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特表2024-511855新規なシリカ、その調製のための方法、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】新規なシリカ、その調製のための方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20240308BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240308BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240308BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20240308BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C01B33/18 E
C08L101/00
C08L7/00
C08L9/06
C08L15/00
A61Q11/00
A61K8/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560562
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022058812
(87)【国際公開番号】W WO2022207932
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21305429.9
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フェラル-マルタン, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ローリオル-ガーベイ, パスカリン
(72)【発明者】
【氏名】ファヨール, カロリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】コルボー-ジュスタン, フレデリク
【テーマコード(参考)】
4C083
4G072
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083CC41
4C083EE31
4C083FF01
4G072AA25
4G072BB05
4G072DD03
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH14
4G072RR13
4G072TT05
4G072TT30
4G072UU08
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002BB021
4J002BB031
4J002BB121
4J002BB151
4J002CL001
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GC00
4J002GG01
4J002GJ02
4J002GM00
4J002GM01
4J002GN01
4J002GQ01
(57)【要約】
低いシラノール比であることを特徴とする沈降シリカ。沈降シリカは、エラストマー混合物中の充填剤としての使用に特に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・CTAB表面積が45m/gより大きく350m/gまでであること;及び
・シラノール比TSiOHが0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする沈降シリカ。
【請求項2】
・CTAB表面積が100~350m2/gであること;及び
・シラノール比が0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする請求項1に記載の沈降シリカ。
【請求項3】
表面積あたりのOH基の数が2~11OH/nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の沈降シリカ。
【請求項4】
少なくとも80μmの平均径を有するマイクロパールを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項5】
前記マイクロパールが、遠心沈降によって測定されるメジアン粒径d50が80~120nmである凝集体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の沈降シリカ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の沈降シリカの調製のための方法であって、前記方法が、
・出発沈降シリカを提供する工程、及び
・前記出発沈降シリカを300~600℃の温度で熱処理に供する工程、
を含む、方法。
【請求項7】
前記出発沈降シリカがマイクロパールを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
・前記出発沈降シリカを300~600℃の温度に加熱する工程;
・前記出発沈降シリカを300~600℃の温度で1~150分間保持する工程;及び
・前記得られた沈降シリカを冷却する工程;
を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー組成物、特にエラストマー組成物用の充填剤としての、請求項1~5のいずれか一項に記載の沈降シリカ又は請求項6~8のいずれか一項に記載の方法によって得られる沈降シリカの使用。
【請求項10】
前記ポリマー組成物が、ジエンポリマー又はコポリマー、特にジエンエラストマーを含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記ポリマー組成物が、好ましくは溶液中で重合されたスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)、すなわちSSBR、天然ゴム(NR)、及び/又はエポキシ化天然ゴム(ENR)、より好ましくはNRを含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記ポリマー組成物がブタジエンゴム(BR)も含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載の沈降シリカ又は請求項6~8のいずれか一項に記載の方法によって得られる沈降シリカを含むポリマー組成物。
【請求項14】
靴底、床材、ガスバリア、難燃性材料、更にはエンジニアリング部品、例えば空中ケーブル用のローラー、家電製品用のシール、液体又はガスの配管用のシール、ブレーキシステムシール、パイプ(フレキシブル)、シース(特にケーブルシース)、ケーブル、エンジンサポート、バッテリーセパレーター、コンベアベルト、トランスミッションベルト、又はタイヤ(の一部)、好ましくはタイヤから選択される、請求項13に記載のポリマー組成物を含む完成品。
【請求項15】
軽車両用又は大型車両用、例えばトラック用のタイヤトレッドの少なくとも一部である、請求項14に記載の完成品。
【請求項16】
・CTAB表面積が45m2/g超100m2/g未満であること;及び
・シラノール比TSiOHが0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする、請求項1に記載の沈降シリカ。
【請求項17】
オーラルケア配合物における、好ましくは研磨剤及び/又は増粘剤としての、特に過酸化物放出化合物を含むオーラルケア組成物における、請求項1~5若しくは16のいずれか一項に記載の沈降シリカ又は請求項6~8のいずれか一項に記載の方法によって得られる沈降シリカの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月2日に出願された欧州特許出願第21305429.9号に基づく優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、新規なシリカ、前記シリカの調製のための方法、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
シリカは、高分子材料、特にエラストマーにおける補強充填剤として長い間使用されてきた。また、増粘剤(吸水によるゲルの形成を促進)として機能することができるため、オーラルケア組成物(歯磨き粉)にも広く使用されてきた。
【0004】
今回、シリカ、特に沈降シリカを熱処理(焼成)すると、ポリマー組成物中での前記沈降シリカの使用が改善されることが見出された。これは、口腔ケア組成物における前記沈降シリカの使用も改善する。
【0005】
すなわち、本発明によるシリカはエラストマーと混合しやすく、十分に分散されたシリカを含むエラストマー組成物の調製のための改善された方法を可能にすることが見出された。本発明によるシリカは、吸水も少なく、またエラストマー配合物における反応性に影響を与えるシラノール官能基の密度も低い。これは、改良されたオーラルケア組成物も提供する。
【0006】
より正確には、特にその最終形態の(マイクロビーズのような)シリカを熱処理すると、シラン及びエラストマーに対するその表面反応性が変わり、配合物の他の成分(例えば促進剤)の吸着に影響を与えることが見出された。また、これはオーラルケア組成物の他の成分との表面反応性も変化させる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、
・CTAB表面積が45m/g超~350m/gであること;及び
・シラノール比TSiOHが0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする沈降シリカに関する。
【0008】
本発明の第1の実施形態は、
・CTAB表面積が100~350m/gであること;及び
・シラノール比TSiOHが0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする沈降シリカに関する。
【0009】
本発明の第2の実施形態は、
・CTAB表面積が45m/g超~100m/g未満であること;及び
・シラノール比TSiOHが0.1~2.5mmolOH/gであること;
を特徴とする沈降シリカに関する。
【0010】
「シリカ」という表現は、本明細書では二酸化ケイ素、SiOを指すために使用される。「シリカ」という用語は、本文全体を通じて、沈降シリカを指すために使用される。「沈降シリカ」という表現は、ケイ酸塩を酸と反応させてSiOを析出させるプロセスによって得られる合成非晶質シリカを指すために使用される。
【0011】
本発明のシリカは、0.1~2.5mmolOH/gのシラノール比を特徴とする。好ましくは、この比は少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも0.8mmolOH/gである。好ましくはこれは0.5~2.5、より好ましくは0.8~2.5mmolOH/gである。
【0012】
シラノール比(mmol/g)又はTSiOHは以下の通りに定義される:
SiOH=ΔW*2*1000/(18.015*100)=1.11*ΔW(式中、ΔW(%)は、ATD-ATGにより測定される200℃~800℃の間の質量減少(%)であり、好ましくは実施例に詳細に記載されている通りである)。
【0013】
本発明のシリカは、通常、OHの数/nmとして表される表面積当たりのOH基の数を含み、これは、2OH/nm以上、好ましくは4OH/nm以上である。表面積あたりのOH基の数は、通常11OH/nm以下、好ましくは10OH/nm以下である。本発明のシリカは、有利には、表面積あたりのOH基の数が2~11OH/nmであることによって特徴付けられる。
【0014】
シラノール比及び表面積あたりのOH基の数の決定は、以降で詳述するATD-ATG技術を使用して決定される。
【0015】
本発明の第1の実施形態では、CTAB表面積は、少なくとも100m/g、典型的には少なくとも120m/gである。CTAB表面積は、150m/gよりも大きくてもよい。この実施形態では、CTAB表面積は350m/gを超えず、CTAB表面積は、好ましくは300m/g以下、更には250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。この第1の実施形態では、CTAB表面積は、好ましくは120~300m/g、より好ましくは150~250m/gである。
【0016】
CTAB表面積は、所定のpHでシリカ表面上に吸着されたN-ヘキサデシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミドの量を測定することによって求められた外部比表面積の尺度である。CTAB表面積は、規格NF ISO 5794-1,Appendix G(2010年6月)に従って決定することができる。
【0017】
本発明のシリカのBET表面積SBETは特に限定されない。
【0018】
BET表面積は、The Journal of the American Chemical Society,Vol.60,page309,1938年2月に記載されており、且つ規格NF ISO 5794-1,Appendix D(2010年6月)に対応するBrunauer-Emmett-Teller法に従って決定される。
【0019】
本発明のシリカは、通常、0.8~1.6、好ましくは0.9~1.3、更に好ましくは1.0~1.2の比BET/CTABを有する。
【0020】
シリカ微粒子の更に好ましい特性は、その特定の形状及びサイズに関連する。すなわち、本発明のシリカは、好ましくは、少なくとも80μmの平均径(SEMにより測定)を有する微小球(マイクロパール)を含む。より具体的には、この平均径は150μmより大きくてもよく、好ましくは200~300μmの範囲である。好ましくは、本発明のシリカは、そのようなマイクロパールから本質的になる。すなわち、シリカ微粒子の重量の通常85%がマイクロパールであり、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%がそのようなマイクロパールである。
【0021】
そのようなマイクロパールは、通常、遠心沈降によって測定されるメジアン粒径d50が80~120nm、好ましくは90~110nmである凝集体(すなわち互いに化学的に結合している小粒子の凝集体)を含む。
【0022】
本発明の更なる目的は、本発明の沈降シリカの調製のための方法であり、前記方法は、
・出発沈降シリカ(以下「出発シリカ」と定義する)を提供する工程、及び
・前記出発沈降シリカを300~600℃の温度で熱処理に供する工程、
を含む。
すなわち、300℃未満の温度では有意な効果がなく、600℃を超える温度ではシリカ構造が劣化して分散性に関する問題が生じることが見出された。
【0023】
出発シリカは、粉末、顆粒、又は実質的に球形のビーズなどの任意の形態であってよく、後者が好ましく、更に好ましいものはマイクロパール(微小球)、好ましくは上述したものである。この出発シリカは、通常水性媒体中でケイ酸塩源(例えばケイ酸ナトリウム)及び酸(例えば硫酸)を使用してシリカを析出させ、そのようにして得た固体をそれが懸濁されている水相から分離し、その後例えば噴霧乾燥などにより通常乾燥させることによって得られる固体(沈降シリカ)であることを理解する必要がある。
【0024】
出発シリカは、通常2.5を超えるシラノール比によって特徴付けられる。
【0025】
加えて又は代わりに、出発シリカは、通常12OH/nmより大きい、例えば約13OH/nm以上の表面積あたりのOH基の数によって特徴付けられる。
【0026】
本発明の熱処理は、焼成すること、すなわち、気体又は不活性雰囲気中で固体化合物(すなわち出発シリカ)をその融点未満に保ちながら高温(すなわち300~600℃)に加熱することである。空気の存在下で焼成すると、本発明の枠内で良好な結果が得られる。熱処理(焼成)は、任意の適切な装置を使用して行うことができる。熱処理に適した装置の非限定的な例は、例えば回転式オーブン又はマッフル炉である。
【0027】
更なる実施形態では、改質シリカの調製のための方法は、
・出発シリカを300~600℃の温度に加熱する工程と;
・前記出発シリカを300~600℃の温度で1~150分間保持する工程と;
・得られた沈降シリカを冷却する工程と;
を含む。
【0028】
熱処理は、好ましくは300~550℃の温度、より好ましくは350~500℃の温度で行われる。
【0029】
熱処理の継続時間は、シラノール比がその初期値から最大2.5mmolOH/gの値まで減少するように調整される。これは通常1~180分である。沈降シリカは、好ましくは熱処理温度で30~150分間、好ましくは30~120分間保持される。
【0030】
本発明の方法において任意のシリカを出発シリカとして使用することができる。例えば以下の市販されている沈降シリカが挙げられる:Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)1115MP、Zeosil(登録商標)Premium 200MP、Zeosil(登録商標)195HR、Zeosil(登録商標)165GR、Zeosil(登録商標)115GR、Zeosil(登録商標)HRS 1200MP、Zeosil(登録商標)195GR、Zeosil(登録商標)185GR、Zeosil(登録商標)175GR、Zeosil(登録商標)125GR(全てSolvayから市販)、Ultrasil(登録商標)5000GR、Ultrasil(登録商標)7000GR、Ultrasil(登録商標)9000GR、Ultrasil(登録商標)VN3GR、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G-D、Hi-Sil(登録商標)EZ 150G、Hi-Sil(登録商標)190G、Hi-Sil(登録商標)200G-D、Hi-Sil(登録商標)HDP-320G、Hi-Sil(登録商標)255CG-D、Zeopol(登録商標)8755LS、Zeopol(登録商標)8745、Newsil(登録商標)115GR、Newsil(登録商標)2000MP、Tokusil(登録商標)315。金属、例えばAl、Zr、B、Ga、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Zn、Fe、Cuをドープしたシリカから製造することもできる。
【0031】
特に、本発明の方法において出発シリカとして使用され得る沈降シリカの調製のための適切な方法の非限定的な例は、例えば、欧州特許出願公開第396450A号明細書、欧州特許出願公開第520862A号明細書、欧州特許出願公開第647591A号明細書、欧州特許出願公開第670813A号明細書、欧州特許出願公開第670814A号明細書、欧州特許出願公開第901986A号明細書、欧州特許出願公開第762992A号明細書、欧州特許出願公開第762993A号明細書、欧州特許出願公開第917519A号明細書、欧州特許出願公開第983966A号明細書、欧州特許出願公開第1355856A号明細書、国際公開第03/016215号パンフレット、国際公開第2009/112458号パンフレット、国際公開第2011/117400号パンフレット、国際公開第2018/202752号パンフレット、国際公開第2018/202755号パンフレット、国際公開第2018/202756号パンフレット、国際公開第2020/094714号パンフレットに開示されている。
【0032】
本発明による、又は上記本発明による方法によって得られる本発明のシリカは、多くの用途に使用することができる。
【0033】
本発明の改質シリカは、特にポリマー組成物用の充填剤として、特にエラストマー組成物において使用することができる。
【0034】
特に補強充填剤としてその中で用いることができるポリマー組成物は、通常、好ましくは-150℃~+300℃、例えば-150℃~+20℃の少なくとも1つのガラス転移温度を示す、1種以上のポリマー又はコポリマー、特に1種以上のエラストマーをベースとしている。
【0035】
表現「コポリマー」は、異なる性質の少なくとも2種のモノマー単位に由来する繰り返し単位を含むポリマーを指すために本明細書で使用される。
【0036】
可能なポリマーとして、ジエンポリマー及びコポリマー、特にジエンエラストマーを具体的に挙げることができる。
【0037】
例えば、少なくとも1つの不飽和を含む脂肪族若しくは芳香族モノマー(特に、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチレン、又は酢酸ビニルなど)に由来するポリマー若しくはコポリマー、ポリブチルアクリレート、又はそれらの混合物が使用されてもよく;官能化エラストマー、すなわち、高分子鎖に沿って及び/又はその末端の1つ以上に配置された化学基によって(例えば、シリカの表面と反応することができる官能基によって)官能化されたエラストマー、並びにハロゲン化ポリマーも挙げることができる。ポリアミド、エチレンホモポリマー及びコポリマー、プロピレンホモポリマー及びコポリマーを挙げることができる。
【0038】
ポリマー(コポリマー)は、バルクポリマー(コポリマー)、ポリマー(コポリマー)ラテックスであってよく、或いは水中又は任意の他の適切な分散液体中のポリマー(コポリマー)の溶液であってよい。
【0039】
ジエンエラストマーの中でも、例えば、ポリブタジエン(BR又はブタジエンゴム)、ポリイソプレン(IR又はイソプレンゴム)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、又はそれらの混合物、特にスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR、特にESBR(エマルション)又はSSBR(溶液))、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)を挙げることができる。SSBR、好ましくはBRとの混合物を用いると良好な結果が得られる。
【0040】
天然ゴム(NR)及びエポキシ化天然ゴム(ENR)も挙げることができる。NRで特に良好な結果が得られる。これは、このタイプのエラストマーの加工は高いせん断速度を伴うためである。
【0041】
ポリマー組成物は、硫黄で加硫され得るか、又は特に過酸化物若しくは他の架橋系(例えばジアミン若しくはフェノール樹脂)で架橋され得る。
【0042】
一般的に、ポリマー組成物は、少なくとも1つの(シリカ/ポリマー)カップリング剤及び/又は少なくとも1つの被覆剤を更に含み、これらは、とりわけ、酸化防止剤を更に含み得る。
【0043】
適切なカップリング剤の非限定的な例は、例えば「対称」若しくは「非対称」シランポリスルフィドであり;より具体的には、ビス((C~C)アルコキシル(C~C)アルキルシリル(C~C)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド若しくはテトラスルフィド)、例えばビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)ポリスルフィド若しくはビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ポリスルフィドなど、例えばトリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドを挙げることができる。モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィドも挙げることができる。また、マスクされた又は遊離のチオール官能基を含むシランを挙げることができる。
【0044】
カップリング剤は、ポリマーに予めグラフトすることができる。それはまた、遊離状態で使用されるか又はシリカの表面にグラフトされ得る。任意選択の被覆剤についても同じである。
【0045】
ポリマー組成物中の本発明のシリカの重量比は、かなり広い範囲で変動することができる。これは、通常、ポリマーの量に対して10重量%~200重量%(すなわち10~200phr又はゴム100個当たり)を占める。特に、シリカが主充填剤として使用される場合、これはポリマーの量に対して20重量%~150重量%(すなわち20~150phr)であり、相当量のカーボンブラック(例えば10phr超)と組み合わせて使用される場合には、ポリマーの量の10重量%~50重量%(すなわち10~50phr)である。
【0046】
本発明による本発明のシリカは、有利には、補強無機充填剤の全て、更にはポリマー組成物の補強充填剤の全てを構成し得る。
【0047】
しかしながら、本発明による本発明のシリカは、任意選択的には、特に処理された沈降シリカ(例えばアルミニウムなどのカチオンを使用して「ドープされた」沈降シリカ);別の補強無機充填剤、例えばアルミナ、更には補強有機充填剤、特にはカーボンブラック(任意選択的に例えばシリカのような無機層で被覆されていてもよい)など少なくとも1つの他の補強充填剤と組み合わせることができる。
【0048】
本発明は、上述したポリマー組成物、すなわち上述した本発明のシリカも含むポリマー組成物にも関する。
【0049】
これらのポリマー組成物は、多くの物品の少なくとも一部の製造に使用することができる。上述したポリマー組成物のうちの少なくとも1つを含む完成品の非限定的な例は、例えば靴底、床材、ガスバリア、難燃性材料、更にはエンジニアリング部品、例えば空中ケーブル用のローラー、家電製品用のシール、液体又はガスの配管用のシール、ブレーキシステムシール、パイプ(フレキシブル)、シース(特にケーブルシース)、ケーブル、エンジンサポート、バッテリーセパレーター、コンベアベルト、トランスミッションベルト、又は好ましくはタイヤ、特にタイヤトレッド(特に軽車両用又は大型車両用、例えばトラック)である。
【0050】
本発明の沈降シリカは、研磨剤及び/又は増粘剤としてオーラルケア配合物に、特に過酸化物放出化合物を含むオーラルケア組成物に使用することもできる。
【0051】
「過酸化物放出化合物」という表現は、本明細書では、過酸化水素、過酸化物、並びにオーラルケア用途における使用条件下で過酸化水素を放出することができる任意の化合物を指すために使用される。過酸化物放出化合物の注目すべき非限定的な例としては、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の過酸化物としては、過酸化リチウム、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。有機ペルオキシ化合物としては、過酸化尿素、グリセリル過酸化水素、アルキル過酸化水素、過酸化ジアルキル、アルキルペルオキシ酸、ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、モノペルオキシフタレート、及びそれらの混合物が挙げられる。ペルオキシ酸及びその塩としては、アルキルペルオキシ酸、モノペルオキシフタレート、及びそれらの混合物などの有機ペルオキシ酸、並びにリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の過ホウ酸塩、並びにそれらの混合物などの無機ペルオキシ酸塩が挙げられる。好ましい固体過酸化物は、過ホウ酸ナトリウム、過酸化尿素、及びそれらの混合物である。
【0052】
過酸化物放出化合物は、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレートのポリマーなどのポリマーに結合していてもよい。
【0053】
オーラルケア組成物は、典型的には1~50重量%、典型的には3~40重量%、好ましくは3~20重量%の過酸化物放出化合物を含有する。
【0054】
オーラルケア組成物は、3~60重量%、典型的には5~50重量%、好ましくは5~30重量%の本発明シリカを含有する。
【0055】
本発明の組成物は、オーラルケア用途に一般的に使用されている他の成分、特に他の非水溶性無機研磨剤、増粘剤、保湿剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。特に挙げることができる他の研磨剤は、炭酸カルシウム、水和アルミナ、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、並びにメタリン酸及びリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩である。
【0056】
増粘剤の中では、特にキサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース誘導体、及びアルギン酸塩を挙げることができ、その量は組成物の5重量%までの範囲とすることができる。
【0057】
保湿剤の中では、例えばグリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びキシリトールを挙げることができ、その量は、乾燥重量で表される組成物の重量の2~85%程度、好ましくは10~70%程度である。
【0058】
本発明の組成物は、界面活性剤、洗剤、着色剤、殺菌剤、フッ素誘導体、乳白剤、甘味料、歯石防止剤及び歯垢防止剤、重炭酸ナトリウム、防腐剤、酵素などを追加的に含んでいてもよい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は抗菌剤を更に含む。適切な抗菌剤の注目すべき非限定的な例は、クロルヘキシジン及びクロルヘキシジン塩、例えばビグルコン酸塩又は二酢酸塩、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、及び臭化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0060】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0061】
ここで、本発明を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、その目的は、例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0062】
分析方法
本発明のシリカの物理化学的特性を、以下に記載する方法を用いて決定した。
【0063】
CTAB表面積の決定
CTAB表面積値は、規格NF ISO 5794-1,Appendix Gから得られる内部方法に従って求めた。
【0064】
BET表面積の決定
BET表面積SBETは、以下の調節を行い、規格NF ISO 5794-1,Appendix E(2010年6月)で詳述されているBrunauer-Emmett-Teller法に従って求めた:試料を200℃±10℃で予備乾燥させ、測定のために使用される分圧P/Pは、0.05~0.3であった。
【0065】
シラノール比及びシラノール密度の決定
試料(乾燥した制御された雰囲気で保管するか、又は湿気の取り込みをなくすために105℃で少なくとも2時間のプレコンディショニングを行ったもの)を、MettlerのLF1100熱天秤と、ガスセルを備えたTensor27 Bruker分光計とでATD-ATG技術を使用して、以下のプログラムを使用して分析した:150μLのAlるつぼ内で、空気(60mL/分)下、10℃/分で25℃から1100℃への温度上昇。シラノール密度は、200℃~800℃の間の質量減少に直接関連している。200℃~800℃の間の質量減少(%)はΔW%として確認される。
シラノール比(mmol/g)は、
SiOH=ΔW*2*1000/(18.015*100)=1.11*ΔW
によって定義される。
シラノール密度(OH/nm)は、
D=TSiOH*Na/1021*SBET=TSiOH*602.2/SBET
によって計算され、式中、Naはアボガドロ数である。
【0066】
ディスク式遠心沈降機(CPS)での遠心沈降による粒径分布及び粒径の決定
d50の値は、CPS Instruments社によって販売されている遠心光沈降速度計タイプ「CPS DC 24000UHR」を使用するディスク式遠心沈降機での遠心沈降によって決定された。この計測器は、デバイスに付属のオペレーティングソフトを備えていた(オペレーティングソフトバージョン11g)。
【0067】
使用される計測器:測定要件のために、以下の材料及び製品を使用した:超音波装置:19mmプローブを備えた1500W発電機型Sonics Vibracell VC1500/VCX1500(コンバーター:CV154+ブースター(部品番号:BHNVC21)+19mmプローブ(部品番号:630-0208))。
【0068】
0.1mgの精度の化学天秤(例えばMettler AE260);シリンジ:1.0ml及び2.0ml、20gaの針;50mLの背の高い形状のガラスビーカー(SCHOTT DURAN:直径38mm、高さ78mm);2cmの磁気撹拌子を備えたマグネチックスターラー;超音波処理中の氷浴のための容器。
化学物質:脱イオン水;エタノール96%;スクロース99%;ドデカン、全てMerck製;CPS Instrument Inc.製のPVC参照標準;使用される参照標準のピーク最大値は200~600nmの間(例えば237nm)であるべきである。
【0069】
ディスク式遠心分離機(CPS)における沈降
測定のために、以下のパラメーターを設定した。
較正標準パラメーターのために、供給元から伝えられているPVC標準の情報を用いた。
【0070】
【表1】
【0071】
装置構成
測定波長を405nmに設定した。以下のランタイムオプションパラメーターを設定した。
【0072】
【表2】
【0073】
ソフトウェアの全ての他のオプションを計測器の製造元によって設定されたままにした。
【0074】
ディスク式遠心沈降機の準備
遠心ディスクを30分間24000rpmで回転させる。スクロース(CASn°57-50-1)の密度勾配を以下のように調製する:
【0075】
50mLビーカー内に、スクロースの24重量%水溶液を調製する。50mLビーカー内に、スクロースの8重量%水溶液を調製する。これらの2つの溶液を別々に均質化した後、2mLシリンジを使用して試料をそれぞれの溶液から取り、それを以下の順に回転ディスク内に注入する。
試料1:1.8mLの24重量%溶液
試料2:1.6mLの24重量%溶液+0.2mLの8重量%溶液
試料3:1.4mLの24重量%溶液+0.4mLの8重量%溶液
試料4:1.2mLの24重量%溶液+0.6mLの8重量%溶液
試料5:1.0mLの24重量%溶液+0.8mLの8重量%溶液
試料6:0.8mLの24重量%溶液+1.0mLの8重量%溶液
試料7:0.6mLの24重量%溶液+1.2mLの8重量%溶液
試料8:0.4mLの24重量%溶液+1.4mLの8重量%溶液
試料9:0.2mLの24重量%溶液+1.6mLの8重量%溶液
試料10:1.8mLの8重量%溶液
【0076】
ディスクにそれぞれ注入する前に、約0.2mLの空気を補給し、その後に、一切の液体を失わないようにして、数秒間の短い手作業の撹拌を行うことによって2つの溶液をシリンジ内で均質化する。
【0077】
これらの注入は、その全容積が18mLであり、測定される試料の注入中に現れる場合がある特定の不安定性を除くために有用である密度勾配を作ることを目指す。密度勾配を蒸発から守るために、2mLシリンジを使用して回転ディスク内に1mLのドデカンを添加する。次に、ディスクを任意の最初の測定前に60分間24000rpmで回転させておく。
【0078】
試料の調製
50mL背の高い形状のガラスビーカー(SCHOTT DURAN:直径38mm、高さ78mm)内に3.2gのシリカを秤量し、40mLの脱イオン水を添加して、シリカの8重量%懸濁液を得た。
【0079】
ビーカーを氷及び冷水で満たされた結晶皿内に置く前に、懸濁液をマグネチックスターラーで撹拌した(最低20秒)。マグネチックスターラーを外し、結晶皿を、ビーカーの底部から1cmに置いた超音波プローブ下に置いた。超音波プローブをその最大振幅の56%に設定し、8分間活性化した。超音波処理の終了時に、試料抽出後まで最低500rpmで撹拌する2cm磁気撹拌棒を有するマグネチックスターラー上にビーカーを再び置いた。
【0080】
超音波プローブは適切な使用条件にある必要がある。以下の検査を実施しなければならず、好ましくない結果の場合、新しいプローブを使用するのがよい:プローブの端部の物理的一体性の目視検査(ファインキャリパで測定される2mm未満の粗さ深さ);市販シリカZeosil(登録商標)1165MPの測定されるd50は96nm±3nmであるはずである)。
【0081】
分析
それぞれの試料を分析する前に、較正標準を記録した。それぞれの場合、CPS Instrumentsによって提供され、その特性が前もってソフトウェアに入れられるPVC標準0.1mLを注入した。PVC標準のこの最初の注入と同時にソフトウェアで測定を開始することが重要である。注入時に測定を同時に開始することを確実にすることによって、予め超音波処理された試料100μLを注入する前に装置の確認を受けなければならない。
【0082】
これらの注入は1mLの2つの清浄なシリンジで実施された。
【0083】
(ソフトウェア中で0.02μmに構成される)比較的小さい直径の全ての粒子を沈降させるために必要な時間の終わりに達せられる、測定の終了時に、それぞれの直径クラスの比が得られた。得られた曲線は凝集体サイズ分布と呼ばれる。
【0084】
結果:D50値は、線形スケールで描かれた分布に基づいている。直径の粒径分布関数の積分は、「累積」分布、すなわち最小直径と目的の直径との間の粒子の全質量を得ることを可能にする。D50は、母集団の質量で50%がそれ未満及びそれを超える直径である。d50は、シリカ凝集体のメジアンサイズ、すなわち直径と呼ばれる。
【0085】
実施例1-改質シリカの調製
改質沈降シリカは、以下の手順に従って調製した:以下のプロトコルに従って、マッフル炉内で出発シリカを空気中で焼成した:2~10°/分の昇温、次いで所望の温度で2時間プラトー、その後自然放冷(約6~8時間)。
出発シリカ(すなわちZeosil(登録商標)1165MP及びPremium SW)及びそれらを出発シリカとして使用する改質シリカ(すなわちZ1165MPに基づくものはシリカA~F、Premium SWに基づくものはシリカG~I)の特性を下の表1にまとめる。
【0086】
【表3】
【0087】
表1は、シリカの形態(粒径及びBET)は焼成によって大きな影響を受けないが(650℃で焼成されたシリカFを除く)、シラノール価(すなわちシラノール密度)は影響を受けることを示している。
【0088】
実施例2:エラストマー組成物におけるシリカの使用
原材料
本発明によるシリカは、NR/BRマトリックスで評価した。エラストマー100部当たりの重量部(phr)として表される組成物は、以下の表2に記載される。シリカの量(phr)は、焼成シリカの含水量が低いため、対応する焼成シリカよりも参照シリカの方が若干高い。つまり、化合物中で同量のSiO2を得るために、phr単位でのシリカの量をシリカの含水量の関数として調整した。
【0089】
【表4】
【0090】
ゴム組成物の調製のための方法
ゴム組成物の調製は、2つの連続する調製段階、すなわち高温熱機械加工の第1の段階、それに続く、加硫系を導入するための110℃未満の温度での機械加工の第2の段階、で実施した。
【0091】
第1段階は、Brabenderブランドのインターナルミキサー型の混合装置(380mLの容量)を使用して行った。初期温度とローターの速度は、混合物の滴下温度が約160℃になるように設定した。
【0092】
第1段階の第1パスでは、エラストマー及び補強充填剤(分割して投入)を、カップリング剤、カーボンブラック、及びステアリン酸と混合した。継続時間は4分30秒であった。
【0093】
混合物を(100℃未満の温度に)冷却した後、第2パスによって、酸化亜鉛及び保護剤/酸化防止剤を組み込むことが可能となった。このパスの継続時間は4分であった。
【0094】
混合物を冷却した後(100℃未満の温度)、第2の段階中に加硫系(硫黄及び促進剤、例えばCBS)を添加した。これを、50℃に予熱されたオープンミルで実施した。この段階の継続時間は、4~6分であった。
【0095】
各最終混合物を次いで厚さ2~3mmのプレート形態にカレンダー加工した。
【0096】
加硫物の特性
測定は、150℃での加硫後に実施した。
【0097】
摩耗による質量減少の測定は、NF ISO4649の指示に従って行った。測定値は、摩耗後の物質の減少体積(mm)であり、値が小さいほど耐摩耗性に優れている。
【0098】
エネルギー散逸を測定した。損失係数(tanδ)の値は、加硫サンプル(円筒形のサンプル、断面95mm、高さ14mm)で記録した。試料を、10%の正弦波変形での事前歪み(pre-strain)、及び4%の動的誘導(dynamic solicitation)に供した。測定は、Metravib VA3000を使用して60℃、周波数10Hzで行われる。
【0099】
結果を下記の表3にまとめる。
【0100】
【表5】
【0101】
本発明による焼成シリカは、したがって、出発(非焼成)シリカと比較して、転がり抵抗に悪影響を及ぼすことなしに(60℃におけるエネルギー散逸が同等以上)、コンパウンドのより良好な耐摩耗性を可能にする。
【0102】
実施例3:エラストマー組成物材料におけるシリカの使用
本発明によるシリカをSBR/BRマトリックス中で評価した。エラストマー100部当たりの重量部(phr)として表される組成物は、以下の表4に記載される。
【0103】
【表6】
【0104】
ゴム組成物の調製のための方法
ゴム組成物の調製は、2つの連続する調製段階、すなわち高温熱機械加工の第1の段階、それに続く、加硫系を導入するための110℃未満の温度での機械加工の第2の段階、で実施した。第1の段階は、Brabenderブランドのインターナルミキサー型の混合装置(380mLの容量)を使用して行った。
【0105】
第1の段階の第1のパスにおいて、エラストマー及び補強充填剤(分割での導入)をカップリング剤、可塑剤、ステアリン酸、6-PPD、及びZnOと混合した。継続時間は4分30秒であり、滴下温度は約160℃であった。
【0106】
混合物を(100℃未満の温度に)冷却した後、第2段階の間に加硫系を添加した。これを、50℃に予熱されたオープンミルで実施した。この段階の継続時間は2~6分であった。各最終混合物を次いで厚さ2~3mmのプラーク形態にカレンダー加工した。
【0107】
加硫物の特性
測定は、160℃での加硫後に行った。
【0108】
架橋後、ISO 11345に従って、S.OttoらによってKautschuk Gummi Kunststoffe,58 Jahrgang,NR 7-8/2005に記載された方法に従ってZ値を測定した。
【0109】
「分散されていない面積」の割合は、30°の入射光で試料の表面を観察するカメラを使用して計算される。明るい点は、電荷及び凝集体に関連し、暗い点は、ゴムマトリックスに関連する。デジタル処理により、画像が白黒画像に変換され、上記の文献でS.Ottoが記載したように、「分散されていない領域」の割合を決定できる。Z値が高いほど、エラストマーマトリックス内の電荷の分散が良好である(Z値100は完全な分散に対応し、Z値0は非常に悪い分散に対応する)。
【0110】
Z値の計算は、式:Z=100-(分散されていない面積のパーセント)/0.35に従い、Dynisco社の動作モード及びオペレーティングソフトウェアDisperDataを備える機器DisperGrader(登録商標)1000によって測定される、電荷が分散されていない面積のパーセントに基づく。
【0111】
結果を下の表5にまとめる。
【0112】
【表7】
【0113】
650℃で焼成したシリカは、500℃で焼成したシリカに比べて劣った分散性を示す。
【国際調査報告】