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  • 特表-車両ドア用のドアハンドル装置 図1
  • 特表-車両ドア用のドアハンドル装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】車両ドア用のドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20240308BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240308BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E05B85/16 D
A61L2/10
E05B1/00 311P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560852
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2022058562
(87)【国際公開番号】W WO2022218718
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021001929.6
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】アスミル・ザルキク
【テーマコード(参考)】
2E250
4C058
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250PP12
4C058AA30
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK23
(57)【要約】
本発明は、ハンドル部分(4)と、UV-C光(6)を放射する浄化装置(5)とを備える、自動車(3)の車両ドア(2)用のドアハンドル装置(1)に関する。同時に高い設計基準を満たしながら、特に衛生的な方法で自動車(3)を使用できるようにするために、ハンドル部分(4)が、少なくとも引き込まれた非使用位置と引き出された使用位置との間で調整可能であることが提供されており、浄化装置(5)は、ハンドル部分(4)の非使用位置において、浄化装置(5)がハンドル部分(4)にUV-C光(6)を照射し、それによりハンドル部分(4)を浄化するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分(4)と、UV-C光(6)を放射する浄化装置(5)とを備える、自動車(3)の車両ドア(2)用のドアハンドル装置(1)であって、
前記ハンドル部分(4)は、少なくとも引き込まれた非使用位置と引き出された使用位置との間で調整可能であり、
前記浄化装置(5)は、前記ハンドル部分(4)の非使用位置において前記浄化装置(5)が前記ハンドル部分(4)にUV-C光(6)を照射し、それにより前記ハンドル部分(4)を浄化するように構成されていることを特徴とする、前記ドアハンドル装置(1)。
【請求項2】
前記浄化装置(5)は複数の光源(11)を有し、前記複数の光源(11)は、前記UV-C光(6)を放射し、前記ハンドル部分(4)の接触面又は前記ハンドル部分(4)全体の全周照明を提供することを特徴とする、請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記光源(11)は、前記ハンドル部分(4)の周囲をリング形状に取り囲み、互いに離間されて配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
ドアハンドルハウジング(7)が設けられており、前記ドアハンドルハウジング(7)内へ、前記ハンドル部分(4)は、前記ハンドル部分(4)の非使用位置に少なくとも部分的に引き込まれていることを特徴とする、請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記ハンドル部分(4)は、前記ハンドル部分(4)の引き込まれた非使用位置において前記ドアハンドルハウジング(7)に密接に接続されており、前記ハンドル部分(4)が配置されている内部チャンバ(8)は、外部に対して密閉されていることを特徴とする、請求項4に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
酸素が入った容器(10)が設けられており、前記容器(10)を介して酸素を前記内部チャンバ(8)に放出可能であることを特徴とする、請求項5に記載のドアハンドル装置。
【請求項7】
入口側で前記内部チャンバ(8)に接続され、かつ出口側で前記容器(10)に接続された還流チャンバ(12)が設けられており、前記還流チャンバ(12)を介して、前記内部チャンバ(8)から還流チャンバ(12)を経由して前記容器(10)への酸素又はオゾンの還流が行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項8】
前記容器(10)と前記内部チャンバ(8)との間に、前記内部チャンバ(8)の方向に通流可能な逆止弁(13a)が配置され、及び/又は
前記内部チャンバ(8)と前記還流チャンバ(12)との間に、前記還流チャンバ(12)の方向に通流可能な逆止弁(13b)が配置されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項9】
前記還流チャンバ(12)と前記容器(10)との間に、前記容器(10)の方向に通流可能な逆止弁(13c、13d)が配置されていることを特徴とする、請求項6、7又は8に記載のドアハンドル装置。
【請求項10】
ポンプ(14)が設けられており、前記ポンプ(14)を介して酸素を前記容器(10)から前記内部チャンバ(8)に注入可能であり、及び/又は
前記浄化装置(5)は、波長λ<242nmのUV-C光(6)を放射するものであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のドアハンドル装置(1)を備える車両ドア(2)を備える自動車(3)。
【請求項12】
自動車(3)において請求項1~10のいずれか一項に記載のドアハンドル装置(1)のハンドル部分(4)を浄化および消毒するための方法であって、
前記ハンドル部分(4)は、前記ハンドル部分(4)の引き込まれた非使用位置に移動され、
前記浄化装置(5)は、前記内部チャンバ(8)にUV-C光(6)を照射し、
酸素は、前記容器(10)から前記内部チャンバ(8)に放出され、前記内部チャンバ(8)において前記UV-C光(6)によりオゾンに変換され、それにより前記ハンドル部分(4)を消毒する、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の自動車の車両ドア用のドアハンドル装置に関する。本発明はまた、車両ドア及びそのようなドアハンドル装置を備える自動車、並びにそのようなドアハンドル装置のハンドル部分を浄化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車では最高のデザイン要件及び空気力学的要件を満たすことができるようにするために、格納式ドアハンドルが提供されることが多く、格納式ドアハンドルは、非使用状態では格納されて見えないように配置されている。ユーザが近づいたときのみ、ハンドル部分が使用位置まで引き出されることにより、車両ドアを開けることが可能になる。
【0003】
ただし、格納式ハンドル部分を備えるドアハンドル装置の場合であっても、ドアハンドル装置又は少なくともハンドル部分の浄化は困難であり、ハンドル部分の非使用位置では不可能である。自動車が通常施錠されている洗車場内であっても、ハンドル部分は、ハンドル部分の引き込まれた非使用位置にあるため、洗車場でも浄化されない。更に、自動車が様々なユーザによって使用される場合、特に感染症の伝染を防ぐことができるようにするために、とりわけハンドル部分を浄化すること、又は更にはハンドル部分を消毒することが大きな利点となるであろう。
【0004】
特許文献1から、ハンドル部分と、UV-C光を放射する浄化装置と、を備える、自動車の車両ドア用の上述の種類のドアハンドル装置が公知である。公知のドアハンドル装置では、ハンドル部分を消毒するために、ハンドル部分又はハンドル凹部にUV-C光を照射する。更に、UV-C光を空気中の酸素に当てることによってオゾンが生成され、これにより消毒効果を更に高めることができる。
【特許文献1】CN 108104622 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述の種類のドアハンドル装置について、特に衛生状態の向上並びに視覚的印象の改善及びデザインの改善を特徴とする、改良された又は少なくとも代替的な実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、本発明によれば、独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、ドアハンドル装置に格納式ハンドル部分を装備し、ハンドル部分がハンドル凹部に、すなわち内部チャンバに引き込まれているならば、このハンドル部分にUV-C光を照射し、それによって消毒するという一般的な概念に基づいている。その場合、自動車の車両ドア用の本発明によるドアハンドル装置は、前述のハンドル部分と、UV-C光を放射するように構成されている浄化装置とを備える。このようなUV-C光は通常、波長λ<265nmである。本発明によれば、この場合、ハンドル部分は、少なくとも引き込まれた非使用位置と引き出された使用位置との間で調整可能であり、浄化装置は、ハンドル部分の非使用位置において浄化装置がハンドル部分にUV-C光を照射し、それによりハンドル部分を浄化するように構成されている。したがって、本発明によるドアハンドル装置は、格納式ハンドル部分において、引き込まれた状態で格納式ハンドル部分を浄化し、それにより全体の衛生状態を向上させる可能性を初めて提供する。ハンドル部分を引き込むことができる可能性により、これに加えて、空力的利点、デザイン的利点及び視覚的印象の利点を達成することができる。その場合、ハンドル部分の非使用位置において、ハンドル部分は、自動車ドアの内部チャンバ内に引き込まれており、内部チャンバで、好適には施錠状態でUV-C光を当てることができる。その場合、UV-C光は、細菌、ウイルス、及び病原菌を殺傷することができ、同時に内部チャンバ内に存在する酸素は、UV-C光の入射によってオゾンに変換されることにより、消毒又は衛生状態の向上にも同様に貢献する。その場合、UV-C光は、殺ウイルス性である、すなわち、ウイルスを不活化又は殺傷することができる。したがって、本発明によるドアハンドル装置を用いて、最高の空気力学要件及び設計要件を満たすことができる格納式ハンドル部分を、ハンドル部分の非使用状態において消毒することができ、これにより特に車両ユーザが交代する場合、病気の伝染を回避するか、又はそのような伝染の危険性を少なくとも低減することができる。
【0008】
好適には、本発明の発展形態によれば、浄化装置が複数の光源を有することが提供されており、複数の光源は、UV-C光を放射し、ハンドル部分(4)の全周照明又は主要部分の照明を提供する。ハンドル部分の主要部分とは、ハンドル部分の操作時に人が触れる部分である。好ましい実施形態では、光源(11)がハンドル部分(4)の周囲をリング形状に取り囲み、互いに離間されて配置され、これにより、ハンドル部分、及び/又は接触面とも呼ばれることがあるハンドル部分の主要部分の全周照明が可能になることが提供されている。光源は、車両ドアに、特にハンドル凹部に配置されており、ハンドル部分は、ハンドル部分の非使用位置においてハンドル凹部に留まる。
【0009】
本発明による解決策の有利な発展形態では、ドアハンドルハウジングが設けられており、ドアハンドルハウジング内へ、ハンドル部分は、ハンドル部分の非使用位置に少なくとも部分的に引き込まれている。この場合、ハンドル部分は、ハンドル部分の引き込まれた非使用位置においてドアハンドルハウジングに密接に接続され、ハンドル部分が配置されている内部チャンバを外部に対して密閉する。これにより、ハンドル部分をハンドル部分の非使用位置において周辺に対して外部から密閉された保護空間に配置し、その空間で同時に消毒することが可能になる。したがって、ハンドル部分の非使用状態では、ハンドル部分は、外部汚染から保護され、消毒することができ、それに加えてこの非使用位置では外部環境の影響からも保護されたままである。
【0010】
本発明によるドアハンドル装置の更に有利な実施形態では、酸素が入った容器が設けられており、容器を介して、ハンドル部分が非使用位置において存在する内部チャンバに酸素を放出可能である。これにより、単独ですでに殺ウイルス効果のあるUV-C光に加えて、酸素及びUV-C光を追加することによりオゾンを生成することが可能になり、オゾンは、同様に細菌及びウイルス並びに病原菌を殺傷し、更に殺真菌効果もある。このようにして、特に衛生的なハンドル部分を実現することもでき、それにより、このハンドル部分での病気の伝染の危険性を少なくとも低減することができる。
【0011】
本発明による解決策の有利な発展形態では、入口側では内部チャンバに接続され、かつ出口側では容器に接続された還流チャンバが設けられており、還流チャンバを介して内部チャンバから還流チャンバを経由して容器への酸素又はオゾンの還流が行われる。少なくとも1つのこのような還流チャンバにより、容器と、内部チャンバ及び少なくとも1つの還流チャンバとの間に閉鎖システムを作り出すことができ、それにより、酸素の損失を最小化することができ、それにより特に長い使用期間を達成することができる。更に、このような密閉系により、オゾンが外部にほとんど流出せず、その代わりに回路内に保持され、ハンドル部分を消毒するために何度も使用できることが大きな利点である。ハンドル部分の消毒、例えば、UV-C光又は酸素への曝露は、ハンドル部分がドアハウジング内に引き込まれているとき、すなわちハンドル部分が格納されているときにのみ、すなわち排他的に行われるという事実により、更に、極めて経済的な酸素消費を達成することができる。
【0012】
本発明によるドアハンドル装置の有利な発展形態では、容器と内部チャンバとの間に、内部チャンバの方向に通流可能な逆止弁が配置されている。また、内部チャンバと還流チャンバとの間に還流チャンバの方向に通流可能な逆止弁を配置してもよく、追加的に更に還流チャンバと容器との間に容器の方向に通流可能な逆止弁を配置してもよい。これにより、その場合、制御されない逆流を危惧する必要なく、容器から出て内部チャンバを経由する、かつ内部チャンバから少なくとも1つの還流チャンバを経由して容器に戻る酸素又はオゾンの循環サイクルが可能である。このような逆止弁は、例えば、所定の圧力差を超えた場合にのみ開くフラップ弁又はばね付勢弁として、比較的単純かつ費用効率的に形成することができる。
【0013】
更に有利な実施形態では、ポンプが設けられており、ポンプを介して酸素を容器から内部チャンバに注入可能である。このポンプは、容器内の過圧をもたらし、それにより容器と内部チャンバとの間に存在する逆止弁又は圧力逃し弁を開き、内部チャンバへの酸素の放出を可能にする。内部チャンバでは、酸素にUV-C光を照射することにより酸素がオゾンに変換され、それによりハンドル部分の消毒が行われる。酸素を内部チャンバに注入することによって、内部チャンバ内でもまた圧力が上昇し、その圧力は、ハンドル部分とドアハウジングとの間のシールにより外部に逃げることができなくなるため、所定の過圧以上で内部チャンバと還流チャンバとの間に配置された逆止弁が開き、内部チャンバから還流チャンバへの酸素又はオゾンが入り込む。還流チャンバを介して酸素又はオゾンを容器に戻すことができる。
【0014】
一般に、UV-C光は、波長λが100nm<λ<280nmの間であり、特に242nmより短い波長λが細菌、病原菌又はウイルスに対して効果的であるだけでなく、臭気分子に対してもまた作用することが試験で示されている。
【0015】
本発明は、車両ドアと、前段落で説明したドアハンドル装置とを自動車に装備し、それによって本発明によるドアハンドル装置に関連して説明した利点を自動車に転用するという一般的な概念に更に基づく。具体的には、これは、例えば、密閉型酸素-オゾン回路による同時に持続可能な運転方法、及び格納式ハンドル部分による非常に魅力的なドアハンドルのデザインの場合、特にハンドル部分の簡単かつ費用効率的な消毒であり、それにより衛生状態が向上する。
【0016】
本発明は、自動車のドアハンドル装置のハンドル部分を浄化するための方法を提供するという一般的な概念に更に基づいており、本方法では、ハンドル部分が最初にハンドル部分の引き込まれた非使用位置に移動される。その後、浄化装置が内部チャンバにUV-C光を照射し、同時に容器から酸素が内部チャンバに放出され、内部チャンバでUV-C光によりオゾンに変換され、それによりハンドル部分が消毒される。本発明による方法の利点は、特に、ハンドル部分がハンドル部分の非使用位置においてウイルス、細菌、胞子、病原菌、更には臭気分子を確実に除去し、それによって特に衛生的な取り扱いが可能になることである。これは、特に感染症が蔓延している時代には大きな利点である。
【0017】
本発明による方法では、当然のことながら、内部チャンバに加えて還流チャンバもまた設けることができるため、対応するポンプを介して定期的又は恒久的に、酸素又は場合によってはオゾンもまた容器から、ハンドル部分がハンドル部分の引き込まれた非使用位置にある内部チャンバに流れ、還流チャンバを介して流れて容器に戻る。これにより、ハンドル部分の一時的な消毒は、ハンドル部分がハンドル部分の非使用位置にあるときにのみ達成することができ、それにより費用効率的な操作を達成することができる。
【0018】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面を参照した関連する図面の説明から明らかになる。
【0019】
上述の特徴及び以下に更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの場合に提示される組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独で使用することもできることを理解されたい。
【0020】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示されており、以下の説明でより詳細に説明され、同じ参照番号は、同一又は類似又は機能的に同一の構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるドアハンドル装置を備える本発明による自動車の外観図である。
図2】具体的な実施形態における本発明によるドアハンドル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1によれば、自動車3の車両ドア2用の本発明によるドアハンドル装置1は、車両ドア2内に引き込まれた非使用位置(図2参照)と引き出された使用位置(図1参照)との間で調整可能なハンドル部分4を有する。本発明によれば、ここでは、UV-C光6を放射する浄化装置5が設けられており、浄化装置5は、車両ドアにはめ込まれたハンドル凹部(図示せず)に配置されており、ハンドル凹部がハンドル部分4又はハンドル部分4の内側部分に、ハンドル部分4の非使用位置においてUV-C光6を照射し、それにより浄化するように構成されている。その場合、UV-C光6は、抗菌、殺菌、殺ウイルスの効果があり、それに加えて病原菌を殺傷し、臭気を中和する。図1に示す状況から逸脱して、浄化装置5は、ハンドル部分4がハンドル部分4の引き込まれた非使用位置にある場合にのみUV-C光6を放射し、ハンドル部分4は、ハンドル部分4の非使用位置において、好適には車両ドア2の表面と同一平面で接続している。あるいは、ハンドル部分4は、車両ドア2に完全に格納することもできる。
【0023】
更に、本発明によるドアハンドル装置1は、ドアハンドルハウジング7(図2参照)を有し、ドアハンドルハウジング7内へ、ハンドル部分4は、ハンドル部分4の非使用位置において少なくとも部分的に引き込まれている。ハンドル部分4の非使用位置では、ハンドル部分4は、ドアハンドルハウジング7と密接に接続し、それによって内部チャンバ8を画定し、ハンドル部分4は、内部チャンバ8に配置されており、内部チャンバ8もまた外部から密閉する。このために、外側シール9をハンドル部分4に配置してもよい。
【0024】
更に、車両ドア2には酸素が入った容器10(図2参照)を設けてもよく、容器10を介して酸素を内部チャンバ8に放出可能である。内部チャンバ8への酸素Oの放出と、同時に酸素にUV-C光6を照射することによってオゾンOが生成し、オゾンは、同様に抗菌、殺菌、殺ウイルスの効果があり、病原菌又は臭気分子に対して作用する。
【0025】
その場合、浄化装置5は、複数の光源11を有し、複数の光源11は、UV-C光6を放射し、少なくとも内部チャンバ8、すなわちハンドル部分4の内部部分において全周照明として使用され、これによりハンドル部分4を消毒する。上述したように、ハンドル部分4がハンドル凹部に完全に格納されている場合、したがって、ハンドル部分4は、部分的に照射され得るだけでなく、ハンドル部分4全体が照射され得るであろう。図2から分かるように、光源11が、例えば、ハンドル部分4の周囲をリング形状に取り囲み、互いに離間されて配置され、これは、ハンドル部分4を確実にくまなく照らすこと又は照明することに加えて、内部チャンバ8の内部空気を酸素及びオゾンと確実に混合することを意味し、それにより極めて高い消毒効果を達成することができる。
【0026】
更に、還流チャンバ12を設けてもよく、還流チャンバ12は、入口側で内部チャンバ8に接続され、出口側で容器10に直接、又は更なる還流チャンバ12a(図2参照)を介して間接的に、のいずれかで接続される。この還流チャンバ12又は還流チャンバ12、12aを介して、内部チャンバ8から酸素又はオゾンを容器10に誘導して戻すことが可能であり、それによって浄化装置5を特に経済的な方法で動作させることが可能になる。
【0027】
酸素又はオゾンの所望しない逆流を防止するために、容器10と内部チャンバ8との間に内部チャンバ8の方向に通流可能な逆止弁13aが設けられてもよく、内部チャンバ8と還流チャンバ12との間に、還流チャンバ12の方向に通流可能な逆止弁13bが配置されてもよい。更なる還流チャンバ12aが設けられている場合、還流チャンバ12aと還流チャンバ12との間にもまた逆止弁13cを設けてもよく、還流チャンバ12aと容器10との間に逆止弁13dを設けてもよい。逆止弁13a、13b、13c、及び13dは、酸素又はオゾンの循環流を引き起こし、所定の圧力差で開く。
【0028】
容器2から内部チャンバ8への酸素の供給を可能にするために、ポンプ14を設けてもよく、ポンプ14を介して、酸素は、容器10から内部チャンバ8に注入される。更なるポンプ14aを還流チャンバ12に更に配置してもよく、還流チャンバ12において酸素又はオゾンを内部チャンバ8から吸引して、酸素又はオゾンを還流チャンバ12a又は容器10に更に移送することができる。
【0029】
本発明によるドアハンドル装置1に加えて、車両ドア2及びそのようなドアハンドル装置1を備える自動車3の保護も求められるべきである。
【0030】
その場合、一般に、前段落で説明したドアハンドル装置1のハンドル部分4の浄化は、以下のように行われる:
【0031】
最初にハンドル部分4がハンドル部分4の引き込まれた非使用位置に移動され、その後、浄化装置5が内部チャンバ8にUV-C光6を照射する。このUV-C光6を介して、消毒、特にウイルス、病原菌、真菌及び細菌の殺傷、並びに臭気分子の中和を達成することができる。加えて、容器10から内部チャンバ8に酸素が放出され、内部チャンバ8において浄化装置5から放射されるUV-C光6によりオゾンに変換され、それによりハンドル部分4が消毒されることも考えられる。
【0032】
全体として、本発明によるドアハンドル装置1及び本発明による自動車3を用いて、視覚的に魅力的で、空気力学的に良好であり、同時に極めて衛生的なドアハンドル装置1を初めて作製することができ、ドアハンドル装置1は、好適には、ハンドル部分4がハンドル部分4の非使用位置に引き込まれるたびに、ハンドル部分4を消毒する。

図1
図2
【国際調査報告】