(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】プラズマ管を備えた高DC電圧の電流のカットオフデバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 33/59 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H01H33/59 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560304
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 FR2022050608
(87)【国際公開番号】W WO2022208029
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517202755
【氏名又は名称】スーパーグリッド インスティテュート
【住所又は居所原語表記】23 RUE CYPRIAN, 69100 VILLEURBANNE, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA08
5G028FB06
5G028FC02
(57)【要約】
プラズマ管を備えた高DC電圧の電流のカットオフデバイス。
本発明は、少なくとも1つのカットオフモジュール(18)を含むDC高電圧カットオフデバイスを提案し、該デバイスは、
主分岐(24)にある主カットオフ装置(26)と、
吸収分岐(28)にある汎用サージ保護装置(30)と、
少なくとも1つの切替コンデンサ(C1)を含む切替分岐(32)と
を含み、
切替分岐(32)にある第1のプラズマ管スイッチ(34.1)と、
切替コンデンサ(C1)の事前充電回路(48.1)と、
切替コンデンサ(C1)と並列であり、カットオフモジュールの公称動作電圧よりも低い保護電圧を有する切替サージ保護装置(80.1)と、
第1のプラズマ管スイッチ(34.1)に、切替コンデンサ(C1)の電機子(C1p、C1d)間の電気電圧から導出された電圧を供給する少なくとも1つのパイロット可能スイッチ(58.1、58a、58b)とを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高DC電圧下の電流のカットオフデバイスであって、
上記カットオフデバイス(10)の導通構成において、上記デバイスの高DC公称動作電圧下の電流が流れる主回路(16)と、
少なくとも1つのカットオフモジュール(18、18a、18b、18c)であって、該カットオフモジュールに対する上記主回路(16)の第1のポイント(20、20a、20b、20c)と第2のポイント(22、22a、22b、22c)との間で上記主回路(16)に差し挟まれたカットオフモジュール(18、18a、18b、18c)とを含み、上記カットオフモジュールが、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間にある主分岐(24)であって、機械的タイプの少なくとも1つの主電気カットオフ装置(26)が、上記第1のポイント(20)と上記第2のポイント(22)との間で該主分岐(24)に差し挟まれている、主分岐(24)と、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記主分岐(24)と電気的に並列である吸収分岐(28)であって、少なくとも1つの汎用サージ保護装置(30)が上記第1のポイント(20)と上記第2のポイント(22)との間で該吸収分岐(28)に差し挟まれている、吸収分岐(28)と、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記主分岐(24)および上記吸収分岐(28)と電気的に並列である切替分岐(32)であって、少なくとも第1の切替コンデンサ(C1)が上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で該切替分岐(32)に配置され、切替スイッチ(34.1)が該切替分岐(32)における電流の流れを許可することができる、切替分岐(32)と、
上記カットオフモジュールの上記主分岐(24)および上記切替分岐(32)によって形成されるループであって、切替インダクタンスを有する上記カットオフモジュールのループとを含み、
上記切替スイッチが、アノード(36.1)、カソード(38.1)、および制御グリッド(40.1)を含む少なくとも第1のプラズマ管スイッチ(34.1)を含み、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)が、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記切替分岐(32)に差し挟まれ、それによって上記切替分岐が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記カソード(38.1)に連結された第1のセクション(32.1)と、上記第1のプラズマ管スイッチの上記アノード(36.1)に連結された第2のセクション(32.2)とに分離され、上記第1の切替コンデンサ(C1)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記カソード(38.1)に連結された上記切替分岐の上記第1のセクション(32.1)に配置され、
上記第1のプラズマ管スイッチの制御系(46.1)が上記第1の切替コンデンサ(C1)によって電気供給され、
上記第1の切替コンデンサが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された近位側電機子(C1p)と、該近位側電機子(C1p)に対して上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードの反対側にある遠位側電機子(C1d)とを含み、
上記デバイスが、上記第1の切替コンデンサ(C1)を事前充電するための回路(48.1)を含み、
上記カットオフモジュール(18、18a、18b、18c)が第1の切替サージ保護装置(80.1)を含み、上記第1の切替サージ保護装置が、上記カットオフモジュールの公称動作電圧よりも低い保護電圧を有し、上記第1の切替コンデンサ(C1)と並列に電気接続されており、
上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御系(46.1)が少なくとも第1のパイロット可能スイッチ(58.1、58a、58b)を含み、上記第1のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記電機子(C1p、C1d)間の電気電圧から導出された電圧を上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(40.1)に供給することを特徴とする、
高DC電圧下の電流のカットオフデバイス。
【請求項2】
上記カットオフデバイス(10)を開放する間、上記第1のパイロット可能スイッチ(58.1、58a、58b)が、第1の閉止パルスにしたがってパイロットされることで、上記主電気カットオフ装置(26)が一部機械的に開放された後の上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の閉止を制御し、第2の閉止パルスにしたがってパイロットされることで、上記第1の切替コンデンサ(C1)の充電極性を反転させた後の上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の開放を制御し、それにより上記第1のプラズマ管スイッチの閉止と開放との間の上記第1のプラズマ管スイッチの導通時間を規定することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
上記第1のパイロット可能スイッチ(58.1)が、閉止状態では、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(48.1)を上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子(C1d)に電気的に連結することを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
上記第1のパイロット可能スイッチ(58.1、58a、58b)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(40.1)と上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記遠位側電機子(C1d)との間で両方向に電流を伝導および阻止することができる二方向スイッチであることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
上記第1のパイロット可能スイッチが、上記第1のプラズマ管スイッチ(34)の上記制御グリッド(40.1)と上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記遠位側電機子(C1d)との間で直列かつ互いに反対方向で差し挟まれた2つの一方向電子スイッチ(58a、58b)として設計され、各一方向電子スイッチ(58a、58b)が、該一方向電子スイッチと非並列に設置されたフリーホイールダイオードを具備することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御系(46.1)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の賦活電極(44.1)に供給する供給分岐(62)を含み、上記供給分岐(62)が、上記第1のプラズマ管スイッチの上記賦活電極(44.1)を上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記遠位側電機子(C1d)に連結することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
上記供給分岐(62)が、上記供給分岐(62)における電流を伝導および阻止することができる供給スイッチ(68)と、上記供給分岐に差し挟まれた抵抗(64)とを含むことを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
上記供給スイッチ(68)が、上記カットオフデバイスによる電流遮断命令を受け取った後、閉止するようパイロットされることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御系(46.1)が、上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記遠位側電機子(C1d)に連結されたソース側を有し、上記第1のパイロット可能スイッチ(58.1)を介して上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(40.1)に供給する制御側を有するDC-DC電力変換器(78)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項10】
上記電力変換器の上記制御側が正端子(78.3)と負端子(78.4)とを含み、上記第1のパイロット可能スイッチ(58.1)が、上記正端子(78.3)と上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(40.1)との間に差し挟まれた第1のパイロット可能起動スイッチ(58a)と、上記負端子(78.4)と上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御グリッド(40.1)との間に差し挟まれた第2のパイロット可能停止スイッチ(58b)とを含むことを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記制御系(46.1)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の賦活電極(44.1)に供給する供給分岐(62)を含み、上記供給分岐が、上記第1のプラズマ管スイッチの上記賦活電極(44.1)を上記DC-DC電力変換器(78)の上記制御側の上記正端子(78.3)に連結することを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記端子における電圧が、上記第1の切替サージ保護装置(80.1)によって、上記カットオフモジュールの上記公称動作電圧の10%未満の保護電圧に制限されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
上記第1の切替コンデンサ(C1)が100マイクロファラッド超の容量を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
上記カットオフモジュールの上記第1の切替コンデンサの事前充電電圧および切替インダクタンスが、上記主カットオフ装置(26)を通る電流の変化であって、上記プラズマ管スイッチ(34.1)の閉止によって上記切替分岐(32)が電流に対して導通状態になると現れる変化の変化率を、上記主カットオフ装置(26)が電気アークを遮断することができる変化率に対応する値で制限するようにスケーリングされることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
上記カットオフデバイス(10)を開放する間、上記第1のプラズマ管スイッチの導通時間が1ミリ秒未満、好ましくは300マイクロ秒未満、より好ましくは100マイクロ秒未満であることを特徴とする、請求項2~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
上記切替スイッチが、アノード(36.2)、カソード(38.2)、および制御グリッド(40.2)を含む第2のプラズマ管スイッチ(34.2)を含み、上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)と電気的に並列に、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)とは反対方向に、上記カットオフモジュール(18)の上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記切替分岐(32)に差し挟まれ、それによって、上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソード(38.2)が上記切替分岐(32)の上記第2のセクション(32.2)に連結され、上記第2のプラズマ管スイッチの上記アノード(36.2)が上記切替分岐の上記第1のセクション(32.1)に連結され、
第2の切替コンデンサ(C2)が、上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記カソード(38.2)に連結された上記切替分岐(32)の上記第2のセクション(32.2)に配置され、
上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の制御系(46.2)が上記第2の切替コンデンサ(C2)によって電気供給され、
上記第2の切替コンデンサ(C2)が、上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記カソード(38.2)に連結された近位側電機子(C2p)と、該近位側電機子(C2p)に対して上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソードの反対側にある遠位側電機子(C2p)とを含み、
上記デバイス(10)が上記第2の切替コンデンサの事前充電回路(48.2)を含み、
上記カットオフモジュール(18、18a、18b、18c)が第2の切替サージ保護装置(80.2)を含み、上記第2の切替サージ保護装置が、上記第1の切替サージ保護装置(80.1)および上記第2の切替サージ保護装置(80.2)の保護電圧の合計が上記カットオフモジュールの上記公称動作電圧よりも低くなるような保護電圧を有し、上記第2の切替コンデンサ(C2)と並列で電気接続されており、
上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記制御系(46.2)が、少なくとも第2のパイロット可能スイッチを含み、上記第2のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第2の切替コンデンサ(C2)の上記電機子(C2p、C2d)間の電気電圧から導出された電圧を上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記制御グリッド(40.2)に供給することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
上記第2のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドを上記第2の切替コンデンサの上記遠位側電機子に電気的に連結することを特徴とする、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記制御系(46.2)が、上記第2の切替コンデンサ(C2)の上記遠位側電機子(C2d)に連結されたソース側を有し、上記第2のパイロット可能スイッチを介して上記第2のプラズマ管スイッチ(34.2)の上記制御グリッド(40.2)に供給する制御側を有する第2のDC-DC電力変換器を含むことを特徴とする、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第2のプラズマ管スイッチの賦活電極に供給する供給分岐を含むことを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
上記供給分岐が、上記第2のプラズマ管スイッチの上記賦活電極を上記第2のDC-DC電力変換器の上記制御側の正端子に連結することを特徴とする、請求項18と組み合わせた請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
上記少なくとも1つのカットオフモジュール(18、18a、18b、18c)が、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間の上記切替分岐(32)、上記吸収分岐(28)、および上記主分岐(24)と電気的に並列である少なくとも1つの補助切替分岐(32’)を、アノード(36.1’)、カソード(38.1’)、および制御グリッド(40.1’)を含む少なくとも第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)と共に含み、上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)が、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記補助切替分岐(32’)に差し挟まれ、それによって上記補助切替分岐(32’)が、上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)の上記カソード(38.1’)に連結された第1のセクション(32.1’)と、上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)の上記アノード(36.1’)に連結された第2のセクション(32.2’)とに分離され、少なくとも第1の補助切替コンデンサ(C1’)が、上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1’)の上記カソード(38.1’)に連結された上記補助切替分岐(32’)の上記第1のセクション(32.1’)に配置されることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)の上記アノード(36.1’)が、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントおよび上記第2のポイントのうち、上記少なくとも1つのカットオフモジュールの上記第1のプラズマ管スイッチ(34.1)の上記アノード(36.1)と同じポイントに連結され、
上記少なくとも1つのカットオフモジュールが、上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)によって供給される上記第1の補助プラズマ管スイッチの制御系(46.1’)を含み、
上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)が、上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)の上記カソード(38.1’)に連結された近位側電機子(C1p’)と、該近位側電機子(C1p’)に対して上記第1の補助プラズマ管スイッチ(34.1’)の上記カソード(38.1’)の反対側にある遠位側電機子(C1d’)とを含み、
上記デバイスが、上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)の事前充電回路(48.1’)を含み、
上記デバイスが第1の補助切替サージ保護装置(80.1’)を含み、上記第1の補助切替サージ保護装置が、上記カットオフモジュールの公称動作電圧よりも低い保護電圧を有し、上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)と並列で電気接続されており、
上記第1の切替コンデンサ(C1)の上記事前充電回路(48.1)および上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)の上記事前充電回路(48.1’)が、上記第1の切替コンデンサ(C1)および上記第1の補助切替コンデンサ(C1’)に並列で供給する共通電圧源(50.1)を含むことを特徴とする、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
上記少なくとも1つのカットオフモジュールが、上記補助切替分岐(32’)に並列かつ互いに反対方向で差し挟まれ、2つの補助プラズマ管スイッチ(34,1’、34.2’)を含むことを特徴とする、請求項21または22に記載のデバイス。
【請求項24】
上記デバイスが、上記主回路(16)に直列で差し挟まれたいくつかのカットオフモジュール(18a、18b、18c)を含み、それぞれ、考慮されるカットオフモジュールに対する上記主回路(16)の第1のポイント(22a、20b、20c)と第2のポイント(22a、22b、22c)との間にあることを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高DC電圧(HVDC)下での電流のカットオフデバイスに関する。そのようなデバイスは、ネットワークの少なくとも1つの導電体に故障電流を発生させる電気故障が出現する場合において、HVDCネットワークまたはネットワークユニットに実装されることが意図される。
【0002】
HVDCネットワークは、特に、まったく異なるまたは非同期的な電力生産現場の相互接続に対する解決策として想定される。HVDCネットワークは、特に、線路損が少なく、長距離に対するネットワークの寄生容量の影響がないという理由で、AC電流技術ではなく洋上風力発電施設によって生産されるエネルギーの伝送および分配に対して想定される。そのようなネットワークは、一般的に、75kV超の、特に100kV程度以上の公称動作電圧レベルを有する。
【0003】
本明細書では、高DC電圧デバイスは、DC公称動作電圧が1,500V超で75,000V(75kV)以下である「高電圧A」デバイス、またはDC公称動作電圧が75,000V(75kV)超の場合の「高電圧B」(もしくは超高電圧)デバイスのどちらかと考えられる。したがって、高DC電圧電界は「高電圧A」電界および「高電圧B」電界を含む。
【0004】
そのようなネットワークにおける電流カットオフは、そのようなネットワークの実行可能性および発展を直接条件付ける重要な課題である。
【0005】
これらのネットワークの今日の進化は、メッシュネットワーク、つまりネットワークの所与の2つのポイント間において考えられるいくつかの経路を含むネットワークにつながるインフラストラクチャの相互接続に向かう傾向にある。これらのネットワークでは、電気回路内に少なくとも1つの電気回路カットオフ装置がある電気設備(特に電気所または変電所を含む)がある。
【0006】
電気回路には、一般に、少なくとも1つの電圧源と少なくとも1つの電圧ユーザとがあり、電圧ユーザは、電気エネルギーを使用してそれを別の形態のエネルギーに、例えば、機械的エネルギーおよび/または熱量エネルギーおよび/または電磁エネルギーなどに変換する任意の装置もしくは装置セットまたはそのような装置を有する任意のネットワークを含むことができる。
【0007】
電気回路には、一般に、少なくとも1つの電気カットオフ装置があり、該電気カットオフ装置は、回路内の、一般に電圧源と電圧ユーザとの間または電圧源とアースとの間の電流の流れを遮断することを可能にする。
【0008】
電気回路の導電体に差し挟むことが意図された各種タイプの電気カットオフデバイスが知られている。例えば、電気回路をカットオフする機械的装置であって、特に、差し挟まれる電気回路の故障状態下または充電中に開放を許可するように設計されスケーリングされた回路遮断器が知られている。また、一般に充電中に回路のカットオフを実施するのではなく、電流の流れが別のカットオフ装置によって既に遮断されている回路において、電圧源等に連結された回路の導体の上流部と、この回路導体の下流部との間で所定の高レベルの電気的絶縁を確保することによって、介入中に持ち物および人が安全であることを確保するように設計された断路器など、単純な設計の電気カットオフ装置も知られている。
【0009】
機械的タイプの主カットオフデバイスでは、電流カットオフは、機械的スイッチ素子を開放することによってのみ得られる。そのような機械的スイッチ素子は、スイッチ素子が閉止されたときに機械的および電気的に接触し、スイッチ素子が開放されると機械的に分離する2つの導体接触部を含む。この機械的分離は、一般に、固定導体部に対する可動導体部の移動によって実施される。これらの機械的電気カットオフ装置には、特に高DC電圧下で、高電流が流れた場合にいくつかの欠点がある。
【0010】
DC電流および/または高電圧の存在下で、装置が保護しているネットワークに高エネルギーが蓄積されることにより、機械的分離が2つの導体部の間に電気アークを確立させる場合がある。電気アークが機械的分離によって確立されたままである限り、アークの存在によって電流が装置を流れ続けるので、機械的電気カットオフ装置は電気カットオフを実施しない。電気カットオフは、電流の流れが実際に遮断されるという意味で、高DC電流という文脈において達成するのが特に困難な場合があり、これらの条件が電気アークを維持する傾向にある。さらに、この電気アークは、一方では、2つの導体接触部を侵食によって劣化させ、他方では、アークが確立された導体部を取り囲む媒体をイオン化によって劣化させる。これには、制限的でコストがかかるカットオフ装置のメンテナンス作業が必要である。
【0011】
高DC電圧(HVDC)下の電流のカットオフを達成するのは、交流(AC)電圧下の電流のカットオフよりも複雑である。実際には、AC電圧下の電流をカットオフする間、電流のゼロ交差を利用して、高DC電圧下の電流では達成できない電気カットオフを実施することができる。
【0012】
そのような電気カットオフ装置、特に機械的装置を使用しても、カットオフを容易にする特定の追加手段なしでは、電気カットオフに関して所望の性能を得ることができない。
【0013】
さらに、本発明の1つの目的は、故障電流の強度値が低い場合を含めて、カットオフされる故障電流の強度の振幅にかかわらず、電流の遮断を可能にすることである。実際には、逆電流の注入に基づいたいくつかの従来技術では、低強度の故障電流の遮断は、高すぎる値の逆電流の注入によって防止または妨害され得るが、これは、特に、開スイッチにおける電流のゼロ交差が、このゼロ交差の瞬間に遮断を可能にするには大きすぎる強度の微分を用いて行われるからである。
【背景技術】
【0014】
その目的のため、カットオフを容易にする特定の追加手段によって主電気カットオフ装置を支援する多くのカットオフデバイスが知られている。カットオフを容易にするこれらの特定の追加手段は、それらの主カットオフ支援モードにしたがって各種の別個のファミリーに分類することができる。
【0015】
これらのファミリーのうち第1のファミリーでは、カットオフを容易にする追加の特定手段は、主カットオフ装置が機械的に開放された後、主装置を通る逆電流を発生させ、この逆電流は、故障電流に対して反対方向でなければならず、またこの故障電流を相殺するために故障電流よりも大きい強度のものでなければならない。
【0016】
そのようなデバイスの一例が文献EP3091626A1に記載されている。このデバイスは次のものを含む。
・機械的タイプの主電気カットオフ装置を含む主分岐、
・第1のポイントと第2のポイントとの間で主分岐と電気的に並列であり、少なくとも1つの汎用サージ保護装置を含む吸収分岐、
・主分岐および吸収分岐と電気的に並列であり、切替コンデンサ、インダクタ、および切替スイッチを含む切替分岐。
【0017】
文献EP3091626A1のデバイスは、切替コンデンサを事前充電するための回路を含む。主カットオフ装置が機械的に開放された後、その電極間にアークが存在すれば、そのアークは、切替スイッチを閉止することによって発生する逆電流を主分岐に注入することによってカットオフされ、それにより、主分岐および切替分岐によって形成されたループ内で事前充電された切替コンデンサが放電される。
【0018】
文献US2014299579は、逆電流を発生させるという同じ原理に基づくが、事前充電されたコンデンサのいくつかのバンクを含む同様のデバイスについて記載している。カットオフされる電流強度に応じて、このデバイスは、適応可能な逆電流強度を発生させて、これにより、このゼロ交差の瞬間に遮断を可能にする十分に低い強度の微分を有するように、コンデンサスイッチの選択的な閉止によって、回路に適切な容量を挿入する。
【0019】
文献WO2015166600では、切替スイッチ17を閉止する前に、コンデンサ10は補助DC電圧源20によって再充電される。インダクタンスバイパススイッチ15および16が選択的に閉止されて、切替分岐によって形成されるLC回路のインダクタンスが変化することにより、結果として得られる振動電流の振幅がモニタリングされる。電流遮断が保証され得る強度値の広い範囲をカバーするには、そのようなデバイスは、多数のインダクタンスバイパススイッチを伴うであろう。
【0020】
この第1のファミリーでは、電気アークをカットオフすることを可能にするエネルギーは、事前充電されたコンデンサに前もって保存されることが理解される。
【0021】
文献WO2015185096、US3758790、およびUS4442469は、モジュールの主分岐に少なくとも2つのカットオフ装置を直列で含み、これらのスイッチを通る振動電流を作り出して電流を遮断することを意図したループを含むカットオフモジュールについて記載している。これら3つのデバイスには、切替コンデンサが、挿入される電気ネットワークの公称動作電圧よりも高い電圧、一般にはこの公称動作電圧の少なくとも1.6倍の電圧に耐えられなければならないという不利な点がある。これには高価で嵩高なコンデンサを伴う。加えて、切替スイッチが切替分岐に存在するので、その作動について記載されていない補助エネルギー源を要する。さらに、これらのカットオフモジュールは、主分岐のカットオフ装置において比較的長いアーク時間を依然として有している。さらに、アーク消滅は、接点の分離によって、公称動作電圧よりも高い電圧に耐えることができるような十分に長い距離に達することが可能になった後にしか実施することができず、このアーク時間は一般に数ミリ秒よりも長く、これは、その間にアークによって電極の著しい加熱および侵食が引き起こされる可能性が高い比較的長い時間を表す。
【0022】
第2のファミリーのデバイスでは、カットオフを容易にする追加の特定手段は、主分岐と並列に、バイパススイッチを含むバイパス分岐を備え、また、主分岐に主カットオフ装置と直列に、電子タイプである場合が多い追加スイッチを備える。この追加スイッチは、開放状態では、その端子において電圧を発生させるという役割を有する。このファミリーでは、バイパス分岐にコンデンサを設ける必要はない。従来技術の一部の文献、例えば文献EP2502248では、バイパススイッチは、主カットオフ装置と並列でありかつ吸収分岐と並列である電子スイッチのアレイとして設計される。
【0023】
文献EP3522194およびEP3522196は両方とも、この第2のファミリーのデバイスについてそれぞれ記載しており、該デバイスでは、バイパススイッチがプラズマ管スイッチとして設計されているか、あるいはプラズマ管スイッチが本質的に一方向スイッチなので、電気的に並列かつ互いに反対方向で設置された2つのプラズマ管スイッチとして設計されている。
【0024】
両方の文献において、カットオフデバイスは、各プラズマ管スイッチのための制御系を含む。そのような制御系は、プラズマ管スイッチの制御および動作を確保することを意図したものであるが、電気エネルギー源を要する。文献EP3522194では、この電気エネルギー源は、主回路に配置される第1の電気コイルと、第1の電気コイルに誘導結合され、この誘導結合によって第1の電気コイルで電気エネルギーを得てプラズマ管スイッチの制御系に提供する第2の電気コイルとを含む。文献EP3522196では、この電気エネルギー源は、デバイスの主分岐に位置する電子カットオフスイッチと直接電気的に並列で配置されるコンデンサを含む。このコンデンサは、制御系に対して、その動作に必要な電力を提供するために、電力変換器を介して連結される。必要な電力は高電力であり、遮断しなければならない故障電流の振幅に応じて決まる。これらのデバイスでは、制御系は、数kV、例えば1~10kVの電圧を提供しなければならず、カットオフされる故障電流と同程度の強度の電流を提供しなければならない。したがって、実際上、そのような制御系は、閉止の場合は数十kW程度のパルス電力を提供し、開放コマンドの場合は最大数十メガワット(MW)のパルス電力を提供すべきである。そのため、これらの解決策では、結果として、コイルおよびコンデンサが提供することが求められる電力は非常に高電力である。したがって、これらの構成要素の体積およびコストが大幅に増え、解決策が複雑になることは否めない。
【0025】
両方の事例において、プラズマ管スイッチの動作に必要な電気エネルギー源は、デバイスの主分岐に、またはさらには主回路に、少なくとも1つの電子カットオフスイッチおよび任意に電気コイルを差し挟む必要がある電気エネルギー源であることが分かる。しかしながら、主分岐および主カットオフ装置の両方に、設備の公称動作の際、高DC電圧下の電流であって、非常に高い強度、例えば1,000A超またはさらには5,000A超の強度を有し得る公称電流が流される。したがって、このように主分岐または主回路に差し挟まれる電気および電子構成要素には、ネットワークの動作中、この公称電流が恒久的に流される。このように、これらは、この公称電流に恒久的に耐えることができるようにスケーリングしなければならない。加えて、これらの構成要素の品質にかかわらず、その存在は必然的に公称動作における電気エネルギーの損失源となる。最後に、これらの電気構成要素には、非常に高い可能性がある強度で、超高電圧下で公称電流が流されるので、これらの構成要素は一般的に冷却しなければならず、それによって設備のコストが増加する。
【0026】
第3のファミリーのデバイスでは、カットオフを容易にする特定の追加手段は、主カットオフ装置が機械的に開放された後、主分岐と並列の振動分岐において振幅が増加する振動電流を発生させる。いくつかの振動後に振動電流が十分な値に達すると、次いで、主装置を通して、故障電流を相殺することができる逆電流を発生させる。文献US2017178844は、そのようなデバイスの一例について記載している。このデバイスは、主カットオフ装置と並列のLC回路において電気振動を作り出し増幅する特別にパイロットされたIGBT変換器を実装することを提案している。このIGBT変換器は、故障電流程度の高強度の電流を発生させなければならず、したがって嵩高で高価であることが理解される。加えて、LC回路の容量は、公称動作電圧よりも高く、一般に公称動作電圧の1.6倍よりも高い高電圧に耐性を有さなければならない。
【0027】
真空スイッチの外側に配置された外部コイルを備える真空回路遮断器について記載している文献US5379014Aも知られている。
【0028】
直流回路遮断器およびそれを切り替える方法、またはより具体的には、DCラインから直接充電することができる切替コンデンサを使用することによって逆電流を挿入するためのシステムに関する文献US4805062Aも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、高DC電圧下の電流カットオフデバイスを提案することであり、該電流カットオフデバイスは、主カットオフ装置を機械的に開放した後、切替コンデンサに事前に貯蔵されたエネルギーを使用することによって、主装置を通る逆電流を発生させることに基づいており、経済的で、空間要件が低減され、設備の公称動作中に電気損失を発生させない。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述の目的のため、本発明は、高DC電圧下の電流のカットオフデバイスを提案し、カットオフデバイスは、
上記カットオフデバイスの導通構成において、上記デバイスの高DC公称動作電圧下の電流が流れる主回路と、
少なくとも1つのカットオフモジュールであって、該カットオフモジュールに対する上記主回路の第1のポイントと第2のポイントとの間で上記主回路に差し挟まれたカットオフモジュールとを含み、上記カットオフモジュールが、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間にある主分岐であって、機械的タイプの少なくとも1つの主電気カットオフ装置が、上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で該主分岐に差し挟まれている、主分岐と、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記主分岐と電気的に並列である吸収分岐であって、少なくとも1つの汎用サージ保護装置が上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で該吸収分岐に差し挟まれている、吸収分岐と、
上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記主分岐および上記吸収分岐と電気的に並列である切替分岐であって、少なくとも第1の切替コンデンサが上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で該切替分岐に配置され、切替スイッチが該切替分岐における電流の流れを許可することができる、切替分岐と、
上記カットオフモジュールの上記主分岐および上記切替分岐によって形成されるループであって、切替インダクタンスを有する上記カットオフモジュールのループとを含む。
【0031】
本発明は、以下の点:
上記切替スイッチが、アノード、カソード、および制御グリッドを含む少なくとも第1のプラズマ管スイッチを含み、上記第1のプラズマ管スイッチが、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記切替分岐に差し挟まれ、それによって上記切替分岐が、上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された第1のセクションと、上記第1のプラズマ管スイッチの上記アノードに連結された第2のセクションとに分離され、上記第1の切替コンデンサが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された上記切替分岐の上記第1のセクションに配置され、
上記第1のプラズマ管スイッチの制御系が上記第1の切替コンデンサによって電気供給され、
上記第1の切替コンデンサが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された近位側電機子と、該近位側電機子に対して上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードの反対側にある遠位側電機子とを含み、
上記デバイスが、上記第1の切替コンデンサを事前充電するための回路を含み、
上記カットオフモジュールが第1の切替サージ保護装置を含み、上記第1の切替サージ保護装置が、上記カットオフモジュールの公称動作電圧よりも低い保護電圧を有し、上記第1の切替コンデンサと並列に電気接続されており、
上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御系が少なくとも第1のパイロット可能スイッチを含み、上記第1のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第1の切替コンデンサの上記電機子間の電気電圧から導出された電圧を上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドに供給することを特徴とする。
【0032】
本発明によるデバイスはさらに、以下の任意の特性のうち1つもしくは複数を単独でまたは組み合わせで有することができる。
【0033】
いくつかの事例では、上記カットオフデバイスを開放する間、上記第1のパイロット可能スイッチが、第1の閉止パルスにしたがってパイロットされることで、上記主電気カットオフ装置が一部機械的に開放された後の上記第1のプラズマ管スイッチの閉止を制御し、第2の閉止パルスにしたがってパイロットされることで、上記第1の切替コンデンサの充電極性を反転させた後の上記第1のプラズマ管スイッチの開放を制御し、それにより上記第1のプラズマ管スイッチの閉止と開放との間の上記第1のプラズマ管スイッチの導通時間を規定する。
【0034】
いくつかの事例では、上記第1のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドを上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子に電気的に連結する。
【0035】
いくつかの事例では、上記第1のパイロット可能スイッチが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドと上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子との間で両方向に電流を伝導および阻止することができる二方向スイッチである。そのような事例のいくつかの変形例では、上記第1のパイロット可能スイッチが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドと上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子との間で直列かつ互いに反対方向で差し挟まれた2つの一方向電子スイッチとして設計され、各一方向電子スイッチが、該一方向電子スイッチと非並列に設置されたフリーホイールダイオードを具備する。
【0036】
いくつかの事例では、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第1のプラズマ管スイッチの賦活電極に供給する供給分岐を含み、上記供給分岐が、上記第1のプラズマ管スイッチの上記賦活電極を上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子に連結する。そのような事例のいくつかの変形例では、上記供給分岐が、上記供給分岐における電流を伝導および阻止することができる供給スイッチと、上記供給分岐に差し挟まれた抵抗とを含む。そのような変形例のいくつかのバージョンでは、上記供給スイッチが、上記カットオフデバイスによる電流遮断命令を受け取った後、閉止するようパイロットされる。
【0037】
いくつかの事例では、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第1の切替コンデンサの上記遠位側電機子に連結されたソース側を有し、上記第1のパイロット可能スイッチを介して上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドに供給する制御側を有するDC-DC電力変換器を含む。そのような事例のいくつかの変形例では、上記電力変換器の上記制御側が正端子と負端子とを含み、上記第1のパイロット可能スイッチが、上記正端子と上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドとの間に差し挟まれた第1のパイロット可能起動スイッチと、上記負端子と上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドとの間に差し挟まれた第2のパイロット可能停止スイッチとを含む。そのような変形例のいくつかのバージョンでは、上記第1のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第1のプラズマ管スイッチの賦活電極に供給する供給分岐を含み、上記供給分岐が、上記第1のプラズマ管スイッチの上記賦活電極を上記DC-DC電力変換器の上記制御側の上記正端子に連結する。
【0038】
いくつかの事例では、上記第1の切替コンデンサの上記端子における電圧が、上記第1の切替サージ保護装置によって、上記カットオフモジュールの上記公称動作電圧の10%未満の保護電圧に制限される。
【0039】
いくつかの事例では、上記第1の切替コンデンサが100マイクロファラッド超の容量を有する。
【0040】
いくつかの事例では、上記カットオフモジュールの上記第1の切替コンデンサの事前充電電圧および切替インダクタンスが、上記主カットオフ装置を通る電流の変化であって、上記プラズマ管スイッチの閉止によって上記切替分岐が電流に対して導通状態になると現れる変化の変化率を、上記主カットオフ装置が電気アークを遮断することができる変化率に対応する値で制限するようにスケーリングされる。
【0041】
いくつかの事例では、上記カットオフデバイスを開放する間、上記第1のプラズマ管スイッチの導通時間が1ミリ秒未満、好ましくは300マイクロ秒未満、より好ましくは100マイクロ秒未満である。
【0042】
いくつかの事例では、
上記切替スイッチが、アノード、カソード、および制御グリッドを含む第2のプラズマ管スイッチを含み、上記第2のプラズマ管スイッチが、上記第1のプラズマ管スイッチと電気的に並列に、上記第1のプラズマ管スイッチとは反対方向に、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記切替分岐に差し挟まれ、それによって、上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソードが上記切替分岐の上記第2のセクションに連結され、上記第2のプラズマ管スイッチの上記アノードが上記切替分岐の上記第1のセクションに連結され、
第2の切替コンデンサが、上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された上記切替分岐の上記第2のセクションに配置され、
上記第2のプラズマ管スイッチの制御系が上記第2の切替コンデンサによって電気供給され、
上記第2の切替コンデンサが、上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された近位側電機子と、該近位側電機子に対して上記第2のプラズマ管スイッチの上記カソードの反対側にある遠位側電機子とを含み、
上記デバイスが上記第2の切替コンデンサの事前充電回路を含み、
上記カットオフモジュールが第2の切替サージ保護装置を含み、上記第2の切替サージ保護装置が、上記第1の切替サージ保護装置および上記第2の切替サージ保護装置の保護電圧の合計が上記カットオフモジュールの上記公称動作電圧よりも低くなるような保護電圧を有し、上記第2の切替コンデンサと並列で電気接続されており、
上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御系が、少なくとも第2のパイロット可能スイッチを含み、上記第2のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第2の切替コンデンサの上記電機子間の電気電圧から導出された電圧を上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドに供給する。
【0043】
そのような事例のいくつかの変形例では、上記第2のパイロット可能スイッチが、閉止状態では、上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドを上記第2の切替コンデンサの上記遠位側電機子に電気的に連結する。そのような事例の他の変形例では、上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第2の切替コンデンサの上記遠位側電機子に連結されたソース側を有し、上記第2のパイロット可能スイッチを介して上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御グリッドに供給する制御側を有する第2のDC-DC電力変換器を含む。
【0044】
いくつかの事例では、上記第2のプラズマ管スイッチの上記制御系が、上記第2のプラズマ管スイッチの賦活電極に供給する供給分岐を含む。そのような事例のいくつかの変形例では、上記供給分岐が、上記第2のプラズマ管スイッチの上記賦活電極を上記第2のDC-DC電力変換器の上記制御側の正端子に連結する。
【0045】
いくつかの事例では、上記少なくとも1つのカットオフモジュールが、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間の上記切替分岐、上記吸収分岐、および上記主分岐と電気的に並列である少なくとも1つの補助切替分岐を、アノード、カソード、および制御グリッドを含む少なくとも第1の補助プラズマ管スイッチと共に含み、上記第1の補助プラズマ管スイッチが、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントと上記第2のポイントとの間で上記補助切替分岐に差し挟まれ、それによって上記補助切替分岐が、上記第1の補助プラズマ管スイッチの上記カソードに連結された第1のセクションと、上記第1の補助プラズマ管スイッチの上記アノードに連結された第2のセクションとに分離され、少なくとも第1の補助切替コンデンサが、上記第1のプラズマ管スイッチの上記カソードに連結された上記補助切替分岐の上記第1のセクションに配置される。
【0046】
そのような事例の特定の変形例では、
上記第1の補助プラズマ管スイッチの上記アノードが、上記カットオフモジュールの上記第1のポイントおよび上記第2のポイントのうち、上記少なくとも1つのカットオフモジュールの上記第1のプラズマ管スイッチの上記アノードと同じポイントに連結され、
上記少なくとも1つのカットオフモジュールが、上記第1の補助切替コンデンサによって供給される上記第1の補助プラズマ管スイッチの制御系を含み、
上記第1の補助切替コンデンサが、上記第1の補助プラズマ管スイッチの上記カソードに連結された近位側電機子と、該近位側電機子に対して上記第1の補助プラズマ管スイッチの上記カソードの反対側にある遠位側電機子とを含み、
上記デバイスが、上記第1の補助切替コンデンサの事前充電回路を含み、
上記デバイスが第1の補助切替サージ保護装置を含み、上記第1の補助切替サージ保護装置が、上記カットオフモジュールの公称動作電圧よりも低い保護電圧を有し、上記第1の補助切替コンデンサと並列で電気接続されており、
上記第1の切替コンデンサの上記事前充電回路および上記第1の補助切替コンデンサの上記事前充電回路が、上記第1の切替コンデンサおよび上記第1の補助切替コンデンサに並列で供給する共通電圧源を含む。
【0047】
いくつかの事例では、上記少なくとも1つのカットオフモジュールが、上記補助切替分岐に並列かつ互いに反対方向で差し挟まれ、2つの補助プラズマ管スイッチを含む。
【0048】
いくつかの事例では、上記デバイスが、上記主回路に直列で差し挟まれたいくつかのカットオフモジュールを含み、それぞれ、考慮されるカットオフモジュールに対する上記主回路の第1のポイントと第2のポイントとの間にある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明による一方向カットオフデバイスの1つの例示的実施形態を示す概略図である。
【
図2-1】
図2A~
図2Eは、本発明によるカットオフデバイスのプラズマ管スイッチを制御するためのシステムに関するパイロットの第1のファミリーの様々な実施形態を示す図である。
【
図2-2】
図2F~
図2Hは、本発明によるカットオフデバイスのプラズマ管スイッチを制御するためのシステムに関するパイロットの第2のファミリーの様々な実施形態を示す図である。
【
図3】本発明による二方向カットオフデバイスの1つの例示的実施形態を示す概略図である。
【
図4】
図4A~
図4Hは、カットオフデバイスによる電気カットオフの第1のシナリオについて、
図3によるカットオフデバイスの各種の物理量の変化を示す図である。
【
図5】
図5A~
図5Hは、カットオフデバイスによる電気カットオフの第2のシナリオについて、
図3によるカットオフデバイスの各種の物理量の変化を示す図である。
【
図6】補助切替分岐を有する本発明による二方向カットオフデバイスの1つの例示的実施形態を示す概略図である。
【
図7】主回路に直列で配置されたいくつかのカットオフモジュールを有する本発明によるカットオフデバイスの1つの例示的実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
電気ネットワークでは、ネットワークの2つの所与のポイント間における電力の伝達は送電線によって行われ、送電線は一般に、いくつかの導電体を備え、それぞれが送電線の送電塔に対応する。すべての事例において、本明細書の意味の中で、導電体は、考慮されるネットワークの2つの別個のポイント間に延在する単一の導電体の形態、または考慮されるネットワークの同じ2つの別個のポイント間に電気的に並列で延在する導電体のセットであって、セットのすべての導電体がどの瞬間も同じ電位である、導電体のセットの形態であることができる。
【0051】
このように、HVDCネットワークでは、ネットワークの2つの所与のポイント間における電力の伝達は送電線によって行われ、送電線は多くの場合、2つの送電塔を含み、各塔が、ネットワークの2つの所与のポイント間に延在する導電体を備える。したがって、この場合、送電線は、充電中、例えば、正電位である導電体と、負電位または中性電位である導電体とを含む、極性が異なる2つの導電体を含む。さらにHVDCネットワークユニットでは、ネットワークの2つの所与のポイント間での電力の伝達は、充電中、正電位である導電体と、負電位である導電体と、中性電位である導電体とを含む3つの導電体を備える3つの送電塔を有する送電経路によって行うこともできる。いくつかの事例では、ネットワークの2つの所与のポイント間における電力の伝達は、送電線の電位である導電体と大地帰路とを備える単一の送電塔における送電線によって行うことができる。
【0052】
図1は、例えば、1,500V超、またはさらには75,000V(75kV)超のDC公称動作電圧下で動作するHVDCネットワークユニットの電力伝達電線に属してもよい導電体11で流れる高直流電圧下の電流を遮断するためのカットオフデバイス10の第1の例示的実施形態を示している。したがって、カットオフデバイス10は、それぞれデバイス10の接続端子であることができるデバイス10の一次ポイント12とデバイス10の二次ポイント14との間で導電体11に差し挟まれる。したがって、カットオフデバイス10は導電体11を、一次ポイント12に接続された第1のセグメント11.1と二次ポイント14に接続された第2のセグメント11.2との2つのセグメントに分割する。したがって、カットオフデバイス10は、デバイス10の一次ポイント12とデバイス10の二次ポイント14との間に主回路16を含み、そこを、カットオフデバイス10の導通構成では、カットオフデバイス10の高DC公称動作電圧(ネットワークの高公称動作電圧)下で動作電流が流れ、これは導体11で流れる動作電流であり、その強度はデバイスの公称強度以下である。実際には、ネットワークにおける瞬間的な必要性に応じて、所与の瞬間に導電体11を流れる動作強度は、公称強度以下であることによって変動することができる。他方で、電気故障の場合、カットオフデバイスを流れる電流の強度は、短時間この公称強度を上回ることがある。カットオフデバイス10は、回路遮断器の役割を満たすように構成され、つまり、公称強度以上の強度の電流を、結果として、公称強度での充電中、または公称強度以上の強度の故障電流の存在下のいずれかで、遮断する能力を有する。しかしながら、この同じカットオフデバイスは、公称強度以下の強度の電流を遮断することができるままである。
【0053】
カットオフデバイス10は、カットオフモジュール18のための主回路16の第1のポイント20と第2のポイント22との間で主回路16に差し挟まれる少なくとも1つのカットオフモジュール18を含む。1つのみのカットオフモジュール18を含む
図1の例では、主回路16の第1のポイント20および第2のポイント22は、カットオフデバイス10の主回路16を区切るカットオフデバイス10の一次ポイント12および二次ポイント14とそれぞれ同じ電位である主回路16の各ポイントである。
【0054】
下記で
図7を参照すると、カットオフデバイスは、カットオフデバイス10の一次ポイント12と二次ポイント14との間で、主回路16に電気的に直列で配置することができるいくつかのカットオフモジュール18a、18b、18c、…、を含み得ることが分かる。
【0055】
カットオフモジュール18は、第1のポイント20と第2のポイント22との間で互いに電気的に並列である少なくとも3つの分岐を備える。
【0056】
カットオフモジュール18は、第1のポイント20と第2のポイント22との間に主分岐24を備え、少なくとも1つの主カットオフ装置26が、第1のポイント20と第2のポイント22との間で主分岐24に差し挟まれており、主分岐24における電気カットオフを確保する機械的タイプのものである。主カットオフ装置26は、電流が主分岐24を流れるのを可能にする閉止状態と、主分岐24において強度がゼロ交差する瞬間に電流の流れを遮断することによって主分岐24の電気カットオフを確保する開放状態との切り替えを行うことができる。モジュール18の主分岐24は、カットオフデバイス10がその導通構成のときにネットワークの正常動作において動作電流が流れるものである。ネットワークの正常動作では、したがって、カットオフデバイス10が導通構成のとき、定常状態または準定常状態にしたがって、導電体11に流れる動作電流が主カットオフ装置26に流される。
【0057】
機械的タイプの主カットオフ装置26では、電気カットオフは、電気接点の1つまたは複数の対の変位、特に離隔によって得られる。電気接点の変位は、一般に、場合によっては運動伝達力学を通して、操作部材、または機械、空圧、油圧、もしくは電気アクチュエータによって実施される。この変位は、例えば電子制御装置100によって、電子的にモニタリングすることができる。上述したように、電流および/または高電圧の存在下で、デバイスが保護するネットワークに高エネルギーが蓄積されることにより、電気接点の機械的分離が装置の2つの電気接点の間に電気アークを確立させ得る。電気アークが機械的分離によって確立されたままである限り、アークの存在によって電流がスイッチを流れ続けるので、主カットオフ装置26は電気カットオフを実施しない。下記で分かるように、本発明は、電流の流れを有効に遮断するという意味で、電気カットオフを確保する手段を提供する。主カットオフ装置26は、単一の主カットオフ装置からなってもよく、または電気的に直列および/または並列で配置されたいくつかの主電気カットオフ装置からなってもよい。主カットオフ装置26は、電気接点が絶縁流体で満たされた密閉容器に封入された「金属閉鎖型」装置と呼ばれる装置、またはさらにより好ましくは、大気圧よりも低い圧力、特に100ミリバール未満、特に10マイクロバール未満の圧力である密閉容器に電気接点が封入された「真空」装置(「真空電球」と呼ばれる場合がある)であることができる。主カットオフ装置26は、有利には、強度がゼロ交差する瞬間に高い強度変化率(di/dt)、一般的にはマイクロ秒当たり100A以上の強度変化率を有する電流の電気アークを遮断することができる。
【0058】
カットオフモジュール18はまた、考慮されるカットオフモジュール18の第1のポイント20と第2のポイント22との間で主分岐24と電気的に並列に配置された吸収分岐28を含み、少なくとも1つの汎用サージ保護装置30が、考慮されるモジュールの第1のポイント20と第2のポイント22との間で吸収分岐28に差し挟まれている。
【0059】
そのような汎用サージ保護装置30は、該装置が並列に配置される任意の構成要素または構成要素セットの端子における電位差の振幅を制限することを可能にする。したがって、サージ保護装置、つまり「電圧サージアレスタ」は、その端子における電圧ピークを制限するデバイスである。サージ保護装置は、一般に、その端子における電気電圧に応じて可変抵抗を有する電気構成要素を備える。抵抗値の変化は、一般に、サージ保護装置の端子における電気電圧に対して線形的ではない。一般に、サージ保護装置の端子における遷移電圧未満では、サージ保護装置の抵抗は高く、電圧の増加に伴う抵抗の減少はないかまたは比較的小さく、サージ保護装置は、好ましくは1アンペア(A)未満、またはさらには100ミリアンペア(mA)未満の漏れ電流しか通過させない。対照的に、サージ保護装置の端子における遷移電圧を上回ると、サージ保護装置の抵抗は、クリッピング電圧値、あるいはサージ保護装置の抵抗が低くなるまたはさらに非常に低くなる保護電圧に達する電圧の増加に伴って急速に減少する。換言すれば、サージ保護装置は、選択されている電流間隔にわたってその端子における電圧リミッタとして作用し、サージ保護装置がスケーリングされている最高電流を流すと、保護電圧に対抗する。遷移電圧未満では、電流の通過を妨げる傾向がある。遷移電圧を超えると、電流がサージ保護装置を通過して、その端子における電圧をわずかに増加させることが可能になる。知られているように、遷移電圧は一般に精密な値ではなく、むしろ遷移電圧範囲に相当する。しかしながら、本明細書では、サージ保護装置の遷移電圧は、サージ保護装置が1アンペア(A)の電流を通過させる電圧であると規定される。保護電圧は、スケーリングされた最高電流が流されたときの、サージ保護装置の端子間の電圧である。サージ保護装置のうち、特に、バリスタと、「Transil(商標)」ダイオードなどのTVS(過渡電圧サプレッサ)ダイオードとを備えてもよいサージアレスタが特に知られている。特に、本発明の範囲内で、サージ保護装置、特に汎用サージ保護装置30は、金属酸化物バリスタ(またはMOV)を備えることができる。汎用サージ保護装置30は、電気的に直列および/または並列で配置されたいくつかの別個の構成要素のセットとして設計することができる。別個の構成要素はそれぞれ、例えば、サージアレスタ、特に金属酸化物バリスタなどのバリスタ、または「TVS」ダイオードである。好ましくは、電気的に直列および/または並列で配置されたいくつかの別個の構成要素のセットは、デバイスの残りの部分の観点から、セットに対する等価の遷移電圧およびセットに対する保護電圧を有する単一のサージ保護装置の挙動を有する。
【0060】
図で分かるように、吸収分岐はスイッチを含まない。したがって、カットオフデバイス10が動作してネットワークの公称動作電圧下で電気的開放構成のときに、カットオフモジュール18の端子に現れる可能性が高い電圧よりも遷移電圧が高くなるように汎用サージ保護装置30を選ぶ必要がある。例えば、汎用サージ保護装置30は、その保護電圧が、カットオフデバイス10がネットワークの公称動作電圧下で動作しているときにカットオフモジュール18が動作する電圧であるモジュール18の公称動作電圧の1.2~2倍、例えば1.6倍で構成されるように選ばれる。
図1、
図3、および
図6に示されるように、カットオフデバイス10が単一のカットオフモジュール18のみを含む場合、モジュール18の公称動作電圧は、カットオフデバイス10の公称動作電圧に等しく、またネットワークの公称動作電圧に等しい。
図7に示されるように、カットオフデバイス10がいくつかのカットオフモジュール18a、18b、18cを含む場合、カットオフデバイス10が動作してネットワークの公称動作電圧下で電気的開放構成のときに、各カットオフモジュール18a、18b、18cの端子に現れる可能性が高い電圧である各モジュール18a、18b、18cの公称電圧は、この電圧がその後、各種のカットオフモジュール18a、18b、18c間で分配されることから、カットオフデバイス10の公称動作電圧の一部でしかなく、したがって、ネットワークの公称動作電圧の一部でしかない。
【0061】
吸収分岐28に差し挟まれた汎用サージ保護装置30が存在することにより、またその遷移電圧値の選択により、カットオフデバイス10がその導通構成にあるときのネットワークの正常動作では、吸収分岐には電流は流れないと考えることができる。
【0062】
本発明によるカットオフモジュール18はさらに、考慮されるカットオフモジュール18の第1のポイント20と第2のポイント22との間で主分岐24および吸収分岐28と電気的に並列に配置された少なくとも1つの切替分岐32を含む。
【0063】
第1のポイント20と第2のポイント22との間で切替分岐32に電気的に直列で差し挟まれているのは、第1の切替コンデンサC1と、少なくとも第1のプラズマ管スイッチ34として設計された切替スイッチとである。
【0064】
プラズマ管スイッチは、文献US5828176A(平面交差電界プラズマスイッチ)、またはUS10256067およびUS2019/0295801(ガススイッチ)に記載されており、これらを参照してもよい。一般に、プラズマ管スイッチ、したがって第1のプラズマ管スイッチ34.1は、イオン化されてプラズマを発生させることができる流体、例えばヘリウム、窒素などを収容した密閉容器42.1内にアノード36.1とカソード38.1と制御グリッド40.1とを含む。制御グリッド40.1は、一般に、アノード36.1とカソード38.1との間に配置され、それにより、制御電圧が制御グリッド40.1に一時的に印加されると、アノード36.1とカソード38.1との間で大電流を伝導するプラズマパスがアノード36.1とカソード38.1との間で開始される。制御グリッド40.1の逆分極を引き起こすことによって、したがって逆制御電圧を送ることによって、アノード36.1からカソード38.1へと流れる電流が制御グリッド40.1によって一時的に捕らえられるようにすることで、プラズマパスを遮断することができ、制御グリッド40.1とアノード36.1との間で既にイオン化された流体を再び絶縁性にすることができる。このように、プラズマ管スイッチ34.1を、そのアノード36.1とそのカソード38.1との間を通るいずれの電流も遮断する開放状態に向けて、またはそのアノード36.1とそのカソード38.1との間を電流が通るのを許可する閉止状態に向けて制御することができ、この制御は、制御グリッド40.1に印加される電圧の値および極性によって実施される。例えば、プラズマ管スイッチ34.1は「交差電界スイッチ」タイプのものであることができ、プラズマ管スイッチの1つの電極の導電面に平行な磁界を発生させるように磁石が配置され、したがって、この磁界は、2つの電極36.1、38.1の間の電圧によって発生する電界に直交する。いくつかの事例では、プラズマ管スイッチ34.1はまた、密閉容器42.1内に賦活電極44.1を含み、その役割は、賦活電極44.1とカソード38.1との間で弱いプラズマを維持することである。このプラズマの電流強度は、数ミリアンペアから数アンペア程度の大きさであり、密閉容器42.1内のガスのタイプおよびガス圧に応じて決まる。すべての事例において、プラズマ管スイッチの動作の原理は、カソードに対して正の電圧を発生させる閉止電位を制御グリッド40.1に印加することによって、アノード36.1とカソード38.1との間で電流の導電を開始するプラズマを作り出す可能性に基づく。対照的に、カソードに対して負の電圧を発生させる開放電位を制御グリッド40.1に印加することによって、このプラズマの遮断が引き起こされ、それによって、アノード36.1とカソード38.1との間の電気絶縁を回復させ、したがって、プラズマ管スイッチ34.1のアノード36.1とカソード38.1との間を通るいずれの電流も遮断する。そうして、存在し得る賦活電極44.1に電圧供給が印加される場合、賦活電極44.1とカソード38.1との間に存在し得るプラズマ電流のみが残る。
【0065】
プラズマ管スイッチ34.1は、現在知られている構造を用いて、50,000ボルト(50kV)以上のDC電圧下で、例えば500A超、例えば1,000A程度の高電流を非常に短い時間で確実に遮断するように設計することができるという大きな利点を有する。より大きいスケーリングが可能であることは疑いがないが、現在は経済的条件の有利性が低い。このように、より大きい電流を遮断するようにカットオフデバイスをスケーリングしなければならない場合、少なくともプラズマ管スイッチをそれぞれ具備したいくつかの切替分岐を並列で含むカットオフモジュール18を実装し、それによって、並列で動作するいくつかの切替分岐の間で、したがって並列のいくつかのプラズマ管スイッチの間で強度を分配することが可能となる。加えて、一旦開放状態になれば、現在利用可能な技術を用いて、その端子において50kV超、またはさらには100kV超の電圧に耐えるようにプラズマ管スイッチを設計することができる。より高い電圧に耐えるようにカットオフデバイスをスケーリングしなければならない場合、
図7に示されるように、直列のいくつかのプラズマ管スイッチ間で電圧を分配するように、カットオフデバイス16の主回路16に電気的に直列で配置されたいくつかのカットオフモジュール18a、18b、18c、…であって、各カットオフモジュールが少なくともプラズマ管スイッチを具備する、カットオフモジュールを含むカットオフデバイス10を実装することが可能である。
【0066】
プラズマ管スイッチ34.1のアノード36.1とカソード38.1との間の端子における電圧降下は、電流が流されたときに顕著であり、例えば、50V~1,000Vで構成される。この電圧降下は、プラズマ管スイッチの特定の特性、特に、密閉容器内のガスの圧力およびタイプ、カソード38.1の材料などに応じて決まる。この電圧降下は、プラズマ管スイッチ34.1の導通時間中に著しいエネルギー散逸を発生させ、導通時間が長い場合、プラズマ管内の電極を損傷させることがある。このように、プラズマスイッチの導通時間は、その体積およびコストを抑えることが望ましい場合、できるだけ短いことが好ましいようであることが想像できる。
【0067】
さらに、プラズマ管の制御グリッド40.1に提供することが必要な電流強度は高く、そのアノードとそのカソードとの間で電流を伝導するのを可能にするため、閉止を制御するには数十アンペアの強度が必要であり、またこのプラズマ管スイッチの開放を制御するには、即ちそのアノードとそのカソードとの間で電流を遮断するのを可能にするためには、アノード電流と同等の強度、したがってカットされる故障電流と同程度の大きさの強度が必要である。
【0068】
上述したように、プラズマ管スイッチによって、そのアノードとそのカソードとの間で一方向でのみ電流が通るのを可能にし、流れる電流がそのアノード(電子がプラズマ管スイッチを出るところ)からそのカソード(電子がプラズマ管スイッチに入るところ)まで通るのを可能にすることに留意されたい。
【0069】
したがって、
図1に示される本発明の第1の実施形態は、導電体11.1が送電線における正の導体電位である場合、故障が導電体11の第1のセグメント11.1に位置する場合に限って、故障電流を遮断することを可能にするにすぎない。導電体11.1が送電線における負の電位の導体である場合、
図1に示される本発明の第1の実施形態は、故障が導電体11の第2のセグメント11.2に位置する場合に限って、故障電流を遮断するのを可能にするであろう。実際には、
図1に示される本発明の第1の実施形態は、第2のポイント22から第1のポイント20に進む方向で流れる場合に限って故障電流を遮断することを可能にする。
【0070】
第1のプラズマスイッチ34.1は、切替分岐32を、第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に連結された第1のセクション32.1と、第1のプラズマ管スイッチ34.1のアノード36に連結された第2のセクション32.2とに分離するように、切替分岐32に配置される。したがって、図示される例では、切替分岐32の第1のセクション32.1は、第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1をカットオフモジュール18の第1のポイント20と連結し、切替分岐32の第2のセクション32.2は、第1のプラズマ管スイッチ34.1のアノード36.1をカットオフモジュール18の第2のポイント22と連結する。
【0071】
第1のプラズマスイッチ34.1を制御するために、カットオフデバイス10のカットオフモジュール18は、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1を含む。この制御系46.1は、プラズマスイッチをその開放状態または閉止状態のどちらかで制御するために、特に、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に印加される電位をモニタリングする機能を有する。
【0072】
下記で理解されるように、第1のプラズマ管スイッチ34.1は、主カットオフ装置26の切替段階でのみ、特に、主カットオフ装置26をその閉止状態から開放状態へと切り替える段階でのみ、その閉止状態に向けて制御されて、電流が流れることを許可することが意図される。これらの切替段階とは別に、特に、主カットオフ装置26がその閉止状態で維持されて、導電体11を流れる動作電流が流される公称導通段階において、または主カットオフ装置26がその開放状態で維持されて、導電体11の電流の流れを遮断する隔離段階において、電流が切替分岐32に流れないように、第1のプラズマ管スイッチ34.1はその開放状態で維持されることが意図される。
【0073】
このように、制御系46.1は、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に印加される電位を制御できるようにするために、少なくとも1つの電位源と少なくとも1つのパイロット可能スイッチとを含まなければならない。
【0074】
第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1は、第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に連結された切替分岐32の第1のセクション32.1に配置された第1の切替コンデンサC1によって電気供給される。従来、第1の切替コンデンサC1は、互いに向かい合って配置され電気絶縁体によって分離された2つの導電性電機子C1p、C1dを含み、近位側電機子C1はプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に連結され、遠位側電機子C1dは、近位側電機子C1pに対してプラズマ管スイッチのカソード38.1の反対側にある。したがって、第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dは、カットオフモジュール18の第1のポイント20に連結され、図示される実施形態では、後述する任意のコイル82が差し挟まれる。当然ながら、第1の切替コンデンサC1は、互いに対して電気的に直列および/または並列で配置されたいくつかの別個のコンデンサのセットとして設計することができ、その場合、第1の切替コンデンサC1は、後述するように、このセットと電気的に同等のコンデンサである。したがって、第1の切替コンデンサC1は、なかでも特に、プラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に印加されることが意図される電位源の役割を果たす。第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1に対する電圧源をなすというこの第1の機能に加えて、切替分岐32において振動する電流を発生させて逆電流を主分岐24に注入することを含む第2の機能も実施することが分かり、これは、主カットオフ装置26の電極間にその開放の瞬間に現れる可能性が高い電気アークの消滅を促進するためである。
【0075】
下記で分かるように、制御系46.1は第1の切替コンデンサC1の事前充電回路48.1を含む。この事前充電回路48.1は、主カットオフ装置26のいずれかの切替前に、プラズマ管スイッチ34.1の制御に必要な電位を提供するのに十分な、特に、プラズマ管スイッチ34.1がその閉止状態に移るのを制御するのに十分な所定の電気電圧を、切替コンデンサC1の2つの電機子C1p、C1d間に導入することを可能にする。この例では、事前充電回路48.1は、この実施形態では切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dに、ここでは抵抗53.1を通して連結された正端子52.1と、この実施形態では切替コンデンサC1の近位側電機子C1pに、ここでは同様に別の抵抗55.1を通して連結された負端子54.1とを含むDC電圧源50.1を含む。事前充電回路48.1の抵抗53.1、55.1は、同じ抵抗値を有してもよく、または異なる値を有してもよい。実際には、2つの抵抗のうち1つのみで十分なことがある。抵抗53.1、55.1は、DC電圧源50.1によって提供される充電/放電電流を制限する役割を有する。したがって、故障電流が第2のポイント22から第1のポイント20に向かう方向で流れる場合にのみ、故障電流を遮断するのを可能にするように設計されたこの実施形態では、事前充電回路48.1は、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して正に充電されるように、切替コンデンサC1の事前充電を確保する。
【0076】
第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1は少なくとも第1のパイロット可能スイッチ58.1を含み、第1のパイロット可能スイッチは、閉止状態では、第1の切替コンデンサC1の電機子間の電気電圧から導出された電圧を第1のプラズマ管34.1の制御グリッド40.1に供給する。
【0077】
一般に、第1のパイロット可能スイッチ58.1は、第1の閉止パルスにしたがってパイロットされて、第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止を制御し、また、第2の閉止パルスにしたがってパイロットされて、第1の切替コンデンサC1の充電極性が反転された後の第1のプラズマ管スイッチ34.1の開放を制御する。
【0078】
一般に、制御系46.1は各種の形態を取ることができる。考えられるこれらの各種の形態のうち、2つのファミリーの実施形態を特に制御系46.1に関して特定することができ、第1のファミリーの実施形態は、パイロット可能スイッチ58.1を介して、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dと制御グリッド40との間の直接接続を確保するものであり、第2のファミリーの実施形態は、電力変換器およびパイロット可能スイッチを介して、切替コンデンサとプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1との間の間接接続を確保するものである。これら2つのファミリーは、切替コンデンサC1とプラズマ管スイッチ34との間にパイロット56.1を差し挟むという共通点を有し、このパイロット56.1は第1のパイロット可能スイッチ58.1を備える。
【0079】
第1のパイロットファミリー56.1は、例えば、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、および
図2E(それらの可能な変形例を含む)にそれぞれ示される形態のいずれかを取ることができる。
【0080】
図2Aでは、パイロット56.1が、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dをプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に連結する導体60に差し挟まれた単純なパイロット可能スイッチ58.1の形態を取ることができる一実施形態が示される。好ましくは、第1のパイロット可能スイッチ58.1は、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1と第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dとの間で両方向に電流を伝導および阻止することができる二方向スイッチである。第1のパイロット可能スイッチ58.1を一時的に閉止することで、第1のプラズマ管スイッチ34の閉止および開放をモニタリングすることが可能になる。初期状態では、遠位側電機子C1dは、第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に対して正の極性にあると考えられ、それにより、パイロット可能スイッチ58.1を一時的に閉止することで、制御グリッド40.1において正のパルス電圧を発生させて第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止を制御することが可能になり、そのアノード36.1からそのカソード38.1へと進むあらゆる電流に対して導通状態となる。したがって、そのような電流は、その場合、プラズマ管スイッチ34.1を通る可能性が高く、また、第1の切替コンデンサC1の電機子C1d、C1p間で電圧を反転させる可能性が高いので、その場合、遠位側電機子C1dがカソード38.1に対して負の極性を有する。このように、この状態から始まって、第1のパイロット可能スイッチ58.1を一時的に閉止することによって、負電圧を制御グリッド40.1に印加して、プラズマ管スイッチ34.1の開放を制御することが可能になり、それによっていずれの電流の通過も遮断する。
【0081】
この
図2Aは、第1のプラズマ管スイッチ34.1が賦活電極44.1をさらに含む場合に実装することができる変形例を示している。この場合、パイロット56.1は有利には、第1のプラズマ管スイッチ34.1の賦活電極44.1に供給する供給分岐62を含むことができる。図示される例では、供給分岐62は、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dを第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に連結する導体に差し挟まれた抵抗64を含む。一般的に、抵抗64は、賦活電極44.1の供給電流が1ミリアンペア~1アンペアで構成される強度を有するようにスケーリングされる。
【0082】
図2Bは、第1のパイロット可能スイッチ58.1が、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1と第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dとの間で電気的に直列かつ互いに反対方向で差し挟まれた2つの一方向電子スイッチ58a、58b、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として設計され、各IGBT 58a、58bがIGBTと非並列に設置されたフリーホイールダイオードを具備する、パイロット56.1の変形例を示している。動作中、2つのIGBT 58a、58bは通常開放されている。2つのIGBT 58a、58bのうち一方は、その閉止状態に向けて制御されて、第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止を制御し、2つのIGBT 58a、58bのうち他方は、その閉止状態に向けて制御されて、第1のプラズマ管スイッチ34.1の開放を制御する。2つの一方向電子スイッチの形態である第1のパイロット可能スイッチ58.1の設計によって、単純で経済的な方法で、第1のプラズマ管スイッチ34.1の切替瞬間の精密なパイロットを許可することが可能になる。
【0083】
この同じ
図2Bにおいて、この図に示されるパイロット可能スイッチ58.1の特定の実施形態とは独立して、当然ながらプラズマ管スイッチ34.1が賦活電極44.1を含む場合に、考えられる賦活電極44.1に供給する供給分岐62が、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dから賦活電極44.1にのみ分岐62に電流を流すダイオード66を含んでもよいことが示されている。このダイオード66の存在によって、プラズマ管スイッチ34.1内部のプラズマを維持することが可能になり、これは第1の切替コンデンサC1の端子における電圧を反転させた場合でも当てはまり、それによって、第1のプラズマ管スイッチ34.1がその閉止構成のままであるため、電流が流れることが可能になることを確保することができる。
【0084】
図2Cは、考えられる賦活電極44.1に供給する供給分岐62が、賦活電極44.1の供給の有無を制御する供給スイッチ68を含む、パイロット56.1の変形例を示している。この例では、供給スイッチ68は、供給分岐62においてダイオード66と直列で関連付けられており、ダイオード66が、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dから賦活電極44.1に向けてのみ分岐62に電流が流れるようにする。さらに、賦活電極44.1の供給の有無を制御する供給スイッチ68は、IGBTと非並列かつダイオード66と反対方向で設置されたフリーホイールダイオードを具備するIGBTの形態などの電子スイッチとして設計することができる。供給IGBT68は、その閉止状態では、フリーホイールダイオードを短絡させて、電流が分岐62に切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dから賦活電極44へと流れることを可能にする。そのため、賦活電極44.1の供給の有無を制御する供給スイッチ68をその閉止状態にして、プラズマ管スイッチ34.1を閉止するコマンドの直前に賦活電極44.1に供給することができる。例えば、供給スイッチ68は、プラズマ管スイッチ34.1を閉止するコマンドの前の100マイクロ秒(μs)~10ミリ秒(ms)で閉止状態にされる。これにより、プラズマ管スイッチ34.1のその閉止状態への切替瞬間の良好な制御が確保される。
【0085】
図2Dは、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dをプラズマ管スイッチの制御グリッド40.1に連結する導体60において第1のパイロット可能スイッチ58.1と直列で電流リミッタ70が挿入されており、電流リミッタ70が、コンデンサC1の急速すぎる放電を防止し、パイロット可能スイッチ58.1を通る強度を制限することもできる、パイロット56.1の変形例を示している。この例では、この電流リミッタは、切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dから第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1へと進む方向でのみ、したがって第1のプラズマ管スイッチ34.1を閉止するコマンドの間のみ、電流を制限する非対称のリミッタである。プラズマ管スイッチを閉止するコマンドに必要な電流は、一般に、開放コマンドに必要な電流よりもはるかに小さいため、これは有利である。このため、電流リミッタ70は、互いに並列に抵抗72およびダイオード74を含み、ダイオード74は、電流がモニタリンググリッド40.1から第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dへと流れるとき、抵抗72を短絡させる。この
図2Dでは、電流リミッタ70は、第1のプラズマ管スイッチ34.1の開放中は抵抗を提供しない。
図2Eに示される変形例では、電流リミッタ70は非対称のままであり、第2の抵抗76は電流リミッタ70にダイオード74と直列で配置され、第2の抵抗76およびダイオード74は第1の抵抗72と並列である。したがって、第1の抵抗72および第2の抵抗76によって、互いに独立して、第1の切替コンデンサC1と第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1との間で両方向に電流制限値を規定して、制御グリッド40.1に提供される電流を、パイロット可能スイッチ58.1を保護しながら、それぞれ閉止コマンドおよび開放コマンドに必要な電流にできるだけ近付けて調節することが可能になる。実際には、第2の抵抗76は一般に、第1の抵抗72よりも低い抵抗値を有するようにスケーリングされる。
【0086】
パイロット56.1の第2のファミリーは、例えば、
図2F、
図2G、および
図2H(それらの可能な変形例を含む)にそれぞれ示される形態のいずれかを取ることができる。
【0087】
これらの実施形態では、第1のプラズマ管スイッチ44.1の制御系46.1は、第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dに電気的に連結されたソース側を有し、第1のパイロット可能スイッチ58.1を介して第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に供給する制御側を有するDC-DC電力変換器78を含む。
【0088】
この電気変換器が存在することによって、一方では、主切替装置のアークの消滅を可能にする振動電流の発生における役割を満たすことができ、他方では、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に対する電力供給の役割を満たすことができるように、コンデンサのスケーリングの問題(特に、耐電圧性および容量に関して)を切り離すことが可能になる。
【0089】
図で分かるように、第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dは、DC-DC電力変換器78の入力端子78.1に連結され、近位側電機子C1pは、DC-DC電力変換器78の電気的中性点78.2に連結される。
【0090】
電力変換器78の制御側は、正端子78.3と負端子78.4とを含む。
図2F、
図2G、および
図2Hに示される例では、第1のパイロット可能スイッチ58.1は、電力変換器78の正端子78.3と第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1との間に差し挟まれた第1のパイロット可能起動スイッチ58aと、電力変換器78の負端子78.4と第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1との間に差し挟まれた第2のパイロット可能停止スイッチ58bとを含む。第1のパイロット可能起動スイッチ58aおよび第2のパイロット可能停止スイッチ58bは、常時開放されているスイッチであり、制御系46.1は、2つのパイロット可能スイッチ58a、58bのうち一度に1つのみがその閉止状態に向けて制御されるように構成される。第1のパイロット可能起動スイッチ58aがその閉止状態に向けて制御されると、制御電流が制御グリッド40.1の方向に流れることを許可し、それによって第1のプラズマ管スイッチ34.1を閉止させる。第2のパイロット可能停止スイッチ58bがその閉止状態に向けて制御されると、制御電流が制御グリッド40.1から流れることを許可し、それによって第1のプラズマ管スイッチ34.1を開放させる。
図2Gの実施形態に示されるように、電力変換器78の正端子78.3と制御グリッド40.1との間に差し挟まれた第1のパイロット可能起動スイッチ58aと電気的に直列の抵抗72、および/または電力変換器78の負端子78.4と第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1との間に差し挟まれた第2のパイロット可能停止スイッチ58bと電気的に直列の抵抗76を提供して、それぞれ第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止および/または開放の間電流を制限することも可能である。
【0091】
パイロット56.1のこの第2のファミリーでは、第1のプラズマ管スイッチ34.1が賦活電極44.1を含む場合は、パイロット56.1は、第1のプラズマ管スイッチ34の賦活電極44.1をDC-DC電力変換器78の制御側の正端子78.3に連結する供給分岐62を含むことができる。好ましくは、抵抗64が分岐62に挿入されて、この供給分岐62における電流を制限する。
図2Gおよび
図2Hに示されるように、供給スイッチ68を供給分岐62に挿入することができ、供給スイッチ68は、
図2Cの実施形態を参照して記載したものと同じ役割および同じ動作を有する。
【0092】
両方の場合において、本発明によるデバイスによって、カットオフモジュール18の公称動作電圧よりもはるかに低いものであり得る、したがって導電体11が挿入されるネットワークの公称動作電圧よりも大幅に低いものであり得る電圧の耐電圧性を有する第1の切替コンデンサC1を用いてこれらの機能を実施することが可能になる。実際には、本発明は、一般に電子スイッチよりも約10倍大きいプラズマ管スイッチの高い耐電圧性、およびプラズマ管スイッチの強力な電流カットオフ能力を活用する。したがって、カットオフモジュール18は、第1の切替コンデンサC1と電気的に並列で、第1の切替サージ保護装置80.1を含む。したがって、この第1の切替サージ保護装置80.1は、その2つの端子によって、第1の切替コンデンサC1の両側で切替分岐の第1のセクションの2つのポイントにそれぞれ接続される。
【0093】
第1の切替サージ保護装置80.1は、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧を制限する。そのため、一般的に、超高電圧ネットワーク向け、つまりネットワークにおけるDC公称動作電圧が75kV超である場合に意図されたカットオフデバイス10では、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧を、第1の切替サージ保護装置80.1によって、10kV以下の電圧に制限することができる。一般に、第1の切替サージ保護装置80.1が、カットオフモジュールの公称動作電圧の10%未満の保護電圧を有することが可能となる。しかしながら、第1の切替サージ保護装置80.1は必然的に、第1の切替コンデンサC1に印加することができる事前充電電圧を制限することに留意されたい。または、この事前充電電圧はプラズマ管スイッチ34.1を制御するのに使用される。また、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1に電圧上昇デバイスを設けること以外に、第1の切替サージ保護装置80.1の保護電圧が、一般に1kV超、例えば1kV~5kVで構成される、プラズマ管スイッチ34.1の制御に必要な電圧よりも高いことが確保される。例えば、切替サージ保護装置80.1は、その保護電圧が、保護しなければならない切替コンデンサC1の事前充電電圧の1.5~2.5倍、例えば2倍で構成されるように選ぶことができる。
【0094】
このおかげで、本発明によって、切替サージ保護装置80.1の保護電圧によって規定される電圧よりも高い電圧に耐える必要はない切替コンデンサC1を使用することが可能になる。したがって、第1の切替コンデンサC1のコストおよび空間要件を抑えることが可能である。
【0095】
下記で分かるように、切替分岐32における切替電流振動の発生は、第1のプラズマ管スイッチ34.1がその閉止状態にあるとき、カットオフモジュール18の主分岐24および切替分岐32によって形成されるループにおける電流の変調によってもたらされる。このループは、特に第1の切替コンデンサC1を含むものであるが、過渡段階で電流リプルを発生させるLC回路をループが形成するような特定のインダクタンスを必然的に有し、電流リプルは、後述する方法で、主カットオフ装置26でその開放状態において形成される可能性が高い電気アークを遮断するのに利用されることになる。
【0096】
切替インダクタンスは、ループを作る構成要素の自己インダクタンス、特に、主分岐24の自己インダクタンスおよび/または切替分岐32の自己インダクタンスによってもたらすことができる。しかしながら、構成要素の自己インダクタンスが不十分な場合、主分岐24および切替分岐32によって形成されるループはコイル82を含むことができる。このコイルは、好ましくは、切替分岐32に配置される。そのような場合、コイル82は、切替分岐32の第2のセクション32.2に配置することができるであろう。
図1の例では、コイル82は、切替分岐の第1のセクション32.1に配置されるが、第1の切替コンデンサC1と第1のプラズマ管スイッチ34.1との間ではなく、それとは対照的に、第1の切替コンデンサC1と主回路16の第1のポイント20との間に配置される。切替インダクタンスは、主カットオフ装置26を通る電流の変化であって、プラズマ管スイッチ34.1の閉止によって切替分岐32が電流に対して導通状態になると現れる変化の変化率を制限するようにスケーリングされる。切替分岐32の電流の変化率は、この分岐の構成要素によって、主カットオフ装置26が電気アークを遮断する能力に対応する値に制限しなければならない。そのため、デバイスは、主回路16を流れる電流の大きさが、主回路がスケーリングされる公称動作強度と比較して低いまたは非常に低い場合であっても、主電気カットオフ装置26を通る電流がゼロ値を通過すると、この主カットオフ装置26におけるアークの遮断を確保するようにスケーリングされる。例えば、主カットオフ装置26が、高い強度変化率(di/dt)を有し、一般的に100A/マイクロ秒以上の強度勾配を有する電流の電気アークを遮断する能力を有する場合、カットオフモジュールの切替コンデンサの事前充電電圧および切替インダクタンスは、主カットオフ装置26を通る電流の変化であって、100A/マイクロ秒未満の値で、プラズマ管スイッチ34.1の閉止によって、切替分岐32が電流に対して導通状態になると現れる変化の変化率を制限するようにスケーリングされる。
【0097】
プラズマ管スイッチを実装する本発明によって可能になる比較的低い電圧で切替コンデンサを使用することが好ましいことが留意されよう。実際には、比較的低い電圧下で、容量値が比較的高くなる切替コンデンサが使用される。そのため、切替ループにおける切替コンデンサの放電の自然周波数は(したがってループは本質的にLCタイプである)、比較的低くなる。例えば、カットオフモジュール18は、切替ループにおける切替コンデンサの放電の自然周波数が3kHz未満、好ましくは1kHz未満、より好ましくは300Hz未満になるように、スケーリングすることができるであろう。
【0098】
このため、主分岐および切替分岐によって構築されるループに対して、カットオフデバイスが切替インダクタンスを含み、その値が、一方では、切替コンデンサC1の事前充電電圧とプラズマ管スイッチの端子における電圧降下との間の差と、他方では、主カットオフ装置26が低強度の電流によって発生した電気アークを遮断することができる強度変化率の最大値(di/dt_max)による比以上であることが確保されることになる。
【0099】
図1に示されるようなカットオフモジュール18の動作の一般原理は、
図3に示されるカットオフモジュール18に関連して記載される動作の原理から理解されよう。上述したように、
図1に示されるようなカットオフモジュール18によって、故障電流が第2のポイント22から第1のポイント20へとカットオフモジュール18を通って流れる場合、例えば、導電体11の第1のセグメント11.1における接地事故の場合に、導電体11における電流遮断が可能になる。より具体的には、この構成では、切替分岐32およびエネルギー吸収分岐28によって形成されるカットオフ支援システムが、主カットオフ装置26においてその開放中に現れる可能性が高い電気アークを消滅させる助けとするのに利用可能になる。したがって、
図1に示されるようなカットオフモジュールは、故障電流の流れ方向に対する一方向カットオフモジュールであり、したがって、例えば、故障の場所に対する一方向カットオフモジュールである。
【0100】
このため、本発明はまた、カットオフモジュール18を通る故障電流の流れ方向にかかわらず、したがって、例えば、接地事故が導電体11の第1のセグメント11.1に位置する場合、および接地事故が導電体11の第2のセグメント11.2に位置する場合の両方において、導電体11の電流遮断を確保するように構成された
図3に示されるような少なくとも1つの二方向カットオフモジュール18を含むカットオフデバイスを提案する。
【0101】
このため、
図3の二方向カットオフモジュール18は、
図1に関連して上述したすべての要素を同じ配置で含み、また変形例に関して同じ可能性を有する。これらの要素に加えて、カットオフモジュール18は、その切替分岐32において、このカットオフモジュール18の主回路の第1のポイント20と第2のポイント22との間で切替分岐32に差し挟まれ、第1のプラズマ管スイッチ34.1と電気的に並列であるが、切替分岐32において第1のプラズマ管スイッチ34.1とは反対方向である第2のプラズマ管スイッチ34.2を備える。
【0102】
第2のプラズマ管スイッチ34.2も、アノード36.2とカソード38.2と制御グリッド40.2とを含む。第1のプラズマ管スイッチが反対方向に配置されることにより、第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2は、切替分岐32の第2のセクション32.2に連結され、第2のプラズマ管スイッチ34.2のアノード36.2は、切替分岐32の第1のセクション32.1に連結される。
【0103】
第2のプラズマ管スイッチ34.2は、第1の切替コンデンサC1とカットオフモジュール18の第2のポイント22との間に差し挟まれるように切替分岐32に配置されることに留意されたい。このように、第1の切替コンデンサC1の近位側電機子C1pは、第2のプラズマ管スイッチ34.2のアノード36.2に連結される。
【0104】
第1のプラズマ管スイッチ34.1に対して対称に、カットオフモジュール18は、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2を含み、これは、切替分岐32において第2のプラズマ管スイッチ34.2と直列で、第1のポイント20と第2のポイント22との間に、切替分岐32の第2のセクション32.2に配置された第2の切替コンデンサC2を含み、したがってそのセクションは第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2に連結されたものである。第2の切替コンデンサC2はまた、第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード34.2に連結された近位側電機子C2pと、近位側電機子C2pに対して第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2の反対側にある遠位側電機子C2dとを含む。したがって、第2の切替コンデンサC2の遠位側電機子C2dは、カットオフモジュール18の第2のポイント22に連結される。
【0105】
第2の切替コンデンサC2は、第1のプラズマ管スイッチ34.1とカットオフモジュール18の第2のポイント22との間に差し挟まれるように切替分岐32に配置されることに留意されたい。このように、第2の切替コンデンサC2の近位側電機子C2pは、第1のプラズマ管スイッチ34.1のアノード36.1に連結される。
【0106】
この例では、カットオフモジュール18は、2つのプラズマ管スイッチが、逆向きに設置されることを除いて、電気特性の観点からは同一である二方向モジュールである。同様に、この例では、第2の切替コンデンサC2は第1の切替コンデンサC1と同じ電気特性(耐電圧性、容量など)を有する。この同一のスケーリングによって、カットオフデバイス10を通って流れる方向がどちらであっても、同じ振幅および同じ力学の故障電流を管理することが可能になる。しかしながら、カットオフデバイス10の一方の側および他方の側において異なる性質の電気的故障のリスクを予想することが可能であるいくつかの事例では、2つのプラズマ管スイッチ、および/または第1の切替コンデンサC1に対する第2の切替コンデンサC2に関して、異なるスケーリングを想定することができるであろう。
【0107】
カットオフデバイス10は、第2の切替コンデンサC2の事前充電回路48.2を含む。第2の切替コンデンサC2の事前充電回路48.2は、
図3に示されるように、第1の切替コンデンサC1の事前充電回路48.1とは別個であって独立していることができる。第2の切替コンデンサC2の事前充電回路48.2は、第2の切替コンデンサC1の事前充電回路48.1の同一のコピーであることができる。
【0108】
第1のプラズマ管スイッチ34.1に関して上記に示したものとは対称的に、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2は少なくとも第2のパイロット可能スイッチを含み、第2のパイロット可能スイッチは、閉止状態で、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2に、第2の切替コンデンサC2の電機子C2p、C2f間の電気電圧から導出された電圧を供給する。第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2は、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御系46.1に関して上述したものと同じ形態を取ってもよい。
【0109】
そのため、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2は、第2のパイロット可能スイッチがその閉止状態において、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2を第2の切替コンデンサC2の遠位側電機子C2dに連結するように、
図2A~
図2Eを参照して上述したのと同じように設計することができる。同様に、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2はまた、第2のプラズマ管スイッチ34.2が賦活電極44.2を備える場合にその賦活電極に供給する供給分岐を含んでもよい。あるいは、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2は、
図2F、
図2G、および
図2Hに関して記載してきたものと同様に、第2の切替コンデンサC2の遠位側電機子C2dに連結されたソース側を有し、第2のパイロット可能スイッチを通して第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2に供給する制御側を有するDC-DC電力変換器を含んでもよい。この事例では、第2のプラズマ管スイッチ34.2が賦活電極44.2を含む場合、制御系46.2は、第2のプラズマ管スイッチの賦活電極44.2を第2のDC-DC電力変換器の制御側の正端子に連結する供給分岐を含んでもよい。
【0110】
第1の切替コンデンサC1のみに関しては、カットオフデバイス10は、導電体11が挿入されるネットワークの公称動作電圧よりもはるかに低いものであり得る電圧の耐電圧性を有する第2の切替コンデンサC2を使用できるように設計される。したがって、カットオフモジュール18は、第2の切替コンデンサC2と電気的に並列で、第2の切替サージ保護装置80.2を含む。したがって、この第2の切替サージ保護装置80.2は、その2つの端子によって、第2の切替コンデンサC2の両側で切替分岐32の第2のセクション32.2の2つのポイントにそれぞれ接続される。第2のカットオフサージ保護装置80.2によって、故障電流が切替分岐を流れている間、第2の切替コンデンサC2の端子における電圧を制限することが可能になる。一般的に、超高電圧ネットワーク向け、つまりネットワークにおけるDC公称動作電圧が75kV超である場合に意図されたカットオフデバイス10では、そのため、第2の切替コンデンサC2の端子における電圧を、第2の切替サージ保護装置80.2によって、10kV以下の電圧に制限することができる。一般的に、第2の切替サージ保護装置80.2は、第1の切替サージ保護装置80.1および第2の切替サージ保護装置80.2の保護電圧の合計が、カットオフモジュール18の公称動作電圧よりも低くなるような保護電圧としてスケーリングすることができるであろう。
【0111】
したがって、
図3に示される二方向カットオフモジュールによって、切替分岐32において電流が2つの流れ方向にしたがって通ることを許可することが可能になる。切替分岐32において電流が一流れ方向にしたがって、つまり第2のポイント22から第1のポイントへと通ることを許可するために、第1のプラズマ管スイッチ34.1をその閉止状態で制御することが可能である。切替分岐32において電流が他方の流れ方向にしたがって、つまり第1のポイント20から第2のポイント22へと通ることを許可するために、第2のプラズマ管スイッチ34.2をその閉止状態で制御することが可能である。
【0112】
次に、
図3のカットオフデバイス10によって実施される可能性が高い2つの電流カットオフシナリオについて記載する。
【0113】
第1の電流カットオフシナリオは、
図3のカットオフデバイス10における各種の電気量の変化のタイミング図を表す
図4A~
図4Hに関連して記載される。第2の電流カットオフシナリオは、
図5A~
図5Hのタイミング図に関連して記載される。これらのタイミング図を確立するために、カットオフデバイス10を通して第1のポイント20から第2のポイント22へ(したがって、
図3の左から右へ)と流れる電流が正方向電流であるという慣例を任意に考慮した。
【0114】
記載する2つのシナリオでは、使用された慣例では負方向、つまり第2のポイント22から第1のポイント20に進む方向で流れる初期電流(動作電流と呼ばれる)の場合を考慮する。しかしながら、初期電流の、つまり動作電流の方向は重要ではなく、したがって、両方のシナリオにおいて、反対方向であることができるであろう。
【0115】
両方のシナリオでは、瞬間t1まで、カットオフデバイス10は、ネットワークの正常動作に対応するその導通構成にあり、したがって、動作電流が導電体11を流れる。この例では、動作電流の強度の絶対値は1,500A程度である(ここでは、選ばれた任意の慣例では負方向)。この導通構成では、主カットオフ装置26はその閉止状態にあり、そのため、動作電流全体がカットオフデバイス10の主分岐24に流れ(
図4A)、主カットオフ装置26の端子における電圧V26はゼロである(
図4F)と考えることができる。この導通構成では、2つのプラズマ管スイッチ34.1および34.2がそれらの開放状態にあるので、それぞれを通る電流I34.1およびI34.2はゼロであり(
図4Bおよび
図4C)、したがって切替分岐32における電流はゼロである。第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に印加される制御電圧V40.1(
図4G)、および第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2に印加される制御電圧V40.2(
図4H)は両方とも故障電圧に等しく、この例ではゼロ電圧であることに留意されたい。しかしながら、一部のプラズマ管スイッチは、カソードに対して負である故障電圧を制御グリッドにデフォルトで印加することによって動作することが留意されるであろう。制御グリッドにおける負の故障電圧で動作するそのようなプラズマ管スイッチは、有利には、例えば
図2F~
図2Hの例のように、DC-DC電力変換器を含むパイロット56.1を用いて実装されるであろう。
【0116】
両方のシナリオに関して、第1の切替コンデンサC1が、第1の切替コンデンサC1の端子において、ここでは遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して正に充電されるという意味で正電圧である電圧VC1(
図4E)で事前充電される事例について記載する。換言すれば、電圧VC1=VC1d-VC1pは正であり、VC1dは遠位側電機子C1dの電位、VC1pは近位側電機子C1pの電位である。第1の切替コンデンサC1の端子における事前充電電圧VC1iの絶対値は、有利には、10kV未満、ここでは例えば2kVに等しいものとすることができる。しかしながら、逆極性で、つまり、遠位側電機子C1dを近位側電機子C1pに対して負に充電して第1の切替コンデンサC1を事前充電することが可能であることが理解されるであろう。
【0117】
図3に示されるような二方向カットオフデバイスの場合、第2の切替コンデンサC2は常に、第1の切替コンデンサC1と同じ電圧極性で事前充電されることになる。これが意味するところは、第1の切替コンデンサC1に関して、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して正に充電された場合、第2の切替コンデンサC2に関しては、遠位側電機子C2dが近位側電機子C2pに対して負に充電されるので、第2の切替コンデンサC2の端子における電圧VC2は、VC2=VC2p-VC2d(VC2dは遠位側電機子C2dの電位であり、VC2pは近位側電機子C2pの電位)によって規定されるが、正電圧となる。
【0118】
瞬間t1において、電気故障、例えば「接地事故」タイプの故障が、導電体11の第1のセグメント11.1で起こると仮定される。本明細書に記載するこの第1のシナリオでは、電気故障の場所およびタイプによって、カットオフデバイス10を通って負方向に、つまり第2のポイント22から第1のポイント20へと流れる故障電流が発生する。デバイスを通る強度の絶対値は、この電気故障の出現によって増加し、したがって主分岐24における電流の強度I24の絶対値(
図4A)が増加し、この絶対値が、ネットワークの電気特性、導電体11の電気特性、および電気故障の特性そのもの、特に、導電体11の第1のセグメント11.1におけるその場所および耐故障性に応じて決まる増加曲線に従うことがすぐに観察される。
【0119】
瞬間t2において、主カットオフ装置26を開放する命令が送信される。瞬間t2は、故障の出現の瞬間t1から、好ましくは100μs~5ms、例えば約1msで構成される故障検出遅延だけ離れている。好ましくは、第1のプラズマ管スイッチ34.1が賦活電極44.1も含む場合、この瞬間t2から賦活電極に供給するように選ばれる。これにより、賦活電極44.1とカソード34.1との間にプラズマを確立することが可能になるので、第1のプラズマ管スイッチ34.1が電流の導電を可能にできる状態になり、これは第1のプラズマ管スイッチ34.1を電気的に閉止する命令を受け取る前でさえ当てはまる。開放命令の受け取りに続いて、主開放装置は開放の動きを開始する。知られている方法では、この開放は、主カットオフ装置26の2つの電極を離隔することによって行われ、この開放は、2つの電極を徐々に離隔する形態で徐々に行われる。電極を主カットオフ装置26から最初に分離する瞬間はt2’と呼ばれる。一般的に、この瞬間t2’は、開放命令を送信する瞬間t2から、0.3~30ms程度の時間だけ離れている。主カットオフ装置26の端子における電圧および強度の観点では、主カットオフ装置26の電極間にそれらの分離の瞬間t2’において電気アークが形成され、この電気アークは大量のエネルギーを発生させ、温度を急速に上昇させ、主カットオフ装置チャンバ26の2つの電極間に構成された誘電媒体のイオン化を引き起こすので、電極の機械的分離にかかわらず、電気カットオフは実施されない。結果として、主カットオフ装置26の端子における電圧V26はゼロのままであり(アーク電圧を無視することによる)、主分岐の電流の強度I24は、同じ特性曲線にしたがって絶対値が増加し続ける(
図4Aおよび
図4Fを参照)。
【0120】
瞬間t3において、電流のカットオフを支援する手順が、その時に少なくとも部分的に開放状態である主カットオフ装置26で始まる。好ましくは、瞬間t3は、主カットオフ装置26の部分的開放状態、したがって主カットオフ装置26の電極間の最小離隔距離に対応するが、この最小離隔距離について、電気アークが電極間において消滅されれば、主カットオフ装置26が、切替分岐32に存在する切替サージ保護装置80.1、80.2によって生じる保護電圧に耐えることができることが事前に予め定められることとなる。したがって、瞬間t2’と瞬間t3との間の時間間隔は、部分的機械的開放時間間隔と呼ぶことができるが、特に、主カットオフ装置26の電極の離隔率、および切替サージ保護装置80.1、80.2の保護電圧のレベルに応じて決まる。部分的機械的開放時間間隔の間、電気カットオフは実施されない。したがって、部分的機械的開放時間間隔は、切替サージ保護装置80.1、80.2の保護電圧に応じて決まるが、本発明によって、保護電圧がカットオフモジュールの公称動作電圧と比較して非常に低い切替サージ保護装置80.1、80.2を実装することが可能になることが分かった。このように、10kV未満である切替サージ保護装置80.1、80.2の保護電圧に関して、50マイクロ秒未満、またはさらには20マイクロ秒未満であってもよい部分的機械的開放時間間隔の持続時間に到達することが可能である。これによって、アークが主カットオフ装置26に残る可能性が高い合計時間を低減することが可能になるので、非常に有利である。実際には、主カットオフ装置26における電流のカットオフを支援する手順をすぐに開始できるほど、後述するような主カットオフ装置26の電極間における電気アークの消滅の瞬間「tc」にすぐに到達することが可能になる。そのため、開放のたびに、主カットオフ装置26の電極間に電気アークエネルギーがほとんど発生しなくなり、したがって電極の侵食がほとんど生じなくなる。
【0121】
この第1のシナリオでは、カットオフ支援手順が、第1のプラズマ管スイッチ34.1を電気的に閉止することによってトリガされる。実際には、原理は、故障電流が切替分岐32に流れることを可能にすることができるプラズマ管スイッチの閉止を制御することである。
図4Gでは、制御系46.1が瞬間t3に第1のプラズマ管スイッチ34.1のモニタリンググリッド40.1において電圧パルスの形態の電気的閉止パルスを送ることが分かる。このシナリオでは、第1の切替コンデンサC1は、その遠位側電機子C1dがその近位側電機子C1pに対して正に充電されるように事前に充電されており、したがって、第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に対して正に充電されていることが思い出されるであろう。したがって、電気的閉止パルスは、遠位側電機子C1dと第1のプラズマ管スイッチ34.1のモニタリンググリッド40.1との直接導通によって(
図2A~
図2Eのパイロットの場合)、またはそれをDC-DC電力変換器の正端子に連結するスイッチ58aを閉止することによって(
図2F~
図2Gのパイロットの場合)、構築することができる。第2のシナリオに関する以下の記載を読むことによって、起動させることが望まれる切替コンデンサが事前充電の瞬間に反対方向に分極されていた場合に何を行うべきかが理解されるであろう。そして、電気的閉止パルスの印加により、主分岐における電流I24が相殺されて(
図4A)、電流に対して導通状態にされた第1のプラズマ管スイッチ34.1(
図4B)を通って、完全に切替分岐32へと切り替わることに留意されたい。主分岐から切替分岐32への電流の切替時間は、主分岐24および切替分岐32によって形成されるループにおける電流の振動期間の最大で4分の1に等しく、この振動はLCまたはRLC回路におけるコンデンサの放電に同化され得ることが分かる。
【0122】
実際には、第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止によって、主分岐24および切替分岐32によって形成されるループの電気的閉止が可能になって、振動LC回路が形成される。閉止の瞬間に、2つの切替コンデンサC1およびC2は事前充電されることが想起される。それらは、切替分岐において直列で配置され、以下の等価容量Ceqを有する。
【0123】
【0124】
この第1のシナリオでは、主回路における故障電流の方向、および2つの切替コンデンサの分極の方向は、主分岐24および切替分岐32によって形成されるLCループで発生する電流振動が、LCループによって発生する振動の最初の4分の1期間に主分岐24における電流のゼロ交差を引き起こすような方向である。したがって、図示される例では、主分岐24における電流の最初のゼロ交差の瞬間「tc」から、主カットオフ装置26の電極間の電気アークが消滅されると考えられる。したがって、瞬間「tc」において、主カットオフ装置26はその電気的開放状態に達する。
【0125】
瞬間「t3」と「tc」との間の時間間隔の持続時間は、一般的に、数十マイクロ秒から数百マイクロ秒、例えば50~500マイクロ秒程度となる。
【0126】
したがって、電気カットオフ装置26を通る電気アークの持続時間は、主カットオフ装置26から電極が最初に分離する瞬間t2’から瞬間「tc」までの最大値まで続く持続時間であり、したがって特に短い。これにより、主電気カットオフ装置26の電極の侵食を低減することが可能になる。また、これにより、アークによって発生する熱を低減することが可能になる。したがって、これは、主電気カットオフ装置26の信頼性にとって好ましく、そのコストを低減することが可能になる。
【0127】
プラズマ管スイッチ34.1を備える切替分岐によって可能になる主分岐24における電流のゼロ交差中の強度変化率(di/dt)は、高い強度変化率(di/dt)を有し、一般的には100A/マイクロ秒以上の強度勾配を有する電流の電気アークを遮断する能力を有する主カットオフ装置26によって最も良く活用されることになる。そのため、「真空スイッチ」タイプの主カットオフ装置26が特に好適となる。
【0128】
このカットオフシナリオでは、閉止状態に向けて制御される第1のプラズマ管スイッチ34.1であることが留意されるが、これは、2つのプラズマ管スイッチのうち、電気故障によってカットオフデバイス10を通して発生する故障電流の方向に対応する方向に沿った電流の流れを可能にするスイッチであることによる。
【0129】
知られている方法で、第1のプラズマスイッチ34.1は、その制御グリッド40.1における電気的閉止パルス(
図4G)が消失したものも含め、電流の通過を可能にするその閉止状態のままであることが観察される(
図4B)。
【0130】
第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の端子に現れる電圧の合計は、電気アークのカットオフの瞬間「tc」の後に主カットオフ装置26の端子に印加される。主カットオフ装置26の端子における電圧V26の変化率(dv/dt)は、この時点から、主回路16における電流の強度と切替分岐の総容量との比によって制限され、ここでは、Ceq=C1×C2/(C1+C2)に同化され得る。さらに、電圧ピークは、2つの切替サージ保護装置80.1、80.2の保護電圧の合計によって制限される。これら2つの電気的制限は、電圧V26の変化率および電圧ピークにそれぞれ関連するものであるが、カットオフ装置26が電流の不在を維持するとともに、主カットオフ装置26の電極間の電気アークの再点弧を防止するように構成要素のスケーリングを規定し、それにより、主カットオフ装置26の電極間の媒体の脱イオン化を可能にし、したがって、2つの電極間における相対的な遠隔の動きの継続を可能にする。
【0131】
図4Eにおいて、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧VC1が、初期の正の値から、瞬間t4において非常に急速に達する負の値へと移ることが分かるので、電流が切替分岐32に流れることによって、第1の切替コンデンサC1の分極が反転する。瞬間t4は、第1の切替コンデンサC1の端子において、第1の切替コンデンサC1の両側にそれぞれある2つの端子によって接続される第1の切替サージ保護装置80.1によって決定される保護電圧に等しい電圧に達することに対応する。導通状態になることによって、第1の切替サージ保護装置80.1は、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧を、第1の切替サージ保護装置80.1の保護電圧Vp80.1に等しい所定の値に制限する。保護電圧Vp80.1は、第1の切替コンデンサC1のコストおよび体積を制限するために、絶対値が好ましくは10kV未満、この例では3kV程度である。同じ電圧の切替および同じ保護電圧の導入を、第2の切替コンデンサの端子において観察することができる。
【0132】
次の瞬間t5において、主電気カットオフ装置26は、汎用サージ保護装置30によって確立される保護電圧に耐えることができると考えられる。例えば、これは、主電気カットオフ装置26の電極間が十分な距離に達していること、および主電気カットオフ装置26の電極間にある誘電媒体が脱イオン化されていることを示唆する。したがって、後者は、その開放状態におけるその電気絶縁力を再獲得している。このように、第1のプラズマ管スイッチ34.1を電気的に開放させることによって、切替分岐32における電流の流れを遮断することが可能である。これは、瞬間t5で、第1のプラズマ管スイッチ34.1の制御グリッド40.1に対して電気的開放パルスを送る制御系46.1によってもたらされる(
図4G)。第1のプラズマ管スイッチ34.1の電気的開放が制御されるこの瞬間t5において、第1の切替コンデンサC1の極性は、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して、したがってカソード38.1に対しても、負の電位である(
図4E)ような極性であり、そのため、制御グリッド40.1に印加される電気的開放パルスは、単に第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dを第1のプラズマ管スイッチ40.1の制御グリッド40.1と導電状態にすることによって(
図2A~
図2Eのパイロットの場合)、またはそれをDC-DC電力変換器の負端子に連結する停止スイッチ58bを閉止することによって(
図2F~
図2Gのパイロットの場合)、得ることができることに留意されたい。この例では、電気的開放パルスは、第1のプラズマ管スイッチ34.1内の電気カットオフを保証するため、瞬間t6までの電気的開放パルス時間の間印加される。この電気的開放パルス時間は、例えば、少なくとも1マイクロ秒に等しい。電気的開放パルスは、電気的閉止パルスが必要になるまで維持することができることに留意されたい。そのような電気的開放パルスの後、電流が実際に制御グリッド40.1を通って流れる持続時間は、一般に、1マイクロ秒~100マイクロ秒で構成されることになり、実際に制御グリッド40.1を通るこの電流の強度は、第1のプラズマ管スイッチ34.1を通してアノード36.1とカソード38.1との間でカットオフされる電流と同程度の大きさであることに留意されたい。
【0133】
プラズマ管スイッチの電気的開放に必要な時間は、一般に、数百ナノ秒~数十マイクロ秒程度である。主カットオフ装置26が既に電気的に開放されており、接点間の誘電媒体が脱イオン化されるので、プラズマ管スイッチにおける電流遮断は、主カットオフ装置26におけるアークの再点弧を発生させないことに留意されたい。加えて、プラズマ管スイッチを通って流れる電流は吸収分岐28に切り替わるが、吸収分岐28は、吸収分岐28に差し挟まれた汎用サージ保護装置30の保護電圧よりも高い回復電圧に耐えるようにスケーリングされるので、プラズマ管スイッチにおいてアーク点弧を作り出すことなく、送電線の誘電エネルギーをすべて吸収する。
【0134】
プラズマ管スイッチが電気的閉止状態で制御されて、そのアノードとそのカソードとの間の電流の流れを許可すると、カソード電極面積に対する電流密度の比がアーク発生モードの場合よりもはるかに小さいモードで動作する。例えば、この比は100A/cm2未満である。プラズマ管スイッチの1つのカソード電極の導電面に対して平行に磁界が印加される「垂直磁界」タイプのプラズマ管スイッチでは、その公称動作領域内にある限り、磁界がこのアーク発生を防止する。
【0135】
特に、プラズマ管スイッチが、すべての電気スイッチが有するわけではない電流遮断能力を有することが想起されるべきである。
【0136】
第1のプラズマ管スイッチ34.1がその開放状態に達した瞬間から、もう電流は切替分岐32に流れない(
図4B)。結果として、高電圧が、もう電流が流れ得ない切替分岐32および主分岐24と電気的に並列である汎用サージ保護装置30の端子に現れる。この電圧は故障電流によって課される。しかしながら、汎用サージ保護装置30は、カットオフモジュール18の端子における電圧をその保護電圧Vp30の値に制限することによって作動し始める(
図4F)。そこから、汎用サージ保護装置30で散逸されるエネルギーである、導電体に貯蔵された誘電および容量エネルギーの散逸に対応する電流の強度の絶対値の降下が、導電体11において観察される。電流が主分岐24または切替分岐32または吸収分岐28のいずれにも流れないため、それらの間で導電体11の第1のセグメント11.1および第2のセグメント11.2が隔離されることが分かる(汎用サージ保護装置30を通る考えられる漏れ電流(一般に1A未満)を無視することによる)カットオフデバイス10の開放構成に急速に達する。次に、カットオフデバイスの両側で、この例では80kV程度であるネットワークの電圧が確立される。
【0137】
この第1のカットオフシナリオでは、第2のプラズマ管スイッチ34.2は介在せず、シナリオ全体を通してその開放構成のままであることに留意されたい。当然ながら、容量が切替分岐32における電流の進化の法則に介入する、切替分岐の第2のセクション32.2に差し挟まれた第2の切替コンデンサC2に関するものを除いて、第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御系46.2は当然不活性のままである。これは、第2のプラズマ管スイッチ34.2が閉止状態で流すものとは反対方向に流れる故障電流を発生させる故障の仮説が取られたという事実による。
【0138】
図3の第2のプラズマ管スイッチ34.2は、この第1のシナリオには介入しないことが留意されるので、(上記で選ばれた任意の慣例では)負方向の電流を流すことしかできない単一のプラズマ管スイッチ34.1を備える
図1に示される本発明の第1の実施形態は、まさに上述したように動作するであろうことが理解される。しかしながら、この場合、第1の切替コンデンサC1が上述した極性で、つまり、近位側電機子C1pに対して正に充電された遠位側電機子C1dによって十分に事前充電されていることを確認するのが重要となる。
【0139】
図5A~
図5Fに示される第2の電流カットオフシナリオでは、カットオフモジュール18が、一方では2つのプラズマ管スイッチ34.1、34.2のスケーリングに関して、他方では第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2に関して、対称的なスケーリングを有すると仮定される。
【0140】
この第2のシナリオでは、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の両方が、以下の意味で正電圧である電圧CV1i、VC2iで事前充電される事例について記載する。
・第1の切替コンデンサC1については、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して正に充電される。
・第2の切替コンデンサC2については、遠位側電機子C2dが近位側電機子C2pに対して負に充電される。
【0141】
理解されるように、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の両方が、以下の意味で負電圧である電圧VC1i、VC2iで事前充電されることも同様に提供できたであろう。
・第1の切替コンデンサC1については、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して負に充電される。
・第2の切替コンデンサC2については、遠位側電機子C2dが近位側電機子C2pに対して正に充電される。
【0142】
すべての事例において、第1の切替コンデンサC1の端子における事前充電電圧VC1i、および第1の切替コンデンサC2の端子における事前充電電圧VC2iの絶対値は、有利には、10kV未満、ここでは例として2kVに等しいものとすることができる。
【0143】
瞬間t1において、電気故障が起こると仮定される。この第2のシナリオでは、第1のシナリオと異なり、この電気故障は導電体11の第2のセグメント11.2で起こるが、例えば「接地事故」タイプの事故のままであると仮定される。ここに記載するこの第2のシナリオでは、電気故障の場所およびタイプによって、カットオフデバイス10を通って正方向に、つまり第1のポイント20から第2のポイント22へと流れる故障電流が発生する。第1のシナリオで既に観察されたように、デバイスを通る強度の絶対値は、この電気故障の出現によって増加し、そのため主分岐24における電流の強度I24の絶対値(
図5A)が増加し、この絶対値が、ネットワークの電気特性、導電体11の電気特性、および電気故障の特性そのもの、特に、導電体11の第2のセグメント11.2におけるその場所および耐故障性に応じて決まる増加曲線に従う。
【0144】
第1のシナリオに関して、主カットオフ装置26を開放する命令は、第1のシナリオに関して上述したのと同じ手順にしたがって瞬間t2に送信される。開放命令の受け取りに続いて、主開放装置は開放の動きを開始する。主カットオフ装置26の電極を最初に分離する瞬間はt2’と呼ばれる。ここでも、主カットオフ装置26の2つの電極を徐々に離隔することによって、電気アークを発生させることが可能となるため、電極の機械的分離にかかわらず、電気カットオフは達成されない。結果として、主カットオフ装置26の端子における電圧V26はゼロのままであり(アーク電圧を無視することによる(
図5Fを参照))、主分岐の電流の強度I24は、絶対値(および、上述の任意の慣例では代数値(
図5A))が増加し続ける。
【0145】
第1のシナリオに関して、主カットオフ装置26における電流のカットオフを支援する手順は、主カットオフ装置26が、その電極の離隔に対応する少なくとも部分的に開放状態である瞬間t3にトリガされるが、この離隔について、電気アークが電極間において消滅されれば、主カットオフ装置26が、切替分岐32に存在する切替サージ保護装置80.1、80.2によって発生する保護電圧に耐えることができることが事前に予め定められることとなる。部分的機械的開放時間間隔の間、電気カットオフは実施されない(
図5A)。
【0146】
この第2のシナリオでは、カットオフ支援手順が、故障電流が切替分岐32を流れることを可能にすることができる唯一のものである第2のプラズマ管スイッチ34.2の電気的閉止を実施することを既に示した。このため、したがって、制御系46.2が瞬間t3に第2のプラズマ管スイッチ34.2のモニタリンググリッド40.2に、第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2に対する正電位に対応する電気的閉止パルスを送ることが必要である。加えて、主分岐から切替分岐への故障電流の切替を、したがってここでは故障電流の流れを正方向として、可能にするために、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2それぞれの端子における電圧は負電圧である。
【0147】
しかしながら、この第2のシナリオは、第1の切替コンデンサC1が既に充電されており、それによってその遠位側電機子C1dがその近位側電機子C1pに対して正に充電され、したがって第1のプラズマ管スイッチ34.1のカソード38.1に対して正に充電され、また、第2の切替コンデンサC2が既に充電されており、それによってその遠位側電機子C2dがその近位側電機子C2pに対して負に充電され、したがって第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2に対して負に充電されるという文脈で規定される。実際には、
図3のカットオフデバイス10は、カットオフデバイス10を通る故障電流の方向にかかわらず電流を遮断することが意図されると仮定されるので、この選択は非常に妥当である。しかしながら、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の事前充電の極性の選択は、現れる可能性が高い故障電流の方向が分かる前になされる。
【0148】
したがって、この構成では、故障電流の流れ方向は、切替コンデンサC1およびC2のこの分極方向では、切替分岐に切り替えることができないであろうことを意味する。加えて、制御系の
図2A~
図2Fの実施形態に関して、遠位側電機子C2dを第2のプラズマ管スイッチ34.2のモニタリンググリッド40.2と直接電気的に通じさせることによって、電気的閉止パルスを構築することはできない。また、この第2のシナリオでは、電気カットオフ装置26を開放する命令を送信する瞬間t2の後であるが、電気的閉止パルスが第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2に送られなければならない瞬間t3の前である瞬間「tinv」に、この第2のシナリオは、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の極性を元に戻す中間ステップを提供する。切替コンデンサの極性を元に戻す中間ステップは、瞬間「tinv」に第1のプラズマ管スイッチ34.1の閉止をトリガすることによって、特に単純なやり方で実施される。
図5Aおよび
図5Bで分かるように、故障電流を超えて主分岐24において正方向で追加される、切替分岐32における負方向の放電電流を作り出すことによって(この負方向電流は、2つの切替コンデンサC1およびC2の充電の極性によって課される)、2つの切替コンデンサC1およびC2が放電する限り、第1のプラズマ管スイッチ34.1のこの閉止によって主分岐24で過電流が引き起こされる。しかしながら、この放電電流は非常に短い。実際には、この放電は、放電電流が振動性であるようにスケーリングされるLCタイプのループである、互いに直列の切替分岐32および主分岐24によって形成されるループで起こる。この段階では、第1のプラズマ管スイッチ34.1のみが導通状態とされ、一方向でしか切替分岐に電流が流れることが可能になっていないので、切替分岐32の切替コンデンサC1およびC2の放電は、完全な振動期間ではなく半分の振動期間しか形成することができない。そのため、半分の振動期間後、2つの切替コンデンサC1およびC2の端子における電圧が反転されていることが分かる。結果として、その場合、第2の切替コンデンサC2に関して、遠位側電機子C2dが近位側電機子C2pに対して、したがって第2のプラズマ管スイッチ34.2のカソード38.2に対して正に充電される状況になる。2つの切替コンデンサC1およびC2の極性の反転によってもたらされるこの構成では、一方では、遠位側電機子C2dを第2のプラズマ管スイッチ34.2のモニタリンググリッド40.2と直接電気的に通じさせることによって(これは制御系46.2の
図2A~
図2Eの実施形態を含む)、瞬間t3において電圧パルスの形態の第2のプラズマ管スイッチ34.2の電気的閉止パルスを作り出すことが可能になる。しかし、他方では、2つの切替コンデンサC1およびC2の極性のこの反転による他の機能は、切替分岐32に切替電流が第2のプラズマ管スイッチ34.2を通る正方向で流れることを可能にすることであり、これは同時に、通過する電流の強度がゼロと交差する瞬間に、主電気カットオフ装置26を通る電気アークのカットオフに対応する瞬間「tc」から主分岐24の電流I24を相殺することにつながる(
図5Aを参照)。
【0149】
図5Eにおいて、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧VC1および第2の切替コンデンサC2の端子における電圧VC2が、最初の反転によって得られる負の値から正の値に移ることが分かるので、電流が切替分岐32に流れることによって、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2の分極が新たに反転する。瞬間t4は、第1の切替コンデンサC1の端子においては、第1の切替コンデンサC1の両側にそれぞれある2つの端子によって接続された第1の切替サージ保護装置80.1によって決定される保護電圧Vp80.1に等しい電圧の達成に対応し、第2の切替コンデンサC2の端子においては、第2の切替コンデンサC2の両側にそれぞれある2つの端子によって接続された第2の切替サージ保護装置80.2によって決定される保護電圧に等しい電圧Vp80.2の達成に対応する。導通状態になることによって、第1の切替サージ保護装置80.1は、第1の切替コンデンサC1の端子における電圧を、その保護電圧Vp80.1に等しい所定の値に制限する。同様に、導通状態になることによって、第2の切替サージ保護装置80.2は、第2の切替コンデンサC2の端子における電圧を、その保護電圧Vp80.2に等しい所定の値に制限する(
図5Eを参照)。保護電圧Vp80.2は、保護電圧Vp80.1と同様に、第2の切替コンデンサC2のコストおよび体積を制限するために、絶対値が好ましくは10kV未満、この例では3kV程度である。第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2それぞれの保護電圧Vp80.1、Vp80.2の合計は、絶対値が好ましくは20kV未満、この例では6kV程度である。
【0150】
次の瞬間t5において、主カットオフ装置26の電極間に含まれる誘電媒体は脱イオン化されており、電極間のギャップは、吸収分岐において汎用サージ保護装置30によって確立される保護電圧を保持するのに十分に広く、また、第2のプラズマ管スイッチ34.2を電気的に開放することによって(第1のプラズマ管スイッチ34.1は、切替コンデンサの極性を反転させるステップの後に、既に再び開放されている)、切替分岐32における電流の流れを遮断するのが可能であると考えられる。これは、瞬間t5に第2のプラズマ管スイッチ34.2の制御グリッド40.2に電気的開放パルスを送る制御系46.2によってもたらされる。第2のプラズマ管スイッチ34.2の電気的開放が制御されるこの瞬間t5において、第2の切替コンデンサC2の極性は、遠位側電機子C2dが近位側電機子C2pに対して、したがってカソード38.2に対しても負の電位であるような極性であり、そのため、制御グリッド40.2に印加される電気的開放パルスは、単に第2の切替コンデンサC2の遠位側電機子C2dを第2のプラズマ管スイッチ40.2の制御グリッド40.2と導電状態にすることによって(
図2A~
図2Eのパイロットの場合)、またはそれをDC-DC電力変換器の負端子に連結する停止スイッチ58bを閉止することによって(
図2F~
図2Gのパイロットの場合)、得ることができることに留意されたい。
【0151】
第2のプラズマ管スイッチ34.2がその開放状態に達した瞬間t5から、もう電流は切替分岐32に流れない(
図5B、
図5C)。結果として、第1のシナリオのように、高電圧が、もう電流が流れ得ない切替分岐32および主分岐24と電気的に並列である汎用サージ保護装置30の端子に現れる(
図5F)。この電圧は、ネットワークの電圧、およびネットワークに貯蔵された誘電エネルギーによって課される。しかしながら、汎用サージ保護装置30は、カットオフモジュール18の端子における電圧をその保護電圧Vp30の値に制限することによって作動し始める。そこから、汎用サージ保護装置30で散逸されるエネルギーである、導電体11およびデバイス10に貯蔵された誘電および容量エネルギーの散逸に対応する電流の強度の絶対値の降下が、導電体11において観察される(
図5D)。電流が主分岐24または切替分岐32または吸収分岐28のいずれにも流れないため、それらの間で導電体11の第1のセグメント11.1および第2のセグメント11.2が隔離されることが分かる(汎用サージ保護装置30の漏れ電流(一般に1A未満)を無視することによる)カットオフデバイス10の開放構成に急速に達する。次に、カットオフデバイスの両側で、この例では80kV程度であるネットワークの電圧が確立される。
【0152】
詳細に上述した2つのシナリオでは、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して正に充電された第1の切替コンデンサC1、および遠位側電機子C2dが対照的に近位側電機子C2pに対して負に充電された第2の切替コンデンサC2という仮説が取られた。また、遠位側電機子C1dが近位側電機子C1pに対して負に充電されるであろう第1の切替コンデンサC1、および遠位側電機子C2dが対照的に近位側電機子C2pに対して正に充電されるであろう第2の切替コンデンサC2という逆の仮説も参照した。この逆の仮説において、上記慣例では正方向の故障電流の出現は、切替コンデンサC1およびC2の極性反転なく、単一のプラズマ管スイッチのみ、ただしこの場合には第2のプラズマ管スイッチ34.2を実装する第1のシナリオに関して記載したものと同様の方法の実装を伴うであろう。この逆の仮説において、上記慣例では負方向の故障電流の出現は、最初に、切替コンデンサC1およびC2の極性の反転を作り出す第2のプラズマ管スイッチ34.2を実装し、次に、切替分岐において負方向に切替電流が流れることを許可する第1のプラズマ管スイッチ34.1を実装することで、主カットオフ装置26における電気カットオフを支援することによる、第2のシナリオに関して記載したものと同様の方法の実装を伴うであろう。
【0153】
図1および
図3に示される例では、カットオフモジュール18は単一の切替分岐32を含み、そこに、
図1の実施形態に関しては単一のプラズマ管スイッチ34.1、および
図3の実施形態に関しては、並列かつ互いに反対方向で設置された2つのプラズマ管スイッチ34.1、34.2が差し挟まれる。両方の事例において、プラズマ管スイッチのうち1つは、主カットオフ装置26のカットオフ支援構成において、導通状態にされて故障電流が切替分岐32に流れることを可能にし、次に開放状態に戻されることが分かった。そのため、両方の事例において、プラズマ管スイッチには高電流が流され、次いで、やはり高い場合がある残りの故障電流を遮断しなければならない。しかしながら、プラズマ管スイッチの最小導通時間と呼ぶこともできる、プラズマ管スイッチが導通状態にされなければならない最小時間は、主カットオフ装置26を含む主分岐26から切替分岐32への故障電流の切替の時間をカバーしなければならず、また、主カットオフ装置26の電極間に含まれる誘電媒体の脱イオン化時間もカバーしなければならないことに留意されたい。しかしながら、故障電流の切替の時間は、切替分岐32によって発生する振動電流の期間の4分の1未満であることが分かった。したがって、この故障電流切替時間は、次式によって与えられる値よりも小さい。
【0154】
【数2】
式中、L_equおよびC_equはそれぞれ、主分岐24および切替ループ32によって形成される閉ループの等価インダクタンスおよび等価容量である。主カットオフ装置26の電極間の誘電媒体の脱イオン化時間は、一般に、特に主カットオフ装置26の技術にしたがって、特に使用される絶縁流体の圧力および/またはタイプに応じて、数マイクロ秒から数十マイクロ秒に及ぶ範囲で構成されることになる。そのため、総じて、プラズマ管スイッチの最小導通時間、つまり故障電流がそれを通る時間は、非常に短い持続時間であり得るが、それは、この持続時間が一般的に1ms未満、好ましくは500マイクロ秒未満であり得るためであり、いくつかの構成では、この最小持続時間は100マイクロ秒未満のこともある。
【0155】
単一のプラズマ管スイッチが、カットオフデバイス10をスケーリングすることが望ましい最大故障電流強度に耐えることができない場合、切替分岐32と並列で、したがって主分岐24および吸収分岐28と並列で、少なくとも1つのプラズマ管スイッチを含む少なくとも1つの補助切替分岐32’を追加することによって、カットオフモジュール18を修正することは簡単であり、補助切替分岐32’は好ましくは、
図1および/または
図3それぞれを参照して記載された切替分岐32と同じ構成を有する。
【0156】
また、
図6は、一方では、
図3のカットオフモジュール18に関連して記載したものとまったく同じ要素を含み、加えて、第1のポイント20と第2のポイント22との間で主分岐24、吸収分岐28、および切替分岐32と電気的に並列の補助切替分岐32’を含むカットオフモジュール18を有するカットオフデバイス10を表している。少なくとも第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’が、この補助切替分岐32’に差し挟まれ、アノード36.1’とカソード38.1’と制御グリッド40.1’とを含む。第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’は、補助切替分岐32’を、第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’のカソード38.1’に連結された第1のセクション32.1’と、第1のプラズマ管補助スイッチ34.1’のアノード36.1’に連結された第2のセクション32.2’とに分離するように、補助切替分岐32.1’に差し挟まれる。
【0157】
第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’は、切替分岐32における第1のプラズマ管スイッチ34.1と同じ方向で補助切替分岐32’に設置される。これにより、例えば、第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’のアノード36.1’が、第1のポイント20および第2のポイント22のうち、第1のプラズマ管スイッチ34.1のアノード36.1と同じポイントに(ここでは、各々が、それぞれのコンデンサC1;C1’を介して間接的に)連結されるという事実がもたらされる。
【0158】
一般に、この第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’は、第1のプラズマ管スイッチ34.1と同一かつ同期的な方法で制御され得るので、カットオフ支援構成では、デバイス10を流れる電流は、考慮されるモジュール18のレベルにおいて、2つのプラズマ管スイッチ間で分配され、したがって各プラズマ管スイッチは、カットオフデバイス10を通る総電流よりも小さい電流を伝送または遮断しなければならない。補助切替分岐32’が切替分岐32と同じ電気特性を有する場合、切替分岐32、32’それぞれにおける電流は、切替分岐がただ一つのものであった場合に切替分岐に流れるであろう電流に対して2で除算されることになる。
【0159】
当然ながら、有利には、カットオフモジュール18が、第1のプラズマ管スイッチ34.1に関して記載したものと同様の第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’の制御系46.1’を含むことが提供されることになる。そのため、この制御系46.1’は、有利には、第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’と直列で、第1のポイント20と第2のポイント22との間で補助切替分岐32’において、補助切替分岐32’の第1のセクション32.1’、つまり、第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’のカソード38.1’に連結されたセクションに配置された第1の補助切替コンデンサC1’を含むことになる。この第1の補助切替コンデンサC1’は、第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’のカソード38.1’に連結された近位側電機子C1p’と、近位側電機子C1p’に対して第1の補助プラズマ管スイッチ34.1’のカソード38.1’の反対側にある遠位側電機子C1d’とを含む。
【0160】
同様に、カットオフデバイス10は、第1の補助切替コンデンサC1’の事前充電回路48.1’を含む。この事前充電回路は、第1の切替コンデンサC1のものとは独立した事前充電回路であり得るので、上述したものと同様の形態を取り得る。しかしながら、
図6の例では、第1の切替コンデンサの事前充電回路および第1の補助切替コンデンサの事前充電回路は、第1の切替コンデンサC1および第1の補助切替コンデンサC1’に並列で供給する共通電圧源50.1を含む。そのため、共通のDC電圧源50.1は以下を含む。
・一方では、この実施形態では、
●ここでは抵抗53.1を通して、第1の切替コンデンサC1の遠位側電機子C1dに、
●ここでは抵抗53.1’を通して、第1の補助切替コンデンサC1’の遠位側電機子C1d’に
連結された正端子52.1。
・他方では、この実施形態では、
●ここではやはり抵抗55.1を通して、第1の切替コンデンサC1の近位側電機子C1pに、
●ここではやはり抵抗55.1’を通して、第1の補助切替コンデンサC1’の近位側電機子C1p’に
連結された負端子54.1。
【0161】
二方向デバイスでは、切替コンデンサの事前充電極性を反転させることが知られているので、DC電圧源50.1に対して逆極性を有することが可能であることが分かった。好ましくは、事前充電回路48.1の抵抗53.1、55.1、53.1’、55.1’は同じ抵抗値を有する。これらの抵抗によって、事前充電回路における電流を制限し、事前充電回路の各種の並列分岐において電流を均衡させることが可能になる。
【0162】
当然ながら、
図6に示されるカットオフモジュール18が、電気的に並列かつ反対方向の2つのプラズマ管スイッチを有する切替分岐32を含む限り、好ましくは、このカットオフモジュール18は、補助切替分岐32’において、補助切替分岐32’に並列かつ互いに反対方向で差し挟まれた2つの補助プラズマ管スイッチ34.1’、34.2’を含むことが提供されることになる。換言すれば、
図6に示されるように、補助切替分岐32’は好ましくは、切替分岐32とまったく同じ要素を有する。
【0163】
図6の実施形態は単一の補助切替分岐32’を含む。しかしながら、より高い強度の電流をサポートするようにカットオフモジュール18の能力をさらに高めるために、カットオフモジュールに、記載したばかりの補助切替分岐32’と同じタイプの1つまたは複数の他の補助切替分岐を備えることが提供され得るが、他の補助切替分岐はそれぞれ、第1のポイント20と第2のポイント22との間で主分岐24、吸収分岐28、切替分岐32、および補助切替分岐32’と電気的に並列に配置されることが理解される。
【0164】
上記に例示し記載した例では、カットオフデバイス10は単一のカットオフモジュール18を含む。したがって、カットオフモジュール18は、単一の場合、ネットワークの公称動作電圧に耐えるように設計されなければならないことが理解される。これは、特に、プラズマ管スイッチ34.1、34.2の耐電圧性に対する制約を伴う。さらに、プラズマ管スイッチ34.1、34.2の耐電圧性は容易に、モジュール18の主カットオフ装置26と同程度の大きさであり得ることに留意すべきである。これは、主カットオフ装置26が「真空電球」タイプのものである場合になおさら当てはまり、それは、この場合、プラズマ管スイッチおよび「真空電球」が同じ真空管技術に基づくためである。
【0165】
しかしながら、さらに高い開放能力および耐電圧能力を有するカットオフデバイス10を得るために、または合理的なコストおよび空間要件の構成要素(特に、プラズマ管スイッチ)を使用するために、カットオフデバイス10の一次ポイント12と二次ポイント14との間でカットオフデバイス10の主回路16に電気的に直列で差し挟まれたいくつかのカットオフモジュール18a、18b、18c、…を有するカットオフデバイス10(例えば
図7に示されるものなど)を作製することを選ぶことが可能である。そのため、各カットオフモジュール18a、18b、18c、…は、主回路16において自身の第1のポイント20a、20b、20c、…と自身の第2のポイント22a、22b、22c、…との間に延在する。各カットオフモジュール18a、18b、18cなどは、切替分岐32と並列の少なくとも1つの補助切替分岐32’を含む上記で想定した形態を含む、上述した形態のいずれかを有することができる。カットオフモジュール18a、18b、18cなどは互いに同一であることができる。
【0166】
上述したすべての例において、切替分岐32、32’に位置するプラズマ管スイッチの供給および制御は、カットオフモジュール18の主分岐24に電気または電子構成要素を課さない制御系46.1、46.1’、46.2、46.2’を用いて実施されることが分かった。したがって、カットオフデバイス10を通る電流がこの主分岐24において通過する導通構成では、ネットワークの正常動作中に電気エネルギーを恒久的に散逸させるリスクがあるプラズマ管スイッチの制御系に属する構成要素はない。そのため、そのような構成要素を冷却する冷却システムは不要である。
【0167】
上述したすべての例において、主カットオフ装置26、プラズマ管スイッチ、および汎用サージ保護装置30のみが、一般的に75,000V超となり得る、考慮されるモジュール18の高いDC公称動作電圧に耐えるようにスケーリングされなければならない。対照的に、第1の切替コンデンサC1および第2の切替コンデンサC2、ならびに第1の切替サージ保護装置80.1および第2の切替サージ保護装置80.2は、単一のカットオフモジュール18を備えるカットオフ装置10を含め、75、000V超の公称動作電圧を有し、10,000V未満のこともある電圧の耐電圧性を有するこのようなネットワークのためにスケーリングされたカットオフ装置10のカットオフモジュールのためにスケーリングすることができる。そのため、ネットワークの公称動作電圧よりも10倍程度低いものとなり得る電圧に対してスケーリングされたこれらの構成要素は、低減された空間要件およびコストを有することができる。
【0168】
カットオフモジュール18の場合、切替コンデンサの最小容量のスケーリングは、次式による第1の近似として決定することができる。
【0169】
【数3】
式中、
・V_(c_equ):いずれの場合も関連する切替サージ保護装置の存在によって制限されることになる、カットオフモジュール18の切替分岐のすべての切替コンデンサ(C1、C1’、C2、C2’など)に対して等価であるコンデンサの端子における事前充電電圧。
・I_to:カットオフデバイス10がカットオフできなければならない電流の最大強度。
・L_equ:カットオフモジュール18の主分岐24および切替分岐32(82、82’など)によって形成されるループの等価インダクタンス。
・C_equ:カットオフモジュール18の切替分岐(C1、C1’、C2、C2’など)におけるすべての切替コンデンサの最小等価容量。
・V_(on_34):その導通状態にあるプラズマ管スイッチ34のアノードとカソードとの間の電圧降下(この電圧は、一般的に50V~1,000Vで構成され、プラズマ管スイッチの特定の特性、特に容器内のガスの圧力およびタイプ、カソードの材料などに応じて決まる)。
【0170】
さらに、各カットオフモジュール18は、カットオフモジュール18の主分岐24および切替分岐32によって形成されるループの等価インダクタンス値L_equが、電流を切替分岐32に切り替える間に主カットオフ装置26において電気アークを消滅させることを可能にする最小値L_minよりも大きくなるようにスケーリングされることが分かった。そのため、この等価インダクタンス値L_equは、次式によって与えられる最小値よりも大きくなければならない。
【0171】
【数4】
式中、
・[(di/dt)]maxは、主カットオフ装置26がゼロ交差時に電流の電気アークをカットオフすることができる電流の最大変化率である。
【0172】
したがって、上記式によって、得られる最小等価容量C_equを決定することが可能になり、そこから切替コンデンサそれぞれの個々の容量を決定することができる。
【0173】
一般的に、
図3に示されるような二方向デバイス10(したがって、この例では単一のカットオフモジュール18を備える)の場合、例えば、次の値を有することが可能であろう。
I_to=10kA
VC1=VC2=2kV(V_c_equ=4kV)
L_equ=20マイクロヘンリー
V_on_34=500V
(di/dt)max=200A/μs
デバイス10の切替コンデンサすべての等価容量は100マイクロファラッド超となる(したがって、例えば、C1=C2=400マイクロファラッド(C_equ=200μF))。
【0174】
さらに、プラズマ管スイッチ34.1、…が導通状態にされる時間は、1ms未満であるため、非常に短いことが上記で分かった。しかしながら、この時間は、おおよそ、電流が切替サージ保護装置80.1、…を通る可能性が高い時間でもあり、切替サージ保護装置は次に、対応する電気エネルギーを散逸させなければならない。時間が短いので、そのような切替サージ保護装置の体積およびコストをオーバースケーリングする必要はない。
【0175】
切替分岐が電気的に並列かつ互いに反対方向で配置された2つのプラズマ管スイッチを含む
図3および
図6では、2つのプラズマ管スイッチを別個の一方向プラズマ管スイッチ構成要素として設計することができる。しかしながら、これら2つの一方向プラズマ管スイッチを対の形態で設計することを想定することが可能である。
【0176】
上述したように、切替分岐におけるプラズマ管スイッチの制御系46.1、…のパイロット56.1、…は、その供給が関連する切替コンデンサを通して確保されるので、自律的な電力供給を何ら必要としないことに留意されたい。また、
図2A~
図2Hに示されるようなパイロット56.1、…の実施形態がいずれであっても、関連するプラズマ管スイッチを制御するようにパイロットする必要がある単一のパイロット可能スイッチを用いて設計することができるので、プラズマ管スイッチの制御系46.1は複雑度が低いことに留意されたい。
【0177】
本発明によるデバイス10は、特に、切替分岐におけるプラズマ管スイッチの制御系46.1、…のパイロット56.1、…および主電気カットオフ装置26を制御/パイロットする1つもしくは複数の電子制御装置100を含むか、またはそれと関連付けられてもよい。電子制御装置は、一般的に、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つの電子メモリとを備え、1つもしくは複数のコンピュータネットワークなどと通信する1つもしくは複数の電子通信回路、および/または1つもしくは複数のインターフェース電子回路、および/または1つもしくは複数の入力/出力電子回路を備えるか、またはそれに連結されてもよい。電子制御装置は、1つもしくは複数のディスプレイを備えるか、またはそれと関連付けることができる。電子制御装置は、カットオフデバイス10、またはデバイス10が統合されることが意図される電気設備における物理的パラメータの値を測定するように構成された1つもしくは複数のセンサ、例えば、1つもしくは複数の強度センサおよび/または1つもしくは複数の電圧センサを備えるか、またはそれと関連付けることができる。電子制御装置は、上述したようなデバイスを開放する方法のすべてまたは一部を実装するようにプログラミングされる。有利には、電子制御装置100が、その制御/パイロット命令を、高電圧に対してガルバニック絶縁された信号によって、特に制御系46.1、…のパイロット56.1、…に通信することを提供することが可能となる。これらの信号は、光ファイバーによって運ばれる光信号であり得る。それらは変圧器によって絶縁される電気信号であってもよい。これらの信号は、ワイヤレス通信リンクによって搬送される電磁信号であってもよい。
【0178】
したがって、上述したような電気カットオフデバイス10は、高DC電圧下、特に75kV超の高DC電圧下の電流に特に好適な電流回路遮断器を形成する。これにより、総じて空間要件およびコストが低減され、正常動作におけるエネルギー損失が最小限である構成要素を用いて、十分なカットオフ性能を得ることが可能になる。
【国際調査報告】