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特表2024-511874G4を形成しやすいポリヌクレオチドの酵素合成のための方法及びキット
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  • 特表-G4を形成しやすいポリヌクレオチドの酵素合成のための方法及びキット 図1
  • 特表-G4を形成しやすいポリヌクレオチドの酵素合成のための方法及びキット 図2A
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  • 特表-G4を形成しやすいポリヌクレオチドの酵素合成のための方法及びキット 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】G4を形成しやすいポリヌクレオチドの酵素合成のための方法及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20240308BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C12N15/10 Z
C12P19/34 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560824
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2022058814
(87)【国際公開番号】W WO2022207934
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】EP21305428
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516304610
【氏名又は名称】ディーエヌエー スクリプト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ クロザルス, ギャブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ レヴェル, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラシェイズ, アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガン, アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴドロン, シャビエル
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064CA21
4B064CB30
4B064CE20
4B064DA20
(57)【要約】
本発明は、G四重鎖(G4)構造を形成することができる配列を有するポリヌクレオチドの鋳型フリー酵素合成のための方法、組成物及びキットに関する。本発明によれば、G4形成によって影響を受ける伸長反応は、鎖内又は鎖間のG4構造の形成を阻害又は防止するポリCオリゴヌクレオチド、例えば、ポリC開始剤の存在下で行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
G4構造を形成することができる所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成する方法であって、
(a)合成支持体に結合させて、それぞれ遊離3’-ヒドロキシルを有する開始剤を付与する工程と、
(b)合成支持体を含む反応混合物中で、ポリヌクレオチドが形成されるまで、(i)開始剤又は遊離3’-O-ヒドロキシルを有する伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及び鋳型非依存性ポリメラーゼと伸長条件下で接触させて、開始剤又は伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長させて、3’-O-ブロック伸長断片を形成することと、(ii)伸長断片をデブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成することと、からなるサイクルを繰り返す工程であって、開始剤又は伸長断片を伸長するための反応混合物が、ポリヌクレオチドの領域と二重鎖を形成することができるポリCオリゴヌクレオチドを含む、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記開始剤が前記ポリCオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記合成支持体が、それに結合した前記ポリCオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応混合物が、前記伸長断片がG4を形成しやすいポリヌクレオチドであるときはいつでも、溶液中にポリCオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドがRNAであり、前記鋳型非依存性ポリメラーゼがポリ(A)ポリメラーゼ又はポリ(U)ポリメラーゼ又はそのバリアントである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸が3’-O-アジドメチル-リボヌクレオシド三リン酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドがDNAであり、前記鋳型非依存性ポリメラーゼがターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)又はそのバリアントである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリCオリゴヌクレオチドが、2から20ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリヌクレオチドを前記合成支持体から切断する工程をさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸が、3’-O-(2-ニトロベンジル)ヌクレオシド三リン酸、3’-O-アリルヌクレオシド三リン酸、3’-O-アミンヌクレオシド三リン酸、3’-O-アジドメチルヌクレオシド三リン酸、3’-O-(2-シアノエチル)ヌクレオシド三リン酸、及び3’-O-プロパルギルヌクレオシド三リン酸からなる群から選択される、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸が3’-O-アジドメチルヌクレオシド三リン酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸が3’-O-アミンヌクレオシド三リン酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ポリCオリゴヌクレオチドを含む開始剤が付着した合成支持体を含む鋳型フリーポリメラーゼを使用して所定の配列のポリヌクレオチドを合成するためのキット。
【請求項14】
前記ポリヌクレオチドがポリデオキシリボヌクレオチドであり、前記鋳型フリーポリメラーゼがターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ又はそのバリアントである、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記ポリヌクレオチドがポリリボヌクレオチドであり、前記鋳型フリーポリメラーゼがポリ(A)ポリメラーゼ又はポリ(U)ポリメラーゼ又はそのバリアントである、請求項13に記載のキット。
【請求項16】
前記合成支持体が微小粒子の集団を含む、請求項13、14又は15のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリヌクレオチド合成への酵素的アプローチへの関心は、合成生物学、CRISPR-Cas9適用、及びハイスループットシーケンシングなどの多くの分野における合成ポリヌクレオチドに対する需要の増加のためだけでなく、ポリヌクレオチド合成への化学的アプローチの限界、例えば、生成物の長さ及びその使用の上限、並びに有機溶媒を処分する必要性のために、近年増加している、Jensenら、Biochemistry,57:1821-1832(2018)。酵素合成は、その特異性及び効率、並びに穏やかな水性適合性試薬及び反応条件のみを必要とするため、魅力的である。
【0002】
現在、DNA合成及びRNA合成の双方のためのほとんどの酵素的アプローチでは、鋳型フリーポリメラーゼを使用して、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸を一本鎖開始剤又は支持体に結合した伸長鎖に繰り返し付加し、続いて所望の配列のポリヌクレオチドが得られるまでデブロッキングする、例えば、Hiatt及びRose、国際公開第96/07669号。本発明者らは、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)などの鋳型フリーポリメラーゼが、G四重鎖(G4)を形成することができる配列においてヌクレオチドを伸長鎖に効率的に結合しないことを発見した。G4構造は、様々な天然のプロセスへの関与に重要な一般的に存在する二次構造である、例えば、Kwokら、Trends in Biotechnology,35(10):997-1013(2017);Muratら、Curr.Opin.Genet Devel.,25:22-29(2014)など。したがって、酵素合成の最新技術には、現在、G4構造を形成しやすいポリヌクレオチドを合成するその能力が不足している。
【0003】
ポリヌクレオチドの鋳型フリー酵素合成の適用を拡大することへの関心を考えると、G4構造を含有する標的ポリヌクレオチドの効率及び収率を高めるための方法を用いることができれば、この分野は進歩するであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、DNAポリヌクレオチド又はRNAポリヌクレオチドのいずれかの鋳型フリー酵素合成のための、G4構造の形成を妨げるために合成反応において薬剤を使用する方法及びキットに関する。一態様では、かかる薬剤は、ポリシチジル酸又はポリデオキシシチジル酸オリゴヌクレオチド(本明細書では「ポリCオリゴヌクレオチド」と総称する)である。いくつかの実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドは、合成されるポリヌクレオチドのGリッチドメインと相互作用することができるような開始剤及び/又は合成支持体の成分である。他の実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドは、合成中の選択されたカップリング又は伸長工程の間、溶液中に遊離している。
【0005】
いくつかの実施形態では、本発明は、G4構造を形成することができる所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成する方法であって、(a)合成支持体に結合させて、それぞれ遊離3’-ヒドロキシルを有する開始剤を付与する工程と、(b)合成支持体を含む反応混合物中で、ポリヌクレオチドが形成されるまで、(i)開始剤又は遊離3’-O-ヒドロキシルを有する伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及び鋳型非依存性ポリメラーゼと伸長条件下で接触させて、開始剤又は伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長させて、3’-O-ブロック伸長断片を形成することと、(ii)伸長断片をデブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成することと、からなるサイクルを繰り返す工程であって、開始剤又は伸長断片を伸長するための反応混合物が、ポリヌクレオチドの領域と二重鎖を形成することができるポリCオリゴヌクレオチドを含む、工程と、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、開始剤はそれぞれ、ポリCオリゴヌクレオチドからなるセグメントを含む。他の実施形態では、最終的に開始剤に加えて、それに結合したポリCオリゴヌクレオチドを有する合成支持体が提供される。さらに他の実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドは、G4構造形成が起こる可能性が高い選択された伸長サイクルのための伸長反応混合物の成分として溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、そのような選択された伸長サイクルは、従来のG4予測アルゴリズムによって特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、ポリヌクレオチドの鋳型フリー酵素合成の方法を図式的に示す。
図2A図2Aは、ポリCオリゴヌクレオチドを反応混合物に含めるための様々な実施形態を図式的に示す。
図2B図2Bは、ポリCオリゴヌクレオチドを反応混合物に含めるための様々な実施形態を図式的に示す。
図2C図2Cは、ポリCオリゴヌクレオチドを反応混合物に含めるための様々な実施形態を図式的に示す。
図2D図2Dは、ポリCオリゴヌクレオチドを反応混合物に含めるための様々な実施形態を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一般的な原理は、具体的に例によって、例えば、図面に示され詳細に説明されている例によって、本明細書により詳細に開示されている。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。本発明は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができ、その詳細はいくつかの実施形態について示されている。この意図は、本発明の原理及び範囲内に入るすべての修正、均等物、及び代替物を網羅することである。
【0008】
本発明の実施は、別途指示がない限り、当業者の技術の範囲内である、有機化学、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、及び生化学の従来の技術及び説明を採用することができる。そのような従来の技術としては、合成ペプチド、合成ポリヌクレオチド、モノクローナル抗体、核酸クローニング、増幅、配列決定及び分析、並びに関連技術の調製及び使用を挙げることができるが、これらに限定されない。そのような従来の技術のプロトコルは、製造業者の製品文献及び実験マニュアル、例えば、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series(Vols.I-IV)、PCR Primer:A Laboratory Manual、及び、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(すべて、Cold Spring Harbor Laboratory Pressから)、Lutz and Bornscheuer,Editors,Protein Engineering Handbook(Wiley-VCH,2009)、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Second Edition(Academic Press,2008)、並びに、同様の参考文献に見出すことができる。
【0009】
本発明は、伸長中の鎖におけるG四重鎖(又はG4)二次構造の形成を抑制又は妨害する合成条件を提供することによって、長いポリヌクレオチドのより高い収率を可能にする、ポリヌクレオチド、特にDNA又はRNAの鋳型フリー酵素合成の改善に関する。特定の理論又は仮説に限定する意図はないが、G4構造の形成は、鋳型フリーポリメラーゼなどの合成試薬へのアクセスを制限し、それによって鎖延長又は伸長を阻害し、それによって生成物の長さのばらつきが大きくなると考えられる。一つには、本発明は、G4構造の形成を妨げる薬剤、特にポリCオリゴヌクレオチドを含む伸長(又は延長若しくはカップリング)条件を設けることによって、生成物収率に対するそのような二次構造の悪影響を緩和又は抑制することができるという認識及び理解に基づく。特に、そのような妨げは、Gリッチ領域を有する成長鎖が占有することができる代替的な安定した構成、例えば、ポリC領域との二重鎖を生じることによって起こると考えられる。上記を考慮して、いくつかの実施形態では、本発明の開始剤は、代替的な安定した立体配置が、開始剤中のポリGオリゴヌクレオチドと合成されるポリヌクレオチドのGリッチ配列との間のG4構造であり得るポリGオリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなポリGオリゴヌクレオチドは、2から20グアニレート又はデオキシグアニレートの範囲の長さを有し得る。
【0010】
G四重鎖構造は自然界でよく見られるものであり、利用可能なアルゴリズム、例えば、Lombardi et al,Nucleic Acids Research,48(1):1-15(2020)や同様の参考文献を使用して予測することができる。G3+1-73+1-73+1-73+は共通のG4モチーフであり、式中、「N」は任意のヌクレオチドであり、「3+」は連続した3個以上のGを意味する。本明細書で使用される場合、「G4を形成しやすいポリヌクレオチド」という用語は、伸長反応条件下でG4構造を形成することができるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、「G4を形成しやすいポリヌクレオチド」は、従来のG4予測アルゴリズムがG4構造を形成する可能性が高いと示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを意味する、例えば、Burge et al,Nucleic Acids Research,34(19):5402-5415(2006)、Huppert et al,Nucleic Acids Research,33(9):2908-2916(2005)、Kwok et al,Trends in Biochemistry,35(10):997-1013(2017)、Lombardi et al(cited above)、Murat et al,Curr.Opin.Genetic&Development,25:22-29(2014)、Todd et al,Nucleic Acids Research,33(9):2901-2907(2005)、Bedrat et al,Nucleic Acids Research,44(4):1746-1759(2016)、など。
【0011】
本発明のポリCオリゴヌクレオチドは、2ヌクレオチド以上の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明のポリCオリゴヌクレオチドは、2から60ヌクレオチド、又は2から50ヌクレオチド、又は2から40ヌクレオチド、又は2から30ヌクレオチド、又は2から20ヌクレオチドの範囲の長さを有する。他の実施形態では、本発明のポリCオリゴヌクレオチドは、6から60ヌクレオチド、又は6から50ヌクレオチド、又は6から40ヌクレオチド、又は6から30ヌクレオチド、又は6から20ヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、本発明の開始剤は、6から50ヌクレオチドの範囲の長さを有し、ポリCオリゴヌクレオチドは、開始剤配列の50パーセント以上を構成する。いくつかの実施形態では、本発明のポリCオリゴヌクレオチドは、合成されたポリヌクレオチドの純度を、ポリT開始剤を使用する同等の合成と比較して20パーセント以上増加させるのに十分な規模の長さ、濃度及び/又は立体配置(すなわち、開始剤のセグメントが開始剤と同じ固体支持体に独立して結合しているか、又は遊離溶液中にあるか)を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数のポリCオリゴヌクレオチドは、大きなオリゴヌクレオチド、例えば、伸長反応混合物の成分である開始剤の中に存在し得る。例えば、開始剤は、非Cヌクレオチド、例えば、-CCCTCCCTCCCT-(配列番号159)、-CCCTCCCCTCCCCCT-(配列番号160)などによって分離されたいくつかのポリCオリゴヌクレオチドを含むセグメントを有し得る。いくつかの実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドのそのような複合体は、製造を容易にするために選択され得る。
【0013】
開始剤(以下でさらに十分に説明する)がポリCオリゴヌクレオチドを含むときはいつでも、ポリCオリゴヌクレオチドは開始剤の全部又は一部を含んでいてもよい。異なる実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドは、以下の構成、すなわち、(i)開始剤の一部として、(ii)開始剤と同じ合成支持体に結合したオリゴヌクレオチドの一部として、及び(iii)遊離溶液中のオリゴヌクレオチドの一部として、のうちのいずれか又はすべての構成をもって提供され得るいずれの場合も、ポリCであるオリゴヌクレオチド又は開始剤の部分は、オリゴヌクレオチド又は開始剤全体であり得る。(ii)に関して、そのようなオリゴヌクレオチドは、5’末端又は3’末端のいずれかを介して合成支持体に結合され得る。いくつかの実施形態では、(ii)のオリゴヌクレオチドが5’末端を介して結合されるときはいつでも、その3’末端は、カップリング又は伸長工程の間にヌクレオチドがそれに結合しないようにキャップされる。同様に、(iii)に関して、遊離溶液中のポリCオリゴヌクレオチドは、カップリング工程又は伸長工程中にヌクレオチドがそれらに結合しないように3’末端がキャップされている。
【0014】
図2A図2Dは、本発明の様々な態様を示す。図2Aは、オリゴヌクレオチド開始剤(202)がその5’末端を介して支持体(200)に結合している合成支持体(200)を示す。ポリGセグメントを含有するポリヌクレオチド(208)の合成(205)の後、鎖間(204)G4構造が形成され得るか、又は鎖内(206)G4構造が形成されてポリヌクレオチドのさらなる延長を阻害し得る。いくつかの場合(例えば、206)では、ポリヌクレオチドの最終的なGリッチセグメントの合成が起こるまで阻害は起こらず、これによりG4の形成が可能になる。したがって、いくつかの実施形態では、遊離溶液ポリCオリゴヌクレオチドを、(先に引用した)Lombardiらに記載されているようなG4予測アルゴリズムを使用して特定のポリヌクレオチドについて特定することができる選択されたカップリング工程においてのみカップリング反応に導入する必要がある。図2Bは、ポリCオリゴヌクレオチドが開始剤の成分である前の段落の実施形態(i)を示す。図2Bの上部パネルでは、開始剤(210)が合成支持体(206)に結合している。各開始剤はポリCオリゴヌクレオチドセグメント(212)を含有する。鎖内G4構造が形成し始めるところまで合成した後、図2Bの下のパネルは、それ自体の、またお互いの相互作用におけるポリヌクレオチドの3つの可能な構成を示す。鎖(216)及び鎖(226)は、それぞれ(214)及び(232)に、それらの3’末端のG4構造を示しており、これらが、TdTなどの鋳型フリーポリメラーゼが延長反応に関与するのを阻害する。スタンド(222)は、そのポリGセグメントの一方が開始剤のポリC成分と鎖内二本鎖を形成し、それによってその3’末端でのG4構造の形成を阻害するポリヌクレオチドを示す。鎖(216)及び鎖(225)は、鎖(216)の開始剤のポリC成分と鎖(225)のポリGセグメントの一方との間の鎖間二重鎖の形成を示し、それによって鎖(225)の末端でのG4構造の形成を妨げる。上述のように、G-C二重鎖の形成及び二重鎖状態とG4状態との間の鎖の移行(例えば、(218)及び(220))のために、鋳型フリーポリメラーゼは、そうでなければはるかに低い効率で起こるであろうカップリング反応を触媒するために、成長中の鎖の遊離3’-ヒドロキシルと相互作用する機会を有すると考えられる。
【0015】
図2Cは、ポリCオリゴヌクレオチド(236)が、開始剤(238)と同じ合成支持体(206)に結合した別個のオリゴヌクレオチドとして付与される実施形態を示す。ポリCオリゴヌクレオチドは、それらの5’末端又はそれらの3’末端のいずれかを介して結合され得るが、それらの5’末端を介して結合される場合、好ましくは、3’末端は、延長工程中に延長されないようにキャップされる(図では「x」として示される)。開始剤及びポリCオリゴヌクレオチドは、従来の付着化学を用いて結合させることができる。典型的には、両方がそれらの結合末端に反応性部分(例えば、アミン)を有し、ポリCオリゴヌクレオチドの密度が鎖間二重鎖の形成を可能にするのに十分に高くなるように選択された相対濃度で合成支持体上の相補的部分と反応する。図2Cの下のパネルは、合成後(240)、鎖内G4構造、例えば、(242)及び(244)が形成され得る時点までのポリC領域とポリG領域との相互作用を示す。この実施形態では、合成される鎖とポリCオリゴヌクレオチドとの間の鎖間C-G二重鎖のみ、例えば、(246)及び(248)。上記のように、合成された鎖(237、238、243、245)に近接するポリCオリゴヌクレオチドは、二重鎖状態(246)及び(248)とG4状態(242)及び(244)との間の遷移、例えば、(247)及び(249)をそれぞれ可能にし、これにより、より効率的な延長反応が起こることを可能にする。
【0016】
図2Dは、ポリCオリゴヌクレオチドが反応混合物の成分として溶液中に付与される実施形態を示す。図2Dの上のパネルには、開始剤(250)を有し、ポリCオリゴヌクレオチドのない合成支持体(206)が示されている。鎖内G4構造、例えば、(255)及び(256)が形成し始める時点までの標的ポリヌクレオチドの合成(252)後、複数の延長工程を、ポリCオリゴヌクレオチド(254)を含有する反応混合物中で行うことができる。スタンド(stands)(258)及び(259)について示されるように、溶液中のポリCオリゴヌクレオチドは、そうでなければG4構造に寄与するであろうポリGセグメントと二重鎖を形成する。
【0017】
DNAの鋳型フリー酵素合成
一般に、鋳型フリー(又は同等に、「鋳型非依存性」)の酵素的なDNA合成又はRNA合成の方法は、図1に示すように、各サイクルにおいて所定のヌクレオチドが開始剤又は成長鎖にカップリングされる工程の反復サイクルを含む。ポリヌクレオチドの鋳型フリー酵素合成の一般的な要素は、以下の参考文献、すなわち、Ybertら、国際特許公開第2015/159023号、Ybert他、国際特許公開第2017/216472号、Hyman、米国特許第5436143号、Hiattら、米国特許第5763594号、Jensenら、Biochemistry,57:1821-1832(2018)、Mathewsら、Organic&Biomolecular Chemistry,DOI:0.1039/c6ob01371f(2016)、Schmitzら、Organic Lett.,1(11):1729-1731(1999)、に記載されている。
【0018】
開始剤ポリヌクレオチド(100)は、例えば、遊離3’-ヒドロキシル基(130)を有する固体支持体(120)に結合して付与される。開始剤ポリヌクレオチド(100)(又は後続のサイクルにおける伸長開始剤ポリヌクレオチド)に対して、開始剤ポリヌクレオチド(100)(又は伸長開始剤ポリヌクレオチド)の3’末端への3’-O-保護-NTPの酵素的取り込みに有効な条件下(140)で、通常はDNA合成のために、3’-O-保護-dNTP又は3’-O-保護-rNTP及び鋳型フリーポリメラーゼ、例えば、TdT又はそのバリアント(例えば、Ybertら、国際公開第2017/216472号、Championら、国際公開第2019/135007号)を、あるいは、通常はRNA合成のために、ポリAポリメラーゼ(PAP)又はポリUポリメラーゼ(PUP)又はそのバリアント(例えば、Heinischら、国際公開第2021/018919号)を添加する。この反応は、3’-ヒドロキシルが保護されている伸長開始剤ポリヌクレオチドを生成する(106)。伸長配列が完了していない場合、追加の別のサイクルが実施される(108)。伸長開始剤ポリヌクレオチドが競合配列を含む場合、3’-O-保護基を除去又は脱保護することができ、所望の配列を元の開始剤ポリヌクレオチドから切断することができる(110)。そのような切断は、様々な一本鎖切断技術のいずれかを使用して、例えば、元の開始剤ポリヌクレオチド内の所定の位置に切断可能なヌクレオチドを挿入することによって行うことができる。例示的な切断可能なヌクレオチドは、ウラシルDNAグリコシラーゼによって切断されるウラシルヌクレオチドであり得る。伸長開始剤ポリヌクレオチドが完了した配列を含まない場合、3’-O-保護基を除去して遊離3’-ヒドロキシルを露出させ(103)、伸長開始剤ポリヌクレオチドをヌクレオチド付加及び脱保護の別のサイクルに供する。
【0019】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチド又はヌクレオシドの3’-ヒドロキシルなどの特定の基に関して「保護された」及び「ブロック」という用語は互換的に使用され、化学的又は酵素的プロセス中の基への化学的変化を防ぐ、特定の基に共有結合している部分を意味することを意図している。指定された基がヌクレオシド三リン酸の3’-ヒドロキシル、又は3’保護(又はブロック)ヌクレオシド三リン酸が組み込まれた延長断片(又は「延長中間体」)であるときはいつでも、防止された化学変化は、酵素的カップリング反応による延長断片(又は「延長中間体」)のさらなる又はその後の延長である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「開始剤」(又は同等の用語、例えば、「開始断片」、「開始剤核酸」、「開始剤オリゴヌクレオチド」など)は、その末端に遊離3’-ヒドロキシルを有する短いオリゴヌクレオチド配列を指し、これは、TdTなどの鋳型フリーポリメラーゼによってさらに伸長することができる。一実施形態では、開始断片はDNA開始断片である。代替的な実施形態では、開始断片はRNA開始断片である。いくつかの実施形態では、開始断片は、3~100ヌクレオチド、特に3~20ヌクレオチドを有し、これらはすべて又は部分的にポリCであり得る。いくつかの実施形態では、開始断片は一本鎖である。代替的な実施形態では、開始断片は二本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、開始剤オリゴヌクレオチドは、その5’末端を介して合成支持体に結合され得、他の実施形態では、開始剤オリゴヌクレオチドは、例えば、共有結合を介して合成支持体に直接結合している相補的オリゴヌクレオチドと二重鎖を形成することによって、合成支持体に間接的に結合し得る。いくつかの実施形態では、合成支持体は、平面状固体の不連続部位であり得るか、又はビーズであり得る固体支持体である。
【0021】
いくつかの実施形態では、開始剤は、TdTが3’-O-保護dNTPを結合し得る遊離ヒドロキシルを有する非核酸化合物、例えば、Baiga、米国特許出願公開第2019/0078065号及び米国特許出願公開第2019/0078126号を含み得る。
【0022】
ポリC含有開始剤が結合する合成支持体は、ポリマー、ビーズ又はミクロスフェアなどの多孔質又は非多孔質固体、ガラススライド、膜などの平面などを含み得る。いくつかの実施形態では、固体支持体又は合成支持体は、磁気ビーズ、アガロースなどの粒子系樹脂などを含み得る。
【0023】
合成支持体としては、ポリエチレングリコール(PEG)支持体、デンドリマー支持体などを含むポリマー支持体などの可溶性支持体、ポリスチレン粒子、Dynabeadsなどの非膨潤性固体支持体、アガロースを含む樹脂又はゲルなどの膨潤性固体支持体が挙げられるが、これらに限定されない。合成支持体はまた、フィルタープレートのフィルター膜などの反応チャンバの一部を形成してもよい。可溶性支持体を選択するための指針は、参考文献、Bonoraら、Nucleic Acids Research,212(5):1213-1217(1993)、Dickersonら、Chem.Rev.102:3325-3344(2002)、Fishmanら、J.Org.Chem.,68:9843-9846(2003)、Gavertら、Chem.Rev.97:489-509(1997);Shchepinovら、Nucleic Acids Research,25(22):4447-4454(1997)、及び同様の参考文献に見出される。固体支持体を選択するための指針は、Brownら、Synlett 1998(8):817-827、Maetaら、米国特許第9045573号、Beaucage and Iyer,Tetrahedron,48(12):2223-2311(1992)などに見出される。オリゴヌクレオチドを固体支持体に結合させるための指針は、Arndt-Jovinら、Eur.J.Biochem.,54:411-418(1975)、Ghoshら、Nucleic Acids Research,15(13):5353~5372(1987)、Integrated DNA Technologies,‘‘Strategies for attaching oligonucleotides to solid support,’’2014(v6)、Gokmenら、Progress in Polymer Science 37:365-405(2012)、及び同様の参考文献に見出される。
【0024】
いくつかの実施形態では、固相支持体は、典型的には、樹脂又はゲルの形態の多孔質ビーズ又は粒子で構成される。多数の材料が、ポリヌクレオチドの合成のための固相支持体として適している。本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、「微小粒子」又は「ナノ粒子」又は「ビーズ」又は「マイクロビーズ」又は「ミクロスフィア」を含むが、これらに限定されない。本発明において有用な粒子又はビーズとしては、例えば、直径1から300ミクロン、又は直径20から300ミクロン、又は直径30から300ミクロンのビーズ、又は直径300ミクロン超のビーズが挙げられる。ポリC含有開始剤を含む粒子は、ガラス、プラスチック、ポリスチレン、樹脂、ゲル、アガロース、セファロース、及び/又は他の適切な材料で作製することができる。特に興味深いのは、多孔性樹脂粒子又はビーズ、例えば、アガロースビーズである。例示的なアガロース粒子としては、Sepharose(商標)ビーズが挙げられる。いくつかの実施形態では、40~165μmの範囲の直径を有する臭化シアン活性化4%架橋アガロースビーズを、本発明の方法で使用するためにポリC含有開始剤を用いて誘導体化することができる。他の実施形態では、200~300μmの範囲の直径を有する臭化シアン活性化6%架橋アガロースビーズを本発明の方法に使用することができる。後者の2つの実施形態では、5’-アミノリンカーを有するポリC含有オリゴヌクレオチド開始剤は、本発明に使用するためにSepharose(商標)ビーズにカップリングされ得る。アガロースビーズのための他の望ましいリンカーとしては、チオール及びエポキシリンカーが挙げられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ポリC含有開始剤を用いて誘導体化された多孔性樹脂支持体は、少なくとも10nm、又は少なくとも20nm、又は少なくとも50nmの平均孔径を有する。他の実施形態では、そのような多孔性樹脂支持体は、10nmから500nmの範囲又は50nmから500nmの範囲の平均孔径を有する。
いくつかの実施形態では、ポリC含有開始剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHorganら、国際公開第2020/020608号に記載されているように、試薬のインクジェット送達を介して、オリゴヌクレオチドの大規模並列合成のために平面支持体に結合される。いくつかの実施形態では、そのような平面支持体は、保護された3’-ヒドロキシルを有するポリC含有開始剤の均一なコーティングを含み、例えば、別個の反応部位は、別個の位置に脱保護溶液を送達することによって画定され得る。他の実施形態では、このような平面支持体は、各々がポリC含有開始剤を含有する一連の不連続な反応部位を含み、これは、例えば、Brennan、米国特許第5474796号、Peckら、米国特許第10384189号、Indermuhleら、米国特許第10669304号、Fixeら、Materials Research Society Symposium Proceedings。Volume 723,Molecularly Imprinted Materials-Sensors and Other Devices.Symposia(サンフランシスコ、カリフォルニア州、2002年4月2~5日)、又は同様の参考文献のフォトリソグラフィ法によって形成することができる。
【0026】
合成が完了した後、所望のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、切断によって開始剤及び固体支持体から放出され得る。多種多様な切断可能な結合又は切断可能なヌクレオチドがこの目的のために使用され得る。いくつかの実施形態では、所望のポリヌクレオチドを切断すると、切断された鎖上に天然の遊離5’-ヒドロキシルが残るが、代替の実施形態では、切断工程は、後続の工程で、例えば、ホスファターゼ処理によって除去され得る部分、例えば、5’-リン酸を残し得る。切断工程は、化学的、熱的、酵素的又は光化学的方法によって実施され得る。いくつかの実施形態では、切断可能なヌクレオチドは、特定のグリコシラーゼ(例えば、それぞれ、ウラシルデオキシグリコシラーゼとそれに続くエンドヌクレアーゼVIII及び8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ)によって認識されるデオキシウリジン又は8-オキソ-デオキシグアノシンなどのヌクレオチド類似体であり得る。いくつかの実施形態では、切断は、最後から2番目の3’ヌクレオチドであるデオキシイノシンを開始剤に付与することによって達成され得、これは、開始剤の3’末端でエンドヌクレアーゼVによって切断され、放出されたポリヌクレオチド上に5’-リン酸を残し得る。一本鎖ポリヌクレオチドを切断するためのさらなる方法は、参照により組み込まれる以下の参考文献、すなわち、米国特許第5,739,386号、同第5,700,642号、同第5,830,655号、及び米国特許出願公開第2003/0186226号及び同第2004/0106728号、及びUrdea及びHornの米国特許第5367066号に開示されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、グリコシラーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼによる切断は、二本鎖DNA基質を必要とし得る。
【0028】
図1に戻ると、いくつかの実施形態では、各合成工程において、3’-O-保護されたNTPの存在下で、TdTなどの鋳型フリーポリメラーゼを使用して、並べられた一連のヌクレオチドを開始剤核酸にカップリングさせる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドを合成する方法は、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有する開始剤を付与する工程(100)と、(b)3’-O-保護ヌクレオシド三リン酸の存在下、延長条件下で開始剤又は遊離3’-ヒドロキシルを有する延長中間体を鋳型フリーポリメラーゼと反応させて(104)、3’-O-保護延長中間体を生成する工程(106)と、(c)延長中間体を脱保護して、遊離3’-ヒドロキシルを有する延長中間体を生成する工程(108)と、(d)ポリヌクレオチドが合成されるまで工程(b)及び(c)を繰り返す工程(110)とを含む(「延長中間体」及び「伸長断片」という用語は互換的に使用される場合がある)。いくつかの実施形態では、開始剤は、例えば、その5’末端を介して固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドとして付与される。上記の方法はまた、各反応又は延長工程の後、並びに各脱保護工程の後に洗浄工程を含み得る。例えば、反応させる工程は、所定のインキュベーション期間又は反応時間を経た後に、例えば、洗浄によって、組み込まれていないヌクレオシド三リン酸を除去するサブ工程を含み得る。そのような所定のインキュベーション期間又は反応時間は、典型的には、数秒、例えば、30秒から数分、例えば、30分であり得る。
【0029】
合成支持体上のポリヌクレオチドの配列が逆相補部分配列を含む場合、逆相補領域相互間の水素結合の形成によって二次分子内構造又は交差分子構造が作り出され得る。いくつかの実施形態では、環外アミンのための塩基保護部分は、保護された窒素の水素が水素結合に関与することができず、それにより、そのような二次構造の形成が妨げられるように選択される。すなわち、塩基保護部分は、通常の塩基対形成において形成されるような、例えば、ヌクレオシドAとTとの間及びヌクレオシドGとCとの間の水素結合の形成を防止するために使用され得る。合成の終わりに、塩基保護部分は除去され得、ポリヌクレオチド生成物は、固体支持体から、例えば、その開始剤から切断することによって切断され得る。
【0030】
塩基保護基を有する3’-O-ブロックNTPモノマーを形成することに加えて、熱安定性鋳型フリーポリメラーゼを使用して高温で伸長反応を行うことができる。例えば、40℃超で活性を有する熱安定性鋳型フリーポリメラーゼを使用することができ、又は、いくつかの実施形態では、40~85℃の範囲で活性を有する熱安定性鋳型フリーポリメラーゼを使用することができ、又は、いくつかの実施形態では、40~65℃の範囲で活性を有する熱安定性鋳型フリーポリメラーゼを使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、伸長条件は、水素結合又は塩基スタッキングを阻害する溶媒を伸長反応混合物に添加することを含み得る。このような溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノールなどの低誘電率の水混和性溶媒が挙げられる。同様に、いくつかの実施形態では、伸長条件は、n-ブタノール、エタノール、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、2-プロパノール、ドデシル硫酸ナトリウム、チオ尿素、尿素などを含むがこれらに限定されないカオトロピック剤を付与することを含み得る。いくつかの実施形態では、伸長条件は、二次構造抑制量のDMSOの存在を含む。いくつかの実施形態では、伸長条件は、二次構造の形成を阻害するDNA結合タンパク質を付与することを含むことができ、かかるタンパク質としては、一本鎖結合タンパク質、ヘリカーゼ、DNAグリコラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
塩基が保護されていない3’-O-ブロック化dNTPは、商業的供給業者から購入することができ、又は公開されている技術、例えば、米国特許第7057026号、Guoら、Proc.Natl.Acad.Sci.,105(27):9145-9150(2008)、Benner、米国特許第7544794号及び同第8212020号、国際特許公開第2004/005667号、国際特許公開第91/06678号、Canardら、Gene(本明細書で引用)、Metzkerら、Nucleic Acids Research,22:4259-4267(1994)、Mengら、J.Org.Chem.,14:3248-3252(3006)、米国特許公開第2005/037991号を用いて合成することができる。塩基が保護された3’-O-ブロック化dNTPは、以下に記載されるように合成することができる。
【0033】
塩基が保護されたdNTPが使用される場合、図1の方法は、塩基保護部分を除去する工程(e)をさらに含み得、アシル又はアミジン保護基の場合、(例えば、)濃アンモニアで処理することを含み得る。
【0034】
上記の方法はまた、反応工程又は延長工程の後の洗浄工程に加えて、1つ以上のキャッピング工程を含んでいてもよい。第1のキャッピング工程は、部分的に合成されたポリヌクレオチド上の未反応の3’-OH基をキャッピングするか、又はさらなる延長に対して不活性にしてもよい。このようなキャッピング工程は、通常、カップリング工程の後に実施され、キャッピング化合物が使用されるときはいつでも、成長する鎖にカップリングしたばかりのモノマーの保護基と反応しないように選択される。いくつかの実施形態では、そのようなキャッピング工程は、部分的に合成されたポリヌクレオチドをさらなるカップリング、例えば、TdTとのカップリングが不可能にするキャッピング化合物を(例えば、第2の酵素カップリング工程によって)カップリングすることによって実施され得る。そのようなキャッピング化合物は、ジデオキシヌクレオシド三リン酸であり得る。他の実施形態では、遊離3’-ヒドロキシルを有する非延長鎖は、それらを3’-エキソヌクレアーゼ活性、例えば、Exo Iで処理することによって分解され得、例えば、Hymanの米国特許第5436143号を参照されたい。同様に、いくつかの実施形態では、デブロッキングに失敗した鎖を処理して、鎖を除去するか、又はさらなる延長に対して不活性にすることができる。影響を受けたストランドをその後の任意の3’-O保護基又はブロッキング基のカップリング又は脱保護から不活性にするために、脱保護工程の後に第2のキャッピング工程を実施することができる。そのような第2のキャッピング工程のキャッピング化合物は、存在し得る遊離3’-ヒドロキシルと反応しないように選択される。いくつかの実施形態では、そのような第2のキャッピング化合物は、アルデヒド基と疎水性基とのコンジュゲートであり得る。後者の基は、疎水性に基づく分離を可能にする、例えば、Andrus、米国特許第5047524号。
【0035】
伸長工程(延長工程又はカップリング工程とも呼ばれる)の例示的な反応条件は、以下、2.0~20μMの精製TdT、125~600μMの3’-O-ブロック化dNTP(例えば、3’-O-NH-ブロック化dNTP)、約10から約500mMのカコジル酸カリウム緩衝液(6.5~7.5のpH)、及び約0.01から約10mMの二価カチオン(例えば、CoCl又はMnCl)、を含み、ここで、伸長反応は、50μLの反応容積中、室温から45℃の範囲内の温度で3~5分間実施され得る。3’-O-ブロック化dNTPが3’-O-NH-ブロック化dNTPである実施形態では、デブロッキング工程のための反応条件は、以下、700~1500mMのNaNO、500~1000mMの酢酸ナトリウム(酢酸を用いて4.8~6.5の範囲のpHに調整)を含み得、ここで、デブロッキング化反応は、50μLの容積中、室温から45℃の範囲内の温度で、30秒から数分間実施され得る。カップリング反応の成分(例えば、酵素、モノマー、二価カチオン)を含まないカコジル酸緩衝液を用いて洗浄を行うことができる。
【0036】
特定の用途に応じて、デブロッキング及び/又は切断の工程は、様々な化学的又は物理的条件、例えば、光、熱、pH、特定の試薬、例えば、特定の化学結合を切断することができる酵素、の存在を含み得る。3’-O-ブロッキング基及び対応するデブロッキング条件を選択する際の指針は、参照により組み込まれる以下の参考文献、すなわち、Benner、米国特許第7544794号及び同第8212020号、米国特許第5808045号、米国特許第8808988号、国際特許公開第91/06678号、及び以下に引用される参考文献に見出すことができる。いくつかの実施形態では、切断剤(デブロッキング試薬又はデブロッキング剤と呼ばれることもある)は、例えば、ジチオスレイトール(DTT)などの化学的切断剤である。代替の実施形態では、切断剤は、3’-リン酸ブロッキング基を切断し得る、例えば、ホスファターゼなどの酵素切断剤であり得る。デブロッキング剤の選択は、使用される3’-ヌクレオチドブロッキング基の種類、1つ又は複数のブロッキング基が使用されているかどうか、開始剤が生細胞若しくは生物に結合しているのか又は固体支持体に結合しているのかどうかなどに依存し、穏やかな処理を必要とすることを当業者であれば理解するであろう。例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などのホスフィンを使用して3’O-アジドメチル基を切断することができ、パラジウム錯体を使用して3’O-アリル基を切断することができ、又は亜硝酸ナトリウムを使用して3’O-アミノ基を切断することができる。特定の実施形態では、切断反応は、TCEP、パラジウム錯体又は亜硝酸ナトリウムを含む。
【0037】
上述したように、いくつかの実施形態では、直交デブロッキング条件を使用して除去することができる2つ以上のブロッキング基を使用することが望ましい。以下の例示的なブロッキング基の対は、並列合成の実施形態で使用することができる。本発明のこれらの実施形態で使用するために、他のブロッキング基対、又は3つ以上を含む基が利用可能であり得ることが理解される。
【0038】
生細胞上でオリゴヌクレオチドを合成するには、穏やかなデブロック又は脱保護条件、すなわち、細胞膜を破壊せず、タンパク質を変性させず、重要な細胞機能を妨害しない条件などが求められる。いくつかの実施形態では、脱保護条件は、細胞生存に適合する生理学的条件の範囲内である。そのような実施形態では、酵素的脱保護は、生理学的条件下で行われ得ることから望ましい。いくつかの実施形態では、特定の酵素的に除去可能なブロッキング基は、それらの除去のために特定の酵素と会合する。例えば、エステル系又はアシル系ブロッキング基は、アセチルエステラーゼなどのエステラーゼ又は同様の酵素で除去することができ、リン酸ブロッキング基は、T4ポリヌクレオチドキナーゼなどの3’ホスファターゼで除去することができる。例として、3’-O-リン酸を、100mMのTris-HCl(pH6.5)、10mMのMgCl、5mMの2-メルカプトエタノール、及び1ユニットのT4ポリヌクレオチドキナーゼの溶液による処理によって除去することができる。反応は37℃の温度で1分間進行する。
【0039】
いくつかの実施形態では、3’-O-ブロッキング基は、3’-O-アジドメチル、3’-O-NH、3’-O-アリルを含み、いくつかの実施形態では、ブロッキング基は、3’-O-メチル、3’-O-(2-ニトロベンジル)、3’-O-アリル、3’-O-アミン、3’-O-アジドメチル、3’-O-tert-ブトキシエトキシ、3’-O-(2-シアノエチル)、3’-O-ニトロ、及び3’-O-プロパルギルを含む。他の実施形態では、3’-ブロックヌクレオチド三リン酸は、3’-O-アジドメチル又は3’-O-NHのいずれかによってブロックされる。そのような3’-ブロックヌクレオシド三リン酸の合成及び使用は、以下の参考文献、すなわち、米国特許第9410197号、同第8808988号、同第6664097号、同第5744595号、同第7544794号、同第8034923号、同第8212020号、同第10472383号、Guoら、Proc.Natl.Acad.Sci.,105(27):9145-9150(2008)、及び同様の参考文献に開示されている。
【0040】
特定の用途に応じて、デブロッキング及び/又は切断の工程は、様々な化学的又は物理的条件、例えば、光、熱、pH、特定の試薬、例えば、特定の化学結合を切断することができる酵素、の存在を含み得る。3’-O-ブロッキング基及び対応するデブロッキング条件の選択の指針は、Wuts,Green’s Protection Groups in Organic Chemistry,5th Edition(Wiley 2014)などの参考文献に見出すことができる。いくつかの実施形態では、切断剤(デブロッキング試薬又はデブロッキング剤と呼ばれることもある)は、例えば、ジチオスレイトール(DTT)などの化学的切断剤である。代替の実施形態では、切断剤は、3’-リン酸ブロッキング基を切断し得る、例えば、ホスファターゼなどの酵素切断剤であり得る。デブロッキング剤の選択は、使用される3’-ヌクレオチドブロッキング基の種類、1つ又は複数のブロッキング基が使用されているかどうか、開始剤が生細胞若しくは生物に結合しているのか又は固体支持体に結合しているのかどうかなどに依存し、穏やかな処理を必要とすることを当業者であれば理解するであろう。例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などのホスフィンを使用して3’O-アジドメチル基を切断することができ、パラジウム錯体を使用して3’O-アリル基及び3’-O-プロパルギル基を切断することができ、又は亜硝酸ナトリウムを使用して3’O-アミノ基を切断することができる。
【0041】
RNAの鋳型フリー酵素合成
本発明の方法は、RNAの酵素合成を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、鋳型フリーポリメラーゼとしてポリ(A)ポリメラーゼ(PAP)又はポリ(U)ポリメラーゼを使用する図1に記載の工程を含む。いくつかの実施形態では、3’-O-可逆的保護rNTP前駆体を使用してポリリボ核酸を合成するために、PAP及び/又はPUPが使用され、単一のPUP又はPAPバリアントは、すべてのリボヌクレオシド三リン酸モノマーをカップリングするために使用することができ、又は代替の実施形態において使用することができる。いくつかの実施形態では、特定のRNAの合成において異なる種類のリボヌクレオシド三リン酸モノマーをカップリングするために、異なるPUP及びPAPを使用することができる。同様に、他の実施形態では、PAP及び/又はPUPを使用して、3’-O-可逆的保護dNTP前駆体を使用してポリデオキシリボ核酸を合成することができ、ここで、単一のPUP又はPAPが、すべてのデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)モノマーをカップリングするために使用され、又は代替の実施形態では、異なるPUP及びPAPポリメラーゼが、異なる種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸モノマーをカップリングするために使用することができる。RNA合成のためのいくつかの実施形態では、デオキシリボヌクレオチドについて上述したのと同じ3’-O-可逆的保護基をリボヌクレオチドモノマーと共に使用することもできる。RNA合成のためのいくつかの実施形態では、上記3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸は、3’-O-アジドメチル-リボヌクレオシド三リン酸である。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、以下に記載されるように、3’-O-ブロックリボヌクレオシド三リン酸及び3’-O-ブロック-2’-デオキシリボヌクレオシド三リン酸を合成において成長中のポリヌクレオチド鎖にカップリングする効率を改善するために遺伝子工学によって改変されたPAP及び/又はPUPバリアントを使用することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、所定の配列のオリゴリボヌクレオチドを合成する方法は、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有する開始剤を付与する工程と、(b)3’-O-ブロックリボヌクレオシド三リン酸の存在下、伸長条件下で開始剤又は遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片をPAP又はPUPと反応させて、3’-O-ブロック伸長断片を生成する工程と、(c)伸長断片をデブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を生成する工程と、(d)所定の配列のポリリボヌクレオチドが合成されるまで工程(b)及び(c)を繰り返す工程とを含み、ここで、開始剤又は伸長断片を伸長させるための反応混合物が、ポリヌクレオチドと二重鎖を形成することができるポリCオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、開始剤はそれぞれ、ポリCオリゴヌクレオチドからなるセグメントを含む。他の実施形態では、最終的に開始剤に加えて、それに結合したポリCオリゴヌクレオチドを有する合成支持体が提供される。さらに他の実施形態では、ポリCオリゴヌクレオチドは、G4構造形成が起こる可能性が高い選択された伸長サイクルのための伸長反応混合物の成分として溶液中に付与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、上記のように、開始剤は、例えば、その5’末端を介して固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドとして付与される。上記の方法はまた、反応工程又は延長工程の後、並びにデブロッキング工程の後に洗浄工程を含んでいてもよい。例えば、反応させる工程は、所定のインキュベーション期間又は反応時間を経た後に、例えば、洗浄によって、組み込まれていないリボヌクレオシド三リン酸を除去するサブ工程を含み得る。そのような所定のインキュベーション期間又は反応時間は、数秒、例えば、30秒から数分、例えば、30分であり得る。
【0044】
上記の方法はまた、反応工程又は延長工程の後、並びにデブロッキング工程の後に、洗浄工程だけでなくキャップ工程を含んでいてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、非延長遊離3’-ヒドロキシルを、キャップされた鎖のさらなる延長を防止する化合物と反応させるキャップ工程を含めることができる。いくつかの実施形態では、そのような化合物は、ジデオキシヌクレオシド三リン酸であり得る。他の実施形態では、遊離3’-ヒドロキシルを有する非延長鎖は、それらを3’-エキソリボヌクレアーゼ活性、例えば、RNase R(Epicentre)で処理することによって分解され得る。同様に、いくつかの実施形態では、デブロッキングに失敗した鎖を処理して、鎖を除去するか、又はさらなる延長に対して不活性にすることができる。
【0045】
PAP又はPUPを使用する延長又は伸長工程のための例示的な反応条件は、以下を含む。反応条件1(プライマー+AM-rATPについて):250uMのAM-rATP、0.1uMのATTO488-(rA)5、1uMのPAP、1×ATP緩衝液(20mMのTris-HCl、0.6mMのMnCl2、0.02mMのEDTA、0.1%BSA、10%グリセロール、100mMのイミダゾール、pH7~8)、37C、30分。反応条件2(プライマー+AM-rGTPについて):250uMのrGTP、0.1uMのATTO488-(rA)5、1uMのPAP、1×GTP緩衝液(0.6mMMnCl、0.1%BSA、10mMのイミダゾール、pH6)、37C、30分。前述において、「AM-rNTP」は3’-O-アジドメチル-リボヌクレオシド三リン酸を指す。
【0046】
ポリヌクレオチド合成のための鋳型フリーポリメラーゼ
様々な異なる鋳型フリーポリメラーゼが、本発明の方法における使用のために利用可能である。鋳型フリーポリメラーゼとしては、例えば、以下の参考文献、すなわち、Ybertら、国際特許公開第2017/216472号、Championら、米国特許第10435676号、Championら、国際公開第2020/099451号、Heinischら、国際特許公開第2021/018919号に記載されている、polXファミリーポリメラーゼ(DNAポリメラーゼβ、λ及びμを含む)、ポリ(A)ポリメラーゼ(PAP)、ポリ(U)ポリメラーゼ(PUP)、DNAポリメラーゼθなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)及びそのバリアントは、鋳型フリーDNA合成に有用であり、PAP及びPUP及びそのバリアントは、鋳型フリーRNA合成に有用である。
【0047】
いくつかの実施形態では、3’-O-修飾ヌクレオシド三リン酸に関して増加した取り込み活性を示すTdTバリアントを本発明で使用する。例えば、そのようなTdTバリアントは、参照によって本明細書中に組み込まれるChampionらの米国特許第10435676号に記載される技術を使用して作製することができる。いくつかの実施形態では、配列番号7~20(両端を含む)及び配列番号24~39(両端を含む)のいずれかのアミノ酸配列を有するTdTと少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有し、1つ以上の表1に列挙される置換を有するTdTバリアントが使用され、ここで、TdTバリアントは、(i)鋳型なしで核酸断片を合成することができ、(ii)核酸断片の遊離3’-ヒドロキシルに3’-O-修飾ヌクレオチドを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、上記のTdTバリアントは、表1に列挙されたすべての位置に置換を含む。いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも85%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも90%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも95%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも97%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも98%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも99%の同一性である。本明細書で使用される場合、参照配列をバリアント配列と比較するために使用される同一性パーセント値は、バリアント配列の置換を含む明示的に指定されたアミノ酸位置を含まない。すなわち、同一性パーセントの関係は、参照タンパク質の配列と、バリアントタンパク質の、そのバリアント中の置換を含む明示的に指定された位置を除く配列との間のものである。したがって、例えば、参照配列及びバリアント配列がそれぞれ100個のアミノ酸を含み、バリアント配列が25及び81の位置に変異を有する場合、パーセント相同性は配列1~24、26~80及び82~100に関するものとなる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明のTdTバリアントは、配列番号40~75(両端を含む)から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列、及び表1に列挙される1つ以上の置換を含むTdTに由来し、ここで、TdTバリアントは、(i)鋳型なしで核酸断片を合成することができ、(ii)核酸断片の遊離3’-ヒドロキシルに3’-O-修飾ヌクレオチドを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、上記のTdTバリアントは、表2に列挙されたすべての位置に置換を含む。いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも85%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも90%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも95%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも97%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも98%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも99%の同一性である。上記のように、参照配列をバリアント配列と比較するために使用される同一性パーセント値は、バリアント配列の置換を含む明示的に指定されたアミノ酸位置を含まない。すなわち、同一性パーセントの関係は、参照タンパク質の配列と、バリアントタンパク質の、そのバリアント中の置換を含む明示的に指定された位置を除く配列との間のものである。
【0049】
配列番号40~54(56、59、61、63、65、67、69、70、73及び74を含む)のTdTバリアントは、4位(又は機能的に等価な位置)のグルタミンの安定化置換に加えて、表2に列挙されるように、示された1つ以上のアミノ酸位置に置換を含む。他の実施形態では、本発明のTdTバリアントは、表2に列挙されるものなどの天然TdTに由来し、4位のグルタミンの安定化置換に加えて、1つおきの示されたアミノ酸位置に置換を有する。いくつかの実施形態では、グルタミンに置換されたそのような安定化アミノ酸は、E、S、D及びNからなる群から選択される。他の実施形態では、安定化アミノ酸はEである。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用するためのさらなるTdTバリアントは、表2に示すように、メチオニン、システイン、アルギニン(第1位)、アルギニン(第2位)又はグルタミン酸の1つ以上の置換を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、配列番号55、57、58、60、62、64、66、68、71、72、及び75から112(両端を含む)のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むTdTバリアントもまた、本発明に使用され得る。
【0052】
配列番号7~112のTdTバリアントに関して、いくつかの実施形態では、3’-O-修飾ヌクレオチドは、3’-O-NH-ヌクレオシド三リン酸、3’-O-アジドメチル-ヌクレオシド三リン酸、3’-O-アリル-ヌクレオシド三リン酸、3’O-(2-ニトロベンジル)-ヌクレオシド三リン酸、又は3’-O-プロパルギル-ヌクレオシド三リン酸を含み得る。
【0053】
3’-O-保護rNTP(3’-O-アジドメチルなどの特定の保護基を含む)のより高い取り込み速度、より大きな安定性及び貯蔵寿命、熱安定性、溶解度などの改善された特性のために操作されたPAPバリアントを含む、多種多様なPAPを本発明の方法に使用することができる。特に、M310(配列番号1)に変異を有する酵母PAP、又は他のPAPにおける機能的に等価な残基、例えば、種々の異なる種に由来するPAPは、野生型PAPと比較して3’-O-保護rNTPの取り込みの改善を示す。いくつかの実施形態では、本発明の酵母PAPバリアントは、M310における置換を除いて配列番号1のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、そのような置換は、M310F/Y/V/E/Tから選択される。特に、置換M310F/Yは、3’-O-アミノ-rATPの取り込みを可能にし、置換M310V/E/Tは、3’-O-保護rGTPの取り込み速度を改善する。他の実施形態では、本発明の酵母PAPバリアントは、M310における置換を除いて配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0054】
本発明で使用するためのPAPバリアントとしては、下記の表3に列挙されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明のPAPバリアントは、表3に示される第2位に少なくとも1つの置換を含む。他の実施形態では、本発明のPAPバリアントの実施形態は、表3に示される第1位に少なくとも1つの置換を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、表3に示されるような第1位における置換は、A又はGである(したがって、例えば、配列番号113について、置換はV234A/Gと書くことができる)。いくつかの実施形態では、表3に示されるような第2位における置換は、F、Y、V、E又はTである(したがって、例えば、配列番号113について、置換はM310F/Y/V/E/Tと書くことができる)。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明のPAPバリアントは、表3の置換の1つ以上を有し、示された配列番号と少なくとも80%の同一性を有し、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも90%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも95%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも97%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも98%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも99%の同一性である。
【0057】
いくつかの実施形態では、合成されるRNA又はDNA中の二次構造の形成を低減又は排除する温度で方法が実施され得るように、熱安定性PAPが使用される。いくつかの実施形態では、熱安定性PAPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は40℃より高い。いくつかの実施形態では、熱安定性PAPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は、50℃より高い。いくつかの実施形態では、熱安定性PAPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は、40℃~85℃である。いくつかの実施形態では、熱安定性PAPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は、50℃~85℃の間である。
【0058】
PAPと同様に、3’-O-保護-rNTPのより高い取り込み速度(3’-O-アジドメチルなどの特定の保護基を含む)、より大きな安定性及び貯蔵寿命、熱安定性、溶解度などの改善された特性のために操作されたPUPバリアントを含む、多種多様なPUPを本発明の方法に使用することができる。本発明で使用するためのPUPバリアントには、以下の表4に列挙されるものが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明のPUPバリアントは、表4に示される第1位に少なくとも1つの置換を含む。他の実施形態では、本発明のPUPバリアントの実施形態は、表4に示される第2位に少なくとも1つの置換を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、表4に示されるような第1位における置換は、A又はGである(したがって、例えば、配列番号136について、置換はY212A/Gと書くことができる)。いくつかの実施形態では、表4に示されるような第2位における置換は、F、Y、V、E又はTである(したがって、例えば、配列番号4について、置換は、H336F/Y/V/E/Tと書くことができる)。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明のPUPバリアントは、表4の置換の1つ以上を有し、示された配列番号と少なくとも80%の同一性を有し、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも90%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、示された配列番号と少なくとも95%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも97%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも98%の同一性であり、いくつかの実施形態では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも99%の同一性である。
【0061】
いくつかの実施形態では、合成されるRNA又はDNA中の二次構造の形成を低減又は排除する温度で方法が実施され得るように、熱安定性PUPが使用される。いくつかの実施形態では、熱安定性PUPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は40℃より高い。いくつかの実施形態では、熱安定性PUPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は50℃より高い。いくつかの実施形態では、熱安定性PUPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は、40℃~85℃である。いくつかの実施形態では、熱安定性PUPについて最も高い取り込み速度が生じる温度範囲は、50℃~85℃である。
【0062】
本発明で使用するためのTdT、PAP及びPUPバリアントはそれぞれ、示された置換が存在することを条件として、特定の配列番号と配列同一性パーセントを有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この様式で記載される本発明のバリアントと指定された配列番号との間の配列の相違の数及び種類は、置換、欠失及び/又は挿入によるものであり得、置換、欠失及び/又は挿入されたアミノ酸は、任意のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような欠失、置換及び/又は挿入は、天然に存在するアミノ酸のみを含む。いくつかの実施形態では、置換は、Grantham,Science,185:862-864(1974)に記載されているように、保存的アミノ酸変化又は同義語アミノ酸変化のみを含む。すなわち、アミノ酸の置換は、その同義アミノ酸のセットのメンバーの間でのみ起こり得る。いくつかの実施形態では、使用され得る同義アミノ酸のセットを表5Aに示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、使用され得る同義語アミノ酸のセットを表5Bに示す。
本発明で使用するためのTdT、PAP及びPUPバリアントは、従来のバイオテクノロジー技術によって製造され、N末端、C末端又は鋳型フリーポリメラーゼの内部位置に結合され得る、精製のためのアフィニティタグを含み得る。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、鋳型フリーポリメラーゼが使用される前に切断される。他の実施形態では、アフィニティタグは、使用前に切断されない。いくつかの実施形態では、ペプチドアフィニティタグは、TdTバリアントのループ2領域に挿入される。本発明のTdTバリアントと共に使用するための例示的なN末端Hisタグは、MASSHHHHHHSSGSENLYFQTGSSG-(配列番号6))である。ペプチドアフィニティタグを選択するための指針は、以下の参考文献、すなわち、Terpe,Appl.Microbiol.Biotechnol.,60:523-533(2003)、Arnau et al.,Protein Expression and Purification,48:1-13(2006)、Kimpleら、Curr.Protoc.Protein Sci.,73:Unit-9.9(2015)、Kimpleらによる米国特許第7309575号、Lichtyら、Protein Expression and Purification,41:98-105(2005)など、に記載されている。ペプチドアフィニティタグを選択するための指針は、以下の参考文献、すなわち、Terpe,Appl.Microbiol.Biotechnol.,60:523-533(2003)、Arnau et al.,Protein Expression and Purification,48:1-13(2006)、Kimpleら、Curr.Protoc.Protein Sci.,73:Unit-9.9(2015)、Kimpleらによる米国特許第7309575号、Lichtyら、Protein Expression and Purification,41:98-105(2005)など、に記載されている。
【0064】
ヌクレオチド組み込み活性の測定
本発明で使用されるバリアントによるヌクレオチド取り込みの効率は、例えば、Bouleら(以下に引用)、Bentolilaら(以下に引用)、及びHiattらの米国特許第5808045号(後者は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、延長又は伸長アッセイによって測定することができる。簡潔には、そのようなアッセイの一形態では、遊離3’-ヒドロキシルを有する蛍光標識オリゴヌクレオチドを、可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の存在下、延長条件下で所定の期間、TdTなどの鋳型フリーポリメラーゼと反応させ、その後、延長反応を停止させ、ゲル電気泳動による分離後に延長産物及び未延長オリゴヌクレオチドの量を定量する。このようなアッセイにより、変異型鋳型フリーポリメラーゼの取り込み効率は、他のバリアントの効率又は野生型若しくは参照ポリメラーゼの効率と容易に比較することができる。いくつかの実施形態では、鋳型フリーポリメラーゼ効率の尺度は、同等のアッセイにおいて、野生型鋳型フリーポリメラーゼ又は参照ポリメラーゼを使用した延長産物の量に対する変異型鋳型フリーポリメラーゼを使用した延長産物の量の比(パーセンテージとして与えられる)であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、以下の特定の延長アッセイを使用して、TdTsの取り込み効率を測定することができる:使用されるプライマーは以下の通りである。
5’-AAAAAAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号5)
このプライマーはまた、5’末端にATTO蛍光色素を有する。使用される代表的な修飾ヌクレオチド(表6においてdNTPとして示される)としては、3’-O-アミノ-2’、3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(-ONH、Firebird Biosciences社)、例えば、3’-O-アミノ-2’、3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸が挙げられる。試験した異なるバリアントそれぞれについて、1本のチューブを反応に使用する。試薬を、水から出発して、次いで表6の順序でチューブに添加する。37℃で30分後、ホルムアミド(Sigma)の添加によって反応を停止する。
活性緩衝液は、例えば、CoClが補充されたTdT反応緩衝液(New England Biolabsから入手可能)を含む。
【0066】
アッセイの産物を従来のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析する。例えば、上記アッセイの生成物は、16%ポリアクリルアミド変性ゲル(Bio-Rad)中で分析することができる。ゲルは、ポリアクリルアミドをガラスプレートの内側に注ぎ、それを重合させることによって分析の直前に作製される。ガラスプレート内のゲルは、電気泳動工程のためにTBE緩衝液(Sigma)が充填された適合タンクに取り付けられる。分析される試料は、ゲルの上部に載せる。室温で3から6時間、ゲルの上部と底部との間に500から2,000Vの電圧を印加する。分離後、ゲル蛍光を、例えば、Typhoonスキャナー(GE Life Sciences)を用いてスキャンする。ImageJソフトウェア(imagej.nih.gov/ij/)又はそれと同等のものを使用してゲル画像を分析して、修飾ヌクレオチドの取り込みのパーセンテージを計算する。
【0067】
鋳型フリーポリメラーゼの伸長効率は、以下のヘアピン完了アッセイでも測定することができる。そのようなアッセイでは、試験ポリヌクレオチドに、反応条件下ではそれが実質的に単なる一本鎖であるが、TdTバリアントなどのポリメラーゼによる延長時には一本鎖ループ及び二本鎖ステムを含む安定なヘアピン構造を形成するように、遊離3’ヒドロキシルが付与される。これにより、二本鎖ポリヌクレオチドの存在による3’末端の延長の検出が可能になる。二本鎖構造は、限定するものではないが、(i)二本鎖構造へのインターカレーション時に優先的に蛍光を発する蛍光色素、(ii)延長されたポリヌクレオチド上のアクセプター(又はドナー)と、新たに形成されたヘアピンステムと三重鎖を形成するオリゴヌクレオチド上のドナー(又はアクセプター)との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、(iii)双方が試験ポリヌクレオチドに結合し、ヘアピンの形成時にFRET近接するFRETアクセプター及びドナー、などを含む様々な方法で検出することができる。いくつかの実施形態では、単一ヌクレオチドによる延長後の試験ポリヌクレオチドのステム部分は、4塩基対~6塩基対長の範囲にあり、他の実施形態では、そのようなステム部分は、4から5塩基対長であり、さらに他の実施形態では、そのようなステム部分は4塩基対長である。いくつかの実施形態では、試験ポリヌクレオチドは10から20ヌクレオチドの範囲の長さを有し、他の実施形態では、試験ポリヌクレオチドは12から15ヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、延長したステムと延長していないステムとの間の融解温度の差を最大にするヌクレオチドを用いて試験ポリヌクレオチドを延長させることが有利又は好都合であるので、いくつかの実施形態では、試験ポリヌクレオチドはdC又はdGで延長される(したがって、試験ポリヌクレオチドはステム形成のための適切な相補的ヌクレオチドを有するように選択される)。
【0068】
ヘアピン完了アッセイのための例示的な試験ポリヌクレオチドとしては、dGTPで延長することによって完了するp875(5’-CAGTTAAAAACT)(配列番号2)、dCTPで延長することによって完了するp876(5’-GAGTTAAAACT)(配列番号3)、及びdGTPで延長することによって完了するp877(5’-CAGCAAGGCT)(配列番号4)が挙げられる。そのような試験ポリヌクレオチドについての例示的な反応条件は、2.5-5μMの試験ポリヌクレオチド、1:4000希釈のGelRed(登録商標)(インターカレート色素、Biotium,Inc.製、フリーモント、カリフォルニア州)、200mMのカコジル酸KOH(pH6.8)、1mMのCoCl、0~20%のDMSO並びに所望の濃度の3’-ONHdGTP及びTdTを含み得る。従来の蛍光計、例えば、ヘアピンの完了は、360nmに設定された励起フィルター及び635nmに設定された発光フィルターを使用し、28~38℃の反応温度でTECANリーダーを使用して、GelRed(登録商標)色素の蛍光の増加によってモニタリングすることができる。
【0069】
キット
本発明は、本発明の方法を実施するための様々なキットを含む。一態様では、本発明のキットは、ポリCオリゴヌクレオチドを含む開始剤が最終的には5’末端を介して結合された合成支持体を含む。いくつかの実施形態では、そのような合成支持体は、固体支持体である。さらなる実施形態では、そのような固体支持体は、多孔質粒子又は非多孔質粒子であり得る粒子を含み得る。非多孔質粒子は、例えば、磁気ビーズを含み得る。他の実施形態では、そのような粒子は、樹脂又はゲルなどの多孔質粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような樹脂はアガロース樹脂を含む。上記の実施形態のいくつかでは、固体支持体に結合した開始剤はそれぞれ、1つ以上のポリCオリゴヌクレオチドを含み、それぞれが2から30ヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、そのような固体支持体は、微小粒子、特に非多孔質微小粒子の集団である。他の実施形態では、そのような固体支持体は、多孔性微小粒子の集団である。いくつかの実施形態では、そのような多孔質微小粒子はアガロース微小粒子である。いくつかの実施形態では、そのような固体支持体は、スライドガラスなどの平面支持体である。いくつかの実施形態では、そのような平面支持体は、1つ以上のポリCオリゴヌクレオチドを含有する開始剤の均一なコーティングを有する。他の実施形態では、そのような平面支持体は、それぞれが1つ以上のポリCオリゴヌクレオチドを含有する開始剤のコーティングを含む一連の個別の反応部位を有する。いくつかの実施形態では、本発明のキットは、さらに、本明細書に記載の鋳型フリー酵素ポリヌクレオチド合成を実施するのに適した1つ以上の鋳型フリーポリメラーゼバリアントを、1つの製剤中に、又は別々に提供される場合は複数の製剤中に含む。そのようなキットはまた、3’-O-保護dNTPの成長鎖への鋳型フリーの付加又は組み込みを最適化するための反応条件を提供する、各鋳型フリーポリメラーゼバリアント用の合成緩衝液を含み得る。DNAを合成するための実施形態では、鋳型フリーポリメラーゼがTdTバリアントである。RNAを合成するための実施形態では、鋳型フリーポリメラーゼは、PAP及び/又はPUPバリアントである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明のキットは、ポリCオリゴヌクレオチド及び同じ固体支持体に結合した別個のポリCオリゴヌクレオチドを含む開始剤が5’末端を介して結合した固体支持体を含み得る。さらなる実施形態では、そのようなキットは、溶液中にポリCオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明のキットは、3’-O-可逆的保護dNTPをさらに含む。そのような実施形態では、3’-O-可逆的保護dNTPは、3’-O-アミノ-dNTP又は3’-O-アジドメチル-dNTPを含み得る。さらなる実施形態では、キットは、以下の品目、すなわち、(i)本明細書に記載の脱保護又はデブロッキング工程を実施するための脱保護又はデブロッキング試薬、(ii)開始剤が結合した固体支持体、(iii)完了したポリヌクレオチドを固体支持体から放出するための切断試薬、(iv)酵素添加又はカップリング工程の最後に未反応の3’-O-可逆的保護dNTPを除去するための洗浄試薬又は緩衝液、及び(v)合成後処理試薬、例えば、精製カラム、脱塩試薬、溶出試薬など、のうちの1つ以上を別々に又は上記の項目と共に含み得る。
【0072】
上記項目(ii)及び(iii)に関して、特定の開始剤と切断試薬とが相伴う。例えば、イノシン切断可能ヌクレオチドを含む開始剤には、エンドヌクレアーゼV切断試薬が付属し得、ニトロベンジル光切断性リンカーを含む開始剤には光切断性リンカーを切断するための適切な光源が付属し得、ウラシルを含む開始剤にはウラシルDNAグリコシラーゼ切断試薬が付属し得る、といった具合である。
【実施例
【0073】
ポリC開始剤を用いる場合と用いない場合のG4形成ポリヌクレオチドの合成
この実施例では、実質的に上記の例示的な合成プロトコルに従って、ポリC開始剤を用いて、また用いないで、G4を形成しやすい配列を有する8つのポリデオキシリボヌクレオチドを合成する。固体支持体は、C15リンカーを介して結合したポリC開始剤(-CCCCCCCCCCCCCCCTdIT-3’(配列番号157))又はC15リンカーを介して結合した非ポリC開始剤(-TTTTTTTTTTdIT-3’(配列番号158))のいずれかを有するCNBr活性化45μmアガロースビーズである。鋳型フリーポリメラーゼは、N末端親和性タグ(配列番号6)を有するTdTバリアントM77(配列番号106)である。合成後、ポリヌクレオチド産物を、Creton、国際特許公開第2020/165137号に記載されるプロトコルに従って、EndoVエンドヌクレアーゼを使用して固体支持体から切断する。切断された合成産物をキャピラリー電気泳動によって分析して所望のポリヌクレオチドの純度を求め、産物の試料を配列決定して欠失、置換及び挿入エラーを評価する。両方の測定により、ポリC含有開始剤の使用は、所望の生成物の収率の有意な改善を示した。純度データは、ポリC開始剤を使用すると、G4を形成しやすいポリヌクレオチド生成物の純度が平均20%以上増加したことを示している。以下の表は、ポリC含有開始剤を用いて、また用いずに合成したポリヌクレオチドからサンプリングした配列における様々なタイプのエラー率を比較する。
【0074】
定義
本明細書で特に定義されない限り、本明細書で使用される核酸化学、生化学、遺伝学、及び分子生物学の用語及び記号は、当分野の標準的な論文及びテキスト、例えば、Kornberg及びBaker、DNA Replication、第2版(W.H.Freeman、ニューヨーク、1992年)、Lehninger,Biochemistry,第2版(Worth Publishers、ニューヨーク、1975年)、Strachan and Read,Human Molecular Genetics、第2版(Wiley-Liss、ニューヨーク、1999年)のそれに従う。
【0075】
2つ以上の異なるTdTのアミノ酸位置に関して「機能的に同等」とは、(i)それぞれの位置のアミノ酸がTdTの活性において同じ機能的役割を果たすこと、及び(ii)それぞれのTdTのアミノ酸配列の相同アミノ酸位置にアミノ酸が存在することを意味する。配列アラインメント及び/又は分子モデリングに基づいて、2つ以上の異なるTdTのアミノ酸配列における位置的に同等又は相同なアミノ酸残基を同定することが可能である。いくつかの実施形態では、機能的に等価なアミノ酸位置は、進化的に関連する種、例えば、属、科などのTdTのアミノ酸配列間で保存されている非効率性モチーフに属する。そのような保存された非効率性モチーフの例は、Moteaら、Biochim.Biophys.Acta.1804(5):1151-1166(2010)、Delarueら、EMBO J.,21:427-439(2002)、及び同様の参考文献に記載されている。
【0076】
「キット」は、本発明のシステム又は装置によって実施される方法を実施するための材料又は試薬を配布するための任意の配布システム、例えば、パッケージを指す。いくつかの実施形態では、消耗品材料又は試薬は、本明細書で「キット」と呼ばれるパッケージで本発明のシステム又は装置のユーザに配布される。本発明の文脈において、そのような供給システムは、通常、合成支持体、オリゴヌクレオチド、3’-O-保護dNTPなどの材料の貯蔵、輸送又は配布を可能にする包装方法及び材料を含む。例えば、キットは、ポリC開始剤が付着した固体支持体及び/又は支持材料を含む1つ以上の筐体(例えば、ボックス)を含み得る。かかる内容物は、一緒に又は別々に意図されたレシピエントに配布してもよい。例えば、第1の容器は、ポリC開始剤が結合した固体支持体を含有していてもよく、一方、第2の又はそれを超える容器は、3’-O-保護デオキシヌクレオシド三リン酸、鋳型フリーポリメラーゼ、例えば、特定のTdTバリアント、及び適切な緩衝液を含有する。
【0077】
互換的に使用される「変異」又は「バリアント」は、本明細書に記載の天然又は参照TdTポリペプチドに由来し、1つ以上の位置に修飾又は改変、すなわち置換、挿入及び/又は欠失を含むポリペプチドを指す。バリアントは、当技術分野で周知の様々な技術によって得ることができる。具体的には、野生型タンパク質をコードするDNA配列を改変するための技術の例としては、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、配列シャッフリング及び合成オリゴヌクレオチド構築が挙げられるが、これらに限定されない。変異誘発活性は、タンパク質の配列中の、又は本発明の場合はポリメラーゼの配列中の1個又は数個のアミノ酸の欠失、挿入又は置換からなる。置換を指定するために以下の用語が使用される。L238Aは、参照又は野生型配列の位置238のアミノ酸残基(ロイシン、L)がアラニン(A)に変更されることを示す。A132V/I/Mは、親配列の132位のアミノ酸残基(アラニン、A)が、以下のアミノ酸、すなわち、バリン(V)、イソロイシン(I)又はメチオニン(M)のいずれかによって置換されていることを示す。置換は、保存的置換又は非保存的置換であり得る。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン及びトレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)及び小アミノ酸(グリシン、アラニン及びセリン)からなる群の範囲内のものである。
【0078】
「ポリヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド」は互換的に使用され、それぞれヌクレオチドモノマー又はその類似体の直鎖ポリマーを意味する。ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを構成するモノマーは、ワトソン-クリック型の塩基対形成、塩基スタッキング、フーグスティーン又は逆フーグスティーン型の塩基対形成など、モノマーとモノマーの相互作用の規則的なパターンによって天然のポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。そのようなモノマー及びそれらのヌクレオシド間結合は、天然に存在し得、又はその類似体、例えば、天然に存在する又は天然に存在しない類似体であってもよい。天然に存在しない類似体としては、PNA、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、フルオロフォア又はハプテンなどの標識の付着を可能にする結合基を含む塩基などを挙げることができる。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの使用が、ポリメラーゼによる延長、リガーゼによるライゲーションなどの酵素的プロセシングを必要とするときはいつでも、当業者は、それらの例におけるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、任意の位置又はいくつかの位置にヌクレオシド間結合、糖部分又は塩基の特定の類似体を含有しないことを理解するであろう。ポリヌクレオチドは、典型的には、それらが通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる場合、数個のモノマー単位、例えば、5~40個から数千個のモノマー単位のサイズの範囲である。ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドが「ATGCCTG、」などの文字の配列(大文字又は小文字)によって表されるときはいつでも、別途指示がない限り、又は文脈から明らかでない限り、ヌクレオチドは左から右へ5’ →3’の順序であり、「A」はデオキシアデノシンを表し、「C」はデオキシシチジンを表し、「G」はデオキシグアノシンを表し、「T」はチミジンを表し、「I」はデオキシイノシンを表し、「U」はウリジンを表すことが理解されよう。特に明記しない限り、用語及び原子番号付けの慣習は、Strachan and Read,Human Molecular Genetics 2(Wiley-Liss、ニューヨーク、1999年)に開示されているそれに従う。通常、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結された4つの天然ヌクレオシド(例えば、DNAのためのデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン又はRNAのためのそれらのリボース対応物)を含むが、それらは、例えば、修飾塩基、糖又はヌクレオシド間結合などの非天然ヌクレオチド類似体も含み得る。酵素が、活性に対する特異的なオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質の要件、例えば、一本鎖DNA、RNA/DNA二重鎖などを有する場合、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質についての適切な組成物の選択は、特に、Sambrookら、Molecular Cloning、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク、1989年)及び同様の参考文献などの論文からの指針がある場合は、十分に当業者の知識の範囲内であることは当業者には明らかである。同様に、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、一本鎖形態又は二本鎖形態(すなわち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド及びそのそれぞれの相補体の二重鎖)のいずれかを指し得る。どちらの形態又は両方の形態が用語の使用の文脈から意図されているかは、当業者には明らかであろう。
【0079】
「プライマー」は、天然又は合成のいずれかのオリゴヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドの鋳型と二重鎖を形成すると、核酸合成の開始点として作用し、その3’末端から鋳型に沿って延長して、延長した二重鎖を形成することができるオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの延長は、通常、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼを用いて行われる。延長過程で付加されるヌクレオチドの配列は、鋳型ポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーはDNAポリメラーゼによって延長される。プライマーは、通常、14から40ヌクレオチドの範囲、又は18から36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは、様々な核酸増幅反応、例えば、単一のプライマーを使用する線形増幅反応、又は2つ以上のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応で使用される。特定の用途のためのプライマーの長さ及び配列を選択するための指針は、参照により組み込まれる以下の参考文献、Dieffenbach,editor,PCR Primer:A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク、2003年)によって証明されるように、当業者に周知である:
【0080】
「配列同一性」は、2つの配列、例えば、2つのポリペプチド配列又は2つのポリヌクレオチド配列の間のマッチ(例えば、同一のアミノ酸残基)の数(又は割合、通常パーセンテージとして表される)を指す。配列同一性は、配列ギャップを最小化しながら重複及び同一性を最大化するように整列したときの配列を比較することによって求められる。具体的には、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、いくつかの数学的グローバルアライメントアルゴリズム又はローカルアライメントアルゴリズムのいずれかを使用して求めることができる。類似の長さの配列は、好ましくは、配列を全長にわたって最適にアラインメントするグローバルアライメントアルゴリズム(例えば、Needleman and Wunschアルゴリズム、Needleman及びWunsch、1970年)を使用してアラインメントされ、一方で、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、ローカルアライメントアルゴリズム(例えば、Smith and Watermanアルゴリズム(Smith及びWaterman、1981年)又はAltschulアルゴリズム(Altschulら、1997年、Altschulら、2005年))を使用してアラインメントされる。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法で、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネットウェブサイトで利用可能な公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。本明細書の目的のために、アミノ酸配列同一性%の値は、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用する2つの配列の最適なグローバルアライメントを作成するペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して生成された値を指し、すべての検索パラメータはデフォルト値、すなわちScoring行列=BLOSUM62、Gap open=10、Gap extend=0.5、End gap penalty=false、End gap open=10及びEnd gap extend=0.5に設定される。
【0081】
「置換」とは、あるアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置き換えられていることを意味する。好ましくは、「置換」という用語は、天然に存在する標準的な20アミノ酸残基、希少な天然に存在するアミノ酸残基(例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、6-N-メチルリジン、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、アロ-イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン)、及びしばしば合成的に作製される天然に存在しないアミノ酸残基(例えば、シクロヘキシル-アラニン)から選択される別のものによるアミノ酸残基の置換を指す。好ましくは、「置換」という用語は、天然に存在する標準20アミノ酸残基から選択される別のものによるアミノ酸残基の置換を指す。記号「+」は、置換の組み合わせを示す。アミノ酸は、本明細書では、以下の命名法に従って1文字又は3文字のコードによって表される。A:アラニン(Ala)、C:システイン(Cys)、D:アスパラギン酸(Asp)、E:グルタミン酸(Glu)、F:フェニルアラニン(Phe)、G:グリシン(Gly)、H:ヒスチジン(His)、I:イソロイシン(Ile)、K:リジン(Lys)、L:ロイシン(Leu)、M:メチオニン(Met)、N:アスパラギン(Asn)、P:プロリン(Pro)、Q:グルタミン(Gln)、R:アルギニン(Arg)、S:セリン(Ser)、T:トレオニン(Thr)、V:バリン(Val)、W:トリプトファン(Trp)及びY:チロシン(Tyr)。本明細書では、置換を指定するために以下の用語が使用される。L238Aは、親配列の位置238のアミノ酸残基(ロイシン、L)がアラニン(A)に変更されることを示す。A132V/I/Mは、親配列の132位のアミノ酸残基(アラニン、A)が、以下のアミノ酸、すなわち、バリン(V)、イソロイシン(I)又はメチオニン(M)のいずれかによって置換されていることを示す。置換は、保存的置換又は非保存的置換であり得る。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン及びトレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)及び小アミノ酸(グリシン、アラニン及びセリン)からなる群の範囲内のものである。
【0082】
本開示は、記載された特定の形態の範囲に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された変形形態の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを意図している。さらに、本開示の範囲は、本開示を考慮して当業者に明らかになり得る他の変形を完全に包含する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
【配列表】
2024511874000001.app
【国際調査報告】