剤のHAと比較して送達が増強された。多相性小胞の製剤設計の差から、HA送達は調節可能であることは示された。
【0326】
【0327】
さらに、Lipovol GBT(トリベヘニン)またはニコチン酸ベンジルを含んだ製剤を含む、さらなる化粧特性を有するマルチソーム組成物を評価した。250/10kDaおよび250/50kDaの組み合わせ分子量を有するヒアルロン酸について、これらの成分の経皮浸透に対する効果を評価した。試験した製剤は、以下の表Gに示す。
【0328】
【0329】
実施例2において提供されるようなヒト皮膚への投与により、以下の表Hで示される結果を得た。
【0330】
【0331】
薬用化粧品効果のために添加された成分を有する組成物の送達効率の比較により、トリベヘニンおよびニコチン酸ベンジル(BN)が送達に影響を及ぼすことが示された。例えば、HA250/10K製剤の送達のための、G1対G2(表H)ならびに製剤G3およびG4(表Hおよび
図4)は、Tの有無に関わらず、BNが送達を増強したことを示す。
【0332】
製剤G5およびG7(表H)ならびに製剤G6およびG8(表Hおよび
図4)を比較すると、トリベヘニン単独(BNなし)の有無は送達に影響を及ぼさなかったが、トリベヘニンが存在しない場合、BNは送達を増強したことが示され、これは、トリベヘニンが増強を送達するBNの効果を阻害することを意味し得る。トリベヘニンがない状態で、BNが送達を増加させることを示す製剤G7およびG8(表Hおよび
図3)を比較する場合でもこれは顕著である。
【0333】
製剤G4およびG8(表Hおよび
図4)を比較すると、BNを使用するがトリベヘニンを使用しないことが、HA250/10Kまたは250/50Kの組み合わせの両方を送達するのに好ましい製剤であり、全体的に200%の効率の増加を伴うことに留意されたい。
【0334】
試験したが、HA250/50Kを送達するのにあまり有効でないことが見出された別の製剤組成物は、リン脂質成分を別のタイプのリン脂質で置き換えた場合の製剤G9(表Hおよび
図4)であった。さらに、脂質相成分の濃度の増加、ならびに250kDa、50kDa、および10kDa MWそれぞれのヒアルロン酸の包含(製剤G10;表H)も有効性が低いことを見出した。例えば、表HのG10と表FのE2およびE5とを比較する。
【0335】
さらに、同じ全体組成を有する等価な製剤の異なるセットからの2つの異なるHA mwtの組み合わせ250/10Kまたは250/50Kの送達において、実質的な差はなかった。例えば、G1対G5およびG3対G7を参照されたい。
【0336】
表FおよびHにおいて、Ch1/Ch2蛍光値の比率もまた、様々な製剤で処置した皮膚試料について示す。類似の比は、FITC-HA10またはFITC-HA50KおよびRho-HA250Kの送達が、マルチソーム製剤中のこれら2つの活性物質の元の比率に類似しており、すなわち、それらが同時に同程度送達されることを示す。より低い比率は、HA250K成分の送達がより小さなポリマーと比較してさらに増強されることを示す。
【0337】
実施例5.ニコチン性アセチルコリン受容体ペプチドアンタゴニスト(コノトキシンペプチドアナログ)の浸透を増強するためのマルチソーム製剤の評価
この研究の目的は、次世代の二相性小胞製剤(マルチソーム)からのコノトキシンペプチドアナログ(以下、「C7ペプチド」と称される;Glo Pharma)の皮膚浸透特性を調査することであった。C7ペプチドは、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体の天然コノトキシンペプチドアンタゴニストである配列番号3のアミノ酸配列と同様のアミノ酸配列を有する。本明細書中に提供されるペプチドの全てと同様に(例えば、配列番号1~52および60~99)、C7ペプチドは、脂質小胞送達組成物を製剤化する目的について、配列番号3の天然コノトキシンと同様の特性(例えば、同様のサイズ、立体配座、電荷など)を有する。したがって、C7ペプチドについて作用する脂質小胞組成物は、本明細書中で提供される他のペプチドについても同様に作用することが予想される。
【0338】
3つのマルチソーム型小胞(F6A-C7、F1B-C7、F1C-C7)を2mg/mLの負荷濃度でC7ペプチドと共に製剤化し、C7ペプチド溶液と比較した。製剤を物理化学的特性について特徴付けた。
【0339】
多相性小胞製剤F6A-C7、F1B-C7、F1C-C7を用いてin vitro拡散セル試験を行い、Climax Laboratories社での質量分析によるさらなる分析のために経皮断片を収集した。
【0340】
全体として、結果は、好適なC7ペプチドを含有する多相性小胞クリーム製剤が、皮内/経皮送達のために調製され得ることを示す。
【0341】
これらの実験の具体的な目的は、開発された様々な製剤からのC7ペプチドの皮膚送達を次のように評価することであった:1)ヒト皮膚を介したC7ペプチドの取込みを、Bronaugh型インライン拡散セルおよびヒト乳房皮膚を使用する実験において評価した。皮膚試料を、C7ペプチドを含有する製剤で処理し、皮膚を通る浸透を、質量分析によって経皮断片において評価した。2)参照として遊離C7ペプチド溶液を比較のために使用し、ブランクビヒクルを対照として使用した。3)経皮断片を分析のために1時間毎に収集した。4)断片をプールし、Pall濾過によって濃縮し、Climax Laboratories,Inc.(サンノゼ、カリフォルニア州)での分析のために輸送した。
【0342】
材料および方法
【0343】
製剤:複数の/相乗的な浸透促進剤を有する二相性小胞(マルチソーム)-5つの異なる小胞を製剤化した。これらから、試験のために3つの製剤を選択した。製剤開発については、C7ペプチド(Anaspec、コード:74337、ロット番号1958617)を使用した。拡散セル実験については、ペプチドを含まないマルチソームとC7ペプチドを2mg/mL含むマルチソームを使用した。拡散セル用量は0.2mgのペプチドを有する0.1gの製剤であった。製剤のpHは6.2~6.7であった。
【0344】
物理化学的な特徴付け-官能的観察、光学顕微鏡検査法、および共焦点顕微鏡検査法(Zeiss710共焦点レーザー顕微鏡(CLSM;Carl Zeiss GmbH、ドイツ)を実行し、製剤の特徴付けを行った。
【0345】
動的光散乱(DLS)を使用して粒子の流体力学的直径を測定するZetasizer NanoZS(Malvern Instruments、ウスターシャー、英国)を使用して、サイズ(流体力学的直径)および多分散指数およびゼータ(ζ)電位の測定を、非標識C7ペプチドで調製された製剤F6A-C7、F1B-C7、F1C-C7に対して実行した。80μL製剤のアリコートを粒径分布について評価し、続いてゼータ電位測定のために水で10倍希釈した。測定を3回実行した。
【0346】
In vitro拡散セル試験-ロイヤル大学病院、サスカチュワン大学(サスカトゥーン、サスカチュワン、カナダ)において選択的乳房形成手術を受ける女性ドナーから許可を得て、全層ヒト乳房皮膚を得た。サスカチュワン大学のヒト試験倫理委員会から、組織採取のための承認を得た。皮膚を術後2時間以内に採取して皮下脂肪を切り取り、使用まで-20℃で貯蔵した。
【0347】
in vitroでの切除したヒト皮膚への製剤からのC7ペプチド吸収を、0.636cm2の露出表面積を有する直径9mmのBronaugh型テフロンフロースルー拡散セル(PermeGear,Inc.,ヘラータウン、ペンシルバニア州)を使用して評価した。循環水浴ヒーターによって、セルホルダーを32℃で維持した。37℃に維持した0.05%アジ化ナトリウムを含む脱気リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液pH7.2を、流速1mL/hの灌流流体として使用した。皮膚試料を冷凍庫から取り出し、約1cm×1cmの正方形片に切断し、表皮を上にして拡散セルに取り付けた。C7ペプチドを有するF6A-C7F1B-C7、F1C-C7マルチソーム製剤または対照ブランク製剤(100μl、1セルあたり)を皮膚にt=0で適用し、セルをテフロンキャップで覆ってオクルージョンをもたらした。処置を24時間実施した。プログラムされたフラクションコレクターを使用して経皮断片を3mLの組織培養チューブに採取し、1mL/セルで1時間毎に合計24時間まで断片を採取した。
【0348】
経皮断片分析-24時間の分析のために、経皮断片を1時間毎に採取した。各細胞について、24個の1mL断片を回収し、1/1h、1/2h、1/3h、・・・1/24hなどと標識した。試料を分析のためにGlo/Climax Analytical Labsに送った。
【0349】
拡散セル試験の皮膚試料を通常のプロトコルによって洗浄して、残余の結合したクリームを取り除き、すなわち、皮膚試料を拡散セルから取り出し、水10mLで3回洗浄した後、キムワイプで軽く叩いて水気を取った。洗浄した皮膚ディスクを-20℃で保存する。
【0350】
結果および検討
【0351】
マルチソーム製剤の最適化および特徴付け
【0352】
表Iおよび表Jは、C7ペプチドありおよびなしで開発された製剤の組成を示す。最初に、Phospholipon 90H(大豆ホスファチジルコリン)を使用して製剤を調製した。その後、官能的および物理化学的観察に基づいて、Sunlipon 90H(ヒマワリホスファチジルコリン)(SunL)に置き換えた。得られた脂質小胞製剤の光学顕微鏡画像を
図5に示す。
【0353】
【0354】
【0355】
表Kは官能特性、物理的安定性粒径範囲、および物理的安定性を要約する。製剤はすべて、局所適用に好適なローション剤またはクリームの粘稠性であった。製剤は、4℃での1か月を超える貯蔵の間、分離、沈殿、または他の安定性問題の徴候を示さずに、物理的に安定していた。
【0356】
【0357】
これらの製剤は、光学顕微鏡画像上に示されるように、一般的に0.3~5μmの範囲の小胞サイズで多分散性であることが示された(
図1および表4)。顕微鏡観察により、C7ペプチド含有製剤およびブランク(ペプチドなし)製剤の両方について、典型的な二相性小胞形態を有するマルチソームの形成および製剤全体にわたる小胞の均一な分布を確認した。
【0358】
C7ペプチド含有製剤の各々は、それらのそれぞれのブランク製剤と比較してサイズ分布に関して類似していたが、全体的に、ブランク製剤は、ペプチド製剤と比較してより狭いサイズ分布を有していた(
図6Aおよび
図6B)。
【0359】
Zetasizerデータは、顕微鏡観察と一致する結果を示した(
図6B)。これはマルチソームに典型的である。F6A-C7のゼータ電位は正であり、他の2つのF1B-C7およびF1C-C7は、負電荷を帯びていた(表Lおよび
図6Aおよび
図6B)。
【0360】
【0361】
脂質小胞製剤を2mg/mLのC7濃度で調製し、200マイクログラムの皮膚試料で皮膚試料に投与した。各製剤のブランクバージョンを対照として調製し、水中のC7ペプチドのmg/mL溶液を追加の対照として調製した。各製剤を3回試験し、ブランク製剤、未処置の皮膚、および遊離の非封入ペプチドとしてのC7ペプチド溶液を、分析のためのバックグラウンド断片(background fractions)に使用した。
【0362】
拡散セル研究-C7の経皮的な送達
【0363】
この試験では、Climax Analytical Laboratoriesによる質量分析によるさらなる分析のために、経皮断片を採取した。
【0364】
これらの試験は、3つのマルチソーム製剤の全てが、C7ペプチドをヒト皮膚内に深く送達し、ヒト皮膚を通してin vitroで送達することを示した。これらのマルチソーム製剤の中で、製剤F6A-C7およびF1B-C7は、F1C-C7と比較して約2倍多い量のC7ペプチドを送達した。
【0365】
拡散セル(0.636cm2の表面積)中で処置された直径9mmの皮膚ディスクを通して送達されたC7ペプチドの総量(Qt(24時間))は、F6A-C7、F1B-C7、およびF1C-C7のそれぞれについて、599.62±265.62、600.46±402.77、および276.56±111.47ng/24時間であり、各製剤の送達速度の0.3、0.3、および0.14%と一致していた。皮膚の単位表面積当たりのQt、すなわちng/cm2およびC7ペプチド送達パーセントを表Mに示す。
【0366】
【0367】
これらの実験は、相乗的成分による増強レベルが、C7ペプチドについて以下の通り:PEFA/Oleth-2=Tween80/Span40/PEG-4-ジラウレート>Tween80/Span40/Oleth-2であることを示した。
【0368】
実施例6.顔のしわの処置についてプラセボと比較した、筋肉型nAChRペプチドアンタゴニストの安全性および有効性の評価
本開示の筋肉型nAChRペプチドアンタゴニストの脂質小胞製剤を、ランダム化二重盲検のヒト臨床試験における顔のしわ(皮膚のしわ)および眉間のしわの処置においてプラセボと比較した安全性および有効性について試験する。患者(各群50名)を、1日目に両側の前頭部および眉間のしわ領域に適用された筋肉型nAChRペプチドアンタゴニストまたはプラセボ(ブランク脂質小胞)の量で処置する。
【0369】
主要転帰:最大眉上げ時の前頭部のしわにおける写真数値化ガイド(FWS)を用いた顔のしわスケール(Facial Wrinkle Scale)の治験責任医師評価によるスコアなしまたは軽度のスコアを達成する参加者の割合。
【0370】
30日目に、写真数値化ガイドを用いた4ポイント制の顔のしわスケール(FWS):0=なし、1=軽度、2=中等度、または3=重症、を使用して、患者の最大眉上げ時の前頭部のしわの重症度を評価する。スコアなしまたは軽度の参加者のパーセンテージを判定する。
【0371】
主要転帰:最大眉上げ時の前頭部のしわにおける写真数値化ガイド(FWS)を用いた顔のしわスケール(FWS)の対象評価によるスコアなしまたは軽度のスコアを達成する参加者の割合。
【0372】
さらに、30日目に、患者は、写真数値化ガイドを用いた4ポイント制の顔のしわスケール(FWS):0=なし、1=軽度、2=中等度、または3=重度、を使用して、最大眉上げ時の前頭部のしわの重症度を評価し、スコアなしまたは軽度の参加者のパーセンテージを判定する。
【0373】
副次的転帰:前頭部のしわの外観の満足度の対象評価(参加者評価)によって満足または非常に満足を達成する参加者の割合。
【0374】
30日目に、参加者は、5ポイントスケール:1=非常に不満、2=不満、3=どちらでもない、4=満足、または5=非常に満足、を使用して、前頭部のしわ領域の外観に対する全体的な満足度を評価する。満足または非常に満足と評価した参加者のパーセンテージを判定する。
【0375】
副次的転帰:安静時の前頭部のしわにおける治験責任医師評価FWSによるベースラインからの=1グレード改善を伴う参加者の割合。
【0376】
ベースライン時および30日目に、治験責任医師は、4ポイント制のFWS:0=なし、1=軽度、2=中等度、または3=重度、を使用して、安静時の患者の前頭部のしわの重症度を評価する。ベースラインからの=1グレード改善を伴う参加者のパーセンテージを判定する。
【0377】
副次的転帰:安静時の前頭部のしわにおける対象評価FWSによるベースラインからの=1グレード改善を伴う参加者の割合。
【0378】
ベースライン時および30日目に、参加者は、4ポイント制のFWS:0=なし、1=軽度、2=中等度、または3=重度、を使用して、安静時の自身の前頭部のしわの重症度を評価する。ベースラインからの=1グレード改善を伴う参加者のパーセンテージを判定する。
【0379】
実施例7.唇の特徴の増強についてプラセボと比較した、ヒアルロン酸を含む脂質小胞組成物の局所適用の安全性および有効性の評価
本開示のヒアルロン酸の脂質小胞製剤を、ランダム化二重盲検のヒト臨床試験における唇への適用でのプラセボと比較した安全性および有効性について試験する。1日目に、ある量のヒアルロン酸含有脂質小胞製剤またはプラセボ(ブランク脂質小胞)を、対象(各群に50名)の上唇および下唇に適用する。
【0380】
主要転帰:使用後14日目および30日目のMedicis Lip Fullness Scale(MLFS)上での少なくとも1グレードの唇のふくらみの増大。MLFSは独立した皮膚科医によって判定される:MLFSは、検証された、唇のふくらみに関する5ポイントスケール(1=非常に薄い;2=薄い;3=中間;4=ふっくらとしている;5=非常にふっくらとしている)である。
【0381】
14日目に、5ポイント制のMLFS:1=非常に薄い;2=薄い;3=中間;4=ふっくらとしている;5=非常にふっくらとしている、を使用して対象の唇のふくらみを評価し、ベースライン(脂質小胞組成物の使用前)と比較する。少なくとも1つのMLFSレベルの改善を伴う対象の数を判定する。
【0382】
30日目に、5ポイント制のMLFSを使用して対象の唇のふくらみを再度評価して、使用後の効果の寿命を判定する。MLFSスコアをベースラインおよび14日目の結果と比較する。少なくとも1つのMLFSレベルの改善を伴う対象の数を判定する。
【0383】
副次的転帰:唇の外観の満足度の対象評価(参加者評価)によって満足または非常に満足を達成する参加者の割合。
【0384】
30日目に、参加者は、5ポイントスケール:1=非常に不満、2=不満、3=どちらでもない、4=満足、または5=非常に満足、を使用して、自身の唇の外観に対する全体的な満足度を評価する。満足または非常に満足と評価した参加者のパーセンテージを判定する。
【0385】
副次的転帰:皮膚科医によるフィラーの有効性および耐久性の評価:フィラー効果の有効性および耐久性に関する皮膚科医見解は、1=悪化した、2=軽度に改善した、3=改善した、4=非常に改善した、5=非常によく改善した、という5ポイントの医師による全般的な評価(IGA)スケールを使用して評価する。
【0386】
独立した皮膚科医は、0日目(使用前)、14日目、および30日目で撮影した対象の唇の画像を比較する。改善した、非常に改善した、または非常によく改善したとの評価を示す対象の数を14日目および30日目について評価し、比較する。
【0387】
実施例8.唇の特徴の増強のためのヒアルロン酸を含む脂質小胞組成物の局所適用の安全性および有効性の評価
本明細書に記載されるようなヒアルロン酸の脂質小胞製剤(例えば、実施例1に記載のヒアルロン酸の脂質小胞製剤)を、ヒト臨床試験における唇への適用の安全性および有効性について試験した。ある量のヒアルロン酸含有の脂質小胞製剤を、対象(合計55名)の上唇および下唇に5日間適用した。対象は35歳以上であり、かつ様々な民族的背景および皮膚タイプを含んでいた。
【0388】
対象は、1日2回(朝と夜)、5層の製剤を適用した。製剤の各層は、先の層が対象の上唇および下唇に完全に吸収されると、再適用された。各対象の上唇および下唇の高さの増加を、上唇と下唇との間のベースラインから測定したように、5日間前後に測定した。
【0389】
図9は、対象が民族性および皮膚タイプにわたって顕著によりふくらんだ唇を示した、適用の5日後の結果を示す。示されるように、対象は、ベースラインから測定される上唇の高さの2.7%~45%のいずれかの増大、およびベースラインから測定される下唇の高さの3.6%~85%のいずれかの増大を有していた。さらに、対象は、製剤を適用した5日後に、唇がより滑らかかつ鮮やかな色になったと感じた。
【0390】
実施例9:脂質小胞製剤の開発
脂質小胞製剤の開発のための出発組成物は、F-C10-5およびF-C10-6製剤と同様に以前のF6A-C7製剤に基づいており、その主なエンハンサーの組み合わせは、表Nに示されている。
【0391】
【0392】
出発点としてこれらの製剤を使用して、系A(水相)の変動(表O)を、リン脂質相の変動(表P)と同様に開発した。
【0393】
【0394】
【0395】
顕微鏡検査と同様に粘度(官能特性)を使用して様々な製剤を評価した(
図10A~
図10F)。様々な製剤を、化粧品評価スケール(CRS):1(若干魅力がない)、2(許容可能)と3(優れている)、に割り当てた。
図10A~10Fにおいて評価した製剤のうち、C7(2mg/g)を含む5セットの多相性小胞製剤を拡散セル試験のために選択して、最良の促進剤の組み合わせを評価した。F1シリーズは、リン脂質相中のコレステロール含有製剤を表し、F5Pシリーズは、ヴィーガン代用フィトステロール含有製剤を表した。選択された5つのセットとしては、F5P-F15COSMおよびF1-F15COSM、F5P-F15-4COSMおよびF1-F15-4COSM、F5P-F16COSMおよびF1-F16COSM、F5P-F19COSMおよびF1-F19COSM、ならびにF5P-F18COSMおよびF1-F18COSMが挙げられる。
【0396】
第1の拡散細胞試験は、生存可能な皮膚へ吸収される平均%と同様に生存可能な皮膚にペプチドの平均額の分析を含んだ。結果を表Qに示す。
【0397】
【0398】
表Qに示される結果に基づいて、さらなる評価のために3つの製剤:F5P-G15-4COSM、F5P-F16COSM、F5P-F18COSMを選択した。これらの製剤は、送達効率およびヴィーガン組成物に基づいて優先した。
【0399】
共焦点顕微鏡検査法を使用して第2の拡散試験を実施し、皮膚切片におけるペプチド送達を評価した。
図11Aは、F5P2.6-F16COSM、F5P2.6-F15-4COSM、およびF5P2.6-F18COSMを適用した皮膚試料の共焦点顕微鏡画像を示す。これらの製剤はフィトステロールMMを含有していた。
図11Bは、F5P2.6-F16MCOSM、F5P2.6-F15-4MCOSM、およびF5P2.6-F18MCOSMを適用した皮膚試料の共焦点顕微鏡画像を示す。製剤コード中のMは、ミリスチン酸イソプロピルを系Aに添加した「修飾」組成物を示し、この添加が製剤中で増強効果をもたらしたかどうかを評価した。
【0400】
図11A~11Bに示される結果に基づいて、F5P-F16COSM製剤により、最高レベルのペプチド送達が示された。さらに、ペプチドの皮膚層の深部への浸透を観察した。また、ペプチドは全層皮膚にわたって送達された。F5P-F15-4COSMおよびF5P-F18COSMは表皮および上部の皮層への良好な送達を示したが、同じほど深くはなかった。これらの製剤へのイソプロピルミリステートの添加(または増加)は、送達を増加させなかったが、むしろ3つの製剤すべてで送達を減少させるようであった。ここで、F5P-F16COSMをリード製剤として選択した。
【0401】
リード製剤F5P2.6-F16COSMをさらに最適化した:F5P2.6-F16STCOSM。最適化を行い、製剤の物理的安定性を増加させた。最適化には、本明細書に記載される1つ以上の非イオン性界面活性剤の添加が含まれていた。これらの2つの製剤を比較して、最適化が送達効率を変化させなかったことを確認した。共焦点顕微鏡検査法(
図12)ならびに2つの製剤の表皮および真皮の平均蛍光強度の測定(表R)を使用して、2つの製剤を評価した。両方の結果により、最終製剤がスケーラブルで安定していて、C7ペプチドを送達するのに効果的であったことが示された。
【0402】
【0403】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることが当業者には明らかであろう。当業者であれば、多くの変形、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、この特許請求の範囲内の方法および構造体、ならびにその均等物がそれによって包含されることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】