(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】被験体の疾患をスクリーニングするためのシステム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20240308BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240308BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240308BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240308BHJP
【FI】
G01N33/497 D
G01N33/50 R
G01N33/574 Z
G16H50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023563157
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021087672
(87)【国際公開番号】W WO2022144332
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523243557
【氏名又は名称】ザ ブルー ボックス バイオメディカル ソリューションズ,ソシエダ リミタダ
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】フディート ヒロ ベネート
(72)【発明者】
【氏名】チェン ポー-アン
【テーマコード(参考)】
2G045
5L099
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB03
2G045DA80
2G045JA01
2G045JA03
2G045JA04
5L099AA04
(57)【要約】
被験体の疾患をスクリーニングするためのシステム、方法及び装置が提供される。本システムは、被験体の試験試料を収集するための収集チャンバと、一組の化学的感応性センサと、一組の化学的感応性センサを割り当てるように構成された分析チャンバであって、一組の化学的感応性センサは、試験試料中のVOCを検出し、検出の結果として試験試料中のVOCの有無を示す出力信号を生成するように適合されている、分析チャンバと、生成された出力信号を受信するために、一組の化学的感応性センサに動作可能に接続された第1の処理ユニットと、を含む、携帯型医療用スクリーニング装置を備える。システムはまた、生成された出力信号を処理及び分類することによって、疾患に関する結果を決定するための人工知能ベースの分類ソフトウェアを備える。分類ソフトウェアは、第1の処理ユニット、コンピュータ装置にインストールされたソフトウェアアプリケーション、又は遠隔処理ユニットによって実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における疾患をスクリーニングするためのシステムであって、前記システムは、
-携帯型医療用スクリーニング装置(100)であって、
被験体の少なくとも1つの試験試料を収集するように構成された収集チャンバ(104)と、
一組の化学的感応性センサ(201~209)と、
前記一組の化学的感応性センサ(201~209)を割り当てるように構成された分析チャンバ(107)であって、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)は、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成するように適合されている、分析チャンバ(107)と、
前記生成された出力信号を受信するために、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)に動作可能に接続された第1の処理ユニットと、を備える、携帯型医療用スクリーニング装置(100)と、
-前記生成された出力信号を処理及び分類することによって、前記疾患に関する結果を決定するように構成された人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)と、を備え、
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記第1の処理ユニットによって、コンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)によって、又は遠隔処理ユニット(130)によって実行され、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)が前記ソフトウェアアプリケーション(121)によって、又は前記遠隔処理ユニット(130)によって実行される場合、前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)は、前記第1の処理ユニットに動作可能に接続され、前記遠隔処理ユニット(130)及び/又は前記ソフトウェアアプリケーション(121)との通信を確立するように構成された通信ユニットを更に含む、システム。
【請求項2】
前記システムは、前記遠隔処理ユニット(130)と、前記ソフトウェアアプリケーション(121)と、前記被験体及び/又は複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリ又はデータベース(140)と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の少なくとも前記記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して、前記疾患に関する前記結果を決定するように更に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、少なくとも1つの機械学習及び/又は人工知能ベースの分類アルゴリズムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)は、前記収集チャンバ(104)の上方に配置されたグリッド(105)、及び/又は前記収集チャンバ(104)を開閉及び支持するための引き出し(102)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記携帯型医療用スクリーニング装置は、前記収集チャンバ(104)、前記グリッド(105)、前記分析チャンバ(107)、前記第1の処理ユニット、及び前記通信ユニットを囲むように適合された箱体(101)から構成され、前記箱体(101)は、前記引き出し(102)の導入のための中空部分を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記生成された出力信号は、電圧が揮発性有機化合物濃度に比例する電気信号を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記一組の化学的感応性センサ(201~209)は、金属酸化物センサ及び/又は有機化合物感応性センサを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の処理ユニットは、無線接続を介して前記一組の化学的感応性センサ(201~209)に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記疾患は癌である、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記試験試料は、尿、呼気、膣分泌物、月経血、糞便及び唾液からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
被験体における疾患をスクリーニングするための方法であって、前記方法は、
携帯型医療用スクリーニング装置(100)の収集チャンバ(104)によって、被験体の少なくとも1つの試験試料を収集することと、
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)の分析チャンバ(107)に配置された一組の化学的感応性センサ(201~209)によって、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成することと、
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)の第1の処理ユニットによって、前記生成された出力信号を受信することと、
人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)によって、前記生成された出力信号を処理及び分類することによって前記疾患に関する結果を決定することと、を含み、
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記第1の処理ユニットによって、コンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)によって、又は遠隔処理ユニット(130)によって実行され、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)が前記ソフトウェアアプリケーション(121)によって、又は前記遠隔処理ユニット(130)によって実行される場合、前記ソフトウェアアプリケーション(121)又は前記遠隔処理ユニット(130)は、前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)の通信ユニットに動作可能に接続される、方法。
【請求項13】
メモリ又はデータベース(140)は、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データをその中に記憶して含み、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して前記疾患に関する前記結果を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体の健康データ及び/又は人口統計データを取得することと、前記取得されたデータをメモリ又はデータベースに記憶することとを更に含み、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記被験体の前記記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して前記疾患に関する前記結果を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患に関する前記決定された結果をメモリ又はデータベース(140)に記憶することを更に含み、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記記憶された結果を考慮して前記疾患に関する前記結果を決定することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、少なくとも1つの機械学習及び/又は人工知能ベースの分類アルゴリズムを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患に関する前記結果は、前記疾患の有無の指標を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記結果は、前記疾患の程度及び/もしくはタイプ並びに/又は腫瘍のサイズの指標を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患は癌である、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記試験試料は、尿、呼気、膣分泌物、月経血、糞便及び唾液からなる群から選択される、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
携帯型医療用スクリーニング装置であって、
-被験体の少なくとも1つの試験試料を収集するように構成された収集チャンバ(104)と、
-一組の化学的感応性センサ(201~209)と、
-前記一組の化学的感応性センサ(201~209)を割り当てるように構成された分析チャンバ(107)であって、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)は、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成するように適合されている、分析チャンバ(107)と、
-前記生成された出力信号を受信するために、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)に動作可能に接続された第1の処理ユニットと、
を備える、携帯型医療用スクリーニング装置。
【請求項22】
前記第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット(130)、及び/又はコンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)との通信を確立するように構成された通信ユニットを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記収集チャンバ(104)の上方に配置されたグリッド(105)、及び/又は前記収集チャンバ(104)を開閉及び支持するための引き出し(102)を備え、前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)は、前記収集チャンバ(104)、前記グリッド(105)、前記分析チャンバ(107)、前記第1の処理ユニット及び前記通信ユニットを囲むように適合された箱体(101)から構成され、前記箱体(101)は、前記引き出し(102)の導入のための中空部分を有する、請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に癌スクリーニングソリューションに関する。特に、本発明は、非侵襲性かつ非照射性の疾患スクリーニングシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
早くもローマ時代には、医学はヒトの生理学的代謝産物に特別な注意を払っており、例えば、制御されていない糖尿病は、歴史的に尿中の甘味によって診断され、肝不全は魚のような匂いを生じた。しかしながら、ヒト代謝研究は、ロンドンのKing’s College HospitalのHywel Williams博士及びAndres Pembroke博士が雑誌The Lancetに自身の診療に参加したCollie-Doberman所有者についての症例を報告した1989年4月まで腫瘍学分野に合致しなかった。彼女は、自分の犬が自分の脚のほくろをなめることにますます関心を示していると主張した。次いで、ほくろは癌性であることが示され、除去され、患者の生命を救った。
【0003】
この転換点は、癌がヒトの生理機能において代謝の変化を生じさせ、したがって身体の味、質感、匂いを変化させることを明らかにした。それ以来、体内の癌の存在を警告する生物学的試料中の特定の分子又は代謝産物、すなわち癌バイオマーカーを見出すことを目的とするいくつかの刊行物が公開されている。このような研究の例としては、患者の呼気中の肺癌バイオマーカー、尿中の卵巣癌バイオマーカー及び実際に尿中の乳癌癌バイオマーカーの探索が挙げられる。
【0004】
先行技術は、1つの共通の特徴を有する:刊行物は、典型的には、試験試料中の特定の代謝産物の存在が疾患、例えば、乳癌の診断に関連するという原理に基づく。しかしながら、説明された発明は、試料中の特定の成分の存在だけでなく、それらの間の比例関係、並びに最近の試料と以前に分析及び診断された試料との間の比較にも焦点を当てている。
【0005】
同様に、米国癌協会(American Cancer Society)は、2020年に米国で診断された全ての癌の30%が乳癌であると予測している。乳癌は女性の死亡の主な原因であると考えられている。しかしながら、それ専用の研究は、その発生率に比例しない。実際には、NIHは、医療研究において女性が少ないと認識していた。この傾向は、特に現在の乳癌スクリーニングを考慮して、腫瘍学の分野で観察することができる。実際、米国の疾病管理予防センター(CDC)による研究では、過去2年間に同センターに参加した女性はわずか65%であり、1/3の乳癌の検出が遅すぎた可能性があり、したがって女性の予後及び生存の可能性が悪化したと述べられた。この疾患を治癒する機会を増加させる多くの因子の1つは、その早期検出である。疾患の管理及び治癒に役立つ初期段階で疾患の存在を検出することが非常に重要である。
【0006】
マンモグラフィは、現在、乳癌スクリーニングの至適基準であり、低エネルギーX線を使用して、診断及びスクリーニングのためにヒト乳房を検査する。しかしながら、最小の放射線量ではあるが、マンモグラムへの連続的な曝露は癌を引き起こす可能性がある。更に、マンモグラムの欠席の46%は疼痛に起因する。更に、Catalan Healthcare Systemは、陽性結果の93%が偽陽性であると報告した。マンモグラフィが痛みを伴い、照射され、かつ非感受性であるという点で要約されるこれらの欠点は全て、乳癌診断のための改善された方法の必要性を引き起こす。
【0007】
更に、磁気共鳴画像法(MRI)及び超音波検査など、市場で入手可能な他の乳癌スクリーニングソリューションがある。しかしながら、これら2つの画像ベースの技術のいずれも、全てのタイプの乳癌を検出することができない。実際、画像ベースの技術は、線維嚢胞性乳房を有する女性(世界中で40%を超える女性が実際に線維嚢胞性乳房を有する)において、乳房腫瘍を健康な高密度組織から区別する際に困難に直面することが多い。最後に、遺伝子試験は、ある種の乳癌を有する確率を診断することもできるが、この方法は非常に高価である。
【0008】
本発明は、マンモグラフィスクリーニング方法及び市販されている他の癌スクリーニングソリューションの欠点を改善することを意図している。
【0009】
この分野における他の方法及び装置は、以下の特許及び特許出願によって知られている。
【0010】
国際公開第2019095790(A1)号は、疾患を示す様々なタイプのガス分子又は揮発性有機化合物(VOC)を検出及び識別するための方法及び装置を開示している。呼気試料からのVOCの存在又は濃度を示す電気信号を測定するために、複数の検知電極及び基準電極を備えるセンサアレイが使用される。アルゴリズムは、アレイから収集されたデータを処理し、健康な被験体からの応答パターンと比較される応答パターンを生成する。
【0011】
米国特許第8366630(B2)号は、呼気試料に由来するVOCを検出するためのシステムであって、非極性小有機分子で被覆された単層カーボンナノチューブの化学的感応性センサのアレイを備える装置と、学習及びパターン認識分析器を備える処理ユニットとを備え、学習及びパターン認識分析器は、センサ出力信号を受信し、それらを記憶されたデータと比較する、システムに関する。
【0012】
米国特許出願公開第20120326092(A1)号は、試験被験体から試験呼気試料を収集することによって試験被験体における結腸癌を診断し、試験試料中の結腸癌を示す一組のVOCからの少なくとも1つのVOCのレベルを決定し、試験試料からの少なくとも1つのVOCのレベルを対照試料中の当該少なくとも1つのVOCのレベルと比較するための方法であって、対照試料中の当該化合物のレベルと比較した試験試料中の当該少なくとも1つのVOCの有意に異なるレベルが結腸癌を示す、方法を開示する。
【0013】
米国特許出願公開第2019271685(A1)号は、試験被験体の呼気中のVOCの存在に反応する少なくとも3つのセンサを含む選択された明確なセンサセットであって、センサが、第1の有機被覆で被覆された金属ナノ粒子及び第2の有機被覆で被覆された単層カーボンナノチューブ(SWCNT)から選択されるナノ材料を含む、センサセットと、パターン認識分析器を含む処理ユニットとを含み、パターン認識分析器が、例えば、センサセットの出力信号を受信する、システムに関する。
【0014】
米国特許第10011481(B2)号は、特定の化学感応性電界効果トランジスタに基づく電子嗅覚装置を提供する。特に、電子嗅覚装置のセンサは、VOCを検出することができる非酸化官能化シリコンナノワイヤから構成される。様々なタイプの癌を含む疾患の診断における使用方法が開示される。
【0015】
上記にもかかわらず、当技術分野で知られているスクリーニング及び検出の方法及び装置は、使いやすいように設計されていないので、高価で複雑である。更に、個人は、関連する費用及び複雑さのために、早期癌スクリーニングを受けることは困難であると考える。2017年に、世界保健機関は、「WHO Position paper on mammography screening」を発表し、乳癌スクリーニングのための新しいソリューションが緊急に必要であると述べている。更に、乳癌は、欧州委員会によって、研究における優先事項の1つとして特定されている。したがって、非侵襲性で、安価で、感度が高く、家庭内での疾患(例えば、癌)スクリーニングソリューションが必要とされている。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、当技術分野で知られているスクリーニング方法及び装置を改善する、非侵襲性及び非照射性疾患スクリーニングソリューションを提供することである。
【0017】
本発明は、ヒト試料の分析に適用される人口知能(AI)に基づいており、これは、ユーザの家庭環境内又は臨床環境などの複数の設定で使用することができる、低コストで、使いやすく、非侵襲性で、永続的な癌スクリーニングソリューションを提供する。更に、本発明は、多くの方法で、例えば、病院又は訓練された人員を必要としない特定の自己スクリーニングとして、又は医療専門家、例えば、看護師又は婦人科医によって、無痛及び無放射線迅速検査を行うことができる。更に、組み込まれた分類アルゴリズムは、AI及び/又は機械学習(ML)に依存するので、分析される試料が多いほど、分類率が高くなり、したがって、疾患をより早く予測することができる。
【0018】
本発明は、マンモグラフィとは異なり、癌の発症リスクを高めることなく癌を診断することができる。更に、それは、癌が日常の尿試料収集から診断され得、高感度(未診断のまま残された症例が少ない)、精密、正確であり、高い信頼性(転移性進行期乳癌を分類する場合、95%超)を提供するので、無放射線であり、非侵襲性である。
【0019】
先行技術に対する別の利点は、在宅診断に適した携帯型医療用スクリーニング装置が提供され、したがって、乳癌の早期検出により集団における乳癌の重症度が低減されることである。本発明の目的は、上述した問題点を解決するために、使用者がいつでもどこでも容易に携帯することができ、簡単な採尿によって乳癌を診断することができる携帯型乳癌診断装置を提供することにある。特に、携帯型乳癌診断装置は、乳癌を早期にスクリーニングするのに潜在的に有効である。
【0020】
ユーザは、モバイルアプリケーションなどのユーザインタフェースを介して携帯型医療用スクリーニング装置とデータを交換することができ、これにより、医療又は生物工学の背景を必要とせずに、携帯型医療用スクリーニング装置を使いやすく、使用しやすくする。本装置は、異なるユーザによって区別なく、経時的に無期限に使用されることができ、それを再使用可能医療装置にする。最後に、本装置は、非常に高い医療費を伴う現在のスクリーニング方法と比較して低コストであり、多くのユーザによって何度も使用することができる。
【0021】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。実施形態は従属請求項に記載されている。
【0022】
そのために、本発明は、第1の態様によれば、被験体における疾患、特に乳癌などの癌をスクリーニングするためのシステムを提供する。システムは、携帯型医療用スクリーニング装置と、人工知能ベースの分類ソフトウェアとを備える。
【0023】
携帯型医療用スクリーニング装置は、尿、血、汗、膣分泌物、呼気、唾液、涙、粘液、糞便、耳垢、膿、オナラ、皮脂などであるが、これらに限定されない被験体の試験試料を収集するための収集チャンバと、一組の化学的感応性センサと、一組の化学的感応性センサを割り当てるように構成された分析チャンバであって、一組の化学的感応性センサは、試験試料中の揮発性有機化合物(VOC)を検出し、検出の結果として試験試料中のVOCの有無を示す出力信号を生成するように適合されている、分析チャンバと、前記生成された出力信号を受信するために、一組の化学的感応性センサに動作可能に接続された第1の処理ユニットと、を有する。
【0024】
人工知能ベースの分類ソフトウェアは、第1の処理ユニットによって、コンピュータ装置(例えば、とりわけ、スマートフォン、タブレット又はPCなどのインターネットベースの装置)にインストールされたソフトウェアアプリケーションによって、又は遠隔処理ユニット(例えば、クラウドベースのサーバ)によって実行することができ、生成された出力信号を処理及び分類することによって疾患に関する結果を決定するように構成される。
【0025】
人工知能ベースの分類ソフトウェアがソフトウェアアプリケーションによって、又は遠隔処理ユニットによって実行される場合、携帯型医療用スクリーニング装置は、第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット及び/又はソフトウェアアプリケーションと、例えばBluetooth(登録商標)、WIFI、有線接続などを介して通信を確立するように構成された通信ユニットを更に含む。したがって、携帯型医療用スクリーニング装置は、遠隔処理ユニットに、又はソフトウェアアプリケーションを有する別の装置に接続することができる。遠隔処理ユニットは、ソフトウェアアプリケーションがインストールされた前述のコンピュータ装置を介してアクセスすることができる。
【0026】
本発明はまた、第2の態様によれば、被験体における疾患、特に癌をスクリーニングする方法を提供する。本方法は、携帯型医療用スクリーニング装置の収集チャンバによって、被験体の少なくとも1つの試験試料を収集することと、携帯型医療用スクリーニング装置の分析チャンバに配置された一組の化学的感応性センサによって、試験試料中のVOCを検出し、検出の結果として試験試料中のVOCの強度レベル(濃度)を示す出力信号を生成することと、携帯型医療用スクリーニング装置の第1の処理ユニットによって、生成された出力信号を受信することと、第1の処理ユニット、コンピュータ装置にインストールされたソフトウェアアプリケーション、又は遠隔処理ユニットのいずれかによって実行される人工知能ベースの分類ソフトウェアによって、生成された出力信号を処理及び分類することによって疾患に関する結果を決定することであって、人工知能ベースの分類ソフトウェアがソフトウェアアプリケーション又は遠隔処理ユニットによって実行される場合、ソフトウェアアプリケーション又は遠隔処理ユニットは、携帯型医療用スクリーニング装置の通信ユニットに動作可能に接続される、ことと、を含む。
【0027】
本発明はまた、第3の態様によれば、携帯型医療用スクリーニング装置であって、被験体の少なくとも1つの試験試料を収集するための収集チャンバと、一組の化学的感応性センサと、一組の化学的感応性センサを割り当てるように構成された分析チャンバであって、一組の化学的感応性センサは、試験試料中のVOCを検出し、検出の結果として試験試料中のVOCの有無を示す出力信号を生成するように適合されている、分析チャンバと、生成された出力信号を受信するために、一組の化学的感応性センサに動作可能に接続された第1の処理ユニットと、を有する、携帯型医療用スクリーニング装置を提供する。
【0028】
「被験体」、「ユーザ」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本発明のシステム、装置及び方法によって試料がスクリーニングされる任意の哺乳動物被験体、特にヒト被験体を指す。
【0029】
本発明によれば、第1の処理ユニット(又は計算構成要素)は、オンエッジで(すなわち、携帯型医療用スクリーニング装置自体上で)情報を処理するか、又は情報(すなわち、生成された出力信号)を通信ユニットに渡すことができ、通信ユニットは、情報を遠隔処理ユニット又はソフトウェアアプリケーションに送信し、ソフトウェアアプリケーションも遠隔処理ユニットに接続することができる。したがって、情報は、開示された携帯型医療用スクリーニング装置自体に、又はソフトウェアアプリケーション上、又は遠隔処理ユニット上で分類することができる。データ分類の結果は、例えば、携帯型医療用スクリーニング装置上の出力スクリーンを介して、医療装置における任意のユーザインタフェース(色分けされたLEDシステム、発せられた音など)を介して、又はソフトウェアアプリケーションがインストールされているコンピュータ装置上に表示され得る。いくつかの実施形態では、第1の処理ユニットは、Arduinoなどのマイクロプロセッサ及び/又はマイクロコントローラであり得る。
【0030】
システム構成
一実施形態では、第1の態様によるシステムは、携帯型医療用スクリーニング装置と、人工知能(AI)ベースの分類ソフトウェアとを備え、AIベースの分類ソフトウェアは、装置の第1の処理ユニットによって実行される。
【0031】
一実施形態では、システムは、携帯型医療用スクリーニング装置(上述の通信ユニットを含む)と、AIベースの分類ソフトウェアと、コンピュータ装置にインストールされたソフトウェアアプリケーションとを備え、AIベースの分類ソフトウェアは、ソフトウェアアプリケーションによって実行される。通信ユニットは、装置の第1の処理ユニットに動作可能に接続され、ソフトウェアアプリケーションとの通信を確立するように構成される。
【0032】
一実施形態では、システムは、携帯型医療用スクリーニング装置(通信ユニットを含む)と、AIベースの分類ソフトウェアと、遠隔処理ユニットとを備え、AIベースの分類ソフトウェアは、遠隔処理ユニットによって実行される。通信ユニットは、装置の第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニットとの通信を確立するように構成される。
【0033】
一実施形態では、システムは、携帯型医療用スクリーニング装置(通信ユニットを含む)と、AIベースの分類ソフトウェアと、コンピュータ装置及び遠隔処理ユニットにインストールされたソフトウェアアプリケーションとを備え、AIベースの分類ソフトウェアは、ソフトウェアアプリケーションによって実行される。通信ユニットは、装置の第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット及びソフトウェアアプリケーションとの通信を確立するように構成される。同様に、ソフトウェアアプリケーション及び遠隔処理ユニットは、動作可能に接続され、それらの間で通信することができる。
【0034】
一実施形態では、システムは、携帯型医療用スクリーニング装置(通信ユニットを含む)と、AIベースの分類ソフトウェアと、コンピュータ装置及び遠隔処理ユニットにインストールされたソフトウェアアプリケーションとを備え、AIベースの分類ソフトウェアは、遠隔処理ユニットによって実行される。通信ユニットは、装置の第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット及びソフトウェアアプリケーションとの通信を確立するように構成される。同様に、ソフトウェアアプリケーション及び遠隔処理ユニットは、動作可能に接続され、それらの間で通信することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、第1の処理ユニット及び通信ユニットからなるハードウェアボードを含む。
【0036】
メモリ又はデータベース、健康データ及び/又は人口統計データ
いくつかの実施形態では、システムは更に、被験体及び/又は複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを記憶するように構成される、少なくとも1つのメモリ又はデータベースを備える。メモリ又はデータベースは、AIベースの分類ソフトウェアによって使用され、第1の処理ユニット、遠隔処理ユニット、及び/又はソフトウェアアプリケーションのいずれかと通信する。メモリ又はデータベースに含まれる任意のデータは、メモリ又はデータベースセット全体を変更することなく、メモリ又はデータベースセットから使用、抽出及び/又は更新することができる。このメモリ又はデータベースは、比較結果を結果に変換するために、中のデータを被験体自身のデータと比較することを可能にする。
【0037】
一実施形態では、メモリ又はデータベースは遠隔処理ユニットに含まれる。他の実施形態では、メモリ又はデータベースは遠隔であり、遠隔処理ユニット及び/又はソフトウェアアプリケーションに関連付けられる。他の実施形態では、メモリ又はデータベースはソフトウェアアプリケーションに含まれる。別の実施形態では、メモリ又はデータベースは、第1の処理ユニットに含まれる。
【0038】
一実施形態では、システムは、少なくとも2つのエンティティ/要素、すなわち、携帯型医療用スクリーニング装置及び少なくとも1つのメモリ又はデータベースから構成される。
【0039】
一実施形態では、システムは、少なくとも3つのエンティティ/要素、すなわち、携帯型医療用スクリーニング装置、ソフトウェアアプリケーション、及び少なくとも1つのメモリ又はデータベースから構成される。
【0040】
一実施形態では、システムは、少なくとも3つのエンティティ/要素、すなわち、携帯型医療用スクリーニング装置、遠隔処理ユニット、及び少なくとも1つのメモリ又はデータベースから構成される。
【0041】
一実施形態では、システムは、少なくとも4つのエンティティ/要素、すなわち、携帯型医療用スクリーニング装置、遠隔処理ユニット、ソフトウェアアプリケーション、及び少なくとも1つのメモリ又はデータベースから構成される。
【0042】
先に説明したように、メモリ又はデータベースは、被験体及び/又は複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを記憶することができる。一実施形態では、AIベースの分類ソフトウェアは、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人及び/又は被験体の少なくとも記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して、疾患に関する結果(すなわち、データ分類結果)を決定するように更に構成されている。メモリ/データベースはまた、後のスクリーニングプロセスにおいて考慮されるために、疾患に関する決定された結果を記憶することができる。
【0043】
「健康データ」という用語は、本発明の文脈において、個人の身体的又は精神的健康に関する任意の情報を指し、更に、健康状態、治療の選択に関する個人的選択、健康保障又は保険契約番号、全ての種類の治療報告、健康及びウェルネスに関する社会経済的パラメータ、又は過去数年の疾患などの歴史的健康背景に関する全てのタイプのデータを指す。健康データは、ユーザ又は個人の病歴、被験体の家族病歴、薬剤服用、喫煙習慣又は薬物消費を指すが、これらに限定されない。
【0044】
用語「人口統計データ」は、本発明の文脈において、年齢、人種、性別などの因子に基づく集団の研究に関連する任意の情報を指す。人口統計データはまた、雇用、教育、収入、結婚率、出生率、死亡率などを含む統計的に表現された社会経済的情報を指す。人口統計データは、年齢、ジェンダ、性別、民族、出身地/居住地、又はスポーツ練習の頻度などの他の習慣/実況を指すが、これらに限定されない。
【0045】
特定の実施形態では、ユーザ/複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データは、年齢、性別、ジェンダ、民族性、出身地/居住地、体重、身長、肥満度指数、薬物消費に関連する習慣(例えば、タバコ、アルコール、大麻及び他の毒性物質)、ユーザの病歴、家族病歴、家族癌歴、ユーザ自身の癌歴(例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、メラノーマ、膀胱癌、腎臓癌、非ホジキンリンパ腫)、腫瘍の組織型、腫瘍挙動(インサイチュ又は侵襲的)、腫瘍プロファイル(luminal A、luminal B HER2/neu+、luminal B HER2/neu-、HER2/neu+orTriple-)、腫瘍サイズ、腫瘍TNM分類、腫瘍ステージ(I、II、III又はIV)、癌検出方法(スクリーニング又は臨床的)、腫瘍組織学的程度(G1、G2又はG3)、月経、初潮及び閉経特性(例えば、周期、タイミング)、出産した子供の数、早産の数、流産の数、生きている子供の数、生殖状態(例えば、不妊治療下、妊娠中、授乳中、産後)、乳房疾患歴(例えば、月経周期中の胸痛、ホルモン変化、腫脹、乳腺のしこり又は圧痛、嚢胞、線維腺腫、一般的なしこり、乳房分泌物、乳頭の痛み/ひび割れ/痒み、陥没乳頭)、内分泌障害(例えば、糖尿病、甲状腺障害、多嚢胞性卵巣症候群、低テストステロン、骨粗鬆症)又は食事タイプ(例えば、雑食、セミベジタリアン、「ニワトリ」-arianism、ペスカタリアニズム、菜食主義者、牛乳菜食主義者、オボベジタリアニズム、apivegetarianism、菜食主義者、生菜食主義者、granivorianism、果実食主義、ケトン産生食)を含むことができる。
【0046】
特に、ユーザ/複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データは、年齢、性別、薬物消費に関連する習慣、ユーザの病歴、家族病歴、家族癌歴、ユーザ自身の癌歴、及び/又は乳房疾患歴を含む。
【0047】
メモリ又はデータベースは、スクリーニング構成に従って異なる種類の情報を含むことができる。例えば、メモリ又はデータベースは、被験体のデータがメモリ又はデータベースにまだ記憶されていない場合、例えば、被験体の最初のスクリーニングである場合、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データのみを含むことができる。別の例では、メモリ又はデータベースは、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データ、並びに被験体の健康データ及び/又は人口統計データを含むことができ、例えば、被験体は、以前のスクリーニングからそれ自体のデータをすでに導入しており、当該データは、メモリ又はデータベースにすでに記憶されている。
【0048】
特定の実施形態では、メモリ又はデータベースは、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを含む。
【0049】
特定の実施形態では、メモリ又はデータベースは、被験体並びに複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを含む。
【0050】
本発明において、メモリ又はデータベースに記憶されるデータは、生データ及び/又は処理済みデータであり得ることが理解される。いくつかの実施形態では、メモリ又はデータベースに含まれるデータは、生データ、すなわち、AIベースの分類ソフトウェアによって処理されていないデータであり得る。いくつかの実施形態では、メモリ又はデータベースに含まれるデータは、いくつかのスクリーニング後のデータから抽出されたパターン等の処理されたデータであり得る。
【0051】
いくつかの実装形態では、メモリ又はデータベースは、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データをその中に記憶して含み、AIベースの分類ソフトウェアは、記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して疾患に関する結果を決定することを含む。
【0052】
いくつかの実装形態では、方法はまた、被験体の健康データ及び/又は人口統計データを取得することと、取得されたデータをメモリ又はデータベースに記憶することとを含み、AIベースの分類ソフトウェアは、被験体の記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して疾患に関する結果を決定することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、健康データ及び/又は人口統計データは、ソフトウェアアプリケーションのユーザインタフェース又は携帯型スクリーニング医療用装置を介して取得される。
【0054】
携帯型医療用スクリーニング装置本発明において、携帯型医療用スクリーニング装置は、スクリーニングを実行するために異なる要素を収容するように適合され得る。要素の一組を囲む携帯型医療用スクリーニング装置は、個人によって容易に取り扱われ、使用されるようにするサイズ及び構成であり、したがって、家庭内スクリーニングを可能にする。
【0055】
一実施形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット、及び/又はコンピュータ装置上にインストールされたソフトウェアアプリケーションとの通信を確立するように構成された通信ユニットを備える。
【0056】
一実施形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、収集チャンバの上方に配置されたグリッド、及び/又は収集チャンバを開閉及び支持するための引き出しを含む。
【0057】
いくつかの実装形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、収集チャンバ、グリッド、分析チャンバ、第1の処理ユニット、及び通信ユニットを囲むように適合された箱体から構成されることができ、箱体は、引き出しの導入のための中空部分を有する。
【0058】
特に、携帯型医療用スクリーニング装置収集チャンバの上方に配置されたグリッド、及び/又は収集チャンバを開閉及び支持するための引き出しを備え、携帯型医療用スクリーニング装置は、収集チャンバ、グリッド、分析チャンバ、第1の処理ユニット及び通信ユニットを囲むように適合された箱体から構成され、箱体は、引き出しの導入のための中空部分を有する。
【0059】
一実施形態では、装置は、尿試料などのヒト試料を収集する収集チャンバを備える。試験試料は、装置内に直接収集され得るか、又は別個の装置もしくは容器内に収集され、次いで、開示される装置内に導入され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、引き出しは絶縁材料で充填することができる。更に、引き出しは、穴(収集チャンバを割り当てるように構成された穴)を備えることができ、その壁は、試料に熱を照射するように構成され、そこで試験試料を収集することができる。特定の実施形態では、全体の壁は、壁を覆う熱ブランケットによって試料に熱を照射する。
【0061】
本発明において、携帯型医療用スクリーニング装置は、スクリーニングを実行するために被験体によって使用される要素である。更に、上述のシステム構成によれば、とりわけ、コンピュータ装置、特に携帯電話又はタブレットにインストールされたソフトウェアアプリケーションをシステムに更に含めることができ、装置の第1の処理ユニットとの通信を確立するように構成することができる。同様に、遠隔処理ユニットをシステムに更に含めることができる。遠隔処理ユニットは、とりわけ、クラウド内に、又はPC、タブレット、もしくはラップトップ等のコンピュータ装置上に配置することができる。異なるシステム要素間の通信は、有線又は無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、WIFI、衛星又は5Gを介して)であり得る。本明細書で使用される「コンピュータ装置」という用語は、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、又はスマートウォッチを含むがこれらに限定されない、中央処理装置(CPU)を有する任意のコンピュータハードウェアを指す。
【0062】
一実施形態では、遠隔処理ユニットは、例えば、クラウド、ウェブブラウザ、コンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、又はタブレットに配置される。
【0063】
一実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、例えば、ウェブブラウザ、コンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、PDA、タブレット、又はスマートウォッチに配置される。
【0064】
一実施形態では、ソフトウェアアプリケーション及び/又は遠隔処理ユニットは、第1の処理ユニットと無線で動作可能に接続される。特定の実施形態では、無線接続は、Bluetooth(登録商標)及び/又はWIFIを介する。
【0065】
特定の実施形態では、医療装置は遠隔地で操作することができる。その場合、医療装置は、特にそのような目的のために装置に埋め込まれた特別な接続モジュールを使用して、衛星又は5Gを介してクラウドに直接接続する能力を有する。特定の実施形態では、無線接続は、衛星及び/又は5Gを介する。
【0066】
ユーザインタフェース
本発明では、被験体の健康データ及び/又は人口統計データは、ユーザインタフェースを介して収集され、次いで、AIベースの分類ソフトウェアによって処理され、及び/又はメモリ/データベースに記憶される。ユーザインタフェースは、ソフトウェアアプリケーション又は携帯型医療用スクリーニング装置のいずれかによって表示され得る。例えば、ユーザインタフェースは、コンピュータ装置にインストールされたソフトウェアアプリケーションによって表示され、コンピュータ装置はスマートフォンである。
【0067】
ソフトウェアアプリケーションは、XML、JavaScript(登録商標)、Swift、Python、SQL、PHP、Ruby、C、C++又はC Sharpを含むがこれらに限定されない異なるプログラミング言語を使用して開発することができる。ソフトウェアアプリケーションは、限定はしないが、Android、iOs、Linux、Mac OS、Windows MS、Ubuntu、Android、Fedora、Solaris、Free BSD、又はChrome OSを含む異なるオペレーティングシステム上で実行することができる。特定の実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、Androidスマートフォン上で実行され、ソフトウェアアプリケーションは、XML及び/又はJava(登録商標)を使用して開発される。特定の実施形態では、ソフトウェアアプリケーションはiOsスマートフォン上で実行され、ソフトウェアアプリケーションはSwiftを使用して開発される。
【0068】
ソフトウェアアプリケーションがコンピュータ装置にインストールされると、被験体は、名前又はニックネーム、電子メール、誕生日、性別、及びパスワードなどの個人データを紹介して登録する(すなわち、アカウントを作成する)ことができる。ログイン後、ソフトウェアアプリケーションは、とりわけ、個人情報インタフェース(例えば、被験体の健康データ及び人口統計データ)(
図9パネルA)、スクリーニング履歴インタフェース(
図9パネルC及びD)、スクリーニング検査実行インタフェース(
図10パネルA~F)、構成/設定インタフェース(
図9パネルB)等の異なるインタフェースを表示する。
【0069】
スクリーニング検査実行インタフェースによって、ソフトウェアアプリケーションは、診断が表示されるまで、スクリーニングプロセスを通して被験体及び/又は医療専門家を直感的に案内することができる。被験体は、スクリーニング検査の実行をいつ開始するかを決定することができ、インタフェースは、例えば、Bluetooth(登録商標)、WIFI、及び/又はセルラー設定を有効にし(
図10パネルA)、試験試料を携帯型医療用スクリーニング装置に導入する(
図10パネルC)ための命令をユーザに表示する。これらの命令の後、データは自動的に処理され、コンピュータ装置に送り返され(データがコンピュータ装置内に位置しない処理ユニット内で処理される場合)、コンピュータ装置は、疾患に関する結果を理解可能な方法で表示する(
図10のパネルF)。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、スクリーニングプロセスを通して被験体を案内することができる。
【0070】
ソフトウェアアプリケーションは、ユーザが疾患に関する結果を受信するためのいくつかのオプションを更に含むことができ、これには、コンピュータ装置に結果を表示すること、医療従事者(医師、看護師、又は心理学者など)から電話を受けること、又は医師の面会予約を設定することが含まれ、あるいは診断は、通知又は腫瘍報告として医療従事者に到着することができる。
【0071】
個人情報インタフェースによって、ユーザは、正確な結果を生成するためにAIベースのソフトウェアによって更に考慮される健康データ及び/又は人口統計データを導入することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、被験体の健康データ及び/又は人口統計データは、ソフトウェアアプリケーションのユーザインタフェースを介して収集され、次いで、メモリ/データベースに記憶される。
【0073】
更に、ソフトウェアアプリケーションは、結果を配信しながらユーザの心理的評価を連続的に実行する自然言語処理(NLP)によって電力供給されるチャットボットである埋め込み仮想エージェントを組み込むことができる。仮想エージェントは、(例えば、ソフトウェアアプリケーションに組み込まれたチャットボットを介して)ユーザのテキストベースの応答を分析し、ユーザが、それに応じて、又は回避行動パターンに従って感情を処理しており、したがって、心理的支援を必要としているかどうかを判定する。代替又は追加として、仮想エージェントは、ユーザの顔の表情(コンピュータのカメラによって取り込まれる)を分析し、畳み込みニューラルネットワークを使用してそれを処理して、それらをユーザが感じている可能性がある感情と相関させることができる。
【0074】
スクリーニングが行われる環境に応じて、異なるソフトウェアアプリケーションを使用することができる。一実施形態では、スクリーニングが家庭内で行われることが意図される場合、ソフトウェアアプリケーションは、被験体に向けられ、例えば、複数の目的(例えば、ソーシャルネットワーキング、科学論文共有、又は健康データ共有)のためのフォーラムを含む。別の実施形態において、スクリーニングは、簡略化されたソフトウェアアプリケーションであり、主に結果表示を含む、IT能力が制限された被験体(例えば、高齢者)によって自宅で行われることが意図される。更に別の実施形態では、スクリーニングは、家庭内で行われることが意図され、ソフトウェアアプリケーションは、被験体に向けられ、結果表示を含まず、むしろ被験体のスクリーニング履歴を含む(結果は、医療専門家に送信される)。別の実施形態では、スクリーニングは、臨床環境(例えば、病院、療養所、薬局、救急車)において行われることが意図され、ソフトウェアアプリケーションは、PDA又はタブレットにインストールされ、医療専門家によって管理され、主に結果表示を含む。
【0075】
化学的感応性センサ
本発明において、携帯型医療用スクリーニング装置は、生成された出力信号を受信するために、第1の処理ユニットが動作可能に接続された、試験試料中のVOCの有無を検出する一組の化学的感応性センサを含む。特定の実施形態では、第1の処理ユニットは、有線接続を介して一組の化学的感応性センサに接続される。
【0076】
本発明は、疾患(例えば、乳癌)の存在が、試験試料(例えば、尿)中に見られる特定の化学化合物によって示されるのではなく、例えば、尿に見られる全ての化学化合物間の比例関係によって示されるという原理に基づく。
【0077】
分析チャンバにおける一組の化学的感応性センサは、いくつかのバイオマーカー(例えば、乳癌バイオマーカー)に特異的ではなく、むしろ複数の試料特性又は組成に対して感受性である。更に、試料分類は、例えば、癌バイオマーカーの特定の組の有無に単純に依存しない。
【0078】
化学的感応性センサによって捕捉される化合物は直接的なものではなく、例えば癌性代謝産物である。代わりに、それらは細胞代謝から生じる残留代謝産物である。例えば、癌は身体の生理機能の変化を引き起こすので、前述の代謝産物は、癌に起因して濃度が変化する。特定のバイオマーカーの代わりに化学物質間の割合を標的とするこの戦略は、犬の嗅覚皮質の後に着想される。
【0079】
本発明によれば、生成された出力信号は、試験試料中のVOCの有無を示す。一実施形態において、生成された出力信号は、電圧がVOCの濃度に比例する電気信号を含む。例えば、出力信号は、VOCが存在しない場合には「0」であり、試験試料がVOCで飽和されている場合には「1023」であり、信号は、ある量のVOCが存在する場合には中間値をとる。すなわち、出力信号は、特にアナログ信号である。
【0080】
一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、光イオン化検出器(PID)、炎イオン化検出器(FID)、金属酸化物センサ(MOS)及び/もしくはシリコンフォトニックリング共振器(SPRR)、又は揮発性有機化合物に対して感応性であり、濃度非依存フィンガープリントを有する自己組織化単分子膜被覆センサアレイからなる任意のタイプのガス感知構造を含む。一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、金属酸化物センサ及び/又は有機化合物感応性センサ(例えば、半導体ベースの化学抵抗センサ、電気化学センサ、金属酸化物センサ及びPIDセンサ)を含む。特定の実施形態では、MOSは酸化スズセンサである。
【0081】
これらのセンサは、ナノテクノロジー又はマイクロ流体技術と組み合わせて又は組み合わせずに使用することができ、分析前又は分析中にマイクロ流体回路を通って循環するヒトの体液を有し、マイクロ流体回路を流れるその能力を測定し、更にその匂いを測定する。一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、マイクロ流体技術と組み合わせて使用される。一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、ナノテクノロジー技術と組み合わせて使用される。
【0082】
一実施形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、少なくとも1つの化学的感応性センサから構成される。特に、携帯型医療用スクリーニング装置は、1~20個の化学的感応性センサから構成される。より詳細には、携帯型医療用スクリーニング装置は、5~10個の化学的感応性センサから構成される。より詳細には、携帯型医療用スクリーニング装置は、9つの化学的感応性センサから構成される。
【0083】
一組の化学的感応性センサは、VOCを全て同時に検出するように構成することができる。他の実施形態では、化学的感応性センサの各々は、所与の時間間隔でVOCを検出するように構成することができる。同様に、いくつかの実施形態では、化学的感応性センサの各々は、1つ以上のVOCに反応することができる。
【0084】
一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、様々な分、好ましくは45分未満にわたってVOCを検出する。特定の実施形態では、一組の化学的感応性センサは、10~120分の時間間隔、好ましくは25~35分の時間間隔の間にVOCを検出する。
【0085】
試験試料
一実施形態では、VOCの有無を検出することとは別に、携帯型医療用スクリーニング装置は、他の物理的/化学的特性の中でも特に、化学組成、匂い、温度、粘度(すなわち、レイノルズ数)、密度、色、導電率、静電容量、沸騰時間、その重量又は透光性、屈折率、経時又は試料が加熱されている間の任意の化学的/物理的特性の変化など、試験試料のいくつかの特性を更に検出する。
【0086】
いくつかの実施形態では、化学試薬又は任意の他の物質、音波処理などの物理的振動、熱、圧力、基板のデカンテーションなどの移動、及び他の刺激などであるがこれらに限定されない何らかの化学的又は物理的刺激を試料に加えることが必要な場合がある。更に、観測は、前述の観測の変化又は変化が起こる速度に基づいて行うこともできる。
【0087】
別の実施形態では、携帯型医療用スクリーニング装置は、試験試料の性質を考慮して、又は試験試料の特定の匂いを考慮して、特定の応答(すなわち、パターン)を生成する。
【0088】
本発明は、少なくとも1つの試験試料を分析して、VOCの有無を示す出力信号を生成することができる。
【0089】
試験試料は、尿、血、汗、涙、膣粘液、膣分泌物、月経血、月経粘液、呼気、唾液、漿液、糞便、精子、涙、粘液、便、耳垢、膿、オナラ、皮脂であり得るが、これらに限定されない。特に、試験試料は、尿、呼気、膣分泌物、月経血、糞便及び唾液であり得る。より具体的には、試験試料は尿である。
【0090】
いくつかの実施形態では、システム、装置、及び方法は、2つの試験試料、例えば、尿及び呼気、尿及び月経血、又は呼気及び月経血を収集及び分析する。いくつかの実施形態では、システム、装置、及び方法は、3つの試験試料、例えば、尿、呼気、及び月経血を収集し、分析する。
【0091】
いくつかの実施形態では、引き出しは、絶縁材料で充填され、穴(収集チャンバを割り当てるように構成される穴)を備え、したがって、試料を含有する収集チャンバは、穴に導入され、より良好に保持されることができる。更に、穴の壁は、試料に熱を更に照射することができる。いくつかの実施形態では、これは、熱ブランケット(すなわち、電気エネルギーを熱に変換する散逸抵抗)で覆われている穴壁の内側によって行われる。したがって、熱ブランケットは、試料又は収集チャンバと直接接触している穴の壁を加熱することができ、したがって、熱を収集チャンバ及び試料に伝達することができる。試料加熱プロセスを制御するために、一実施形態では、第1の処理ユニットは、システムが熱ブランケット及び穴壁と接触している温度センサに電圧を供給することを機械的に開始及び停止することができるリレーに動作可能に接続される。温度センサは、熱ブランケット内に一体化されてもよく、穴壁に接触して直接配置されてもよく、収集チャンバに接触して直接配置されてもよく、又は試料に接触して直接配置されてもよい。温度センサは、第1の処理ユニットと動作可能に接続されており、第1の処理ユニットは、試料が存在する温度(又は近似値)を、各時点において、連続的に報告する。この情報に基づいて、第1の処理ユニットは、熱ブランケットをオン又はオフに保つ決定を行い、したがって試料の温度並びに試料が加熱される速度を制御するように構成される。そうすることによって、熱ブランケット、温度センサ、リレー、及び第1の処理ユニットは、フィードバック制御ループを形成して、試料の温度を設定する。
【0092】
一実施形態では、一組の化学的感応性センサは、試験試料の温度が少なくとも25℃の温度に達すると、試験試料中のVOCを検出するように構成される。特に、試験試料は、少なくとも40℃の温度に達する。特に、試験試料は、少なくとも50℃の温度に達する。更に別の特定の実施形態において、試験試料は、25℃~90℃の温度に達する。更に別の特定の実施形態では、試験試料は40℃~90℃の温度に達する。スクリーニングの精度及び最適化は、試験試料がそのような温度に達する場合に改善される。化学的感応性センサは、試験試料中の温度が、試料を加熱するために選択された温度に応じて例えば80~95℃の温度に達すると、VOCの検出を停止する。
【0093】
試験試料は、携帯型医療用スクリーニング装置内に直接収集され得るか、又は別個の装置もしくは容器内に収集され、次いで、開示される装置内に導入され得る。特定の実施形態では、容器は収集チャンバである。
【0094】
人工知能ベースの分類ソフトウェア
人工知能ベースの分類ソフトウェアは、1つ以上の機械学習/人工知能ベース(ML/AI)、又は統計分類アルゴリズムを含むことができ、これらに限定されないが、長短期記憶(LSTM)などの人工回帰ニューラルネットワーク(RNN)、人工ニューラルネットワーク(ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(cNN又はConvNet)、主成分分析(PCA)、多層知覚(MLP)、一般化回帰ニューラルネットワーク(GRNN)、ファジー推論システム(FIS)、自己組織化マップ(SOM)、ラジアルバイアス関数(RBF)、遺伝的アルゴリズム(GAS)、ニューロファジーシステム(NFS)、適応共鳴理論(ART)、部分最小二乗(PLS)、多重線形回帰(MLR)、主成分回帰(PCR)、判別関数分析(DFA)、線形判別分析(LDA)、クラスタ分析、及び最近傍を含む。特に、AI/ML分類アルゴリズムは、LSTM及び/又はANNなどのRNNである。
【0095】
VOCのパターンを同定し、それらの濃度を定量化するのに適した追加のアルゴリズムは、フィッシャー線形判別分析(FLDA)、クラスアナロジのソフト独立モデリング(SIMCA)、k最近傍法(kNN)、及びファジー論理アルゴリズムを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、FLDA及び正準判別分析(CDA)並びにそれらの組み合わせを使用して、出力シグネチャとデータベースからの利用可能なデータとを比較する。
【0096】
アルゴリズムの多くは、ニューラルネットワークベースのアルゴリズムである。ニューラルネットワークは、入力層、処理層及び出力層を有する。試料からセンサによって抽出されたデータは、入力として入力層に供給され、出力層に到達するまで処理層を通って流れる。各処理層において、情報は修正され、次の層に渡される。出力層に到達する情報は、分類の結果につながる。処理層は、それらのノードへの相互接続によってニューロンをシミュレートするノードから構成される。動作中、ニューラルネットワークがセンサアレイと組み合わされるとき、センサデータはネットワークを通して伝搬される。このようにして、一連のベクトル行列乗算が実行され、未知の分析物を容易に識別し、決定することができる。ニューラルネットワークは、所与の入力からの誤った出力又は望ましくない出力を訂正することによって訓練される。データの集合内の基礎となるパターンを明らかにする統計分析と同様に、ニューラルネットワークは、所定の基準に基づいて、データの集合内の一貫したパターンを見つける。
【0097】
疾患に関する結果
本発明では、AIベースの分類ソフトウェアが全ての入力(例えば、センサによって取得されたデータ及びソフトウェアアプリケーションによって導入されたユーザのデータ)を処理すると、ソフトウェアアプリケーション又は携帯型医療用スクリーニング装置は、結果をユーザに表示することができる。
【0098】
用語「結果」は、本明細書では、疾患の決定又は検出(例えば、疾患の診断)を指し、これは、とりわけ、疾患の有無に関する指標、疾患に罹患するリスク確率、疾患の程度及び/又はタイプ(又はサブタイプ)及び/又は腫瘍のサイズの指標、特定の治療の推奨、特定の疾患の進行の予測を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、試料分類が、ソフトウェアアプリケーションでホストされるAIベースの分類ソフトウェアによって行われる場合、結果は、コンピュータ装置で示される。別の実施形態では、試料分類が、ソフトウェアアプリケーションでホストされるAIベースの分類ソフトウェアによって行われる場合、結果は、インターネット、Bluetooth(登録商標)、又は別の手段を介して送信され、携帯型スクリーニング装置において示される。別の実施形態では、試料分類が、スクリーニング装置又はクラウドベースのサーバにおいてホストされるAIベースの分類ソフトウェアによって行われる場合、結果は、例えば、インターネット又はBluetooth(登録商標)を介して、そのようなスクリーニング装置から、又はクラウドサーバからソフトウェアアプリケーションに送信されることができ、そこで結果が表示される。別の実施形態では、試料分類が、クラウドベースのサーバにおいてホストされるAIベースの分類ソフトウェアによって行われる場合、結果は、例えば、インターネット又はBluetooth(登録商標)を介して、そのようなスクリーニング装置から携帯型スクリーニング装置に送信されることができ、そこで、結果が表示される。更に別の実施形態では、試料分類が、第1の処理ユニットにおいてホストされるAIベースの分類ソフトウェアによって行われる場合、結果は、スクリーニング装置において示される。これにより、ユーザは、分類が完了するとすぐに結果をチェックすることができる。
【0100】
一実施形態では、AIベースの分類ソフトウェアは、生成された出力信号を処理及び分類することによって疾患に関する結果を決定するように構成される。一部の実施形態では、疾患に関する結果は、疾患の有無に関する指標を含む。例えば、結果は、報告又はバイナリ結果(例えば、「癌」及び「健康」等に対する値「0」又は「1」)の形態であり得る。AIベースの分類ソフトウェアは、疾患に罹患するリスク確率を通じて結果を決定することができる。いくつかの実施形態において、疾患に関する結果は、疾患に罹患するリスク確率である。
【0101】
更に、人工知能はまた、分析中の試験試料についての情報、すなわち腫瘍のサイズ(適用可能な場合)、癌のタイプ(適用可能な場合)及び他の情報を提供するように実施される。特定の実施形態では、結果は、疾患の程度及び/もしくはタイプ(もしくはサブタイプ)の指標、並びに/又は疾患が癌である場合、腫瘍のサイズの指標を含む。「疾患」という用語はまた、健康な被験体と比較して変化している被験体の任意の状態、障害、症候群、又は状態を含むことができ、生物の全部又は一部の構造又は機能に悪影響を及ぼす特定の異常な状態を指す。被験体の状態又は変化した状態は、疾患、障害、症候群、又は重度の状態を引き起こし得る特定の徴候及び症状に関連することが多い。
【0102】
癌、糖尿病、ストレス、テンカン、アルツハイマー疾患、口腔感染、歯周病、口臭、ケトーシス、酵母菌感染、尿路感染、肺炎、肺感染、性感染症、膣炎、腎炎、ビリルビン産生、腎臓疾患、尿毒症、トリメチルアミン尿症、心臓血管疾患、コレステロール過剰血症、及び胃腸感染症を含むがこれらに限定されない多くの疾患を本発明によって診断、予測又は監視することができる。
【0103】
本発明は、急性ぜんそく、肝昏睡、リウマチ性関節炎、精神分裂症、ケトーシス、心肺病、尿毒症、真性糖尿病、味覚異常/嗅覚障害、シスチン尿症、硬変、ヒスチジン血症、チロシン血症、口臭、及びフェニルケトン尿症を含むがこれらに限定されない他の医学的障害を診断するのに更に役立ち得る。
【0104】
本発明によって検出され得る癌の非限定的な例は、脳癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、口腔癌、及び皮膚癌である。癌の具体例は以下の通りである:腺癌、副腎腫瘍、エナメル芽細胞腫、未分化腫瘍、甲状腺細胞の未分化癌、血管線維腫、血管腫、血管肉腫、アプドーマ、銀親和性腫、アレイ芽細胞腫、腹水腫瘍細胞、腹水腫瘍、星状芽細胞腫、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調症、心房粘液腫、基底細胞癌、良性腫瘍、骨癌、骨腫瘍、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、膣腫瘍、バーキットリンパ腫、癌腫、小脳星状細胞腫、子宮頸癌、老年性血管腫、胆管癌、胆管腫、軟骨芽細胞腫、軟骨腫、軟骨肉腫、絨毛芽細胞腫、絨毛癌、喉頭癌、結腸癌、一般的な急性リンパ芽球性白血病、頭蓋咽頭癌、嚢胞癌、嚢胞腫、嚢胞腫、線維芽細胞腫、線維芽細胞腫、乳管内上皮内癌、乳管乳頭腫、未分化胚細胞腫、脳腫、子宮内膜癌、内皮腫、上衣腫、上皮腫、赤白血病、ユーイング肉腫、リンパ節外リンパ腫、ネコ肉腫、線維腺腫、線維肉腫、甲状腺の濾胞性癌、神経節腫、ガストリノーマ、多形性神経膠芽腫、神経膠腫、性腺芽腫、血管芽腫、血管内皮芽腫、血管内皮腫、血管周囲細胞腫、造血器腫、血球芽細胞腫、血球細胞腫、有毛細胞白血病、過誤腫、肝細胞癌、肝細胞癌、肝細胞腫、ヒストマ、ホジキン病、高腎腫、浸潤癌、浸潤性乳管細胞癌、インスリノーマ、若年性線維腫、カポジ肉腫、腎腫瘍、大細胞リンパ腫、急性白血病、白血病、肝癌、肝転移、ルッケ癌腫、リンパ腺腫、リンパ管腫、リンパ球性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ細胞腫、リンパ浮腫、リンパ腫、肺癌、悪性中皮腫、悪性奇形腫、肥満細胞腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、転移性癌、モートン神経腫、多発性骨髄腫、骨髄芽腫、骨髄性白血病、骨髄脂肪腫、骨髄腫、筋芽腫、粘液腫、鼻咽頭癌、腎芽腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経線維腫症、神経膠腫、神経腫、非ホジキンリンパ腫、乏突起膠腫、視神経膠腫、骨軟骨腫、骨原性肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳頭のパジェット病、パンコースト腫瘍、膵臓癌、褐色細胞腫、褐色細胞腫、褐色細胞腫、形質細胞腫、原発性脳腫瘍、プロゲストーマ、プロラクチノーマ、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、横紋肉腫、固形腫瘍、肉腫、続発性腫瘍、セミノーマ、皮膚癌、小細胞癌、扁平上皮癌、いちご状血管腫、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣癌、胸腺腫、栄養膜腫瘍、腫瘍形成性、前庭神経鞘腫、ウィルムス腫瘍、又はそれらの組み合わせ。
【0105】
いくつかの実施形態において、疾患は、癌、糖尿病及びストレスからなる群から選択される。特定の実施形態では、疾患は癌である。特定の実施形態では、癌は、乳癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、結腸癌、脳癌、子宮癌又は肺癌からなる群から選択することができる。より特定の実施形態では、癌は乳癌である。
【0106】
本発明はまた、癌に関与するパターンの同定にも関する。特に、本発明は、そのステージ内及びステージ間の異なるグレードの癌を同定することができる。大まかに定義すると、これらの病期は、非悪性対悪性であるが、正常対異型(任意選択で、反応性及び前新生物を含む)対癌性とみなすこともできる。病期の別の定義は、正常対前癌性(例えば、異型乳管過形成(ADH)又は異型小葉過形成(ALH))対癌性(例えば、DCIS及び/又はLCISなどの上皮内癌)対侵襲性(例えば、IDC及び/又はILCなどの癌)である。本発明はまた、正常細胞と非正常細胞(癌性細胞及び他の非正常細胞を含む)との間の識別に適用され得る。
【0107】
例えば、乳癌の等級付けは、通常、浸潤性腺管癌(IDC)の症例について行われ、浸潤性小葉癌(ILC)についても同様に行うことができ、ノッティンガムBSR、核形態、組織構造、増殖指数(PCNA又はKi67についてのアッセイなど)、及び分化の程度などの細胞学的基準を使用して、I、II又はIIIの等級を特定の乳癌試料に割り当てる。グレードIは、通常、細胞がまだ十分に分化しており、エストロゲン受容体(ER)に対して通常陽性である場合である。グレードIIIは、通常、細胞が低分化であり、通常、ERに対して陰性である場合である。グレードIIは、一般に、細胞がグレードIとグレードIIIの中間の特性を有し、測定される全試料の約60%を構成し得る場合である。
【0108】
例えば、乳癌の「ステージ」(複数可)(又はその等価物)は、例えば、公知の細胞学手順又は組織学手順(免疫組織学、組織化学及び免疫組織化学を含む)によって規定されるような、乳房細胞の生理学的状態を指す。非限定的な例としては、正常対異常、非癌性対癌性、本明細書に記載される異なるステージ(例えば、過形成、癌腫、及び浸潤性)、及び異なるステージ内のグレード(例えば、グレードI、II、もしくはIII又は癌性ステージ内のそれらの等価物)が挙げられる。
【0109】
一実施形態において、疾患に関する結果は、疾患のステージ、組織学的グレード、組織型、挙動、プロファイル、TNMステージ分類(腫瘍/節/転移)などの疾患の程度の指標を含む。特定の実施形態において、疾患に関するステージは、I、II、III又はIVであり得る。特定の実施形態において、疾患に関する挙動は、過形成性、癌腫又は浸潤性であり得る。特定の実施形態では、疾患に関する組織学的グレードは、グレードI、グレードII又はグレードIIIであり得る。特定の実施形態では、疾患に関するプロファイルは、LuminalA、LuminalB HER2/neu+、LuminalB HER2/neu-、HER2/neu+又はトリプル-であり得る。
【0110】
被験体は、1回のスクリーニングでいくつかの疾患を診断するために本発明を使用することができる。したがって、一実施形態では、疾患に関する結果は、少なくとも1つの疾患を含む。特定の実施形態では、結果は、疾患のタイプの指標を含む。特定の実施形態では、乳癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、卵巣癌、肝臓癌及び子宮癌を診断することができる。特定の実施形態では、乳癌、膵臓癌及び肺癌を診断することができる。
【0111】
腫瘍体積は、治療計画並びに腫瘍退縮及び疾患予後の程度の評価にとって重要である。したがって、本発明はまた、腫瘍自体のサイズ及び体積を決定することができる。一実施形態において、疾患に関する結果は、腫瘍のサイズの指標を含む。特定の実施形態において、疾患は癌であり、結果は腫瘍のサイズの指標を含む。
【0112】
加えて、それは、過去に行われた治療の観察及びそれらの成功率に基づく、治療推奨を含むことができる。一実施形態では、疾患に関する結果は、治療推奨を含む。
【0113】
一部の実施形態では、疾患に関する結果は、現在の試料と以前に分析された試料との間の比較に基づく疾患の進行の予測である。
【0114】
本発明は、疾患のスクリーニング及び監視目的のために使用され得る。例えば、乳癌と診断された患者を定期的にスクリーニングして、異なる時点で疾患のステージ/グレードに関する診断を得ることができる。いくつかの態様において、本発明は、被験体における疾患の進行、退行、再発、及び/又は治療に対する応答を監視するために使用することができる。
【0115】
特定の実施形態において、本発明は更に、被験体における腫瘍の再発を監視するために使用される。一実施形態では、本発明は、所与の患者における腫瘍の経過及びその治療を個別に監視するための臨床アルゴリズムを提供する。監視は、治療前、治療中、又は治療後(例えば、手術、放射線及び/又は化学療法の後)であり得る。したがって、本発明のシステム及び方法は、腫瘍の進行、拡散、治療、転移、及び/又は再発を監視するために使用することができる。
【0116】
一実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも75%の精度(すなわち、分類率)を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の精度を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも95%の精度を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の精度を有する。別の実施形態では、精度%は100%である。
【0117】
一実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも75%の感度を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の感度を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも95%の感度を有する。特定の実施形態では、疾患に関する結果は、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の感度を有する。別の実施形態では、感度%は100%である。
【0118】
一実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも75%の特異性を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の特異性を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、少なくとも95%の特異性を有する。特定の実施形態において、疾患に関する結果は、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の特異性を有する。別の実施形態では、特異性の割合は100%である。
【0119】
スクリーニング方法の実施形態
試験試料中のVOCを検出するステップは、VOCの濃度、すなわち、試験試料中に存在するいくつかのVOCの強度、及びそれらの強度間の比例性に応じて、VOCの有無を決定することを指す。一組の化学的感応性センサの各センサは、強度が試料中の様々なVOCの濃度に比例する電気信号を出力する。各センサは、ある範囲のVOCに対して異なる親和性を有する。いくつかのVOCは、2つ以上のセンサによって検出することができる。したがって、全てのセンサの組み合わされた応答は、試料の組成に関する情報を提供する。VOCの濃度は、検知期間の各時点で分析され、検知期間は、試料が加熱されている間、例えば30分間続くことができる。試料ヘッドスペースは、試料容器の内側(又は試料容器が使用されない場合は引き出しの内側)、すなわち試料によって占有されていない分析チャンバの全ての空間である。分析を開始する前に、試料ヘッドスペースを室温の周囲空気で満たす。分析中、熱ブランケットが試料容器及び/又は試料に熱を伝達する一方で、試料に含まれるVOCは、それらの特定の蒸発温度で蒸発する。したがって、試料及び試料ヘッドスペースは、VOCが試料から蒸発して試料ヘッドスペースに存在するようになるので、経時的に組成が変化する。したがって、センサの応答は時間とともに変化する。典型的には、より小さな揮発性分子からなるVOCは先に蒸発する。検知期間中に抽出された情報から電気出力信号が生成され、これは、検出の結果としての試験試料中のVOCの濃度を示す。例えば、出力信号は、VOCが存在しない場合には「0」であり、試験試料がVOCで飽和されている場合には「1023」であり、信号は、ある量のVOCが存在する場合には中間値をとる。すなわち、電気出力信号は、特にアナログ信号である。
【0120】
生成された電気出力信号は、次いで、有線又は無線接続を介して第1の処理ユニットに送信される。第1の処理ユニットが試験試料から抽出されたVOCデータを受信すると、この情報は、AIベースの分類ソフトウェアを介して生成された出力信号を処理及び分類することによって、疾患に関する結果を決定するために処理される必要がある。
【0121】
AIベースの分類ソフトウェアを利用する前に、システムは、バージョンバケットにおいて分類ソフトウェアの最新バージョンをチェックする。任意の分類の前に、システムは、分類アルゴリズムの最新バージョンがインストールされていることを確認する。AIベースの分類ソフトウェアは、リアルタイム更新を周期的に受信する。
【0122】
AIベースの分類ソフトウェアは、結果を生成するために異なるデータを使用する異なるアルゴリズムを含む。例えば、アルゴリズムは、コンピュータ装置にインストールされたソフトウェアアプリケーションから取得された被験体の健康データ及び人口統計データを処理する役割を果たす。アルゴリズムは、一組の化学的感応性センサから得られたデータを処理する役割を担い、アルゴリズムは、全ての入力データをマージし、メモリ又はデータベースに記憶された情報の中のパターンを認識する。
【0123】
一実施形態において、AIベースの分類ソフトウェアは、少なくとも1つのML/AIに基づく分類アルゴリズムを含む。特定の実施形態では、AIベースの分類ソフトウェアは、被験体の健康データ及び人口統計データを入力として取り込むANNを含む。特定の実施形態では、AIベースの分類ソフトウェアは、センサデータを入力として受け取るLSTMネットワークを含む。
【0124】
入力は、例えば、2Dデータ配列からなる。アレイの各行は、1つのセンサの応答を含む1Dベクトルである。各列の全ての要素は、時間の瞬間に関連する。したがって、データ配列は、9つの行(センサ毎に1つ)と、例えば100列とすることができる、試料が臭気を帯びた回数と同数の列とを有する。
【0125】
本発明では、決定された結果をメモリ又はデータベースに記憶することができる。この場合、AIベースの分類ソフトウェアは、その後のスクリーニング操作において、被験体の第1の又は最初のスクリーニング結果を考慮して、その更なるスクリーニング結果を決定することもできる。したがって、一実施形態では、方法は、疾患に関する決定された結果をメモリ又はデータベースに記憶することを更に含み、人工知能ベースの分類ソフトウェアは、記憶された結果を考慮して疾患に関する結果を決定することを含む。
【0126】
新しい分析毎に、分類アルゴリズムは、入力信号が以前に分析された罹患試料又は対照(健康)試料に、より類似するかどうかによって決定される出力に到達する。これは、分類ソフトウェアにおけるAIアルゴリズムが以前に訓練されている、すなわちネットワークにおける全てのニューロンの重みは、判別誤差、すなわち、癌を有する予測確率と絶対的真実(携帯型医療用スクリーニング装置分析後に実行される生検によって決定されるように、全ての試料について0%又は100%)との間の差を最小化するように調整されているために可能である。
【0127】
加えて、試験試料に関する知識をそれらの組成に一意に基づいて生成する代わりに、本発明は、いくつかの実施形態では、新しい試験試料が分析され、スクリーニング装置によってヒト試料からいくつかのデータが取得されるたびに、取得されたデータが、データベース内の全てのデータ、すなわち、全ての以前に分析された試料からのセンサデータ、ユーザがユーザインタフェースを介して以前に入力した患者データ、及び/又は他のユーザからのセンサ/患者データと比較されることを提案する。新しい試験試料の分類は、特に、それが以前に分析されたデータに類似する程度に基づいて評価される。そのクラスは、新しい試験試料が以前に分析された癌性試料に類似する程度、及び新しい試験試料が以前に分析された対照(健康)試料に類似する程度に依存する。すなわち、試験試料を分類するように機械学習を行う。
【0128】
したがって、本発明は、被験体からの異なるタイプの試験試料を使用して癌を診断するために使用することができる携帯型スクリーニングソリューションを提供する。開示された装置は、1人の被験体又は複数の被験体によって複数回使用することができる。
【0129】
前述及び他の利点及び特徴は、添付の図面を参照して、以下の実施例及び実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。添付の図面は、例示的かつ非限定的な様式で考慮されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【
図1】一実施形態による携帯型医療用スクリーニング装置の一例を示す。
【
図2A】一実施形態による携帯型医療用スクリーニング装置の内部構造の一例を示す。
【
図2B】一実施形態による、携帯型医療用スクリーニング装置の内部構造の内側への化学的感応性センサの配置の一例を示す。
【
図2C】一実施形態による、携帯型医療用スクリーニング装置の内部構造の内側への化学的感応性センサの配置の一例を示す。
【
図3】一実施形態による、被験体における疾患をスクリーニングするためのシステムを示す。
【
図4】AIベースの分類ソフトウェアが実行され得る異なる例を示す。
【
図6-1】パネルAは、クラス間の試料変動性を最大化する仮想平面に対して投影された対照(十字)及び乳癌(三角)ヒト尿試料を含むスコアプロットを示す。仮想平面は、2つのベクトル、すなわち主成分(PC)1及びPC2によって定義される。これら2つのベクトルは、異なる特徴の線形結合を表す。これらの試料は、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析された。
【
図6-2】
図6のパネルBは、ほとんどの試料が置かれている領域への拡大を示す。象限I(左上)は60個の試料を含み、そのうちの49個は対照(81.7%)である。象限II及びIII(それぞれ右上及び右下)は、合計14(85.7%)個のうち12個の乳癌試料を含有する。象限IV(左下)は、16個の乳癌試料を示す。
【
図7】パネルAは、装置で匂いを嗅いだ後の対照及び乳癌ヒト尿試料の分布を示す。これらの試料は、本発明の携帯型医療用スクリーニング装置で分析された。仮想平面は、2つのベクトルPC1及びPC3によって定義される。試料は、それらの最も高い変動平面に対して投影されている。
図7のパネルBは、関心領域へのズームを示す。乳癌試料が仮想的な灰色の点線の下にクラスタ化する傾向が観察される。対照試料は、より分散した、より高い変動性の様式を示す。
【
図8】パネルA及びBは、それぞれ、CNNモデルを訓練するために使用された試料の数による精度及び損失を示す。精度は、全ての収集された試料から適切に分類される試料の割合を指す。損失関数は、アルゴリズムの現在の出力と期待される出力との間の距離を計算する関数である。したがって、それは、分類アルゴリズムが試料をどれだけうまく分類しているかを記述する。より多くの試料がモデルを訓練するために使用される一方で、精度は上昇し、損失は低下する。試料は一度に1バッチずつモデルに入り、モデルはそれらのクラスを予測する。損失関数は、予測が現実からどれだけ離れているかを計算するために使用される。次に、モデルは、損失の値に比例して調整される。結果として、試料の次のバッチがモデルに入るとき、その予測はより正確になり(したがって、精度はより高くなる)、損失値はより低くなる。これらのグラフは、全てのバッチがモデルに入るときのこれらの値の変化を示す。
【
図9-1】一実施形態による、ソフトウェアアプリケーションの異なるインタフェースを示す。A)個人情報インタフェース(例えば、被験体の健康データ及び人口統計データ)を示す。B)構成/設定インタフェースを示す。
【
図9-2】一実施形態による、ソフトウェアアプリケーションの異なるインタフェースを示す。C)及びD)は、スクリーニング履歴インタフェースを示す。
【
図10-1】スクリーニングを実行するための異なるステップを通してユーザを案内する試験インタフェースを示す。ステップは以下の通りである:A)携帯型医療用スクリーニング装置を例えばコンピュータ装置に接続すること、B)試験試料を収集すること。
【
図10-2】スクリーニングを実行するための異なるステップを通してユーザを案内する試験インタフェースを示す。ステップは以下の通りである:C)試験試料を導入すること、D)引き出しを閉じること。
【
図10-3】スクリーニングを実行するための異なるステップを通してユーザを案内する試験インタフェースを示す。ステップは以下の通りである:E)スクリーニングプロセスを開始すること、F)スクリーニング結果及び結果に従った推奨を表示すること。
【発明を実施するための形態】
【0131】
本発明は、被験体における疾患、特に乳癌などの癌をスクリーニングするためのシステム、装置、及び方法を提供する。
【0132】
図1及び
図2A~
図2Cを参照すると、提案された携帯型医療用スクリーニング装置(又は単にスクリーニング装置)100の一例が示されている。この実施形態によれば、スクリーニング装置100は、引き出し102を導入するための中空部分を有する箱体101から構成される。ユーザ/被験体は、引き出し102を開き、スクリーニング/分析される試験試料をスクリーニング装置100の収集チャンバ104内に導入することができる。ユーザは、引き出し102に取り付けられたノブ又は他のそのような手段を引いたり押したりすることによって引き出し102を開閉することができる。図示されていない他の実施形態では、スクリーニング装置100は、引き出し102を含まなくてもよいことに留意されたい。
【0133】
図2Aは、収集チャンバ104、グリッド105(他の実施形態では、スクリーニング装置はこの構成要素を有さなくてもよいので、限定的ではない)、及び分析チャンバ107を含むスクリーニング装置100の内部構造体103の一例を示す。スクリーニング装置100はまた、本発明の特定の実施形態として
図2B及び
図2Cに示される一組の化学的感応性センサ201~209と、計算構成要素(又は第1の処理ユニット)と、任意選択で通信ユニットとを含む。他の実施形態では、一組の化学的感応性センサは、センサの数及びタイプが異なり得る(特に、5~20個を含み得る)。内部構造体103は、箱体101の内部に収容されている。
【0134】
試験試料(例えば、とりわけ、尿、血液、汗、膣分泌物などのヒト試料)が収集チャンバ104に導入されると、化学成分が試料から蒸発し、グリッド105(存在する場合)を横切って分析チャンバ107が位置する上部区画に到達し、一組の化学的感応性センサ201~209、特に金属酸化物センサ(例えば、とりわけ酸化スズセンサ)及び/又は有機化合物感応性センサは、試験試料中のVOCを検出し、検出の結果として試験試料中のそのようなVOCの有無を示す出力信号を生成することができる。特に、生成された出力信号は、電圧がVOC濃度に比例する(アナログ)電気信号である。
【0135】
特に、第1の処理ユニット及び通信ユニット(存在する場合)は、スクリーニング装置100の下部、内部構造体103内、及び収集チャンバ104の背後に配置される。第1の処理ユニットは、生成された出力信号を受信するために、有線又は無線接続を介して、一組の化学的感応性センサ201~209に動作可能に接続される。いくつかの実施形態における第1の処理ユニットは、マイクロプロセッサであり得る。
【0136】
図示されていないが、いくつかの実施形態では、引き出し102(存在する場合)は、絶縁材料で充填され、スクリーニング/分析される試験試料をその中に含有する収集チャンバを挿入するための穴を備えることができる。更に、穴の内壁を熱ブランケットで更に被覆することができる。試料加熱プロセスを制御するために、第1の処理ユニットは、装置が熱ブランケット及び穴壁と接触している温度センサに電圧を供給することを機械的に開始及び停止することができるリレーに動作可能に接続され得る。
【0137】
図3は、ユーザ/被験体における疾患、特に癌をスクリーニングするための提案されたシステムに含まれ得る異なる要素/エンティティの一例を示す。この特定の実施形態のシステムは、開示されたスクリーニング装置100と、ユーザのコンピュータ装置120(
図4参照)にインストールされたソフトウェアアプリケーション121と、遠隔処理ユニット130と、データベース(又はメモリ)140とを備える。他の実施形態では、システムは、上述の要素の全てを含む必要はないことに留意されたい。更に、他の実施形態では、システムは、2つ以上のメモリ/データベースを備えることができ、メモリ/データベース140は、遠隔である代わりに、他のシステム要素、すなわち、ソフトウェアアプリケーション121、第1の処理ユニット、及び/又は遠隔処理ユニット130のいずれかに含まれ得る。
【0138】
図3に示されるように、スクリーニング装置100、ソフトウェアアプリケーション121、遠隔処理ユニット130、例えば、クラウドベースのサーバ、及びメモリ又はデータベース140は、動作可能に接続され、それらの間でデータ(例えば、出力信号又はセンサデータ、被験体のデータ、メモリ又はデータベースに記憶されたデータ、すなわち被験体及び/又は複数の健康な個人及び不健康な個人の健康又は人口統計データ、又は疾患に関する結果-)を交換することができる。いくつかの実施形態では、スクリーニング装置100は、ユーザのコンピュータ装置120を介してアクセスされ、次いで、メモリ/データベース140からデータを送信及び受信することができる遠隔処理ユニット130に接続される。代替的又は補完的に、データは更に、ソフトウェアアプリケーション121から遠隔処理ユニット130へ、及び遠隔処理ユニット130からソフトウェアアプリケーション121へ流れることができる。同様に、データは、遠隔処理ユニット130に接続されたユーザのコンピュータ装置120から直接評価され、情報を交換することができる。更に、遠隔処理ユニット130は、メモリ/データベース140に接続されることができ、データは、遠隔処理ユニット130からメモリ/データベース140に、及びその逆に流れる。
【0139】
したがって、分類は、スクリーニング装置100、ソフトウェアアプリケーション121、及び/又は遠隔処理ユニット130(
図4の破線ボックス参照)など、提案された解決策の多くの場所で、AIベースの分類ソフトウェア150によって行うことができる。ユーザ/被験体は、例えば出力ディスプレイを介してスクリーニング装置100自体で、又はソフトウェアアプリケーション121を使用してユーザのコンピュータ装置120で結果を見ることができる。ユーザのコンピュータ装置120は、とりわけ、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、PDA、タブレットコンピュータ、ウェアラブル装置、又は前述のものの任意の組み合わせ等の任意の装置であり得る。
【0140】
メモリ/データベース140は、被験体及び複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを記憶することもできる。例えば、ユーザ/複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データは、年齢、ジェンダ、性別、民族性、出身地/居住地、薬物消費(例えば、タバコ習慣、アルコール習慣、大麻習慣、他の毒性習慣)、食習慣、ユーザ又は個人の病歴、被験体の家族病歴、薬剤服用、家族乳癌歴(例えば、母親、姉妹、娘、祖母、叔母)、個人癌歴(例えば、乳癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、メラノーマ、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、腎臓癌)、体重、身長、糖尿病歴、甲状腺障害、多嚢胞性卵巣症候群、骨粗鬆症、他の内分泌障害、初潮タイミング、月経、閉経、出産日までに出産した子供の数、早産の数、流産の数、出産した子供の数、生殖状態(例えば、妊娠、母乳哺育、産後、妊孕投薬)、乳房疾患歴(例えば、月経周期中の乳痛、ホルモン変化、嚢胞、線維腺腫、一般的なしこり、乳房分泌物、痛み、ひび割れ及び痒みのある乳首、逆乳首)、初潮年齢、最初に出産した年齢、閉経が始まった年齢、マンモグラム及びX線撮影の実施回数などを含むことができる。
【0141】
特に、そのような分類を実行するために、本発明は、機械学習(ML)及び/又は人工知能(AI)技法を利用する処理アルゴリズム及び分類アルゴリズムからなる、引用された人工知能ベースの分類ソフトウェア150を提供する。分類は、ヒト試料の性質に基づく。したがって、Alベースの分類ソフトウェア150は、生成された出力信号を処理及び分類することによって、疾患に関する結果を決定することができる。いくつかの他の実施形態では、AIベースの分類ソフトウェア150は更に、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人、並びにユーザ/被験体の健康データ及び/又は人口統計データを考慮して、疾患に関する結果を決定することができる。
【0142】
いくつかの実施形態において、疾患に関する結果は、疾患の有無についての指標からなる。例えば、結果は、スクリーニング結果が良好であるか不良であるかを主張する「0」もしくは「1」値又は単語(例えば、「健康」又は「不健康」)のみであり得る。他の実施形態では、結果は、疾患の程度(例えば、レベルII)、疾患のタイプ(又はサブタイプ)(例えば、疾患のタイプについては乳癌、又は例えば、疾患のサブタイプについては乳癌のタイプ)、治療についての推奨、更には腫瘍のサイズを更に示すことができる。
【0143】
特定の実施形態によれば、AIベースの分類ソフトウェア150は、ユーザ/被験体の人口統計データを入力として受け取る人工ニューラルネットワーク(ANN)を含む。このANNは、被験体の医学的状態についての情報を抽出するためのエンコーダとして使用され、次のデータ処理ステップを受けるために読み取り可能かつ有益であるように、この情報を符号化する。更に、長短期記憶(LSTM)ネットワークにセンサデータ(すなわち、生成された出力信号)を供給することができる。LSTMネットワークの入力層は、2つのタイプのニューロンからなる、すなわち1)ANNによって符号化された符号化された被験体のデータを入力として受け取るニューロンと、2)化学的感応性センサ201~209から来るデータを入力として受け取るニューロンである。したがって、LSTMは、ニューロンの2つの別個のセット(2つのサブネット)からなる。これらは、それら自体の内部及び互いに完全に接続されており、すなわち、本質的に高密度ネットワークである。
【0144】
一実施形態では、AIベースの分類ソフトウェア150は、ソフトウェアアプリケーション121によって実行される。したがって、この場合、データ(例えば、出力信号又はセンサデータ)は、スクリーニング装置100からコンピュータ装置120に流れる。この特定の実施形態によれば、AIベースの分類ソフトウェア150によって生成された結果は、ソフトウェアアプリケーション121によってコンピュータ装置120に表示される。結果を生成するために、AIベースの分類ソフトウェア150は、上記で説明したように、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人、並びにユーザ/被験体の健康データ及び/又は人口統計データを考慮することができる。
【0145】
別の実施形態では、AIベースの分類ソフトウェア150は、遠隔処理ユニット130によって実行される。したがって、データ(例えば、出力信号)は、スクリーニング装置100から遠隔処理ユニット130に流れる。更に、コンピュータ装置120によって収集された追加データ(例えば、被験体のデータ)は、後者から遠隔処理ユニット130に流れることができる。同様に、メモリ/データベース140に記憶されたデータは、後者から遠隔処理ユニット130に流れることができ、逆もまた同様である。AIベースの分類ソフトウェア150によって生成された結果は、ソフトウェアアプリケーション121によって、遠隔処理ユニット130自体によって、又はスクリーニング装置100によって、コンピュータ装置120に表示することができる。
【0146】
更に別の実施形態では、AIベースの分類ソフトウェア150は、スクリーニング装置100内に位置する第1の処理ユニットによって実行される。この場合、AIベースの分類ソフトウェア150によって生成された結果は、システム/方法構成に応じて、スクリーニング装置100によって、コンピュータ装置120によって、又は遠隔処理ユニット130によって直接表示することができる。当該結果を生成するために、AIベースの分類ソフトウェア150は、上記で説明したように、複数の健康な個人及び/又は不健康な個人、並びにユーザ/被験体の健康データ及び/又は人口統計データを考慮することができる。
【0147】
図5は、システムの別の実施形態を示す。この場合、第1の処理ユニット及び通信ユニットは、スクリーニング装置100に含まれるハードウェアボード110に実装される。2つの前述の構成要素は、試料から分析チャンバ107で取得されたデータ(すなわち、生成された出力信号)を受信する。データは、スクリーニング装置100上で分類され得るか、又はソフトウェアアプリケーション121もしくは遠隔処理ユニット130に送信され得る。ソフトウェアアプリケーション121及び遠隔処理ユニット130の両方が、AIベースの分類ソフトウェア150を割り当てることができる。ソフトウェアアプリケーション121は、スクリーニング装置100を使用する前にダウンロードされる必要があり、試験試料から得られたデータは、通信ユニットがデータを受信するとすぐにソフトウェアアプリケーション121に転送され得る。ソフトウェアアプリケーション121は、その後、データを分類するか、又は遠隔処理ユニット130にデータを送信して分類することができる。
【0148】
AIベースの分類ソフトウェア150を利用する前に、システムは、バージョンバケット131において分類ソフトウェア150の最新バージョンをチェックする。任意の分類の前に、システムは、分類アルゴリズム150の最新バージョンがインストールされていることを確認する。AIベースの分類ソフトウェア150は、リアルタイム更新を周期的に受信する。ある試験試料から得られたデータが分析され分類されると、これらのデータはデータベース140に記憶される。更に、AIベースの分類ソフトウェア150が診断を決定した場合、これは、前述のように表示され得る。
【0149】
ソフトウェアアプリケーション121は、Pythonを使用して開発することができ、端末セッションを使用してLinux上で実行することができる。ソフトウェアアプリケーション121は、スクリーニングプロセスを通じてユーザガイドとして機能することができる。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーション121へのアクセスは、所与のユーザインタフェース(
図9及び
図10参照)を通じたユーザログインを介して行われる。ソフトウェアアプリケーション121は、アプリケーションのユーザが見ることになる様々な画面を提供するアプリケーションのウェルカム画面、メニュー、個人データ画面、及びスクリーニング履歴画面を更に提供することができる。ソフトウェアアプリケーション121は、ユーザ/被験体の健康データ及び/又は人口統計データを取得するために使用されることができる。
【0150】
実施例
実施例1:第1の装置プロトタイプの乳癌スクリーニングセットアップ
目的は、実際のヒト尿試料中の乳癌を最終的にスクリーニングすることができるようにスクリーニング装置プロトタイプを訓練するために、対照被験体及び転移性乳癌患者からの合成尿及びヒト尿の両方においてVOCパターンを見出すことであった。
【0151】
1.1 方法
1.1.1 合成尿調製物及びヒト尿収集
6つの単一VOC溶液及び30個の合成尿試料を調製し、90個のヒト尿試料を収集した。
【0152】
まず、第1の理論的アプローチのために、11mLの蒸留水中に対照VOC(CTR)(すなわち、健康なヒト尿中に通常見出されるVOC)又は乳癌関連VOC(BC)を含有する6つのVOC試料を調製した(表1)。
【0153】
【0154】
単一VOC溶液アリコートの後、分類アルゴリズムを更に試験するために30個の合成尿試料を調製した。合成尿を可能な限り現実に近づける目的で、予想範囲内の異なるVOC濃度値を採用して10種類の尿をシミュレートした(表2)。11mLの尿溶液は、100mLのヒト尿中で遭遇すると予想される濃度に対応するVOC濃度を含有していた。
【0155】
【0156】
単一VOC溶液及び合成尿試料が作製されたら、ヒト尿試料を収集した。研究における参加者の匿名性を保証するために、各参加者は、分析中にその試料が参照される番号を無作為に割り当てられた。
【0157】
90人の成人女性に対してヒトサンプリングを行った。患者が、乳癌、尿路感染症、又は尿組成に影響を及ぼし得る他の病状以外の任意の癌型の病歴を有していた場合、除外した。アルコール消費は、試料抽出前12時間以内に抑制された。患者の民族性及びタバコ、薬物又は食品の消費に関する除外基準はなかった。月経は除外基準ではなかった。しかし、サンプリング事象に対するその近接性は、起こり得る任意の将来の誤分類を理解するために記録された。尿のアリコートを11mLヘッドスペースバイアルに移し、分析まで凍結させた。ヒト尿試料を0℃で24~48時間保存した。
【0158】
乳癌患者の尿サンプリングを、Hospital Universitari Sant Joan,Reus(スペイン)において、進行期の39人の転移性乳癌患者に対して行った。彼らの年齢は29~75歳(平均年齢54.9±12.0歳)であった。患者は、病院の乳癌腫瘍学チームによって無作為に選択された。そのプロトコル、患者の同意及び法的倫理的側面は、Fundacio Institut d’lnvestigacio Sanitaria Pere Virgili Ethics Committee(CEIm)によって審査及び承認された。
【0159】
対照ヒト尿収集は、いずれのタイプの癌も提示しなかったか、又はそれについての知識がなかった、18~78歳(平均年齢29.7±15.8歳)内のTarragona、Barcelona及びReusから均一にサンプリングされた51人の被験体に対して実施した。全ての被験体は、糖尿病、心血管疾患及び他のタイプの癌から除外され、参加前に口頭のインフォームドコンセントを与えられた。
【0160】
1.1.2 ガスクロマトグラフィ-質量分析(GC-MS)試料分析
ガスクロマトグラフィ-質量分析(CG-MS)データ検査の第1の考慮事項は、研究中のVOCが分析によって実際に検出されたかどうかを試験することであった。GC-MS真空設定及び機械較正を行った。
【0161】
単一VOC溶液、合成尿及びヒト試料を、それらの組成をよりよく理解するためにGC-MSで分析した。ヒト試料については、51個の対照試料及び39個の乳癌試料を3回分析した。GC-MSは、20分間にわたって2052個の分析を実施するようにプログラムされた。
【0162】
1.1.3 分類アルゴリズムの訓練及び試験
このステップでは、以前に得られた試料読み取り値が検査された。目的は以下の通りである。
1)単一VOC溶液の読み取り値を検査して、GC-MS及び研究中の装置がそれらを適切に検出することができたかどうかを判定すること。
2)合成尿の読み取り値を検査して、GC-MS及び研究中の装置が、シミュレートされた罹患尿とシミュレートされた対照尿とを適切に区別することができたかどうかを判定すること。言い換えれば、複数のVOCが同時に存在する場合に尿組成が有意であるかどうかを評価することである。
3)ヒト尿溶液の読み取り値を検査して、GC-MS及び研究中の装置がクラス間の差異を見つけることができるかどうかを決定すること。
【0163】
試料調製及びGC-MS分析が行われると、前処理、処理及び予測アルゴリズムを用いて試料を分類した。入力データは、VOC溶液、合成尿及びヒト尿からの臭気プロファイルを含有するGC-MSからの生データファイルであった。
【0164】
信号前処理手順は、複雑な生データをノイズのない、読み取り可能な、有意なデータに変える目的で実施された。これは、補間、クロマトグラム設計、ベースライン除去、平滑化フィルタリング、正規化及び3倍試料平均化を実施することによって試みられた。このステップは、生のGM-MSファイルを入力として取り、それらを処理してそれらの総イオンクロマトグラム(TIC)を出力するRベースのコードを使用して行われた。
【0165】
処理ステップのために、Pythonベースの処理コードが使用され、これは、入力としてTICを取り込み、試料分類を出力するためにそれらを統計的に処理する。この場合に使用したアルゴリズムは主成分分析(PCA)であり、位相検査を行った。
【0166】
次に、アルゴリズムの性能を予測目的のために設計した。単一VOC調製物、合成試料及びヒト尿に関するそれらの結果を別々に評価した。GC-MSが標的VOCを検出することができるかどうかを評価するために、Rベースのコード及びk最近傍(kNN)アルゴリズムを使用して、VOCパターンコンパレータを得た。
【0167】
1.1.4 装置プロトタイプ設計及び検査
次のステップは、前述のように試料手順を実行することからなるが、ここでは、GC-MSを使用する代わりに、研究中の装置プロトタイプを用いて尿を分析する。TICと呼ばれる尿の「匂い」を捕捉するための4つのVOC化学的感応性センサ(金属酸化物センサ)を有するArduinoボードに基づいて、装置の第1のプロトタイプが設計及び構築された。使用した金属酸化物センサは以下の通りである:
-TGS 2600,Figaro Inc.(気体空気汚染物質に敏感)
-TGS 2602,Figaro Inc.(とりわけ、VOC、NH3、メチルベンゼンに対して敏感である)
-TGS 2610,Figaro Inc.((とりわけプロパン、ブタンに敏感である)
-TGS 2620、Figaro Inc.(アルコール、有機蒸気、VOCに敏感)
【0168】
装置プロトタイプによって90個のヒト尿試料の匂いを嗅ぎ、以前に設計されたソフトウェアが、Arduinoマイクロコントローラに実装された。各試料は、30秒間毎秒で4つ全ての化学的感応性センサが一度匂いを嗅いだ。したがって、試料記録の出力は、全ての試料に対する120次元特徴ベクトルである。
【0169】
分類を実行するための入力データは、装置プロトタイプによって匂いを嗅がれた合成尿及びヒト試料の臭気プロファイルであった。PCA及びkNNアルゴリズムをテンプレートとして使用して、分類アルゴリズムを設計した。
【0170】
Arduinoマイクロプロセッサは、PCAコードをホストするのに十分な記憶装置を有していないので、このコードは、オンラインで設計され、その後、Arduinoに実装され、装置に実装された別のコードを介してオフラインで自律的に実行することを可能にする。このコードは、装置がVOCプロファイルに基づいて試料を対照又は乳癌として分類することを可能にする分類アルゴリズムを含む。
【0171】
アルゴリズムがArduinoマイクロプロセッサに実装されると、54個の試料が全データセット(n=90)からランダムに選択され、アルゴリズムを訓練するために、すなわちPCAを定義するスコア、つまりパラメータを定義するために使用される。残りの36個の試験試料を使用して、試料を分類することによって装置プロトタイプを試験した。最後に、装置プロトタイプによって得られた分類結果を検証するために、結果を、得られたGC-MSデータ(PCA及びkNNを使用することによって得られた分類)と比較した。
【0172】
1.2 結果
1.2.1 GC-MSスクリーニング及び試料分類
このセクションは、GC-MSを用いて分析されたヒト尿試料の分類成功を評価するためのものである。
図6(A)に示すように、PCAによる次元削減後のGC-MSデータは、対照(十字)尿試料と転移性乳癌(三角)尿試料との間の差を視覚的に示す。
図6(B)は、
図6(A)の拡大表示である。主成分(PC)1及び2は、クラス間の分散の大部分を説明する。PCは、初期特徴、すなわち、各瞬間における化学的感応性センサの応答の線形結合又は混合として構築される新しい特徴である。幾何学的に言えば、PCは、分散の最大量を説明するデータの方向、すなわち、データのほとんどの情報を捕捉する線を表す。
【0173】
図6のスコアプロットは、象限I(左上)の試料の81.7%が対照であり、象限II及びIII(右)の試料の85.7%が乳癌のものであり、象限IV(左下)の試料の100%も乳癌であることを示す。したがって、次元削減は、試料空間分散の強力な最適化を実行し、最初の2つのPCによって説明される分散は、所与の試料が属するクラスによって大きく引き起こされる可能性があると言える。
【0174】
この手順は、GC-MSが、対照試料から乳癌試料を識別するのに十分な感度があるかどうかを判定することを目的とし、したがって、2つのクラスの試料間に十分な差異が存在するという証拠を得た。したがって、試料分類の第1のステップは、GC-MSデータを用いて実施した。
【0175】
分析されたヒト尿試料についてPCAによって構築されたスコアプロットを得た後、kNNアルゴリズムも使用して別の分類を得た。46個の訓練試料及び44個の試験試料を使用した。19個の実際の乳癌試料のうち11個の試料が乳癌として分類された。24個の対照試料を25個の対照試料から、そのようなものとして分類した。その結果、この正確な例は、79.55%の分類率で機能する。
【0176】
モデル検証のために考慮されるべき次の点は、試料クラスタリング及び分類に関するものである。このモデルは、患者の治療及び結果に影響を及ぼすヒト試料を操作するので、分類率だけでなく、偽陰性(感度)及び偽陽性(特異性)の率も評価されるべきである。結果を表3に示す。
【0177】
【0178】
上記の結果に依存することによって、kNN分類アプローチは、PCAのクラス予測よりも良好なクラス予測をもたらすと結論付けることができ、kNNは、分類率において優れているだけでなく、ヘルスケア用途でモデルを検証するときの最も重要なパラメータの1つである感度においても優れている。
【0179】
1.2.2 装置プロトタイプスクリーニング
このセクションは、装置プロトタイプを用いて分析されたヒト尿試料の分類の成功を評価するためのものである。各センサは各分析毎に各試料を30回読み取るので、各試料の読み取りは4列(センサ毎に1つ)及び30行で提示された。VOC化学的感応性センサを介して試料を分析することによってVOCパターンが得られると、得られたデータを分類した。90個の試料のうち54個を用いてモデルを訓練し、残りの36個の試料を用いてモデルを試験した。
【0180】
平面PC1-PC3に対する試料投影のスコアプロットを
図7により詳細に示す。この投影を観察することによって、33個の試料が想像線の下に集まり、そのうちの29個(87.9%)が乳癌試料である。この閾値を超えると、40個の対照試料があり、その85.1%が対照試料である。乳癌試料は、対照試料と有意に異なることが見出された。
【0181】
表4に、訓練モデルの検証結果を示す。
【0182】
【0183】
試験試料から、真陽性(TP)、真陰性(TN)、偽陽性(FP)及び偽陰性(FN)の数は、それぞれ12、9、11及び4個であった。
【0184】
臭気ベースの癌スクリーニング装置のこの初期モデルは、実施例2において更に開発された。
【0185】
実施例2:改良された装置プロトタイプを使用することによる乳癌スクリーニング
2.1 方法
2.1.1 データ収集及び処理
実施例1から抽出されたデータ(4つの化学的感応性センサから得られた生データ-まだ前処理されていない)を使用して、実施例を行った。したがって、対照被験体からの51個の尿試料及び乳癌被験体からの39個の尿試料のデータを、改善された分類アルゴリズムを使用して分析及び分類した。
【0186】
データを分類する前に、データを前処理して、分類が後に無関係なアーチファクトではなく癌の特徴に依存することを確実にした。まず、データを正規化した。
【0187】
2.1.2 ソフトウェア設計及び試験
試料前処理の後、データを畳み込みニューラルネットワーク(cNN)に供給した。このネットは、サイズ32、64、128、128の4つの畳み込みフィルタ及び線形活性化から構成された。ニューラルネットワークの出力層は、ソフトマックス活性化関数を有する2つのセル(2つの出力)を提示した。具体的には、このモデルは、65個の尿試料で訓練され、12個の試料で試験され、13個の試料で検証された。
【0188】
PCA、決定木、kNN、及びPCAを伴うkNNなどの他の分類方法も実施した。
【0189】
2.1.3 改良された装置プロトタイプ設計及び試験
以前のプロトタイプと比較して、この第2の装置は、9個のVOC化学的感応性センサ及びより強力なマイクロプロセッサを有していた。統計ベースのアルゴリズムはまた、AIアルゴリズムによって置き換えられた。以前のマイクロプロセッサはArduino UNOであったが、この第2のプロトタイプは、WiFi接続性を含むMKR Arduino WiFiを有していた。加えて、このプロトタイプの分類アルゴリズムは、クラウドベースのサーバ内で実行され、これは、分類アルゴリズムがエッジ上で(Arduinoボード上で)実行される以前のプロトタイプよりも多くの計算能力を可能にする。
【0190】
2.2 結果
図8(A)に示すように、cNNモデルの精度(y軸)は、より多くの試料を使用して訓練するほど訓練され、各試料は複数回使用される(x軸)。精度は、訓練(「*」ライン)及び試験(「-」ライン)データセットの両方において同様の様式に従うので、モデルが過剰適合されていないと結論付けることができる。同様の論理(ただし、今回は損失関数に適用される)を損失関数プロット(
図8(B))に適用することができる。モデルが訓練されるにつれて損失関数が減少するため、分類がより良好になる。数値結果を表5に示す。
【0191】
【0192】
他の分類方法(PCA、決定木、kNN及びPCAを伴うkNN)も実施したが、これらの方法のいずれもA1モデルよりも良好に機能しなかった(表6)。
【0193】
【0194】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「備える」及び「含む」という用語並びにその変形は、他の技術的特徴、添加剤、構成要素、又はステップを除外することを意図するものではない。本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、本明細書を検討すると当業者に明らかになるか、又は本発明の実施によって知ることができる。更に、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態の全ての可能な組み合わせを包含する。
【0195】
本実施形態は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、様々な実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正及び変更が行われ得ることは明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト被験体の試料における疾患をスクリーニングするためのシステムであって、前記システムは、
-携帯型医療用スクリーニング装置(100)であって、
前記ヒト被験体の少なくとも1つの試験試料を収集するように構成された収集チャンバ(104)であって、前記試験試料は、尿と、
酸化スズセンサを含む揮発性有機化合物感応性センサを含む一組の化学的感応性センサ(201~209)であって、前記センサは、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成する、一組の化学的感応性センサ(201~209)と、
前記一組の化学的感応性センサ(201~209)を割り当てるように構成された分析チャンバ(107)と、
前記生成された出力信号を受信するために、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)に動作可能に接続された第1の処理ユニットと、
前記第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット(130)、及びコンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)との通信を確立するように構成された通信ユニットと、を備える、携帯型医療用スクリーニング装置(100)と、
-前記被験体の健康データ及び/又は人口統計データを収集し、ユーザインタフェースを介して前記疾患に関する結果を表示するコンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)と、
-前記疾患に関する前記結果を決定するように構成された人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)を実行する遠隔処理ユニット(130)であって、
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、長短期記憶、畳み込みニューラルネットワーク、線形判別分析、及びK最近傍からなる群から選択される、遠隔処理ユニット(130)と、
前記被験体及び/又は複数の健康及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを含むメモリ又はデータベース(140)と、を備え、
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記生成された出力信号と、前記被験体の前記健康データ及び/又は人口統計データとをマージし、前記メモリ又はデータベース(140)に記憶された情報の中のパターンを認識して、前記疾患に関する前記結果を生成し、
前記疾患に関する前記結果は、前記疾患の有無に関する指標を含み、前記疾患は、乳癌である、システム。
【請求項2】
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)は、前記収集チャンバ(104)、前記収集チャンバ(104)の情報に配置されたグリッド(105)、前記分析チャンバ(107)、前記第1の処理ユニット、及び前記通信ユニットを囲むように適合された箱体(101)から構成され、前記箱体(101)は、引き出し(102)の導入のための中空部分を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記被験体の前記健康データ及び/又は人口統計データは、前記メモリ又はデータベース(140)に更に記憶され、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記被験体の前記記憶された健康データ及び/又は人口統計データを考慮して前記疾患に関する前記結果を決定する、請求項1又は2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記疾患に関する前記決定された結果は、前記メモリ又はデータベース(140)に更に記憶され、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、前記記憶された結果を考慮して前記疾患に関する前記結果を決定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記被験体並びに前記複数の健康な個人及び不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データは、年齢、性別、ジェンダ、民族性、出身地/居住地、体重、身長、肥満度指数、薬剤服用、薬物消費、病歴、家族病歴、癌歴、家族癌歴、乳房疾患歴、家族乳癌歴、マンモグラム及びX線撮影の実施回数、糖尿病歴、甲状腺障害、多嚢胞性卵巣症候群、骨粗鬆症、他の内分泌障害、月経、初潮及び閉経特性、生殖状態、出産予定日まで出産した子供の数、早産の数、流産の数、生きている子供の数、出産した子供の数、最初に出産した年齢、食事の種類、食習慣、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記遠隔処理ユニット(130)は、クラウドベースのサーバである、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ソフトウェアアプリケーション(121)は、スマートフォン又はウェブブラウザ内に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
ヒト被験体の試料における疾患をスクリーニングするための方法であって、前記方法は、
携帯型医療用スクリーニング装置(100)の収集チャンバ(104)によって、前記ヒト被験体の少なくとも1つの試験試料を収集することであって、前記試験試料は尿を含む、ことと、
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)の分析チャンバ(107)に割り当てられた酸化スズセンサを含む揮発性有機化合物感応性センサを含む一組の化学的感応性センサ(201~209)によって、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成することと、
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)の第1の処理ユニットによって、前記生成された出力信号を受信することと、
前記第1の処理ユニットに動作可能に接続された通信ユニットによって、遠隔処理ユニット(130)、及びコンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)との通信を確立することと、
コンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)によって、ユーザインタフェースを介して前記被験体の健康データ及び/又は人口統計データを収集することと、
遠隔処理ユニット(130)によって実行される人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)によって、前記生成された出力信号と前記被験体の前記健康データ及び/又は人口統計データとをマージし、複数の健康な個人及び不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを含むメモリ又はデータベース(140)に記憶された情報の中のパターンを認識することによって、前記疾患に関する結果を決定することであって、
前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、長短期記憶、畳み込みニューラルネットワーク、線形判別分析、及びK最近傍からなる群から選択される、ことと、
コンピュータ装置(120)にインストールされた前記ソフトウェアアプリケーション(121)の前記ユーザインタフェースによって、前記疾患に関する前記結果を表示することであって、
前記疾患に関する前記結果は、前記疾患の有無に関する指標を含み、前記疾患は、乳癌である、ことと、
を含む、方法。
【請求項9】
ヒト被験体の試料中の疾患をスクリーニングするための携帯型医療装置であって、
-前記ヒト被験体の少なくとも1つの試験試料を収集するように構成された収集チャンバ(104)であって、前記試験試料は尿を含む、収集チャンバ(104)と、
-前記収集チャンバ(104)の上方に配置されたグリッド(105)と、
-前記収集チャンバ(104)を開閉及び支持するための引き出し(102)と、
-酸化スズセンサを含む揮発性有機化合物感応性センサを含む一組の化学的感応性センサ(201~209)であって、前記センサは、前記試験試料中の揮発性有機化合物を検出し、前記検出の結果として前記試験試料中の揮発性有機化合物の有無を示す出力信号を生成する、一組の化学的感応性センサ(201~209)と、
-前記一組の化学的感応性センサ(201~209)を割り当てるように構成された分析チャンバ(107)と、
-前記生成された出力信号を受信するために、前記一組の化学的感応性センサ(201~209)に動作可能に接続された第1の処理ユニットと、
-前記第1の処理ユニットに動作可能に接続され、遠隔処理ユニット(130)、及びコンピュータ装置(120)にインストールされたソフトウェアアプリケーション(121)との通信を確立するように構成された通信ユニットと、を備え、前記遠隔処理ユニット(130)は、人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)を実行して前記疾患に関する結果を決定するように構成され、前記ソフトウェアアプリケーションは、前記被験体の健康データ及び/又は人口統計データを収集し、ユーザインタフェースを介して前記疾患に関する前記結果を表示するように構成され、前記人工知能ベースの分類ソフトウェア(150)は、長短期記憶、畳み込みニューラルネットワーク、線形判別分析、及びK最近傍からなる群から選択され、前記生成された出力信号と前記被験体の前記健康データ及び/又は人口統計データとをマージし、メモリ又はデータベース(140)に記憶された情報の中のパターンを認識して、前記疾患に関する前記結果を生成するように構成され、前記メモリ又はデータベース(140)は、前記被験体及び/又は複数の健康な個人及び/又は不健康な個人の健康データ及び/又は人口統計データを含み、前記疾患に関する前記結果は、前記疾患の有無に関する指標を含み、前記疾患は乳癌であり、
前記携帯型医療用スクリーニング装置(100)は、前記収集チャンバ(104)、前記グリッド(105)、前記分析チャンバ(107)、前記第1の処理ユニット、及び前記通信ユニットを囲むように適合された箱体(101)から構成され、前記箱体(101)は、前記引き出し(102)の導入のための中空部分を有する、携帯型医療装置。
【国際調査報告】