(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】水素タンク充填装置によって交通手段のタンク充填をする方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20240308BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/02 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560073
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022056525
(87)【国際公開番号】W WO2022214272
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021203385.7
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ケマー,ヘラーソン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD03
3E172EA02
3E172EA12
3E172EA22
3E172EA35
3E172EB02
3E172KA03
3E172KA22
(57)【要約】
水素タンク充填装置(6)によって交通手段(4)のタンク充填をする方法が提案され、水素タンク充填装置と交通手段との間で通信接続が確立されるステップと、交通手段のタンク(10)と水素放出装置が連結されて交通手段がタンク充填されるステップと、水素放出装置により放出される水素流の第1の水素圧力がタンク充填装置でタンク充填のときに検出されるステップと、受け取られる水素流の第2の水素圧力が交通手段でタンク充填のときに検出されるステップと、第1の水素圧力と第2の水素圧力との間の差異が判定されるステップと、差異が第1の閾値を上回っている場合に、第2の水素圧力の検出を修正するために交通手段でセンサ特性曲線が変更されるステップとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素タンク充填装置(6)によって交通手段(4)のタンク充填をする方法において、
前記水素タンク充填装置(6)と前記交通手段(4)との間で通信接続が確立(24)されるステップと、
前記交通手段(4)のタンク(10)と水素放出装置(8)が連結(26)されて前記交通手段(4)がタンク充填されるステップと、
前記水素放出装置(8)により放出される水素流の第1の水素圧力が前記タンク充填装置(6)でタンク充填(28)のときに検出(30)されるステップと、
受け取られる水素流の、および/または前記タンク(10)の、第2の水素圧力が前記交通手段(4)でタンク充填(28)のときに検出(32)されるステップと、
前記第1の水素圧力と前記第2の水素圧力との間の差異が判定(34)されるステップと、
前記差異が第1の閾値を上回っている場合に、前記第2の水素圧力の検出を修正するために前記交通手段(4)でセンサ特性曲線が変更(36)されるステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記第1および前記第2の水素圧力の検出(30,32)はタンク充填(28)の開始後に一回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および前記第2の水素圧力の検出(30,32)ならびに前記差異の判定(34)は複数回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記差異の判定(34)ならびに/または前記第1および前記第2の水素圧力の検出(30,32)は事前設定された待機時間の経過後に反復される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記差異の判定(34)は事前設定された圧力変化レベルの通過後に反復される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の水素圧力が前記交通手段(4)から前記タンク充填装置(6)に伝送され、
前記タンク充填装置(6)が前記差異を判定(34)する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を前記差異が上回っている場合に、警告信号が出力(38)されることをさらに有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記差異の判定(34)と前記センサ特性曲線の変更(36)はタンク充填プロセスの後に行われる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
交通手段に水素をタンク充填するためのシステム(2)において、
水素放出装置(8)、第1の接続ユニット(14)、第1の圧力センサ(20)、および第1の制御ユニット(12)を備えたタンク充填装置(6)と、
前記交通手段(4)に統合するための第2の接続ユニット(16)および第2の制御ユニット(18)とを有し、
前記第1の圧力センサ(20)は前記第1の制御ユニット(12)とリンクされるとともに、前記水素放出装置(8)によって放出される水素流の第1の水素圧力を検出するために構成され、
前記第2の制御ユニット(18)は、第2の圧力センサ(22)により前記交通手段(4)で検出される、水素流または交前記通手段(4)のタンク(10)の第2の水素圧力を記録するために構成され、
前記第1の制御ユニット(12)および前記第2の制御ユニット(18)のうちの一方は、前記第1の水素圧力と前記第2の水素圧力との間の差異を判定して、前記差異が第1の閾値を上回っている場合に、前記第2の水素圧力の検出を修正するために前記交通手段(4)のセンサ特性曲線を変更するために構成される、システム。
【請求項10】
前記第1の制御ユニット(12)および前記第2の制御ユニット(18)のうちの一方は、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を前記差異が上回っている場合に警告信号を出力するために構成される、請求項9に記載のシステム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素タンク充填装置によって交通手段のタンク充填をする方法に関し、および、水素タンク充填装置によって交通手段のタンク充填をするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素タンクを有する車両への水素のタンク充填における従来技術は、特にSAE J2601に記載されている。そこにはたとえば、車両とタンク充填装置との間で通信がなされるケースでは、周囲温度と、タンク充填プロセスの前の水素タンク内の初期圧力とに依存してタンク充填プロセスについての目標圧力を含む表が、タンクプロセスの前に車両から一回だけ伝送されることが記述されている。タンク充填装置は、たとえばそこからタンク充填計画を判定し、実行する。燃料電池システムまたは周辺装置に配置されるセンサは、製造上ないし耐用期間上の公差を含む。たとえば燃料電池システムのような複雑なシステムでは、不都合な公差連鎖が、機能に関わる欠陥につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば燃料電池システムによって水素で駆動される交通手段では、水素タンク内の圧力を検出するための正確な圧力センサが公差連鎖の低減のために有意義である。
【0004】
本発明の課題は、そのような圧力センサの精度を改善する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、水素タンク充填装置によって交通手段のタンク充填をする方法によって解決される。好ましい実施形態と発展形態は、従属請求項および以下の説明から明らかとなる。
【0006】
水素タンク充填装置によって交通手段のタンク充填をする方法が提案され、水素タンク充填装置と交通手段との間で通信接続が確立されるステップと、交通手段のタンクと水素放出装置が連結されて交通手段がタンク充填されるステップと、水素放出装置により放出される水素流の第1の水素圧力がタンク充填装置でタンク充填のときに検出されるステップと、受け取られる水素流の、および/またはタンクの、第2の水素圧力が交通手段でタンク充填のときに検出されるステップと、第1の水素圧力と第2の水素圧力との間の差異が判定されるステップと、差異が閾値を上回っている場合に、第2の水素圧力の検出を修正するために交通手段でセンサ特性曲線が変更されるステップとを有する。
【0007】
通信接続の確立は、たとえばワイヤレスネットワークまたはその他の無線接続を介しての、交通手段と水素タンク充填装置との接続を含むことができる。そのために水素タンク充填装置は、交通手段と水素タンク充填装置との間のデータ接続を可能にするインフラストラクチャーを装備し、またはこれとリンクすることが考えられる。とりわけ特記すべきは、水素タンク充填装置と交通手段との間の接触が防止されるワイヤレス接続である。特に金属接触は、水素を運ぶ装置の近傍で火花形成が生じたとき爆発の危険につながるため、回避されるのがよい。通信接続は双方向であるのが好ましく、それにより、タンク充填プロセス中にデータやパラメータを両方向へ伝送可能である。
【0008】
水素放出装置とタンクとの連結は、タンクカバーが開放されることと、タンクホースが連結されることとを含むことができる。タンクカバーが開放されたときに、および/またはタンクホースが差し込まれたときに、データ接続が確立されることが考えられる。しかしながらその代替として、データ接続がその時点ですでに確立されてよい。
【0009】
燃料電池システムは、少なくとも1つの第2の圧力センサを高圧領域に、たとえばタンクの近傍の表面または内部に、有することができる。タンク充填中に、第2の圧力センサとリンクされた制御ユニットが、タンク充填装置と通信をすることができる。タンク充填装置はタンク充填中に圧力を測定するので、この値を交通手段側での圧力測定と交換して照合することができる。それにより、第2の圧力センサによる圧力測定の過度の差異を修正し、修正値、修正項、または複数の修正値が該当する第2の圧力センサまたは制御ユニットに保存されて、第2の水素圧力の出力時に考慮されるようにすることができる。したがって、それに伴いセンサ特性曲線が適合化されて、いっそう正確な測定値が生起される。
【0010】
タンク充填プロセスのたびに、この方法を一回または複数回実施することが考えられる。複数回の実施の場合、あとでまた説明するさまざまに異なる態様を、これらについて考慮の対象とすることができる。燃料電池システムの制御における公差連鎖の低減に加えて、メンテナンスコストも低減することができる。原則として、使用されるセンサをいっそう低コストに具体化することができる。タンク充填プロセスの際にこれをキャリブレーションないし適合化することができるからである。耐用期間を通じてのセンサ信号のドリフトを、本発明による方法によって補正することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、第1および第2の水素圧力の検出はタンク充填の開始後に一回実行される。差異の判定ならびに場合によりセンサ特性曲線の変更は、たとえばタンク充填プロセスの開始時に行うことができる。安定した水素流が始まってから、タンク充填装置と交通手段でそれぞれ水素圧力を検出することができる。しかしながら、事前設定されたタイムスパンのあいだ安定した水素流が放出された後に、ある程度の時間を経てから初めて差異の判定が実行されることも考えられる。タンク充填プロセスの終了直前にも、この方法ステップを実行することができる。
【0012】
しかしながら、第1および第2の水素圧力の検出ならびに差異の判定が複数回実行されるのが好ましい。たとえば異なる時点で複数の水素圧力値を検出することができ、次いで、これらが互いに比較される。それにより個々の測定を相互に根拠づけして、妥当性検査にかけることができる。水素圧力の両方の側での検出は、必ずしも完全に同期して行われなくてもよい。タンク充填装置と交通手段で所定のパターンに従って水素圧力が検出され、タイムスタンプが付与されて保存され、引き続いてこれらが比較されることが考えられる。これらを連続して、または同時に、伝送ないし記録して、これらをアドホックに、またはタンク充填プロセスの後にまとめて、比較することができる。個々の測定値と組み合わされるタイムスタンプは、両方の側で検出される個々の測定値の割当を可能にする。
【0013】
差異の判定ならびに/または第1および第2の水素圧力の検出は、たとえば事前設定された待機時間の経過後に反復することができる。特に水素圧力の検出は、規則的または不規則的な時間インターバルをおいて、ないしは所定の時間的パターンで、実行することができる。
【0014】
差異の判定ならびに/または第1および第2の水素圧力の検出は、事前設定された圧力変化レベルの通過後に反復することもできる。タンク充填にあたって、たとえばタンク充填計画で指定される複数の圧力段階を通過することができる。特定の圧力段階への到達後に、両方の側での水素圧力の検出を実行することができ、測定値のうちの1つまたは複数が互いに比較される。
【0015】
第2の水素圧力が交通手段からタンク充填装置に伝送されるのが特別に好ましく、タンク充填装置が差異を判定する。タンク充填装置の圧力センサは、交通手段の圧力センサよりも正確であると考えられる。タンク充填装置は、タンク充填プロセスの厳密な制御を実行するからである。したがって第1の水素圧力の検出は、すでにタンク充填プロセス中にもともと継続して実行することができるので、第2の水素圧力の記録と比較は、タンク充填装置のソフトウェアプログラムの僅少な改変しか必要とせず、所要の手段は既存であり得る。タンク充填装置は、水素圧力の許容可能でない差異が確認されたときに相応の信号を交通手段に送ることができ、これを車内側で具体化することができる。
【0016】
その代替として、当然ながら交通手段も差異を判定するために構成されていてよい。タンク充填装置は、検出された第1の水素圧力値を交通手段に伝送することができ、そこで差異が判定されて、これに基づきセンサ特性曲線が適合化される。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、本方法は、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を差異が上回っている場合に、警告信号が出力されることを含む。第2の閾値は、これを上回ることをセンサ不良として解釈せざるを得ないように定義することができる。したがって警告信号は、交通手段に伝送されてそこで事前設定された方式で処理されるメンテナンス指示として理解することができる。警告信号が出力された後は、安全な作業モードになるようにタンク充填プロセスを続行するのが有意義であり得る。
【0018】
差異の判定とセンサ特性曲線の変更は、タンク充填プロセスの後に行われるのが特別に好ましい。そして複数の水素圧力が検出されて比較されていてよく、これらに基づき、それぞれ異なる差異といっそう包括的な変化パラメータとを判定可能である。タンク充填プロセスの最後の、または終了後の、最終ステップとして、センサ特性曲線を適合化することができる。
【0019】
さらに本方法は、タンク充填装置と交通手段との間の、すなわち交通手段に配置されたタンクとの間の、圧力損失が計算される、または見積られる、ステップを含むことができる。圧力損失は第2の制御ユニットでモデル化もしくは保存することができ、または、タンク充填装置によりタンク充填の開始時に判定もしくは伝送することができる。
【0020】
交通手段および/またはタンク充填装置は、タンク充填プロセスのたびに本方法を実施するために構成されていてよい。その場合、交通手段のセンサ特性曲線が常に順応化される。
【0021】
さらに、上記に準じて本発明は、交通手段に水素をタンク充填するためのシステムに関し、水素放出装置、第1の接続ユニット、第1の圧力センサ、および第1の制御ユニットを備えたタンク充填装置と、交通手段に統合するための第2の接続ユニットおよび第2の制御ユニットとを有し、第1の圧力センサは第1の制御ユニットとリンクされるとともに、水素放出装置によって放出される水素流の第1の水素圧力を検出するために構成され、第2の制御ユニットは、第2の圧力センサにより交通手段で検出される、水素流および/または交通手段のタンクの第2の水素圧力を記録するために構成され、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットのうちの一方は、第1の水素圧力と第2の水素圧力との間の差異を判定して、差異が第1の閾値を上回っている場合に、第2の水素圧力の検出を修正するために交通手段のセンサ特性曲線を変更するために構成される。
【0022】
さらに、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットのうちの一方は、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を差異が上回っている場合に、警告信号を出力するために構成されていてよい。
【0023】
これに加えて、このシステムないしこれに含まれるコンポーネントは、上記で説明した1つまたは複数または任意の方法ステップを実行するために構成される。
【0024】
本発明を改良するその他の方策については、以下において、本発明の好ましい実施例の説明とともに図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】交通手段のタンク充填をするためのシステムを示す模式図である。
【
図2】交通手段のタンク充填をする本発明の方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、交通手段4のタンク充填をするためのシステム2を模式的に示している。交通手段4は、図示した例では例示としてバスであり、そこで水素が燃料電池(図示せず)を通じて電流の生成のために利用される。システム2は、水素放出装置としてのタンクホース8を有する水素タンク充填装置6を有している。交通手段4の内部にあるタンク10との流体接続をするために、このタンクホースを交通手段4と連結可能である。さらに水素タンク充填装置6は、第1の接続ユニット14と接続された第1の制御ユニット12を有している。
【0027】
第1の接続ユニット14は、交通手段4の第2の接続ユニット16と通信することができる。このことは直接的に、すなわちポイントツーポイント接続として、または相応のインフラストラクチャーを介して、行うことができる。第2の接続ユニット16は、第2の制御ユニット18とリンクされている。したがって、第1の制御ユニット12と第2の制御ユニット18は互いに通信することができる。
【0028】
タンク充填装置6は、第1の制御ユニット12とリンクされた、タンクホース8の中で案内される水素質量流の第1の水素圧力を検出するために構成される、第1の圧力センサ20を有している。交通手段4には、これに対応して、タンク10および第2の制御ユニット18とリンクされた、第2の水素圧力を検出するために構成される第2の圧力センサ22が設けられている。この水素圧力は、タンク充填装置6によるタンク充填時に上昇する。圧力平衡に基づき、第1の水素圧力は第2の水素圧力に相当する。したがって理想的な場合、第1の圧力センサ20と第2の圧力センサ22の測定値は同一である。経年劣化や摩耗に基づき、特に第2の圧力センサ22は次第に不正確になっていく。第1の制御ユニット12と第2の制御ユニット18は、第1の水素圧力と第2の水素圧力との間の差異を判定し、この差異が第1の閾値を上回っている場合に、第2の水素圧力の検出を修正するために交通手段4でセンサ特性曲線を変更するために構成されている。それによって第2の圧力センサ22の精度が改善され、センサ誤差が補正される。さらに、第1の制御ユニット12と第2の制御ユニット18は、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を差異が上回っている場合に、警告信号を出力するために構成されていてよい。このことは、特に極端な差異があるときに有意義である。
【0029】
図2は、水素タンク充填装置6によって交通手段4のタンク充填をする方法を示している。この方法は、水素タンク充填装置6と交通手段4との間の通信接続が確立24されるステップと、水素放出装置8が交通手段4のタンク10と連結26されるステップと、交通手段がタンク充填28されるステップとを有している。タンク充填中に、水素放出装置8によって放出される水素流の第1の水素圧力がタンク充填装置6で検出30される。それと同時に、その前に、またはその後に、交通手段で第2の水素圧力が検出32される。第1の水素圧力と第2の水素圧力との間の差異が判定34される。この差異が第1の閾値を上回っていると、第2の水素圧力の検出を修正するために交通手段4でセンサ特性曲線が変更36される。さらに、差異が第2の閾値を上回っていると警告信号が出力38される。このとき第2の閾値は第1の閾値を上回っており、たとえば2倍の大きさ、3倍の大きさ、あるいはこれよりも大きくてよい。
【0030】
検出30ないし32は複数回行うことができる。さらに、検出された第2の水素圧力をタンク充填装置6に伝送40して、そこで差異を判定することができる。互いに独立して複数回、たとえば特定の時間的間隔をおいて、特定の圧力段階の通過後に、あるいはその他のパターンで、水素圧力を検出することが考えられる。第2の水素圧力値をそのつどの検出後にそのままタンク充填装置6へ伝送することができ、または、タンク充填プロセスの後にまとめて伝送することができる。それぞれの検出時間の一義的な識別のために、例示として、個々の水素圧力値にそれぞれタイムスタンプが付与される。タンク充填装置6で検出される第1の水素圧力値にも、同様にタイムスタンプを付与することができる。したがって、タンク充填中に同期した測定がなされたときに、または離散した圧力レベルを通過したときに、個々の圧力値を互いに比較することができる。
【符号の説明】
【0031】
2 システム
4 交通手段
6 タンク充填装置
8 水素放出装置
10 タンク
12 第1の制御ユニット
14 第1の接続ユニット
16 第2の接続ユニット
18 第2の制御ユニット
20 第1の圧力センサ
22 第2の圧力センサ
26 連結
28 タンク充填
30 検出
32 検出
34 判定
36 変更
38 出力
【国際調査報告】