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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】コンテナ運搬船
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B63B25/00 101A
B63B25/00 101K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560337
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 KR2022003601
(87)【国際公開番号】W WO2022211315
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0043638
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0043640
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0043642
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513235337
【氏名又は名称】コリア シップビルディング アンド オフショア エンジニアリング カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520387760
【氏名又は名称】ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョン ス
(72)【発明者】
【氏名】シム ウ スン
(72)【発明者】
【氏名】キム ウォン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム チン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン ア
(72)【発明者】
【氏名】チョ チ フン
(72)【発明者】
【氏名】ムン トン ヒョン
(57)【要約】
本発明は、コンテナ運搬船に関し、船体と、前記船体の左舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第1コンテナグループと、前記船体の右舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第2コンテナグループと、前記第1コンテナグループと前記第2コンテナグループとの間の甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第3コンテナグループと、を含み、前記第1コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置された複数の第1コンテナを含み、前記第2コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第2コンテナを含み、前記第3コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の長さ方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第3コンテナを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体の左舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第1コンテナグループと、
前記船体の右舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第2コンテナグループと、
前記第1コンテナグループと前記第2コンテナグループとの間の甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第3コンテナグループと、を含み、
前記第1コンテナグループは、
その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第1コンテナを含み、
前記第2コンテナグループは、
その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第2コンテナを含み、
前記第3コンテナグループは、
その長さ方向が前記船体の長さ方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第3コンテナを含むことを特徴とするコンテナ運搬船。
【請求項2】
前記第1、2コンテナグループは、
前記船体のローリングで揺れることになる前記第3コンテナグループを支持して転倒を防止することを特徴とする請求項1に記載のコンテナ運搬船。
【請求項3】
前記複数の第1、2コンテナグループにはラッシングブリッジが設置されなく、
前記複数の第3コンテナグループの間には一定高さの前記ラッシングブリッジが設置されることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ運搬船。
【請求項4】
前記複数の第3コンテナグループの間に設置される前記ラッシングブリッジは、
転倒防止のためのラッシングロッド及びラッシングバーの締結のための構造と、リーファーコンテナのメンテナンス及びモニタリングの可能な作業空間と、が設けられることを特徴とする請求項3に記載のコンテナ運搬船。
【請求項5】
前記第3コンテナグループは、
コンテナの後面のコントロールユニットが1つの前記ラッシングブリッジを挟んで対向するように1対ずつ縛って配置され、これによりコンテナ前面には前記ラッシングブリッジが備えられないことを特徴とする請求項3に記載のコンテナ運搬船。
【請求項6】
前記第1、2、3コンテナグループをなす前記第1、2、3コンテナは、
上下コンテナの間を固定するツイストロックに加えて、左右コンテナの間の遊びによる回転変位を制御する転倒防止部材が締結され、
前記複数の第3コンテナグループの間に設置される前記ラッシングブリッジは、
前記船体のローリング時に前記転倒防止部材によるコンテナの回転変位制御で転倒防止のためのラッシングロッド及びラッシングバーの締結のための構造が排除された構造を有することを特徴とする請求項3に記載のコンテナ運搬船。
【請求項7】
前記転倒防止部材は、
コンテナの船積み前に前記ツイストロックとコーナーキャスティングに締結され、コンテナの下部に備えられる4箇所の前記コーナーキャスティングのうちでコンテナの一側に備えられる2箇所のコーナーキャスティングの側面に締結されてコンテナの回転変位を制御することを特徴とする請求項6に記載のコンテナ運搬船。
【請求項8】
多段に船積みされる前記第3コンテナのうちで、前記ラッシングブリッジの間に配置される前記第3コンテナは、リーファーコンテナであることを特徴とする請求項3に記載のコンテナ運搬船。
【請求項9】
多段に船積みされる前記第1、2コンテナのうちで、1段に配置される前記第1、2コンテナは、リーファーコンテナであることを特徴とする請求項3に記載のコンテナ運搬船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ運搬船に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ運搬船は、コンテナの船積み容量をますます増加させている傾向であり、船積み容量の増加と同時に、運航中に船積みされたコンテナの安定性確保が重要な要素として注目されている。
【0003】
このようなコンテナ運搬船は、船体の内部で前後方向に設けられたホールド(hold)にセルガイド(cell guide)という構造を介してコンテナを積載し、船体の甲板上でホールドの蓋の役割をするハッチカバー上に積載した後、各種フィッティング(fitting)類を利用して固定している。
【0004】
船体の甲板上に積載されるコンテナは、運航中に船舶の6自由度運動、特にローリング(rolling)運動によって転倒発生の可能性がある。
【0005】
コンテナの転倒発生を防止するために、ツイストロック(twistlock)のような締結装置を利用した上下コンテナの間の締結と、ラッシングブリッジ構造物とコンテナとの間の締結と、が行われている。
【0006】
コンテナ運搬船には、一般的に1~4段(tier)前後程度のラッシングブリッジが設置される。このようなラッシングブリッジは、コンテナの転倒防止のためのラッシングロッド(lashing rod)の締結を可能にして、コンテナのラッシング締結ができるようにする。ラッシングブリッジは、ラッシングロッドを利用したラッシング締結の役割の他、甲板上に船積みされるリーファー(reefer)コンテナに備えられるコントロールユニットのメンテナンス及びモニタリングのための接近並びに作業空間の確保ができるようにする。ラッシングブリッジは、メンテナンス作業時に作業者の作業空間を確保するため、一定寸法以上のブリッジ構造をCSSコードで規定している。
【0007】
従来のコンテナ運搬船のラッシングブリッジは、コンテナの前後にラッシングロッド締結のために必須に設置され、船幅と同じ幅を有し、ラッシングロッド締結荷重に耐えられ、作業空間確保のための寸法充足のために、高強度及び高重量の構造物で構成するしかなかった。
【0008】
コンテナ運搬船の甲板上に船積みされるコンテナのうちで、ラッシングブリッジのレベルに船積みされるコンテナの場合は、前記のように、ラッシングブリッジとコンテナとの間を締結するラッシングロッドを利用してラッシング締結が行われるが、ラッシングブリッジの高さよりも高いレベルに船積みされるコンテナの場合は、作業者の接近が不可能であって、基本的な締結装置であるツイストロックの他に別途のフィッティング類が適用されていない。
【0009】
このため、ツイストロックの他に別途のラッシング締結が行われない高いレベルに船積みされるコンテナでは、転倒危険性が高い。
【0010】
このように従来のコンテナ運搬船は、増加するコンテナの船積み容量を考慮すると、ラッシングブリッジを利用するラッシング締結だけでコンテナの転倒危険に対する安定性を確保するのに限界があり、特に作業者の接近が難しい高いレベルに船積みされるコンテナに対してはラッシング締結すら不可能であるので、追加の安定性確保に関する研究開発が要求されている。
【0011】
さらに、コンテナの船積み容量が増加するにつれてリーファーコンテナの船積み容量も増加し、これによりラッシングブリッジの数量も増加するが、前記のようにラッシングブリッジは高強度及び高重量の構造物で構成されるので、コンテナ運搬船の全体重量増加、製作工数の過多発生など受注競争力の弱化をもたらす問題があり、これを解決するための研究開発も必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたものであって、本発明の目的は、コンテナの転倒危険に対する安定性を確保し、ラッシングブリッジの設置を最小化できるようにするコンテナ運搬船を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係るコンテナ運搬船は、船体と、前記船体の左舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第1コンテナグループと、前記船体の右舷側甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第2コンテナグループと、前記第1コンテナグループと前記第2コンテナグループとの間の甲板上に積載され、前記船体の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第3コンテナグループと、を含み、前記第1コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第1コンテナを含み、前記第2コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の幅方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第2コンテナを含み、前記第3コンテナグループは、その長さ方向が前記船体の長さ方向と並んで配列され、互いに隣り合って配置される複数の第3コンテナを含むことができる。
【0014】
具体的には、前記第1、2コンテナグループは、前記船体のローリングで揺れることになる前記第3コンテナグループを支持して転倒を防止することができる。
【0015】
具体的には、前記複数の第1、2コンテナグループにはラッシングブリッジが設置されなく、前記複数の第3コンテナグループの間には一定高さの前記ラッシングブリッジが設置されることができる。
【0016】
具体的には、前記複数の第3コンテナグループの間に設置される前記ラッシングブリッジは、転倒防止のためのラッシングロッド及びラッシングバーの締結のための構造とリーファーコンテナのメンテナンス及びモニタリングの可能な作業空間が設けられることができる。
【0017】
具体的には、前記第3コンテナグループは、コンテナの後面のコントロールユニットが1つの前記ラッシングブリッジを挟んで対向するように1対ずつ縛って配置され、これによりコンテナの前面には前記ラッシングブリッジが備えられなくてもよい。
【0018】
具体的には、前記第1、2、3コンテナグループをなす前記第1、2、3コンテナは、上下コンテナの間を固定するツイストロックに加えて、左右コンテナの間の遊びによる回転変位を制御する転倒防止部材が締結され、前記複数の第3コンテナグループの間に設置される前記ラッシングブリッジは、前記船体のローリング時に前記転倒防止部材によるコンテナの回転変位制御で転倒防止のためのラッシングロッド及びラッシングバーの締結のための構造が排除された構造を有することができる。
【0019】
具体的には、前記転倒防止部材は、コンテナの船積み前に前記ツイストロックとコーナーキャスティングに締結され、コンテナの下部に備えられる4箇所の前記コーナーキャスティングのうちでコンテナの一側に備えられる2箇所のコーナーキャスティングの側面に締結されてコンテナの回転変位を制御することができる。
【0020】
具体的には、多段に船積みされる前記第3コンテナのうちで、前記ラッシングブリッジの間に配置される前記第3コンテナは、リーファーコンテナであり得る。
【0021】
具体的には、多段に船積みされる前記第1、2コンテナのうちで、1段に配置される前記第1、2コンテナは、リーファーコンテナであり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るコンテナ運搬船は、第1、2コンテナグループを左右舷側甲板上に配置し、第3コンテナグループを第1、2コンテナグループの間の甲板上に配置し、第1、2コンテナグループをなす複数の第1、2コンテナは、その長さ方向が船体の幅方向と並ぶよう配列し、第3コンテナグループをなす複数の第3コンテナは、その長さ方向が船体の長さ方向と並ぶよう配列することにより、第1、2コンテナが第3コンテナに比べてローリング荷重に強い特性を持って、第3コンテナが船体のローリングで左右に揺れても第1、2コンテナが支持の役割(転倒防止の役割)を果たして、コンテナの転倒危険に対する安定性を確保することができる。
【0023】
また、本発明に係るコンテナ運搬船は、第1、2コンテナグループが第3コンテナグループに比べて転倒危険性が相対的に低くてラッシングロッドの締結のためのラッシングブリッジを設置しなくてもよく、従来の船幅と同じ幅に設置されるラッシングブリッジに比べて設置数量を減らすことができる。
【0024】
また、本発明に係るコンテナ運搬船は、第1、2コンテナグループが第3コンテナグループの転倒防止の役割を果たすことにより、第3コンテナグループに設置されるラッシングブリッジを、転倒防止のためのラッシングロッド、ラッシングバーなどの締結のための構造が排除されたメンテナンス用にのみ簡単に製作でき、従来の高強度及び高重量のラッシングブリッジに比べて低強度及び低重量のラッシングブリッジに製作でき、ラッシングロッド、ラッシングバーなどの従来の締結装置を省略でき、コストを低減できる。
【0025】
また、本発明に係るコンテナ運搬船は、甲板上に積載され、船体の長さ方向に離隔して対向する1対のコンテナのうちで、船首側コンテナ及び船尾側コンテナそれぞれの後面(コントロールユニットが設けられる面)にはラッシングブリッジが設置され、船首側コンテナ及び船尾側コンテナそれぞれの前面(出入口が設けられる面)にはラッシングブリッジが設置されないようにすることで、従来のラッシングブリッジに比べて設置数量をさらに減らすことができる。
【0026】
また、本発明に係るコンテナ運搬船は、積載される上下コンテナの間を固定するようにコンテナの船積み前にコンテナのコーナーキャスティングに締結されるツイストロックに加え、左右に一定遊びをおいて積載されるコンテナの間の回転変位を制御するようにコンテナの船積み前にコンテナのコーナーキャスティングの側面に締結される転倒防止部材を設けることで、船体のローリング時にコンテナの列と列との間の遊びだけコンテナが回転することによりツイストロックの着脱につながってコンテナが転倒することを、転倒防止部材が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施例に係るコンテナ運搬船の平面図である。
図2図1のY-Y′線に沿って切断したコンテナ運搬船の横断面図である。
図3図1のX-X′線に沿って切断したコンテナ運搬船の縦断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係るコンテナ運搬船のハッチカバーを説明するための図である。
図5】本発明の第2実施例に係るコンテナ運搬船の平面図である。
図6図5のA部分を説明するための図である。
図7図5のX-X′線に沿って切断したコンテナ運搬船の縦断面図である。
図8】本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の斜視図である。
図9】本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の側面図である。
図10】本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の設置状態を説明するための図である。
図11図10のB部分の拡大図である。
図12図12図12(a)及び図12(b)は、本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材が適用される場合と適用されない場合を比較説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的、特定の長所及び新規な特徴は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明と、好ましい実施形態からさらに明らかになるであろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付加するにあたって、同一の構成要素に限り、たとえ別の図面上に示されたとしても、できるだけ同じ番号を付すようにしていることに留意されたい。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施例に係るコンテナ運搬船の平面図であり、図2は、図1のY-Y′線に沿って切断したコンテナ運搬船の横断図面であり、図3は、図1のX-X′線に沿って切断したコンテナ運搬船の縦断図面であり、図4は、本発明の第1実施例に係るコンテナ運搬船のハッチカバーを説明するための図である。
【0031】
図1図4を参照すると、本発明の第1実施例に係るコンテナ運搬船1は、船体10の内部と外部にコンテナCを多段に積載して出発地から目的地まで輸送することができる。
【0032】
船体10は、コンテナ運搬船1の外観をなす。船体10は、甲板11、左舷12aと右舷12bをなす船側外板12、船底板13で囲まれており、前後方向には、前方に船首14、後方に船尾15が設けられる。
【0033】
以下では、船体10の内部構造について説明する。
【0034】
船体10の内部には、コンテナCが積載されることができる。このため、船体10の内部には、前後方向に複数のホールドHが設けられる。ホールドH内には、セルガイド(図示せず)が設けられて、コンテナCの積載をガイドする。
【0035】
ホールドH内には、部分開放型の隔壁(符号不図示)が設けられて、ホールドHをなす複数のベイ(符号不図示)を区画することができる。すなわち、ホールドHは、前後方向に少なくとも2つ以上のベイを含むことができ、各ベイは隔壁によって分離される。この際、部分開放型の隔壁は、2つのベイ間で離隔するように設けられることができ、隔壁間の空間は間隙部Gと呼ばれることがある。
【0036】
また、複数のホールドHは、前後方向に密閉型の隔壁(符号不図示)を有し、ホールドHとホールドHとの間には間隙部Gが形成される。すなわち、いずれか1つのホールドHの前方隔壁とその前に設けられるホールドHの後方隔壁との間は離隔していることができ、離隔した部分である間隙部Gには、水平に置かれるデッキストリップ(図示せず)などが配置されることができる。
【0037】
ホールドHの上部には、ハッチコーミング(図示せず)が設けられる。ハッチコーミングは、ホールドHの入口の周りに上方に突出する枠であってもよく、ハッチカバーVが覆われるための構成であり得る。
【0038】
ハッチコーミングにハッチカバーVが置かれることによってホールドHが外部から密閉されることができ、ただし、ハッチカバーVは、ハッチコーミングに結合するのではなく単に載せられていてもよい。
【0039】
船体10の内部において船尾15に隣接する位置には、エンジンルームRが設けられることができる。エンジンルームR内には、推進エンジン(図示せず)が収容され、推進エンジンは、プロペラと機械的または電気的に連結され、燃料の液化ガスを消費してプロペラの回転を具現する。
【0040】
コンテナ運搬船1がガス燃料推進船である場合、船体10の中央部分において船室Aの下部には、液化ガス貯蔵タンク20が収容されることができる。この際、液化ガス貯蔵タンク20は、船室Aの直下方に設けられることができ、コファダム(図示せず)で囲まれることができる。
【0041】
以下では、船体10の甲板11上に設けられる施設について説明する。
【0042】
船体10の甲板11には船室Aが設けられる。船室Aは、乗船員の居住空間であり、上下方向に複数の層に分かれることができ、最上層には航海を制御する操縦室が設けられることができる。
【0043】
船体10の甲板11上において船室Aの後方には、エンジンケーシングIが設けられる。エンジンケーシングIは、推進エンジンから発生する排気を外部に排出するための煙突を有し、非常用発電機や消火設備などが設けられる空間を形成することもできる。
【0044】
船体10の甲板11において船室AとエンジンケーシングIを除いた部分には、コンテナCが積載されることができる。コンテナCの積載のため、甲板11には、前後方向に一定距離だけ離隔配置されたラッシングブリッジLが設けられる。
【0045】
ラッシングブリッジLは、一般的に1~4段(tier)レベルに積載されるコンテナCの前後に設置されて、コンテナCの転倒防止のためのラッシングロッドの締結を可能にしてコンテナCのラッシング締結がなされるようにしたり、ラッシングロッドを利用したラッシング締結の役割の他に、甲板11上に船積みされるリーファー(reefer)コンテナCに備えられるコントロールユニット(図6の符号「CU」参照)のメンテナンス及びモニタリングのための接近及び作業空間を確保したりすることができるようにする。ラッシングブリッジLには、コンテナCに連結されて電力を供給するソケット(図示せず)が設けられてもよい。この際、ソケットは、リーファー(reefer)コンテナCに連結されて電力を供給するものであり得る。
【0046】
甲板11上に積載されるコンテナCのうちで、ラッシングブリッジLのレベルに船積みされるコンテナCの場合には、前記のようにラッシングブリッジLとこれに締結されるラッシングロッドなどの締結装置を用いてラッシング締結がなされるが、ラッシングブリッジLの高さよりも高いレベルに船積みされるコンテナCの場合には、作業者の接近が不可能であるため、コンテナCの船積み時にコンテナCのコーナーキャスティング(図11の符号「CC」参照)に基本的に締結して上下コンテナCを固定するツイストロック(図11の符号「TL」参照)の他に別途のフィッティング類は適用されていない。
【0047】
ところが、最近はコンテナ運搬船1のコンテナ積載容量がますます増加している傾向であり、積載容量増加と同時に、運航中に積載されたコンテナCの安定性確保、特に転倒危険に対する安定性確保が重要な課題となっている。
【0048】
転倒発生率は、船体10の甲板11上に積載されるコンテナCが運航中の船舶の6自由度運動、特にローリング(rolling)運動によって、ラッシングブリッジLの高さよりも高いレベルに積載される上部のコンテナCで高く現れている。また、従来のコンテナ運搬船は、甲板11上のすべてのコンテナCを、その長さ方向が船体10の長さ方向と一致するように積載していて、船舶のローリング運動による転倒発生可能性が非常に高い実情である。
【0049】
したがって、本実施例のコンテナ運搬船1は、船体10の甲板11全般にわたって多段に積載されるコンテナCのうちで、左右舷12a、12b側甲板11上に積載される第1、2コンテナC1、C2と、第1、2コンテナC1、C2間の甲板11上に積載される第3コンテナC3の配列を従来と異なるようにして全コンテナCの転倒危険に対する安定性を確保しており、以下に具体的に説明する。
【0050】
左舷12a側甲板11上には、船体10の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第1コンテナグループが設けられることができる。
【0051】
複数の第1コンテナグループそれぞれは、船体10の長さ方向に並んで隣り合って配列され、多段に積載される複数の第1コンテナC1からなることができる。この際、複数の第1コンテナC1それぞれは、その長さ方向が船体10の幅方向と一致するように配列されることができる。
【0052】
右舷12b側甲板11上には、船体10の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第2コンテナグループが設けられることができる。
【0053】
複数の第2コンテナグループそれぞれは、船体10の長さ方向に並んで隣り合って配列され、多段に積載される複数の第2コンテナC2からなることができる。この際、複数の第2コンテナC2それぞれは、その長さ方向が船体10の幅方向と一致するように配列されることができる。
【0054】
複数の第1、2コンテナC1、C2からなる第1、2コンテナグループの間の甲板11上には、船体10の長さ方向に互いに離隔して複数に配置される第3コンテナグループが設けられることができる。
【0055】
複数の第3コンテナグループそれぞれは、従来のように船体10の幅方向に並んで隣り合って配置され、多段に船積みされる複数の第3コンテナC3からなることができる。この際、複数の第3コンテナC3それぞれは、その長さ方向が従来のように船体10の長さ方向と一致するように配列されることができる。
【0056】
前記のように、第1、2コンテナグループをなす左右舷12a、12b側に配置される第1、2コンテナC1、C2は、その長さ方向が船舶のローリング方向である船体10の幅方向と一致するように配列されることで、その長さ方向が従来のように船体10の長さ方向と一致するように配列される第3コンテナグループの第3コンテナC3に比べてローリング荷重に強い特性を持つ。
【0057】
船舶のローリング発生時に、左右舷12a、12b側に配置されるコンテナが、本実施例のようにその長さ方向が船体10の幅方向と一致するように配列されることと、従来のようにその長さ方向が船体10の長さ方向と一致するように配列されることと、を比較してみると、ローリング角度によるせん断荷重は同じであるが、ローリング角度によるリフティング(lifting)荷重を受けるコンテナの2つの角荷重は長さ方向に配列されるのに比べて幅方向に配列されるコンテナが1/5程度であって、幅方向に配列されるコンテナが、ローリングによる傾きと同時に、2つの角部分に締結される締結装置(例えば、ツイストロック)の抜けまたは破壊による転倒危険から安定性がさらに高い。
【0058】
また、本実施例とは違って、すべてのコンテナCの長さ方向を船体10の幅方向と一致するように配列する場合、船体10の長さ方向にラッシングブリッジLが設置される必要があり、船舶のデッキの下部構造が一定間隔に船幅方向のバルクヘッド(bulkhead)が構成されることによって、荷重支持の面で問題が発生する可能性がある。
【0059】
これにより、第3コンテナグループの第3コンテナC3が船体10のローリングで左右に揺れても、第1、2コンテナグループの第1、2コンテナC1、C2が支持の役割(転倒防止の役割)を果たして、甲板11上に船積みされるすべてのコンテナCの転倒危険に対する安定性を確保することができる。
【0060】
前記において、第3コンテナC3は、その長さ方向が第1、2コンテナC1、C2のように船体10の幅方向と一致するように配列してもよいが、そうすると、甲板11上のすべてのコンテナCがローリング荷重には強い特性を持つが、ピッチング荷重には脆弱であり得る。したがって、本実施例は、第1、2コンテナC1、C2の長さ方向を船体10の幅方向と一致するように配列し、第3コンテナC3の長さ方向を船体10の長さ方向と一致するように配列することによって、ローリングによる転倒危険だけではなくピッチングによる転倒危険から安定性を確保することができる。
【0061】
また、本実施例のコンテナ運搬船1は、前記のように、第1、2コンテナC1、C2の長さ方向を船体10の幅方向と一致するように配列することによって、第1、2コンテナC1、C2がローリング荷重に強い特性を持つようになるので、第1、2コンテナC1、C2の前後にラッシングブリッジの設置を省略してもローリングによる転倒危険から安全であることができ、転倒危険の相対的に高い第3コンテナC3の前後にのみラッシングブリッジLを設置することができる。すなわち、本実施例のコンテナ運搬船1は、第1、2コンテナC1、C2からなる複数の第1、2コンテナグループにはラッシングブリッジLが設置されず、第3コンテナC3からなる複数の第3コンテナグループの間にのみ一定高さのラッシングブリッジLが設置されることができる。
【0062】
このように、転倒危険が相対的に高い第3コンテナC3からなる第3コンテナグループの前後にのみラッシングブリッジLを設置することで、左舷12aから右舷12bまで甲板11の幅方向全体にわたって設置される従来のラッシングブリッジに比べ、本実施例のラッシングブリッジLは設置数量を減らすことができる。
【0063】
また、本実施例のコンテナ運搬船1は、第1、2コンテナグループをなす第1、2コンテナC1、C2が第3コンテナグループをなす第3コンテナC3の転倒防止の役割を果たすことにより、ラッシングブリッジLを、コンテナCのラッシング締結のための構造が排除されたメンテナンス用にのみ製作可能であり、特に後述する第3実施例の転倒防止部材100が適用される場合にはメンテナンス用にのみの製作可能性がさらに高くなり、従来の高強度及び高重量のラッシングブリッジに比べて低強度及び低重量のラッシングブリッジに製作することができ、ラッシングロッド、ラッシングバーなどの従来の締結装置を省くことができ、コスト低減が可能にする。
【0064】
前記した本実施例のコンテナ運搬船1は、多段に積載される複数の第3コンテナC3のうちで、ラッシングブリッジL間に設置される第3コンテナC3にリーファーコンテナを配置することができ、これに加えて、ラッシングブリッジLが設置されずに多段に船積みされる複数の第1、2コンテナC1、C2のうちで、甲板11でメンテナンス可能な1段に船積みされる第1、2コンテナC2にリーファーコンテナを配置することができる。
【0065】
本実施例のコンテナ運搬船1は、前記のように、左右舷12a、12b側甲板11に配置される第1、2コンテナC1、C2をその長さ方向が船体10の幅方向と一致するようにし、第1コンテナC1と第2コンテナC2との間に配置される第3コンテナC3をその長さ方向が船体10の長さ方向と一致するようにすることによってハッチカバーVの構成も変わり得る。ハッチカバーVは、ホールドHを覆い、その上部にコンテナCが多段に積載されることができ、左舷ハッチカバーV1、右舷ハッチカバーV2、中間ハッチカバーV3に区分されることができる。
【0066】
図4に示すように、中間ハッチカバーV3の上部には、第3コンテナグループをなす複数の第3コンテナC3が船体10の幅方向に並んで隣り合って配置されることができる。中間ハッチカバーV3は、複数の第3コンテナC3それぞれが配置される領域ごとに該当第3コンテナC3の下部コーナー4箇所を固定する固定部材VLが船首14及び船尾15の方に設けられることができる。このような固定部材VLは、40ftサイズの第3コンテナC3を固定するものであり、40ftサイズの第3コンテナC3が配置される領域に20ftサイズのコンテナを2つ配置できるように配置領域の中間にもさらに設けられてもよいことはもちろんである。
【0067】
左右舷ハッチカバーV1、V2の上部には、第1、2コンテナグループをなす複数の第1、2コンテナC1、C2が船体10の長さ方向に並んで隣り合って配置されることができる。左右舷ハッチカバーV1、V2は、複数の第1、2コンテナC1、C2それぞれが配置される領域ごとに該当第1、2コンテナC1、C2の下部コーナー4箇所のうち、一側下部コーナー2箇所を固定する固定部材VLが中間ハッチカバーV3の方にに設けられることができる。このような固定部材VLは、40ftサイズの第3コンテナC3を固定するものであり、40ftサイズの第3コンテナC3が配置される領域に20ftサイズのコンテナを2つ配置できるように配置領域の中間にもさらに設けられてもよいことはもちろんである。
【0068】
ここで、該当第1、2コンテナC1、C2の下部コーナー4箇所のうち、他側下部コーナー2箇所を固定する固定部材VLは、左右舷ハッチカバーV1、V2に設けられず、左右舷ハッチカバーV1、V2の外側に設置されるスツールTに設けられてもよい。
【0069】
前記において、スツールTは、甲板11で左右舷ハッチカバーV1、V2の外側に設置されることができる。ハッチコーミングとハッチカバーVが設けられると、甲板11の上面とハッチカバーVの上面は高さ差が生じるが、ハッチカバーVは船体10の幅より相対的に小さい幅を有するため、左舷ハッチカバーV1の左側端と右舷ハッチカバーV2の右側端それぞれに第1、2コンテナC1、C2を積載するためには前記高さ差を解消できる構成が必要であるため、船体10には、左舷12aと右舷12bをなす船側外板12と並ぶか、船側外板12に隣接する位置で甲板11上にスツールTが前後方向に複数設けられることができ、左右舷ハッチカバーV1、V2に置かれる第1、2コンテナC1、C2は、一側が左右舷ハッチカバーV1、V2により支持され、他側がスツールTにより支持されることができる。
【0070】
これにより、該当第1、2コンテナC1、C2の下部コーナー4箇所のうちの他側下部コーナー2箇所を固定する固定部材VLは、スツールTに設けられることになる。
【0071】
前記において、左右舷ハッチカバーV1、V2の上部には、第1、2コンテナグループをなす複数の第1、2コンテナC1、C2が船側外板12に隣接した状態で船体10の長さ方向に並んで隣り合って配置されるのに加えて、コンテナ運搬船1の積載容量(船幅の大きさ)に応じて、第3コンテナグループをなす複数の第3コンテナC3のうちの少なくとも1つ以上の第3コンテナC3が配置されることができる。これにより、左右舷ハッチカバーV1、V2には、中間ハッチカバーV3に設けられるものと同じ固定部材VLがさらに設けられてもよい。
【0072】
図5は、本発明の第2実施例に係るコンテナ運搬船の平面図であり、図6は、図5のA部分を説明するための図であり、図7は、図5のX-X′線に沿って切断したコンテナ運搬船の縦断面図である。
【0073】
以下では、図5図7を参照して、第2実施例に係るコンテナ運搬船2について説明する。
【0074】
第2実施例に係るコンテナ運搬船2は、前述した第1実施例に係るコンテナ運搬船1と構成的に同一又は同様であることができ、したがって、同一又は同様な構成については同じ符号を付するが、必ずしも同一構成を意味するものではなく、同一構成である場合には重複説明を回避するためにここでの説明は省略し、以下では第1実施例と異なる構成部分についてのみ具体的に説明する。
【0075】
本実施例のコンテナ運搬船2は、前述した第1実施例のコンテナ運搬船1と同様に、第1、2コンテナグループをなす第1、2コンテナC1、C2が第3コンテナグループをなす第3コンテナC3の転倒防止の役割を果たせるように構成されることができる。
【0076】
ただし、本実施例のコンテナ運搬船2は、前述した第1実施例のコンテナ運搬船1と比べて、第3コンテナC3とラッシングブリッジLの構成が異なる。
【0077】
第1実施例のコンテナ運搬船1の場合、第3コンテナC3からなる複数の第3コンテナグループの間ごとにラッシングブリッジLが設置されるのに対して、本実施例のコンテナ運搬船2は、複数の第3コンテナグループを1対ずつ縛って配置し、1対ずつ縛られた第3コンテナC3のうちで、船首14側の第3コンテナ及び船尾15側の第3コンテナの間にのみラッシングブリッジLを設置し、外側にはラッシングブリッジLを設置しないという構成的な違いがあり、以下で具体的に説明する。
【0078】
本実施例において、左右舷12a、12b側甲板11上に設けられる第1、2コンテナC1、C2からなる第1、2コンテナグループと、第1、2コンテナグループの間に設けられる第3コンテナC3からなる第3コンテナグループは、基本的な構成は前述した第1実施例と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明は省略し、以下では第1実施例と比べて異なる構成を中心に説明する。
【0079】
第1、2、3コンテナグループそれぞれは、第1実施例と同様に船体10の長さ方向に互いに離隔して複数に配置されることができる。ただし、本実施例の複数の第3コンテナグループは、図6に示すように、船首14側の第3コンテナC3及び船尾15側の第3コンテナC3それぞれのコントロールユニットCUが備えられる後面が、1つのラッシングブリッジLを挟んで対向するように1対ずつ縛って配置されることができる。この際、1対ずつ縛られて第3コンテナグループの船首14側の第3コンテナC3及び船尾15側の第3コンテナC3それぞれの出入口(図示せず)が備えられる前面には、ラッシングブリッジLが設置されない。
【0080】
すなわち、本実施例のコンテナ運搬船2は、第1、2コンテナグループをなす第1、2コンテナC1、C2が第3コンテナグループをなす第3コンテナC3の転倒防止の役割を果たすことにより、1対ずつ縛って配置される第3コンテナグループの間にのみ1つのラッシングブリッジLを設置しても転倒危険から安定性確保が可能である。
【0081】
本実施例において、ラッシングブリッジLは、縛って配置される1対の第3コンテナグループの間ごとに設置される構成を基本とし、船首14及び/又は船尾15側の最外郭に配置される第3コンテナグループの場合は転倒危険性が相対的に高い可能性があって、コントロールユニットCUのメンテナンスに関係なく外側に選択的に設置されることができる。
【0082】
これにより、本実施例は、第1、2コンテナグループをなす第1、2コンテナC1、C2が第3コンテナグループをなす第3コンテナC3の転倒防止の役割を果たすことにより、複数の第3コンテナグループを1対ずつ縛って配置し、隣り合う1対の第3コンテナグループそれぞれの第3コンテナC3の後面間にのみラッシングブリッジLを設置することで、従来のラッシングブリッジまたは第1実施例のラッシングブリッジLに比べて設置数量をさらに減らすことができる。
【0083】
また、本実施例は、第1実施例のコンテナCの配置とともに、後述する第3実施例の転倒防止部材100を適用する場合、第1、2コンテナグループをなす第1、2コンテナC1、C2が第3コンテナグループをなす第3コンテナC3の転倒防止の役割を果たし、転倒防止部材100も転倒防止の役割を果たすことにより、ラッシングブリッジLを、コンテナCのラッシング締結のための構造が排除されたメンテナンス用にのみ製作することが可能であって、従来の高強度及び高重量のラッシングブリッジに比べて低強度及び低重量のラッシングブリッジに製作することができ、ラッシングロッド、ラッシングバーなどの従来の締結装置を省くことができ、コスト低減が可能にする。
【0084】
また、本実施例は、船体10の長さ方向に複数配置されるラッシングブリッジLの設置数が減少することによって、ラッシングブリッジLの設置されない部分に余裕空間が生じることになり、この余裕空間において隣り合うコンテナCの前面が隣接するように配置することができ、同一船種の場合には船首14または船尾15側に別途の余裕空間を確保できるだけでなく、同一船積容量を維持しながら余裕空間だけ船体10の全長を減らすことができる。
【0085】
前記した本実施例のコンテナ運搬船2は、多段に船積みされる複数の第3コンテナC3のうちで、ラッシングブリッジLに対向して配置される船首14側の第3コンテナC3及び船尾15側の第3コンテナC3にリーファーコンテナを配置することができ、これに加えて、ラッシングブリッジLが設置されずに多段に船積みされる複数の第1、2コンテナC1、C2のうちで、甲板11でメンテナンス可能な1段に船積みされる第1、2コンテナC1、C2にリーファーコンテナを配置することができる。
【0086】
前記した本実施例のコンテナ運搬船2は、甲板11に積載されたコンテナCが前述した第1実施例のコンテナ運搬船1のように長さ方向が船体10の幅方向に配列される第1、2コンテナC1、C2と、長さ方向が船体10の長さ方向に配列される第3コンテナC3である場合を説明したが、これに限定されず、甲板11に積載されたすべてのコンテナCの長さ方向が船体10の長さ方向に配列される従来のコンテナ運搬船にも適用可能であることは言うまでもない。
【0087】
従来のコンテナ運搬船の場合、甲板11に積載されたすべてのコンテナCの長さ方向が船体10の長さ方向に配列され、船体10の長さ方向に離隔して対向する1対のコンテナCのうちで、船首14側コンテナC及び船尾15側コンテナCそれぞれのコントロールユニットCUが備えられる後面が1つのラッシングブリッジLを挟んで対向するように1対ずつ縛って配置されることができる。この際、1対ずつ縛られたコンテナCの船首14側コンテナC及び船尾15側コンテナCそれぞれの出入口(図示せず)が備えられる前面には、ラッシングブリッジLが設置されない。
【0088】
図8は、本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の斜視図であり、図9は、本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の側面図であり、図10は、本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材の設置状態を説明するための図であり、図11は、図10のB部分の拡大図であり、図12の(a)及び(b)は、本発明の第3実施例に係るコンテナ運搬船に適用される転倒防止部材が適用される場合と適用されない場合を比較説明するための図である。
【0089】
図8図12に示すように、本発明の第3実施例に係る転倒防止部材100は、コンテナCを多段に積載して運航するコンテナ運搬船に適用されるコンテナ締結装置であることができる。
【0090】
本実施例の転倒防止部材100は、前述した第1、2実施例のコンテナ運搬船1、2に積載されるすべてのコンテナCはもちろん、他の従来のコンテナ運搬船に船積みされるコンテナに適用されることができ、このようなコンテナ運搬船に適用される場合にコンテナCの転倒防止の役割を果たすことにより、ラッシングブリッジLを、コンテナCのラッシング締結のための構造が排除されたメンテナンス用にのみ製作可能にするだけでなく、従来の高強度及び高重量のラッシングブリッジに比べて低強度及び低重量のラッシングブリッジLに製作可能にし、またラッシングロッド、ラッシングバーなどの従来の締結装置を省略できるようにする。以下、具体的に説明する。
【0091】
以下では、説明の便宜のため、転倒防止部材100が第1実施例のコンテナ運搬船1に適用されるものとして説明する。
【0092】
本実施例の転倒防止部材100は、コンテナCの船積み時に上下コンテナCの間を固定するための基本的な締結装置であるツイストロックTLと一緒に使用されることができる。ここでツイストロックTLは、上下に積載されるコンテナCの間を固定するための装置であって、一般的に使用されているツイストロックまたは類似する締結装置であるから、ここではその構造についての具体的な説明は省略する。
【0093】
コンテナCは、上部コーナー4箇所及び下部コーナー4箇所の計8箇所にコーナーキャスティングCCが備えられている。このようなコーナーキャスティングCCは、図11に示すように、一般的に上面または下面にツイストロックTLのような締結装置を締結するための孔と、各側面にラッシングロッド、ラッシングバーのような他の締結装置を締結するための孔と、が設けられている。孔は、横長及び縦長のうちのいずれか1つの長さが長い、例えば楕円形に形成されることができる。
【0094】
ツイストロックTLは、コンテナCの船積み前にコンテナCの下部のコーナー4箇所に備えられたコーナーキャスティングCCそれぞれに一側が締結され、このような状態でスプレッダーなどの移送装置を利用して既に船積みされたコンテナCに移送し、既に船積みされたコンテナCの上部のコーナー4箇所に設けられたコーナーキャスティングCCに、移送されるコンテナCに予め締結されたツイストロックTLの他側が締結されるようにして上下コンテナCの間を固定している。
【0095】
ところで、コンテナ運搬船1の甲板11上に積載されるコンテナCのうちで、ラッシングブリッジLのレベル(例えば、1~4段)に船積みされるコンテナCの場合は、ツイストロックTLに加えて、ラッシングブリッジLを利用してラッシング締結ができるので固定力を高めることができるが、ラッシングブリッジLの高さよりも高いレベル(例えば、5~12段)に積載されるコンテナCの場合は、作業者の接近が不可能であり、基本的な締結装置であるツイストロックTLの他に別途のフィッティング類が適用されておらず、船舶運動(特に、ローリング運動)または海上環境(storm)による水平(horizontal)荷重作用など外部要因によってツイストロックTLの締結解除または破損で転倒危険性が高まっている。
【0096】
また、ツイストロックTLが上下コンテナCの間を締結した状態で、上部側コンテナCから始まる転倒が下部側コンテナCまでドミノのように連続的に転倒が発生してさらに大きな損失をもたらしている。
【0097】
本実施例の転倒防止部材100は、ツイストロックTLと一緒に使用して前記した問題を解決することができ、以下で具体的に説明する。
【0098】
転倒防止部材100は、積載される上下コンテナCの間を固定するようにコンテナCの船積み前にコンテナCのコーナーキャスティングCCに締結されるツイストロックTLに加えて、左右に一定遊びをおいて積載されるコンテナCの間の回転変位を制御するようにコンテナCの船積み前にコンテナCのコーナーキャスティングCCの側面に締結されることができ、変位制御部110と締結部120で構成されることができる。
【0099】
変位制御部110は、図10に示すように、運航中にコンテナCの転倒を防止できるように多段に積載されるコンテナCの列(column)と列との間の遊びを考慮した厚さで製作されることができる。
【0100】
一般に、甲板11の上部に積載される複数のコンテナCの場合、ハッチカバーVの上部では隣り合うコンテナCの列と列との間の遊びが相対的に小さい30mm~90mmの範囲の遊びを有するように積載され、隣り合うハッチカバーVそれぞれに積載される最外郭コンテナCの列と列との間の遊びが相対的に大きい250mm~300mmの範囲の遊びを有するように積載されるなど、隣り合うコンテナCが接触するように積載されず、一定遊びを有するように積載されている。
【0101】
コンテナCの列と列との間の遊びは、船体10のローリング時にコンテナCが回転可能な空間を提供することによって上下コンテナCの間を固定するツイストロックTLの締結解除または破損させる要因として作用し、これによりコンテナCが転倒する可能性がある。
【0102】
これにより、変位制御部110は、コンテナCの列と列との間の遊びを考慮して、様々な厚さに形成されることができる。
【0103】
前記した変位制御部110は、図11に示すように、多段に積載されたコンテナCのうちで、上側コンテナCのコーナーキャスティングCCに締結部120が締結された状態で、少なくとも下側コンテナCのコーナーキャスティングCCの側面まで延びる大きさを有する板状に製作されることができる。
【0104】
締結部120は、コーナーキャスティングCCにツイストロックTLと同時に締結時に干渉を防止できると共に、コーナーキャスティングCCの側面孔に締結された状態からの離脱を防止するための構造で形成されることができる。ここで、コーナーキャスティングCCの側面孔は、前述したように楕円形であってもよい。
【0105】
このような締結部120は、変位制御部110の一側から変位制御部110と垂直方向に一定長さ延ばして設けられることができ、本体121、係止部122、干渉防止部123を含むことができる。
【0106】
本体121は、コーナーキャスティングCCの側面孔に締結された状態でコーナーキャスティングCCに固定されることができる。
【0107】
係止部122は、本体121の端部をなし、本体121から外側に突出し、コーナーキャスティングCCの側面孔に締結されて締結部120の離脱を防止できる。
【0108】
干渉防止部123は、ツイストロックTLと同時に締結されたとき、係止部122がツイストロックTLの端部と干渉を生じないように、ツイストロックTLの端部形状に対応する形状、例えば、本体121の端部から係止部122の終端に行くほどテーパする形状に形成されることができる。
【0109】
前記のように構成される転倒防止部材100は、締結部120を楕円形状のコーナーキャスティングCCの側面孔に締結時に、係止部122が楕円の長さ方向に挿入されるようにした後、90度回転することにより係止部122がコーナーキャスティングCCの内側面に係止されて、コーナーキャスティングCCから離脱しないようになる。
【0110】
このような転倒防止部材100は、運航中に大きなローリング荷重がかかる場合、変位制御部110が積載されたコンテナCの列(column)と列との間の遊びを埋めることにより、コンテナCの列と列との間の遊びによるコンテナCの回転を未然に防止して、ツイストロックTLの着脱または破損を防止することができる。
【0111】
また、本実施例の転倒防止部材100は、コンテナCの船積み前にツイストロックTLとコーナーキャスティングCCに同時に締結可能であるが、ツイストロックTLの場合はコンテナCの下部に備えられる4箇所のコーナーキャスティングCCのすべてに締結されるのに対して、転倒防止部材100の場合はコンテナCの下部に備えられる4箇所のコーナーキャスティングCCのうちで、コンテナCの一側に備えられる2箇所のコーナーキャスティングCCの側面にのみ締結される。すなわち、本実施例の転倒防止部材100は、コンテナCが複数の列に配列されるとき、各列で多段に積載されるコンテナCそれぞれの下部に備えられる4箇所のコーナーキャスティングCCのうちの一側に備えられる2箇所のコーナーキャスティングCCの側面にのみ締結すれば良い。
【0112】
また、本実施例の転倒防止部材100が締結部120によってコンテナCのコーナーキャスティングCCに装着される場合、変位制御部110によって隣り合うコンテナCの間の遊びが減らすので、船舶運動(特にローリング運動)によるコンテナCの回転を根本的に防止することができ、転倒防止部材100が適用される場合と適用されない場合を比較した図12の(a)及び(b)によってさらに理解されるであろう。
【0113】
図12の(a)は、本実施例の転倒防止部材100が適用されない場合であって、左舷12aまたは右舷12b方向に船体10のローリングが発生すると、コンテナCの列と列との間の遊びだけコンテナCがローリング方向に回転することになり、これにより、上下コンテナCの間を固定するツイストロックTLが着脱または破損されてコンテナCが転倒される可能性がある。これに対して、図12の(b)のように、本実施例の転倒防止部材100が適用されると、左舷12aまたは右舷12b方向に船体10のローリングが発生しても、変位制御部110が左右コンテナCの間に挟まれて支持することになって、コンテナCがローリング方向に回転できなくなり、これにより変位制御部110がコンテナCの左右上下回転変位を制御することによって、上下コンテナCの間を固定するツイストロックTLが着脱または破損されることを防止できる。
【0114】
また、本実施例の転倒防止部材100は、ツイストロックTLと同じくコンテナCの船積み前に事前締結が可能な形態であるので、特に作業者の接近が不可能でフィッティング類の締結が不可能であった上側に積載されるコンテナCに対して、運航中に転倒危険性から安定性を確保できるようにする。
【0115】
以上では、本発明の実施例を中心に本発明を説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野の通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な技術内容から逸脱しない範囲で実施例に例示されていない様々な組み合わせまたは変形と応用が可能であることが分かるであろう。したがって、本発明の実施例から容易に導出可能な変形と応用に関する技術内容は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0116】
1、2 コンテナ運搬船
C コンテナ
C1 第1コンテナグループ
C2 第2コンテナグループ
C3 第3コンテナグループ
CU コントロールユニット
CC コーナーキャスティング
TL ツイストロック
A 船室
I エンジンケーシング
R エンジンルーム
H ホールド
V ハッチカバー
V1 左舷ハッチカバー
V2 右舷ハッチカバー
V3 中間ハッチカバー
VL 固定部材
T スツール
G 間隙部
L ラッシングブリッジ
10 船体
11 甲板
12 船側外板
12a 左舷
12b 右舷
13 船底板
14 船首
15 船尾
20 液化ガス貯蔵タンク
100 転倒防止部材
110 変位制御部
120 締結部
121 本体
122 係止部
123 干渉防止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】