(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】回転ヘッド機械加工ユニット
(51)【国際特許分類】
B23B 5/12 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B23B5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561412
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 CH2021000004
(87)【国際公開番号】W WO2022133615
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523235585
【氏名又は名称】エスコ エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ピゲ,ピエール-ルイ
(72)【発明者】
【氏名】エスポージト,アントニオ
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045BA31
3C045CA07
3C045DA07
(57)【要約】
回転ヘッドの回転軸の中央に置かれた非回転部品を機械加工するための、少なくとも2つの枢動ツールを支持する回転ヘッドを有する機械加工ユニット。枢動ツール(4a~4c)のための支持部は、上記の回転ヘッドに取り付けられ、それによって回転軸に対して平行であるそれぞれの軸の周りを枢動できる。各支持部は、横断的に配置された制御レバー(4j~4l)を備える。制御ブッシング(14)は、機械加工ユニットに同軸で取り付けられ、ブッシング(14)は、軸方向に摺動するよう、かつ第1の前進位置または第2の後退位置を選ぶように配置される。制御ブッシング(14)は、その端部の一方において、楕円形の制御面(20)を支持する。楕円形の制御面(20)は、螺旋方向面(4d~4f)と協働するよう配置され、螺旋方向面(4d~4f)は、ツール(4a~4c)の押し込み運動を実施するために、ツールに接続される。位相オフセットデバイスが提供され、それは上記の制御ブッシング(14)を、その軸の周りで、2つ、3つ、または4つの異なる所定の角度位置に動かすよう配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ヘッドの回転軸の中心に置かれた非回転部品を機械加工するための、少なくとも2つの枢動ツールを保持した、回転ヘッド機械加工ユニットであって、
ロータ(1)が取り付けられ、2つの外部軸受(3)によって保持されたフレーム(2)であって、前記ロータ(1)は、軸方向チャネルを有し、かつ回転駆動手段(12)及び(15)に連結された、フレームと、
ロータ(1)の軸受(21)及び固定支持部(23)によって保持された、非回転部品(22)及び(24)のための軸方向誘導手段と、
前記非回転部品を軸方向に保持して動かすための手段と、
前記回転軸に対して平行であるそれぞれの軸の周りに枢動するために、前記回転ヘッドに取り付けられ、各ホルダは横断方向に配置された制御レバー(4j~4l)を備えた、少なくとも2つのツールホルダ(4a~4c)と、
前記レバーと協働して、ロータにおいて軸方向に並進可動で、並進制御デバイスに連結された制御要素(14)を備えた、枢動制御手段と、
それぞれが各制御レバー、及び対応した前記制御要素に配置され、各々が誘導面(4d~4f)及び前記誘導面に接する押出し面(20)を、前記制御要素(14)の並進に従って変化する位置に備えた、数対のプッシャ要素であって、前記誘導面(4d~4f)は前記ツールホルダに位置され、対応した前記押出し面(20)は制御要素(14)に位置され、全ての誘導面は、前記ホルダの枢動軸と一致した軸を伴う螺旋部分の形状を有する枢動ツールホルダに対応した、数対のプッシャ要素と、を含み、
ここで前記回転ヘッド機械加工ユニットは、
スピンドルに同軸で取り付けられた制御ブッシュ(14)であって、前記制御ブッシュ(14)は軸方向に枢動するよう、かつ第1の前進位置にあるよう配置され、第2の後退位置において、前記制御ブッシュの一方の端部に制御面を保持し、前記制御面は、楕円形状(20)を有して、螺旋誘導面(4d~4f)と協働し、かつツールを押し込むよう配置された、制御ブッシュ(14)と、
前記制御ブッシュ(14)を軸方向に動かすための手段と、
前記制御ブッシュ(14)を、その軸の周りに、2つ、3つ、または4つの所定の角度位置に至らせるよう配置された、位相シフトデバイスと、
を備えることを特徴とする、回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項2】
前記位相シフトシステムは、2つの別個の駆動モータ(27)及び(29)で作られ、その一方は、滑車(28)、ベルト(13)、及び滑車(12)によるロータ(1)のためのものであり、他方は、滑車(30)、ベルト(16)、及び滑車(15)によるブッシュ(14)のためのものであり、各モータには、その角度位置を測定するためのシステムが装備されることを特徴とする、請求項1に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項3】
完全な同期回転を保証するために、両モータを制御することを可能にするが、回転中に他方に対して任意の角度位相シフトを命令することも可能にする、数値制御手段を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項4】
軸方向誘導手段(24)を受け入れる中央セクション(22)及び(21)の、完全な変更を可能にする手段を含み、それによって、前記スピンドル自体を変更する必要なく、軸受(21)の容易な交換と、機械加工する部品のための、他の誘導システムに対する可能な適合と、を可能にする手段を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項5】
3つのツールホルダ軸(4a、4b、4c)は前記ロータに取り付けられ、全ては同一であり、前記スピンドルの外側の各端部に位置された六角形(4g、4h、4i)は、様々な切削ツールキャリア(5a、5b、5c)を取り付けるのを可能にすることを特徴とする、請求項1~4の内いずれか一項に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項6】
全てのレバー形状の背面セクション(4j、4k、4l)は、制御ブッシュ(14)と接触することになる螺旋部分(4d、4e、4f)を保持する、請求項1に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項7】
全ての軸は、2つのニードル軸受(6a、6b、6c)、及び(7a、7b、7c)によって径方向に支持され、軸方向の遊びは、要素(8a、8b、8c)を用いて調整されることを特徴とする、請求項1~6の内いずれか一項に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項8】
制御ロッド(10a、10b)の軸方向運動は、スプール(11)に伝達されることと、1対の軸受(9)は、非回転スプール(11)及び回転制御ブッシュ(14)を接続し、ロータ(1)のシャンクで摺動して、それと共に回転することと、を特徴とする、請求項1~7の内いずれか一項に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項9】
回転制御ブッシュ(14)は、ベルト(16)及び滑車(15)による、それ自体の回転駆動を有することと、3つのピン(17a、17b、17c)は、滑車(15)及びブッシュ(14)と一体化され、互いから120°離して位置されることと、を特徴とする、請求項8に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項10】
制御ブッシュ(14)を動かすための手段は、2本のロッド(10a及び10b)を備え、前記2本のロッド(10a及び10b)は、機械加工ヘッドを保持する前記フレームに対して後退させて取り付けられた、リニアアクチュエータによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【請求項11】
前記2本のロッドは、2つの予め組み込まれた角度接触ボール軸受(9)によって、制御ブッシュ(14)に取り付けられたボックス(12)に作用することを特徴とする、請求項10に記載の回転ヘッド機械加工ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ヘッド機械加工ユニットに関し、それは、回転ヘッドの回転軸の中心に置かれた非回転部品を機械加工するための、少なくとも2つの枢動ツールを保持する。この回転ヘッド機械加工ユニットは、ロータが取り付けられて2つの外部軸受によって保持されたフレームであって、このロータは、軸方向チャネルを有し、かつ回転駆動手段に連結された、フレームと、ロータの軸受及び固定支持部によって保持された、非回転部品のための、軸方向誘導手段と、上記の非回転部品を軸方向に保持して動かすための手段と、回転軸に対して平行であるそれぞれの軸の周りに枢動するために、上記の回転ヘッドに取り付けられ、各ホルダは横断方向に配置された制御レバーを備えた、少なくとも2つのツールホルダと、上記のレバーと協働して、ロータで軸方向に並進して可動で並進制御デバイスに連結された制御要素を備えた、枢動制御手段と、それぞれが各制御レバー、及び対応した制御要素に配置され、誘導面及びこの誘導面に接する押出し面を、上記の制御要素の並進に従って変化する位置に備えた、数対のプッシャ要素であって、上記の誘導面はツールホルダに位置され、対応した押出し面は制御要素に位置され、全ての誘導面は、上記のホルダの枢動軸と一致した軸を伴う螺旋部分の形状を有する枢動ツールホルダに対応した、数対のプッシャ要素と、を含む。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第0869858号明細書に記載されている、このタイプの機械加工ヘッドは、2つの連結されたツールが装備されたツールホルダスピンドルを備え、1対のツールは、数値軸によって制御される。この同じ発明において、機械加工される部品の供給は、機械加工される部品の周りにぴったりと適合する2枚の異形ディスクによって確保される。異形ディスクの一方は軸モータによって駆動され、他方は、機械加工される部品を締付ける役割を担うシャフトによって保持される。
【0003】
先行技術のシステムにおいて、機械加工される部品は、供給システムのコレットによって締付けられる。機械加工される部品の径が、1~1.5mmよりも小さくなる場合、機械加工のための任意の抵抗が、供給コレットと、誘導ブッシュと呼ばれる誘導システムとの間で、機械加工される部品の座屈をもたらす場合がある。なぜなら、これら2つの要素間における最小距離は、少なくとも機械加工される部品の長さに対応しなければならないためである。回転ディスク供給は、供給システムと誘導部との間の、短く固定された距離を可能にし、それは1ミリメートルの数分の1の径を伴う部品を、機械加工するのを可能にする。
【0004】
小さい寸法の部品の機械加工でも、切断の作用力によって誘導される捩じれを考慮する必要がある。回転する部品も保持する供給システムと、ツールとの間の距離が大きいほど、機械加工に弊害をもたらす場合がある捩じれ剛性は低い。結局、誘導システムが長いほど、その製造は高価である。
【0005】
これらの問題から、現在の回転機械加工ヘッドは比較的短い誘導部(約100mm)を使用するが、そのツールの数が2つに限定されている。
【0006】
このようなヘッドに、2つよりも多いツールを装備するための、現在までに見出された解決策は、現行の事例において使用できない長い構造を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0869858号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この課題の解決策を提案し、現行の機械加工ヘッドと同じ空間で、回転を停止する必要なく、機械加工サイクルの間に選択可能な、4つのツールまで保持できるヘッドの実現を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明による機械加工ユニットによって実現される。それは、スピンドルに同軸で取り付けられ、軸方向に摺動するよう、第1の前進位置、及び第2の後退位置まで配置された制御ブッシュであって、その両端の内の一方において制御面を保持し、この制御面は楕円形で、螺旋誘導面と協働するよう、かつツールを押し込むよう配置された、制御ブッシュと、この制御ブッシュを軸方向に動かすための手段と、この制御ブッシュを、その軸の周りに3つまたは4つの所定の角度位置に至らせるよう配置された、位相シフトデバイスと、を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましい実施形態によると、制御ブッシュを動かすための手段は2つのロッドを備え、それは、機械加工ヘッドを保持するフレームに対して後退させて取り付けられた、リニアアクチュエータによって駆動される。
【0011】
好ましくは、これら2つのロッドは、予め組み込まれた2つの角度接触ボール軸受によって、制御ブッシュに取り付けられたボックスに作用する。
【0012】
特に有利な実施形態によると、位相シフトシステムは、電子的に実現される。それは、一方がロータ、他方が制御ブッシュのための、2つの別個の駆動モータで構成される。各モータには、その角度位置を測定するためのシステムが装備される。数値制御の特別な機能は、完全な同期回転を保証するために、両方のモータを制御することを可能にするが、回転中に、他方に対する一方の角度位相シフトを命令することも可能にする。この解決策を選択することで、複雑で高価な機械システムを全て不要にして、構造を大幅に簡略化することを可能にする。これは、技術的な可能性の徹底的な見直しと、様々なバージョンのコストに関する先見的な分析の結果である。
【0013】
本発明及びその主な利点は、様々な実施形態の記述において、添付の図面を参照して、より良好に明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】様々な軸受及びツールホルダ軸の内部構造を示す、本発明による機械加工ユニットの軸方向断面図である。
【
図2A】制御ブッシュの軸方向の移動手段を例示する図である。
【
図2B】120°間隔で配置された3つのツールホルダを伴うバージョンの正面図である。
【
図3A】3つの同一のツールホルダ一軸のうち、1つのツールホルダ軸の構造を例示する図である。
【
図3B】ロータ上におけるブッシュの長手方向の誘導に関与する要素を示す、ロータ上で摺動する制御ブッシュの一部を示す図である。
【
図3C】ロータ上におけるブッシュの長手方向の誘導に関与する要素を示す、ロータ上で摺動する制御ブッシュの一部を示す図である。
【
図4A】背面位置にある制御ブッシュを例示する図である。
【
図4B】参照されたツールホルダにおける影響、すなわち後退位置を示す図である。
【
図4C】制御ブッシュが前進位置にある、
図4Aのものと同一の断面図である。
【
図4D】参照されたツールホルダにおける効果、すなわち機械加工される部品における、最大の押し込み位置を示す図である。
【
図5】ブッシュが完全に後退したときに、戻りバネによって後退位置に戻された3つのツールホルダ軸を示す、本発明による3つのツールの機械加工ユニットにおける横断面図である。
【
図6A】第1のツールホルダ、最大押し込み深さ、制御ブッシュにおける楕円形の接触面の角度位置、及びツールホルダ軸と一体化したレバーの枢動、の間の対応を例示する図である。
【
図6B】第1のツールホルダ、最大押し込み深さ、制御ブッシュにおける楕円形の接触面の角度位置、及びツールホルダ軸と一体化したレバーの枢動、の間の対応を例示する図である。
【
図7A】第2のツールホルダ軸における、それぞれ同じ状況を例示する図である。
【
図7B】第2のツールホルダ軸における、それぞれ同じ状況を例示する図である。
【
図8A】第3のツールホルダ軸における、それぞれ同じ状況を例示する図である。
【
図8B】第3のツールホルダ軸における、それぞれ同じ状況を例示する図である。
【
図9】電子位相シフトシステムの構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、3つのツールのスピンドルは、1対の軸受3によって保持されたロータ1で作られ、その全体はハウジング2の中に取り付けられる。その回転駆動は、歯状滑車12と噛み合ったタイミングベルト13によって確保される。
【0016】
非回転管22は、スピンドルの中心に位置され、その一方の端部において固定支持部23で支持される。非回転管22は、
図2Aの制御ロッド10a、10bのための誘導部としての役割も担い、その他方の端部で、ロータ1に収容された1対の精密軸受21によって支持される。機械加工される部品の径に正確に調整された、誘導ブッシュ24は、この管に挿入される。
【0017】
3つの同一のツールホルダ軸4a、4b、4cは、このロータに取り付けられる。スピンドルの外側における各端部に位置された、六角形4g、4h、4iは、様々な切削ツールキャリア5a、5b、及び5cの取り付けを可能にする。全てのレバー形状の背面セクション4j、4k、4lは、制御ブッシュと接触することになる螺旋部分4d、4e、4fを保持する。
【0018】
全ての軸は、2つのニードル軸受6a、6b、6c、及び7a、7b、7cによって径方向に支持される。軸方向の遊びは、要素8a、8b、8cを用いて調整される。
【0019】
制御ロッド10a、10bの軸方向運動は、スプール11に伝達される。1対の軸受9は、非回転のスプール11及び回転制御ブッシュ14を接続し、ロータ1のシャンクで摺動して、それと共に回転する。このブッシュは、ベルト16及び滑車15によって、それ自体の回転駆動を有する。3つのピン17a、17b、17cは、滑車15及びブッシュ14と一体化され、互いから120°離れて位置される(
図3B及び
図3C)。制御ブッシュ14が後退した軸方向位置にあるとき、それらはロータ1に位置された径方向の溝19の中に到達する。この位置において、ピン17a、17b、17cが溝19の中で自由なので、ロータ1に対するブッシュ14の角度の移動が可能である。
【0020】
120°の間隔で機械加工された、3つの長手方向の溝18a、18b、18cも、ロータ1に設けられる。ブッシュ14の3つの角度位置のために、ピン17a、17b、17cは、これら3つの溝の前に位置されることになる。制御ロッド10a及び10bによって、ブッシュ14を前方へ動かすこと、それによってツールの1つを押し込むこと、が可能である。実際、ブッシュ14が前進するとき、接触ポイント20は、選択されたツールホルダ1、2、3の螺旋部分4d、4e、または4fと接触し、それによって軸4a、4b、4cを駆動させて、選択したツールを機械加工される部品の中に押し込む。
【0021】
図4A~
図4Dは、ツールホルダ2の機能を例示する。
図4Aは、後退位置にある制御ブッシュ14の断面を示し、それは
図4Bで視認できるツール2の先端の後退位置に相当する。
図4Cでは、ブッシュ14は完全に前進しており、
図4Dではこの制御ブッシュ14の位置は、ツール2の先端がスピンドルの軸を越え、それによって機械加工される部品の軸を越えて駆動される。
【0022】
選択された構造の、全てのツールホルダ軸4a、4b、4cにおいて、バネ26a、26b、26cは、ブッシュが後退した場合でも、ブッシュのポイント20との、螺旋部分4d、4e、4fの接触を維持する。
【0023】
しかし、ブッシュ14の最大後退位置において、ロータ1の突起部25a、25b、25cは、
図5による全てのツールホルダ軸4a、4b、4cのための、制止部としての役割を担う。したがってそれは、ブッシュ14がその最大後退に達したとき、軸の角度移動を制限する。ブッシュ14の、この軸位置において、螺旋部分4d、4e、4fとブッシュ14の接触ポイント20との間における、いかなる接触も存在しない。この位置は、ピン17a、17b、17cも、溝19に対応した位置に至らせる。これら2つの条件は、接触ポイント20も螺旋4d、4e、4fも損傷させる危険なく、ロータ1に対するブッシュ14の自由回転を可能にする。
【0024】
要約すると、後退位置において、ブッシュ14をロータ1に対して自由に回すことができる。このようにブッシュ14を角度的に位置付けた後、3つのピン17a、17b、17cは、長手方向の溝18a、18b、18cの前にあり、それは3つ全てが120°の間隔である可能性に相当し、ブッシュ14を前進させることで、選択したツールを押し込むことが可能である。
【0025】
実際、これら3つの角度位置の各々は、ブッシュ14を軸方向に動かし、ポイント20を、3つの異なるツールホルダの螺旋部分4d、4e、または4fとの接触をもたらすことを可能にする。したがって選択したツールの押し込みを可能にし、それによってツールの選択が実施される。
【0026】
図6A及び
図6Bは、ツール先端が完全に押し込まれた、第1のツールホルダ軸の事例を例示する。そうすることによって、接触ポイント20は、第1の軸の螺旋部分4dに至っており、ブッシュ14は前方へ押し出されている。
図6Bは、レバー4jが制止部25aから持ち上げられているのを示す。他方で、2つの他の軸が、それらそれぞれの制止部25b、25cに静止しているのが確認できる。
【0027】
図7A及び
図7B、
図8A及び
図8Bそれぞれは、ツール先端が
図6Aと類似した位置にある、第2及び第3のツールホルダの事例を例示する。
図7B及び
図8Bは、各事例における接触ポイント20の異なる角度位置、ならびに制御軸のみがその制止部から持ち上げられていること、を明白に示す。
【0028】
ピンが溝18a、18b、18cに係合したとき、位相シフトはもはや可能ではなく、そのときピン17a、17b、17cは、長手方向の誘導部としての役割を担う。
【0029】
電子位相シフトシステムにおいて、ベルト13及び16の各々は、別個のモータ27、29それぞれによって駆動され、かつ歯状滑車28、30それぞれが装備される。モータ/スピンドルの伝達比は、好ましくは整数でなければならず、特定の事例において、選択する比は1に等しい。各モータは電子エンコーダを有し、それは、各モータの角度位置を測定して、回転当たりの基準指標を提供する。電子制御システム(CNC)は、両方のスピンドル要素が、完全に同期するよう駆動するのを可能にし、モータ29は、いつでもその角度位置を、モータ27の角度位置からコピーする。それは、モータ29が、モータ27の角度位置に対して定められた値だけ、その角度位置をシフトするよう指示することを可能にする命令も含み、これはスピンドルが作動する間、すなわち両モータが回転する間である。
【0030】
したがってこの機能は、スピンドルが回転しながら、3つのツールホルダ4a、4b、または4cの内、1つと作動するよう、自由に選択するのを可能にする。
【0031】
それは、3つの代わりに2つまたは4つのツールホルダを伴うスピンドルを実現することを、容易に可能にする。なぜなら、プログラム可能な位置の数に制限がないためである。
【0032】
先行技術のシステムに対する、本発明による機械加工ユニットによって提供される利点は、以下である。
【0033】
極めて重要なポイントは、主な軸受3の特有の配置である。それは、剛性及び耐荷性の点で、大きい利点を提供する。それは、軸受3のための特有の塗油ポイントを有し、供給された潤滑油量の全体的な制御、ならびにそれによるスピンドルの温度及び作動条件を保証すること、も可能にする。
【0034】
切削チップ及び機械加工力に最も露出される、誘導ブッシュ支持管22における軸受21の、容易な交換を考慮することも可能にする。
【0035】
誘導ブッシュを受け入れる、この中央セクションの、容易で完全な交換を提供することも可能にする。このことから、先行技術のシステムだけでなく、市販されており、調整可能な誘導ブッシュ、及び回転バーを伴う標準的な自動旋盤で使用される誘導ブッシュなど、様々なタイプの誘導ブッシュを同じスピンドルで使用する可能性をもたらす。それはまた、機械加工される部品の誘導システムにおける、将来の進化に向けた展望でもある。
【0036】
最後に、この装置は、ジェットの前を通過する回転ツールによって作り出された障害物を通過する必要なく、簡易な方法で切削オイルを、誘導ブッシュを通してツールまで供給することを可能にする。
【0037】
上記の特徴を、先行技術に従って制御された、2つのツールを伴うスピンドルの実現にも容易に適用することができる。これらのみでも、大きな技術的飛躍を表わす。
【0038】
しかし、これらの改良は、スピンドルに対して、回転中に、ツール制御ブッシュの制御された角度シフトシステムを使用したスピンドルを、実現することを可能にする。したがって、2つ、3つ、さらには枢動するツールホルダシステムの使用によって課せられた限界である、4つのツールを伴う短いスピンドルの実現を考慮することを可能にする。
【0039】
記載した解決策は、3つのツールシステムの場合であり、制御された角度シフトを伴う2つのツールのバージョンは、従来の解決策に対して大幅な利点は提供しない。利益は、3つのツールを伴うことで、より興味深く、その一方で、4つのツールバージョンと比較して窮屈過ぎない配置を保つ。ツールホルダの形状について、より大きい自由度、及び切削チップの排出のための、より大きい空間が存在する。
【国際調査報告】