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特表2024-511839少なくとも2つの異なる核酸を担持した細胞外小胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】少なくとも2つの異なる核酸を担持した細胞外小胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/88 20060101AFI20240308BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240308BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240308BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240308BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240308BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240308BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C12N15/88 Z ZNA
C12N15/09 110
C12N15/113 Z
C12N15/13
C12N5/078
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P29/00
A61P9/00
A61P1/00
A61P43/00
A61K35/12
A61K31/7088
A61K47/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560338
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 SG2022050187
(87)【国際公開番号】W WO2022211740
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/169,161
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522279210
【氏名又は名称】カーマイン・セラピューティクス・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】河村 有美
(72)【発明者】
【氏名】ヨー,ロネ・ウィー・イエ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BA22
4B065CA44
4C076AA19
4C076AA95
4C076CC04
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC27
4C076EE57
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA24
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC54
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB70
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZA66
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC54
(57)【要約】
少なくとも2つの異なる核酸を担持した細胞外小胞。カーゴを担持した細胞外小胞であって、カーゴが、少なくとも2つの異なる核酸を含む、細胞外小胞、ならびにそのような細胞外小胞を調製する方法および使用する方法。
【選択図】図2-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーゴを担持した細胞外小胞の集団であって、カーゴが、少なくとも2つの異なる核酸分子を含み、集団が、トランスフェクション試薬の存在下において、細胞外小胞をカーゴと接触させることによって調製される、集団。
【請求項2】
トランスフェクション試薬が、カチオン性脂質試薬である、請求項1に記載の集団。
【請求項3】
トランスフェクション試薬が、Lipofectamine(商標)3000(商標)(ThermoFisher)、Turbofect(商標)(ThermoFisher)、Lipofectamine(商標)MessengerMAX(商標)(ThermoFisher)、Exofect(商標)(System Biosciences)、および直鎖状ポリエチレンイミン塩酸塩からなる群から選択される、請求項2に記載の集団。
【請求項4】
トランスフェクション試薬が、25,000Daまたは40,000Daの平均分子量を有する直鎖状ポリエチレンイミン塩酸塩である、請求項3に記載の集団。
【請求項5】
トランスフェクション試薬が、PEIMax(商標)(Polysciences、Inc.)またはjetPEI(登録商標)(Polyplus transfection)である、請求項4に記載の集団。
【請求項6】
カーゴを担持した細胞外小胞であって、カーゴが、少なくとも2つの異なる核酸分子を含む、細胞外小胞。
【請求項7】
少なくとも2つの異なる核酸分子が、非同一配列を有する、請求項6に記載の細胞外小胞。
【請求項8】
少なくとも2つの異なる核酸分子が、異なるタイプの核酸分子である、請求項6または7に記載の細胞外小胞。
【請求項9】
核酸分子が、DNAプラスミド、RNAプラスミド、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、RNAミニサークル、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、および発現ベクターからなる群から選択される、請求項6~8のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項10】
カーゴが、DNAおよびRNA、少なくとも2つの異なるmRNA分子、プラスミドおよびgRNA、mRNAおよびgRNA、プラスミドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドおよびsiRNAを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項11】
カーゴが、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの構成要素を含む、請求項6に記載の細胞外小胞。
【請求項12】
カーゴが、gRNA分子、およびヌクレアーゼをコードする核酸分子を含み、好ましくは、ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼまたはCas12ヌクレアーゼである、請求項11に記載の細胞外小胞。
【請求項13】
gRNAが、sgRNAまたはpegRNAである、請求項12に記載の細胞外小胞。
【請求項14】
カーゴが、DNA修復テンプレートをさらに含む、請求項12または13に記載の細胞外小胞。
【請求項15】
抗原結合性分子またはその断片をコードするmRNAまたはプラスミドを含む細胞外小胞。
【請求項16】
抗原結合性分子の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸および抗原結合性分子の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸を含む、請求項15に記載の細胞外小胞。
【請求項17】
抗原結合性分子が、抗体またはその抗原結合性断片である、請求項15または16に記載の細胞外小胞。
【請求項18】
抗原結合性分子が、抗体またはscFvである、請求項17に記載の細胞外小胞。
【請求項19】
赤血球に由来する、請求項6~18のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項20】
細胞外小胞を含む組成物であって、組成物中の細胞外小胞の少なくとも1つが、請求項6~19のいずれか一項に記載の細胞外小胞である、組成物。
【請求項21】
カーゴを細胞外小胞に担持する方法であって、
a.細胞外小胞に担持されるカーゴ分子を含む混合物を提供する工程;および
b.細胞外小胞にカーゴ分子を担持するのに十分な条件下において細胞外小胞を接触させる工程;
を含み、カーゴ分子の記混合物が、少なくとも2つの異なる核酸分子を含む、方法。
【請求項22】
混合物が、トランスフェクション試薬をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
混合物が、少なくとも2つの異なる核酸分子を、約1:1または2:1~1:2の間または3:1~1:3の間の比において含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも2つの核酸分子を組み合わせて核酸分子の混合物を提供する工程、およびその後の、カーゴ分子の混合物をトランスフェクション試薬と接触させる工程によって混合物が調製される、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2つの異なる核酸分子が、非同一配列を有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも異なる2つの核酸分子が、異なるタイプの核酸分子である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
核酸分子が、DNAプラスミド、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、発現ベクター、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、RNAプラスミド、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、およびRNAミニサークルからなる群から選択される、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
カーゴが、DNAおよびRNA、少なくとも2つの異なるmRNA分子、プラスミドおよびgRNA、またはmRNAおよびgRNA、プラスミドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドおよびsiRNAを含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
カーゴが、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの構成要素を含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
カーゴが、gRNA分子、およびヌクレアーゼをコードする核酸分子を含み、好ましくは、ヌクレアーゼは、Cas9またはCas12ヌクレアーゼである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
カーゴが、抗原結合性分子をコードする2つ以上の核酸分子を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
細胞外小胞が、抗原結合性分子の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸および抗原結合性分子の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
細胞外小胞が、赤血球に由来する、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
2つ以上の核酸を細胞に送達する方法であって、細胞を1つまたは複数の請求項6~20のいずれか一項に記載の細胞外小胞と接触させる工程を含む方法。
【請求項35】
治療方法における使用のための、請求項6~20のいずれか一項に記載の細胞外小胞。
【請求項36】
請求項6に記載の細胞外小胞を、治療と必要とする対象に投与する工程を含む治療方法。
【請求項37】
疾患または障害の治療のための医薬品の製造における、請求項6~20のいずれか一項に記載の細胞外小胞の使用。
【請求項38】
請求項35~37に記載の、使用のための細胞外小胞、治療方法、または使用であって、治療方法が、遺伝病、炎症性疾患、がん、自己免疫疾患、心血管疾患、または消化器系疾患を患う対象への請求項6~20のいずれか一項に記載の細胞外小胞の投与を伴う、使用のための細胞外小胞、治療方法、または使用。
【請求項39】
対象ががんを有し、がんが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、乳がん、肺がん、肝臓がん、結直腸がん、上咽頭がん、腎がん、または神経膠腫から選択されてもよい、請求項38に記載の、使用のための細胞外小胞、治療方法、または使用。
【請求項40】
方法が、核酸カーゴによってコードされるタンパク質またはペプチドの発現による患者における疾患の治療を伴う、請求項37~39のいずれか一項に記載の、使用のための細胞外小胞、治療方法、または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年3月31日に出願された米国特許仮出願第63/169,161号の恩典を主張するものであり、なお、当該仮特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
核酸療法は、遺伝子のレベルでの治療介入を可能にする新規のモダリティーを代表するものである。そのようなものとして、これらに限定されるわけではないが、短鎖RNA(short RNA)、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、短鎖干渉RNA(siRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)など、長鎖RNA(long RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、さらには二本鎖DNA(dsDNA)などが挙げられる。これらのモダリティーは、通常、それらが疾患関連タンパク質の産生を阻害または促進するときに、疾患を変更すると考えられる。CRISPR-Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、および転写活性因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)などのゲノム編集ツールの発見により、現在、疾患は、ゲノムレベルで根本的に正すことができる。しかしながら、次世代薬としての核酸の臨床開発は、主に、送達における制限、それらが細胞膜に侵入できないことの結果、循環におけるヌクレアーゼへの免疫原性および易傷性によって妨げられている。
【0003】
現在、ほとんどの核酸療法は、パチシラン(遺伝的トランスチレチン媒介性アミロイドーシスに対するsiRNA)、ボレチジーンネパルボベック(レーバー先天性黒内障に対するAAV遺伝子療法)、またはPfizer-BioNTech COVID-19 mRNAワクチンなどの承認された薬物によって例証されるように、単一の標的を伴う。しかしながら、2つ以上の遺伝子産物の送達から恩恵を受けるいくつかの治療応用が存在する。そのような例の1つは、ベクター化抗体、または抗体遺伝子療法の概念であり、抗体は、抗体の重鎖および軽鎖をコードする2つの導入遺伝子の送達を伴う遺伝子療法治療の後に、肝臓などの患者の臓器から内因的に生産される。別の例は、複数の成分の共送達のための効率的なビヒクルを必要とするゲノム編集である。詳細には、CRISPR-Cas9システムによって媒介される遺伝子挿入は、Cas9およびガイドRNAのための転写物、ならびに相同組換え修復のためのDNAテンプレートを必要とする。プライム編集は、操作された逆転写酵素に融合させたSpCas9エンドヌクレアーゼをコードする転写物、ならびにプライム編集ガイドRNA(pegRNA)の共送達を伴う。
【0004】
広く探検された最先端の送達ビヒクルの2つは、すなわち、アデノ随伴ウイルス(AAV)および脂質ナノ粒子(LNP)である。AAVは、分裂細胞および静止細胞の両方に感染することができる小さな(20nm)複製欠損ウイルスである。これらのウイルスは、同じ用量の他のウイルスと比較して、疾患を引き起こして比較的軽度の免疫反応を誘発することはないと思われているため、遺伝子療法応用のために活発に用いられている。しかしながら、それらは、それらの小さい導入遺伝子容量(4.5kb)によって制限され、ならびにそれらは、再投薬に対する適応性免疫反応に起因して、再投薬することができない。LNPは、送達ビヒクルの次のクラスであり、肝細胞および樹状細胞へRNAを送達するその能力は、臨床的に検証されている。しかしながら、LNPは、循環において比較的不安定であり、肝細胞以外の組織への核酸の全身送達は、非常に困難なままである。
【0005】
細胞外小胞(EV)は、細胞間での生体分子の移送を媒介する細胞由来脂質膜結合小胞である。EVは、生体適合性であり、独特な天然指向性を有しており、ならびに、それらの細胞起源に応じて、それらの毒性または免疫原性の脅威は低い。発明者らは以前に、赤血球EV(RBCEV)は、例えば、ASO、mRNA、およびDNAなど、様々なペイロードを外因的に担持することができることを実証した(例えば、国際出願PCT/SG2021/050020を参照されたく、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)。
【0006】
本発明は、上記の検討の観点から工夫された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
カーゴを担持した細胞外小胞であって、カーゴが、少なくとも2つの異なる核酸分子を含む、細胞外小胞が、本明細書において提供される。いくつかの場合において、カーゴは、少なくとも3つの異なる核酸分子を含む。
【0008】
核酸分子は、DNAプラスミド、RNAプラスミド、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、RNAミニサークル、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー(gapmer)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、および発現ベクターからなる群から選択され得る。
【0009】
当該少なくとも2つの異なる核酸分子または少なくとも3つの異なる核酸分子は、非同一配列を有し得る。追加的にまたは代替的に、当該少なくとも2つの異なる核酸分子または少なくとも3つの異なる核酸は、異なるタイプの核酸分子であってもよい。例えば、カーゴは、少なくとも2つの異なる分子を含み得、この場合、当該少なくとも2つの異なる分子のそれぞれは、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、発現ベクター、DNAプラスミド、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、RNAプラスミド、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、およびRNAミニサークルからなる群から独立して選択される。好ましくは、当該少なくとも2つの異なる核酸分子または少なくとも3つの異なる核酸分子は、Cas酵素およびgRNAをコードするmRNAまたはDNAプラスミドを含む。gRNAは、好ましくは、pegRNAまたはsgRNAである。いくつかの場合において、カーゴは、DNAとRNA、少なくとも2つの非同一分子、少なくとも2つの異なるmRNA、プラスミドとgRNA、またはmRNAとgRNAを含み得る。いくつかの場合において、当該少なくとも2つの異なる核酸分子は、プラスミド、例えば、DNAプラスミドなど、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの場合において、当該少なくとも2つの異なる核酸分子は、プラスミド、例えば、DNAプラスミドなど、およびsiRNAを含む。
【0010】
ある特定の態様において、細胞外小胞は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの構成要素を含む。いくつかの態様において、細胞外小胞は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの少なくとも2つまたは少なくとも3つの構成要素を含む。例えば、細胞外小胞は、gRNA、例えば、sgRNAなど、およびヌクレアーゼをコードする核酸分子を含み得る。当該ヌクレアーゼは、Cas9またはCas12ヌクレアーゼであり得る。細胞外小胞は、DNA修復テンプレートを含み得る。したがって、細胞外小胞は、gRNA、ヌクレアーゼをコードする核酸、およびDNA修復テンプレートからなる群から選択される1つ、2つ、または3つの構成要素を含み得る。
【0011】
別の態様において、細胞外小胞は、抗原結合性分子または断片をコードする核酸あるいは抗原結合性分子を含む。抗原結合性分子またはその断片は、抗体、scFv、Fab、F(ab)、ミニボディ、またはダイアボディであり得る。細胞外小胞は、抗原結合性分子またはその断片の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸ならびに抗原結合性分子またはその断片のさらなるポリペプチドをコードする第2の核酸を含み得る。
【0012】
好ましい態様において、細胞外小胞は、赤血球に由来する細胞外小胞である。
さらに、本明細書において開示される細胞外小胞を含む組成物も、本明細書において説明される。これらの組成物において、細胞外小胞のうちの少なくとも1つは、カーゴを含み、この場合、カーゴは、少なくとも2つの異なる核酸を含む。いくつかの場合において、組成物は、複数の細胞外小胞を含む。そのような組成物において、組成物中の細胞外小胞のうちの1つ、いくつか、または実質的に全ては、カーゴを含み得、この場合、カーゴは、少なくとも2つの異なる核酸分子または少なくとも3つの異なる核酸分子を含む。
【0013】
さらに、カーゴを含む細胞外小胞を調製する方法であって、カーゴが、少なくとも2つの異なる核酸分子を含む、方法も、本明細書において説明される。いくつかの場合において、この方法は、a)細胞外小胞に担持される核酸分子を含む混合物を提供する工程;およびb)細胞外小胞に核酸分子を担持するのに十分な条件下において当該混合物を細胞外小胞と接触させる工程であって、核酸分子の混合物が、少なくとも2つの異なる核酸分子を含む、工程を含む。いくつかの態様において、当該混合物は、トランスフェクション試薬をさらに含む。他において、この方法は、混合物が細胞外小胞と接触させられた後に、エレクトポレーション処理する工程をさらに含む。いくつかの方法において、当該混合物は、約1:1の比において、少なくとも2つの異なるカーゴ分子を含む。好ましくは、担持済みの細胞外小胞は、赤血球由来の細胞外小胞(RBCEV)である。
【0014】
本明細書において説明されるいくつかの方法は、細胞外小胞に担持される核酸分子を含む混合物を調製する工程を伴う。この工程は、核酸分子の混合物を調製する工程であって、核酸分子の少なくとも1つが、混合物中の他の核酸分子とは異なっており、トランスフェクション試薬が、この混合物に加えられる、工程を伴い得る。あるいは、この工程は、2つ以上の副混合物(sub-mixture)の調製であって、各副混合物が、細胞外小胞に担持される核酸分子およびトランスフェクション試薬を含む、調製を伴い得る。次いで、副混合物は、混合物を形成するために組み合わされる。
【0015】
少なくとも2つの異なるカーゴ分子は、それぞれ核酸分子である。少なくとも2つの異なるカーゴ分子は、両方ともプラスミドであり得る。少なくとも2つの異なるカーゴ分子は、両方ともRNA分子であり得る。少なくとも2つの異なる核酸分子は、非同一配列を有し得、および/または、少なくとも2つの異なる核酸分子は、異なるタイプの核酸分子であり得る(例えば、本開示を読む当業者に明らかであるように、少なくとも1つのDNAと少なくとも1つのRNA、少なくとも1つのプラスミドと少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、少なくとも1つのプラスミドと少なくとも1つのRNA、少なくとも1つの環状核酸と少なくとも1つの非環状核酸など)。
【0016】
混合物の核酸は、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、発現ベクター、DNAプラスミド、RNAプラスミド、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、およびRNAミニサークルからなる群から選択され得る。カーゴは、DNAとRNA、少なくとも2つの非同一分子、少なくとも2つの異なるmRNA、プラスミドとgRNA、またはmRNAとgRNAを含み得る。
【0017】
本明細書において提供される本開示を検討することによって容易に理解されるように、同時封入された核酸は、およそ同じサイズであってもよく、または異なるサイズであってもよい。実際に、いくつかの実施形態において、同時封入された核酸は、一般的な構造的特徴全体を共有し得るか(例えば、プラスミドであるということ、例えば、いくつかの実施形態において同じであり得る発現制御エレメントなど、ならびに、例えば、異なって発現された[別名「ペイロード」]配列など)、または、特定の配列および/または他の構造的バリエーションを除いて、実質的に同じでさえあり得る。あるいは、本明細書において教示されるように(ならびに、例示によって確認されるように)、共担持された核酸は、非常に異なるサイズであってもよい(例えば、1つまたは複数のプラスミドおよび1つまたは複数のオリゴヌクレオチド)。
【0018】
ある特定の方法は、核酸分子の担持を伴い、この場合、核酸分子は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの構成要素を含むかまたはコードする。そのような方法において、混合物は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムの構成要素を含み得るかまたはコードし得る。当該混合物は、gRNA分子とヌクレアーゼをコードする核酸分子とを含み得る。当該ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼまたはCas12ヌクレアーゼであり得る。
【0019】
ある特定の方法は、カーゴ分子の担持を伴い、この場合、カーゴ分子は、抗原結合性分子をコードする2つ以上の核酸分子を含む。そのような方法において、当該混合物は、抗原結合性分子の第1のポリペプチドをコードする第1の核酸および抗原結合性分子の第2のポリペプチドをコードする第2の核酸を含み得る。
【0020】
別の態様において、2つ以上の核酸分子を細胞に送達する方法であって、当該細胞を本発明による細胞外小胞と接触させる工程を含む方法が、本明細書において説明される。さらに、治療方法における使用のための細胞外小胞、治療法、ならびに疾患または障害の治療のための医薬品の製造における細胞外小胞の使用も、本明細書において説明される。これらの態様は、遺伝病、炎症性疾患、がん、自己免疫疾患、心血管疾患、または消化器系疾患を患う対象への本発明による細胞外小胞の投与を伴い得る。当該対象は、がんを有し得、当該がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、乳がん、肺がん、肝臓がん、結直腸がん、上咽頭癌、腎がん、または神経膠腫から選択されてもよい。これらの態様は、核酸によってコードされるタンパク質またはペプチドの発現による患者の疾患の治療を伴い得る。それらは、遺伝子編集または遺伝子療法による疾患の治療を伴い得る。
【0021】
本発明は、明確に許容されないかまたは明確に回避される場合を除いて、説明される態様と好ましい特徴との組合せを包含する。
本発明の原則を例示する実施形態および実験が、以下において付随の図面を参照しながら説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1-1】2つのプラスミドのRBCEV担持。RBCEVは、copGFP(CMV-copGFP)またはtdTomato(CMV-tdTomato)をコードするプラスミドが別々に担持され、共トランスフェクトされるか、あるいは、同時に担持され(共担持され)、293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトされる。293T細胞は、0.084pmolのDNAを用いてトランスフェクトされ、ならびにHepG2細胞は、0.168pmolのDNAを用いてトランスフェクトされる。RBCEVのトランスフェクションの48時間後に撮影された、293T細胞(A)またはHepG2細胞(B)のエピ蛍光画像、ならびにフローサイトメトリー(PE対FITC)によって解析された細胞の対応するドットプロット。共局在化シグナルの相関度を測定するためにピアソン相関係数を使用した、293T細胞またはHepG2細胞の2色チャネル画像の共局在化分析。FITCチャネルおよびPEチャネルにおいてゲートされたGFPおよびtdTomato陽性293T細胞またはHepG2細胞の割合。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05、**はp<0.001を表す。
図1-2】2つのプラスミドのRBCEV担持。RBCEVは、copGFP(CMV-copGFP)またはtdTomato(CMV-tdTomato)をコードするプラスミドが別々に担持され、共トランスフェクトされるか、あるいは、同時に担持され(共担持され)、293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトされる。293T細胞は、0.084pmolのDNAを用いてトランスフェクトされ、ならびにHepG2細胞は、0.168pmolのDNAを用いてトランスフェクトされる。RBCEVのトランスフェクションの48時間後に撮影された、293T細胞(A)またはHepG2細胞(B)のエピ蛍光画像、ならびにフローサイトメトリー(PE対FITC)によって解析された細胞の対応するドットプロット。共局在化シグナルの相関度を測定するためにピアソン相関係数を使用した、293T細胞またはHepG2細胞の2色チャネル画像の共局在化分析。FITCチャネルおよびPEチャネルにおいてゲートされたGFPおよびtdTomato陽性293T細胞またはHepG2細胞の割合。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05、**はp<0.001を表す。
図2-1】トラスツズマブ軽鎖(CAG-LC)および重鎖(CAG-HC)プラスミドのRBCEV担持。RBCEVは、LCおよびHCが共担持されるか、LCおよびHCが別々に担持されるか、またはIRES(CAG-LC-IRES-HC)またはP2A(CAG-LC-P2A-HC)を有する単一の2シストロン性ベクターが担持され、ならびに当モルDNA量において293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトされる。トランスフェクションの48時間後、細胞培養上清中の可溶性トラスツズマブレベルを、ELISAによって定量化した(A)。プラスミドのDNA担持効率を、担持反応に加えたプラスミドの開始量および担持反応後に回収したプラスミドの最終的な量に基づいて計算した(B)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05を表す。LCおよびHCを共担持したRBCEV(共担持)またはLCおよびHCを別々に担持し、1:1の比で混合したRBCEV(共トランスフェクト)を注射されたSCIDマウスからの、注射の7、14、21、および28日後における血清トラスツズマブ発現(C)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=5であり、はp<0.05を表す。
図2-2】トラスツズマブ軽鎖(CAG-LC)および重鎖(CAG-HC)プラスミドのRBCEV担持。RBCEVは、LCおよびHCが共担持されるか、LCおよびHCが別々に担持されるか、またはIRES(CAG-LC-IRES-HC)またはP2A(CAG-LC-P2A-HC)を有する単一の2シストロン性ベクターが担持され、ならびに当モルDNA量において293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトされる。トランスフェクションの48時間後、細胞培養上清中の可溶性トラスツズマブレベルを、ELISAによって定量化した(A)。プラスミドのDNA担持効率を、担持反応に加えたプラスミドの開始量および担持反応後に回収したプラスミドの最終的な量に基づいて計算した(B)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05を表す。LCおよびHCを共担持したRBCEV(共担持)またはLCおよびHCを別々に担持し、1:1の比で混合したRBCEV(共トランスフェクト)を注射されたSCIDマウスからの、注射の7、14、21、および28日後における血清トラスツズマブ発現(C)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=5であり、はp<0.05を表す。
図2-3】トラスツズマブ軽鎖(CAG-LC)および重鎖(CAG-HC)プラスミドのRBCEV担持。RBCEVは、LCおよびHCが共担持されるか、LCおよびHCが別々に担持されるか、またはIRES(CAG-LC-IRES-HC)またはP2A(CAG-LC-P2A-HC)を有する単一の2シストロン性ベクターが担持され、ならびに当モルDNA量において293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトされる。トランスフェクションの48時間後、細胞培養上清中の可溶性トラスツズマブレベルを、ELISAによって定量化した(A)。プラスミドのDNA担持効率を、担持反応に加えたプラスミドの開始量および担持反応後に回収したプラスミドの最終的な量に基づいて計算した(B)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05を表す。LCおよびHCを共担持したRBCEV(共担持)またはLCおよびHCを別々に担持し、1:1の比で混合したRBCEV(共トランスフェクト)を注射されたSCIDマウスからの、注射の7、14、21、および28日後における血清トラスツズマブ発現(C)。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=5であり、はp<0.05を表す。
図3】3つのプラスミドのRBCEV担持。RBCEVに、それぞれ一意の導入遺伝子をコードする3つの異なるプラスミドを担持した。担持済みのRBCEVを、当モルDNA量において293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、RNAを抽出し、遺伝子発現を、qRT-PCRによって特定した転写物レベルによって測定した。発現をGAPDHへ正規化した。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.05、**はp<0.001を表す。
図4-1】DNAおよびmRNAのRBCEV担持。RBCEVに異なる核酸タイプを担持した。RBCEVに、copGFPをコードするdTomato mRNAまたはDNAを別々に担持し(CMV-copGFP)、共トランスフェクトするか、あるいは、同時に担持し(共担持)、当モルのDNA量において293Tにトランスフェクトした。RBCEVのトランスフェクションの48時間後に撮影した293T細胞のエピ蛍光画像(A)、およびフローサイトメトリー(PE対FITC)によって分析された細胞の対応するドットプロット。共局在化シグナルの相関度を測定するためにピアソン相関係数を使用した、293T細胞の2色チャネル画像の共局在分析。FITCチャネルおよびPEチャネルにおいてゲートされたGFPおよびtdTomato陽性293T細胞の割合。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.01を表す。
図4-2】DNAおよびmRNAのRBCEV担持。RBCEVに異なる核酸タイプを担持した。RBCEVに、copGFPをコードするdTomato mRNAまたはDNAを別々に担持し(CMV-copGFP)、共トランスフェクトするか、あるいは、同時に担持し(共担持)、当モルのDNA量において293Tにトランスフェクトした。RBCEVのトランスフェクションの48時間後に撮影した293T細胞のエピ蛍光画像(A)、およびフローサイトメトリー(PE対FITC)によって分析された細胞の対応するドットプロット。共局在化シグナルの相関度を測定するためにピアソン相関係数を使用した、293T細胞の2色チャネル画像の共局在分析。FITCチャネルおよびPEチャネルにおいてゲートされたGFPおよびtdTomato陽性293T細胞の割合。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.01を表す。
図4-3】DNAおよびmRNAのRBCEV担持。RBCEVに異なる核酸タイプを担持した。RBCEVに、copGFPをコードするdTomato mRNAまたはDNAを別々に担持し(CMV-copGFP)、共トランスフェクトするか、あるいは、同時に担持し(共担持)、当モルのDNA量において293Tにトランスフェクトした。RBCEVのトランスフェクションの48時間後に撮影した293T細胞のエピ蛍光画像(A)、およびフローサイトメトリー(PE対FITC)によって分析された細胞の対応するドットプロット。共局在化シグナルの相関度を測定するためにピアソン相関係数を使用した、293T細胞の2色チャネル画像の共局在分析。FITCチャネルおよびPEチャネルにおいてゲートされたGFPおよびtdTomato陽性293T細胞の割合。エラーバーは、平均±標準偏差を表し、n=3であり、はp<0.01を表す。
図5】蛍光標識されたDNAのRBCEV担持。Label IT Nucleic Acid Labeling Kit(Mirus Bio)を使用して、DNAを蛍光発色団(MFP488またはCy5)によって標識した。RBCEVに、MFP488またはCy5標識したDNAを担持するか、あるいは、MFP488およびCy5標識したDNAの等量を同時に担持した。担持済みのRBCEVを、フローサイトメトリーによって分析した。
図6-1】二本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、複数の細胞株において導入遺伝子発現を増加させることができる。Huh-7細胞(A~C)、HepG2細胞(D~F)、およびTHP-1細胞(G~I)を、DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(EV-NP)、あるいは、DNAプラスミドと、12.5~100pmolの漸増投薬量において、NF-κBデコイ(ODN)、スクランブル化(SCD)、ホスホロチオエート修飾NF-κBデコイ(ODN-PS)、またはホスホロチオエート修飾スクランブル化(SCD-PS)オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、遺伝子発現(A、D、G)、平均蛍光強度(B、E、H)、およびフローサイトメトリーによる細胞生存率(C、F、I)について分析した。
図6-2】二本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、複数の細胞株において導入遺伝子発現を増加させることができる。Huh-7細胞(A~C)、HepG2細胞(D~F)、およびTHP-1細胞(G~I)を、DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(EV-NP)、あるいは、DNAプラスミドと、12.5~100pmolの漸増投薬量において、NF-κBデコイ(ODN)、スクランブル化(SCD)、ホスホロチオエート修飾NF-κBデコイ(ODN-PS)、またはホスホロチオエート修飾スクランブル化(SCD-PS)オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、遺伝子発現(A、D、G)、平均蛍光強度(B、E、H)、およびフローサイトメトリーによる細胞生存率(C、F、I)について分析した。
図6-3】二本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、複数の細胞株において導入遺伝子発現を増加させることができる。Huh-7細胞(A~C)、HepG2細胞(D~F)、およびTHP-1細胞(G~I)を、DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(EV-NP)、あるいは、DNAプラスミドと、12.5~100pmolの漸増投薬量において、NF-κBデコイ(ODN)、スクランブル化(SCD)、ホスホロチオエート修飾NF-κBデコイ(ODN-PS)、またはホスホロチオエート修飾スクランブル化(SCD-PS)オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、遺伝子発現(A、D、G)、平均蛍光強度(B、E、H)、およびフローサイトメトリーによる細胞生存率(C、F、I)について分析した。
図7】NF-κBデコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、BL/6マウスにおけるhFIX-HiBit発現を増加させることができる。HiBiTタグ付けされたFIXタンパク質のルミネセンスを、DNAプラスミドのみ(0)を担持したRBCEV、あるいはDNAプラスミドと、25pmol(低用量;ODN-25およびSCD-25)または100pmol(高用量;ODN-100およびSCD-100)において、NF-κBデコイ(ODN)またはスクランブル化(SCD)オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVの投与の1~49日後に測定した。
図8】NF-κBデコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、SCIDマウスでの抗体発現を増加させることができる。DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(0)、あるいはDNAプラスミドと、4mg/kg用量および6mg/kg用量において、NF-κBデコイ(ODN)オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVの投与の1~49日後にマウスの血清においてトラスツズマブを測定した。
図9】DNAベクターとNF-κBデコイオリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVは、インビボにおいて全身性IFNaおよびIFNbを減少させることができる。BL/6マウスに、DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(EV-NP)、または、DNAプラスミドと、100pmol(ODN-100およびSCD-100)において、NF-κBデコイ(ODN)またはスクランブル化(SCD)オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを静脈内尾静脈注射によって注入した。裸のDNAプラスミドを、水圧注入(HDI)によって注入した。異なる時点において血液を採取し、ELISAによってマウスインターフェロンα(IFNa;A)およびインターフェロンβ(IFNb;B)レベルを定量化した。
図10-1】RBCEVに共担持したオリゴヌクレオチド設計のインビトロでの比較。HepG2(A~C)およびHuh7(D~F)細胞を、CMV-copGFPプラスミドと、異なる設計のオリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。GFP発現(A、D)、平均蛍光強度(MFI;B、E)、およびヨウ化プロピジウム(PI)染色を使用した細胞生存率(C、F)を、24時間および48時間の時点に測定した。
図10-2】RBCEVに共担持したオリゴヌクレオチド設計のインビトロでの比較。HepG2(A~C)およびHuh7(D~F)細胞を、CMV-copGFPプラスミドと、異なる設計のオリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。GFP発現(A、D)、平均蛍光強度(MFI;B、E)、およびヨウ化プロピジウム(PI)染色を使用した細胞生存率(C、F)を、24時間および48時間の時点に測定した。
図11】異なるベイトオリゴヌクレオチド設計によるRBCEV担持効率の試験。RBCEVに、プラスミドDNAとTable2(表2)からのベイトオリゴヌクレオチドまたはNF-κBデコイオリゴヌクレオチドとを共担持した。プラスミドおよびオリゴヌクレオチドの担持効率を担持したRBCEVから抽出したDNAのアガロースゲル電気泳動によって測定した。
図12】ベイトオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、インビトロでの導入遺伝子の発現を向上させることができる。Huh7細胞を、プラスミドとベイトオリゴヌクレオチドまたはNF-κBデコイオリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。FIX-Hibitタンパク質発現(A)およびEGFP発現(B)をトランスフェクションの24時間後に測定した。
図13】二本鎖または一本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、インビトロでの導入遺伝子の発現を増加させることができる。Huh7(A)およびHepG2(B)細胞を、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドと二本鎖オリゴヌクレオチド(スクランブル化、NF-κBデコイ)または一本鎖オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVSを用いてトランスフェクトした。ルミネセンスを、NANO-GLO(登録商標)HiBiTアッセイによって24時間後に測定した。
図14-1】一本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、インビトロでの免疫反応と相関する遺伝子発現を調整することができる。THP-1を、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドと、二本鎖オリゴヌクレオチド(スクランブル化、NF-κBデコイ)または一本鎖オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。遺伝子発現を、定量的PCR(qPCR)によって6時間後に測定した。IFNb1(A)、IL6(B)、CXCL10(C)、およびCCL2(D)のためのTaqMan標的特異的プローブを、標的遺伝子に対して使用した。GAPDHに対するTaqMan標的特異的プローブを、cDNAインプットの正規化のために使用した。
図14-2】一本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、インビトロでの免疫反応と相関する遺伝子発現を調整することができる。THP-1を、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドと、二本鎖オリゴヌクレオチド(スクランブル化、NF-κBデコイ)または一本鎖オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした。遺伝子発現を、定量的PCR(qPCR)によって6時間後に測定した。IFNb1(A)、IL6(B)、CXCL10(C)、およびCCL2(D)のためのTaqMan標的特異的プローブを、標的遺伝子に対して使用した。GAPDHに対するTaqMan標的特異的プローブを、cDNAインプットの正規化のために使用した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の態様および実施形態について、付随の図面を参照しながら下記において説明されるであろう。さらなる態様および実施形態は、当業者に明らかであろう。この本文において言及される全ての文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0024】
細胞外小胞
用語「細胞外小胞」(EV)は、本明細書において使用される場合、細胞から細胞外環境へと放出された小さい小胞様構造体を意味する。本明細書において開示される特に好ましい態様において、細胞外小胞は、赤血球に由来する(RBCEV)。
【0025】
細胞外小胞(EV)は、50~1000nmの直径の、原形質膜またはエンドソーム膜の実質的に球形の断片である。細胞外小胞は、病理学的および生理学的条件下において、様々な細胞タイプから放出される。細胞外小胞は、膜を有する。当該膜は、二重層膜(すなわち、脂質二重層)である。当該膜は、原形質膜が起源であり得る。したがって、細胞外小胞の膜は、それが由来する細胞と同様の組成を有し得る。本明細書において開示されるいくつかの態様において、細胞外小胞は、実質的に透明である。
【0026】
細胞外小胞なる用語は、エクソソーム、微小胞、膜ミクロ粒子、エクトソーム、ブレブ、および、アポトーシス体を包含する。細胞外小胞は、外側に向かう細胞膜の出芽および分裂によって産生され得る。当該産生は、自然過程または化学的に誘発または促進された過程であり得る。本明細書において開示されるいくつかの態様において、細胞外小胞は、化学的誘導によって産生された微小胞である。
【0027】
細胞外小胞は、それらの形成の起源に基づいて、エクソソーム、微小胞、またはアポトーシス体として分類され得る。微小胞は、本明細書において開示される本発明による細胞外小胞の特に好ましいクラスである。好ましくは、本発明の細胞外小胞は、原形質膜から放出されており、エンドソーム系を起源としない。本明細書において説明されるある特定の態様において、細胞外小胞は、エクソソームではない。いくつかの場合において、細胞外小胞は非エクソソームEVである。
【0028】
本開示のいくつかの態様および実施形態において、細胞外小胞は、エクソソームではない。本開示のいくつかの態様および実施形態において、細胞外小胞は、エクトソームではない。本開示のいくつかの態様および実施形態において、細胞外小胞は、ブレブではない。本開示のいくつかの態様および実施形態において、細胞外小胞は、アポトーシス体ではない。
【0029】
本開示のいくつかの態様および実施形態において、細胞外小胞は、微小胞または膜ミクロ粒子である。
本明細書において開示される細胞外小胞は、様々な細胞、例えば、赤血球、白血球、がん細胞、幹細胞、樹状細胞、マクロファージなどに由来し得る。好ましい実施形態において、細胞外小胞は、赤血球に由来するが、例えば、細胞株など、任意の源に由来する細胞外小胞を使用してもよい。本明細書において説明される好ましい態様において、細胞外小胞は、赤血球に由来する。
【0030】
微小胞またはマイクロ粒子は、原形質膜の直接的な外側に向かう出芽および分裂によって生じる。微小胞は、典型的にはエクソソームより大きく、100~500nmの範囲の直径を有する。いくつかの場合において、微小胞の組成物は、50~1000nm、50~750nm、50~500nm、50~300nm、50~200nm、50~150nm、101~1000nm、101~750nm、101~500nm、101~300nm、100~300nm、または100~200nmの範囲の直径を有する微小胞を含む。好ましくは、直径は、100~300nmである。
【0031】
例えば、組成物、医薬組成物、医薬品、または調製物などに存在する微小胞の集団は、様々な直径を有する微小胞を含むであろうし、微小胞試料内の微小胞の直径中央値は、50~1000nm、50~750nm、50~500nm、50~300nm、50~200nm、50~150nm、101~1000nm、101~750nm、101~500nm、101~300nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmの範囲であり得る。好ましくは、直径中央値は、50~300nm、50~200nm、50~150nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmの範囲のうちの1つに位置する。平均直径(mean average diameter)は、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、場合により±1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10nmのうちの1つであり得る。
【0032】
エクソソームの直径は、約30~約100nmの範囲である。いくつかの場合において、組成物中に存在し得る、エクソソームの集団は、10~200nm、10~150nm、10~120nm、10~100nm、20~150nm、20~120nm、25~110nm、25~100nm、または30~100nmの範囲の直径を有するエクソソームを含む。好ましくは、当該直径は、30~100nmである。例えば、組成物、医薬組成物、医薬品、または調製物などに存在するエクソソームの集団は、様々な直径を有するエクソソームを含むであろうし、試料内のエクソソームの直径中央値は、10~200nm、10~150nm、10~120nm、10~100nm、20~150nm、20~120nm、25~110nm、25~100nm、または30~100nmの範囲であり得る。好ましくは、直径中央値は、30~100nmの間である。平均直径は、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、または120nm、場合により±1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10nmのうちの1つであり得る。
【0033】
細胞外小胞の集団は、少なくとも10、100、1000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、または1014の細胞外小胞のうちの1つ(場合により、キャリア1mlあたりの)を含み得る。
【0034】
エクソソームは、様々な培養細胞、例えば、リンパ球、樹状細胞、細胞傷害性T細胞、肥満細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、および腸上皮細胞などにおいて観察される。エクソソームは、細胞質における大きな嚢である多胞体内に位置するエンドソームネットワークが起源である。これらの嚢は、原形質膜に融合し、その後に細胞外環境へと放出される。
【0035】
アポトーシス体またはブレブは、1~5μmの範囲の最も大きな細胞外小胞である。アポトーシスを受けている核形成細胞は、核クロマチンの縮合で始まり、膜ブレブ形成を経て、最後に、アポトーシス体を含むEVを放出する、いくつかのステージを経験する。
【0036】
好ましくは、細胞外小胞は、ヒト細胞、またはヒト起源の細胞に由来する。本発明の細胞外小胞は、小胞誘導剤と接触させた細胞から生じ得た。小胞誘導剤は、カルシウムイオノホア、リゾホスファチジン酸(LPA)、またはホルボル-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)であり得る。
【0037】
本明細書において説明される多くの態様において、細胞は、修飾されない。特に、細胞外小胞が由来する細胞は、外因性の核酸またはタンパク質を含まない。いくつかの場合において、細胞は、エクスビボであり、例えば、採血からもたらされる。いくつかの場合において、細胞は、修飾、例えば、形質導入、トランスフェクト、感染、または他の方法での修飾などをされておらず、インビボの細胞と比較して実質的に変わりがない。当該細胞が赤血球である場合、その細胞は、DNAを全く含み得ないか、またはDNAを実質的に含み得ない。赤血球は、無DNAであり得る。したがって、好ましい実施形態において、細胞外小胞は、形成され単離された後で、それらの核酸カートが担持される。好ましくは、細胞外小胞は、細胞外小胞が由来する細胞中に存在した核酸、特にDNAを含まない。
【0038】
赤血球細胞外小胞(RBCEV)
本明細書において開示されるある特定の態様において、細胞外小胞は、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))に由来する。赤血球は、いくつかの理由からEVの好ましい供給源である。赤血球は除核されるため、RBCEVは、他の供給源由来のEV以外の核酸をほとんど含まない。RBCEVは、内因性DNAを含まない。RBCEVは、miRNAまたは他のRNAを含み得る。RBCEVは、発癌性DNAまたはDNA変異などの発癌性物質を含まない。上記において説明されるように、エクソソームは、エンドソームおよび小胞体を含む、細胞のエンドソームネットワークに由来するため、RBCEVは、エクソソームではない。赤血球は、ほとんどの細胞オルガネラを欠いており、特に、エンドソームおよび小胞体を有せず、結果として、エクソソームを産生することができない。
【0039】
いくつかの場合において、当該EVは、赤血球、例えば、ヒト赤血球に由来する非エクソソームEVである。
いくつかの場合において、RBCEVは、RBCから単離される。RBCEVの単離およびキャラクタリゼーションの方法は、Usmanら(Efficient RNA drug delivery using red blood cell extracellular vesicles.Nature Communications 9,2359(2018)doi:10.1038/s41467-018-04791-8)に記載されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0040】
RBCEVは、ヘモグロビンおよび/またはストマチンおよび/またはフロチリン-2を含み得る。それらは、赤色であり得る。典型的には、RBCEVは、透過電子顕微鏡下において、半球形(凹形)の表面または「カップ形」を示す。RBCEVは、細胞表面CD235aを有することによって特徴付けられ得る。
【0041】
本発明によるRBCEVは、約100nm~約300nmの直径であり得る。いくつかの場合において、RBCEVの組成物は、50~1000nm、50~750nm、50~500nm、50~300nm、50~200nm、50~150nm、101~1000nm、101~750nm、101~500nm、101~300nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmの範囲の直径を有するRBCEVを含む。好ましくは、直径は、50~300nm、50~200nm、50~150nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmである。
【0042】
例えば、組成物中に存在し得るような、RBCEVの集団は、異なる直径の範囲を有するRBCEVを含むであろうし、RBCEV試料内のRBCEVの直径中央値は、50~1000nm、50~750nm、50~500nm、50~300nm、50~200nm、50~150nm、101~1000nm、101~750nm、101~500nm、101~300nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmの範囲であり得る。好ましくは、直径中央値は、50~300nm、50~200nm、50~150nm、100~300nm、100~200nm、または100~150nmの間である。平均直径は、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、場合により±1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10nmのうちの1つであり得る。
【0043】
好ましくは、RBCEVは、ヒトまたは動物の血液試料、あるいは一次細胞に由来する赤血球または固定された赤血細胞株に由来する。赤血球は、治療される患者に合うタイプであり得、したがって、赤血球は、A型、B型、AB型、またはO型であり得る。好ましくは、血液は、O型である。血液は、Rh陽性またはRh陰性であり得る。いくつかの場合において、血液は、O型および/またはRh陰性、例えば、タイプO-など、である。血液は、疾患または障害を患っていない、例えば、HIV、HBV、HCV、梅毒、鎌状赤血球貧血、SARS-CoV2、および/またはマラリアを患っていないことが特定されていてもよい。しかしながら、いかなる血液型も使用してもよい。いくつかの場合において、RBCEVは、自家性であり、ならびに、治療される患者から得られた血液試料に由来する。いくつかの場合において、RBCEVは、同種異系であり、ならびに、治療される患者から得られた血液試料に由来していない。
【0044】
RBCEVは、赤血球の試料から単離され得る。赤血球からEVを得るためのプロトコルは、例えば、Daneshら(2014)Blood.2014 Jan 30;123(5):687~696など、当技術分野において既知である。EVを得るために有用な方法は、赤血球を含む試料を提供するまたは得る工程、赤血球に細胞外小胞を産生させる工程、および細胞外小胞を単離する工程を含み得る。試料は、全血試料であり得る。好ましくは、試料の細胞成分が赤血球であるように、赤血球以外の細胞は試料から除去されている。
【0045】
試料の赤血球は、濃縮され得るか、または全血試料の他の成分、例えば、白血球および血漿などから分離され得る。赤血球は、遠心分離法によって濃縮され得る。試料は、白血球除去(leukocyte reduction)を施され得る。
【0046】
赤血球を含む試料は、実質的に赤血球のみを含み得る。細胞外小胞は、赤血球を小胞誘導剤と接触させることによって、赤血球から誘導され得る。小胞誘導剤は、カルシウムイオノフォア、リゾフォスファチジン酸(LPA)、またはホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)であり得る。
【0047】
RBCEVは、遠心分離(超遠心分離の有無にかかわらない)、沈殿、濾過プロセス、例えば、タンジェンシャルフロー濾過またはクロマトグラフィーなどによって単離され得る(例えば、上記のUsmanらを参照されたい)。このように、RBCEVは、RBCおよび混合物の他の成分から分離され得る。
【0048】
細胞外小胞は、赤血球の試料を得る工程;赤血球を小胞誘導剤と接触させる工程;および誘導された細胞外小胞を単離する工程を含む方法によって赤血球から得られ得る。
赤血球は、低速遠心分離において白血球除去(leukodepletion)フィルターを使用することによって、白血球および血漿を含む全血試料から分離され得る。いくつかの場合において、赤血球試料は、他の細胞タイプ、例えば、白血球などを全く含まない。換言すると、赤血球試料は、実質的に赤血球からなる。赤血球は、小胞誘導剤との接触の前に、PBSなど緩衝液において希釈され得る。小胞誘導剤は、カルシウムイオノホア、リゾホスファチジン酸(LPA)、またはホルボル-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)であり得る。小胞誘導剤は、約10nMのカルシウムイオノフォアであり得る。赤血球は、一晩、または少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、または12時間以上において、小胞誘導剤と接触させられ得る。赤血球は、複数の時点において、小胞誘導剤と接触させられ得る。混合物は、RBC、細胞破片、または他の非RBCEV物質を除去するために、低速遠心分離を施され得、および/または、上清を約0.45μmのシリンジフィルターを通過させ得る。RBCEVは、超遠心分離、例えば、約100,000xgでの遠心分離などによって濃縮され得る。RBCEVは、10,000xg、15,000xg、20,000xg、25,000xg、30,000xg、40,000xg、50,000xg、60,000xg、70,000xg、80,000xg、90,000xg、または100,000xgでの遠心分離によって濃縮され得る。本明細書において説明されるある特定の好ましい方法において、RBCEVは、10,000xgと50,000xgとの間、または約15,000xgにおいて濃縮される。RBCEVは、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも1時間の超遠心分離によって濃縮され得る。濃縮されたRBCEVは、冷PBSに懸濁され得る。それらは、60%のスクロースクッション上に層化され得る。スクロースクッションは、凍った60%のスクロースを含み得る。スクロースクッション上に層化されたRBCEVは、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、またはそれ以上の、100,000xgでの超遠心分離を施され得る。好ましくは、スクロースクッション上に層化にされたRBCEVは、約16時間の100、000xgでの超遠心分離を施され得る。次いで、スクロースクッション上の赤い層が収集され、それにより、RBCEVを得る。得られたRBCEVは、さらなる処理、例えば、洗浄、タグ付け、および、場合により、担持などを施され得る。
【0049】
表面タグ付け
細胞外小胞は、好ましくは小胞膜に結合されるかまたは小胞膜を通して挿入されたタグを含み得る。
【0050】
細胞外小胞は、それらの表面にタグを有し得る。タグは、好ましくは、タンパク質またはペプチド配列である。タグは、ペプチドまたはタンパク質であり得る。それは、修飾されたペプチドまたはタンパク質、例えば、グリコシル化またはビオチニル化されたタンパク質またはペプチドなどであり得る。タグは、細胞外小胞に共有結合され得、例えば、細胞外小胞の膜タンパク質に共有結合され得る。タグは、細胞外小胞が形成された後に、
細胞外小胞に加えられてもよい。タグは、タンパク質リガーゼ認識配列またはそれに由来する配列を含むかまたはそれらからなる配列によって細胞外小胞に連結され得る。例えば、タグは、タンパク質リガーゼ認識配列に対して100%の配列同一性、あるいはタンパク質リガーゼ認識配列に対して約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、または約40%の配列同一性を有する配列によって細胞外小胞に連結され得る。当該アミノ酸配列は、LPXTを含み得る。
【0051】
タグは、小胞の外側表面上に存在し得、したがって、小胞外(extravesicular)環境に露出され得る。
タグは、外因性分子であり得る。換言すると、タグは、本来は小胞の外側表面上に存在しない分子である。いくつかの場合において、タグは、細胞外小胞が由来する細胞または赤血球に存在しない外因性分子である。
【0052】
タグは、細胞外小胞の循環における安定性、取込み効率、および有用性を増加し得る。
いくつかの場合において、タグは、身体の循環および臓器において、細胞外小胞またはカーゴを含む細胞外小胞を示すように機能する。ペプチドおよびタンパク質は、例えば、標的細胞の機能の阻止/活性化またはワクチン接種のための抗原の提示など、治療用分子として機能することができる。それらは、例えば、毒素の診断などのバイオマーカー検出のためのプローブとしても機能することができる。
【0053】
タグは、機能的ドメインおよびタンパク質リガーゼ認識配列を含み得る。機能的ドメインは、標的部分に結合することができ得るか、検出することができ得るか、または治療効果を引き起こすことができ得る。機能的ドメインは、標的分子に結合することができ得る。そのような機能的ドメインを含むタグは、本明細書において結合分子と呼ばれ得る。結合分子は、標的分子と特異的に相互作用することができる分子である。結合部分を含む細胞外小胞は、標的分子を有する細胞にカーゴまたは治療薬を送達するために特に有用であり得る。好適な結合分子としては、抗体および抗原結合性断片(時々、抗体断片として知られる)、リガンド分子、および受容体分子が挙げられる。結合分子は、目的の標的に結合するであろう。標的は、目的の細胞に関連する分子、例えば、その表面で発現される分子などであり得る。リガンドは、例えば、受容体分子など、標的細胞上の核酸と複合体を形成し得る。標的は、免疫細胞に関連する分子、例えば、細胞表面マーカーなど、であり得る。好適な結合分子としては、抗体および抗原結合性断片が挙げられる。
【0054】
他の好適な結合分子としては、標的分子に対して親和性を有するリガンドおよび受容体が挙げられる。タグは、細胞表面受容体のリガンドであり得る。例としては、ストレプトアビジンとビオチン、アビジンとビオチン、または他の受容体のリガンド、例えば、フィブロネクチンとインテグリンなどが挙げられる。ビオチンの小さいサイズは、結果として、結合した分子の生物活性に対してわずかしか影響しないかまたは全く影響しない。ビオチンおよびストレプトアビジン、ビオチンおよびアビジン、ならびにフィブロネクチンおよびインテグリンは、高い親和性および特異性においてそれらの対を結合させるため、結合分子として非常に有用である。アビジン-ビオチン複合体は、タンパク質とリガンドの間における既知の最も強力な非共有相互作用(Kd=10-15M)である。結合の形成は急速であり、形成された後は、極端なpH、温度、有機溶媒、および他の変性剤によって影響されない。ストレプトアビジンに対するビオチンの結合も強力であり、急速に形成され、バイオテクノロジー応用において有用である。
【0055】
機能的ドメインは、治療薬を含み得るかまたはそれらからなり得る。当該治療薬は、酵素であり得る。それは、アポトーシス誘導物質または阻害剤であり得る。
機能的ドメインは、抗原または抗体認識配列を含み得る。タグは、1つまたは複数の抗原性ペプチドに由来する1つまたは複数の短いペプチドを含み得る。当該ペプチドは、抗原性ペプチドの断片であり得る。好適な抗原性ペプチドは、当業者に既知である。
【0056】
機能的ドメインは、検出可能な部分を含み得るかまたはそれらからなり得る。検出可能な部分としては、蛍光標識、比色標識、フォトクロミック化合物、磁性粒子、または他の化学標識が挙げられる。検出可能な部分は、ビオチン、FLAGタグ、またはHisタグであり得る。
【0057】
タグは、スペーサーまたはリンカー部分を含み得る。スペーサーまたはリンカーは、タグとタンパク質リガーゼ認識配列の間に配置され得る。スペーサーまたはリンカーは、タグのN末端またはC末端に連結され得る。スペーサーまたはリンカーは、タグの機能、例えば、タグによる標的結合活性などに干渉しないようにまたは妨害しないように、配置され得る。スペーサーまたはリンカーは、ペプチド配列であり得る。いくつかの場合において、スペーサーまたはリンカーは、連続する少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10のアミノ酸、少なくとも11のアミノ酸、少なくとも12のアミノ酸、少なくとも13のアミノ酸、少なくとも14のアミノ酸、または少なくとも15のアミノ酸である。スペーサーまたはリンカーは、フレキシブルであり得る。スペーサーは、複数のグリシンおよび/またはセリンアミノ酸を含み得る。
【0058】
スペーサーおよびリンカー配列は、当業者に既知であり、ならびに、例えば、Chenら,Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369に記載されており、なお、当該特許は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、フレキシブルなリンカー配列であり得る。フレキシブルなリンカー配列は、リンカー配列によって連結されるアミノ酸配列の相対運動を可能にする。フレキシブルなリンカーは、当業者に既知であり、ならびに、いくつかは、Chenら,Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369において識別されている。フレキシブルなリンカー配列は、多くの場合、高い割合のグリシンおよび/またはセリン残基を含む。
【0059】
いくつかの場合において、スペーサーまたはリンカー配列は、少なくとも1つのグリシン残基および/または少なくとも1つのセリン残基を含む。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、グリシン残基およびセリン残基からなる。いくつかの場合において、スペーサーまたはリンカー配列は、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~10のアミノ酸の長さを有する。
【0060】
スペーサーまたはリンカー配列の包含は、細胞外小胞とタグ部分との間のタンパク質リガーゼ反応の効率を向上させ得る。用語「タグ」は、本明細書に使用される場合、タグを含むペプチド、スペーサー、およびタンパク質リガーゼ認識配列を包含し得る。
【0061】
好適なタンパク質リガーゼ認識配列は、当技術分野において既知である。タンパク質リガーゼ認識配列は、細胞外小胞にタグ付けする方法において使用されるタンパク質リガーゼによって認識される。例えば、当該方法において使用されるタンパク質リガーゼが、ソルターゼである場合、タンパク質リガーゼ認識配列は、ソルターゼ結合部位である。それらの場合において、当該配列は、LPXTG(この場合、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸である)、好ましくはLPETGであり得る。あるいは、酵素がアスパラギンエンドペプチダーゼ1(AEP1)である場合、タンパク質リガーゼ認識配列は、NGLであり得る。タンパク質リガーゼ結合部位は、ペプチドまたはタンパク質のC末端に配置され得る。
【0062】
タグは、さらに、タグ自体の作製の間、タグ付け方法の間、または後続の精製の際に、タグの精製または処理を支援するための1つまたは複数のさらなる配列を含み得る。当技術分野において既知の任意の好適な配列が使用され得る。例えば、当該配列は、HAタグ、FLAGタグ、Mycタグ、Hisタグ(例えば、ポリHisタグ、または6xHisタグなど)であり得る。
【0063】
タグは、集団または組成物中の実質的に全ての細胞外小胞に連結され得る。本明細書において開示される組成物は、細胞外小胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、または少なくとも97%がタグを含むような細胞外小胞を含み得る。好ましくは、細胞外小胞の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、または少なくとも97%がタグを含む。いくつかの場合において、組成物内の異なる細胞外小胞は、異なるタグを含む。いくつかの場合において、細胞外小胞は、同じまたは実質的に同じタグを含む。
【0064】
タグを組み入れる方法は、国際出願PCT/SG2019/050481、国際公開第2014/183071(A2)号、国際公開第2014/183066(A2)号、および米国特許出願公開第2014/0030697(A1)号に記載されており、なお、各文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0065】
カーゴ
本明細書において説明される細胞外小胞は、カーゴが担持されるかまたはカーゴを含む。本開示は、特に、複数の非同一核酸を含むカーゴに関する。核酸は、別の核酸が少なくとも1つの特性において異なる場合、その別の核酸と非同一非ある。そのような特性の例は、以下において説明される。用語「非同一」および「異なる」は、本明細書において相互互換的に使用される。
【0066】
本明細書において実証されるように、細胞外小胞は、核酸の異種カーゴを担持することができる。換言すると、細胞外小胞は、少なくとも1つの第1の核酸および少なくとも1つの第2の核酸を含み得る。いくつかの場合において、細胞外小胞は、少なくとも1つの第1の核酸、少なくとも1つの第2の核酸、および少なくとも1つの第3の核酸を含み得る。第1と第2の核酸あるいは第1、第2、および第3の核酸のそれぞれは、非同一である。いくつかの場合において、細胞外小胞第1および第2の核酸あるいは第1、第2、および第3の核酸の少なくとも2つ以上のコピーを含み得る。しかしながら、重要なのは、EVにおける核酸分子の少なくとも1つがEVにおける他の核酸のうちの少なくとも1つと異なっているか、あるいは3つの異なる核酸が担持されたEVの場合、3つの異なる核酸のそれぞれの少なくとも1つが存在することである。
【0067】
核酸は、さらなる核酸が異なるクラスの核酸である場合、そのさらなる核酸と非同一非ある。核酸のクラスとしては、ssDNA、dsDNA、ssRNA、dsRNA、低分子干渉RNA(siRNA)メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、発現ベクター、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、DNAプラスミド、RNAプラスミド、DNAミニサークル、ダンベル型DNA最小ベクター、およびRNAミニサークルが挙げられる。
【0068】
核酸は、DNAであり得る。核酸は、RNAであり得る。核酸は、ssDNAであり得る。核酸は、dsDNAであり得る。核酸は、ssRNAであり得る。核酸は、dsRNAであり得る。核酸は、低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)であり得る。核酸は、ガイドRNA(gRNA)であり得る。核酸は、CRISPR RNA(crRNA)であり得る。核酸は、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)であり得る。核酸は、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)であり得る。核酸は、環状RNAであり得る。核酸は、マイクロRNA(miRNA)であり得る。核酸は、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)であり得る。核酸は、前駆体miRNA(pre-miRNA)であり得る。核酸は、piwi-相互作用RNA(piRNA)であり得る。核酸は、トランスファーRNA(tRNA)であり得る。核酸は、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であり得る。核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり得る。核酸は、ショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。核酸は、低分子活性化RNA(saRNA)であり得る。核酸は、小核小体RNA(snoRNA)であり得る。核酸は、ギャップマーであり得る。核酸は、ロックド核酸(LNA)であり得る。核酸は、ペプチド核酸(PNA)であり得る。核酸は、発現ベクターであり得る。核酸は、DNAプラスミドであり得る。核酸は、RNAプラスミドであり得る。核酸は、DNAミニサークルであり得る。核酸は、ダンベル型DNA最小ベクターであり得る。核酸は、RNAミニサークルであり得る。
【0069】
カーゴは、2つ以上の核酸を含み得、この場合、当該核酸の2つ以上は、異なるタイプの核酸である。カーゴは、3つ以上の核酸を含み得、この場合、当該核酸の3つ以上は、異なるタイプである。カーゴは、同じタイプの2つ以上の核酸を含み得、この場合、当該核酸の2つ以上は、同一ではない。カーゴは、複数のDNA分子を含み得る。カーゴは、複数のRNA分子を含み得る。カーゴは、複数のプラスミドを含み得る。カーゴは、複数のミニサークルを含み得る。カーゴは、複数のダンベル型DNA最小ベクターを含み得る。カーゴは、複数のmRNA分子を含み得る。カーゴは、複数の発現ベクターを含み得る。カーゴは、複数の核酸を含み得、この場合、当該核酸の2つ以上は、それぞれ、ssDNA、dsDNA、ssRNA、dsRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)、環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)、前駆体miRNA(pre-miRNA)、piwi-相互作用RNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、小核小体RNA(snoRNA)、ギャップマー、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、発現ベクター、環状DNA、直鎖状二本鎖DNA、DNAプラスミド、RNAプラスミド、DNAミニサークル、およびRNAミニサークルからなる群から独立して選択される。例えば、カーゴは、DNAおよびRNAを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびgRNAを含み得る。カーゴは、ミニサークルおよびgRNAを含み得る。カーゴは、発現ベクターおよびgRNAを含み得る。カーゴは、mRNAおよびgRNAを含み得る。カーゴは、dsDNAおよびgRNAを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびpegRNAを含み得る。カーゴは、ミニサークルおよびpegRNAを含み得る。カーゴは、発現ベクターおよびpegRNAを含み得る。カーゴは、mRNAおよびpegRNAを含み得る。カーゴは、dsDNAおよびpegRNAを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびミニサークルを含み得る。カーゴは、プラスミドおよび発現ベクターを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびmRNAを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびdsDNAを含み得る。カーゴは、ミニサークルおよび発現ベクターを含み得る。カーゴは、ミニサークルおよびmRNAを含み得る。カーゴは、ミニサークルおよびdsDNAを含み得る。カーゴは、発現ベクターおよびmRNAを含み得る。カーゴは、発現ベクターおよびdsDNAを含み得る。カーゴは、mRNAおよびdsDNAを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。カーゴは、プラスミドおよびsiRNAを含み得る。カーゴは、プラスミド、gRNA、およびdsDNAを含み得る。カーゴは、ミニサークル、gRNA、およびプラスミドを含み得る。カーゴは、ミニサークル、gRNA、およびdsDNAを含み得る。カーゴは、発現ベクター、gRNA、およびプラスミドを含み得る。カーゴは、発現ベクター、gRNA、およびdsDNAを含み得る。カーゴは、mRNA、gRNA、およびプラスミドを含み得る。カーゴは、mRNA、gRNA、およびdsDNAを含み得る。
【0070】
本明細書において説明されるいくつかの態様において、カーゴは、少なくとも2つの非同一核酸を含む。さらなる核酸が異なるサイズ、長さである場合(すなわち、異なる数の塩基または塩基対を有する場合)、さらなる核酸が異なる配列を有する場合、またはさらなる核酸が当該さらなる核酸に対する配列における異なる位置に修飾された塩基を含む場合、核酸は、当該さらなる核酸と非同一非ある。当該核酸は、別々の分子である。少なくとも2つの核酸または少なくとも3つの核酸は、連続しないまたは連続した核酸配列であり、それらは、組み合わされてより大きな核酸を形成する。カーゴは、異なる長さ(すなわち、異なる数の塩基または塩基対)を有する少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、同じ長さを有する少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、少なくとも2つの核酸を含み得、この場合、当該核酸のうちの1つは、一本鎖分子であり、ならびに当該核酸のうちの1つは、二本鎖である。いくつかの場合において、両方の核酸は一本鎖であり、または両方の核酸は二本鎖であるが、サイズ、長さ、または配列など他の点において異なっている。核酸は、さらなる核酸が異なるヌクレオチド配列を含む場合、そのさらなる核酸と非同一であり得る。カーゴは、異なる配列を有する少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、同じ配列を有するが塩基修飾、核酸のタイプ、または二本鎖/一本鎖の鎖特性(strandedness)において異なる少なくとも2つの核酸を含み得る。さらなる核酸が異なる産物タイプ(例えば、目的のペプチド/ポリペプチド、gRNA、siRNA、またはASO)または異なる配列を有する産物(例えば、異なるヌクレオチド配列を有するRNAあるいは異なるアミノ酸配列を有するペプチドまたはタンパク質)をコードする場合、核酸は、そのさらなる核酸と非同一であり得る。カーゴは、異なる産物をコードする少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、同じ産物をコードするが非同一配列を有する、少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、異なる配列を有する産物をコードする少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、同じ配列を有する産物をコードする少なくとも2つの核酸を含み得、この場合、当該核酸は、異なる配列を有する。さらなる核酸が当該核酸に存在しないかまたは当該核酸の異なる位置に存在する1つまたは複数の修飾されたヌクレオチドまたは他の修飾を含む場合、核酸は、当該さらなる核酸と非同一非ある。カーゴは、異なる修飾を有する少なくとも2つの核酸を含み得る。カーゴは、同じ修飾を有する少なくとも2つの核酸を含み得る。
【0071】
核酸
核酸カーゴは、細胞外小胞中またはその上に担持された核酸(例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)を意味する。核酸カーゴは、通常、オリゴヌクレオチド鎖(任意の形態、例えば、一本鎖、二本鎖、高次コイルまたは非高次コイル、染色体性または非染色体性であり得る)を意味する。当該核酸は、他の分子、例えば、キャリア、安定剤、ヒストン、親油性剤など、にコンジュゲートされ得るかまたはそれらと複合体化され得る。
【0072】
本明細書において開示される方法は、任意の核酸カーゴのために使用され得る。核酸は、二本鎖または一本鎖であり得る。核酸は、円形であり得る。
核酸カーゴは、ミニサークルであり得る。ミニサークルは、小さな(約4kbp)円形のレプリコンである。ミニサークルは、通常、DNA、通常は二本鎖DNAを含む。ミニサークルは、いくつかの真核性オルガネラゲノムにおいて天然に生じるが、本明細書において好ましいミニサークルは、合成により得られる。いくつかの場合において、ミニサークルは、複製起点を含まず、したがって、細胞内において複製しない。ミニサークルは、当業者に既知であり、例えば、Gasparら,Minicircle DNA vectors for gene therapy:advances and applications.Expert Opin Biol Ther 2015 Mar;15(3):353~79.doi:10.1517/14712598.2015.996544.Epub 2014 Dec 24を参照されたく、なお、当該文献は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの場合において、ミニサークルは、レポーター遺伝子を含む。
【0073】
核酸は、ダンベル型DNA最小ベクターであり得る。ダンベル型DNA最小ベクターは、Yuら(Nucleic Acids Research 2015:43(18):e120)、Jiangら(Molecular Therapy 2016:24(9):1581~1591)、およびZantaら(PNAS 1999:96:91~96)に記載されており、それぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。ダンベル型DNA最小ベクターは、1つまたは複数のヘアピンを含む二次構造を有するDNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0074】
いくつかの場合において、核酸カーゴは、プラスミドである。プラスミドは、通常、細胞中において独自に複製することができる。当該プラスミドは、複製開始点配列を含み得る。
【0075】
いくつかの場合において、当該核酸は、小胞の表面上のタンパク質に結合する配列を含むようには修飾されない。例えば、カーゴ核酸は、トランス活性化応答(TAR)エレメントを含まない。いくつかの場合において、細胞外小胞は、修飾された表面タンパク質、例えば、外因性ARRDC1タンパク質またはARRDC1タンパク質に由来する配列などを含むようには修飾されない。
【0076】
カーゴは、好ましくは外因性である。換言すると、当該核酸は、細胞外小胞が新たに生成されたときに当該細胞外小胞に存在せず、および/または、細胞外小胞が由来する細胞に存在しない。カーゴは、設計されたように、および/またはインビトロまたはインシリコにおいて構築されたように合成され得る。
【0077】
カーゴは、治療用オリゴヌクレオチドまたは診断用オリゴヌクレオチドであり得る。カーゴは、標的細胞に送達された後に、標的細胞において治療効果を発揮し得る。当該核酸は、目的の遺伝子をコードし得る。例えば、カーゴは、欠損遺伝子(absent gene)を置換する、欠陥遺伝子を修復する、または標的組織において治療効果を誘導するように機能的遺伝子をコードし得る。いくつかの場合において、カーゴは、レポーター遺伝子であるか、または容易に検出可能な分子をコードする。
【0078】
いくつかの場合において、カーゴは、核酸であり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。カーゴは、RNAであり得る。RNAは、治療用RNAであり得る。RNAは、化学的合成またはインビトロ転写によって産生された、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、プライム編集ガイドRNA(pegRNA)環状RNA、マイクロRNA(miRNA)、piwiRNA(piRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、または長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であり得る。いくつかの場合において、カーゴは、例えば、内因性核酸配列、例えば、転写因子、miRNA、または他の内因性mRNAなど、に対して相補的である配列を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0079】
カーゴは、目的の分子であり得るかまたはそれをコードし得る。例えば、カーゴは、Cas9または別のヌクレアーゼをコードするmRNAであり得る。カーゴは、目的の1つまたは複数のペプチド/ポリペプチドをコードし得る。カーゴは、抗原結合性分子またはその断片をコードし得る。
【0080】
いくつかの場合において、カーゴは、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である核酸、またはそれをコードする核酸である。そのようなカーゴは、遺伝子サイレンシングの方法または遺伝子発現を下方制御する方法において有用であり得る。siRNAまたはASOは、標的細胞において発現される配列、例えば、mRNA配列に対応し得る。それは、特定の遺伝子または目的のタンパク質の発現を阻害または増強するように機能し得る。核酸は、標的細胞において発現されるmiRNAに対応するsiRNAまたはASOをコードし得る。
【0081】
カーゴは、mRNAを含み得るかまたはコードし得る。mRNAは、導入遺伝子をコードし得る。
細胞において、アンチセンス核酸は、対応するmRNAにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し得る。細胞は二本鎖であるmRNAを翻訳しないため、アンチセンス核酸は、mRNAの翻訳を妨げ得る。遺伝子のインビトロ翻訳を阻害するためのアンチセンス方法の使用は、当技術分野において周知である(例えば、Marcus-Sakura,Anal.Biochem.1988,172:289を参照されたい)。さらに、DNAに直接結合するアンチセンス分子が使用され得る。アンチセンス核酸は、一本鎖または二本鎖核酸であり得る。アンチセンス核酸の非限定的な例としては、低分子干渉RNA(siRNA;それらの誘導体または前駆体、例えば、ヌクレオチド類似物などを含む)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、saRNAs(低分子活性化RNA)、小核小体RNA(snoRNA)またはそれらの誘導体もしくは前駆体のいくつか、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、あるいは一本鎖分子、例えば、キメラASOまたはギャップマーなどが挙げられる。アンチセンス核酸分子は、RNA干渉(RNAi)または他の細胞劣化メカニズム、例えば、RNase分解などを刺激し得る。
【0082】
いくつかの好ましい実施形態において、カーゴは、microRNAを標的にする、例えばハイブリダイズする、ASOを含むかまたはコードする。いくつかの場合において、ASOは、マイクロRNAの機能を阻害し、ならびにmiRNAによる転写後調節遺伝子発現を防ぐ。いくつかの場合において、ASOは、通常はmiRNAによって下方制御される1つまたは複数の遺伝子の発現を上方制御するように機能する。したがって、アンチセンス核酸カーゴは、標的遺伝子の転写を妨げ得るか、標的mRNAの翻訳を妨げ得るか、および/または、標的mRNAの分解を促進し得る。いくつかの場合において、アンチセンス核酸は、標的遺伝子の発現の減少を引き起こすことができる。
【0083】
本明細書において提供される、「siRNA」、「低分子干渉RNA」、「低分子RNA」、または「RNAi」は、二本鎖RNAを形成する核酸を意味し、この場合、二本鎖RNAは、遺伝子または標的遺伝子が当該二本鎖RNAと同じ細胞において発現される場合にその発現を減少または阻害する能力を有する。ハイブリダイズして二本鎖分子を形成する核酸の相補的部分は、典型的には、実質的または完全な同一性を有する。一実施形態において、siRNAまたはRNAiは、標的遺伝子と実質的または完全な同一性を有し、二本鎖siRNAを形成する核酸である。ある実施形態において、siRNAは、相補的細胞mRNAと相互作用し、それにより相補的mRNAの発現を妨げることによって遺伝子発現を阻害する。典型的には、当該核酸は、少なくとも約15~50ヌクレオチド長である(例えば、二本鎖siRNAの各相補的配列は、15~50ヌクレオチド長であり、ならびに、二本鎖領siRNAは、約15~50塩基対長である)。いくつかの実施形態において、当該長さは、20~30塩基のヌクレオチド、好ましくは約20~25または約24~29ヌクレオチド長、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。
【0084】
RNAiおよびsiRNAは、例えば、Danaら,Int J Biomed Sci.2017;13(2):48~57に記載されており、なお、当該文献は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。アンチセンス核酸分子は、標的核酸配列に対して相補的である二本鎖RNA(dsRNA)または部分的二本鎖RNAを含み得る。二本鎖RNA分子は、分子内の第1のRNA部分と第2のRNA部分との間における相補的対合によって形成される。RNA配列(すなわち、一部分)の長さは、概して、30ヌクレオチド長未満(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10ヌクレオチド、またはそれ以下)である。いくつかの実施形態において、RNA配列の長さは、18~24ヌクレオチド長である。いくつかのsiRNA分子において、RNA分子の相補的な第1および第2の部分は、ヘアピン構造の「ステム」を形成する。この2つの部分は、連結配列によって接合され得て、ヘアピン構造における「ループ」を形成し得る。連結配列は、長さが変わり得、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、または13ヌクレオチド長であり得る。好適な連結配列は、当技術分野において既知である。
【0085】
本発明の方法における使用にとって好適なsiRNA分子は、当技術分野において既知のスキームによって設計され得、例えば、Elbashireら,Nature,2001 411:494~8;Amarzguiouiら,Biochem.Biophys.Res.Commun.2004 316(4):1050~8;およびReynoldsら,Nat.Biotech.2004,22(3):326~30を参照されたい。siRNA分子の作製の詳細は、いくつかの商業的ベンダー、例えば、Ambion、Dharmacon、GenScript、Invitrogen、およびOligoEngineなどのウェブサイトにおいて見出すことができる。任意の潜在的siRNA候補の配列は、概して、BLASTアラインメントプログラムを使用して他の核酸配列に対する任意の可能な一致または核酸配列の多型性に対してチェックすることができる(National Library of Medicineのインターネットウェブサイトを参照されたい)。典型的には、有効な薬物候補を得るために、多くのsiRNAが作製され、ならびにスクリーニングにかけられており、それについては、米国特許第7,078,196号を参照されたい。siRNAは、ベクターから発現され得るか、および/または化学的にもしくは合成により作製され得る。合成RNAiは、商業的供給元、例えば、Invitrogen(Carlsbad、カルフォルニア)などから入手することができる。RNAiベクターも、商業的供給元、例えば、Invitrogenなどから入手することができる。
【0086】
核酸分子は、miRNAであり得るか、それを含み得るか、またはそれをコードし得る。用語「miRNA」は、その単純な普通の意味において使用され、転写後調節遺伝子発現が可能な低分子ノンコーディングRNA分子を意味する。一実施形態において、miRNAは、標的遺伝子と実質的または完全な同一性を有する核酸である。いくつかの実施形態において、miRNAは、相補的細胞mRNAと相互作用し、それにより、当該相補的mRNAの発現を妨げることによって、遺伝子発現を阻害する。典型的には、miRNAは、少なくとも約15~50ヌクレオチド長である(例えば、miRNAのそれぞれの相補的配列は、15~50ヌクレオチド長であり、ならびに、miRNAは、約15~50塩基対長である)。いくつかの場合において、当該核酸は、合成体または組換え体である。miRNAは、miR-29aであり得る。いくつかの場合において、当該核酸は、miRNAステムループである。
【0087】
本発明の方法において有用な核酸としては、発癌性miRNA(oncomiRとしても知られる)または転写因子を標的にする、アンチセンスオリゴヌクレオチド、mRNA、またはsiRNAが挙げられる。カーゴは、リボザイムまたはアプタマーであり得る。いくつかの場合において、核酸は、プラスミドである。
【0088】
本明細書において説明されるある特定の態様において、カーゴは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、miRNAまたはmRNAに対して相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的mRNA配列に対する配列において相補的である少なくとも一部分を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的配列に結合し得、それにより当該標的配列を阻害し得る。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的配列の翻訳プロセスを阻害し得る。miRNAは、がんに関連するmiRNA(Oncomir)であり得る。miRNAは、miR-125bであり得る。
【0089】
遺伝子編集
いくつかの態様において、カーゴは、遺伝子編集システムの1つまたは複数の構成要素である。いくつかの態様において、カーゴは、遺伝子編集システムの2つ以上の構成要素である。例えば、CRISPR/Cas遺伝子編集システム。例えば、カーゴは、特定の標的配列を認識する核酸を含み得る。カーゴは、gRNAを含み得る。カーゴは、pegRNAを含み得る。そのようなgRNAおよびpegRNAは、CRISPR/Cas遺伝子編集において有用であり得る。カーゴは、CasをコードするCas mRNAまたはプラスミドを含み得る。カーゴは、gRNA、ならびにCasをコードするCas mRNAまたはプラスミドを含み得る。カーゴは、pegRNA、ならびにCasをコードするCas mRNAまたはプラスミドを含み得る。Casヌクレアーゼは、Cas9またはCas12ヌクレアーゼであり得る。
【0090】
例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)または転写活性因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)など、他の遺伝子編集分子をカーゴとして使用してもよい。カーゴは、標的細胞における特定の核酸配列を標的にするように操作された配列を含み得る。遺伝子編集分子は、miRNAを特異的に標的にし得る。例えば、遺伝子編集分子は、miR-125bを標的にするgRNAであり得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、当該方法は、部位特異的ヌクレアーゼ(SSN)を使用した標的遺伝子編集を用いる。SSNを使用した遺伝子編集は、例えば、EidおよびMahfouz,Exp Mol Med.2016 Oct;48(10):e265において概説されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。部位特異的二本鎖破壊(DSB)を作り出すことができる酵素は、目的の核酸配列を標的にするためにDSBを導入するように操作することができる。DSBは、いずれかの修復ミスの多い非相同末端結合(NHEJ)によって修復され得、その場合、切断の2つの末端は、多くの場合、ヌクレオチドの挿入または欠失によって再接合される。あるいは、DSBは、相同組換え修復(HDR)によって修復され得、その場合、切断部位に対して相同の末端を有するDNAテンプレートが供給され、DSBの当該部位に導入される。
【0092】
標的核酸配列特異的DSBを生成するように操作することができるSSNとしては、ZFN、TALEN、およびclustered regularly interspaced palindromic repeats/CRISPR-associated-9(CRISPR/Cas9)システムが挙げられる。
【0093】
ZFNシステムは、例えば、Umovら,Nat Rev Genet.(2010)11(9):636~46において概説されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。ZFNは、プログラマブルジンクフィンガーDNA結合ドメインおよびDNA切断ドメイン(例えば、FokIエンドヌクレアーゼドメイン)を含む。DNA結合ドメインは、標的核酸配列に結合することができるジンクフィンガーアレイをスクリーニングすることによって識別され得る。
【0094】
エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)が二量体として機能するため、ZFNは、対になって機能する。ZFNシステムは、エンドヌクレアーゼが機能するように、適切な配向を有し(すなわち、対向するDNA鎖上にあり)離間している、標的ゲノムにおける独特のDNA認識部位を有する2つのモノマーを含む。
【0095】
いくつかの態様において、EVは、ZFNシステム関連カーゴが担持される。これらの態様において、EVは、遺伝子編集の方法において有用である。
カーゴは、ZFN遺伝子編集システムの構成要素をコードする核酸であり得る。ZFN遺伝子編集システムは、2つのポリペプチドモノマーを有するZFN対を含み得る。当該モノマーは、同じ核酸分子によってコードされ得る。当該モノマーは、別々の核酸分子によってコードされ得る。モノマーをコードする核酸は、DNAであり得る。モノマーをコードする核酸は、プラスミドであり得る。モノマーをコードする核酸は、発現ベクターであり得る。モノマーをコードする核酸は、mRNAであり得る。モノマーをコードする核酸は、ミニサークルであり得る。モノマーをコードする核酸は、ダンベル型DNA最小ベクターであり得る。
【0096】
本明細書において説明されるいくつかの態様において、カーゴは、ZFN対の第1のモノマーをコードする第1の核酸分子およびZFN対の第2のモノマーをコードするさらなる核酸分子を含む。当該核酸は、ZFNモノマーが標的細胞内において発現されるような発現カセットを含み得る。次いで、発現されたZFNモノマーは、エンドヌクレアーゼの二量体化を可能にするようにそれらのそれぞれのDNA認識部位に結合し得る。次いで、エンドヌクレアーゼは、DNAに二本鎖切断を導入するように機能することができる。
【0097】
TALENシステムは、例えば、Mahfouzら,Plant Biotechnol J.(2014)12(8):1006~14において概説されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。TALENは、プログラマブルDNA結合型TALEドメインおよびDNA切断ドメイン(例えば、FokIエンドヌクレアーゼドメイン)を含む。TALEは、repeat variable di-residue(RVD)である各リピートの位置12および13の2つの残基を除いて同一である、33~39のアミノ酸類のリピートからなるリピートドメインを含む。各RVDは、以下の関係による標的DNA配列におけるヌクレオチドに対するリピートの結合を決定する:「HD」はCに結合し、「NI」はAに結合し、「NG」はTに結合し、ならびに「NN」または「NK」はGに結合する(Moscou and Bogdanove,Science(2009)326(5959):1501)。
【0098】
エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)が二量体として機能するため、TALENは対になって機能する。TALENシステムは、エンドヌクレアーゼが機能するように、適切な配向を有し(すなわち、対向するDNA鎖上にあり)離間している、標的ゲノムにおける独特のDNA認識部位を有する2つのモノマーを含む。
【0099】
いくつかの態様において、EVは、TALENシステム関連カーゴが担持される。これらの態様において、EVは、遺伝子編集の方法において有用である。
カーゴは、TALEN遺伝子編集システムの構成要素をコードする核酸であり得る。TALEN遺伝子編集システムは、2つのポリペプチドモノマーを有するTALEN対を含み得る。当該モノマーは、同じ核酸分子によってコードされ得る。当該モノマーは、別々の核酸分子によってコードされ得る。モノマーをコードする核酸は、DNAであり得る。モノマーをコードする核酸は、プラスミドであり得る。モノマーをコードする核酸は、発現ベクターであり得る。モノマーをコードする核酸は、mRNAであり得る。モノマーをコードする核酸は、ミニサークルであり得る。モノマーをコードする核酸は、ダンベル型DNA最小ベクターであり得る。
【0100】
本明細書において説明されるいくつかの態様において、カーゴは、TALEN対の第1のモノマーをコードする第1の核酸分子およびTALEN対の第2のモノマーをコードするさらなる核酸分子を含む。当該核酸は、TALENモノマーが標的細胞内において発現されるような発現カセットを含み得る。次いで、発現されたTALENモノマーは、エンドヌクレアーゼの二量体化を可能にするようにそれらのそれぞれのDNA認識部位に結合し得る。次いで、エンドヌクレアーゼは、DNAに二本鎖切断を導入するように機能することができる。
【0101】
CRISPRは、Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatの略語である。当該用語は、最初は、これらの配列の起源および機能が知られておらず、それらは起源において原核生物であると思われていたときに使用された。CRISPRは、D回帰性リピートにおける短くて反復性の塩基配列を含むDNAのセグメントである(ヌクレオチドの当該配列は、両方向において同じである)。各反復は、ウイルスまたはプラスミドに由来する外来DNAにおける以前の組込みに由来するスペーサーDNAの短いセグメントが後に続く。CAS(CRISPR関連)遺伝子の小さいクラスターが、CRISPR配列の横に位置される。スペーサー配列を有するRNAは、Cas(CRISPR関連)タンパク質が外来の病原性DNAを認識して切断するのを助ける。他のRNA誘導Casタンパク質は、外来RNAを切断する。CRISPR/CasシステムのシンプルなバージョンであるCRISPR/Cas9は、ゲノムを編集するように変更されている。Cas9ヌクレアーゼおよび合成ガイドRNA(gRNA)を細胞内に送達することによって、当該細胞のゲノムを、所望の位置において切断することができ、それは、既存の遺伝子の除去および/または新たな遺伝子の追加を可能にする。CRISPR-Casシステムは、2つのクラスに分けられる。クラス1のシステムは、外来核酸を分解するために複数のCasタンパク質の複合体を使用する。クラス2のシステムは、同じ目的のためにシンプルで大きなCasタンパク質を使用する。クラス1は、タイプI、III、およびIVに分けられる。クラス2は、タイプII、V、およびVIに分けられる。CRISPRゲノム編集は、タイプIIのCRISPRシステムを使用する。
【0102】
いくつかの態様において、EVは、CRISPR関連カーゴが担持される。換言すると、EVは、治療用遺伝子編集など、遺伝子編集を伴う方法において有用である。いくつかの場合において、EVは、インビトロ遺伝子編集にとって有用である。いくつかの場合において、EVは、インビボ遺伝子編集にとって有用である。
【0103】
カーゴは、ガイドRNAを含み得る。ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)およびトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)を含み得る。crRNAは、tracrRNAに結合して活性複合体を形成する領域と共に、宿主DNAの正しいセクションに位置するガイドRNAを含む。tracrRNAは、crRNAに結合して、活性複合体を形成する。gRNAは、tracrRNAおよびcrRNAの両方を組み合わせ、その結果、活性複合体をコードする。gRNAは、複数のcrRNAおよびtracrRNAを含み得る。gRNAは、目的の配列または遺伝子に結合するように設計され得る。gRNAは、切断のために遺伝子を標的にし得る。場合により、DNA修復テンプレートの随意のセクションが含められる。修復テンプレートは、非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え修復(HDR)のどちらかにおいて用いられ得る。
【0104】
カーゴは、ヌクレアーゼ、例えば、Cas9ヌクレアーゼなどであり得る。当該ヌクレアーゼは、その活性形態がDNAを修飾することができるタンパク質である。ヌクレアーゼバリアントは、一本鎖ニック形成、二本鎖破壊、DNA結合、または他の異なる機能が可能である。当該ヌクレアーゼは、DNA部位を認識し、それは、部位特異的DNA編集を可能にする。ヌクレアーゼは、修飾され得る。例えば、ヌクレアーゼは、逆トランスクリプターゼに融合され得る。そのようなヌクレアーゼは、プライム編集システムにおいて有用であり得る。別の実施例において、ヌクレアーゼは、触媒的に不活性であり得る。そのようなヌクレアーゼは、転写因子に融合され得、ならびに転写を調節するためにシステムにおいて役立ち得る。
【0105】
gRNAおよびヌクレアーゼは、プラスミド上においてコードされ得る。換言すると、EVカーゴは、gRNAおよびヌクレアーゼの両方をコードするプラスミドを含み得る。gRNAおよびヌクレアーゼは、別々のプラスミド上においてコードされ得る。換言すると、EVカーゴは、gRNAコードする第1のプラスミドおよびヌクレアーゼをコードするさらなるプラスミドを含み得る。いくつかの場合において、EVは、gRNAを含み、ならびに、別のEVは、ヌクレアーゼを含むかまたはコードする。いくつかの場合において、EVは、gRNAをコードするプラスミドおよびヌクレアーゼをコードするプラスミドを含む。したがって、いくつかの態様において、EVを含む組成物が提供され、この場合、EVにおけるある一部分は、Cas9などのヌクレアーゼを含むかまたはコードし、ならびに、EVにおけるある一部分は、gRNAを含むかまたはコードする。いくつかの場合において、gRNAを含むかまたはコードするEVを含む組成物ならびにヌクレアーゼをコードするかまたは含むEVを含む組成物が、同時投与される。いくつかの場合において、当該組成物は、EVを含み、この場合、EVは、gRNAおよびヌクレアーゼの両方をコードするオリゴヌクレオチドを含む。
【0106】
カーゴは、さらに、DNA修復テンプレートを含み得る。DNA修復テンプレートは、直鎖状dsDNAであり得る。DNA修復テンプレートは、プラスミドであり得る。DNA修復テンプレートは、gRNAおよび/またはヌクレアーゼをコードするプラスミドと同じプラスミド上に存在し得る。DNA修復テンプレートは、gRNAおよび/またはヌクレアーゼをコードするプラスミドとは別々のプラスミド上に存在し得る。いくつかの場合において、EVカーゴは、gRNAおよびヌクレアーゼの両方をコードするプラスミドならびにDNA修復テンプレートを含む別々のプラスミドまたは直鎖状dsDNAを含み得る。いくつかの場合において、EVカーゴは、gRNAをコードする第1のプラスミド、ヌクレアーゼをコードする第2のプラスミド、およびDNA修復テンプレートを含むさらなるプラスミドまたはdsDNAを含み得る。
【0107】
CRISPR/Cas9および関連システム、例えば、CRISPR/Cpf1、CRISPR/C2c1、CRISPR/C2c2、およびCRISPR/C2c3は、例えば、Nakadeら,Bioengineered(2017)8(3):265~273において概説されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。これらのシステムは、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9、Cpf1など)および単一ガイドRNA(sgRNA)分子を含む。sgRNAは、目的の核酸配列に対するエンドヌクレアーゼ活性を標的にするように操作することができる。
【0108】
修飾RNA
いくつかの場合において、核酸カーゴは、1つまたは複数の修飾されたヌクレオチドまたは他の修飾を含む。化学修飾は、核酸の、糖位置、リン酸位置、および/または塩基位置での化学的置換、例えば、修飾ヌクレオチドの組込み、キャッピング部分の組込み(例えば、3’キャッピング)、高分子量へのコンジュゲーション、非免疫原性化合物(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、親油性化合物へのコンジュゲーション、リン酸骨格における置換などを包含し得る。例えば、当該核酸は、1つまたは複数の2’位糖修飾、例えば、2’-アミノ(2’-NH)、2’-フルオロ(2’-F)、および2’-O-メチル(2’-OMe)などを含み得る。塩基修飾は、5位のピリミジン修飾、8位のプリン修飾、環外アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモ-または5-ヨード-ウラシルの置換、骨格修飾、メチル化、異常塩基対合の組合せ、例えば、イソ塩基イソシチジン、およびイソグアニジンなどを含み得る。修飾は、3’および5’の修飾、例えば、キャッピングなども含むことができる。他の修飾は、類似体を伴う天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数の置換、インターヌクレオチド修飾、例えば、非荷電結合を有するもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および荷電結合を有するもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、インターカレーターを有するもの(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤を含むもの(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)、アルキル剤を含むもの、および修飾された結合を有するもの(例えば、αアノマー核酸など)を含むことができる。さらに、通常において糖に存在する任意の水酸基は、ホスホン酸基またはリン酸基によって置換され得るか、標準的な保護基によって保護され得るか、または追加のヌクレオチドまたは固体担持体への追加の結合を用意するために活性化され得る。5’および3’末端OH基は、リン酸化することができ、あるいは、アミン、約1個から約20個の炭素原子の有機キャッピング基部分、あるいは約1から約20のポリエチレングリコール(PEG)ポリマーまたは他の親水性もしくは疎水性の生物学的合成ポリマーの有機キャッピング基部分によって置換することができる。核酸は、バリアントタイプ、例えば、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、またはギャップマーなどであり得る。
【0109】
DNA
核酸カーゴは、DNA分子を含み得る。
カーゴは、発現ベクターまたは発現カセット配列を含み得る。好適な表現ベクターおよび発現カセットは、当技術分野において既知である。本明細書において説明される方法において有用な発現ベクターは、標的細胞における1つまたは複数の核酸配列の発現を促進するエレメントを含む。本開示において有用な発現ベクターは、導入遺伝子または他の核酸配列を含み得る。
【0110】
発現ベクターは、外来遺伝物質を、細胞での/細胞による発現のために、当該細胞に移送するためのビヒクルとして使用されるオリゴヌクレオチド分子を意味する。そのようなベクターは、発現される遺伝子配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含み得る。ベクターは、終止コドンおよび発現エンハンサーも含み得る。当技術分野において既知の任意の好適なプロモーター、エンハンサー、および収支コドンが使用され得る。
【0111】
本明細書において、用語「作動可能に連結された」は、選択されたヌクレオチド配列および調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)が、ヌクレオチド配列の発現を調節配列の影響下または制御下に置くような方式において共有結合によって連結される(その結果、発現カセットを形成する)ような状況を包含し得る。したがって、調節配列がヌクレオチド配列の転写に作用することができる場合、調節配列は、選択されたヌクレオチド配列に作動可能に連結される。適切であれば、結果として得られる転写物は、次いで、所望のタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドへと翻訳され得る。
【0112】
カーゴは、異なるペプチドまたはタンパク質をコードする複数の発現ベクターを含み得る。当該異なるペプチドまたはタンパク質は、例えば、同じ分子のサブユニットまたは構成要素、あるいは連動した作動を有する分子、例えば、同じ生物学的経路の構成要素など、相互に関連し得るか、またはリガンド:受容体結合関係を示し得る。
【0113】
カーゴは、タンパク質複合体の第1のタンパク質をコードする第1の発現ベクターおよびタンパク質複合体のさらなるタンパク質をコードするさらなる発現ベクターを含み得る。当該さらなるタンパク質は、第1のタンパク質と同一ではなくてもよい。カーゴは、タンパク質の第1のドメインをコードする第1の発現ベクターおよびタンパク質のさらなるドメインをコードするさらなる発現ベクターを含み得る。カーゴは、タンパク質の第1のセグメントをコードする第1の発現ベクターおよびタンパク質のさらなるセグメントをコードするさらなる発現ベクターを含み得る。例えば、発現ベクターは、スプリットタンパク質の異なるセグメントをコードし得る。
【0114】
ベクター化抗体
いくつかの態様において、カーゴは、ベクター化抗体、または抗体遺伝子療法、システムの1つまたは複数の構成要素である。例えば、カーゴは、抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸を含み得る。
【0115】
抗原結合性分子は、標的抗原に結合することができる分子を意味する。抗原結合性分子のタイプとしては、関連する標的分子に対して結合性を示す限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクロナール抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片(例えば、Fv、scFv、Fab、scFab、F(ab’)、Fab、ダイアボディ、トリアボディ、scFv-Fc、ミニボディ、単一ドメイン抗体(例えば、VhH)など)が挙げられる。本明細書において開示される任意の抗体または抗原結合性断片は、ベクター化抗体システムにおいて有用であり得る。
【0116】
抗体遺伝子療法は、対象に目的の抗体をコードする核酸を投与することを目指す。対象自身の細胞は、次いで、コードされた抗体を産生および分泌するであろう。
いくつかの態様において、EVは、ベクター化された抗体関連カーゴが担持される。これらの態様において、EVは、抗体遺伝子療法の方法において有用である。
【0117】
カーゴは、抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸であり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、DNAであり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、プラスミドであり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、発現ベクターであり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、mRNAであり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、ミニサークルであり得る。抗原結合性分子またはその断片をコードする核酸は、ダンベル型DNA最小ベクターであり得る。
【0118】
抗原結合性分子は、抗原結合性ポリペプチド、または抗原結合性ポリペプチド複合体であり得るかまたはそれを含み得る。抗原結合性分子は、一緒に抗原結合性ドメインを形成する2つ以上のポリペプチドを含み得る。当該ポリペプチドは、共有結合的または非共有結合的に会合し得る。例えば、1つのポリペプチドは、抗体の重鎖を含み得、ならびに、さらなるポリペプチドは、抗体の軽鎖を含み得る。別の実施例において、一方のポリペプチドは、抗体の重鎖可変領域を含み得、ならびにさらなるポリペプチドは抗体の軽鎖可変領域を含み得る。当該ポリペプチドは、別々の核酸分子によってコードされ得る。
【0119】
本明細書において説明されるいくつかの態様において、カーゴは、抗体の重鎖をコードする第1の核酸分子および抗体の軽鎖をコードするさらなる核酸分子を含む。当該核酸は、重鎖および軽鎖が標的細胞内において発現されるような発現カセットを含み得る。発現されたタンパク質は、次いで、抗体を形成するために細胞内において会合し得る。
【0120】
抗体
抗体および抗体の抗原結合性断片は、本発明に関連するいくつかの文脈において有用である。それらは、タグとして有用であり得る。それらは、カーゴとして有用であり得る。いくつかの場合において、それらは、カーゴによってコードされ得る。これらの態様において、様々な抗体および抗原結合性断片が関連する。
【0121】
抗原結合性部分は、抗体の一部(例えば、Fab断片)または合成抗体断片(例えば、一本鎖Fv断片[ScFv])であり得る。選択された抗原に対する好適なモノクローナル抗体は、既知の技術、例えば、「Monoclonal Antibodies:A manual of techniques」,H Zola(CRC Press,1988)および「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications」,J G R Hurrell(CRC Press,1982)において開示される技術によって調製され得る。キメラ抗体は、Neubergerら(1988,8th International Biotechnology Symposium Part2,792~799)によって議論されている。
【0122】
抗体または抗原結合性断片は、ヒト化され得る。抗体をヒト化する方法は、当技術分野において既知であり、概して、結果としての抗体が齧歯動物が親となる抗体の抗原特異性保持するような、ヒト起源の定常ドメインへの齧歯動物起源の可変ドメインの融合を伴う(Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 81,6851~6855)。
【0123】
モノクローナル抗体(mAb)は、本発明の方法において有用であり、ならびに、抗原上の単一のエピトープを特異的に標的にする抗体の同種の集団である。好適なモノクローナル抗体は、当技術分野において周知の方法を使用して調製することができる(例えば、Kohler,G.;Milstein,C.(1975).「Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity」.Nature 256(5517):495;Siegel DL(2002).「Recombinant monoclonal antibody technology」.Schmitz U,Versmold A,Kaufmann P,Frank HG(2000);「Phage display:a molecular tool for the generation of antibodies--a review」.Placenta.21 Suppl A:S106~12.Helen E.Chadd and Steven M.Chamow;「Therapeutic antibody expression technology,」Current Opinion in Biotechnology 12,no.2(April 1,2001):188~194;McCafferty,J.;Griffiths,A.;Winter,G.;Chiswell,D.(1990).「Phage antibodies:filamentous phage displaying antibody variable domains」.Nature 348(6301):552~554;「Monoclonal Antibodies:A manual of techniques」,H Zola(CRC Press,1988)および「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications」,J G R Hurrell(CRC Press,1982)を参照されたい。キメラ抗体は、Neubergerら(1988,8th International Biotechnology Symposium Part2,792~799)によって議論されている)。
【0124】
ポリクロナール抗体は、本発明の方法において有用である。単一特異性ポリクロナール抗体は好ましい。好適なポリクロナール抗体は、当技術分野において周知の方法を使用して調製することができる。
【0125】
抗体および抗体断片を遺伝子操作することができるため、断片、例えば、FabおよびFab2断片などが使用され得る。抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)ドメインは、抗原認識に関与し、実際に、早期のプロテアーゼ消化実験において最初に認識されている。さらなる確認は、齧歯動物の抗体の「ヒト化」によって見出された。結果として得られる抗体が齧歯動物が親となる抗体の抗原特異性を保持するように、齧歯動物起源の可変ドメインがヒト起源の定常ドメインに融合され得る(Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 81,6851~6855)。本明細書において開示される細胞外小胞において有用な抗体または抗原結合性断片は、標的分子を認識し、および/またはそれに結合するであろう。
【0126】
抗原特異性は、可変ドメインによって付与され、ならびに、全てが1つまたは複数の可変ドメインを含む、抗体断片の細菌発現を伴う実験から知られる定常ドメインとは無関係である。これらの分子は、Fab様分子(Betterら(1988)Science 240,1041);Fv分子(Skerraら(1988)Science 240,1038);一本鎖Fv(ScFv)分子、この場合、VHおよびVLパートナードメインは、フレキシブルなオリゴペプチドを介して連結される(Birdら(1988)Science 242,423;Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 85,5879)、および単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Wardら(1989)Nature 341,544)を含む。それらの特異的結合部位を保持する抗体断片の合成に関与する技術の一般評論は、Winter & Milstein(1991)Nature 349,293~299に見出される。本明細書において有用な抗体および断片は、ヒトまたはヒト化抗体、マウス抗体、ラクダ抗体、キメラ抗体であり得るか、または任意の好適な源に由来する抗体であり得る。
【0127】
発明者らは、「ScFv分子」によって、VHおよびVLパートナードメインが、例えば、直接的に、ペプチドによって、またはフレキシブルなオリゴペプチドによって、共有結合により連結された分子を意味する。Fab、Fv、ScFv、およびsdAb抗体断片は全て、大腸菌(E.coli)において発現および分泌されることが可能であり、したがって、大量の前記断片の容易な生産を可能にする。
【0128】
全抗体、およびF(ab’)2断片は、「二価」である。発明者らは「二価」によって、前記抗体およびF(ab’)2断片が2つの抗原結合部位(antigen combining site)を有することを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFv、およびsdAb断片は、一価であり、抗原結合部位を1つだけ有する。多価抗体断片は、その小さいサイズゆえに、タグとして特に有用である。
【0129】
好ましい結合分子は、sdAbであり得る。発明者らは「sdAb」によって、1つ、2つ、またはそれ以上の単一モノマー性可変抗体ドメインからなる単一ドメイン抗体を意味する。sdAb分子は、時としてdAbとも呼ばれる。
【0130】
いくつかの場合において、結合分子は、一本鎖抗体、すなわちscAbである。scAbは、共有結合によって連結されたVHおよびVLパートナードメイン(例えば、直接的に、ペプチドによって、またはフレキシブルなオリゴペプチドによって)および場合により軽鎖定常ドメインからなる。
【0131】
抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ(ReoPro)、アビツズマブ(Abituzumab)、Abrezekimab、アブリルマブ(Abrilumab)、アクトクスマブ(Actoxumab)、アダリムマブ(Humira)、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ(Afasevikumab)、アフェリモマブ、アラシズマブペゴル(Alacizumab pego)、アレムツズマブ(Lemtrada)、アリロクマブ(Praluent)、アルツモマブペンテテート(Altumomab pentetate)(Hybri-ceaker)、アマツキシマブ、アミバンタマブ、アナツモマブマフェナトキス、アンデカリキシマブ、アネツマブラブタンシン(Anetumab ravtansine)、アニフロルマブ(Anifrolumab)、アンスビマブ(Ansuvimab)(Ebanga)、アンルキンズマブ(Anrukinzumab)(=IMA-638)、アポリズマブ、アプルツマブイキサドチン(Aprutumab ixadotin)、アルシツモマブ(CEA-Scan)、アスクリンバクマブ(Ascrinvacumab)、アセリズマブ(Aselizumab)、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アチドルトクスマブ(Atidortoxumab)、アチヌマブ(Atinumab)、アトルティビマブ、アトルティビマブ/マフティビマブ/オデシビマブ(Inmazeb)、アトロリムマブ(Atorolimumab)、アベルマブ(Bavencio)、アジンツキシズマブベドチン(Azintuxizumab vedotin)、バルスチリマブ、バムラニビマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ(Simulect)、バビツキシマブ、BCD-100、ベクツモマブ(Bectumomab)(LymphoScan)、ベゲロマブ(Begelomab)、ベランタマブ マホドチン(Blenrep)、ベリムマブ(Benlysta)、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ(Fasenra)、ベルリマトクスマブ(Berlimatoxumab)、ベルメキマブ(Xilonix)、ベルサンリマブ(bersanlimab)、ベルチリムマブ、ベシレソマブ(Scintimun)、ベバシズマブ(Avastin)、ベズロトクスマブ(Zinplava)、ビシロマブ(FibriScint)、ビマグルマブ、ビメキズマブ(bimekizumab)、ビルタミマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、ブレセルマブ、ブリナツモマブ(Blincyto)、ブロンツベトマブ(blontuvetmab)(Blontress)、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ ベドチン(Adcentris)、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ(Siliq)、ブロルシズマブ(Beovu)、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ(Crysvita)、カビラリズマブ、カミダンルマブ テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ(Ilaris)、カンツズマブ メルタンシン、カンツズマブ ラヴタンシン、カプラシズマブ(Cablivi)、カシリビマブ、カプロマブ(Prostascint)、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ(Removab)、cBR96-ドキソルビシン免疫抱合体、セデリズマブ、セミプリマブ(Libtayo)、セルグツズマブアムナロイキン(Cergutuzumab amunaleukin)、セルトリズマブペゴル(Cimzia)、セトレリマブ、セツキシマブ(Erbitux)、シビサタマブ、シルムツズマブ(Cirmtuzumab)、シタツズマブボガトックス(Citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン(Clivatuzumab tetraxetan)(hPAM4-Cide)、コドリツズマブ(codrituzumab)、コフェツズマブペリドチン(Cofetuzumab pelidotin)、コルツキシマブラブタンシン(coltuximab ravtansine)、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ(ZMapp)、クレネズマブ、クリザンリズマブ(Adakveo)、クロテデュマブ、CR6261、クサツズマブ(cusatuzumab)、ダセツズマブ、ダクリズマブ(Zenapax)、ダロツズマブ、ダピロリズマブペゴル(Dapirolizumab pegol)、ダラツムマブ(Darzalex)、デクトレクマブ(Dectrekumab)、デムシズマブ(Demcizumab)、デニンツズマブマホドチン(Denintuzumab mafodotin)、デノスマブ(Prolia)、デパツキシズマブマホドチン(Depatuxizumab mafodotin)、デルロツキシマブビオチン(Derlotuximab biotin)、デツモマブ(Detumomab)、デザミズマブ、ジヌツキシマブ(Unituxin)、ジヌツキシマブβ(Qarziba)、ディリダブマブ(Diridavumab)、ドマグロズマブ(Domagrozumab)、ドルリモマブアリトクス(Dorlimomab aritox)、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS-8201、デュリゴツマブ(Duligotumab)、デュピルマブ(Dupixent)、デュルバルマブ(Imfinzi)、デュシギツマブ(Dusigitumab)、ドゥボルツキシズマブ、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ(Soliris)、エドバコマブ(Edobacomab)、エドレコロマブ(Panorex)、エファリズマブ(Raptiva)、エフングマブ(Efungumab)(Mycograb)、エルデルマブ(Eldelumab)、エレザヌマブ(Elezanumab)、エルゲムツマブ(Elgemtumab)、エロツズマブ(Empliciti)、エルシリモマブ(Elsilimomab)、エマクツズマブ(Emactuzumab)、エマパルマブ(Gamifant)、エミベツズマブ(Emibetuzumab)、エミシズマブ(Hemlibra)、エナポタマブベドチン(Enapotamab vedotin)、エナバツズマブ(Enavatuzumab)、エンフォーツマブベドチン(Enfortumab vedotin)(Padcev)、エンリモマブペゴル(Enlimomab pegol)、エノビリツズマブ(Enoblituzumab)、エノキズマブ(Enokizumab)、エノチクマブ、エンシツキシマブ(Ensituximab)、エプコリタマブ(Epcoritamab)、エピツモマブシツキセタン(Epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ、エプチネズマブ(Vyepti)、エレヌマブ(Aimovig)、エルリズマブ、エルツマキソマブ(Rexomun)、エタラシズマブ(Abegrin)、エテセビマブ(Etesevimab)、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ(Evkeeza)、エボロクマブ(Repatha)、エクスビビルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ(NeutroSpec)、ファラリモマブ(Faralimomab)、ファリシマブ、ファーレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05(Lymphomun)、フェルビズマブ、フェザキヌマブ(Fezakinumab)、フィバツズマブ(Fibatuzumab)、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ(Firivumab)、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ(HuZAF)、フォラルマブ(Foralumab)、フォラビルマブ(Foravirumab)、フレマネズマブ(Ajovy)、フレソリムマブ、フロボキマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ(Emgality)、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ(Gavilimomab)、ゲジブマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)(マイロターグ)、ゲボキズマブ、ギルベットマブ(Gilvetmab)、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ(Rencarex)、グレムバツムマブベドチン(Glembatumumab vedotin)、ゴリムマブ(Simponi)、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ(Tremfya)、イアナルマブ、イバリズマブ(Trogarzo)、IBI308、イブリツモマブチウキセタン(Ibritumomab tiuxeta)(Zevalin)、イクルクマブ、イダルシズマブ(Praxbind)、イファボツズマブ、イゴボマブ(Igovomab)(Indimacis-125)、イラダツズマブベドチン(Iladatuzumab vedotin)、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ(Imaprelimab)、イムシロマブ(Myoscint)、イムデビマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン(Indatuximab ravtansine)、インデュサツマブベドチン(Indusatumab vedotin)、イネビリズマブ(Uplizna)、インフリキシマブ(Remicade)、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン(Besponsa)、イピリムマブ(Yervoy)、イオマブB(Iomab-B)、イラツムマブ、イサツキシマブ(Sarclisa)、イスカリマブ、イスチラツマブ、イトリズマブ(Alzumab)、イキセキズマブ(Taltz)、ケリキシマブ、ラベツズマブ(Labetuzumab)(CEA-Cide)、ラクノツズマブ(Lacnotuzumab)、ラディラツズマブベドチン(Ladiratuzumab vedotin)、ランパリズマブ、ラナデルマブ(Takhzyro)、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン(Laprituximab emtansine)、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ(Lemalesomab)、レンダリズマブ(Lendalizumab)、レンベルビマブ(Lenvervimab)、レンジルマブ、レルデリムマブ(Lerdelimumab)、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レクサツムマブ、リビビルマブ(Libivirumab)、リファスツズマブベドチン(Lifastuzumab vedotin)、リゲリズマブ、ロンカスツキシマブテシリン(Loncastuximab tesirine)、ロサツキシズマブベドチン(Losatuxizumab vedotin)、リロトマブサテトラキセタン(Lilotomab satetraxetan)、リンツズマブ、リリルマブ(Lirilumab)、ロデルシズマブ(Lodelcizumab)、ロキベトマブ(Cytopoint)、ロルボツズマブメルタンシン(Lorvotuzumab mertansine)、ルカツムマブ、ルリズマブペゴル(Lulizumab pegol)、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ(Lupartumab)、ルパルツマブアマドチン(Lupartumab amadotin)、ルチキズマブ(Lutikizumab)、マフティビマブ、マパツムマブ、マルジェツキシマブ(Margenza)、マルスタシマブ、マスリモマブ(Maslimomab)、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ(Bosatria)、メテリムマブ(Metelimumab)、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミリキズマブ、ミルベツキシマブソラブタンシン(Mirvetuximab soravtansine)、ミツモマブ、モドツキシマブ、
モガムリズマブ(Poteligeo)、モナリズマブ(monalizumab)、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ(Numax)、モキセツモマブパスドトクス(Moxetumomab pasudotox)(Lumoxiti)、ムロモナブ-CD3(Orthoclone OKT3)、ナコロマブタフェナトックス(Nacolomab tafenatox)、ナミルマブ、ナプツモマブエスタフェナトックス(Naptumomab estafenatox)、ナラツキシマブエムタンシン(Naratuximab emtansine)、ナルナツマブ(Narnatumab)、ナルソプリマブ(Narsoplimab)、ナタリズマブ(Tysabri)、ナビシキシズマブ(Navicixizumab)、ナビブマブ(Navivumab)、ナキシタマブ(Danyelza)、ネバクマブ、ネシツムマブ(Portrazza)、ネモリズマブ(Nemolizumab)、NEOD001、ネレリモマブ(Nerelimomab)、ネスバクマブ(Nesvacumab)、Netakimab(Efleira)、ニモツズマブ(BioMab-EGFR、Theracim、Theraloc)、ニルセビマブ(Nirsevimab)、ニボルマブ(Opdivo)、ノフェツモマブメルペンタン(Nofetumomab merpentan)(Verluma)、オビルトキサキシマブ(Obiltoxaximab)(Anthim)、オビヌツズマブ(Gazyva)、オカラツズマブ、オクレリズマブ(Ocrevus)、オデシビマブ、オデュリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ(Arzerra、Kesimpta)、オララツマブ(Lartruvo)、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ(Olokizumab)、オマリズマブ(Xolair)、オンバータマブ(Omburtamab)、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ(Ontuxizumab)、オンバチリマブ(Onvatilimab)、オピシヌマブ(Opicinumab)、オポルツズマブモナトクス(Oportuzumab monatox)(Vicinium)、オレゴボマブ(OvaRex)、オルチクマブ(Orticumab)、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ(Otlertuzumab)、オキセルマブ(Oxelumab)、オザネズマブ(Ozanezumab)、オゾラリズマブ(Ozoralizumab)、パギバキシマブ、パリビズマブ(Synagis、Abbosynagis)、パムレブルマブ(Pamrevlumab)、パニツムマブ(Vectibix)、パンコマブ(Pankomab)、パノバクマブ(Panobacumab)、パルサツズマブ(Parsatuzumab)、パスコリズマブ(Pascolizumab)、パソツキシズマブ(Pasotuxizumab)、パテクリズマブ(Pateclizumab)、パトリツマブ(Patritumab)、PDR001、ペンブロリズマブ(Keytruda)、ペムツモマブ(Pemtumomab)(Theragyn)、ペラキズマブ(Perakizumab)、ペルツズマブ(Perjeta)、パキセリズマブ、ピディリズマブ、ピナツズマブベドチン(Pinatuzumab vedotin)、ピンツモマブ(Pintumomab)、プラクルマブ(Placulumab)、プレザルマブ(Prezalumab)、プロザリズマブ(Plozalizumab)、ポガリズマブ(Pogalizumab)、ポラツズマブベドチン(Polatuzumab vedotin)(Polivy)、ポネズマブ、ポルガビキシマブ(Porgaviximab)、プラシネズマブ(Prasinezumab)、プレザリズマブ(Prezalizumab)、プリリキシマブ(Priliximab)、プリトキサキシマブ(Pritoxaximab)、プリツムマブ(Pritumumab)、Pro140、クイリズマブ(Quilizumab)、ラコツモマブ(Racotumomab)(Vaxira)、ラドレツマブ(Radretumab)、ラフィビルマブ(Rafivirumab)、ラルパンシズマブ(Ralpancizumab)、ラムシルマブ(Cyramza)、ラネベトマブ(Ranevetmab)、ラニビズマブ(Lucentis)、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ(Ultomiris)、レファネズマブ(Refanezumab)、レガビルマブ、レグダンビマブ、REGN-EB3、レラトリマブ(Relatlimab)、レムトルマブ(Remtolumab)、レスリズマブ(Cinqair)、レチファンリマブ(Retifanlimab)、リロツムマブ、リヌクマブ(Rinucumab)、リサンキズマブ(Skyrizi)、リツキシマブ(MabThera、Rituxan)、リババズマブペゴル(Rivabazumab pegol)、ロバツムマブ(Robatumumab)、Rmab(RabiShield)、ロレデュマブ(Roledumab)、ロミルキマブ(Romilkimab)、ロモソズマブ(Evenity)、ロンタリズマブ(Rontalizumab)、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブテシリン(Rovalpituzumab tesirine)、ロベリズマブ(Rovelizumab)(LeukArrest)、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ(Ruplizumab)(Antova)、SA237、サシツズマブゴビテカン(Sacituzumab govitecan)(Trodelvy)、サマリズマブ、サムロタマブベドチン(Samrotamab vedotin)、サリルマブ(Kevzara)、サトラリズマブ(Enspryng)、サツモマブペンデチド(Satumomab pendetide)、セクキヌマブ(Cosentyx)、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ(Setoxaximab)、セトルスマブ(Setrusumab)、セヴィルマブ、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、SGN-CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ(Sylvant)、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブベドチン(Sirtratumab vedotin)、シルクマブ、ソフィツズマブベドチン(Sofituzumab vedotin)、ソラネズマブ、ソリトマブ(Solitomab)、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ(LeukoScan)、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ(Suvizumab)、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブテトラキセタン(Tacatuzumab tetraxetan)(AFP-Cide)、タドシズマブ、タファシタマブ(Monjuvi)、タラコツズマブ(Talacotuzumab)、タリズマブ、タルケタマブ、タムツベトマブ(Tamtuvetmab)(Tactress)、タネズマブ、タプリツモマブパプトックス(Taplitumomab paptox)、タレクスツマブ、タボリマブ、テクリスタマブ(Teclistamab)、テフィバズマブ(Aurexis)、テリモマブアリトックス(Telimomab aritox)、テリソツズマブ、テリソツズマブベドチン(Telisotuzumab vedotin)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ(Tepoditamab)、テプロツムマブ(Tepezza)、テシドルマブ(Tesidolumab)、テツロマブ(Tetulomab)、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ(Ilumya)、チガツズマブ、チミグツズマブ(Timigutuzumab)、チモルマブ(Timolumab)、チラゴルマブ(Tiragolumab)、チラゴツマブ(Tiragotumab)、チスレリズマブ、チソツマブベドチン(Tisotumab vedotin)、TNX-650、トシリズマブ(Actemra、RoActemra)、トムゾツキシマブ(Tomuzotuximab)、トラリズマブ、トリパリマブ(Tuoyi)、トサトクスマブ(Tosatoxumab)、トシツモマブ(Bexxar)、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ(Herceptin)、[fam]-トラスツズマブデルクステカン(Trastuzumab deruxtecan)(Enhertu)、トラスツズマブデュオカルマジン([fam]-Trastuzumab duocarmazine)(Kadcyla)、トラスツズマブエムタンシン(Trastuzumab emtansine)(Kadcyla)、TRBS07(Ektomab)、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブセルモロイキン(Tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(Stelara)、ウトミルマブ、バダスツキシマブタリリン(Vadastuximab talirine)、バナリマブ(Vanalimab)、バンドルツズマブベドチン(Vandortuzumab vedotin)、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ(Vapaliximab)、バリサクマブ(Varisacumab)、バルリルマブ、バテリズマブ(Vatelizumab)、ベドリズマブ(Entyvio)、ベルツズマブ、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ベセンクマブ、ビジリズマブ(Nuvion)、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブマホドチン(Vorsetuzumab mafodotin)、ボツムマブ(HumaSPECT)、ブナキズマブ(Vunakizumab)、キセンツズマブ(Xentuzumab)、XMAB-5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ(Zatuximab)、ゼノクツズマブ(Zenocutuzumab)、ジラリムマブ(Ziralimumab)、ゾルベツキシマブ(=IMAB362、Claudiximab)、およびゾリモマブアリトックス(Zolimomab aritox)から選択され得る。抗原結合性分子は、上記において言及された抗体のいずれかの誘導体であり得る。
【0132】
抗体がカーゴによってコードされる場合、当該抗体をコードするヌクレオチド配列は、修飾され得る。当該抗体のアミノ酸配列は、修飾され得る。例えば、当該ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列は、抗体のインビボ発現を可能にするかまたはインビボ発現を改善する修飾を含み得る。
【0133】
担持される量およびサイズ
本開示による細胞外小胞は、少なくとも2つの核酸を含み得、この場合、それぞれの核酸は異なる。細胞外小胞は、2つ以上の核酸を含み得る。そのような場合、少なくとも2つの核酸は異なっているが、当該少なくとも2つの異なる核酸のうちの1つと同一である追加の核酸が存在し得る。そのような場合に重要なことは、カーゴが完全には同種ではないかまたは100%同一ではないが、その代わりにカーゴの他の分子と異なるかまたは同一ではない少なくとも1つの分子を含むことである。
【0134】
小胞あたりの核酸の数は、例えば、組成物中に存在する場合と同様の、EVの集団における平均数、好ましくは平均であり得る。小胞あたりの核酸のコピーの数は、担持された核酸カーゴのコピーの総数をEVの総数で割ることによって特定され得る。換言すると、EVあたりのコピー=核酸の担持されたコピーの数/EV粒子の総数である。核酸のコピーの数は、qPCRによって特定され得る。EVの数は、ナノ粒子追跡解析(NTA、例えば、Wangら,ARMMs as a versatile platform for intracellular delivery of macromolecules.Nature Communications 2018 9~960に記載される)によって特定され得る。ナノ粒子追跡解析(NTA)は、液体中の粒子を可視化および解析するための方法である。当該技術は、限外顕微鏡およびレーザー照明ユニットと共に使用され、それらは一緒に、液体懸濁液中の小さな粒子をブラウン運動下での動きにより可視化することを可能にする。粒子によって散乱される光は、複数のフレームにわたってCCDまたはEMCCDカメラを使用して捕捉される。次いで、コンピュータソフトウェアを使用して、フレームからフレームへの各粒子の運動を追跡する。
【0135】
本明細書において使用される場合、且つ明記されない限り、用語「平均」は、算術平均を意味する。これは、試料中の小胞の総量で割った、その試料中の特定された核酸の総量を意味し得る。
【0136】
本明細書において説明される組成物は、少なくとも2つの異なる核酸または少なくとも3つの異なる核酸が担持された少なくとも1つの細胞外小胞を含む。これらの細胞外小胞は、小胞あたり少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも5、またはそれ以上の核酸のコピーを含み得る。細胞外小胞は、小胞あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはそれ以上の異なる核酸のそれぞれのコピーを含み得る(例えば、それが担持され得る)。細胞外小胞は、小胞あたり約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50の核酸を含み得(例えば、それが担持され得)、この場合、核酸のうちの少なくとも1つは、カーゴの他の核酸と異なるかまたは同一ではない。いくつかの場合において、細胞外小胞は、各核酸のおよそ平均数(すなわち、各核酸の約50%、または各核酸の約48%、または約46%、または約44%、または約42%、または約40%、または約38%、または約36%、または約34%、または約32%、または約30%)を含み得る。いくつかの場合において、細胞外小胞は、異なる数の各核酸を含み得る(すなわち、細胞外小胞中の核酸の約2%、あるいは約4%、または約6%、または約8%、または約10%、または約12%、または約14%、または約16%、または約18%、または約20%、または約22%、または約24%、または約25%、または約26%、または約28%、または約30%は、カーゴの他の核酸と異なっている)。
【0137】
組成物中の実質的に全ての細胞外小胞にカーゴが担持されることは、望ましくあり得るが、本明細書において開示される組成物は、細胞外小胞を含み得、この場合、細胞外小胞の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つがカーゴを含む。好ましくは、細胞外小胞の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの少なくとも1つがカーゴを含む。好ましくは、細胞外小胞の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%がカーゴを含み、この場合、当該カーゴは、少なくとも2つの異なる核酸を含む。いくつかの場合において、組成物内の異なる細胞外小胞は、異なるカーゴを含む。例えば、組成物中のいくつかの細胞外小胞は、カーゴを含み得、この場合、細胞外小胞のカーゴは、実質的に同種であるか、または1つのバイオマーカーのみを含む。いくつかの組成物において、組成物中の他の細胞外小胞は、少なくとも2つの異なる核酸を含むカーゴを含む。いくつかの場合において、細胞外小胞は、同じまたは実質的に同じカーゴを含み、この場合、カーゴは、少なくとも2つの異なる核酸を含む。
【0138】
核酸のサイズは、塩基(一本鎖核酸の場合)または塩基対(二本鎖核酸の場合)で表されるその長さにおいて定義され得る。本明細書において、核酸カーゴの一本鎖または二本鎖の性質が示されない場合、塩基において与えられる長さ(例えば、kb(キロベース)で表される)は、塩基対で表される同じ長さ(例えば、kbpで表される)の開示でもある。したがって、1kb(1000塩基)の長さは、1kbp(1000塩基対)の開示でもある。用語「塩基」は、用語「ヌクレオチド」と相互互換的に使用される。核酸カーゴは、一本鎖または二本鎖であり得る。それは、直鎖状または環状であり得る。
【0139】
カーゴの核酸が一本鎖である場合、各核酸は、少なくとも250、500、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、5250、5500、5750、6000、6250、6500、6750、7000、7250、7500、7750、8000、8250、8500、8750、9000、9250、9500、9750、10000、10250、10500、10750、または11000塩基のうちの1つの長さを有し得る。場合により、カーゴの核酸が一本鎖DNA(ssDNA)である場合、それは、4000、4250、4500、4750、5000、5250、5500、5750、6000、6250、6500、6750、7000、7250、7500、7750、8000、8250、8500、8750、9000、9250、9500、9750、10000、10250、10500、10750、または11000塩基のうちの1つの最大長さを有し得る。好ましい実施形態において、カーゴの一本鎖核酸は、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、または5000超の塩基のうちの1つの最大長さを有し得る。
【0140】
カーゴの核酸が一本鎖である場合、それは、250~750、500~1000、1000~1500、1500~2000、2000~2500、2500~3000、3000~3500、3500~4000、4000~4500、4500~5000、5000~5500、5500~6000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000、5000~6000、6000~7000、7000~8000、8000~9000、9000~10000、10000~11000、250~1000、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1000~6000、1000~7000、1000~8000、1000~9000、1000~10000、1000~11000、2000~4000、2000~5000、2000~6000、2000~7000、2000~8000、2000~9000、2000~10000、2000~11000、3000~5000、3000~6000、3000~7000、3000~8000、3000~9000、3000~10000、3000~11000、4000~6000、4000~7000、4000~8000、4000~9000、4000~10000、4000~11000、5000~7000、5000~8000、5000~9000、5000~10000、5000~11000、6000~8000、6000~9000、6000~10000、6000~11000、7000~9000、7000~10000、または7000~11000塩基のうちの1つの長さを有し得る。
【0141】
カーゴの核酸が一本鎖であるいくつかの実施形態において、それは、最長で2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、21000、22000、23000、24000、25000、26000、27000、28000、29000、30000、31000、32000、33000、34000、35000、36000、37000、38000、39000、または40000塩基のうちの1つまでの長さを有し得る。カーゴの一本鎖核酸は、5000~10000、5000~15000、5000~20000、5000~25000、5000~30000、5000~35000、5000~40000、10000~15000、10000~20000、10000~25000、10000~30000、10000~35000、10000~40000、15000~20000、15000~25000、15000~30000、15000~35000、15000~40000、20000~25000、20000~30000、20000~35000、20000~40000、25000~30000、25000~35000、25000~40000、30000~35000、30000~40000、または35000~40000塩基のうちの1つの長さを有し得る。
【0142】
カーゴの核酸が二本鎖である場合、それは、少なくとも250、500、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、5250、5500、5750、6000、6250、6500、6750、7000、7250、7500、7750、8000、8250、8500、8750、9000、9250、9500、9750、10000、10250、10500、10750、または11000塩基対のうちの1つの長さを有し得る。場合により、カーゴの核酸が二本鎖である場合、それは、4000、4250、4500、4750、5000、5250、5500、5750、6000、6250、6500、6750、7000、7250、7500、7750、8000、8250、8500、8750、9000、9250、9500、9750、10000、10250、10500、10750、または11000塩基対のうちの1つの最大長さを有し得る。好ましい実施形態において、カーゴの二本鎖核酸は、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、または5000超の塩基対のうちの1つの最大長さを有し得る。
【0143】
核酸カーゴが二本鎖である場合、それは、250~750、500~1000、1000~1500、1500~2000、2000~2500、2500~3000、3000~3500、3500~4000、4000~4500、4500~5000、5000~5500、5500~6000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000、5000~6000、6000~7000、7000~8000、8000~9000、9000~10000、10000~11000、250~1000、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1000~6000、1000~7000、1000~8000、1000~9000、1000~10000、1000~11000、2000~4000、2000~5000、2000~6000、2000~7000、2000~8000、2000~9000、2000~10000、2000~11000、3000~5000、3000~6000、3000~7000、3000~8000、3000~9000、3000~10000、3000~11000、4000~6000、4000~7000、4000~8000、4000~9000、4000~10000、4000~11000、5000~7000、5000~8000、5000~9000、5000~10000、5000~11000、6000~8000、6000~9000、6000~10000、6000~11000、7000~9000、7000~10000、または7000~11000塩基対のうちの1つの長さを有し得る。
【0144】
カーゴの核酸が二本鎖であるいくつかの実施形態において、それは、最長で2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、21000、22000、23000、24000、25000、26000、27000、28000、29000、30000、31000、32000、33000、34000、35000、36000、37000、38000、39000、または40000塩基対のうちの1つまでの長さを有し得る。カーゴの二本鎖核酸は、5000~10000、5000~15000、5000~20000、5000~25000、5000~30000、5000~35000、5000~40000、10000~15000、10000~20000、10000~25000、10000~30000、10000~35000、10000~40000、15000~20000、15000~25000、15000~30000、15000~35000、15000~40000、20000~25000、20000~30000、20000~35000、20000~40000、25000~30000、25000~35000、25000~40000、30000~35000、30000~40000、または35000~40000塩基対のうちの1つの長さを有し得る。
【0145】
カーゴの核酸、例えば、RNAは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50塩基のうちの1つの長さを有し得る。カーゴの核酸は、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100塩基のうちの1つの長さを有し得る。カーゴの核酸は、少なくとも100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250塩基のうちの1つの長さを有し得る。
【0146】
カーゴの核酸が一本鎖、例えば、一本鎖RNAである場合、それは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50塩基;少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100塩基;あるいは少なくとも100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250塩基のうちの1つの長さを有し得る。
【0147】
カーゴの核酸が、二本鎖、例えば、siRNAなどの二本鎖RNAである場合、それは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50塩基対のうちの1つの長さを有し得る。カーゴの核酸は、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100塩基対のうちの1つの長さを有し得る。カーゴの核酸は、少なくとも100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250塩基対のうちの1つの長さを有し得る。
【0148】
カーゴの各核酸は、約0.5kbから約4kbの間、約0.5kbから約3kbの間、約0.5kbから約2.5kbの間、約1kbから約3kbの間、約1.5kbから約2.5kbの間、または約2kbであり得る。各核酸カーゴは、少なくとも0.5kb、少なくとも1.0kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2.0kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも4kb、少なくとも5kb、少なくとも6kb、少なくとも7kb、少なくとも8kb、少なくとも9kb、少なくとも10kb、少なくとも11kb、少なくとも12kb、少なくとも13kb、少なくとも14kb、少なくとも15kb、少なくとも16kb、少なくとも17kb、少なくとも18kb、少なくとも19kb、少なくとも20kb、少なくとも21kb、少なくとも22kb、少なくとも23kb、少なくとも24kb、少なくとも25kb、少なくとも26kb、少なくとも27kb、少なくとも28kb、少なくとも29kb、少なくとも30kb、少なくとも31kb、少なくとも32kb、少なくとも33kb、少なくとも34kb、少なくとも35kb、少なくとも36kb、少なくとも37kb、少なくとも38kb、少なくとも39kb、少なくとも40kb、少なくとも41kb、少なくとも42kb、少なくとも43kb、少なくとも44kb、少なくとも45kb、少なくとも46kb、少なくとも47kb、少なくとも48kb、少なくとも49kb、少なくとも50kb、またはそれ以上であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、カーゴの各核酸は、少なくとも2kbである。
【0149】
いくつかの場合において、総核酸カーゴは、約0.5kbから約4kbの間、約0.5kbから約3kbの間、約0.5kbから約2.5kbの間、約1kbから約3kbの間、約1.5kbから約2.5kbの間、または約2kbであり得る。各核酸カーゴは、少なくとも0.5kb、少なくとも1.0kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2.0kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも4kb、少なくとも5kb、少なくとも6kb、少なくとも7kb、少なくとも8kb、少なくとも9kb、少なくとも10kb、少なくとも11kb、少なくとも12kb、またはそれ以上であり得る。換言すると、カーゴは、複数の核酸を含み、ならびに、各小胞でのこれらの核酸の長さの合計は、平均して、約0.5kbから約4kbの間、約0.5kbから約3kbの間、約0.5kbから約2.5kbの間、約1kbから約3kbの間、約1.5kbから約2.5kbの間、または約2kbである。各核酸カーゴは、少なくとも0.5kb、少なくとも1.0kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2.0kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも4kb、少なくとも5kb、少なくとも6kb、少なくとも7kb、少なくとも8kb、少なくとも9kb、少なくとも10kb、少なくとも11kb、少なくとも12kb、少なくとも13kb、少なくとも14kb、少なくとも15kb、少なくとも16kb、少なくとも17kb、少なくとも18kb、少なくとも19kb、少なくとも20kb、少なくとも21kb、少なくとも22kb、少なくとも23kb、少なくとも24kb、少なくとも25kb、少なくとも26kb、少なくとも27kb、少なくとも28kb、少なくとも29kb、少なくとも30kb、少なくとも31kb、少なくとも32kb、少なくとも33kb、少なくとも34kb、少なくとも35kb、少なくとも36kb、少なくとも37kb、少なくとも38kb、少なくとも39kb、少なくとも40kb、少なくとも41kb、少なくとも42kb、少なくとも43kb、少なくとも44kb、少なくとも45kb、少なくとも46kb、少なくとも47kb、少なくとも48kb、少なくとも48kb、少なくとも49kb、少なくとも50kb、またはそれ以上であり得る。
【0150】
カーゴは、少なくとも2つの非同一核酸を含み得る。カーゴの第1の核酸およびカーゴのさらなる非同一核酸の長さの合計は、0.5kb、少なくとも1.0kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2.0kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも4kb、少なくとも5kb、少なくとも6kb、少なくとも7kb、少なくとも8kb、少なくとも9kb、少なくとも10kb、少なくとも11kb、少なくとも12kb、少なくとも13kb、少なくとも14kb、少なくとも15kb、少なくとも16kb、少なくとも17kb、少なくとも18kb、少なくとも19kb、少なくとも20kb、少なくとも21kb、少なくとも22kb、少なくとも23kb、少なくとも24kb、少なくとも25kb、少なくとも26kb、少なくとも27kb、少なくとも28kb、少なくとも29kb、少なくとも30kb、少なくとも31kb、少なくとも32kb、少なくとも33kb、少なくとも34kb、少なくとも35kb、少なくとも36kb、少なくとも37kb、少なくとも38kb、少なくとも39kb、少なくとも40kb、少なくとも41kb、少なくとも42kb、少なくとも43kb、少なくとも44kb、少なくとも45kb、少なくとも46kb、少なくとも47kb、少なくとも48kb、少なくとも49kb、少なくとも50kb、またはそれ以上であり得る。カーゴの第1の核酸およびカーゴのさらなる非同一核酸の長さの合計は、約0.5kbから約4kbの間、約0.5kbから約3kbの間、約0.5kbから約2.5kbの間、約1kbから約3kbの間、約1.5kbから約2.5kbの間、または約2kbであり得る。
【0151】
発明者らは、長さに関して、塩基または塩基対において核酸のサイズを定義した。しかしながら、核酸のサイズは、核酸の構造によっても影響を受け得る。例えば、高次コイルDNAプラスミドは、同じ数の塩基対を有する直鎖状DNAよりコンパクトな構造を有するであろう。
【0152】
いくつかの場合において、カーゴの核酸は、同種である(すなわち、EVの組成物中の各核酸は、同様であるかまたは実質的に同一である)。いくつかの場合において、カーゴの核酸は、異種である(すなわち、EVの組成物中の核酸は、お互いに同様でないかまたは実質的に同一ではない)。
【0153】
好適な小分子は、細胞傷害性試薬およびキナーゼ阻害剤を含む。当該小分子は、蛍光プローブおよび/または金属を含み得る。例えば、カーゴは、超常磁性粒子、例えば、酸化鉄粒子などを含み得る。カーゴは、超微小超常磁性酸化鉄粒子、例えば、酸化鉄ナノ粒子などであり得る。
【0154】
いくつかの場合において、カーゴは、検出可能な部分、例えば、蛍光デキストランなどである。カーゴは、放射能標識され得る。
細胞外小胞に担持する方法
本明細書において、細胞外小胞へのカーゴの担持は、細胞外小胞がカーゴのキャリアとして有用であるような、例えば、細胞へのその送達を可能にするような安定または準安定な形態において、細胞外小胞とカーゴを会合させることを意味する。カーゴ分子は、少なくとも2つの方式において担持され得る。1つは、細胞外小胞の管腔にカーゴを存在させることである(管腔担持)。もう1つは、カーゴを外部表面、例えば、細胞外小胞の膜に、結合させる、付着させる、通過して挿入する、または複合体化させることである(外部表面担持)。細胞外小胞の外部表面上に担持されたカーゴ分子は、通常、小胞をヌクレアーゼ、例えば、DNaseまたはRNaseと接触させることによって除去され得る。
【0155】
2つ以上の非同一核酸を細胞外小胞に担持するための方法が、本明細書において開示される。当該方法は、担持される複数の非同一核酸を含む混合物に細胞外小胞を接触させる工程を含み得る。当該方法は、担持される第1の核酸を細胞外小胞に接触させる工程と、その後の、第1の核酸と非同一である担持される第2またはさらなる核酸を細胞外小胞に接触させる工程とを伴い得る。
【0156】
トランスフェクション試薬
いくつかの場合において、担持される核酸が核酸である場合、細胞外小胞、核酸、およびトランスフェクション試薬が、好適な条件下において、および担持が生じるのを可能にするのに十分な時間において、一緒にされる。
【0157】
担持方法は、担持する核酸をトランスフェクション試薬に接触させる工程を含み得る。好適なトランスフェクション試薬としては、カチオン性試薬、例えば、カチオン性脂質試薬などが挙げられる。例えば、Lipofectamine(商標)3000(商標)(ThermoFisher)、Turbofect(商標)(ThermoFisher)、Lipofectamine(商標)MessengerMAX(商標)(ThermoFisher)、Exofect(商標)(System Biosciences)、ならびに直鎖状ポリエチレンイミン塩酸塩、例えば、25,000Daまたは40,000Daの平均分子量を有するもの、例えば、PEIMax(商標)(Polysciences,Inc.)およびjetPEI(登録商標)(Polyplus transfection)など、いくつかのトランスフェクション試薬が当技術分野において既知である。
【0158】
本明細書において開示されるいくつかの方法は、担持される核酸分子を調製する工程を伴う。担持される核酸は、複数の非同一核酸を含み得る。調製工程において、細胞外小胞内へと担持される核酸は、トランスフェクション試薬と核酸との間での複合体の形成に好適な条件下においてトランスフェクション試薬と接触させられる。核酸およびトランスフェクション試薬は、複合体形成が生じるに十分な時間において接触する。好ましくは、核酸およびトランスフェクション試薬は、複合体、例えば、DNA:PEIMax複合体などを形成する。担持のための核酸の調製は、さらなる工程、例えば、核酸の濃縮または希釈、あるいは緩衝液または他の試薬または媒体、例えば、Opti-MEM reduced serum media(Gibco)などの追加を含み得る。核酸およびトランスフェクション試薬は、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、少なくとも4分間、少なくとも5分間、少なくとも6分間、少なくとも7分間、少なくとも8分間、少なくとも9分間、少なくとも10分間、少なくとも11分間、少なくとも12分間、少なくとも13分間、少なくとも14分間、少なくとも15分間、少なくとも16分間、少なくとも17分間、少なくとも18分間、少なくとも19分間、少なくとも20分間、または20分間以上接触させられ得る。担持のための核酸の調製は、核酸:トランスフェクション試薬複合体をさらなる核酸:トランスフェクション試薬複合体と組み合わせる工程を含み得、この場合、核酸は非同一である。
【0159】
本明細書において開示される方法は、核酸:トランスフェクション試薬複合体を細胞外小胞に担持する工程を伴い得る。調製された核酸:トランスフェクション試薬複合体は、担持済みの細胞外小胞と接触させられる。好ましい方法では、細胞外小胞が、調製された核酸:トランスフェクション試薬複合体に加えられる。換言すると、細胞外小胞と接触させる工程は、担持される核酸をトランスフェクション試薬と接触させた後に実施される。通常、核酸:トランスフェクション試薬複合体は、複数の細胞外小胞を含む組成物と接触させられる。核酸:トランスフェクション試薬複合体および細胞外小胞は、核酸:トランスフェクション試薬複合体の1つまたは複数が細胞外小胞に担持されるのを可能にするのに十分な時間および適切な条件下においてインキュベートされ得る。複合体は、細胞外小胞内に取り込まれ得るか、さもなければ、細胞外小胞上、例えば、細胞外小胞の表面上などに担持され得る。好ましくは、複合体は、細胞外小胞内に取り込まれる。
【0160】
担持工程の後、細胞外小胞は、単離され、洗浄され、および/または濃縮され得る。好ましい方法では、洗浄工程は、担持工程の後に行われる。担持工程の後、混合物は、PBSで洗浄され得る。好ましくは、洗浄工程は、混合物を遠心処理することによって細胞外小胞をペレット化して、当該ペレットを適切な緩衝液(例えば、PBS)に再懸濁させる工程を含む。洗浄工程は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上において反復され得る。
【0161】
核酸:トランスフェクション試薬複合体を細胞外小胞に担持する工程は、反復され得る。換言すると、核酸:トランスフェクション試薬複合体を細胞外小胞に担持する工程の後に、場合により、細胞外小胞は洗浄され得、ならびに、さらなる核酸:トランスフェクション試薬複合体と接触させられ得る。さらなる核酸:トランスフェクション試薬複合体は、前の担持工程において担持された核酸とは同一でない核酸を含み得る。そのような方法において、核酸:トランスフェクション試薬複合体が担持される細胞外小胞は、担持済みの細胞外小胞であり得、したがって、既に核酸カーゴを含み得る。あるいは、細胞外小胞は、担持工程を施されているがカーゴは担持されていないか、あるいは低レベルのカーゴが担持されている。第2のまたはさらなる担持工程が必要な場合、細胞外小胞は、先行の担持工程において使用されたのと同じまたは異なる条件下において、ならびに同じまたは異なる時点において、さらなる核酸:トランスフェクション試薬複合体を用いてインキュベートされ得る。第2のまたはさらなる担持工程に続いて、さらなる洗浄工程が使用され得る。
【0162】
好ましくは、当該方法は、核酸:トランスフェクション試薬複合体を用いて細胞外小胞をインキュベートする工程を伴い、ならびに、核酸:トランスフェクション試薬複合体を用いて細胞をインキュベートする工程と、それに続いて、そのような細胞からの細胞外小胞の形成を誘導する工程とを伴わない。
【0163】
いくつかの場合において、細胞外小胞にカーゴを担持するための好適な方法は、細胞外小胞の膜の透過性の一時的または半永久的な増加を必要とし得る。好適な方法は、国際出願PCT/SG2018/050596に記載されており、ならびに、例えば、エレクトロポレーション、音波処理(sonication)、超音波(ultrasound)、リポフェクションまたは低張性透析を含む。本明細書において開示される方法において、細胞外小胞は、カーゴと接触されられることにより混合物を形成し、当該混合物は、細胞外小胞の膜の透過性を増加させるように処理される。混合物は、治療の前に冷却され得る。それは、1種または複数種の緩衝液、例えば、PBSなどをさらに伴い得る。
【0164】
細胞外小胞に担持する工程は、反復され得る。換言すると、第1の処理工程に続いて、細胞外小胞は、場合により洗浄され得、ならびにさらなるカーゴと接触させられて混合物を形成し得る。当該混合物は、次いで、細胞外小胞の膜の透過性を増加させるために処理される。さらなるカーゴは、複数の非同一核酸を含み得る。あるいは、さらなるカーゴは、前の担持工程の核酸と非同一の核酸の集団を含み得る。
【0165】
カーゴは、エレクトロポレーションによって細胞外小胞内へと担持され得る。エレクトロポレーション、またはエレクトロパーミアビリゼーション(electropermeabilization)は、電界を細胞に適用することによって細胞膜の透過性を増加させ、それにより化学物質、薬物、またはDNAが細胞内に導入されることを可能にする微生物学的技術である。換言すると、細胞外小胞は、エレクトロポレーションによってカーゴを封入するように誘導または強制され得る。エレクトロポレーションは、エレクトロポレーションキュベットにおいて懸濁された細胞の1~2ミリメートルの距離を越えて数千ボルトを流す(1.0~1.5kV、250~750V/cm)ことによって作用する。概して、エレクトロポレーションは、いくつかの異なる段階を有する多段階プロセスである。最初に、短い電気パルスが印加される。典型的なパラメータは、膜に対し、<1msにおいて300~400mVであろう。この電位の印加において、膜は、周囲の溶液からのイオンの移動によって、コンデンサーのように荷電される。臨界場が達成されると、脂質モルフォロジーにおいて急速な局所的再編が生じる。結果として生じる構造は、導電性ではないが急速な伝導性孔の形成を生じるため、「プレポア(pre-pore)」であると考えられる。そのようなプレポアの存在の証拠は、そのほとんどが、導電状態と絶縁状態との間の移行を示唆している孔の「ちらつき」によってもたらされる。これらのプレポアは小さい(約3Å)の疎水性欠陥であることが示唆されている。この理論が正しい場合、導電状態への移行は、ポア端部での再編によって説明することができ、その部分では、脂質頭部は、親水性界面を形成するように折り重なる。最後に、これらの導電性孔は、回復して二分子膜を再封止し得るか、または広がって最終的に膜を破壊させ得る。結果の運命は、印加された電場に依存する臨界欠陥サイズが、局所的な機械的応力および二分子膜末端エネルギーを超えるか否かによって決まる。インビボエレクトロポレーションの成功は、電位、反復、パルス、および持続時間に大いに依存する。本明細書において開示される方法は、細胞外小胞に、約25Vから300Vの間または約50Vから250Vの間のエレクトロポレーションを施す工程を伴い得る。
【0166】
あるいは、カーゴは、音波処理によって細胞外小胞に担持され得る。音波処理は、様々な目的、例えば、植物、微細藻類、および海草からの多数の化合物の抽出などのため、試料中の粒子を揺り動かすために音のエネルギーを適用する行為である。通常、超音波周波数(>20kHz)が使用され、超音波処理としても知られているプロセスを生じる。音波処理は、超音波浴または口語的にソニケーターとして知られる超音波プローブを使用して適用され得る。
【0167】
別の方法において、カーゴは、超音波を用いて担持される。超音波は、細胞膜を崩壊させることが知られており、それにより、分子を細胞に担持する。20kHzから数ギガヘルツまでの周波数の音波が、細胞外小胞に適用され得る。
【0168】
さらなる別の方法において、カーゴは、リポフェクションによって細胞外小胞内に担持され得る。リポフェクション(またはリポソームトランスフェクション)は、リポソームによって細胞内に遺伝物質を注入するために使用される技術であり、リポソームと細胞膜は、両方ともリン脂質二分子膜で構成されているために、リポソームは、容易に細胞膜と合体することができる小胞である。
【0169】
担持される混合物
本明細書において説明される方法は、担持される核酸の混合物の調製または提供を伴い得る。当該混合物は、核酸の混合物である。当該混合物は、追加的に、トランスフェクション試薬を含む場合もある。当該混合物は、核酸:トランスフェクション試薬複合体を含み得る。当該混合物は、特定の比率において存在する核酸を含み得る。特定の比率の混合物において核酸を提供することにより、細胞外小胞に、核酸のうちの少なくとも1種は他の核酸と異なる核酸が担持される可能性は増加する。
【0170】
いくつかの場合において、混合物は、2つ以上の副混合物(sub-mixture)から調製され、その場合、各副混合物は、担持される核酸およびトランスフェクション試薬のうちの一方を含む。次いで、副混合物は、組み合わされて混合物を形成する。例えば、それぞれが担持される核酸およびトランスフェクション試薬を含んだ2つ以上の副混合物が、組み合わされて、混合物を形成し得る。これらの例において、副混合物のそれぞれは、核酸:トランスフェクション試薬複合体を含む。
【0171】
混合物において、担持される第1の核酸およびさらなる生物分子は、等モル量において、すなわち、等モル比において存在し得る。担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、異なるモル量において、すなわち、等モル比ではない比において存在してもよい。当該比は、細胞外小胞との同時接触を可能にするような、混合物中に存在するさらなる核酸に対する第1の核酸の量を意味し得る。あるいは、当該比は、さらなる核酸に対する第1の核酸の量を意味し得、この場合、第1の核酸およびさらなる核酸は、別々の工程において細胞外小胞と接触させられる。
【0172】
担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、約100:1、75:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:50、1:75、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:400、1:500の比において存在し得る。場合により、担持される第1の核酸およびさらなる核酸は、約100:1、75:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:50、1:75、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:400、1:500の比において存在する。好ましくは、当該比は、約1:1である。当該比は、第1の核酸およびさらなる核酸のそれぞれのモル量の比を意味する。
【0173】
担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、100:1~1:100の間、75:1~1:75の間、50:1~1:50の間、25:1~1:25の間、20:1~1:20の間、15:1~1:15の間、10:1~1:10の間、9:1~1:9の間、8:1~1:8の間、7:1~1:7の間、6:1~1:6の間、5:1~1:5の間、4:1~1:4の間、3:1~1:3の間、2:1~1:2の間、または約1:1の比において存在し得る。好ましくは、担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、1:3~3:1の間、1:2~2:1の間、または約1:1の比において存在する。当該比は、第1の核酸およびさらなる核酸のそれぞれのモル量の比を意味する。
【0174】
3つの異なる核酸が細胞外小胞に担持される場合、第1、第2、および第3のバイオマーカーは、およそ等モル比において、すなわち、1:1:1において混合物中に存在し得る。担持される第1、第2、および第3の核酸は、約1:1:2、1:1:3、1:1:4、1:1:5、1:1:6、1:1:7、1:1:8、1:1:9、1:1:10、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、1:6:1、1:7:1、1:8:1、1:9:1、1:10:1、2:1:1、3:1:1、4:1:1、5:1:1、6:1:1、7:1:1、8:1:1、9:1:1、10:1:1、1:2:2、1:3:3、1:4:4、1:5:5、1:6:6、1:7:7、1:8:8、1:9:9、1:10:10、1:2:3、1:2:4、1:3:6、1:4:8、1:5:10、2:4:6、2:8:4の比、または他の比において存在し得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、担持される核酸は、複数の核酸である。担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、等モル量において、すなわち、等モル比において存在し得る。担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、異なるモル量において、すなわち、等モル比ではない比において存在してもよい。
【0176】
担持される核酸の相対長さは、当該比に影響を及ぼし得る。例えば、より大きい核酸は、より低い担持効率を有し得る。したがって、担持される第1の核酸が、担持されるさらなる核酸より著しく大きい場合、より大きい核酸は、より多い量において存在し得る。担持される核酸の相対構造は、当該比に影響を及ぼし得る。例えば、DNAプラスミドは、同じ長さの直鎖状DNAと比べてよりコンパクトな構造を有し得る。よりコンパクトな構造を有する核酸は、より高い担持効率を有し得る。したがって、よりコンパクトな構造を有する核酸は、より低い量において存在し得る。同様に、担持される核酸の一方が一本鎖であり、担持されるさらなる核酸が二本鎖である場合、当該比は調節され得る。そのような場合、鎖の数を補うように当該比を調節することは、適切であり得る。例えば、一本鎖成分の割合は、二本鎖成分の割合と比較した場合、増加され得る。いくつかの場合において、一本鎖成分の割合は、二本鎖成分の割合と比較した場合、二倍であり得る。したがって、第1の核酸が一本鎖核酸であり、さらなる核酸が二本鎖核酸である場合、当該比は、1:1から2:1において調節され得る。
【0177】
核酸は、400:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、75:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:50、1:75、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:400、1:500の比において存在し得る。場合により、担持される第1の核酸およびさらなる核酸は、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25の比において存在する。いくつかの場合において、担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、100:1~1:100の間、75:1~1:75の間、50:1~1:50の間、25:1~1:25の間、20:1~1:20の間、15:1~1:15の間、10:1~1:10の間、9:1~1:9の間、8:1~1:8の間、7:1~1:7の間、6:1~1:6の間、5:1~1:5の間、4:1~1:4の間、3:1~1:3の間、2:1~1:2の間、または約1:1の比において存在し得る。好ましくは、担持される第1の核酸および担持されるさらなる核酸は、1:3~3:1の間、1:2~2:1の間、または約1:1の比において存在し得る。当該比は、第1の核酸およびさらなる核酸のそれぞれのモル量の比を意味する。
【0178】
3つの異なる核酸が担持される場合、それらは、およそ等モル比(すなわち、1:1:1)、あるいは、約1:1:2、1:1:3、1:1:4、1:1:5、1:1:6、1:1:7、1:1:8、1:1:9、1:1:10、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、1:6:1、1:7:1、1:8:1、1:9:1、1:10:1、2:1:1、3:1:1、4:1:1、5:1:1、6:1:1、7:1:1、8:1:1、9:1:1、10:1:1、1:2:2、1:3:3、1:4:4、1:5:5、1:6:6、1:7:7、1:8:8、1:9:9、1:10:10、1:2:3、1:2:4、1:3:6、1:4:8、1:5:10、2:4:6、2:8:4、または他の比において存在し得る。
【0179】
担持される核酸が同様のサイズであるいくつかの実施形態において、核酸は、等モル比において存在し得る。担持される核酸がプラスミドであるいくつかの実施形態において、当該プラスミドは、等モル比において存在し得る。
【0180】
細胞外小胞は、管腔担持および外側表面担持の組合せによって担持され得、ならびに、そのような細胞外小胞は、カーゴ核酸を標的細胞に効率的に送達し得る。
場合により、いくつかの実施形態において、担持に対する言及は、管腔担持に対してのみであり得る。場合により、いくつかの他の実施形態において、担持に対する言及は、外側表面担持に対してのみであり得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明される細胞外小胞内へのカーゴの担持は、ウイルス送達方法を含まず、例えば、当該担持方法は、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターなどを伴わない。
【0182】
当該方法は、細胞外小胞の管腔内に含まれない核酸カーゴを除去する工程を伴い得る。そのような工程は、担持済みの細胞外小胞をDNAseと接触させる工程を含み得る。担持済みの細胞外小胞は、核酸または核酸:トランスフェクション試薬複合体を解離させるために、DNAseとの接触の前にヘパリンと接触させられ得る。
【0183】
組成物
細胞外小胞を含む組成物が、本明細書において開示される。
当該組成物は、1mlあたり10~1015の間の粒子を含み得る。当該組成物は、1mlあたり少なくとも10の粒子、1mlあたり少なくとも10の粒子、1mlあたり少なくとも10の粒子、1mlあたり少なくとも10の粒子、1mlあたり少なくとも10の粒子、1mlあたり少なくとも1010の粒子、1mlあたり少なくとも1011の粒子、1mlあたり少なくとも1012の粒子、1mlあたり少なくとも1013の粒子、1mlあたり少なくとも1014の粒子、1mlあたり少なくとも1015の粒子を含み得る。
【0184】
組成物は、実質的に相同な寸法を有する細胞外小胞を含み得る。例えば、細胞外小胞は、100~500nmの範囲の直径を有し得る。いくつかの場合において、微小胞の組成物は、50~1000nm、101~1000nm、101~750nm、101~500nm、または100~300nm、または101~300nmの範囲の直径を有する微小胞を含む。好ましくは、直径は、100~300nmである。いくつかの組成物において、微小胞の平均直径は、100~300nm、好ましくは150~250nm、好ましくは約200nmである。
【0185】
細胞外小胞は、カーゴを含む。そのような組成物において、カーゴが組成物中の実質的に全ての細胞外小胞内に封入されることが望ましいが、本明細書において開示される組成物は、細胞外小胞の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%がカーゴを含むような場合の細胞外小胞を含み得る。好ましくは、細胞外小胞の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%が、カーゴを含む。いくつかの場合において、組成物内の異なる細胞外小胞は、異なるカーゴを含む。いくつかの場合において、細胞外小胞は、同じかまたは実質的に同じカーゴを含む。
【0186】
組成物は、医薬組成物であり得る。組成物は、1つまたは複数の細胞外小胞と、場合により、薬学的に許容されるキャリアとを含み得る。医薬組成物は、特定の投与経路による投与のために製剤化され得る。例えば、医薬組成物は、静脈内、腫瘍内、腹腔内、皮内、皮下、鼻腔内投与経路または他の投与経路用に製剤化され得る。
【0187】
組成物は、緩衝液を含み得る。組成物は、防腐性化合物を含み得る。組成物は、薬学的に許容されるキャリアを含み得る。
2つ以上の核酸の送達
本明細書において説明されるEVは、2つ以上の核酸を細胞に送達する方法において使用され得る。換言すると、本明細書において説明されるEVは、カーゴの核酸のための送達システムとして使用され得る。EVのカーゴは、標的細胞に送達される。したがって、EVに、少なくとも2つの異なる核酸を含むカーゴが担持される場合、前記核酸は、標的細胞に同時に送達されるであろう。これは、標的細胞が、カーゴのそれぞれの異なる核酸の全てを受け取ることを確実とする。EVは、上記において説明されるカーゴが担持され得る。
【0188】
標的細胞への2つ以上の核酸の送達は、例えば、CRISPR遺伝子編集システムなど、システムが複数の構成要素を含み、当該システムが機能するために、構成要素のそれぞれが単一の細胞に存在することを必要とするような場合に有用であり得る。この場合、gRNA、ヌクレアーゼをコードする核酸分子、およびDNA修復テンプレートのうちの2つ以上を、同時に標的細胞に送達することができる。次いで、ヌクレアーゼは、標的細胞によって発現され得て、標的細胞の遺伝子を編集するために、gRNAおよび場合によりDNA修復テンプレートと協力して機能し得る。
【0189】
2つ以上の核酸を標的細胞に送達する方法は、当該核酸が、例えば同じ分子のサブユニットまたは構成要素など、相互に関連する異なるペプチドまたはタンパク質をコードする核酸、あるいは、例えば同じ生物学的経路の構成要素など、関連し合う操作を有するかまたはリガンド:受容体結合関係を示す分子である場合に有用であり得る。本明細書において示されるように、別々の核酸上の異なる成分であるペプチドをコードするカーゴが担持されたEVは、単一の核酸上のペプチドをコードする場合(例えば、2シストロン性ベクター)、ならびに異なるEVにおいて別々にこれらのカーゴを送達する場合と比較して、優れた発現を提供する。いくつかの場合において、標的細胞は、カーゴの核酸によってコードされるペプチドを産生するであろう。いくつかの場合において、標的細胞は、カーゴの核酸によってコードされるペプチドを産生し分泌するであろう。いくつかの場合において、標的細胞は、分子の異なるポリペプチド成分を生じるであろうし、それらは、標的細胞内において組み立てられた完全な分子を形成する。
【0190】
当該方法は、どの標的細胞がカーゴを取り込んだかを理解することが重要である場合にも有用である。そのような場合、カーゴは、レポーター遺伝子を含み得るか、または容易に検出可能な分子をコードする。いくつかの場合において、カーゴは、レポーター遺伝子または検出可能な分子と、目的の少なくとも1つの核酸(例えば、プラスミド、ASO、siRNA、またはCRISPR遺伝子編集システムの構成要素)とを含み得る。レポーター遺伝子または検出可能な分子は、目的の核酸と共に標的細胞に送達されるであろうし、ならびに、カーゴを取り込み、したがって目的の核酸を含むような細胞の検出を容易にする。
【0191】
いくつかの場合において、2つ以上の核酸を細胞に送達する当該方法は、インビトロまたはエクスビボにおいて実施される。いくつかの場合において、2つ以上の核酸を細胞に送達する当該方法は、インビボにおいて実施される。いくつかの場合において、標的細胞は、対象、例えば、ヒト対象から単離されたものである。いくつかの場合において、標的細胞は、対象、例えば、ヒト対象に存在する。いくつかの場合において、当該対象は、がんを患う。いくつかの場合において、当該対象は、単一遺伝子性疾患を患う。いくつかの場合において、対象は、多遺伝子性疾患を患う。
【0192】
いくつかの場合において、標的細胞は、がん細胞または腫瘍細胞である。いくつかの場合において、標的細胞は、免疫細胞である。いくつかの場合において、標的細胞は、遺伝子変異を含む。いくつかの場合において、標的細胞は、欠陥遺伝子を含む。いくつかの場合において、標的細胞は、機能喪失型変異を含む。いくつかの場合において、標的細胞は、機能獲得型変異を含む。いくつかの場合において、標的細胞は、タンパク質の過剰発現または過少発現を引き起こす変異を有する。
【0193】
細胞に2つ以上の核酸を送達する方法は、標的細胞をEVと接触させる工程を含み、この場合、EVは、少なくとも2つの異なる核酸を含んだカーゴが担持される。標的細胞およびEVは、標的細胞にEVを取り込ませるのに十分な時間およびそれにとって好適な条件下において、接触させられる。
【0194】
EVは、標的細胞を用いてインキュベートされ得る。用語「インキュベートすること(incubating)」/「インキュベーション(incubation)」/「インキュベートする(incubate)」は、標的細胞とカーゴが担持されたEVとを、EVが標的細胞によって取り込まれる、すなわち、同化されるか、組み込まれるか、または取り入れられるような好適な温度および好適な時間において一緒にする工程を意味するために本明細書において使用される。これらの用語は、標的細胞と担持済みのEVとを、標的細胞が、例えば、インキュベーションの間またはその後に、EVおよび/またはカーゴ、例えば、外因性核酸を取り込む、すなわち、同化するか、組み込むか、または取り入れるように十分に接触させる工程を意味するためにも本明細書において使用される。インキュベーションは、少なくとも1つのEVおよび/またはカーゴを含む本明細書において説明される標的細胞を生じ得る。標的細胞は、インキュベーションの間またはその後に生成され得る。インキュベーションは、カーゴを担持したEVを含む細胞培地において標的細胞またはその集団をインビトロ/エクスビボにおいて培養する工程を伴い得る。インキュベーションは、哺乳動物の体温に近い温度、例えば、少なくとも35.0℃、少なくとも35.5℃、少なくとも36.0℃、少なくとも36.1℃、少なくとも36.2℃、少なくとも36.3℃、少なくとも36.4℃、少なくとも36.5℃、少なくとも36.6℃、少なくとも36.7℃、少なくとも36.8℃、少なくとも36.9℃、少なくとも37.0℃、少なくとも37.1℃、少なくとも37.2℃、少なくとも37.3℃、少なくとも37.4℃、および/または少なくとも37.5℃のうちの1つまたは複数の温度において実施され得る。いくつかの場合において、インキュベーションは、2つ以上の温度、例えば、上記のような温度において実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、単一の温度において実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、ヒトの体温において実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも37.0℃において実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、37.0℃において実施される。インキュベーションは、同じ細胞において反復され得る。
【0195】
インキュベーションは、細胞培養のCOレベルを制御する工程を含み得る。制御されたCOを伴うインキュベーションは、インキュベートされる混合物のpHを制御することができる。いくつかの場合において、混合物をインキュベートする工程のCOレベルは、血液、例えば、哺乳動物の血液のCOレベルまたはそれに近いレベルに維持される。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも4.0%、少なくとも4.1%、少なくとも4.2%、少なくとも4.3%、少なくとも4.4%、少なくとも4.5%、少なくとも4.6%、少なくとも4.7%、少なくとも4.8%、少なくとも4.9%、少なくとも5.0%、少なくとも5.1%、少なくとも5.2%、少なくとも5.3%、少なくとも5.4%、少なくとも5.5%、少なくとも5.6%、少なくとも5.7%、少なくとも5.8%、少なくとも5.9%および/または少なくとも6.0%のCOのうちの1つまたは複数において実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも30mmHg、少なくとも31mmHg、少なくとも32mmHg、少なくとも33mmHg、少なくとも34mmHg、少なくとも35mmHg、少なくとも36mmHg、少なくとも37mmHg、少なくとも38mmHg、少なくとも39mmHg、少なくとも40mmHg、少なくとも41mmHg、少なくとも42mmHg、少なくとも43mmHg、少なくとも44mmHg、および/または少なくとも45mmHgのCOのうちの1つまたは複数において実施される。
【0196】
いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも5%のCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、約5%のCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、5%のCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも38mmHgのCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、約38mmHgのCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、38mmHgのCOにおいて実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、加湿された環境、例えば、加湿されたインキュベーターにおいて実施される。
【0197】
インキュベーションは、EVが標的細胞によって取り込まれるような長さの時間において実施され得る。インキュベーションは、例えば、温度と、例えば上記のようなCOレベルの組合せにおいて、12、24、36、48、60、または72時間のうちの1つにおいて実施され得る。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、または少なくとも72時間実施される。
【0198】
いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも36時間または少なくとも48時間実施される。いくつかの場合において、インキュベーションは、48時間実施される。本明細書において説明される方法は、例えば、全ての非同化EVを除去するために、インキュベーションの後に標的細胞を洗浄する1つまたは複数の工程を含み得る。洗浄工程は、PBSおよび遠心分離を用いて、例えば、4℃において実施され得る。
【0199】
本明細書において説明される方法は、例えば、上記において説明されるような、温度、COレベル、および/または時間の任意の組合せを含むインキュベーション工程を含み得る。いくつかの場合において、インキュベーションは、37℃および5%のCOにおいて48時間実施される。
【0200】
インキュベーションは、任意の好適な培地、例えば、細胞培養培地において実施され得る。
いくつかの場合において、インキュベーションは、インキュベーション時間のいくらかまたは全てにおいて混合物を攪拌する工程を含む。
【0201】
当該方法は、核酸カーゴ、例えば、本明細書に説明されるような核酸カーゴをEVに担持する工程を含み得る。この工程は、標的細胞を用いてEVをインキュベートする工程の前に実施され得る。この工程は、標的細胞を用いてEVをインキュベートする工程とは別々に実施され得る。
【0202】
いくつかの場合において、当該方法は、EVに核酸カーゴを担持する工程を含まず、例えば、標的細胞は、核酸カーゴが事前担持されているEVを用いてインキュベートされる。
【0203】
いくつかの場合において、本明細書において説明される外因性核酸を標的細胞に送達する/トランスフェクトする方法は、標的細胞をトランスフェクション試薬と接触させる工程を含まない(EV自体は、例えば、トランスフェクション試薬を使用して、核酸カーゴが担持され得る/担持されているが)。
【0204】
治療方法および細胞外小胞の使用
本明細書において開示される細胞外小胞は、治療方法において有用である。本明細書において実証されるように、2つ以上の核酸が共担持されたRBCEV(共担持)を用いてトランスフェクトされた細胞は、結果として、より高いレベルの発現不均一性を示す、それぞれのカーゴが個別に担持され、その後に均等に混合されたRBCEV(共トランスフェクト)を用いてトランスフェクトされた細胞と比較して、はるかに高いレベルでの全てのカーゴからの発現を生じた。両方の導入遺伝子からの共発現に対する共担持の効果は、2シストロン性ベクターの使用によって達成することができるものより明白であった。したがって、本発明による、少なくとも2つの異なる核酸を含むカーゴを担持した細胞外小胞は、治療方法において特に有用である。
【0205】
細胞外小胞は、複数の核酸成分の投与から恩恵を受けることが知られている治療方法、例えば、遺伝子編集(遺伝子編集システムの複数の構成要素の投与を必要とする)またはベクター化された抗体(抗体またはその抗原結合性断片の複数の成分の投与を必要とする)による治療方法などにおいて特に有用である。いくつかの方法は、内因性核酸の抑制および外因性核酸の同時発現を伴う。例えば、そのような方法は、例えば機能獲得型変異などの「不完全な」外因性核酸の抑制およびその核酸の外因性の機能的なコピーの発現を伴い得る。治療は、例えば、多遺伝子性疾患の治療などにおける、2つ以上の内因性核酸を標的にする核酸の投与を伴い得る。
【0206】
特に、当該方法は、標的遺伝子に関連する障害を患う対象の治療にとって有用であり、当該方法は、変更された細胞外小胞の有効量を前記対象に投与する工程を含み、この場合、変更された細胞外小胞は、その表面上に結合性分子を含み、標的細胞における標的遺伝子と相互作用するための非内因性物質を封入する。当該非内因性物質は、前記治療のための核酸であり得る。
【0207】
本明細書において開示される細胞外小胞は、遺伝病、炎症性疾患、がん、自己免疫異常、心血管疾患、または消化器系疾患の治療にとって特に有用である。いくつかの場合において、当該障害は、サラセミア、鎌状赤血球貧血、または遺伝性代謝障害から選択される遺伝病である。いくつかの場合において、細胞外小胞は、肝臓、骨髄、肺、脾臓、脳、膵臓、胃、または腸管の障害の治療にとって有用である。
【0208】
ある特定の態様において、細胞外小胞は、がんの治療にとって有用である。本明細書において開示される細胞外小胞は、がん細胞の成長または増殖の阻害にとって有用であり得る。当該がんは、液性または血液がん、例えば、白血病、リンパ腫、または骨髄腫などであり得る。他の場合において、がんは、固形がん、例えば、乳がん、肺がん、肝臓がん、結直腸がん、上咽頭がん、腎がん、または神経膠腫などである。いくつかの場合において、がんは、肝臓、骨髄、肺、脾臓、脳、膵臓、胃、または腸管に位置される。
【0209】
標的細胞は、治療される障害に依存する。例えば、標的細胞は、乳房がん細胞、結直腸がん細胞、肺がん細胞、腎臓がん細胞などであり得る。カーゴは、標的遺伝子の発現を阻害または増強するための、または特定の遺伝子を発現停止させるために遺伝子編集を実施するための核酸を含み得る。
【0210】
本明細書において説明される細胞外小胞および組成物は、多くの経路、例えば、これらに限定されるわけではないが、全身性、腫瘍内、腹腔内腸管外、静脈内動脈内、皮内、皮下、筋肉内、経口、および経鼻などによって投与され得るか、またはそのような投与のために製剤化され得る。好ましくは、細胞外小胞は、腫瘍内、腹腔内、または静脈内から選択される経路によって投与される。当該医薬品および組成物は、液体形態または固体形態において製剤化され得る。液体製剤は、ヒトまたは動物の身体における選択された領域への注入による投与のために製剤化され得る。
【0211】
細胞外小胞は、治療用カーゴを含み得る。治療用カーゴは、標的細胞における標的遺伝子と相互作用するための非内因性物質であり得る。治療用カーゴは、ベクター化された抗原結合性分子であり得る。
【0212】
「治療有効量」での投与が好ましく、この量は、個人に対して恩恵を示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の経路および時間-コースは、治療される疾患の性質および重症度に依存するであろう。治療の処方箋、例えば、投薬量などの決定は、一般医師および他の医師の責任の範囲内であり、典型的には、治療すべき障害、個々の患者の状態、送達の部位、投与の方法、および医師に既知の他の要因を考慮する。上記において言及される技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition,2000,pub.Lippincott,Williams & Wilkinに見出すことができる。
【0213】
細胞外小胞は、単独において、または、他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時にまたは連続して投与され得る。
本明細書において説明されるカーゴが担持された細胞外小胞は、標的細胞にそのカーゴを送達するために使用され得る。いくつかの場合において、当該方法は、インビトロ法である。特に好ましいインビトロ法において、カーゴは、標識分子またはプラスミドである。
【0214】
治療される対象は、任意の動物またはヒトであり得る。対象は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。対象は、非ヒト哺乳動物であり得るが、より好ましくはヒトである。対象は、雄または雌であり得る。対象は、患者であり得る。治療使用は、ヒトまたは動物(家畜への使用)においてであり得る。
【0215】
その特定の形態においてまたは開示される機能を実施するための手段に関連して表現される、先述の説明において、または下記の特許請求の範囲において、または添付の図面において開示される特徴、あるいは開示された結果を得るための方法またはプロセスは、適切であれば、そのような特徴とは別々に、またはそれらと組み合わせて、本発明をその様々な形態において実現するために利用され得る。
【0216】
本発明は、上記において説明される例示的実施形態に関連して説明されるが、多くの同等な修飾および変形例は、この開示を与えられた当業者には明らかであろう。したがって、上記において説明された本発明の例示的実施形態は、説明目的と見なされ、制限とは見なされない。説明された実施形態への様々な変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくされ得る。
【0217】
あらゆる疑問の回避のために、本明細書において提供される全ての論理的説明は、読み手の理解を向上させる目的のために提供される。本発明者らは、これらの論理的説明のいずれかによって縛られることを望まない。
【0218】
本明細書において使用される全てのセクションの見出しは、組織的な目的のみのためのものであり、説明される主題の限定として解釈されるべきではない。
下記の特許請求の範囲を含め、本明細書を通じて、文脈がそうでないことを必要とする場合を除いて、言葉「含む(comprise)」および「含む(include)」、および変形例、例えば、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、および「含むこと(including)」は、言及された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を含むが他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を除外しないことを意味するものと理解される。
【0219】
本明細書においてまたは添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において特に明記されない限り、複数形を包含することに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、一方の特定値から、および/または他方の特定値までを含む。同様に、値が近似値で表される場合、「約」という先行詞を用いることで、この特定値が、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値との関連においける用語「約」は随意的であり、例えば、±10%を意味する。
【実施例
【0220】
実施例1
RBCEVは、2つ以上の核酸カーゴを同時に担持することができ、ならびに、これらの共担持済みのEVは、標的細胞へのそれらのペイロードの送達において非常に効率的である。これは、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリー分析によって蛍光レポーター遺伝子の発現パターンおよび発現レベル、qRT-PCRによって遺伝子転写レベル、ならびに治療抗体の発現レベルを評価することによって実証された。2つ以上の核酸を共担持したRBCEV(共担持)を用いてトランスフェクトされた細胞は、結果として、それぞれのカーゴを個別に担持してその後に均等に混合(共トランスフェクト)したRBCEV(高いレベルの発現不均一性を示した)と比較して、全てのカーゴからの非常に高い発現レベルを生じた。両方の導入遺伝子からの共発現に対する共担持の効果は、2シストロン性ベクターの使用によって達成可能なものよりも、さらに明確であった。これらの研究結果は、共担持済みのRBCEVは、複数のカーゴの送達にとって有望なビヒクルであり、ベクター化抗体およびゲノム編集の分野における重要な意義を有することを示唆している。
【0221】
方法
材料および試薬
プラスミド(CMV-copGFP、CMV-tdTomato、CAG-Cre、CAG-hFIX、CAG-ルシフェラーゼ、CAG-LC、CAG-HC、CAG-LC-IRES-HC、CAG-LC-P2A-HC)をカスタム合成した。トラスツズマブの完全長重鎖(HC)および軽鎖(LC)を、ドラッグバンクデータベースから入手した(受託番号:DB00072)。tdTomato mRNAを、TriLink Biotechnologiesにおいてカスタム合成した。293T細胞およびHepG2細胞をATCCから購入し、37℃の5%COのインキュベーターにおいて、10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ変法イーグル培地において培養した。
【0222】
ヒトRBCに由来するEVの精製および定量化
全血試料を、Innovative Research,Incを通じて、告知同意において健康なドナーから入手した。遠心沈殿法および白血球除去(leukodepletion)フィルター(Terumo Japan)を使用することによって、RBCを血漿および白血球から分離した。単離されたRBCを、PBSにおいて希釈し、10mMのカルシウムイオノホア(Sigma-Aldrich)によって一晩処理した。EVを精製するために、RBCおよび細胞破片を、600×gで60分間、1,600×gで30分間、および4,000×gで30分間の、4℃での遠心分離によって除去した。EVを、4℃において180分かけて、15,000×gでペレット化し、PBSに再懸濁させて、0.45μmフィルターを通過させた。EVを4ダイア容量(diavolume)のPBSで洗浄し、タンジェンシャルフロー濾過(Pall Minimate)によって濃縮した。精製されたEVを-80℃で貯蔵した。EVを、Hemoglobin Assay Kit(Abcam)を使用してそれらのヘモグロビン含量を評価することによって定量化した。
【0223】
RBCEVの核酸担持およびインビトロトランスフェクション
1μgのmRNAまたはDNAを、Opti-MEM(ThermoFisher)において7μlの化学的トランスフェクション試薬に加え、複合体形成を促進するために室温で10分間インキュベートした。混合物を50μgの洗浄したRBCEVに加え、穏やかに混合した。反応物を、室温において、穏やかに回転させながら1時間インキュベートした。その後、担持済みのRBCEVを15、000×gでペレット化し、PBSで洗浄した。
【0224】
複数の核酸の共担持のために、プラスミドおよび/またはmRNAを、最初に等モル比において混合し、その後、化学的トランスフェクション試薬を加えた。複合体形成の後に、混合物をRNCEVに加え、穏やかに回転させながら室温1時間でインキュベートした。担持済みのRBCEVを15,000×gにおいてペレット化し、PBSで洗浄した。
【0225】
RBCEVの共トランスフェクションのために、2つ以上のプラスミドまたはmRNAを別々の管においてRBCEVに担持し、PBSで洗浄した後、これらの担持済みのRBCEVの核酸を定量化した。担持済みのRBCEVを、それらのそれぞれの核酸の等モル比において混合し、その後に細胞のトランスフェクションを行った。
【0226】
トランスフェクションの前日に、50,000の293T細胞またはHepG2細胞を、24ウェルプレートの各ウェルに播種した。トランスフェクションの当日に、担持済みのRBCEVを核酸の等モル量において細胞へと処理した。粒子をウェルにおいて均等に分配するために、24ウェルプレートを穏やかに旋回させた。
【0227】
遺伝子発現の評価
蛍光レポーター遺伝子のために、顕微鏡撮像およびフローサイトメトリーによって遺伝子発現を評価した。顕微鏡撮像のために、293T細胞またはHepG2細胞のエピ蛍光画像を、トランスフェクションの48時間後に、Nikon Eclipse Ts2倒立顕微鏡を使用して撮影した。画像を、生物学的画像解析のためのオープンソースプラットフォームのFijiを使用して解析した(Nature methods 9(7):676~682,PMID 22743772)。FijiプラグインColoc 2を使用して、2色チャネル画像の共局在化分析を実施した。共局在化シグナルの相関度を測定するために、ピアソン相関係数を選択し、結果は、完全な相関の場合は1.0であり、相関がない場合は0.0である。
【0228】
フローサイトメトリー分析のために、293T細胞およびHepG2細胞を、トランスフェクションの48時間後に、0.05%のトリプシンによって回収した。回収した細胞をPBSで洗浄し、FACS緩衝液(1%のFBSを含むPBS)に再懸濁させた。CytoFLEX Sフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して、細胞のフローサイトメトリーを実施し、FlowJo V10(FlowJo、米国)を使用して分析した。デブリおよび死んだ細胞を排除するために、細胞を最初に、FSC-A対SSC-Aに基づいてゲートした(低FSC-A)。ダブレットおよび凝集物を排除するために、細胞をさらに、FSC幅対FSC高さに基づいてゲートした。コントロールとして未処理の細胞を使用することにより、GFP陽性細胞を、FITCチャネルにおいてゲートし、tdTomato陽性細胞を、PEチャネルにおいてゲートした。GFPおよび/またはtdTomato陽性細胞の割合を評価した。
【0229】
他のプラスミド(非蛍光)に対しては、qRT-PCRによって特定した転写レベルによって、遺伝子発現を測定した。核酸を担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした細胞からの総RNAを、TRIzol(ThermoFisher)を使用して抽出し、LunaScript RT SuperMix Kit(New England Biolabs)を使用し、製造元のプロトコルに従って、cDNAに変換した。細胞に送達された導入遺伝子の転写レベルを特定するために、cDNA試料においてqPCRを実施した。発現をGAPDHへ正規化した。
【0230】
トラスツズマブの定量化
細胞培養上清中のトラスツズマブのレベルを、製造元のプロトコルに従って、抗HER2 ELISAキット(ab237645、Abcam)によって特定した。重鎖および軽鎖の両方を含む完全な全抗体の存在下では陽性シグナルのみが生じるという理由から、この検出方法を選択した。
【0231】
担持効率
DNAまたはRNAを、PicoGreenまたはRiboGreenアッセイによって定量化した。担持反応に加えた核酸の開始量と担持反応の後に回収した核酸の最終量とに基づいて、担持効率を計算した。
【0232】
DNAのラベリングおよびRBCEVのフローサイトメトリー分析
Label IT Nucleic Acid Labeling Kit(Mirus Bio)を使用し、製造元のプロトコルに従って、フルオロホア(MFP488またはCy5)によってDNAを標識した。RBCEVにMFP488またはCy5を標識したDNAを担持し、PBSで洗浄した。担持済みのRBCEVを、CytoFLEX Sフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用したフローサイトメトリーによって分析し、ならびに、FlowJo V10(FlowJo、米国)を使用して分析した。分粒レファレンスとして100nmおよび200nm分粒ラテックスビーズを使用して、VSSC-A対FSC-Aに基づいてRBCEVをゲートした。コントロールとして非標識DNAを担持したRBCEVを使用して、MFP488陽性RBCEVをFITCチャネルにおいてゲートし、ならびにCy5陽性RBCEVをAPCチャネルにおいてゲートした。
【0233】
統計分析
結果は、平均±標準偏差(DS)として表現される。データは、スチューデントt-検定、一元配置分散分析、またはピアソンの相関関係によって解析した。平均の間の違いは、p<0.05において統計的に有意であると見なした。
【0234】
結果
RBCEVに2つ以上のプラスミドを同時に担持することができる
RBCEVによる2つのプラスミドのトランスフェクション効率を評価するために、同じCMVプロモーター下の異なる蛍光レポーター遺伝子を有するプラスミドコンストラクトを設計した(CMV-copGFPおよびCMV-tdTomato)。RBCEVに単一のプラスミドを担持して共トランスフェクトするか、または両方のプラスミドを等モル比において同時に担持した。担持済みのRBCEVを、等モルDNA量において293T細胞およびHepG2細胞へトランスフェクトした。0.084pmolのDNAを、50,000の細胞を含む24ウェルプレートの各ウェルに加えた。トランスフェクションの48時間後に、細胞を蛍光顕微鏡によって撮像し、フローサイトメトリーによって分析した(図1Aおよび1B)。
【0235】
共局在化シグナルの相関度を測定するために、ピアソン相関係数を使用して、293T細胞およびHepG2細胞の2色チャネル画像の共局在化解析を実施した。両方のプラスミドを共担持したRBCEVによって処理した細胞は、2色チャネルの共局在化シグナルの著しく高い相関性を示した。共担持したグループにおける相関係数の増加は、細胞での両方のプラスミドの転写効率および発現の増加を示唆している。
【0236】
細胞を回収し、フローサイトメトリーによって分析した。コントロールとして未処理の細胞を使用して、GFP陽性細胞をFITCチャネルにおいてゲートし、ならびにtdTomato陽性細胞をPEチャネルにおいてゲートし、ならびにGFPおよび/またはtdTomato陽性細胞の割合を評価した。共担持済みのEVを用いてトランスフェクトした細胞において、GFPおよびtdTomatoの両方の導入遺伝子の共発現の増加が観察された。共トランスフェクトしたグループの細胞のドットプロットは、GFPまたはtdTomatoの細胞発現の不均一な集団を示したが、その一方で、共担持したグループでは、より直線的なパターンが観察された。これらの結果は、両方のプラスミドをRBCEVに同時担持することによる細胞への両方のプラスミドの送達との高い相関を示唆している。
【0237】
RBCEVにおいて共担持されたプラスミドは、別々に担持され共トランスフェクトされたものまたは2シストロン性ベクターと比較して、より効率的に共発現された
発明者らは、治療抗体、例えば、DNA誘導ヒト化モノクローナル抗体のトラスツズマブ(Herceptin(商標)、Genentech)などをコードするプラスミドのRBCEV担持を評価した。抗HER2(トラスツズマブ)の特定のために設計された非常に特異的なELISAキット(ab237645、Abcam)を、全抗体分子の発現の検出および定量化のために使用した。このアッセイにおいて、抗原、組換えヒトHER2断片でELISAプレートをコーティングした。抗HER2抗体(トラスツズマブ)は、抗原に結合し、HRPプローブをコンジュゲートさせた抗ヒトFc抗体によって検出された。この検出方法を使用することにより、発明者らは、軽鎖および重鎖成分から組み立てられた全抗体分子を検出することができる。
【0238】
IRES(CAG-LC-IRES-HC)またはP2A(CAG-LC-P2A-HC)配列を有する2シストロン性ベクターにおけるトラスツズマブ軽鎖(CAG-LC)または重鎖(CAG-HC)のどちらか、あるいは軽鎖および重鎖配列の両方を含むように、プラスミドコンストラクトを設計した。RBCEVの送達およびトランスフェクション効率を評価するために、トラスツズマブ軽鎖、重鎖をコードする単一のプラスミド、またはIRESもしくはP2A配列を有する単一の2シストロン性ベクターをRBCEVに担持した。共担持グループでは、トラスツズマブ軽鎖および重鎖をコードするプラスミドを等モル比において同時にRBCEVに担持した。
【0239】
担持済みのRBCEVを、等モルDNA量において293T細胞およびHepG2細胞にトランスフェクトした。0.084pmolのDNAを、50,000の細胞を含む24ウェルプレートの各ウェルに加えた。トランスフェクションの48時間後に、細胞培養上清におけるトラスツズマブの発現を、抗HER2 ELISAによって定量化した。トラスツズマブの発現は、トラスツズマブ軽鎖および重鎖プラスミドを等モル比において共担持したRBCEVで処理した細胞において最も高く、次は、単一の2シストロン性ベクターを担持したRBCEVで処理した細胞であった(図2A)。トラスツズマブ軽鎖または重鎖をコードする単一のプラスミドを担持したRBCEVを用いて共トランスフェクトされた細胞は、抗体全分子の最も低い発現を示した。これらの結果は、プラスミドがRBCEVに共担持された場合に2つのプラスミドのトランスフェクション効率が著しく向上することを示唆している。抗体全分子の発現における違いは、軽鎖成分および重鎖成分の両方のアセンブリとして、どちらかのプラスミドの発現における違いが、抗HER2 ELISA法によって検出されるために必要であることを実証している。関与した異なるプラスミドの担持効率において、有意な差は観察されなかった(図2B)。
【0240】
別の実験において、トラスツズマブ軽鎖および重鎖をコードするプラスミドを同時に担持したRBCEVあるいはトラスツズマブ軽鎖または重鎖をコードする単一のプラスミドを別々に担持したRBCEVを、4mg/kgのプラスミド用量において、静脈内尾静脈注射によってSCIDマウスに投与した。血清試料を、注射後の7日目から週1回採取し、全抗体分子の発現を、抗HER2(トラスツズマブ)ELISA(ab237465、Abcam)を使用して定量化した。トラスツズマブの発現は、軽鎖および重鎖プラスミドを別々に担持したRBCEVを注射した動物と比較して、軽鎖および重鎖プラスミドの両方が共担持されたRBCEVを注射した動物において最も高かった(図2C)。これらの結果は、RBCEVにおいて共担持されたプラスミドは、別々に担持され混合物として注射されたRBCEVと比較して、インビボにおいてより効率的に共発現することを実証している。
【0241】
したがって、とりわけ、本実施例は、少なくとも2つの異なる核酸カーゴによる効率的な共担持(この場合、少なくとも2つの異なるプラスミド)を実証し、その上、そのような共担持に起因する驚異的な結果を記録する(例えば、同じ核酸カーゴのそれぞれを別々に担持したRBCEVの同時投与と比較して)。
【0242】
RBCEVは3つのプラスミドを共担持することができる
RBCEVによる3つのプラスミドのトランスフェクション効率を評価するために、同じCAGプロモーター下の、独特な導入遺伝子、すなわち、Creリコンビナーゼ、ヒト第IX因子、およびホタルルシフェラーゼをコードするプラスミドコンストラクトを設計した。RBCEVに、3つの異なるプラスミドを異なる担持反応において別々に担持するか、または混合物において等モル比でプラスミドを共担持することによって担持した。合計で、0.06pmolのDNAを、293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、総RNAを細胞から抽出し、遺伝子発現を、qRT-PCRによって特定した転写レベルによって測定した。結果は、共トランスフェクションと比較したときに、共担持済みのRBCEVを細胞にトランスフェクトした場合に3つ全てのプラスミドからの転写物のレベルの増加を示した(図3)。
【0243】
RBCEVに異なるタイプの核酸を共担持することができる
異なる核酸タイプがRBCEVに共担持される能力を評価するために、RBCEVに、copGFPをコードするDNA(CMV-copGFP)およびtdTomatoをコードするmRNAを1:1または1:2(DNA:RNA)の等モル比において共担持するか、あるいは、化学的な方法を使用して別々に担持した。0.114pmolの核酸を、50,000の293T細胞を含む24ウェルプレートの各ウェルに加えた。トランスフェクションの48時間後に、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリー分析によって細胞を撮像した。
【0244】
copGFP DNAおよびtdTomato mRNAの両方を共担持したRBCEVによって処理した細胞は、1:1および1:2のモル比のグループの両方において、2色チャネルの共局在化シグナルの著しく高い相関性を示した(図4)。共担持したグループにおける相関係数の増加は、単一の細胞における両方の核酸の転写効率および発現の増加を示唆している。フローサイトメトリー分析は、同様のパターンを示し、GFPおよびtdTomato陽性293T細胞の割合の増加が、共担持したグループにおいて観察された。RBCEVにおける共担持したDNAおよびmRNAの発現は、DNAまたはmRNAを別々に担持したRBCEVの共トランスフェクションよりも効率的であった。
【0245】
蛍光標識したDNAのRBCEV担持
DNAを、Label IT Nucleic Acid Labeling Kit(Mirus Bio)を使用し、製造元のプロトコルに従って、蛍光発色団(MFP488またはCy5)によって標識した。RBCEVにMFP488またはCy5で標識したDNAを担持するか、またはMFP488およびCy5標識したDNAの等量を同時に担持した。担持済みのRBCEVを、CytoFLEX Sフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用したフローサイトメトリーによって分析し、ならびに、FlowJo V10(FlowJo、米国)を使用して分析した。分粒レファレンスとしてラテックスビーズ標準物質を使用して、100nmから200nmの範囲のサイズを有する集団としてRBCEVをゲートした。コントロールとして非標識DNAを担持したRBCEVを使用して、MFP488陽性RBCEVをFITCチャネルにおいてゲートし、ならびに、Cy5陽性RBCEVをAPCチャネルにおいてゲートした。MFP488標識DNAまたはCy5標識DNAを別々に担持したRBCEVの混合集団と比較して、等量のMFP488およびCy5標識DNAが同時に担持されたRBCEVにおいて、両方の蛍光標識の共発現の増加が観察された(図5)。これらの結果は、単一のRBCEVは、本明細書において説明されるような共担持方法を使用して、少なくとも2つの異なる蛍光標識されたDNA分子を同時に担持することができることを実証している。
【0246】
標準的分子生物学的技術については、Sambrook,J.,Russel,D.W.Molecular Cloning,A Laboratory Manual.3 ed.2001,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0247】
実施例2
本実施例は、二本鎖オリゴヌクレオチドによるRBCEVへの共担持は、インビトロまたはインビボにおいて送達された場合に、導入遺伝子に対する免疫反応を抑制しつつも、導入遺伝子の発現を増加させることができることを実証している。詳細には、共担持済みのRBCEVが、異なる組織器官の複数のマウス株および複数のヒト細胞株に送達された後で、導入遺伝子発現および炎症性サイトカインを評価した。
【0248】
細胞質において見出される外因性DNAは、DNA活性化シグナル伝達経路、例えば、cGAS-STING経路などによって本来の免疫反応を活性化することができ、その結果として、炎症促進性サイトカインの産生を引き起こす。本発明は、オリゴヌクレオチド(具体的には、外来性核酸の感知に関連する細胞機構のいくつかの態様を模倣または「デコイ」することができるオリゴヌクレオチド)による赤血球由来の細胞外小胞(RBCEV)への共担持は、ペイロードのみが担持された対応するRBCEVと比較して、共担持される核酸ペイロードの活性を増強することができることを提案する。本実施例は、インビボおよびインビトロ両方でのそのような増強を記録する。本実施例は、さらに、導入遺伝子発現の増強に加えて、そのようなオリゴヌクレオチド(例えば、デコイオリゴヌクレオチド)によるRBCEVの共担持は、インビボにおいてタイプIインターフェロンの誘導を減少させることによって、細胞の本来の免疫反応を軽減するように作用することができることを実証する。
【0249】
本開示において、用語「デコイオリゴヌクレオチド」(「ODN」として省略)は、cGAS-STING経路の監視を無効にする有効な戦略として、免疫反応およびシグナル伝達関連転写因子、例えば、NF-κBなどの転写活性を阻止することができるオリゴヌクレオチドのクラスを表す。例えば、NF-κBコンセンサス配列を含むオリゴヌクレオチドは、その標的遺伝子のプロモーター領域におけるその部位へのNF-κB結合を阻止または減少することができる(例えば、競合によって)。そのような阻止は、それらの標的遺伝子を活性化するNF-κBの能力を減少させ、それにより、それらの遺伝子(および/または、1つまたは複数の他の下流遺伝子)の発現が減少し、炎症性サイトカインの放出も減少する。
【0250】
材料および方法
ヒトRBC由来のEVの精製および定量化
全血試料を、Innovative Research、Incを通じて、告知同意において健康なドナーから入手した。遠心沈殿法および白血球除去(leukodepletion)フィルター(Terumo Japan)を使用することによって、RBCを血漿および白血球から分離した。単離されたRBCを、PBSにおいて希釈し、10mMのカルシウムイオノホア(Sigma-Aldrich)によって一晩処理した。EVを精製するために、RBCおよび細胞破片を、600×gで60分間、1,600×gで30分間、および4,000×gで30分間の4℃での遠心分離によって除去した。EVを、4℃において180分かけて、15,000×gでペレット化し、PBSに再懸濁させて、0.45μmフィルターを通過させた。EVを4ダイア容量(diavolume)のPBSで洗浄し、タンジェンシャルフロー濾過(Pall Minimate)によって濃縮した。精製されたEVを-80℃で貯蔵した。EVを、Hemoglobin Assay Kit(Abcam)を使用してそれらのヘモグロビン含量を評価することによって定量化した。
【0251】
プラスミド
DNAプラスミド(CMV-copGFP、LSP-FIX-HiBit、CAG-LC、CAG-HC)をカスタム合成した。トラスツズマブの完全長重鎖(HC)および軽鎖(LC)を、ドラッグバンクデータベースから入手した(受託番号:DB00072)。
【0252】
オリゴヌクレオチド
全てのオリゴヌクレオチド設計は、IDTによって合成し、標準的脱塩またはHPLCによって精製した。
【0253】
NF-κBコンセンサス配列に対するデコイ(ODN)-11bpのNF-κB結合配列:GGGGACTTTTCCを含む22bpの合成オリゴヌクレオチド(De Stefanoら,「A decoy oligonucleotide to NF-κB delivered through inhalable particles prevents LPS-induced rat airway inflammation.」American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology 49.2(2013))。
5’~GATCGAGGGGACTTTCCCTAGC~3’
3’~CTAGCTCCCCTGAAAGGGATCG~5’
【0254】
スクランブル化NF-κBコンセンサス配列(SCD)-Stothard P(2000)The Sequence Manipulation Suite:JavaScript programs for analyzing and formatting protein and DNA sequences.Biotechniques 28:1102~1104からのプログラムを使用して生成された22bpのODNをベースとするスクランブル配列。スクランブル配列は、本明細書において説明されるように、同じ残基だが参照配列と比較して順序が異なる残基を含む(例えば、NF-κBデコイオリゴヌクレオチド)。いくつかの場合において、スクランブル配列は、オリゴヌクレオチドの機能および/または構造を変化させる。いくつかの場合において、スクランブル配列は、オリゴヌクレオチドの機能および/または構造を変化させない。
5’~ATCTGGCGGTCCAGTTAGAGCC~3’
3’~TAGACCGCCAGGTCAATCTCGG~5’
【0255】
RBCEVの核酸担持
1μgのDNAを、20μgの洗浄したRBCEVおよび7μlのOpti-MEM(ThermoFisher)における化学的トランスフェクション試薬に加え、穏やかに混合した。反応物を、室温において、穏やかに回転させながら1時間インキュベートした。その後、担持済みのRBCEVを15,000×gでペレット化し、PBSで洗浄した。DNAプラスミドおよびオリゴヌクレオチドによるRBCEVの共担持のために、最初に、プラスミドおよびオリゴヌクレオチドをRBCEVと混合し、その後、化学的トランスフェクション試薬を加えた。化学的トランスフェクション試薬を加えた後に、反応物を、室温において、穏やかに回転させながら1時間インキュベートした。担持済みのRBCEVを15,000×gでペレット化し、PBSで洗浄した。DNAをゲル濃度測定によって定量化した。担持反応に加えた核酸の開始量および担持反応の後に回収した核酸の最終量に基づいて、担持効率を計算した。
【0256】
細胞株およびインビトロトランスフェクション
HepG2細胞をATCCから購入し、ならびにHuh-7細胞をElabscienceから購入した。細胞を、10%のFBSおよび1%のペニシリン-ストレプトマイシンを含むDMEMにおいて培養した。THP-1細胞をATCCから購入して、10%のFBSおよび1%のペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI1640培地において培養した。全ての細胞株を、5%のCOインキュベーターにおいて37℃に維持した。
【0257】
インビトロトランスフェクションのために、50,000の細胞を24ウェルプレートの各ウェルに播種し、一晩インキュベートした。トランスフェクションの当日に、担持済みのRBCEVを、DNAプラスミドの定量化に基づいて細胞に送達した。細胞を、24時間または48時間インキュベートし、導入遺伝子の発現を分析した。
【0258】
遺伝子発現の評価
蛍光レポーター遺伝子のために、顕微鏡撮像およびフローサイトメトリーによって遺伝子発現を評価した。顕微鏡撮像のために、HepG2細胞のEpi蛍光画像をトランスフェクションの24時間後または48時間後にNikon Eclipse Ts2倒立顕微鏡を使用して撮影した。フローサイトメトリー分析のために、HepG2細胞を、トランスフェクションの24時間後または48時間後に、0.05%のトリプシンによって回収した。回収した細胞をPBSで洗浄し、FACS緩衝液(1%のFBSを含むPBS)に再懸濁させた。CytoFLEX Sフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用した細胞のフローサイトメトリーを実施し、FlowJo V10(FlowJo、米国)を使用して分析した。デブリおよび死んだ細胞を排除するために、細胞を最初に、FSC-A対SSC-Aに基づいてゲートした(低FSC-A)。ダブレットおよび凝集物を排除するために、細胞をさらに、FSC幅対FSC高さに基づいてゲートした。コントロールとして未処理の細胞を使用して、GFP陽性細胞をFITCチャネルにおいてゲートし、ならびに、PI染色細胞をPEチャネルにおいてゲートした。GFPおよび/またはPI染色細胞の割合を評価した。
【0259】
HiBiTタグ付けされたタンパク質の発現を定量化するためのNano-Glo HiBiT Lytic Detection System-HiBiTタグ付けされたタンパク質の定量化のために、PBSを使用して試料を100倍に希釈した。100μlの希釈試料を、Nano-Glo HiBiT Lytic Buffer、Nano-Glo HiBiT Lytic Substrate、およびLgBiTタンパク質からなる同量のNano-Glo HiBiT Lytic Reagent(Promega)と混合した。この混合物を、暗所において室温で10分間インキュベートした。Tecan M200マイクロプレートリーダーを使用して、1000msの積分時間において、ルミネセンスを測定した。
【0260】
トラスツズマブの定量化(Herceptin(商標)、Genentech)
細胞培養上清におけるトラスツズマブのレベルを、製造元のプロトコルに従って、抗HER2 ELISAキット(ab237645,Abcam)によって特定した。重鎖および軽鎖の両方を含む完全な全抗体の存在下では陽性シグナルのみが生じるという理由から、この検出方法を選択した。
【0261】
統計分析
結果は、平均±標準偏差(DS)として表現される。データは、スチューデントt-検定、一元配置分散分析/二元配置分散分析、またはピアソンの相関関係によって解析した。平均の間の違いは、p<0.05において統計的に有意であると見なした。
【0262】
結果
二本鎖デコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVはHuh-7、HepG2、THP-1細胞株での導入遺伝子の発現を増加させる
RBCEVに、DNAプラスミドを担持するか(CMV-copGFP)、あるいは、DNAプラスミドと、12.5~100pmolの漸増投薬量における、NF-κBデコイ(ODN)オリゴヌクレオチド、スクランブル化(SCD)オリゴヌクレオチド、ホスホロチオエート修飾NF-κBデコイ(ODN-PS)オリゴヌクレオチド、またはホスホロチオエート修飾スクランブル化(SCD-PS)オリゴヌクレオチドとを同時に担持した。RBCEVの担持効率を、担持後に測定した。担持済みのRBCEVを、それぞれ200ng、400ng、および500ngでのDNAプラスミドの等質量(equimass amount)において、24ウェルプレート形式で、50,000のHuh-7、HepG2、またはTHP-1細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、細胞を回収し、GFP発現をフローサイトメトリーによって、ならびに細胞生存率をヨウ化プロピジウム(PI)染色を使用して分析した。コントロールとして未処理の細胞を使用して、GFP陽性細胞をFITCチャネルにおいてゲートし、ならびにPI陽性細胞をPEチャネルにおいてゲートした。
【0263】
得られた結果は図6に示される。DNAプラスミドとODNまたはSCDオリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVを用いてトランスフェクトした細胞において、GFPの発現の増加が観察された。共担持済みのRBCEVは、いくつかの場合において、導入遺伝子の発現をおよそ2、3、4、5、または6倍増加させた。単一のDNAプラスミドおよびODNを共担持したRBCEVによって処理した細胞は、細胞でのDNAペイロードのトランスフェクション効率および発現の増加を示した。トランスフェクション効率および導入遺伝子の発現における増加は、用量依存性であることが観察された。詳細には、各場合において、導入遺伝子の発現は、より多いオリゴヌクレオチド用量の投与の後により大きな増加を示した。オリゴヌクレオチドによる予備処理は、細胞生存率に負の影響を及ぼさなかった。
【0264】
二本鎖デコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVの投与はBL/6およびSCIDマウスでの導入遺伝子の発現を増強する
RBCEVに、LSPプロモーターの下でhFIX-HiBitを発現するDNAプラスミドを担持し(hFIX-HiBit)、またはDNAプラスミドとNF-κBデコイ(ODN)またはスクランブル化(SCD)オリゴヌクレオチドとを共担持した。RBCEVに、2つの異なる投薬量のオリゴヌクレオチドを25pmol(低用量;ODN-25およびSCD-25)または100pmol(高用量;ODN-100およびSCD-100)において共担持した。この特定の実験では、担持済みのRBCEVを、4mg/kgの固定されたDNAプラスミド用量において、静脈内尾静脈注射によってBL/6マウスに投与した。投与後の1日目、3日目、および7日目からは週1回、血清を採取して、当該動物におけるHiBiTタグ付けされたタンパク質の発現を定量化するために、Nano-Glo HiBiT Lytic Detection Systemを使用して、導入遺伝子の発現を49日目まで測定した。
【0265】
得られた結果は、図7に示される。図から分かるように、100pmolにおいて高用量のNF-κBデコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEV(ODN-100)は、ルミネセンスによって測定した場合、HiBitの発現を高めた。高用量のNF-κBデコイオリゴヌクレオチド治療は、結果として、DNAプラスミドのみを担持したRBCEVと比較した場合、1日目から49日目まで測定した全ての時点でのHiBitの発現を増加させた。
【0266】
さらに、RBCEVに、3つの成分:モノクローン抗体トラスツズマブ(HERCEPTIN(商標)、Genentech)の軽鎖を発現するDNAプラスミド、トラスツズマブ重鎖を発現するDNAプラスミド、およびNF-κBデコイオリゴヌクレオチドを共担持した。この特定の実験では、担持済みのRBCEVを、4mg/kgおよび6mg/kgのDNAプラスミド用量において、静脈内尾静脈注射によってSCIDマウスに投与した。7日目から週1回、血清を採取し、抗体の発現を、抗HER2(トラスツズマブ)ELISAab237645、Abcam)を使用して49日目まで測定した。
【0267】
得られた結果は図8に示される。トラスツズマブの発現は、単一の2シストロン性ベクターを担持したRBCEVと比較して、トラスツズマブ軽鎖および重鎖プラスミドを等モル比において共担持したRBCEVで処置したマウスの血清において増加した。共担持済みのRBCEVは、いくつかの場合において、トラスツズマブの発現をおよそ2、3、4、5、または6倍増加させた。
【0268】
二本鎖デコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、IV注射の後にタイプIインターフェロン(IFN)の放出を抑制する
この特定の実験では、RBCEVに共担持したデコイオリゴヌクレオチドまたはスクランブル化オリゴヌクレオチドの免疫学的効果を評価するために、免疫反応の測定として、タイプI IFN放出をアッセイした。DNAプラスミドとNF-κBデコイ(ODN)オリゴヌクレオチドまたはスクランブル化(SCD)オリゴヌクレオチドとを共担持したRBCEVの静脈内尾静脈注射の後に、タイプI IFNの分泌を定量化した。担持済みのRBCEVの注射後0、6、および24時間において、血液を採取した。InvivoGenマウスIFN-β生物発光ELISAキットおよびマウスIFNα生物発光ELISAキットを使用して、タイプI IFN誘発をマウス血清から定量化した。
【0269】
得られた結果は図9に示される。プラスミドペイロードのみを担持したRBCEVの投与は、インビボにおいてタイプI IFNを誘発した。DNAプラスミドのみを担持したRBCEV(EV-NP)を受けたマウスにおいて、IFNαおよびβのレベルにおけるスパイクを、注射後6時間において検出した。しかしながら、F-κBデコイの追加により共担持したRBCEVを注射した動物は、注射後6時間においてIFNαおよびβのレベルの著しい低下を示した。いくつかの場合において、タイプI IFNの放出は、共担持済みのRBCEVによっておよそ2または3倍抑制された。RBCEVへのNF-κBデコイオリゴヌクレオチドの共担持は、NF-κBデコイを担持していないRBCEVと比較して、インビボでのタイプI IFNの誘発を減少させた。
【0270】
異なる二本鎖デコイオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVも、Huh-7およびHepG2細胞株での導入遺伝子の発現を増加させる
RBCEVによるインビトロでの導入遺伝子の発現に対する効果を評価するために、異なる二本鎖オリゴヌクレオチドを用いた。表1は、設計されRBCEVを用いて試験された二本鎖NF-κBデコイオリゴヌクレオチドの配列を示している。RBCEVは、CMVプロモーターの下でcopGFPを発現するDNAプラスミドを担持するか(CMV-copGFP)、または、100pmolのアニール処理されたNF-κBデコイオリゴヌクレオチドと共に、DNAプラスミドを共担持した。担持済みのRBCEVを、それぞれ400ngおよび200ngでのDNAプラスミドの等質量において、24ウェルプレート形式で50,000のHepG2およびHuh-7細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間および48時間後に細胞を回収し、GFP発現をフローサイトメトリーによって、ならびに細胞生存率をヨウ化プロピジウム(PI)染色を使用して分析した。
【0271】
得られた結果は図10に示される。DNAプラスミドおよびオリゴヌクレオチド設計を共担持したRBCEVで処理した細胞は、DNAプラスミドのみを担持したRBCEVと比較して、HepG2およびHuh7細胞でのトランスフェクション効率およびDNAペイロードの発現の増加を示した。全てのオリゴヌクレオチド設計は、細胞生存率を減少させることなく、オリゴヌクレオチドを欠く対応するグループよりある程度のレベルの増進の増加を達成した。共担持済みのRBCEVは、いくつかの場合において、導入遺伝子の発現をおよそ2、3、4、5、または6倍増加させた。共担持済みのRBCEVを用いてトランスフェクトした細胞での導入遺伝子の発現は、設計の組成、長さ、および構造に依存して、各オリゴヌクレオチド設計によって変わった。例えば、末端修飾から全長修飾までのオリゴヌクレオチドにおけるホスホロチオエート結合の増加は、トランスフェクション効率を減少させた。22塩基対から11塩基対へのdsRNAオリゴヌクレオチドの長さの減少は、DNAプラスミドのトランスフェクション効率を減少させた。リボン形オリゴヌクレオチド設計は、他の全ての設計より優れており、それは、オープンエンドのオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ分解の減少によるより長い間の半減期に起因し得る。
【0272】
【表1】
【0273】
二本鎖ベイトオリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVはHuh-7、HepG2、THP-1細胞株での導入遺伝子の発現を増加させる
RBCEVに、2つのDNAプラスミド(一方はeGFPをコードし、もう一方はFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトをコードする)を担持し、あるいは、当該2つのプラスミドと、表2に記載される自己相補性の一本鎖(例えば、1つまたは複数の二本鎖部分とステムループ構造とを含む)ベイトオリゴヌクレオチドとを、化学的トランスフェクション試薬による1~2μgの漸増投薬量において、同時に担持した。表2のベイトオリゴヌクレオチドは、二本鎖破壊(Dbait)または一本鎖破壊(Pbait)を模倣する短鎖干渉DNA分子(siDNA)である。そのようなオリゴヌクレオチドは、DNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA-PK)および/またはポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性化を促進することが知られている(例えば、Crosetら,「Inhibition of DNA damage repair by artificial activation of PARP with siDNA.」Nucleic acids research 41.15(2013)を参照されたい)。RBCEVの担持効率を、担持後に測定した(図11)。担持済みのRBCEVを、200ngの担持済みのRBCEVの等質量において、100,000のHuh-7細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、上清を回収し、導入遺伝子の発現を推定するために、Nano-Glo(登録商標)HiBiTアッセイを実施し、ならびに、細胞を回収し、GFP発現をフローサイトメトリーによって分析した。
【0274】
得られた結果は図12に示される。図から分かるように、ベイトオリゴヌクレオチドを担持したいくつかのRBCEV組成物は、両方の導入遺伝子の発現を増加させた。詳細には、Pbait32、Pbait32L、Dbait8H、およびDbait32Hcは、様々な投薬量において、eGFPおよびFIX-HiBit発現の両方を増加させた。これらの結果は、とりわけ、RBCEVに共担持された場合に、ペイロード核酸のレベル、発現、および/または活性を増加させる、二本鎖促進オリゴヌクレオチドの効果を強調している。
【0275】
【表2】
【0276】
実施例3
本実施例は、一本鎖オリゴヌクレオチドによるRBCEVへの共担持が、インビトロにおいて送達された場合に、導入遺伝子に対する免疫反応も抑制しつつ、導入遺伝子の発現を増加させることができることを実証する。詳細には、共担持済みのRBCEVが異なる組織器官の複数のヒト細胞株に送達された後に、導入遺伝子の発現および炎症性サイトカインの発現を評価した。
【0277】
RBCEVに、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドを担持するか、あるいは、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドと、二本鎖オリゴヌクレオチド(スクランブル化、NF-κBデコイ)または一本鎖オリゴヌクレオチドとを共担持した。表3は、設計されRBCEVによって試験された一本鎖のNF-κBデコイオリゴヌクレオチドの配列を示している。100,000のHuh7およびHepG2細胞を、200ngのDNAプラスミドを含む担持済みのRBCEVを用いてトランスフェクトした。トランスフェクション後の1日目に、細胞培養培地を採取し、導入遺伝子の発現を推定するために、Nano-Glo(登録商標)HiBiTアッセイを実施した。
【0278】
得られた結果は図13に示される。一本鎖オリゴヌクレオチドの複数の異なる設計は、オリゴヌクレオチドを担持していないRBCEVと比較して、導入遺伝子の発現を増加させた。詳細には、一本鎖オリゴヌクレオチドを担持したRBCEVは、FIX-HiBitコンストラクトを共担持した場合、複数の細胞株においてFIX-Hibit発現および/または活性を増加させた。
【0279】
さらに、RBCEVに、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発現するDNAプラスミドを担持するか、あるいは、hFIX-HiBitルシフェラーゼリポーターを発現するDNAプラスミドと、二本鎖オリゴヌクレオチド(スクランブル化、NF-κBデコイ)または一本鎖オリゴヌクレオチドとを共担持した。表3は、設計されRBCEVを用いて試験された一本鎖NF-κBデコイオリゴヌクレオチドの配列を示している。500,000のTHP-1細胞株に、2000ngのDNAプラスミドを含む担持済みのRBCEVを用いてトランスフェクトし、定量的PCR(qPCR)による遺伝子発現分析のために、トランスフェクションの6時間後に細胞を回収した。
【0280】
得られた結果は図14に示される。図から分かるように、ある特定の一本鎖オリゴヌクレオチドを共担持したRBCEVは、細胞に送達されたとき、サイトカインの発現を抑制することができる。詳細には、一本鎖オリゴヌクレオチドの複数の異なる設計は、IFNb1、IL6、CXCL10、および/またはCCL2の遺伝子発現を減少させた。これらの結果は、ペイロード核酸の送達に関連する炎症および/またはそれ以外の望ましくない効果もしくは反応(例えば、サイトカイン発現)を減少させる一本鎖促進オリゴヌクレオチドの効果を例示している。
【0281】
【表3】
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
【国際調査報告】