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特表2024-511805脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法、及びそれから得られる製品
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  • 特表-脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法、及びそれから得られる製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法、及びそれから得られる製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20240308BHJP
   A23G 3/54 20060101ALI20240308BHJP
   A23G 4/20 20060101ALI20240308BHJP
   A23L 33/15 20160101ALN20240308BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23G3/54
A23G4/20
A23L33/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559741
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022041882
(87)【国際公開番号】W WO2023034208
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,342
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508351303
【氏名又は名称】インターコンチネンタル グレート ブランズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シー, ジ カイ
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光一
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B014GB06
4B014GB17
4B014GE03
4B014GL03
4B014GP18
4B014GQ02
4B018LB01
4B018LE01
4B018LE06
4B018MD23
4B018ME14
4B018MF08
4B035LC16
4B035LE07
4B035LG57
(57)【要約】
本開示は、概して、食用品を製造するための方法、及びそれから得られる食用製品に関し、より具体的には、脂溶性成分を有する食用品を製造するための方法、及びそれから得られる食用製品に関する。脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法であって、方法が、食用コアを形成することと、食用コアを少なくとも1つのコーティング層でコーティングして、食用シェルを形成することと、コーティングを介して脂溶性成分を食用コアに適用することであって、脂溶性成分が、液体形態で少なくとも1つのコーティング層に適用されている、ことと、を含む、方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法であって、前記方法は、
食用コアを形成することと、
前記食用コアを少なくとも1つのコーティング層でコーティングして、食用シェルを形成することと、
前記コーティングを介して前記食用コアに脂溶性成分を適用することであって、前記脂溶性成分が、液体形態で前記少なくとも1つのコーティング層に適用されている、ことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記食用コアが、チューインガムコアである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記食用シェルが、ハードキャンディ菓子シェルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコーティング層が、複数のコーティングステップで適用される複数のコーティング層である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のコーティングステップのうちの少なくとも1つが、前記複数のコーティング層のうちの少なくとも1つにおいて、前記脂溶性成分と少なくとも1つの風味成分との液体プレミックスを適用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のコーティングステップが、前記食用シェルの内側部分を形成する少なくとも1つの初期ステップと、前記食用シェルの中央部分を形成する少なくとも1つの中間ステップと、前記食用シェルの外側部分を形成する少なくとも1つの仕上げステップと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記脂溶性成分と前記少なくとも1つの風味成分とを含む前記液体プレミックスを、前記少なくとも1つの中間ステップを介して適用することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脂溶性成分を前記中央部分に局在化させることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脂溶性成分が、少なくとも1つの脂溶性ビタミン成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脂溶性ビタミン成分が、ビタミンA、D、E、及びKからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記脂溶性ビタミン成分が、ビタミンDである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チューインガムコアが、疎水性であり、エラストマー及び甘味料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記食用シェルが、親水性菓子シェルであり、前記初期ステップ及び前記仕上げステップのうちの少なくとも1つが、少なくとも1種の糖アルコールを適用して、前記菓子シェルを形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
脂溶性成分を含む食用製品であって、前記製品は、
食用コアと、
前記食用コアをコーティングする食用シェルであって、
前記食用シェルが、内側部分、中央部分、外側部分を含む、食用シェルと、
脂溶性成分と、を含み、
前記食用シェルは、前記中央部分が前記脂溶性成分の最大濃度を含み、前記内側部分及び前記外側部分が前記脂溶性成分の最小濃度を含むような濃度勾配を含む、食用製品。
【請求項15】
前記食用コアが、チューインガムコアである、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記食用シェルが、ハードキャンディ菓子シェルである、請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記脂溶性成分が、ビタミンである、請求項14に記載の製品。
【請求項18】
前記脂溶性ビタミン成分が、ビタミンA、D、E、及びKからなる群から選択される、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
前記脂溶性ビタミン成分が、ビタミンDである、請求項18に記載の製品。
【請求項20】
前記チューインガムコアが、疎水性であり、エラストマー及び甘味料を含む、請求項15に記載の製品。
【請求項21】
前記ハードキャンディ菓子シェルが、親水性であり、少なくとも1種の糖アルコールを含む、請求項16に記載の製品。
【請求項22】
前記脂溶性成分が、前記食用シェルの前記中央部分に局在化している、請求項14に記載の製品。
【請求項23】
前記食用シェルの前記内側部分及び前記外側部分における前記脂溶性成分の前記最小濃度が、約0%であり、前記食用シェルの前記中央部分における前記脂溶性成分の前記最大濃度が、約100%である、請求項14に記載の製品。
【請求項24】
前記食用シェルの前記中央部分における前記脂溶性成分の前記最大濃度が、前記内側部分及び前記外側部分それぞれにおける前記脂溶性成分の割合よりも大きい、前記中央部分における前記脂溶性成分の任意の割合である、請求項14に記載の製品。
【請求項25】
前記食用シェルの前記中央部分における前記脂溶性成分の前記最大濃度が、前記内側部分及び前記外側部分における前記脂溶性成分の割合の合計よりも大きい、前記中央における前記脂溶性成分の任意の割合である、請求項14に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月30日に出願され、出願番号63/238,342が付与された仮特許出願に対する優先権の利益を主張する。上述の仮特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、食用品を製造するための方法、及びそれから得られる食用製品に関し、より具体的には、脂溶性成分を有する食用品を製造するための方法、及びそれから得られる食用製品に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ビタミンサプリメントは、典型的には、液体、ガム状、錠剤、又はカプセルのいずれかの形態で消費者に送達される。これらの送達手段は、消費者が大量のビタミンを摂取することを覚えていれば/覚えている場合には、それらを送達するのに十分であるが、より少量の連続した用量を送達する、消費者の日々のルーチンにより即した送達手段であれば、より大きな栄養価を有し得、かつ規則性を伴って摂取することがより容易であり得る。
【0004】
菓子又はチューインガムは、そのようなビヒクルとして良好な食用品の選択肢であろう。しかしながら、現時点では、チューインガムベース、特にその中のエラストマー成分の疎水性の性質のために、チューインガムを介して使用者にいくつかのビタミン(特に脂溶性ビタミン)を十分に送達することは困難となっている。したがって、チューインガムから脂溶性ビタミンを効果的に、かつ一貫して放出する方法を発見することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、脂溶性成分を食用品に組み込むための方法が提供される。この方法は、食用コアを形成することと、食用コアを少なくとも1つのコーティング層でコーティングして、食用シェルを形成することと、コーティングを介して食用コアに脂溶性成分を適用することであって、脂溶性成分が、液体形態で少なくとも1つのコーティング層に適用されている、ことと、を含む。
【0006】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、食用コアは、チューインガムコアである。
【0007】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、食用シェルは、ハードキャンディ菓子シェルである。
【0008】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、少なくとも1つのコーティング層は、複数のコーティングステップで適用される複数のコーティング層である。
【0009】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、当該複数のコーティングステップのうちの少なくとも1つは、複数のコーティング層のうちの少なくとも1つにおいて、脂溶性成分と少なくとも1つの風味成分との液体プレミックスを適用することを含む。
【0010】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、複数のコーティングステップは、食用シェルの内側部分を形成する少なくとも1つの初期ステップと、食用シェルの中央部分を形成する少なくとも1つの中間ステップと、食用シェルの外側部分を形成する少なくとも1つの仕上げステップと、を含む。
【0011】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、本方法は、脂溶性成分と少なくとも1つの風味成分とを含む当該液体プレミックスを、少なくとも1つの中間ステップを介して適用することを更に含む。
【0012】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、本方法は、中間ステップを介して、脂溶性成分を中央部分に局在化させることを更に含む。
【0013】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性成分は、少なくとも1つの脂溶性ビタミン成分である。
【0014】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、少なくとも1つの脂溶性ビタミン成分は、ビタミンA、D、E、及びKからなる群から選択される。
【0015】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性ビタミン成分は、ビタミンDである。
【0016】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、チューインガムコアは、疎水性であり、エラストマー及び甘味料を含む。
【0017】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、食用シェルは、親水性の菓子シェルであり、少なくとも1つの初期ステップ及び少なくとも1つの仕上げステップは、少なくとも1種の糖アルコールを適用して、菓子シェルを形成することを含む。
【0018】
一実施形態によれば、脂溶性成分を含む食用製品が提供される。食用製品は、食用コア及び食用シェルを含み、食用シェルは、内側部分、中央部分、及び外側部分を含み、食用シェルは、中央部分が脂溶性成分の最大濃度を含み、内側部分及び外側部分が脂溶性成分の最小濃度を含むような濃度勾配を含む。
【0019】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、食用コアは、チューインガムコアである。
【0020】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、食用シェルは、ハードキャンディ菓子シェルである。
【0021】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性成分は、ビタミンである。
【0022】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性ビタミン成分は、ビタミンA、D、E、及びKからなる群から選択される。
【0023】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性ビタミン成分は、ビタミンDである。
【0024】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、チューインガムコアは、疎水性であり、エラストマー及び甘味料を含む。
【0025】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、ハードキャンディ菓子シェルは、疎水性であり、少なくとも1種の糖アルコールを含む。
【0026】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性成分は、食用シェルの中央部分に局在化している。
【0027】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、脂溶性成分の最小濃度は、当該食用シェルの内側部分及び外側部分にあり、脂溶性成分の最大濃度は、食用シェルの中央部分にある。
【0028】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又はその代替として、更なる実施形態では、内側部分及び外側部分における脂溶性成分の最小濃度は、0%程度であり、中央部分における脂溶性成分の最大濃度は、100%程度である。
【0029】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又は代替として、更なる実施形態では、食用シェルの中央部分における脂溶性成分の最大濃度は、内側部分及び外側部分それぞれにおける脂溶性成分の割合よりも大きい、中央部分における当該脂溶性成分の任意の割合である。
【0030】
上記の特徴のうちの1つ以上に加えて、又は代替として、更なる実施形態では、食用シェルの中央部分における脂溶性成分の最大濃度は、内側部分及び外側部分における脂溶性成分の割合の合計よりも大きい、中央における脂溶性成分の任意の割合である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本開示のいくつかの態様を具体化するとともに、本記載と併せて、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面中、
図1】脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法を示すブロック図である。
図2】一実施形態による食用製品の断面図である。
図3】脂溶性成分を含む食用製品を製造するためのシステムの一部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~3を参照して、脂溶性成分を食用製品に組み込むための方法、及びそれから得られる食用製品を、以下に記載する。図2に示すように、例示的な食用製品10は、コア12とシェル14とを含む。以下に詳細に考察するように、食用製品10は、シェル14に組み込まれた、ビタミンなどの脂溶性活性成分などの1つ以上の脂溶性成分を含む。使用され得る脂溶性ビタミン成分のいくつかの例は、ビタミンA、D、E、及びK、特にビタミンDである。
【0033】
例示的な実施形態では、食用製品10は菓子製品であり、食用コア12は菓子コアであり、食用シェル14は菓子シェルである。使用されるいくつかのタイプの例示的な菓子について、以下でより詳細に考察する。本明細書で使用される「菓子製品」という用語は、甘味成分を含む任意の食用製品を含むことが意図される。菓子製品は、糖、シロップ、糖アルコール、蜂蜜、及び例えばキャンディ又はペストリーなどの甘い食品を用いて作製され得る。菓子組成物は当該技術分野において周知であり、ソフトキャンディ、チューイーキャンディ、ハードキャンディ、チューインガム、チョコレート(例えば、ミルクチョコレート、ダークチョコレート、ホワイトチョコレート、及びセミスウィートチョコレートを含む)、及びロゼンジなどが挙げられる。
【0034】
例示的な実施形態では、使用が考慮される菓子製品10の1つのタイプは、チューインガム、具体的にはコーティングされたチューインガムペレットである。以下に記載する方法に従って製造される各製品又はペレット10について、コアはチューインガムコア12であってもよく、シェルはハード又はソフトキャンディシェル14であってもよい。チューインガムコア12は、当該技術分野において周知の任意の水不溶性又は疎水性ガムベースを含んでもよい。ガムベース中の好適な重合体の例示の実施例としては、天然及び合成のエラストマー及びガムの両方が挙げられる。コア12のガムベース組成物はまた、ガムベースの軟化を助けるエラストマー溶媒、並びに可塑剤又は軟化剤、乳化剤、及び増量剤などの様々な他の従来のベース成分を含んでもよい。ガムベースに加えて、コア12は、天然及び/又は人工のバルク甘味料、並びに香味料及び着色剤を含んでもよい。コア12のガムベース組成物中のエラストマーは、典型的には、疎水性である長鎖又は高分子量の化合物である。ガムベース組成物は、約20重量%~50重量%のエラストマーを含み、ガム製品は、約15重量%~40重量%のガムベースを含む。したがって、チューインガムコア12は、約3%~20%の疎水性エラストマーを含む。ガムコア12は、また疎水性である樹脂、ワックス、及び軟化剤を含む。これらの疎水性成分は、脂溶性成分を吸収又は捕捉するのに十分な疎水性条件を有する環境をコア12内に作り出す。実際、ガムコア12が咀嚼されると、コア中に存在し得る親水性成分のいずれか又は少なくとも大部分が唾液によって溶解され、摂取される。これは、全て又はほぼ全てがエラストマーなどの疎水性ベース材料であるガムボーラスを後に残し、これは、脂溶性成分が疎水性ガムベース成分又は摂取可能な親水性成分とともにコア混合物に添加されたかどうかにかかわらず、脂溶性成分を吸収又は捕捉することができる。
【0035】
例示的な実施形態では、製品10のハードキャンディシェル14は、脂溶性成分に加えていくつかの従来の成分も含む。ポリオール又は糖アルコールなどであるがこれらに限定されない成分、並びに香味剤、着色剤、及びデンプン又はアラビアゴムガムなどであるがこれらに限定されない結合剤を、シェル14に含め得る。特に図1を参照して、製品10を形成するための方法100の説明を以下に記載する。
【0036】
方法ステップ102を参照すると、方法100は、コア12、この例示的な実施形態では菓子又はチューインガムコア12の形成から始まる。コア12は、任意の従来のバッチ又は連続混合/押出プロセスによって形成され得る。例示の目的で提示される例示的な実施形態では、ガムベースをペレット化し、標準的なミキサー又は押出機に投入し得る。ガムベースあれば、ガムベース用の乳化剤をミキサー/押出機に添加し、ガムベースと混合し得る。ポリオール及びグリセリンをミキサー/押出機に添加して、ガムベースと完全に混合し得る。加えて、香味料、着色剤、活性物質、甘味料及び任意の他の添加剤を混合物/押出機に添加し、ガムコア材料に組み込み得る。次いで、最終チューインガム組成物をミキサー/押出機から排出し、ペレタイザー又は成形ダイを介してチューインガムコア12に成形/形成する。
【0037】
ペレット化されると、コア12は、図3に示されるようなコーティングドラム16などの従来のコーティング装置に移送され得る。方法ステップ104を参照すると、コア12は、ドラム16などのコーティング装置でコーティングされ、複数のコーティング層がコア12に適用されてシェル14を形成し、それは、この例示的な実施形態では菓子シェル14である。スプレーノズル又はバー(図示せず)及びコーティングドラム16の回転などの任意の従来の機構を使用して、コーティングプロセスを実行し得る。粉末(ポリオール粉末など)がこのコーティングプロセスで使用される限り、それらは、開口部22又はコア12と混合するための任意の他の従来の手段を介してドラムキャビティ20に単に添加されてもよい。
【0038】
この例示的な実施形態のハードキャンディシェル14は、主に(全てではないが)親水性成分であり、したがって親水性環境を作り出し、複数のコーティング層においてコア12に添加され得る。実際、例示的な実施形態では、コーティングプロセス全体は、10~100個のコーティングステップ、より具体的には20~90個のステップ、30~80個のステップ、40~70個のステップ、40~60個のステップ、40~50個のステップ、又は50~60個のステップを含み得る。複数のコーティング層は、コーティング14がチューインガムコア12に適用される20~90層、30~80層、40~70層、40~60層、40~50層、又は50~60層を介して加えられるように、複数のコーティング層を有するこれらのコーティングステップを介して加えられ得る。各ステップは、層の追加と、それに続く乾燥のための期間を含み得る。方法ステップ106を参照すると、脂溶性成分、この例示的な実施形態では、脂溶性ビタミン成分は、ハードキャンディシェル14の少なくとも1つのコーティング層を形成する少なくとも1つのコーティングステップを介して液体形態でガムコア12に適用される。
【0039】
例示的な実施形態では、ハードキャンディシェル14をチューインガムコア12に適用するための複数の全体的なコーティングステップは、3つの一般的なステップ又は段階に分けることができる。第1又は初期段階は、1種以上の所望の糖アルコール(上記のいくつかの例を参照)をコーティングドラム16内のチューインガムコア12に適用することを含む。スプレーノズル又はバー18は、糖アルコール溶液をコア12に送達し、一方、ドラム16の回転は、コア12の周りに溶液を分散させ、それぞれが完全にコーティングされることを可能にする。糖アルコール溶液がコア12に結合するのを助けるために、アラビアゴムなどの結合剤を溶液中に含めてもよい。例示的な実施形態では、この初期段階に含まれるコーティングステップは、1~50回のコーティングステップ、より具体的には5~50回、10~45回、15~40回、20~35回、20~30回、又は20~25回のコーティングステップ、更に具体的には少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、25回、26回、27回、28回、29回、30回、31回、32回、33回、34回、35回、36回、37回、38回、39回、40回、41回、42回、43回、44回、45回、46回、47回、48回、49回、又は50回のコーティングステップを含み得る。
【0040】
初期段階に続いて(及びおそらくは乾燥/調整のための追加の又は延長された期間の後に)、複数の全体的なコーティングステップにおける第2の段階又は中間段階が開始される。中間段階の間に、脂溶性ビタミン成分を含む液体プレミックスが、初期段階からのコア12(初期コーティングコアとも呼ばれる)上のコーティング層(複数可)に適用される。液体プレミックスは、脂溶性ビタミン成分及び香味成分を含んでもよく、又は脂溶性ビタミン成分及び香味成分から本質的になってもよい。液体プレミックスは、コーティングドラム16において、又は最初にコーティングされたコア12が移送された追加の/下流のコーティングドラム(図示せず)において、最初にコーティングされたコア12に適用される。スプレーノズル又はバーは、液体プレミックスを最初にコーティングされたコア12に送達し、一方、ドラム16の回転は、最初にコーティングされたコア12の周りに溶液を分散させ、各々が液体プレミックスで完全にコーティングされることを可能にする。例示的な実施形態では、中間段階におけるコーティングステップは、初期段階に続く1~35回のコーティングステップ、より具体的には1~2、1~4、2~3、2~4、1~30、2~30、3~30、4~30、1~25、2~25、3~25、4~25、1~20、2~20、3~20、4~20、1~15、2~15、3~15、4~15、1~10、2~10、3~10、4~10又は5~10回のコーティングステップ、更により具体的には少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35回のコーティングステップを含み得る。
【0041】
中間段階に続いて(及びおそらく乾燥/調整のための更に別の追加の又は延長された期間の後に)、複数の全体的なコーティングステップにおける第3の段階又は仕上げ段階が開始される。仕上げ段階中に、糖アルコール溶液が、初期段階及び中間段階からのコア12上のコーティング層に再び適用される(後者は、中間コーティングコアとも呼ばれる)。ここで再び、仕上げ段階で送達された糖アルコール溶液は、コーティングドラム16、又は初期及び中間コーティングコア12が輸送された追加/下流コーティングドラム(図示せず)内の初期及び中間コーティングコア12に適用される。スプレーノズル又はバーは、最初にコーティングされたコア12及び中間コーティングされたコア12に糖アルコール溶液を再び送達し、一方、ドラム16の回転は、最初にコーティングされたコア12及び中間コーティングされたコア12の周りに溶液を分散させ、各々が糖アルコール溶液で完全にコーティングされることを可能にする。例示的な実施形態では、仕上げ段階におけるコーティングステップは、初期段階及び中間段階に続く1~50回のコーティングステップ、より具体的には5~50、10~45、15~40、20~35、20~30、又は20~25回のコーティングステップ、更により具体的には少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50回のコーティングステップを含み得る。
【0042】
ここで特に図2を参照すると、上述の初期段階、中間段階、及び仕上げ段階は、シェル14の全厚31にわたって3つの異なる部分を含む食用製品10を作り出す。これらの部分は、食用コア12の表面33との界面に位置し、その表面33に最も近い内側部分30と、食用製品10全体の表面34に位置し、その表面34に最も近い外側部分32と、内側部分30と外側部分32との間に位置する中央部分36とを含む。この方法は、脂溶性成分を吸収又は捕捉するのに十分な疎水性条件を有し、少なくとも大部分が親水性であるシェル14によって囲まれたコア12を有する食用製品、又は例示的な実施形態では菓子製品10をもたらす。シェル14は、脂溶性成分の濃度勾配を含み、脂溶性成分の最大濃度はシェル14の中央部分36にあり、脂溶性成分の最小濃度はシェル14の内側部分30及び外側部分32にある。
【0043】
例示的な実施形態では、上述した内側部分30及び外側部分32における脂溶性成分の最小濃度は、0%程度であり、上述した中央部分36における脂溶性成分の最大濃度は、100%程度であることを理解されたい。更なる例示的な実施形態では、シェル14の中央部分36における脂溶性成分の上述の最大濃度は、少なくとも34%、少なくとも50%、少なくとも67%、及び少なくとも75%であってもよい。更なる例示的な実施形態では、シェル14の中央部分36における脂溶性成分の上述の最大濃度は、少なくとも35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、及び99%であり得る。上述したように、中央部分36における脂溶性成分の最大濃度は、100%程度であってもよい。実際、例示的な実施形態では、上述した中央部分36における脂溶性成分の最大濃度は、中央部分36が、内側部分30及び外側部分32のそれぞれの個々の濃度よりも高い濃度を含むか、又は内側部分30及び外側部分32の組み合わせた濃度よりも高い濃度を含む任意のパーセンテージである。
【0044】
同様に、例示的な実施形態では、シェル14の内側部分30及び外側部分32のそれぞれにおける脂溶性成分の上述の最小濃度は、多くとも33%、多くとも25%、多くとも20%、及び多くとも10%であってもよい。なお更なる例示的な実施形態では、シェル14の内側部分30及び外側部分32の各々における脂溶性成分の上述の最小濃度は、最大で32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、及び1%であってもよい。上述したように、シェル14の内側部分30及び外側部分32の各々における脂溶性成分の最小濃度は、0%程度であってもよい。
【0045】
考察したように、中間段階における脂溶性液体プレミックスの適用により、脂溶性成分はシェル14の中央部分36に存在し、本質的に局在化される。これは、内側部分30を介したガムコア12から、外側部分32を介した製品表面34全体までの間の障壁が提供されるため、脂溶性成分の効果的かつ一貫した放出に有益である。実際に、脂溶性成分が、内側部分30を介してガムコア12からこの有効距離及びバリアを有さない場合、脂溶性成分は、疎水性ガムコア12によって吸収されるリスクがあり、咀嚼中の脂溶性成分の有効かつ一貫した放出を減少させる。更に、脂溶性成分が、外側部分32を介して歯肉表面34からこの有効距離及びバリアを有さない場合、脂溶性成分は、周囲曝露によって酸化される危険性があり、これはまた、咀嚼中の放出に利用可能な脂溶性成分の量を減少させ、その色を劣化させる可能性がある。
【0046】
図面は縮尺通りではない場合がある(ペレット10は任意の形状であり得る)が、シェル14の中央部分36は、シェルの厚さ31の約3分の1、より具体的にはシェル14の厚さ31の1~35%、更に具体的にはシェル14の厚さ31の約1~2%、1~4%、2~3%、2~4%、1~30%、2~30%、3~30%、4~30%、1~25%、2~25%、3~25%、4~25%、1~20%、2~20%、3~20%、4~20%、1~15%、2~15%、3~15%、4~15%、1~10%、2~10%、3~10%、4~10%、又は5~10%、更に具体的にはシェル14の厚さ31の少なくとも又は約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、又は35%であり得ることに留意されたい。内側部分30は、シェルの厚さ31の約3分の1であってもよく、より詳細にはシェル14の厚さ31の約1~35%又は1~50%であってもよく、更に詳細にはシェル14の厚さ31の約5~50%、10~45%、15~40%、20~35%、20~30%、又は20~25%であってもよく、更に詳細にはシェル14の厚さ31の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、又は50%であり得る。外側部分32は、シェルの厚さ31の約3分の1であってもよく、より詳細にはシェル14の厚さ31の約1~35%又は1~50%であってもよく、更に詳細にはシェル14の厚さ31の約5~50%、10~45%、15~40%、20~35%、20~30%、又は20~25%であってもよく、更に詳細にはシェル14の厚さ31の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、又は50%であり得る。
【実施例
【0047】
コーティングされたガム製品10からの脂溶性ビタミン成分の有効かつ一貫した放出の存在を試験及び検出するために、コーティングされたチューインガムのヒト咀嚼をシミュレートするように設計された方法を使用した。そのような方法は、約10gのコーティングされたガム製品10を200mLの37℃の水中に浸漬することと、製品を37℃のインキュベーター中で16時間貯蔵することと、を含んだ。浸漬物をストマッカーで15分間抽出した後、濾紙(5A号、Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)で濾過し、ガスクロマトグラフィーなどで脂溶性ビタミン成分濃度を分析した。
【0048】
上述の方法100によって製造されたガム製品10について上記の試験を実施したところ、脂溶性ビタミン成分の放出は一貫して許容可能であり、コーティングステップ106で添加された脂溶性ビタミン成分の20%~35%が検出/放出されることが分かった。実際に、製品100g当たりのビタミンの168μgがコーティングステップ106を介して適用された場合、試験は、製品100g当たりのビタミンの59μgに対して、製品100g当たり約33μgのビタミンの検出/放出をもたらした。
【0049】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示する。実施例はまた、当業者が本発明を作製及び使用することを可能にするために使用される。本発明の特許を受けることができる範囲は特許請求の範囲によって定められ、当業者が想到する他の実施例を含み得ることを理解すべきである。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に差異のない同等の構造的要素を含む場合は、特許請求の範囲の範囲内とする。
【0050】
引用された特許、特許出願、及び他の文献の全ては、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願中の用語が、組み込まれた参考文献と相反する、すなわち矛盾する場合、本出願の用語は、組み込まれた参考文献の矛盾する用語よりも優先される。
【0051】
本明細書に開示された全ての範囲は端点を含み、端点は、独立して互いに組み合わせることができる。本明細書に開示された各範囲は、開示された範囲内に存在する任意の点又は部分範囲の開示を構成するものと理解すべきである。
【0052】
「a」及び「an」及び「the」という用語、並びに本発明を記載する文脈における同様の指示対象の使用は(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、本明細書に別途記載のない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるものとする。更に、本明細書における「第1」、「第2」などという用語は、任意の順序、数量又は重要性を示すのではなく、むしろ、ある要素と別の要素とを区別するために使用されることに更に留意されたい。量に関連して使用される修飾語句の「約」は、明記された値を含み、文脈によって明らかに理解される意味を有する(例えば、明記された量は、特定の量の測定に伴う誤差の程度を含む)。
図1
図2
図3
【国際調査報告】